説明

アミノ基含有共重合体を含むスケール防止剤

【課題】リン酸カルシウムのスケール防止能の良好な水処理剤を提供することを目的とする。
【解決手段】
炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基から選ばれる1種以上の基で置換されたアミノ基を有するアミノ基含有単量体から選ばれる1種以上の単量体(N)由来の構造単位(n)、カルボキシル基含有単量体(B)由来の構造単位(b)、を必須構成単位として特定割合で有するアミノ基含有共重合体を含む、水処理剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ基含有共重合体を含む、水処理剤に関するものである。詳細には、アミノ基含有共重合体を含む、スケール防止剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷却水系、ボイラー水系、海水淡水化装置、パルプ溶解釜、黒液濃縮釜などでは、その内壁に炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化亜鉛、ケイ酸マグネシウムなどの析出物(スケール)が付着し、そのために熱効率の低下や局部腐食など、運転上種々の障害を生じることがある。
特に、鉄を用いた配管を水系で用いた場合、腐食防止剤として、リン酸化合物、亜鉛塩等を多量に使用する必要性があり、その場合、リン酸カルシウムからなるスケールの生成が問題となる。
例えば、特許文献1には、イミノ二酢酸とアリルグリシジルエーテルとから合成されるアミノ基含有単量体をアクリル酸などと重合させる方法により製造された共重合体を水処理剤として用い得ることが開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されている重合体は、リン酸カルシウムのスケールに対しては、更にスケール防止する性能(スケール防止能)を改善する余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−523162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来、様々な重合体が報告されているにもかかわらず、水処理用途に用いられた場合に更に良好なリン酸カルシウムのスケール防止能を発現する重合体が要求されているのが実情である。
そこで、本発明は、水処理に用いられた場合に従来より一層、リン酸カルシウムのスケール防止能の良好な重合体を含む水処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するために様々な重合体/共重合体について鋭意検討を行なった結果、所定のアミノ基含有単量体由来の構成単位及びカルボキシル基含有単量体の構成単位を特定の割合で導入した共重合体(アミノ基含有共重合体)は、優れたリン酸カルシウムのスケール防止能を有することを知得した。上記知見に基づいて、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、アミノ基含有共重合体を含む水処理剤であって、
1質量%以上75質量%以下の下記式(N1)、(N2)、(N3)、(N4)で表されるアミノ基含有単量体から選ばれる1種以上の単量体(N)由来の構造単位(n)、
25質量%以上99質量%以下のカルボキシル基含有単量体(B)由来の構造単位(b)、を必須構成単位として有するアミノ基含有共重合体、
を含む、水処理剤である。
【0006】
【化1】

【0007】

上記一般式(N1)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、Rは、水素原子、炭素数1〜20の有機基を表し、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す。
【0008】
【化2】

【0009】

上記一般式(N2)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す。
【0010】
【化3】

【0011】

上記一般式(N3)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す。
【0012】
【化4】

【0013】

上記一般式(N4)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水処理剤は、優れたリン酸カルシウムのスケール防止能を示す、特定のアミノ基含有共重合体(あるいは本発明の重合体組成物)を含むことを特徴としている。従って、水処理剤として好ましく使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
〔本発明の水処理剤〕
本発明の水処理剤は、特定のアミノ基含有共重合体(以下、本発明のアミノ基含有共重合体とも言う)を含むことを特徴としている。本発明の水処理剤は、本発明のアミノ基含有共重合体を含むことにより、優れたリン酸カルシウムのスケール防止能を示す。すなわち、本発明の水処理剤は、スケール防止剤(以下、本発明のスケール防止剤とも言う)として有用に使用することができる。
【0017】
(本発明の水処理剤の組成)
本発明の水処理剤は、アミノ基含有共重合体を含む。すなわち、本発明の水処理剤は、上記アミノ基含有共重合体単独からなるものであっても良いし、上記アミノ基含有共重合体と他の添加剤とを含むものであっても良い。上記他の添加剤としては、任意の適切な添加剤を採用し得る。例えば、リン系化合物、ポリアクリル酸および/またはその塩、ポリマレイン酸および/またはその塩、アクリル酸系共重合体、スチレン/マレイン酸系共重合体等のポリカルボン酸系重合体;他のスケール防止剤;スライム防止剤;キレート剤;脱酸素剤;などが挙げられる。上記他の添加剤は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。本発明の水処理剤は、水や他の有機溶剤を含んでいても良い。
本発明の水処理剤は、スケール防止剤(本発明のスケール防止剤)として使用できる。すなわち、本発明のスケール防止剤は、上記アミノ基含有共重合体を含み、任意成分として他の添加剤とを含むものであっても良い。
【0018】
(本発明の水処理剤の使用方法)
本発明の水処理剤は、冷却水系、ボイラー水系等の水系の水に対して、任意の適切な量を添加して用いることができる。好ましくは、水に対して、上記アミノ基含有共重合体が0.1〜100ppmとなるように添加することであり、より好ましくは、水に対して、1〜50ppmである。
【0019】
本発明の水処理剤は、例えば、冷却水系、ボイラー水系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等の水系に、そのまま添加すれば良い。また、本発明の水処理剤を水系に添加する際には、リン酸系化合物および/または亜鉛塩を併せて添加しても良い。リン酸系化合物および/または亜鉛塩を併せて添加することにより、水系の流路として用い得る鉄の配管の腐食を防ぐことができる。リン酸系化合物としては、例えば、重合リン酸および/またはその塩、リン酸および/またはその塩、ホスホン酸および/またはその塩などが挙げられる。亜鉛塩としては、例えば、硝酸亜鉛、塩化亜鉛などが挙げられる。添加し得るリン酸系化合物や亜鉛塩は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0020】
(アミノ基含有共重合体)
以下、本発明の水処理剤の必須成分である、アミノ基含有共重合体(本発明のアミノ基含有共重合体)について、詳述する。
<アミノ基含有単量体>
本発明のアミノ基含有共重合体は、下記一般式(N1)、(N2)、(N3)、(N4)で表されるアミノ基含有単量体から選ばれる1種以上の単量体(N)由来の構造単位(n)を特定の割合で有することを必須としている。
【0021】
【化5】

【0022】

上記一般式(N1)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す。
【0023】
【化6】

【0024】

上記一般式(N2)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す。
【0025】
【化7】

【0026】

上記一般式(N3)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す
【0027】
【化8】

【0028】

上記一般式(N4)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す
上記一般式(N1)〜(N4)において、Rが単結合の場合とは、HC=C(R)−R−O−である構造において、HC=C(R)−O−であることを表す。
【0029】
上記一般式(N1)、(N2)におけるR、Rの少なくとも一つ、一般式(N3)、(N4)におけるR、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表すが、ここで、炭素数6〜20のアリール基は、全体として炭素数6〜20であれば、他の有機基で置換されていても良い。炭素数4〜20のアルキル基は、全体として炭素数4〜20であれば、他の有機基で置換されていても良く、直鎖状、分岐状、環状等であっても良い。炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基は、全体として炭素数1〜8であれば、他の有機基で置換されていても良く、直鎖状、分岐状、環状等であっても良く、1級アルコールであっても、2級アルコールであっても、3級アルコールであっても良い。
上記一般式(N1)、(N2)におけるR、Rの少なくとも一つ、一般式(N3)、(N4)におけるR、R、Rの少なくとも一つが、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基であることにより、本発明のアミノ基含有共重合体のリン酸カルシウムのスケール防止能が向上する。以下、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を置換基Aと言うことがある。
【0030】
上記一般式(N1)、(N2)におけてR、Rの両方が置換基Aであることが、リン酸カルシウムのスケール防止能が向上する傾向にあることからより好ましい。また、上記一般式(N3)、(N4)におけるR、R、Rの二つ以上が置換基Aであることが、リン酸カルシウムのスケール防止能が向上する傾向にあることからより好ましく、三つとも無置換のアルキル基であることが特に好ましい。
【0031】
上記一般式(N1)、(N2)、(N3)、(N4)における上記置換基Aが炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基であれば、リン酸カルシウムのスケール防止能に加え、水酸化亜鉛のスケール防止能が特に向上する傾向にあるが、ヒドロキシアルキル基の炭素数は1〜4であることが好ましく、2〜3が特に好ましい。
【0032】
炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基として、ヒドロキシメチル基(−CHOH)、1−ヒドロキシエチル基(−CH(OH)CH)、2−ヒドロキシエチル基(−CHCHOH)、3−ヒドロキシプロピル基(−CHCHCHOH)、2−メチル−2−ヒドロキシエチル基(−CHCH(CH)OH)、1−メチル−2−ヒドロキシエチル基(−CH(CH)CHOH))、4−ヒドロキシブチル基(−CHCHCHCHOH)、1−エチル−2−ヒドロキシエチル基(−CH(C)CHOH))、1−ヘキシル−2−ヒドロキシエチル基(−CH(C13)CHOH))等が例示される。
【0033】
上記一般式(N1)、(N2)、(N3)、(N4)における上記置換基Aが炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基であれば、リン酸カルシウムのスケール防止能が向上するが、重合後のアミノ基含有単量体の残存量が減少し、スケール防止能が向上することから、上記置換基Aが炭素数6〜10のアリール基、炭素数4〜10のアルキル基であることが好ましい。
【0034】
上記一般式(N1)、(N2)、(N3)、(N4)における上記炭素数6〜10のアリール基、炭素数4〜10のアルキル基としては、具体的にターシャリーブチル基、イソブチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ドデシル基、ヘキサデシル基、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、ベンジル基、メトキシフェニル基等が例示される。
【0035】
上記一般式(N1)、(N2)におけるR、Rの少なくとも一つ、一般式(N3)、(N4)におけるR、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基であるが、その他の基は水素原子又は炭素数1〜20の有機基である。炭素数1〜20の有機基は全体として炭素数が1〜20であれば、制限はなく、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アシル基、エーテル基、アミド基、エステル基、ケトン基等が例示され、全体として炭素数1〜20であれば無置換の有機基であっても、更にこれらの有機基で置換された有機基であっても良い。その他の基の炭素数が20を超えると、アミノ基含有共重合体製造後に残存するアミノ基含有単量体の残存量が多くなる傾向にある為、好ましくない。アミノ基含有共重合体のスケール防止能が向上する傾向にあることから、当該有機基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
【0036】
本発明のアミノ基含有共重合体が、アルカリ条件下においても安定してスケール防止能を発現することから、単量体(N)は、エステル基、アミド基を含有しないことが好ましい。
【0037】
上記一般式(N1)、(N2)において、R、Rが環状構造となって一体として置換基Aを形成しても構わない。また、一般式(N3)、(N4)におけるR、R、Rの内の二つの基が環状構造となって一体として置換基Aを形成しても構わない。この場合、環状構造を十分安定なものとするため、環状構造の置換基Aの炭素数は4〜20とすることが好ましい。例えば、上記一般式(N1)において、R、Rが環状構造となって一体として置換基Aを形成している形態とは、下記一般式(N5)で表される。
【0038】
【化9】

