アミノ基を有する有機ケイ素化合物及びその製造方法
【課題】脂肪族アミノ基を有し、蒸留精製が可能で、発生するアルコール量を削減することができる有機ケイ素化合物及びその製造方法の提供。
【解決手段】下記一般式(1)
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)で示されるアミノ基を有する有機ケイ素化合物。
【効果】アミノ基を有する有機ケイ素化合物を用いることにより、高分子材料の紫外線領域を含んだ透明性を保持しながら、高い機械的特性や耐熱性を付与することができる。
【解決手段】下記一般式(1)
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)で示されるアミノ基を有する有機ケイ素化合物。
【効果】アミノ基を有する有機ケイ素化合物を用いることにより、高分子材料の紫外線領域を含んだ透明性を保持しながら、高い機械的特性や耐熱性を付与することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シランカップリング剤、表面処理剤、繊維処理剤、接着剤、塗料添加剤、高分子変性剤等に有用なアミノ基を有する有機ケイ素化合物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アミノ基を有する有機ケイ素化合物は、シランカップリング剤、表面処理剤、繊維処理剤、接着剤、塗料添加剤等に有用であることが知られている。特に、高分子材料の機械的特性や耐熱性を向上させる目的で無機材料(例えばガラス繊維、金属、酸化物充填剤)を添加する場合、上記有機ケイ素化合物を用いることで、高分子材料と無機材料との密着性向上や無機材料の分散状態がよくなることが知られており、期待される添加効果がより高くなることが知られている。
【0003】
芳香族アミノ基やアニリン等の芳香族を有する場合と異なり、脂肪族アミノ基を有するケイ素化合物は、上記カップリング特性以外にも、紫外線領域を含む透明性が保持され、かつ、水溶性が非常に高く、水溶液としての使用が可能なため、使用できる用途や使用方法が非常に幅広く有用である。
【0004】
上記のような有機ケイ素化合物を含め、シランカップリング剤は使用する際の混合プロセス中には、相当量のアルコールが発生することは公知である。近年、地球温暖化や健康問題等に関係の深い環境問題において、揮発性有機化合物の削減が大きなテーマとして挙げられており、シランカップリング剤から発生するアルコール量を削減することで揮発性有機化合物の削減に取り組む開発が行われている。例えば、アルコキシシランのアルコキシル基の一部を不揮発性の長鎖アルキルポリエーテル基に交換したり(特許文献1:特開2006−249069号公報)、アルコキシシランを一部にアルコキシル基を残したまま部分的に加水分解・縮合したシロキサンオリゴマーとした場合(特許文献2:特許第2962934号公報、特許文献3:特開2002−226490号公報)、使用時に発生するアルコール量を低減できることが知られている。
【0005】
上記のアルコール削減法における有機ケイ素化合物を製造する際は、一般的には製造中にアルコールを留去する方法が知られているが、不揮発性のアルコキシル基に交換されたり、分子間でシロキサン結合が形成し高分子量となるため蒸留による精製が困難となり、目的物が高純度化できない。また、目的物が混合物となるために使用した際に物性が安定しないといった問題が発生する。よって、アミノ基を有し、容易に精製が可能で、かつ、使用時に発生するアルコール量を削減できる有機ケイ素化合物を製造することが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−249069号公報
【特許文献2】特許第2962934号公報
【特許文献3】特開2002−226490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、脂肪族アミノ基を有し、蒸留精製が可能で、発生するアルコール量を削減することができる有機ケイ素化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)
【化1】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるアミノ基を有する有機ケイ素化合物は、蒸留による精製が可能で、かつ、使用時に発生するアルコール量を削減できることを見出した。また、本発明の有機ケイ素化合物は、溶媒への溶解性が非常に高く、安定なアルコール溶液や水溶液としても長期保存できることも見出した。更に、本発明の有機ケイ素化合物は、活性な水素原子を有さないため、イソシアネート基やエポキシ基等の活性水素と反応性を有する官能基を持ったポリマー組成物へ添加する場合、官能基が反応することがなく、使用する時に加水分解等により水酸基を発生することが可能である。また、アニオン重合末端変性剤として用いた場合、アニオン重合末端は環内の酸素原子とは反応せず、選択的にアルコキシケイ素部位と反応するため、定量的にアニオン重合末端にケイ素原子と結合した酸素原子を導入することができ、その後加水分解等により容易にアミノ基及び水酸基変性高分子を製造することが可能である。
【0009】
即ち、本発明は下記有機ケイ素化合物及びその製造方法を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)
【化2】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるアミノ基を有する有機ケイ素化合物。
請求項2:
下記一般式(2)
【化3】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。)
で示されるアミン化合物と下記一般式(3)
【化4】
(式中、R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを反応させて得られる反応混合物を蒸留することを特徴とする請求項1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項3:
式(3)のシラン化合物1モルに対し、式(2)のアミン化合物を0.5〜10モルの割合で反応させると共に、反応温度が50〜200℃である請求項2記載の製造方法。
請求項4:
下記一般式(1)で示される化合物と、下記一般式(4)で示される化合物と、下記一般式(5)で示される化合物と、下記一般式(6)で示される化合物とが質量比で1〜80%:1〜70%:1〜40%:0〜20%の割合で混合された請求項2記載の製造方法により製造された混合物。
【化5】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。mは0又は1である。但し、nが0のときmは0、nが1のときmは1、nが2のとき一般式(6)の化合物は存在しない。)
請求項5:
下記一般式(2)
【化6】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。)
で示されるアミン化合物に、下記一般式(3)
【化7】
(式中、R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを加えながら反応する際に、発生するアルコールを留去しながら反応させることを特徴とする請求項1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項6:
発生するアルコールより沸点の高い溶媒を用い、溶媒の還流下反応することを特徴とする請求項5記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項7:
一般式(2)で示されるアミン化合物を蒸留缶にて沸点以上に加熱して蒸発させ、蒸留塔下部より塔内に供給しながら、蒸留塔上部より一般式(3)で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを供給し、発生したアルコールを蒸留塔上部から留出しながら反応させることを特徴とする請求項5又は6記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項8:
塩基性触媒の存在下で反応することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項9:
請求項5乃至8のいずれか1記載の方法により製造した反応液を塩基性化合物存在下で蒸留することを特徴とするアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項10:
塩基性化合物が無機塩基であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項11:
塩基性触媒が無機塩基であることを特徴とする請求項5乃至10のいずれか1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項12:
無機塩基がアルカリ金属アルコキシドであることを特徴とする請求項10又は11記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項13:
下記一般式(1)で示される化合物と、下記一般式(4)で示される化合物と、下記一般式(5)で示される化合物と、下記一般式(6)で示される化合物とが質量比で、1〜90%:0〜30%:0〜30%:1〜60%の割合で混合された請求項5記載の製造方法により製造された混合物。
【化8】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。mは0又は1である。但し、nが0のときmは0、nが1のときmは1、nが2のとき一般式(6)の化合物は存在しない。)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記アミノ基を有する有機ケイ素化合物を用いることにより、高分子材料の紫外線領域を含んだ透明性を保持しながら、高い機械的特性や耐熱性を付与することができる。また、本発明の有機ケイ素化合物の溶液は、安定性が高く、長期保存が可能であり、高分子変性剤として用いた場合に、容易にアミノ基と水酸基を導入できる。更に、容易に精製が可能で、使用時に発生するアルコール量を低減することができる有機ケイ素化合物を簡便に収率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】合成例1で得られた組成物の1H−NMRスペクトルである。
【図2】合成例1で得られた組成物のIRスペクトルである。
【図3】実施例1で得られた有機ケイ素化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図4】実施例1で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトルである。
【図5】合成例2で得られた組成物の1H−NMRスペクトルである。
【図6】合成例2で得られた組成物のIRスペクトルである。
【図7】実施例4で得られた有機ケイ素化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図8】実施例4で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトルである。
【図9】合成例3で得られた組成物の1H−NMRスペクトルである。
【図10】合成例3で得られた組成物のIRスペクトルである。
【図11】実施例7で得られた有機ケイ素化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図12】実施例7で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトルである。
【図13】実施例9で得られた有機ケイ素化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図14】実施例9で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトルである。
【図15】実施例13で得られた有機ケイ素化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図16】実施例13で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトルである。
【図17】実施例14で得られた有機ケイ素化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図18】実施例14で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトルである。
【図19】実施例15で得られた有機ケイ素化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図20】実施例15で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のアミノ基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式(2)
【化9】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。)
で示されるアミン化合物と、下記一般式(3)
【化10】
(式中、R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを反応させて得られた反応混合物を蒸留することにより得られる、下記一般式(1)
【化11】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるアミノ基を有する有機ケイ素化合物である。
【0013】
