説明

アミノシクロブタンまたはアミノシクロブテンの誘導体、これらの製造方法、および医薬品としてのこれらの使用

本発明は、一般式(1)の化合物(式中、−a−は単結合または二重結合であり、Arは置換または非置換の芳香族基であり、R1およびR2は各々独立して、または一緒に、水素原子、または分岐鎖状もしくは非分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置換のC‐Cアルキル基であり、R1およびR2の基はまた、ヘテロ環を形成してもよく、R3およびR3’は各々独立して、または一緒に、水素原子またはC‐Cアルキル基であり、Xは酸素原子または硫黄原子である)、および薬学上許容される無機酸または有機酸との一般式(1)の化合物の付加塩に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノシクロブタンまたはアミノシクロブテンの新規な誘導体、これらの製造方法、これらを含有する医薬組成物、および医薬品としてのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術では、以下の式:
【化1】

を満たすミルナシプラン(シス‐(±)‐N,N‐ジエチル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロプロパンカルボキサミド:メルクインデックス、第12版、No.6281)が提示されており、これは、多くの国々でうつ病の治療に用いられており(CNS Drugs 2008, 22, 587)、米国では、線維筋痛症の治療用として認可されている。また、米国特許6,992,110明細書および国際公開2003039598号(サイプレスバイオサイエンス社(Cypress Bioscience, Inc.))にも、疼痛および慢性疲労症候群の治療における使用について、ミルナシプランが請求されている。
【0003】
ミルナシプランの発見以来、その多くの類似体が文献に報告されてきた。全体として、検討されている誘導体は、以下の一般式を満たす:
【化2】

【0004】
ミルナシプランのバックボーンに対してなされる構造上の修飾の例としては、以下の研究を引用することができる:Bonnaud et al., J. Med. Chem. 1987, 30, 78;国際公開第2003039598号(旭化成工業株式会社);Shuto et al., J. Med. Chem. 1995, 38, 2964;Shuto et al., J. Med. Chem. 1996, 61, 915;Shuto et al., J. Med. Chem. 1996, 39, 4844;Shuto et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 3507;Perez et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1998, 8, 3423;Shuto et al., Bioorg. Med. Chem. 2002, 10, 1777;Shuto et al., Bioorg. Med. Chem. 2002, 10, 3829;Shuto et al., Chem. Pharm. Bull. 2002, 50, 966;Shuto et al., J. Med. Chem. 2003, 46, 5326;国際公開第2004039320号(カレジウムファーマソーティカル社(Collegium Pharmaceutical, Inc.));Shuto et al., Biorg. Med. Chem. 2008, 16, 8875;Hansen et al., Biorg. Med. Chem. Lett. 2007, 17, 2834;Chen et al., Biorg. Med. Chem. Lett. 2008, 18, 1346;Chen et al., Biorg. Med. Chem. Lett. 2008, 18, 3230;Chen et al., Biorg. Med. Chem. Lett. 2008, 18, 3328;Chen et al., J. Med. Chem. 2008, 51, 7265。
【0005】
ミルナシプランと同様に、これらの誘導体は、一般的に、モノアミン再取り込み部位の多重阻害剤(multiple inhibitors)として作用し(Expert Opin. Investig. Drugs 2007, 16, 1365)、検討されている生成物の種々の部位における相対活性は、ArおよびR1〜R5の基の種類に関連して変動する。
【発明の概要】
【0006】
構造的な観点から見ると、本発明の化合物は、炭素環のサイズおよび考え得るこの環中の二重結合の含有という点で、ミルナシプランおよびその誘導体生成物とは異なる。このような構造上の修飾が、本発明の生成物の薬理活性に対して主たる影響を及ぼしている。このような理由から、式(I)の化合物は、その化学構造だけでなくその薬理特性においても、ミルナシプランおよびその誘導体化合物から区別される。
【0007】
本発明の化合物は、一般式(1)であり:
【化3】

