説明

アミノ基含有単量体およびその製造方法

【課題】洗剤添加剤として使用したときに高い再汚染防止能や界面活性剤との相溶性を発現する重合体の製造に用いることができる、アミノ基含有単量体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
下記一般式(1)で表されるアミノ基含有単量体である。
上記一般式(1)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表し、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、Yは、同一若しくは異なって、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、nはオキシアルキレン基(−Y−O−)の平均付加モル数を表し、1〜300の数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ基含有単量体、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、アミノ基含有重合体は、凝固剤、凝集剤、印刷インク、接着剤、洗剤用添加剤、土壌調整(改質)剤、難燃剤、シャンプー・ヘアースプレー・石鹸・化粧品用添加剤、アニオン交換樹脂、繊維・写真用フィルムの染料媒染剤や助剤、製紙における顔料展着剤、紙力増強剤、乳化剤、防腐剤、織物・紙の柔軟剤、潤滑油の添加剤など、幅広い分野で用いられている。
例えば、特許文献1には、ポリエチレンイミン共重合体が、洗浄剤等の用途において優れた性能を発揮することが開示されている。また、特許文献2には、ビニルピリジン部を有する単量体に由来した構造単位を含む高分子化合物を含有する洗剤組成物が高い洗浄力を示すことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−170977号公報
【特許文献2】特開2008−1770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、消費者の環境意識が高まってきたことにより、節水を目的として、風呂の残り湯を洗濯に使用する等の洗濯が定着してきた。これによって、風呂の残り湯に含まれる汚れ成分が洗濯中に繊維等に付着したり、風呂の追い焚きによって硬水成分が濃縮してしまうといったことが問題となるため、より高硬度下においても、洗濯中に汚れ成分の繊維への再付着を抑制する性能(「再汚染防止能」という)が従来よりも厳しく求められるようになってきている。また、現在需要の増大している液体洗剤は、界面活性剤の含有量が50%以上であるような濃縮液体洗剤であるため、洗剤添加剤にはこのような濃縮液体洗剤への配合に適したものであることが必要とされ、従来よりも界面活性剤との相溶性に優れた洗剤添加剤が求められている。
【0005】
しかしながら、従来のアミノ基含有重合体は、このような水系用途の性能に関して、最近の厳しい要求を必ずしも充分に満足させることができるものとは言い切れず、このような新たなニーズに対応する、より高い性能を発揮する洗剤添加剤に好適に用いることができる重合体について更なる改良の余地があった。
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、洗浄時に優れた再汚染防止能を発揮することができ、界面活性剤との相溶性にも優れたアミノ基含有重合体の原料として用いることができる新規アミノ基含有単量体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために様々なアミノ基含有重合体/共重合体の原料となるアミノ基含有単量体について検討を行った結果、特定のアミノ基含有単量体を原料とするアミノ基含有重合体は、洗剤添加剤として使用した場合、高硬度下においても、極めて良好な再汚染防止能を発揮することができ、界面活性剤との相溶性も高いことを見出し、上記課題を見事に解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるアミノ基含有単量体である。
【0008】
【化1】

【0009】
上記一般式(1)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表し、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、Yは、同一若しくは異なって、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、nはオキシアルキレン基(−Y−O−)の平均付加モル数を表し、1〜300の数を表す。
【0010】
また、本発明の別の局面からは、アミノ基含有単量体の製造方法が提供される。本発明の製造方法は、(i)下記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体とエピハロヒドリンとアルカリ化合物とを反応させる工程(工程A)と、(ii)工程Aで得られた反応物と二級アミンを反応させる工程(工程B)、を含むアミノ基含有単量体の製造方法である。
【0011】
【化2】

【0012】
上記一般式(2)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表し、Yは、同一若しくは異なって、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、nはオキシアルキレン基(−Y−O−)の平均付加モル数を表し、1〜300の数を表す。
【0013】
また、本発明の別の製造方法は、(i)上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体とエピハロヒドリンとを触媒存在下反応させる工程(工程C)と、(ii)工程Cで得られた反応物とアルカリ化合物を反応させる工程(工程D)と、(iii)工程Dで得られた反応物と二級アミンを反応させる工程(工程B)、を含むアミノ基含有単量体の製造方法である。
【0014】
また、本発明の別の製造方法は、(i)上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体とエピハロヒドリンとを触媒存在下反応させる工程(工程C)と、(ii)工程Cで得られた反応物と二級アミンを反応させる工程(工程E)、を含むアミノ基含有単量体の製造方法である。
【0015】
また、本発明の別の製造方法は、(i)上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体とN−(ジアルキルアミノメチル)オキシランを反応させる工程(工程F)、を含むアミノ基含有単量体の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のアミノ基含有単量体は、各種ノニオン性単量体やカチオン性単量体と優れた共重合性を有する。本発明のアミノ基含有単量体から得られる重合体は、本発明のアミノ基含有単量体由来の構造に起因して、例えば洗剤添加剤として使用した場合に優れた再汚染防止能および界面活性剤との相溶性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1で得られた単量体(1)のH−NMRチャートである。
【図2】実施例2で得られた単量体(2)のH−NMRチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
〔本発明のアミノ基含有単量体〕
本発明のアミノ基含有単量体は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
【0019】
【化3】

