説明

アミノ置換されたベンゾ(ヘテロ)環式誘導体

本発明は、昆虫、蛛形類動物もしくは線虫を駆除するための化合物Iまたはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、シス/トランス異性体もしくは塩の使用、殺虫上有効量の式Iの化合物を施用することにより、これら害虫の防除およびこれら害虫による攻撃または蔓延から成長段階にある植物を保護する方法、当該化合物を調製する方法、並びに当該化合物を含む組成物に関する。
【化1】


[式中、Aは、5〜7員環であって、1-3個のヘテロ原子を含有し、飽和であるか、部分的にもしくは完全に不飽和であり;R1は、OH、SH、NH2、CN、NO2、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル;C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-ハロアルキルチオ、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C2-C6-アルケニルチオ、C2-C6-アルキニル、C2-C6-アルキニルオキシ、C2-C6-アルキニルチオ、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホキシル、C2-C6-アルケニルスルホニル、C2-C6-アルキニルスルホキシル、C1-C6-アルキルカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C1-C6-アルキルカルボニルオキシであり;R2は、C1-C6-アルキルまたは単環式もしくは二環式の5〜10員芳香族環系であって、1〜4個のヘテロ原子を含んでいてもよく、Aに直接結合しているかまたはO、S、C1-C6-アルキレンもしくはC1-C6-アルキレンオキシ結合を介してAに結合しており、またはAと縮合しており、置換されていてもよく;R3、R4は、H、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルコキシ、C3-C6-シクロアルキルであるか、またはR3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含有する飽和もしくは部分飽和で単環式もしくは二環式の5〜10員環系であるか、または1〜4個の窒素原子を含有する5員のヘタリールであって、環系中の炭素および/または窒素原子は置換されていてもよく、あるいは置換されていてもよいフェニルまたはベンジルであるか;またはR3およびR4は一緒になって、-(CH2)2N+(O-)(CH2)2-鎖または-(CH2)3N+(O-)(CH2)2-鎖を形成し;mは0〜4であり;nは、0〜4である]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫、蛛形類動物もしくは線虫を駆除するための式Iで表されるアミノ置換されたベンゾ(ヘテロ)環式誘導体、またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、シス/トランス異性体もしくは塩の使用に関する。
【化1】

【0002】
[式中、
Aは、5〜7員環であって、炭素原子の他に、酸素、硫黄および窒素の群からそれぞれ選択される1-3個のヘテロ原子を含んでいてもよく、飽和であるか、部分的にもしくは完全に不飽和であってもよく;
R1は、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-ハロアルキルチオ、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C2-C6-アルケニルチオ、C2-C6-アルキニル、C2-C6-アルキニルオキシ、C2-C6-アルキニルチオ、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホキシル、C2-C6-アルケニルスルホニル、C2-C6-アルキニルスルホキシル、(C1-C6-アルキル)カルボニル、(C1-C6-アルコキシ)カルボニルまたは(C1-C6-アルキル)カルボニルオキシであり;
R2は、C1-C6-アルキルまたは単環式もしくは二環式で5〜10員の芳香族環系であり、1〜4個のヘテロ原子を含んでいてもよく、Aに直接結合しているかまたは酸素、硫黄、C1-C6-アルキレンもしくはC1-C6-アルキレンオキシ結合を介してAに結合しており、無置換であるか、またはシアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C2-C6-アルケニルオキシ、C2-C6-アルキニルオキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオもしくはC1-C6-ハロアルキルチオからなる群からそれぞれ選択される1〜3個の置換基の任意の組合せで置換されており;
R3、R4はそれぞれ独立して、水素、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルコキシまたはC3-C6-シクロアルキルであるか、または、
R3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素および酸素から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む、飽和もしくは部分飽和で単環式もしくは二環式の5〜10員環系または1〜4個の窒素原子を含む5員ヘタリールを形成し、ここで飽和、部分飽和、もしくは芳香環中の炭素および/または窒素原子は、無置換であるかまたはアミノ、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、C1-C6-アルコキシ、C2-C6-アルケニルオキシ、C2-C6-アルキニルオキシ、C1-C6-アルキルチオ、C2-C6-アルケニルチオ、C2-C6-アルキニルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、C2-C6-アルケニルアミノ、C2-C6-アルキニルアミノ、C1-C6-ヒドロキシアルキル、ヒドロキシカルボニル-C1-C4-アルキル、(C1-C6-アルコキシ)カルボニル-C1-C4-アルキル、(C1-C6-アルキル)カルボニル-C1-C4-アルコキシ、C3-C6-シクロアルキル(直接またはC1-C6-アルキル結合を介して結合している)、およびC5-C8-シクロアルケニル、あるいは
シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C2-C6-アルケニルオキシ、C2-C6-アルキニルオキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオもしくはC1-C6-ハロアルキルチオによって置換されていてもよいフェニルまたはベンジルから選択される1〜4個の基の任意の組合せによって置換されており;または
R3とR4は一緒に、-(CH2)2N+(O-)(CH2)2-鎖または-(CH2)3N+(O-)(CH2)2-鎖を形成し;
mは、0、1、2、3または4であり;
nは、0、1、2、3または4である]
【背景技術】
【0003】
今日利用可能である市販の殺虫剤、蛛形類動物(ダニ)駆除剤および殺線虫剤が存在するにもかかわらず、成長段階の作物および収穫した作物への昆虫、蛛形類動物および線虫がもたらす被害は依然として起こっている。したがって、新規な殺虫剤、蛛形類動物(ダニ)駆除剤および殺線虫剤を開発することは依然として必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の目的は、昆虫、蛛形類動物もしくは線虫の防除、ならびに成長段階にある植物を昆虫、蛛形類動物もしくは線虫による攻撃または蔓延から保護する新規な殺虫性組成物、新規な化合物をおよび新規な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、これらの目的が式Iの化合物によって達成されることを見出した。さらに本発明者らは、式Iの化合物の製造方法およびそれらを含む組成物を見出した。
【0006】
式Iの化合物の一部は、とりわけJ. Med. Chem. 26, 935 (1983), J. Med. Chem. 38, 4380 (1995), Eur. J. Med. Chem. 23, 173 (1988), DE-A 2 135 458, EP-A 745 597およびUS 5,780,470に記載されている。しかしながら、式Iで表される化合物の殺虫、蛛形類動物(ダニ)駆除または殺線虫の活性は、まだ知られていない。
【0007】
置換様式に依存して、式Iの化合物は、1つ以上のキラル中心を含み得、その場合にはエナンチオマーまたはジアステレオマー混合物として存在する。さらに式Iの化合物は、幾何学的なシス/トランス異性体となり得る。発明の要旨は、これらの混合物を含む組成物だけでなく、純粋なエナンチオマーまたはジアステレオマーを含む組成物でもある。
【0008】
式Iの化合物の調製により、該化合物を異性体混合物として入手することができる。必要に応じて、かかる化合物を、この目的のために結晶化またはクロマトグラフィー、さらに光学活性吸着質を用いるなどの従来法による分割により、純粋な異性体を得ることができる。
【0009】
化合物Iの農学的に許容される塩は、その遊離化合物Iと比較して殺虫作用に悪影響を及さないものである。
【0010】
置換基R1〜R4に対して言及した有機部分、ならびにフェニル環またはヘテロ環上の基としての有機部分は、例えばハロゲンのように、個々の基メンバーの個々の列挙に対する総称である。全ての炭素鎖、即ち、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、アルケニルおよびアルキニル部分の全てが、直鎖または分岐であってもよい。特に示されない限り、ハロゲン化された置換基は、置換基に1〜5個の同一または異なるハロゲン原子が結合している。
【0011】
個々の意味は例えば:
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0012】
本明細書中で用いられる用語「アルキル」は、1〜8個の炭素原子を有する分岐のもしくは分岐のない飽和炭化水素基をいい、例えばメチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2、2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピルおよび1-エチル-2-メチルプロピルなどのC1-C6-アルキルである。
【0013】
本明細書中で用いられる用語「ハロアルキル」は、1〜6個の炭素原子(上記のような)を有する直鎖または分岐のアルキル基であって、該アルキル基の水素原子の一部または全部が、上記のようなハロゲン原子で置換されていてもよい基をいい、例えばクロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-クロロエチル、1-ブロモエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチルおよびペンタフルオロエチルなどのC1-C2-ハロアルキルである。
【0014】
「アルキルアミノ」は、窒素結合を介して結合した1〜6個の炭素原子(上記のような)を有する直鎖または分岐のアルキル基をいう。
【0015】
同様に、「アルコキシ」および「アルキルチオ」は、アルキル基中の任意の結合で、酸素もしくは硫黄結合をそれぞれ介して結合した1〜6個または1〜8個の炭素原子(上記のような)を有する、直鎖または分岐のアルキル基をいう。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、およびn-ブチルチオがある。
【0016】
