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アミノ酸含有液及びその製造方法、肥料、並びに害虫忌避剤
説明

アミノ酸含有液及びその製造方法、肥料、並びに害虫忌避剤

【課題】食品加工廃液に含まれる植物細胞又は繊維質を有効利用して、当該食品加工廃液を速やかに処理し再資源化する。また、それによって得られる、多用途のアミノ酸含有液を提供する。
【解決手段】植物細胞又は繊維質を含む食品加工廃液に酢酸菌及び乳酸菌を加え、間歇曝気により酢酸発酵と乳酸発酵とを交互に行った後、固液分離してアミノ酸含有液を得る製造方法である。好ましくは、前記細菌類を投入する前に、食品加工廃液に気液二相流を噴射して、浮遊物質中の植物細胞の細胞壁及び細胞膜を破砕し又は強制酸化する。これによって、食品加工廃液が速やかに再資源化される。アミノ酸含有液は、肥料,害虫忌避剤,又はそれらの原料等として用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物細胞又は繊維質を含む食品加工廃液を処理して得られるアミノ酸含有液、及び該アミノ酸含有液の製造方法に関する。また、当該アミノ酸含有液を含む肥料及び害虫忌避剤に関する。
【背景技術】
【0002】
多量の廃棄物の処分が問題となっており、産業界においてもゼロ・エミッションを志向した製造プラントが造られるなど、廃棄物の問題に対する取り組みが進んでいる。かかる取り組みは食品加工業界においても行われており、食品加工廃液の再資源化も進められているものの、廃液の量が多くその処理が間に合わない現状がある。特に、植物を原材料とする食品の加工廃液は、セルロースを主成分とする難分解性の繊維質や、硬い細胞壁を持つ植物細胞を浮遊物質(SS)として含むことが多く、それが処理の妨げとなることが多い。焼酎及び泡盛の蒸留粕、並びに清酒,食酢,醤油等の醸造粕が、その端的な例である。
【0003】
とりわけ、蒸留粕は、環境汚染防止の観点から海洋投棄が禁止されたため、その処分が重大な問題となっている。蒸留粕は、含水率90%以上の粘稠な固液混合物であって取り扱いが難しいため、固液分離を行い固体分と液体分を別々に処理するのが通例である。しかし、相対的に少量の固体分には飼料や肥料としての再利用方法があるものの、相対的に多量の液体分を処理する有効な方法は数少なかった。その要因の一つは、液体分が、腐敗し易く、多量の浮遊物質を含み取り扱いが難しい性質を有していることにある。
【0004】
蒸留粕に代表される多量の食品加工廃液を処理できる、新しい再資源化方法が望まれており、例えば、泡盛蒸留粕を使用した食酢の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−33170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の泡盛蒸留粕を使用した食酢の製造方法は、酢酸発酵だけで2〜3週間、貯蔵熟成を含む全工程で半年以上もの時間を要するため、蒸留粕を速やかに処理することができない。
【0007】
また、上記食酢の製造方法は、植物細胞の細胞壁の透過性を増す工程を含まない。したがって、植物細胞の外でしか酢酸発酵が起こらず、植物細胞の内部の成分を有効利用できない。また、繊維質は、分解されず複数回の濾過によって除去されるのみであって、それが新たな廃棄物となってしまう。
【0008】
これらの問題点に鑑み、本発明は、植物細胞又は繊維質を有効利用して、食品加工廃液を速やかに処理し再資源化することを課題とする。また、それによって得られる、多用途のアミノ酸含有液を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の発明者は、鋭意検討を重ね、酢酸発酵と乳酸発酵を交互に行う方法を見出した。酢酸菌は、酢酸発酵の際にタンパク質を分解しアミノ酸を産生する性質を持つが、植物細胞の透過性を増し又は繊維質を分解する能力には乏しい。しかし、驚くべきことに、酢酸発酵と乳酸発酵とを交互に繰り返すことで、浮遊物質が減少し、液中アミノ酸濃度が上昇することが判明した。これは、乳酸発酵によって、細胞壁の透過性が増すと共に繊維質が分解され、それが酢酸発酵を助けるためと解される。
