説明

アミノジグリコール(ADG)およびモルホリンの製造法

不均一系遷移金属触媒の存在下で、ジエチレングリコール(DEG)とアンモニアとを反応させることによってアミノジグリコール(ADG)およびモルホリンを製造するための方法において、水素による処理前の触媒の触媒活性材料が、アルミニウムおよび/またはジルコニウム、銅、ニッケルおよびコバルトの酸素含有化合物を含有し、かつ触媒成形体が、球形またはストランド形の場合そのつど<3mmの直径を、タブレット形の場合<3mmの高さを、かつその他の全ての形状の場合そのつど<0.70mmの相当直径L=1/a’を有し、その際、a’は、式(AA)[式中、Aは、触媒粒子の外部表面積(mm)であり、かつVは、触媒粒子の体積(mm)である]で示される、単位体積当たりの外部表面積(mm/mm)であることを特徴とする、不均一系金属触媒の存在下で、ジエチレングリコール(DEG)とアンモニアとを反応させることによってアミノジグリコール(ADG)およびモルホリンを製造するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不均一系遷移金属触媒の存在下で、式
【化1】

のジエチレングリコール(DEG)とアンモニアとを反応させることによってアミノジグリコール(ADG)およびモルホリンを製造するための方法に関する。
【0002】
アミノジグリコール(ADG)およびモルホリンは、なかでも、溶媒、安定剤として、キレート剤、合成樹脂、薬剤、抑制剤および界面活性物質の合成のために使用される。
【0003】
アミノジグリコール(ADG)およびモルホリンを製造するために、文献中には数多くの方法が記載されている。
【0004】
EP−A−36331およびUS−A−4,647,663には、トリクルベッド反応器中において、Hおよび水素化触媒の存在下で、ジアルキレングリコールとアンモニアとを反応させることによってモルホリンおよびモルホリン誘導体を製造するための方法が記載される。
【0005】
Khim. Prom-st. (Moscow) (11), 653-5 (1982) (Chem. Abstr. 98: 91383q) には、HおよびCu−、Co−またはNi−Cr−触媒の存在下で、ジエチレングリコールとアンモニアとを気相環状アミノ化することによってモルホリンを製造することが記載される。
【0006】
Zh. Vses. Khim. Obshchest. 14 (5), 589-90 (1969) (Chem. Abstr. 72: 66879m) には、Hの存在下で、ニッケル触媒によりジエチレングリコールとNHとを気相反応させることによってモルホリンを70%の収率において発生させることが記載される。
【0007】
Ind. Eng. Chem. Prod. Res. Dev. 1981, 20, 第399頁〜第407頁, (C. M. Barnes等)には、SiO−Al−混合担体上のニッケル触媒による、モノエタノールアミン(MEOA)からエチレンジアミン(EDA)へのアンモノリシスが記載される。水の添加および粉末触媒は、EDAの収率を上昇させる場合に有利であるとされていた。
【0008】
これらの技術の欠点は、懸濁触媒反応の場合、なかでも、どうしても必要とされる触媒/生成物分離から引き起こされる。さらに加えて、選択率が、殊にADGの形成のために改善される必要がある。
【0009】
同じ出願日を有する対応するドイツ国特許出願(BASF AG)は、特殊な不均一系触媒成形体の存在下で、エチレンジアミン(EDA)を反応させることによってエチレンアミンを製造するための方法に関する。
【0010】
同じ出願日を有する対応するドイツ国特許出願(BASF AG)は、特殊な不均一系触媒成形体の存在下で、モノエタノールアミン(MEOA)とアンモニアとを反応させることによってエチレンアミンを製造するための方法に関する。
【0011】
本発明は、従来技術の欠点を取り除き、かつアミノジグリコール(ADG)およびモルホリンの改善された経済的な方法を見つけ出すという課題に基づいていた。
【0012】
本発明は、殊に、式
【化2】

の非環式アミンADGを、高い収率、空時収率および選択率において供給するべきである。
例えば、生成物混合物中のモルホリンと比べたADGの割合は従来技術と比べて高められているべきであり、とりわけ高いDEG反応率にて、殊に85%より大きいDEG反応率にて高められているべきである。