上記一般式(1)及び(2)中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、また、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、イソウンデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基といった脂肪族1価炭化水素基が挙げられる。R1とR2が結合して環を形成した場合、R1R2N−は含窒素複素環となる。また、該含窒素複素環は置換基を有していてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、ヘキシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子からなる基、シアノ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、エステル基、エーテル基、アシル基、チオエーテル基等が挙げられ、これらを組み合わせて用いることもできる。これらの置換基の置換位置は特に限定されず、置換基数も限定されない。このような含窒素複素環として具体的には、例えば、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリジン、ピロリドン、ピペリドン及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0014】
一般式(2)で示される化合物としては、下記のものが例示される。なお、下記式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基、Buはブチル基、c−C6H11はシクロヘキシル基を示す。
【0015】
【化12】
【0016】
また、式(1)及び(3)において、R3及びR4は炭素数1〜10、好ましくは1〜6の1価炭化水素基であり、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、ブテニル基等が例示される。
【0017】
一般式(3)で示される化合物として具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
【0018】
一般式(1)で示される化合物として具体的には、1,1−ジメトキシ−3−N,N−ジエチルアミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジメトキシ−3−ピペリジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジメトキシ−3−モルホリノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジメトキシ−3−ピペラジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジメトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジメトキシ−3−ヘキサメチレンイミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジエトキシ−3−N,N−ジエチルアミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジエトキシ−3−ピペリジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジエトキシ−3−モルホリノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジエトキシ−3−ピペラジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジエトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジエトキシ−3−ヘキサメチレンイミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−メトキシ−1−メチル−3−N,N−ジエチルアミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−メトキシ−1−メチル−3−ピペリジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−メトキシ−1−メチル−3−モルホリノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−メトキシ−1−メチル−3−ピペラジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−メトキシ−1−メチル−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−メトキシ−1−メチル−3−ヘキサメチレンイミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−エトキシ−1−メチル−3−N,N−ジエチルアミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−エトキシ−1−メチル−3−ピペリジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−エトキシ−1−メチル−3−モルホリノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−エトキシ−1−メチル−3−ピペラジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−エトキシ−1−メチル−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−エトキシ−1−メチル−3−ヘキサメチレンイミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン等が挙げられる。
【0019】
上記一般式(2)のアミン化合物と一般式(3)のγ−グリシドキシプロピルアルコキシシラン化合物を反応させる場合、一般式(2)で示されるアミン化合物と、一般式(3)で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシラン化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(3)で示されるシラン化合物1モルに対し、一般式(2)で示されるアミン化合物0.5〜10モル、好ましくは0.5〜5モル、更に好ましくは0.8〜5モルの範囲である。
【0020】
上記反応の反応温度は特に限定されないが、50〜200℃、好ましくは70〜200℃、特に80〜160℃が好ましく、反応時間は1〜20時間、特に1〜15時間が好ましい。
【0021】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0022】
上記式(2)のアミン化合物と式(3)のγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランの反応により反応混合物が得られるが、この反応混合物から一般式(1)で示される有機ケイ素化合物を蒸留やカラム分離等の精製方法により単離することが可能であり、特に蒸留による単離が高純度化できるため好ましい。蒸留の条件は、特に制限はないが、沸点を下げるため減圧にて行うことが好ましい。
【0023】
ここで、上記反応混合物は、下記一般式(4)
【化13】
(式中、R1、R2、R3、R4及びnは一般式(1)で定義した通りである。)
で示される有機ケイ素化合物とその脱アルコール縮合物である下記一般式(1)
【化14】
(式中、R1、R2、R3、R4及びnは上記で定義した通りである。)
で示される有機ケイ素化合物、下記一般式(5)
【化15】
(式中、R1、R2、R3、R4及びnは一般式(1)で定義した通りである。)
で示される有機ケイ素化合物及び下記一般式(6)
【化16】
(式中、R1、R2、R3及びR4は一般式(1)で定義した通りである。mは0又は1である。)
で示される化合物の混合組成物として得られる。
【0024】
一般式(1)及び(4)〜(6)で示される縮合物の、R1、R2、R3、R4及びnは上記と同様である。
一般式(1)及び(4)〜(6)で示される縮合物としてR3及びR4は、具体的には、特にメチル基又はエチル基が好ましく、nが0のときmは0、nが1のときmは1、nが2のときは一般式(6)の化合物は存在せず、mも存在しない。
【0025】
上記製造方法により得られた反応混合物の混合質量比としては、特に限定されないが、一般に一般式(1):一般式(4):一般式(5):一般式(6)=(1〜80):(1〜70):(1〜40):(0〜20)である。好ましくは、式(1):式(4):式(5):式(6)=(30〜80):(30〜70):(1〜20):(0〜10)である。
【0026】
本発明においては、式(2)のアミン化合物に式(3)のγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを加えながら反応させる際に、発生するアルコールを留去しながら反応させる方法を好適に採用し得る。この場合、本発明の式(1)の有機ケイ素化合物は、上記式(2)のアミン化合物と式(3)のアルコキシシランから生成した下記式(4)、即ち、
【化17】
(式中、R1〜R4、nは上記の通りである。)
の化合物が脱アルコール化することで生成する。
【0027】
この製造方法においても、一般式(2)で示されるアミン化合物と、一般式(3)で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシラン化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(3)で示されるシラン化合物1モルに対し、一般式(2)で示されるアミン化合物0.8〜10モル、特に1.0〜5.0モルの範囲が好ましい。
【0028】
上記反応の反応温度も特に限定されないが、50〜200℃、特に80〜160℃が好ましく、反応時間は1〜20時間、特に1〜15時間が好ましい。
【0029】
反応時の圧力は特に制限はないが、生成するアルコールを留去しやすくするために常圧又は減圧下にて行うことが好ましい。
【0030】
上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、上記と同様のものが挙げられる。なお、発生するアルコールを留去しやすくするため、発生するアルコールより高沸点の溶媒を用いる方が好ましく、溶媒の還流状態で反応を行う方がより好ましい。
【0031】
また、溶媒がアミン化合物自身の場合、蒸留塔を用いて、蒸留缶で加熱したアミン化合物を蒸留塔下部より供給し、蒸留塔上部より一般式(3)で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを供給し、蒸留塔内でアミン化合物と一般式(3)で示されるアルコキシシランを反応させながら、生成するアルコールを蒸留塔上部から留出すると、アミノ基とエポキシ基の開環付加反応により生成した上記一般式(4)で示される化合物の分子間での縮合が少なくなり、目的とする上記一般式(1)で示される化合物の収率が向上するため好ましい。これは、蒸留塔内で開環付加反応と脱アルコール反応の2つの反応が完結する場合、蒸留塔内では生成した一般式(4)で示される化合物の濃度が低いため、脱アルコール化の際に分子内反応が進行しやすいが、逆に塔内で反応が完結しない場合、蒸留缶内の一般式(4)で示される化合物の濃度が高くなり、脱アルコール化の際に分子間縮合が起こりやすくなるためである。よって、蒸留塔を用いて反応する場合には、蒸留塔内で反応を完結することで収率の向上が可能となり、反応速度に応じた反応時間、すなわち、塔内滞留時間をとることが重要となる。
【0032】
なお、蒸留塔の構造は特に制限されず、一般に蒸留に用いられる蒸留塔を使用でき、その高さは経済的観点から設定することが出来る。また、蒸留塔内に充填される充填物としては材質、構造は特に制限されず、例えば、ラッシヒリング、レッシングリング、ポールリング、サドル、へリックス、スルザーパッキン等が挙げられ、あるいは多孔板、濡れ壁等の構造にすることもできる。用いるアミンやアルコキシシランの構造や塩基性により反応速度が異なるため、反応性の低いアミンやアルコキシシランを用いる場合は、塔内の滞留時間をより長く、よって蒸留塔の理論段数がより高くなる構造や充填物を用いることが好ましい。
【0033】
反応により発生したアルコールは反応器より気体又は凝集した液体として留去するとよい。また、アルコールを留去する際に、用いた溶媒を共に留去した方がアルコールを留去しやすいため好ましく、更に留去した留分から溶媒のみを分留して反応器内に戻すと用いる溶媒の量を減少することが可能である。
【0034】
上記反応は無触媒でも進行するが、触媒を用いることもできる。用いられる触媒としては、通常のエステル交換触媒が用いられ、酸性触媒、塩基性触媒、遷移金属触媒等が挙げられ、塩基性触媒が好適に用いられる。塩基性触媒の例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド等が挙げられ、特にアルカリ金属アルコキシドが好適に用いられる。また、塩基性触媒は水溶液やアルコール溶液等として用いることができる。
【0035】
上記触媒は、単独又は複数で併用してもよく、触媒の配合比は特に限定されないが、ケイ素原子1モルに対し、触媒を0.001〜1.0モル、特に0.005〜0.1モル用いるのが好ましい。触媒が少なすぎると触媒の充分な効果が発現しない場合があり、多すぎると、触媒の量に見合うだけの反応促進効果が得られない場合がある。
【0036】
また、上記反応組成物から一般式(1)で示される有機ケイ素化合物を蒸留やカラム分離等の精製方法により単離することも可能であり、特に蒸留による単離が簡便に高純度化できるため好ましい。蒸留の条件は、特に制限はないが、沸点を下げるため減圧にて行う方が好ましい。