本明細書中で用いられる用語「アルケニル」は、2〜6個の炭素原子および任意の位置にある二重結合を有する、分岐のまたは分岐のない不飽和炭化水素基を意味し、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチル-エテニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル;1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-メチル-1-ブテニル、2-メチル-1-ブテニル、3-メチル-1-ブテニル、1-メチル-2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-メチル-3-ブテニル、2-メチル-3-ブテニル、3-メチル-3-ブテニル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、1,2-ジメチル-1-プロペニル、1,2-ジメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-プロペニル、1-エチル-2-プロペニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-メチル-1-ペンテニル、2-メチル-1-ペンテニル、3-メチル-1-ペンテニル、4-メチル-1-ペンテニル、1-メチル-2-ペンテニル、2-メチル-2-ペンテニル、3-メチル-2-ペンテニル、4-メチル-2-ペンテニル、1-メチル-3-ペンテニル、2-メチル-3-ペンテニル、3-メチル-3-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-メチル-4-ペンテニル、2-メチル-4-ペンテニル、3-メチル-4-ペンテニル、4-メチル-4-ペンテニル、1,1-ジメチル-2-ブテニル、1,1-ジメチル-3-ブテニル、1,2-ジメチル-1-ブテニル、1,2-ジメチル-2-ブテニル、1,2-ジメチル-3-ブテニル、1,3-ジメチル-1-ブテニル、1,3-ジメチル-2-ブテニル、1,3-ジメチル-3-ブテニル、2,2-ジメチル-3-ブテニル、2,3-ジメチル-1-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-3-ブテニル、3,3-ジメチル-1-ブテニル、3,3-ジメチル-2-ブテニル、1-エチル-1-ブテニル、1-エチル-2-ブテニル、1-エチル-3-ブテニル、2-エチル-1-ブテニル、2-エチル-2-ブテニル、2-エチル-3-ブテニル、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-メチル-2-プロペニル、1-エチル-2-メチル-1-プロペニルおよび1-エチル-2-メチル-2-プロペニルである。
【0017】
本明細書中で用いられる用語「アルキニル」は、少なくとも1個の三重結合を含有する分岐のまたは分岐のない不飽和炭化水素基をいい、例えばエチニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニルなどである。
【0018】
アリール:単環式もしくは二環式で5〜10員の芳香族環系をいい、例えばフェニルまたはナフチルである。
【0019】
ヘタリール: 酸素、硫黄および窒素から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員ヘテロ芳香族環系であって、1〜4個の窒素原子を含有する5員ヘタリール(例えば、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、およびテトラゾリルなど)であるか;または1〜4個の窒素原子あるいは1〜3個の窒素原子および1個の硫黄もしくは酸素原子を含有する5員ヘタリール(例えばフリル、チエニル、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、およびテトラゾリル)であるか;または
1〜4個の窒素原子あるいは1〜3個の窒素原子および1個の硫黄もしくは酸素原子を含有する5員ヘタリール(ここで2個の隣接する環炭素原子または1個の窒素原子および隣接する炭素原子がブタ-1,3-ジエン-1,4-ジイルで架橋され得る)であるか;または
1〜4個の窒素原子あるいは1〜3個の窒素原子および1個の硫黄もしくは酸素原子を含有する6員ヘタリール(例えば2-ピリジニル、3-ピリジニル、4-ピリジニル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、2-ピラジニル、1,3,5-トリアジン-2-イルおよび1,2,4-トリアジン-3-イル)をいう。
【0020】
窒素および酸素から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する、飽和もしくは部分飽和で単環式もしくは二環式の5〜10員環系は、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピロリジン、ピペラジン、ホモピペラジン、モルホリン、およびピペリジンなどの窒素および酸素から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する飽和で単環式の5〜7員環系であるか;または
例えば、1,4-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン、2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、および2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどの、窒素および酸素から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する飽和で二環式の7〜10員環系を意味する。
【0021】
C3-C6-シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを意味する。
【0022】
本明細書中で用いられる「塩」は、マレイン酸、ジマレイン酸、フマル酸、ジフマル酸、メタンスルフェン酸、メタンスルホン酸、およびコハク酸と化合物Iとの付加物である。付加塩形成体には、塩化物、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、水素化物、および水酸化物が含まれる。望ましい塩は、マレイン酸、ジマレイン酸、フマル酸、ジフマル酸、およびメタンスルホン酸と化合物Iとの付加物である。
【0023】
農薬としての化合物Iの新規な用途を視野に入れて、その可変部分(基)は、それぞれの場合において、それ自体または組合せにおいて以下の意味を有することが好ましい:
Aは、5〜7員環であって、炭素原子の他に、1個の酸素または硫黄原子を含んでいてもよく、飽和であるか、またはフェニルおよびヘテロアリールのように部分的に不飽和、または完全に不飽和であってもよく;
特に、炭素原子の他に1個の酸素または硫黄原子を含有してもよい飽和の5〜7員環であり;
R1は、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-アルキルチオまたはC1-C6-ハロアルキルチオ、特にフッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルチオまたはトリフルオロメチルチオであり;
R2は、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルチオまたはC1-C6-ハロアルキルチオで置換されたフェニルであり、
特に、フッ素、塩素、C1-C4-アルキル、トリフルオロメチル、C1-C4-アルキルチオまたはトリフルオロメチルチオで置換されたフェニルであり;
mは、0、1、2、3または4、特に1であり;
nは、0、1、2、3または4、特に0または1である。
【0024】
本発明に有用な化合物は、合成有機化学者にとって一般的に公知な技術を用いて容易に合成することが可能である。代表的な合成法は上記文献に記載されている。
【0025】
環Aが飽和環である式Iの化合物(化合物Ia)は有利にも、上記文献に記載の1段階ヒドロアミノ化法により対応する二環式ケトンIIから始めて調製することができる。この反応では、二環式ケトンを、シアノホウ水素化ナトリウムなどの還元剤の存在下、不活性溶媒(有利にはアルコール)中、20〜130℃の温度にて対応するアミンと反応させる。
【化2】

【0026】
環Aがアミン置換基の位置で二重結合を含有している式Iの化合物(化合物Ib)は、Lewis酸(有利にはTiCl4)の存在下、不活性溶媒(有利にはトルエンまたはキシレン)中、20〜150℃の温度にて、対応するケトンIIと対応するアミンとの反応によって1段階で調製可能である。
【化3】

【0027】
環Aが芳香族のまたはヘテロ芳香族環である式Iの化合物(化合物Ic)は有利にも、触媒量の好適なアリールホスフィン、例えばトリフェニル-またはトリス-o-トリル-ホスフィン、およびPd-アセテートもしくはテトラキスフェニルパラジウムのようなPd触媒の存在下、あるいは公知のBuchwald Pd触媒(J. Am. Chem. Soc. 121, 4369 (1999)を参照のこと)と一緒に、トルエンなどの不活性溶媒中、20〜150℃の温度において、対応するアミンとの反応によって対応する二環式のブロミドもしくはクロリドIIIから出発して調製可能である。
【化4】

【0028】
環AがNR3R4を有するアミジン構造を形成している式Iの化合物(化合物Id)は有利にも、TiCl4などのLewis酸の存在下、トルエンまたはキシレンなどの不活性溶媒中、20〜130℃の温度において、対応するアミンと反応することによって、対応する二環式のアミドIVから始めて、自体公知の方法で調製することができる。
【化5】

【0029】
式IIの二環式ケトンは、文献(J. Org. Chem. 50(24), 4933 (1985); J. Am. Chem. Soc. 75, 1891 (1953); J. Chem Soc., 4797 (1961); Arch. Pharmaz. 308, 94 (1975); J. Org. Chem. 55, 3537 (1990); J. Med. Chem. 14, 90 (1971); J. Am. Chem. Soc. 76, 1641 (1954); J. Org. Chem. 23, 344 (1958); Synthetic Comm. 21, 981 (1991); J. Org. Chem. 55, 4822 (1990); J. Med. Chem. 28, 1817 (1985))において公知であるか、または公知の手順にて調製可能である。
【0030】
二環式芳香族臭化物または塩化物は商業的に利用可能であるか、または上記文献にて記載されている周知化合物である。
【0031】
式Iの化合物は、1つ以上のキラル中心を有していてもよく、その場合には通常、エナンチオマーまたはジアステレオマー混合物として得られる。必要に応じて、混合物は、従来の方法、例えば結晶化または光学活性吸着質でのクロマトグラフィーを用いて本質的に純粋な異性体に分割することができる。例えば、純粋な光学活性異性体は対応する光学活性な出発物質からも調製可能である。
【0032】
塩基性の窒素を含有する化合物Iは、自体公知の方法で酸付加塩に変換することができる。
【0033】
反応混合物は、慣用の方法、例えば水との混合、相分離、および必要であれば粗生成物のクロマトグラフィー精製により後処理される。ある場合には、中間体および最終生成物を無色または淡褐色の粘稠オイルの形態で得、これを精製するか、あるいは減圧下且つ適度に高い温度で揮発性成分を除去する。中間体および最終生成物が固体として得られる場合は、それらを再結晶または消化(digestion)により精製することも可能である。
【0034】
個々の化合物Iが上記の経路で得られない場合には、他の化合物Iの誘導体化、または上記合成経路の慣用な変更により製造できる。
【0035】
式Iの化合物の調製により、それらが異性体混合物として得られるようにしてもよい。必要に応じて、これらは、結晶化またはクロマトグラフィーさらに光学活性吸着剤を用いるなど、この目的のために慣用とされる方法で分割して、純粋な異性体を得ることができる。
【0036】
化合物Iの農学的に許容される塩は、従来の方法、例えば目的のアニオンの酸との反応によって形成することができる。
【0037】
アミノ置換されたベンゾ(ヘテロ)環式誘導体Iならびにその純粋なエナンチオマー、ジアステレオマー、シス/トランス異性体および塩は、作物保護における昆虫、蛛形類動物および線虫の効果的な防除に好ましい農薬として好適である。
【0038】
特に、化合物Iは、下記の害虫を防除するために好適である。
【0039】