[空時収率は、生成物量/(触媒体積・時間)’(kg/(lKat・h))および/または、生成物量/(反応器体積・時間)’(kg/lReaktor・h)において記載される]。
【0013】
それに従って、不均一系遷移金属触媒の存在下で、ジエチレングリコール(DEG)とアンモニアとを反応させることによってアミノジグリコール(ADG)およびモルホリンを製造するための方法において、水素による処理前の触媒の触媒活性材料が、アルミニウムおよび/またはジルコニウム、銅、ニッケルおよびコバルトの酸素含有化合物を含有し、かつ触媒成形体が、球形またはストランド形の場合そのつど<3mmの直径を、タブレット形の場合<3mmの高さを、かつその他の全ての形状の場合そのつど<0.70mmの相当直径L=1/a’を有し、その際、a’は、
【化3】

[式中、Aは、触媒粒子の外部表面積(mm)であり、かつVは、触媒粒子の体積(mm)である]で示される、単位体積当たりの外部表面積(mm/mm)である。
【0014】
触媒粒子の(触媒成形体の)表面積および体積は、粒子の(成形体の)形状寸法から、公知の数式によってもたらされる。
【0015】
体積は、以下の手法:
1.成形体の内部多孔率を測定し(例えば、室温および全圧1barでの[ml/g Kat]における吸水率の測定を介して)
2.液体中に浸漬させた際の成形体の置換量(例えば、ヘリウム−ピクノメーターを用いたガス置換によって)を測定しかつ
3.2つの体積の合計を出す。
に従っても計算されうる。
【0016】
表面積は、次の方法に従っても理論的に計算されえ、その際、その曲率半径が最大5μmであり(細孔中への外被の"侵入"による内部細孔表面積を含まないために)かつ成形体と可能な限り密接に接触する(担体との断面と接触しない)成形体の外被が定義される。このことは明らかに、成形体の周りに敷設されかつその後に内側から真空が適用され、そうして可能な限り緊密に成形体の周りを覆う非常に薄い膜に相当するものとされる。
【0017】
出発物質として必要なジエチレングリコール(DEG)は、公知の方法に従って、例えばエチレンオキシド(EO)とHOとの、またはEOとモノエチレングリコールとの反応によって製造されうる。
【0018】
本発明による反応は、一般的に、1〜260bar、有利には100〜250barの範囲の、殊に150〜240barでの、極めて有利には175〜225barでの絶対圧にて、および一般的に、高められた温度にて、例えば100〜300℃、殊に130〜240℃の温度範囲で、有利には175〜225℃にて行われる。
【0019】
DEGおよびアンモニアは、有利には、NH:DEG=1〜15の範囲の、とりわけNH:DEG=4〜13の範囲の、殊にとりわけNH:DEG=5〜12の範囲のモル比において使用される。
モルホリン:ADGの比は、本発明による方法において、殊にDEG反応率およびNH:DEGのモル比によって規定される。
【0020】
本発明による方法において、一般的に触媒は、有利には、触媒活性材料および場合により成形助剤(例えば、グラファイトまたはステアリン酸)のみからなる触媒の形でかまたはほぼ不活性の担体材料上の触媒活性成分からなる触媒の形で使用される。
【0021】
触媒活性材料は、粉砕後に粉末としてまたは粉砕片として反応容器中に導入されえ、または有利には、粉砕、成形助剤による混合、成形および熱処理後に触媒成形体として−例えばタブレット、球、リング、押出物(例えばストランド状、チューブ状)として−反応器中に導入されうる。
【0022】
触媒の成分の濃度記載値(質量%における)はそのつど−他に記載されない場合−水素による処理前の製造された触媒の触媒活性材料に基づく。
【0023】
触媒の触媒活性材料は、触媒活性組成成分の材料の合計として定義され、かつ水素による処理前に、有利には本質的に、触媒活性組成成分であるアルミニウムおよび/またはジルコニウム、銅、ニッケルおよびコバルトの酸素含有化合物を含有する。
【0024】
水素による処理前の触媒活性材料中の、Al、ZrO、CuO、NiOおよびCoOとして計算される上記の触媒活性組成成分の合計は、例えば70〜100質量%、有利には80〜100質量%、とりわけ有利には90〜100質量%、殊に95〜100質量%、殊にとりわけ>99〜100質量%である。
【0025】
本発明による方法における有利な不均一系触媒は、水素による処理前のそれらの触媒活性材料中に、
Alおよび/またはZrO20〜85質量%、有利には20〜65質量%、とりわけ有利には22〜40質量%、