式中、
‐ −a−は単結合または二重結合であり、
‐ Arは、置換または非置換の芳香族基であり、
‐ R1およびR2は、各々独立して、または一緒に、
水素原子、または分岐鎖状もしくは非分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置換のC‐Cアルキル基であり;R1およびR2の基は、またヘテロ環を形成してもよく、
‐ R3およびR3’は、各々独立して、または一緒に、水素原子またはC‐Cアルキル基であり、
‐ Xは、酸素原子または硫黄原子である。
【0008】
‐C「アルキル」という用語は、直鎖状もしくは分岐鎖状、飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素鎖を示し、指定された数の炭素原子を含んでなるものであり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルである。
【0009】
‐C「アルコキシ」という用語は、1から6個の炭素原子および1つの酸素原子を含有する直鎖状もしくは分岐鎖状炭化水素鎖を示し、例えば、メトキシラジカル、エトキシラジカル、プロポキシラジカル、ブトキシラジカル、ペントキシラジカル、またはヘキソキシラジカルである。
【0010】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を示す。
【0011】
「芳香族」という用語は、
‐ 例えばフェニルなどの単環式、または例えばナフチルなどの二環式であってよい芳香族炭化水素、または
‐ 上記で定めるものなどの芳香族炭化水素に対応するヘテロ芳香族ラジカルであって、ここで、1以上の炭素原子が、例えば窒素、酸素、または硫黄などのヘテロ原子で置換されており、例えば、ピリジン、ピリミジン、イミダゾール、インドール、フラン、またはチオフェン、特には、チオフェン‐2‐イル、チオフェン‐3‐イルおよびピリジン‐3‐イルを含めて例示することができる、ヘテロ芳香族ラジカル、
を示す。
【0012】
「ヘテロ環」という用語は、5から7個の原子を含有する安定な単環、または8から11個の原子を含有する安定な二環を示し、場合によっては飽和または不飽和であってよく、炭素原子からなり、窒素、酸素、硫黄の中から選択される1から4個のヘテロ原子からなり、および少なくとも1つの窒素原子を含有する。二環の定義にさらに含まれるのは、ベンゼンコアと縮合した単環式へテロ環である。例としては、ピロリジン、インドリン、およびテトラヒドロイソキノリンを挙げることができる。
【0013】
「薬学上許容される塩」という用語は、例えば、フマル酸塩、マレイン酸塩、塩酸塩、およびHandbook of Pharmaceutical Salts, Properties, Selection and Use; Stahl, P. H., Wermuth, C. G. Eds.; Wiley-VCH, 2002、で推奨されるその他のすべての塩を示す。
【0014】
本発明の1つの態様によると、一般式(1)の化合物において芳香族基Arが置換される場合、1もしくは複数の置換基は、1以上のハロゲン原子、1以上のC‐Cアルキル基、1以上のC‐Cアルコキシ基、またはシアノ基である。
【0015】
本発明の1つの態様によると、R1および/またはR2基が置換されたC‐Cアルキル基である場合、その置換基は、ハロゲン原子である。
【0016】
本発明によると、式(1)の化合物は、Arが、
‐ 1以上のハロゲン原子、1以上のC‐Cアルキル基、1以上のC‐Cアルコキシ基、もしくはシアノ基で置換されるか、または非置換であるフェニル基、
‐ 1以上のハロゲン原子、1以上のC‐Cアルキル基、1以上のC‐Cアルコキシ基、もしくはシアノ基で置換されるか、または非置換であるナフチル基、または
‐ 1以上のハロゲン原子、1以上のC‐Cアルキル基、1以上のC‐Cアルコキシ基、もしくはシアノ基で置換されるか、または非置換であるヘテロ芳香族基、
である化合物である。
【0017】
本発明の1つの態様によると、式(1)の化合物は、Arが、
‐ 1もしくは2つのハロゲン原子、1もしくは2つのメチル基、1もしくは2つのメトキシ基、もしくはシアノ基で置換されるか、または非置換であるフェニル基、
‐ ナフチレン‐2‐イル基、または
‐ チオフェン‐2‐イル、チオフェン‐3‐イル、およびピリジン‐3‐イルからなる群より選択されるヘテロ芳香族基、
である化合物である。
【0018】
本発明によると、式(1)の化合物は、R1およびR2が、各々独立して、または一緒に、
‐ 分岐鎖状もしくは非分岐鎖状、飽和もしくは不飽和の、必要に応じてフッ素原子で置換されていてよいC‐Cアルキル基、または
‐ ピロリジン、インドリン、およびテトラヒドロイソキノリンからなる群より選択されるヘテロ環、
である化合物である。
【0019】
本発明の範囲内の一般式(1)の化合物の中で、化合物の評価の高い1つのクラスは、R3およびR3’が、一緒に水素原子を表すか、または独立してメチルもしくはエチル基および水素原子を表す一般式(1)の化合物に相当する。
【0020】
本発明の範囲内の一般式(1)の化合物の中で、化合物の評価の高い1つのクラスは、Xが酸素原子である一般式(1)の化合物に相当する。
【0021】
本発明の範囲内の一般式(1)の化合物の中で、化合物の1つのクラスは、Xが酸素原子であり、R3およびR3’が水素原子である一般式(1)の化合物に相当する。
【0022】
本発明はまた、薬学上許容される有機もしくは無機酸との式(I)の化合物の塩、および式(1)の化合物のエナンチオマーにも拡張される。本発明はまた、一般式(1)の化合物の互変異性の形態も含んでなる。
【0023】
本発明の化合物は、少なくとも2つの不斉炭素原子を含んでなり、従って、ラセミ混合物、またはエナンチオマーの形態で得ることができる。本発明は、すべての純粋なエナンチオマー、すなわち共存する他のエナンチオマーが5%未満であるエナンチオマーだけでなく、あらゆる比率でのエナンチオマーの混合物にも関する。本発明の化合物は、従って、純粋なエナンチオマーとして、またはエナンチオマーのラセミもしくは非ラセミ混合物として用いることができる。
【0024】
より具体的には、本発明は、以下の生成物の混合物および純粋なエナンチオマーに関する:
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブテンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(チオフェン‐2‐イル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(チオフェン‐3‐イル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(ピリジン‐3‐イル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(ナフタレン‐2‐イル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(2‐フルオロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(2‐シアノフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3‐クロロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3‐フルオロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3‐メトキシフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3‐シアノフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3‐メチルフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3,4‐ジクロロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3,4‐ジフルオロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3,4‐メチレンジオキシフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐1‐インドリン‐1‐イル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐1‐インドリン‐1‐イル‐(1‐(3‐クロロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐1‐テトラヒドロキノリン‐2‐イル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐1‐テトラヒドロキノリン‐2‐イル‐(1‐(3‐フルオロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐1‐テトラヒドロキノリン‐2‐イル‐(1‐(3‐クロロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐1‐テトラヒドロキノリン‐2‐イル‐(1‐(3‐シアノフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐1‐テトラヒドロキノリン‐2‐イル‐(1‐(3‐メチルフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジアリル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジアリル‐(1‐(3‐フルオロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジアリル‐(1‐(3‐クロロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジアリル‐2‐イル‐(1‐(3‐シアノフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジアリル‐2‐イル‐(1‐(3‐メチルフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐フェニル‐2‐アミノエチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3‐クロロフェニル)‐2‐アミノエチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンチオカルボキサミド。
【0025】
合成方法:
本発明はまた、一般式(1)の誘導体の製造方法にも拡張される。
【0026】
一般式(1)の誘導体は、式(2)の誘導体:
【化4】

からJ. Org. Chem. 1996, 61, 915に記載の方法に類似の方法を適用することで得ることができる。式(2)の化合物において、Ar、R1、R2、R3、R3’および(−a−)の基は、式(1)の誘導体に対するものと同じ意味を有する。
【0027】
式(2)の化合物自体は、式(3)の化合物:
【化5】

から、例えば、J. Med Chem. 1980, 23, 1142;Chem. Ber. 1985, 118, 2266;J. Org. Chem. 2003, 68, 9348;J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 4762に記載の有機化学における従来の方法を適用することで製造することができる。式(3)の化合物において、Ar、R1、R2、R3、R3’および(−a−)の基は、式(1)の化合物に対するものと同じ意味を有する。
【0028】
式(3)の化合物は、式(4)のラクトンから順に合成することができ、
【化6】

式中、Arおよび(−a−)は、式(1)の誘導体に対するものと同じ意味を有する。アミンによるラクトンの開環は、当業者に公知の反応であり、以下の文献に多く記載されている:J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 1999, 605;J. Org. Chem. 2005, 70, 9798。Arがフェニル基であり、(−a−)が単結合を表す式4の化合物は、公知であり[59664‐87‐8]、その製造は、Bull. Chem. Soc. Jpn. 1976, 49, 520に報告されている。Arがフェニル基であり、(−a−)が二重結合を表す式(4)の誘導体もまた公知であり[38029‐37‐7]、その製造も同様であり、Chem. Lett. 1972, 807およびBull. Chem. Soc. Jpn. 1976, 49, 520を参照されたい。類推すると、式(4)の誘導体は、有機化学において当業者に公知の従来の方法を用いて、[2+2]環化付加によって製造することができる。
【0029】
X=Sである式1の化合物は、一級アミン官能基を保護し、続いて、J. Chem. Res. 2004, 474に記載の方法に従うチオ無水物との反応により、X=Oである対応する式1の化合物から製造することができる。
【0030】
式(1)の化合物の1つの特定のエナンチオマーは、ラセミ混合物、またはエナンチオマーの一方が多い混合物を、合成の最も適切な工程において分解することによって得ることができる。
【0031】
本発明の別の態様は、上述の式(1)の化合物の製造方法に用いられる新規な合成中間体を含んでなる。
【0032】
それは特に、一般式(1)の化合物の製造に用いられる、式(2)の合成中間体:
【化7】

