説明

アミノ酸誘導体

【課題】改善された特性を有する新規な薬物(例えば疼痛治療薬)の提供。
【解決手段】式(II)の化合物


(式中、Rは4−メチルペント−1−イルおよび1−メチルペント−1−イル以外の、分枝したC6〜C10アルキルやシクロヘキシルメチル以外の、1つのC3〜C8シクロアルキル基によって置換されたC1〜C6アルキル等で、Rは場合により1つ以上のフルオロ基によって置換されたメチル等である)、およびこの化合物を含有するものを使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はα‐アミノ酸誘導体に関する。より具体的には、本発明はα、α‐二置換‐α‐アミノ酸誘導体ならびにそのような誘導体の製造のための方法、製造に使用される中間体、それらを含有する組成物およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の化合物はアルファ‐2‐デルタ(α2δ)受容体リガンド(アルファ‐2‐デルタリガンドとしても公知)であり、それゆえ多数の異なる疾患の治療に有用である。アルファ‐2‐デルタ受容体リガンドは、ヒトカルシウムチャネル アルファ‐2‐デルタ
サブユニットのいずれのサブタイプにも結合する分子である。カルシウムチャネル アル
ファ‐2‐デルタサブユニットは、文献(例えば、1型、J.Biol.Chem.,1996,271(10),5768−76;2および3型、J.Membr.Biol.,2001,184(1),35−43およびMol.Pharmacol.,2001,59(5),1243−1248,2001;ならびに4型、Mol.Pharmacol.,2002,62(3),485−496)に記載されているいくつものサブタイプを含む。また、アルファ‐2‐デルタ受容体リガンドは時にはGABA類似体としても知られる。
【0003】
公知のアルファ‐2‐デルタリガンドの中では、ガバペンチン(登録商標ニューロンチン(Neurontin)という名称で販売される)およびプレガバリン(登録商標リリカ(Lyrica)という名称で販売される)のような薬物が市販されている。ガバペンチンはてんかんの治療のために市販されている抗けいれん薬である。プレガバリンは神経障害性疼痛の治療のために市販されている。
【発明の開示】
【0004】
潜在的に改善された特性(たとえば、より強い効能、より高い選択性、消化管からのよりよい吸収、より高い代謝安定性およびより好ましい薬物動態学的特性)を有する新規な薬物を提供する必要性が常に存在する。他の潜在的な利点としては、、血液脳関門への浸透の増大または低下(標的の疾患による)、毒性の低下、および副作用の発生の減少が挙げられる。
【0005】
本発明はしたがって、態様Aとして、疼痛治療用の医薬品の工業的製造のための、式(I)の化合物:
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、
はC〜Cアルキルであり、前記C〜Cアルキルは場合により1種以上のハロ、‐R、‐OR、または‐SR基によって置換され;
は場合により1種以上のフルオロ基によって置換されたメチルであり、
はH、(C〜Cアルキル)、アリール、インダニルまたは(C〜Cアルキル)オキシカルボニルオキシ(C〜Cアルキル)であり;
はH、(C〜Cアルキル)C(O)‐、アリールC(O)‐、またはそのカルボキシル基を介して結合してアミドを形成する天然のα‐アミノ酸残基であり;
はC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cシクロアルキルまたはアリールであり;
アリールはフェニルまたはナフチルであり、それぞれが場合によりハロ、‐NR、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシおよびシアノから選択される1種以上の置換基によって置換され;そして
はH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである)
または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0008】
本発明はその上、態様Bとして、式(II)の化合物:
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、
は:
(a)4−メチルペント−1−イルおよび1−メチルペント−1−イル以外の、分枝したC〜C10アルキル;
(b)1−フルオロエト−1−イル、ヘプタフルオロプロピル、2,2−ジトリフルオロメチルエト−1−イル、ペンタフルオロエチル、2−フルオロエト−1−イル、2−フルオロペント−1−イルおよび2−フルオロ−3−メチルブト−1−イル以外の、1種以上のフルオロ基によって置換されたC〜Cアルキル;
(c)シクロヘキシルメチル以外の1種のC〜Cシクロアルキル基によって置換された
〜Cアルキル;
(d)アリールが(他の置換にかかわらず)フェニルまたは−NH、ヨードもしくはメトキシ基によって置換されたフェニルである場合以外の、1種のアリール基によって置換されたエチル;
(e)アリールがフェニル、3,4−ジヒドロキシフェニルまたは3,4−ジメトキシフェニルである場合以外の、アリールによって置換されたC〜Cアルキル;
(f)アリールによって置換されたC〜Cアルキル;
(g)C〜Cアルコキシによって置換されたC〜Cアルキル;
(h)C〜Cアルコキシによって置換されたC〜Cアルキル;
(i)C〜Cシクロアルキルオキシによって置換されたC〜Cアルキル;
(j)(2−メトキシフェニル)オキシメチル、(4−メトキシフェニル)オキシメチル、(4−クロロフェニル)オキシメチル、(2,6−ジメチルフェニル)オキシメチル、(2−メトキシ−5−クロロフェニル)オキシメチル、(2−メトキシ−5−フルオロフェニル)オキシメチルおよび(2−メトキシ−4−クロロフェニル)オキシメチル以外の、アリールオキシによって置換されたC〜Cアルキル;