【0039】

上記一般式(N5)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、Rは、炭素数4〜20のアルキレン基、アルキレンエーテル基を表す。具体的には、NとRで形成される環状構造が、ピペリジン環や、モルホリン環である構造が例示される。
【0040】
上記構成単位(n)は、単量体(N)がラジカル重合することにより形成される構造単位であり、上記式(N1)〜(N4)において、不飽和二重結合(CH=CH−)が単結合(−CH−CH−)になった形態となる。
【0041】
例えば、単量体が、単量体(N1)の場合、単量体(N)由来の構造単位(n)は、下記一般式(n1)で表される。
【0042】
【化10】

【0043】

上記一般式(n1)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す。
【0044】
本発明のアミノ基含有共重合体は、上記一般式(N1)〜(N4)で表されるアミノ基含有単量体から選ばれる1種以上の単量体(N)由来の構造単位(n)を全単量体由来の構造100質量%に対して、1質量%以上75質量%以下の割合で有することを必須としている。本発明において、単量体とは、不飽和二重結合(炭素炭素二重結合をいう)を有する化合物を言う。構造単位(n)が上記範囲内であれば、優れた共重合体のスケール防止能、リン酸カルシウムのスケール防止能に加え、水酸化亜鉛のスケール防止能の向上効果が得られる。全単量体由来の構造100質量%に対する構造単位(n)の割合は、好ましくは2質量%以上70質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以上60質量%以下であり、特に好ましくは4質量%以上50質量%以下であり、さらに特に好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
【0045】
なお、本発明において、アミノ基含有単量体(N)由来の構造単位(n)の全単量体由来の構造に対する質量割合(質量%)を計算する場合は、1〜3級アミン塩の場合は対応する1〜3級アミンとして計算し4級アミン塩の場合は、カウンターアニオンは計算に入れないこととする。アミノ基含有単量体(N)由来の構造単位(n)にもカルボキシル基含有単量体(B)由来の構造単位(b)にも該当する場合は、全単量体由来の構造に対する質量割合(質量%)を計算する場合は、アミノ基含有単量体(N)由来の構造単位(n)として計算する。単量体の全組成におけるアミノ基含有単量体(N)の質量割合(質量%)を計算する場合も同様に計算する。
【0046】
アミノ基含有単量体(N)は、好ましくはアミノ基含有化合物と、(メタ)アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、イソプレニルグリシジルエーテルから選ばれるグリシジルエーテル化合物とを反応することにより製造することが好ましい。アミノ基含有単量体(N3)、アミノ基含有単量体(N4)は、一級若しくは二級のアミノ基を有するアミノ基含有化合物と、上記グリシジルエーテル化合物とを反応した後で、四級化しても構わないし、三級アミン塩(三級アミンの塩酸塩等)と上記グリシジルエーテル化合物とを直接反応させることにより製造しても構わない。
【0047】
<カルボキシル基含有単量体>
本発明のアミノ基含有共重合体は、カルボキシル基含有単量体(B)由来の構造単位(b)を特定の割合で有することを必須としている。
【0048】
本発明のカルボキシル基含有単量体(B)は、1)不飽和二重結合と2)カルボキシル基および/またはその塩を必須として含有する単量体である(但し単量体(N)に属する単量体は、単量体(B)から除くものとする)。具体的には、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、αーヒドロキシアクリル酸、α−ヒドロキシメチルアクリル酸及びその誘導体等の、不飽和モノカルボン酸及びこれらの塩等;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、2−メチレングルタル酸等の不飽和ジカルボン酸及びこれらの塩等が挙げられる。この際、不飽和ジカルボン酸系単量体としては、分子内に1つの不飽和基と2つのカルボキシル基を有する単量体であればよいが、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等や、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アンモニウム塩(有機アミン塩)等、又は、それらの無水物が好適である。カルボキシル基含有単量体(B)は、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜22個のアルコールとのハーフエステル、不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアミンとのハーフアミド、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数2〜4のグリコールとのハーフエステル、マレアミド酸と炭素数2〜4のグリコールとのハーフアミド等であってもよい。
【0049】
不飽和モノカルボン酸の塩、不飽和ジカルボン酸の塩としては、金属塩、アンモニウム塩または有機アミン塩である。この際、金属塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩等のアルカリ金属の一価の金属の塩;マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属の塩;アルミニウム、鉄等の塩等が挙げられる。また、有機アミン塩としては、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;モノエチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩等のアルキルアミン塩;エチレンジアミン塩、トリエチレンジアミン塩等のポリアミン等の有機アミンの塩が挙げられる。これらのうち、得られる共重合体のスケール防止能の向上効果が高いことから、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩であることが好ましく、より好ましくはナトリウム塩である。
【0050】
カルボキシル基含有単量体(B)の中でも、アクリル酸、アクリル酸塩、マレイン酸、マレイン酸塩が得られる共重合体のスケール防止能の向上効果が高いことから好ましく、アクリル酸、アクリル酸塩を必須とすることがより好ましい。
【0051】
カルボキシル基含有単量体(B)は、1種のみであっても良いが、2種類以上の由来の構造を有しても良い。この場合、本発明のアミノ基含有共重合体は、全種のカルボキシル基含有単量体(B)由来の構造単位(b)の合計を特定の割合で有することになる。
【0052】
上記構成単位(b)は、単量体(B)の不飽和二重結合が単結合になった形態となる(例えば、CH=CH−のとき、−CH−CH−)。
【0053】
本発明のアミノ基含有共重合体は、カルボキシル基含有単量体(B)由来の構造単位(b)を全単量体由来の構造100質量%に対して、25質量%以上99質量%以下の割合で有することを必須としている。構造単位(b)が上記範囲内であれば、優れた共重合体のスケール防止能の向上効果が得られる。全単量体由来の構造100質量%に対する構造単位(b)の割合は、好ましくは30質量%以上98質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以上97質量%以下であり、特に好ましくは50質量%以上96質量%以下であり、さらに特に好ましくは60質量%以上95質量%以下である。
【0054】
本発明のアミノ基含有共重合体は、スケール防止剤として使用した場合、構造単位(b)を特定割合で有することにより、重合体の水溶性が良好になり、リン酸カルシウムや炭酸カルシウムのスケール防止能を発揮することが可能となる。
【0055】
なお、本発明において、カルボキシル基含有単量体(B)由来の構造単位(b)の全単量体由来の構造に対する質量割合(質量%)を計算する場合は、対応する酸換算として計算するものとする。例えば、アクリル酸ナトリウムに由来の構造単位−CH−CH(COONa)−であれば、対応する酸であるアクリル酸由来の構造単位−CH−CH(COOH)−として、質量割合(質量%)の計算をする。同様に、カルボキシル基含有単量体(B)の全単量体に対する質量割合(質量%)を計算する場合も、対応する酸換算として計算するものとする。例えば、アクリル酸ナトリウムであれば、対応する酸であるアクリル酸として質量割合(質量%)の計算をする。
【0056】
更に、カルボキシル基含有単量体(B)以外の酸基含有単量体由来の構造単位の全単量体由来の構造に対する質量割合(質量%)を計算する場合は、対応する酸換算として計算するものとし、カルボキシル基含有単量体(B)以外の酸基含有単量体の全単量体に対する質量割合(質量%)を計算する場合も、対応する酸換算として計算するものとする。
【0057】
<その他の単量体>
本発明のアミノ基含有共重合体は、その他の単量体(E)由来の構造単位(e)を有していても構わない。
本発明のアミノ基含有共重合体が他の単量体(E)を含む際の他の単量体(E)としては、上記単量体(N)若しくは(B)と共重合可能なものであれば特に限定されるものではなく、所望の効果によって適宜選択される。具体的には、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアミン、およびこれらの4級化物や塩等の上記単量体(N)以外のアミノ基含有単量体;3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸系単量体及びこれらの塩;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド系単量体;3−(メタ)アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、3−アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、3−アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパンにエチレンオキサイドを6〜200モル付加させた化合物(3−アリルオキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパン等)、(メタ)アリルアルコール等のアリルエーテル系単量体;イソプレノール、等のイソプレン系単量体;ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシネオペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量体、メトキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(アルキレングリコールの付加モル数1〜300)、フェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(アルキレングリコールの付加モル数1〜300)等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体、スチレン、インデン、ビニルアニリン等のビニルアリール単量体、イソブチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。
また、上記他の単量体(E)は、1種を単独で使用してもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0058】
上記他の単量体(E)としてのポリアルキレングリコール鎖含有単量体を共重合する場合、下記一般式(E1)、(E2)で表される単量体から選ばれる1種以上の単量体であることが好ましい。他の単量体(E)として、ポリアルキレングリコール鎖含有単量体を共重合すると、耐ゲル性が向上する傾向にあるので有利である。
【0059】
【化11】

