説明

アミノ樹脂を含むダイズコンポジット材料およびその製造方法

【課題】硬化後に可とう性および強度の双方を保持し、かつ天然産物もしくは天然産物由来の物質を主として含んでなる、安価な熱硬化性バインダーで強化されたコンポジット材料を提供する。
【解決手段】43ミクロン以下のメッシュ粒子サイズの脱脂ダイズ粉体、少なくとも1種のエマルション(コ)ポリマーのポリマー粒子、1種以上のアミノ樹脂、および、場合によっては1種以上の還元糖を含む水性バインダー組成物から得られるコンポジット材料、該材料を製造および使用する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンポジット材料およびその製造方法に関する。特に、本発明は、主成分としての脱脂ダイズ粉体、1種以上のエマルション(コ)ポリマー、1種以上のアミノ樹脂および場合によっては1種以上の還元糖を含む水性バインダー組成物から製造される硬化したもしくは乾燥したバインダー組成物と、基体物質とを含む可とう性コンポジット材料に関し;並びにこれを製造する方法に関する。このコンポジット材料は、可とう性用途における、例えば、屋根葺きシングル材用ガラスマットにおける用途を見いだすことができる。
【背景技術】
【0002】
コンポジット材料、例えば、繊維構造(例えば、不織繊維断熱材)および成型物品(例えば、ファイバーボードおよびチップボード)の製造は、従来、尿素−ホルムアルデヒド(UF)樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド(PF)樹脂、または尿素で増量されたフェノール−ホルムアルデヒド樹脂(PFU)を使用して製造される。市販のバインダーは、硬化されたときに実質的に剛性であることを可能にするように一般的に設計されてきた。例えば、ガラス繊維断熱材バインダーにおいては、硬化したバインダーは断熱材が圧縮されることを可能にするが、圧縮力が除かれた後で、圧縮された断熱材が実質的にその元の形に回復するのを可能にする剛性を有する。よって、断熱材はロールにされ、圧縮された状態で輸送されることができ、設置前にロールを解かれて圧縮を開放することができ、ふわふわした断熱マットが設置されるのを可能にする。アミノ樹脂、最も一般的には尿素ホルムアルデヒド樹脂から本質的になるバインダーを用いて製造されたガラス繊維不織物は多くの場合脆い。さらに、特に、そのマットが湿潤条件にかけられる場合には、そのマットの強度特性はその製造の後で顕著に劣化する場合がある。他の用途については、既知の剛性バインダーは望ましくない。屋根葺き材に使用するための薄いガラス繊維もしくはポリエステルマットについては、このマットは、バインダーが硬化した後でこのマットが実質的に曲がるのを可能にし、かつこのマットを含む最終製品が使用において充分に曲がるのを可能にするバインダーと一緒に保持される。例えば、屋根葺きマットにおいては、最終屋根葺き製品はアスファルト物質で含浸され、またはアスファルト物質を用いて層形成されることができ、そのマットは非常に脆く可とう性を欠くので、そのマット自体が壊れることなく屋根葺き製品が屋根と一体となる(例えば、ピーク上でおよび谷の方に曲げられる)のを可能にし、かつこの屋根葺き材が温度変動と共に膨張および収縮することを可能にするように、得られた屋根葺き製品は可とう性を保持しなければならない。この理由のために、UF樹脂バインダーは、場合によっては、UF樹脂を架橋剤および様々な触媒システムと配合することにより、またはUF樹脂をラテックス(エマルション)ポリマーで補強することにより改質されてきた。この種の可とう性ガラスマットは、屋根葺き材、床下張り材、ろ過媒体、および建築用製品をはじめとする様々な用途における使用を見いだすことができる。しかし、潜在的な発ガン性物質であるホルムアルデヒドの毒性の観点から、アミノ樹脂の使用を最小限にすることが望まれる。特に、製造者は、過半成分として天然産物または天然産物由来の物質を含む組成物を望む。
【0003】
コンポジット材料に使用される既存の市販のバインダーは、カルボン酸ポリマーおよびポリオールを含み、これらはエステル化し、熱硬化されるときに剛性の熱硬化物質を形成する。しかし、これらのバインダーは幾分かの可とう性を必要とする用途には充分に適していない。
【0004】
本発明の目的の1つは、硬化したもしくは乾燥したバインダー組成物が、バインダー組成物固形分を基準にして50重量%を超える天然産物もしくは天然産物由来の物質、例えば、脱脂ダイズ粉体を含む水性バインダー組成物から製造される;基体物質および硬化したもしくは乾燥したバインダー組成物を含む可とう性コンポジット材料を提供することである。天然産物は、木材コンポジット構造において使用されているダイズベースのバインダーをはじめとして、すでに使用されている。ダイズ単離物またはダイズ濃縮物が使用されていた、というのはこれら高度に処理された形態は、適切なpH条件下で非常に水溶性だからである。しかし、両方とも妨げるほど高価であり、かつコンポジット材料のためのバインダーとしての広範囲の用途を得ることができなかった。さらに、全粉砕ダイズおよび脱脂ダイズ粉体は水に不溶でありかつこれらと共に機能するのは困難である。
【0005】
脱脂ダイズ粉体またはダイズタンパク質単離物とスチレン−ブタジエンラテックスとのコンポジットが「Characterization of Defatted Soy Flour and Elastomer Composites(脱脂ダイズ粉体とエラストマーとのコンポジットの特徴付け)」L.Jong(ジョン)、Journal of Applied Polymer Science,第98巻、353−361(2005)に開示されている。L.ジョンは、スチレン−ブタジエンゴム中のマイナー成分充填剤としてのダイズの効果の検討において、ダイズがスチレン−ブタジエンゴムに10%、20%および30%の量でブレンドされる場合での、脱脂ダイズ粉体とダイズタンパク質単離物とを比較する。
【0006】
Kelly(ケリー)への米国特許出願公開第2008/0051539号は、少なくとも1種のポリカルボキシエマルションコポリマー、少なくとも2つのヒドロキシ基を有する少なくとも1種のヒドロキシアミン架橋剤、および多糖または植物タンパク質またはこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のエキステンダーを含む硬化性バインダー組成物を開示する。ケリーは植物タンパク質が脱脂ダイズ粉体を含むことができると開示する。しかし、ケリーに開示されたバインダー組成物は本発明のコンポジット材料にはあまり好適でないであろう、というのは、10〜25%またはそれより多い好適な配合物固形分量では、ヒドロキシアミドはダイズベースのバインダーの粘度を上昇させ、これは結果的に、ウェットレイドマット(wet−laid mat)形成中の劣った適用、跡の形成、縞、低いバインダー重量(LOI)をもたらしうるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0051539号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「Characterization of Defatted Soy Flour and Elastomer Composites(脱脂ダイズ粉体とエラストマーとのコンポジットの特徴付け)」L.Jong(ジョン)、Journal of Applied Polymer Science,第98巻、353−361(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、硬化後に可とう性および強度の双方を保持し、かつ天然産物もしくは天然産物由来の物質を主として含んでなる、安価な熱硬化性バインダーで強化されたコンポジット材料を提供する課題に対する解決策を見いだすことを努力してきた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、(a)基体物質;および、(b)i)少なくとも1種のエマルション(コ)ポリマーのポリマー粒子;ii)43ミクロン以下のメッシュ粒子サイズの脱脂ダイズ粉体;およびiii)バインダー組成物固形分を基準にして49重量%以下の量の1種以上のアミノ樹脂;を含む水性バインダー組成物から製造される硬化したもしくは乾燥したバインダー組成物;を含むコンポジット材料であって、コンポジット材料は40重量%以下の硬化したもしくは乾燥したバインダー組成物を含み;さらに、バインダー組成物はバインダー組成物固形分を基準にして51重量%〜95重量%の脱脂ダイズ粉体を含む;コンポジット材料を提供し;並びに、その製造方法も提供する。
本発明のある実施形態においては、バインダー組成物は、バインダー組成物固形分を基準にして55重量%〜85重量%の脱脂ダイズ粉体を含む。
本発明のある実施形態においては、バインダー組成物は1種以上の還元糖をさらに含む。このような実施形態の1つにおいては、水性バインダー組成物の還元糖成分は、フルクトース、グリセルアルデヒド、ラクトース、アラビノース、マルトース、グルコース、デキストロース、キシロースおよびレブロースからなる群から選択される。
本発明の別の実施形態においては、エマルション(コ)ポリマーは、重合された形態で、(コ)ポリマーの重量を基準にして5重量%〜25重量%の1種以上のカルボン酸モノマー、もしくはその無水物、もしくはその塩を含む。
本発明のさらに別の実施形態においては、エマルション(コ)ポリマーは、重合された形態で、コポリマーの重量を基準にして0.1重量%〜5重量%の1種以上の多エチレン性不飽和モノマーを含む。このような実施形態の1つにおいては、多エチレン性不飽和モノマーはメタクリル酸アリルを含む。
本発明のさらに別の実施形態においては、脱脂ダイズ粉体は、そのタンパク質成分を変性させる条件にかけられているか、または配合されてそのタンパク質成分を変性させる。本発明の別の実施形態においては、脱脂ダイズ粉体は水性分散物の形態である。
本発明の異なる実施形態においては、水性バインダー組成物は、リグニンもしくはその誘導体、例えばリグノスルホナートをさらに含む。
本発明の別の異なる実施形態においては、水性バインダー組成物は熱発生酸をさらに含む。このような実施形態の1つにおいては、熱発生酸は無機酸のアンモニウム塩である。
本発明のさらに別の異なる実施形態においては、水性バインダー組成物は、亜硫酸水素ナトリウムまたはピロ亜硫酸ナトリウムを、好ましくは全バインダーの重量を基準にして0.1〜1重量%の量でさらに含む。
本発明のさらに別の異なる実施形態においては、水性バインダー組成物は、グリセロール、グリセロール誘導体、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ヒドロキシアルキル尿素、尿素、オキサゾリン、ポリビニルアルコール、金属イオン、例えば、ジルコニウムもしくは亜鉛のイオン、およびこれらの混合物から本質的になる1種以上の架橋剤をさらに含む。
本発明のさらに別の異なる実施形態においては、基体物質は、ポリエステルマット、ガラス強化マット、またはマイクロガラスベースの基体物質からなる群から選択される。
別の形態においては、本発明は、コンポジット材料を製造する方法を提供し、当該方法はa)基体を水性バインダー組成物で処理し;b)基体から過剰なバインダー組成物を除去し;並びに、c)基体上のバインダー組成物を硬化または乾燥させること;を含み、水性バインダー組成物はi)少なくとも1種のエマルション(コ)ポリマーのポリマー粒子;ii)43ミクロン以下のメッシュ粒子サイズの脱脂ダイズ粉体;iii)バインダー組成物固形分を基準にして49重量%以下の量の1種以上のアミノ樹脂;並びに、iv)場合によっては、1種以上の還元糖;を含み、コンポジット材料は40重量%以下の硬化したもしくは乾燥したバインダー組成物を含み;さらに、バインダー組成物はバインダー組成物固形分を基準にして51重量%〜95重量%の脱脂ダイズ粉体を含む。
さらに別の形態においては、本発明は、屋根葺き材、床材、カーペット裏打ち、窓装飾材、シーリングタイル、壁装材、ロービング、プリント回路板、バッテリーセパレータ、フィルタストック、テープストック、コンポジット表面材(composite facers)およびセメント質もしくは非セメント質メーソンリーコーティング用強化スクリムからなる群から選択される用途に使用するためのコンポジット材料を提供する。
さらに別の形態においては、本発明は、(a)基体物質;および(b)i)少なくとも1種のエマルション(コ)ポリマーのポリマー粒子;ii)43ミクロン以下のメッシュ粒子サイズの脱脂ダイズ粉体;iii)バインダー組成物固形分を基準にして49重量%以下の量の1種以上のアミノ樹脂;並びに、iv)1種以上の還元糖;から本質的になる水性バインダー組成物から製造される硬化したもしくは乾燥したバインダー組成物;を含むコンポジット材料であって、コンポジット材料は40重量%以下の硬化したもしくは乾燥したバインダー組成物を含み;さらに、バインダー組成物はバインダー組成物固形分を基準にして51重量%〜95重量%の脱脂ダイズ粉体を含む;コンポジット材料を提供する。
さらに別の形態においては、本発明は、a)全バインダーの重量を基準にして2〜45重量パーセントのエマルション(コ)ポリマー;b)全バインダーの重量を基準にして35〜95重量パーセントの、43μm以下の粒子サイズを有する脱脂ダイズ粉体;およびc)全バインダーの重量を基準にして1〜49重量パーセントのアミノ樹脂;を含む水性バインダーを含浸させたガラスまたはポリエステル繊維のランダム集合体を含むコンポジットを提供する。
前記バインダーは1種以上の還元糖、1種以上の塩、例えば、有機酸のアンモニウム塩もしくは亜硫酸水素塩、例えば、亜硫酸水素ナトリウムを含むことができる。
さらに別の形態においては、コンポジットは硬化される。
別の形態においては、本発明は、a)全バインダーの重量を基準にして10〜20重量パーセントの、メタクリル酸アリルで架橋されたスチレン−アクリルポリカルボキシエマルションコポリマー;b)全バインダーの重量を基準にして60〜75重量パーセントの、43μm以下の粒子サイズを有する脱脂ダイズ粉体;c)全バインダーの重量を基準にして5〜20重量パーセントの尿素ホルムアルデヒド樹脂;d)全バインダーの重量を基準にして2〜10重量パーセントのデキストロース;および、e)全バインダーの重量を基準にして0.1〜1重量パーセントの亜硫酸水素ナトリウムまたはピロ亜硫酸ナトリウム;を含む水性バインダーを含浸させたガラスまたはポリエステル繊維のランダム集合体を含むコンポジットである。
本発明は、例えば、屋根葺きシングル材用ガラス繊維もしくはポリエステルマットにおいて使用するための可とう性コンポジットを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
他に示されない限りは、丸括弧書きを含む用語は、二者択一的に、丸括弧が存在しなかったかの様な全体の用語、および丸括弧の中にある事項を含まない用語、並びにそれぞれの選択肢の組み合わせをいう。よって、用語「(コ)ポリマー」はホモポリマーもしくはコポリマーをいう。さらに、(メタ)アクリルとは、アクリル、メタクリル、およびこれらの混合物をいう。
【0012】
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、語句「分子量」とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリマーの重量平均分子量(Mw)をいう。このシステムは、溶出時間と分子量とを相関させるために、既知の分子量および組成の標準物質を用いて較正される。GPCの技術はModern Size Exclusion Chromatography(現在のサイズ排除クロマトグラフィー)、W.W.ヨー(Yau)、J.Jキルクランド(Kirkland)、D.D.ブライ(Bly);ウイリーインターサイエンス(Wiley−Interscience)、1979、およびA Guide to Materials Characterization and Chemical Analysis(物質の特徴付けおよび化学分析についての指針)、J.P.シビリア(Sibilia);VCH,1988,81−84ページに詳細に論じられている。他に示されない限りは、水溶性(コ)ポリマーについての分子量は当該技術分野において既知のポリアクリル酸標準を使用して測定され、エマルションコポリマーについての分子量はポリスチレン標準を用いて測定される。本明細書においてMwについて報告される分子量はダルトン単位である。
【0013】
本明細書において使用される場合、語句「アルキル」とは、1以上の炭素原子を有する脂肪族アルキル基を意味し、当該アルキル基には、n−アルキル、s−アルキル、i−アルキル、t−アルキル基もしくは5、6もしくは7員環構造を1以上含む環式脂肪族が挙げられる。
【0014】
本明細書においては、「還元糖」は、アルカリ溶液中でアルデヒドを形成する任意の糖である。これは、この糖が還元剤として機能することを可能にする。
【0015】
用語「不飽和カルボン酸モノマー」または「カルボン酸モノマー」には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、2−メチルイタコン酸、α,β−メチレングルタル酸、モノアルキルフマラート、マレインモノマー;これらの無水物およびこれらの混合物が挙げられる。マレインモノマーには、例えば、マレイン酸、2−メチルマレイン酸、マレイン酸モノアルキル、および無水マレイン酸、並びにこれらの置換体が挙げられる。
【0016】
用語「不飽和スルホン酸モノマー」または「スルホン酸モノマー」には、例えば、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、およびパラ−スチレンスルホン酸が挙げられる。
【0017】
本明細書において使用される場合、用語「アンモニウム」には、これに限定されないが、NHNHNH(式中、RおよびRはそれぞれ独立して選択され、RおよびRはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロ環式、アリールおよびへテロアリールから選択される)。すなわち、用語「アンモニウム」は「アルキルアンモニウム」を含む。
【0018】
本明細書において使用される場合、語句「水性」または「水性溶媒」には、水並びに、水と水混和性溶媒とから実質的になる混合物が挙げられる。
本明細書において使用される場合、「重量%」は重量パーセントを意味する。
【0019】
本明細書において使用される場合、語句「バインダー固形分の全重量を基準にして」および「バインダー組成物固形分を基準にして」とは、バインダー中の水以外の全ての成分(例えば、エマルションコポリマー、脱脂ダイズバインダー、可溶性ポリ酸、還元糖および他の配合成分)の合計重量に対する所定の成分の重量をいう。
【0020】
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、語句「コポリマー」には、独立して、コポリマー、ターポリマー、ブロックコポリマー、セグメント化コポリマー、グラフトコポリマーおよびこれらの混合物または組み合わせが挙げられる。
【0021】
本明細書において使用される場合、語句「エマルション(コ)ポリマー」とは、乳化重合によって製造された(コ)ポリマーをいう。
【0022】
本明細書において使用される場合、語句「(C3−C12)−」または「(C3−C6)−」などは、それぞれ、3〜12個の炭素原子、および3〜6個の炭素原子を含む化合物をいう。
【0023】
本明細書において使用される場合、メッシュ粒子サイズとは、そのメッシュサイズのふるいを通過するサンプルから得られた物質の粒子サイズをいう。例えば、43ミクロンメッシュ(325メッシュ)を通過する様に粉砕された脱脂ダイズ粉体は43ミクロンメッシュ粒子サイズを有すると称される。
