説明

アミノ酸の製造法

本発明は、好気性細菌の電子伝達系においてプロトンポンプとして作用するNADHデヒドロゲナーゼ複合体のうち、電子1個あたり排出できるプロトン分子数がゼロであるNADHデヒドロゲナーゼ複合体を構成するNADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入して得られる微生物および該微生物を用いることを特徴とする工業的に有利なアミノ酸の製造法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、アミノ酸の製造法に関する。
【背景技術】
近年、微生物の電子伝達系に変異を施し、アミノ酸等の物質の生産性を向上させる試みが報告されている。
例えば、エシェリヒア・コリのエネルギー産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを増幅させるか、またはエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを欠損させることでアミノ酸の生産性が向上することが報告されている(特開2002−17363号)。
また、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)において、エネルギー生成効率の高いチトクロムbcオキシダーゼをコードするDNAを増幅することによってリボフラビンの生産性が向上することが報告されている(WO03/072785号)。
電子伝達系における変異が微生物の生育に及ぼす影響について、Molenaarらはコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)のNADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを破壊したが、生育等への影響はなかったことを報告している〔Journal of Bacteriology,182,p.6884−6891(2000)〕。
このように微生物の電子伝達系における変異が、該微生物による物質の生産性に影響を及ぼす可能性のあることが知られているが、どのように影響するかを予測することは難しい。
従来の方法に加えてさらに物質の生産性を向上させる方法の開発が望まれている。
【発明の開示】
本発明の目的は、工業的に有利なアミノ酸の製造法を提供することにある。
本発明は以下の(1)〜(26)に関する。
(1) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入して得られる微生物を培地に培養し、培養物中にアミノ酸を生成、蓄積させ、該培養物よりアミノ酸を採取することを特徴とするアミノ酸の製造法。
(2) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、エシェリヒア(Escherichia)属、シュードモナス属(Pseudomonas)属、アゾトバクター(Azotobacter)属、サルモネラ(Salmonella)属およびラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する微生物からなる群より選ばれる微生物由来のDNA、または該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであることを特徴とする、上記(1)の製造法。
(3) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、アゾトバクター・ビネランディー(Azotobacter vinelandii)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)およびラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する微生物からなる群より選ばれる微生物由来のDNA、または該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであることを特徴とする、上記(1)の製造法。
(4) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、配列番号3、5、7、9、11、13および15で表される塩基配列からなる群より選ばれる塩基配列を有するDNA、または該塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAである、上記(1)の製造法。
(5) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)の保有するプラスミドpCS−CGndhの有するエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAまたは該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAである、上記(1)の製造法。
(6) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼが、配列番号4、6、8、10、12、14および16で表されるアミノ酸配列からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または該ポリペプチドの有するアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドであることを特徴とする上記(1)の製造法。
(7) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼが、エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)の保有するプラスミドpCS−CGndhの有するエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAにコードされるポリペプチド、または該ポリペプチドの有するアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドであることを特徴とする上記(1)の製造法。
(8) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入する微生物が、エシェリヒア(Escherichia)属、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、オーレオバクテリウム(Aureobacterium)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、クラビバクター(Clavibacter)属、クルトバクテリウム(Curtobacterium)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、ピメロバクター(Pimerobacter)属およびバチルス(Bacillus)属に属する微生物からなる群より選ばれる微生物である、上記(1)〜(7)いずれか1つの製造法。
(9) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入する微生物が、エシェリヒア属に属する微生物である、上記(1)〜(7)いずれか1つの製造法。
(10) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入する微生物が、エシェリヒア・コリに属する微生物である、上記(1)〜(7)いずれか1つの製造法。
(11) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入する微生物が、コリネバクテリウム属に属する微生物である、上記(1)〜(7)いずれか1つの製造法。
(12) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入する微生物が、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・フラバム(Corynebacterium flavum)、コリネバクテリウム・ラクトファーメンタム(Corynebacterium lactofermentum)およびコリネバクテリウム・エフィカシス(Corynebacterium efficasis)に属する微生物からなる群より選ばれる微生物である、上記(1)〜(7)いずれか1つの製造法。
(13) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入する微生物が、コリネバクテリウム・グルタミカムに属する微生物である、上記(1)〜(7)いずれか1つの製造法。
(14) アミノ酸が、L−グルタミン酸、L−グルタミン、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン、L−リジン、L−メチオニン、L−トレオニン、L−アルギニン、L−プロリン、L−シトルリン、L−バリン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−セリン、L−システイン、グリシン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−フェニルアラニンおよびL−ヒスチジンからなる群より選ばれるアミノ酸である、上記(1)〜(13)いずれか1つの製造法。
(15) アミノ酸が、L−グルタミン酸、L−グルタミンおよびL−リジンからなる群より選ばれるアミノ酸である、上記(1)〜(13)いずれか1つの製造法。
(16) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入して得られるコリネバクテリウムに属する微生物。