【0060】

一般式(E1)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、Yは炭素数2〜20のアルキレン基を表し、Xは、1〜300の数を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基、
【0061】
【化12】

【0062】

一般式(E2)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、Yは炭素数2〜20のアルキレン基を表し、Xは、1〜300の数を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表す。
【0063】
一般式(E1)において、RはCHCH基であることが好ましく、(2)において、RはCH基であることが好ましい。
【0064】
一般式(E1)、(E2)において、Yは、上記の通り、炭素数2〜20のアルキレン基を表すが、Yは、得られるアミノ基含有共重合体の共重合性の面から、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基であり、更に好ましくは炭素数2のアルキレン基である。Yは、1種類のアルキレン基であっても、2種以上のアルキレン基であっても良い。
は具体的には、エチレン基、イソプロピル基、ブチレン基、オクチレン基、フェニルエチレン基、ジフェニルエチレン基等である。Yは、得られるアミノ基含有共重合体の析出抑制能が向上することから、好ましくはエチレン基、イソプロピル基、ブチレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、イソプロピル基であり、更に好ましくはエチレン基である。
上記炭素数2〜20のアルキレン基は、炭素数が2〜20であれば有機基で置換されたアルキレン基であっても良く、当該置換基としてはエーテル結合含有単量体の重合性に大きな悪影響を与えるものでなければ使用可能であり、例えばアリール基、アルコキシ基、ケトン基、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基等が挙げられる。
は好ましくはアルキレンオキサイド由来のアルキレン基である。当該アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、イソブチレンオキサイド、1−ブテンオキサイド、2−ブテンオキサイド、ブタジエンモノオキサイド、スチレンオキサイド等である。
【0065】
上記の通り、一般式(E1)、(E2)において、Xは、1〜300の数を表すが、Xは10〜150であることが好ましい。
【0066】
一般式(E1)、(E2)において、Rは、上述の通り、水素原子又は炭素数1〜20の有機基であるが、Rは好ましくは炭素数4〜18の有機基であることが好ましく、炭素数6〜16の有機基であることがより好ましい。Rは、アミノ基、アミド基、水酸基、アルコキシド基、スルホン酸基、カルボニル基、カルボキシル基等の官能基を含んでいても良い。Rは、エーテル結合やスルフィド結合、エステル結合、アミド結合を含んでいても良い。有機基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基であることが好ましい。
【0067】
好ましいRとして、具体的にはn−ブチル基、イソブチル基、オクチル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基のアルキル基;ブチレン基、オクチレン基、ノニレン基等のアルケニル基;フェニル基、フェネチル基、2,3−若しくは2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基が挙げられる。
【0068】
本発明のアミノ基含有共重合体が、アルカリ条件下においても安定してリン酸カルシウムのスケール防止能を発現することから、単量体(E)は、エステル基、アミド基を含有しないことが好ましい。
【0069】
その他の単量体(E)由来の構成単位(e)は、単量体(E)、すなわち上記式(E1)または(E2)において、不飽和二重結合が単結合になった形態となる(例えば、CH=CH−のとき、−CH−CH−)。。
【0070】
本発明のアミノ基含有共重合体は、任意であるが、所望に応じて単量体(E)由来の構造単位(e)を全単量体由来の構造100質量%に対して、0質量%以上50質量%未満の割合で有することができる。本発明において、単量体とは、不飽和二重結合(炭素炭素二重結合をいう)を有する化合物を言う。
本発明のアミノ基含有共重合体は、上記構成単位(n)、(b)、ならびに必要であれば構成単位(e)が、上記したような特定の割合で導入されていればよく、各構成単位は、ブロック状あるいはランダム状のいずれで存在していてもよい。また、本発明のアミノ基含有共重合体の重量平均分子量は、適宜設定できるものであり、特に限定されない。具体的には、アミノ基含有共重合体の重量平均分子量は、2,000〜200,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜100,000、最も好ましくは4,000〜50,000である。重量平均分子量が上記範囲内であれば、スケール防止能が向上する傾向にある。なお、本明細書において、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定値であり、具体的な測定方法は実施例に記載される方法に従って算出される。
【0071】
〔本発明のアミノ基含有共重合体組成物〕
本発明のアミノ基含有共重合体組成物は、本発明のアミノ基含有共重合体を必須として含有し、アミノ基含有共重合体のみを含んでいても良いが、通常はその他に、重合開始剤残渣、残存モノマー、重合時の副生成物、水分から選ばれる1以上を含有する。好ましいアミノ基含有共重合体組成物の形態は、アミノ基含有共重合体を40〜60質量%含有し、水を40〜60質量%含有する形態である。
本発明のアミノ基含有共重合体組成物は、そのまま、水処理剤、スケール防止剤として使用しても良い。
【0072】
〔アミノ基含有共重合体の製造方法〕
上記アミノ基含有共重合体(本発明のアミノ基含有共重合体)の製造方法は、1質量%以上75質量%未満の下記式(N1)、(N2)、(N3)、(N4)で表されるアミノ基含有単量体から選ばれる1種以上の単量体、25質量%以上99質量%未満のカルボキシル基含有単量体(B)、を必須として重合開始剤の存在下重合する、アミノ基含有共重合体の製造方法である。
【0073】
【化13】

【0074】

上記一般式(N1)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す。
【0075】
【化14】

【0076】

上記一般式(N2)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20の有機基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す。
【0077】
【化15】

【0078】

上記一般式(N3)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す。
【0079】
【化16】

【0080】

上記一般式(N4)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す。
【0081】
本発明のアミノ基含有共重合体を製造する方法としては、アミノ基含有単量体(N)、カルボキシル基含有単量体(B)を必須成分として含む単量体成分を共重合することにより製造することができるが、単量体成分を共重合する際には、必要に応じ、上記その他の単量体(E)を更に共重合させてもよい。
【0082】
このような製造方法においては、重合開始剤を用いて単量体成分を共重合すればよい。なお、アミノ基含有共重合体を構成する構成単位が上述したようになるように、単量体成分に含まれる単量体の種類や使用量を適宜設定することになる。すなわち、上記アミノ基含有共重合体を形成する各単量体の組成比は、全単量体に対して、アミノ基含有単量体(N)が1質量%以上75質量%以下、カルボキシル基含有単量体(B)が25質量%以上99質量%以下である。上述したように、さらにこれらと共重合可能な上記その他の単量体(E)を、単量体(N)、(B)、(E)の合計を100質量%とした場合に、0〜50質量%の量で使用してもよい。
好ましくは、アミノ基含有単量体(N)が2質量%以上70質量%未満、カルボキシル基含有単量体(B)が30質量%以上98質量%以下であり、さらに好ましくは、アミノ基含有単量体(N)が3質量%以上60質量%未満、カルボキシル基含有単量体(B)が40質量%以上97質量%以下であり、特に好ましくは、アミノ基含有単量体(N)が4質量%以上50質量%未満、カルボキシル基含有単量体(B)が50質量%以上96質量%以下であり、さらに特に好ましくは、アミノ基含有単量体(N)が5質量%以上40質量%未満、カルボキシル基含有単量体(B)が60質量%以上95質量%以下である。なお、上記単量体(N)、(B)及び(E)の合計量は100質量%としている。