【0037】
蒸留時に添加物は用いなくてもよいが、塩基性化合物を用いることもできる。塩基性化合物としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド等が挙げられ、特にアルカリ金属アルコキシドが好適に用いられる。塩基性化合物は水溶液やアルコール溶液等として用いることができる。
【0038】
塩基性化合物の配合比は特に限定されないが、ケイ素原子1モルに対し、塩基性化合物を0.001〜1.0モル、特に0.005〜0.1モル用いるのが好ましい。塩基性化合物が少なすぎると塩基性化合物の充分な効果が発現しない場合があり、多すぎると、塩基性化合物の量に見合うだけの反応促進効果が得られない場合がある。また、反応時に添加した塩基性化合物をそのまま使用してもよい。
【0039】
本発明の有機ケイ素化合物は、そのまま使用しても問題ないが、溶媒に希釈して用いた方が簡便で好ましい。溶媒としては、水、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示され、特に水、アルコール溶液が好ましい。用いる濃度としては、有機ケイ素化合物が、0.001〜50質量%となるように希釈して用いるとよい。
【0040】
上記製造方法により得られた反応混合物の混合質量比としては、特に限定されないが、一般に一般式(1):一般式(4):一般式(5):一般式(6)=(1〜90):(0〜30):(0〜30):(1〜60)である。好ましくは、式(1):式(4):式(5):式(6)=(30〜90):(0〜20):(0〜20):(1〜40)である。
【0041】
本発明の有機ケイ素化合物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、顔料、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、pH調節剤、フィルム形成剤、帯電防止剤、抗菌剤、界面活性剤、染料等から選択される他の添加剤の1種以上を含有するものであってもよい。
【0042】
本発明の有機ケイ素化合物の用途は特に限定されるものではないが、具体的には、無機充填剤の表面処理、液状封止剤、鋳物用鋳型、樹脂の表面改質、高分子変性剤及び水系塗料の添加剤等を挙げることができる。
【0043】
本発明の有機ケイ素化合物を用いることで、無機充填剤の表面処理をすることが可能である。無機充填剤としては、ガラス繊維、粉末シリカ、粉末アルミナ、粉末タルク、粉末炭酸カルシウム等が挙げられる。また、該ガラス繊維の材料としては、Eガラス、Cガラス等の一般的に用いられる種類のガラスを用いることができる。該ガラス繊維は、その製品形態に限定されない。ガラス繊維製品は多岐にわたるが、例えば、繊維径が3〜30μmのガラス糸(フィラメント)の繊維束、撚糸、織物を挙げることができる。
【0044】
無機充填剤を前記の有機ケイ素化合物を用いて処理する方法としては、一般的に用いられる方法が採用できる。即ち、本発明の表面処理剤をそのままもしくは希釈して用い、これに前記無機充填剤を浸漬させた後、無機充填剤を引き上げて乾燥する方法や、この表面処理剤をそのままもしくは希釈したものを無機充填剤表面にスプレーした後、無機充填剤を乾燥する方法等が挙げられる。
【実施例】
【0045】
以下、合成例及び実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例中、Meはメチル基、Etはエチル基を示す。
【0046】
[合成例1]メチルピペラジンとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの反応
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、メチルピペラジン30g(0.30モル)を仕込み、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン71g(0.30モル)を85〜95℃で4時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌して、透明な組成物を得た。
得られた組成物の1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。図1には1H−NMRスペクトルのチャート、図2にはIRスペクトルのチャートを示した。また、質量スペクトルは、得られた組成物をビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドにてシリル化後に測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。
質量スペクトル1
m/z 408,393,318,229,121,113
質量スペクトル2
m/z 304,273,234,139,113
質量スペクトル3
m/z 712,640,393,318,229,121
質量スペクトル4
m/z 608,593,318,273,121,113
以上の結果より、得られた組成物は下記式(7)〜(10)を含む混合組成物であることを確認した。
【0047】
【化18】
【0048】
また、得られた組成物をシリル化後にガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(7)〜(10)の質量比は、式(7):式(8):式(9):式(10)=20:46:7:27であることが確認された。
【0049】
[実施例1]1,1−ジメトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンの単離
合成例1で得られた組成物を蒸留することで、沸点140〜142℃/0.4kPaの透明留分を39g得た。
【0050】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図3には1H−NMRスペクトルのチャート、図4にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 304,273,234,139,113
以上の結果より、得られた化合物は上記式(7)であることが確認された。
【0051】
[実施例2]実施例1のメタノール含有組成物
実施例1で得られた一般式(7)で示される化合物とメタノールを等質量で混合してメタノール含有組成物を調製した。得られたメタノール含有組成物は、ゲル化することなく室温で1ヶ月以上透明なまま保存可能であった。
【0052】
[実施例3]実施例1の水含有組成物
実施例1で得られた一般式(7)で示される化合物と水を等質量で混合して水含有組成物を調製した。得られた水含有組成物は、ゲル化することなく室温で1ヶ月以上透明なまま保存可能であった。
【0053】
[合成例2]メチルピペラジンとγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランの反応
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、メチルピペラジン20g(0.20モル)を仕込み、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン50g(0.20モル)を90〜100℃で6時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌して、透明な組成物を得た。
【0054】
得られた組成物の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。図5には1H−NMRスペクトルのチャート、図6にはIRスペクトルのチャートを示した。また、得られた組成物をビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドにてシリル化後に測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。
質量スペクトル1
m/z 420,405,330,229,133,113
質量スペクトル2
m/z 302,287,257,139,113
質量スペクトル3
m/z 722,650,391,330,229,133
質量スペクトル4
m/z 604,589,559,330,257,113
以上の結果より、得られた組成物は下記式(11)〜(14)を含む混合組成物であることを確認した。
【0055】
【化19】
【0056】
また、得られた組成物をシリル化後にガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(11)〜(14)の質量比は、式(11):式(12):式(13):式(14)=5:64:30:1であることが確認された。
【0057】
[実施例4]1−エトキシ−1−メチル−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンの単離
合成例2で得られた組成物を蒸留することで、沸点133〜135℃/0.3kPaの透明留分を12g得た。
【0058】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図7には1H−NMRスペクトルのチャート、図8にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 302,287,257,139,113
以上の結果より、得られた化合物は上記式(11)であることが確認された。
【0059】
[実施例5]実施例4で得られた化合物のエタノール含有組成物
実施例4で得られた一般式(11)で示される化合物とエタノールを等質量で混合してメタノール含有組成物を調製した。得られたエタノール含有組成物は、ゲル化することなく室温で1ヶ月以上透明なまま保存可能であった。
【0060】
[実施例6]実施例4で得られた化合物の水含有組成物
実施例4で得られた一般式(11)で示される化合物を水と等質量で混合して水含有組成物を調製した。得られた水含有組成物は、ゲル化することなく室温で1ヶ月以上透明なまま保存可能であった。
【0061】
[合成例3]ジエチルアミンとγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランの反応
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジエチルアミン16g(0.22モル)を仕込み、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン44g(0.20モル)を57〜98℃で10時間かけて滴下し、その温度で3時間撹拌して、透明な組成物を得た。
【0062】
得られた組成物の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。図9には1H−NMRスペクトルのチャート、図10にはIRスペクトルのチャートを示した。また、得られた組成物をビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドにてシリル化後に測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。
質量スペクトル1
m/z 350,275,202,105,86
質量スペクトル2
m/z 261,246,218,188,86
質量スペクトル3
m/z 611,597,352,275,202,86
質量スペクトル4
m/z 507,493,322,262,230,86
以上の結果より、得られた組成物は下記式(15)〜(18)を含む混合組成物であることを確認した。
【0063】
【化20】
【0064】
また、得られた組成物をシリル化後にガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(15)〜(18)の質量比は、式(15):式(16):式(17):式(18)=11:53:35:1であることが確認された。
【0065】
[実施例7]1−メトキシ−1−メチル−3−ジエチルアミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンの単離
合成例3で得られた組成物を蒸留することで、沸点105℃/0.2kPaの透明留分を12g得た。
【0066】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図11には1H−NMRスペクトルのチャート、図12にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 261,246,218,188,86
以上の結果より、得られた化合物は上記式(15)であることが確認された。
【0067】
[実施例8]実施例7のメタノール含有組成物
実施例7で得られた一般式(15)で示される化合物をメタノールと等質量で混合してメタノール含有組成物を調製した。得られたメタノール含有組成物は、ゲル化することなく室温で1ヶ月以上透明なまま保存可能であった。
【0068】
[実施例9]
撹拌機、ディーンスターク、還流管、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、メチルピペラジン60g(0.60モル)、トルエン300mLを仕込み、トルエン還流下でγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン94g(0.40モル)を滴下した。滴下はディーンスタークよりアルコールを含む留分を徐々に抜出しながら10時間かけて行い、その際フラスコ内温は116〜119℃であった。更に内温が140℃になるまで留分を抜出し反応を終了した。得られた反応液は、上記一般式(7)〜(10)を含む混合組成物であり、ガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(7)〜(10)の質量比は、式(7):式(8):式(9):式(10)=60:4:8:28であることが確認された。ついで、得られた反応液を蒸留することで、140〜141℃/0.4kPaの留分を59g得た。