(17) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入して得られるコリネバクテリウム・グルタミカムに属する微生物。
(18) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、コリネバクテリウム属、エシェリヒア属、シュードモナス属、アゾトバクター属、サルモネラ属およびラクトバチルス属に属する微生物からなる群より選ばれる微生物由来のDNA、または該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAである、上記(16)または(17)の微生物。
(19) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、コリネバクテリウム・グルタミカム、コリネバクテリウム・ジフテリア、エシェリヒア・コリ、シュードモナス・フルオレッセンス、アゾトバクター・ビネランディー、サルモネラ・ティフィムリウムおよびラクトバチルス・プランタラムに属する微生物からなる群より選ばれる微生物由来のDNA、または該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAである、上記(16)または(17)の微生物。
(20) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、配列番号3、5、7、9、11、13および15で表される塩基配列からなる群より選ばれる塩基配列を有するDNA、または該塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAである、上記(16)または(17)の微生物。
(21) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)の保有するプラスミドpCS−CGndhの有するエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAまたは該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAである、上記(16)または(17)の微生物。
(22) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼが、配列番号4、6、8、10、12、14および16で表されるアミノ酸配列からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または該ポリペプチドの有するアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドである、上記(16)または(17)の微生物。
(23) エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼが、エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)の保有するプラスミドpCS−CGndhの有するエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAによりコードされるポリペプチド、または該ポリペプチドの有するアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドであることを特徴とする上記(16)または(17)の微生物。
(24) コリネバクテリウム・グルタミカムATCC14752/pCS−CGndh、またはコリネバクテリウム・グルタミカムFERM BP−1069/pCS−CGndh。
(25) エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)。
(26) エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)の保有するプラスミドpCS−CGndh。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明に用いられるエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ(以下、NDHポリペプチドともいう)は、好気性細菌の電子伝達系においてプロトンポンプとして作用するNADHデヒドロゲナーゼ複合体のうち、電子1個あたり排出できるプロトン分子数がゼロであるNADHデヒドロゲナーゼ複合体を構成するNADHデヒドロゲナーゼの活性(以下、エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性と略す)を有するポリペプチドであれば、いずれのポリペプチドであってもよい。
NDHポリペプチドとしては、例えば、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、エシェリヒア(Escherichia)属、シュードモナス属(Pseudomonas)属、アゾトバクター(Azotobacter)属、サルモネラ(Salmonella)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する微生物等に由来する公知のNDHポリペプチドをあげることができる。
コリネバクテリウム属に属する微生物としては、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)に属する微生物等をあげることができる。
エシェリヒア(Escherichia)属に属する微生物としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)に属する微生物等をあげることができる。
シュードモナス属に属する微生物としては、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)に属する微生物等をあげることができる。
アゾトバクター属に属する微生物としては、アゾトバクター・ビネランディー(Azotobacter vinelandii)に属する微生物をあげることができる。
サルモネラ属に属する微生物としては、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)に属する微生物をあげることができる。
ラクトバチルス属に属する微生物としては、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する微生物をあげることができる。
これらの微生物に由来するNDHポリペプチドとしては、例えば、コリネバクテリウム属に属する微生物に由来する配列番号4または6で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、エシェリヒア属に属する微生物に由来する配列番号8で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、シュードモナス属に属する微生物に由来する配列番号10で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、アゾトバクター属に属する微生物に由来する配列番号12で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、サルモネラ属に属する微生物に由来する配列番号14で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、ラクトバチルス属に属する微生物に由来する配列番号16で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド等の公知のNDHポリペプチドをあげることができる。
また、エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)の保有するプラスミドpCS−CGndhが有する、コリネバクテリウム・グルタミカム由来のエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNA(ndh)によりコードされるポリペプチド(以下、NDHポリペプチドAと略す)もNDHポリペプチドとしてあげることができる。
さらに、本発明に用いられるNDHポリペプチドは、エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有していれば、NDHポリペプチドAまたは公知のNDHポリペプチドの有するアミノ酸配列に1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであってもよい。
NDHポリペプチドAまたは公知のNDHポリペプチドの有するアミノ酸配列に1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドは、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Third Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)(以下、モレキュラー・クローニング第3版と略す)、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1987−1997)(以下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)、Nucleic Acids Research,10,6487(1982)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,6409(1982)、Gene,34,315(1985)、Nucleic Acids Research,13,4431(1985)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,488(1985)等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、NDHポリペプチドAまたは公知のNDHポリペプチドをコードするDNAに部位特異的変異を導入することにより、取得することができる。