<重合開始剤>
上記開始剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が好適である。これらの重合開始剤のうち、過酸化水素、過硫酸塩が好ましく、過硫酸塩が最も好ましい。これらの重合開始剤は、単独で使用されてあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。例えば、過酸化水素と過硫酸塩の組み合わせは好ましい形態である。
【0083】
<連鎖移動剤>
本発明のアミノ基含有共重合体の製造方法は、必要に応じ、重合に悪影響を及ぼさない範囲内で、重合体の分子量調整剤として連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤としては、具体的には、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン際、3−メルカプトプロピオン際、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等の、チオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、及びその塩(亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)等の、低級酸化物およびその塩などが挙げられる。上記連鎖移動剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
連鎖移動剤を使用すると、製造されるアミノ基基含有共重合体が必要以上に高分子量化することを抑制し、低分子量のアミノ基含有共重合体を効率よく製造することができるという利点がある。これらのうち、本発明に係る共重合反応においては、亜硫酸や亜硫酸塩を用いることが好適である。これにより、得られる(メタ)アクリル酸系共重合体の主鎖末端に定量的にスルホン酸基を導入することができるととなり、耐ゲル性を向上することが可能となる。また、連鎖移動剤として、亜硫酸や亜硫酸塩を用いることにより、アミンの酸化を押さえ、得られるアミノ基含有共重合体(組成物)の色調を改善することができるので好ましい。
本発明の製造方法において、上述したように、亜硫酸および/または亜硫酸塩(以下、単に「亜硫酸(塩)」と記載する)を連鎖移動剤として使用することは好ましい形態であるが、その場合、亜硫酸(塩)に加えて開始剤を使用する。さらに、反応促進剤として、重金属イオンを併用してもよい。
上記亜硫酸(塩)としては、亜硫酸若しくは亜硫酸水素またはこれらの塩をいい、亜硫酸/亜硫酸水素が塩である形態が好適である。亜硫酸/亜硫酸水素が塩である場合、上記した例に加えて、金属原子、アンモニウム又は有機アンモニウムの塩が好適である。上記金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の一価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の二価の金属原子;アルミニウム、鉄等の三価の金属原子等の塩が好ましい。また、有機アンモニウム(有機アミン)としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノ
ールアミンや、トリエチルアミン等が好適である。更に、アンモニウムであってもよい。ゆえに、本発明で好ましく使用される亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム等が挙げられ、亜硫酸水素ナトリウムが特に好適である。上記亜硫酸(塩)は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0084】
<反応促進剤>
本発明のアミノ基含有共重合体の製造方法は、開始剤などの使用量を低減する等の目的で反応促進剤を加えても良い。反応促進剤としては、重金属イオンが例示される。本発明で重金属イオンとは、比重が4g/cm以上の金属を意味する。上記金属イオンとしては、例えば、鉄、コバルト、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀、金、鉛、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等が好ましい。これらの重金属は1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、鉄がより好ましい。上記重金属イオンのイオン価は特に限定されるものではなく、例えば、重金属として鉄が用いられる場合、開始剤における鉄イオンとしては、Fe2+であっても、Fe3+であってよく、これらが組み合わされていてもよい。
上記重金属イオンは、イオンの形態として含まれるものであれば特に限定されないが、重金属化合物を溶解してなる溶液を用いる方法を用いると、取り扱い性に優れるため好適である。その際に用いる重金属化合物は、開始剤に含有することを所望する重金属イオンを含むものであればよく、用いる開始剤に応じて決定することができる。上記重金属イオンとして鉄を用いる場合、モール塩(Fe(NH(SO・6HO)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄等の重金属化合物等を用いることが好ましい。また、重金属イオンとしてマンガンを用いる場合、塩化マンガン等を好適に用いることができる。これらの重金属化合物を用いる場合においては、いずれも水溶性の化合物であるため、水溶液の形態として用いることができ、取り扱い性に優れることになる。なお、上記重金属化合物を溶解してなる溶液の溶媒としては、水に限定されるものではなく、本発明の疎水基含有共重合体の製造において、重合反応を妨げるものでなく、かつ、重金属化合物を溶解するものであればよい。
【0085】
上記重金属イオンの添加方法は特に限定されないが、単量体の滴下終了前までに添加することが好ましく、全量初期仕込することが特に好ましい。また、使用量としては反応液全量に対して100ppm以下であることが好ましいが、より好ましくは70ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下、特に好ましくは30ppm以下である。100ppmを越えると添加した効果はもはや見られず、また得られた共重合体の着色が大きく用途によっては使用できない恐れがあるため好ましくない。
【0086】
上記重金属イオンの含有量は、また、重合反応完結時における重合反応液の全質量に対して好ましくは0.1〜10ppmであることが好ましい。重金属イオンの含有量が0.1ppm未満であると、重金属イオンによる効果が十分に発現しないおそれがある。一方、重金属イオンの含有量が10ppmを超えると、得られる共重合体の色調の悪化を来たすおそれがある。また、重金属イオンの含有量が多いと、生成物である共重合体をスケール防止剤として用いる場合に、スケールの原因となるおそれがある。
【0087】
なお、上記重合反応完結時とは、重合反応液中において重合反応が実質的に完了し、所望する重合体が得られた時点を意味する。例えば、重合反応液中において重合された重合体がアルカリ成分で中和される場合には、中和した後の重合反応液の全質量を基準に、重金属イオンの含有量を算出する。2種以上の重金属イオンが含まれる場合には、重金属イオンの総量が上述の範囲であればよい。
【0088】
本発明のアミノ基含有共重合体の製造方法において、重合の際には、上述した化合物等に加えて、重合開始剤の分解触媒や還元性化合物を反応系に添加してもよい。重合開始剤の分解触媒としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム等のハロゲン化金属;酸化チタン、二酸化ケイ素等の金属酸化物;塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸等の無機酸の金属塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、安息香酸等のカルボン酸、そのエステルおよびその金属塩;ピリジン、インドール、イミダゾール、カルバゾール等の複素環アミンおよびその誘導体等が挙げられる。これらの分解触媒は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0089】
また、還元性化合物としては、例えば、フェロセン等の有機金属化合物;ナフテン酸鉄、ナフテン酸銅、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン等の、鉄、銅、ニッケル、コバルト、マンガン等の金属イオンを発生できる無機化合物;三フッ化ホウ素エーテル付加物、過マンガン酸カリウム、過塩素酸等の無機化合物;二酸化硫黄、亜硫酸塩、硫酸エステル、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、スルホキシ酸塩、ベンゼンスルフィン酸とその置換体、パラトルエンスルフィン酸等の環状スルフィン酸の同族体等の硫黄含有化合物;オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオプロピオン酸、α−チオプロピオン酸ナトリウムスルホプロピルエステル、α−チオプロピオン酸ナトリウムスルホエチルエステル等のメルカプト化合物;ヒドラジン、β−ヒドロキシエチルヒドラジン、ヒドロキシルアミン等の窒素含有化合物;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、イソバレリアンアルデヒド等のアルデヒド類;L−アスコルビン酸等が挙げられる。これらの還元性化合物もまた、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。メルカプト化合物等の還元性化合物は、連鎖移動剤として添加してもよい。
上記連鎖移動剤、開始剤及び反応促進剤の組み合わせは、特に制限されず、上記各例示の中から適宜選択できる。例えば、連鎖移動剤、開始剤及び反応促進剤の組み合わせとしては、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過酸化水素(H)、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過硫酸ナトリウム(NaPS)、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/Fe、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過酸化水素(H)/Fe、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過硫酸ナトリウム(NaPS)/Fe、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過硫酸ナトリウム(NaPS)/過酸化水素(H)、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/酸素/Fe等の形態が好ましい。より好ましくは、過硫酸ナトリウム(NaPS)/過酸化水素(H)、過硫酸ナトリウム(NaPS)/過酸化水素(H)/Fe、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過硫酸ナトリウム(NaPS)、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過硫酸ナトリウム(NaPS)/Feであり、最も好ましくは亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過硫酸ナトリウム(NaPS)/Fe、過硫酸ナトリウム(NaPS)/過酸化水素(H)/Feである。
【0090】
<重合開始剤等の使用量>
開始剤の使用量は、単量体(N)、(B)ならびに必要であれば他の単量体(E)の共重合を開始できる量であれば特に制限されないが、単量体(N)、(B)ならびに必要であれば他の単量体(E)からなる全単量体成分1モルに対して、15g以下、より好ましくは1〜12gであることが好ましい。
【0091】