【0069】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図13には1H−NMRスペクトルのチャート、図14にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 304,273,234,139,113
以上の結果より、得られた化合物は1,1−ジメトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンであることが確認され、ケイ素基準の収率は48%であった。
【0070】
[実施例10]
撹拌機、温度計、上部に滴下ロート、ディーンスターク、還流管を備えた充填塔(内径20mm、長さ200mm、充填物:マクマホンパッキン)を備えたフラスコに、メチルピペラジン150g(1.50モル)を仕込み、メチルピペラジン還流下、充填塔上部よりγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン70g(0.30モル)を滴下した。滴下は充填塔上部のディーンスタークよりアルコールを含むメチルピペラジンを徐々に抜出しながら10時間かけて行った。その際フラスコ内温は140〜149℃であった。得られた反応液は、上記一般式(7)〜(10)を含む混合組成物であり、ガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(7)〜(10)の質量比は、式(7):式(8):式(9):式(10)=71:6:4:19であることが確認された。得られた反応液を蒸留することで、140〜141℃/0.4kPaの留分を68g得た。
【0071】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した結果より、得られた化合物は1,1−ジメトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンであることが確認され、ケイ素基準の収率は75%であった。
【0072】
[実施例11]
反応時、フラスコ内にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28質量%ナトリウムメトキシド)を1.5g添加すること以外は、実施例9と同様に反応を行った。得られた反応液は、上記一般式(7)〜(10)を含む混合組成物であり、ガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(7)〜(10)の質量比は、式(7):式(8):式(9):式(10)=68:2:6:24であることが確認された。得られた反応液を蒸留することで、140〜141℃/0.4kPaの留分を102g得た。
【0073】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した結果より、得られた化合物は1,1−ジメトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンであることが確認され、ケイ素基準の収率は84%であった。
【0074】
[実施例12]
実施例9と同様に反応を行い、得られた反応液の蒸留時に、蒸留釜内にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28質量%ナトリウムメトキシド)1.5gを添加し、蒸留することで140〜141℃/0.4kPaの留分を84g得た。
【0075】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した結果より、得られた化合物は1,1−ジメトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンであることが確認され、ケイ素基準の収率は69%であった。
【0076】
[実施例13]
撹拌機、ディーンスターク、還流管、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、モルホリン52g(0.60モル)、トルエン300mL、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28質量%ナトリウムメトキシド)1.5gを仕込み、トルエン還流下でγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン94g(0.40モル)を滴下した。滴下はディーンスタークよりアルコールを含む留分を徐々に抜出しながら8時間かけて行い、その際フラスコ内温は116〜119℃であった。更に内温が140℃になるまで留分を抜出し反応を終了した。得られた反応液は、下記一般式(19)〜(22)を含む混合組成物であり、ガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(19)〜(22)の質量比は、式(19):式(20):式(21):式(22)=52:6:10:32であることが確認された。得られた反応液を蒸留することで、134〜136℃/0.3kPaの留分を62g得た。
【0077】
【化20】
【0078】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図15には1H−NMRスペクトルのチャート、図16にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 291,260,204,163,100
以上の結果より、得られた化合物は1,1−ジメトキシ−3−モルホリノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンであることが確認され、ケイ素基準の収率は53%であった。
【0079】
[実施例14]
撹拌機、ディーンスターク、還流管、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、メチルピペラジン60g(0.60モル)、トルエン300mL、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28質量%ナトリウムメトキシド)1.5gを仕込み、トルエン還流下でγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン88g(0.40モル)を滴下した。滴下はディーンスタークよりアルコールを含む留分を徐々に抜出しながら8時間かけて行い、その際フラスコ内温は116〜119℃であった。更に内温が150℃になるまで留分を抜出し反応を終了した。得られた反応液は、下記一般式(23)〜(26)を含む混合組成物であり、ガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(23)〜(26)の質量比は、式(23):式(24):式(25):式(26)=56:4:12:28であることが確認された。得られた反応液を蒸留することで、128〜130℃/0.2kPaの留分を80g得た。
【0080】
【化21】
【0081】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図17には1H−NMRスペクトルのチャート、図18にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 288,273,257,175,113
以上の結果より、得られた化合物は1−メトキシ−1−メチル−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンであることが確認され、ケイ素基準の収率は69%であった。
【0082】
[実施例15]
撹拌機、ディーンスターク、還流管、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、メチルピペラジン60g(0.60モル)、トルエン300mL、ナトリウムエトキシドのエタノール溶液(20質量%ナトリウムエトキシド)2.7gを仕込み、トルエン還流下でγ−グリシドキシプロピルトリエキシシラン111g(0.40モル)を滴下した。滴下はディーンスタークよりアルコールを含む留分を徐々に抜出しながら7時間かけて行い、その際フラスコ内温は116〜119℃であった。更に内温が145℃になるまで留分を抜出し反応を終了した。得られた反応液は、下記一般式(27)〜(30)を含む混合組成物であり、ガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(27)〜(30)の質量比は、式(27):式(28):式(29):式(30)=56:4:10:30であることが確認された。得られた反応液を蒸留することで、145〜147℃/0.2kPaの留分を107g得た。
【0083】
【化22】
【0084】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図19には1H−NMRスペクトルのチャート、図20にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 332,287,262,139,113
以上の結果より、得られた化合物は1,1−ジエトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンであることが確認され、ケイ素基準の収率は78%であった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シランカップリング剤、表面処理剤、繊維処理剤、接着剤、塗料添加剤、高分子変性剤等に有用なアミノ基を有する有機ケイ素化合物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アミノ基を有する有機ケイ素化合物は、シランカップリング剤、表面処理剤、繊維処理剤、接着剤、塗料添加剤等に有用であることが知られている。特に、高分子材料の機械的特性や耐熱性を向上させる目的で無機材料(例えばガラス繊維、金属、酸化物充填剤)を添加する場合、上記有機ケイ素化合物を用いることで、高分子材料と無機材料との密着性向上や無機材料の分散状態がよくなることが知られており、期待される添加効果がより高くなることが知られている。
【0003】
芳香族アミノ基やアニリン等の芳香族を有する場合と異なり、脂肪族アミノ基を有するケイ素化合物は、上記カップリング特性以外にも、紫外線領域を含む透明性が保持され、かつ、水溶性が非常に高く、水溶液としての使用が可能なため、使用できる用途や使用方法が非常に幅広く有用である。
【0004】
上記のような有機ケイ素化合物を含め、シランカップリング剤は使用する際の混合プロセス中には、相当量のアルコールが発生することは公知である。近年、地球温暖化や健康問題等に関係の深い環境問題において、揮発性有機化合物の削減が大きなテーマとして挙げられており、シランカップリング剤から発生するアルコール量を削減することで揮発性有機化合物の削減に取り組む開発が行われている。例えば、アルコキシシランのアルコキシル基の一部を不揮発性の長鎖アルキルポリエーテル基に交換したり(特許文献1:特開2006−249069号公報)、アルコキシシランを一部にアルコキシル基を残したまま部分的に加水分解・縮合したシロキサンオリゴマーとした場合(特許文献2:特許第2962934号公報、特許文献3:特開2002−226490号公報)、使用時に発生するアルコール量を低減できることが知られている。
【0005】
上記のアルコール削減法における有機ケイ素化合物を製造する際は、一般的には製造中にアルコールを留去する方法が知られているが、不揮発性のアルコキシル基に交換されたり、分子間でシロキサン結合が形成し高分子量となるため蒸留による精製が困難となり、目的物が高純度化できない。また、目的物が混合物となるために使用した際に物性が安定しないといった問題が発生する。よって、アミノ基を有し、容易に精製が可能で、かつ、使用時に発生するアルコール量を削減できる有機ケイ素化合物を製造することが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−249069号公報
【特許文献2】特許第2962934号公報
【特許文献3】特開2002−226490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、脂肪族アミノ基を有し、蒸留精製が可能で、発生するアルコール量を削減することができる有機ケイ素化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)
【化1】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるアミノ基を有する有機ケイ素化合物は、蒸留による精製が可能で、かつ、使用時に発生するアルコール量を削減できることを見出した。また、本発明の有機ケイ素化合物は、溶媒への溶解性が非常に高く、安定なアルコール溶液や水溶液としても長期保存できることも見出した。更に、本発明の有機ケイ素化合物は、活性な水素原子を有さないため、イソシアネート基やエポキシ基等の活性水素と反応性を有する官能基を持ったポリマー組成物へ添加する場合、官能基が反応することがなく、使用する時に加水分解等により水酸基を発生することが可能である。また、アニオン重合末端変性剤として用いた場合、アニオン重合末端は環内の酸素原子とは反応せず、選択的にアルコキシケイ素部位と反応するため、定量的にアニオン重合末端にケイ素原子と結合した酸素原子を導入することができ、その後加水分解等により容易にアミノ基及び水酸基変性高分子を製造することが可能である。
【0009】
即ち、本発明は下記有機ケイ素化合物及びその製造方法を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)