欠失、置換若しくは付加されるアミノ酸の数は特に限定されないが、上記の部位特異的変異法等の周知の方法により欠失、置換もしくは付加できる程度の数であり、1個から数十個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個である。
NDHポリペプチドAまたは公知のNDHポリペプチドの有するアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたとは、同一配列中の任意かつ1もしくは複数のアミノ酸配列中の位置において、1または複数のアミノ酸の欠失、置換若しくは付加があることを意味し、欠失、置換若しくは付加が同時に生じてもよい。
置換若しくは付加されるアミノ酸は天然型と非天然型とを問わない。
天然型アミノ酸としては、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−アルギニン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−システインなどがあげられる。
以下に、相互に置換可能なアミノ酸の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸は相互に置換可能である。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2−アミノブタン酸、メチオニン、O−メチルセリン、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2−アミノアジピン酸、2−アミノスベリン酸
C群:アスパラギン、グルタミン
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4−ジアミノブタン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸
E群:プロリン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン
G群:フェニルアラニン、チロシン
また、NDHポリペプチドAまたは公知のNDHポリペプチドに1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するためには、欠失、置換若しくは付加前のポリペプチドと、少なくとも60%以上、通常は80%以上、特に95%以上の相同性を有していることが好ましい。
アミノ酸配列や塩基配列の相同性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro.Natl.Acad.Sci.USA,90,5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol.,183,63(1990)]を用いて決定することができる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXとよばれるプログラムが開発されている[J.Mol.Biol.,215,403(1990)]。
BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメータは例えばScore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメータは例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)。
NDHポリペプチドのエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼの活性は、たとえばFEMS Microbiology Letters,204,271(2001)の記載に準じて、エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ、ユビキノン−1およびNADHを含有する反応液における275nmまたは340nmでの吸光度の減少を測定することにより測定することができる。
NDHポリペプチドをコードするDNAとしては、エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAであれば、いずれのDNAであってもよい。
NDHポリペプチドをコードするDNAとしては、例えば、NDHポリペプチドAをコードする、エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)の保有するプラスミドpCS−CGndhが有するコリネバクテリウム・グルタミカム由来のNADHデヒドロゲナーゼをコードするDNA、配列番号4、6、8、10、12、14および16で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをそれぞれコードする、配列番号3、5、7、9、11、13および15で表される塩基配列を有するDNA等の公知のNDHポリペプチドをコードするDNA等をあげることができる。
本発明に用いられるNDHポリペプチドをコードするDNAは、NDHポリペプチドAまたは公知のNDHポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAであってもよい。
NDHポリペプチドAまたは公知のNDHポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとは、例えば、NDHポリペプチドAまたは公知のNDHポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAの一部、または全部をプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAを意味する。
具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0mol/lの塩化ナトリウム存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mmol/l塩化ナトリウム、15mmol/lクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNAをあげることができる。
ハイブリダイゼーションは、モレキュラー・クローニング第3版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University(1995)等に記載されている方法に準じて行うことができる。
NDHポリペプチドAまたは公知のNDHポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、上記BLASTやFASTA等を用いて計算したときに、NDHポリペプチドAまたは公知のNDHポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と75%以上の相同性を有するDNA、好ましくは80%以上の相同性を有するDNA、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するDNAをあげることができる。
NDHポリペプチドをコードするDNAは、好気性細菌であって、電子伝達系にエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼを有する微生物から下記の方法に準じて調製することができる。電子伝達系にエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼを有する微生物としては、例えば、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)等のコリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、オーレオバクテリウム(Aureobacterium)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、クラビバクター(Clavibacter)属、クルトバクテリウム(Curtobacterium)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、ピメロバクター(Pimerobacter)属に属する微生物等のいわゆるコリネ型細菌、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)等のエシェリヒア(Escherichia)属に属する微生物、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)等のシュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物、アゾトバクター・ビネランディー(Azotobacter vinelandii)等のアゾトバクター(Azotobacter)属に属する微生物、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)等のサルモネラ(Salmonella)属に属する微生物、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)等のラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する微生物等をあげることができる。