(k)ヘキシルチオによって置換されたメチルまたはC〜Cアルキルチオによって置換されたC〜Cアルキル;
(l)シクロヘキシルチオメチル以外の、C〜Cシクロアルキルチオによって置換されたC〜Cアルキル;または
(m)フェニルチオメチル、(4−クロロフェニル)チオメチル、(4−フルオロフェニル)チオメチル、2−(フェニルチオ)エチル、(4−クロロフェニル)チオエチル、(4−メトキシフェニル)チオメチルおよび(4−メトキシフェニル)チオエチル以外の、アリールチオによって置換されたC〜Cアルキルであり;
は場合により1種以上のフルオロ基によって置換されたメチルであり、
アリールはフェニルまたはナフチルであり、それぞれ場合によりハロ、‐NR、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシおよびシアノから選択される1種以上の置換基によって置換され;そして
はH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである)、
または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0011】
上記の定義において、ハロはフルオロ、クロロまたはブロモを意味し、そして好ましくはフルオロまたはクロロである。必要な数の炭素原子を含有するアルキルおよびアルコキシ基は、特記しない限り、非分枝または分枝鎖でありうる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルが挙げられる。アルコキシの例としてはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシおよびt−ブトキシが挙げられる。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。
【0012】
態様Aaにおいて、本発明は疼痛治療用の医薬品の工業的製造のための、式(I)の化合物または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物の使用を提供し、式中、RおよびRは両方Hであり、そしてRおよびRは態様Aにおいて定義したとおりである。
【0013】
態様Abにおいて、本発明は疼痛治療用の医薬品の工業的製造のための、式(I)の化合物または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物の使用を提供し、式中、RおよびRは態様Aまたは態様Aaにおいて先に定義したとおりであり、Rは態様Aにおいて定義したとおりであり、そしてRはメチルである。
【0014】
態様Acにおいて、本発明は疼痛治療用の医薬品の工業的製造のための式(I)の化合物または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物の使用を提供し、式中、RおよびRは態様Aまたは態様Aaにおいて先に定義したとおりであり、Rは態様Aまたは態様Abにおいて先に定義したとおりであり、そしてRは:
(a)場合により1種以上のハロ、‐R、‐OR、または‐SR基によって置換されるC〜Cアルキルであり、Rは態様Aにおいて定義したとおりである;または
(b)置換されていないC〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル、アリールまたはアリールオキシから選択される1種の基によって置換されたC〜Cアルキルであり、アリールは態様Aにおいて定義したとおりである;
(c)分枝した、置換されていないC〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル、アリールまたはアリールオキシから選択される1種の基によって置換されたC〜Cアルキルであり、アリールは態様Aにおいて定義したとおりである;
(d)エチルブチル、ジメチルブチル、エチルペンチル、メチルペンチル、メチルブチル、シクロペンチルメチル、シクロブチルメチル、シクロプロピルエチル、フェニルオキシエチルもしくはクロロフェニルメチルである;または
(e)2−エチル−ブト−1−イル、3,3−ジメチルブト−1−イル、3−エチルペント−1−イル、3−メチルペント−1−イル、2−メチル−ブト−1−イル、3−メチル−ブト−1−イル、4−メチルペント−1−イル、シクロペンチルメチル、シクロブチルメチル、2−シクロプロピルエト−1−イル、2−(フェニルオキシ)エト−1−イルもしくは(3−クロロフェニル)メチルである。
【0015】
態様Baにおいて、本発明は式(II)の化合物、または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物を提供し、式中、Rは態様Bにおいて先に定義したとおりであり、そしてRはメチルである。
【0016】
態様Bbにおいて、本発明は式(II)の化合物、または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物を提供し、式中、Rは態様Bまたは態様Baにおいて先に定義したとおりであり、そしてRは:
(a)4−メチルペント−1−イルおよび1−メチルペント−1−イル以外の、分枝したC〜C10アルキル;シクロヘキシルメチル以外の、1種のC〜Cシクロアルキル基によって置換されたC〜Cアルキル;(2−メトキシフェニル)オキシメチル、(4−メトキシフェニル)オキシメチル、(4−クロロフェニル)オキシメチル、(2,6−ジメチルフェニル)オキシメチル、(2−メトキシ−5−クロロフェニル)オキシメチル、(2−メトキシ−5−フルオロフェニル)オキシメチルおよび(2−メトキシ−4−クロロフェニル)オキシメチル以外の、アリールオキシによって置換されたC〜Cアルキル;2−メチルブチル;もしくはクロロフェニルメチル;または