【0024】
他に定義されない限りは、本明細書において使用される技術および科学用語は当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。同じ成分または特性を対象にする全ての範囲の終点は、その終点を含み、かつ独立に組み合わせ可能である。
【0025】
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、用語「粘度」は、サンプル温度が25℃で一定に維持されつつ、スピンドル#31を用いて、6rpmで、DV−IIIウルトラLVブルックフィールド(Brookfield)粘度計で測定される粘度をいう。
【0026】
他に示されない限りは、用語「タンパク質分散指数(Protein Dispersibility Index;PDI)」とは、ダイズ材料のサンプルが粉砕され、所定の量の水と混合され、次いで所定のrpmで所定の時間ブレンドされる場合における、水中でのタンパク質の分散性を比較する手段をいう。得られた混合物および全ダイズ粉体は、次いで、燃焼試験を用いてそのタンパク質窒素含量を測定し、PDIは混合物中のタンパク質窒素濃度のパーセンテージを全ダイズ粉体におけるそのパーセンテージで割った値として算出される。よって、100のPDIは、ダイズ粉体中に存在するタンパク質の全分散を示す。所定の粉体の全溶解度はPDI未満であることができ、そして炭水化物含量に反比例する。PDIは、使用されるダイズの種類によるだけではなく、製造方法によっても影響を受ける場合があり、例えば、熱処理はPDIを低下させることが示されている。
【0027】
本発明に従って、脱脂ダイズ粉体はバインダー中で約51〜95重量%または51〜90重量%、好ましくは55〜90重量%、または55〜85重量%、より好ましくは60〜85重量%、または60〜80重量%、および最も好ましくは65〜80重量%、または65〜75重量%の全固形分を構成し、残部は主として1種以上のエマルション(コ)ポリマー、1種以上のアミノ樹脂、および場合によっては1種以上の還元糖で構成される。供給されたままの脱脂ダイズ粉体は水に不溶性であるが、高剪断粉砕、好ましくは分散剤の存在下での高剪断粉砕によって、またはダイズタンパク質の予備加熱または変性によって、水性分散物が得られうる。好適な脱脂ダイズ粉体開始物質は、例えば、20、70、および90のPDI値を有しうる。
【0028】
好適な脱脂ダイズ粉体物質は商業的に入手可能であり、またはそれは粉砕された全豆(外皮、油、タンパク質、炭水化物、ミネラルなどを含む)、または粗挽き粉(抽出もしくは部分的に抽出される)から製造されうる。本明細書において使用される場合、「粉体」には、その範囲内に、脱脂ダイズ粉体、脱脂タンパク質濃縮物(部分的に処理された粉体で、約60〜70%のタンパク質、約0.5重量%未満の油および約10〜20重量%の炭水化物を含む)、並びにダイズタンパク質単離物(約0.5重量%未満の油および約5重量%未満の炭水化物を含む、高度に処理され、実質的に純粋なタンパク質粉体)が挙げられる。本明細書において使用される場合、用語「脱脂ダイズ粉体」とは、20重量%を超える炭水化物を含むダイズ材料をいう一方で、油が1.5重量%未満の量まで除去(「脱脂」)された粉体もいう。
【0029】
本発明においては、43ミクロンのメッシュサイズ(325メッシュ)を有するダイズ粉体が好ましく、400以上のメッシュサイズが最も好ましい。繊維マットは大きな粒子を効果的にろ別して、この基体の表面上にその粒子を捕捉しうるので、より大きな粒子は望ましくない。望ましい粒子サイズは、ロタッピング(rotapping)、ボールミル粉砕、ハンマーミル粉砕またはローターミル粉砕のような技術によって得ることができる。ミル粉砕技術は粉砕し、後で使用するために、供給されたままの物質の粒子サイズをさらに低減させる。
【0030】
適切な固形分含有量(水性分散物中の10%〜25%の固形分またはそれより高い)で、かつ容易な撹拌および注ぎまたはポンプ輸送による移送を可能にする安定な粘度の、微細な粒子サイズの脱脂ダイズ粉体物質の安定な均質水性分散物で、適切なダイズ系バインダーを提供するために、最小限に処理されたグレードのダイズ粉体は水の中に単純に撹拌され、このような分散物を製造することができない。低剪断ポンプおよびブレンドミキサーの使用は、商業的に有用な分散物を製造することができない。しかしながら、有用な粘度の適切な分散物は、適切な装置によって与えることができる高剪断粉砕によって達成できる。約1,000cpsの粘度は、高剪断粉砕装置を使用して、例えば、高剪断カウレス(Cowles)溶解装置を使用する粉砕によって達成することができる。他の適切な高速剪断装置には、これらに限定されないが、(a)範囲1,000〜3,500rpm、好ましくは2,000〜3,500rpmでの速度で回転する、高速剪断羽根車またはポンプ(例えば、ラディッシュカンパニー(Ladish Company),トリクローバーディビジョン(Tri−Clover Division)によるトリ−ブレンダー(Tri−Blender));(b)ホモジナイザー(例えば、オークスマシーンコーポレーション(Oakes Machine Corp.)によるオークスミキサー(Oakes Mixer));および(c)高速攪拌機、ミキサーまたはタービン(例えば、ランコ(Lanco)による「リキファイアー(Likwifier)」タービンミキサー、並びにライトニンカンパニー(「Lightnin」Co.)によるミキサーおよび通気装置)が挙げられる。好ましくは、1種以上の水溶性ポリマー分散種が、高剪断粉砕プロセス中に含有されて、ダイズ粉体分散物のための、約400〜1,000cps、好ましくは600cps以下の、低い粘度範囲を達成し、それによって取扱いおよび混合を容易にする。より高いPDI脱脂ダイズ粉体のスラリーは、このような水溶性ポリマー分散種の存在下で高剪断下で粉砕されるとき、遙かに低い粘度を示す。脱脂ダイズ粉体は、エマルジョンポリマーと組み合わせる前に、スラリーの形態で製造されることができる。この方式で製造するとき、水性ダイズ粉体スラリーの粘度は、好ましくは100〜3,000cps、さらに好ましくは200〜2,000cpsまたは200〜1,000cps、なおさらに好ましくは200〜800cpsまたは200〜600cpsである。
【0031】
水溶性ポリマー分散種は、少なくとも1種のアニオン性モノマーから生じさせることができる。幾つかの適切なアニオン性モノマーは、例えば、エチレン性不飽和酸モノマーであり、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸モノマーおよびスルホン酸モノマーが挙げられる。この水溶性ポリマー分散種は、場合によって、少なくとも1種のカチオン性モノマーを含有してよい。幾つかの実施形態において、この水溶性ポリマーは、非イオン性モノマー(即ち、カチオン性モノマーでもアニオン性モノマーでもないモノマー)からの少なくとも1種の重合単位を含有する。幾つかの適切な非イオン性モノマーには、例えば、1個以上の二重結合を有する化合物、例えば、オレフィン、置換オレフィン(例えば、ハロゲン化ビニルおよびビニルカルボキシラートを含む)、ジエン、(メタ)アクリラート、置換(メタ)アクリラート、(メタ)アクリルアミド、置換(メタ)アクリルアミド、スチレン、置換スチレンおよびこれらの混合物をはじめとする、エチレン性不飽和非イオン性化合物が挙げられる。更なる適切な水溶性ポリマーは、少なくとも2個のカルボン酸基、酸無水物基またはこれらの塩を含む、ポリカルボキシ付加(コ)ポリマーであってよい。エチレン性不飽和カルボン酸は、水溶性ポリマーの重量を基準にして、約1重量%〜100重量%の量の範囲であってよい。
【0032】
水溶性ポリマー分散種は、当該技術分野で公知であるような、例えば、溶液重合、塊状重合、不均一相重合(例えば、乳化重合、懸濁重合、分散重合および逆乳化重合を含む)並びにこれらの組合せをはじめとするどのような重合方法によっても製造することができる。このような水溶性ポリマー種の分子量は、連鎖調節剤、例えば、硫黄化合物、例えば、メルカプトエタノールおよびドデシルメルカプタンの使用によって制御することができる。典型的に、連鎖調節剤の量は、使用される全てのモノマーの全重量基準の重量パーセンテージとして、20%以下、さらに一般的に7%以下である。水溶性ポリマーの分子量は、好ましくは約300〜約100,000または約1,000〜100,000、さらに好ましくは1,000〜20,000または2,000〜20,000、なおさらに好ましくは2,000〜5,000または2,000〜3,000である。例えば、水溶性ポリマーは、水性媒体中のポリカルボキシ(コ)ポリマーの溶液の形態、例えば、塩基性媒体中で可溶化された、アルカリ可溶性樹脂またはポリアクリル酸ホモポリマーの形態であってよい。同様の組成の多数の商業的分散剤および種は、水溶性ポリマーとして機能しうる。これらの組成物中に添加物として使用されるポリマーは、所望により塩基、例えば、NHOHによって中和することができる。適切な商業的分散剤には、例えば、ローム・アンド・ハース社(米国ペンシルベニア州フィラデルフィア)から入手可能な、アキュマー(Acumer商標)およびアキュゾル(Acusol商標)420Nが挙げられる。1種以上の水溶性ポリマー種を、スラリーの全重量のパーセンテージとしてポリマー系活性成分の重量を基準にして、0.1〜5%、好ましくは0.2〜4%、さらに好ましくは0.5〜3%または1〜2%の範囲の量で使用することができ、これは、スラリーの粘度を低下させる際のダイズ粉体粒子のための分散剤として機能する。好ましくは、安定化された水性ダイズ粉体スラリーは、スラリーの全重量を基準にして、10〜60%、好ましくは約20%の脱脂ダイズ粉体を含有し、この水性スラリーは、1〜2%の水溶性ポリマー、例えば、アキュゾル商標420Nの存在下で、カウレス溶解装置での高剪断混合によって形成される。
【0033】
その代わりに、ダイズ粉体は、当業者に公知であるように、例えば、米国特許第6,306,997号に記載されているように、ダイズ粉体のタンパク質成分を変性させることによって製造されうる。脱脂ダイズ粉体を、エマルジョンコポリマーと混合する前に予備加熱処理することができまたはエマルジョンコポリマーと混合する前もしくは後に塩基で中和することができまたはダイズ粉体のタンパク質成分を変性する化合物と共に加熱することができる。ダイズ粉体スラリーを製造するための一つの方法には、亜硫酸水素ナトリウムを水中に溶解し、そのpHを水酸化ナトリウムで約6.8〜7.1に調節し、この溶液を約45℃〜約55℃に加熱し、脱泡剤を添加し、そしてダイズスラリーを製造するために有効な条件下で乾燥ダイズ粉体を添加することが含まれる。好ましくは、このスラリーは、約50℃まで加熱される。ダイズ粉体スラリーの製造中の亜硫酸水素ナトリウムの添加は、ジスルフィド結合の開裂によってダイズタンパク質を部分的に解重合する。ジスルフィド結合の開裂は、ダイズスラリーの粘度を低下させる。中性pHおよび50℃でダイズ粉体スラリーを維持することによって、ダイズ粉体のより高い溶解度が得られ、タンパク質ゲル化が回避される。脱泡剤を添加することによって、ダイズ粉体スラリーの発泡が減少し、ダイズ粉体スラリーの製造を取扱い容易にする。好ましい脱泡剤には、セダー油、Byk024、シグマ・アンチフォーム204、パイン油、パモリン(Pamolyn)200(リノール酸)、または不飽和、モノ不飽和および多不飽和をはじめとする同様の脂肪酸が挙げられる。この方式でのダイズ粉体の製造によって、できるだけ高い固形分含有量でおよび後の樹脂配合において管理可能な粘度で、スラリーが製造される。
【0034】
本発明の水性バインダー組成物は1種以上のアミノ樹脂を含む。尿素ホルムアルデヒド樹脂のようなアミノ樹脂は、周知であり、かつ広く市販されている。アミノ樹脂は、例えば、尿素とホルムアルデヒドとの反応から形成されて、メチロール基を含む化合物を形成し、これは次いで、熱の適用下で、触媒を使用するかまたは使用せずに、さらに反応させるか、または縮合させ、または硬化させてポリマーを形成する。樹脂中のメチロール基は、他のメチロール基のような活性水素基と反応して、エーテルもしくはメチレン基を形成し、それによりポリマー構造を形成することが知られている。このようなポリマー構造は一般的に脆く、そしてこのような樹脂を単独のバインダーとして含む不織物は比較的可とう性でない傾向がある。市販の尿素ホルムアルデヒド樹脂の例はSU−100(米国オハイオ州コロンバスのヘキソンスペシャリティーケミカルズ(Hexion Specialty Chemicals))である。
【0035】
本発明のアミノ樹脂成分は、例えば、当該技術分野において知られている様な、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、グアナミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂およびアセト−グアナミンホルムアルデヒド樹脂などからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ樹脂であることができる。他のアミノ含有物質、例えば、グリコールウリル、チオ尿素、アニリンおよびパラトルエンスルホンアミドなどは、同様の技術によって類似のアミノ樹脂を形成するために使用されうる。好ましいのは尿素−ホルムアルデヒド(UF)樹脂である。アミノ樹脂は、(メタ)アクリル(コ)ポリマー、ポリビニルアルコール(コ)ポリマー、スチレン−(メタ)アクリル(コ)ポリマー、スチレン−(メタ)アクリル酸(コ)ポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、またはスチレン、無水マレイン酸および(メタ)アクリル酸を含むコポリマー、またはスチレン、無水マレイン酸および(メタ)アクリル酸を含むコポリマーのようなポリマー改質剤も含むことができる。改質UF樹脂の例は、FG−705(米国オハイオ州コロンバスのヘキソンスペシャリティーケミカルズ)である。アミノ樹脂成分は、バインダー組成物固形分を基準にして1重量%以上、または5重量%以上の量で存在することができ、かつ49重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下の範囲であることができる。
【0036】
ある実施形態においては、本発明の水性バインダー組成物は少なくとも1種の還元糖を含む。還元糖は、本明細書においては、アルカリ溶液中でアルデヒドを形成する糖である。これは、この糖が還元剤として、例えば、アミン源とのメイラード反応において、機能することを可能にする。糖のアノマー炭素(2つの酸素原子に結合している炭素)がフリーの形態である場合には、糖は還元糖であり得る。糖は鎖および環構造で存在することができ、これら2つの形態の間の平衡を有することができる。いくつかのケト糖はカルボニルを鎖の末端に移動させる一連の互変位性シフトを介してアルデヒドに変換されうるので、いくつかのケト糖は還元糖でもあることに留意するべきである。
【0037】
還元糖には、アルドース(アルデヒドを含む)かまたはケトース(ケトンを含む)かにかかわらず全ての単糖が挙げられる。よって、本発明の還元糖成分にはそのアルドースまたはケトース形態の単糖、例えば、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースまたはヘプトースが挙げられうる。ほとんどの二糖も還元糖である。還元糖には、グルコース、フルクトース、グリセルアルデヒド、ラクトース、アラビノース、キシロースおよびマルトースが挙げられる。還元糖の他の天然もしくは合成立体異性体もしくは光学異性体も、水性バインダー組成物の還元糖成分として有用であり得る;例えば、デキストロースはグルコースの光学異性体の1つである。水性バインダー組成物の還元糖成分は、場合によっては、例えば、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシまたは他の置換基で置換されうる。
【0038】
デキストロースは特に好適であることが見いだされた。ある実施形態においては、高デキストロース含量シロップ(30%を超えるデキストロース)が還元糖成分として使用される。このようなシロップにおいては、より高いデキストロース含量、より良好には97%以上のデキストロース含量のシロップ、例えば、米国イリノイ州デカターのアーチャーダニエルズミッドランドカンパニー(Archer Daniels Midland Company)からADM97/71コーンシロップが市販されている。
【0039】
還元糖は、バインダー中の全固形分のパーセントとして、3重量%以上、または5重量%以上、または7重量%以上、30重量%以下、または25重量%以下、または20重量%以下の固形分を構成することができ;好ましくは、還元糖は、バインダー中の全固形分のパーセントとして、5重量%以上、または7重量%以上、20重量%以下、または15重量%以下;最も好ましくは5〜15重量%、または8〜12重量%の固形分を構成する。
【0040】
コンポジット材料のバインダーにおいて使用されるエマルション(コ)ポリマーは、共重合単位として、エチレン性不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリルエステルモノマー、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルモノマー、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ヒドロキシエチルおよび(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル;並びに関連するアミドおよびニトリル、例えば、(メタ)アクリルアミドまたは置換(メタ)アクリルアミドおよびアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを含有してよい。このポリマーの中に組み込まれうる他のエチレン性不飽和非イオン性モノマーには、ビニル芳香族化合物、例えば、スチレンまたは置換スチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン、ビニルトルエンなど;ブタジエン;酢酸ビニル、酪酸ビニルおよびその他のビニルエステル;ビニルモノマー、例えば、ビニルアルコール、ビニルエーテル、塩化ビニル、ビニルベンゾフェノン、塩化ビニリデンなど;アリルエーテル;N−ビニルピロリジノンおよびオレフィンが挙げられる。他の適切なエマルジョン(コ)ポリマーには、スチレン−アクリルラテックスまたは全アクリルラテックスまたはスチレン−ブタジエンラテックスまたはスチレン−アクリロニトリル−ブタジエンラテックスが挙げられうる。コンポジット材料のバインダーにおいて使用されるエマルジョン(コ)ポリマーは、好ましくは、バインダー中の全固形分の約2〜45重量パーセントまたは5〜45重量パーセント、好ましくは5〜40重量%または10〜40重量%、さらに好ましくは5〜25重量%または10〜25重量%、最も好ましくは15〜25重量%を構成する。
【0041】
コンポジット材料のバインダーにおいて使用されるエマルジョンコポリマーは、共重合単位として、エチレン性不飽和カルボン酸モノマーまたはヒドロキシモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルを含むことができる。アクリル酸が好ましいカルボン酸モノマーである。本明細書において使用される場合には、用語「重合単位として」または「共重合単位として」とは、言及されるモノマーの重合により形成される繰り返し単位をいう。よって、重合単位としてアクリル酸を含むと称されるエマルションコポリマーは、次の繰り返し単位を有する:
【化1】

