説明

アミノピロン類及びATM阻害剤としてのその使用

式(I)の化合物[RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、置換されていても良い複素環を形成しており;XはS、NR″またはCHであり;RおよびR′は水素または指定の置換基であり;R″は指定の置換基である]は、特に癌およびレトロウィルス介在疾患の治療において、キナーゼATM(血管拡張性失調症突然変異体)の阻害薬として有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はATM阻害剤として作用する化合物、その使用および合成に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトのDNAは常に、主として酸化的代謝の副産物からの活性酸素中間体による攻撃に曝されている。活性酸素種はDNA一本鎖切断を産生させることができ、そのようなもの2つが非常に近接して生じた場合は、DNA二本鎖切断(DSB)が生じる。さらに、DNA複製フォークがダメージを受けた鋳型と遭遇すると一本鎖および二本鎖切断が誘導され、それらの切断は電離放射線(IR)およびある種の抗癌剤(例えば、ブレオマイシン、エトポシド、カンプトテシン)などの外来性作用物によって生じる。DSBはまた、部位特異的V(D)J組換え、これは機能を有する脊椎動物の免疫系の生成にきわめて重要なプロセスであるが、この組換えの中間体としても生ずる。DNA DSBが修復されないままとなった場合、または不正確に修復された場合には、変異および/または染色体の異常が誘発され、それが今度は細胞死をもたらしうる。DNA DBSによってもたらされる深刻な脅威に打ち勝つために、真核細胞はそれらの修復を媒介するいくつかの機作を発達させている。DNA修復のプロセスにきわめて重要なのは、その細胞にダメージを修復するための時間を与えるために、細胞の増殖を遅らせることである。DNA DSBの検出、およびこの情報の細胞周期機構へのシグナル伝達においてキイとなるタンパク質は、キナーゼ ATM (ataxia telangiectasia mutate, 毛細血管拡張性運動失調症の変異)である (DurocherとJackson (2001), "DNA-PK, ATM and ATR as sensors of DNA damage:variations on a theme?" Curr. Opin. Cell Biol., 13:225-31, Abraham(2001), Cell Cycle Checkpoint signaling through the ATM and ATR kinases. Genes Dev., 15:2177-96)。
【0003】
ATMタンパク質は、そのカルボキシル末端領域中にキナーゼドメインと推定されるものがあるのでホスファチジルイノシトール(PI) 3-キナーゼファミリーのタンパク質の一員とされている〜350 kDaのポリペプチドである(Savitskyら, (1995), "A single ataxia telangiectasia gene with a product similar to PI-3 kinase", Science, 268:1749-53)。PI-3キナーゼそれ自身などの古典的なPI 3-キナーゼはシグナル伝達と細胞内のセカンドメッセンジャーとして働くイノシトール脂質のリン酸化に関与している(TokerとCantley (1997), "Signaling through the lipid products of phosphoinositide-3-OH kinase", Nature, 387:673-6で総説が述べられている)。しかし、ATMは、PI 3-キナーゼファミリーのサブセットと大部分の配列が類似しており、そのファミリーはATMと同様に、細胞周期の調節および/またはDNAの損傷の検出およびシグナル伝達に関与しているものである(KeithとSchreiber(1995)「PIK関連のキナーゼ:DNA修復、組換え、および細胞周期チェックポイント」"PIK-related kinase:DNA repair、 recombination、 and cell cycle checkpoints", Science, 270:50-1. Zakian (1995), ATM-related genes: what do they tell us about functions of the human gene? Cell, 82:685-7)。特に、現在までのところ、PI 3-キナーゼファミリーのこのサブセットのメンバーのいずれかが脂質をリン酸化できるとの証拠はない。しかし、このファミリーのメンバーは全てセリン/トレオニンキナーゼ活性を有することが示されている。ATMは、DNAのDBS生成に応じて開始される種々の細胞周期チェックポイントシグナル伝達系路に関与するキイとなるタンパク質をリン酸化する(下記参照)。そのような下流のエフェクタータンパク質としてはp53、Chk2、NBS1/ニブリン、BRCA1、およびRad 17が挙げられる(Abraham, 2001)。
【0004】
ATMは、毛細血管拡張性運動失調症(A-T)では変異している遺伝子の産物である(Savitskyら, (1995))。A-Tは人口100、000人あたり約一例発生する、ヒト常染色体劣性遺伝病である。A-Tは、進行性小脳変性、眼皮膚毛細血管拡張症、成長の遅延、免疫不全、癌の素因、および早発老化のいくつかの特徴を含む多数の衰弱症状によって特徴付けられる(LavinとShiloh (1997), "The genetic defect in ataxia-telangiectasia", Annu. Rev.Immunol., 15:177-202; Shiloh (2001), "ATM and ATR : networking cellular responses to DNA damege", Curr. Opin. Genet. Dev., 11:71-7)。細胞レベルでは、A-Tは染色体の不安定性が高度であり、放射線に抵抗性のDNA合成が起こり、電離放射線(IR)および放射線類似作用薬剤に高感受性であることが特徴である。さらに、A-T細胞は、DNA損傷に対してそのゲノムをDNA複製または有糸分裂の前に修復できるようにするためにそのDNA損傷に応答してその細胞周期を一旦止めると考えられている、放射線で誘発されるG1-S、S、およびG2-M細胞周期チェックポイントに異常がある。このことはおそらく部分的には、A-T細胞がIRに応答するp53の誘導を行わないかまたは非常に遅らせるという事実を反映したものであろう。事実、p53が媒介するその後の現象も、IR暴露後のA-T細胞中では不完全なものとなる。従って、ATMは、IRで誘導されるDNA損傷シグナル伝達系路中ではp53の上流で作用する。また、A-T細胞では、電離放射線の照射を受けた後にDNA二本鎖切断(DSB)が蓄積することが示されており、これはDSB修復が不完全であることを示唆している。
【0005】
ATMがDNA DSBに対する細胞性応答の主要なレギュレーターであることは明らかである。従って、小分子を介するこのキナーゼを阻害すれば、DNA DSBを直接的または間接的に誘発する、電離放射線および化学療法の双方に対する感受性を細胞に持たせることになる。従ってATM阻害剤は癌の放射線療法および化学療法の補助剤として用いることができる。現在までに報告されているATMの阻害剤はカフェインとウォルトマンニンのみであり(Sarkariaら, (1999), "Inhibition of ATM and ATR kinase activities by the radiosensitizing agent、 caffeine" Cancer Res., 59:4375-82; Baninら, (1998), "Enhanced phosphorylation of p53 by ATM in response to DNA damage", Science, 281:1674-1677)、これらは放射線感受性化を生じさせるがその作用機作がATMの阻害によるものかどうかは明確ではなく、それはこれらの小分子がキナーゼ阻害剤としては非常に非特異的であるからである。
【0006】
電離放射線が誘発するDNA損傷に応答するATMの機能は組織特異的であることが示されている。例えば、Atm nullマウス由来の線維芽細胞は放射線に感受性だが、Atm null ニューロンはIRで誘導されるアポトーシスがないので放射線に抵抗性である(Herzogら, (1998), "Requirement for Atm in ionizing radiation-induced cell death in the developing central nervous system", Science, 280:1089-91)。従って、ATMの阻害剤は特定の細胞のコンテクストにおいて放射線防護性を示す可能性がある。
【0007】
ATM阻害剤はまた、レトロウイルスが媒介する疾患の治療にも有用であろう。一定の条件下ではレトロウイルスDNAの安定な形質導入にはATM機能が必要である(Daniel ら, (2001), "Wortmannin potentiates integrase-mediated killing of lymphocytes and reduces the efficiency of stable transduction by retroviruses" Mol. Cell Biol., 21:1164-72)。従って、ATM阻害剤はレトロウイルスのインテグレーションをブロックする能力がある。
【0008】
ATMはテロメア性の染色体の末端の長さの調節にきわめて重要な役割を果たしていることが知られている(Metcalfeら, (1996), "Accelerated telomere shortening in ataxia telangiectasia" Nat Genet., 13 :350-3)。大多数の正常な細胞タイプではテロメア性の末端は細胞分裂毎に短くなる。過剰に短縮されたテロメアを有する細胞は分裂できない。従って、ATM阻害剤は癌性の、または前癌性の細胞の増殖能を限定させることによる癌の進行の防止に有用なものとなる可能性がある。さらに、ATMはテロメラーゼの酵素それ自体の一部ではないものと思われる(Metcalfら, (1996))。従って、ATM阻害剤は抗テロメラーゼ剤と協同して作用しうると考えられる。
【0009】
A-T患者またはATM null マウス由来の細胞は培養液中で遺伝的にマッチしたATM陽性細胞よりも増殖が遅い。従って、ATM阻害剤はそれ自身の本来の状態で増殖阻害/抗増殖性を有しているのかもしれない。従って、ATM阻害剤は癌治療において細胞増殖抑制剤として用いることができる。
【0010】
A-T患者は免疫不全を示す。このことは完全な機能を有する免疫系が作られるにはATMが必要であることを示している。従って、ATMの阻害剤は免疫系を調節するために用いることができる。
【0011】
要約すれば、ATM阻害剤は腫瘍細胞を電離放射線またはDNA DSBを調節する化学療法に対して感受性となるようにし、テロメアの長さを制御する機作に変化を与え、レトロウイルスのインテグレーションをブロックし、免疫系に変化を与え、DNAの損傷が誘発するアポトーシスから特定の細胞タイプを防護する能力を有する。
【発明の開示】
【0012】
本発明者らの中には、ATMの阻害を示す広い範囲の化合物について、過去に報告している者がある。それらは、国際特許出願(PCT/GB03/001817、2003年4月29日出願)および米国特許出願(10/426147、2003年4月29日出願)に記載されている。
【0013】
本発明者らは、その広い範囲の化合物内において、ATM阻害を示すさらに具体的な種類の化合物を発見した。従って本発明の第1の態様は、下記式Iの化合物ならびにその化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグを提供する。
【化1】

【0014】
式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
N1は、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基およびアミド基から選択される。
【0015】
本発明の第2の態様は、下記式IIの化合物ならびにその化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグを提供する。
【化2】

【0016】
式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
C1は−NRであって、RおよびRは独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、またはそれらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており、あるいはRC1は下記式IIa:
【化3】

【0017】
のものであり、RC2は、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、エステル基、エーテル基およびアミノ基から選択される。
【0018】
本発明の第3の態様は、下記式IIIの化合物ならびにその化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグを提供する。
【化4】

【0019】
式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
C3は下記式:
【化5】

【0020】
のものであり、rは0または1であり;rが0の場合はqは1または2であることができ、rが1である場合はqは1であり;
N4およびRN5は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。
【0021】
本発明の第4の態様は、下記式IVの化合物ならびにその化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグを提供する。
【化6】

【0022】
式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
N6は、下記式:
【化7】

【0023】
のものであり;
N7およびRN8は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。
【0024】
本発明の第5の態様は、下記式Vの化合物ならびにその化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグを提供する。
【化8】

【0025】
式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
nは1または2であり;
N9は、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基またはアミド基から選択され;
ただし、RN9は未置換メチル基以外である。
【0026】
本発明の第6の態様は、下記式VIの化合物ならびにその化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグを提供する。
【化9】

【0027】
式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
C4は、下記式:
【化10】

【0028】
のものであり;rは0または1であり、rが0の場合はqは1または2であることができ、rが1の場合はqは1であり;
N4およびRN5は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。
【0029】
本発明の第7の態様は、下記式VIIの化合物ならびにその化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグを提供する。
【化11】

【0030】
式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
N10およびRN11は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。
【0031】
本発明の第8の態様は、下記式VIIIの化合物ならびにその化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグを提供する。
【化12】

【0032】
式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
N12およびRN13は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。
【0033】
本発明の第9の態様は、下記式IXの化合物ならびにその化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグを提供する。
【化13】