式中、(−a−)、Ar、R1、R2、R3およびR3’は、上記で定める通りである、
に関する。
【0033】
それはまた、一般式(2)の化合物の製造に用いられる、式(3)の中間体:
【化8】

式中、(−a−)、Ar、R1、R2、R3、およびR3’は、前記で定める通りである、
にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】
【実施例】
【0035】
以下の実施例は、本発明を説明するものであって、限定するものではない。
【0036】
以下の実施例および比較例において、
(i) 反応の進行は、薄層クロマトグラフィーTLCでモニタリングされ、従って、反応時間は単なる目安として記載される、
(ii) 結晶の形状が異なれば、融点が異なる場合があり、本願で報告される融点は、記述した方法に従って製造された生成物のものであり、補正されたものではない、
(iii) 本発明に従って得られた生成物の構造は、核磁気共鳴NMRスペクトルおよび百分率分析(centesimal analysis)で確認され、最終生成物の純度はTLCで検証され、反応中間体および最終生成物のエナンチオマー純度は、キラル相HPLCで測定される、
(iv) NMRスペクトルは、示した溶媒中で記録される。ケミカルシフト(δ)は、テトラメチルシランに対する百万分率(ppm)で表される。シグナルの多重性は、以下のように示される:s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;l、広い(large)、
(v) 単位の種々の記号は、それらの通常の意味を有する:μg(マイクログラム);mg(ミリグラム);g(グラム);mL(ミリリットル);mA(ミリアンペア);℃(度、摂氏);mmole(ミリモル);nmole(ナノモル);cm(センチメートル);nm(ナノメートル);min(分);s(秒)、Hz(ヘルツ);[α](比旋光度589nm、25℃、および濃度cで測定、本発明ではすべて、度cm−1の単位を意味する);圧力はミリバール(mb)で与えられる、
(vi) 略号は以下の意味を有する:mp(融点)、
(vii) 「室温」とは、20℃から25℃の間の温度を意味する。
【0037】
例1: (±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1a)
工程1: (±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐フェニル‐2‐ヒドロキシメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(3a)
窒素雰囲気下の三つ口フラスコへ、1.6当量のジエチルアミンおよびTHFを投入する。この混合物を0℃まで冷却し、1.6当量のBuLiを滴下する。この混合物を0℃にて5分間攪拌し、続いて−78℃まで冷却する。次に、ラクトン(1当量)を、THF溶液として滴下する(ラクトンに対する最終濃度=0.25mol/L)。この混合物を−78℃にて2時間攪拌する。5℃まで戻し、続いて飽和NHCl溶液でこの反応媒体を加水分解する。この反応混合物をHOで希釈し、次に酢酸エチルで抽出する。有機相をMgSO上で乾燥し、ろ過、および濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィで精製する(溶離液:ヘプタン/酢酸エチル、1:1)。表題の生成物は、黄色のオイルの形態で得られる(収率=83%)。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:0.66(t,3H),1.07(t,3H),1.54(m,1H),2.14(m,1H),2.59‐2.71(m,3H),2.80(m,1H),2.99(m,1H),3.21(m,1H),3.35(m,1H),3.62‐3.68(m,1H),3.92‐3.95(m,1H),5.26(dd,1H),7.24(m,1H),7.37(t,2H),7.44(d,2H)
【0038】
工程2: (±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐フェニル‐2‐アジドメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(2a)
1当量のアルコール(2a)およびDMFを添加する。この混合物を0℃まで冷却し、次の順番、18当量NaN、3当量CBr、および3当量PPhで添加する。この反応混合物を0℃にて5分間攪拌し、室温に戻す。4時間の攪拌後、この反応媒体をHOで希釈し、酢酸エチルで抽出する。有機相をMgSO上で乾燥し、ろ過、および濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィで精製する(溶離液:ヘプタン/酢酸エチル、9:1)。表題の生成物は、無色のオイルの形態で得られる(収率=84%)。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:0.36(t,3H),1.09(t,3H),1.70‐1.77(m,1H),2.03‐2.09(m,1H),2.19(m,1H),2.78(m,1H),2.90‐3.03(m,2H),3.09‐3.19(m,2H),3.44(m,1H),3.63(d,2H),7.23−7.26(m,1H),7.34‐7.39(m,4H)
【0039】
工程3: (±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1a)
1当量のアジド(2a)およびメタノールを添加する。この溶液を窒素で30分間脱気し、次にPd/C(10重量%)を添加する。この系をパージし(空サイクル/Hガス)、この混合物をlo水素圧下、攪拌しながら室温にて3時間水素化する。この反応媒体を窒素でパージし、ろ過によって触媒を除去し、溶媒を蒸発させる。表題の化合物は、白色粉末の形態で得られる(収率=70%)。
1624
mp:95℃
H NMR(CDCl,400MHz)δ:0.27(t,3H),1.09(t,3H),1.29(s,1H),1.60‐1.65(m,1H),1.81‐1.86(m,1H),2.16(c,1H),2.77(m,1H),2.84‐3.00(m,4H),3.05(m,1H),3.24(q,1H),3.50(m,1H),7.21‐7.25(m,2H),7.33‐7.36(m,4H)
理論値% C73.91,H9.30,N10.78
測定値% C73.95,H9.28,N10.75.
【0040】
シュウ酸で化合物(1a)を塩化することにより、表題の化合物のシュウ酸塩が白色結晶の形態で得られる。
1624O.C
mp:175℃
H NMR(DMSO d,400MHz)δ:0.33(t,3H),0.97(t,3H),1.70(t,1H),1.98‐2.04(m,2H),2.76‐3.04(m,7H),3.33(m,1H),7.27(t,1H),7.35‐7.43(m,4H)
理論値% C61.70,H7.48,N7.99
測定値% C61.74,H7.56,N8.12
【0041】
例2: (+)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1a1)
(±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1a)のエナンチオマーを、アセトニトリル‐エタノール‐ブチルアミン(90:10:0.1)の混合物を溶離溶媒として用いるキラル相クロマトグラフィー(Chiralpack IC)で分割する。
(+)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1a1)、[α]=+0.84°
【0042】
シュウ酸で化合物(1a1)を塩化することにより、表題の化合物のシュウ酸塩が白色結晶の形態で得られる。
mp:170℃
[α]=−22.7°
H NMR(DMSO d,400MHz)δ:044(t,3H),0.98(t,3H),1.68(m,1H),2.08(c,1H),2.31(m,1H),2.76‐2.92(m,4H),2.98‐3.10(m,2H),3.15(dd,1H),3.28‐3.36(m,1H),7.29(t,1H),7.37‐7.45(m,4H),8.00(s,2H)
理論値% C61.70,H7.48,N7.99
測定値% C61.85,H7.22,N7.77
【0043】
例3:(−)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1a2)
(−)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1a1)、[α]=−0.84°
【0044】
シュウ酸で化合物(1a1)を塩化することにより、表題の化合物のシュウ酸塩が白色結晶の形態で得られる。
mp:170℃
[α]=+21.7°
理論値% C61.70,H7.48,N7.99
測定値% C60.62,H7.37,N7.83
【0045】
例4:(±)‐シス‐1‐インドリニル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1b)
工程1:(±)‐シス‐1‐インドリニル‐(1‐フェニル‐2‐ヒドロキシメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(3b)
この化合物は、ジエチルアミンをインドリンで置き換えることにより、中間体(3a)の合成に用いられるものと同じ実験条件に従って得られる。表題の化合物(3b)は、イソプロピルエーテルでの結晶化後に得られる(収率=52%)。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.57‐1.14(m,1H),2.21(m,1H),2.66‐2.94(m,4H),3.45(m,1H),3.62(m,1H),3.69(dd,1H),4.07(dd,1H),4.76(s,2H),7.02(t,1H),7.12(d,1H),7.22(t,1H),7.24‐7.29(m,1H),7.39(t,2H),7.51(d,2H),8.27(d,1H)
【0046】
工程2: (±)‐1‐インドリニル‐(1‐フェニル‐2‐アジドメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(2b)
中間体(2a)の合成に用いたものと同じ実験条件に従い、表題の化合物(2b)は、フラッシュクロマトグラフィによる精製(溶離液:ヘプタン/酢酸エチル、95:5)後に得られる;収率=99%。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:1.77‐1.84(m,1H),2.17‐2.31(m,2H),2.81‐2.88(m,1H),2.91‐2.99(m,1H),3.03‐3.06(m,1H),3.12‐3.21(m,2H),3.45(m,1H),3.77(d,2H),7.01(t,1H),7.11(d,1H),7.22(t,1H),7.26‐7.29(m,1H),7.36(m,4H),8.28(d,1H)
【0047】
工程3: (±)‐1‐インドリニル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1b)
化合物(1a)の合成に用いたものと同じ実験条件に従い、表題の化合物(1b)は、フラッシュクロマトグラフィによる精製後に得られる。フマル酸で化合物(1b)を塩化することにより、表題の化合物のフマル酸塩が白色結晶の形態で得られる。
2022O.C
mp:156℃
H NMR(400MHz,d DMSO):1.75(t,J=11.2Hz,1H),2.09(dt,J=19.6,8.8Hz,1H),2.24(t,J=11.2Hz,1H),2.87‐3.09(m,6Hz),3.22(dd,J=12,4.4Hz,1H),3.27(dt,J=9.6,9.2Hz,1H),3.41‐3.48(m,2H),6.4(s,2H),7.00(t,J=7.6Hz,1H),7.16(t,J=7.2Hz,2H),7.31(t,J=6.8Hz,1H),7.41‐7.47(m,4H),8.14(d,J=8.4Hz,1H)
理論値% C68.23,H6.20,N6.63
測定値% C68.05,H6.41,N6.64
【0048】
例5: (±)‐シス‐1‐テトラヒドロキノリン‐2‐イル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1c)
化合物(1a)の合成に用いたものと同じ実験条件に従って、表題の化合物(1c)は得られる。フマル酸で化合物(1c)を塩化することにより、表題の化合物のフマル酸塩が白色結晶の形態で得られる。
2124O.C
mp:159℃
H NMR(400MHz,d DMSO):1.71‐1.74(m,1H),2.04‐2.18(m,2H),2.29‐2.39(m,1H),2.85(m,1 Hz),2.95‐3.11(m,3H),3.1‐3.2(m,2H),3.19(m,1H),3.6‐3.71(m,2H),4.08(s,1H),4.41(d,J=17.2Hz,1H),4.79(d,J=17.6Hz,1H),6.42(s,2H),6.97(d,J=7.6Hz,1H),7.08(d,J=7.2Hz,1H),7.11‐7.16(m,2H),7.29‐7.33(m,2H),7.41‐7.434(m,3H)
理論値% C68.79,H6.47,N6.42
測定値% C68.57,H6.48,N6.46
【0049】
例6: (±)‐シス‐N‐エチル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1d)
化合物(1a)の合成に用いたものと同じ実験条件を適用して、表題の化合物(1d)は得られる。フマル酸で化合物(1c)を塩化することにより、表題の化合物のヘミフマル酸塩が白色結晶の形態で得られる。
1420O.C
mp:174℃
H NMR(400MHz,d DMSO):0.95(t,J=6.8Hz,3H),1.68(dt,J=18.4,9Hz,1H),1.97‐2.03(m,1H),2.21‐2.24(m,1H),2.69‐2.75(m,1H),2.80‐2.83(m,1H),2.96(t,J=7.6Hz,1H),3.04(dd,J=14,6.8Hz,2H),3.19‐3.22(m,1H),6.37(s,1H),7.22(dd,J=8.4,4.4Hz,1H),7.32‐7.34(m,3H),7.79(s,1H)
理論値% C66.18,H7.55,N9.65
測定値% C65.74,H7.56,N9.21
【0050】
例7: (±)‐シス‐N,N‐ジアリル(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1e)