鱗翅目(Lepidoptera)の昆虫、例えば、Agrotis ypsilon、Agrotis segetum、Alabama argillacea、Anticarsia gemmatalis、Argyresthia conjugella、Autographa gamma、Bupalus piniarius、Cacoecia murinana、Capua reticulana、Cheimatobia brumata、Choristoneura fumiferana、Choristoneura occidentalis、Cirphis unipuncta、Cydia pomonella、Dendrolimus pini、Diaphania nitidalis、Diatraea grandiosella、Earias insulana、Elasmopalpus lignosellus、Eupoecilia ambiguella、Evetria bouliana、Feltia subterranea、Galleria mellonella、Grapholitha funebrana、Grapholitha molesta、Heliothis armigera、Heliothis virescens、Heliothis zea、Hellula undalis、Hibernia defoliaria、Hyphantria cunea、Hyponomeuta malinellus、Keiferia lycopersicella、Lambdina fiscellaria、Laphygma exigua、Leucoptera coffeella、Leucoptera scitella、Lithocolletis blancardella、Lobesia botrana、Loxostege sticticalis、Lymantria dispar、Lymantria monacha、Lyonetia clerkella、Malacosoma neustria、Mamestra brassicae、Orgyia pseudotsugata、Ostrinia nubilalis、Panolis flammea、Pectinophora gossypiella、Peridroma saucia、Phalera bucephala、Phthorimaea operculella、Phyllocnistis citrella、Pieris brassicae、Plathypena scabra、Plutella xylostella、Pseudoplusia includens、Rhyacionia frustrana、Scrobipalpula absoluta、Sitotroga cerealella、Sparganothis pilleriana、Spodoptera frugiperda、Spodoptera littoralis、Spodoptera litura、Thaumatopoea pityocampa、Tortrix viridana、Trichoplusia niおよびZeiraphera canadensis。
【0040】
甲虫(Coleoptera)、例えば、Agrilus sinuatus、Agriotes lineatus、Agriotes obscurus、Amphimallus solstitialis、Anisandrus dispar、Anthonomus grandis、Anthonomus pomorum、Atomaria linearis、Blastophagus piniperda、Blitophaga undata、Bruchus rufimanus、Bruchus pisorum、Bruchus lentis、Byctiscus betulae、Cassida nebulosa、Cerotoma trifurcata、Ceuthorrhynchus assimilis、Ceuthorrhynchus napi、Chaetocnema tibialis、Conoderus vespertinus、Crioceris asparagi、Diabrotica longicornis、Diabrotica 12-punctata、Diabrotica virgifera、Epilachna varivestis、Epitrix hirtipennis、Eutinobothrus brasiliensis、Hylobius abietis、Hypera brunneipennis、Hypera postica、Ips typographus、Lema bilineata、Lema melanopus、Leptinotarsa decemlineata、Limonius californicus、Lissorhoptrus oryzophilus、Melanotus communis、Meligethes aeneus、Melolontha hippocastani、Melolontha melolontha、Oulema oryzae、Ortiorrhynchus sulcatus、Otiorrhynchus ovatus、Phaedon cochleariae、Phyllotreta chrysocephala、Phyllophaga sp.、Phyllopertha horticola、Phyllotreta nemorum、Phyllotreta striolata、Popillia japonica、Sitona lineatusおよびSitophilus granaria。
【0041】
双翅類(Diptera)、例えば、 Aedes aegypti、Aedes vexans、Anastrepha ludens、Anopheles maculipennis、Ceratitis capitata、Chrysomya bezziana、Chrysomya hominivorax、Chrysomya macellaria、Contarinia sorghicola、Cordylobia anthropophaga、Culex pipiens、Dacus cucurbitae、Dacus oleae、Dasineura brassicae、Fannia canicularis、Gasterophilus intestinalis、Glossina morsitans、Haematobia irritans、Haplodiplosis equestris、Hylemyia platura、Hypoderma lineata、Liriomyza sativae、Liriomyza trifolii、Lucilia caprina、Lucilia cuprina、Lucilia sericata、Lycoria pectoralis、Mayetiola destructor、Musca domestica、Muscina stabulans、Oestrus ovis、Oscinella frit、Pegomya hysocyami、Phorbia antiqua、Phorbia brassicae、Phorbia coarctata、Rhagoletis cerasi、Rhagoletis pomonella、Tabanus bovinus、Tipula oleraceaおよびTipula paludosa。
【0042】
アザミウマ(Thysanoptera)、例えば、Frankliniella fusca、Frankliniella occidentalis、Frankliniella tritici、Scirtothrips citri、Thrips oryzae、Thrips palmiおよびThrips tabaci。
【0043】
膜翅類(Hymenoptera)、例えば、Athalia rosae、Atta cephalotes、Atta sexdens、Atta texana、Hoplocampa minuta、Hoplocampa testudinea、Monomorium pharaonis、Solenopsis geminataおよびSolenopsis invicta。
【0044】
異翅類(Heteroptera)、例えば、Acrosternum hilare、Blissus leucopterus、Cyrtopeltis notatus、Dysdercus cingulatus、Dysdercus intermedius、Eurygaster integriceps、Euschistus impictiventris、Leptoglossus phyllopus、Lygus lineolaris、Lygus pratensis、Nezara viridula、Piesma quadrata、Solubea insularisおよびThyanta perditor。
【0045】
同翅類(Homoptera)、例えば、Acyrthosiphon onobrychis、Adelges laricis、Aphidula nasturtii、Aphis fabae、Aphis forbesi、Aphis pomi、Aphis gossypii、Aphis grossulariae、Aphis schneideri、Aphis spiraecola、Aphis sambuci、Acyrthosiphon pisum、Aulacorthum solani、Brachycaudus cardui、Brachycaudus helichrysi、Brachycaudus persicae、Brachycaudus prunicola、Brevicoryne brassicae、Capitophorus horni、Cerosipha gossypii、Chaetosiphon fragaefolii、Cryptomyzus ribis、Dreyfusia nordmannianae、Dreyfusia piceae、Dysaphis radicola、Dysaulacorthum pseudosolani、Dysaphis plantaginea、Dysaphis pyri、Empoasca fabae、Hyalopterus pruni、Hyperomyzus lactucae、Macrosiphum avenae、Macrosiphum euphorbiae、Macrosiphon rosae、Megoura viciae、Melanaphis pyrarius、Metopolophium dirhodum、Myzodes persicae、Myzus ascalonicus、Myzus cerasi、Myzus varians、Nasonovia ribis-nigri、Nilaparvata lugens、Pemphigus bursarius、Perkinsiella saccharicida、Phorodon humuli、Psylla mali、Psylla piri、Rhopalomyzus ascalonicus、Rhopalosiphum maidis、Rhopalosiphum padi、Rhopalosiphum insertum、Sappaphis mala、Sappaphis mali、Schizaphis graminum、Schizoneura lanuginosa、Sitobion avenae、Trialeurodes vaporariorum、Toxoptera aurantiiand、およびViteus vitifolii。
【0046】
シロアリ(Isoptera)、例えば、Calotermes flavicollis、Leucotermes flavipes、Reticulitermes lucifugusおよびTermes natalensis。
【0047】
直翅目(Orthoptera)、例えば、Acheta domestica、Blatta orientalis、Blattella germanica、Forficula auricularia、Gryllotalpa gryllotalpa、Locusta migratoria、Melanoplus bivittatus、Melanoplus femur-rubrum、Melanoplus mexicanus、Melanoplus sanguinipes、Melanoplus spretus、Nomadacris septemfasciata、Periplaneta americana、Schistocerca americana、Schistocerca peregrina、Stauronotus maroccanusおよびTachycines asynamorus。