【化2】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるアミノ基を有する有機ケイ素化合物。
請求項2:
下記一般式(2)
【化3】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。)
で示されるアミン化合物と下記一般式(3)
【化4】
(式中、R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを反応させて得られる反応混合物を蒸留することを特徴とする請求項1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項3:
式(3)のシラン化合物1モルに対し、式(2)のアミン化合物を0.5〜10モルの割合で反応させると共に、反応温度が50〜200℃である請求項2記載の製造方法。
請求項4:
下記一般式(1)で示される化合物と、下記一般式(4)で示される化合物と、下記一般式(5)で示される化合物と、下記一般式(6)で示される化合物とが質量比で1〜80%:1〜70%:1〜40%:0〜20%の割合で混合された請求項2記載の製造方法により製造された混合物。
【化5】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。mは0又は1である。但し、nが0のときmは0、nが1のときmは1、nが2のとき一般式(6)の化合物は存在しない。)
請求項5:
下記一般式(2)
【化6】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。)
で示されるアミン化合物に、下記一般式(3)
【化7】
(式中、R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを加えながら反応する際に、発生するアルコールを留去しながら反応させることを特徴とする請求項1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項6:
発生するアルコールより沸点の高い溶媒を用い、溶媒の還流下反応することを特徴とする請求項5記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項7:
一般式(2)で示されるアミン化合物を蒸留缶にて沸点以上に加熱して蒸発させ、蒸留塔下部より塔内に供給しながら、蒸留塔上部より一般式(3)で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを供給し、発生したアルコールを蒸留塔上部から留出しながら反応させることを特徴とする請求項5又は6記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項8:
塩基性触媒の存在下で反応することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項9:
請求項5乃至8のいずれか1記載の方法により製造した反応液を塩基性化合物存在下で蒸留することを特徴とするアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項10:
塩基性化合物が無機塩基であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項11:
塩基性触媒が無機塩基であることを特徴とする請求項5乃至10のいずれか1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項12:
無機塩基がアルカリ金属アルコキシドであることを特徴とする請求項10又は11記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
請求項13:
下記一般式(1)で示される化合物と、下記一般式(4)で示される化合物と、下記一般式(5)で示される化合物と、下記一般式(6)で示される化合物とが質量比で、1〜90%:0〜30%:0〜30%:1〜60%の割合で混合された請求項5記載の製造方法により製造された混合物。
【化8】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。mは0又は1である。但し、nが0のときmは0、nが1のときmは1、nが2のとき一般式(6)の化合物は存在しない。)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記アミノ基を有する有機ケイ素化合物を用いることにより、高分子材料の紫外線領域を含んだ透明性を保持しながら、高い機械的特性や耐熱性を付与することができる。また、本発明の有機ケイ素化合物の溶液は、安定性が高く、長期保存が可能であり、高分子変性剤として用いた場合に、容易にアミノ基と水酸基を導入できる。更に、容易に精製が可能で、使用時に発生するアルコール量を低減することができる有機ケイ素化合物を簡便に収率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】合成例1で得られた組成物の1H−NMRスペクトルである。
【図2】合成例1で得られた組成物のIRスペクトルである。
【図3】実施例1で得られた有機ケイ素化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図4】実施例1で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトルである。
【図5】合成例2で得られた組成物の1H−NMRスペクトルである。
【図6】合成例2で得られた組成物のIRスペクトルである。
【図7】実施例4で得られた有機ケイ素化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図8】実施例4で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトルである。
【図9】合成例3で得られた組成物の1H−NMRスペクトルである。
【図10】合成例3で得られた組成物のIRスペクトルである。
【図11】実施例7で得られた有機ケイ素化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図12】実施例7で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトルである。
【図13】実施例9で得られた有機ケイ素化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図14】実施例9で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトルである。
【図15】実施例13で得られた有機ケイ素化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図16】実施例13で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトルである。
【図17】実施例14で得られた有機ケイ素化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図18】実施例14で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトルである。
【図19】実施例15で得られた有機ケイ素化合物の1H−NMRスペクトルである。
【図20】実施例15で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のアミノ基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式(2)
【化9】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。)
で示されるアミン化合物と、下記一般式(3)
【化10】
(式中、R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを反応させて得られた反応混合物を蒸留することにより得られる、下記一般式(1)
【化11】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるアミノ基を有する有機ケイ素化合物である。
【0013】
上記一般式(1)及び(2)中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、また、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、イソウンデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基といった脂肪族1価炭化水素基が挙げられる。R1とR2が結合して環を形成した場合、R1R2N−は含窒素複素環となる。また、該含窒素複素環は置換基を有していてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、ヘキシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子からなる基、シアノ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、エステル基、エーテル基、アシル基、チオエーテル基等が挙げられ、これらを組み合わせて用いることもできる。これらの置換基の置換位置は特に限定されず、置換基数も限定されない。このような含窒素複素環として具体的には、例えば、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリジン、ピロリドン、ピペリドン及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0014】
一般式(2)で示される化合物としては、下記のものが例示される。なお、下記式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基、Buはブチル基、c−C6H11はシクロヘキシル基を示す。
【0015】
【化12】
【0016】
また、式(1)及び(3)において、R3及びR4は炭素数1〜10、好ましくは1〜6の1価炭化水素基であり、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、ブテニル基等が例示される。
【0017】
一般式(3)で示される化合物として具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
【0018】
一般式(1)で示される化合物として具体的には、1,1−ジメトキシ−3−N,N−ジエチルアミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジメトキシ−3−ピペリジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジメトキシ−3−モルホリノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジメトキシ−3−ピペラジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジメトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジメトキシ−3−ヘキサメチレンイミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジエトキシ−3−N,N−ジエチルアミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジエトキシ−3−ピペリジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジエトキシ−3−モルホリノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジエトキシ−3−ピペラジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジエトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1,1−ジエトキシ−3−ヘキサメチレンイミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−メトキシ−1−メチル−3−N,N−ジエチルアミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−メトキシ−1−メチル−3−ピペリジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−メトキシ−1−メチル−3−モルホリノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−メトキシ−1−メチル−3−ピペラジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−メトキシ−1−メチル−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−メトキシ−1−メチル−3−ヘキサメチレンイミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−エトキシ−1−メチル−3−N,N−ジエチルアミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−エトキシ−1−メチル−3−ピペリジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−エトキシ−1−メチル−3−モルホリノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−エトキシ−1−メチル−3−ピペラジノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−エトキシ−1−メチル−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン、1−エトキシ−1−メチル−3−ヘキサメチレンイミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタン等が挙げられる。
