説明

アミノ酸分析用サンプルの調製方法

【課題】ガスクロマトグラフィーを用いて、試料中のL−アルギニンを含めた各種のアミノ酸を同時に、簡易、迅速、かつ安価に分析する方法を提供する。
【解決手段】試料中のアミノ酸をガスクロマトグラフィーによって分析するためのサンプルの調製方法であって試料をアルギニン分解酵素で処理する工程を含む方法、得られるサンプルを用いるアミノ酸の分析方法、及びこのようなサンプルの調製用のアルギニン分解酵素を含むキット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中のアミノ酸分析用のサンプルの調製方法、アミノ酸の分析方法、及びアミノ酸分析用サンプル調製用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
サンプル中のアミノ酸分析を行う方法の1つとしてガスクロマトグラフィーによる方法がある。ガスクロマトグラフィーによる分析のためにはサンプル中の被験物質を揮発させる必要があり、揮発しにくいアミノ酸の場合には、クロロギ酸アルキル処理などにより誘導体化してからガスクロマトグラフィーに供される(特許文献1参照)。しかし、アルギニンは誘導体化した場合でも揮発しにくいので、ガスクロマトグラフィーによりアルギニンを分析することは不可能であった。かかる事情から、アルギニンとともに多種多様なアミノ酸を含むサンプルをガスクロマトグラフィーにより分析する場合には、アルギニンを別法にて分析する必要があり、時間と手間を要するものとなっていた。
【0003】
アルギニンを含むアミノ酸サンプルを一度に分析する方法としてHPLCを用いる方法があるが、HPLCによる分析はガスクロマトグラフィーによる分析に比べて長時間を要し、高度な前処理、高額な蛍光標識試薬も必要となるので、時間および費用の面から不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−310626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、ガスクロマトグラフィーを用いて、試料中のL−アルギニンを含めた各種のアミノ酸を同時に、簡易、迅速、かつ安価に分析する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討したところ、試料をアルギニン分解酵素で処理する工程を行うことにより、試料中のL−アルギニンを含めた各アミノ酸を分析することができるガスクロマトグラフィー用のサンプルを調製することができ、これを用いれば、L−アルギニンを含めた試料中の各アミノ酸について、簡易、迅速、安価に分析することができることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、試料中のアミノ酸をガスクロマトグラフィーによって分析するためのサンプルの調製方法であって、試料をアルギニン分解酵素で処理する工程を含む方法を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、試料中のアミノ酸の分析方法であって、試料をアルギニン分解酵素で処理して得られるサンプルを用いてガスクロマトグラフィーを行うことを特徴とする方法を提供するものである。
【0009】
さらに、本発明は、試料中のアミノ酸をガスクロマトグラフィーによって分析するためのサンプルの調製用キットであって、アルギニン分解酵素を含むことを特徴とするキットを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法及びキットによれば、簡易、迅速、及び安価に、L−アルギニンを含めた試料中の各種のアミノ酸の分析を同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、ガスクロマトグラフィー質量分析により測定されたサンプル中のオルニチンの含有量と、試料におけるL−アルギニンの含有量との関係を示すグラフである。エラーバーは、サンプル5個の標準偏差の誤差範囲を示す。
【図2】図2は、ガスクロマトグラフィー質量分析により測定されたオルニチン含有量をもとに求めたL−アルギニンからオルニチンへの変換率を、試料におけるL−アルギニンの含有量との関係において示すグラフである。エラーバーは、サンプル5個の標準偏差の誤差範囲を示す。