【0048】
蛛形類、例えばヒメダニ科、マダニ科およびヒゼンダニ科などの蛛形類(Acarina)、例えば Amblyomma americanum、Amblyomma variegatum、Argas persicus、Boophilus annulatus、Boophilus decoloratus、Boophilus microplus、Dermacentor silvarum、Hyalomma truncatum、Ixodes ricinus、Ixodes rubicundus、Ornithodorus moubata、Otobius megnini、Dermanyssus gallinae、Psoroptes ovis、Rhipicephalus appendiculatus、Rhipicephalus evertsi、Sarcoptes scabiei、および Eriophyidae spp. 例えば Aculus schlechtendali、Phyllocoptrata oleivoraおよびEriophyes sheldoni; Tarsonemidae spp. 例えば Phytonemus pallidusおよびPolyphagotarsonemus latus; Tenuipalpidae spp. 例えば Brevipalpus phoenicis; Tetranychidae spp. 例えば Tetranychus cinnabarinus、Tetranychus kanzawai、Tetranychus pacificus、Tetranychus telariusおよびTetranychus urticae、Panonychus ulmi、Panonychus citri、およびoligonychus pratensis。
【0049】
植物寄生性線虫および土壌に生息する線虫を始めとする線虫。植物寄生性線虫としては、例えば 根コブ線虫、Meloidogyne hapla、Meloidogyne incognita、Meloidogyne javanica、その他の Meloidogyne種; シスト形成線虫、Globodera rostochiensisその他の Globodera種; Heterodera avenae、Heterodera glycines、Heterodera schachtii、Heterodera trifolii、その他の Heterodera種; Seed gall 線虫、Anguina種; 幹および葉の線虫、Aphelenchoides種; Sting 線虫、Belonolaimus longicaudatusその他のBelonolaimus種; Pine 線虫、Bursaphelenchus xylophilusその他の Bursaphelenchus種; Ring 線虫、Criconema種、Criconemella種、Criconemoides種、Mesocriconema種; 幹およびbulb 線虫、Ditylenchus destructor、Ditylenchus dipsaciその他のDitylenchus種; Awl 線虫、Dolichodorus種; Spiral 線虫、Heliocotylenchus multicinctusその他の Helicotylenchus種; Sheathおよびsheathoid 線虫、Hemicycliophora種およびHemicriconemoides種; Hirshmanniella種; Lance 線虫、Hoploaimus種; false rootknot 線虫、Nacobbus種; Needle 線虫、Longidorus elongatusその他の Longidorus種; Pin 線虫、Paratylenchus種; Lesion 線虫、Pratylenchus neglectus、Pratylenchus penetrans、Pratylenchus curvitatus、Pratylenchus goodeyi その他の Pratylenchus種; Burrowing 線虫、Radopholus
similisその他の Radopholus種; Reniform 線虫、Rotylenchus robustusその他の Rotylenchus種; Scutellonema種; Stubby root 線虫、Trichodorus primitivusその他の Trichodorus種、Paratrichodorus種; Stunt 線虫、Tylenchorhynchus claytoni、Tylenchorhynchus dubiusその他の Tylenchorhynchus種; Citrus 線虫、Tylenchulus種;Dagger 線虫、Xiphinema種;その他の植物寄生線虫種。
【0050】
化合物Iおよびそれらを含む組成物は、昆虫および線虫の防除に特に有用であり、なかでも昆虫の防除に有効である。
【0051】
さらに、化合物Iおよびそれらを含む組成物は、同翅目、鱗翅目、双翅目、アザミウマ目、および線虫目から選択される害虫の防除に特に有用である。
【0052】
式(I)の化合物は、成長段階にある植物を殺虫上有効な量の式(I)の化合物と接触させることにより、かかる植物を昆虫、蛛形類動物もしくは線虫による攻撃または蔓延から防護するのに使用できる。
【0053】
昆虫、蛛形類動物、線虫、植物および/または植物が成長している土壌もしくは水は、当分野で公知のあらゆる施用方法によって、本発明の化合物または組成物と接触させることができる。したがって、「接触させること」とは、直接的な接触(本化合物/組成物を昆虫、蛛形類動物、線虫、および/または植物(典型的には植物の葉、幹もしくは根に)直接施用する)と、間接的な接触(本化合物/組成物を昆虫、蛛形類動物、線虫および/または植物の存在場所に施用すること)の両者を含む。
【0054】
さらに、昆虫、蛛形類動物もしくは線虫は、標的とする寄生虫/害虫、その食料もしくは存在場所を殺虫上有効量の式(I)の化合物と接触させることにより防除することができる。したがって、施用は、存在場所、成長段階にある作物または収穫した作物に害虫が感染する前または感染した後で行うことができる。
【0055】
「存在場所」とは、害虫または寄生虫が成長する、あるいは成長する可能性がある生息場所、繁殖場所、植物、種子、土壌、地面、材料または環境を意味する。
【0056】
一般に、作物植物を処理するのに使用する場合、本発明の化合物および/または組成物の施用量は、1ヘクタール当たり約0.1g〜約4000g、望ましくは1ヘクタール当たり約25g〜約600g、さらに望ましくは1ヘクタール当たり約50g〜約500gの範囲とすることができる。種子を処理する場合、典型的な施用量は、種子1キログラム当たり約1g〜約500g、望ましくは種子1キログラム当たり約2g〜約300g、さらに望ましくは種子1キログラム当たり約10g〜約200gである。材料の防護における一般的な施用量は、例えば、処理材料1立方メートル当たり約0.001g〜約2kg、望ましくは約0.005g〜約1kgの活性化合物である。
【0057】
化合物Iは、例えば、溶液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、懸濁液、濃厚フロアブル剤、粉塵、粉末、ペーストおよび顆粒などの一般的な製剤に変換することができる。使用形態は、個々の目的に応じて決まる。いずれにしても、本発明による化合物は微細で均一な分布が保証されるべきである。
【0058】
製剤は、公知の方法、例えば、所望により乳化剤および分散剤を使用して、活性成分を溶媒および/または担体で増量することにより調製され、希釈剤として水を用いる場合には、補助溶媒として他の有機溶媒を使用することも可能である。適切な補助剤は、本質的には、芳香族化合物(例えばキシレン)、塩素化芳香族化合物(例えばクロロベンゼン)、パラフィン(例えば鉱油留分)、アルコール(例えばメタノール、ブタノール)、ケトン(例えばシクロヘキサノン)、アミン(例えばエタノールアミン、ジメチルホルムアミド)および水などの溶媒;天然粉砕鉱物(例えばカオリン、粘土、タルク、白亜)および合成粉砕鉱物(例えば高分散シリカ、シリケート)などの担体;非イオン性およびアニオン性乳化剤(例えばポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート)などの乳化剤ならびにリグニン-亜硫酸廃液およびメチルセルロールなどの分散剤である。
【0059】
好適な界面活性剤は、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルスルホネート、脂肪アルコールスルフェートおよび脂肪酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテルの塩、スルホン化ナフタレンおよびナフタレン誘導体とホルムアルデヒドとの縮合物、ナフタレンまたはナフタレンスルホン酸とフェノールまたはホルムアミドとの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグニン-亜硫酸廃液およびメチルセルロースである。
【0060】
そのまま噴霧可能な溶液、エマルジョン、ペーストまたは油性分散液の調製に適する物質は、灯油またはディーゼル油などの中〜高沸点の鉱油留分、さらに、コールタール油および植物性もしくは動物性由来の油、脂肪族、環状および芳香族炭化水素(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレンまたはそれらの誘導体)、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、クロロホルム、四塩化炭素、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、イソホロン、強極性溶媒(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンおよび水)である。
【0061】
粉末、散布用材料および粉塵は、活性物質を固形担体と混合するか、それと一緒に粉砕することにより調製できる。
【0062】
顆粒(例えば、被覆顆粒、圧縮顆粒、含侵顆粒または均一顆粒)は、活性成分を固形担体と結合させることにより調製できる。固形担体の例は、シリカ、シリカゲル、珪酸塩、タルク、カオリン、アタクレイ、石灰石、石灰、白亜、ボール粘土、黄土、粘土、苦灰石、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕合成材料などの鉱物土類、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素などの肥料、および穀物粉、樹皮粉、木粉および堅果粉、セルロースパウダーなどの植物由来の生成物、または他の固形担体である。
【0063】
本発明のそのような製剤または組成物は、1種以上の農学的に許容される不活性で固体または液体の担体と混合した本発明の式Iの化合物(またはその組合せ)を含む。これらの組成物は、殺虫上有効量の上記化合物を含み、その量は、個々の化合物、標的とする害虫および使用方法に応じて変化し得る。
【0064】
一般に、製剤は、0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%の活性成分を含む。活性成分は、90%〜100%、好ましくは95%〜100%(NMRスペクトルによる)の純度で用いられる。
【0065】
以下のものが、代表的な製剤である:
I. 5重量部の本発明による化合物を95重量部の微粉砕カオリンと十分に混合する。こうして、5重量%の活性成分を含む粉塵が得られる。
【0066】
II. 30重量部の本発明による化合物を、92重量部の微粉状シリカゲルと8重量部のパラフィン油(これはこのシリカゲルの表面に吹き付けられている)との混合物と十分に混合する。こうして、良好な付着特性を有する活性成分の製剤が得られる(23重量%の活性成分を含有)。
【0067】
III. 10重量部の本発明による化合物を、90重量部のキシレン、8〜10molのエチレンオキシドと1molのオレイン酸N-モノエタノールアミドとの6重量部の付加物、2重量部のドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよび40molのエチレンオキシドと1molのヒマシ油との2重量部の付加物からなる混合物に溶解する(9重量%の活性成分を含有)。