上記微生物を公知の方法〔例えば、Mol.Microbiol.,20,833(1996)に記載の方法〕により培養し、培養後、公知の方法(例えば、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーに記載の方法)により、該微生物の染色体DNAを単離精製する。
公知のNDHポリペプチドをコードするDNAの塩基配列をもとに合成したDNAをプライマーとして用い、単離精製された上記微生物の染色体DNAを鋳型としてPCR法〔PCR Protocols,Academic Press(1990)〕を用いて目的とするDNAを取得することができる。
プライマーとしては、例えば、配列番号3で表される塩基配列を有する、コリネバクテリウム・グルタミカムに属する微生物のndhの塩基配列をもとに設計した配列番号1および2で表される塩基配列を有するDNAをあげることができる。
また、以下の方法によっても、目的とするDNAを取得することができる。
単離精製した染色体DNAを用いて、モレキュラー・クローニング第3版やカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)等に記載された方法に準じてDNAライブラリーを作製する。
DNAライブラリーを作製するためのクローニングベクターとしては、エシェリヒア・コリK12株中で自立複製できるものであれば、ファージベクター、プラスミドベクター等いずれでも使用できる。具体的には、ZAP Express〔ストラタジーン社製、Strategies,,58(1992)〕、λzap II(ストラタジーン社製)、λgt10、λgt11〔DNA Cloning,A Practical Approach,,49(1985)〕、λ TriplEx(クローンテック社製)、λExCell(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)、pBluescript II KS(−)、pBluescript II SK(+)〔ストラタジーン社製、Nucleic Acids Research,17,9494(1989)〕、pUC18〔Gene,33,103(1985)〕等をあげることができる。
DNAを組み込んだベクターをエシェリヒア・コリに属する微生物に導入する。
エシェリヒア・コリに属する微生物としては、エシェリヒア・コリに属する微生物であればいずれでも用いることができる。具体的には、エシェリヒア・コリXL1−Blue MRF’〔ストラタジーン社製、Strategies,,81(1992)〕、エシェリヒア・コリC600〔Genetics、39,440(1954))、エシェリヒア・コリY1088〔Science,222,778(1983)〕、エシェリヒア・コリY1090〔Science,222,778(1983)〕、エシェリヒア・コリNM522〔J.Mol.Biol.,166,1(1983))、エシェリヒア・コリK802〔J.Mol.Biol.,16,118(1966)〕、エシェリヒア・コリJM109〔Gene,38,275(1985)〕、エシェリヒア・コリDH5α〔J.Mol.Biol.,166,557(1983)〕等をあげることができる。
モレキュラー・クローニング第3版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University(1995)等の実験書に記載されているコロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンハイブリダイゼーション法等により、得られたDNAライブラリーから目的とするクローンを取得することができる。
ハイブリダイゼーションに用いるDNAプローブとしては、公知のNDHポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAまたはその一部、公知のNDHポリペプチドをコードするDNAの塩基配列をもとに合成したDNAなどの他、公知の塩基配列を利用して設計したDNAプライマーを用いてPCRなどにより取得したDNA断片などをあげることができる。
例えば、配列番号3で表される塩基配列を有する、コリネバクテリウム・グルタミカムに属する微生物のndhの塩基配列をもとに設計した配列番号1および2で表される塩基配列を有するDNAを、パーセプティブ・バイオシステムズ社製8905型DNA合成装置等を用いて化学合成し、該合成DNAをプライマーとして、コリネバクテリウム・グルタミカムに属する微生物から取得したDNA断片などを例示することができる。
取得したDNAをそのまま、あるいは適当な制限酵素などで切断後、常法によりベクターに組み込み、通常用いられる塩基配列解析方法、例えばABI377DNAシークエンサー(パーキン・エルマー社製)等を用いたジデオキシ法〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,5463(1977)〕により、該DNAの塩基配列を決定する。
さらに、決定された塩基配列に基づいたプライマーを調製し、単離精製された染色体DNAを鋳型として、PCR法〔PCR Protocols,Academic Press(1990)〕により、目的とするDNAを取得することができる。
また、決定されたDNAの塩基配列に基づいて、パーセプティブ・バイオシステムズ社製8905型DNA合成装置等を用いて化学合成することにより目的とするDNAを調製することもできる。
上記のようにして取得される本発明に用いられるポリペプチドをコードするDNAとして、例えば、エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)の保有するプラスミドpCS−CGndhが有するエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAをあげることができる。該DNAは、NDHポリペプチドAをコードするDNAである。
得られた本発明に用いられるポリペプチドをコードするDNAを宿主微生物に導入することにより、本発明のアミノ酸の製造法に用いられる微生物を作製することができる。
本発明に用いられるポリペプチドコードするDNAを宿主微生物に導入する方法としては、該DNAを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入して組換え体DNAを作製し、該組換え体DNAを宿主微生物に導入する方法をあげることができる。
宿主微生物は、好気性細菌であれば特に限定されない。また、該微生物の電子伝達系は、特にエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼを用いるものでなくてもよい。
宿主微生物としては、例えば、エシェリヒア(Escherichia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、オーレオバクテリウム(Aureobacterium)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、クラビバクター(Clavibacter)属、クルトバクテリウム(Curtobacterium)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、ピメロバクター(Pimerobacter)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、セラチア(Serratia)属、エルビニア(Erwinia)属、バチルス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アナベナ(Anabaena)属、クロマチウム(Chromatium)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属、ロドスピリウム(Rhodospirillum)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、ザイモモナス(Zymomonas)属等に属する微生物があげられる。
エシェリヒア属に属する微生物としては、Escherichia coli XL1−Blue、Escherichia coli XL2−Blue、Escherichia coli DH1、Escherichia coli DH5α、Escherichia coli MC1000、Escherichia coli KY3276、Escherichia coli W1485、Escherichia coli JM109、Escherichia coli HB101、Escherichia coli No.49、Escherichia coli W3110、Escherichia coli NY49、Escherichia coli MP347、Escherichia coli NM522等のエシェリヒア・コリに属する微生物をあげることができる。
コリネバクテリウム属に属する微生物としては、Corynebacterium glutamicum ATCC13032、Corynebacterium glutamicum ATCC13869等のCorynebacterium glutamicumCorynebacterium ammoniagenes ATCC6872、Corynebacterium ammoniagenes ATCC21170等のCorynebacterium ammoniagenesCorynebacterium acetoacidophilum ATCC13870等のCorynebacterium acetoacidophilumに属する微生物等をあげることができる。
ブレビバクテリウム属に属する微生物としては、Brevibacterium immariophilumBrevibacterium saccharolyticumBrevibacterium flavumBrevibacterium lactofermentumに属する微生物等をあげることができる。
アースロバクター属に属する微生物としては、Arthrobacter citreusArthrobacter globiformisに属する微生物等をあげることができる。
オーレオバクテリウム属に属する微生物としては、Aureobacterium flavescensAureobacter iumsaperdaeAureobacterium testaceumに属する微生物等をあげることができる。
セルロモナス属に属する微生物としては、Cellulomonas flavigenaCellulomonas cartaに属する微生物等をあげることができる。
クラビバクター属に属する微生物としては、Clavibacter michiganensisClavibacterrathayiに属する微生物等をあげることができる。
クルトバクテリウム属に属する微生物としては、Curtobacterium albidumCurtobacter iumcitreumCurtobacterium luteumに属する微生物等をあげることができる。
ミクロバクテリウム属に属する微生物としては、Microbacterium ammoniaphilum ATCC15354等のMicrobacterium ammoniaphilumMicrobacterium lacticumMicrobacterium imperialeに属する微生物等をあげることができる。
ピメロバクター属に属する微生物としては、Pimerobacter simplexに属する微生物等をあげることができる。
エンテロバクター属に属する微生物としては、Enterobacter agglomerans ATCC1228等のEnterobacter agglomeransEnterobacter aerogenesEnterobacter amnigenusEnterobacter asburiaeEnterobacter cloacaeEnterobacter dissolvensEnterobacter gergoviaeEnterobacter hormaecheiEnterobacter intermediusEnterobacter nimipressuralisEnterobacter sakazakiiEnterobacter tayloraeに属する微生物等をあげることができる。
クレブシエラ属に属する微生物としては、Klebsiella planticolaに属する微生物等をあげることができる。
セラチア属に属する微生物としては、Serratia ficariaSerratia fonticolaSerratia liquefaciensSerratia entomophilaSerratia grimesiiSerratia proteamaculansSerratia odoriferaSerratia plymuthicaSerratia rubidaeaSerratia marcescensに属する微生物等をあげることができる。
エルビニア属に属する微生物としては、例えば、Erwinia uredovoraErwinia carotovoraErwinia ananasErwinia herbicolaErwinia punctataErwinia terreusErwinia cacticidaErwinia chrysanthemiErwinia mallotivoraErwinia persicinusErwinia psidiiErwinia quercina Erwinia rhaponticiErwinia rubrifaciensErwinia salicisに属する微生物等をあげることができる。
バチルス属に属する微生物としては、Bacillus subtilisBacillus megateriumBacillus amyloliquefaciensBacillus coagulansBacillus licheniformisBacillus pumilusに属する微生物等をあげることができる。
シュードモナス属に属する微生物としては、Pseudomonas putidaに属する微生物等をあげることができる。
アグロバクテリウム属に属する微生物としては、例えば、Agrobacterium radiobacterAgrobacterium rhizogenesAgrobacterium rubiに属する微生物等をあげることができる。
アナベナ属に属する微生物としては、例えば、Anabaena cylindricaAnabaena doliolumAnabaena flosaquaeに属する微生物等をあげることができる。
クロマチウム属に属する微生物としては、例えば、Chromatium buderiChromatium tepidumChromatium vinosumChromatium warmingiiChromatium fluviatileに属する微生物等をあげることができる。
ロドバクター属に属する微生物としては、例えば、Rhodobacter capsulatusRhodobacter sphaeroidesに属する微生物等をあげることができる。
ロドシュードモナス属に属する微生物としては、例えば、Rhodopseudomonas blasticaRhodopseudomonas marinaRhodopseudomonas palustrisに属する微生物等をあげることができる。
ロドスピリウム属に属する微生物としては、例えば、Rhodospirillum rubrumRhodospirillum salexigensRhodospirillum salinarumに属する微生物等をあげることができる。
ストレプトマイセス属に属する微生物としては、例えば、Streptomyces ambofaciensStreptomyces aureofaciensStreptomyces aureusStreptomyces fungicidicusStreptomyces griseochromogenesStreptomyces griseusStreptomyces lividansStreptomyces olivogriseusStreptomyces rameusStreptomyces tanashiensisStreptomyces vinaceusに属する微生物等をあげることができる。
ザイモモナス属に属する微生物としては、例えば、Zymomonas mobilisに属する微生物等をあげることができる。
上記宿主微生物のうち、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、アースロバクター属、オーレオバクテリウム属、セルロモナス属、クラビバクター属、クルトバクテリウム属、ミクロバクテリウム属、ピメロバクター属、エシェリヒア属、またはバチルス属に属する微生物が好ましく用いられ、コリネバクテリウムまたはエシェリヒア属に属する微生物がより好ましく用いられ、コリネバクテリウム属に属する微生物がさらに好ましく用いられる。
宿主微生物への組換え体DNAの導入方法としては、上記宿主微生物へDNAを導入できる方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,69,2110(1972)〕、プロトプラスト法(特開昭63−248394)、エレクトロポレーション法〔Nucleic Acids Res.,16,6127(1988)〕等をあげることができる。
発現ベクターとしては、宿主微生物において自立複製可能ないしは染色体中への組込が可能で、本発明に用いられるポリペプチドをコードするDNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。
例えば、pBTrp2、pBTac1、pBTac2(いずれもベーリンガーマンハイム社製)、pHelix1(ロシュ・ダイアグノスティクス社製)、pKK233−2(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)、pSE280(インビトロジェン社製)、pGEMEX−1(プロメガ社製)、pQE−8(キアゲン社製)、pET−3(ノバジェン社製)、pKYP10(特開昭58−110600)、pKYP200〔Agric.Biol.Chem.,48,669(1984)〕、pLSA1〔Agric.Biol.Chem.,53,277(1989)〕、pGEL1(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,82,4306(1985)〕、pBluescriptII SK(+)、pBluescript II KS(−)(ストラタジーン社製)、pTrS30〔エシェリヒア・コリJM109/pTrS30(FERM BP−5407)より調製〕、pTrS32〔エシェリヒア・コリJM109/pTrS32(FERM BP−5408)より調製〕、pPAC31(WO98/12343)、pUC19〔Gene,33,103(1985)〕、pSTV28(宝酒造社製)、pUC118(宝酒造社製)、pPA1(特開昭63−233798)、pCG116、pCG1(特開平6−277082)、pCS299P(WO 00/63388)等があげられる。
プロモーターとしては、宿主微生物中で機能するものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、Pプロモーター、Pプロモーター、PSEプロモーター等の、エシェリヒア・コリに属する微生物やファージ等に由来するプロモーター、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等をあげることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