【0034】
式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
C5は、下記式:
【化14】

【0035】
のものであり、qは1または2であり;
N4およびRN5は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。
【0036】
本発明の第10の態様は、第1〜第9の態様のいずれかの化合物および製薬上許容される担体または希釈剤を含む組成物を提供する。
【0037】
本発明の第11の態様は、治療方法での第1〜第9の態様のいずれかの化合物の使用を提供する。
【0038】
本発明の第12の態様は、ATM活性を阻害する医薬の製造における第1〜第9の態様のいずれかの化合物の使用を提供する。
【0039】
本発明の第13の態様は、癌療法で補助剤として使用される医薬、あるいは電離放射線または化学療法薬による治療のために腫瘍細胞を増強する医薬の製造における本発明の第1〜第9の態様のいずれかの化合物の使用を提供する。
【0040】
本発明の第14の態様は、後天性免疫不全症候群など、ATMの阻害によって改善されるレトロウィルス介在の疾患を治療する医薬を製造する上での本発明の第1〜第9の態様のいずれかで定義の化合物の使用を提供する。
【0041】
本発明のさらに別の態様は、好ましくは医薬組成物の形態での、ヒト身体または動物身体の治療方法で使用される本明細書に記載の活性化合物を提供する。
【0042】
本発明の別の態様は、in vitroまたはin vivoでATMを阻害する方法であって、有効量の本明細書に記載の活性化合物と細胞を接触させる段階を有する方法を提供する。
【0043】
定義
C1-7アルキル:本明細書で用いている「C1-7 アルキル」という用語は、炭素原子を1個から7個有するC1-7 炭化水素化合物から水素1原子を除去することによって得られる1価の分子部分であり、そのC1-7 炭化水素化合物は脂肪族化合物もしくは脂環式化合物、またはそれらの組み合わせとすることができ、その化合物は飽和したもの、部分的に不飽和のもの、または完全に不飽和のものとすることができる。
【0044】
飽和直鎖状C1-7アルキル基の例としては、限定はされないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、およびn-ペンチル(アミル)が挙げられる。
【0045】
飽和分枝C1-7アルキル基の例としては、限定はされないが、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、およびネオ-ペンチルが挙げられる。
【0046】
飽和脂環式C1-7アルキル基(「C3-7シクロアルキル」基とも呼ばれる)の例としては、限定はされないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルのような基、ならびに、例えばこれらの基を含んでいる基である、メチルシクロプロピル、ジメチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、ジメチルシクロブチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、シクロプロピルメチル、およびシクロヘキシルメチルなどの置換された基が挙げられる。
【0047】
1個以上の炭素-炭素二重結合を有する不飽和C1-7 アルキル基(「C2-7アルケニル基」とも呼ばれる)の例としては、限定はされないが、エテニル(ビニル、-CH=CH2)、 2-プロペニル(アリル、 -CH-CH=CH2)、イソプロペニル(-C(CH3)=CH2)、ブテニル、ペンテニル、およびヘキセニルが挙げられる。
【0048】
1個以上の炭素-炭素三重結合を有する不飽和C1-7 アルキル基(「C2-7アルキニル基」とも呼ばれる)の例としては、限定はされないが、エチニルおよび2-プロピニル(プロパルギル)が挙げられる。
【0049】
1個以上の炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂環式(カルボサイクリック)C1-7 アルキル基(「C3-7シクロアルケニル」とも呼ばれる)の例としては、限定はされないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、およびシクロヘキセニルなどの置換されていない基、ならびに、例えばそのような基を含んでいる基である、シクロプロペニルメチルおよびシクロヘキセニルメチルなどの置換された基が挙げられる。
【0050】
C3-20 ヘテロシクリル: 本明細書で用いている「C3-20 ヘテロシクリル」という用語は、C3-20 複素環化合物の環の原子から水素原子1個を除去することによって得られた1価の分子部分を意味し、該化合物は環を1つ、または2個以上有し(例えば、スピロ、縮合環、架橋されたもの)、3から20個の環の原子を有し、それらの原子の1から10個は環のヘテロ原子であり、その環(1個または複数個)のうちの少なくとも1つが複素環である。好ましくは、環は各々が3から7個の環の原子を有し、そのうちの1から4個が環のヘテロ原子である。「C3-20」とは環の原子数を、それが炭素原子、ヘテロ原子のいずれであっても、示すものである。
【0051】
環の原子として窒素を1個有しているC3-20ヘテロシクリル基としては、限定はされないが、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン(テトラヒドロピロール)、ピロリン(例えば3-ピロリン、2、5-ジヒドロピロール)、2H-ピロールまたは3H-ピロール(イソピロール、イソアゾール)、ピペリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、およびアゼピン由来のものが挙げられる。
【0052】
環の原子に酸素を1個有しているC3-20 ヘテロシクリル基の例としては、限定はされないが、オキシラン、オキセタン、オキソラン(テトラヒドロフラン)、オキソール(ジヒドロフラン)、オキサン(テトラヒドロピラン)、ジヒドロピラン、ピラン(C6)、およびオキセピン由来のものが挙げられる。置換されたC3-20ヘテロシクリル基としては環状の糖、例えば、フラノースおよびピラノース、それらとしては、例えばリボース、リキソース、キシルロース、ガラクトース、ショ糖、果糖、およびアラビノースが挙げられる。
【0053】
環の原子に1個のイオウを有するC3-20ヘテロシクリル基の例としては、限定はされないが、チイラン、チエタン、チオラン(テトラヒドロチオフェン)、チアン(テトラヒドロチオピラン)、およびチエパン由来のものが挙げられる。
【0054】
環の原子に酸素を2個有しているC3-20 ヘテロシクリル基の例としては、限定はされないが、ジオキソラン、ジオキサン、およびジオキセパン由来のものが挙げられる。
【0055】
環の原子に窒素を2個有しているC3-20 ヘテロシクリル基の例としては、限定はされないが、イミダゾリジン、ピラゾリジン(ジアゾリジン)、イミダゾリン、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)、およびピペラジン由来のものが挙げられる。
【0056】
環の原子に窒素を1個および酸素を1個有しているC3-20 ヘテロシクリル基の例としては、限定はされないが、テトラヒドロオキサゾール、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソキサゾール、ジヒトロイソキサゾール、モルホリン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジン、およびオキサジン由来のものが挙げられる。
【0057】
環の原子に酸素を1個およびイオウを1個有しているC3-20 ヘテロシクリル基の例としては、限定はされないが、オキサチオラン、およびオキサチアン(チオキサン)由来のものが挙げられる。
【0058】
環の原子に窒素を1個およびイオウを1個有しているC3-20 ヘテロシクリル基の例としては、限定はされないが、チアゾリン、チアゾリジン、およびチオモルホリン由来のものが挙げられる。
【0059】
C3-20 ヘテロシクリル基のその他の例としては、限定はされないが、オキサジアジン、およびオキサチアジンが挙げられる。
【0060】
1個以上のオキソ(=O)基をさらに有するヘテロシクリル基の例としては、限定はされないが、次のものに由来するものが挙げられる:
C5複素環、例えばフラノン、ピロン、ピロリドン(ピロリジノン)、ピラゾロン(ピラゾリノン)、イミダゾリドン、チアゾロン、およびイソチアゾロン;
C6複素環、例えばピペリジノン(ピペリドン)、ピペリジンジオン、ピペラジノン、ピペラジンジオン、ピリダジノン、およびピリミジノン(例えば、シトシン、チミン、ウラシル)、およびバルビツール酸;
縮合複素環、例えばオキシンドール、プリノン(例えばグアニン)、ベンゾキサゾリノン、ベンゾピロン(例えば、クマリン);
環状無水物(環中に-C(=O)-O-C(=O)-がある)、限定はされないが、無水マレイン酸、無水コハク酸、および無水グルタル酸など;
環状炭酸(環中に-O-C(=O)-O-がある)、例えば、炭酸エチレン、および炭酸1、2-プロピレン;
イミド(環中に-C(=O)-NR-C(=O)-がある)、限定はされないが、スクシニミド、マレイミド、フタルイミド、およびグルタルイミドなど;
ラクトン(環状エステル、環中に-O-C(=O) -がある)、限定はされないが、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン(2-ピペリドン)、およびε-カプロラクトンなど;
ラクタム(環状アミド、環中に-NR-C(=O)-がある)、限定はされないが、β-プロピオラクタム、γ-ブチロラクタム(2-ピロリドン)、δ-バレロラクタム、およびε-カプロラクタムなど;
環状カルバメート(環中に-O-C(=O)-NR-がある)、例えば2-オキサゾリドン;
環状尿素(環中に-NR-C(=O)-NR-がある)、例えば2-イミダゾリドン、およびピリミジン-2、4-ジオン(例えば、チミン、ウラシル)。
【0061】
C5-20 アリール:本明細書で用いている「C5-20 アリール」という用語は、C5-20 芳香族化合物の芳香環の原子から水素原子1個を除去することによって得られた1価の分子部分を意味し、該化合物は環を1つ、または2個以上有し(例えば、縮合環)、5から20個の環の原子を有し、それらの環の少なくとも1個が芳香環である。好ましくは、環は各々が5から7個の環の原子を有する。
【0062】
環の原子は「カルボアリール基」中のように全て炭素原子とすることができ、そのような場合には、その基は「C5-20 カルボアリール」基と呼ぶことができ、それが好都合である。
【0063】
環の原子にヘテロ原子を持たないC5-20アリール基(すなわち、C5-20 カルボアリール基)の例としては、限定はされないが、ベンゼン(すなわちフェニル)(C6)、ナフタレン(C10)、アントラセン(C14)、フェナントレン(C14)、ナフタセン(C18)、およびピレン(C16)に由来する基が挙げられる。
【0064】
縮合環を含み、そのうちの1つが芳香環でないアリール基の例としては、限定はされないが、インデンおよびフルオレン由来の基が挙げられる。
【0065】
あるいはまた、その環の原子には1つ以上のヘテロ原子を含むことができ、そのようなヘテロ原子としては、限定はされないが、「ヘテロアリール基」中のように、酸素、窒素、およびイオウが挙げられる。この場合には、その基は「C5-20ヘテロアリール」基と呼ぶことができ、それが好都合であり、ここで「C5-20」とは、環の原子数を、それが炭素原子、ヘテロ原子のいずれであっても、示すものである。好ましくは環の各々は5から7個の環の原子を有し、そのうちの0から4個は環のヘテロ原子である。
【0066】
C5-20ヘテロアリール基の例としては、限定はされないが、フラン(オキソール)、チオフェン(チオール)、ピロール(アゾール)、イミダゾール(1、3-ジアゾール)、ピラゾール(1、2-ジアゾール)、トリアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、およびオキサトリアゾール由来のC5ヘテロアリール基;ならびにイソキサジン、ピリジン(アジン)、ピリダジン(1、2-ジアジン)、ピリミジン(1、3-ジアジン;例えば、シトシン、チミン、ウラシル)、ピラジン(1、4-ジアジン)、トリアジン、テトラゾール、およびオキサジアゾール(フラザン)由来のC6ヘテロアリール基が挙げられる。
【0067】
縮合環を含んでいるC5-20ヘテロアリール基の例としては、限定はされないが、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、プリン(例えば、アデニン、グアニン)、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール由来のC9複素環基;キノリン、イソキノリン、ベンゾジアジン、ピリドピリジン、キノキサリン由来のC10複素環基;カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン由来のC13複素環基;アクリジン、キサンテン、フェノキサチン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン由来のC14複素環基が挙げられる。
【0068】
上記のC1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、およびC5-20アリール基は、それらが単独で存在するかまたは別の置換基の一部となっているかにかかわらず、それらをそれら自体および下記に列挙した追加の置換基から選択された1つ以上の基で任意に置換することができる。
【0069】
ハロ:-F、-Cl、-Br、および-I。
【0070】
ヒドロキシ:-OH。
【0071】
エーテル:-OR、ここでRはエーテル置換基、例えば、C1-7アルキル基(これはC1-7アルコキシとも呼ばれ、下記に述べる)、C3-20ヘテロシクリル基(これはC3-20 ヘテロシクリルオキシ基とも呼ばれる)、またはC5-20アリール基(これはC5-20アリールオキシ基とも呼ばれる)であり、好ましくは、C1-7アルキル基である。
【0072】
C1-7 アルコキシ:-OR、ここでRはC1-7アルキル基である。C1-7アルコキシ基の例としては、限定はされないが、-OCH3(メトキシ)、-OCH2CH3(エトキシ)および-OC(CH3)3 (tert-ブトキシ)が挙げられる。
【0073】
C1-2 アルキジオキシレン(alkdioxylene):本明細書で用いている「C1-2 アルキジオキシレン」という用語は、1個または2個の炭素原子を有するC1-2炭化水素ジオール化合物の2個の異なるアルコール基の各々から2個の水素原子を除去すること、すなわちCH2(OH)2およびHO-CH2-CH2-OHから-O-CH2-O-および-O-CH2-CH2-O-を形成させることによって得られる二座の分子部分を意味する。
【0074】
オキソ(ケト、-オン): =O。置換基としてオキソ基(=O)を有する環状化合物および/または基の例としては、限定はされないが、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノンなど炭素環化合物;ピロン、ピロリドン、ピラゾロン、ピラゾリノン、 ピペリドン、ピペリジンジオン、ピペラジンジオン、およびイミダゾリドンなどの複素環化合物;無水環状化合物としては、限定はされないが、無水マレイン酸および無水コハク酸が挙げられ;環状炭酸化合物、例えば炭酸プロピレン;イミドとしては、限定はされないが、スクシンイミドおよびマレイミドが挙げられ;ラクトン(環状エステル、環中に-O-C(=O)-がある)としては、限定はされないが、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、およびε-カプロラクトンが挙げられる; ならびにラクタム(環状アミド、環中に-NR-C(=O)-がある)としては、限定はされないが、β-プロピオラクタム、γ-ブチロラクタム(2-ピロリドン)、δ-バレロラクタム、およびε-カプロラクタムが挙げられる。
【0075】
イミノ(イミン): =NR、 ここでRはイミノ置換基、例えば、水素、C1-7 アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20 アリール基であり、好ましくは水素またはC1-7 アルキル基である。エステル基の例としては、限定はされないが、=NH、=NMe、=NEt、及び =NPhが挙げられる。
【0076】
ホルミル(カルボアルデヒド、カルボキシアルデヒド):-C(=O)H。
【0077】
アシル(ケト):-C(=O)R、ここでRはアシル置換基で、例えば、C1-7アルキル基(C1-7アルキルアシルまたはC1-7アルカノイルとも呼ばれる)、C3-20ヘテロシクリル基(C3-20ヘテロシクリルアシルとも呼ばれる)、またはC5-20アリール基(C5-20アリールアシルとも呼ばれる)、好ましくは、C1-7アルキル基である。アシル基の例としては、限定はされないが、-C(=O)CH3 (アセチル)、-C(=O)CH2CH3(プロピオニル)、-C(=O)C(CH3)3(ブチリル)、および-C(=O)Ph(ベンゾイル、フェノン)が挙げられる。
【0078】
カルボキシ(カルボン酸):-COOH。
【0079】
エステル(カルボキシレート、カルボン酸エステル、オキシカルボニル):-C(=O)OR、ここでRはエステル置換基で、例えば、C1-7 アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20 アリール基であり、 好ましくはC1-7アルキル基である。エステル基の例としては、限定はされないが、-C(=O)OCH3、-C(=O)OCH2CH3、-C(=O)OC(CH3)3、および-C(=O)OPhが挙げられる。
【0080】
アシルオキシ(逆行エステル):-OC(=O)R、ここでRはアシルオキシ置換基で、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくはC1-7アルキル基である。アシルオキシ基の例としては、限定はされないが、-OC(=O)CH3(アセトキシ)、-OC(=O)CH2CH3、-OC(=O)C(CH3)3、-OC(=O)Ph、および-OC(=O)CH2Phが挙げられる。
【0081】
アミド(カルバモイル、カルバミル、アミノカルボニル、カルボキサミド):-C(=O)NR1R2、 ここでR1およびR2は独立にアミノ置換基で、それはアミノ基について定義される。アミド基の例としては、限定はされないが、-C(=O)NH2、-C(=O)NHCH3、-C(=O)N(CH3)2、-C(=O)NHCH2CH3、および-C(=O)N(CH2CH3)2が挙げられ、ならびに、アミド基であって、R1とR2がそれらが付着している窒素原子とともに複素環構造を形成し、それは例えば、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、およびピペラジノカルボニル中に存在する構造のようなものが挙げられる。
【0082】
アシルアミド(アシルアミノ):-NR1C(=O)R2、ここでR1はアミド置換基で、例えば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20 アリール基で、好ましくは水素またはC1-7 アルキル基であり、R2はアシル置換基で、例えばC1-7 アルキル基、C3-20 ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基で、好ましくは、水素またはC1-7 アルキル基である。アシルアミド基の例としては、限定はされないが、-NHC(=O)CH3、-NHC(=O)CH2CH3、および-NHC(=O)Phが挙げられる。R1とR2 は一緒に環状構造をとることができ、それは例えば、スクシニミジル、マレイミジル、およびフタルイミジル中に存在する構造のようなものである:
【化15】

【0083】
チオアミド(チオカルバミル):-C(=S)NR1R2、ここでR1とR2は独立にアミノ置換基で、それはアミノ基で定義されるとおりのものである。アミド基の例としては、限定はされないが、-C(=S)NH2、-C(=S)NHCH3、-C(=S)N(CH3)2、および-C(=S)NHCH2CH3が挙げられる。
【0084】
テトラゾリル:4個の窒素原子と1個の炭素原子を有する5員の芳香環である。
【化16】

【0085】
アミノ:-NR1R2、ここでR1とR2は独立にアミノ置換基で、例えば、水素、C1-7アルキル基(C1-7アルキルアミノまたはジ-C1-7アルキルアミノとも呼ばれる)、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくは水素またはC1-7アルキル基であり、または環状アミノ基の場合には、R1とR2は、それらが結合している窒素原子とともに、4から8個の環の原子を有する複素環を形成する。アミノ基の例としては、限定はされないが、-NH2、-NHCH3、-NHC(CH3)2、-N(CH3)2、-N(CH2CH3)2、および-NHPhが挙げられる。環状アミノ基の例としては、限定はされないが、アジリジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、およびチオモルホリノが挙げられる。
【0086】
イミノ:=NR、 ここでRはイミノ置換基で、例えば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくは水素またはC1-7アルキル基である。
【0087】
アミジン:-C(=NR)NR2、ここでRは各々アミジン置換基で、例えば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくは水素またはC1-7アルキル基である。アミジン基の一例は-C(=NH)NH2である。
【0088】
ニトロ:-NO2
【0089】
ニトロソ:-NO。
【0090】
アジド:-N3
【0091】
シアノ(ニトリル、カルボニトリル):-CN。
【0092】
イソシアノ:-NC。
【0093】
シアナート:-OCN。
【0094】
イソシアナート:-NCO。
【0095】
チオシアノ(チオシアナート):-SCN。
【0096】
イソチオシアノ(イソチオシアナート):-NCS。
【0097】
スルフヒドリル(チオール、メルカプト):-SH。
【0098】
チオエーテル(スルフィド):-SR、ここでRはチオエーテル置換基で、例えば、C1-7アルキル基(C1-7アルキルチオ基とも呼ばれる)、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくはC1-7アルキル基である。C1-7アルキルチオ基の例としては、限定はされないが、-SCH3および-SCH2CH3が挙げられる。
【0099】
ジスルフィド:-SS-R、ここでRはジスルフィド置換基で、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくはC1-7アルキル基(本明細書ではC1-7アルキルジスルフィドとも呼ぶ)である。C1-7アルキルジスルフィド基の例としては、限定はされないが、-SSCH3および-SSCH2CH3が挙げられる。
【0100】
スルホン(スルホニル):-S(=O)2R、ここでRはスルホン置換基で、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくはC1-7アルキル基である。スルホン基の例としては、限定はされないが、-S(=O)2CH3(メタンスルホニル、メシル)、-S(=O)2CF3(トリフリル)、-S(=O)2CH2CH3、-S(=O)2C4F9(ノナフリル)、-S(=O)2CH2CF3 (トレシル)、-S(=O)2Ph(フェニルスルホニル)、4-メチルフェニルスルホニル(トシル)、4-ブロモフェニルスルホニル(ブロシル)、および4-ニトロフェニル(ノシル)が挙げられる。
【0101】
スルフィン(スルフィニル、スルホキシド):-S(=O)R、ここでRはスルフィン置換基で、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくはC1-7アルキル基である。スルフィン基の例としては、限定はされないが、-S(=O)CH3および-S(=O)CH2CH3が挙げられる。
【0102】
スルホニルオキシ:-OS(=O)2R、ここでRはスルホニルオキシ置換基で、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくはC1-7アルキル基である。スルホニルオキシ基の例としては、限定はされないが、-OS(=O)2CH3および-OS(=O)2CH2CH3が挙げられる。
【0103】
スルフィニルオキシ:-OS(=O)R、ここでRはスルフィニルオキシ置換基で、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくはC1-7アルキル基である。スルフィニルオキシ基の例としては、限定はされないが、-OS(=O)CH3および-OS(=O)CH2CH3が挙げられる。
【0104】
スルフアミノ:-NR1S(=O)2OH、ここでR1はアミノ置換基で、アミノ基について定義されるものである。スルフアミノ基の例としては、限定はされないが、-NHS(=O)2OHおよび-N(CH3)S(=O)2OHが挙げられる。
【0105】
スルホンアミノ:-NR1S(=O)2R、ここでR1はアミノ置換基で、アミノ基について定義されるものであり、Rはスルホンアミノ置換基であり、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくはC1-7アルキル基である。スルホンアミノ基の例としては、限定はされないが、-NHS(=O)2CH3および-N(CH3)S(=O)2C6H5が挙げられる。
【0106】
スルフィンアミノ:-NR1S(=O)R、ここでR1はアミノ置換基で、アミノ基で定義されるものであり、Rはスルフィンアミノ置換基で、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくはC1-7アルキル基である。スルフィンアミノ基の例としては、限定はされないが、-NHS(=O)CH3および-N(CH3)S(=O)C6H5が挙げられる。
【0107】
スルファミル:-S(=O)NR1R2、ここでR1およびR2は独立にアミノ置換基で、アミノ基で定義されるものである。スルファミル基の例としては、限定はされないが、-S(=O)NH2、-S(=O)NH(CH3)、-S(=O)N(CH3)2、-S(=O)NH(CH2CH3)、-S(=O)N(CH2CH3)2、および-S(=O)NHPhが挙げられる。
【0108】
スルホンアミノ:-NR1S(=O)2R、ここでR1はアミノ置換基で、アミノ基で定義されるものであり、Rはスルホンアミノ置換基であり、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくはC1-7アルキル基である。スルホンアミノ基の例としては、限定はされないが、-NHS(=O)2CH3および-N(CH3)S(=O)2C6H5が挙げられる。スルホンアミノ基の特別なクラスのものは、スルタム由来のもので、それらの基ではR1およびRのうちの1つはC5-20アリール基で、好ましくはフェニルであり、他方、R1およびRのうちのもう一方はC5-20アリール基と結合した二座の基で、例えばC1-7アルキル基由来の二座の基などである。そのような基の例としては、限定はされないが:
【化17】

【0109】
2、3-ジヒドロ-ベンゾ[d]イソチアゾール-1、1-ジオキシド-2-イル
【化18】

【0110】
1、3-ジヒドロ-ベンゾ[c]イソチアゾール-2、2-ジオキシド-1-イル
【化19】

【0111】
3、4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1、2]チアジン-1、1-ジオキシド-2-イル
ホスホルアミダイト:-OP(OR1)-NR22、R1およびR2はホスホルアミダイト置換基で、例えば、-H、(任意で置換された)C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくは-H、C1-7アルキル基、またはC5-20アリール基である。ホスホルアミダイト基の例としては、限定はされないが、-OP(OCH2CH3)-N(CH3)2、-OP(OCH2CH3)-N(i-Pr)2、および-OP(OCH2CH2CN)-N(i-Pr)2が挙げられる。
【0112】
ホスホルアミデート:-OP(=O)(OR1)-NR22、ここでR1 およびR2はホスホルアミデート置換基で、例えば、-H、(任意で置換された)C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくは-H、C1-7アルキル基、またはC5-20アリール基である。ホスホルアミデート基の例としては限定はされないが、-OP(=O)(OCH2CH3)-N(CH3)2、-OP(=O)(OCH2CH3)-N(i-Pr)2、および、-OP(=O)(OCH2CH2CN)-N(i-Pr)2が挙げられる。
【0113】
多くの場合、置換基はそれ自体を置換されたものとすることができる。例えば、C1-7アルコキシ基は、例えば、C1-7アルキルで置換することができ(C1-7アルキル-C1-7アルコキシ基とも呼ばれる)、 また例えば、シクロヘキシルメトキシ、C3-20ヘテロシクリル基で置換することができ(C5-20アリール-C1-7アルコキシ基とも呼ばれる)、また例えば、フタルイミドエトキシ、またはC5-20アリール基で置換することができ(C5-20アリール-C1-7アルコキシ基とも呼ばれる)、また例えば、ベンジルオキシで置換することができる。
【0114】
含まれる他の形態
これら置換基の公知のイオン形態、塩、溶媒和物および保護形態が上記に含まれる。例えば、カルボン酸(−COOH)に言及する場合は、それのアニオン(カルボン酸イオン)型(−COO)、塩または溶媒和物、ならびに従来の保護形態も含むものである。同様に、アミノ基に言及する場合、そのアミノ基のプロトン化形態(−NHR)、塩または溶媒和物、例えば塩酸塩、ならびにアミノ基の従来の保護形態を含むものである。同様に、水酸基に言及する場合、それのアニオン型(−O)、塩または溶媒和物、ならびに水酸基の従来の保護形態も含むものである。
【0115】
異性体、塩、溶媒和物、保護された形態、およびプロドラッグ
ある種の化合物は、1種以上の特定の幾何異性体、光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、エピマー、立体異性体、互変異性体、配座異性体、およびアノマーの形態で存在することができ、そのようなものとしては、限定はされないが、シス-およびトランス-形;E-およびZ-形;c-、t-、およびr-形;エンドおよびエキソ形;R-、S-、およびメソ-形;D-およびL-形;d-およびl-形;(+)および(−)形;ケト-、エノール-、およびエノラート-形;シン-およびアンチ-形;シンクリナル-およびアンチクリナル-形;α-およびβ-形;アキシアルおよびエクイトリアル形;舟形、いす形、ねじれ形、封筒形、半いす形;ならびにこれらの組み合わせが含まれ、以後これらを集合的に「異性体」と呼ぶ。
【0116】
互変異性体について下記で述べることを除いて、本明細書で用いている「異性体」という用語からは構造的(または構成的)異性体(すなわち、原子の空間的位置のみが異なっているのではなく、原子間の結合状態が異なっている異性体)は特に除外されることに留意されたい。例えば、メトキシ基、-OCH3、について述べる場合、その構造異性体であるヒドロキシメチル基、-CH2OH、はその意味の中に含まれない。
【0117】
同様に、オルトクロロフェニルについて述べる場合にはその構造異性体であるメタクロロフェニルはその意味の中に含まれない。しかしあるクラスの構造について述べる場合、そのクラスに分類される、構造異性体を含めることはできる(例えば、C1-7アルキルにはn-プロピルおよびイソプロピルが含まれ;ブチルにはn-、iso-、sec-、およびtert-ブチルが含まれ;メトキシフェニルにはオルト-、メタ-、およびパラ-メトキシフェニルが含まれる)。
【0118】
上記の除外には、例えば、下記の互変異性体のペア:ケト/エノール(下記に図示している)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エネチオール、N-ニトロソ/ヒドロキシアゾ、およびニトロ/aci-ニトロなどにおけるような、例えば、ケト形、エノール形、およびエノラート形などの互変異性体は関係しない。
【化20】