【0068】
IV. 20重量部の本発明による化合物を、60重量部のシクロヘキサノン、30重量部のイソブタノール、7molのエチレンオキシドと1molのイソオクチルフェノールとの5重量部の付加物、および40molのエチレンオキシドと1molのヒマシ油との5重量部の付加物からなる混合物に溶解する(16重量%の活性成分を含有)。
【0069】
V. 80重量部の本発明による化合物を、3重量部のジイソブチルナフタレン-α-スルホン酸ナトリウム、10重量部の亜硫酸廃液由来のリグノスルホン酸のナトリウム塩、および7重量部の微粉状シリカゲルと十分に混合し、この混合物をハンマーミルで粉砕する(80重量%の活性成分を含有)。
【0070】
VI. 90重量部の本発明による化合物を、10重量部のN-メチル-a-ピロリドンと混合して、微細液滴の形態で使用するのに適する溶液を得る(90重量%の活性成分を含有)。
【0071】
VII. 20重量部の本発明による化合物を、40重量部のシクロヘキサノン、30重量部のイソブタノール、7molのエチレンオキシドと1molのイソオクチルフェノールとの20重量部の付加物、および40molのエチレンオキシドと1molのヒマシ油との10重量部の付加物からなる混合物に溶解する。この溶液を100000重量部の水に注いで、微細に分散させて、0.02重量%の活性成分を含む水性分散液を得る。
【0072】
VIII. 20重量部の本発明による化合物を、3重量部のジイソブチルナフタレン-α-スルホン酸ナトリウム、17重量部の亜硫酸廃液由来のリグノスルホン酸のナトリウム塩、および60重量部の微粉状シリカゲルと十分に混合し、この混合物をハンマーミルで粉砕する。この混合物を20000重量部の水中で微細に分散させることにより、0.1重量%の活性成分を含むスプレー用混合物を得る。
【0073】
活性成分は、そのままで、それらの製剤の形態で、またはそれらから調製した使用形態で、例えば、スプレー、アトマイザー、散粉、散布、または散水によってそのまま噴霧可能な溶液、粉末、懸濁液、または分散液、エマルジョン、油性分散液、ペースト、粉塵、散布用材料、または顆粒の形態で使用することができる。これら使用形態は完全に使用目的に依存するが、いずれの場合にも、本発明による活性成分はできる限り微細に分布することを保証するものとする。
【0074】
水性の使用形態は、エマルジョン濃縮液、ペーストまたは湿潤性粉末(噴霧可能な粉末、油性分散液)から、水を添加することにより調製できる。エマルジョン、ペーストまたは油性分散液を調製するためには、物質を、そのまま、または油もしくは溶媒に溶解して、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤または乳化剤により水にホモジナイズすることができる。あるいはまた、活性物質、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤または乳化剤、および場合によっては溶媒または油からなる濃縮物を調製することが可能であり、そうした濃縮物は、水で希釈するのに適している。
【0075】
そのまま使用される製品中の活性成分の濃度は、かなりの範囲内で様々に変えることができる。一般に、0.0001〜10%、好ましくは0.01〜1%である。
【0076】
また、活性成分は、超微量散布法(ULV)でもうまく使用でき、95重量%を超える活性成分を含む製剤、さらには添加剤なしで活性成分を施用することが可能である。
【0077】
本発明の組成物はまた、他の活性成分、例えば他の農薬、殺虫剤、除草剤、硝酸アンモニウム、尿素、草木灰および過リン酸塩などの肥料、植物毒性剤、および植物成長調節剤、毒性緩和剤および殺線虫剤を含んでいてもよい。これらの追加成分は、上記組成物と逐次的に、または組み合わせて使用することができ、それが適当である場合には、使用直前にのみ添加することもできる(タンク混合)。例えば、植物に、他の活性成分での処理の前または後に、本発明の組成物を噴霧することができる。
【0078】
これらの薬剤は、本発明による薬剤と、1:10〜10:1の重量比で混合することができる。農薬としての使用形態で化合物Iまたはそれらを含む組成物を、他の農薬と混合すると、殺虫活性スペクトルがより広くなる場合が多い。
【0079】
本発明による化合物が一緒に使用できる農薬の下記一覧は、可能性のある組合せを説明するためのものであり、いかなる限定を課すものではない。
【0080】
有機リン系: Acephate、Azinphos-methyl、Chlorpyrifos、Chlorfenvinphos、Diazinon、Dichlorvos、Dicrotophos、Dimethoate、Disulfoton、Ethion、Fenitrothion、Fenthion、Isoxathion、Malathion、Methamidophos、Methidathion、Methyl-Parathion、Mevinphos、Monocrotophos、Oxydemeton-methyl、Paraoxon、Parathion、Phenthoate、Phosalone、Phosmet、Phosphamidon、Phorate、Phoxim、Pirimiphos-methyl、Profenofos、Prothiofos、Sulprophos、Triazophos、Trichlorfon。
【0081】
カルバメート系: Alanycarb、Benfuracarb、Carbaryl、Carbosulfan、Fenoxycarb、Furathiocarb、Indoxacarb、Methiocarb、Methomyl、Oxamyl、Pirimicarb、Propoxur、Thiodicarb、Triazamate。
【0082】
ピレスロイド系: Bifenthrin、Cyfluthrin、Cypermethrin、Deltamethrin、Esfenvalerate、Ethofenprox、Fenpropathrin、Fenvalerate、Cyhalothrin、Lambda-Cyhalothrin、Permethrin、Silafluofen、Tau-Fluvalinate、Tefluthrin、Tralomethrin、Zeta-Cypermethrin。
【0083】
節足動物成長調節剤:a)キチン合成阻害剤:ベンゾイルウレア系: Chlorfluazuron、Diflubenzuron、Flucycloxuron、Flufenoxuron、Hexaflumuron、Lufenuron、Novaluron、Teflubenzuron、Triflumuron; Buprofezin、Diofenolan、Hexythiazox、Etoxazole、Clofentazine;b)エクダイソンアンタゴニスト系: Halofenozide、Methoxyfenozide、Tebufenozide;c)ジュベノイド系: Pyriproxyfen、Methoprene、Fenoxycarb;d)脂質生分解阻害剤: Spirodiclofen。
【0084】
その他: Abamectin、Acequinocyl、Amitraz、Azadirachtin、Bifenazate、Cartap、Chlorfenapyr、Chlordimeform、Cyromazine、Diafenthiuron、Dinetofuran、Diofenolan、Emamectin、Endosulfan、Ethiprole、Fenazaquin、Fipronil、Formetanate、Formetanate hydrochloride、Hydramethylnon、Imidacloprid、Indoxacarb、Pyridaben、Pymetrozine、Spinosad、Sulfur、Tebufenpyrad、Thiamethoxam、および Thiocyclam。
【実施例】
【0085】
合成例
実施例1
1-(5-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-4-メチルピペラジンの調製
40mlのメタノール中の2.1gの5-メトキシ-1-テトラリン、3.7mlの1-メチルピペラジン、2.15gのシアノホウ水素化ナトリウムおよび0.7mlの酢酸の混合物を30時間、窒素下で還流した。25℃に冷却した後、反応混合物を氷/水に注ぎ、pH=9で酢酸エチルにて抽出した。有機相を水で洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮して、2.5gのオイルを得た。このクルード生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:CH2Cl2/CH3OH=92:7)で精製した。収率:1.8g;m.p.:69-71℃。
【0086】
実施例2
1-メチル-4-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[a]シクロヘプテン-5-イル)-ピペラジンの調製
50mlのメタノール中の3.0gの5-ベンゾスベロン、4.2mlの1-メチルピペラジン、2.85gのシアノホウ水素化ナトリウムおよび1.0mlの酢酸の混合物を9時間、窒素下で還流した。25℃に冷却した後、反応混合物を氷/水に注ぎ、pH=9で酢酸エチルにより抽出した。有機相を水で洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮して、3.7gのオイルを得た。このクルード生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:CH2Cl2/CH3OH=95:5)で精製して、2.2gの生成物をオイルとして得た。
【0087】
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.1(m)、3.5(t)、3.1(d)、2.5(m)、2.3(s)、2.2(m)、2.1(m)、1.6(m)、1.4(m)。
【0088】
実施例3
1-メチル-4-(2H-チオクロメン-4-イル)-ピペラジン
4.33gのTiCl4を70mlのトルエンに加えた。次いで12.2gの1-メチルピペラジンを攪拌しながら加え、氷浴で冷却した。次いで、2.5gのチオクロマン-4-オンを攪拌しなが加えた。得られた反応混合物を4時間、25℃で攪拌した。その後、反応混合物を氷/水と酢酸エチルに注いだ。沈殿物を濾別した。有機層を分離した後、水相を2回、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮して、3.55gの生成物を得た。MS:m/z[M+H]+=247。
【0089】
実施例4
1-[3-(4-クロロフェニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-4-メチルピペラジンの調製
a)3-(4-クロロフェニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
150gのポリリン酸中の11.8gの3-(4-クロロフェニル)-3-フェニル-プロパン酸を110℃で、2.5時間加熱した。25℃に冷却した後、氷水を加えた。反応混合物をCH2Cl2で抽出した。有機相を水で洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮して、11.0gの粘性オイルを得た。クルード生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:ヘプタン/酢酸エチル=75:25)で精製した。収率:4.8g。
【0090】
b)1-[3-(4-クロロフェニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-4-メチルピペラジン
50mlのn-プロパノール中の3.0gの3-(4-クロロフェニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン、2.0mlの1-メチルピペラジン、1.0gのシアノホウ水素化ナトリウムおよび0.8mlの酢酸の混合物を、8時間、窒素下で還流した。25℃に冷却した後、反応混合物を氷/水に注いだ。次いで、生成物をpH=9で酢酸エチルにて抽出した。有機相を水で洗浄し、乾燥し、減圧下で濃縮して、3.0gのオイルをシス、トランス異性体混合物として得た。
【0091】