化合物(1a)に用いたものと同じ実験条件を適用して、表題の化合物(1e)は得られる。フマル酸で化合物(1c)を塩化することにより、表題の化合物のフマル酸塩が白色結晶の形態で得られる。
1824O.C
mp:95℃
H NMR(400MHz,d DMSO):1.68‐1.73(m,1H),2.04(dt,J=19.6,8.8Hz,1H),2.19‐2.24(m,1H),2.88(dd,J=20.4,9.2Hz,1H),2.99(t,J=12Hz,1H),3.13(dd,J=12.4,5.6Hz,1H),3.31(dd,J=16,6.8Hz,1H),3.46‐3.56(m,2H),4.01(dd,J=15.2,5.2Hz,1H),4.75‐4.85(m,1H),4.92‐4.97(m,3H),5.06(d,J=10.4Hz,1H),5.60‐5.70(m,1H),6.42(s,2H),7.27‐7.32(m,1H),7.38‐7.44(m,4H)
理論値% C65.98,H7.05,N7.00
測定値% C66.28,H6.91,N6.89
【0051】
例8: (±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐(チオフェン‐2‐イル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1f)
化合物(1a)の合成に用いたものと同じ実験条件に従って、表題の化合物(1f)は得られる。フマル酸で化合物(1c)を塩化することにより、表題の化合物のフマル酸塩が白色結晶の形態で得られる。
1422OS.C
mp:140℃
H NMR(400MHz,d DMSO):0.59(t,J=6.4Hz,3H),0.99(t,J=6.8Hz,3H),1.74(t,J=10.4Hz,1H),2.11‐2.20(m,2H),2.86‐3.13(m,7H),3.31‐3.45(m,1H),6.45(s,2H),7.03(d,J=4.4Hz,1H),7.06(s,1H),7.45(d,J=5.2Hz,1H)
理論値% C56.53,H6.85,N7.32,S8.38
測定値% C56.46,H6.81,N7.22,S8.05
【0052】
例9: (±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐(チオフェン‐3‐イル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1g)
化合物(1a)の合成に用いたものと同じ実験条件を適用して、表題の化合物(1g)は得られる。フマル酸で化合物(1c)を塩化することにより、表題の化合物のフマル酸塩が白色結晶の形態で得られる。
1422OS.C
mp:159℃
H NMR(400MHz,d DMSO):0.49(t,J=6.4Hz,3H),0.98(t,J=6.8Hz,3H),1.69(t,J=10.4Hz,1H),2.06‐2.14(m,2H),2.83‐3.18(m,7H),3.31‐3.45(m,1H),6.46(s,2H),6.93(d,J=4.8Hz,1H),7.48(s,1H),7.56(dd,J=4.4,2.8Hz,1H)
理論値% C56.33,H6.85,N7.32,S8.38
測定値% C56.72,H6.86,N7.43,S8.34
【0053】
例10: (±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐(2‐クロロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1h)
化合物(1a)の合成に用いたものと同じ実験条件を適用して、表題の化合物(1h)は得られる。フマル酸で化合物(1c)を塩化することにより、表題の化合物のフマル酸塩が白色結晶の形態で得られる。
1623ClNO.C
mp:170℃
H NMR(400MHz,d DMSO):0.07(t,J=6.8Hz,3H),1.02(t,J=7.2Hz,3H),1.75‐1.85(m,2H),1.97(dt,J=9.2,7.6Hz,1H),2.67‐2.83(m,2H),2.91‐3.06(m,3H),3.22‐3.45(m,3H),6.48(s,2H),7.32(t,J=7.2Hz,1H),7.42‐7.47(m,2H),7.75(d,J=7.6Hz,1H)
理論値% C56.35,H6.23,N5.97
測定値% C57.61,H6.35,N6.26
【0054】
例11: (±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐(3‐クロロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1i)
化合物(1a)の合成に用いたものと同じ実験条件を適用して、表題の化合物(1i)は得られる。フマル酸で化合物(1c)を塩化することにより、表題の化合物のフマル酸塩が白色結晶の形態で得られる。
1623ClNO.C
mp:160℃
H NMR(400MHz,d DMSO):0.44(t,J=6.8Hz,3H),0.98(t,J=6.8Hz,3H)1.69(t,J=10Hz,1H),2.04(dt,J=18.1Hz,1H),2.13‐2.17(m,1H),2.78‐2.86(m,2H),2.89‐2.93(m,3H),3.02‐3.08(m,2H),3.3‐3.37(m,1H),6.43(s,2H),7.34‐7.38(m,3H),7.46(t,J=8.4Hz,1H)
理論値% C58.46,H6.62,N6.82
測定値% C59.04,H6.60,N6.73
【0055】
例12: (±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐(4‐フルオロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1j)
化合物(1a)の合成に用いたものと同じ実験条件を適用して、表題の化合物(1j)は得られる。フマル酸で化合物(1c)を塩化することにより、表題の化合物のジフマル酸塩が白色結晶の形態で得られる。
1623FNO.C
mp:183℃
H NMR(400MHz,d DMSO):0.46(t,J=6.8Hz,3H),0.97(t,J=6.8Hz,3H),1.66‐1.71(m,1H),2.08(dt,J=17.6,6.4Hz,1H),2.08‐2.1(m,1H),2.75‐2.88(m,4H),2.96‐3.16(m,2H),3.14(dd,J=12.4,5.6Hz,1H),3.28‐3.45(m,1H),6.57(s,4H),7.25(t,J=8.8Hz,2H),7.41(dd,J=8.4,5.2Hz,2H)
理論値% C56.47,H6.12,N5.49
測定値% C56.61,H6.81,N7.29
【0056】
例13: (±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐(2,3‐ジクロロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1k)
化合物(1a)の合成に用いたものと同じ実験条件を適用して、表題の化合物(1k)は得られる。フマル酸で化合物(1c)を塩化することにより、表題の化合物のフマル酸塩が白色結晶の形態で得られる。
1622ClO.C
mp:184℃
H NMR(400MHz,d DMSO):0.09(t,J=6.8Hz,3H),1.02(t,J=6.8Hz,3H),1.76‐1.84(m,2H),1.98‐2.02(m,1H),2.67‐2.78(m,2H),2.90‐3.05(m,3H),3.22‐3.39(m,3H),6.45(s,2H),7.47(t,J=8Hz,1H),7.60(d,J=8Hz,1H),7.77(d,J=8Hz,1H)
理論値% C53.94,H5.88,N6.29
測定値% C54.28,H5.85,N6.24
【0057】
例14: (±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐(3,4‐ジクロロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1l)
化合物(1a)の合成に用いたものと同じ実験条件を適用して、表題の化合物(1l)は得られる。フマル酸で化合物(1c)を塩化することにより、表題の化合物のフマル酸塩が白色結晶の形態で得られる。
1622ClO.C
mp:182℃
H NMR(400MHz,d DMSO):0.51(t,J=6.4Hz,3H),0.97(t,J=7.2Hz,3H),1.67(t,J=10Hz,1H),1.99‐2.07(m,1H),2.21(t,J=8.8Hz,1H),2.78‐2.95(m,5H),3.03‐3.11(m,3H),3.33‐3.37(m,2H),6.43(s,2H),7.36(d,J=8.4Hz,1H),7.59(s,1H),7.69(d,J=8.41Hz,1H)
理論値% C53.94,H5.88,N6.29
測定値% C54.05,H5.90,N6.17
【0058】
例15: (±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐(3‐メトキシフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1m)
化合物(1a)の合成に用いたものと同じ実験条件を適用して、表題の化合物(1m)は得られる。フマル酸で化合物(1c)を塩化することにより、表題の化合物のフマル酸塩が白色結晶の形態で得られる。
1726.C
mp:130℃
H NMR(400MHz,d DMSO):0.43(t,J=6.8Hz,3H),0.98(t,J=6.8Hz,3H),1.70(t,J=9.6Hz,1H),2.05(t,J=8.4Hz,1H),2.08‐2.14(m,1H),2.68‐2.82(m,1H),2.86‐3.09(m,6H),3.29‐3.38(m,1H),3.76(s,3H),6.48(s,2H),6.89(s,2H),6.93(d,J=7.6Hz,1H),7.33(t,J=8.4Hz,1H)
理論値% C62.05,H7.44,N6.89
測定値% C61.77,H7.23,N6.71
【0059】
例16: (±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐(3,4‐メチレンジオキシフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1n)
化合物(1a)の合成に用いたものと同じ実験条件を適用して、表題の化合物(1n)は得られる。フマル酸で化合物(1c)を塩化することにより、表題の化合物のフマル酸塩が白色結晶の形態で得られる。
1724.C
mp:197℃
H NMR(400MHz,d DMSO):0.51(t,J=6.8Hz,3H),0.97(t,J=6.8Hz,3H),1.66(t,J=10Hz 1H),1.99(dt,J=18,8.8Hz,1H),2.10‐2.14(m,1H),2.80‐2.87(m,5H),2.99‐3.10(m,2H),3.32‐3.45(m,1H),6.0(s,2H),6.44(s,2H),6.84‐6.88(m,2H),6.94(d,J=7.6Hz,1H)
理論値% C59.99,H6.71,N6.66
測定値% C60.00,H6.76,N6.59.
【0060】
例17: (±)‐シス‐N,N‐ジエチル(1‐フェニル‐2‐アミノエチル)‐シクロブタンカルボキサミド(1o)
化合物(1a)の合成に用いたものと同じ実験条件を適用して、表題の化合物(1o)は得られる。フマル酸で化合物(1c)を塩化することにより、表題の化合物のフマル酸塩が白色結晶の形態で得られる。
1726O.C
mp:178℃
H NMR(400MHz,d DMSO):0.51(t,J=6.8Hz,3H),0.99(t,J=6.8Hz,3H),1.00(m,1H),1.15(d,J=7.2Hz,3H),1.78‐1.80(m,1H),2.06(dt,J=21.2,9.2Hz,1H),2.49‐2.51(m,1H),2.74‐2.80(m,3H),2.88‐2.96(m,1H),3.06‐3.13(m,1H),3.30‐3.39(m,1H),3.59(dt,J=6.8Hz,1H),6.40(s,2H),7.28(t,J=6.8Hz,1H),7.41‐7.45(m,4H)
理論値% C64.60,H7.74,N7.17
測定値% C64.66,H7.67,N7.02
【0061】
生物学的試験:
1)鎮痛活性の評価:
式(1)の化合物、および比較化合物として選択したミルナシプランの鎮痛活性を、ホルムアルデヒドを注射して動物に疼痛感覚を引き起こす従来の疼痛モデル(pain module)(Eur. J. Pharmacol. 2001, 421, 109)を用いて測定した。
【0062】
プロトコル:
ラット(雄スプラーグドーリーラット(ICO:OFA SD[IOPS]、イッファクレド(Iffa Credo),フランス)を、後足の観察が容易となるように角度を付けた鏡の上に設置したプレキシガラスの観察箱内に配置する。30分間の馴化の後、動物の右後足の足底表面に、2.5%に希釈したホルムアルデヒドの注射を施す。ホルムアルデヒドの注射は、以下の2つのフェーズで発生する行動反応を引き起こす:
‐ 初期フェーズ、ホルムアルデヒドの注射後0〜5分、侵害受容刺激の伝達に特化した受容体の刺激に相当する、
‐ 後期フェーズ、注射後20〜30分の間に発生。このフェーズは、炎症メディエータによる受容体の刺激、および/または第一のフェーズの間に誘発された後角の過剰興奮性に相当する。従って、この後期フェーズは、中枢性の過敏化を含み、第一のフェーズで発生する疼痛と比較して、神経障害性疼痛をよりよく表す疼痛を引き起こす。このため、この後期フェーズで得られる結果のみを、本願では考慮する。
【0063】
本発明の化合物を研究するために、出願者らは、疼痛行動の2つの表現(注射した方の足を舐める、持ち上げる)を選択し、後期フェーズ(すなわち、22.5〜27.5分)に相当する期間を観察期間として選択した。この5分間のフェーズの間、動物の観察を30秒ごとに行い、以下の行動を記録する:注射した方の後足を舐めるか舐めないか、および注射した方の後足を持ち上げるか持ち上げないか。各パラメータについて、10回の観察に対して最大スコア10を与える。本発明の生成物は、ホルムアルデヒド注射の15分前に、腹腔内経路を介して投与する。
【0064】
結果:
ホルムアルデヒド試験において、本発明の化合物を代表する式(1a)の化合物は、顕著な鎮痛活性を有している。式(1a)の化合物は、試験の後期フェーズで発生する足持ち上げおよび足舐めの両方を大きく低減する。ミルナシプランと比較した式(1a)の化合物の利点は、40mg/Kgの用量で観察された効果の大きさを比較することで明らかに分かる。
【0065】
【表1】