【0119】
「異性体」という用語には1個以上の同位体を含んでいる化合物が特に含まれていることに留意されたい。例えば、Hはどのような同位体の形態でもよく、そのようなものとしては1H、 2H(D)、および 3H(T)が含まれ; Cはどのような同位体の形態でもよく、そのようなものとしては12C、13C、および14Cが含まれ; Oはどのような同位体の形態でもよく、そのようなものとしては16Oおよび18Oが含まれ;ならびに類似のものが含まれる。
【0120】
特に断らない限りは、特定の化合物に関して述べたことはそれの異性体の全てを含んだ言及であり、そのような異性体としてはラセミ体およびその他のそれらの混合物を(全体として、または部分として)含んでいる。そのような異性体の調製(例えば、不斉合成)および分離(例えば、分別結晶およびクロマトグラフィー)の方法は当業界で既知であるか、または本明細書に記載のもしくは既知の方法を既知の様式で改変することによって容易に得ることができる。
【0121】
特に断らない限りは、ある特定の化合物についての言及は、例えば下記のような、その化合物のイオン、塩、溶媒和物、および保護された形態のものを含んだ言及である。
【0122】
活性化合物の対応する塩、たとえば製薬上許容される塩を調製し、精製し、および/または取り扱うことが好都合または望ましい場合がある。製薬上許容される塩の例については、Berge ら, 1977, “Pharmaceutically Acceptable Salts”, J.Pharm. Sci., Vol. 66, pp.1-19に述べられている。
【0123】
例えば、該化合物が陰イオン性である場合、または陰イオン性となりうる官能基を有している場合(例えば、-COOHは-COO-となりうる)、適切な陽イオンと塩を形成することができる。適切な無機陽イオンの例としては、限定はされないが、Na+およびK+などのアルカリ金属イオン、Ca2+およびMg2+などのアルカリ土類の陽イオン、ならびにAl3+などのその他の陽イオンが挙げられる。適切な有機陽イオンの例としては、限定はされないが、アンモニウムイオン(すなわち、NH4+)および置換されたアンモニウムイオン(例えば、NH3R+、 NH2R2+、 NHR3+、 NR4+)が挙げられる。いくつかの適切な置換されたアンモニウムイオンの例としては次のものに由来するものが挙げられる:エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、およびトロメタミン、ならびに、リシンやアルギニンなどのアミノ酸が挙げられる。一般的な第四級アンモニウムイオンの例はN(CH3)4+である。
【0124】
該化合物が陽イオン性、または陽イオンとなりうる官能基(例えば、-NH2は-NH3+となりうる)を有している場合には、適切な陰イオンと塩を形成させることができる。適切な無機陰イオンとしては、限定はされないが、次の無機酸由来のものが挙げられる: 塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、およびホスホン酸。適切な有機陰イオンとしては、限定はされないが、次の有機酸由来のものが挙げられる:酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、乳酸、リンゴ酸、パモ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ケイ皮酸、ピルビン酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、フェニルスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、パントテン酸、イセチオン酸、吉草酸、ラクトビオン酸、およびグルコン酸。適切なポリマー性陰イオンとしては、限定はされないが、次のポリマー性の酸由来のものが挙げられる:タンニン酸、カルボキシメチルセルロース。
【0125】
該活性化合物の対応する溶媒和物を調製し、精製し、および/または取り扱うことが好都合または望ましいことがある。本明細書では「溶媒和物」という用語は、従来通り、溶質(例えば、活性化合物、活性化合物の塩)と溶媒との複合体を意味するために用いられる。その溶媒が水である場合は、溶質は、水和物、例えば、一水和物、二水和物、三水和物、などの水和物を意味するものであることが好都合であり得る。
【0126】
該活性化合物の化学的に保護された形態のものを調製し、精製し、および/または取り扱うことが好都合または望ましいであろう。本明細書で用いている「化学的に保護された形態」という用語は、1つ以上の反応性の官能基が望ましくない化学反応から保護されている化合物、すなわち、保護された形態または保護基を有する形態の化合物を意味する(マスクされた、もしくはマスク基を有する形態、または、ブロックされた、もしくはブロック基を有する形態としても知られている)。反応性の官能基を保護することによって他の保護されていない反応性官能基の関与する反応を保護基に影響を与えることなく行うことができる:その保護基は、通常はその後のステップで、その分子の残りの部分に実質的な影響を与えることなく除去される。例えば、"Protective Groups in Organic Synthesis" (T.GreenとP.Wuts, Wiley, 1999)を参照せよ。
【0127】
例えば、ヒドロキシル基はエーテル(-OR)またはエステル(-OC(=O)R)で保護することができ、例えば:t-ブチルエーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)、もしくはトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリルもしくはt-ブチルジメイtルシリルエーテル;またはアセチルエステル(-OC(=O)CH3、-OAc)などのように保護することができる。
【0128】
例えば、アルデヒド基またはケトン基はそれぞれアセタールまたはケタールとして保護することができ、それらではカルボニル基(>C=O)は、例えば第一級アルコールと反応させることによってジエーテル(>C(OR)2)に転換されている。このようなアルデヒド基またはケトン基は酸の存在下で大過剰の水を用いて加水分解させることによって容易に再生される。
【0129】
例えば、アミン基は、例えば、アミドまたはウレタンとして保護することができ、例えば:メチルアミド(-NHCO-CH3);ベンジルオキシアミド(-NHCO-OCH2C6H5, -NH-Cbz);t-ブトキシアミド(-NHCO-OC(CH3)3, -NH-Boc);2-ビフェニル-2-プロポキシアミド (-NHCO-OC(CH3)2C6H4C6H5, -NH-Bpoc);9-フルオレニルメトキシアミド(-NH-Fmoc);6-ニトロベラトリルオキシアミド(-NH-Nvoc);2-トリメチルシリルエチルオキシアミド(-NH-Teoc);2,2,2-トリクロロエチルオキシアミド(-NH-Troc);アリルオキシアミド(-NH-Alloc);2(-フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(-NH-Psec); または、それが適切である場合には、N-オキシド (>NO・)などのように保護することができる。
【0130】
例えば、カルボン酸基はエステルとして保護することができ、例えば:C1-7アルキルエステル(例えば、メチルエステル;t-ブチルエステル);C1-7ハロアルキルエステル(例えば、C1-7トリハロアルキルエステル);トリC1-7アルキルシリル-C1-7アルキルエステル;またはC5-20アリール-C1-7アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル;ニトロベンジルエステル);またはアミド、例えばメチルアミドなどのように保護することができる。
【0131】
例えば、チオール基はチオエーテル(-SR)として保護することができ、例えば:ベンジルチオエーテル;アセタミドメチルエーテル(-S-CH2NHC(=O)CH3)などのように保護することができる。
【0132】
該活性化合物のプロドラッグの形態のものを調製し、精製し、および/または取り扱うことが好都合または望ましいことがある。本明細書で用いている「プロドラッグ」という用語は、代謝されたときに(例えば、in vivoで)所望の活性化合物をもたらす化合物を意味する。典型的には、該プロドラッグは不活性、または該活性化合物よりも活性が低いが、取り扱い、投与、または代謝における性質の点で利点のあるものである。
【0133】
例えば、プロドラッグのいくつかのものは活性化合物のエステル(例えば、生理学的に許容される、代謝系で不安定なエステル)である。代謝の際にそのエステル基(-C(=O)OR)は切断されて活性の薬物がもたらされる。そのようなエステルは、例えば、親の化合物中のカルボン酸基(-C(=O)OH)のいずれかを、それが適切である場合には、親の化合物中に存在するほかの反応性の基を全てまず保護した後にエステル化し、続いて必要に応じて脱保護することにより作成することができる。そのような代謝系で不安定なエステルの例としては、RがC1-7アルキル(例えば、-Me, -Et); C1-7アミノアルキル(例えば、アミノエチル;2-(N、N-ジエチルアミノ)エチル;2-(4-モルホリノ)エチル);およびアシルオキシ-C1-7アルキル (例えば、アシルオキシメチル;アシルオキシエチル;例えば、ピバロイルオキシメチル;アセトキシメチル;1-アセトキシエチル;1-(1-メトキシ-1-メチル)エチル-カルボニルオキシエチル;1-(ベンゾイルオキシ)エチル;イソプロポキシ-カルボニルオキシメチル; 1-イソプロポキシ-カルボニルオキシエチル;シクロヘキシル-カルボニルオキシメチル;1-シクロヘキシル-カルボニルオキシエチル;シクロヘキシルオキシ-カルボニルオキシメチル;1-シクロヘキシルオキシ-カルボニルオキシエチル;(4-テトラヒドロピラニルオキシ) カルボニルオキシメチル;1-(4-テトラヒドロピラニルオキシ) カルボニルオキシエチル;(4-テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル;および1-(4-テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチル)が挙げられる。
【0134】
また、プロドラッグのいくつかは酵素によって活性化されて、活性化合物または、さらに化学反応を経ることによって活性化合物がもたらされる化合物がもたらされる。例えば、そのようなプロドラッグは糖誘導体もしくはその他のグリコシドコンジュゲートとすることができ、またはアミノ酸エステル誘導体とすることができる。
【0135】
さらなる好ましいもの
下記の好ましいものは、本発明の各種態様において異なっていても良く、互いに組み合わされても良い。
【0136】
式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIIIおよびIXでは、RおよびRが、それらが結合している窒素原子とともに、4〜8個の原子の複素環を形成している。それは、少なくとも1個の窒素環原子を持たなければならない上記で定義のC4−20複素環基(最小4個の環原子の場合を除く)の一部を形成することができる。RおよびRが、それらが結合している窒素原子とともに、5、6または7個の原子、より好ましくは6個の環原子を有する複素環を形成していることが好ましい。
【0137】
窒素原子1個を有する単環には、アゼチジン、アゼチジン、ピロリジン(テトラヒドロピロール)、ピロリン(例:3−ピロリン、2,5−ジヒドロピロリン)、2H−ピロールまたは3H−ピロール(イソピロール、イソアゾール)、ピペリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジンおよびアゼピンなどがあり;窒素原子2個には、イミダゾリジン、ピラゾリジン(ジアゾリジン)、イミダゾリン、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)およびピペラジンなどがあり;窒素1個および酸素1個には、テトラヒドロオキサゾール、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、モルホリン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジンおよびオキサジンなどがあり;窒素1個および硫黄1個には、チアゾリン、チアゾリジおよびチオモルホリンなどがある。
【0138】
好ましい環は、前記窒素以外に1個のヘテロ原子を有するものであり、特には好ましいヘテロ原子は酸素および硫黄である。従って、好ましい基には、モルホリノ、チオモルホリノ、チアゾリニルなどがある。別のヘテロ原子を含まない好ましい基には、ピロリジノなどがある。
【0139】
最も好ましい基は、モルホリノおよびチオモルホリノである。
【0140】
上記のように、これらの複素環基自体が置換されていても良く、好ましい種類の置換基はC1−7アルキル基である。複素環基がモルホリノである場合、置換基は好ましくはメチルまたはエチルであり、より好ましくはメチルである。単一のメチル置換基が、最も好ましくは2位にある。
【0141】
上記で挙げた単環基だけでなく、架橋部を有する環も想定される。基が窒素および酸素原子を有するその種の環の例には、下記のものがある。
【化21】

【0142】
これらはそれぞれ、8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル、6−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]へキス−3−イル、2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−イルおよび7−オキサ−3−アザ−ビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イルと命名される。
【0143】
第1の態様
好ましくはRN1は、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基およびエステル基から選択される。
【0144】
N1が置換されていても良いC1−7アルキル基である場合、それは好ましくは置換されていても良いC1−4アルキル基であり、より好ましくは置換されていても良いC1−2アルキル基である。適宜の置換基は好ましくは、ヒドロキシル、C1−7アルコキシ(例:メトキシ、エトキシ)、アシルおよびアミドから選択される。
【0145】
N1が置換されていても良いC5−7アリール基である場合、それは好ましくは置換されていても良いカルボアリールまたはヘテロアリール(1個または2個の窒素環原子を有する)基であり、より好ましくは置換されていても良いフェニル、ピリジルまたはピリミジル基である。さらに好ましくは、C5−7アリール基は未置換である。
【0146】
N1がアシル基である場合、そのアシル置換基は好ましくはC1−7アルキル基(より好ましくはC1−4アルキル、例えばメチル)またはC5−7アリール基(より好ましくはC5−6アリール、例えばフラニル、チオフェニル、フェニル、ピリジル)である。
【0147】
N1がエステル基である場合、そのエステル置換基は好ましくは、C1−7アルキル基(より好ましくはC1−4アルキル、例えばメチル、t−ブチル)である。
【0148】
特に好ましいRN1基には、2−フルオロフェニルおよびフラン−2−イルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0149】
第2の態様
C1は好ましくは、式IIaのものである。
【0150】
C1が−NRである場合、RおよびRは好ましくは、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、より好ましくは置換されていても良いC1−4アルキル基である。最も好ましくは、RおよびRのうちの一方または両方が水素である。
【0151】
C2は好ましくは、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基およびエステル基から選択され、より好ましくは置換されていても良いC1−7アルキル基および置換されていても良いC3−20複素環基から選択される。
【0152】
C2がエステル基である場合、そのエステル置換基は好ましくはC1−7アルキル基(より好ましくはC1−4アルキル基、例えばメチル)である。
【0153】
C2が置換されていても良いC3−20複素環基である場合、それは好ましくは置換されていても良いC5−7複素環基であり、より好ましくは少なくとも1個の窒素環原子を有する(例えば4−ピペリジル)。
【0154】
C2が置換されていても良いC5−20アリール基である場合、それは好ましくは置換されていても良いC5−6アリール基である。より好ましくはそれは、置換されていても良いフェニルまたは窒素、酸素および硫黄から選択される1個または2個のヘテロ原子を有するC5−6ヘテロアリール基(例えばピリジル、チアゾリル、フラニル、チオフェニル、イソオキサゾリル、1,2−ジアゾリル)から選択される。
【0155】
C2が置換されていても良いC1−7アルキル基である場合、それは好ましくは置換されていても良いC1−4アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、シクロブチル)である。好ましい適宜の置換基には、アミノ、チオエーテル、エステル、C5−20アリール、C3−20複素環、アシルオキシ、エーテルおよびアルコキシなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0156】
1実施形態において、RC2は下記式IIbのものである。
【化22】

【0157】
式中、
rは1〜3(より好ましくは1または2)であり;
N2およびRN3は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。
【0158】
より好ましくはRN2およびRN3は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。
【0159】
N2およびRN3のうちの一方が置換されていても良いC1−7アルキル基である場合、他方は好ましくはHである。その置換されていても良いC1−7アルキル基は好ましくは、置換されていても良いC1−4アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル)である。適宜の置換基は好ましくは、ヒドロキシ、NH、C3−20複素環(より好ましくはC5−7複素環)およびC5−20アリール(より好ましくはC5−7アリール)から選択される。
【0160】
N2およびRN3が、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している場合、その環は好ましくは6個または7個の環原子を有し、より好ましくはピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジンおよびモルホリノから選択される。その複素環がピペラジンまたはホモピペラジンである場合、他の窒素環原子は、例えば置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基またはアミド基によって置換されていても良い。これらの可能な置換基のうち、置換されていても良いC1−7アルキル基(例えばメチル)、置換されていても良いC5−20アリール基(例えばフェニル)およびアシル基がより好ましい。
【0161】
第3の態様
C3は下記式のものであることができる。
【化23】

【化24】

【0162】
r=0であることが好ましい。
【0163】
より好ましくはRN4およびRN5は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。
【0164】
N4およびRN5のうちの一方が置換されていても良いC1−7アルキル基である場合、他方は好ましくはHである。置換されていても良いC1−7アルキル基は好ましくは、置換されていても良いC1−4アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル)である。適宜の置換基は好ましくは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C3−20複素環(より好ましくはC5−7複素環)およびC5−20アリール(より好ましくはC5−7アリール)から選択される。
【0165】
1実施形態では、RN4およびRN5のうちの一方が、上記で定義の式IIbのものである。
【化25】

【0166】
N4およびRN5が、それらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している場合、その環は好ましくは6個または7個の環原子を有し、より好ましくはピペリジン、ホモピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジンおよびモルホリノから選択される。その複素環がピペラジンまたはホモピペラジンである場合、他の窒素環原子は、例えば置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基またはアミド基によって置換されていても良い。これらの可能な置換基のうち、置換されていても良いC1−7アルキル基(例えばメチル)、置換されていても良いC5−20アリール基(例えばフェニル)およびアシル基がより好ましい。
【0167】
第4の態様
N7およびRN8は好ましくは、独立に水素、置換されていても良いC1−7アルキル基および置換されていても良いC3−20複素環基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。
【0168】
より好ましくはRN7およびRN8は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。
【0169】
N7およびRN8のうちの一方が置換されていても良いC1−7アルキル基である場合、他方は好ましくはHである。置換されていても良いC1−7アルキル基は好ましくは、置換されていても良いC1−4アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル)である。適宜の置換基は好ましくは、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、C4−7シクロアルキル、C3−20複素環(より好ましくはC5−7複素環)およびC5−20アリール(より好ましくはC5−7アリール)から選択される。
【0170】
1実施形態では、RN7およびRN8のうちの一方が、上記で定義の下記式IIbのものである。
【化26】