【0019】
上記一般式(2)のアミン化合物と一般式(3)のγ−グリシドキシプロピルアルコキシシラン化合物を反応させる場合、一般式(2)で示されるアミン化合物と、一般式(3)で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシラン化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(3)で示されるシラン化合物1モルに対し、一般式(2)で示されるアミン化合物0.5〜10モル、好ましくは0.5〜5モル、更に好ましくは0.8〜5モルの範囲である。
【0020】
上記反応の反応温度は特に限定されないが、50〜200℃、好ましくは70〜200℃、特に80〜160℃が好ましく、反応時間は1〜20時間、特に1〜15時間が好ましい。
【0021】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0022】
上記式(2)のアミン化合物と式(3)のγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランの反応により反応混合物が得られるが、この反応混合物から一般式(1)で示される有機ケイ素化合物を蒸留やカラム分離等の精製方法により単離することが可能であり、特に蒸留による単離が高純度化できるため好ましい。蒸留の条件は、特に制限はないが、沸点を下げるため減圧にて行うことが好ましい。
【0023】
ここで、上記反応混合物は、下記一般式(4)
【化13】
(式中、R1、R2、R3、R4及びnは一般式(1)で定義した通りである。)
で示される有機ケイ素化合物とその脱アルコール縮合物である下記一般式(1)
【化14】
(式中、R1、R2、R3、R4及びnは上記で定義した通りである。)
で示される有機ケイ素化合物、下記一般式(5)
【化15】
(式中、R1、R2、R3、R4及びnは一般式(1)で定義した通りである。)
で示される有機ケイ素化合物及び下記一般式(6)
【化16】
(式中、R1、R2、R3及びR4は一般式(1)で定義した通りである。mは0又は1である。)
で示される化合物の混合組成物として得られる。
【0024】
一般式(1)及び(4)〜(6)で示される縮合物の、R1、R2、R3、R4及びnは上記と同様である。
一般式(1)及び(4)〜(6)で示される縮合物としてR3及びR4は、具体的には、特にメチル基又はエチル基が好ましく、nが0のときmは0、nが1のときmは1、nが2のときは一般式(6)の化合物は存在せず、mも存在しない。
【0025】
上記製造方法により得られた反応混合物の混合質量比としては、特に限定されないが、一般に一般式(1):一般式(4):一般式(5):一般式(6)=(1〜80):(1〜70):(1〜40):(0〜20)である。好ましくは、式(1):式(4):式(5):式(6)=(30〜80):(30〜70):(1〜20):(0〜10)である。
【0026】
本発明においては、式(2)のアミン化合物に式(3)のγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを加えながら反応させる際に、発生するアルコールを留去しながら反応させる方法を好適に採用し得る。この場合、本発明の式(1)の有機ケイ素化合物は、上記式(2)のアミン化合物と式(3)のアルコキシシランから生成した下記式(4)、即ち、
【化17】
(式中、R1〜R4、nは上記の通りである。)
の化合物が脱アルコール化することで生成する。
【0027】
この製造方法においても、一般式(2)で示されるアミン化合物と、一般式(3)で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシラン化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(3)で示されるシラン化合物1モルに対し、一般式(2)で示されるアミン化合物0.8〜10モル、特に1.0〜5.0モルの範囲が好ましい。
【0028】
上記反応の反応温度も特に限定されないが、50〜200℃、特に80〜160℃が好ましく、反応時間は1〜20時間、特に1〜15時間が好ましい。
【0029】
反応時の圧力は特に制限はないが、生成するアルコールを留去しやすくするために常圧又は減圧下にて行うことが好ましい。
【0030】
上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、上記と同様のものが挙げられる。なお、発生するアルコールを留去しやすくするため、発生するアルコールより高沸点の溶媒を用いる方が好ましく、溶媒の還流状態で反応を行う方がより好ましい。
【0031】
また、溶媒がアミン化合物自身の場合、蒸留塔を用いて、蒸留缶で加熱したアミン化合物を蒸留塔下部より供給し、蒸留塔上部より一般式(3)で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを供給し、蒸留塔内でアミン化合物と一般式(3)で示されるアルコキシシランを反応させながら、生成するアルコールを蒸留塔上部から留出すると、アミノ基とエポキシ基の開環付加反応により生成した上記一般式(4)で示される化合物の分子間での縮合が少なくなり、目的とする上記一般式(1)で示される化合物の収率が向上するため好ましい。これは、蒸留塔内で開環付加反応と脱アルコール反応の2つの反応が完結する場合、蒸留塔内では生成した一般式(4)で示される化合物の濃度が低いため、脱アルコール化の際に分子内反応が進行しやすいが、逆に塔内で反応が完結しない場合、蒸留缶内の一般式(4)で示される化合物の濃度が高くなり、脱アルコール化の際に分子間縮合が起こりやすくなるためである。よって、蒸留塔を用いて反応する場合には、蒸留塔内で反応を完結することで収率の向上が可能となり、反応速度に応じた反応時間、すなわち、塔内滞留時間をとることが重要となる。
【0032】
なお、蒸留塔の構造は特に制限されず、一般に蒸留に用いられる蒸留塔を使用でき、その高さは経済的観点から設定することが出来る。また、蒸留塔内に充填される充填物としては材質、構造は特に制限されず、例えば、ラッシヒリング、レッシングリング、ポールリング、サドル、へリックス、スルザーパッキン等が挙げられ、あるいは多孔板、濡れ壁等の構造にすることもできる。用いるアミンやアルコキシシランの構造や塩基性により反応速度が異なるため、反応性の低いアミンやアルコキシシランを用いる場合は、塔内の滞留時間をより長く、よって蒸留塔の理論段数がより高くなる構造や充填物を用いることが好ましい。
【0033】
反応により発生したアルコールは反応器より気体又は凝集した液体として留去するとよい。また、アルコールを留去する際に、用いた溶媒を共に留去した方がアルコールを留去しやすいため好ましく、更に留去した留分から溶媒のみを分留して反応器内に戻すと用いる溶媒の量を減少することが可能である。
【0034】
上記反応は無触媒でも進行するが、触媒を用いることもできる。用いられる触媒としては、通常のエステル交換触媒が用いられ、酸性触媒、塩基性触媒、遷移金属触媒等が挙げられ、塩基性触媒が好適に用いられる。塩基性触媒の例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド等が挙げられ、特にアルカリ金属アルコキシドが好適に用いられる。また、塩基性触媒は水溶液やアルコール溶液等として用いることができる。
【0035】
上記触媒は、単独又は複数で併用してもよく、触媒の配合比は特に限定されないが、ケイ素原子1モルに対し、触媒を0.001〜1.0モル、特に0.005〜0.1モル用いるのが好ましい。触媒が少なすぎると触媒の充分な効果が発現しない場合があり、多すぎると、触媒の量に見合うだけの反応促進効果が得られない場合がある。
【0036】
また、上記反応組成物から一般式(1)で示される有機ケイ素化合物を蒸留やカラム分離等の精製方法により単離することも可能であり、特に蒸留による単離が簡便に高純度化できるため好ましい。蒸留の条件は、特に制限はないが、沸点を下げるため減圧にて行う方が好ましい。
【0037】
蒸留時に添加物は用いなくてもよいが、塩基性化合物を用いることもできる。塩基性化合物としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド等が挙げられ、特にアルカリ金属アルコキシドが好適に用いられる。塩基性化合物は水溶液やアルコール溶液等として用いることができる。
【0038】
塩基性化合物の配合比は特に限定されないが、ケイ素原子1モルに対し、塩基性化合物を0.001〜1.0モル、特に0.005〜0.1モル用いるのが好ましい。塩基性化合物が少なすぎると塩基性化合物の充分な効果が発現しない場合があり、多すぎると、塩基性化合物の量に見合うだけの反応促進効果が得られない場合がある。また、反応時に添加した塩基性化合物をそのまま使用してもよい。
【0039】
本発明の有機ケイ素化合物は、そのまま使用しても問題ないが、溶媒に希釈して用いた方が簡便で好ましい。溶媒としては、水、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示され、特に水、アルコール溶液が好ましい。用いる濃度としては、有機ケイ素化合物が、0.001〜50質量%となるように希釈して用いるとよい。
【0040】
上記製造方法により得られた反応混合物の混合質量比としては、特に限定されないが、一般に一般式(1):一般式(4):一般式(5):一般式(6)=(1〜90):(0〜30):(0〜30):(1〜60)である。好ましくは、式(1):式(4):式(5):式(6)=(30〜90):(0〜20):(0〜20):(1〜40)である。
【0041】
本発明の有機ケイ素化合物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、顔料、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、pH調節剤、フィルム形成剤、帯電防止剤、抗菌剤、界面活性剤、染料等から選択される他の添加剤の1種以上を含有するものであってもよい。
【0042】
本発明の有機ケイ素化合物の用途は特に限定されるものではないが、具体的には、無機充填剤の表面処理、液状封止剤、鋳物用鋳型、樹脂の表面改質、高分子変性剤及び水系塗料の添加剤等を挙げることができる。
【0043】
本発明の有機ケイ素化合物を用いることで、無機充填剤の表面処理をすることが可能である。無機充填剤としては、ガラス繊維、粉末シリカ、粉末アルミナ、粉末タルク、粉末炭酸カルシウム等が挙げられる。また、該ガラス繊維の材料としては、Eガラス、Cガラス等の一般的に用いられる種類のガラスを用いることができる。該ガラス繊維は、その製品形態に限定されない。ガラス繊維製品は多岐にわたるが、例えば、繊維径が3〜30μmのガラス糸(フィラメント)の繊維束、撚糸、織物を挙げることができる。
【0044】
無機充填剤を前記の有機ケイ素化合物を用いて処理する方法としては、一般的に用いられる方法が採用できる。即ち、本発明の表面処理剤をそのままもしくは希釈して用い、これに前記無機充填剤を浸漬させた後、無機充填剤を引き上げて乾燥する方法や、この表面処理剤をそのままもしくは希釈したものを無機充填剤表面にスプレーした後、無機充填剤を乾燥する方法等が挙げられる。
【実施例】
【0045】
以下、合成例及び実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例中、Meはメチル基、Etはエチル基を示す。
【0046】
[合成例1]メチルピペラジンとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの反応
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、メチルピペラジン30g(0.30モル)を仕込み、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン71g(0.30モル)を85〜95℃で4時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌して、透明な組成物を得た。
得られた組成物の1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。図1には1H−NMRスペクトルのチャート、図2にはIRスペクトルのチャートを示した。また、質量スペクトルは、得られた組成物をビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドにてシリル化後に測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。
質量スペクトル1
m/z 408,393,318,229,121,113
質量スペクトル2
m/z 304,273,234,139,113
質量スペクトル3
m/z 712,640,393,318,229,121
質量スペクトル4
m/z 608,593,318,273,121,113
以上の結果より、得られた組成物は下記式(7)〜(10)を含む混合組成物であることを確認した。
【0047】
【化18】
【0048】
また、得られた組成物をシリル化後にガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(7)〜(10)の質量比は、式(7):式(8):式(9):式(10)=20:46:7:27であることが確認された。