(b)2−エチル−ブト−1−イル、3,3−ジメチルブト−1−イル、3−エチルペント−1−イル、3−メチルペント−1−イル、2−メチルブト−1−イル、4−メチルペント−1−イル、シクロペンチルメチル、シクロブチルメチル、2−シクロプロピルエト−1−イル、2−(フェニルオキシ)エト−1−イルまたは(3−クロロフェニル)メチルである。
【0017】
本発明に従った特定の好ましい化合物は、後述の実施例の項において挙げられたもの、ならびに薬剤的に受容できるその塩および溶媒和物である。
本発明における使用のための化合物の付加的な例としては:
3−クロロ−アルファ−メチル−L−フェニルアラニン;
4−フェノキシ−L−イソバリン;
2,5−ジメチル−L−ノルロイシン;および
(2S)−2−アミノ−4−シクロプロピル−2−メチルブタン酸;
ならびに薬剤的に受容できるその塩および溶媒和物が挙げられる。
【0018】
式(II)の化合物はすべて、それ自体が新規である式(I)の化合物でもあることに注意すべきである。結果として、以下の式(I)の化合物にとってのすべての記述は、同じ様に式(II)の化合物を表すと理解されるべきである。
【0019】
式(I)の化合物の薬剤的に受容できる塩は、その酸付加および塩基塩を包含する。
適切な酸付加塩は非毒性塩を形成する酸から形成される。例としては、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシレート、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、硼酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシレート、蟻酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/クロリド、臭化水素酸塩/ブロミド、ヨウ化水素酸塩/ヨージド、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチレート、2−ナプシレート、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロテート、蓚酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/水素、リン酸塩/二水素、リン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩が挙げられる。
【0020】
適切な塩基塩は非毒性塩を形成する塩基から形成される。例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛塩が挙げられる。
【0021】
また、酸および塩基のヘミ塩、たとえばヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩が形成されてもよい。
適切な塩に関する総説としては、Stahl and WermuthによるHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(Wiley−VCH,Weinheim,Germany,2002)を参照されたい。
【0022】
式(I)の化合物の薬剤的に受容できる塩は以下の3種の方法:
(i)式(I)の化合物を所望する酸または塩基と反応させること;
(ii)式(I)の化合物の適切な前駆体から酸‐または塩基‐に不安定な保護基を除去すること、もしくは所望する酸または塩基を使用して、適切な環状前駆体を開環すること;または
(iii)適切な酸または塩基との反応によるか、または適切なイオン交換カラムによって、式(I)の化合物の1種の塩を別のものに変換することの中の1種以上によって製造できる。
【0023】
3種すべての反応は典型的には溶液の状態で行われる。得られた塩は沈殿させ、そして濾過により集めてもよく、あるいは溶媒の留去によって回収してもよい。得られた塩におけるイオン化の程度は、完全なイオン化からほとんど非イオン化まで変化してもよい。
【0024】
およびRがHである式(I)の化合物は塩基性のアミノ基および酸性のカルボキシ基を有し、生理的pHにおいて、双極性イオンとして存在することになる。
式(I)の化合物は非溶媒和および溶媒和型の両方で存在してもよい。‘溶媒和’という用語は、本明細書では式(I)の化合物および化学量論的な量の1種以上の薬剤的に受容できる溶媒分子、たとえばエタノールを含有する分子複合体を説明するために使用される。‘水和物’という用語は上記溶媒が水の場合に使用される。
【0025】
本発明の範囲には、前述の溶媒和物とは対照的に、薬物とホストが化学量論的または非化学量論的量で存在するクラスレート、薬物‐ホスト包接化合物のような複合体が包含される。化学量論的または非化学量論的量であってもよい2種以上の有機および/または無機成分を含有する薬物の複合体も包含される。得られた複合体はイオン化されていても、部分的にイオン化されていても、またはイオン化されていなくてもよい。そのような複合体の総説としては、HaleblianによるJ.Pharm.Sci.,64(8),1269−1288(August 1975)を参照されたい。
【0026】
以後、式(I)の化合物に対するすべての言及は、その塩、溶媒和物および複合体への、ならびにその塩の溶媒和物および複合体への言及を包含する。
先に定義したような式(I)の化合物は、1種以上の結晶(多形)または異性体型(光学的、幾何学的および互変異性体を含む)で、同位体で標識された型で、またはプロドラッグとして存在してもよい。そのような結晶/異性体型およびプロドラッグのすべては本発明の範囲内であり、以下により詳細に説明される。式(I)の化合物へのすべての言及はそれに応じて解釈されるべきである。
【0027】