【0010】
即ち、第1の発明は、
(A)植物細胞又は繊維質を含む食品加工廃液を処理槽に投入する工程
(C)前記処理槽に酢酸菌及び乳酸菌を投入し、間歇曝気により酢酸発酵と乳酸発酵とを交互に行い、発酵物を得る工程
(D)前記発酵物を固液分離してアミノ酸含有液を得る工程
順に行われる上記工程(A),(C),及び(D)を含む方法で得られるアミノ酸含有液である。
【0011】
第2の発明は、
(B)食品加工廃液に気液二相流を噴射する工程
前記工程(C)の前に行われる上記工程(B)を含む方法で得られる、第1の発明のアミノ酸含有液である。
【0012】
第3の発明は、液温を30℃以上37℃以下に維持して工程(C)が行われる、第1又は第2の発明のアミノ酸含有液である。
【0013】
第4の発明は、食品加工廃液が、焼酎若しくは泡盛の蒸留粕又は該蒸留粕を固液分離して得た液体分である、第1乃至第3の発明の何れかのアミノ酸含有液である。
【0014】
第5の発明は、食品加工廃液が、工程(D)でアミノ酸含有液と分離された粘稠物に水を加えた懸濁液である、第1乃至第3の発明の何れかのアミノ酸含有液である。
【0015】
第6の発明は、
(A)植物細胞又は繊維質を含む食品加工廃液を処理槽に投入する工程
(C)前記処理槽に酢酸菌及び乳酸菌を投入し、間歇曝気により酢酸発酵と乳酸発酵とを交互に行い、発酵物を得る工程
(D)前記発酵物を固液分離してアミノ酸含有液を得る工程
順に行われる上記工程(A),(C),及び(D)を含むアミノ酸含有液の製造方法である。
【0016】
第7の発明は、
(B)食品加工廃液に気液二相流を噴射する工程
上記工程(B)が前記工程(C)の前に行われる、第6の発明のアミノ酸含有液の製造方法である。
【0017】
第8の発明は、液温を30℃以上37℃以下に維持して工程(C)が行われる、第6又は第7の発明のアミノ酸含有液の製造方法である。
【0018】
第9の発明は、食品加工廃液が、焼酎若しくは泡盛の蒸留粕又は該蒸留粕を固液分離して得た液体分である、第6乃至第8の発明の何れかのアミノ酸含有液の製造方法である。
【0019】
第10の発明は、食品加工廃液が、工程(D)でアミノ酸含有液と分離された粘稠物に水を加えた懸濁液である、第6乃至第8の発明の何れかのアミノ酸含有液の製造方法である。
【0020】
第11の発明は、第1乃至第5の発明の何れかのアミノ酸含有液を含む肥料である。
【0021】
第12の発明は、第1乃至第5の発明の何れかのアミノ酸含有液を含む害虫忌避剤である。
【発明の効果】
【0022】
本発明のアミノ酸含有液の製造方法によれば、酢酸発酵と乳酸発酵とを交互に繰り返すことにより、従来困難であった、植物細胞又は繊維質を含む食品加工廃液の処理が可能である。それによって、浮遊物質が減少し、アミノ酸を豊富に含むアミノ酸含有液が得られる。酢酸発酵と乳酸発酵とを交互に繰り返すためには、同一槽内で間歇曝気する簡便な操作を行うのみで良い。短期間で処理が完遂するから、腐敗の虞が少ない。
それによって得られるアミノ酸含有液は、高濃度のアミノ酸を含み、多様な用途を有する。例えば、肥料,害虫忌避剤,健康飲料,又はそれらの原料、水質浄化能を有するコンクリート二次製品の原料として用いることができる。
【0023】
酢酸菌及び乳酸菌を添加する前に、食品加工廃液に気液二相流を噴射すると、該気液二相流によって破砕され又は強制酸化されることにより、植物細胞の細胞壁及び細胞膜の透過性が増す。工程(C)において、細胞内外で発酵が進行するから、植物細胞内部の成分を有効利用できるし、より速やかに処理が完遂する。繊維質も、気液二相流により破砕され、分解され易くなるから、浮遊物質がより高効率で分解され減少する。
