説明

アミノビスアントリル誘導基置換化合物、及びそれを使用した有機発光素子

【課題】極めて純度のよい発光色相を呈し、高効率で高輝度、高寿命の光出力を有する化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式[1]で示されるアミノビスアントリル誘導基置換化合物及びそれを使用した有機発光素子。


(例えば、Ar及びArは4−tBu−フェニル、X及びXは直接単結合、(R及び(Rは水素、Zはフェナントレンを表わす。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノビスアントリル誘導基置換化合物、および該化合物を使用した有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は、陽極と陰極間に蛍光性有機化合物を含む薄膜を挟持させて、各電極から電子およびホール(正孔)を注入することにより、蛍光性化合物の励起子を生成させ、この励起子が基底状態にもどる際に放射される光を利用する素子である。
【0003】
有機発光素子における最近の進歩は著しく、その特徴は低印加電圧で高輝度、発光波長の多様性、高速応答性であり、薄型、軽量の発光デバイス化が可能であることから、広汎な用途への可能性を示唆している。しかしながら、長時間の使用による経時変化や酸素を含む雰囲気気体や湿気などによる劣化等の耐久性の面で未だ多くの問題がある。フルカラーディスプレイ等への応用を考えた場合、現状では更なる長寿命の、高変換効率、高色純度の青、緑、赤色発光が必要であり、種々の提案がされている。
【0004】
アントラセン環を含む材料および有機発光素子の例としては、特許文献1にフェニルアントラセン誘導体が開示されている。特に青色発光材料や電子注入輸送材料として用いた場合に、結晶性が低いため良好な有機膜を形成できるとしているが、発光効率および耐久寿命は実用上十分ではなかった。
【0005】
特許文献2,3には、それぞれ、アミノアントラセン誘導体とジアミノアントラセン誘導体が開示されている。発光材料として用いて緑色発光が得られるとしているが、素子の発光効率は低く、また、耐久寿命に関しても実用上十分ではなかった。
【0006】
特許文献4には、特定のビアントリル化合物を発光材料として用いた素子が開示されており高輝度発光が得られるとしているが、発光効率や耐久寿命に関しての記載がない。
【0007】
特許文献5にはオレフィン部位を含む特定のアントラセン化合物を発光材料として用いた素子が開示されており、黄色から赤色の発光が得られるとしているが、発光効率は実用上十分ではなかった。
【0008】
特許文献6には、発光媒体層に特定構造のアントラセン誘導体と電子輸送性化合物とさらにその他の蛍光性化合物を含む素子が開示されている。信頼性を改善した赤色発光素子が得られるとしているが、発光効率は実用上十分ではなく、また、素子構成上青色発光を得ることが困難であった。
【0009】
ピレンがベンゼン環に置換した材料および有機発光素子の例としては、特許文献7が挙げられ、発光特性、耐久性が良好な素子を提供するとあるが、素子の外部量子効率は低く、耐久寿命に関しての具体的な記載がない。
【0010】
【特許文献1】特開平8−12600号公報
【特許文献2】特開平9−157643号公報
【特許文献3】特開平10−72579号公報
【特許文献4】特許第3008897号公報
【特許文献5】特開平11−8068号公報
【特許文献6】特開2001−284050号公報
【特許文献7】特開2002−324678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、極めて純度のよい発光色相を呈し、高効率で高輝度、高寿命の光出力を有する化合物及び有機発光素子を提供することにある。さらには製造が容易でかつ比較的安価に作成可能な有機発光素子を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物は、下記一般式[1]または[5]で示されることを特徴とする。
【0014】
【化1】

【0015】
(Ar1、Ar2は、置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、互いに同じであっても異なっていてもよい。また、Ar1及びAr2は、互いに結合し環を形成していてもよい。
【0016】
1は、直接単結合、置換あるいは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アラルキレン基、アリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよい。
【0017】
2は、直接単結合、置換あるいは未置換のアリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよい。
【0018】
1、R2は、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、互いに同じであっても異なっていてもよいし、a,bが2以上の場合R1同士、R2同士は同じであっても異なっていてもよい。
【0019】
1は、置換あるいは未置換のフェナントレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ベンゾ[c]フェナントレン、ナフタセン、ジベンゾ[a,c]アントラセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、ジベンゾ[b,def]クリセン、ピセン、ペリレン及びペンタセンからなる群より選ばれた芳香族縮合多環ユニットからなる置換基、または置換あるいは未置換のピリジン、チオフェン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ナフチリジン、キナゾリン、フェナントリジン、カルバゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アクリジン及びフェナジンからなる群より選ばれた複素環ユニットからなる置換基である。
【0020】
a、bは0以上8以下の整数。)
【0021】
【化2】