【0066】
両パラメータにおいて、化合物(1a)は、特にミルナシプランとの相違が統計的に有意である足持ち上げに関して、ミルナシプランよりも効果的であることを示している。
【0067】
まとめると、40mg/Kgの用量で腹腔内経路(ip)から投与した場合、式(1)の化合物を代表する化合物(1a)では、急性疼痛モデルにおいて、ミルナシプランで得られるよりも高い鎮痛が得られる。
【0068】
2)抗ストレス/抗不安活性の評価:
抗ストレス/抗不安活性を、ストレスを受けた場合に成体ラットから発せられる超音波啼鳴(USV)を用いる従来のモデル(Eur. J. Pharmacol. 2003, 463, 133)で測定した。
【0069】
プロトコル:
実験は、遮音および遮光を施した標準的な操作用ケージ(operative cages)(250×320×250mm)で行った。ケージの床はステンレススチール製の格子で覆われ、0.4mAの一定強度を送る電気ショック発生器と接続している。この装置は、壁面の1つに光源(2ルクス)を備える。ULTRAVOXシステム(ノルドゥス(Noldus)、ワーゲニンゲン,ペイズバス(Pays Bas))を用いて、超音波検出器、音声フィルターボックス、および取得ソフトウェアによって定められる周波数にて超音波啼鳴を記録する。本実験において、捕捉周波数は22kHzに設定した。このソフトウェアでは、動物によって発せられる100msよりも長い持続時間の22kHzの啼鳴をすべて記録することができる。試験は11分25秒間の馴化セッションから開始するが、その間、動物は、条件付けを施すことなく(光も電気ショックもなし)操作装置内に個別に配置される。
【0070】
第二フェーズの間、連続する3日間にわたる3セッションの条件付けフェーズを動物に施す。各セッションは、160秒の予備ショック時間、およびこれに続く条件刺激(CS)/無条件刺激(UCS);すなわち、1秒間続く0.4mAの不可避ショック(UCS)を、光シグナル点灯(合計5秒間)の最後の1秒で適用する刺激の15回の反復から構成される。各CS/UCSの組を、30秒間の試験間インターバルで分離する。試験フェーズの間、15回の電気ショックを送らないという違い以外は条件付けフェーズの間と同じ条件を用いる。ここで、160秒の予備ショック時間の後、単一のCS/UCSの組を、セッションの最初に適用する。次に、光シグナルのみを維持する。試験の第1日は、100秒もしくはそれを超える持続時間のUSVを発するラットの選別に用いる(従って、この定めた基準に到達しない動物は研究から除外した)。
【0071】
選別されたラットに、生理食塩水溶液(コントロールグループ)または試験すべき生成物を皮下注射する(体積10mL/kg)。次に、ラットを30分間隔離し、その後USVの記録のために操作用ケージへ配置する。
【0072】
各試験の間に、48時間の休息時間を設ける(注射した生成物の完全な排出のための時間)。
【0073】
結果:
USV試験において、この化学物質系列を代表する式(1a)の化合物、およびミルナシプランは、同等の抗ストレス/抗不安活性を有している。
【0074】
【表2】