それによって得られるアミノ酸含有液は、植物細胞内部の成分までもが発酵することにより、より高濃度のアミノ酸を含む。
【0024】
液温を30℃以上37℃以下に維持して工程(C)を行うと、発酵に適した発酵に適した液温に維持されることにより、発酵がより効率的に行われ、より短期間での処理が可能となる。
それによって得られるアミノ酸含有液は、効率的な発酵のために、更に高濃度のアミノ酸を含む。
【0025】
本発明のアミノ酸含有液の製造方法は、蒸留粕の新たな再資源化方法である。従来困難であった、焼酎若しくは泡盛の蒸留粕又は該蒸留粕を固液分離して得た液体分の、速やかで効率的な処理が可能となる。
【0026】
食品加工廃液として、工程(D)で副生する粘稠物に水を加えた懸濁液を用いると、前記粘稠物の量を更に低減でき廃棄物量が減少し、更に多量のアミノ酸含有液を得ることができる。
【0027】
本発明の肥料を用いると、農作物の収量が向上し、糖,ビタミン等の栄養素に富む農作物を得ることができる。
【0028】
また、本発明の害虫忌避剤を用いると、虫害が抑制され、農作物の収穫量が向上し、高品質で外観の良い農作物が得られる。忌避剤としての有効成分は酢酸及び乳酸であり、土壌微生物や植物の代謝によって容易に分解され、土壌及び農作物を汚染しない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る処理装置を示す配管図である。
【図2】本発明に係る噴射ノズルを示す斜視図である。
【図3】本発明に係る噴射ノズルを示す側方視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
まず、本発明のアミノ酸含有液の製造方法について、説明する。
【0032】
本発明に係る食品加工廃液は、植物を原材料とする加工食品の製造過程や、それに伴って排出される廃棄物を処理する過程で排出される廃液であって、植物細胞又は繊維質を含む。当該植物細胞又は繊維質は、食品の原材料たる植物に由来するものであって、通常、浮遊物質として含まれる。長尺の繊維質を初め処理不能な程度に大きい固形分は、予め固液分離により取り除かれることが好ましい。食品加工廃液としては、例えば、米焼酎,芋焼酎,麦焼酎その他の焼酎若しくは泡盛の蒸留粕、清酒,食酢,醤油等の醸造粕、又はそれらを固液分離して得られた液体分が挙げられる。液体分を得る固液分離手段は特に限定されず、回転篩,濾過機,遠心分離機,圧搾機,エクストルーダー等に例示される任意のものを用いることができる。尚、液体分と分離された固体分は、例えば、堆肥化し又は廃棄される。
【0033】
(食品加工廃液投入工程)
前記食品加工廃液を、一次処理槽4に投入する。食品加工廃液が高粘性であり又は浮遊物を多量に含む場合には、以降の操作を行い易くするため、水を加え希釈したものを被処理液とすることもできる。一次処理槽4は、開閉可能な蓋を有し(図示せず)、食品加工廃液,細菌類等を投入し又は曝気する際には蓋を開け、乳酸発酵時には蓋を閉めて嫌気状態にすることができる。
【0034】
(気液二相流噴射工程)
一次処理槽4内に、高速の気液二相流を噴射する。本工程は必須ではないが、以降の処理を効率良く行うために、気液二相流の噴射が行われることが好ましい。
【0035】
気液二相流は、空気を含む微細な気泡が混入した高速の液流であって、例えば、噴射ノズル9内で高速の液流を発生させ、別途供給される空気を前記噴射ノズル9内で液流に混合させることにより得られる。かかる目的を達成できれば、噴射ノズル9の形状,構造等は特に限定されない。図示される噴射ノズル9は、一次処理槽4の下部から上部にポンプ10送液する送液管15の先端に外嵌され溶接されていて、曝気ブロワ8から送気される空気を吸入して気液二相流を発生させる構成である。噴射ノズル9は、送液管15と同軸の略円柱形の外観を有し、やや大径の円筒状に形成された後部は送液管15に外嵌可能とされている。