【0022】
(Ar1、Ar2は、置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、互いに同じであっても異なっていてもよい。また、Ar1及びAr2は、互いに結合し環を形成していてもよい。
【0023】
1は、直接単結合、置換あるいは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アラルキレン基、アリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよい。nが2以上の場合X1同士は同じであっても異なっていてもよい。
【0024】
2は、直接単結合、置換あるいは未置換のアリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよい。
【0025】
1、R2は、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、互いに同じであっても異なっていてもよいし、a,bが2以上の場合R1同士、R2同士は同じであっても異なっていてもよい。
【0026】
1は、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、スルフィド基、アミノ基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、gが2以上の場合互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0027】
2は、置換あるいは未置換のナフタレン、フェナントレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ベンゾ[c]フェナントレン、ナフタセン、ジベンゾ[a,c]アントラセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、ジベンゾ[b,def]クリセン、ピセン、ペリレン及びペンタセンからなる群より選ばれた芳香族縮合多環ユニットからなる置換基、または置換あるいは未置換のピリジン、チオフェン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ナフチリジン、キナゾリン、フェナントリジン、カルバゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アクリジン及びフェナジンからなる群より選ばれた複素環ユニットからなる置換基であり、nが2以上の場合互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0028】
a、bは0以上8以下の整数、gは0以上4以下の整数、nは1以上3以下の整数。ただし、g+nは1以上5以下の整数。)
【発明の効果】
【0029】
本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物は、高効率発光が可能で、効率的な電子、ホール輸送といった同一分子内での多機能性を有し、有機発光素子用材料として有益である。また、本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物は、置換基の変換により容易に種々の発光色が得られ、優れた耐久性も得られる。
【0030】
本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物を用いた有機発光素子は、低い印加電圧で高効率な発光を与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
まず、本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物について説明する。
【0032】
本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物は主に有機発光素子用材料として使用できる。その中で、発光層用として使用する場合、発光層において単独で用いることもできるし、ドーパント(ゲスト)材料またはホスト材料の目的でも使用でき、高色純度、高発光効率、高寿命素子を得ることができる。
【0033】
本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物は、高効率発光、及び効率的でバランスの良い電子、ホール輸送といった同一分子内での多機能性の形成を考慮した。そして、アミノビスアントリル誘導基と、ピレン誘導基等の芳香族縮合多環ユニットからなる置換基、またはキノリン等の複素環ユニットからなる置換基を配し、異機能性ユニット導入に伴う非対称分子の設計を行った。
【0034】
高効率発光及びホール輸送性を期待したアントリル基への置換アミノ基の導入では、アミノ基上の置換基の変換により材料のHOMO/LUMOレベルを調節し、青、緑、さらにより長波長側の発光色へ変換可能である。計算によるHOMO/LUMOレベルの予測により、ホスト材料、ホール輸送層、電子輸送層のエネルギーレベル差も考慮した分子設計も容易である。芳香族縮合多環ユニットは高い量子収率を示し、芳香族縮合多環の重なりによるキヤリア輸送性向上も期待できる。また、電子受容性複素環の導入によるキヤリア輸送も考慮した。さらにアントリル基上のアミノ基により、高Tg化でき熱安定性の良い材料を得ることができる。
【0035】
また、ピレン誘導基を配した場合、特にtert−ブチル基等の立体障害基をピレン環に導入することによる、凝集傾向の抑制、長寿命化も考慮した。
【0036】
以上の考察に加え、本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物は同位体効果により、分子振動を抑え、熱失活を抑制することを考慮し、重水素原子含有分子ユニットの導入も考慮した。
【0037】
本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物は、以上のような考察のもとに分子設計し、発明がなされたものである。
【0038】
一般式[1]で示されるアミノビスアントリル誘導基置換化合物の具体例としては、下記一般式[2]乃至[4]で示される化合物が挙げられる。一般式[2]で示される化合物は、一般式[1]において、Z1がピレンである化合物である。一般式[3]で示される化合物は、一般式[2]において、X1、X2が直接単結合である化合物である。一般式[4]で示される化合物は、一般式[3]において、ピレン上に少なくとも一つのtert−ブチル基を有し、Ar1、Ar2置換フェニル基である化合物である。
【0039】
【化3】

【0040】
(R3は、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、cが2以上の場合R3同士は同じであっても異なっていてもよい。
【0041】
cは0以上9以下の整数。)
【0042】
【化4】

【0043】
【化5】

【0044】
(R4及びR5は重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、互いに同じであっても異なっていてもよいし、e,fが2以上の場合R4同士、R5同士は同じであっても異なっていてもよい。
【0045】
e、fはそれぞれ1以上5以下の整数。dは0以上8以下の整数。)
【0046】
また、一般式[5]で示されるアミノビスアントリル誘導基置換化合物の具体例としては、下記一般式[6]乃至[8]で示される化合物が挙げられる。一般式[6]で示される化合物は、一般式[5]において、Z2がピレンである化合物である。一般式[7]で示される化合物は、一般式[6]において、X1、X2が直接単結合であって、n=g=1である化合物である。一般式[8]で示される化合物は、一般式[7]において、ピレン上に少なくとも一つのtert−ブチル基を有し、Ar1、Ar2置換フェニル基である化合物である。
【0047】
【化6】

【0048】
(R3は、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、cが2以上の場合R3同士は同じであっても異なっていてもよい。
【0049】
cは0以上9以下の整数。)
【0050】
【化7】