【0171】
N7およびRN8が、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している場合、その環は好ましくは5〜7個の環原子を有し、より好ましくはピロール、ピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジンおよびモルホリノから選択される。その複素環がピペラジンまたはホモピペラジンである場合、他の窒素環原子が、例えば置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基またはアミド基によって置換されていても良い。これらの可能な置換基のうち、置換されていても良いC1−7アルキル基(例えばメチル)、置換されていても良いC5−20アリール基(例えばフェニル)およびアシル基がより好ましい。その複素環が別の窒素環原子を持たない場合、その環は、例えばC1−7アルキル、アミド、ヒドロキシおよびエステルなど(これらに限定されるものではない)の1以上の置換基によってさらに置換されていても良い。
【0172】
第5の態様
N9は好ましくは、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基,またはアシル基から選択されただしRN9は未置換メチル基ではない。
【0173】
N9が置換されていても良いC1−7アルキル基である場合、それは好ましくは、置換されていても良いC1−4アルキル基であり、より好ましくは置換されていても良いC1−2アルキル基である。適宜の置換基は好ましくは、ヒドロキシル、C1−7アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ)、アシルおよびアミドから選択される。
【0174】
N9が置換されていても良いC5−7アリール基である場合、それは好ましくは、置換されていても良いカルボアリールまたはヘテロアリール(1個または2個の窒素環原子を有する)基であり、より好ましくは置換されていても良いフェニル、ピリジルまたはピリミジル基である。そのC5−7アリール基が未置換であることがさらに好ましい。
【0175】
N9がアシル基である場合、そのアシル置換基は好ましくは、C1−7アルキル基(より好ましくはC1−4アルキル、例えばメチル)またはC5−7アリール基(より好ましくはC5−6アリール、例えばフラニル、チオフェニル、フェニル、ピリジル)である。
【0176】
特に好ましいRN9基には、4−フルオロフェニル、エチルおよび2−(2′−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0177】
第6の態様
C4は下記式のものであることができる。
【化27】

【0178】
r=0であることが好ましい。
【0179】
より好ましくはRN4およびRN5は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。
【0180】
N4およびRN5のうちの一方が置換されていても良いC1−7アルキル基である場合、他方は好ましくはHである。その置換されていても良いC1−7アルキル基は好ましくは、置換されていても良いC1−4アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル)である。適宜の置換基は好ましくは、ヒドロキシ、ハロ、C1−7アルコキシ(例えばメトキシ)、チオール、C1−7チオエーテル(例えば−SMe)、アミノ、エステル(好ましくはC1−7アルキルエステル、例えば−C(=O)OMe)、シアノ、C3−20複素環(より好ましくはC5−7複素環)およびC5−20アリール(より好ましくはC5−7アリール)から選択される。
【0181】
1実施形態では、RN4およびRN5のうちの一方が、上記で定義の式IIbのものである。
【化28】

【0182】
N4およびRN5が、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している場合、その環は好ましくは6個または7個の環原子を有し、より好ましくはピペリジン、ホモピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジンおよびモルホリノから選択される。その複素環がピペラジンまたはホモピペラジンである場合、他の窒素環原子は、例えば置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基またはアミド基によって置換されていても良い。これらの可能な置換基のうち、置換されていても良いC1−7アルキル基(例えばメチル)、置換されていても良いC5−20アリール基(例えばフェニル)およびアシル基がより好ましい。
【0183】
第7の態様
好ましくはRN10およびRN11は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。
【0184】
N10およびRN11のうちの一方が置換されていても良いC1−7アルキル基である場合、他方は好ましくはHである。置換されていても良いC1−7アルキル基は好ましくは、置換されていても良いC1−4アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル)である。適宜の置換基は好ましくは、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、NH、C1−7アルコキシ(例えばメトキシ)、C1−7チオエーテル(例えば−SMe)、C3−20複素環(より好ましくはC5−7複素環)およびC5−20アリール(より好ましくはC5−7アリール)から選択される。
【0185】
N10およびRN11が、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している場合、その環は好ましくは6個または7個の環原子を有し、より好ましくはピペリジン、ホモピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジン、モルホリノおよびチオモルホリノから選択される。これらの基は、例えば置換されていても良いC1−7アルキルまたはアミド基によって置換されていても良い。その複素環がピペラジンまたはホモピペラジンである場合、他方の窒素環原子は、例えば置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基またはアミド基によって置換されていても良い。これらの可能な置換基のうち、置換されていても良いC1−7アルキル基(例えばメチル)、置換されていても良いC5−20アリール基(例えばフェニル)およびアシル基がより好ましい。
【0186】
第8の態様
好ましくはRN12およびRN13は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。
【0187】
N12およびRN13のうちの一方が置換されていても良いC1−7アルキル基である場合、他方は好ましくはHである。置換されていても良いC1−7アルキル基は好ましくは、置換されていても良いC1−4アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル)である。適宜の置換基は好ましくは、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、NH、C1−7アルコキシ(例えばメトキシ)、C1−7チオエーテル(例えば−SMe)、C3−20複素環(より好ましくはC5−7複素環)およびC5−20アリール(より好ましくはC5−7アリール)から選択される。
【0188】
N12およびRN13が、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している場合、その環は好ましくは6個または7個の環原子を有し、より好ましくはピペリジン、ホモピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジン、モルホリノおよびチオモルホリノから選択される。これらの基は、例えば置換されていても良いC1−7アルキルまたはアミド基によって置換されていても良い。その複素環がピペラジンまたはホモピペラジンである場合、他の窒素環原子は、例えば置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基またはアミド基によって置換されていても良い。これらの可能な置換基のうち、置換されていても良いC1−7アルキル基(例えばメチル)、置換されていても良いC5−20アリール基(例えばフェニル)およびアシル基がより好ましい。
【0189】
第9の態様
C5は下記式のものであることができる。
【化29】

【0190】
q=2が好ましい。
【0191】
より好ましくはRN4およびRN5は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択される。
【0192】
N4およびRN5のうちの一方が置換されていても良いC1−7アルキル基である場合、他方は好ましくはHである。置換されていても良いC1−7アルキル基は好ましくは、置換されていても良いC1−4アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル)である。適宜の置換基は好ましくは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C3−20複素環(より好ましくはC5−7複素環)およびC5−20アリール(より好ましくはC5−7アリール)から選択される。
【0193】
略語
簡便のため、多くの化学部分を、公知の略称を用いて表し、それにはメチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル(nPr)、イソ−プロピル(iPr)、n−ブチル(nBu)、tert−ブチル(tBu)、n−ヘキシル(nHex)、シクロヘキシル(cHex)、フェニル(Ph)、ビフェニル(biPh)、ベンジル(Bn)、ナフチル(naph)、メトキシ(MeO)、エトキシ(EtO)、ベンゾイル(Bz)、アセチル(Ac)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppf)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0194】
簡便のため、多くの化合物を公知の略称を用いて表し、それにはメタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソ−プロパノール(i−PrOH)、メチルエチルケトン(MEK)、エーテルまたはジエチルエーテル(EtO)、酢酸(AcOH)、ジクロロメタン(メチレンクロライド、DCM)、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)およびジメチルスルホキシド(DMSO)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0195】
合成経路
本発明の化合物は、パラジウム触媒カップリング反応、例えばスズキカップリングを用いる適切なアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルへの2−クロロ−6−アミノ−ピラン−4−オンのカップリングによって合成することができる。
【0196】
2−クロロ−6−アミノ−ピラン−4−オン類の合成
これらは、下記の経路によって合成することができる。
【化30】

【0197】
段階(a)で、フリーラジカル付加によってジケテンの炭素−炭素二重結合にCClを付加させて、4−クロロ−4(2,2,2−トリクロロ−エチル)−オキセタン−2−オン(1)を得る。好適な開始剤には、BCHPO((ビス−4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート)などの過酸化物などがある。
【0198】
段階(b)で、アミンRNHがカルボニル中心での求核攻撃によってラクトン環を開く。次に、生成したオキシアニオンが、α−炭素上の塩素原子と置き換わって、β−ケト−アミド中間体を生じる。さらにHClが脱離することで、最終的に5,5−ジクロロ−1−アミノ−ペント−4−エン−1,3−ジオンが得られる。この段階の好適な条件には、炭酸水素ナトリウムなどの塩基および脱水ジクロロメタンなどの溶媒などがある。
【0199】
段階(c)で、5−クロロ基の一つをアミド部分の酸素によって置き換えることで閉環が起こってピラン−4−オン環が形成され、その反応は過塩素酸などのルイス酸によって触媒される。
【0200】
アリールボロン酸類およびアリールボロン酸エステル類
適切なアリールボロン酸類およびアリールボロン酸エステル類は、下記の例に記載の経路のいずれかを用いることで合成することができる。一般的合成段階を下記に示す。
【0201】
アリールボロン酸エステルの合成
【化31】

【0202】
(a):PdCldppf、dppf、ピナコールジボラン、KOAc
式中、Rは基の残りの部分である。
【0203】
アリールボロン酸エステルは、テトラ(アルコキシ)ジボロン、例えばピナコールジボロンと適切なトリフ酸アリールまたはアリールハライドとのPd(0)触媒交差カップリング反応によって形成することができる。好適な条件には、PdCldppfなどの触媒、dppfなどの追加配位子、塩基としての酢酸カリウムのジオキサン、DMFまたはDMSOなどの溶媒中での使用などがある。
【0204】
この方法の例は、イシヤマらの報告(T Ishiyama, et al., Tet. Lett., vol. 38, no. 19, 3447-3450, 1997)およびジルーらの報告(A Giroux, et al., Tet. Lett., vol. 38, no. 22, 3841-3844, 1997)に記載されている。
【0205】
アリールボロン酸類の合成
【化32】