【0020】
上記一般式(1)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表し、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、RとRは結合して環状構造を形成しても良く、Yは、同一若しくは異なって、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、nはオキシアルキレン基(−Y−O−)の平均付加モル数を表し、1〜300の数を表す。
【0021】
上記一般式(1)において、Rが単結合である場合とは、上記一般式(1)のHC=C(R)−R−O−において、HC=C(R)−O−で表されることを意味する。すなわちHC=C(R)−R−は、RがCH基、RがCH基の場合はメタリル基、RがCH基、RがCHCH基の場合はイソプレニル基、RがCH基、Rが単結合の場合はイソプロペニル基、Rが水素原子、RがCH基の場合はアリル基、Rが水素原子、RがCHCH基の場合はブテニル基、Rが水素原子、Rが単結合の場合はビニル基を意味する。
【0022】
上記一般式(1)におけるR、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜20の有機基である。炭素数1〜20の有機基は全体として炭素数が1〜20であれば、制限はないが、アルキル基、アリール基、アルケニル基であることが好ましい。当該アルキル基、アリール基、アルケニル基は、無置換の基であっても、水素原子の1または2以上が他の有機基によって置換されていても良い。この場合の他の置換基としては、アルキル基(上記有機基がアルキル基の場合は全体としてアルキル基となるので、有機基は無置換のアルキル基に該当する。)、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、水酸基、アシル基、エーテル基、アミド基、エステル基、ケトン基等が挙げられる。
、Rは、炭素数が1〜8であることがより好ましく、炭素数が1〜5であることが特に好ましい。上記範囲にあれば、高い収率で本発明のアミノ基含有単量体を製造することができる。上記一般式(1)において、R、Rが結合して環状構造を形成していても構わないが、この場合、環状構造が安定することから、N原子、R、Rで形成される環状構造は3〜7員環であること、すなわちRとRの合計の炭素数が2〜6であることが好ましい。
具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、オクチル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;ブチレン基、オクチレン基、ノニレン基等のアルケニル基;フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、2,3−若しくは2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基、又はこれらの水素原子の一部が、アルコキシ基、カルボキシエステル基、アミノ基、アミド基、水酸基等で置換された基、例えばヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。高い収率で本発明のアミノ基含有単量体を製造することができることから、メチル基、エチル基、n−ブチル基、ヒドロキシエチル基であることが好ましい。
【0023】
上記一般式(1)において、Yは、同一若しくは異なって、炭素数2〜20のアルキレン基であるが、本発明のアミノ基含有単量体の重合性が良好となることから、Yは炭素数2〜4のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基であることが特に好ましい。具体的にはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素数2〜4のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基、プロピレン基等の炭素数2〜3のアルキレン基であることが特に好ましい。アルキレン基は、1種でも2種以上でも構わないが、2種以上の場合は、−Y−O−の構造はランダムに連続していても、交互に連続していても、ブロック状に連続していても良い。
【0024】
上記一般式(1)において、nはオキシアルキレン基(−Y−O−)の平均付加モル数を表し、1〜300の数であるが、重合体にポリアルキレングリコール鎖を多く導入できるという観点から、nは2以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。また、本発明の単量体の重合性が良好になるという観点から、nは200以下が好ましく、100以下がより好ましく、50以下が更に好ましい。
【0025】
本発明のアミノ基含有単量体を重合することにより、得られるアミノ基含有重合体は、本発明のアミノ基含有単量体由来の構造を有することになる。アミノ基含有単量体由来の構造は、本発明のアミノ基含有単量体の炭素炭素二重結合が単結合になった構造であり、下記一般式(3)で表すことができる。
【0026】
【化4】

【0027】
上記一般式(3)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表し、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、RとRは結合して環状構造を形成しても良く、Yは、同一若しくは異なって、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、nはオキシアルキレン基(−Y−O−)の平均付加モル数を表し、1〜300の数を表す。
【0028】
本発明のアミノ基含有単量体の重合する炭素炭素二重結合を有する基、すなわちHC=C(R)−R−としては、イソプレニル基、メタリル基、アリル基、ビニル基が好ましい。アリル基では、重合性が低く得られたアミノ基含有重合体の性能が発揮されない場合があるため、イソプレニル基、メタリル基が特に好ましい。
【0029】
〔本発明のアミノ基含有単量体の製造方法〕
上記アミノ基含有単量体は、適用可能な公知の製造方法により製造しても構わないが、下記製造方法(1)〜(4)の方法で製造することが好ましい。当該方法によれば、高い収率で本発明のアミノ基含有単量体を製造することができる。
【0030】
すなわち、本発明のアミノ基含有単量体の好ましい製造方法(1)は、(i)下記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体とエピハロヒドリンとアルカリ化合物とを反応させる工程(工程A)と、(ii)工程Aで得られた反応物と二級アミンを反応させる工程(工程B)、を含むアミノ基含有単量体の製造方法である。
【0031】
本発明のアミノ基含有単量体の好ましい製造方法(2)は、(i)上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体とエピハロヒドリンとを触媒存在下反応させる工程(工程C)と、(ii)工程Cで得られた反応物とアルカリ化合物を反応させる工程(工程D)と、(iii)工程Dで得られた反応物と二級アミンを反応させる工程(工程B)、を含むアミノ基含有単量体の製造方法である。
【0032】
本発明のアミノ基含有単量体の好ましい製造方法(3)は、(i)上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体とエピハロヒドリンとを触媒存在下反応させる工程(工程C)と、(ii)工程Cで得られた反応物と二級アミンを反応させる工程(工程E)、を含むアミノ基含有単量体の製造方法である。
【0033】
本発明のアミノ基含有単量体の好ましい製造方法(4)は、(i)上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体とN−(ジアルキルアミノメチル)オキシランを反応させる工程(工程F)、を含むアミノ基含有単量体の製造方法である。
【0034】
製造方法(1)〜(4)における、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体において、R、RおよびYの好ましい態様は、上記一般式(1)におけるR、RおよびYの好ましい態様と同様である。
【0035】
上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体は、アルキレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール又はそれらのアルキレンオキシド付加構造を有するアルコールに、アルキレンオキシドを公知の方法により付加させて製造したものを使用することができ、単量体の純度を高くすることができることから好ましい。
【0036】
製造方法(1)〜(3)における、エピハロヒドリンとしては、下記一般式(4)で表される構造を有する。
【0037】
【化5】