【0075】
超音波啼鳴の持続時間を短縮するのに要する最小有意用量(minimum significant dose)(MSD)は、両化合物について同じである。まとめると、本化学物質系列に属する化合物を代表する化合物(1a)は、腹腔内経路を介しての投与後、ミルナシプランと同様に強力な抗ストレス/抗不安特性を有している。
【0076】
3)抗うつ剤活性の評価:
本発明の化合物の抗うつ剤活性は、ラットの強制水泳試験(Eur. J. Pharmacol. 1978, 47, 379)によって裏付けられた。このモデルは、ヒトにおける抗うつ剤活性を予測するものであることから、広く用いられている。
【0077】
プロトコル:
ラット(雄スプラーグドーリーラット(ICO:OFA SD[IOPS]、イッファクレド,フランス)を、17cmの高さまで25℃±0.5の水を満たしたシリンダー内(高さ45cm、直径20cm)へ入れる。この高さは、シリンダーの底にラットの足を着くことなく、ラットを泳がせるかまたは浮遊させるものである。試験日の24時間前に、ラットをこのシリンダー内に15分間入れると、その時間の後、ラットはそれ以上脱出する試みをせず、静止したままとなる。試験の日、動物をシリンダーへ戻し、5分間の音声映像記録を用いて、動物が静止している時間を測定、モニタリングする。本発明の生成物を、試験の30分前にip経路で投与する。ラットは、自身を浮遊させ、水面に留まるために僅かな動きをするだけである場合に、静止していると見なす。
【0078】
結果:
強制水泳試験(図1)は、系列を代表する式(1a)の化合物が、40mg/Kgの用量にてip経路での投与後、動物の静止時間を有意に減少させることができることを示す。比較して、同用量(40mg/Kg)のミルナシプランは、これらの試験条件下において、動物の静止に対して効果を示さない。まとめると、化合物(1a)、およびこの化学物質系列に属する化合物は、単一投与後、ミルナシプランよりもかなり高い、抗うつ剤活性を表す抗静止特性を有している。
【0079】
従って、本発明の化合物は、広範囲におよぶ活性、すなわち、抗不安、鎮痛、および抗うつ剤活性を有する。式(1)の化合物の単一投与後に得られた抗静止活性は、ミルナシプランまたはシタロプラムなどのモノアミン再取り込み阻害剤が、本試験条件下では繰り返し投与後にのみ活性を示すという点に限って考えると、予想外なものである。式(1)の化合物のこの特徴は、うつ状態の患者において、抗うつ剤作用の時間の短縮および/または治療に対する反応の改善として、そのためより良い医療活動を提供するものとして解釈され得るものであることから、これは有利である。この点において、現時点で臨床上使用可能である抗うつ剤が、数週間の治療後にのみ効果的であり、治療に対する反応者の割合が依然として平均的であることを思い起こすことは有用である(N. Engl. J. Med. 2006, 354, 1231;Lancet 2006, 367, 153)。
【0080】
本発明の生成物で見られた主たる抗うつ剤活性はまた、慢性疼痛の治療に対しても有利であり得る。感覚成分に加えて(急性疼痛試験で測定される)、感情成分が慢性疼痛において重要な役割を担っていることは、実質的に認められている。本発明の化合物は、疼痛の両方の面(すなわち、感覚および感情)に作用することから、慢性疼痛の治療に対して特に良好に適合されることを示し得る。
【0081】
このことから、一般式(1)の化合物、またはその治療的に許容される塩の1つ、またはそのエナンチオマーの1つは、医薬品として、特に、不安症、うつ病などのいくつかの病態の治療、疼痛、特には慢性疼痛の治療における医薬品として、治療の必要性が完全には満たされておらず、新規な治療の発見が非常に所望されている分野において、有用である可能性がある。
【0082】
式(1)の化合物、またはその治療的に許容される塩の1つ、またはそのエナンチオマーの1つは、線維筋痛症、または早漏もしくは性的不能などの勃起障害の治療にも用いることができる。
【0083】
医薬組成物:
本発明のさらなる目的は、活性成分として、式(1)の化合物または式(1)の化合物のエナンチオマーもしくは薬学上許容される塩の少なくとも1つを、不活性医薬キャリアまたはその他の薬学上許容されるビヒクルと共に含有することを特徴とする医薬組成物に関する。
【0084】
本発明の医薬組成物は、例えば、経口、経鼻、舌下、直腸内、または非経口経路で投与することができる組成物であってよい。経口経路で投与することができる組成物の例としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤、溶液剤、または経口懸濁液剤を挙げることができる。選択された投与経路に適する製剤は公知であり、例えば、Remington, The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995, Mack Publishing Companyに記載されている。
【0085】
本発明の化合物の有効用量は、選択された投与経路、体重、年齢、性別、病態の種類、および治療を受ける個人の感受性など数多くのパラメータによって変化する。従って、最適用量は、本技術分野の専門家によって該当すると見なされるパラメータに関連して決定されるべきである。本発明の化合物の有効用量は大きい割合で変化してもよいが、1日用量は、治療を受ける患者の体重1kgあたり0.1mgから100mgの範囲であり得る。
【0086】
本発明の化合物の投与は、経口、経鼻、舌下、直腸内、または非経口の経路を介して行うことができる。製剤の限定されない例として、本発明の化合物の製剤を以下に述べる。これらの成分および治療的に許容されるその他の成分を、本発明の範囲を改変することなく他の割合で添加することができる。「活性成分」という用語は、式(1)の化合物、そのエナンチオマーの1つ、または薬学上許容される無機酸もしくは有機酸との付加塩を意味する。
【0087】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)の化合物、および薬学上許容される無機酸もしくは有機酸との前記一般式(1)の化合物の付加塩:
【化1】