【0051】
【化8】

【0052】
(R4及びR5は重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、互いに同じであっても異なっていてもよいし、e,fが2以上の場合R4同士、R5同士は同じであっても異なっていてもよい。
【0053】
e、fはそれぞれ1以上5以下の整数。dは0以上8以下の整数。)
【0054】
本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物は、重水素原子を少なくとも一つ有していてよい。
【0055】
上記一般式[1]乃至[8]において、置換あるいは未置換のアルキル基としては、メチル基、メチル−d1基、メチル−d3基、エチル基、エチル−d5基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、iso−プロピル基、iso−プロピル−d7基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ブチル−d9基、iso−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−オクチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、4−フルオロブチル基、パーフルオロブチル基、5−フルオロペンチル基、6−フルオロヘキシル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、2−クロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、4−クロロブチル基、5−クロロペンチル基、6−クロロヘキシル基、ブロモメチル基、2−ブロモエチル基、ヨードメチル基、2−ヨードエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、4−フルオロシクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0056】
置換あるいは未置換のアラルキル基としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルイソプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、2−(1−ナフチル)エチル基、2−(2−ナフチル)エチル基、9−アントリルメチル基、2−(9−アントリル)エチル基、2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2―クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、2―ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、4−ブロモベンジル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0057】
置換あるいは無置換のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基(2−プロペニル基)、1−プロペニル基、iso−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、スチリル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0058】
置換あるいは無置換のアルキニル基としては、アセチレニル基、フェニルアセチレニル基、1−プロピニル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0059】
置換あるいは未置換のアリール基としては、フェニル基、フェニル−d5基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−エチルフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、メシチル基、4−tert−ブチルフェニル基、ジトリルアミノフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ナフチル−d7基、アセナフチレニル基、アントリル基、アントリル−d9基、フェナントリル基、フェナントリル−d9基、ピレニル基、ピレニル−d9基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、クリセニル基、ジベンゾクリセニル基、ベンゾアントリル基、ベンゾアントリル−d11基、ジベンゾアントリル基、ナフタセニル基、ピセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基、ペリレニル−d−11等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0060】
置換あるいは未置換の複素環基としては、ピロリル基、ピリジル基、ピリジル−d5基、ビピリジル基、メチルピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ターピロリル基、チエニル基、チエニル−d4基、ターチエニル基、プロピルチエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル−d7基、フリル基、フリル−d4基、ベンゾフリル基、イソベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾフリル−d7基、キノリル基、キノリル−d6基、イソキノリル基、キノキサリニル基、ナフチリジニル基、キナゾリニル基、フェナントリジニル基、インドリジニル基、フェナジニル基、カルバゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、アクリジニル基、フェナジニル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0061】
置換あるいは未置換のアラルキレン基としては、ベンジレン基、2−フェニルエチレン基、2−フェニルイソプロピレン基、1−ナフチルメチレン基、2−ナフチルメチレン基、9−アントリルメチレン基、2−フルオロベンジレン基、3−フルオロベンジレン基、4−フルオロベンジレン基、4−クロロベンジル基、4−ブロモベンジレン基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0062】
置換あるいは無置換のアルケニレン基としては、ビニレン基、iso−プロペニレン基、スチリレン基、1,2−ジフェニルビニレン基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0063】
置換あるいは無置換のアルキニレン基としては、アセチレニレン基、フェニルアセチレニレン基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0064】
置換あるいは未置換のアリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、テトラフルオロフェニレン基、ジメチルフェニレン基、ナフチレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基、テトラセニレン基、ペンタセニレン基、ペリレニレン基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0065】
置換あるいは未置換の二価の複素環基としては、フリレン基、ピロリレン基、ピリジレン基、ターピリジレン基、チエニレン基、ターチエニレン基、オキサゾリレン基、チアゾリレン基、カルバゾリレン等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0066】
置換または未置換のアミノ基(―NR‘R“)としては、R’およびR”が、水素原子、重水素原子、上記に示した置換または未置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、置換あるいは未置換のアリーレン基あるいは二価の複素環基で連結されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基及びアミノ基、置換のシリル基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基で表され、例えばアミノ基、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−メチル−N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、アニリノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−フェニル−N−トリルアミノ基、N,N−ジトリルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジアニソリルアミノ基、N−メシチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジメシチルアミノ基、N−フェニル−N−(4−tert−ブチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノ基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0067】
置換あるいは未置換のアルコキシ基としては、上記記載の置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基を有するアルキルオキシ基、アラルキルオキシ基、上記記載の置換あるいは未置換のアリール基、複素環基を有するアリールオキシ基が挙げられ、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2−エチル−オクチルオキシ基、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、ベンジルオキシ基、チエニルオキシ基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0068】
置換あるいは未置換のスルフィド基としては、上記記載の置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基を有するアルキルスルフィド基、アラルキルスルフィド基、上記記載の置換あるいは未置換のアリール基、複素環基を有するアリールスルフィド基が挙げられ、例えばメチルスルフィド基、エチルスルフィド基、フェニルスルフィド基、4−メチルフェニルスルフィド基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0069】
上記置換基を結合する連結基としては、上記置換あるいは未置換のアリーレン基、二価の複素環基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアラルキレン基、置換のシリル基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0070】
上記置換基および連結基がさらに有しても良い置換基としては、重水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、iso−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−オクチル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアルキル基、アラルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2−エチル−オクチルオキシ基、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、トリフェニルアミノ基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基等のアリール基、ピリジル基、ビピリジル基、メチルピリジル基、チエニル基、ターチエニル基、プロピルチエニル基、フリル基、キノリル基、カルバゾリル基、N−エチルカルバゾリル基等の複素環基、ハロゲン基、水酸基、シアノ基、ニトロ基が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0071】
次に、本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物についてその代表例を挙げる。ただし、これらの化合物に限定されるものではない。
【0072】
【化9】

【0073】
【化10】

【0074】
【化11】

【0075】
【化12】

【0076】
【化13】

【0077】
次に、本発明の有機発光素子について詳細に説明する。
【0078】
本発明の有機発光素子は、少なくとも一方が透明か半透明な陽極および陰極からなる一対の電極間に侠持された有機化合物を含む1または複数の層より構成される有機発光素子において、前記有機化合物を含む層のうち少なくとも一層、好ましくは発光層(発光領域のある層)が、上記本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物を少なくとも1種類含有する。
【0079】
本発明の有機発光素子は、アミノビスアントリル誘導基置換化合物を少なくとも1種類含有する層が、さらに、該アミノビスアントリル誘導基置換化合物のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する第2の化合物を含むことが好ましい。この場合、主にアミノビスアントリル誘導基置換化合物(以下、「第1の化合物」と言う場合がある。)からの発光を利用する。特に、第1の化合物の吸収波長域と第2の化合物の発光波長域に重なりがあるようにそれぞれの化合物を選択することが望ましい。これによって、第2の化合物から発光効率の高い第1の化合物へのエネルギー移動を促進でき、素子の発光効率を向上することが可能となる。逆に第2の化合物のバンドギャップの方が狭い場合には、効率の高い第1の化合物の発光を有効に利用できない。
【0080】
また、第1の化合物と第2の化合物の両者を用いる利点として、第1の化合物単体で用いる場合に比べ、例えば以下の点が挙げられ、発光の高効率化や長寿命化に効果がある。
(1)第1の化合物の会合による濃度消光を抑える。
(2)第2の化合物の混合により成膜性が向上する。
(3)2種類の化合物を用いることにより、電子とホールのキャリアバランスをとることが容易になる。
【0081】
なお、本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物をドーパント材料として使用する場合、ホスト材料に対するドーパント濃度は0.01wt%以上80wt%以下、好ましくは1wt%以上50wt%以下である。ドーパント材料はホスト材料からなる層全体に均一あるいは濃度勾配を有して含まれるか、あるいはある領域に部分的に含まれてドーパント材料を含まないホスト材料層の領域があってもよい。
【0082】
第2の化合物としては、下記一般式[9]乃至[12]に示す化合物が望ましいが、第1の化合物のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する化合物であればこれらに限定されるものではない。いずれの化合物も、剛直でかつ嵩高いユニットを中心にして、さらに電荷輸送特性や発光特性に優れる縮合多環芳香族基、縮合多環複素環基、アミノ基を有しており、結晶化などが起こりにくく経時安定性に優れ、かつ、素子の高効率発光を可能とする。
【0083】
【化14】