また、宿主微生物がコリネバクテリウム属に属する微生物である場合、P54−6プロモーター[Appl.Microbiol.Biotechnol.,53,674−679(2000)]もあげられる。バチルス属に属する微生物である場合、xylAプロモーター〔Appl.Microbiol.Biotechnol.,35,594−599(1991)〕もあげられる。
組換え体DNAは宿主微生物中で自立複製可能であると同時に、上記プロモーター、リボソーム結合配列、本発明に用いられるポリペプチドをコードするDNA、転写終結配列より構成された組換え体DNAであることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine−Dalgarno)配列と開始コドンとの間は、適当な距離(例えば6〜18塩基)を有していることが好ましい。
転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
このような組換え体DNAとしては、例えばエシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)の保有するプラスミドpCS−CGndhをあげることができる。
上記方法によって得られる本発明の微生物としては、例えば実施例に示されるコリネバクテリウム・グルタミカムLS−22/pCS−CGndh、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC14752/pCS−CGndh、コリネバクテリウム・グルタミカムFERM BP−1069/pCS−CGndhをあげることができる。
宿主微生物に導入された本発明に用いられるポリペプチドをコードするDNAは、微生物中で組換え体DNA上に存在していてもよいし、染色体上に組み込まれていてもよい。
該DNAを染色体上に組み込む方法としては、例えば、Escherichia coli and Salmonella typhimurium、1996年、2325頁、2339頁、アメリカン・ソサエティー・フォー・マイクロバイオロジー等に記載のファージやトランスポゾンを用いる方法をあげることができる。
本発明に用いられるポリペプチドをコードするDNAを導入して得られる微生物(以下、本発明の微生物と略す)を培地に培養し、培養物中にアミノ酸を生成、蓄積させ、該培養物からアミノ酸を採取することにより、アミノ酸を製造することができる。
アミノ酸に特に限定はなく、L−グルタミン酸、L−グルタミン等の2−オキソグルタル酸から生合成されるアミノ酸、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン等のオキサロ酢酸から生合成されるアミノ酸、L−リジン、L−メチオニン、L−トレオニン等のアスパラギン酸から生合成されるアミノ酸、L−アルギニン、L−プロリン、L−シトルリン等のL−グルタミン酸から生合成されるアミノ酸、L−バリン、L−ロイシン、L−イソロイシン等のピルビン酸から生合成されるアミノ酸、L−セリン、L−システイン、グリシン等の3−ホスホグリセリン酸から生合成されるアミノ酸、L−トリプトファン、L−チロシン、L−フェニルアラニン等のコリスミ酸から生合成されるアミノ酸、L−ヒスチジン等があげられる。
培養に用いる培地としては、本発明の微生物が資化することのできる炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、該微生物が生育でき、かつ目的とするアミノ酸の生産が効率的に行なえる培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、本発明の微生物が資化し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類等を用いることができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、ならびにペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕加水分解物、各種醗酵菌体、およびその消化物等を用いることができる。
無機塩としては、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等を用いることができる。
培養は、通常、振とう培養または深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行なう。培養温度は15℃〜50℃がよく、より好ましくは20℃〜45℃である。培養時間は通常5時間〜7日間、より好ましくは12時間〜4日間である。培養中必要に応じてpHを3〜9に保持する。pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いて行なう。
また培養中必要に応じて、ペニシリンやアンピシリン、テトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた組換え体DNAを用いてDNAを導入した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた組換え体DNAを用いてDNAを導入した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた組換え体DNAを用いてDNAを導入した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
培養終了後の培養液から、活性炭を用いる方法、イオン交換樹脂を用いる方法、結晶化法、沈殿法等の、通常アミノ酸の単離に用いられる方法を単独でまたは組み合わせて、アミノ酸を採取することができる。
以下に実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
(1) コリネバクテリウム・グルタミカムLS−22株をLB培地〔10g/Lバクトトリプトン(ディフコ社製)、5g/Lイーストエキストラクト(ディフコ社製)および5g/L塩化ナトリウムを含む培地〕に植菌し、30℃で一晩培養した。培養後、Eikmannsらの方法〔Microbiol.,140,1817(1994)〕に準じて、該微生物の染色体DNAを単離精製した。
配列番号3で表されるコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032のndhの塩基配列に基いて配列番号1および2で表される塩基配列を有するDNAを合成した。
該DNA(各0.5μmol/L)をプライマーとし、上記染色体DNA(0.1μg)を鋳型として、PfuDNAポリメラーゼ(ストラタジーン社製)2.5単位および各200μmol/LのdNTP(dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP)を含む反応液40μL中でPCRを行なった。
反応終了後、得られた反応液のうち4μLをアガロースゲル電気泳動に供し、公知のコリネバクテリウム・グルタミカムのndhに相当する1.9kbの断片が増幅していることを確認した後、残りの反応液と等量のTE〔10mmol/Lトリス−塩酸(pH8.0)、1mmol/Lエチレンジアミン四酢酸を含有する溶液〕飽和フェノール/クロロフォルム(1vol/1vol)溶液を混合した。該溶液を遠心分離して得られた上層に、2倍量の冷エタノールを加えて混合し、−80℃で30分間放置した。該溶液を遠心分離してDNAを得、該DNAを20μLのTEに溶解した。
該DNA溶解液5μLとpGEM−T Easy vector(プロメガ社製)0.06μgをpGEM−T Easy vector systemのライゲーションキット(プロメガ社製)を用いて16℃で16時間反応させ、ndhを含むDNA断片とpGEM−T Easy vectorを連結した。
連結反応後の反応液を用いてエシェリヒア・コリDH5α株を、エレクトロポレーション法〔Nucleic acid Res.,16,6127−6145(1988)〕によって形質転換した。
得られた形質転換体を、100μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布し、30℃で一晩培養した。該寒天培地上に生育したコロニーより常法により従ってプラスミドを抽出し、制限酵素を用いてその構造を解析することにより、pGEMR−T Easy vectorにコリネバクテリウム・グルタミカムのndhを含むDNA断片が挿入されたプラスミドであることを確認した。このプラスミドをpT−CGndhと命名した。
プラスミドpT−CGndh 1μgを制限酵素KpnIおよびSalIで切断し、得られたDNA断片を含む溶液をアガロースゲル電気泳動に供し、約2kbのDNA断片を分離した。
コリネ型細菌用の発現ベクターであるpCS299P(WO 00/63388)0.2μgを制限酵素KpnIおよびSalIで切断後、得られたDNA断片を含む溶液をアガロースゲル電気泳動に供し、約5.4kbのDNA断片を分離した。
上記で得られたndhを含む約2kbのDNA断片とpCS299Pの切断断片(約5.4kb)をライゲーションキット(宝酒造社製)を用いて、16℃で16時間反応させて連結した。
連結反応後の反応液を用いてコリネバクテリウム・グルタミカムLS−22株を、エレクトロポレーション法〔Nucleic acid Res.,16,6127−6145(1988)〕を用いて形質転換した。
得られた形質転換体を25μg/mLのカナマイシンを含むLB寒天培地に塗布し、30℃で一日間培養した。該寒天培地上に生育したコロニーより、常法によりプラスミドを抽出し、制限酵素を用いてその構造を解析して、該プラスミドが、pCS299Pにndhを含むDNA断片が挿入されたプラスミドであることを確認した。このプラスミドをpCS−CGndhと命名した。