【0036】
噴射ノズル9には、その上流側及び下流側の両端を連通する複数の送液孔12,…が穿設されており、送液管15から噴射ノズル9内に導かれた液流は、断面積の小さな送液孔12,…を通ることにより流速を増す。送液孔12,…は、局部的な負荷が掛らない様に、噴射ノズル9の断面に対して略均等に穿設される。送液孔12,…の形状,断面積,数,配置等は特に限定されないが、例えば、図2及び図3に示される様に、噴射ノズル9の軸と直交する直線上に円形断面を有する3個の大径の送液孔12,…を設けると共に、前記直線で2分割される領域に各2個ずつ、円形断面を有する小径の送液孔12,12を穿設することができる。噴射ノズル9の直径が50mmであるのに対して大径の送液孔12の直径は約7.1mm,小径の送液孔12の直径は5mmであり、これら送液孔12,…が噴射ノズル9断面積の約11%を占めるから、液流の流速は、送液孔12,…内では送液管15内の約9.1倍となる。送液管15内の流速は、気液二相流を噴射可能であれば特に限定されないが、通常、300L/分程度とされる。その場合、送液孔12,…内の液流は、約2.7×10L/分もの高速となる。
【0037】
噴射ノズル9内部には、全ての送液孔12,…の中間部を連通する混合室13が設けられ、該混合室13は噴射ノズル9の外周面に穿設された吸気口14と連通している。吸気口14には送気管16が内嵌され溶接されていて、曝気ブロワ8から供給された空気は、吸気口14を通って混合室13に導かれる。高速の液流は送液孔12の上流部分から下流部分に流入するが、混合室13でそれに空気が混入し、多量の気泡を含んだ気液二相流が生じる。
【0038】
送液管15の下端が一次処理槽4の底部付近と連通し、噴射ノズル9の下流端が液面下に配置されるから、一次処理槽4内の被処理液は、送液管15及び噴射ノズル9を通って循環する。気液二相流は、被処理液中の溶存酸素濃度を高めるほか、気液二相流中又は一次処理槽4内において、浮遊物質内に含まれる植物細胞の細胞壁及び細胞膜を、破砕し又は気泡により強制酸化する働きを持つ。これにより細胞壁及び細胞膜の透過性が増し次工程の発酵が細胞内外で進行するから、発酵に要する時間を短縮できるし、意図しない腐敗を防ぐことができる。気液二相流の噴射時間は特に限定されないが、充分な効果を得るためには、通常、一次処理槽4内の被処理液が5回程度循環することが目安とされる。
【0039】
(発酵工程)
その後、一次処理槽4に、酢酸菌及び乳酸菌を投入して発酵を行う。酢酸菌及び乳酸菌は、通常、それら細菌類を液体培地で培養して得た懸濁液として投入される。上記の通り、気液二相流には細胞壁及び細胞膜を破砕し又は強制酸化する働きがあるから、これら細菌類に悪影響を与えない様、気液二相流の噴射が完了した後に投入されることが好ましい。
【0040】
酢酸菌若しくは乳酸菌の増殖又は発酵を助ける添加物を添加することもできる。かかる添加物として、例えば、フルボ酸,エタノール,糖蜜,ブドウ糖,及びショ糖が挙げられる。フルボ酸には微生物を活性化する働きがあるから、酢酸菌及び乳酸菌の増殖、並びに酢酸発酵及び乳酸発酵が促進される。フルボ酸に替えて、フミン酸を用いることもできる。エタノールは、酢酸発酵の開始剤として作用するほか、耐性を持たない雑菌を殺し、酢酸菌及び乳酸菌の選択的増殖を助ける働きを持つ。エタノールとして、焼酎,泡盛,清酒その他の市販のアルコール飲料を用いることもできる。糖蜜,ブドウ糖,又はショ糖を添加すると、それらは乳酸発酵の開始剤として作用する。また、酵母が混在している場合には、エタノール発酵の原料となり、それによって産生されるエタノールが酢酸発酵の原料となる。
【0041】