【0084】
(R6乃至R9は、重水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基、またはハロゲン原子を表し、互いに同じであっても異なっていてもよいし、h、i、j、kが2以上の場合、R6同士、R7同士、R8同士、R9同士は同じであっても異なっていてもよい。
【0085】
Ar3乃至Ar6は、置換あるいは無置換のアリール基または複素環基を表し、互いに同じであっても異なっていても良い。
【0086】
h、i、j、kは、0以上3以下の整数。)
【0087】
【化15】

【0088】
(R10およびR11は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるいは無置換の複素環基を表し、互いに同じであっても異なっていても良いし、pが2以上の場合、異なるフルオレン環上のR10同士、R11同士は同じであっても異なっていてもよい。
【0089】
12およびR13は、重水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、互いに同じであっても異なっていてもよいし、L,mが2以上の場合、R12同士、R13同士は同じであっても異なっていてもよい。また、pが2以上の場合、異なるフルオレン環上のR12同士、R13同士は同じであっても異なっていてもよい。
【0090】
Ar7およびAr8は、置換あるいは無置換のアリール基または複素環基を表し、互いに同じであっても異なっていても良い。
【0091】
pは1以上10以下の整数。L、mは0以上3以下の整数。)
【0092】
【化16】

【0093】
(Ar1、Ar2は、置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、互いに同じであっても異なっていてもよい。また、Ar1及びAr2は、互いに結合し環を形成していてもよい。
【0094】
1は、直接単結合、置換あるいは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アラルキレン基、アリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよい。
【0095】
2は、直接単結合、置換あるいは未置換のアリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよい。
【0096】
3は、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、cが2以上の場合R3同士は同じであっても異なっていてもよい。
【0097】
10およびR11は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるいは無置換の複素環基を表し、互いに同じであっても異なっていても良いし、pが2以上の場合、異なるフルオレン環上のR10同士、R11同士は同じであっても異なっていてもよい。
【0098】
12およびR13は、重水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、互いに同じであっても異なっていてもよいし、L,mが2以上の場合、R12同士、R13同士は同じであっても異なっていてもよい。また、pが2以上の場合、異なるフルオレン環上のR12同士、R13同士は同じであっても異なっていてもよい。
【0099】
cは0以上9以下の整数。pは1以上10以下の整数。L、mは0以上3以下の整数。)
【0100】
【化17】

【0101】
(Ar9は、置換あるいは未置換のアラルキル基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、qが2以上の場合互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0102】
3は、直接単結合、置換あるいは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アラルキレン基、アリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、qが2以上の場合互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0103】
14は、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アルコキシ基、スルフィド基、アミノ基及び置換のシリル基からなる群より選ばれた基であり、rが2以上の場合互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0104】
qは1以上6以下の整数、rは0以上5以下の整数。)
【0105】
一般式[9]乃至[12]における置換基としては、上記一般式[1]乃至[8]において説明したものと同様のものが挙げられる。
【0106】
一般式[9]で示される化合物についてその代表例を下記に挙げる。ただし、これらの化合物に限定されるものではない。
【0107】
【化18】

【0108】
【化19】

【0109】
【化20】

【0110】
次に、一般式[10]で示される化合物についてその代表例を下記に挙げる。ただし、これらの化合物に限定されるものではない。
【0111】
【化21】

【0112】
【化22】

【0113】
【化23】

【0114】
【化24】

【0115】
次に、一般式[11]で示される化合物についてその代表例を下記に挙げる。ただし、これらの化合物に限定されるものではない。
【0116】
【表1】

【0117】
【表2】

【0118】
【表3】

【0119】
【表4】

【0120】
【表5】

【0121】
【表6】

【0122】
【表7】

【0123】
次に、一般式[12]で示される化合物についてその代表例を下記に挙げる。ただし、これらの化合物に限定されるものではない。
【0124】
【化25】

【0125】
【化26】

【0126】
図1〜図5に本発明の有機発光素子の好ましい例を示す。
【0127】
図1は、本発明の有機発光素子の一例を示す断面図である。図1は、基板1上に、陽極2、発光層3及び陰極4を順次設けた構成のものである。ここで使用する発光素子は、それ自体でホール輸送能、エレクトロン輸送能及び発光性の性能を単一で有している場合や、それぞれの特性を有する化合物を混ぜて使う場合に有用である。
【0128】
図2は、本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図2は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合は、発光物質はホール輸送性かあるいは電子輸送性のいずれか、あるいは両方の機能を有している材料をそれぞれの層に用い、発光性の無い単なるホール輸送物質あるいは電子輸送物質と組み合わせて用いる場合に有用である。また、この場合、発光層は、ホール輸送層5あるいは電子輸送層6のいずれかから成る。
【0129】
図3は、本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図3は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、発光層3,電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。これは、キャリヤ輸送と発光の機能を分離したものであり、ホール輸送性、電子輸送性、発光性の各特性を有した化合物と適時組み合わせて用いられ、極めて材料選択の自由度が増す。加えて、発光波長を異にする種々の化合物が使用できるため、発光色相の多様化が可能になる。さらに、中央の発光層3に各キャリヤあるいは励起子を有効に閉じこめて、発光効率の向上を図ることも可能になる。
【0130】
図4は、本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図4は、図3に対して、ホール注入層7を陽極2側に挿入した構成であり、陽極2とホール輸送層5の密着性改善あるいはホールの注入性改善に効果があり、低電圧化に効果的である。
【0131】
図5は本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図5は、図3に対してホールあるいは励起子(エキシトン)が陰極4側に抜けることを阻害する層(ホール/エキシトンブロッキング層8)を、発光層3、電子輸送層6間に挿入した構成である。イオン化ポテンシャルの非常に高い化合物をホール/エキシトンブロッキング層8として用いる事により、発光効率の向上に効果的な構成である。
【0132】
ただし、図1〜図5はあくまでごく基本的な素子構成であり、本発明の有機発光素子の構成はこれらに限定されるものではない。例えば、電極と有機層界面に絶縁性層を設ける、接着層あるいは干渉層を設ける、ホール輸送層がイオン化ポテンシャルの異なる2層から構成されるなど多様な層構成をとることができる。
【0133】
本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物は、図1〜図5のいずれの形態でも使用することができる。
【0134】
特に、本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物を用いた有機層は、発光層、電子輸送層あるいはホール輸送層として有用であり、また真空蒸着法や溶液塗布法などによって形成した層は結晶化などが起こりにくく経時安定性に優れている。
【0135】
本発明は、特に発光層の構成成分として、上記本発明のアミノビスアントリル誘導基置換化合物を用いる。そして、必要に応じてこれまで知られている低分子系およびポリマー系のホール輸送性化合物、発光性化合物あるいは電子輸送性化合物などを一緒に使用することもできる。
【0136】
以下にこれらの化合物例を挙げる。
【0137】
正孔(ホール)注入輸送性材料としては、陽極からのホールの注入を容易にし、また注入されたホールを発光層に輸送する優れたモビリティを有することが好ましい。正孔注入輸送性能を有する低分子および高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、オキサゾール誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、およびポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(シリレン)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。以下に、具体例の一部を示す。
【0138】
【化27】