【0038】
上記一般式(4)中、Xはハロゲン原子を表す。エピハロヒドリンとして、具体的には、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン等が挙げられる。中でも、工業的に安価であることから、エピクロルヒドリンが好ましい。
【0039】
製造方法(1)〜(3)における、二級アミンとしては、下記一般式(5)で表される構造を有する。
【0040】
【化6】

【0041】
上記一般式(5)中、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、RとRは結合して環状構造を形成しても良い。一般式(5)中、R、Rの好ましい態様は、上記一般式(1)におけるR、Rの好ましい態様と同じである。二級アミンとして、具体的には、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジオクチルアミン、ジラウリルアミン、ジステアリルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン等のジアルキルアミン類;ジエタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン等のジアルカノールアミン類;モルホリン、ピロール等の環状アミン類が挙げられる。中でも高い収率で本発明のアミノ基含有単量体を製造することができ、工業的にも安価であることから、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジエタノールアミンが好ましい。
【0042】
製造方法(4)におけるN−(ジアルキルアミノメチル)オキシランとしては、下記一般式(6)で表される構造を有する。
【0043】
【化7】

【0044】
上記一般式(6)中、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、RとRは結合して環状構造を形成しても良い。一般式(6)中、R、Rの好ましい態様は、上記一般式(1)におけるR、Rの好ましい態様と同じである。N−(ジアルキルアミノメチル)オキシランとしては、具体的には、N−(ジメチルアミノメチル)オキシラン、N−(ジエチルアミノメチル)オキシラン、N−(ジ−n−ブチルアミノメチル)オキシラン、N−(ジヒドロキシエチルアミノメチル)オキシラン等が挙げられる。
【0045】
つまり、製造方法(1)〜(4)は下記反応式で表される。
【0046】
【化8】

