説明

アミノ酸誘導体の製造方法

【課題】医農薬の合成中間体として有用な窒素のα−位が置換されたアミノ酸誘導体の製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)


で表されるデヒドロアミノ酸誘導体と、下記一般式(2)R−Xで表されるアルキルハライドを金属存在下、反応させ下記一般式(3)


で表されるアミノ酸誘誘導体を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素原子のα−位を置換したアミノ酸誘導体の製造方法に関する。窒素原子のα−位を置換したアミノ酸誘導体は医農薬の合成中間体として用いられる有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
従来技術としては、アクリル酸エステル誘導体にパーフルオロアルキルアイオダイドを光反応により付加させた後、ヨウ素原子をソジウムアジドによりアジド化し、次いで還元することにより目的とするα−位を置換されたアミノ酸誘導体を得る方法が知られている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。また、グリオキシムエーテルを用い、インジウム存在下アルキル化する方法が知られている(非特許文献4)。
【非特許文献1】第31回フッ素化学討論会要旨集 P−17(2007)
【非特許文献2】Org.Lett.2007,9,2513−2512
【非特許文献3】Eur.J.Org.Chem.2008,1331−1335
【非特許文献4】Org.Lett.2002,4,131−134
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の非特許文献1、非特許文献2並びに非特許文献3に記載の方法は反応ステップが長く、また基質の種類によっては、ヨウ素原子をアジドに置換反応をする際、脱離反応が優先し、アルケンが生成してしまうという問題点があった。また工業的に使用が困難なソジウムアジドを使用するという問題点があった。
【0004】
一方、非特許文献4においては、イミン誘導体へのアルキルの付加反応で、α−位を置換したアミノ酸誘導体の製法は提案されていない。
【0005】
そこで本発明は簡便かつ工業的に実施可能な窒素原子のα−位を置換したアミノ酸誘導体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決する方法について鋭意検討した結果、α−ケト酸類とカーバメート類を反応させることにより容易に調製可能な、デヒドロアミノ酸誘導体を原料とし、金属存在下、アルキルハライドを反応させることにより窒素のα−位へのアルキル基の導入及びにアルキル化後に生成するラジカルを還元することが可能で、目的物の窒素のα−位が置換されたアミノ酸が誘導可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
[項1] 下記一般式(1)
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Rは水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、モノフルオルメチル基、ジフロロメチル基、トリフルオロメチル基又は水素原子をフッ素原子で任意に置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基を示し、R並びにRはメチル基、エチル基、炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を示す)
で表されるデヒドロアミノ酸誘導体と、下記一般式(2)
【0010】
−X (2)
【0011】
(式中、Rはメチル基、エチル基、炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、モノフルオルメチル基、ジフロロメチル基、トリフルオロメチル基又は水素原子をフッ素原子で任意に置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す)
で表されるアルキルハライドを金属存在下、反応させることを特徴とする下記一般式(3)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、R、R、R並びにRはは前記定義に同じ)
で表されるアミノ酸誘誘導体の製造方法。
【0014】
[項2] 前記金属がインジウムであることを特徴とする項1に記載のアミノ酸誘導体の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、窒素のα−位が置換されたアミノ酸誘導体を簡便かつ工業的に製造することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の一般式(1)の化合物としては、具体的には例えば、メチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)アクリレート、エチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)アクリレート、メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アクリレート、エチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アクリレート、メチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)クロトネート、エチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)クロトネート、メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)クロトネート、エチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)クロトネート等があげられる。
【0018】
本発明の一般式(2)の化合物としては、具体的には例えば、メチルブロマイド、メチルアイオダイド、エチルブロマイド、エチルアイオダイド、プロピルブロマイド、プロピルアイオダイド、n−ブチルブロマイド、n−ブチルアイオダイド、n−ペンチルアイオダイド、n−ヘキシルアイオダイド、n−ヘプチルアイオダイド、n−オクチルアイオダイド、n−ノニルアイオダイド、n−デシルアイオダイド、シクロヘキシルアイオダイド、モノフルオロメチルブロマイド、モノフルオロメチルアイオダイド、ジフルオロメチルブロマイド、ジフルオロメチルアイオダイド、トリフルオロメチルブロマイド、トリフルオロメチルアイオダイド、ヘプタフルオロプロピルアイオダイド、ノナフルオロブチルアイオダイド、トリデカフルオロヘキシルアイオダイド等があげられ、反応に具する一般式(1)で表されるデヒドロアミノ酸誘導体に対して2〜20当量使用し、反応系に一括添加しても良いし、必要に応じて分割して添加しても良い。
【0019】
本発明の一般式(3)の化合物としては、具体的には例えば、メチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブチレート、エチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブチレート、メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ブチレート、エチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ブチレート、メチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、エチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、エチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、メチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ペンタノエート、エチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ペンタノエート、メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノエート、エチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノエート、メチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルペンタノエート、エチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルペンタノエート、メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルペンタノエート、エチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルペンタノエート、メチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノエート、エチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノエート、メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサノエート、エチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサノエート、メチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘキサノエート、エチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘキサノエート、メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘキサノエート、エチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘキサノエート、メチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘプタノエート、エチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘプタノエート、メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘプタノエート、エチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘプタノエート、メチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘプタノエート、エチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘプタノエート、メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘプタノエート、エチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘプタノエート、メチル 4−フルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブチレート、エチル 4−フルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブチレート、メチル 4−フルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ブチレート、エチル 4−フルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ブチレート、メチル 4−フルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、エチル 4−フルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、メチル 4−フルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、エチル 4−フルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、メチル 4,4−ジフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブチレート、エチル 4,4−ジフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブチレート、メチル 4,4−ジフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ブチレート、エチル 4,4−ジフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ブチレート、メチル 4,4−ジフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、エチル 4,4−ジフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、メチル 4,4−ジフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、エチル 4,4−ジフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、メチル 4,4,4−トリフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブチレート、エチル 4,4,4−トリフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブチレート、メチル 4,4,4−トリフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ブチレート、エチル 4,4,4−トリフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ブチレート、メチル 4,4,4−トリフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、エチル 4,4,4−トリフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、メチル 4,4,4−トリフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、エチル 4,4,4−トリフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブチレート、メチル 4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノエート、エチル 4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノエート、メチル 4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサノエート、エチル 4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサノエート、メチル 4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘキサノエート、エチル 4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘキサノエート、メチル 4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘキサノエート、エチル 4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘキサノエート、メチル 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘプタノエート、エチル 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘプタノエート、メチル 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘプタノエート、エチル 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘプタノエート、メチル 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘプタノエート、エチル 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘプタノエート、メチル 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘプタノエート、エチル 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルヘプタノエート、メチル 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ノナノエート、エチル 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ノナノエート、メチル 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ノナノエート、エチル 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ノナノエート、メチル 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルノナノエート、エチル 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メチルノナノエート、メチル 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルノナノエート、エチル 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチルノナノエート等があげられる。
【0020】
本発明で用いられる金属としては、鉄、亜鉛、ガリウム、スズ、インジウム等があげられるが、好ましくはインジウムで、反応に具する一般式(1)で表されるデヒドロアミノ酸誘導体に対して2〜20当量使用する。
【0021】