(式中
‐ −a−は単結合または二重結合であり、
‐ Arは、置換または非置換の芳香族基であり、
‐ R1およびR2は、各々独立して、または一緒に、
水素原子、または分岐鎖状もしくは非分岐鎖状、飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置換のC‐Cアルキル基であり、前記R1およびR2の基はまた、ヘテロ環を形成してもよく、
‐ R3およびR3’は、各々独立して、または一緒に水素原子もしくはC‐Cアルキル基であり、
‐ Xは、酸素原子または硫黄原子である)。
【請求項2】
Arが置換されている場合、その1もしくは複数の置換基は、1以上のハロゲン原子、1以上のC‐Cアルキル基、1以上のC‐Cアルコキシ基、またはシアノ基である、請求項1に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項3】
R1および/またはR2が置換されたC‐Cアルキル基である場合、その置換基はハロゲン原子である、請求項1〜2のいずれか一項に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項4】
Arが、
‐ 1以上のハロゲン原子、1以上のC‐Cアルキル基、1以上のC‐Cアルコキシ基、もしくはシアノ基で置換されるか、または非置換であるフェニル基、
‐ 1以上のハロゲン原子、1以上のC‐Cアルキル基、1以上のC‐Cアルコキシ基、もしくはシアノ基で置換されるか、または非置換であるナフチル基、または
‐ 1以上のハロゲン原子、1以上のC‐Cアルキル基、1以上のC‐Cアルコキシ基、もしくはシアノ基で置換されるか、または非置換であるヘテロ芳香族基、
である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項5】
Arが、
‐ 1もしくは2つのハロゲン原子、1もしくは2つのメチル基、1もしくは2つのメトキシ基、もしくはシアノ基で置換されるか、または非置換であるフェニル基、
‐ ナフチレン‐2‐イル基、または
‐ チオフェン‐2‐イル、チオフェン‐3‐イル、およびピリジン‐3‐イルからなる群より選択されるヘテロ芳香族基、
である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項6】
R1およびR2が、各々独立して、または一緒に、
‐ 分岐鎖状もしくは非分岐鎖状、飽和もしくは不飽和の、必要に応じてフッ素原子で置換されていてよいC‐Cアルキル基、または
‐ ピロリジン、インドリン、およびテトラヒドロイソキノリンからなる群より選択されるヘテロ環、
である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項7】
R3およびR3’が、一緒に水素原子を表すか、または独立してメチルもしくはエチル基および水素原子を表す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項8】
Xが、酸素原子である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項9】
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブテンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(チオフェン‐2‐イル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(チオフェン‐3‐イル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(ピリジン‐3‐イル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(ナフタレン‐2‐イル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(2‐フルオロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(2‐シアノフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3‐クロロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3‐フルオロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3‐メトキシフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3‐シアノフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3‐メチルフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3,4‐ジクロロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3,4‐ジフルオロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3,4‐メチレンジオキシフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐1‐インドリン‐1‐イル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐1‐インドリン‐1‐イル‐(1‐(3‐クロロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐1‐テトラヒドロキノリン‐2‐イル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐1‐テトラヒドロキノリン‐2‐イル‐(1‐(3‐フルオロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐1‐テトラヒドロキノリン‐2‐イル‐(1‐(3‐クロロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐1‐テトラヒドロキノリン‐2‐イル‐(1‐(3‐シアノフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐1‐テトラヒドロキノリン‐2‐イル‐(1‐(3‐メチルフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジアリル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジアリル‐(1‐(3‐フルオロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジアリル‐(1‐(3‐クロロフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジアリル‐2‐イル‐(1‐(3‐シアノフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジアリル‐2‐イル‐(1‐(3‐メチルフェニル)‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐フェニル‐2‐アミノエチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐(3‐クロロフェニル)‐2‐アミノエチル)‐シクロブタンカルボキサミド、
‐ シス‐N,N‐ジエチル‐(1‐フェニル‐2‐アミノメチル)‐シクロブタンチオカルボキサミド
の中から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の式(1)の化合物のエナンチオマー。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の式(1)の化合物の製造方法であって、式R1R2NHのアミンを式(4)の化合物上で反応させて式(3)の化合物が得られ、次にこれを式(2)のアジドへ変換し、これを還元することによって前記式(1)の化合物(式中(−a−)、Ar、R1、R2、R3、およびR3’は、請求項1で定める通りであり、Xは酸素原子である)が得られ、X=Sである前記式(1)の化合物は、前記一級アミンを保護し、続いてチオ無水物を反応させる追加の工程の後に得られる、方法。
【化2】