【0047】

<製造方法(1)の反応条件>
(工程Aの反応条件)
本発明のアミノ基含有単量体の製造方法(1)は、(i)上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体とエピハロヒドリンとアルカリ化合物とを反応させる工程(工程A)を必須の工程にしている。
【0048】
工程Aの反応はアルカリ化合物と、必要に応じて相間移動触媒及び/又は溶媒の存在下行われる。アルカリ化合物としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。アルカリ化合物の使用量は上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体の水酸基(水酸基価換算)に対するモル比で、通常は(水酸基)/(アルカリ化合物)=15/1〜1/15であり、好ましくは5/1〜1/5であり、より好ましくは3/1〜1/3である。アルカリ化合物は水溶液の状態で使用しても良い。この場合、水(反応の進行に伴い副生する水も含む)を除去しながら反応を行っても良い。また、相間移動触媒の種類に特に限定はないが、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラオクチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムクロリド、トリエチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、トリメチルアンモニウムブロミド、トリエチルアンモニウムブロミド等の四級アンモニウム塩;テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド等のホスホニウム塩;15−クラウン−5、18−クラウン−6等のクラウンエーテル類が挙げられる。相間移動触媒を使用する場合は、その使用量は上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体の水酸基(水酸基価換算)に対して、モル比で、通常は(水酸基)/(相間移動触媒)=1/0.0001〜1/0.3であり、好ましくは1/0.001〜1/0.2であり、より好ましくは1/0.005〜1/0.1である。触媒量が少なすぎると十分な触媒効果は得られず、多過ぎても、それ以上の効果はなく、経済的に不利である。
【0049】
工程Aの反応に用いるエピハロヒドリンの使用量としては、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体の水酸基(水酸基価換算)に対するモル比で、通常は(水酸基)/(エピハロヒドリン)=1/1〜1/15であり、好ましくは1/1〜1/10であり、より好ましくは1/1〜1/5である。範囲外では架橋成分が生じる場合があり、重合時にゲル化してしまう恐れがある。
【0050】
工程Aの反応は、溶媒非存在下に実施することが、効率よく反応が進行し、容積効率の観点からより好ましいが、溶媒の存在下でも実施できる。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジクロロメタン、ジクロロエタン等の塩素系炭化水素類を挙げることができる。これらは一種のみを単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。その使用量に特に制限はないが、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体に対して、通常は0.005〜5倍質量の範囲であり、好ましくは0.01〜3倍質量の範囲である。
【0051】
工程Aの反応は、空気雰囲気下で行っても良いし、不活性ガス雰囲気下で行っても良い。また、減圧下、大気圧下、加圧下いずれでも実施できる。反応温度としては、通常は0〜200℃であり、好ましくは15〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。原料である、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体の流動性の観点から、攪拌に問題が生じない温度で実施することが好ましい。また、反応時間としては、通常は0.1〜50時間であり、好ましくは0.5〜30時間であり、より好ましくは1〜15時間である。
【0052】
(工程Bの反応条件)
本発明のアミノ基含有単量体の製造方法(1)は、(ii)工程Aで得られた反応物と二級アミンを反応させる工程(工程B)を必須の工程にしている。
【0053】
工程Bの反応は、溶媒非存在下に実施することが、効率よく反応が進行し、容積効率の観点からより好ましいが、溶媒の存在下でも実施できる。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を挙げることができる。これらは一種のみを単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。その使用量に特に制限はないが、工程Aで得られた反応物に対して、通常は0.005〜5倍質量の範囲であり、好ましくは0.01〜3倍質量の範囲である。
【0054】
二級アミンの使用量としては、工程Aで得られた反応物のグリシジル基のモル数に対して、モル比で、通常は(グリシジル基)/(二級アミン)=2/1〜1/2であり、好ましくは1.7/1〜1/1.7であり、より好ましくは1.4/1〜1/1.4である。
【0055】
上記工程Aで触媒を使用した場合は、そのまま残存触媒下で反応しても良い。工程Bの反応は、空気雰囲気下で行っても良いし、不活性ガス雰囲気下で行っても良い。また、減圧下、大気圧下、加圧下いずれでも実施できる。反応温度としては、通常は0〜200℃であり、好ましくは15〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。原料である工程Aで得られた反応物の流動性の観点から、攪拌に問題が生じない温度で実施することが好ましい。また、反応時間としては、通常は0.1〜50時間であり、好ましくは0.5〜30時間であり、より好ましくは1〜15時間である。
【0056】
工程Aはいわゆるスラリー反応であり、一般的な攪拌装置を有する反応装置で実施することができる。例えば、攪拌槽式反応装置を用いて、回分、半回分、連続槽型反応器のいずれの装置でも実施することができる。工程Aの反応後、脱塩や過剰なエピハロヒドリンの除去などの工程を行ってから工程Bを実施することが好ましい。脱塩工程は沈降分離、遠心分離、ろ過、洗浄などにより実施することができ、特に限定されるものではない。脱塩工程の実施条件は、塩が充分に取り除かれるように適宜実施すれば良く、充分な分離速度が得られる点で、15℃〜100℃の温度で実施することが好ましい。過剰なエピハロヒドリンは蒸留、蒸発操作などによって容易に取り除くことができる。工程Bの反応はバッチで行っても、連続で行っても良く、例えば、槽型、管型反応器のいずれの装置でも実施することができる。
【0057】
<製造方法(2)の反応条件>
(工程Cの反応条件)
本発明のアミノ基含有単量体の製造方法(2)は、(i)上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体とエピハロヒドリンとを触媒存在下反応させる工程(工程C)を必須の工程にしている。
工程Cの反応は触媒としては、酸でも塩基でも構わないが、酸が好ましい。酸としては、ルイス酸でもブレンステッド酸でも構わないが、ルイス酸が好ましい。ルイス酸としては、一般的にルイス酸と呼ばれるものは使用できるが、例えば、三フッ化ホウ素、四塩化錫、二塩化錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、四塩化チタン、塩化マグネシウム、五塩化アンチモンなどが挙げられる。その使用量は上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体の水酸基(水酸基価換算)に対して、モル比で、通常は(水酸基)/(触媒)=1/0.0001〜1/0.1であり、好ましくは1/0.0005〜1/0.05であり、より好ましくは1/0.001〜1/0.03である。触媒量が少なすぎると十分な触媒効果は得られず、多過ぎても、それ以上の効果はなく、経済的に不利である。