シス、トランス異性体の分離を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:CH2Cl2/CH3OH=95:5)にて成し遂げた。
【0092】
シス異性体の収率:0.72g;1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.4(d)、7.2(m)、7.0(d)、6.9(d)、4.4(m)、2.7(m)、2.6(m)、2,5(m)、2.3(s)、2.0(m);
トランス異性体の収率:0.63g;1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.4(d)、7.3(m)、7.2(m)、7.1(d)、6.9(d)、4.4(m)、4.1(m)、2.7(m)、2.5(m)、2.3(s)、2.0(m)。
【0093】
実施例5
1-メチル-4-(1-ナフチル)-ピペラジン
400mlのキシレン中の50gの1-ブロモナフタレン、83gのピペラジン、5.42gのPd(0CO-CH3)2、14.7gのトリス-o-トリルホスフィンおよび37.8gのカリウムtert-ブタノラートの混合物を、16時間、窒素下で還流した。25℃に冷却した後、反応混合物を100mlのCH2Cl2で希釈し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を水とメチル-tert-ブチル-エーテルで抽出した。有機相を乾燥し、減圧下で濃縮して、48gのクルード生成物を得た。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:テトラヒドロフラン/CH3OH/NH3=85:15:2)で精製した。収率:24gの目的生成物。1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=8.2(d)、7.8(d)、7.6(d)、7.5(m)、7.4(m)、7.1(d)、3.1(m)、2.7(m)、2.4(s)。
【0094】
実施例6
4-(4-メチル-1-ピペラジニル)-2,3-ジヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン
80mlのトルエンに溶解した1.7mlのTiCl4溶液に、10.7mlの1-メチルピペラジンを氷浴で冷やしながらゆっくり加えた。次いで、1.9gの2,3-ジヒドロ-1,5-ベンゾチアゼピン-4(5H)-オンを加え、反応混合物を1時間、窒素下で還流した。25℃に冷却した後、反応混合物を氷/水に注ぎ、pH=9で酢酸エチルにて抽出した。有機相を希アンモニアで洗浄し、乾燥し、真空下で濃縮して、2.6gのオイルを得た。クルード生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液:CH2Cl2/CH3OH=95/5)で精製した。収率:2.2gの生成物をオイルとして得た。1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.5(d)、7.3(t)、7.0(d)、6.9(t)、3.7(m)、3.5(t)、2.6(t)、2.5(t)、2.4(s)。
【0095】
上記化合物の他に、類似の方法で調製した、或いは、調製し得るその他の化合物Iは下記のとおりである。
【0096】
実施例7 1-(1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.8(d)、7.2(m)、7.1(m)、3.8(m)、2.8(m)、2.5(m)、2.3(s)、2.0(m)、1.8(m)。
【0097】
実施例8 1-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.4(d)、7.2(m)、4.4(t)、2.9(m)、2.8(m)、2.6(m)、2.5(m)、2.3(s)、2.1(m)。
【0098】
実施例9 1-(3,4-ジヒドロ-1-ナフタレニル)-4-エチルピペラジン;
mp.=68-70℃。
【0099】
実施例10 1-(1H-インデン-2-イル)-4-メチルピペラジン;
mp.=158-160℃。
【0100】
実施例11 1-(1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-4-エチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.8(d)、7.1(m)、7.0(d)、3.9(m)、2.8(m)、2.6(m)、2.5(q)、2.0(m)、1.8(m)、1.0(t)。
【0101】
実施例12 1-(1-イソキノリニル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=8.2(d)、8.1(d)、7.8(d)、7.6(m)、7.5(m)、7.2(d)、3.5(m)、2.8(m)、2.4(s)。
【0102】
実施例13 1-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-4-メチルピペラジン;
mp.=73-75℃。
【0103】
実施例14 1-(1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.1(m)、2.9(m)、2.8(m)、2.7(m)、2.5(m)、2.3(s)、2.2(m)、1.6(m)。
【0104】
実施例15 1-(6-クロロ-2H-チオクロメン-4-イル)-4-メチルピペラジン;
MS:m/z[M+H]+=281。
【0105】
実施例16 1-(6-クロロ-3,4-ジヒドロ-2H-チオクロメン-4-イル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.6(s)、7.1(m)、7.0(d)、3.7(m)、3.1(m)、3.0(m)、2.7(m)、2.5(m)、2.3(s)、2.1(m)。
【0106】
実施例17 1-(3,4-ジヒドロ-2H-チオクロメン-4-イル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.4(d)、7.1(d)、7.0(m)、3.6(m)、3.3(m)、3.0(m)、2.8(m)、2.5(m)、2.3(s)、2.2(m)、2.1(m)。
【0107】
実施例18 1-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチエピン-5-イル)-4-メチルピペラジン;
MS:m/z[M+H]+=261。
【0108】
実施例19 1-(5-クロロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-4-メチルピペラジン;
mp.=75-78℃。
【0109】
実施例20 1-(7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.4(d)、7.0(m)、6.8(m)、3.8(m)、2.8(m)、2.7(m)、2.5(m)、2.4(s)、2.0(m)、1.7(m)。
【0110】
実施例21 1-(7-フルオロ-3,4-ジヒドロ-1-ナフタレニル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.3(m)、7.0(m)、7.0(m)、5.4(m)、2.8(m)、2.6(m)、2.5(m)、2.3(s)、2.2(m)。
【0111】
実施例22 1-(1H-インデン-2-イル)-4-エチルピペラジン;
mp.=124-126℃。
【0112】
実施例23 1-(6-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.6(m)、6.8(m)、6.7(d)、3.8(m)、2.6(m)、2.3(s)、2.0(m)、1.7(m)。
【0113】
実施例24 1-(5-クロロ-1-ナフチル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=8.2(d)、8.0(m)、7.5(m)、7.4(m)、7.2(m)、3.1(m)、2.7(m)、2.5(s)。
【0114】
実施例25 1-(7-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.3(s)、7.0(d)、6.8(d)、3.9(s)、2.8(m)、2.5(m)、2.4(s)、2.0(m)、1.7(m)。
【0115】
実施例26 1-(6,7-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-4-メチルピペラジン;
mp.=65-67℃。
【0116】
実施例27 1-(7-チオメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.7(s)、7.1(m)、7.0(m)、3.9(m)、2.8(m)、2.6(m)、2.6(s)、2.5(s)、2.0(m)、1.7(m)。
【0117】
実施例28 1-(7-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.6(s)、7.0(m)、3.9(m)、2.8(m)、2.7(q)、2.5(m)、2.4(s)、2.0(m)、1.7(m)、1.3(t)。
【0118】
実施例29 1-(6-クロロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.7(d)、7.2(d)、7.1(s)、3.7(m)、2.5(m)、2.3(s)、2.0(m)、1.7(m)。
【0119】
実施例30 1-(3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル)-4-メチルピペラジン;
MS:m/z[M+H]+=233。
【0120】
実施例31 1-(2,3,4,5-テトラヒドロ-1-ベンゾチエピン-5-イル)-4-メチルピペラジン;
MS:m/z[M+H]+=263。
【0121】
実施例32 1-(7-テトラフルオロエトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-4-メチルピペラジン:
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.6(s)、7.0(d)、6.9(d)、5.9(m)、3.9(m)、2.8(m)、2.6(m)、2.4(s)、2.0(m)、1.7(m)。
【0122】
実施例33 1-(7-クロロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.6(s)、7.2(d)、7.1(d)、3.8(m)、2.7(m)、2.5(m)、2.3(s)、2.0(m)、1.7(m)。
【0123】
実施例34 1-(2-メチル-1-ナフチル)-4-メチルピペラジン;
MS:m/z[M+H]+=243。
【0124】
実施例35 1-(8-クロロ-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチエピン-5-イル)-4-メチルピペラジン;
MS:m/z[M+H]+=295。
【0125】
実施例36 1-(8-クロロ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1-ベンゾチエピン-5-イル)-4-メチルピペラジン;
MS:m/z[M+H]+=297。
【0126】
実施例37 1-(7-フルオロ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1-ベンゾチエピン-5-イル)-4-メチルピペラジン;
MS:m/z[M+H]+=281。
【0127】
実施例38 1-(7-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチエピン-5-イル)-4-メチルピペラジン;
MS:m/z[M+H]+=279。
【0128】
実施例39 1-(6-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-チオクロメン-4-イル)-4-メチルピペラジン;
MS:m/z[M+H]+=263。
【0129】
実施例40 1-(7-クロロ-3,4-ジヒドロ-2H-チオクロメン-4-イル)-4-メチルピペラジン;