【化3】

【化4】

【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の一般式(1)の化合物の製造に用いられる式(2)の合成中間体:
【化5】

(式中、(−a−)、Ar、R1、R2、R3、およびR3’は、請求項1で定める通りである)。
【請求項13】
請求項12に記載の一般式(2)の化合物の製造に用いられる式(3)の合成中間体:
【化6】

(式中、(−a−)、Ar、R1、R2、R3、およびR3’は、請求項1で定める通りである)。
【請求項14】
医薬品としての使用のための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項15】
不安症の治療に有用である医薬品としての、請求項14に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項16】
うつ病の治療に有用である医薬品としての、請求項14に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項17】
疼痛の治療に有用である医薬品としての、請求項14に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項18】
線維筋痛症の治療に有用である医薬品としての、請求項14に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項19】
早漏もしくは性的不能などの勃起障害の治療に有用である医薬品としての、請求項14に記載の一般式(1)の化合物。
【請求項20】
活性成分として、請求項1〜10のいずれか一項に記載の式(1)の化合物またはエナンチオマーまたは薬学上許容される塩の少なくとも1つを、不活性医薬キャリアまたはその他の薬学上許容されるビヒクルと共に含有する、医薬組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2012−522755(P2012−522755A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502701(P2012−502701)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054452
【国際公開番号】WO2010/112597
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(500033483)ピエール、ファーブル、メディカマン (73)
【Fターム(参考)】