【0042】
好ましい実施形態においては、コンポジット材料のバインダーにおいて使用されるエマルジョンコポリマーは、共重合単位として、エマルジョンコポリマー固形分の重量を基準にして、5重量%〜40重量%または5重量%〜30重量%または5重量%〜25重量%または5重量%〜15重量%、好ましくは10重量%〜30重量%または10重量%〜20重量%または12重量%〜20重量%、最も好ましくは12重量%〜17重量%または14重量%〜17重量%の、カルボン酸モノマーまたはヒドロキシモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルを含む。
【0043】
ある実施形態において、本発明のラテックスエマルジョン(コ)ポリマーは、1種以上の共重合された多エチレン性不飽和モノマー、例えば、メタクリル酸アリル(ALMA)、アクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、1,4−ブチレングリコールジメタクリラート、1,2−エチレングリコールジメタクリラート、1,6−ヘキサンジオールジアクリラート、ブタジエン、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)およびジビニルベンゼンなどを含む。これらの中で、ALMA、ジビニルベンゼン(DVB)、フタル酸ジアリル、1,4−ブチレングリコールジメタクリラートおよび1,6−ヘキサンジオールジアクリラートが好ましい。ALMAが最も好ましい。この多エチレン性不飽和モノマーは、コポリマーの重量を基準にして0.1重量%のように低い量で、好ましくは、コポリマーの重量を基準にして、0.1〜10重量%または0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜4重量%または0.2〜4重量%、最も好ましくは0.1〜3重量%または0.2〜3重量%または0.25〜3重量%または1.0〜3重量%で有効に使用されうる。
【0044】
ラテックスエマルジョン(コ)ポリマーのポリマー粒子は、場合によっては、水性ポリマー組成物の乾燥中および後に、化学結合を形成することができる架橋性基を含有することができる。この架橋性基は、ポリマー粒子中に、重合された、側鎖架橋性基を含有するエチレン性不飽和モノマー(本明細書において、「架橋性モノマー」と称される)として存在することができる。架橋性モノマーには、例えば、アルコキシメチルアミド基を有するモノマー、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、n−ブトキシメチルアクリルアミド、n−ブトキシメチルメタクリルアミドが挙げられうる。このようなモノマーは、0.1〜10重量%の量で使用されうる。
【0045】
適切な連鎖移動剤、例えば、メルカプタン、ポリメルカプタンおよびハロゲン化合物を、エマルジョンコポリマー組成物の分子量を抑制するために、重合混合物中に、エマルジョンコポリマーの重量を基準にして0重量%〜10重量%の量で使用することができる。
【0046】
好ましくは、本発明において使用されるエマルジョンコポリマーは、ASTM3418/82に従って示差走査熱量法、中点温度;温度およびエンタルピーについてインジウム参照を使用するセル・キャリブレーションによって測定したとき、−20℃〜35℃、好ましくは−10℃〜20℃のTgを有する。
【0047】
本発明において使用されるエマルジョンコポリマーは、5,000〜2,000,000、好ましくは20,000〜1,000,000の重量平均分子量を有する。高温で高い性能を必要とする用途のために、このエマルジョンコポリマーは、最も好ましくは、100,000〜1,000,000の重量平均分子量を有するけれども、ある種の室温用途のために、この分子量は、最も好ましくは、30,000〜600,000である。
【0048】
本発明のバインダーは、本明細書において「ポリ酸」と称される、少なくとも2個のカルボン酸基、酸無水物基またはこれらの塩を含む可溶性付加(コ)ポリマーをさらに含むことができる。可溶性付加(コ)ポリマーの重量を基準にして少なくとも70重量%の量で、エチレン性不飽和カルボン酸を使用することができる。追加のエチレン性不飽和モノマーには、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどをはじめとするアクリルエステルモノマーが挙げられうる。このポリ酸は、約1,000〜150,000の分子量を有してよく、エマルジョンコポリマーの固形分の全重量を基準にして0重量%〜30重量%の量で使用されうる。
【0049】
本発明のある実施形態において、組成物は、1000以下、好ましくは500以下、最も好ましくは200以下の分子量を有する、少なくとも1種の低分子量多塩基性カルボン酸、酸無水物またはその塩をさらに含む。「多塩基性」とは、少なくとも2個の反応性酸または酸無水物官能基を有することを意味する。適切な低分子量多塩基性カルボン酸および酸無水物の例には、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、コハク酸無水物、セバシン酸、アゼライン酸、アジピン酸、クエン酸、グルタル酸、酒石酸、イタコン酸、トリメリト酸、ヘミメリト酸、トリメシン酸、トリカルバリル酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ピロメリト酸、カルボン酸のオリゴマーなどが挙げられる。使用するとき、好ましくは、低分子量多塩基性カルボン酸、酸無水物またはその塩は、エマルジョンコポリマーと混合する前に、ダイズまたはリグノスルホナートと共に予備加熱処理される。最も好ましくは、多塩基酸としてクエン酸が使用される。
【0050】
本発明の別の実施形態においては、バインダー組成物は、ダイズ粉体を保存するための構成成分、例えば、アスコルビン酸、クエン酸またはこれらの塩をさらに含み;他の防腐剤は炭酸ナトリウムもしくはカリウム、亜硫酸ナトリウムもしくはカリウム、亜硫酸水素ナトリウムもしくはカリウム、またはピロ亜硫酸ナトリウムもしくはカリウム、またはこれらの組み合わせが挙げられうる。
【0051】
本発明の他の実施形態においては、バインダー組成物は、さらに、1種以上の架橋剤を含む。架橋剤は、エマルジョンコポリマーの酸の当量基準で0.3〜100当量の量で添加することができ、例えば、ポリオール、ポリアミンまたは金属イオンから選択することができ、この場合、ポリオールは2個以上のヒドロキシ基を含有し、そしてポリアミンは2個以上のアミン基を含有する。ヒドロキシ官能基およびアミン官能基の両方を含有する種も使用されうる。適切な架橋剤には、グリセロール、グリセロール誘導体、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトール、ヒドロキシアルキル尿素、尿素、オキサゾリン、ポリビニルアルコール並びに金属イオン、例えば、ジルコニウムまたは亜鉛のイオンが挙げられる。組成物はヒドロキシアルキルアミドを含有すべきではない。
【0052】
本発明のさらに他の実施形態において、バインダー組成物は、リン含有促進剤、例えば、米国特許第6,136,916号に開示されているものを含む。好ましくは、促進剤は、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウムまたはこれらの混合物からなる群から選択される。リン含有促進剤は、また、リン含有基を有するオリゴマー、例えば、次亜リン酸ナトリウムの存在下で付加重合によって形成されるアクリル酸のオリゴマーであってよいが、本発明の硬化性組成物のバインダーの一部として機能する可溶性ポリ酸ポリマーとは別の化合物であってよい。1種以上のリン含有促進剤の量は、(ダイズ、エマルジョンコポリマー固形分および還元糖を組み合わせた)バインダー固形分の全重量を基準にして0重量%〜40重量%、例えば、バインダー固形分の全重量を基準にして、0.1重量%以上、かつ25重量%以下もしくは20重量%以下または好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは12重量%以下である。リン含有促進剤が、付加(コ)ポリマーまたは(コ)オリゴマーの一部を構成するとき、リン含有促進剤の重量%は、全固形分の分率として、反応器に入れられる促進剤の重量%によって決定される。他の触媒系、例えば、ルイス酸または塩基を場合によって使用することができる。
【0053】
なおさらに他の実施形態において、硬化性組成物は、場合によっては、1種以上の強酸を含有することができ、ここで、この強酸は≦3.0のpKaを有する。この組成物は、エマルジョンポリマーおよび任意の可溶性ポリマーからの全カルボン酸の当量に対して、0.2当量以下、例えば、0.01〜0.18当量の強酸を含有することができる。強酸は、鉱酸、例えば硫酸または有機酸、例えばスルホン酸であってよい。鉱酸が好ましい。酸の量および添加の方法は、エマルジョンコポリマーが凝固しないまたは他の悪影響を受けないように調節される。
【0054】
ある実施形態においては、硬化性組成物は熱発生酸触媒を含む。無機酸のアンモニウム塩、例えば、中でも硫酸、または硝酸、または塩酸、またはリン酸、または亜リン酸のアンモニウム塩が好適でありうる。このような塩は、酸に応じて、一塩基性、または二塩基性、または多塩基性でありうる。例えば、リン酸(HPO)は3つの酸性プロトンを有しうる。好適な例には、硫酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、パラ−トルエンスルホン酸アンモニウム、およびナフタレンジスルホン酸アンモニウムが挙げられる。このような種類は配合物に添加されることができる。用語「アンモニウム」は「アルキルアンモニウム」を含む。アンモニウム塩は、バインダー中の全固形分のパーセンテージとして、固形分を基準にして、1〜10重量%の量で存在しうる。好ましくは、アンモニウム塩は、バインダー中の全固形分のパーセンテージとして、固形分を基準にして、1%以上、または2%以上の量、10%以下、または8%以下の量で;最も好ましくは2%〜5%の量で存在する。
【0055】
あるいは、熱発生酸はバインダー成分の1つの中の官能基として組み込まれることができ;例えば、エマルションポリマーは、コンポジットの硬化中にポリマーから放出されうる酸官能基を含む1種以上のモノマー単位を含むことができる。この種のモノマーには、2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸(AMPS)、パラ−スチレンスルホン酸、および他のスルホン酸モノマーが挙げられる。この種のモノマーは遊離酸形態を重合し、ポリマーが形成された後で、次いで、アンモニアで中和することによりポリマーに組み込まれうる。
【0056】
特に好ましい実施形態においては、コンポジット材料はi)バインダー固形分の全重量を基準にして約51〜90重量%、好ましくは60〜75重量%の脱脂ダイズ粉体;ii)約10〜20重量%のアクリルもしくはスチレン−アクリルポリカルボキシエマルションコポリマー;iii)約5〜20重量%のアミノ樹脂、好ましくはUF樹脂;並びにiv)場合によっては、約2〜10重量%の還元糖、例えば、デキストロースもしくはフルクトースのバインダー組成物を含む。場合によっては、実施例において示されるような他の添加剤のさらなる添加が有利であり得る。各成分については、重量パーセンテージはバインダーの固形分の全重量のパーセンテージとしての、その成分の固形分のパーセント重量である。以下の表14のコンポジットサンプル2〜8はこの実施形態の代表例である。
【0057】
本発明のバインダーは、さらに、従来の処理成分、例えば、乳化剤;顔料;充填剤または増量剤、例えば、リグノスルホナート;移行防止助剤;硬化剤;造膜助剤;界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤;展着剤;鉱油ダスト抑制剤;防腐剤または殺生物剤、例えば、イソチアゾロン、フェノール系物質または有機酸;可塑剤;有機シラン;消泡剤、例えば、ジメチコン、シリコーンオイルおよびエトキシ化非イオン性物質;腐蝕抑制剤、特にpH<4で有効な腐蝕抑制剤、例えば、チオ尿素、オキサラートおよびクロム酸塩;着色剤;帯電防止剤;滑剤;ワックス;酸化防止剤;カップリング剤、例えば、シラン、特にシルケスト(Silquest商標)A−187(コネチカット州ウィルトンにあるGEシリコーンズOSiスペシャリティーズ(GE Silicones−OSi Specialties)によって製造);本発明のものではないポリマー;並びに、防水剤、例えば、シリコーンおよびエマルジョンポリマー、特に、エマルジョンポリマー固形分の重量を基準にして30重量%よりも多い、C5以上のアルキル基を含有するエチレン性不飽和アクリルモノマーを共重合単位として含有する疎水性エマルジョンポリマーを含有してよい。これらの成分は、分散されたダイズおよびエマルジョン(コ)ポリマー分散物と単純に混合されることができる。
【0058】
本発明のコンポジット材料は、繊維、スライバー、チップ、粒子およびこれらの組合せから選択された基体物質、並びに1種以上のエマルジョンコポリマーおよび脱脂ダイズ粉体、および1種以上の還元糖を含有するバインダー組成物を含有する。適切な繊維は、天然繊維(例えば、サイザル、ジュート、麻、亜麻、綿、ヤシ繊維、バナナ繊維);動物繊維(例えば、羊毛、毛髪);プラスチック繊維(例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル繊維、例えば、レーヨン、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリ乳酸繊維、ポリカプロラクトン繊維並びに2種以上の繊維形成性ポリマー、例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレンテレフタレートを含む二成分繊維);ガラス繊維;ガラスウール;鉱物繊維;鉱物ウール;合成無機繊維(例えば、アラミド繊維、炭素繊維)およびこれらの組合せから選択されうる。本発明のいくつかの態様において、基体物質は、ポリエステルマット、ガラス強化マットまたはマイクロガラス系基体物質からなる群から選択される。好ましくは、繊維はガラス繊維またはポリエステル繊維である。
【0059】
本発明のある実施形態においては、繊維は、耐熱性繊維、例えば、鉱物繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維、ガラスウール、鉱物ウールおよびこれらの組合せから選択される。耐熱性不織物には、また、それらが基体の性能に物質的に悪影響を与えない限りまたはそのような量である限り、それ自体耐熱性ではない繊維、例えば、ナイロン繊維および超吸収性繊維が含有されていてもよい。適切な繊維、スライバー、チップ、粒子または微粒子物質およびこれらの組合せは、金属、金属酸化物、プラスチック、鉱物、ガラス、紙、厚紙およびこれらの組合せを含んでなる何れからも選択されることができる。ある実施形態においては、繊維、スライバー、チップ、粒子または微粒子物質およびこれらの組合せは、耐熱性である。他の実施形態においては、本発明の方法は、基体を湿潤バインダー組成物で処理すること、次いで、基体から過剰のバインダー組成物を除去することおよび基体上のバインダー組成物を硬化または乾燥させることを含む。このバインダーは、例えば、エアもしくはエアレススプレー、パディング、飽和、ロールコーティング、カーテンコーティング、ビーター堆積、凝集または浸漬およびスクイーズ適用をはじめとする如何なる適切な手段によっても基体に適用することができる。過剰のバインダーを除去するために、得られた飽和された湿潤ウェブを、1個以上の真空ボックスの上を通過させて、マット中の所望のバインダー含有量を達成するのに充分なバインダーを除去する。好ましくは、バインダーは移動するスクリーンの上でウェブに適用される。本発明のマット中のバインダー量は、完成した乾燥マットの、約10〜約40重量パーセント、好ましくは約15〜約30重量パーセント、最も好ましくは約20〜約30重量パーセント、例えば、約25±3重量パーセントの範囲であってよい。バインダー組成物は、熱の適用によって硬化可能であるかまたは乾燥される。
【0060】
本発明のバインダーは、とりわけ、不織ウェブを結合するために有用である。「不織ウェブ」は、天然および/または合成繊維から製造された物品またはシート状形態を指し、化学的または機械的加工の作用によって製造された多孔質フィルム(例えば、開口フィルム)、紙および紙製品を含む。当業者は、(主として縦方向で)ウェブ形成プロセス中に、何らかの秩序の形成が起こることを理解している。不織ウェブを作るための製造方法は、当技術分野で周知である。これには、例えば、ウェットレイド(wet−laid)、エアレイド(air−laid)(ドライレイド(dry laid))、スパンボンド、スパンレース、溶融吹込およびニードルパンチが挙げられる。特に適切なウェブは、約100グラム/平方メートル(gsm)よりも低いベース重量(base weight)(即ち、何らかの被覆または処理を適用する前のウェブの重量)を有するであろう。他の態様において、ウェブは約20gsmよりも低いベース重量を有するであろう。
【0061】
ダイズ粉体は水中のスラリーにされ、他のバインダー成分と混合され、次いで基体上に適用する前に加熱または加熱処理される(cooked)ことができ、この加熱または加熱処理プロセス中にスラリーに添加されていない他のバインダー成分は、基体へのダイズバインダーの適用の前または後に、加熱または加熱処理されたダイズ粉体スラリーと混合されうる。好ましくは、ダイズを加熱または加熱処理し、基体の上に噴霧乾燥するジェットクッカーが使用される。
【0062】
バインダー組成物を乾燥(水性形態で適用される場合)および硬化させる場合には、加熱の時間および温度は、処理された基体の乾燥速度および加工または取扱いの容易性並びに得られるコンポジットの特性発現に影響を及ぼすであろう。100℃以上で400℃以下の適切な熱処理が、3秒〜15分間維持されうる。好ましくは、熱処理温度は150℃以上の範囲であり、このような好ましい熱処理温度は225℃以下、さらに好ましくは200℃以下の範囲であってよく、または1種以上のリン含有促進剤を使用するとき150℃以下の範囲であってよい。
【0063】
乾燥および硬化は、所望により、2以上の別個の段階で実施されうる。例えば、硬化性組成物を最初に、組成物を実質的に乾燥させるが、実質的に硬化させないのに充分な温度および時間で加熱し、次いで2回目に、硬化を実施するために、より高い温度でおよび/またはより長い時間加熱することができる。「B−ステージング」と称されるこのような手順はバインダー処理不織物を、例えば、硬化工程と同時に特定の形状に形成または成形することを伴ってまたは伴うことなく、後で硬化させることができるロール形態で提供するために使用されることができる。
【0064】
ある種の不織布、例えば、屋根葺きシングル材またはロール屋根材を作ることに従って、高温アスファルト組成物を含浸させたガラス繊維含有不織布などは、周囲温度よりも実質的に高い温度で使用される。不織布が、150℃〜250℃の温度で高温アスファルト組成物と接触するとき、不織布は、垂れ下がり、収縮しまたは他の方式で変形するようになり得る。従って、硬化性組成物を組み込む不織布は、硬化した水性バインダー組成物によって与えられる特性、例えば、引張強さなどを実質的に保持するべきである。さらに、例えば、硬化した組成物が、処理条件下で、硬すぎたもしくは脆すぎたまたは粘着性になりすぎた場合にあるように、硬化した組成物は本質的な不織布特性を実質的に損なうべきではない。本明細書中に記載されたコンポジットには、多くの種々の用途において、特に、屋根葺きシングル材用のガラスマットおよび床材用のガラスマットにおいて有用性が見出される。
【実施例】
【0065】
これらの実施例は、本発明の具体的なバインダー組成物およびこのような組成物と比較するものを例示する。
【0066】
下記の略号を実施例において使用する。
SLS−ラウリル硫酸ナトリウム
MMA−メタクリル酸メチル
BA−アクリル酸ブチル
EA−アクリル酸エチル
ALMA−メタクリル酸アリル
AA−アクリル酸
MAA−メタクリル酸
MOA−メチロールアクリルアミド
STY−スチレン
DI水−脱イオン水
【0067】
製造および試験手順は、他に示されない限りは、室温および標準圧力で実施される。
【0068】
実施例1−6:エマルジョンコポリマー合成
パドル型攪拌機、熱電対、窒素入口および還流凝縮器を取り付けた5リットルの丸底フラスコに、876.4グラムの脱イオン水、24.2グラムの次亜リン酸ナトリウム一水和物、28.5グラムのラウリルエーテル硫酸ナトリウム界面活性剤溶液(30%)、3.1グラムの水酸化ナトリウムおよび0.058グラムの抑制剤を入れた。この混合物を79℃まで加熱した。
【0069】
実施例1について、459.7グラムの脱イオン水、89.2グラムのラウリルエーテル硫酸ナトリウム界面活性剤溶液(30%)、553.9グラムのアクリル酸ブチル、969.7グラムのスチレンおよび268.9グラムのアクリル酸を使用して、モノマーエマルジョンを製造した。このモノマーエマルジョンの97.0グラムのアリコートを、反応フラスコに添加し、撹拌しながら、続いて、33.3グラムの脱イオン水中に溶解させた7.4グラムの過硫酸アンモニウムの溶液を添加した。発熱後に、85℃の反応温度を維持しながら、このモノマーエマルジョンおよび156.9グラムの脱イオン水中の7.4グラムの過硫酸アンモニウムの別の溶液を、合計時間130分間かけて徐々に添加した。これらの添加が完結した後、397.4グラムの脱イオン水中に溶解させた42.6グラムの水酸化ナトリウムの溶液を添加した。4.8グラムの脱イオン水中の0.022グラムの硫酸第一鉄七水和物の溶液および4.8グラムの脱イオン水中に溶解させた0.022グラムのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩の溶液を、この反応混合物に添加した。31.2グラムの脱イオン水で希釈した7.9グラムの水性tert−ブチルヒドロペルオキシド(70%)の溶液および62.8グラムの脱イオン水中に溶解させた5.3グラムの亜硫酸水素ナトリウムの溶液を、この反応混合物に徐々に添加した。15分間保持した後、31.2グラムの脱イオン水で希釈した7.9グラムの水性tert−ブチルヒドロペルオキシド(70%)の溶液および62.8グラムの脱イオン水中に溶解させた5.3グラムの亜硫酸水素ナトリウムの溶液を、この反応混合物に徐々に添加した。これらの溶液の添加が完結した後、47.6グラムの脱イオン水を添加し、反応混合物を室温にまで冷却した。この反応混合物が冷却したとき、殺生物剤を添加し、このラテックスを、100メッシュ篩に通して濾過した。実施例2−6は、モノマーエマルジョンを表1に示すようにして製造した以外は、同じ手順に従った。
【0070】
得られたラテックスは、約46.0%の固形分含有量を有していた。実施例1−6のエマルジョンコポリマーは、表1に示すようなTgを有していた。
【0071】
【表1】