CuOとして計算される銅の酸素含有化合物1〜30質量%、とりわけ有利には2〜25質量%、
NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物14〜70質量%、有利には15〜50質量%、とりわけ有利には21〜45質量%、その際、有利には、ニッケル対銅のモル比は1より大きく、殊に1.2より大きく、殊にとりわけ1.8〜8.5であり、および
CoOとして計算されるコバルトの酸素含有化合物15〜50質量%、とりわけ有利には21〜45質量%
を含有する。
【0026】
有利な触媒の、そのつどCuO、NiOおよびCoOとして計算される銅、ニッケルおよびコバルトの酸素含有化合物は、一般的に全体で15〜80質量%、有利には35〜80質量%、とりわけ有利には60〜78質量%の量で、(水素による処理前の)触媒活性材料中に含有されており、その際、とりわけ有利には、ニッケル対銅のモル比は1より大きい。
【0027】
本発明による方法におけるさらに他の不均一系触媒は、
DE−A−1953263(BASF AG)に開示された、全触媒に対して5〜80質量%、殊に10〜30質量%の金属含有率を有する、コバルト、ニッケルおよび銅および酸化アルミニウムを含有する触媒、その際、触媒は、金属含有率に基づき計算して、コバルトとニッケルとからの混合物70〜95質量%および銅5〜30質量%を含有し、かつその際、コバルト対ニッケルの質量比は、4:1〜1:4、殊に2:1〜1:2であり、例えば、そこの例において使用される、Al上でCoO10質量%、NiO10質量%およびCuO4質量%の組成物を有する触媒、
EP−A−382049(BASF AG)に開示されたもしくは相応して製造可能な、水素による処理前のその触媒活性材料が、ZrOおよび/またはAl20〜85質量%、有利には70〜80質量%、CuO1〜30質量%、有利には1〜10質量%、
およびそのつどCoOおよびNiO1〜40質量%、有利には5〜20質量%を含有する触媒、例えば、上記引用文献中の第6頁に記載された、ZrOとして計算されるZr76質量%、CuOとして計算されるCu4質量%、CoOとして計算されるCo10質量%、およびNiOとして計算されるNi10質量%の組成物を有する触媒、
EP−A−963975およびEP−A−1106600(いずれもBASF AG)に開示された、水素による処理前のその触媒活性材料が、
ZrO22〜40質量%、
CuOとして計算される銅の酸素含有化合物1〜30質量%、
NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物15〜50質量%、その際、Ni:Cuのモル比は1より大きい、
CoOとして計算されるコバルトの酸素含有化合物15〜50質量%、
AlもしくはMnOとして計算されるアルミニウムおよび/またはマンガンの酸素含有化合物0〜10質量%、
およびモリブデンの酸素含有化合物を含有しない触媒、
例えば、上記引用文献中の第17頁に開示された、ZrOとして計算されるZr33質量%、NiOとして計算されるNi28質量%、CuOとして計算されるCu11質量%およびCoOとして計算されるCo28質量%の組成物を有する触媒A
である。
【0028】
本発明による方法におけるとりわけ有利な触媒は、クロム(Cr)を含有しない。
【0029】
製造された触媒は、それ自体貯蔵されうる。本発明による方法における触媒としてのそれらの使用前に、それらは水素による処理によって前還元される(触媒の活性化)。しかしながら、それらは前還元なしでも使用されえ、その際、それらは次いで本発明による方法の条件下で、反応器中に存在する水素によって還元(=活性化)されうる。
【0030】
活性化のために、有利には触媒は、100〜500℃、とりわけ150〜400℃、殊にとりわけ180〜300℃の範囲の温度にて、少なくとも25分、とりわけ少なくとも60分の時間にわたって水素含有雰囲気にまたは水素雰囲気にさらされる。触媒の活性化の時間は、1hまで、とりわけ12hまで、殊に24hまでであってよい。
【0031】
この活性化に際して、触媒中に存在する酸素含有金属化合物の少なくとも1部は、相応する金属に還元させられ、そうしてこれらは様々な酸素化合物と一緒に触媒の活性型において存在する。
【0032】
使用される触媒は、有利には、0.6〜1.2kg/lの範囲のかさ密度を有する。
【0033】