本発明の範囲内には、Rおよび/またはRが哺乳動物(好ましくはヒト)への化合物の投与後にHに変換される基である式(I)の化合物が包含される。そのような化合物はプロドラッグとして公知である。したがって、それら自体薬理学的活性をほとんど、または全く持たなくてもよいこれらの誘導体は、身体内に、または身体上に投与された場合、RおよびRが両方Hである式(I)の化合物に変換可能であり、そのような化合物はアルファ‐2‐デルタリガンドとしての所望する活性を有する。そのようなプロドラッグは、たとえば加水分解開裂によって変換可能である。
【0028】
典型的には、Rはアルキル基、好ましくはC〜Cアルキル基である。適切なアルキル基の具体的な例としてはエチル、イソプロピルおよびn−ブチルが挙げられる。あるいは、Rは、アリール基(ここでアリールは先に定義したとおりである)、たとえばフェニル、またはインダニル基でありうる。他の適切な態様では、Rはアルキルオキシカルボニルオキシアルキル基、たとえば−CHOC(O)OBu、−CH(CH-
OC(O)OEtもしくは−CH(CH)OC(O)OPr(Journal of
Pharmcology and Experimental Therapeutics,311,1,324−335を参照されたい)またはメチレン基を介して結合する環状カーボネートでありうる。
【0029】
典型的には、Rは−CO(C〜Cアルキル)または−CO(アリール)(ここでアリールは先に定義したとおりである)のようなアミド‐形成基である。具体的な例としては、メチルカルボニル、イソプロピルカルボニルおよびフェニルカルボニルが挙げられる。あるいは、Rはカルボキシル基を介して結合し、アミドを形成するアミノ酸残基であってもよい。天然に存在するアミノ酸、とりわけグリシン、アラニンおよびバリンが好ましい。
【0030】
特定の化合物がプロドラッグとして作用し、そしてin vivoで加水分解的に開裂して活性化合物になるかどうかは、いくつかのin vitro試験およびin vivo動物モデルを使用して的確に評価されてもよい。プロドラッグ加水分解は単純なホモジェネートおよびミクロソームを含むある範囲の組織画分を使用してin vitroで特徴付けることができる:たとえば、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,294,2,580−587;Life Sci.,62,14,1231−124;International Journal of Pharmaceutics,166,1,45−53;およびToxicol.Lett.,82−83,439−445を参照されたい。ラット肝臓ミクロソームはこの点に関してとりわけ有用である。in vivoアッセイはまた、プロドラッグの特性を精査するために使用することができる。活性素およびプロドラッグ両方の静脈内および経口薬物動態学は、プロドラッグの相対的生物学的利用能、プロドラッグを加水分解するための身体の能力および活性種への加水分解の速度についての情報を提供する(Antimicrob.Agents.Chemother.42,3,647−653を参照されたい)。プロドラッグをアッセイするための提案されたスクリーニング方法は最近の総説(Current Drug Metabolism,2003,4巻,no.6,p483)に示されている。
【0031】
プロドラッグの使用に関するそれ以上の情報は、Pro−drugs as Novel Delivery Systems,14巻,ACSシンポジウムシリーズ(T.Higuchi and W.Stella)およびBioreversible Carriers in Drug Design,Pergamon Press,1987(E.B.Roche編,American Pharmaceutical Association)に見いだされてもよい。
【0032】
およびR基を含有するもの以外の式(I)の化合物のプロドラッグも本発明の範囲内であり、そしてたとえば、H.BundgaardによるDesign of Prodrugs(Elsevier,1985)に記載のような‘プロ‐部分(moieties)’として当業者に公知の、ある部分(moieties)を持つ式(I)の化合物に存在する適切な官能基を置換することにより、作り出すことができる。
【0033】
本発明に従った他のプロドラッグのいくつかの例としては、式(I)の化合物が第1級
または第2級アミノ官能基(−NHまたは−NHR(R≠H))を含有する場合、そのアミド、たとえば、場合により、式(I)の化合物のアミノ官能基の1つまたは両方の水素が(C〜C10)アルカノイルによって置換される化合物が挙げられる。
【0034】
その上、ある種の式(I)の化合物はそれら自体、他の式(I)の化合物のプロドラッグとして作用してもよい。
本発明の範囲内には、式(I)の化合物の代謝産物、すなわち、薬物の投与時にin vivoで形成される化合物も包含される。本発明に従った代謝産物のいくつかの例としては以下のものが挙げられる:
(i)式(I)の化合物がメチル基を含有する場合、そのヒドロキシメチル誘導体(−CH−>−CHOH):
(ii)式(I)の化合物がアルコキシ基を含有する場合、そのヒドロキシ誘導体(−OR−>−OH);
(iii)式(I)の化合物が第3級アミノ基を含有する場合、その第2級アミノ誘導体(−NR−>−NHRまたは−NHR);
(iv)式(I)の化合物が第2級アミノ基を含有する場合、その第1級誘導体(−NHR−>−NH);
(v)式(I)の化合物がフェニル部分(moieties)を含有する場合、そのフェノール誘導体(−Ph−>−PhOH)。
【0035】
付加的な不斉炭素原子を含有する式(I)の化合物はジアステレオマーとして存在しうる。構造異性体が低エネルギー障壁を介して相互交換可能である場合、互変異性(tautomeric isomerism)(‘tautomerism’)が存在しうる。これはプロトン互変異性またはいわゆる原子価互変異性(valence tautomerism)の型をとりうる。当然の結果として、単一の化合物が1種より多い異性型を示してもよいことになる。