本発明に使用可能な溶剤としては、反応に不活性のものであれば特に規定はなく、具体的には例えばメタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、水等があげられるが、好ましくはメタノールであり、反応に具する一般式(1)で表されるデヒドロアミノ酸誘導体に対して2〜200重量倍量使用する。
【0022】
本発明の反応温度としては、0℃〜使用する溶剤の沸点までの範囲で実施可能であり、例えばメタノールを使用する際は、40〜60℃で反応を行うことが好ましい。
【0023】
本発明の反応時間は、用いる基質、試剤及び反応温度によりことなるが、通常10分〜6時間の範囲で反応が完結する。
【0024】
本発明は、反応終了後、通常の後処理操作を行うことにより、一般式(3)で表される目的物を得ることができる。
【実施例】
【0025】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0026】
参考例1 メチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)アクリレートの調製
リービッヒコンデンサー及び攪拌子を備えた100mlのナス型フラスコに、メチル 2−オキソプロピオネート(5g,49mmol)、ベンジルカーバメート(8.9g,59mmol)、硫酸(0.5ml)及びトルエン(50ml)を入れ、攪拌しながら還流下4時間反応を行った。
【0027】
反応終了後、飽和の炭酸水素ナトリウム水溶液で中和、トルエンで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、濃縮、ついでシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより目的物のメチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)アクリレート(5.8g,25mmol、収率51%)を得た。
【0028】
実施例1 メチル 4,4,4−トリフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブチレートの調製
攪拌子を備えた10mlのパイレックス(登録商標)チューブに、メチル 2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)アクリレート(47mg,0.2mmol)、トリフルオロメチルアイオダイド(156mg,0.8mmol)、インジウムパウダー(161mg,1.4mmol)及びメタノール(3ml)を入れ、15分室温で攪拌後、さらにトリフルオロメチルアイオダイド(156mg,0.8mmol)を加え、50℃で1時間攪拌を行った。
【0029】
反応終了後、飽和の炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、トルエンで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、濃縮することにより粗製物を得、次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより目的物のメチル 4,4,4−トリフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブチレート(41.5mg、0.14mmol、収率68%)を得た。
H−NMR(600MHz,CDCl)δ=7.33−7.37(m,5H),5.53(d,J=6.6Hz,1H),5.14(s,2H),4.63−4.66(m,1H),3.80(s,3H),2.78−2.83(m,1H),2.65−2.71(m,1H)。
【0030】
実施例2 メチル 4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノエートの調製
実施例1と同じ反応装置を用い、トリフルオロメチルアイオダイドをヘプタフルオロエチルアイオダイド(236mg,0.8mmol,2回投入)に替えた以外実施例1と同じ操作を行い、目的物のメチル 4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノエート(36.5mg,0.09mmol,収率45%)。
H−NMR(600MHz,CDCl)δ=7.32−7.38(m,5H),5.52(d,J=7.2Hz,1H),5.14(s,2H),4.71−4.74(m,1H),3.78(s,3H),2.70−2.80(m,1H),2.60−2.69(m,1H)。
【0031】
実施例3 メチル 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘプタノエートの調製
実施例1と同じ反応装置を用い、トリフルオロメチルアイオダイドをノナフルオロブチルアイオダイド(275mg,0.8mmol,2回投入)に替えた以外実施例1と同じ操作を行い、目的物のメチル 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘプタノエート(51.0mg,0.11mmol,収率56%)を得た。
H−NMR(600MHz,CDCl)δ=7.32−7.37(m,5H),5.53(d,J=7.6Hz,1H),5.14(s,2H),4.71−4.74(m,1H),3.79(s,3H),2.76−2.83(m,1H),2.63−2.71(m,1H)。
【0032】
実施例4 メチル 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘプタノエートの調製
実施例1と同じ反応装置を用い、溶剤のメタノールをメタノール(1ml)及び水(0.4ml)の混合溶剤に替えた以外実施例3と同じ操作を行い目的物のメチル 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘプタノエート(31.9mg,0.07mmol,収率35%)を得た。
【0033】
実施例5 メチル 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘプタノエートの調製
実施例1と同じ反応装置を用い、ノナフルオロブチルアイオダイド(275mg,0.8mmol、1回投入)及びインジウムパウダー(91.8mg,0.8mmol)に替えた以外実施例3と同じ反応操作を行い、目的物のメチル 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘプタノエート(43.7mg,0.10mmol,収率35%)を得た。
【0034】
実施例6 メチル 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ノナノエートの調製
実施例1と同じ反応装置を用い、トリフルオロメチルアイオダイドをトリデカフルオロヘキシルアイオダイド(377mg,0.8mmol)に替えた以外実施例1と同じ反応操作を行い、目的物のメチル 4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−トリデカフルオロ−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ノナノエート(23.3mg,0.04mmol,収率21%)を得た。
H−NMR(600MHz,CDCl)δ=7.33−7.37(m,5H),5.52(d,J=8.4Hz,1H),5.13(s,2H),4.72−4.74(m,1H),3.80(s,3H),2.76−2.83(m,1H),2.64−2.71(m,1H)。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明方法で製造される窒素のα−位が置換されたアミノ酸誘導体は医農薬の合成中間体として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、Rは水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、モノフルオルメチル基、ジフロロメチル基、トリフルオロメチル基又は水素原子をフッ素原子で任意に置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基を示し、R並びにRはメチル基、エチル基、炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を示す)
で表されるデヒドロアミノ酸誘導体と、下記一般式(2)
−X (2)
(式中、Rはメチル基、エチル基、炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、モノフルオルメチル基、ジフロロメチル基、トリフルオロメチル基又は水素原子をフッ素原子で任意に置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す)
で表されるアルキルハライドを金属存在下、反応させることを特徴とする下記一般式(3)
【化2】

(式中、R、R、R並びにRは前記定義に同じ)
で表されるアミノ酸誘誘導体の製造方法。
【請求項2】
前記金属がインジウムであることを特徴とする請求項1に記載のアミノ酸誘導体の製造方法。

【公開番号】特開2010−116345(P2010−116345A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290701(P2008−290701)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】