【0049】
[実施例1]1,1−ジメトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンの単離
合成例1で得られた組成物を蒸留することで、沸点140〜142℃/0.4kPaの透明留分を39g得た。
【0050】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図3には1H−NMRスペクトルのチャート、図4にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 304,273,234,139,113
以上の結果より、得られた化合物は上記式(7)であることが確認された。
【0051】
[実施例2]実施例1のメタノール含有組成物
実施例1で得られた一般式(7)で示される化合物とメタノールを等質量で混合してメタノール含有組成物を調製した。得られたメタノール含有組成物は、ゲル化することなく室温で1ヶ月以上透明なまま保存可能であった。
【0052】
[実施例3]実施例1の水含有組成物
実施例1で得られた一般式(7)で示される化合物と水を等質量で混合して水含有組成物を調製した。得られた水含有組成物は、ゲル化することなく室温で1ヶ月以上透明なまま保存可能であった。
【0053】
[合成例2]メチルピペラジンとγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランの反応
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、メチルピペラジン20g(0.20モル)を仕込み、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン50g(0.20モル)を90〜100℃で6時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌して、透明な組成物を得た。
【0054】
得られた組成物の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。図5には1H−NMRスペクトルのチャート、図6にはIRスペクトルのチャートを示した。また、得られた組成物をビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドにてシリル化後に測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。
質量スペクトル1
m/z 420,405,330,229,133,113
質量スペクトル2
m/z 302,287,257,139,113
質量スペクトル3
m/z 722,650,391,330,229,133
質量スペクトル4
m/z 604,589,559,330,257,113
以上の結果より、得られた組成物は下記式(11)〜(14)を含む混合組成物であることを確認した。
【0055】
【化19】
【0056】
また、得られた組成物をシリル化後にガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(11)〜(14)の質量比は、式(11):式(12):式(13):式(14)=5:64:30:1であることが確認された。
【0057】
[実施例4]1−エトキシ−1−メチル−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンの単離
合成例2で得られた組成物を蒸留することで、沸点133〜135℃/0.3kPaの透明留分を12g得た。
【0058】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図7には1H−NMRスペクトルのチャート、図8にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 302,287,257,139,113
以上の結果より、得られた化合物は上記式(11)であることが確認された。
【0059】
[実施例5]実施例4で得られた化合物のエタノール含有組成物
実施例4で得られた一般式(11)で示される化合物とエタノールを等質量で混合してメタノール含有組成物を調製した。得られたエタノール含有組成物は、ゲル化することなく室温で1ヶ月以上透明なまま保存可能であった。
【0060】
[実施例6]実施例4で得られた化合物の水含有組成物
実施例4で得られた一般式(11)で示される化合物を水と等質量で混合して水含有組成物を調製した。得られた水含有組成物は、ゲル化することなく室温で1ヶ月以上透明なまま保存可能であった。
【0061】
[合成例3]ジエチルアミンとγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランの反応
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジエチルアミン16g(0.22モル)を仕込み、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン44g(0.20モル)を57〜98℃で10時間かけて滴下し、その温度で3時間撹拌して、透明な組成物を得た。
【0062】
得られた組成物の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。図9には1H−NMRスペクトルのチャート、図10にはIRスペクトルのチャートを示した。また、得られた組成物をビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドにてシリル化後に測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。
質量スペクトル1
m/z 350,275,202,105,86
質量スペクトル2
m/z 261,246,218,188,86
質量スペクトル3
m/z 611,597,352,275,202,86
質量スペクトル4
m/z 507,493,322,262,230,86
以上の結果より、得られた組成物は下記式(15)〜(18)を含む混合組成物であることを確認した。
【0063】
【化20】
【0064】
また、得られた組成物をシリル化後にガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(15)〜(18)の質量比は、式(15):式(16):式(17):式(18)=11:53:35:1であることが確認された。
【0065】
[実施例7]1−メトキシ−1−メチル−3−ジエチルアミノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンの単離
合成例3で得られた組成物を蒸留することで、沸点105℃/0.2kPaの透明留分を12g得た。
【0066】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図11には1H−NMRスペクトルのチャート、図12にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 261,246,218,188,86
以上の結果より、得られた化合物は上記式(15)であることが確認された。
【0067】
[実施例8]実施例7のメタノール含有組成物
実施例7で得られた一般式(15)で示される化合物をメタノールと等質量で混合してメタノール含有組成物を調製した。得られたメタノール含有組成物は、ゲル化することなく室温で1ヶ月以上透明なまま保存可能であった。
【0068】
[実施例9]
撹拌機、ディーンスターク、還流管、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、メチルピペラジン60g(0.60モル)、トルエン300mLを仕込み、トルエン還流下でγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン94g(0.40モル)を滴下した。滴下はディーンスタークよりアルコールを含む留分を徐々に抜出しながら10時間かけて行い、その際フラスコ内温は116〜119℃であった。更に内温が140℃になるまで留分を抜出し反応を終了した。得られた反応液は、上記一般式(7)〜(10)を含む混合組成物であり、ガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(7)〜(10)の質量比は、式(7):式(8):式(9):式(10)=60:4:8:28であることが確認された。ついで、得られた反応液を蒸留することで、140〜141℃/0.4kPaの留分を59g得た。
【0069】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図13には1H−NMRスペクトルのチャート、図14にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 304,273,234,139,113
以上の結果より、得られた化合物は1,1−ジメトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンであることが確認され、ケイ素基準の収率は48%であった。
【0070】
[実施例10]
撹拌機、温度計、上部に滴下ロート、ディーンスターク、還流管を備えた充填塔(内径20mm、長さ200mm、充填物:マクマホンパッキン)を備えたフラスコに、メチルピペラジン150g(1.50モル)を仕込み、メチルピペラジン還流下、充填塔上部よりγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン70g(0.30モル)を滴下した。滴下は充填塔上部のディーンスタークよりアルコールを含むメチルピペラジンを徐々に抜出しながら10時間かけて行った。その際フラスコ内温は140〜149℃であった。得られた反応液は、上記一般式(7)〜(10)を含む混合組成物であり、ガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(7)〜(10)の質量比は、式(7):式(8):式(9):式(10)=71:6:4:19であることが確認された。得られた反応液を蒸留することで、140〜141℃/0.4kPaの留分を68g得た。
【0071】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した結果より、得られた化合物は1,1−ジメトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンであることが確認され、ケイ素基準の収率は75%であった。
【0072】
[実施例11]
反応時、フラスコ内にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28質量%ナトリウムメトキシド)を1.5g添加すること以外は、実施例9と同様に反応を行った。得られた反応液は、上記一般式(7)〜(10)を含む混合組成物であり、ガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(7)〜(10)の質量比は、式(7):式(8):式(9):式(10)=68:2:6:24であることが確認された。得られた反応液を蒸留することで、140〜141℃/0.4kPaの留分を102g得た。
【0073】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した結果より、得られた化合物は1,1−ジメトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンであることが確認され、ケイ素基準の収率は84%であった。
【0074】
[実施例12]
実施例9と同様に反応を行い、得られた反応液の蒸留時に、蒸留釜内にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28質量%ナトリウムメトキシド)1.5gを添加し、蒸留することで140〜141℃/0.4kPaの留分を84g得た。
【0075】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した結果より、得られた化合物は1,1−ジメトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンであることが確認され、ケイ素基準の収率は69%であった。
【0076】
[実施例13]
撹拌機、ディーンスターク、還流管、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、モルホリン52g(0.60モル)、トルエン300mL、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28質量%ナトリウムメトキシド)1.5gを仕込み、トルエン還流下でγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン94g(0.40モル)を滴下した。滴下はディーンスタークよりアルコールを含む留分を徐々に抜出しながら8時間かけて行い、その際フラスコ内温は116〜119℃であった。更に内温が140℃になるまで留分を抜出し反応を終了した。得られた反応液は、下記一般式(19)〜(22)を含む混合組成物であり、ガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(19)〜(22)の質量比は、式(19):式(20):式(21):式(22)=52:6:10:32であることが確認された。得られた反応液を蒸留することで、134〜136℃/0.3kPaの留分を62g得た。
【0077】
【化20】
【0078】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図15には1H−NMRスペクトルのチャート、図16にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 291,260,204,163,100