【0036】
本発明の範囲内には、1種より多い異性型を示す化合物、および1種以上のその混合物を含む、式(I)の化合物のすべてのジアステレオマー、および互変異性型が包含される。また、対イオンが光学的に活性である、たとえばd−ラクテートもしくはl−リジン、またはラセミ体である、たとえばdl−酒石酸塩もしくはdl−アルギニンである酸付加塩または塩基塩が包含される。
【0037】
ジアステレオマーは当業者に公知の慣用の技術、たとえばクロマトグラフィーおよび分別晶出によって分離してもよい。
式(I)の化合物はα‐炭素において定義された立体化学を持つα‐アミノ酸である。個々のエナンチオマーの製造/単離のための慣用の技術には、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成または、たとえばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が挙げられる。
【0038】
あるいは、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を適切な光学的に活性な化合物と反応させてもよい。得られたジアステレオマー混合物はクロマトグラフィーおよび/または分別晶出により分離し、ジアステレオマーの1種または両方が当業者に公知の手段により、対応する純粋なエナンチオマーに変換されてもよい。
【0039】
また、鏡像異性的に富化された化合物は、イソプロパノールの容量で0〜50%、典型的には2%〜20%、およびアルキルアミンの容量で0〜5%、典型的には0.1%ジエチルアミンを含有する炭化水素、典型的にはヘプタンまたはヘキサンからなる移動相を持つ不斉レジン上で、クロマトグラフィー、典型的にはHPLCを使用して得てもよい。溶離液の濃縮により富化された混合物が得られる。
【0040】
立体異性体のコングロメレート(conglomerate)は当業者に公知の慣用の技術によって分離してもよい‐たとえば、E.L.Eliel and S.H.WilenによるStereochemistry of Organic Compounds(Wiley,New York,1994)を参照されたい。
【0041】
本発明の化合物における含有に適切な同位体の例としては、水素、たとえばHおよびH、炭素、たとえば11C、13Cおよび14C、塩素、たとえば36Cl、フッ素、たとえば18F、ヨウ素、たとえば123Iおよび125I、窒素、たとえば13Nおよび15N、酸素、たとえば15O、17Oおよび18O、リン、たとえば32P、およびイオウ、たとえば35Sの同位体が挙げられる。
【0042】
ある種の式(I)の同位体標識化合物、たとえば、放射性同位体を組み込んでいるものは、薬物および/または基質の組織分布研究において有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち、H、および炭素‐14,すなわち14Cは組み込みの容易さ、および容易な検出手段であるという点で、この目的にとりわけ有用である。
【0043】
重水素、すなわちHのようなより重い同位体による置換が、たとえばin vivo半減期の増加、または要求される投薬量の減少のような、より高い代謝安定性から生じるある種の治療的利点を与えてもよく、それゆえ状況によっては好ましくてもよい。
【0044】
陽子放射同位体、たとえば11C、18F、15Oおよび13Nによる置換は、基質による受容体占有率を調べるための陽電子放射断層撮影(PET)研究に有用でありうる。
同位体標識した式(I)の化合物は一般に、当業者に公知の慣用の技術により、または以前に使用された非標識試薬のかわりに適切な同位体標識された試薬を使用して、添付の実施例および製造法に記載の工程に類似した工程により製造することができる。
【0045】
本発明に従った薬剤的に受容できる溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体に置換された、たとえばDO、d−アセトン、d−DMSOが挙げられる。
アルファ‐2‐デルタ受容体リガンドである式(I)の化合物は、広範な障害の治療において潜在的に有用である。疼痛、とりわけ神経障害性疼痛の治療は、好ましい用途である。
【0046】
生理的疼痛は、外部環境からの潜在的に有害な刺激からの危険を警告することを意図した重要な保護機序である。システムは、一次感覚ニューロンの特定のセットを介して作動し、末梢の変換機序を経た侵害刺激により活性化される(総説としてはMillan,1999,Prog.Neurobiol.,57,1−164を参照されたい)。これらの感覚線維は侵害受容器として知られており、特徴として、遅い伝導速度を持つ直径の小さな軸索である。侵害受容器は侵害刺激の強度、持続時間および特性、および局所解剖学的に組織された脊髄への投射に基づいて、刺激の位置をコードする。侵害受容器は侵害神経線維上に見いだされ、A−デルタ線維(有髄)およびC線維(無髄)の2種の主要な型がある。侵害受容器入力によって生じた活動は、直接、または脳幹中継核を介してのいずれかで、背角における複雑な処理後に、腹部基底視床に、続いて疼痛感覚が生み出される皮質上に伝達される。
【0047】
疼痛は一般に急性または慢性として分類される。急性疼痛は突然始まり、一時的(通常、12週間またはそれ未満)である。それは通常、特定の損傷のような、特定の原因に関連し、しばしば鋭く、激しい。外科手術、歯科行為、精神的緊張、またはねんざに起因する特定の損傷後に起こりうる種類の疼痛である。急性疼痛は一般にどのような持続的心理反応も生じない。対照的に、慢性疼痛は長期の疼痛であり、典型的には3ヶ月より長く持
続し、重大な心理的および情動的問題を引き起こす。慢性疼痛の一般的な例としては神経障害性疼痛(たとえば痛みを伴う糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛)、手根管症候群、背部痛、頭痛、癌性疼痛、関節炎痛および慢性手術後疼痛が挙げられる。