【0206】
(a):t−BuLi、(EtO)
式中、Rは基の残りの部分である。
【0207】
ボロン酸は、tert−ブチルリチウムによる芳香環のリチウム化と、次に形成されたアニオンとホウ酸トリエチルなどのホウ酸アルキルで形成されたとの反応によって形成されて、所望のアリールボロン酸を得ることができる。
【0208】
パラジウム触媒カップリング
アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルの2−クロロ−6−アミノ−ピラン−4−オンへのカップリングは、通常の条件、例えばパラジウム触媒(Pd(PPh、Pd(dppf)Cl)および塩基(NaCO、NaOCHCH、TlOH、N(CHCH、KPO)を用いて行うことができる。
【0209】
本発明の化合物の用途
本発明は、活性化合物、具体的には活性な2−アリール−6−アミノ−ピラン−4−オン類を提供する。
【0210】
本明細書で使用される「活性な」という用語は、ATM活性を阻害することができる化合物に関するものであり、具体的には固有の活性を有する化合物(医薬)ならびにそのような化合物のプロドラッグの両方を含み、そのプロドラッグ自体はほとんど固有活性を示さないものであっても良い。
【0211】
特定の化合物が提供するATM阻害を評価するのに用いることができる一つのアッセイについて、下記の例で説明する。
【0212】
本発明はさらに、細胞でのATMを阻害する方法であって、その細胞を好ましくは製薬上許容される組成物の形態での有効量の活性化合物と接触させる段階を有する方法を提供する。そのような方法は、in vitroまたはin vivoで行うことができる。
【0213】
例えば、細胞のサンプル(例えば、腫瘍から)をin vitroで増殖させ、活性化合物を、既知の治療効果を有する薬剤と併用して、その細胞と接触させ、その細胞に対する化合物の治療効果増強を観察する。
【0214】
本発明はさらに、ATM活性を阻害する活性化合物、ならびにATM活性の阻害方法であって、in vitroであるかin vivoであるかを問わず、有効量の活性化合物と細胞を接触させる段階を有する方法を提供する。
【0215】
本発明はさらに、ヒトまたは動物身体の治療方法で使用される活性化合物を提供する。そのような方法は、治療上有効量の活性化合物を、好ましくは医薬組成物の形態で、そのような被験者に対して投与する段階を有することができる。
【0216】
状態の治療の文脈で本明細書において使用される「治療」という用語は、ヒトであるか動物(例えば、獣医分野でのもの)であるかを問わず、何らかの所望の効果、例えば状態進行の抑制を達成する処置および治療に関するものであり、進行速度の低下、進行速度の停止、状態の改善および状態の治癒などがある。予防的手段としての処置(すなわち、予防)も含まれる。
【0217】
本明細書で使用される「治療上有効量」という用語は、妥当な利益/危険比で、何らかの所望の治療効果を得る上で有効な、活性化合物、または活性化合物を含む材料、組成物もしくは製剤の量に関するものである。
【0218】
本明細書で使用される「補助剤」という用語は、公知の治療手段と組み合わせた活性化合物の使用に関するものである。そのような手段には、各種癌の治療で用いられる薬剤の細胞傷害的な使用法および/または電離放射線などがある。特に、活性化合物は、トポイソメラーゼ類の毒物および癌治療で用いられるDNA二本鎖切断を誘発する化学療法薬など(これらに限定されるものではない)の多くの癌化学療法の作用を強化することが知られている。本発明の化合物と併用することができるトポイソメラーゼI阻害薬には、例えばトポテカン(ハイカムチン)、イリノテカン(CPT11−カンプトサール)、ルビテカンおよびエキサテカンなどのカンプトテシン化合物などがある。本発明の化合物と併用することができる二重トポイソメラーゼIおよびII阻害薬には、ベンゾフェナインス(benzophenainse)、XR11576/MLN576およびベンゾピリドインドール類などがある。本発明の化合物と併用することができるトポイソメラーゼII阻害薬には、挿入剤およびDNA結合剤であるドキソルビシン、ダウノルビシン(Danorubicin)および他のルビシン類、アクリジン類(アムサクリン、m−AMSA)、そしてミトキサントロンおよびAQ4などがある。トポイソメラーゼII阻害薬である非挿入剤には、エトプシドおよびテニポシド(エピポドフィロトキシン類)などがある。
【0219】
本発明者らは以前に、本発明のものと同様の構造のATM阻害化合物が、1段階の細胞に基づく組込みアッセイ(LUCIAと称される)でレトロウィルスベクター形質導入を効率良く抑制し、マイクロモル以下の濃度での4日間複製アッセイでHIV−1感染を阻害し得ることを見出している。さらに、レトロウィルス組み込みに対するATMの効果はDNA−PK−欠乏バックグラウンドでのみ認められるであろうと結論づけているダニエル(Daniel)らの所見とは対照的に、この効果は機能的DNA−PK活性の存在下に発揮される。
【0220】
直鎖レトロウィルスDNAと宿主細胞染色体DNAとの最初の連結がウィルスインテグラーゼ(IN)によって触媒され、結合部位で宿主細胞DNAに短いねじれ形DNA鎖切断を生じる(Brown, P.O. (1990) Integration of retroviral DNA. Curr Top Microbiol Immunol, 157, 19-48)。これらのギャップDNA中間体は、宿主細胞によってDNA損傷の部位として感知され、ATM経路によって修復されて、組み込みのプロセスを完成し、増殖性感染を起こし得ることが明らかになっている。本発明の化合物は、ATM経路によるギャップDNA中間体の修復を防止し、従って宿主ゲノムへのレトロウィルスDNAの組み込みを防止することができると考えられる。
【0221】
上記のように、本発明は、レトロウィルス感染の治療で使用される本発明の第1〜9の態様に定義の化合物、ならびにレトロウィルス感染の治療で用いられる医薬の製造におけるそのような化合物の使用を提供するものである。
【0222】
本発明により、レトロウィルス感染の治療方法であって、処置を必要とする個体に対して、本発明の第1〜第9の態様で定義の化合物を投与する段階を有する方法も提供される。
【0223】
上記の方法で治療可能なレトロウィルス介在疾患には、HI感染および後天性免疫不全症候(AIDS)ならびにヒトT−細胞白血病ウィルス(HTLV)感染およびそれの関連疾患である成人T−細胞白血病/リンパ腫(ATLL)および熱帯性痙性不全対麻痺/HTLV−1関連脊髄症(TSP/HAM)などがある。
【0224】
本発明の化合物は、ウィルス複製を抑制する他のレトロウィルス療法と併用することができ、例えば「高活性抗レトロウィルス療法」すなわちHAART治療で用いることができる。
【0225】
本発明は、本明細書に記載の化合物ならびに1以上の他の抗レトロウィルス薬を含む医薬組成物を提供する。
【0226】
本発明はまた、レトロウィルス感染の治療のための本発明の第1〜第9の態様で定義の化合物および1以上の他の抗レトロウィルス薬を含む組成物、ならびにレトロウィルス感染の治療で使用される医薬の製造におけるそのような組成物の使用をも提供する。
【0227】
レトロウィルス複製を阻害する好適な抗レトロウィルス薬には例えば、セキナビル、インジナビル、リトナビルおよびネルフィナビルなどのレトロウィルスプロトアーゼ阻害薬(PI);3′−アジド−3′−デオキシチミジン(AZT;ジドブジン)、2′,3′−ジデオキシシトシン(ddC;ザルシタビン)、2′,3′−ジデオキシイノシン(ddI;ジダノシン)および3TC(ラミブジン)などのヌクレオシド系レトロウィルス逆転写酵素阻害薬;ならびにネビラピン、デラビルジンおよびエファビレンツなどの非ヌクレオシド系レトロウィルス逆転写酵素阻害薬がある。
【0228】
投与
該活性化合物または該活性化合物を含んでなる医薬組成物は被験動物に、全身的/末梢的または所望の作用が行われる部位へ、都合のよい投与経路であればどのような経路によっても投与することができ、そのような投与経路としては、経口投与(例えば、摂取);局所投与(例えば経皮、鼻腔内、眼内、頬、および舌下を含む);肺投与(例えばエアロゾルを用い、たとえば口または鼻を経由することによる、例えば吸入または通気療法によって);直腸内投与;経膣投与;例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内、脊髄内、嚢内、嚢下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、くも膜下、および胸骨内などへの注射によるものなどの非腸管内投与;デポ剤のインプラントによる投与、例えば皮下または筋肉内へのインプラントによる投与が挙げられる。
【0229】
被験動物は真核生物、動物、脊椎動物、哺乳類、げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ類(例えば、マウス)、イヌ類(例えばイヌ)、ネコ類(例えば、ネコ)、ウマ類(例えば、ウマ)、霊長類、類人猿(例えば小型サルまたは大型サル)、サル類(例えば、マーモセット、ヒヒ)、大型サル(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)、またはヒトとすることができる。
【0230】
製剤
該活性化合物を単独で投与することは可能ではあるが、その化合物を、少なくとも1種の、上記で定義した活性化合物の少なくとも1種を、1種以上の製薬上許容される担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、充填剤、バッファー、安定化剤、保存剤、滑沢剤、またはその他の当業者にはよく知られた材料、および任意で他の治療用または予防用薬剤とともに含んでなる医薬組成物(例えば、製剤)として提示することが好ましい。
【0231】
本発明はさらに、上記で定義した医薬組成物および医薬組成物を作成する方法を提供し、その方法は、本明細書に記載のとおり、少なくとも1種の上記で定義した活性化合物を、1種以上の他の製薬上許容される担体、賦形剤、バッファー、アジュバント、安定化剤、またはその他の材料とともに混合することを含んでなる。
【0232】
本明細書で用いている「製薬上許容される」という用語は、化合物、材料、組成物、および/または投与剤形であって、健全な医学的判断で認めうる範囲内にあり、過剰な毒性、刺激性、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症をもたらさず被験体(例えばヒト)の組織との接触のための使用に適しており、妥当な利益/危険性比を示すものであることを意味する。担体、賦形剤などの各々はまた、製剤中の他の成分と適合しうるという意味でも「許容される」ものでなければならない。
【0233】
適切な担体、賦形剤などについては、標準的な製薬の教科書、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版, Mack Publishing Company, Easton, PA., 1990中に記載されている。
【0234】
該製剤は単位剤形で都合よく提供することができ、製薬業界でよく知られたいずれかの方法によって調製することができる。そのような方法は、該活性化合物を1種以上の補助成分からなる担体と会合させるステップを含んでいる。一般的には、該製剤は、該活性化合物を液状担体もしくは微細末化した固体担体、またはその双方と均一に十分に会合させ、次いで必要に応じて生成物を成形することによって調製される。
【0235】
製剤は、液体、溶液、懸濁液、乳剤、エリキシル、シロップ、錠剤、ロゼンジ、顆粒剤、粉末剤、カプセル、カシェ剤、丸剤、アンプル剤、坐剤、ペッサリー、軟膏、ゲル、ペースト、クリーム、スプレー、ミスト、フォーム、ローション、オイル、ボーラス剤、舐剤、またはエアロゾルの形態とすることができる。
【0236】
経口投与(例えば摂取によって)に適した製剤は、別個の単位として提供することができ、それは例えば、カプセル、カシェ剤、もしくは錠剤で、各々があらかじめ定められた量の該活性化合物を含有しているもの;粉末剤または顆粒剤;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;または水中油型乳剤、もしくは油中水型乳剤;ボーラス剤;舐剤;またはペーストなどである。
【0237】
錠剤は、例えば圧縮または成形などの従来法で任意で1種以上の補助成分と共に作成することができる。圧縮錠剤は、適切な機械中で、粉末や顆粒などの自由流動体とした該活性化合物を、任意で1種以上の結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、アラビアゴム、ソルビトール、トラガカント、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤もしくは希釈剤(例えば、乳糖、微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ);崩壊剤(例えば、グリコール酸ナトリウムデンプン、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム);界面活性剤または分散剤または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム);および保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸)と混合して圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性の液状希釈剤で湿潤化した粉末の該化合物の混合物を適切な機械中で成形することによって作成することができる。錠剤は任意でコーティングまたは切れ目を入れることができ、また、錠剤に含まれる該活性化合物の緩徐なもしくは制御された放出が行われるように、例えば、所望の放出プロフィールを得るためにヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な割合で用いることによって製剤化することができる。錠剤は任意で腸溶性コーティングを施したものとすることができ、胃ではなく腸の一部で放出するようにすることができる。
【0238】
局所投与(例えば、経皮、鼻腔内、眼内、頬、および舌下)に適した製剤は、軟膏、クリーム、懸濁剤、ローション、粉末剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、またはオイルとして製剤化することができる。あるいはまた、製剤は、活性化合物と任意で1種以上の添加剤または希釈剤をしみこませた包帯もしくは絆創膏などのパッチまたは包帯類を含んでなるものとすることができる。
【0239】
口腔内の局所投与に適した製剤としては、着香したベース、通常はショ糖およびアラビアゴムもしくはトラガカント中に、該活性化合物を含んでいるものからなるロゼンジ剤;ゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアラビアゴムなどの不活性のベース中に該活性化合物を含んでいるトローチ剤;ならびに適切な液状担体中に該活性化合物を含んでいる含嗽剤が挙げられる。
【0240】
眼への局所投与に適した製剤としては、点眼剤が挙げられ、点眼剤では、該活性化合物は適切な担体、特に該活性化合物の水性溶剤中に溶解または懸濁される。
【0241】
経鼻投与に適した製剤としては、担体が固体である場合には、例えば、粒子径が例えば、約20ミクロンから約500ミクロンの範囲の粗粉末が挙げられ、それは鼻から吸い込む様式で、すなわち鼻に近接して保持された容器からの該粉末の鼻腔を経由する急速な吸入によって投与される。例えば、鼻スプレー、点鼻剤としての投与、またはネブライザーによるエアロゾルの投与に適した製剤としては、担体が液体である場合には、該活性化合物の水性または油性溶液が挙げられる。
【0242】
吸入による投与に適した製剤としては、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、またはその他の適切な気体を用いた加圧パックからのエアロゾルスプレーとして提供されるものが挙げられる。
【0243】
皮膚を経由する局所投与に適した製剤としては、軟膏、クリーム、および乳剤が挙げられる。軟膏に製剤化する場合には、該活性化合物は任意でパラフィン性、または水と混和性の軟膏基剤と共に用いることができる。あるいはまた、該活性化合物は水中油滴型クリーム基剤と共にクリームに製剤化することができる。所望により、そのクリーム基剤の水相には、例えば、少なくとも約30 % w/wの多価アルコール、すなわち、プロピレンクリコール、ブタン-1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、およびポリエチレングリコール、ならびにそれらの混合物などの2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含ませることができる。局所用の製剤には所望により該活性化合物の皮膚またはその他の適用部分からの吸収または浸透を増強する化合物を含めることができる。そのような皮膚浸透増強剤の例としては、ジメチルスルホキシド、および関連の類似体が挙げられる。
【0244】
局所用乳剤として製剤化する場合には、油相は任意で単一の乳化剤(emulgentとしても知られている)を含むものとすることができ、または少なくとも1種の乳化剤と脂肪もしくは油または脂肪と油の双方との混合物を含むものとすることができる。好ましくは、親水性の乳化剤を、安定剤として作用する親油性の乳化剤と共に含む。また、油と脂肪の双方を含むものであることが好ましい。乳化剤は安定剤と共に、または安定剤を伴わずにいわゆる乳化ワックスを作り、そのワックスは該油および/または脂肪と共にいわゆる乳化軟膏基剤を作り、それがクリーム製剤の油性分散層を形成する。
【0245】
適切な乳化剤および乳剤安定剤としては、Tween 60、Span 80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、およびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。該製剤のための適切な油または脂肪の選択は、所望の外見上の性質が得られるか否かに基づいて行われるが、それは医薬品の乳剤に用いられる可能性がある大部分の油では、該活性化合物の溶解性は非常に低い可能性があるためである。従って、該クリームは好ましくは、チューブやその他の容器からの漏れを避けうる適切な粘度を有する、油っぽくなく、シミを作らず、洗い流せる製品としなければならない。直鎖状のまたは分枝した、一塩基または二塩基アルキルエステル、例えばジイソアジペート、ステアリン酸イソセチル、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、またはCrodamol CAPとして知られている分枝鎖状エステルの混合物を用いることができ、最後の3つのものが好ましいエステルである。これらは求める性質によって単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0246】
あるいはまた、白色軟パラフィンおよび/または液状パラフィンなどの高融点の脂質、またはその他の鉱油を用いることができる。
【0247】
直腸投与に適した製剤は、例えばカカオ脂またはサリチル酸塩を含んでなる適切なベースを含む坐剤として提供することができる。
【0248】
経膣投与に適した製剤は、該活性化合物に加えて当業界で適切であることが知られている担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレーの剤型で提供することができる。
【0249】
腸管外投与(例えば、皮膚、皮下、筋肉内、静脈内、および皮内注射を含む注射)に適した製剤としては、さらに、抗酸化剤、バッファー、保存剤、安定化剤、静菌剤、および該製剤を、意図しているレシピエントの血液と等張とする溶質などを含んでいてよい、水性または非水性で、等張、パイロジェンフリーの無菌の注射用液体;ならびに、懸濁剤および濃厚化剤を含んでいてよい、水性および非水性無菌懸濁液;ならびに該化合物が血液成分もしくは1つ以上の器官に標的化されるようデザインされているリポソームまたはその他の微粒子システム、が挙げられる。このような製剤中に用いられる適切な等張のビヒクルの例としては、注射用塩化ナトリウム水溶液、リンゲル液、または乳酸加リンゲル注射液が挙げられる。典型的には、その液体中の該活性化合物の濃度は約1ng/mLから約10μg/mL、例えば約10ng/mLから約1μg/mLである。該製剤は単位投与量または多数回投与量の密封容器、例えば、アンプルおよびバイアルに入れた形で提供することができ、無菌の液状担体、例えば注射用水を使用直前に添加することのみを必要とする凍結乾燥された条件で保存することができる。すぐに用いることのできる注射用溶液および懸濁液は無菌の粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。製剤はリポソームまたはその他の微粒子システムの形態とすることができ、それらは該活性化合物が血液成分もしくは1つ以上の器官に標的化されるようデザインされている。
【0250】
投与量
当業者であれば、該活性化合物、および該活性化合物を含んでいる組成物の適切な投与量は、患者毎に異なることが理解されよう。最適な投与量の決定は、通常は治療上の有益性のレベルと有害な副作用の危険性とのバランスを取ることを必要とする。選択された投与量のレベルは様々な因子によって変わり、そのような因子としては、限定はされないが、その特定の化合物の活性、投与経路、投与時間、該化合物の排泄速度、治療期間、組み合わせて用いられるその他の薬剤、化合物、および/または物質、ならびに患者の年齢、性別、体重、体調、一般的健康状態、および病歴が挙げられる。一般的には投与量は作用部位で所望の効果を有害な副作用を起こすことなく達成できるような局所濃度が選択されるが、化合物の量と投与経路は究極的には医師の裁量で決定されることとなる。
【0251】
in vivoの投与は1回の投与で、持続的投与で、または治療のコースを通じて間欠的に(例えば、適切な間隔をおいて分割した投与量で)行うことができる。最も効果的な投与方法と投与量を決定するための方法は当業者にはよく知られており、治療に用いる製剤、治療の目的、治療しようとする標的の細胞、および治療しようとする被験体によって異なる。単回または複数回の投与は治療担当医師によって選択された投与量および投与パターンで行うことができる。
【0252】
通常は、該活性化合物の適切な投与量は、被験体の体重1kgあたり1日に約100μgから約250mgの範囲である。該活性化合物が塩、エステル、プロドラッグ、または類似のものである場合には、投与量は親の化合物の量に基づいて計算され、用いられる実際の重量は相応に増加する。
【0253】
実施例
下記の実施例は、専ら本発明を説明することを目的として提供されるものであって、本明細書に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
【0254】
A)化学的実施例
一般実験法
薄層クロマトグラフィーは、メルク社(Merck)キーゼルゲル(Kieselgel)60F254ガラスプレートを用いて行った。UV灯(254nm)を用いることで、プレートを肉眼観察した。イー・エム・メルク社(E. M. Merck)が供給するシリカゲル60(粒径40〜63μ)を、フラッシュクロマトグラフィーに用いた。H NMRスペクトラムは、ブルカー(Bruker)DPX−300装置で300MHzにて記録した。化学シフトは、テトラメチルシランを基準とした。
【0255】
ライブラリーサンプルの精製および同定
サンプルは、ギルソン(Gilson)LCユニットで精製した。
【0256】
移動相A−0.1%TFA水溶液、移動相B−アセトニトリル、流量6mL/分、勾配−代表的には、最初に90%A/10%Bで1分間、15分後に97%Bとなるように上昇させ、そこで2分間保持し、次に当初の条件まで戻す。カラム:ジョーンズ・クロマトグラフィー・ジェネシス(Jones Chromatography Genesis)4μ C18カラム、10mm×250mm。254nmでのUV検出に基づいてピークを取得。
【0257】
質量スペクトラムは、陽イオンモードでのフィネガン(Finnegan)LCQ装置で記録した。
【0258】
移動相A−0.1%ギ酸水溶液、移動相B−アセトニトリル、流量2mL/分、勾配−最初に95%A/5%Bで1分間、5分後に98%Bとなるように上昇させ、そこで3分間保持し、そして最初の条件まで戻す。カラム−フェノメネックス(Phenomenex)5μルナ(Luna)C18カラム、4.6mm×50mm。
【0259】
254nmでのUV検出、210〜600nmのPDA検出走査。
【0260】
他の化合物の質量スペクトラム
非ライブラリ化合物および構成要素の質量スペクトラムは、ウォーターズ(Waters)600HPLCポンプおよび2700オートサンプラーを用いて、マイクロマス(Micromass)ZQ装置(エレクトロスプレーイオン化モードで動作する単一四極子)で記録した。
【0261】
移動相A:0.1%ギ酸水溶液、移動相B:0.1%ギ酸のアセトニトリル溶液、流量:2.0mL/分、勾配:3分間かけて5%Bから95%B、3分間保持。カラム:各種使用するが、常にC18 50mm×4.6mm(現在は、ジェネシス(Genesis)C18 4μ、ジョーンズ・クロマトグラフィー(Johns Chromatography))。PDA検出:ウォーターズ996、走査範囲210〜400nm。
【0262】
2−クロロ−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(3)の合成
【化33】

【0263】
4−クロロ−4−(2,2,2−トリクロロ−エチル)−オキセタン−2−オン(1)
CClの還流溶液に、BCHPO(ビス−4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(11.8g)およびジケテン(83.5mL)のCCl(300mL)溶液を120分間かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。得られた淡黄色溶液を冷却し、DCMと共沸させた。得られた残留物をヘキサンとともに10分間攪拌し(150mLで3回)、液体を傾斜法にてセライト層を通した。濾液を合わせ、減圧下に濃縮して、1を淡黄色油状物として得た(125.0g、52.9%)。
【0264】
5,5−ジクロロ−1−モルホリン−4−イル−ペント−4−エン−1,3−ジオン(2)
2つの別個の1(62.5g、0.26mmol)およびモルホリン(24.0g、0.28mol)のDCM(120mL)溶液を、NaHCO(44.0g、0.52mol)の脱水DCM(300mL)中混合物に同時に加えた。反応液を140分間にわたって、攪拌しながら15℃に維持した。反応液を濾過し、DCMで洗浄し(100mLで3回)、合わせた有機層を減圧下に濃縮してスラリーとし、それを短いシリカ層に通し、さらにDCMで洗浄した(100mLで4回)。合わせた合わせた有機層を減圧下に濃縮し、ヘキサン(400mL)に懸濁させ、1時間攪拌し、濾過し、乾燥させて、クリーム色固体を得た。その固体をTBME(100mL)に懸濁させ、15分間攪拌し、濾過し、TBMEで洗浄し、乾燥させて、2を白色粉末として得た(47.8g、72%)。m/z(LC−MS、ESP):252(M+1)。
【0265】
2−クロロ−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(3)
2(11.3g、44.9mmol)のジオキサン懸濁液に、過塩素酸(11.4mL、0.14mol)を加え、反応液をN下に90℃で1時間加熱した。反応液を冷却し、2M NaOH(75mL)で中和し、濾過した。水層をDCMで抽出し(30mLで4回)、有機層を合わせ、MgSOで脱水した。有機層をさらに活性炭で処理し、セライトで濾過した。暗黄色濾液を減圧下に溶媒留去し、得られた固体をヘキサン(50mL)で磨砕し、乾燥させて、3(7.3g、75%)を明黄色粉末として得た。m/z(LC−MS、ESP):216(M+1).H−NMR(300MHz、DMSO−d):3.3(t、4H)、3.65(t、4H)、5.4(d、1H)、6.25(d、1H)。
【0266】
実施例1:6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−カルボン酸アミド誘導体
【化34】