本発明により認められたのは、触媒が小さい成形体の形で使用される場合にとりわけ高いADG選択率が得られることである。小さい成形体とは、その直径が、球形の場合そのつど3mmを下回り、殊に2.5mmを下回り、例えば1〜2mmの範囲にあるものを指す。
【0034】
相応して、小さい成形体とはまた、ストランド形(ストランド長さ>>ストランド直径)の場合のその直径、またはタブレット形(タブレット直径>>タブレット高さ)の場合のその高さが、そのつど3mmを下回り、殊に2.5mmを下回り、例えば1〜2mmの範囲にあるものを指す。
【0035】
その他の全ての形状の場合、本発明による方法における触媒成形体はそのつど、<0.70mmの、殊に0.65mmの、例えば0.2〜0.6mmの範囲の相当直径L=1/a’を有し、その際、a’は、
【化4】

[式中、Aは、触媒粒子の外部表面積(mm)であり、かつVは、触媒粒子の体積(mm)である]で示される、単位体積当たりの外部表面積(mm/mm)である。
(L=触媒成形体の比寸法(Spezifische Dimension))。
【0036】
本発明による方法において、触媒粒子の小さい比寸法によって、反応物およびまた生成物の拡散経路がより短くなる。細孔中の分子の平均滞留時間および不所望の後続反応が起こる可能性は、これによって減らされる、定められた滞留時間の結果として、それにより、高められた選択率が、殊に所望されたADGの向きにおいて達成されうる。
【0037】
有利には、触媒は固定床として反応器中に存在する。反応器は、有利には管型反応器または管束反応器である。有利には、DEGの反応は反応器中で直線状の流路内で行われる。
【0038】
触媒は、有利には反応器の入口のみならずまた出口でも不活性材料によって取り囲まれる。不活性材料として、例えば不活性な材料(例えばセラミック、ステアタイト、アルミニウム)からのポールリング、球が使用されうる。
【0039】
反応器は、アップフロー運転方式でもダウンフロー運転方式でも運転されうる。有利なダウンフロー運転方式の場合、有利には、反応器供給流のための液体分配器が反応器の入口で使用される。
【0040】
触媒活性化の保持のために、有利には、(反応器供給流のDEG+NHに対して)水素0.01〜1.00質量%、とりわけ0.20〜0.60質量%が送り込まれる。
【0041】
有利な連続的運転において、0.25〜2.0、とりわけ0.5〜1.5kg/kg*h(1時間当たりの触媒kg当たりのDEG kg)のWHSV(重量毎時空間速度(weight hourly space velocity))の場合、85〜95%の反応率範囲において、有利には≧60%、殊に70〜85%のADGおよびモルホリンに関する選択率(S)が達成される。ADG+モルホリンについてのモル選択率は、殊にとりわけ90〜92%である。
【0042】
一般に、≧90%のDEG反応率の場合、ADGおよびモルホリンは、0.20より大きい、とりわけ0.24より大きい、殊にとりわけ0.27より大きい、例えば0.28〜0.36の範囲のADG:モルホリンの質量比で形成される。
【0043】
さらに他の生成物として、本発明による方法において、小さい量のモルホリン誘導体および高級アミン、殊に高級直鎖状ポリアルキルアミンが生じる。
【0044】
なかでも、とりわけ所望されたADG、しかしまたモルホリン、モルホリン誘導体、高級ポリアルキルアミンおよび未反応のDEGも含有する、本発明による方法において生じる生成物流の後処理は、当業者に公知の蒸留法に従って行われうる。
【0045】
個々の生成物、なかでも、とりわけ所望されたADGおよびまたモルホリンを蒸留によって純粋な形で取得するために必要な蒸留塔は、一般によく用いられる手法により当業者によって設計されうる(例えば理論段数の数、環流比等)。
【0046】
反応の結果として生じる反応搬出物の分離は、殊に多段蒸留によって行われる。
【0047】
例えば、反応の結果として生じる反応搬出物の分離は、2つの分離シーケンス内で多段蒸留によって行われ、その際、第一の分離シーケンス内ではまず、アンモニアおよび場合により存在する水素が分離除去され、かつ第二の分離シーケンス内では、未反応のDEGならびにADG、モルホリン、モルホリン誘導体および高級ポリアルキルアミンへの分離が行われる。
【0048】
反応の結果として生じる反応搬出物の分離に際して生じるアンモニアおよび/または生じるDEGは、有利には反応に返送される。
【0049】

A 触媒製造
A1 前駆物質製造