工程Cの反応に用いるエピハロヒドリンの使用量としては、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体の水酸基(水酸基価換算)に対して、モル比で、通常は(水酸基)/(エピハロヒドリン)=1/1〜1/30であり、好ましくは1/1〜1/10であり、より好ましくは1/1〜1/5である。範囲外では架橋成分が生じる場合があり、重合時にゲル化してしまう恐れがある。
工程Cの反応は、溶媒非存在下に実施することが、効率よく反応が進行し、容積効率の観点からより好ましいが、溶媒の存在下でも実施できる。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジクロロメタン、ジクロロエタン等の塩素系炭化水素類を挙げることができる。これらは一種のみを単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。その使用量に特に制限はないが、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体に対して、通常は0.005〜5倍質量の範囲であり、好ましくは0.01〜3倍質量の範囲である。
工程Cの反応は、空気雰囲気下で行っても良いし、不活性ガス雰囲気下で行っても良い。また、減圧下、大気圧下、加圧下いずれでも実施できる。反応温度としては、通常は0〜200℃であり、好ましくは15〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。原料である、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体の流動性の観点から、攪拌に問題が生じない温度で実施することが好ましい。また、反応時間としては、通常は0.1〜50時間であり、好ましくは0.5〜30時間であり、より好ましくは1〜15時間である。
【0058】
(工程Dの反応条件)
本発明のアミノ基含有単量体の製造方法(2)は、(ii)工程Cで得られた反応物とアルカリ化合物を反応させる工程(工程D)を必須の工程にしている。
工程Dの反応はアルカリ化合物と、必要に応じて溶媒の存在下行われる。アルカリ化合物としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。アルカリ化合物の使用量は工程Cで得られた反応物のハロゲン基のモル数に対し、モル比で、通常は(ハロゲン基)/(アルカリ化合物)=1/1〜1/100であり、好ましくは1/1〜1/50であり、より好ましくは1/1〜1/20である。アルカリ化合物は水溶液の状態で使用しても良い。工程Dの反応は、溶媒の存在下でも実施できる。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を挙げることができる。これらは一種のみを単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。その使用量に特に制限はないが、工程Cで得られた反応物に対して、通常は0.01〜100倍質量の範囲であり、好ましくは0.1〜50倍質量の範囲である。
【0059】
工程Dの反応は、空気雰囲気下で行っても良いし、不活性ガス雰囲気下で行っても良い。また、減圧下、大気圧下、加圧下いずれでも実施できる。反応温度としては、通常は0〜200℃であり、好ましくは15〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。原料である工程Cで得られた反応物の流動性の観点から、攪拌に問題が生じない温度で実施することが好ましい。また、反応時間としては、通常は0.1〜50時間であり、好ましくは0.5〜30時間であり、より好ましくは1〜15時間である。
本発明のアミノ基含有単量体の製造方法(2)は、(iii)工程Dで得られた反応物と二級アミンを反応させる工程(工程B)を必須の工程にしている。工程Bの好ましい条件は、上記(工程Bの反応条件)記載の通りである。
工程Bの好ましい実施形態は上記記載の通りである。
【0060】
工程Cおよび工程Dの反応後、脱塩や過剰なエピハロヒドリンの除去などの工程を行ってから工程Bを実施することが好ましい。脱塩工程は沈降分離、遠心分離、ろ過、洗浄などにより実施することができ、特に限定されるものではない、脱塩工程の実施条件は、塩が充分に取り除かれるように適宜実施すれば良く、充分な分離速度が得られる点で、15℃〜100℃の温度で実施することが好ましい。過剰なエピハロヒドリンは蒸留、蒸発操作などで容易に取り除くことができる。工程Cおよび工程Dの反応は、バッチで行っても、連続で行っても良く、例えば、槽型、管型反応器のいずれの装置でも実施することができる。
【0061】
<製造方法(3)の反応条件>
本発明のアミノ基含有単量体の製造方法(3)は、(i)上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体とエピハロヒドリンとを触媒存在下反応させる工程(工程C)を必須の工程にしている。
工程Cの好ましい条件は、上記(工程Cの反応条件)記載の通りである。
【0062】
(工程Eの反応条件)
本発明のアミノ基含有単量体の製造方法(3)は、(ii)工程Cで得られた反応物と二級アミンを反応させる工程(工程E)を必須の工程にしている。
工程Eの反応は、溶媒非存在下に実施することが、効率よく反応が進行し、容積効率の観点からより好ましいが、溶媒の存在下でも実施できる。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を挙げることができる。これらは一種のみを単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。その使用量に特に制限はないが、工程Cで得られた反応物に対して、通常は0.005〜5倍質量の範囲であり、好ましくは0.01〜3倍質量の範囲である。
【0063】
二級アミンの使用量としては、工程Cで得られた反応物のハロゲン基のモル数に対し、モル比で、通常は(ハロゲン基)/(二級アミン)=2/1〜1/2であり、好ましくは1.7/1〜1/1.7であり、より好ましくは1.4/1〜1/1.4である。
上記工程Cで触媒を使用した場合は、そのまま残存触媒下で反応しても良い。工程Eの反応は、空気雰囲気下で行っても良いし、不活性ガス雰囲気下で行っても良い。また、減圧下、大気圧下、加圧下いずれでも実施できる。反応温度としては、通常は0〜200℃であり、好ましくは15〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。原料である工程Cで得られた反応物の流動性の観点から、攪拌に問題が生じない温度で実施することが好ましい。また、反応時間としては、通常は0.1〜50時間であり、好ましくは0.5〜30時間であり、より好ましくは1〜15時間である。
工程Cの好ましい実施形態は上記記載の通りである。
【0064】
工程Eの反応は、バッチで行っても、連続で行っても良く、例えば、槽型、管型反応器のいずれの装置でも実施することができる。工程Eの反応後、脱塩などの工程を行うことが好ましい。脱塩工程は沈降分離、遠心分離、ろ過、洗浄などにより実施することができ、特に限定されるものではない、脱塩工程の実施条件は、塩が充分に取り除かれるように適宜実施すれば良く、充分な分離速度が得られる点で、15℃〜100℃の温度で実施することが好ましい。
【0065】
<製造方法(4)の反応条件>
(工程Fの反応条件)
本発明のアミノ基含有単量体の製造方法(4)は、(i)上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体とN−(ジアルキルアミノメチル)オキシランを反応させる工程(工程F)を必須の工程にしている。