その後、間歇曝気により、酢酸発酵(好気発酵)と乳酸発酵(嫌気発酵)とを交互に行い、発酵物を得る。曝気手段は特に限定されないが、例えば、図1に示される様に、曝気ブロワ8と一次処理槽4の底部とを送気管16で連結することができる。曝気の時間や回数は特に限定されないが、通常、1日の曝気時間の合計を約1時間程度とすれば良い。通常、細菌類及び添加物を投入した直後に初回の曝気を行うが、気液二相流の噴射を行った場合には、それを省略することもできる。また、溶存酸素量によって曝気の開始又は停止を判断しても良く、この場合には、例えば、一次処理槽4内の液中溶存酸素量が9ppm未満とならない様に維持する。発酵時の液温は、25℃以上37℃以下に維持されることが好ましく、より好ましくは30℃以上37℃以下、更に好ましくは35℃以上37℃以下とされる。これは、酢酸発酵及び乳酸発酵に適した液温に維持することにより、発酵を効率的に行うためである。
【0042】
斯様にして酢酸発酵と乳酸発酵を交互に行うことにより、被処理液中に含まれていた糖,エタノール,繊維質,及び植物細胞の細胞壁は乳酸又は酢酸となり、タンパク質は加水分解されてアミノ酸を生じる。しかも、発酵は速やかに進行し、3〜14日程度で処理が完遂する。アミノ酸濃度の上昇は、主に酢酸菌の働きによるものと解される。また、副次的には、酢酸と乳酸の産生によりpHが低下し、加水分解が進行することによると解される。ただし、酢酸発酵のみでは同程度のアミノ酸濃度上昇が認められないことから、乳酸発酵の際に植物細胞の細胞壁の透過性が増すと共に繊維質,タンパク質等の分解が進み、それによって酢酸菌の働きが促進されるものと解される。本工程においては視認可能な程度に浮遊物質が減少するが、これは、浮遊物質の主成分たる繊維質の分解が進行していることを支持するものである。本工程でpHが低下することは、意図しない雑菌の増殖を防ぎ腐敗を防止する効果を奏する。
【0043】
細菌の放出する二酸化炭素の気泡の減少等により発酵の完遂を知った後、発酵物を固液分離して、アミノ酸含有液(一次処理液)と粘稠物を得る。一次処理液は、浮遊物質を殆ど含まない略澄明な液体である。一方、粘稠物は、浮遊物質に含まれていた微細な繊維質及びその分解物のほか、酢酸菌及び乳酸菌並びにそれらの死骸を含み、約65〜70%の含水量を示す。当該粘稠物は、当初の固液分離で得られる固体分と同様に堆肥化し又は廃棄することも可能であるが、本発明の処理に供される別の食品加工廃液に混合し、又は、一次処理槽4と略同様の構造を有する二次処理槽5に投入して水に懸濁し、再度本発明のアミノ酸含有液の製造に供することもできる。二次処理槽5で発酵して得た発酵物は、アミノ酸含有液(二次処理液)と粘稠物に固液分離され、該粘稠物は、堆肥化され、廃棄され、又は本発明の処理に供される別の食品加工廃液に混合される。
【0044】
(熟成工程)
上記一次処理液及び二次処理液は、所望に応じて熟成槽に移し保存される。一次処理液と二次処理液とを同一の熟成槽で保存することもできるが、それぞれ一次熟成槽6と二次熟成槽6’とに、別々に保存することもできる。熟成槽においては、アミノ酸含有液を単に貯留することもできるが、発酵工程と同様の間歇曝気を行うこともできる。間歇曝気を行うと、残留する酢酸菌が生存し易い環境が維持され、酢酸菌の死骸によるスカムの発生を抑制できるし、pHの上昇やそれに伴う腐敗も抑制される。また、アミノ酸含有液に浮遊物質が僅かに含まれていたとしても、該浮遊物質は発酵によって減少する。
【0045】
次に、本発明のアミノ酸含有液について説明する。
【0046】
アミノ酸含有液は酢酸,乳酸,及び高濃度のアミノ酸を含み、当該アミノ酸濃度は、一次処理液の方が二次処理液よりも高値を示す。アミノ酸含有液は、例えば、肥料や健康飲料として若しくはそれらの原料として用いられ、又は、水質浄化能を有するコンクリート二次製品を製造するためにコンクリートに混入して用いられる。酢酸及び乳酸を含む酸性の液体であることから、害虫忌避剤又はその原料として用いることもできる。前記肥料又は前記害虫忌避剤は、通常、アミノ酸含有液を上水,井戸水等の水で希釈して製造される。一次処理液を水で希釈して肥料を製造する場合の希釈倍率は、元肥では100倍〜250倍が好適であり、追肥では好ましくは250倍〜1000倍、より好ましくは500倍〜1000倍である。二次処理液を水で希釈して害虫忌避剤を製造する場合の希釈倍率は通常100倍程度とされる。