【0072】
実施例7:エマルジョンコポリマー合成
凝縮器、熱電対およびオーバーヘッド撹拌装置を取り付けた2リットルの四つ口丸底フラスコに、405.0gの脱イオン水、105.0gの粒子直径58nmのアクリルラテックスおよび3.0gの過硫酸アンモニウムの混合物を85℃で入れた。モノマーエマルジョンは、125.0グラムの脱イオン水、20.0グラムのラウリルエーテル硫酸ナトリウム界面活性剤溶液(30%)、258.0グラムのアクリル酸ブチル、282.0グラムのメタクリル酸メチルおよび60.0グラムのアクリル酸を使用して製造した。85℃で最初の装填物撹拌をしながら、このモノマーエマルジョンおよび66.0gの脱イオン水中の3.0gの過硫酸アンモニウムの溶液を、温度を85〜87℃で維持しながら、120分間かけて反応フラスコに徐々に添加した。モノマーエマルジョンおよび過硫酸アンモニウム溶液の添加が完結した後、この反応混合物を85℃で15分間保持した。次いで、反応フラスコを70℃まで冷却した。1.40gの0.15%硫酸第一鉄七水和物(水溶液)の溶液を、10.0gの脱イオン水と共に添加した。この反応混合物が冷却した後、10.0gの脱イオン水中の1.0gのイソアスコルビン酸の溶液および10.0gの脱イオン水中の1.40gのtert−ブチルヒドロペルオキシド(70%)の溶液を、30分間かけて徐々に添加した。次いで、この反応混合物を、30℃未満に冷却し、濾過した。得られたラテックスは約46%の固形分含有量を有し、コポリマーは30℃のTgを有していた。
【0073】
実施例8:尿素ホルムアルデヒド(UF)樹脂およびラテックスエマルジョンポリマーの水性混合物の製造
以下の表2および3において、比較サンプル23は、UF樹脂FG−472Xを主成分として、およびラテックスエマルションコポリマーポリマーB(表2)の水性混合物であり;UF/ラテックスブレンド重量比9:1、20%固形分、すなわち、40部の水中の9重量部のUF樹脂固形分/1重量部のラテックス固形分を有する水性混合物が製造される。
【0074】
下記の表2および3において、比較バインダーサンプル2〜4は、UF樹脂単独(米国オハイオ州コロンバスのヘキソンスペシャリティーケミカルズからのSU−100またはFG−472X)を含む。これら対照サンプルは、如何なるラテックスポリマー改質剤も含んでいないUF樹脂の特性を示す。
【0075】
実施例9:脱脂ダイズ粉体の水性スラリーの製造
スラリーの全重量を基準にして20%の脱脂ダイズ粉体を含む安定な水性ダイズ粉体スラリーが、他に示されない限り、実施例13−14において使用される。ここで使用された水性ダイズ粉体スラリーは、43ミクロンメッシュ粒子サイズ(325メッシュ)に相当するもの以下の粒子サイズのダイズ粉体を使用し、このスラリーは、スラリーの全重量のパーセンテージとしてポリマー系活性成分の重量を基準にして、1〜2%の水溶性ポリマー、例えば、アキュゾル商標420Nの存在下で、カウレス溶解装置での高剪断混合によって形成される。アキュゾル商標420Nは、ローム・アンド・ハース・カンパニー(米国ペンシルベニア州フィラデルフィア)から入手可能である。アキュゾルは、ローム・アンド・ハース・カンパニー(米国ペンシルベニア州フィラデルフィア)の商標である。この種のスラリーは、沈降に対して安定であり、使用するために便利である粘度、約400〜600cpsを有し、そして最小粘度ドリフトを有する。
【0076】
実施例10:脱脂ダイズ粉体を変性させるための手順
添加すべき水分非含有ダイズ粉体のそれぞれ100グラムについて、250mLの水中に、1.25gの亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)を溶解させることによって、約54パーセントのタンパク質、30パーセントの炭水化物、6パーセントの灰分および10パーセントの水分を含有する脱脂ダイズ粉体の水性スラリーを製造した。次いで、このpHを、50%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液によって中性にまで調節した。この溶液を50℃に加熱し、50℃で維持し、続いて、1.0gのBYKキミー(Chemie)USA(米国コネチカット州ウォーリングフォード)から入手可能なByk024を添加した。次いで、100グラムの乾燥ダイズ粉体を、激しく撹拌しながらゆっくり添加し、粘稠であるが滑らかで均質なスラリーになった。この場合も、使用したダイズ粉体は、43ミクロンメッシュ粒子サイズ(325メッシュ)に相当するもの以下の粒子サイズを有している。
【0077】
ダイズタンパク質を変性させるための代替方法を、水酸化ナトリウム溶液単独を使用してまたは炭酸ナトリウムを使用して検討した(表2参照)。しかしながら、取扱いの容易さのために、水酸化ナトリウムと亜硫酸水素ナトリウムとの組合せが好ましい。
【0078】
多塩基性カルボン酸、酸無水物またはこれらの塩の添加を意図する実施形態のために、無水クエン酸(11.1グラム)を、脱脂ダイズ粉体(100.0グラム)と共に同じ容器の中に秤量し、次いでこの乾燥混合物を、加熱した水浴中に固定した、撹拌した水に添加する。手順は、その他の点は上述の通りである。この実施形態は、また、前記の実施例9に記載された水性ダイズ粉体スラリーで使用するために、そこで使用された手順および多塩基性カルボン酸(または酸無水物またはこれらの塩)の対応する比を使用して適合させることもできる。
【0079】
実施例11:ガラスマット製造手順および試験手順
下記の実施例において使用するマットを製造するために、ガラス繊維不織ハンドシートを、ジョンズマンヴィル(Johns Manville)137標準、3.2cm(1.25インチ)長さのサイズのガラスチョップで、シート当たり約7.6グラムのガラス繊維(0.82kg/9.3平方メートル;1.8ポンド/100平方フィート)を使用して製造する。このガラス繊維を、スーパーフロック(SUPERFLOC商標)A−1883RS(サイテックインダストリーズインコーポレーティド(Cytec Industries Incorporated)米国ニュージャージー州ウエストパターソン)、アニオン性ポリアクリルアミド油中水型エマルジョンおよびローダミーン(RHODAMEEN商標)VP−532 SPB(ローディアケミカルカンパニー(Rhodia Chemical Company)、米国ニュージャージー州クランバリー)、エトキシ化脂肪アミンカチオン性分散剤を使用して、水中に分散させる。ハンドシートは、ウィリアムス(Williams)(ウィリアムスアパレタスカンパニー(Williams Apparatus Company)、米国ニューヨーク州ウォータータウン)ハンドシート型内で形成する。濡れたシートを真空ステーションに移して、脱水する。下記の水性バインダー組成物を製造し、それぞれを、脱水したシートに適用し、過剰分を真空除去する。このシートを、強制空気オーブン内で、200℃で2.5分間乾燥/硬化させる。サンプル上のバインダー量は、21%LOI(強熱減量)である。
【0080】
LOI(強熱減量)の決定
乾燥し/硬化したガラス繊維マットの6.4cm×7.6cm(2.5インチ×3インチ)試験片を切りだした。このサンプルを秤量し、次いでマッフル炉内に650℃で2分間置いた。このサンプルを取り出し、次いで再秤量した。LOI%を、以下の式を用いて計算した:
LOI%=(燃焼前の重量−燃焼後の重量)×100/燃焼前の重量
【0081】
引張強さ試験
ハンドシートを、引張試験のために2.54cm×12.7cm(1インチ×5インチ)ストリップに切断し、引裂試験のために切断する。引張試験は、それぞれのサンプルから7個のストリップについて、トゥイング−アルバート・インテレクト(Thwing−Albert Intellect)500引張試験機(トゥイング−アルバートインスツルメントカンパニー(Thwing−Albert Instrument Co.)、米国ニュージャージー州ウエストベルリン)を使用して、90.7kg(200 lb.)セル、2.54cm/分(1インチ/分)ジョー速度、20%感度および7.6cm(3インチ)隙間で実施する。乾式引張は、準備したストリップで実施する。加熱/湿潤引張強さ試験は85℃で10分間ストリップを水に沈め、次いでストリップを取り出した直後で、ストリップが依然として濡れている間に試験することにより行われた。加熱/乾燥引張試験は、1kNロードセルを備え付け、および−100〜400°F(−73℃〜204℃)の温度範囲能力でジョーを収容するオーブンチャンバーを備え付けた、マサチューセッツ州ノルウッドに本部を置くインストロン(Instron)により製造されるインストロン4201引張試験器を用いて、準備されたストリップについて行われた。引張試験器のオーブンチャンバーは、試験前に302°F(150℃)に予備加熱された。予備加熱後に、ストリップはジョーに取り付けられ、オーブンチャンバーが閉められ、302°F(150℃)に平衡化された。次いで、サンプルは2.54cm/分(1インチ/分)のクロスヘッド速度で、7.6cm(3インチ)隙間で引っ張って分離された。全ての引張値は、ニュートン(N)で報告される。
【0082】
エルメンドルフ引裂強さ試験
エルメンドルフ引裂強さは、6.4cm×7.6cm(2.5インチ×3インチ)である乾燥し/硬化したハンドシートのカットサンプルについて決定される。単層サンプルを、1600g引裂アームを有するトゥイング−アルバート引裂試験機内に置く。サンプルに1.9cm(0.75インチ)カットでノッチを付け、アームを離す。引裂強さは、グラム(グラム力)で記録する。
【0083】
実施例12:迅速スクリーニング試験方法
バインダー配合物を、予備形成されたガラス繊維マット(ジョンズマンヴィルからの、デュラ−グラス(Dura−Glass登録商標)未結合HECマット3/4K117)に適用することによって迅速試験した。バインダーを典型的に8%〜13%の浴固形分に作り、ステンレススチールトレー内に注ぎ、予備形成されたガラス繊維マットは28cm×33cm(11インチ×13インチ)の寸法を有するシートに切り出される。次いで、この予備形成されたマットを、ちょうど表面の下が、バインダーによって完全に濡れるまで、バインダー浴中に浸漬させる。次いで、染み込ませたマットを真空ステーションに移し、前記のハンドシートに対するものと同様の方式で過剰のバインダーを真空で引く。次いで、このマットを硬化させ、前記のハンドシート製造方法に記載されたようにして試験する。
【0084】
表2および3に示された組成物およびデータのみが、ここに記載された迅速スクリーニング試験方法によって検討される。全ての他の組成物およびデータは、実施例11に記載されたようにして製造され、試験される。
【0085】
実施例13:迅速スクリーニング試験によるダイズコンポジットの比較
表2および3におけるサンプルが、実施例12の迅速スクリーニング試験方法によって調製された。
【0086】
【表2】