【0139】
【化28】

【0140】
本発明の化合物以外に使用できる、主に発光機能に関わる材料としては、多環縮合芳香族化合物(例えばナフタレン誘導体、フェナントレン誘導体、フルオレン誘導体、ピレン誘導体、テトラセン誘導体、コロネン誘導体、クリセン誘導体、ペリレン誘導体、9,10−ジフェニルアントラセン誘導体、ルブレンなど)、キナクリドン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、ナイルレッド、ピラジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、スチルベン誘導体、有機金属錯体(例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体)およびポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体、ポリ(チエニレンビニレン)誘導体、ポリ(アセチレン)誘導体等の高分子誘導体が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。以下に、具体例の一部を示す。
【0141】
【化29】

【0142】
【化30】

【0143】
電子注入輸送性材料としては、陰極からの電子の注入を容易にし、注入された電子を発光層に輸送する機能を有するものから任意に選ぶことができ、ホール輸送材料のキャリア移動度とのバランス等を考慮し選択される。電子注入輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フルオレノン誘導体、アントロン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機金属錯体等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。以下に、具体例の一部を示す。
【0144】
【化31】

【0145】
本発明の有機発光素子において、本発明の化合物を含有する層およびその他の有機化合物からなる層は、一般には真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマにより形成することができる。また、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法、例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等により形成することもできる。特に塗布法で成膜する場合は、適当な結着樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
【0146】
上記結着樹脂としては、広範囲な結着性樹脂より選択でき、例えば、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独または共重合体ポリマーとして1種または2種以上混合してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
【0147】
陽極材料としては、仕事関数がなるべく大きなものがよい。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン等の金属単体あるいはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO),酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンスルフィド等の導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は単独で用いるか、あるいは複数併用することもできる。また、陽極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
【0148】
一方、陰極材料としては、仕事関数の小さなものがよい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、銀、鉛、錫、クロム等の金属単体あるいはリチウム−インジウム、ナトリウム−カリウム、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム、マグネシウム−インジウム等、複数の合金として用いることができる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は単独で用いるか、あるいは複数併用することもできる。また、陰極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
【0149】
本発明で用いる基板としては、特に限定するものではないが、金属製基板、セラミックス製基板等の不透明性基板、ガラス、石英、プラスチックシート等の透明性基板が用いられる。また、基板にカラーフィルター膜、蛍光色変換フィルター膜、誘電体反射膜などを用いて発色光をコントロールする事も可能である。
【0150】
なお、作成した素子に対して、酸素や水分等との接触を防止する目的で保護層あるいは封止層を設けることもできる。保護層としては、ダイヤモンド薄膜、金属酸化物、金属窒化物等の無機材料膜、フッ素樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、さらには、光硬化性樹脂等が挙げられる。また、ガラス、気体不透過性フィルム、金属などをカバーし、適当な封止樹脂により素子自体をパッケージングすることもできる。
【0151】
本発明の素子は、基板上に薄膜トランジスタ(TFT)を作成し、それに接続して作成することも可能である。
【0152】
また、素子の光取り出し方向に関しては、ボトムエミッション構成(基板側から光を取り出す構成)および、トップエミッション(基板の反対側から光を取り出す構成)のいずれも可能である。
【実施例】
【0153】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0154】
<実施例1>[例示化合物No.15の製造方法]
(1)中間体(10−ブロモ−10’−(1−ピレニル)−[9,9’]ビアントラセニル)の合成
窒素気流下、10,10‘−ジブロモ−[9,9’]ビアントラセニル34.6g(60mmol)を、脱気したトルエン400ml、エタノール200mlの混合溶媒中に溶解、攪拌した。そこに無水炭酸ナトリウム12.7gを水100mlに溶解させ調整した炭酸ナトリウム水溶液を加え、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム6.94g(6mmol)を加えた。50℃に加熱したオイルバス上で溶液を攪拌し、トルエン100mlに溶解した1−[4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラニル]ピレン19.7g(60mmol)を3回に分けゆっくり滴下した。窒素気流下、80℃に加熱したオイルバス上で約4時間、加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻し、トルエン、酢エチ、水を加え有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘプタン=1:3)で精製し、10−ブロモ−10’−(1−ピレニル)−[9,9’]ビアントラセニルを27.2g得た。
【0155】
(2)例示化合物No.15の合成
窒素雰囲気下、酢酸パラジウム225mg(1mmol)、トリ−o−トリルホスフィン1.21g(4mmol)をキシレン30mlに溶解させ、15分室温で攪拌した。キシレン150ml、10−ブロモ−10’−(1−ピレニル)−[9,9’]ビアントラセニル10g(14.3mmol)を加え、50℃に加熱したオイルバス上で5分攪拌した。N,N−ジ(4−tert−ブチルフェニル)アミン4.78g(17mmol)をキシレン30mlに溶解させ滴下し、続いてtert−ブトキサイドナトリウム3.02g(31.5mmol)を加えた。130℃に加熱したオイルバス上で約5時間、加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻した後、水100mlを加え、水層と有機層を分離し、さらに水層をトルエン及び酢酸エチルで抽出し、前の有機層とあわせ硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘプタン=1:3)で精製して、例示化合物No.15を10g得た。