【0267】
3−クロロスルホニル−4−フルオロ−安息香酸
クロロスルホン酸(100mL、1.5mol)を、4−フルオロ安息香酸(43g、0.307mol)に攪拌しながら徐々に加えた。得られた透明暗黄色混合物を、150℃で24時間加熱した。黄色溶液を再度冷却して室温に戻し、高攪拌しながら氷に投入した。白色沈澱を濾過し、加圧乾燥した。固体を、減圧下に活性化シリカ上にてデシケータで終夜乾燥させた(54.65g、75%)。融点:116〜117℃;m/z(LC−MS、ESP)、RT=4.03分、(M−1)=237〜239(比1:3)。
【0268】
4−フルオロ−3−スルフィノ−安息香酸
3−クロロスルホニル−4−フルオロ−安息香酸(49.39g、0.207mol)の水溶液(水150mL)を0℃で高攪拌しながら、それに亜硫酸ナトリウム(130g、1.034mol)をゆっくり加えた。添加完了後、反応液を昇温させて室温に戻して1時間経過させ、溶液のpHを2N水酸化ナトリウム溶液で約pH6〜7に維持した。白色乳懸濁液を濾過し、固体を2N水酸化ナトリウム溶液(150mL)および水(100mL)で洗浄した。濾液を氷浴で冷却し、新たな沈澱形成がなくなるまで濃HClを加えた(pH<1)。得られた白色沈澱を濾過し、加圧乾燥し、減圧下および活性化シリカ上にてデシケータ中に終夜放置した(27.92g、66%)。m/z(LC−MS、ESP)、RT=0.98分、(M−1)=203。
【0269】
4−(2−ブロモ−フェニルスルファニル)−3−スルフィノ−安息香酸
4−フルオロ−3−スルフィノ−安息香酸(13.5g、66mmol)およびNaOHペレット(11g、264mmol)の水溶液(水30mL)に、2−ブロモベンゼンチオール(25g、132mmol)を加えた。黄色混合物を10分間脱気し、140℃で48時間加熱した。反応液を冷却して0℃とし、濃HClでpH4〜5(pH試験紙)の酸性とした。生成した沈澱を濾過し、ヘキサンで洗浄し、真空デシケータ中において活性化シリカ上で終夜乾燥させた(20.69g、84%)。m/z(LC−MS、ESP)、RT=3.67分、(M−1)=373。
【0270】
6−ブロモ−チオアントレン−2−カルボン酸
メタンスルホン酸溶液(160mL)を攪拌しながら、それに4−(2−ブロモ−フェニルスルファニル)−3−スルフィノ−安息香酸(14g、38mmol)をゆっくり加えた。紫色溶液を60℃で3時間加熱した。反応液を冷却して室温とし、氷(300mL)に投入したところ、オフホワイト沈澱が生じた。その固体を濾過し、水(100mL)で洗浄し、真空デシケータ中で活性化シリカ上にて乾燥させた(9.48g、73%)。HNMR(300MHz、CDCl):δ=7.29(1H、t)、7.59(1H、dd)、7.70(1H、dd)7.74(1H、d)、7.87(1H、dd)、8.03(1H、d)。m/z(LC−MS、ESP)、RT=4.99分、(M−1)=339。
【0271】
6−ブロモ−チオアントレン−2−カルボン酸メチルエステル
6−ブロモ−チオアントレン−2−カルボン酸(9g、28mmol)のメタノール(180mL)溶液に、濃HSO(5mL)をゆっくり加えた。全ての固体が溶けて溶液となるまで(2時間)、乳白色懸濁液を80℃で加熱した。懸濁液を減圧下に濃縮した。水(100mL)を加え、有機層をジクロロメタンで抽出し(70mLで3回)、MgSOで脱水し、減圧下に溶媒留去して、黄色固体を得た(4.48g、45%)。HNMR(300MHz、CDCl):δ=3.94(3H、s);7.13(1H、t)、7.44(1H、dd)、7.54(1H、dd)7.61(1H、d)、7.93(1H、dd)、8.13(1H、d)。
【0272】
6−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−チオアントレン−2−カルボン酸メチルエステル
1,4−ジオキサン(15mL)中の6−ブロモ−チオアントレン−2−カルボン酸メチルエステル(1g、2.8mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.86g、3.4mmol)および酢酸カリウム(0.12g、0.14mmol)を、15分間脱気した。その黄色懸濁液に、PdCl(dppf)(78mg、0.14mmol)およびdppf(0.83g、8.5mmol)を加えた。得られた暗赤色混合物を、N雰囲気下に90℃で48時間加熱した。粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン)によって精製して、粘稠褐色油状物を得て(1.13g)、それをそれ以上精製せずに用いた。
【0273】
6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−カルボン酸メチルエステル(4)
6−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−チオアントレン−2−カルボン酸メチルエステル(1.1g、2.83mmol)、2−クロロ−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(3)(0.73g、3.4mmol)およびKCO(0.8g、5.66mmol)を脱水1,4−ジオキサン(7mL)に溶かした。混合物を15分間脱気し、Pd(PPh(0.16g、5mol%)を加えた。得られた暗褐色混合物をN雰囲気下に90℃で24時間加熱した。反応混合物を減圧下に濃縮し、水(100mL)を加えた。褐色固体を濾過し、水で洗浄した(1.23g、96%)。m/z(LC−MS、ESP)、RT=4.49分、(M+1)=454。
【0274】
6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−カルボン酸ナトリウム塩(5)
6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−カルボン酸メチルエステル(1.1g、2.43mmol)およびNaOHペレット(97mg、2.43mmol)をメタノール(40mL)に溶かした。褐色懸濁液をN下に80℃で24時間加熱した。溶媒を減圧下に除去し、残留物をジエチルエーテルで磨砕した。生成物を濾過によって微暗褐色粉末として回収した(1.11g、99%)。m/z(LC−MS、ESP)、RT=3.90分、(M+1)=438。
【0275】
6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−カルボン酸アミド誘導体
6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−カルボン酸ナトリウム塩(138)(20mg、0.04mmol)、HBTU(18mg、0.05mmol)、ジ−イソプロピルエチルアミン(9μL、0.05mmol)、適切なアミン(0.04mmol)および脱水ジメチルアセトアミド(0.5mL)。得られた暗褐色混合物を室温で2時間攪拌し、分取HPLCによって精製して、以下に示す所望の生成物を得た。
【表1】

【0276】

【0277】
実施例2:2−(7−アミノ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オンアミド誘導体
【化35】

【0278】
2−クロロ−5−ニトロ−ベンゼンスルフィン酸
1−クロロ−4−ニトロベンゼン(476g、3.02mol)のクロロスルホン酸(1リットル)溶液を、120℃で22時間攪拌加熱した。反応液を冷却して室温とし、氷(10リットル)上に攪拌しながらゆっくり投入した。得られた暗褐色沈澱を濾過し、加圧乾燥し、真空デシケータで終夜乾燥させ、それ以上精製せずに用いた(770g)。得られた2−クロロ−5−ニトロ−ベンゼンスルホニルクロライドを水に懸濁させ、冷却して0℃とした(氷浴)。その溶液を攪拌しながら、それに亜硫酸ナトリウム(1.9kg、15mol)を少量ずつ加えた(100gずつ、温度が25℃以下に維持されるように)。添加後、混合物を昇温させて室温に戻し、1時間攪拌したままとした。その間、8M水酸化ナトリウム溶液(400mL)を加えることで、溶液のpHをpH7〜8(ワットマン(Whattman)pH試験紙)に維持した。溶液を水(6L)で希釈し、水酸化ナトリウムをそれに加えた(8M、0.5リットル)。得られた混合物を焼結漏斗(No.3)で濾過した。濾液を冷却して0℃とし(氷浴)、濃HClでpH<1の酸性とした。そうして、褐色溶液が緑色となり、銀様緑色板状物が沈澱した。固体を濾過し、加圧乾燥し、真空デシケータで乾燥させて、標題化合物を得た(213g、32%)。
【0279】
2−(2−ブロモ−フェニルスルファニル)−5−ニトロ−ベンゼンスルフィン酸
NaOH(80.18g、2.004mol)の水溶液(水600mL、超音波処理および脱気)、2−ブロモチオフェノール(108.23mL、1.002mol)および2−クロロ−5−ニトロ−ベンゼンスルフィン酸(222.11g、1.002mol)を加えた。混合物を、125℃で19時間攪拌加熱した。反応液を冷却して0℃とし、pH<1になるまで濃HClを滴下漏斗から滴下した。生成した沈澱を濾過し、デシケータで終夜乾燥させ、それ以上精製せずに用いた(417.77g)。m/z(LC−MS、ESP)、RT=3.51分、(M−1)=372−374、(1:1、臭素同位体比が存在)。
【0280】
1−ブロモ−7−ニトロ−チオアントレン
薄く粉砕した2−(2−ブロモ−フェニルスルファニル)−5−ニトロ−ベンゼンスルフィン酸(208.5g、557mmol)を、攪拌しながらメタンスルホン酸(2リットル)にゆっくり溶かした。混合物を、50℃で17時間攪拌加熱した。溶液を、攪拌しながら氷(5リットル)上に注ぎ、濾過し、固体を回収した。残留物を水(500mL)に懸濁させ、濃アンモニアでpH8の塩基性とした。固体を濾過し、メタノール(1リットル)に懸濁させ、再度濾過した。固体を減圧下にデシケータで乾燥させて、標題化合物を得た(115g、61%)。m/z(LC−MS、ESP)、RT=5.53分(イオン化なし)。HNMR(300MHz、CDCl):δ=7.15(1H、t)、7.45(1H、dd)、7.58(1H、dd)、7.67(1H、d)、8.11(1H、dd)、8.31(1H、d)。
【0281】
6−ブロモ−チオアントレン−2−イルアミン
1−ブロモ−7−ニトロ−チオアントレン(125g、367.4mmol)の氷酢酸(500mL)溶液を0℃で(氷浴)攪拌しながら、それに亜鉛末(144.1g、2.2mol)を加えた。1時間後、氷浴を外し、溶液を室温で終夜反応させた。混合物をセライト層で濾過し、多量のジクロロメタンで洗浄し、濾液を減圧下に溶媒留去した。残留物に水を加え(500mL)、濃アンモニアを加えることでpHをpH8に調節した。生成した固体を濾過し、真空デシケータで乾燥させて標題化合物(118.5g)を得て、それ以上精製せずに用いた。m/z(LC−MS、ESP)、RT=4.92、(M+1)=310−312(1:1、臭素の同位体比が存在)。
【0282】
(6−ブロモ−チオアントレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
6−ブロモ−チオアントレン−2−イルアミン(118.51g、0.382mol)の脱水THF(500mL)溶液に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(100g、0.458mol)を加えた。混合物を、50℃で終夜攪拌加熱した。溶媒を減圧下に除去し、残留物をメタノール中で磨砕して、標題化合物を淡褐色固体として得た(40.87g、26%)。HNMR(300MHz、CDCl):δ=1.51(9H、s);6.50(1H、bs);7.08(1H、t);7.16(1H、dd);7.43(2H、m);7.51(1H、dd);7.71(1H、d)。
【0283】
[6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
1,4−ジオキサン(50mL)中の(6−ブロモ−チオアントレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(7.48g、18.24mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(6.48g、25.54mmol)および酢酸カリウム(6.27g、63.84mmol)。その黄色懸濁液に、PdCl(dppf)(745mg、0.91mmol)およびdppf(506mg、0.91mmol)を加えた。得られた暗赤色混合物をN雰囲気下に110℃で24時間加熱した。粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン)によって精製して、[6−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−チオアントレン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを粘稠褐色油状物として得て、それをそれ以上精製せずに用いた。
【0284】
[6−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−チオアントレン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(8.34g、18.24mmol)、2−クロロ−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(3)(4.72g、21.89mmol)および粉砕KCO(5.04g、36.48mmol)を、脱水1,4−ジオキサン(100mL)に溶かした。混合物を15分間脱気し、およびPd(PPh(1.02g、0.91mmol)を加えた。暗褐色混合物をN雰囲気下に100℃で24時間加熱した。反応混合物を減圧下に濃縮し、水(100mL)を加えた。褐色固体を濾過し、水で洗浄し、真空デシケータで終夜乾燥させ、それ以上精製せずに用いて、標題化合物を得た(11.87g)。m/z(LC−MS、ESP)、RT=4.61分、(M+1)=511.2。
【0285】
2−(7−アミノ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(21)
[6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(11.95g、23.4mmol)のジクロロメタン(150mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(30mL)を加え、室温で終夜にわたり攪拌状態とした。溶媒を減圧下に脱水して、粘稠暗褐色液体を得た。飽和重炭酸ナトリウム溶液(400mL)を残留物に加え、20分間攪拌状態に放置した。褐色沈澱を濾過し、水で洗浄し、真空デシケータで終夜乾燥させた。固体をカラムクロマトグラフィー(シリカ、MeOH/ジクロロメタン、3:97、Rf=0.28)によって精製した。HNMR(300MHz、CDCl):δ=3.24(2H、bs);3.46(4H、bs);3.81(4H、bs);6.33(1H、s);6.58(1H、m);6.86(1H、d);7.21(1H、d);7.30(1H、t);7.38(1H、d);7.63(1H、d);m/z(LC−MS、ESP)、RT=3.8分、(M+1)=411。
【0286】
2−(7−アミノ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オンアミド誘導体
小さい試験管に、攪拌しながら2−(7−アミノ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(21)(20mg、0.05mmol)、脱水ジメチルアセトアミド(0.5mL)、トリエチルアミン(0.01mL、0.08mmol)および所望の酸塩化物(0.08mmol)を加え、終夜経過させた。反応液を分取HPLCによって精製して、下記に示す所望の生成物を得た。
【表2】

【0287】

【0288】
2−(7−アミノ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オンビオチン誘導体
小さい試験管に、2−(7−アミノ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(21)(49mg、0.12mmol)、HBTU(51mg、0.13mmol)、ジ−イソプロピルエチルアミン(26μ、0.15mmol)、適切なビオチン誘導体(0.122mmol)および脱水ジメチルアセトアミド(0.5mL)を加えて終夜攪拌した。反応液を分取HPLCによって精製して、下記に示す所望の生成物を得た。
【表3】

【0289】
2−アミノ−N−[6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−イル]−アセトアミド誘導体
小さい試験管に2−(7−アミノ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(21)(20mg、0.05mmol)、脱水ジメチルアセトアミド(0.5mL)、トリエチルアミン(8μL、0.06mmol)およびクロロアセチルクロライド(4μL、0.06mmol)を加え、終夜攪拌した。適切なアミンまたはチオール(20mgまたは20μL)を加え、室温で終夜攪拌した。反応液を分取HPLCによって精製して、下記に示す所望の生成物を得た。
【表4】

【0290】

【0291】

【0292】
3−アミノ−N−[6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−イル]−プロピオンアミド誘導体
小さい試験管に2−(7−アミノ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(21)(20mg、0.05mmol)、脱水ジメチルアセトアミド(0.5mL)、トリエチルアミン(8μL、0.06mmol)および3−ブロモプロピオニルクロライド(5μL、0.05mmol)を加え、終夜攪拌した。適切なアミンまたはチオール(20mgまたは20μL、トリエチルアミンを加えることで塩酸塩を遊離させた)を加え、室温で終夜攪拌した。反応液を分取HPLCによって精製して、下記に示す所望の生成物を得た。
【表5】

【0293】

【0294】

【0295】
実施例3:2−(4−ヒドロキシ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン誘導体
【化36】

【0296】
チオアントレン−1−オール
チオアントレン(10g、46.23mmol)の脱水THF(200mL)溶液を冷却しながら(−78℃)、それにt−BuLi(1.7Mペンタン溶液、40.81mL、69.34mmol)を窒素雰囲気下に10分間かけて加え、得られた黄色溶液を昇温させて室温とし、さらに16時間高攪拌した。冷却した(0℃)反応混合物に、EtMgBr(3M THF溶液、23mL、69.34mmol)を滴下し、さらに45分間攪拌してから、溶液に酸素を吹き込んだ。2時間後、1M NaOH(100mL)を滴下することで反応停止し、EtOAcで洗浄してから(300mLで1回)、1M HCl水溶液でpH4の酸性とした。混合物をEtOAcで抽出し(100mLで3回)、脱水し(MgSO)、濾過し、減圧下に濃縮して、淡琥珀色スラリーを得た。それをフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(10:1、酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、標題化合物(3.82g、36%)を黄色固体として得た。m/z(LC−MS、ESP):、RT=4.62分、(M+1)=231。
【0297】
4−ブロモ−チオアントレン−1−オール
チオアントレン−1−オール(6.5g、27.98mmol)を氷酢酸(100mL)に溶かし、その溶液に臭素(17.1μL、13.99mmol)を30分間かけて滴下した。得られた琥珀色溶液に水(200mL)を加え、混合物をEtOAcで抽出した(100mLで3回)。合わせた有機抽出液を飽和重炭酸カリウム溶液で洗浄し(100mLで3回)、MgSOを用いて脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して標題化合物を得た(7.56g、87%)。m/z(LC−MS、ESP)、RT=4.92分、(M+1)=309。
【0298】
1−ブロモ−4−メトキシメトキシ−チオアントレン
4−ブロモ−チオアントレン−1−オール(1.0g、3.21mmol)のDMF(12mL)溶液を冷却し(0℃)、それにNaH(鉱油中60%分散品、0.23g、9.63mmol)を少量ずつ30分間かけて加え、その温度でさらに30分間攪拌した。クロロメチルメチルエーテル(0.26g、3.241mmol)を加え、反応液を室温で2時間攪拌した。混合物に水を加え、それをEtOAcを用いて抽出した(50mLで3回)。合わせた有機抽出液を脱水し(MgSO)、濾過し、減圧下に濃縮して、淡琥珀色液体を得た。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(10:1、ヘキサン/EtOAc)によって精製して、標題化合物を淡琥珀色油状物として得て、それは放置していると結晶化した(1.11g、97%)。m/z(LC−MS、ESP)、RT=5.55分、(M+1)=355。
【0299】
2−(4−メトキシメトキシ−チオアントレン−1−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン
1−ブロモ−4−メトキシメトキシ−チオアントレン(2.06g、5.80mmol)を脱水ジオキサン(10mL)に溶かし、その溶液に、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.75g、6.96mmol)、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.18g、0.05mmol)および酢酸カリウム(1.7g、17.40mmol)を窒素雰囲気下にて加えた。混合物を10分間脱気し、(1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.24g、5%当量)を加えた。反応液を窒素雰囲気下にて90℃で24時間加熱した。暗褐色反応混合物を放冷して室温としてから、それをヘキサン中で作った厚いシリカ層に乗せ、ヘキサン:CHCl−(2:1)で溶離した。溶離液を減圧下に濃縮して、暗褐色油状物(2.33g、100%)を得て、それをそれ以上精製せずに次の変換に用いた。RT=5.63分。
【0300】
2−(4−メトキシメトキシ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン
2−(4−メトキシメトキシ−チオアントレン−1−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン(6.23g、17.14mmol)、2−クロロ−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(3)(6.99g、17.40mmol)および粉末炭酸カリウム(7.20g、52.20mmol)を、窒素雰囲気下にて脱水ジオキサン(60mL)に懸濁させた。混合物を15分間脱気してから、テトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(1.2g、5%当量)を加え、添加後さらに15分間脱気した。反応液を90℃で24時間加熱した。水(60mL)を加え、混合物をEtOAcで抽出した(30mLで3回)。有機抽出液をMgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、暗黄色油状物を得た。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(9:1−EtOAc/MeOH)によって精製して、標題化合物(7.93g、79%)を緑色粉末として得た。m/z(LC−MS、ESP):RT=4.39分、(M+1)=456。
【0301】
2−(4−ヒドロキシ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(130)
2−(4−メトキシメトキシ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(1.1g、2.42mmol)のアセトン(50mL)溶液に、ヨウ化ナトリウム(0.40g、2.66mmol)および濃HCl(3mL)を加えた。暗懸濁液を室温で72時間攪拌してから、pH12が得られるまで1M水酸化ナトリウム溶液を注意深く加えた。混合物をEtOAcで洗浄し(50mLで2回)、pH1となるまで濃HClで酸性としたところ、褐色沈澱が生成し、それを濾過したら(0.90g、90%)、それは標題化合物に相当するものである。m/z(LC−MS、ESP):RT=4.39分、(M+1)=456。
【0302】
2−(4−ヒドロキシ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン誘導体
2−(4−ヒドロキシ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(130)(25mg、0.06mmol)の脱水ジメチルホルムアミド(0.66mL)溶液に、粉末炭酸カリウム(33mg、0.24mmol)および1,2−ジブロモエタン(26μL、0.3mmol)を加えた。反応混合物を24時間攪拌した後、適切なアミンまたはチオールを溶液に加え、室温でさらに24時間攪拌した。粗混合物を分取HPLCによって精製して、下記に示した所望の化合物を得た。
【表6】

【0303】

【0304】

【0305】
2−(4−ヒドロキシ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(130)(25mg、0.06mmol)の脱水ジメチルホルムアミド(0.66mL)溶液に、粉末炭酸カリウム(33mg、0.24mmol)および1,3−ジブロモプロパン(23μL、0.3mmol)を加えた。反応混合物を24時間攪拌した後、適切なアミンまたはチオールを溶液に加え、室温でさらに24時間攪拌した。粗混合物を分取HPLCによって精製して、下記に示した所望の化合物を得た。
【表7】