1.20重量%水性スラリーまたは溶液。
2.示されている場合、量は、ダイズ粉体の乾燥重量基準の、固体水酸化ナトリウム(NaOH)または炭酸ナトリウム(NaCO)の重量パーセントに基づき;量が示されていない場合には、NaOHは8.0のスラリーpHを達成するために添加される。
3.全てのスラリーは、最初に、ベンチトップ機械式攪拌機で、安定な渦を達成するための高速で混合することによって製造された;さらに、示されている場合、「ダイズ加熱処理」は、さらに65℃で30分間加熱されたダイズスラリーを指し、「一緒に加熱処理」は、「バインダー」の全ての成分(ダイズおよびリグノスルホナート)が一緒に混合され、次いで65℃で30分間加熱することによって一緒に加熱処理されたものを指す。
4.エマルジョンコポリマー、ポリマーAは、EA/MMA/(5%以下の)MOAであり、ポリマーBは、MMA/(5%以下の)MOAおよびMAAである。コポリマー改質剤の量は、一緒にしたダイズ/コポリマーバインダー固形分を基準にしたポリマー固形分の重量パーセンテージとして(括弧内に)示される。
5.SU−100およびFG−472Xは、米国オハイオ州コロンバスのヘキソンスペシャリティーケミカルズから入手可能な、市販の、尿素−ホルムアルデヒド(UF)樹脂バインダーである。
6.ダイズ7Bは、使用前に43ミクロン(325メッシュ)に通してさらにロタップされた、アーチャーダニエルズミッドランドカンパニー(米国イリノイ州ディケーター)から入手可能な、ニュートリソイ(Nutrisoy)7B、脱脂ダイズ粉体(100メッシュ相当の135ミクロンとして供給される;80−90PDI)である。
7.リグノスルホナートARBO A02およびARBO S01は、テンベク(Tembec)(カナダ国ケベック州テミスカミング)から得られた、それぞれ、リグノスルホナートのアンモニウム塩およびナトリウム塩である。
【0087】
【表3】