【図3】図3は、尿素窒素測定により測定された尿素含有量と、試料におけるL−アルギニンの含有量との関係を示すグラフである。エラーバーは、サンプル5個の標準偏差の誤差範囲を示す。
【図4】図4は、ガスクロマトグラフィー質量分析により測定したサンプル中のオルニチンの生成量と、試料におけるL−アルギニンの含有量との関係を示すグラフである。エラーバーは、サンプル3個の標準偏差の誤差範囲を示す。
【図5】図5は、ガスクロマトグラフィー質量分析により測定したオルニチン含有量をもとに求めたL−アルギニンからオルニチンへの変換率を、試料におけるL−アルギニンの含有量との関係において示すグラフである。エラーバーは、サンプル3個の標準偏差の誤差範囲を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明においては、ガスクロマトグラフィーでの分析に用いられるサンプルの調製において、試料をアルギニン分解酵素で処理する工程が含まれる。ここで、試料は、アルギニンを含む、あるいは含む可能性のある試料であり、例えば動物(例えば、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、マウス等)、植物、微生物などの生物由来の試料であってよく、血液、尿、汗、その他の体液、細胞培養液、食品、化粧品、医薬品などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
本発明に使用されるアルギニン分解酵素とは、アルギニンを分解する酵素であり、アルギニンデイミナーゼ、アルギニン脱炭酸酵素等が挙げられる。好ましくは、アルギニンを分解してオルニチンを生成するものであり、例えば、アルギナーゼが挙げられる。アルギナーゼは、アルギニンアミノヒドロラーゼとも呼ばれ、アルギニンを分解して尿素とオルニチンを生成する反応を触媒する。アルギニン分解酵素の由来としては、肝臓、赤血球、消化液、皮膚及び菌体が挙げられる。アルギニン分解酵素の由来としては、ヒト、ウシ、微生物(酵母等)、食藻軟体類(サザエ、アワビ、アメフラシ等)、魚類(ブダイ等)、褐藻、菌類等が挙げられる。アルギナーゼ等のアルギニン分解酵素は、市販されており、様々なメーカーから入手し、用いることができる。アルギニン分解酵素を本発明に用いる際に、公知の手段、方法によって適宜精製してもよい。
【0014】
試料をアルギニン分解酵素により処理して、アルギニン分解産物を試料中に生成させる。酵素反応温度、用いられる酵素の量、酵素反応を行うpHは、酵素の至適条件、反応させる試料の量(とくにアルギニンの量)により異なるが、アルギナーゼを用いる場合、酵素反応温度は、例えば、30〜45℃、35〜40℃、又は30〜60℃であり、酵素反応が行われる混合物中の酵素の含有量は、例えば、0.1U/ml〜100U/ml、0.1U/ml〜50U/ml、1U/ml〜100U/ml、又は10U/ml〜100U/mlであり、酵素反応が行われる混合物中の試料由来のアルギニンの含有量は、例えば、0.001mM〜500mM、0.01mM〜500mM、又は0.01〜400mM であり、酵素反応が行われる混合物のpHは、例えば、7〜10、8.0〜9.7、又は8.0〜9.5であり、試料由来のアルギニンの量とアルギニン分解酵素の量の比率(アミノ酸:アルギニン分解酵素)は、例えば、10−12mol:1U〜10−7mol:1U、10−11mol:1U〜10−8mol:1Uである。
【0015】
上記サンプルの調製方法において、酵素の前処理工程、酵素反応停止工程、あるいは誘導体化工程が含まれてもよい。これらの工程については後述する。
【0016】
使用するアルギニン分解酵素の種類によっては、金属イオン、メルカプトエタノール、グリセロール、有機酸のような補因子や賦活因子を添加することが好ましい場合もある。
【0017】
酵素反応の際には、用いる酵素に応じて、金属イオンを用いることができ、アルギナーゼを用いる場合、必要に応じて、マンガンイオンを添加してもよい。金属イオンの量は、用いられる酵素の種類により異なるが、例えば、反応液中、0.001mM〜10mMであってもよい。