沈殿のために、定流量において硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸コバルトおよび酢酸ジルコニウムを20%の炭酸ナトリウム水溶液と同時に攪拌容器中に70℃の温度で、pH値が5.5〜6.0の範囲に保持されるように添加した。金属塩溶液および炭酸ナトリウム溶液の添加を行った後、さらに70℃で1時間後攪拌し、引き続きpH値を、少量の炭酸ナトリウム溶液の添加によって7.4の値に上げた。
【0050】
得られた懸濁液をろ過し、かつフィルターケーキを脱イオン水で洗浄した。その後、フィルターケーキを200℃の温度で乾燥キャビネットまたは噴霧乾燥器中で乾燥させた。それから、このようにして得られた水酸化物/炭酸塩混合物を、400℃の温度で2時間の間にわたって熱処理した。
【0051】
そうして得られた触媒粉末は、次の組成物:
NiOとして計算されるNi28.1質量%
CoOとして計算されるCo27.7質量%
CuOとして計算されるCu13.1質量%
ZrOとして計算されるZr31.2質量%
を有していた。
【0052】
A2 触媒A(比較触媒)
A1からの触媒粉末をグラファイト2質量%と混合し、かつ5×3mmのタブレットに成形した。タブレット化を行った後、タブレットを350℃で2h、マッフル炉において後焼成した。試験反応器中への装入前に、それを還元し、引き続き不動態化した:還元のために、触媒を水素/窒素流中で100〜200℃の間の温度に加熱した。この温度を、水がもはや発生しなくなるまで維持した。引き続き280℃の終わりの温度に加熱し、かつこの温度を90〜120h保持した。触媒を窒素流下で室温に冷却し、それから、希釈された酸素流で不動態化した。不動態化に際して、反応器中の温度がいずれの箇所においても50℃より上昇しないことに注意した。
【0053】
A3 触媒B(本発明による)
A1からの触媒粉末をグラファイト2質量%で混合し、かつ1.5×2mmのタブレットに成形した。後焼成、還元および不動態化を、A2に記載されたように行った。
【0054】
B Aによる触媒の使用下での水素化アミノ化
例1:小さい成形体(触媒B)、本発明による
DEG(700g/h)、NH(730g/h)およびH(90Nl/h)(Nl=標準リットル=標準条件で換算された体積)を、連続的にアップフロー運転方式においてステンレス鋼管内に送り込んだ(長さ2m、直径3cm)。反応器にアミノ化触媒(1.5×2mmの成形体として500ml)を充填し、かつ反応を200barで実施した。触媒負荷は、1.4kg/l*hであった。
【0055】
192℃で:
DEG:29.6質量%
ADG:31.4質量%
モルホリン:32.1質量%
を得た。
【0056】
195℃で:
DEG:19.3質量%
ADG:28.7質量%
モルホリン:43.7質量%
を得た。
【0057】
198℃で:
DEG:9.1質量%
ADG:20.6質量%
モルホリン:60.2質量%
を得た。
【0058】
比較例1:古典的な成形体(触媒A)
DEG(700g/h)、NH(730g/h)およびH(90Nl/h)を、連続的にアップフロー運転方式においてステンレス鋼管内に送り込んだ(長さ2m、直径3cm)。反応器にアミノ化触媒(5×3mmの成形体として500ml)を充填し、かつ反応を195℃および200barで実施した。触媒負荷は、1.4kg/l*hであった。
【0059】
以下の生成物混合物:
DEG:22.8質量%
ADG:22.5質量%
モルホリン:46.9質量%
を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不均一系遷移金属触媒の存在下で、ジエチレングリコール(DEG)とアンモニアとを反応させることによってアミノジグリコール(ADG)およびモルホリンを製造するための方法において、水素による処理前の触媒の触媒活性材料が、アルミニウムおよび/またはジルコニウム、銅、ニッケルおよびコバルトの酸素含有化合物を含有し、かつ触媒成形体が、球形またはストランド形の場合そのつど<3mmの直径を、タブレット形の場合<3mmの高さを、かつその他の全ての形状の場合そのつど<0.70mmの相当直径L=1/a’を有し、その際、a’は、
【化1】

[式中、Aは、触媒粒子の外部表面積(mm)であり、かつVは、触媒粒子の体積(mm)である]で示される、単位体積当たりの外部表面積(mm/mm)であることを特徴とする、不均一系遷移金属触媒の存在下で、ジエチレングリコール(DEG)とアンモニアとを反応させることによってアミノジグリコール(ADG)およびモルホリンを製造するための方法。