【0047】
アミノ酸含有液を含む肥料を用いると、農作物の収量が向上し、糖,ビタミン等の栄養素に富む農作物が得られる。これは、主に、アミノ酸含有液に高濃度で含まれるアミノ酸の働きによると解される。一般的に、土壌に多く含まれるケイ酸やアルミニウム化合物による吸着のため、栄養素の農作物への吸収は阻害され易く、特に陽イオン性の栄養素において顕著である。しかし、本発明の肥料を用いると、等電点を異にする多種のアミノ酸分子が対イオンとして機能することにより、アンモニウムイオン,硝酸イオン,リン酸イオン,カリウムイオン等の栄養素の吸収が促進される。また、アミノ酸自体が農作物に吸収され、タンパク質の原料となり、良好な発育を促進する。
【0048】
以下、実施例を記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0049】
(食品加工廃液投入工程)
原料タンク1に受け入れた米焼酎の蒸留粕約1mを、20メッシュの回転篩7で固液分離し、長尺の繊維質を主成分とする固体分と、多量の浮遊物質を含む液体分約700Lを得、それぞれ固体分貯留槽2と液体分貯留槽3に一旦保存した。該液体分を一次処理槽4に入れ、水300Lを加え混合して、被処理液を得た。一方、固体分は、堆肥化の用に供した。
【0050】
(気液二相流噴射工程)
送液管15を介して前記被処理液を循環させ、一次処理槽4内の被処理液に向けて、噴射ノズル9から気液二相流を噴射した。送液管15内の流速を300L/分とし、気液二相流を約17分間に亘って噴射した。これにより、一次処理槽4内の被処理液は、約5回循環したこととなる。
【0051】
(一次発酵工程)
被処理液に、フルボ酸(インターマン株式会社製) 5L,焼酎(アルコール度数:35度) 1L,及び廃糖蜜 5Lを投入し、曝気ブロワ8を約5分間運転して、それら添加物を被処理液と混合した。次いで、酢酸菌液 1L及び乳酸菌液 1Lを加えた。ここで、酢酸菌液には市販の酢酸菌を液体培地で培養して得た懸濁液を用い、乳酸菌液には市販の乳酸菌を液体培地で培養して得た懸濁液を用いた。当初の液温は25℃であり、本実施例においては、これ以降特に温度制御しなかった。
【0052】
その後、間歇曝気を行いながら、被処理液を発酵させた。間歇曝気は、1日の曝気時間の合計が約1時間となる様に、1日に1〜2回行った。この操作を初日から毎日繰り返し、12日目には、気泡の発生が殆ど認められなくなり発酵完遂と判断した。上記と同規格の回転篩7を用いて発酵物を固液分離し、約800Lの一次処理液と約200Lの粘稠物を得た。発酵は、温度制御しなかった場合には12〜14日で完遂するが、液温を30℃〜37℃に維持すると6〜7日で、液温を35〜37℃に維持すると通常3日で完遂する。
【0053】
(二次発酵工程)
上記で得た粘稠物を、再度、発酵に供した。まず、前記粘稠物の全量(約200L)を二次処理槽5に投入し、次いで水800Lを投入して混合し、被処理液を得た。更に、フルボ酸 2L,焼酎(アルコール度数:35度) 1L,廃糖蜜 4L,及びブドウ糖 2kgを投入し、曝気ブロワ8を約5分間運転して、これら添加物を被処理液に混合した。次いで、酢酸菌液 0.5L及び乳酸菌液 0.5Lを加えた。酢酸菌液,乳酸菌液,及び各添加物の投入量を一次発酵工程より少なめにしているのは、粘稠物に残存する繊維質,タンパク質等の量が少なく、粘稠物が酢酸菌及び乳酸菌の生菌を含むため、それらの投入量を減じても充分に発酵が進むからである。
【0054】