以上の結果より、得られた化合物は1,1−ジメトキシ−3−モルホリノメチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンであることが確認され、ケイ素基準の収率は53%であった。
【0079】
[実施例14]
撹拌機、ディーンスターク、還流管、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、メチルピペラジン60g(0.60モル)、トルエン300mL、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28質量%ナトリウムメトキシド)1.5gを仕込み、トルエン還流下でγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン88g(0.40モル)を滴下した。滴下はディーンスタークよりアルコールを含む留分を徐々に抜出しながら8時間かけて行い、その際フラスコ内温は116〜119℃であった。更に内温が150℃になるまで留分を抜出し反応を終了した。得られた反応液は、下記一般式(23)〜(26)を含む混合組成物であり、ガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(23)〜(26)の質量比は、式(23):式(24):式(25):式(26)=56:4:12:28であることが確認された。得られた反応液を蒸留することで、128〜130℃/0.2kPaの留分を80g得た。
【0080】
【化21】
【0081】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図17には1H−NMRスペクトルのチャート、図18にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 288,273,257,175,113
以上の結果より、得られた化合物は1−メトキシ−1−メチル−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンであることが確認され、ケイ素基準の収率は69%であった。
【0082】
[実施例15]
撹拌機、ディーンスターク、還流管、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、メチルピペラジン60g(0.60モル)、トルエン300mL、ナトリウムエトキシドのエタノール溶液(20質量%ナトリウムエトキシド)2.7gを仕込み、トルエン還流下でγ−グリシドキシプロピルトリエキシシラン111g(0.40モル)を滴下した。滴下はディーンスタークよりアルコールを含む留分を徐々に抜出しながら7時間かけて行い、その際フラスコ内温は116〜119℃であった。更に内温が145℃になるまで留分を抜出し反応を終了した。得られた反応液は、下記一般式(27)〜(30)を含む混合組成物であり、ガスクロマトグラフィーにて分析することで、混合組成物中の式(27)〜(30)の質量比は、式(27):式(28):式(29):式(30)=56:4:10:30であることが確認された。得られた反応液を蒸留することで、145〜147℃/0.2kPaの留分を107g得た。
【0083】
【化22】
【0084】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒)、IRスペクトルを測定した。質量スペクトルの結果を下記に示す。また、図19には1H−NMRスペクトルのチャート、図20にはIRスペクトルのチャートを示した。
質量スペクトル
m/z 332,287,262,139,113
以上の結果より、得られた化合物は1,1−ジエトキシ−3−(4−メチルピペラジノ)メチル−2,5−ジオキサ−1−シラシクロオクタンであることが確認され、ケイ素基準の収率は78%であった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるアミノ基を有する有機ケイ素化合物。
【請求項2】
下記一般式(2)
【化2】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。)
で示されるアミン化合物と下記一般式(3)
【化3】
(式中、R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを反応させて得られる反応混合物を蒸留することを特徴とする請求項1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項3】
式(3)のシラン化合物1モルに対し、式(2)のアミン化合物を0.5〜10モルの割合で反応させると共に、反応温度が50〜200℃である請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
下記一般式(1)で示される化合物と、下記一般式(4)で示される化合物と、下記一般式(5)で示される化合物と、下記一般式(6)で示される化合物とが質量比で1〜80%:1〜70%:1〜40%:0〜20%の割合で混合された請求項2記載の製造方法により製造された混合物。
【化4】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。mは0又は1である。但し、nが0のときmは0、nが1のときmは1、nが2のとき一般式(6)の化合物は存在しない。)
【請求項5】
下記一般式(2)
【化5】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。)
で示されるアミン化合物に、下記一般式(3)
【化6】
(式中、R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを加えながら反応する際に、発生するアルコールを留去しながら反応させることを特徴とする請求項1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項6】
発生するアルコールより沸点の高い溶媒を用い、溶媒の還流下反応することを特徴とする請求項5記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項7】
一般式(2)で示されるアミンを蒸留缶にて沸点以上に加熱して蒸発させ、蒸留塔下部より塔内に供給しながら、蒸留塔上部より一般式(3)で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを供給し、発生したアルコールを蒸留塔上部から留出しながら反応させることを特徴とする請求項5又は6記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項8】
塩基性触媒の存在下で反応することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか1記載の方法により製造した反応液を塩基性化合物存在下で蒸留することを特徴とするアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項10】
塩基性化合物が無機塩基であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項11】
塩基性触媒が無機塩基であることを特徴とする請求項5乃至10のいずれか1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項12】
無機塩基がアルカリ金属アルコキシドであることを特徴とする請求項10又は11記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項13】
下記一般式(1)で示される化合物と、下記一般式(4)で示される化合物と、下記一般式(5)で示される化合物と、下記一般式(6)で示される化合物とが質量比で、1〜90%:0〜30%:0〜30%:1〜60%の割合で混合された請求項5記載の製造方法により製造された混合物。
【化7】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。mは0又は1である。但し、nが0のときmは0、nが1のときmは1、nが2のとき一般式(6)の化合物は存在しない。)
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるアミノ基を有する有機ケイ素化合物。
【請求項2】
下記一般式(2)
【化2】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。)
で示されるアミン化合物と下記一般式(3)
【化3】
(式中、R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを反応させて得られる反応混合物を蒸留することを特徴とする請求項1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項3】
式(3)のシラン化合物1モルに対し、式(2)のアミン化合物を0.5〜10モルの割合で反応させると共に、反応温度が50〜200℃である請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
下記一般式(1)で示される化合物と、下記一般式(4)で示される化合物と、下記一般式(5)で示される化合物と、下記一般式(6)で示される化合物とが質量比で1〜80%:1〜70%:1〜40%:0〜20%の割合で混合された請求項2記載の製造方法により製造された混合物。
【化4】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。mは0又は1である。但し、nが0のときmは0、nが1のときmは1、nが2のとき一般式(6)の化合物は存在しない。)
【請求項5】
下記一般式(2)
【化5】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。)
で示されるアミン化合物に、下記一般式(3)
【化6】
(式中、R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。)
で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを加えながら反応する際に、発生するアルコールを留去しながら反応させることを特徴とする請求項1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項6】
発生するアルコールより沸点の高い溶媒を用い、溶媒の還流下反応することを特徴とする請求項5記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項7】
一般式(2)で示されるアミンを蒸留缶にて沸点以上に加熱して蒸発させ、蒸留塔下部より塔内に供給しながら、蒸留塔上部より一般式(3)で示されるγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランを供給し、発生したアルコールを蒸留塔上部から留出しながら反応させることを特徴とする請求項5又は6記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項8】
塩基性触媒の存在下で反応することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか1記載の方法により製造した反応液を塩基性化合物存在下で蒸留することを特徴とするアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項10】
塩基性化合物が無機塩基であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項11】
塩基性触媒が無機塩基であることを特徴とする請求項5乃至10のいずれか1記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項12】
無機塩基がアルカリ金属アルコキシドであることを特徴とする請求項10又は11記載のアミノ基を有する有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項13】
下記一般式(1)で示される化合物と、下記一般式(4)で示される化合物と、下記一般式(5)で示される化合物と、下記一般式(6)で示される化合物とが質量比で、1〜90%:0〜30%:0〜30%:1〜60%の割合で混合された請求項5記載の製造方法により製造された混合物。
【化7】
(式中、R1及びR2は炭素数1〜10の置換又は非置換の脂肪族1価炭化水素基であって、R1とR2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、各々同一又は異なっていてもよい。また、R1及びR2はヘテロ原子を含んでもよい。R3及びR4は炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基で、各々同一又は異なっていてもよい。nは0〜2の整数である。mは0又は1である。但し、nが0のときmは0、nが1のときmは1、nが2のとき一般式(6)の化合物は存在しない。)
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−120925(P2010−120925A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142152(P2009−142152)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
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