開始剤として、過酸化水素を使用する場合、過酸化水素の添加量は、単量体1molに対して1.0〜10.0gであることが好ましく、2.0〜8.0gであることがより好ましい。過酸化水素の添加量が2.0g未満であると、得られる共重合体の重合平均分子量が高くなる傾向にある。一方、添加量が10.0gを超えると過酸化水素の効果が添加量に伴うほど得られなくなり、さらに残存する過酸化水素量が多くなるなどの悪影響を及ぼす。
【0092】
開始剤として、過硫酸塩を使用する場合、過硫酸塩の添加量は、単量体1molに対して1.0〜5.0gであることが好ましく、2.0〜4.0gであることがより好ましい。過硫酸塩の添加量がこれより少なすぎると、得られる共重合体の分子量が高くなる傾向がある。一方、添加量が多すぎると、過硫酸塩の効果が添加量に伴うほど得られなくなり、さらに、得られる共重合体の純度が低下するなど悪影響を及ぼすことになる。
【0093】
開始剤として過酸化水素と過硫酸塩を併用する場合、過酸化水素および過硫酸塩の添加比率は、重量比で過酸化水素の重量が1としたときに、過硫酸塩の重量が0.1〜5.0であることが好ましく、0.2〜2.0であることがより好ましい。過硫酸塩の重量比が0.1未満であると、得られる共重合体の重量平均分子量も高くなる傾向がある。一方、過硫酸塩の重量比が5.0を超えると、過硫酸塩の添加による分子量低下の効果が添加に伴うほど得られない状態で、重合反応系において過硫酸塩が無駄に消費されることになる。
【0094】
過酸化水素の添加方法としては、全使用量に対し、実質的に連続的に滴下する量が必要所定量の85重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは90重量%以上であり、全量を滴下することが最も好ましい。過酸化水素は連続的に滴下するが、その滴下速度は変えてもよい。
【0095】
過酸化水素の滴下は、後述する重合温度、重合時のpHにおける条件下において、単量体(初期仕込みする単量体を除く)の滴下開始後、遅らせて開始することが好ましい。好ましくはカルボキシル基含有単量体の滴下開始後1分以上経過後、更に好ましくは3分以上経過後、より好ましくは5分以上経過後、最も好ましくは10分以上経過後に過酸化水素の滴下を開始することである。過酸化水素の滴下開始時間を遅らすことにより、初期の重合開始をスムーズにし、分子量分布を狭くすることが可能となる。
過酸化水素の滴下開始時間を遅らす時間は、単量体の滴下開始後60分以内であることが好ましく、30分以内であることがより好ましい。
過酸化水素の滴下を単量体の滴下と同時に開始すること、単量体の滴下前に予め過酸化水素を仕込むことも可能であるが、予め過酸化水素を仕込む場合は、必要所定量の10%以下であることが好ましく、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは3%以下である。
単量体の滴下開始時間までに必要所定量の10%を超える過酸化水素を添加すると、例えば過硫酸塩を併用する場合には過硫酸塩に対する過酸化水素の濃度の比率が大きくなり、重合が停止するおそれがある。一方、単量体の滴下開始時間から60分より遅く開始すると、過酸化水素による連鎖移動反応等が起こらなくなる為、重合初期の分子量が高くなる。
【0096】
過酸化水素の滴下終了時間は、後述する重合温度、重合時のpHにおける条件下において、単量体の滴下終了時間と同時に終了することが好ましく、単量体滴下終了時間よりも10分以上早く終了することがより好ましく、30分以上早く終了することが特に好ましい。なお、単量体の滴下終了時間より遅く終了しても、重合系において特に悪影響を及ぼすものではない。ただ、添加した過酸化水素が重合終了時までに完全には分解しないため、過酸化水素としての効果が得られず無駄となり、また、過酸化水素が多量に残存する恐れがあることから、得られた共重合体の熱的安定性に悪影響を及ぼす可能性があるため好ましくはない。
【0097】
また、過硫酸塩の添加方法としては、その分解性等を鑑み、特に限定はされないが、全使用量に対し、実質的に連続的に滴下する量が必要所定量の50重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは80重量%以上であり、全量を滴下することが最も好ましい。過硫酸塩は連続的に滴下するが、その滴下速度は変えてもよい。
【0098】
滴下時間においても特には限定されないが、後述する重合温度、重合時のpHにおける条件下において、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等、比較的分解の早い開始剤においては、単量体の滴下終了時間まで滴下することが好ましく、単量体滴下終了後から30分以内に終了することがより好ましく、単量体滴下後5分〜20分以内に終了することが特に好ましい。これにより、共重合体における単量体の残量を著しく減じることが出来る効果を見出せる。なお、単量体の滴下終了前に、これら開始剤の滴下を終了しても、重合に特に悪影響を及ぼすものではなく、得られた共重合体中における単量体の残存量に応じて設定すれば良いものである。
【0099】
これら比較的分解の早い開始剤について、滴下終了時間についてのみ好ましい範囲を述べたが、滴下開始時間は何ら限定されるものではなく、適宜設定すれば良い。例えば、場合によっては単量体の滴下開始前に開始剤の滴下を開始しても良いし、或は特に併用系の場合においては、一つの開始剤の滴下を開始し、一定の時間が経過してから、或は終了してから別の開始剤の滴下を開始しても良い。何れも、開始剤の分解速度、単量体の反応性に応じて適宜設定すれば良い。
【0100】
添加時のラジカル重合開始剤の濃度は、特には限定されないが、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。開始剤の濃度が5重量%未満であると、結果的に重合中の単量体濃度が非常に低くなるので、単量体の重合性が非常に悪くなり得られる共重合体中における単量体の残存量が非常に多くなる。また輸送等の効率や生産性も低くなり経済的な面からも好ましくない。逆に60重量%を超えると、安全性や滴下の簡便性の面で問題となる。
本発明の方法において、連鎖移動剤の添加量は、単量体(N)、(B)ならびに必要であれば他の単量体(E)が良好に重合する量であれば制限されないが、好ましくは単量体(N)、(B)、ならびに必要であれば他の単量体(E)からなる全単量体成分1モルに対して、1〜20g、より好ましくは2〜15gである。1g未満であると、分子量の制御ができないおそれがあり、逆に、20gを超えると、不純物が多量に生成し、重合体純分が低下するおそれがあり、特に亜硫酸塩を使用する場合には、余剰の亜硫酸塩が反応系中で分解され、亜硫酸ガスが発生するおそれがある。しかも、経済的にも不利となるおそれがある。
上記開始剤と連鎖移動剤との組み合わせとしては、過硫酸塩と亜硫酸塩とをそれぞれ1種以上用いることが最も好ましい。この場合、過硫酸塩と亜硫酸塩との混合比は、特に制限されないが、過硫酸塩1質量部に対して、亜硫酸塩0.5〜5質量部を用いることが好ましい。より好ましくは、過硫酸塩1質量部に対して、亜硫酸塩の下限は、1質量部であり、最も好ましくは2質量部である。また、亜硫酸塩の上限は、過硫酸塩1質量部に対して、より好ましくは4質量部であり、最も好ましくは3質量部である。ここで、亜硫酸塩が0.5質量部未満であると、低分子量化する際に開始剤総量が増加するおそれがあり、逆に5質量部を超えると、副反応が増加し、それによる不純物が増加するおそれがある。
上記連鎖移動剤、開始剤、及び反応促進剤の総使用量は、単量体(N)、(B)、ならびに必要であれば他の単量体(E)からなる全単量体成分1モルに対して、2〜20gであることが好ましい。このような範囲とすることで、本発明のアミノ基含有共重合体を効率よく生産することができ、また、アミノ基含有共重合体の分子量分布を所望のものとすることができる。より好ましくは、4〜18gであり、更に好ましくは、6〜15gである。
上記重合開始剤及び連鎖移動剤の反応容器への添加方法としては、滴下、分割投入等の連続投入方法を適用することができる。また、連鎖移動剤を単独で反応容器へ導入しても
よく、単量体成分を構成する各単量体(N)、(B)やその他の単量体(E)、溶媒等とあらかじめ混同しておいてもよい。
【0101】
<重合溶媒>
本発明において、単量体(N)、(B)、さらに必要であれば他の単量体(E)の共重合は、使用する溶媒の50質量%以上に水を用いる、および/または連鎖移動剤の存在下で行なうことが好ましく、使用する溶媒の50質量%以上に水を用い、かつ連鎖移動剤の存在下で行なうことがより好ましい。この際、使用する溶媒の50質量%以上に水を用いることによって、重合に使用される有機溶剤の量を抑制できるため、重合終了後の有機溶剤の留去が容易であるという利点がある。
【0102】
したがって、本発明の製造方法の好ましい形態は、1質量%以上75質量%未満の式(1)のアミノ基含有単量体(N)、25質量%以上99質量%未満の式(2)のカルボキシル基含有単量体(B)、必要に応じてその他の単量体(E)(ただし、単量体(N)、(B)、及び(E)の合計比率は100質量%である)を、使用する溶媒の50質量%以上に水を用い、かつ連鎖移動剤を用いて重合反応を行なう工程を含む、アミノ基含有共重合体の製造方法に関するものである。
上記態様で使用される溶媒としては、使用する溶媒全量に対して50質量%の割合で水を含むものであれば特に制限されない。重合に使用される単量体の溶媒への溶解性向上という観点から、必要に応じて、有機溶媒を添加してもよい。この場合においても、全混合溶媒中の水の含量は50質量%以上である。この際使用できる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等の低級ケトン類;ジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアルデヒド等のアミド類が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で試用されてもよい。本発明では、水の量は、使用する溶媒全量に対して、好ましくは80質量%以上であることが好ましく、最も好ましくは水単独(即ち、100質量%)である。上記有機溶媒を添加する場合は、単量体成分及び得られる共重合体の溶解性の点から、水及び炭素数1〜4の低級アルコールからなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒を用いることが好ましい。
水等の溶媒の使用量としては、単量体成分100質量%に対して40〜200質量%が好ましい。より好ましくは、45質量%以上であり、更に好ましくは、50質量%以上である。また、より好ましくは、180質量%以下であり、更に好ましくは、150質量%以下である。溶媒の使用量が40質量%未満であると、得られる共重合体の分子量が高くなるおそれがあり、200質量%を超えると、得られる共重合体の濃度が低くなり、溶媒除去が必要となるおそれがある。なお、溶媒は、重合初期に一部又は全量を反応容器内に仕込んでおけばよいが、溶媒の一部を重合反応中に反応系内に添加(滴下)してもよいし、単量体成分や開始剤等を予め溶媒に溶解させた形で、これらの成分と共に重合反応中に反応系内に添加(滴下)してもよい。
上記共重合方法において、単量体成分や重合開始剤等の反応容器への添加方法としては、反応容器に単量体成分の全てを仕込み、重合開始剤を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に単量体成分の一部を仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分を反応容器内に連続してあるいは段階的に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法;反応容器に重合溶媒を仕込み、単量体成分と重合開始剤の全量を添加する方法;単量体(N)、(B)、場合により(E)のうちの一(例えば、単量体(B))の一部を反応容器に仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分(単量体(B)の残り及び単量体(N)ならびに必要であれば単量体(E)のすべて)を反応容器内に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法等が好適である。このような方法の中でも、得られる共重合体の分子量分布を狭く(シャープに)することができ、スケール防止剤として用いる場合の分散性を向上することができうることから、重合開始剤と単量体成分を反応容器に逐次滴下する方法で共重合を行うことが好ましい。