プラスミドpCS−CGndhを含有するエシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndhは、FERM BP−08633として、平成16年2月19日付けで、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)に寄託されている。
(2) コリネバクテリウム・グルタミカムLS−22株およびコリネバクテリウム・グルタミカムLS−22株にpCS−CGndhを導入したコリネバクテリウム・グルタミカムLS−22/pCS−CGndh株をそれぞれ、試験管中のLB培地5mLに植菌し、30℃で一晩振とう培養した。
培養液1mLを100mLのMG培地〔10g/Lグルコース、3g/Lリン酸二水素カリウム、3g/Lリン酸水素二カリウム、2g/L塩化アンモニウム、2g/L尿素、0.5g/L硫酸マグネシウム・7水和物、10mg/L硫酸鉄・10水和物、1mg/L硫酸マンガン・7水和物、30mg/Lビオチン、1mg/Lチアミン塩酸塩、20mg/Lシステイン塩酸塩、0.5g/Lカザミノ酸、および1mL/Lメタルミックス(990mg/L硫酸鉄・7水和物、880mg/L硫酸亜鉛・7水和物、393mg/L硫酸銅・5水和物、72mg/L塩化マンガン・4水和物、88mg/L四ホウ酸ナトリウム・10水和物および37mg/Lパラモリブデン酸アンモニウム・4水和物を含有する溶液)を含有する培地〕の入った500mL容三角フラスコに添加し、30℃で80時間、220rpmで振とう培養した。培養後、培養上清のグルタミン酸濃度をHPLCにて定量した。
HPLC分析は、培養上清を40℃でカラムAQ−312(YMC社製)に供し(移動相:2.94g/Lクエン酸ナトリウム、1.42g/L硫酸ナトリウム、17mL/L n−プロパノールおよび3g/Lラウリル硫酸ナトリウムを含有するpH2.4の溶液)、反応液(18.5g/Lホウ酸、11g/L NaOH、0.6g/Lオルトフタルアルデヒド、2ml/Lメルカプトエタノールおよび3mL/L Brige−35を含有する溶液)と混合し、励起波長345nm、吸収波長455nmの蛍光分析に供して行った。
その結果、コリネバクテリウム・グルタミカムLS−22株が培養液中に1.5g/Lのグルタミン酸を蓄積していたのに対し、コリネバクテリウム・グルタミカムLS−22/pCS−CGndh株は2.3g/Lのグルタミン酸を蓄積していた。
【実施例2】
実施例1と同様に、エレクトロポレーション法を用いてコリネバクテリウム・グルタミカムATCC14752株にpCS−CGndhを導入し、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC14752/pCS−CGndh株を得た。
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC14752株およびコリネバクテリウム・グルタミカムATCC14752/pCS−CGndh株を、それぞれGS培地〔70g/Lグルコース、10g/Lコーンスティープリカー、10g/L肉エキス、10g/L酵母エキス、5g/L硫酸アンモニウム、0.5g/Lリン酸二水素カリウム、1.5g/Lリン酸水素二カリウム、0.5g/L硫酸マグネシウム・7水和物、10mg/L硫酸鉄・10水和物、10mg/L硫酸マンガン・7水和物、0.8mg/L硫酸銅・5水和物、8.3g/L尿素、5μg/Lビオチン、および1mg/Lチアミン塩酸塩を含有し、pH7.2の培地〕5mLの入った試験管に植菌し、30℃で24時間振とう培養した。
この培養液2.5mLを25mLのGP培地〔116g/Lグルコース、4g/Lフラクトース、50g/L塩化アンモニウム、10mg/Lニコチン酸、0.7g/Lリン酸二水素カリウム、0.7g/Lリン酸水素二カリウム、0.5g/L硫酸マグネシウム・7水和物、20mg/L硫酸鉄・10水和物、20mg/L硫酸マンガン・7水和物、0.8mg/L硫酸銅・5水和物、5g/L尿素、0.5μg/Lビオチン、1mg/Lチアミン塩酸塩および50g/L炭酸カルシウムを含有し、pH7.2の培地〕の入った三角フラスコに添加し、30℃で72時間、220rpmで振とう培養した。
培養後、培養上清中のグルタミンの蓄積量を実施例1に記載したHPLC条件で定量した。
その結果、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC14752株のグルタミンの蓄積量は32.2g/Lであるのに対し、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC14752/pCS−CGndh株のグルタミンの蓄積量は33.3g/Lであった。
【実施例3】
実施例1と同様に、エレクトロポレーション法を用いてコリネバクテリウム・グルタミカムFERM BP−1069株にpCS−CGndhを導入し、コリネバクテリウム・グルタミカムFERM BP−1069/pCS−CGndh株を得た。
コリネバクテリウム・グルタミカムFERM BP−1069株およびコリネバクテリウム・グルタミカムFERM BP−1069/pCS−CGndh株を、それぞれ、LS培地〔50g/Lシュクロース、30g/Lコーンスティープリカー、20g/L肉エキス、20g/Lカザミノ酸、8g/L硫酸アンモニウム、2g/Lリン酸二水素カリウム、0.5g/L硫酸マグネシウム・7水和物、3g/L尿素、20g/Lペプトン、10mg/L硫酸鉄・10水和物、10mg/L硫酸亜鉛・7水和物、20mg/Lニコチン酸、10mg/Lパントテン酸カルシウム、0.1mg/Lビオチン、1mg/Lチアミン塩酸塩および10g/L炭酸カルシウムを含有し、pH7.2の培地〕5mLの入った試験管に植菌し、30℃で24時間振とう培養した。
この培養液0.5mLをLP培地〔100g/L糖蜜(糖分として)、45g/L硫酸アンモニウム、3g/L尿素、0.5g/Lリン酸二水素カリウム、0.5g/L硫酸マグネシウム・7水和物、0.3mg/Lビオチンおよび30g/L炭酸カルシウムを含有し、pH7.0の培地〕5mLの入った試験管に添加し、30℃で72時間、220rpmで振とう培養した。培養終了後、培養上清のリジン濃度をHPLCにて定量した。
HPLC分析は、培養上清を、40℃でカラムODS−80TS(TOSOH社製)に供し(移動相:2.94g/Lクエン酸ナトリウム、1.42g/L硫酸ナトリウム、300mL/Lアセトニトリル、および3g/Lラウリル硫酸ナトリウムを含有するpH6.0の溶液)、反応液(18.5g/Lホウ酸、11g/L水酸化ナトリウム、0.6g/Lオルトフタルアルデヒド、2ml/Lメルカプトエタノールおよび3mL/L Brige−35を含有する溶液)と混合し、励起波長345nm、吸収波長455nmの蛍光分析に供して行った。
その結果、コリネバクテリウム・グルタミカムFERM BP−1069株のリジンの蓄積量は24.8g/Lであったのに対し、コリネバクテリウム・グルタミカムFERM BP−1069/pCS−CGndh株のリジンの蓄積竃は28.6g/Lであった。
【産業上の利用可能性】
本発明により、工業的に有利なアミノ酸の製造法を提供することができる。
【配列表フリーテキスト】
配列番号1−人工配列の説明:合成DNA
配列番号2−人工配列の説明:合成DNA

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入して得られる微生物を培地に培養し、培養物中にアミノ酸を生成、蓄積させ、該培養物よりアミノ酸を採取することを特徴とするアミノ酸の製造法。
【請求項2】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、エシェリヒア(Escherichia)属、シュードモナス属(Pseudomonas)属、アゾトバクター(Azotobacter)属、サルモネラ(Salmonella)属およびラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する微生物からなる群より選ばれる微生物由来のDNA、または該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであることを特徴とする、請求の範囲第1項記載の製造法。
【請求項3】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、アゾトバクター・ビネランディー(Azotobacter vinelandii)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)およびラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する微生物からなる群より選ばれる微生物由来のDNA、または該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであることを特徴とする、請求の範囲第1項記載の製造法。
【請求項4】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、配列番号3、5、7、9、11、13および15で表される塩基配列からなる群より選ばれる塩基配列を有するDNA、または該塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAである、請求の範囲第1項記載の製造法。
【請求項5】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)の保有するプラスミドpCS−CGndhの有するエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAまたは該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAである、請求の範囲第1項記載の製造法。