1.バインダー/改質剤の表記および添加剤、製法、および硬化条件は表2におけるのと同じである。
2.丸括弧内の引裂および引張データは21%のターゲットLOIに正規化した実験値を示す。
【0088】
コンポジットサンプル1〜3(表2)は、商業的UF樹脂、SU−100およびFG−472Xが、ガラスマットコンポジット中にバインダーとして使用されるとき、バインダーとしてデンプン粉体を使用して達成される特性に匹敵する、同様の引裂および乾燥引張特性を示すことを示している。
【0089】
サンプル5(ダイズ7B)は、バインダー中におけるダイズ7Bの使用が、コンポジットの引裂強さを有意に上昇させる(約2倍)ことができるが、乾燥引張強さにおける有意な低下を伴う(サンプル5:サンプル1〜4の引裂強さの約半分、を参照)ことを示している。サンプル6は、ダイズ7Bを水酸化ナトリウムによって中和する場合(例えば、サンプル6)、引張強さにおける低下が本質的に回復されるが、引裂強さの大部分は保持されることを示している。しかしながら、炭酸ナトリウムによる中和は、乾燥引張強さにおける低下を回復させることに有効でない(サンプル7)。
【0090】
サンプル10〜12は、リグノスルホナートが単独のバインダーであるコンポジットが、一般的に低い引張強さを有することを示している。50/50ダイズ:リグノスルホナートバインダーの使用は、サンプル13〜18で検討されている。この組合せから良好な引裂強さがもたらされるけれども、乾燥引張強さは、現在の市販のUF樹脂バインダーを含有するコンポジットと比較して不足している。
【0091】
サンプル19〜23は、ダイズおよびリグノスルホナートバインダー系に、バインダーの少量成分として添加されるエマルジョンコポリマーの使用を示している。このデータは、特性の有利なバランスを得るために、アクリルエマルジョンコポリマーを、これらの系におけるバインダー改質剤として使用できることを示している。
【0092】
実施例14:ガラスマット上でのダイズコンポジットの機械的特性
この実施例および表4−9におけるデータは実施例11の手順に従う。
【0093】
【表4】