【0048】
実質的な傷害が疾患または外傷により身体組織に発生する場合、侵害受容器活性化の特徴は変化し、末梢において傷害の周りに局所的に、そして侵害受容器が終了する中枢に増感が見られる。これらの効果は増大した疼痛知覚を導く。急性疼痛において、これらの機序は、より都合よく修復課程が起こることを可能にしてもよい保護的な行動を促進することにおいて有用でありうる。傷害がいったん治癒すれば感受性は正常に戻るということが通常の予想であろう。しかし、多くの慢性疼痛状態では、過敏性は治癒課程よりずっと長く続き、しばしば神経系の傷害に起因している。この傷害はしばしば適応不良および異常行動に関連する感覚神経線維の異常を導く(Woolf & Salter,2000,Science,288,1765−1768)。
【0049】
臨床疼痛は、不快で異常な感受性が患者の症状の中の特色である場合に存在する。患者は全く異質である傾向があり、種々の疼痛症状を伴って存在してもよい。そのような症状には:1)鈍い、焼け付くよう、または刺すようであってもよい自発的な疼痛;2)侵害刺激(痛覚過敏)に対応する誇張された疼痛反応;および3)通常の無害刺激により生じる疼痛(異疼痛(allodynia)‐Meyer et al.,1994,Textbook of Pain,13−44)が挙げられる。急性および慢性疼痛の種々の型を患う患者は類似の症状を有してもよいが、基礎をなす機序は異なってもよく、したがって異なる治療方法を必要としてもよい。したがって、疼痛はまた異なっている病態生理学に従って、侵害性、炎症性および神経障害性疼痛を含む、多数の異なるサブタイプに分割されうる。
【0050】
侵害性疼痛は組織傷害により、または傷害を引き起こす可能性を持つ激しい刺激により誘発される。疼痛求心性神経は傷害部位での侵害受容器による刺激の伝達により活性化され、それらの終末のレベルにおいて脊髄のニューロンを活性化する。これはさらに脊髄路を中継して、疼痛が感知される脳に伝わる(Meyer et al.,1994,Textbook of Pain,13−44)。侵害受容器の活性化は2種の型の求心性神経線維を活性化する。有髄A−デルタ線維は速やかに伝達し、鋭く、刺すような疼痛感覚に関与し、一方無髄C線維はより遅い速度で伝達し、鈍い、またはうずく疼痛を伝達する。中等度ないし激しい急性疼痛は、中枢神経系外傷、精神的緊張(strain)/ねんざ、やけど、心筋梗塞および急性膵炎、術後疼痛(いずれかの型の外科的処置後の疼痛)、外傷後疼痛、腎疝痛、癌性疼痛、背部痛に由来する疼痛の顕著な特徴である。癌性疼痛は、腫瘍関連疼痛(たとえば、骨痛、頭痛、顔面痛または内臓痛)、または癌療法に伴う疼痛(たとえば、化学療法後症候群、慢性術後疼痛症候群、または照射後症候群)のような慢性疼痛であってもよい。癌性疼痛はまた、化学療法、免疫療法、ホルモン治療または放射線療法に反応して発生してもよい。背部痛は椎間板ヘルニア(herniated
or ruptured intervertabral disc)または腰椎椎間関節、仙腸関節、傍脊柱筋もしくは後縦靱帯の異常に起因してもよい。背部痛は自然に消散する可能性があるが、患者によっては、それが12週間にわたって続く場合、慢性状態になり、とりわけ衰弱させうる。
【0051】
神経障害性疼痛は、神経系における一次病変または機能障害によって開始されるか、または引き起こされる疼痛として現在定義される。神経損傷は外傷および疾患によって引き起こすことができ、したがって‘神経障害性疼痛’という用語は、多様な病因による多くの障害を包含する。これらには、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、背部痛、癌性神経障害、HIV神経障害、幻肢痛、手根管症候群、脳卒中後中枢性疼痛ならびに慢性アルコール中毒、甲状腺機能低下症、尿毒症、多発性硬化症、脊
髄損傷、パーキンソン病、てんかんおよびビタミン欠乏症に伴う疼痛が挙げられるが、それらに限定されない。神経障害性疼痛は、それが保護的役割を持たないため、病的である。それはしばしば、元の原因が消散した後でもかなり残り、一般に何年も続き、患者の生活の質を著しく低下させる(Woolf and Mannion,1999,Lancet,353,1959−1964)。神経障害性疼痛の症状は、同じ疾患の患者間でさえ、それらはしばしば異質であるため治療することが難しい(Woolf & Decosterd,1999,Pain Supp.,6,S141−S147;Woolf and Mannion,1999,Lancet,353,1959−1964)。それらには、継続的でありうる自発的疼痛、および発作性または異常に誘発された疼痛、たとえば痛覚過敏(侵害刺激に対して増大した感受性)および異痛症(通常は無害な刺激に対する感受性)が挙げられる。
【0052】
炎症課程は、組織傷害または異物の存在に反応して活性化される、複雑な一連の生化学的および細胞の事象であり、そしてそれは腫脹および疼痛に終わる(Levine and Taiwo,1994,Textbook of Pain,45−56)。関節炎痛は最も一般的な炎症性疼痛である。リューマチ様疾患は先進国における最も一般的な慢性炎症状態の1種であり、慢性関節リューマチは身体障害の一般的な原因である。慢性関節リューマチの正確な病因は解明されていないが、現在の仮説は、遺伝的および微生物学的因子の両方が重要である可能性があることを暗示する(Grennan & Jayson,1994,Textbook of Pain,397−407)。ほぼ1600万人のアメリカ人は症候性骨関節炎(OA)または変形性関節炎を患い、その大部分は60歳を越え、そして人口の年齢が増すと共に4000万人に増加し、このことを莫大な規模の公衆衛生問題にすると予想される(Houge & Mersfelder,2002,Ann Pharmacother.,36,679−686;McCarthy et al.,1994,Textbook of Pain,387−395)。大部分の骨関節炎患者は関連する疼痛のために医学的配慮を求める。関節炎は心理社会的および身体機能に重大な影響を有し、後の生活における身体障害の主要な原因であることが知られている。強直性脊椎炎も、脊柱および仙腸関節の関節炎を引き起こすリューマチ性疾患である。それは一生を通じて出現する背部痛の間欠的な症状の出現から、脊柱、末梢関節および他の身体器官を冒す重い慢性疾患にまで変化する。