【0018】
また、酵素反応の際には、用いる酵素に応じて、有機酸を用いてもよい。アルギナーゼを用いる場合、マレイン酸等の鎖状不飽和ジカルボン酸を添加してもよい。用いられる鎖状不飽和ジカルボン酸の量は、用いられる酵素により異なるが、例えば、反応液中、0.001mM〜10mMであってもよい。
【0019】
アルギニン分解酵素による試料の処理の前に、必要に応じて、酵素の前処理を行って酵素を活性化させてもよい(酵素の前処理工程)。酵素の活性化のための前処理の方法は、酵素により異なるが、例えば、牛肝臓由来のアルギナーゼを用いる場合、アルギニン分解反応よりも低いpHでのインキュベートが行われる。アルギナーゼの前処理は、例えば、pH6.5〜7.5、30℃〜45℃で、1時間〜10時間インキュベートして行われてもよい。
【0020】
アルギニン分解酵素による処理の後、必要に応じて、加熱や変性剤などによる酵素の失活処理を行ってもよい(酵素反応停止工程)。加熱の条件は、例えば、80〜120℃、1〜10分であってもよい。
【0021】
サンプルの調製方法においては、必要に応じて、クロロぎ酸エチル、プロピル、イソブチル等のクロロぎ酸のアルキルエステルなどの誘導体化試薬を用いて誘導体化を行ってもよい(誘導体化工程)。
【0022】
試料をアルギニン分解酵素で処理することにより得られるアルギニン分解産物は、ガスクロマトグラフィーで検出することができるため、この処理工程を行えば、ガスクロマトグラフィーによる分析に適したサンプルを調製することができる。特に、試料をアルギナーゼで処理することにより得られたL−オルニチンは、ガスクロマトグラフィーで検出することができ、しかも、その検出量は、元の試料中におけるL−アルギニン量と高度に相関がある。
【0023】
このような処理工程を含む方法により調製されたサンプルについて、ガスクロマトグラフィーによる分析を行うことにより、試料中のL−アルギニンの分析を行うことができる。この分析では、L−アルギニンのみならず他のアミノ酸も同時に分析されるため、従来の方法によればガスクロマトグラフィーによっては検出できなかったL−アルギニンを含め、多種多様なアミノ酸を同時に簡易に迅速に分析することができる。
【0024】
ガスクロマトグラフィーによる分析は、試料中のアミノ酸の分析のための通常の方法により行うことができる。ガスクロマトグラフィーによる分析は、調製されたサンプルをガスクロマトグラフィー装置に入れ、サンプル中の成分を成分ごとに分離し、分離結果を解析することにより行うことができる。分離結果の解析は、質量分析装置、水素イオン検出器等の通常用いられる方法により行うことができる。本発明の実施例において明らかになったように、アルギニン分解酵素によるアルギニン分解産物についての出力結果は、試料中のL−アルギニンに対応するので、質量分析装置などによる出力結果を通常の方法により解析し、アルギニン分解酵素による分解産物を検出することにより、試料中のL−アルギニン成分の検出を行うことができる。出力結果の解析の際には、L−アルギニン以外の他のアミノ酸も、通常の方法により検出することができる。また、出力結果の解析においては、通常の方法によって、アルギニン分解酵素による分解産物の定量的な解析も行うことができ、これをもとに、試料中のL−アルギニンの定量的な分析を行うことができる。特に、アルギナーゼで試料を処理して得られたL−オルニチンの量は、試料中のL−アルギニンの量と高度に相関があることから、アルギナーゼを用いる方法は、L−アルギニンの定量的分析に適している。
【0025】
ガスクロマトグラフィー分析に用いられるガスクロマトグラフィー装置や、質量分析装置は、市販されており、例えば、島津製作所GCMS−QP5050A等を用いればよい。
【0026】