上記共重合方法としては、例えば、溶液重合やバルク重合、懸濁重合、乳化重合等の通常用いられる方法で行うことができ、特に限定されるものではないが、溶液重合が好ましい。この際使用できる溶媒は、上述したように、全溶媒に対して50質量%が水である混合溶媒または水であることが好ましい。水のみを使用する場合には、脱溶剤工程を省略できる点で好適である。
上記共重合方法は、回分式でも連続式でも行うことができる。
上記共重合方法において、共重合温度等の共重合条件としては、用いられる共重合方法、溶媒、重合開始剤により適宜定められるが、共重合温度としては、通常、0℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは、40℃以上であり、更に好ましくは、60℃以上であり、特に好ましくは、80℃以上である。また、より好ましくは、120℃以下であり、更に好ましくは、110℃以下である。特に、亜硫酸(塩)を用いる場合には、共重合温度は、通常、60℃〜95℃、好ましくは70℃〜95℃、さらに好ましくは、80℃〜95℃である。この際、60℃未満では、
亜硫酸(塩)由来の不純物が多量に生成するおそれがある。逆に、95℃を越えると、有毒な亜硫酸ガスが放出されるおそれがある。
上記共重合温度は、重合反応において、常にほぼ一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間又は昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応中に経時的に温度変動(昇温又は降温)させてもよい。
【0103】
<重合時間、重合圧力、重合pH>
重合時間は特に制限されないが、好ましくは30〜420分であり、より好ましくは45〜390分であり、さらに好ましくは60〜360分であり、最も好ましくは90〜300分である。なお、本発明において、「重合時間」とは、特に断らない限り、単量体を添加している時間を表す。
上記共重合方法における反応系内の圧力としては、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下の何れであってもよいが、得られる共重合体の分子量の点で、常圧下、又は、反応系内を密閉し、加圧下で行うのが好ましい。また、加圧装置や減圧装置、耐圧性の反応容器や配管等の設備の点で、常圧(大気圧)下で行うのが好ましい。反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でもよいが、不活性雰囲気とするのが好ましく、例えば、重合開始前に系内を窒素等の不活性ガスで置換することが好ましい。
上記共重合における重合中のpHは、酸性が好ましい。特に、上記開始剤として、過硫酸塩と重亜硫酸塩とを併用する場合は、酸性条件下で行うことが好ましい。酸性条件下で行うことによって、重合反応系の水溶液の粘度の上昇を抑制し、共重合体を良好に製造することができる。また、高濃度の条件下で重合反応を進行させることができるので、製造効率を大幅に上昇することができ、最終固形分濃度が40%以上の高濃度重合とすることができ、含まれる残存モノマーの総濃度が30000ppm以下のものを得ることができる。更に、アミノ基含有単量体の重合性を向上することができる。
上記酸性条件としては、重合中の反応溶液の25℃でのpHが1〜6であることが好ましい。より好ましくは、5以下であり、更に好ましくは、3以下である。上記共重合方法により得られる共重合体は、そのままでもスケール防止剤の主成分等として用いることができるが、必要に応じて、更にアルカリ性物質で中和して用いてもよい。アルカリ性物質としては、一価金属及び二価金属の水酸化物、塩化物及び炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アンモニウム(有機アミン)等を用いることが好ましい。
共重合を行う際の中和率は、開始剤によって適宜変更できる。例えば、過硫酸塩と重亜硫酸塩とを併用する場合は、カルボキシル基含有単量体等の酸基含有単量体の酸基の合計量に対して、単量体の中和率を0〜60モル%として単量体成分の共重合を行うことが好ましい。単量体の中和率は、単量体の全モル数を100モル%としたときに、塩を形成している単量体のモル%で表されることになる。単量体の中和率が60モル%を超えると、共重合工程における重合率が上がらず、得られる共重合体の分子量が低下したり、製造効率が低下したりするおそれがある。より好ましくは、50モル%以下であり、更に好ましくは、40モル%以下、特に好ましくは、30モル%以下であり、より特に好ましくは、20モル%以下であり、最も好ましくは、10モル%以下である。
また、過硫酸塩と過酸化水素を併用する場合は、カルボキシル基含有単量体等の酸基含有単量体の酸基の合計量に対して、99mol%以下、好ましくは50〜95mol%以下である。中和度が50mol%未満であると過酸化水素の分解が十分に起こらず、重量平均分子量が高くなる傾向がある。また99mol%を越えると強アルカリ性の腐食性条件となるため、高温では製造設備が腐食する恐れがあり、さらに、アルカリによって過酸化水素が分解してしまうため、添加量が多くなってしまうという恐れもある。重合終了後(即ち単量体滴下終了後)の中和度は、残存する過酸化水素の分解を促進するために、カルボキシル基含有単量体およびアミノ基含有単量体の酸量の合計量に対して、好ましくは80mol%以上、より好ましくは90mol%以上、さらに好ましくは95mol%以上とする。
上記単量体の中和率を0〜60モル%として共重合を行う方法としては、例えば、単量体が不飽和カルボン酸系単量体である場合、全て酸型である不飽和カルボン酸系単量体を中和せずに共重合に付することにより行う方法や、不飽和カルボン酸系単量体をアルカリ性物質を用いてナトリウム塩やアンモニウム塩等の塩の形態に中和するときに中和率を0〜60モル%としたものを共重合に付することにより行う方法等が好適である。
【0104】
[共重合体、重合体組成物のその他の用途]
本発明のアミノ基含有共重合体(または重合体組成物)は、上記の通り、水処理剤、スケール防止剤(スケール抑制剤)として有用に使用することができる。本発明のアミノ基含有共重合体(または重合体組成物)は、繊維処理剤、分散剤、増粘剤、各種バインダー、乳化剤、スキンケア剤、ヘアケア剤等としても有用に用いられ得る。
【0105】
<繊維処理剤>
本発明のアミノ基含有共重合体(または重合体組成物)は、繊維処理剤に用いることができる。該繊維処理剤は、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つと、本発明のアミノ基含有共重合体(または重合体組成物)を含む。
【0106】
上記繊維処理剤における本発明のアミノ基含有共重合体の含有量は、繊維処理剤全体に対して、好ましくは1〜100重量%であり、より好ましくは5〜100重量%である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
【0107】
以下に、より実施形態に近い、繊維処理剤の配合例を示す。この繊維処理剤は、繊維処理における精錬、染色、漂白、ソーピングの工程で使用することができる。染色剤、過酸化物および界面活性剤としては繊維処理剤に通常使用されるものが挙げられる。
【0108】
本発明のアミノ基含有共重合体と、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つとの配合比率は、例えば、繊維の白色度、色むら、染色けんろう度の向上のためには、繊維処理剤純分換算で、本発明のアミノ基含有共重合体1重量部に対して、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを0.1〜100重量部の割合で配合された組成物を繊維処理剤として用いることが好ましい。
【0109】
上記繊維処理剤を使用できる繊維としては、任意の適切な繊維を採用し得る。例えば、木綿、麻等のセルロース系繊維、ナイロン、ポリエステル等の化学繊維、羊毛、絹糸等の動物性繊維、人絹等の半合成繊維およびこれらの織物および混紡品が挙げられる。
【0110】
上記繊維処理剤を精錬工程に適用する場合は、本発明のアミノ基含有共重合体と、アルカリ剤および界面活性剤とを配合することが好ましい。漂白工程に適用する場合では、本発明のアミノ基含有共重合体と、過酸化物と、アルカリ性漂白剤の分解抑制剤としての珪酸ナトリウム等の珪酸系薬剤とを配合することが好ましい。
<無機顔料分散剤>
本発明のアミノ基含有共重合体(または重合体組成物)は、無機顔料分散剤に用いることができる。該無機顔料分散剤には、必要に応じて、他の配合剤として、縮合リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、ポリビニルアルコールを用いても良い。
【0111】
上記無機顔料分散剤中における、本発明のアミノ基含有共重合体の含有量は、無機顔料分散剤全体に対して、好ましくは5〜100重量%である。また性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
【0112】
上記無機顔料分散剤は、紙コーティングに用いられる重質ないしは軽質炭酸カルシウム、クレイの無機顔料の分散剤として良好な性能を発揮し得る。例えば、無機顔料分散剤を無機顔料に少量添加して水中に分散することにより、低粘度でしかも高流動性を有し、かつ、それらの性能の経日安定性が良好な、高濃度炭酸カルシウムスラリーのような高濃度無機顔料スラリーを製造することができる。
【0113】
上記無機顔料分散剤を無機顔料の分散剤として用いる場合、該無機顔料分散剤の使用量は、無機顔料100重量部に対して、0.05〜2.0重量部が好ましい。該無機顔料分散剤の使用量が上記範囲内にあることによって、十分な分散効果を得ることが可能となり、添加量に見合った効果を得ることが可能となり、経済的にも有利となり得る。
【実施例】
【0114】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
また、重合体の重量平均分子量及び析出抑制能は、下記方法に従って測定した。
【0115】
<単量体Nの定量方法>
単量体N等の定量は、以下の条件の高速クロマトグラフィーで行った。
測定装置:東ソー株式会社製 8020シリーズ
カラム:株式会社資生堂製 CAPCELL PAK C1 UG120
温度:40.0℃
溶離液:10mmol/Lリン酸水素二ナトリウム・12水和物水溶液
(リン酸でpH7に調整)/アセトニトリル=45/55(体積比)
流速:1.0ml/min
検出器:RI、UV(検出波長215nm)。
<単量体Bの定量方法>
単量体B等の含有量の測定は、下記条件で、液体クロマトグラフィーを用いて行なった。
装置:株式会社日立製作所製 L−7000シリーズ
検出器:株式会社日立製作所製 UV検出器 L−7400
カラム:株式会社昭和電工製 Shodex RSpak DE−413
流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
移動相:0.1%リン酸水溶液。
<重量平均分子量の測定条件>
装置:日立社製 L−7000シリーズ
検出器:RI
カラム:昭和電工社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ, GF−710−HQ, GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min.
検量線:創和科学株式会社製 POLYACRYLIC ACID STANDARD
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=3/1(質量比)
<単量体等の分析>
アミン単量体の製造における反応の進行は、HNMRおよび液体クロマトグラフィーで確認した。
重合は、残存単量体を液体クロマトグラフィーにより定量することにより確認した。
【0116】