その後、間歇曝気を行いながら、被処理液を発酵させた。間歇曝気は、1日の曝気時間の合計が約1時間となる様に、1日に1〜2回行った。この操作を初日から毎日繰り返し、10日目には、気泡の発生が殆ど認められなくなり発酵完遂と判断した。上記と同規格の回転篩7を用いて発酵物を固液分離し、約900Lの二次処理液と約100Lの粘稠物を得た。発酵は、温度制御しなかった場合には10〜12日で完遂するが、液温を30℃〜37℃に維持すると約5日で完遂する。二次粘稠物は、本発明の処理方法による処理が予定される、別の蒸留粕に混合した。
【0055】
(熟成工程)
一次処理液を一次熟成槽6に、二次処理液を二次熟成槽6’に、それぞれ入れて保存した。何れも、保存期間中、1日の曝気時間の合計が約1時間となる様に、1日に1〜2回曝気を行った。
【0056】
本実施例で得たアミノ酸含有液のアミノ酸分析を行い、原料の蒸留粕を固液分離して得た液体分と比較した。アミノ酸含有液としては、粘稠物と分離された後、一切熟成保存されていない一次処理液及び二次処理液を用いた。各サンプルを除タンパクした後に希塩酸で希釈し(サンプル原液に対する希釈倍率は20倍であった)、それを全自動アミノ酸分析機JLC−500(日本電子株式会社製)で分析した。希釈後のアミノ酸含量実測値を、表1に示す。尚、約40種以上の化学種の分析が可能であったが、何れのサンプルでも検出されなかった化学種は表中に示していない。また、空欄は、定量限界以下であったことを示す。
【0057】
【表1】

【0058】
表1に示される様に、一次処理液中のアミノ酸含量は、一部を除いて液体分より高く、概ね2倍又はそれ以上である。二次処理液には、液体分と概ね同等のアミノ酸が含まれるが、本発明に係る処理の過程で希釈されていることを考慮すると、アミノ酸が有意に増加していることが分かる。
【実施例2】
【0059】
実施例1で得た一次処理液を100倍希釈して元肥として用い、マルチシートを用いて畑で甘薯を栽培した。10a当りの収穫量は3088kgであり、堆肥を元肥として用いた場合の収穫量2451kgに比べ、約26%増加した。
【実施例3】
【0060】
実施例1で得たアミノ酸含有液を用い、畑でスナップエンドウを栽培した。本実施例においては、上水で500倍希釈した一次処理液及び堆肥を元肥として用い、上水で500倍希釈した一次処理液を追肥として散布し、上水で100倍希釈した二次処理液を害虫忌避剤として使用した。比較例1では、元肥に堆肥のみを用い、追肥として化学肥料及び害虫忌避のための化学薬剤を用いた。本実施例と比較例1の11月から翌年4月までの収穫量を、表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
表2に示される様に、比較例1が一般的な収穫量を示したのに対して、本実施例では合計約11%の収穫量増加が認められ、特に2〜4月の収穫量増加が顕著である。これは、一般的には外気温の上昇に伴って収穫量が低下するが、希釈したアミノ酸含有液を施肥した本実施例では、生り疲れせず収穫可能期間が延びたためである。また、実施例3の12月及び1月の収穫量が大幅に減少しているのは、害虫が発生したことによる。
【実施例4】
【0063】
実施例1で得たアミノ酸含有液を用い、ビニールハウスでトマトを栽培した。本実施例においては、元肥に堆肥を用い、上水で250倍希釈した一次処理液を追肥として散布し、上水で100倍希釈した二次処理液を害虫忌避剤として使用した。比較例2では、元肥に堆肥を用い、追肥として化学肥料を用い、害虫忌避のために化学薬剤を用いた。本実施例と比較例2で収穫されたトマトについて食品分析を行った結果を、表3に示す。表3に示される様に、糖度,ビタミンA(β−カロテン)含量,及びビタミンC含量の何れも、有意に上昇していた。
【0064】
【表3】

【実施例5】
【0065】
実施例1で得たアミノ酸含有液を用い、ビニールハウスで夏イチゴを栽培した。上水で250倍希釈した一次処理液を液肥として葉面散布し、上水で100倍希釈した二次処理液をアブ防止のための害虫忌避剤として使用した。収穫される夏イチゴの糖度は、6月当初には13%、7〜8月には10.8%の高値を示した。