MS:m/z[M+H]+=283。
【0130】
実施例41 1-(4-メチル-1-ナフチル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=8.3(d)、8.0(d)、7.5(m)、7.3(d)、7.0(d)、3.2(m)、2.7(m)、2.6(s)、2.4(s)。
【0131】
実施例42 1-(2-ナフチル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.8(m)、7.4(t)、7.2(m)、7.1(s)、3.3(m)、2.6(m)、2.4(s)。
【0132】
実施例43 1-(4-メチル-2-キノリニル)-4-メチルピペラジン;
MS:m/z[M+H]+=242。
【0133】
実施例44 1-(5,6,7,8-テトラヒドロ-1-ナフチル)-ピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.1(t)、6.9(m)、3.6(t)、3.0(m)、2.9(m)、2.8(m)。
【0134】
実施例45 1-(7-メトキシ-1-ナフチル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.8(d)、7.6(m)、7.3(m)、7.2(m)、4.0(s)、3.2(m)、2.8(m)、2.5(s)。
【0135】
実施例46 1-(7-エチル-1-ナフチル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=8.0(s)、7.8(d)、7.5(d)、7.4(m)、7.3(m)、7.2(m)、2.9(m)、2.7(m)、2.4(s)、1.3(t)。
【0136】
実施例47 1-(6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.3(s)、7.2(m)、7.1(d)、7.1(d)、4.3(m)、2.9(m)、2.8(m)、2.6(m)、2.5(m)、2.4(s)、2.2(m)。
【0137】
実施例48 1-(6-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.2(s)、7.1(d)、7.0(d)、4.3(m)、2.9(m)、2.8(m)、2.7(m)、2.6(m)、2.5(m)、2.3(s)、2.3(s)、2.1(m)。
【0138】
実施例49 1-(2-フルオロ-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[a]シクロヘプテン-5-イル)-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.0(m)、6.8(m)、3.5(t)、2.5(m)、2.3(s)、2.2(m)、2.1(m)、2.0(m)、1.7(m)、1.6(m)、1.4(m)。
【0139】
実施例50 1-(4-クロロ-1-ナフチル)-4-メチルピペラジン;
mp.=216-217℃。
【0140】
実施例51 シス、トランス-1-[3-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.5(m)、7.4(m)、7.3(m)、7.2(m)、6.9(d)、4.5(m)、4.2(m)、3.8(m)、2.8(m)、2.6(m)、2.5(s)、2.0(m)。
【0141】
実施例52 1-[5-フルオロ-1-フェニル-1H-インデン-3-イル]-4-メチルピペラジン;
MS:m/z[M+H]+=309。
【0142】
実施例53 シス、トランス-1-[6-フルオロ-3-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.5(m)、7.3(m)、7.2(m)、7.1(m)、7.0(m)、4.5(m)、4.2(m)、3.0(m)、2.8(m)、2.6(m)、2.4(d)、2.0(m)。
【0143】
実施例54 シス、トランス-1-[1-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1H-インデン-3-イル]-4-メチルピペラジン;
mp.=133-135℃。
【0144】
実施例55 シス、トランス-1-[3-(4-フルオロフェニル)-6-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.3(s)、7.2(m)、7.0(m)、6.9(m)、6.8(m)、4.4(m)、4.2(m)、2.8(m)、2.7(m)、2.6(m)、2.3(d)、2.0(m)。
【0145】
実施例56 シス、トランス-1-[6-クロロ-3-イソプロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.3(d)、7.2(d)、7.1(d)、4.4(m)、4.3(m)、3.2(m)、3.0(m)、2.4(d)、2.2(m)、2.0(m)、1.9(m)、1.0(d)、1.0(d)、0.8(t)。
【0146】
実施例57 シス、トランス-1-[3-(4-フルオロフェニル)-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.4(m)、7.3(m)、7.1(m)、7.0(m)、6.9(m)、6.7(d)、6.6(d)、4.4(m)、4.2(m)、2.8(m)、2.7(m)、2.6(m)、2.4(d)、2.0(m)。
【0147】
実施例58 シス、トランス-1-[3-(2-フルオロフェニル)-6-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.2(m)、7.1(m)、7.0(m)、6.9(m)、6.8(m)、4.5(m)、2.7(m)、2.6(m)、2.5(m)、2.3(s)、2.1(m)。
【0148】
実施例59 シス、トランス-1-[3-(4-フルオロフェニル)-6-チオメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.3(s)、7.1(m)、7.0(m)、6.9(d)、6.8(d)、4.4(m)、4.2(m)、2.7(m)、2.5(m)、2.5(s)、2.4(d)、2.0(m)。
【0149】
実施例60 シス、トランス-1-[3-(3-フルオロフェニル)-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-4-メチルピペラジン;
1H-NMR(CDCl3):δ[ppm]=7.4(m)、7.3(m)、7.0(m)、6.9(m)、6.8(d)、6.7(d)、6.6(d)、4.4(m)、4.2(m)、2.8(m)、2.7(m)、2.6(m)、2.5(m)、2.3(d)、2.0(m)。
【0150】
実施例61 トランス-1-[3-(4-フルオロフェニル)-6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]-4-メチルピペラジン。
植物、生体構造およびヒトの健康に害を及ぼす害虫に対する効果についての使用例
害虫に対する式Iの化合物の効果を下記の実験により立証した:
A):殺線虫性の評価
使用例1:根こぶ線虫溶液アッセイ(Meloidogyne incognita)の試験手順:
約1.0mgの活性化合物を入れたマイクロタイタープレートの各ウェルに、80:20のアセトン:水を添加し、この溶液を混合して、目的とする化合物濃度を得た。50mL当たり20〜50匹のMeloidogyne incognita J2幼虫を入れた線虫水性懸濁液を各プレートに添加した。次いで、このプレートを密閉し、27℃で約50%の相対湿度のインキュベーターに入れた。72時間後、線虫の不動を死亡とみなすことによりその個体群の死亡率を読み取った。
【0151】
使用例2:ダイズシスト線虫溶液アッセイ(Heterodera glycine)の試験手順:
約150mgの化合物を入れたマイクロタイタープレートの各ウェルに、80:20のアセトンを添加し、この溶液を混合して、目的とする化合物濃度を得た。J2 Heterodera glycine幼虫の線虫懸濁液をプレートに添加した。次いで、このプレートを密閉し、27℃で約50%の相対湿度のインキュベーターに入れた。72時間後、線虫の不動を死亡とみなすことにより個体群の死亡率を読み取った。
【0152】
B):昆虫および蛛形類動物に対する活性
使用例3: ワタアブラムシ(aphis gossypii)
活性化合物を、50:50のアセトン:水および100ppmのKinetic(登録商標)界面活性剤(Helena Chemical Company、Memphis、TN 38119、U.S.A から市販されているポリアルキレンオキシド変性ポリジメチルシロキサンとポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマーのブレンドである非イオン性湿潤剤)中で製剤化した。
【0153】
主要コロニーからのアブラムシで著しく蔓延させた葉を各子葉の上部に載せることにより、子葉期のワタ植物(1ポット当たり1植物)をアブラムシで蔓延させた。アブラムシを宿主植物に一晩で移動させ、アブラムシを移動させるのに用いた葉を取り除いた。子葉を試験溶液に浸漬し、乾燥させた。5日後、死亡率の計測を行った。
【0154】
この試験において、300 ppmの化合物16、20、53および61は、未処理対照と比較して85%を超える死亡率を示した。
【0155】
使用例4: モモアカアブラムシ(myzus persicae)
活性化合物を、50:50のアセトン:水および100 ppmのKinetic(登録商標)界面活性剤中で製剤化した。
【0156】
アブラムシで蔓延させた葉切片を試験植物の上部に載せることにより、第2双葉期のトウガラシ植物(品種「California Wonder」)を、約40匹の実験室飼育アブラムシで蔓延させた。24時間後にこの葉切片を取り除いた。無傷植物の葉を試験化合物の勾配溶液に浸漬し、乾燥させた。試験植物は、約25℃および20〜40%の相対湿度にて蛍光下(24時間の照射時間)で維持した。処理した植物におけるアブラムシの死亡率を、対照植物での死亡率と比較し、5日後に測定した。
【0157】
この試験において、300 ppmの化合物 5、16、20、53および61は、未処理対照と比較して85%を超える死亡率を示した。
【0158】
使用例5: ダイズアブラムシ(Aphis fabae)
アブラムシで蔓延させた植物切片を試験植物の上部に載せることにより、第1双葉期のキンレンカ植物(品種「Mixed Jewle」)を、約25匹の実験室飼育アブラムシで蔓延させた。24時間後にこの植物切片を取り除いた。試験植物の葉と茎を、試験化合物の勾配溶液に浸漬した。アブラムシの死亡率を3日後に測定した。
【0159】
この試験において、300 ppmの化合物16は、未処理対照と比較して70%を超える死亡率を示した。
【0160】
使用例6: シルバーリーフコナジラミ(bemisia argentifolii)
活性化合物を、50:50のアセトン:水および100ppmのKinetic(登録商標)界面活性剤中で製剤化した。
【0161】
選択したワタ植物を、子葉期まで成長させた(1つのポット当たり1植物)。子葉を試験溶液に浸漬して葉が完全に覆われるようにし、十分に換気される場所に置いて乾燥させた。処理した苗木が入った各ポットをプラスチック製のカップに入れ、10〜12匹のコナジラミ成体(約3〜5日齢)を入れた。カップを、再利用可能な遮断蓋(Tetko社製の150ミクロンメッシュのポリエステル製スクリーンPeCap)で覆った。試験植物を、約25℃および20〜40%の相対湿度にて保持部屋で、蛍光(24時間の照射時間)に直接暴露されないようにカップ内に熱がこもるのを防止して、3日間維持した。植物を処理した3日後に、死亡率を評価した。
【0162】
この試験において、300 ppmの化合物 20は、未処理対照と比較して95%を超える死亡率を示した。
【0163】
使用例7: ネッタイシマカ(aedes aegypti)
試験化合物(アセトン中1容量%)を、4齢のaedes aegyptiが入ったガラス皿中の水に加えた。試験皿を約25℃で維持し、死亡率について毎日観察した。各試験は、それぞれ3枚の試験皿で繰り返した。
【0164】
使用例8: ランアザミウマ(dichromothrips corbetti)