<リン酸カルシウムのスケール抑制率>
225mlのネジ口瓶に、脱イオン水、ホウ酸−ホウ酸ナトリウムpH緩衝液、塩化カルシウム水溶液、実施例・比較例で得られる重合体水溶液、リン酸ナトリウム水溶液をこの順に添加し、pH=8.6、重合体濃度が固形分換算で6mg/L、カルシウム硬度=50mgCaCO3/L、リン酸イオン=10mgPO43−/Lの試験液100mlを調製した。密封した後、60℃の熱風乾燥機に入れた。40時間後に、試験液を孔径0.1μmの濾紙で濾過し、濾液中の残留リン酸イオン濃度を分析した。ブランクとして、上記の試験液から重合体を除いたブランク試験液を用意し、同様の操作を行って、残留リン酸イオン濃度を分析した。下記式によって、リン酸カルシウムスケール抑制率を求めた。
リン酸カルシウムスケール抑制率=100×(R−Q)/(P−Q)
P:仕込みリン酸イオン濃度(mg/L)
Q:ブランクの残留リン酸イオン濃度(mg/L)
R:残留リン酸イオン濃度(mg/L)。
【0117】
<合成例1>
還流冷却器、攪拌機、および、窒素導入管を備えた容量1リットルのガラス製4つ口フラスコに、ジエタノールアミン315.4gを仕込み、窒素導入、および、攪拌しながら、液温を50℃に調整した。次に、攪拌しながら、アリルグリシジルエーテル(以下、AGEと略す。)349.3gをゆっくりと2時間かけて滴下した。液温は50℃〜60℃を保持した。滴下終了後、さらに、2時間、液温60℃で熟成して、本発明のアミノ基含有単量体(N)としての、単量体A(すなわち、AGEのグリシジル基にジエタノールアミンが付加した単量体)を得た。単量体Aの生成は、高速液体クロマトグラフィー、および、H−NMRより確認した。
【0118】
<合成例2>
還流冷却器、攪拌機、および、窒素導入管を備えた容量2リットルのガラス製4つ口フラスコに、純水491.0g、および、ジn−ブチルアミン258.0gを仕込み、窒素導入、および、攪拌しながら、液温を50℃に調整した。次に、攪拌しながら、AGE232.8gをゆっくりと2時間かけて滴下した。液温は50℃〜60℃を保持した。滴下終了後、さらに、2時間、液温60℃で熟成した。室温まで冷却した後、分液ロートに移し、静置すると2層に分離するので、下層の水層を廃棄した。さらに、上層に純水を加えて洗浄した。これをナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで水分を完全に除去することにより、本発明のアミノ基含有単量体(N)としての、単量体B(すなわち、AGEのグリシジル基にジn−ブチルアミンが付加した単量体)を得た。単量体Bの生成は、高速液体クロマトグラフィー、および、H−NMRより確認した。
【0119】
<合成例3>
還流冷却器、攪拌機、および、窒素導入管を備えた容量1リットルのガラス製4つ口フラスコに、N−n−ブチル−N−エタノールアミン234.0gを仕込み、窒素導入、および、攪拌しながら、液温を50℃に調整した。次に、攪拌しながら、AGE232.8gをゆっくりと2時間かけて滴下した。液温は50℃〜60℃を保持した。滴下終了後、さらに、2時間、液温60℃で熟成して、本発明のアミノ基含有単量体(N)としての、単量体C(すなわち、AGEのグリシジル基にN−n−ブチル−N−エタノールアミンが付加した単量体)を得た。単量体Cの生成は、高速液体クロマトグラフィー、および、H−NMRより確認した。
【0120】
<合成例4>
還流冷却器、攪拌機、および、窒素導入管を備えた容量1リットルのガラス製4つ口フラスコに、ジ−2−プロパノールアミン266.0gを仕込み、窒素導入、および、攪拌しながら、液温を50℃に調整した。次に、攪拌しながら、AGE232.8gをゆっくりと2時間かけて滴下した。液温は50℃〜60℃を保持した。滴下終了後、さらに、2時間、液温60℃で熟成して、本発明のアミノ基含有単量体(N)としての、単量体D(すなわち、AGEのグリシジル基にジ−2−プロパノールアミンが付加した単量体)を得た。単量体Dの生成は、高速液体クロマトグラフィー、および、H−NMRより確認した。
【0121】
<合成例5>
還流冷却器、攪拌機、および、窒素導入管を備えた容量2リットルのガラス製4つ口フラスコに、純水435.0g、および、ジn−プロピルアミン202.0gを仕込み、窒素導入、および、攪拌しながら、液温を50℃に調整した。次に、攪拌しながら、AGE232.8gをゆっくりと2時間かけて滴下した。液温は50℃〜60℃を保持した。滴下終了後、さらに、2時間、液温60℃で熟成した。室温まで冷却した後、分液ロートに移し、静置すると2層に分離するので、下層の水層を廃棄した。さらに、上層に純水を加えて洗浄した。これをナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで水分を完全に除去することにより、本発明のアミノ基含有単量体(N)としての、単量体E(すなわち、AGEのグリシジル基にジn−プロピルアミンが付加した単量体)を得た。単量体Eの生成は、高速液体クロマトグラフィー、および、H−NMRより確認した。
【0122】
<合成例6>
還流冷却器、攪拌機、および、窒素導入管を備えた容量1リットルのガラス製4つ口フラスコに、純水153.0g、および、モルホリン261.4gを仕込み、窒素導入、および、攪拌しながら、液温を50℃に調整した。次に、攪拌しながら、AGE349.3gをゆっくりと2時間かけて滴下した。液温は50℃〜60℃を保持した。滴下終了後、さらに、2時間、液温60℃で熟成して、本発明のアミノ基含有単量体(N)としての、単量体F(すなわち、AGEのグリシジル基にモルホリンが付加した単量体)を得た。単量体Fの生成は、高速液体クロマトグラフィー、および、H−NMRより確認した。
【0123】
<合成例7>
還流冷却器、攪拌機、および、窒素導入管を備えた容量2リットルのガラス製4つ口フラスコに、純水403.0g、および、ピペリジン170.0gを仕込み、窒素導入、および、攪拌しながら、液温を50℃に調整した。次に、攪拌しながら、AGE232.8gをゆっくりと2時間かけて滴下した。液温は50℃〜60℃を保持した。滴下終了後、さらに、2時間、液温60℃で熟成した。室温まで冷却した後、分液ロートに移し、静置すると2層に分離するので、下層の水層を廃棄した。さらに、上層に純水を加えて洗浄した。これをナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで水分を完全に除去することにより、本発明のアミノ基含有単量体(N)としての、単量体G(すなわち、AGEのグリシジル基にピペリジンが付加した単量体)を得た。単量体Eの生成は、高速液体クロマトグラフィー、および、H−NMRより確認した。
【0124】
<比較合成例1>
還流冷却器、攪拌機、および、窒素導入管を備えた容量2.5リットルのセパラブルフラスコに、純水500.0g、イミノ二酢酸(IDA)399.3g及び48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、48%NaOHと略す。)500.0gを仕込み、攪拌しながら、液温を60℃に調整した。次に、60℃に保持された反応系中に、攪拌しながら、AGE342.4gをゆっくりと2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、1時間、反応液を55℃に熟成して、単量体H(すなわち、AGEのグリシジル基にIDAが付加した単量体)の50%水溶液(以下、50%単量体Hと略す。)を得た。
【0125】
<実施例1>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量1リットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水136.0gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温させた。
次に、90℃に保持された重合反応系中に、攪拌しながら、80%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと略す。)175.0g、80%単量体A水溶液75.0g、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと略す。)44.4g、および、35%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(以下、35%SBSと略す。)38.0gを、別々のノズルより、それぞれ滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAについては180分間、80%単量体A水溶液については160分間、15%NaPSと35%SBSについては190分間とした。滴下は連続的に行い、滴下を通じて、各成分の滴下速度は一定とした。
滴下終了後、さらに、30分間、重合反応液を90℃で熟成して、重合を完結させた。その後、重合反応液を放冷し、48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、48%NaOHと略す。)113.4gを、攪拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。このようにして、重合体(1)の水溶液を得た。
【0126】
<実施例2>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量1リットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水79.5gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温させた。
次に、90℃に保持された重合反応系中に、攪拌しながら、80%AA108.0g、80%単量体A水溶液46.3g、15%NaPS36.5g、および、35%SBS11.7gを、別々のノズルより、それぞれ滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAについては180分間、80%単量体A水溶液については160分間、15%NaPSと35%SBSについては190分間とした。滴下は連続的に行い、滴下を通じて、各成分の滴下速度は一定とした。
滴下終了後、さらに、30分間、重合反応液を90℃で熟成して、重合を完結させた。その後、重合反応液を放冷し、48%NaOH70.0gを、攪拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。このようにして、重合体(2)の水溶液を得た。
【0127】
<実施例3>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量1リットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水72.7gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温させた。
次に、90℃に保持された重合反応系中に、攪拌しながら、80%AA121.5g、80%単量体A水溶液30.4g、15%NaPS39.0g、および、35%SBS12.5gを、別々のノズルより、それぞれ滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAについては180分間、80%単量体A水溶液については160分間、15%NaPSと35%SBSについては190分間とした。滴下は連続的に行い、滴下を通じて、各成分の滴下速度は一定とした。
滴下終了後、さらに、30分間、重合反応液を90℃で熟成して、重合を完結させた。その後、重合反応液を放冷し、48%NaOH78.8gを、攪拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。このようにして、重合体(3)の水溶液を得た。
【0128】
<実施例4>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量1リットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水150.0gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温させた。