【0306】

【0307】

【化37】

【0308】
[4−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−1−イルオキシ]−酢酸メチルエステル
2−(4−ヒドロキシ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(130)(1.20g、2.91mmol)のジメチルホルムアミド(10mL)溶液に不活性雰囲気下にて、粉末炭酸カリウム(1.21g、8.75mmol)およびブロモ酢酸メチル(0.55mL、5.82mmol)を加えた。反応液の温度を上昇させて60℃として48時間経過させ、冷却して室温としてから、水(20mL)を加えた。混合物を酢酸エチルで抽出した(30mLで3回)。合わせた有機層を脱水し(MgSO)、濾過し、減圧下に濃縮して、標題化合物をオフホワイト固体(1.40g、99%)として得た。それは好適な純度を有するものであり、それ以上の精製は必要なかった、m/z(LC−MS、ESP):RT=4.48分、(M+1)=484。
【0309】
[4−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−1−イルオキシ]−酢酸ナトリウム塩
[4−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−1−イルオキシ]−酢酸メチルエステル(1.41g、2.91mmol)の脱水メタノール(10mL)溶液に、水酸化ナトリウム(120mg、2.91mmol)を一気に加えた。溶液を室温で24時間攪拌し、そこで減圧下に溶媒を除去して、標題化合物をオフホワイトペーストとして得た(1.43g、98%)。それはそれ以上精製する必要がなかった。m/z(LC−MS、ESP):RT=3.79分、(M−23)=468。
【0310】
[4−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−1−イルオキシ]−酢酸誘導体
[4−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−1−イルオキシ]−酢酸ナトリウム塩(20mg、0.04mmol)のジメチルアセトアミド(1mL)溶液に、ヘキサフルオロリン酸O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウム(25mg、0.07mmol)と次にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(16μL、0.09mmol)を加えた。最後に、適切なアミンまたはチオールを溶液に加え、それを室温で24時間攪拌した。粗混合物を分取HPLCによって精製して、下記に示した所望の化合物を得た。
【表8】

【0311】

【0312】

【0313】
実施例4:2−モルホリン−4−イル−6−(10H−フェノチアジン−4−イル)−ピラン−4−オンアルキル誘導体
【化38】

【0314】
10H−フェノチアジン−4−オール
3−フェニルアミノ−フェノール(5g、26.99mmol)の1,2−ジクロロベンゼン(50mL)溶液に、を加えS硫黄(1.82g、56.76mmol)を一気に加え、ヨウ素(0.1g、0.39mmol)を10分間かけて3回に分けて加えた。還流冷却管を反応容器に取り付け、それを窒素雰囲気下に185℃で加熱した。混合物をその温度で4時間攪拌してから、放冷して室温とした。反応混合物を濾過して黒色沈澱を除去し、濾液をEtO(100mL)で希釈し、水で洗浄した(100mLで2回)。有機層を分離し、揮発性溶媒を除去して、深緑色油状物を得た。それをフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO)(ヘキサン、次に8:1−ヘキサン:EtOAc)によって精製して、淡黄色固体(2.38g、40.96%)を得た。m/z(LC−MS、ESP)216[M+H]、RT=4.12分。
【0315】
4−ヒドロキシ−フェノチアジン−10−カルボン酸tert−ブチルエステル
10H−フェノチアジン−4−オール(0.77g、3.58mmol)の脱水ピリジン(10mL)溶液に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(3.12g、14.31mmol)を一気に加えた。溶液を加熱して80℃とし、窒素雰囲気下にて60分間攪拌してから、放冷して室温とし、水(20mL)で処理し、EtOAcで抽出した(30mLで2回)。有機層を水(20mL)で洗浄し、MgSOを用いて脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して琥珀色油状物を得た。粗残留物をMeOH(15mL)および固体NaOH(0.65g、16.25mmol)で処理した。混合物を80℃で60分間加熱し、冷却して室温とし、1M HCl溶液で中和してpH7とした。得られた懸濁液を濾過し、脱水して、標題化合物をベージュ色固体として得た(1.13g、100%)。それをそれ以上精製せずに用いた。m/z(LC−MS、ESP):315[M−H]、RT=4.72分。
【0316】
4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−フェノチアジン−10−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−ヒドロキシ−フェノチアジン−10−カルボン酸tert−ブチルエステル(3.60g、11.41mmol)のピリジン(40mL)溶液を冷却(0℃)下に攪拌しながら、それに無水トリフルオロメタンスルホン酸(2.95mL、17.09mmol)を10分間かけて滴下した。反応混合物を0℃で1時間攪拌してから、水(80mL)を加えた。混合物をEtOAcを用いて抽出した(60mLで2回)。有機抽出液をMgSOを用いて脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、暗褐色油状物を得た。粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(4:1−ヘキサン:EtOAc)によって精製して、黄色油状物を得た(5.02g、98.24%)。m/z(LC−MS、ESP):348[M+H−BOC]、RT=5.61分。
【0317】
4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェノチアジン−10−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−フェノチアジン−10−カルボン酸tert−ブチルエステル(3.0g、6.7mmol)の脱水ジオキサン(10mL)溶液を攪拌しながら、それにビス(ピナコラト)ジボロン(2.05g、8.06mmol)および酢酸カリウム(1.96g、20.01mmol)を加えた。反応液を脱気してから(20分間超音波処理してから、Nで飽和)、ジクロロ[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.27g、0.33mmol)を加えた。反応混合物をさらに20分間脱気してから、反応容器に還流冷却管を取り付け、加熱して90℃として、72時間高攪拌した。暗褐色反応混合物を放冷して室温としてから、それをヘキサン中で作った厚いシリカ層に乗せ、ヘキサン:CHCl−(2:1)で溶離した。溶離液を減圧下に濃縮して暗褐色油状物(2.85g、100%)を得た。それをそれ以上精製せずに次の変換に用いた。m/z(LC−MS、ESP):326[M+H−BOC]、RT=5.86分。
【0318】
4−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−フェノチアジン−10−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェノチアジン−10−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.85g、6.70mmol)の脱水ジオキサン(20mL)溶液を攪拌しながら、それに粉末炭酸カリウム(2.03g、14.68mmol)および2−クロロ−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(3)(1.44g、6.70mmol)を加え、混合物を十分に脱気した(20分間超音波処理してから、Nで飽和)。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを一気に加え、混合物を再度脱気してから(20分間超音波処理してから、Nで飽和)、還流冷却管を取り付け、混合物を窒素雰囲気下に100℃で20時間加熱した。水(30mL)を加え、混合物をEtOAcで抽出した(30mLで3回)。有機抽出液をMgSOを用いて脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して暗褐色結晶固体(3.21g、100%)を得た。それをそれ以上精製せずに次に用いた。m/z(LC−MS、ESP):479[M+H]、RT=4.55分。
【0319】
2−モルホリン−4−イル−6−(10H−フェノチアジン−4−イル)−ピラン−4−オン(239)
4−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−フェノチアジン−10−カルボン酸tert−ブチルエステル(3.65g、7.63mmol)のCHCl(30mL)溶液を攪拌しながら、それにトリフルオロ酢酸を一気に加えた。混合物を室温で20時間攪拌し、そこで反応液を減圧下に濃縮して、粘稠シロップを得た。それを飽和NaHCO(40mL)の滴下によって塩基性とした。得られた暗緑色混合物を室温で18時間攪拌した。混合物を濾過し、濾過物(filtrant)を取り、水で洗浄し、乾燥させて、標題化合物を暗緑色固体として得た(2.89g、3段階で83.74%)。m/z(LC−MS、ESP):479[M+H]、RT=4.05分。
【0320】
2−モルホリン−4−イル−6−(10H−フェノチアジン−4−イル)−ピラン−4−オンアルキル誘導体
2−モルホリン−4−イル−6−(10H−フェノチアジン−4−イル)−ピラン−4−オン(239)(20mg、0.05mmol)のジメチルホルムアミド(0.5mL)溶液を冷却しながら(0℃)、それに水素化ナトリウム(鉱油中60%分散品、6mg、0.15mmol)を加えた。得られた褐色溶液を1時間攪拌し、そこで1−ブロモ−3−クロロプロパン(6.6μL、0.06mmol)を一気に加え、室温で1時間攪拌した。適切なアミンを加え、反応混合物を60℃で48時間加熱し、分取HPLCによって精製して、下記に示した所望の生成物を得た。
【表9】

【0321】

【0322】

【0323】

【0324】

【0325】

【0326】

【0327】
実施例5:2−(7−アミノ−9H−チオキサンテン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オンN−アミド誘導体
【化39】

【0328】
2−(2−ブロモ−フェニルスルファニル)−5−ニトロ−安息香酸
KOH(9.6g、172mmol)の水溶液(水50mL)を15分間脱気したものに、2−ブロモベンゼンチオール(7.2mL、85.9mmol)を加えた。2−フルオロ−5−ニトロ安息香酸(15.9g、85.9mmol)を反応混合物に加え、それを窒素雰囲気下に終夜還流させた。反応液を冷却して室温とし、濃HClで酸性とした(pH1)。生成した沈澱を濾過し、真空乾燥機(50℃)で終夜乾燥させて、粗標題化合物を淡黄色固体として得た(30g、99%)。生成物を、それ以上精製せずに用いた。m/z(LC−MS、ESP)、RT=4.51分、(M−1)=352−354、(1:1、臭素の同位体比が存在)。
【0329】
5−ブロモ−2−ニトロ−チオキサンテン−9−オン
2−(2−ブロモ−フェニルスルファニル)−5−ニトロ−安息香酸(34g、96mmol)をメタンスルホン酸(400mL)に懸濁させ、150℃で加熱した。粗混合物を、高攪拌しながら氷にゆっくり注ぎ、生成した沈澱を濾過した。固体を水(50mL)に懸濁させ、濃アンモニア溶液で反応停止してpH7〜8とし、濾過した。黄色/ライム色固体を減圧下に50℃で乾燥させて、粗標題化合物を得た。それをそれ以上精製せずに用いた(23.09g、72%)。
【0330】
5−ブロモ−2−ニトロ−9H−チオキサンテン
5−ブロモ−2−ニトロ−チオキサンテン−9−オン(23.03g、68.5mmol)の脱水テトラヒドロフラン(100mL)懸濁液を窒素雰囲気下に冷却し(0℃)、それにボラン−THF錯体(151mL、1.0M THF溶液)を滴下した。混合物を昇温させて室温として、終夜攪拌した。反応混合物を冷却し(0℃)、過剰のボランをアセトンで失活させた。溶媒を減圧下に留去し、残留物を飽和重炭酸ナトリウム(100mL)中で磨砕した。固体を濾過し、水で洗浄し、真空デシケータで終夜乾燥させて、標題化合物を得た(22.07g、100%)。HNMR(300MHz、CDCl):δ=4.02(2H、s)、7.17(1H、m)、7.27(1H、m)、7.51(1H、m)、7.62(1H、m)、8.09(1H、m)、8.20(1H、d)。
【0331】
5−ブロモ−9H−チオキサンテン−2−イルアミン
5−ブロモ−2−ニトロ−9H−チオキサンテン(28.64g、88.9mmol)の氷酢酸(300mL)溶液を0℃(氷浴)で攪拌しながら、それにZn末(34.87g、533mmol)を加えた。1時間後、氷浴を外し、溶液を室温で終夜反応させた。混合物をセライト層で濾過し、多量のジクロロメタンで洗浄し、濾液を減圧下に溶媒留去した。残留物に水(800mL)を加え、濃アンモニア(100mL)を加えることでpHをpH8に調節した。生成した固体を濾過し、真空デシケータで乾燥させて、標題化合物(26.64g)を得て、それ以上精製せずに用いた。m/z(LC−MS、ESP)、RT=4.53分、(M+1)=294−292(1:1、臭素の同位体比が存在)。
【0332】
(5−ブロモ−9H−チオキサンテン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
ジ−tert−ブチルジカーボネート(22g、99mmol)を、5−ブロモ−9H−チオキサンテン−2−イルアミン(19.28g、66mmol)の脱水THF(150mL)溶液に加えた。混合物を、50℃で終夜にわたり攪拌加熱した。溶媒を減圧下に除去し、残留物を水中で磨砕して褐色固体を得て、それをカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン)によって精製して、標題化合物を毛羽状白色固体として得た(18.28g、71%)。HNMR(300MHz、CDCl):δ=1.55(9H、s)、3.88(2H、s)、6.45(1H、bs)、7.06(2H、m)、7.23(1H、d)、7.39(1H、d)、7.45(1H、d)、7.58(1H、bs)。
【0333】
[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
脱水1,4−ジオキサン(6mL)中の(5−ブロモ−9H−チオキサンテン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(1g、2.55mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.78g、3.06mmol)および酢酸カリウム(0.75g、7.65mmol)。その黄色懸濁液に、PdCl(dppf)(0.10g、0.13mmol)およびdppf(7mg、0.13mmol)を加えた。暗赤色混合物を、N雰囲気下にて110℃で24時間加熱した。粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン)によって精製して、[5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを粘稠褐色油状物として得た。それを、それ以上精製せずに用いた(1.12g)。
【0334】
[5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(1.12g)、2−クロロ−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(0.66g、3.06mmol)および粉砕KCO(0.71g、5.10mmol)を脱水1,4−ジオキサン(5mL)に溶かした。混合物を15分間脱気し、Pd(PPh(0.15g、0.13mmol)を加えた。暗褐色混合物をN雰囲気下にて100℃で24時間加熱した。反応混合物を減圧下に濃縮し、水(50mL)を加えた。褐色固体を濾過し、水で洗浄し、真空デシケータ中で終夜乾燥させて、それ以上精製せずに用いた(1.51g)。m/z(LC−MS、ESP)、RT=4.47分、(M+1)=493。
【0335】
2−(7−アミノ−9H−チオキサンテン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(337)
[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(19)(1.08g、2.19mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(2mL)を加え、室温で攪拌下に終夜経過させた。溶媒を減圧下に乾燥させて、粘稠暗褐色液体を得た。その残留物に飽和重炭酸ナトリウム溶液(20mL)を加え、それを20分間攪拌した。褐色沈澱を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥機で終夜乾燥させた(0.77g、90%)。HNMR(300MHz、DMSO−d):δ=3.40(4H、t)、3.70(4H、t)、3.77(2H、s)、5.23(2H、bs)、5.50(1H、d)、6.17(1H、d)、6.44(1H、dd)、6.65(1H、d)、7.09(1H、d)、7.35(1H、t)、7.47〜7.59(2H、m);m/z(LC−MS、ESP)、RT=3.51分、(M+1)=392。
【0336】
2−(7−アミノ−9H−チオキサンテン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オンN−アミド誘導体
小さい試験管に2−(7−アミノ−9H−チオキサンテン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(337)(20mg、0.05mmol)、脱水ジメチルアセトアミド(0.5mL)、トリエチルアミン(8μL、0.06mmol)およびクロロアセチルクロライド(4μL、0.06mmol)を加え、終夜攪拌した。適切なアミンまたはチオール(20mgまたは20μL)を加え、室温で終夜攪拌した。反応液を分取HPLCによって精製して、下記に示した所望の生成物を得た。
【表10】

【0337】

【0338】
実施例6:2(−(7−ヒドロキシ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イルピラン−4−オンエーテルおよびアセトアミド誘導体)の合成
【化40】

【0339】
2−(7−ヒドロキシ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(357)
2−(7−アミノ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(21)(575mg、1.4mmol)のエタノール(5mL)溶液に、テトラフルオロボロン酸(54重量%エーテル溶液、3mL、1.68mmol)を懸濁させた。混合物を室温で10分間攪拌してから、冷却して0℃とした。亜硝酸ブチル(220μL、2.8mmol)を滴下し、混合物を30分間攪拌してから、ジエチルエーテル(40mL)を加えることで沈澱を生成させた。固体を濾過によって回収し、冷ジエチルエーテル(30mL)で洗浄し、硝酸第二銅・3水和物(210g、870mmol)および酸化第一銅(190mg、1.31mmol)の水溶液(水300mL)に加えた。反応液を12時間攪拌してから、濾過した。濾過物を水で洗浄し、デシケータで乾燥させて、それ以上精製せずに標題化合物を得た(0.58g、100%)。NMR(300MHz、CDCl):δ=10.08(1H、bs);7.76(1H、dd);7.60(1H、dd);7.46(1H、dd);7.35(1H、dd);7.02(1H、d);6.74(1H、dd);6.24(1H、d);5.55(1H、d);3.69(H、m)、3.36(4H、m);m/z(LC−MS、ESP)、RT=3.83分、(M+1)=412。
【0340】
2−[7−(2−ブロモ−エトキシ)−チオアントレン−1−イル]−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オンエーテル誘導体
2−(7−ヒドロキシ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(357)(20mg、0.049mmol)の脱水DMF(1mL)溶液に、粉末炭酸カリウム(20mg、0.147mmol)およびジブロモエタン(0.019mL、0.23mmol)を加えた。混合物を60℃で16時間攪拌してから、ジイソプロピルエチルアミン(0.29mmol)、適切なアミン(0.29mmol)を加えた。60℃で24時間攪拌しながら反応を維持してから、粗混合物を分取HPLCによって精製して、下記の所望の化合物を得た。
【表11】

【0341】

【0342】

【0343】

【0344】
[6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−イルオキシ]−酢酸メチルエステル
2−(7−ヒドロキシ−チオアントレン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(357)(20mg、0.049mmol)の脱水DMF懸濁液に、粉末炭酸カリウム(20mg、0.145)、次にブロモ酢酸メチル(0.01mL、0.106mmol)を加えた。混合物を昇温させて60℃とし、攪拌しながらその温度に2時間維持した。反応液を冷却し、水(5mL)に投入し、酢酸エチルを用いて抽出し(5mLで3回)、水で洗浄した(5mLで2回)。合わせた有機層を脱水し(MgSO)、濾過し、減圧下に濃縮して黄色固体(22mg、94%)を得て、それは標題化合物に通じるものであり、それ以上精製せずに用いた。m/z(LC−MS、ESP)、RT=4.13分、(M+1)=484。
【0345】
[6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−イルオキシ]−酢酸ナトリウム塩
[6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−イルオキシ]−酢酸メチルエステル(22mg、0.045mmol)のメタノール(2mL)溶液に、固体水酸化ナトリウム(2mg、0.045mmol)を加えた。混合物を、60℃で1時間にわたり高攪拌および加熱した。その後、混合物を減圧下に濃縮して乾固させることで、標題化合物を得て(22.4mg、100%)、それ以上精製せずに用いた。
【0346】
2−[6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−イルオキシ]−アセトアミド誘導体
[6−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−チオアントレン−2−イルオキシ]−酢酸ナトリウム塩(22.4mg、0.045mmol)の脱水DMF(1mL)溶液に、HBTU(25.9mg、0.068mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.1mL)および適切なアミン(0.137mmol)を加えた。混合物を室温で72時間攪拌し、その後、粗混合物を分取HPLCによって精製して、下記に示した所望の化合物を得た。
【表12】

【0347】

【0348】

【0349】

【0350】
実施例7:5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−スルホン酸アミド誘導体、2−[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ]−アセトアミド誘導体および2−[7−(2−アミノ−エトキシ)−9H−チオキサンテン−4−イル]−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン誘導体
【化41】