【請求項6】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼが、配列番号4、6、8、10、12、14および16で表されるアミノ酸配列からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または該ポリペプチドの有するアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドであることを特徴とする、請求の範囲第1項記載の製造法。
【請求項7】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼが、エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)の保有するプラスミドpCS−CGndhの有するエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAにコードされるポリペプチド、または該ポリペプチドの有するアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドであることを特徴とする、請求の範囲第1項記載の製造法。
【請求項8】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入する微生物が、エシェリヒア(Escherichia)属、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、オーレオバクテリウム(Aureobacterium)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、クラビバクター(Clavibacter)属、クルトバクテリウム(Curtobacterium)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、ピメロバクター(Pimerobacter)属およびバチルス(Bacillus)属に属する微生物からなる群より選ばれる微生物である、請求の範囲第1〜7項いずれか1項に記載の製造法。
【請求項9】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入する微生物が、エシェリヒア属に属する微生物である、請求の範囲第1〜7項いずれか1項に記載の製造法。
【請求項10】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入する微生物が、エシェリヒア・コリに属する微生物である、請求の範囲第1〜7項いずれか1項に記載の製造法。
【請求項11】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入する微生物が、コリネバクテリウム属に属する微生物である、請求の範囲第1〜7項いずれか1項に記載の製造法。
【請求項12】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入する微生物が、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・フラバム(Corynebacterium flavum)、コリネバクテリウム・ラクトファーメンタム(Corynebacterium lactofermentum)およびコリネバクテリウム・エフィカシス(Corynebacterium efficasis)に属する微生物からなる群より選ばれる微生物である、請求の範囲第1〜7項いずれか1項に記載の製造法。
【請求項13】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入する微生物が、コリネバクテリウム・グルタミカムに属する微生物である、請求の範囲第1〜7項いずれか1項に記載の製造法。
【請求項14】
アミノ酸が、L−グルタミン酸、L−グルタミン、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン、L−リジン、L−メチオニン、L−トレオニン、L−アルギニン、L−プロリン、L−シトルリン、L−バリン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−セリン、L−システイン、グリシン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−フェニルアラニンおよびL−ヒスチジンからなる群より選ばれるアミノ酸である、請求の範囲第1〜13項いずれか1項に記載の製造法。
【請求項15】
アミノ酸が、L−グルタミン酸、L−グルタミンおよびL−リジンからなる群より選ばれるアミノ酸である、請求の範囲第1〜13項いずれか1項に記載の製造法。
【請求項16】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入して得られるコリネバクテリウム属に属する微生物。
【請求項17】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入して得られるコリネバクテリウム・グルタミカムに属する微生物。
【請求項18】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、コリネバクテリウム属、エシェリヒア属、シュードモナス属、アゾトバクター属、サルモネラ属およびラクトバチルス属に属する微生物からなる群より選ばれる微生物由来のDNA、または該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAである、請求の範囲16または17記載の微生物。
【請求項19】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、コリネバクテリウム・グルタミカム、コリネバクテリウム・ジフテリア、エシェリヒア・コリ、シュードモナス・フルオレッセンス、アゾトバクター・ビネランディー、サルモネラ・ティフィムリウムおよびラクトバチルス・プランタラムに属する微生物からなる群より選ばれる微生物由来のDNA、または該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAである、請求の範囲第16または17項記載の微生物。
【請求項20】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、配列番号3、5、7、9、11、13および15で表される塩基配列からなる群より選ばれる塩基配列を有するDNA、または該塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAである、請求の範囲第16または17項記載の微生物。
【請求項21】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAが、エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)の保有するプラスミドpCS−CGndhの有するエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAまたは該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAである、請求の範囲第16または17項記載の微生物。
【請求項22】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼが、配列番号4、6、8、10、12、14および16で表されるアミノ酸配列からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または該ポリペプチドの有するアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドである、請求の範囲第16または17項記載の微生物。
【請求項23】
エネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼが、エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)の保有するプラスミドpCS−CGndhの有するエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼをコードするDNAによりコードされるポリペプチド、または該ポリペプチドの有するアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつエネルギー非産生型NADHデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドであることを特徴とする請求の範囲第16または17項記載の微生物。
【請求項24】
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC14752/pCS−CGndh、またはコリネバクテリウム・グルタミカムFERM BP−1069/pCS−CGndh。
【請求項25】
エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FBRM BP−08633)。
【請求項26】
エシェリヒア・コリDH5α/pCS−CGndh(FERM BP−08633)の保有するプラスミドpCS−CGndh。

【国際公開番号】WO2005/083077
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【発行日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510542(P2006−510542)
【国際出願番号】PCT/JP2005/003694
【国際出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】