1.プロリア(Prolia商標)200/70(カーギルインコーポレーティド(Cargill,Inc.)、ミネソタ州ミネアポリス)から、200メッシュ(74ミクロン)および70のPDIとして供給された脱脂ダイズ粉体)、ボールミル粉砕して、325(43ミクロン)メッシュの粒子サイズを得た。
2.1〜4のハンマーミル粉砕したサンプルは、使用可能なマットを作らなかった(付着量またはLOIが高すぎ、さらに、ダイズ分散物中の塊になった粒子のために、シート上に縞が発生する)。(縞の無い)適切なハンドシートコンポジットを作るために十分に小さい粒子サイズを有するダイズ分散物を得るためにボールミル粉砕。
3.サンプル1において、70PDIボールミル粉砕したサンプルは、塊を粉々に砕くために、カウレス高剪断ミキサーで粉砕しなくてはならなかった。
4.43ミクロン(325メッシュ)までボールミル粉砕された、アーチャーダニエルズミッドランドカンパニー(Archer Daniels Midland Company)(イリノイ州ディケーター)から入手可能な、ニュートリソイ7B、脱脂ダイズ粉体(135ミクロン(100メッシュ);80−90PDI)。
5.20重量%のダイズ/コポリマーバインダー合計固形分での、実施例1に記載したエマルジョンコポリマー、さらに、架橋剤として、エマルジョンコポリマーの酸含有量基準で0.65当量のトリエタノールアミン(TEA)を含有する。
6.ダウケミカルカンパニー(ミシガン州ミッドランド)からの、商業的スチレン−ブタジエン樹脂、ダウ6620。
【0094】
上記の表4(サンプル1および2)に示されるように、エマルジョンコポリマー改質剤の不存在下で、ダイズの2つの由来は、コンポジットの引裂強さおよび乾燥引張強さにおいて目立った差を生じさせない。特に、引張強さは、両方のサンプルにおいて不足している。ダイズ/コポリマーバインダー合計固形分の20%固形分の量で存在するように添加されたコポリマー改質剤は、得られるコンポジット(サンプル3および4)の乾燥引張強さを大きく改良する。従って、サンプル2と3(または2と4)の比較は、エマルジョンポリマーが、ガラスコンポジットマットにおけるダイズバインダーの特性を有意に改良できることを示している。
【0095】
【表5】

1.ダイズ粉体はプロリア200/70である(表4脚注1を参照)。
2.サンプル1〜5において、バインダーpHは6.7である。サンプル6〜10は、水酸化ナトリウム溶液を使用して8.0のpHに調節した。
3.実施例1からの改質剤は、ダイズ/コポリマーバインダー合計固形分の20重量%で添加される。サンプル4、5および10において、添加したグリセロールの量は、エマルジョンコポリマー中の酸の当量基準の当量数である。サンプル2および8は、サンプル4、5および10のためのラテックス非含有対照であり、ここで、グリセロールの量は全スラリー固形分基準で2%固形分であり、これはラテックス含有サンプルにおいて使用されるものに等しい固形分重量である。
4.括弧内の引裂および引張データは、21%の目標LOIに対して正規化した実験値である。
【0096】
実験的に得られたLOIは、pH6.7で得られたデータとpH8.0で得られたデータとの間のように、表5において僅かに変化している。21%の目標LOIに対して等価であるように正規化したデータ(即ち、等しいバインダー付着量を比較する)は、架橋剤としてのグリセロールの添加が、何れのpHでも、ダイズが単独のバインダーであるコンポジットについての機械的特性に非常に僅かな影響しか有さず、ダイズ/コポリマーバインダーシステムを含有するコンポジットにおける引張強さを低下さえし得ることを示している。
【0097】
表5に示されるように(サンプル6および7対サンプル1の比較)、より高いpHは、ダイズが単独のバインダーであるコンポジットの機械的特性にポジティブな影響を有するが、ダイズ/コポリマーバインダーシステムを含有するコンポジットにおいては、この場合も先の場合と同様に、引張強さを低下させる(サンプル9対サンプル3を比較されたい)。
【0098】
【表6】

1.このダイズ粉体は、サンプル1〜6において74ミクロン粒子サイズ(200メッシュ)およびサンプル7〜8において135ミクロン(100メッシュ)として供給され、次いで、43ミクロン粒子サイズ(325メッシュ)までボールミル粉砕された脱脂ダイズ粉体である。
2.実施例10に記載されたようにして、ダイズ材料を、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)および水酸化ナトリウム(NaOH)と共に、50℃で1時間加熱すること。
【0099】
表6は、ダイズ/コポリマーバインダーが、開始脱脂ダイズ粉体のPDIに無関係にコンポジット材料を製造できることを示している。前記のように、開始脱脂ダイズ粉体はボールミル粉砕された。サンプル8に示されるように、処理の容易性のために、ダイズは亜硫酸水素ナトリウムと共に加熱処理することができ、改良された引裂強さおよび引張強さを生じさせる。
【0100】
【表7】

1.市販のUF樹脂−表2脚注5を参照。
2.90PDI/325は、43ミクロン(325メッシュ)まで粉砕された、脱脂ダイズ粉体プロリア商標90フレークである。
3.ダイズを、前記のように、亜硫酸水素ナトリウムおよび水酸化ナトリウムと共に、50℃で1時間加熱した。
4.エマルジョンコポリマー改質剤は実施例3に記載されている。
【0101】
表7は、本発明のコンポジットの好ましい実施形態についての機械的特性を示し、バインダーとして市販のUF樹脂を含有する対照コンポジットと比較される。
【0102】
【表8】

1.米国オハイオ州コロンバスのヘキソンスペシャリティーケミカルズから入手可能な、ラテックスエマルジョンコポリマーで予備改質された、市販のUF樹脂バインダー。
2.エマルジョンコポリマー改質剤、ポリマーB(表2脚注4を参照)は、コポリマーがUF/コポリマーバインダー合計固形分の5重量%であるように、UF樹脂に添加される。
3.ダイズ粉体はプロリア200/20(表6脚注1に前記されたように、43ミクロンメッシュ粒子サイズ、325メッシュとして使用される)である。
【0103】
サンプル4(表8)は、変性されたダイズバインダーを含有するコンポジットが、望ましい特性バランスを達成できることを示している。UF樹脂を含有する対照コンポジットと比較して、サンプル4は、引張強さをほぼ一致させながら、遙かに優れた引裂強さを示す。バインダー付着量は、サンプル4についてわずかに高い(サンプル1、対照も)けれども、本発明のコンポジットが、UFコンポジットに匹敵する望ましいコンポジットを提供することが明らかである。
【0104】
【表9】