【0351】
5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−スルホニルクロライド
2−(7−アミノ−9H−チオキサンテン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(337)(1.03g、2.61mmol)のエタノール(10mL)中懸濁液混合物に対して、テトラフルオロホウ酸(54重量%ジエチルエーテル溶液として供給、5.5mL、39.92mmol)を加えた。反応液を室温で10分間攪拌してから、冷却して0℃とし、亜硝酸ブチル(600μL、5.1mmol)を加えた。反応液を室温で1時間攪拌してから、それをジエチルエーテル(80mL)に投入し、沈澱を濾取した。濾取した固体を冷エーテル(60mL)で洗浄し、二酸化硫黄の飽和酢酸溶液に加えた。混合物を室温で2時間攪拌し、そこでそれをCHClで抽出した(30mLで3回)。合わせたジクロロメタン抽出液を水で洗浄し(20mLで1回)、MgSOを用いて脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して標題化合物を得た。それはそれ以上精製せずに用いた(1.19g、100%)、m/z(LC−MS、ESP)、RT=4.46分、(M+1)=478。
【0352】
ガス10gが溶解するまで、高攪拌した酢酸溶液(100mL)にSOガスを吹き込むことで、酸性SO溶液を調製した。溶液を塩化銅(II)(4g)の水(10mL)懸濁液で処理した。混合物を攪拌し、濾過して、エメラルドグリーン色の溶液を得て、それをそれ以上精製せずに用いた。
【0353】
5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−スルホン酸アミド誘導体
5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−スルホニルクロライド(20mg、0.02mmol)をDMF(1mL)で希釈し、その溶液に適切なアミン(0.04mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(80μL、0.46mmol)を加えた。反応混合物を室温で24時間攪拌後、粗混合物を分取HPLCによって精製して、下記に示した所望の化合物を得た。
【表13】

【0354】

【0355】

【0356】

【0357】
[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ]−酢酸メチルエステル
2−(7−アミノ−9H−チオキサンテン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(1.01g、2.56mmol)の脱水DMF(25mL)溶液に、粉末炭酸カリウム(716mg、5.18mmol)と次にブロモ酢酸メチル(400μL、4.1mmol)を加えた。反応液を室温で100時間攪拌し、そこで水(75mL)を滴下することで反応停止した。混合物をEtOAcを用いて抽出した(30mLで3回)。有機抽出液を合わせ、MgSOを用いて脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、標題化合物を褐色油状物として得て、それをそれ以上精製せずに用いた(1.02g、85.7%)、m/z(LC−MS、ESP)、RT=4.05分、(M+1)=466。
【0358】
[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ]−酢酸ナトリウム塩
[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ]−酢酸メチルエステル(1.02g、2.18mmol)のTHF(25mL)溶液に、NaOH水溶液(2.4mL、2.4mmol、1M溶液)を加えた。混合物を40℃で2時間攪拌し、そこで冷却して室温とし、減圧下に濃縮して褐色油状物を得た。残留物をトルエンと共沸させて(10mLで3回)、標題化合物を微細な暗褐色粉末として得て、それ以上精製せずに用いた(1.03g、100%)、m/z(LC−MS、ESP)、RT=3.72分、(M+1)−Na=452。
【0359】
2−[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ]−アセトアミド誘導体
[5−(6−モルホリン−4−イル−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ]−酢酸ナトリウム塩(20mg、0.04mmol)を脱水DMF(0.5mL)で希釈した。その溶液に、HBTU(33mg、0.09mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(74μL、0.2mmol)および適切なアミン(0.08mmol)を加えた。反応混合物を室温で24時間攪拌した後、粗混合物を分取HPLCによって精製して、下記に示した所望の化合物を得た。
【表14】

【0360】

【0361】

【0362】

【0363】
2−[7−(2−アミノ−エトキシ)−9H−チオキサンテン−4−イル]−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン誘導体
2−(7−ヒドロキシ−9H−チオキサンテン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−ピラン−4−オン(20mg、0.05mmol)のDMA(1mL)溶液に、0℃でNaH(鉱油中60%分散品、6mg0.15mmol)を加えた。混合物を0℃で30分間攪拌してから、1,2−ジブロモエタン(19mg、0.1mmol)を加えた。混合物を昇温させて室温とし、その状態で12時間攪拌してから、適切なアミンを加えた。反応液をさらに24時間攪拌し、粗混合物を分取HPLCによって精製して、下記に示した所望の化合物を得た。
【表15】

【0364】
B)生物学的実施例
材料および方法
in vitroのATM阻害アッセイ
in vitroでのATMに対する化合物の阻害作用を評価するため、下記のアッセイを用いて、IC50値を求めた。
【0365】
ヒトATMタンパク質のC末端の約500アミノ酸残基に対して形成したウサギポリクローナル抗血清を用いて、ATMタンパク質をHeLa細胞核抽出物から免疫沈降させた。その免疫沈降は、バニンらの報告(Banin, S. et al. (1998))に記載の方法に従って行った。V字底96ウェルポリプロピレンプレートで、免疫沈降ATMのバッファーC(50mM Hepes、pH7.4、6mM MgCl、150mM NaCl、0.1mMオルトバナジン酸ナトリウム、4mM MnCl、0.1mMジチオトレイトール、10%グリセリン)10μLを、ATM基質GSTp53N66 1μgを含むバッファーC 32.5μLに加えた。GSTp53N66基質は、グルタチオンS−トランスフェラーゼに融合したヒト野生型p53のアミノ末端66アミノ酸残基である。ATMは、残基のセリン15上でp53をリン酸化する(Banin, S. et al. (1998))。次に、各種濃度の阻害薬を加えた。全ての化合物をDMSOで希釈して、100μM〜0.1nMの最終アッセイ濃度を得て、DMSOの最終濃度は1%とした。37℃で10分間インキュベーションした後、500μM Na−ATP 5μLを加えることで反応を開始した。37℃で1時間振盪した後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)150μLを反応液に加えて、プレートを1500rpmで10分間遠心した。反応液5μLをPBS 45μLを含む96ウェル不透明白色プレートに移して、GSTp53N66基質をプレートウェルに結合させた。プレートを覆い、振盪しながら室温で1時間インキュベートしてから、内容物を廃棄した。プレートウェルをPBSを加えることで2回洗浄してから、3%(重量/容量)ウシ血清アルブミン(BSA)のPBS溶液を加えた。プレートを振盪しながら室温で1時間インキュベートしてから、内容物を廃棄し、PBSで2回洗浄した。ウェルに、一次ホスホセリン−15抗体(セル・シグナリング・テクノロジー(Cell Signaling Technology)、#9284L)の3%BSA/PBS液の1:10000希釈液50μLを加えて、ATMキナーゼによって誘導されたp53のセリン15残基上でのリン酸化事象を検出した。振盪しながら室温で1時間インキュベートした後、ウェルをPBSで4回洗浄してから、抗ウサギHRP複合二次抗体(ピアス(Pierce)、31462)を加え、室温で1時間振盪した。次に、ウェルをPBSで4回洗浄してから、化学発光試薬(NENルネッサンス(NEN Renaissance)、NEL105)を加えた。プレートを短時間振盪し、透明なプレートシールで覆い、トップカウント(TopCount)NXTに移して化学発光のカウンティングに供した。1秒間のカウンティング時間によるカウント/秒を、各反応について記録した。
【0366】
各化合物についての酵素活性を、下記等式を用いて計算する。
【0367】
(阻害%)=100−〔[{(未知物のcpm)−(平均負cpm)}x100]/{(平均正cpm)−(平均負cpm)}〕
結果
in vitroでのATMアッセイ
上記の方法を用いて、化合物についてATM阻害活性のアッセイを行った。結果を、IC50値(酵素活性の50%が阻害される濃度)として下記に詳細に示した。これらは、広範囲の各種濃度にわたって、通常は100μMから0.1nMまで測定する。そのようなIC50値を比較値として用いて、化合物の効力上昇を確認する。
【0368】
以下の化合物は200nM未満のIC50値を有していた。
【0369】
6、8、9、11、13〜19、21〜129、148、153、164、170、172、181、182、200、240〜257、259〜262、264、266、267、270〜272、274、277、280〜292、294〜307、311、312、315、321、322、324、326〜331、333、336、338〜356、359、361、366、367、378、379、381〜383、395、398、399、403、405、407、409〜411、414、416〜419、424、426、427、430、433〜442、444〜446、450、454、455、457〜459、462、465〜466、468〜469、471〜476、478、480、482、484、485、488〜490、493、494、496〜497、499〜501、504〜507、509〜513、515、516、518、520〜526、528、532〜533、537、540〜542。
【0370】
上記のもの以外に、下記の化合物は10μM未満のIC50値を有していた。
【0371】
7、10、12、20、131〜147、149〜152、154〜163、165〜169、171、173〜180、183〜199、201〜238、256、258、263、265、268、269、273、275、276、278、279、293、308〜310、313、314、316〜320、322、323、325、332、334、335、358、362、363、365、368、370〜375、377、380、384〜392、400〜402、406、408、412、413、415、421〜423、425、428、429、431〜432、443、447〜449、452、453、456、460、461、463、464、470、477、481、483、486、487、491、492、495、498、502、503、514、517、519、527、529〜531、534〜536、538。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iの化合物ならびに該化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグ。
【化1】

[式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
N1は、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基およびアミド基から選択される。]
【請求項2】
N1が、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基およびエステル基から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
N1が置換されていても良いC1−2アルキル基であり;前記適宜の置換基が好ましくはヒドロキシル、C1−7アルコキシアシルおよびアミドから選択される請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
N1が置換されていても良いC5−7アリール基である請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
N1が置換されていても良いフェニル、ピリジルまたはピリミジル基である請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
N1がアシル基であり;該アシル置換基がC1−7アルキル基またはC5−7アリール基のいずれかである請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
N1がエステル基であり;該エステル置換基がC1−7アルキル基である請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
下記式IIの化合物ならびに該化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグ。
【化2】

[式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
C1は−NRであって、RおよびRは独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、またはそれらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており、あるいはRC1は下記式IIa:
【化3】

のものであり、RC2は、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、エステル基、エーテル基およびアミノ基から選択される。]
【請求項9】
C1が−NRであり;RおよびRがHおよび置換されていても良いC1−7アルキル基から選択される請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
C1が式IIaのものである請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
C2が、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基およびエステル基から選択される請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
C2がエステル基であり;該エステル置換基がC1−7アルキル基である請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
C2が、少なくとも1個の窒素環原子を有する置換されていても良いC5−7複素環基である請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
C2が置換されていても良いC5−6アリール基である請求項11に記載の化合物。
【請求項15】
C2が、置換されていても良いフェニルおよび窒素、酸素および硫黄から選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を有するC5−6ヘテロアリール基から選択される請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
C2が置換されていても良いC1−7アルキル基であり;適宜の置換基がアミノ、チオエーテル、エステル、C5−20アリール、C3−20複素環、アシルオキシ、エーテルおよびアルコキシから選択される請求項11に記載の化合物。
【請求項17】
C2が下記式IIbのものである請求項11に記載の化合物。
【化4】

[式中、
rは1〜3であり;
N2およびRN3は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。]
【請求項18】
N2およびRN3が独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
下記式IIIの化合物ならび該化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグ。
【化5】

[式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
C3は下記式:
【化6】

のものであり、rは0または1であり;rが0の場合はqは1または2であることができ、rが1である場合はqは1であり;
N4およびRN5は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。]
【請求項20】
r=0である請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
N4およびRN5が独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
N4およびRN5のうちの一方が置換されていても良いC1−7アルキル基であり、他方が好ましくはHであり;前記適宜の置換基がヒドロキシ、アミノ、シアノ、C3−20複素環およびC5-20アリール(より好ましくはC5−7アリール)から選択される請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
N4およびRN5のうちの一方が下記式IIbのものである請求項19に記載の化合物。
【化7】

[式中、
rは1〜3であり;
N2およびRN3は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。]
【請求項24】
N2およびRN3が独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
N4およびRN5が、それらが結合している窒素原子と一体となって、ピペリジン、ホモピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジンおよびモルホリノから選択される環を形成している請求項19に記載の化合物。
【請求項26】
前記環がピペラジンまたはホモピペラジンであり;他の窒素環原子が、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基またはアミド基から選択される基によって置換されている請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
下記式IVの化合物ならびに該化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグ。
【化8】

[式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
N6は、下記式:
【化9】

のものであり;
N7およびRN8は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。]
【請求項28】
N7およびRN8が水素、置換されていても良いC1−7アルキル基および置換されていても良いC3−20複素環基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
N7およびRN8のうちの一方が置換されていても良いC1−7アルキル基であり、他方がHであり;前記適宜の置換基がヒドロキシ、ハロ、アミノ、C4−7シクロアルキル、C3−20複素環およびC5−20アリールから選択される請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
N7およびRN8のうちの一方が下記式IIbのものである請求項27に記載の化合物。
【化10】

[式中、
rは1〜3であり;
N2およびRN3は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。]
【請求項31】
N2およびRN3が独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
N7およびRN8が、それらが結合している窒素原子と一体となって、ピロール、ピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジンおよびモルホリノから選択される環を形成している請求項28に記載の化合物。
【請求項33】
前記環がピペラジンまたはホモピペラジンであり;他の窒素環原子が、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基およびアミド基から選択される基によって置換されている請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
下記式Vの化合物ならびに該化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグ。
【化11】

[式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
nは1または2であり;
N9は、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基またはアミド基から選択され;
ただし、RN9は未置換メチル基以外である。]
【請求項35】
N9が、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基またはアシル基から選択され;ただし、RN9は未置換メチル基以外のものである請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
N9が置換されていても良いC1−2アルキル基であり;前記適宜の置換基がヒドロキシル、C1−7アルコキシ、アシルおよびアミドから選択される請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
N9が置換されていても良いフェニル、ピリジルまたはピリミジル基である請求項35に記載の化合物。
【請求項38】
N9がアシル基であり;該アシル置換基がC1−7アルキル基またはC5−7アリール基である請求項35に記載の化合物。
【請求項39】
下記式VIの化合物ならびに該化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグ。
【化12】

[式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
C4は、下記式:
【化13】

のものであり;rは0または1であり、rが0の場合はqは1または2であることができ、rが1の場合はqは1であり;
N4およびRN5は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。]
【請求項40】
r=0である請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
N4およびRN5が独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している請求項39に記載の化合物。
【請求項42】
N4およびRN5のうちの一方が置換されていても良いC1−7アルキル基であり、他方が好ましくはHであり;前記適宜の置換基がヒドロキシ、ハロ、C1−7アルコキシ、チオール、C1−7チオエーテル、アミノ、エステル、シアノ、C3−20複素環およびC5−20アリールから選択される請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
N4およびRN5のうちの一方が下記式IIbのものである請求項39に記載の化合物。
【化14】

[式中、
rは1〜3であり;
N2およびRN3は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。]
【請求項44】
N2およびRN3が独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
N4およびRN5が、それらが結合している窒素原子と一体となって、ピペリジン、ホモピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジンおよびモルホリノから選択される環を形成している請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
前記環がピペラジンまたはホモピペラジンであり;他の窒素環原子が、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基およびアミド基から選択される基によって置換されている請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
下記式VIIの化合物ならびに該化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグ。
【化15】

[式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
N10およびRN11は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。]
【請求項48】
N10およびRN11が独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
N10およびRN11のうちの一方が置換されていても良いC1−7アルキル基であり、他方がHであり;前記適宜の置換基がヒドロキシ、ハロ、シアノ、NH、C1−7アルコキシ、C1−7チオエーテル、C3−20複素環およびC5−20アリールから選択される請求項48に記載の化合物。
【請求項50】
N10およびRN11が、それらが結合している窒素原子と一体となって、ピペリジン、ホモピペラジン(homopiperadine)、ピペラジン、ホモピペラジン(homopiperazine)、モルホリノおよびチオモルホリノから選択される環を形成している請求項48に記載の化合物。
【請求項51】
前記環がピペラジンまたはホモピペラジン(homopiperazine)であり;他の窒素環原子が、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基およびアミド基から選択される基によって置換されている請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
下記式VIIIの化合物ならびに該化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグ。
【化16】

[式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
N12およびRN13は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。]
【請求項53】
N12およびRN13が独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している請求項52に記載の化合物。
【請求項54】
N12およびRN13のうちの一方が置換されていても良いC1−7アルキル基であり、他方がHであり;前記適宜の置換基がヒドロキシ、ハロ、シアノ、NH、C1−7アルコキシ、C1−7チオエーテル、C3−20複素環およびC5−20アリールから選択される請求項52に記載の化合物。
【請求項55】
N12およびRN13が、それらが結合している窒素原子と一体となって、ピペリジン、ホモピペラジン(homopiperadine)、ピペラジン、ホモピペラジン(homopiperazine)、モルホリノおよびチオモルホリノから選択される環を形成している請求項52に記載の化合物。
【請求項56】
前記環がピペラジンまたはホモピペラジン(homopiperazine)であり;他の窒素環原子が、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基、置換されていても良いC5−20アリール基、アシル基、エステル基またはアミド基から選択される基で置換されている請求項55に記載の化合物。
【請求項57】
下記式IXの化合物ならびに該化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態およびプロドラッグ。
【化17】

[式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成しており;
C5は、下記式:
【化18】

のものであり、qは1または2であり;
N4およびRN5は独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基、置換されていても良いC3−20複素環基および置換されていても良いC5−20アリール基から選択され、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する置換されていても良い複素環を形成している。]
【請求項58】
q=2である請求項57に記載の化合物。
【請求項59】
N4およびRN5が独立に、水素、置換されていても良いC1−7アルキル基から選択される請求項57に記載の化合物。
【請求項60】
N4およびRN5のうちの一方が置換されていても良いC1−7アルキル基であり、他方がHであり;前記適宜の置換基がヒドロキシ、アミノ、シアノ、C3−20複素環およびC5−20アリールから選択される請求項59に記載の化合物。
【請求項61】
およびRが、それらが結合している窒素原子とともに、モルホリノおよびチオモルホリノから選択される環を形成している請求項1、8、19、27、34、39、47、52および57のいずれかに記載の化合物。
【請求項62】
ATMの阻害によって改善されることが知られている患者での状態の治療方法において、該患者に対して、治療上有効量の請求項1、8、19、27、34、39、47、52および57のいずれかに記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項63】
患者での癌の治療方法において、該患者に対して、電離放射線または化学療法薬と併用して治療上有効量の請求項1、8、19、27、34、39、47、52および57のいずれかに記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項64】
患者でのレトロウィルス介在疾患の治療方法において、該患者に対して、治療上有効量の請求項1、8、19、27、34、39、47、52および57のいずれかに記載の化合物を投与する段階を有する方法。

【公表番号】特表2007−501836(P2007−501836A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523057(P2006−523057)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003507
【国際公開番号】WO2005/016919
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(503160629)クドス ファーマシューティカルズ リミテッド (23)
【Fターム(参考)】