【0156】
<実施例2〜5>[例示化合物No.11、12、13、16の製造方法]
実施例1の(2)に示す反応において、N,N−ジ(4−tert−ブチルフェニル)アミンに換えて、下記化合物を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行い、例示化合物No.11、12、13、16を製造した。
【0157】
例示化合物No.11:N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミン
例示化合物No.12:N−(9−フェナントリル)−N−フェニルアミン
例示化合物No.13:N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン
例示化合物No.16:N−[2−(9,9‘−ジメチルフルオレニル)−N−(4−tert−ブチルフェニル)アミン
【0158】
<実施例6〜12>[例示化合物No.1、3、6、9、17、19、22の製造方法]
実施例1の(1)に示す反応において、1−[4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラニル]ピレンに換えて、下記化合物から誘導した4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン体を用いた。それ以外は実施例1と同様にして反応を行い、例示化合物No.1、3、6、9、17、19、22をそれぞれ製造した。
【0159】
例示化合物No.1:9−ブロモフェナントレン
例示化合物No.3:8−ブロモフルオランテン
例示化合物No.6:6−ブロモキノリン
例示化合物No.9:3−ベンゾフラン
例示化合物No.17:1−ブロモ−7−tert−ブチル−3−メチルピレン(Organic Preparations and Procedures International (1997),29,321−330.に従い合成)
例示化合物No.19:2−ブロモピレン
例示化合物No.22:1−ブロモ−7−tert−ブチル−3−メチルピレン−d7
【0160】
<実施例13>[例示化合物No.37の製造方法]
(1)中間体(3−ブロモ−5−(1−ピレニル)トルエン)の合成
窒素気流下、3,5−ジブロモトルエン12.5g(50mmol)を、脱気したトルエン300ml、エタノール200mlの混合溶媒中に溶解、攪拌した。そこに無水炭酸ナトリウム10.6gを水100mlに溶解させ調整した炭酸ナトリウム水溶液を加え、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム5.78g(5mmol)を加えた。50℃に加熱したオイルバス上で溶液を攪拌し、トルエン100mlに溶解した1−[4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラニル]ピレン16.4g(50mmol)を3回に分けゆっくり滴下した。窒素気流下、80℃に加熱したオイルバス上で約4時間、加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻し、トルエン、酢エチ、水を加え有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘプタン=1:3)で精製し、3−ブロモ−5−(1−ピレニル)トルエンを10.2g得た。
【0161】
(2)中間体(3−(10−ブロモ[9,9’]ビアントラセン−10‘−イル)−5−(1−ピレニル)トルエン)の合成
窒素気流下、10,10‘−ジブロモ[9,9’]ビアントラセニル5g(13.5mmol)を、脱気したトルエン200ml、エタノール100mlの混合溶媒中に溶解、攪拌した。そこに無水炭酸ナトリウム2.86gを水40mlに溶解させ調整した炭酸ナトリウム水溶液を加え、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.56g(1.35mmol)を加えた。50℃に加熱したオイルバス上で溶液を攪拌し、3−ブロモ−5−(1−ピレニル)トルエンから誘導した4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン体5.65g(13.5mmol)のトルエン50ml溶液を滴下した。窒素気流下、80℃に加熱したオイルバス上で約4時間、加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻し、トルエン、酢エチ、水を加え有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘプタン=1:3)で精製し、3−(10−ブロモ[9,9’]ビアントラセン−10‘−イル)−5−(1−ピレニル)トルエンを5.67g得た。
【0162】
(3)例示化合物No.37の合成
窒素雰囲気下、酢酸パラジウム109mg(0.483mmol)、トリ−o−トリルホスフィン0.585g(1.93mmol)をキシレン20mlに溶解させ、15分室温で攪拌した。キシレン300mlを加え、3−(10−ブロモ[9,9’]ビアントラセン−10‘−イル)−5−(1−ピレニル)トルエン5g(6.91mmol)加え、50℃に加熱したオイルバス上で5分攪拌した。N,N−ジ(4−tert−ブチルフェニル)アミン2.31g(8.21mmol)をキシレン20mlに溶解させ滴下し、続いてtert−ブトキサイドナトリウム1.46g(15.2mmol)を加えた。130℃に加熱したオイルバス上で約5時間、加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻した後、水70mlを加え、水層と有機層を分離し、さらに水層をトルエン及び酢酸エチルで抽出し、前の有機層とあわせ硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘプタン=1:3)で精製して、例示化合物No.37を5.34g得た。
【0163】
<実施例14、15>[例示化合物No.35、36の製造方法]
実施例13の(3)に示す反応において、N,N−ジ(4−tert−ブチルフェニル)アミンに換えて、下記化合物を用いた以外は実施例13と同様にして反応を行い、例示化合物No.35、36を製造した。
【0164】
例示化合物No.35:N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン
例示化合物No.36:N−(4−スチリルフェニル)アニリン
【0165】
<実施例16>[例示化合物No.39の製造方法]
実施例13(1)に示す反応で1−[4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラニル]ピレンに換えて1−ブロモ−7−tert−ブチル−3−メチルピレンから誘導した4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン体を用いた。それ以外は実施例13と同様にして反応を行い、例示化合物39を製造した。
【0166】
<実施例17>[例示化合物No.45の製造方法]
実施例13の(1)に示す反応において、3,5−ジブロモトルエンに換えて3,5−ジブロモ−tert−ブチルベンゼンを用いた。また、1−[4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラニル]ピレンに換えて、1−ブロモ−7−tert−ブチル−3−メチルピレンから誘導した4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン体を用いた。それ以外は実施例13と同様にして反応を行い、例示化合物45を製造した。
【0167】
<実施例18>
図3に示す構造の有機発光素子を以下に示す方法で作成した。
【0168】
基板1としてのガラス基板上に、陽極2としての酸化錫インジウム(ITO)をスパッタ法にて120nmの膜厚で成膜したものを透明導電性支持基板として用いた。これをアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄したものを透明導電性支持基板として使用した。
【0169】
正孔輸送材料として下記構造式で示される化合物を用いて、濃度が0.2wt%となるようにクロロホルム溶液を調整した。
【0170】
【化32】