【符号の説明】
【0066】
1 原料タンク
2 固体分貯留槽
3 液体分貯留槽
4 一次処理槽
5 二次処理槽
6 一次熟成槽
6’ 二次熟成槽
7 回転篩
8 曝気ブロワ
9 噴射ノズル
10 ポンプ
11 バルブ
12 送液孔
13 混合室
14 吸気口
15 送液管
16 送気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)植物細胞又は繊維質を含む食品加工廃液を処理槽に投入する工程
(C)前記処理槽に酢酸菌及び乳酸菌を投入し、間歇曝気により酢酸発酵と乳酸発酵とを交互に行い、発酵物を得る工程
(D)前記発酵物を固液分離してアミノ酸含有液を得る工程
順に行われる上記工程(A),(C),及び(D)を含む方法で得られることを特徴とするアミノ酸含有液。
【請求項2】
(B)食品加工廃液に気液二相流を噴射する工程
前記工程(C)の前に行われる上記工程(B)を含む方法で得られることを特徴とする請求項1に記載のアミノ酸含有液。
【請求項3】
液温を30℃以上37℃以下に維持して工程(C)が行われることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアミノ酸含有液。
【請求項4】
食品加工廃液が、焼酎若しくは泡盛の蒸留粕又は該蒸留粕を固液分離して得た液体分であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のアミノ酸含有液。
【請求項5】
食品加工廃液が、工程(D)でアミノ酸含有液と分離された粘稠物に水を加えた懸濁液であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のアミノ酸含有液。
【請求項6】
(A)植物細胞又は繊維質を含む食品加工廃液を処理槽に投入する工程
(C)前記処理槽に酢酸菌及び乳酸菌を投入し、間歇曝気により酢酸発酵と乳酸発酵とを交互に行い、発酵物を得る工程
(D)前記発酵物を固液分離してアミノ酸含有液を得る工程
順に行われる上記工程(A),(C),及び(D)を含むことを特徴とするアミノ酸含有液の製造方法。
【請求項7】
(B)食品加工廃液に気液二相流を噴射する工程
上記工程(B)が前記工程(C)の前に行われることを特徴とする請求項6に記載のアミノ酸含有液の製造方法。
【請求項8】
液温を30℃以上37℃以下に維持して工程(C)が行われることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のアミノ酸含有液の製造方法。
【請求項9】
食品加工廃液が、焼酎若しくは泡盛の蒸留粕又は該蒸留粕を固液分離して得た液体分であることを特徴とする請求項6乃至請求項8の何れか1項に記載のアミノ酸含有液の製造方法。
【請求項10】
食品加工廃液が、工程(D)でアミノ酸含有液と分離された粘稠物に水を加えた懸濁液であることを特徴とする請求項6乃至請求項8の何れか1項に記載のアミノ酸含有液の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のアミノ酸含有液を含むことを特徴とする肥料。
【請求項12】
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のアミノ酸含有液を含むことを特徴とする害虫忌避剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−100192(P2013−100192A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244071(P2011−244071)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(311005895)
【出願人】(311006308)
【Fターム(参考)】