【0066】
工程Fの反応は必要に応じて触媒の存在下行われる。反応に用いる触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属塩;テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラオクチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムクロリド、トリエチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、トリメチルアンモニウムブロミド、トリエチルアンモニウムブロミド等の四級アンモニウム塩などが挙げることができる。その使用量は上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体の水酸基(水酸基価換算)に対して、モル比で、通常は(水酸基)/(触媒)=1/0.0001〜1/0.3であり、好ましくは1/0.001〜1/0.2であり、より好ましくは1/0.005〜1/0.1である。触媒量が少なすぎると十分な触媒効果は得られず、多過ぎても、それ以上の効果はなく、経済的に不利である。
【0067】
工程Fの反応は、溶媒非存在下に実施することが、効率よく反応が進行し、容積効率の観点からより好ましいが、溶媒の存在下でも実施できる。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジクロロメタン、ジクロロエタン等の塩素系炭化水素を挙げることができる。これらは一種のみを単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。その使用量に特に制限はないが、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体に対して、通常は0.005〜5倍質量の範囲であり、好ましくは0.01〜3倍質量の範囲である。
工程Fの反応に用いるN−(ジアルキルアミノメチル)オキシランの使用量としては、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体の水酸基(水酸基価換算)に対して、モル比で、通常は(水酸基)/(N−(ジアルキルアミノメチル)オキシラン)=5/1〜1/5であり、好ましくは3/1〜1/3であり、より好ましくは1.5/1〜1/1.5である。
【0068】
工程Fの反応は、空気雰囲気下で行っても良いし、不活性ガス雰囲気下で行っても良い。また、減圧下、大気圧下、加圧下いずれでも実施できる。反応温度としては、通常は0〜200℃であり、好ましくは15〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。原料である、上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体の流動性の観点から、攪拌に問題が生じない温度で実施することが好ましい。また、反応時間としては、通常は0.1〜50時間であり、好ましくは0.5〜30時間であり、より好ましくは1〜15時間である。工程Fの反応はバッチで行っても、連続で行っても良く、例えば、槽型、管型反応器のいずれの装置でも実施することができる。
【0069】
本発明のアミノ基含有単量体は上記の方法により製造することができるが、必要に応じて精製工程を設けても良い。抽出や洗浄による精製工程を行うことにより重合時にゲル化を引き起こす原因となる架橋成分の量を低減することができる点で好ましい。
上記製造方法(1)〜(4)の内、原料や触媒が安価であり、製造面でも簡便であることから、製造方法(1)〜(3)が好ましい。中でも、製造方法(1)が重合時にゲル化を引き起こす原因となる架橋成分の生成を抑えられることから特に好ましい。
【0070】
本発明のアミノ基含有単量体から得られる重合体(または重合体組成物)は、凝固剤、凝集剤、印刷インク、接着剤、土壌調整(改質)剤、難燃剤、スキンケア剤、ヘアケア剤、シャンプー・ヘアースプレー・石鹸・化粧品用添加剤、アニオン交換樹脂、繊維・写真用フィルムの染料媒染剤や助剤、製紙における顔料展着剤、紙力増強剤、乳化剤、防腐剤、織物・紙の柔軟剤、潤滑油の添加剤、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、洗剤用添加剤、スケール防止剤(スケール抑制剤)、金属イオン封止剤、増粘剤、各種バインダー、乳化剤等として用いられうる。洗剤ビルダーとしては、衣料用、食器用、住居用、毛髪用、身体用、歯磨き用、及び自動車用など、様々な用途の洗剤に添加されて使用されうる。
【実施例】
【0071】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0072】
アミノ基含有単量体および反応中間体は、液体クロマトグラフィーにより定量した。また、重合体の重量平均分子量は、下記方法に従って測定した。
【0073】
<アミノ基含有単量体および反応中間体の定量>
アミノ基含有単量体の反応中間体の定量は、以下の条件の液体クロマトグラフィーにより定量した。また、アミノ基含有単量体生成物は中間体を液体クロマトグラフィーで定量することにより、その転化率からアミノ基含有単量体の収率を算出した。
測定装置:日立ハイテクノロジーズ社製
カラム:資生堂社製 CAPCELL PAK C18 MGII 4.6mmΦ×250mm 5μm
カラム温度:40.0℃
溶離液:0.1wt%ギ酸/アセトニトリル=6/4(体積比)
流速:1.0mL/min
検出器:RI、UV(検出波長210nm)
<重量平均分子量の測定条件>
装置:日立製作所社製 L−7000シリーズ
カラム:TSK−guard column+TSK−GEL α−3000+ TSK−GEL α−2500
カラム温度:40℃
溶離液:ホウ酸100mM(pH9.2)/アセトニトリル=4/1(wt/wt)
流速:0.4mL/min.
検量線:ジーエルサイエンス社製 POLYETHYLEN GLYCOL
検出器:RI
上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体として下記化合物を使用した。
イソプレノールのエチレンオキシド平均10モル付加物(以下、「IPN10」とも称する。):水酸基価106.5(mgKOH/g)
イソプレノールのエチレンオキシド平均25モル付加物(以下、「IPN25」とも称する。):水酸基価47.3(mgKOH/g)
イソプレノールのエチレンオキシド平均50モル付加物(以下、「IPN50」とも称する。):水酸基価25.5(mgKOH/g)
<実施例1>
攪拌翼、温度計、冷却管を備えた1L4つ口フラスコに、IPN10を400g、エピクロルヒドリン351.7g、48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、「48%NaOH」とも称する。)94.9gを仕込み、50℃に保ちながら6時間攪拌させて、反応させた。反応後、生成する塩を除去した後、残った有機層からエピクロルヒドリンと水を除去して、中間体(A)(下記一般式(7)において、nが平均10である構造の化合物)を含む反応液を451.2gを得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、中間体(A)が324.9g、IPN10が64.1g含まれていた。
次に、攪拌翼、温度計、冷却管を備えた200mL4つ口フラスコに、上記中間体(A)を含む反応液を100.0gとジエタノールアミン17.4gを仕込み、80℃に保ちながら8時間攪拌させた。こうして、単量体(1)(下記一般式(8)において、nが平均10である構造の化合物)の溶液を117.4g得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、単量体(1)が80.8g、IPN10が10.2g含まれていた。また、図1に示すようにH−NMRからも、単量体(1)の生成を確認した。
【0074】
【化9】