【0171】
この溶液を陽極2上に滴下し、最初に500RPMの回転で10秒、次に1000RPMの回転で1分間スピンコートを行い膜形成した。この後10分間、80℃の真空オーブンで乾燥し、薄膜中の溶剤を完全に除去した。形成されたホール輸送層5の厚みは25nmであった。
【0172】
次に、ホール輸送層5の上に発光層3として例示化合物No.15を蒸着して20nmの発光層3を設けた。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件で成膜した。
【0173】
更に電子輸送層6としてバソフェナントロリン(BPhen)を真空蒸着法にて50nmの膜厚に形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件であった。
【0174】
次に、電子輸送層6の上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により厚さ0.5nm形成し、更に真空蒸着法により厚さ150nmのアルミニウム膜を設け電子注入電極(陰極4)とした。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は、アルミニウム−リチウム合金は0.05nm/sec、アルミニウムは1.0〜1.2nm/secの条件で成膜した。
【0175】
得られた有機EL素子は、水分の吸着によって素子劣化が起こらないように、乾燥空気雰囲気中で保護用ガラス板をかぶせ、アクリル樹脂系接着材で封止した。
【0176】
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al電極(陰極4)を負極にして、4Vの印加電圧で、発光輝度500cd/m2、発光効率8lm/Wの緑色の発光が観測された。
【0177】
さらに、窒素雰囲気下で電流密度を30mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期輝度1150cd/m2から100時間後に830cd/m2と輝度劣化は小さかった。
【0178】
<比較例1>
発光層3として、以下に示す比較化合物を用いた他は実施例18と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。
【0179】
【化33】

【0180】
4Vの印加電圧で、発光輝度290cd/m2、発光効率1lm/Wの緑色の発光が観測された。
【0181】
さらに、窒素雰囲気下で電流密度を30mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期輝度660cd/m2から100時間後に310cd/m2と輝度劣化が大きかった。
【0182】
<実施例19〜21>
発光層3として、表8に示す化合物を用いた他は実施例18と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。その結果を表8に示す。
【0183】
【表8】

【0184】
<実施例22>
電子輸送層6として2,9−ビス[2−(9、9−ジメチルフルオレニル)]フェナントロリンを用い、発光層3として例示化合物No.17を用いた以外は実施例18と同様に有機発光素子を作成した。
【0185】
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al電極(陰極4)を負極にして、4Vの印加電圧で、発光輝度640cd/m2、発光効率8lm/Wの緑色発光が観測された。
【0186】
<実施例23〜25>
発光層3として、表9に示す化合物を用いた他は実施例22と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。その結果を表9に示す。
【0187】
また、実施例24で作成した素子に、窒素雰囲気下で電流密度を30mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期輝度1520cd/m2から100時間後に1170cd/m2と輝度劣化は小さかった。
【0188】
【表9】

【0189】
<実施例26〜36>
表10に示す第1の化合物、第2の化合物を、表10に示す共蒸着比(重量比)で共蒸着して20nmの発光層3を設けた他は、実施例22と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。その結果を表10に示す。
【0190】
尚、いずれの素子においても、第2の化合物のバンドギャップは、第1の化合物のバンドギャップよりも大きい。
【0191】
また、実施例29で作成した素子に、窒素雰囲気下で電流密度を30mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期輝度2980cd/m2から100時間後に2360cd/m2と輝度劣化は小さかった。
【0192】
【表10】

【0193】
<比較例2>
発光層の第1の化合物として、比較例1と同じ比較化合物を用いた他は実施例28と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。
【0194】
4Vの印加電圧で、発光輝度560cd/m2、発光効率2lm/Wの緑色の発光が観測された。
【0195】
さらに、窒素雰囲気下で電流密度を30mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、初期輝度920cd/m2から100時間後に430cd/m2と輝度劣化が大きかった。
【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】本発明における有機発光素子の一例を示す断面図である。
【図2】本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
【図5】本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0197】
1 基板
2 陽極
3 発光層
4 陰極
5 ホール輸送層
6 電子輸送層
7 ホール注入層
8 ホール/エキシトンブロッキング層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式[1]で示されることを特徴とするアミノビスアントリル誘導基置換化合物。
【化1】

(Ar1、Ar2は、置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、互いに同じであっても異なっていてもよい。また、Ar1及びAr2は、互いに結合し環を形成していてもよい。
1は、直接単結合、置換あるいは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アラルキレン基、アリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよい。
2は、直接単結合、置換あるいは未置換のアリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよい。
1、R2は、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、互いに同じであっても異なっていてもよいし、a,bが2以上の場合R1同士、R2同士は同じであっても異なっていてもよい。
1は、置換あるいは未置換のフェナントレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ベンゾ[c]フェナントレン、ナフタセン、ジベンゾ[a,c]アントラセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、ジベンゾ[b,def]クリセン、ピセン、ペリレン及びペンタセンからなる群より選ばれた芳香族縮合多環ユニットからなる置換基、または置換あるいは未置換のピリジン、チオフェン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ナフチリジン、キナゾリン、フェナントリジン、カルバゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アクリジン及びフェナジンからなる群より選ばれた複素環ユニットからなる置換基である。
a、bは0以上8以下の整数。)
【請求項2】
下記一般式[2]で示されることを特徴とする請求項1に記載のアミノビスアントリル誘導基置換化合物。
【化2】

(R3は、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、cが2以上の場合R3同士は同じであっても異なっていてもよい。
cは0以上9以下の整数。)
【請求項3】
下記一般式[3]で示されることを特徴とする請求項2に記載のアミノビスアントリル誘導基置換化合物。
【化3】

【請求項4】
下記一般式[4]で示されることを特徴とする請求項3に記載のアミノビスアントリル誘導基置換化合物。
【化4】

(R4及びR5は重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、互いに同じであっても異なっていてもよいし、e,fが2以上の場合R4同士、R5同士は同じであっても異なっていてもよい。
e、fはそれぞれ1以上5以下の整数。dは0以上8以下の整数。)
【請求項5】
下記一般式[5]で示されることを特徴とするアミノビスアントリル誘導基置換化合物。
【化5】