試験化合物を、0.01%のKinetic(登録商標)界面活性剤を含有する1:1のアセトン:水の混合物で500ppmの濃度に希釈した。
【0165】
アザミウマに対する有効性は、花浸漬法を用いて評価した。プラスチック製シャーレを試験領域として用いた。各ランの花の花弁全部を約3秒間、処理溶液に浸漬し、2時間乾燥させた。処理した花を、10〜15匹の成体アザミウマと共に、それぞれのシャーレに入れた。シャーレを蓋で覆い、連続光の下、約28℃の温度で4日間維持した。生存しているアザミウマの数を、それぞれの花ごとおよび各シャーレの内壁に沿って計数した。アザミウマの死亡率レベルは、前処理したアザミウマの数から推定した。
【0166】
使用例9: ナミハダニ(Tetranychus urticae)
ダニで蔓延させた葉切片を試験植物の上部に載せることにより、第1双葉期のライマメ植物(品種 「Henderson」)を、葉ごとに約100匹の実験室飼育のダニで蔓延させた。24時間後にこの植物切片を取り除いた。 無傷植物の葉を、試験化合物の勾配溶液に浸漬した。 ダニの死亡率を5日後に測定した。
【0167】
この試験において、300 ppmの化合物12、14、20および21 は、未処理対照と比較して70%を超える死亡率を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫、蛛形類動物もしくは線虫を駆除するための、式Iで表されるアミノ置換されたベンゾ(ヘテロ)環式誘導体またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、シス/トランス異性体もしくは塩の使用。
【化1】

[式中、
Aは、5〜7員環であって、炭素原子の他に、酸素、硫黄および窒素の群からそれぞれ選択される1-3個のヘテロ原子を含有してもよく、飽和であるか、部分的にもしくは完全に不飽和であってもよく;
R1は、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-ハロアルキルチオ、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C2-C6-アルケニルチオ、C2-C6-アルキニル、C2-C6-アルキニルオキシ、C2-C6-アルキニルチオ、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホキシル、C2-C6-アルケニルスルホニル、C2-C6-アルキニルスルホキシル、(C1-C6-アルキル)カルボニル、(C1-C6-アルコキシ)カルボニルまたは(C1-C6-アルキル)カルボニルオキシであり;
R2は、C1-C6-アルキルまたは単環式もしくは二環式の5〜10員芳香族環系であって、1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、Aに直接結合しているかまたは酸素、硫黄、C1-C6-アルキレンもしくはC1-C6-アルキレンオキシ結合を介してAに結合しており、無置換であるか、またはシアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C2-C6-アルケニルオキシ、C2-C6-アルキニルオキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオもしくはC1-C6-ハロアルキルチオからなる群からそれぞれ選択される1〜3個の置換基の任意の組合せで置換されており;
R3、R4はそれぞれ独立して、水素、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルキルアミノ、C1-C6-アルコキシまたはC3-C6-シクロアルキルであり;
R3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素および酸素から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する飽和もしくは部分飽和で単環式もしくは二環式の5〜10員環系、または1〜4個の窒素原子を含有する5員ヘタリールを形成し、ここで飽和、部分飽和、もしくは芳香環中の炭素および/または窒素原子は、無置換であるか、またはアミノ、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、C1-C6-アルコキシ、C2-C6-アルケニルオキシ、C2-C6-アルキニルオキシ、C1-C6-アルキルチオ、C2-C6-アルケニルチオ、C2-C6-アルキニルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、C2-C6-アルケニルアミノ、C2-C6-アルキニルアミノ、C1-C6-ヒドロキシアルキル、ヒドロキシカルボニル-C1-C4-アルキル、(C1-C6-アルコキシ)カルボニル-C1-C4-アルキル、(C1-C6-アルキル)カルボニル-C1-C4-アルコキシ、C3-C6-シクロアルキル(直接またはC1-C6-アルキル結合を介して結合している)、およびC5-C8-シクロアルケニル、あるいは、
シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C2-C6-アルケニルオキシ、C2-C6-アルキニルオキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオもしくはC1-C6-ハロアルキルチオによって置換されていてもよいフェニルまたはベンジルから選択される1〜4個の基の任意の組合せで置換されているか;または
R3およびR4は一緒になって、-(CH2)2N+(O-)(CH2)2-鎖または-(CH2)3N+(O-)(CH2)2-鎖を形成し;
mは、0、1、2、3または4であり;
nは、0、1、2、3または4である]
【請求項2】
昆虫、蛛形類動物もしくは線虫またはそれらの食料、生息地または繁殖地を、殺虫上有効量の請求項1で定義した式Iの化合物またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、シス/トランス異性体もしくは塩のうちの少なくとも1種と接触させることを含んでなる、昆虫、蛛形類動物もしくは線虫を防除する方法。
【請求項3】
植物、または植物が成長する土壌もしくは水を、殺虫上有効量の請求項1で定義した式Iの化合物またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、シス/トランス異性体もしくは塩のうちの少なくとも1種と接触させることを含んでなる、昆虫、蛛形類動物もしくは線虫による攻撃または蔓延から成長段階にある植物を保護する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫、蛛形類動物もしくは線虫を駆除するための、式Iで表されるアミノ置換されたベンゾ(ヘテロ)環式誘導体またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、シス/トランス異性体もしくは塩の使用。
【化1】

[式中、
Aは、5〜7員環であって、炭素原子の他に、酸素、硫黄および窒素の群からそれぞれ選択される1-3個のヘテロ原子を含有してもよく、飽和であるか、部分的にもしくは完全に不飽和であってもよく;
R1は、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-ハロアルキルチオ、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルケニルオキシ、C2-C6-アルケニルチオ、C2-C6-アルキニル、C2-C6-アルキニルオキシ、C2-C6-アルキニルチオ、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホキシル、C2-C6-アルケニルスルホニル、C2-C6-アルキニルスルホキシル、(C1-C6-アルキル)カルボニル、(C1-C6-アルコキシ)カルボニルまたは(C1-C6-アルキル)カルボニルオキシであり;
R2単環式もしくは二環式の5〜10員芳香族環系であって、1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、Aに直接結合しているかまたは酸素、硫黄、C1-C6-アルキレンもしくはC1-C6-アルキレンオキシ結合を介してAに結合しており、無置換であるか、またはシアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C2-C6-アルケニルオキシ、C2-C6-アルキニルオキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオもしくはC1-C6-ハロアルキルチオからなる群からそれぞれ選択される1〜3個の置換基の任意の組合せで置換されており;
R3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素および酸素から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する飽和もしくは部分飽和で単環式もしくは二環式の5〜10員環系、または1〜4個の窒素原子を含有する5員ヘタリールを形成し、ここで飽和、部分飽和、もしくは芳香環中の炭素および/または窒素原子は、無置換であるか、またはアミノ、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、C1-C6-アルコキシ、C2-C6-アルケニルオキシ、C2-C6-アルキニルオキシ、C1-C6-アルキルチオ、C2-C6-アルケニルチオ、C2-C6-アルキニルチオ、C1-C6-アルキルアミノ、ジ(C1-C6-アルキル)アミノ、C2-C6-アルケニルアミノ、C2-C6-アルキニルアミノ、C1-C6-ヒドロキシアルキル、ヒドロキシカルボニル-C1-C4-アルキル、(C1-C6-アルコキシ)カルボニル-C1-C4-アルキル、(C1-C6-アルキル)カルボニル-C1-C4-アルコキシ、C3-C6-シクロアルキル(直接またはC1-C6-アルキル結合を介して結合している)、およびC5-C8-シクロアルケニル、あるいは、
シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、カルボキシル、ハロゲン、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C2-C6-アルケニルオキシ、C2-C6-アルキニルオキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオもしくはC1-C6-ハロアルキルチオによって置換されていてもよいフェニルまたはベンジルから選択される1〜4個の基の任意の組合せで置換されているか;または
R3およびR4は一緒になって、-(CH2)2N+(O-)(CH2)2-鎖または-(CH2)3N+(O-)(CH2)2-鎖を形成し;
mは、0、1、2、3または4であり;
nは、0、1、2、3または4である]
【請求項2】
昆虫、蛛形類動物もしくは線虫またはそれらの食料、生息地または繁殖地を、殺虫上有効量の請求項1で定義した式Iの化合物またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、シス/トランス異性体もしくは塩のうちの少なくとも1種と接触させることを含んでなる、昆虫、蛛形類動物もしくは線虫を防除する方法。
【請求項3】
植物、または植物が成長している土壌もしくは水を、殺虫上有効量の請求項1で定義した式Iの化合物またはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、シス/トランス異性体もしくは塩のうちの少なくとも1種と接触させることを含んでなる、昆虫、蛛形類動物もしくは線虫による攻撃または蔓延から成長段階にある植物を保護する方法。

【公表番号】特表2006−520334(P2006−520334A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504445(P2006−504445)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001677
【国際公開番号】WO2004/080170
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】