【0075】
【化10】

【0076】
<実施例2>
攪拌翼、温度計、冷却管を備えた200mL4つ口フラスコに、実施例1において合成した中間体(A)を含む反応液を100.0gとジブチルアミン23.2gを仕込み、100℃に保ちながら8時間攪拌させた。こうして、単量体(2)(下記一般式(9)において、nが平均10である構造の化合物)の溶液を123.2g得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、単量体(2)が83.6g、IPN10が10.2g含まれていた。また、図2に示すようにH−NMRからも、単量体(2)の生成を確認した。
【0077】
【化11】

【0078】
<実施例3>
攪拌翼、温度計、冷却管を備えた1L4つ口フラスコに、IPN25を500g、エピクロルヒドリン233.7g、ペレット状のNaOH25.3gを仕込み、50℃に保ちながら16時間攪拌させて、反応させた。反応後、生成する塩を除去した後、残った有機層からエピクロルヒドリンと水を除去して、中間体(B)(上記一般式(7)において、nが平均25である構造の化合物)を含む反応液を499.4gを得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、中間体(B)が389.1g、IPN25が43.5g含まれていた。
次に、攪拌翼、温度計、冷却管を備えた200mL4つ口フラスコに、上記中間体(B)を含む反応液を100.0gとジエタノールアミン8.6gを仕込み、80℃に保ちながら8時間攪拌させた。こうして、単量体(3)(上記一般式(8)において、nが平均25である構造の化合物)の溶液を108.6g得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、単量体(3)が80.3g、IPN25が6.8g含まれていた。実施例1と同様にH−NMRからも、その生成を確認した。
【0079】
<実施例4>
攪拌翼、温度計、冷却管を備えた200mL4つ口フラスコに、実施例3において合成した中間体(B)を含む反応液を100.0gとジブチルアミン11.3gを仕込み、100℃に保ちながら8時間攪拌させた。こうして、単量体(4)(上記一般式(9)において、nが平均25である構造の化合物)の溶液を111.3g得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、単量体(4)が81.7g、IPN25が6.8g含まれていた。実施例2と同様にH−NMRからも、その生成を確認した。
【0080】
<実施例5>
攪拌翼、温度計、冷却管を備えた200mL4つ口フラスコに、IPN50を100g、エピクロルヒドリン25.0g、ペレット状のNaOH2.6gを仕込み、50℃に保ちながら16時間攪拌させて、反応させた。反応後、生成する塩を除去した後、残った有機層からエピクロルヒドリンと水を除去して、中間体(C)(上記一般式(7)において、nが平均50である構造の化合物)を含む反応液を102.3gを得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、中間体(C)が71.7g、IPN50が10.0g含まれていた。
次に、攪拌翼、温度計、冷却管を備えた200mL4つ口フラスコに、上記中間体(C)を含む反応液を100.0gとジエタノールアミン4.1gを仕込み、80℃に保ちながら8時間攪拌させた。こうして、単量体(5)(上記一般式(8)において、nが平均50である構造の化合物)の溶液を104.1g得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、単量体(5)が69.6g、IPN50が6.9g含まれていた。また、実施例1と同様にH−NMRからも、その生成を確認した。
【0081】
<実施例6>
攪拌翼、温度計、冷却管を備えた200mL4つ口フラスコに、実施例5において合成した中間体(C)を含む反応液を100.0gとジブチルアミン5.4gを仕込み、100℃に保ちながら8時間攪拌させた。こうして、単量体(6)(上記一般式(9)において、nが平均50である構造の化合物)の溶液を105.4g得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、単量体(6)が70.3g、IPN50が9.8g含まれていた。また、実施例2と同様にH−NMRからも、その生成を確認した。
【0082】
<重合例1>
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量2000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水150.0g、および、モール塩0.0060gを仕込み、攪拌しながら、70℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、70℃に保持された重合反応系中に、ヒドロキシエチルアクリレート(以下、「HEA」とも称する。)を144.8g、単量体(1)144.8g、80%IPN10を17.3g、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと称す。)を94.2g、35%亜硫酸水素ナトリウム(以下、35%SBSと称す。)を17.3g、および、純水227.4gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。
各溶液の滴下開始は同時とし、各溶液の滴下時間は、HEAについては180分間、単量体(1)については120分間、80%IPN10については120分間、15%NaPSについては190分間、35%SBSについては180分間、および、純水については180分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。15%NaPSの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を70℃に保持(熟成)して重合を終了した。このようにして、固形分濃度45%の共重合体(1)を含む水溶液(共重合体組成物(1))を得た。
【0083】
<重合例2>
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量2000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水150.0g、および、モール塩0.0074gを仕込み、攪拌しながら、70℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、70℃に保持された重合反応系中に、ジメチルアミノエチルアクリレート(以下、「DAA」とも称する。)を257.4g、単量体(1)178.5g、80%IPN10を21.3g、15%NaPSを96.5g、35%SBSを17.7g、および、純水328.6gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。
各溶液の滴下開始は同時とし、各溶液の滴下時間は、DAAについては180分間、単量体(1)については120分間、80%IPN10については120分間、15%NaPSについては190分間、35%SBSについては180分間、および、純水については180分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。15%NaPSの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を70℃に保持(熟成)して重合を終了した。このようにして、固形分濃度45%の共重合体(2)を含む水溶液(共重合体組成物(2))を得た。
【0084】
[比較重合例1]
還流冷却器、温度計、攪拌機を備えたガラス製の100mLセパラブルフラスコにポリエチレンイミン(Mw9,500、Mn6,500)を40g仕込み、攪拌しながらデナコールEX−121(ナガセケムテックス株式会社製、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(以下、2EHGEと称す。))10gを加えた。この重合体混合物を攪拌下60℃に昇温して4時間反応させ、比較重合体(1)を得た。比較重合体(1)は、水に対して任意の割合で完全に溶解し、しかも、DO中のH−NMRスペクトル測定において、3.5ppm付近にエポキシ環が開環して生ずるメチンプロトン由来のシグナルが検出されたことから、その生成が確認された。
【0085】
共重合体(1)〜(2)の水溶液を乾燥させ、H−NMR測定したところ、残存モノマーによるピークは検出されず、仕込量通りの組成の重合体(表1参照)が得られたことが確認できた。
【0086】
[実施例7]
重合例1〜2及び比較重合例1で得た共重合体(1)〜(2)及び比較共重合体(1)について、以下のようにして界面活性剤との相溶性および再汚染防止能を評価した。結果を表1に示す。
【0087】
<界面活性剤との相溶性>
試験サンプル(アミノ基含有重合体又はアミノ基含有重合体組成物)を含む洗剤組成物を下記の配合で調製した。
SFT−70H(日本触媒(株)製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル);40g
ネオペレックスF−65(花王(株)製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム);7.7g(有効成分5g)
コータミン86W(花王(株)製、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド);17.9g(有効成分5g)
ジエタノールアミン;5g
エタノール;5g
プロピレングリコール;5g
試験サンプル(固形分換算);1.5g
イオン交換水;バランス(イオン交換水の量は、試験サンプルの量を実際の使用量として、上記全合計が100gとなるように適宜調整する。)。
各成分が均一になる様に充分に攪拌し、25℃での濁度値を、濁度計(日本電色(株)製「NDH2000」)を用い、Turbidity(カオリン濁度:mg/L)で測定し、以下の基準で評価した。
○:カオリン濁度(0以上、50未満(mg/L))、目視で分離、沈殿又は白濁していない。
△:カオリン濁度(50以上、200未満(mg/L))、目視で僅かに白濁している。
×:カオリン濁度(200以上(mg/L))、目視で白濁している。
【0088】
<固形分の測定>
窒素雰囲気下、130℃に加熱したオーブンで、本発明の重合体(本発明の重合体組成物1.0gに水1.0gを加えたもの)を1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と揮発成分(%)を算出した。
【0089】
<再汚染防止能試験>
カーボンブラックを用いた再汚染防止能試験は、下記の手順に従って行った。
(1)Test fabric社より入手したポリエステル布を5cm×5cmに切断し、白布を作成した。この白布を予め日本電色工業社製の測色色差計SE2000型を用いて、白色度を反射率にて測定した。
(2)塩化カルシウム2水和物1.1gに純水を加えて15kgとし、硬水を調製した。
(3)ポリオキシエチレン(20)ラウリルエーテル4.0g、に、純水を加えて、100.0gとし、界面活性剤水溶液を調製した。pHは、水酸化ナトリウムで8.5に調整した。
(4)ターゴットメーターを25℃にセットし、硬水1Lと界面活性剤水溶液5g、固形分換算で5%の重合体水溶液1g、カーボンブラック1.0gをポットに入れ、150rpmで1分間撹拌した。その後、白布5枚を入れ、100rpmで10分間撹拌した。
(5)手で白布の水を切り、25℃にした水道水1Lをポットに入れ、100rpmで2分間撹拌した。
(6)白布に当て布をして、アイロンでしわを伸ばしながら乾燥させた後、上記測色色差計にて再度白布の白度を反射率にて測定した。
(7)以上の測定結果から下式により再汚染防止率を求めた。
再汚染防止率(%)=(洗浄後の白色度)/(原白布の白色度)×100
【0090】
【表1】