1.このダイズ粉体は前記されている(表6)。
2.このエマルジョンコポリマー改質剤は、実施例3〜7に記載されている。
3.ローム・アンド・ハース・カンパニー(ペンシルベニア州フィラデルフィア)から入手可能な、市販の水溶性ポリアクリル酸熱硬化性樹脂。
4.SU−100は、前記市販のUF樹脂(表2脚注5)である。
【0105】
表9のコンポジットは、本発明の幾つかの好ましい実施形態を例示する。本発明の組成物は、硬化後に可撓性および強さの両方を保持する、安価なコンポジットを提供する。UF樹脂を含有する対照コンポジットと比較して、サンプル1〜4は、引張強さをほぼ一致させながら、遙かに優れた引裂強さを示し、それによって、望ましい特性バランスを有する、一層環境的に優しい製品を提供する。
【0106】
実施例15:還元糖を含む水性ダイズコンポジットからのダイズコンポジット
水性ダイズコンポジットが以下の表10に示されるように製造され、ガラスマット上での、ポリマー改質ダイズコンポジットにおいて添加された還元糖の機械的特性に及ぼす影響を評価した。表10においては、ラテックスポリマー(実施例1−6に記載された方法により製造)は以下の組成を有している:
ラテックスA:60.2BA/23.8STY/15AA/1ALMA;Tg=0℃;44.2%固形分。
ラテックスB:60.2BA/35.8STY/3AA/1ALMA;Tg=3.3℃;46.3%固形分。
ラテックスC:60.2BA/36.8STY/3AA;Tg=2.9℃;45.8%固形分。
ラテックスD:52.3BA/32.7STY/15AA;Tg=11.0℃;46.6%固形分。
【0107】
【表10】

1.バインダー固形分が約35%となるように各配合物に約240gのDI水が添加された。パモリン200(リノール酸、0.76g)が全ての配合物に添加され、脱泡剤として機能する。脱脂ダイズ粉体は粉砕され、325(43ミクロン)メッシュの粒子サイズを得て、ベンチトップ分散装置を用いて配合成分は直接混合された。亜硫酸水素ナトリウム(1.0g)がサンプル11を除く全ての配合物に添加された。
2.ラテックスは、ポリマーおよびダイズ固形分を合わせたもののパーセンテージとして、20重量%のポリマー固形分で存在する。
3.配合物中に存在する場合には、フルクトースを使用するサンプル7を除いて、糖はデキストロースである。
【0108】
ガラスマット製造および機械的特性についての試験手順は実施例11の方法に従う。結果は以下の表11に示される。
【0109】
【表11】

1.バインダー付着量は20%LOI±2%であった。引張データは20%LOIに正規化される。
2.添加剤の%は、ダイズおよび添加剤成分の合計重量のパーセンテージとして、添加剤成分の重量として示される。
【0110】
還元糖、またはグリセロール、または熱発生酸ソース、例えば、硫酸アンモニウムを含まないサンプル1に示されるように(約29Nの加熱−湿潤引張)、ダイズ組成物は多くの場合、加熱−湿潤引張試験において有用な水準の性能を提供することができない。単独の添加剤としてのグリセロールの添加は加熱−湿潤引張強さについてわずかな効果(サンプル2;約43N)を有するのみであり、一方、硫酸アンモニウムの添加は加熱−湿潤引張強さについて顕著な有利な効果を有し(サンプル3;約57N)、およびこの2種の組み合わせはさらに有意な改良を示す(サンプル4、グリセロールと硫酸アンモニウムとの双方を含み;約72Nの加熱−湿潤引張)。還元糖の添加(サンプル5;約57Nの加熱−湿潤引張強さ)は硫酸アンモニウムの効果と同様に有利であり、さらにこの2種類の組み合わせ(サンプル6、デキストロースおよび硫酸アンモニウムの双方を含む;約72N)もやはり、良好な加熱−湿潤引張強さを提供するのに特に有利である。サンプル9〜13は本発明のダイズコンポジットの特性バランスが、ラテックスポリマー組成における可変事項を探索することにより最適化されうることを示す。配合物中に亜硫酸水素ナトリウムを含まないサンプル9は、亜硫酸水素ナトリウムが特性発現に必須の成分ではないことを示し、亜硫酸水素ナトリウムは取り扱いの容易さの(粘度低減をもたらす)ために添加される。
【0111】
本発明のダイズコンポジットは、有意に改良された加熱−乾燥引張強さ、特に、非常に改良された湿潤引張強さをはじめとする機械的特性の良好なバランスを示す。
【0112】
実施例16:アミノ樹脂を含む水性ダイズコンポジットからのダイズコンポジット
水性ダイズ組成物が以下の表12および13に示されるように製造され、ポリマー改質ダイズバインダーにおけるアミノ樹脂のコールドブレンド添加により得られた組成物のガラスマットコンポジットについての加熱−乾燥引張特性に対する影響を評価した。表12においては、ラテックスポリマーAは表10に示されるのと同じ(実施例1〜6について記載される方法によって製造された)ラテックスポリマーAであり、次の組成を有する:
ラテックスA:60.2BA/23.8STY/15AA/1ALMA;Tg=0℃;44.2%固形分。
【0113】
アミノ樹脂を含むダイズコンポジットは、ダイズバインダーの2つのマスターバッチ、すなわち、ダイズマスターバッチ(i)およびダイズマスターバッチ(ii)を用いて配合された。これらマスターバッチは以下の表12に示されるように製造された。
【0114】
【表12】

1.マスターバッチのバインダー固形分が約33%になるようにDI水が各配合物に添加された。このことは、マスターバッチ(i)およびマスターバッチ(ii)において、それぞれ、350.0gおよび339.0gのDI水の添加を必要とした。パモリン200(リノール酸)は脱泡剤として機能する。アキュゾル420Nは49%固形分である。脱脂ダイズ粉体は粉砕されて、325(43ミクロン)メッシュの粒子サイズを得て、そして配合成分はベンチトップ分散装置を用いて直接混合された。
2.ラテックス(44.2%固形分)はポリマーおよびダイズ固形分の合計のパーセンテージとして、20重量%のポリマー固形分で存在する。
3.NaBSは亜硫酸水素ナトリウム(100%固形分)である。
4.糖はデキストロースである(100%固形分)である。
【0115】
この2つのマスターバッチバインダー組成物は、マスターバッチ(i)が還元糖を含むが、マスターバッチ(ii)が還元糖を含まない点でのみ異なる。ダイズマスターバッチバインダーは、以下の表13に示されるように市販のアミノ樹脂とコールドブレンドされた。
【0116】
【表13】

1.DI水の量は、各ブレンドについて、ガラス繊維マット基体への適用の際にほぼ等しい付着量(20%LOI)をもたらすような全固形分量を生じさせるように調節された。
SU−100およびFG−705は両方とも市販の尿素−ホルムアルデヒド(UF)樹脂バインダーであり、60%固形分で供給され、米国オハイオ州コロンバスのヘキソンスペシャリティーケミカルズから入手可能である。FG−705は、ラテックスエマルションコポリマーで改質された予備改質UF樹脂として供給される。
【0117】
ガラスマット製造および加熱−乾燥引張試験手順は実施例11における方法に従う。結果は以下の表14に示される。
【0118】
【表14】

1.組成物は、サンプル8以外は、示される量および種類のUF樹脂とダイズマスターバッチバインダー(i)とをブレンドすることによって、サンプル8については、UF樹脂はダイズマスターバッチバインダー(ii)とブレンドされることによって、表13に示されるように製造される。UF樹脂%はダイズマスターバッチバインダー固形分に対するUF樹脂固形分の重量パーセントである。
【0119】
このデータは、ポリマー改質ダイズ組成物から形成されたコンポジットの加熱−乾燥引張強さが少量のUF樹脂の添加によって増大させられうることを示す。この改良は、ポリマー改質ダイズ組成物が還元糖を含むかどうかにかかわらず同様である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)全バインダーの重量を基準にして2〜45重量パーセントのエマルション(コ)ポリマー;b)全バインダーの重量を基準にして35〜95重量パーセントの、43μm以下の粒子サイズを有する脱脂ダイズ粉体;およびc)全バインダーの重量を基準にして1〜49重量パーセントのアミノ樹脂;を含む水性バインダーを含浸させたガラスまたはポリエステル繊維のランダム集合体を含むコンポジット。
【請求項2】
エマルション(コ)ポリマーがカルボン酸基または無水物基を含み、かつアミノ樹脂が尿素ホルムアルデヒド樹脂である、請求項1に記載のコンポジット。
【請求項3】
エマルション(コ)ポリマーが重合単位として、ポリマーの重量を基準にして0.1〜5重量パーセントの1種以上の多エチレン性不飽和モノマーを含む、請求項1または2に記載のコンポジット。
【請求項4】
水性バインダーが1種以上の還元糖をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンポジット。
【請求項5】
多エチレン性不飽和モノマーがメタクリル酸アリルである、請求項3に記載のコンポジット。
【請求項6】
脱脂ダイズ粉体が変性させられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンポジット。
【請求項7】
還元糖が、フルクトース、グリセルアルデヒド、ラクトース、アラビノース、マルトース、グルコース、デキストロース、キシロースおよびレブロースからなる群から選択される、請求項4に記載のコンポジット。
【請求項8】
水性バインダーが亜硫酸水素ナトリウムまたはピロ亜硫酸ナトリウムをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンポジット。
【請求項9】
水性バインダーが無機酸のアンモニウム塩の1種以上をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコンポジット。
【請求項10】
硬化した請求項1〜9のいずれか1項に記載のコンポジット。
【請求項11】
a)i)エマルションポリマー;ii)全バインダーの重量を基準にして35〜95重量パーセントの、43μm以下の粒子サイズを有する脱脂ダイズ粉体;およびiii)全バインダーの重量を基準にして1〜49重量パーセントの尿素ホルムアルデヒド樹脂;を含む水性バインダーでガラスまたはポリエステル繊維のランダム集合体を処理する工程;並びに
b)基体から過剰なバインダーを除去する工程;
を含む、請求項1のコンポジットを製造する方法。
【請求項12】
ガラスまたはポリエステル繊維のランダム集合体におけるバインダーを硬化または乾燥させる工程を、工程b)の後にさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
フルクトース、グルセルアルデヒド、ラクトース、アラビノース、マルトース、グルコース、デキストロースおよびレブロースからなる群から選択される1種以上の還元糖をバインダーがさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
a)エマルションコポリマーが、全バインダーの重量を基準にして10〜20重量パーセントの濃度で存在する、メタクリル酸アリルで架橋されたスチレン−アクリルポリカルボキシエマルションコポリマーであり;b)脱脂ダイズ粉体が、全バインダーの重量を基準にして60〜75重量パーセントの濃度で存在し;c)アミノ樹脂が、全バインダーの重量を基準にして5〜20重量パーセントの濃度で存在する尿素ホルムアルデヒド樹脂であり;
バインダーが、d)全バインダーの重量を基準にして2〜10重量パーセントのデキストロース;および、e)全バインダーの重量を基準にして0.1〜1重量パーセントの亜硫酸水素ナトリウムまたはピロ亜硫酸ナトリウムをさらに含む;
請求項1に記載のコンポジット。

【公開番号】特開2011−137150(P2011−137150A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−271466(P2010−271466)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】