次に、90℃に保持された重合反応系中に、攪拌しながら、80%AA175.0g、単量体B60.0g、15%NaPS43.8g、および、35%SBS43.8gを、別々のノズルより、それぞれ滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAについては180分間、単量体Bについては120分間、15%NaPSと35%SBSについては190分間とした。滴下は連続的に行い、滴下を通じて、各成分の滴下速度は一定とした。
滴下終了後、さらに、30分間、重合反応液を90℃で熟成して、重合を完結させた。その後、重合反応液を放冷し、48%NaOH113.5gを、攪拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。このようにして、重合体(4)の水溶液を得た。
【0129】
<実施例5>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量1リットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水76.4gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温させた。
次に、90℃に保持された重合反応系中に、攪拌しながら、80%AA118.8g、単量体B23.8g、15%NaPS37.8g、および、35%SBS16.2gを、別々のノズルより、それぞれ滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAについては180分間、単量体Bについては120分間、15%NaPSと35%SBSについては190分間とした。滴下は連続的に行い、滴下を通じて、各成分の滴下速度は一定とした。
滴下終了後、さらに、30分間、重合反応液を90℃で熟成して、重合を完結させた。その後、重合反応液を放冷し、48%NaOH77.0gを、攪拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。このようにして、重合体(5)の水溶液を得た。
【0130】
<実施例6>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量1リットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水79.5gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温させた。
次に、90℃に保持された重合反応系中に、攪拌しながら、80%AA108.0g、80%単量体C水溶液46.3g、15%NaPS36.3g、および、35%SBS11.7gを、別々のノズルより、それぞれ滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAについては180分間、80%単量体C水溶液については150分間、15%NaPSと35%SBSについては190分間とした。滴下は連続的に行い、滴下を通じて、各成分の滴下速度は一定とした。
滴下終了後、さらに、30分間、重合反応液を90℃で熟成して、重合を完結させた。その後、重合反応液を放冷し、48%NaOH70.0gを、攪拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。このようにして、重合体(6)の水溶液を得た。
【0131】
<実施例7>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量1リットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水79.5gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温させた。
次に、90℃に保持された重合反応系中に、攪拌しながら、80%AA108.0g、80%単量体D水溶液46.3g、15%NaPS36.0g、および、35%SBS11.6gを、別々のノズルより、それぞれ滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAについては180分間、80%単量体D水溶液については150分間、15%NaPSと35%SBSについては190分間とした。滴下は連続的に行い、滴下を通じて、各成分の滴下速度は一定とした。
滴下終了後、さらに、30分間、重合反応液を90℃で熟成して、重合を完結させた。その後、重合反応液を放冷し、48%NaOH70.0gを、攪拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。このようにして、重合体(7)の水溶液を得た。
【0132】
<実施例8>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量1リットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水88.8gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温させた。
次に、90℃に保持された重合反応系中に、攪拌しながら、80%AA108.0g、単量体E37.0g、15%NaPS37.5g、および、35%SBS12.1gを、別々のノズルより、それぞれ滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAについては180分間、単量体Eについては120分間、15%NaPSと35%SBSについては190分間とした。滴下は連続的に行い、滴下を通じて、各成分の滴下速度は一定とした。
滴下終了後、さらに、30分間、重合反応液を90℃で熟成して、重合を完結させた。その後、重合反応液を放冷し、48%NaOH70.0gを、攪拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。このようにして、重合体(8)の水溶液を得た。
【0133】
<実施例9>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量1リットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水79.5gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温させた。
次に、90℃に保持された重合反応系中に、攪拌しながら、80%AA108.0g、80%単量体F水溶液46.3g、15%NaPS36.9g、および、35%SBS11.9gを、別々のノズルより、それぞれ滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAについては180分間、80%単量体F水溶液については160分間、15%NaPSと35%SBSについては190分間とした。滴下は連続的に行い、滴下を通じて、各成分の滴下速度は一定とした。
滴下終了後、さらに、30分間、重合反応液を90℃で熟成して、重合を完結させた。その後、重合反応液を放冷し、48%NaOH70.0gを、攪拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。このようにして、重合体(9)の水溶液を得た。
【0134】
<実施例10>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量1リットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水72.2gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温させた。
次に、90℃に保持された重合反応系中に、攪拌しながら、80%AA108.0g、単量体G37.0g、15%NaPS36.0g、および、35%SBS11.6gを、別々のノズルより、それぞれ滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAについては180分間、単量体Gについては120分間、15%NaPSと35%SBSについては190分間とした。滴下は連続的に行い、滴下を通じて、各成分の滴下速度は一定とした。
滴下終了後、さらに、30分間、重合反応液を90℃で熟成して、重合を完結させた。その後、重合反応液を放冷し、48%NaOH70.0gを、攪拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。このようにして、重合体(10)の水溶液を得た。
【0135】
<比較例1>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量1リットルのガラス製セパラブルフラスコに、純水65.8gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温させた。
次に、90℃に保持された重合反応系中に、攪拌しながら、80%AA90.0g、50%単量体H61.7g、15%NaPS22.5g、および、35%SBS19.3gを、別々のノズルより、それぞれ滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAについては180分間、50%単量体Hについては120分間、15%NaPSと35%SBSについては190分間とした。滴下は連続的に行い、滴下を通じて、各成分の滴下速度は一定とした。
滴下終了後、さらに、30分間、重合反応液を90℃で熟成して、重合を完結させた。その後、重合反応液を放冷し、48%NaOH52.1gを、攪拌しながら重合反応液に徐々に滴下し、重合反応液を中和した。このようにして、比較重合体(1)の水溶液を得た。
【0136】
<実施例11>
実施例7では、実施例1〜10及び比較例1で得られた共重合体(重合体(1)〜(10)、比較重合体(1))について、上記方法に従って析出抑制能について評価を行なった。結果を表1にまとめた。
【0137】
【表1】

【0138】

表1から明らかなように、本発明の共重合体は、従来の比較重合体に比して、有意に優れたリン酸カルシウムのスケール防止能を有している。従って、本発明の共重合体を含む水処理剤は、優れたスケール防止能を有することが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ基含有共重合体を含有する水処理剤であって、
上記アミノ基含有共重合体は、
1質量%以上75質量%以下の下記式(N1)、(N2)、(N3)、(N4)で表されるアミノ基含有単量体から選ばれる1種以上の単量体(N)由来の構造単位(n)、
25質量%以上99質量%以下のカルボキシル基含有単量体(B)由来の構造単位(b)、を必須構成単位として有するアミノ基含有共重合体、
である、水処理剤。
【化1】


上記一般式(N1)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す、
【化2】


上記一般式(N2)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す、
【化3】


上記一般式(N3)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す、
【化4】


上記一般式(N4)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表わし、R、R、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、R、R、Rの少なくとも一つは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を表す。

【公開番号】特開2011−72851(P2011−72851A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223592(P2009−223592)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】