【0091】
表1から明らかなように、本発明におけるアミノ基含有重合体は、従来の比較重合体に比して、有意に優れた界面活性剤との相溶性および再汚染防止能を有している。本発明のアミノ基含有単量体は、これらの重合体の原料として、好ましく使用できることが明らかとなった。
なお、上記実施例においては、特定の化合物を用いて反応を行った例が示されているが、本発明のアミノ基含有単量体から得られるアミノ基含有重合体の作用機構はすべて同様であることから、上記実施例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができるといえる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるアミノ基含有単量体。
【化1】

上記一般式(1)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表し、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表し、Yは、同一若しくは異なって、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、nはオキシアルキレン基(−Y−O−)の平均付加モル数を表し、1〜300の数を表す。
【請求項2】
(i)下記一般式(2)で表されるポリエチレングリコール鎖含有単量体とエピハロヒドリンとアルカリ化合物とを反応させる工程(工程A)と、
【化2】

上記一般式(2)中、Rは、水素原子またはCH基を表し、Rは、CH基、CHCH基または単結合を表し、Yは、同一若しくは異なって、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、nはオキシアルキレン基(−Y−O−)の平均付加モル数を表し、1〜300の数を表す。
(ii)上記(i)の工程で得られた反応物と二級アミンを反応させる工程(工程B)、を含むアミノ基含有単量体の製造方法。
【請求項3】
(i)上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体とエピハロヒドリンとを触媒存在下反応させる工程(工程C)と、
(ii)工程Cで得られた反応物とアルカリ化合物を反応させる工程(工程D)と、
(iii)工程Dで得られた反応物と二級アミンを反応させる工程(工程B)、を含むアミノ基含有単量体の製造方法。
【請求項4】
(i)上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体とエピハロヒドリンとを触媒存在下反応させる工程(工程C)と、
(ii)工程Cで得られた反応物と二級アミンを反応させる工程(工程E)、を含むアミノ基含有単量体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−56911(P2012−56911A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203745(P2010−203745)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】