本発明の方法によってL−アルギニンとともに一度に分析することができる他のアミノ酸は、ガスクロマトグラフィーに用いられるサンプルの調製条件、ガスクロマトグラフィーの装置における担体やキャリアガス等の条件により異なるが、通常の方法を行うことにより、ペンタペプチド、テトラペプチド、トリペプチド、ジペプチド等のオリゴペプチドや、ハロゲン化アミノ酸等のアミノ酸誘導体の分析も可能である。したがって、本発明において、分析の対象である「アミノ酸」という用語は、オリゴペプチドやアミノ酸誘導体も含むと定義するものとする。なお、ガスクロマトグラフィーに用いられるサンプルの調製方法において、クロロぎ酸エチル、プロピル、イソブチル等のクロロぎ酸のアルキルエステルなどの誘導体化試薬を用いて誘導体化を行った場合、ガスクロマトグラフィーにおいて検出されるものは、厳密には、アミノ酸誘導体であるが、この誘導体化は、誘導体化前のアミノ酸を分析するために行われるのであるから、本明細書においては、このような分析により検出されたのは、誘導体化される前のアミノ酸であると理解するものとする。
【0027】
ここでのアミノ酸の具体例としては、例えば、α−アミノ酪酸、γ−アミノ−n−酪酸等のアミノ酪酸、α−アラニン、β−アラニン等のアラニン、β−アミノイソ酸等のアミノイソ酸、β−アミノ−n−酪酸等のアミノ酪酸、セレノ−L−メチオニン等のセレノメチオニン、4−ヒドロキシプロリン等のヒドロキシプロリン、α−アミノアジピン酸等のアミノアジピン酸、カダベリン(1,5−ジアミノペンタン)等のジアミノペンタン、4−アミノ安息香酸等のアミノ安息香酸、α−アミノピメリン酸等のアミノピメリン酸、2,4−ジアミノ−n−酪酸等のジアミノ酪酸、3,4−ジヒドロキシファニルアラニン等のジヒドロキシファニルアラニン、1−メチル−ヒスチジン、3−メチル−ヒスチジン等のメチル−ヒスチジン、グリシン−グリシン、グリシン−プロリン、スレオニン−アスパラギン酸、プロリン−ヒドロキシプロリン、リジン−アラニン等のジペプチド、サルコシン、グリシン、バリン、ノルバリン、ロイシン、イソロイシン、アロ−イソロイシン、ピログルタミン酸、ホモセリン、ノルロイシン、スレオニン、セリン、プロリン、アスパラギン、チアプロリン、アスパラギン酸、メチオニン、グルタミン酸、フェニルアラニン、システイン、ホモシステイン、ヒスタミン、グルタミン、オルニチン、リジン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、チロシン、ジアミノピメリン酸、トリプトファン、ドーパミン、シスタチオニン、シスチン、ホモシスチン、アルギニノコハク酸、エタノールアミン、エチオニン、セロトニン、シトルリン等、及びこれらのハロゲン化誘導体が挙げられる。
【0028】
本発明の方法は、アルギニン分解酵素による処理を行うが、この処理は、アルギニン分解酵素を含むキットにより行ってもよい。キットとすることにより、より迅速、正確にアミノ酸の分析を行うことができ、L−アルギニンを含めた各種のアミノ酸を同時に分析することができるという本発明の特徴が、より強調される。また、L−アルギニンと同時に検出することができるアミノ酸のリストがキットに含まれる場合、分析するアミノ酸の全容を想定したうえで分析計画を立てることができ、また、想定結果と照らし合わせて出力結果を検討することができるから、より正確で迅速なアミノ酸の分析が可能となる。
【0029】
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
【実施例1】
【0030】
アルギナーゼ処理(アルギナーゼの酵素反応):
100U/mlのアルギナーゼ(MP Biomedical社、牛肝臓由来)を、マレイン酸及び硫酸マンガン水溶液に懸濁し、最終濃度40U/mlアルギナーゼ、0.05Mマレイン酸、0.05M硫酸マンガンの水溶液(pH7.0)を得て、これを37℃で4時間インキュベートし、アルギナーゼの活性化処理を行った。インキュベート後のアルギナーゼ水溶液0.2mlを、0.1mlの20mg/l NaOH溶液(pH9.5)に加えて、37℃で5分間インキュベートを行い、酵素反応の準備処理を行った。アルギナーゼ水溶液の代わりに、0.05Mマレイン酸、0.05M硫酸マンガン水溶液(pH7.0)を用いたものを対照とした。酵素の準備処理後の反応液0.3mlに、0.2mlのそれぞれ濃度0.100mM、0.500mM、1.00mMのL−アルギニン水溶液(pH9.5)を加え、37℃で60分間インキュベートを行い、酵素反応を行った。酵素反応後の反応液を、ヒートブロックで100℃に加熱し、冷却し、ガスクロマトグラフィー用のサンプルを得た。
【0031】
アミノ酸分析:
得られたガスクロマトグラフィー用のサンプルについて、市販のアミノ酸分析キットEzfaast(島津ジーエルシー社)を用いて、ガスクロマトグラフィー質量分析機器(名称GCMS−QP5050A、島津製作所)によるガスクロマトグラフィー質量分析を行った。得られた結果を図1、図2、及び以下の表1に示す。表1における変換率(%)は、L−アルギニン濃度(mM)/L−オルニチン濃度(mM)に100を乗じて求めた値を示す。
【0032】
【表1】

【0033】
尿素窒素測定:
得られたガスクロマトグラフィー用のサンプルについて、市販の尿素窒素B−テストワコー(ウレアーゼ・インドフェノール法)(100回用)を用いて、サンプル中の尿素の含有量を測定した。結果を図3及び以下の表2に示す。表2の変換率(%)は、L−アルギニン濃度(mM)/尿素濃度(mM)に100を乗じて求めた値を示す。


【0034】
【表2】

【0035】
図1〜図3、及び表1〜表2に示すように、L−オルニチン量とL−アルギニン量のグラフは直線性が高く、また、酵素量と変換率にも相関があることから、ガスクロマトグラフィーにより測定されるL−オルニチン濃度は、尿素窒素測定で測定される尿素濃度と同様に、試料中のL−アルギニン濃度を高精度で反映したものであり、L−オルニチンをガスクロマトグラフィーで分析することにより、試料中のL−アルギニンの分析を行うことができることが明らかになった。
【実施例2】
【0036】
アルギナーゼの活性化処理においてマレイン酸及び硫酸マンガン水溶液(pH7.0)に懸濁されるアルギナーゼの濃度を10U/ml、100U/mlの2系列とし、加えるL−アルギニン水溶液の濃度をそれぞれ0.01mM、0.05mM、0.1mMとするほかは、実施例1と同様の方法を行った。ガスクロマトグラフィー質量分析により求めたオルニチン濃度、変換率、標準偏差などの測定結果を、試料中のL−アルギニン濃度ごとに、図4及び図5、並びに以下の表3及び表4に示す。表3及び表4における変換率は、L−アルギニン濃度(mM)/オルニチン濃度(mM)に100を乗じて求めた値(%)を示す。
【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】
図4、図5、表3及び表4に示すように、100U/mlのアルギナーゼ濃度のときには、L−オルニチン量とL−アルギニン量のグラフは、直線性が高いことから、ガスクロマトグラフィーにより測定されるL−オルニチン濃度は、試料中のL−アルギニン量を高精度で反映したものであり、L−オルニチンをガスクロマトグラフィーで分析することにより、試料中のL−アルギニンの分析を行うことができることが明らかになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のアミノ酸をガスクロマトグラフィーによって分析するためのサンプルの調製方法であって、試料をアルギニン分解酵素で処理する工程を含む方法。
【請求項2】
アルギニン分解酵素がアルギナーゼである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試料中のアミノ酸の分析方法であって、試料をアルギニン分解酵素で処理して得られるサンプルを用いてガスクロマトグラフィーを行うことを特徴とする方法。
【請求項4】
アルギニン分解酵素がアルギナーゼである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
試料中のアミノ酸をガスクロマトグラフィーによって分析するためのサンプルの調製用キットであって、アルギニン分解酵素を含むことを特徴とするキット。
【請求項6】
アルギニン分解酵素がアルギナーゼである請求項5に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−210191(P2012−210191A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78405(P2011−78405)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(507093329)株式会社島津ジーエルシー (1)
【出願人】(596053068)京都市 (26)
【Fターム(参考)】