(Ar1、Ar2は、置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、互いに同じであっても異なっていてもよい。また、Ar1及びAr2は、互いに結合し環を形成していてもよい。
1は、直接単結合、置換あるいは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アラルキレン基、アリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよい。nが2以上の場合X1同士は同じであっても異なっていてもよい。
2は、直接単結合、置換あるいは未置換のアリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよい。
1、R2は、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、互いに同じであっても異なっていてもよいし、a,bが2以上の場合R1同士、R2同士は同じであっても異なっていてもよい。
1は、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、スルフィド基、アミノ基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、gが2以上の場合互いに同じであっても異なっていてもよい。
2は、置換あるいは未置換のナフタレン、フェナントレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ベンゾ[c]フェナントレン、ナフタセン、ジベンゾ[a,c]アントラセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、ジベンゾ[b,def]クリセン、ピセン、ペリレン及びペンタセンからなる群より選ばれた芳香族縮合多環ユニットからなる置換基、または置換あるいは未置換のピリジン、チオフェン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ナフチリジン、キナゾリン、フェナントリジン、カルバゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アクリジン及びフェナジンからなる群より選ばれた複素環ユニットからなる置換基であり、nが2以上の場合互いに同じであっても異なっていてもよい。
a、bは0以上8以下の整数、gは0以上4以下の整数、nは1以上3以下の整数。ただし、g+nは1以上5以下の整数。)
【請求項6】
下記一般式[6]で示されることを特徴とする請求項5に記載のアミノビスアントリル誘導基置換化合物。
【化6】

(R3は、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、cが2以上の場合R3同士は同じであっても異なっていてもよい。
cは0以上9以下の整数。)
【請求項7】
下記一般式[7]で示されることを特徴とする請求項6に記載のアミノビスアントリル誘導基置換化合物。
【化7】

【請求項8】
下記一般式[8]で示されることを特徴とする請求項7に記載のアミノビスアントリル誘導基置換化合物。
【化8】

(R4及びR5は重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、互いに同じであっても異なっていてもよいし、e,fが2以上の場合R4同士、R5同士は同じであっても異なっていてもよい。
e、fはそれぞれ1以上5以下の整数。dは0以上8以下の整数。)
【請求項9】
重水素原子を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のアミノビスアントリル誘導基置換化合物。
【請求項10】
少なくとも一方が透明か半透明な陽極および陰極からなる一対の電極間に侠持された有機化合物を含む1または複数の層より構成される有機発光素子において、前記有機化合物を含む層のうち少なくとも一層が、請求項1乃至9のいずれかに記載のアミノビスアントリル誘導基置換化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする有機発光素子。
【請求項11】
前記アミノビスアントリル誘導基置換化合物を少なくとも1種類含有する層が発光層であることを特徴とする請求項10に記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記アミノビスアントリル誘導基置換化合物を少なくとも1種類含有する層が、さらに、該アミノビスアントリル誘導基置換化合物のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する第2の化合物を含むことを特徴とする請求項10または11に記載の有機発光素子。
【請求項13】
前記第2の化合物が下記一般式[9]で示されることを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子。
【化9】

(R6乃至R9は、重水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基、またはハロゲン原子を表し、互いに同じであっても異なっていてもよいし、h、i、j、kが2以上の場合、R6同士、R7同士、R8同士、R9同士は同じであっても異なっていてもよい。
Ar3乃至Ar6は、置換あるいは無置換のアリール基または複素環基を表し、互いに同じであっても異なっていても良い。
h、i、j、kは、0以上3以下の整数。)
【請求項14】
前記第2の化合物が下記一般式[10]で示されることを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子。
【化10】

(R10およびR11は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるいは無置換の複素環基を表し、互いに同じであっても異なっていても良いし、pが2以上の場合、異なるフルオレン環上のR10同士、R11同士は同じであっても異なっていてもよい。
12およびR13は、重水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、互いに同じであっても異なっていてもよいし、L,mが2以上の場合、R12同士、R13同士は同じであっても異なっていてもよい。また、pが2以上の場合、異なるフルオレン環上のR12同士、R13同士は同じであっても異なっていてもよい。
Ar7およびAr8は、置換あるいは無置換のアリール基または複素環基を表し、互いに同じであっても異なっていても良い。
pは1以上10以下の整数。L、mは0以上3以下の整数。)
【請求項15】
前記第2の化合物が下記一般式[11]で示されることを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子。
【化11】

(Ar1、Ar2は、置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、互いに同じであっても異なっていてもよい。また、Ar1及びAr2は、互いに結合し環を形成していてもよい。
1は、直接単結合、置換あるいは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アラルキレン基、アリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよい。
2は、直接単結合、置換あるいは未置換のアリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよい。
3は、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基からなる群より選ばれた基であり、cが2以上の場合R3同士は同じであっても異なっていてもよい。
10およびR11は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるいは無置換の複素環基を表し、互いに同じであっても異なっていても良いし、pが2以上の場合、異なるフルオレン環上のR10同士、R11同士は同じであっても異なっていてもよい。
12およびR13は、重水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、互いに同じであっても異なっていてもよいし、L,mが2以上の場合、R12同士、R13同士は同じであっても異なっていてもよい。また、pが2以上の場合、異なるフルオレン環上のR12同士、R13同士は同じであっても異なっていてもよい。
cは0以上9以下の整数。pは1以上10以下の整数。L、mは0以上3以下の整数。)
【請求項16】
前記第2の化合物が下記一般式[12]で示されることを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子。
【化12】

(Ar9は、置換あるいは未置換のアラルキル基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基であり、qが2以上の場合互いに同じであっても異なっていてもよい。
3は、直接単結合、置換あるいは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アラルキレン基、アリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基であり、連結基で結合された基でもよく、qが2以上の場合互いに同じであっても異なっていてもよい。
14は、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは未置換のアルキル基、アルコキシ基、スルフィド基、アミノ基及び置換のシリル基からなる群より選ばれた基であり、rが2以上の場合互いに同じであっても異なっていてもよい。
qは1以上6以下の整数、rは0以上5以下の整数。)

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−186449(P2007−186449A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−5491(P2006−5491)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】