【請求項2】
0.20より大きいADG:モルホリンの質量比におけるADGおよびモルホリンを製造するための、請求項1記載の方法。
【請求項3】
触媒成形体が、球形またはストランド形の場合そのつど<2.5mmの直径を、タブレット形の場合<2.5mmの高さを、かつその他の全ての形状の場合そのつど<0.65mmの相当直径L=1/a’を有することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
DEGの反応を水素の存在下で実施することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
DEGの反応を100〜300℃の範囲の温度で実施することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
DEGの反応を1〜260barの範囲の絶対圧で実施することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
DEGの反応を気相、液相中でまたは超臨界相中で実施することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
水素による処理前の触媒の触媒活性材料が、二酸化ジルコニウム(ZrO)20〜65質量%、CuOとして計算される銅の酸素含有化合物1〜30質量%、NiOとして計算されるニッケルの酸素含有化合物15〜50質量%、およびCoOとして計算されるコバルトの酸素含有化合物15〜50質量%を含有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
使用される触媒が、0.6〜1.2kg/lのかさ密度を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
触媒が固定床として反応器中に存在することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
反応器が管型反応器または管束反応器であることを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
DEGの反応を反応器中で直線状の流路内で行うことを特徴とする、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
反応器をアップフロー運転方式においてまたはダウンフロー運転方式において運転することを特徴とする、請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
DEGおよびアンモニアを、NH:DEG=1〜15の範囲のモル比で使用することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
反応の結果として生じる反応搬出物の分離を多段蒸留によって行うことを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
反応の結果として生じる反応搬出物の分離を、2つの分離シーケンス内で多段蒸留によって行い、その際、第一の分離シーケンス内ではまず、アンモニアおよび場合により存在する水素を分離除去し、かつ第二の分離シーケンス内では、未反応のDEG、ADG、モルホリン、モルホリン誘導体および高級ポリアルキルアミンへの分離を行うことを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
反応の結果として生じる反応搬出物の分離に際して生じるアンモニアおよび/または生じるDEGを反応に返送することを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2009−510018(P2009−510018A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532747(P2008−532747)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066665
【国際公開番号】WO2007/036496
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】