【0053】
炎症性疼痛の別の型は、炎症性腸疾患(IBD)に伴う疼痛を含む、内臓痛である。内臓痛は、腹腔の器官を包含する内臓に関連する疼痛である。これらの器官には、性器、脾臓および消化器系の部分が挙げられる。内臓に関連する疼痛は、消化器系内臓痛および非消化器系内臓痛に分割することができる。普通に遭遇する疼痛を引き起こす消化器(GI)障害には、機能性腸疾患(FBD)および炎症性腸疾患(IBD)が挙げられる。これらのGI傷害には、FBDに関しては胃食道逆流症、消化不良、過敏腸管症候群(IBS)および機能性腹痛症候群(FAPS)、IBDに関してはクローン病、回腸炎および潰瘍性大腸炎を含む、現在は適度にコントロールされているだけである広範な疾患状態が挙げられ、それらのすべては通例内臓痛を引き起こす。他の型の内臓痛には、月経困難症、膀胱炎および膵炎に伴う疼痛、ならびに骨盤痛が挙げられる。
【0054】
疼痛のいくつかの型は多数の病因を有し、したがって1種より多い領域に分類することができ、たとえば背部痛および癌性疼痛は侵害性および神経障害性成分の両方を有する。
他の型の疼痛には以下のものが挙げられる:
・筋痛症、線維筋痛症、脊椎炎、血清反応陰性(非リューマチ様)関節症、非関節性リューマチ、ジストロフィン異常症、グリコーゲン分解、多発性筋炎および仙腸性筋炎を含む、筋骨格系障害から生じる疼痛;
・狭心症、心筋梗塞、僧帽弁狭窄症、心膜炎、レイノー現象、水腫硬化症および骨格筋虚血によって引き起こされる疼痛を含む、心臓および血管性疼痛;
・頭部痛、たとえば偏頭痛(前兆のある偏頭痛および前兆のない偏頭痛を含む)、群発頭痛、緊張型頭痛混合頭痛および血管障害に伴う頭痛;および
・歯痛、耳痛、口腔内灼熱症候群および顎関節筋膜痛を含む、口腔顔面痛。
【0055】
式(I)の化合物は潜在的にすべての種類の疼痛の治療に有用であるが、とりわけ、神経障害性疼痛の治療において有用である。
疼痛の他に、式(I)の化合物は潜在的に、アルファ‐2‐デルタリガンドを使用して治療可能であるいずれかの疾患または状態の治療において有用である。そのような状態には、てんかん、消化器障害、早漏、口腔内灼熱症候群、膀胱障害(たとえば過活動膀胱)失神発作、線維筋痛症、運動低下症、頭蓋障害、ほてり、本態性振戦、薬物依存および嗜癖、依存または嗜癖に伴う禁断症状、嗜癖行動、痙縮、関節炎、炎症性障害(たとえばリューマチ様関節炎、骨関節症、乾癬)、利尿、月経前症候群、月経前不快気分障害、耳鳴り、胃損傷、ダウン症候群、脱随疾患(たとえば、多発性硬化症および筋萎縮性側索硬化症(amylolateral sclerosis))、急性または慢性脳血管損傷(たとえば脳梗塞、くも膜下出血または脳水腫)による脳血管障害、頭部外傷、脊髄外傷および、たとえば脳卒中中に、心臓バイパス手術において、頭蓋内出血の事象において、周産期窒息において、心停止において、およびてんかん重積状態において起こる神経損傷が挙げられる。アルファ‐2‐デルタリガンドはまた、せん妄、痴呆および健忘症、ならびに他の認知または神経変性障害(たとえば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、老年性痴呆、記憶障害、血管性痴呆)の治療において有用であってもよい。それらは、無動症、運動障害、けい性(spasticity)、トゥレット症候群、スコット症候群、不全麻痺、無動‐硬直症候群および錐体外路運動障害のような運動障害の治療に有用であってもよい。それらはまた、睡眠障害、気分障害、鬱病、抑鬱障害、双極性障害、不安障害、パニック、境界人格障害、統合失調症、精神障害、精神遅滞に伴う行動障害、自閉障害および行動障害の治療において有用であってもよい。
【0056】
式(I)の化合物のすべては、慣用の経路によって、たとえば、以下に提示した一般法に記載の手順によって、または実施例の項および製造法の項に記載の特定の方法によって、またはそれに類似の方法によって製造しうる。本発明はまた、式(I)の化合物を製造するためのいずれか1種以上のこれらの工程、その上にその中で使用される任意の新規中間体を包含する。
【0057】
以下の一般法において、特記しない限り、R、R、RおよびRは式(I)の化合物に定義したとおりであり、Phはフェニルである。
第1の工程に従って、RおよびRがHである式(I)の化合物、(A)は式(III)の化合物:
【0058】
【化3】

【0059】
(式中、RおよびRは先に定義したとおりである)の水素化分解脱保護によって製造されてもよい。水素添加は典型的には水素ガス、シクロヘキサジエンまたは蟻酸アンモニウム(好ましくは水素ガス)のような水素供与源、およびパラジウム、プラチナまたはロジウム触媒(好ましくはパラジウム触媒)のような遷移金属触媒を使用して行われる。ま
た、塩酸またはトリフルオロ酢酸のような酸が反応速度を増すために使用されてもよい。好ましい手順において、エタノールのような適切な溶媒中の式(III)の化合物の溶液はパラジウム炭素で処理され、約414kPa(60psi)で塩酸水素添加される。
【0060】
式(III)の化合物は式(IV)のイミン:
【0061】
【化4】

【0062】
(式中、Rは先に定義したとおりである)を式:
(V)
の化合物(式中、Rは先に定義したとおりであり、そしてMは適切な金属であり、場合により1種以上の付加的なリガンドを持つ)で処理することにより;または式(VI)のイミン:
【0063】
【化5】

【0064】
(式中、Rは先に定義したとおりである)を式:
(VII)
の化合物(式中、RおよびMは先に定義したとおりである)で処理することにより製造されてもよい。そのようなイミン付加反応において、式(V)または式(VII)の有機金属試薬は典型的には有機リチウムまたは有機マグネシウム誘導体である。MがMgXであり、Xがハロゲン化物である有機マグネシウム(Grignard)試薬が好ましい。反応はテトラヒドロフランまたはジエチルエーテルのような適切な不活性溶媒中で、低温、典型的には0〜-78℃の間で行われる。好ましい手順において、テトラヒドロフ
ランのような適切な溶媒中の式(IV)または(VI)の化合物の溶液は、-50℃にお
いて、そしてホウ素トリフルオリドエーテラートの存在下、それぞれ適切な式(V)または(VII)のGrignard試薬により処理される。
【0065】
式(IV)および(VI)の化合物は式:
【0066】
【化6】

【0067】
の化合物とそれぞれ式:
【0068】
【化7】

【0069】
の化合物(式中、Rは先に定義したとおりであり、そしてXはC〜Cアルキルである);または式(X)の化合物:
【0070】
【化8】

【0071】
(式中、Rは先に定義したとおりであり、そしてXはC〜Cアルキルである)の化合物との縮合によって製造することができる。縮合は塩基性、中性または酸性条件下で行ってもよく、そして一般により高い温度および/または長い反応時間を必要とする。典型的な手順において、トリフルオロエタノールのような適切な溶媒中の、式(VIII)の化合物と式(IX)または(X)の化合物の溶液は約80℃において、4Aモレキュラーシーブのような脱水剤の存在下で、加熱される。
【0072】
式(X)、(IX)および(VIII)の化合物は市販されているか、または周知の一般知識(たとえば、Richard Larockによる‘Comprehensive
Organic Transformations’(1999,VCH Publishers Inc.)を参照されたい)の結果として、もしくは特定の刊行された手順を参照することのいずれかで、当業者に公知の標準法によって容易に製造される。
【0073】
および/またはRがHでない式(I)の化合物はRおよび/またはRがHである式(I)の化合物から、当業者に公知の簡単な化学変換により製造されてもよい。そのようなアミドおよびエステル生成反応のために適切な条件は先に参照した、Comprehensive Organic Transformationsの中に見いだしてもよい。
【0074】
あるいは、第2の工程に従って、RおよびRがHである式(I)の化合物は、開環された式(IIIa)の化合物:
【0075】
【化9】

【0076】
(式中、RおよびRは先に定義したとおりである)の水素化分解脱保護によって製造
されてもよい。水素添加は、典型的には水素ガス、シクロヘキサジエンまたは蟻酸アンモニウム(好ましくは水素ガス)のような水素供与源、およびパラジウム、プラチナまたはロジウム触媒(好ましくはパラジウム触媒)のような遷移金属触媒を使用して行われる。塩酸またはトリフルオロ酢酸のような酸が反応速度を増すために付加的に使用されてもよい。好ましい手順において、プロパン−2−オールおよび水のような適切な溶媒中の式(IIIa)の化合物の溶液はパラジウム炭素で処理され、約414kPa(60psi)で水素添加される。
【0077】
式(IIIa)の化合物は、式(IV)または(VI)のイミンを式(V)または(VII)の化合物で処理し、続いて適切な酸または塩基で処理することによって製造されてもよい。そのようなイミン付加反応の適切な条件は工程(A)に関して先に記載のとおりである。好ましい手順において、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中の式(VI)の化合物の溶液は始めに、-78℃で、ホウ素トリフルオリドテトラヒドロフラン複合体
の存在下、式(VII)の適切なGrignard試薬で処理され、その後、水性塩酸のような適切な酸で処理される。
【0078】
第3の工程、(C)に従って、式(I)の化合物(式中、RおよびRは両方Hである)は代わりに式(XI):
【0079】
【化10】

【0080】
(式中、RおよびRは先に定義したとおりである)のニトリルの加水分解によって製造されてもよい。加水分解は典型的には高められた温度において、水性溶媒中で酸性または塩基性触媒作用により成し遂げられる。典型的な手順において、水中の式(XI)の化合物の溶液は6モルの塩酸で処理され、約100℃に加熱される。
【0081】
式(XI)の化合物は式(XII)の化合物:
【0082】
【化11】

【0083】
(式中、RおよびRは先に定義したとおりである)へのシアン化物の付加によって製造されてもよい。付加のための好ましいシアン化物の供与源は、場合により他のリガンドを持っていてもよい式MCN(式中、Mは金属カチオンである)の化合物である。ジエチルアルミニウムシアニドのようなジアルキルアルミニウムシアニドが最も好ましい。反応はテトラヒドロフラン、ジクロロメタンまたはジエチルエーテルのような適切な不活
性溶媒の中で溶液として行われる。好ましい手順において、イソプロパノールおよびテトラヒドロフランの混合物中の式(XII)の化合物の溶液は-78〜-20℃の間の温度においてジエチルアルミニウムシアニドにより処理される。
【0084】
式(XII)の化合物は、脱水条件下、式(XIII)の化合物:
【0085】
【化12】

【0086】
と式(XIV)の化合物:
【0087】
【化13】

【0088】
(式中、RおよびRは先に定義したとおりである)との反応によって製造されてもよい。典型的には、反応はルイス酸(たとえばチタンテトラエトキシド)によって触媒される。好ましい手順において、適切な溶媒(たとえばテトラヒドロフラン)中の式(XIII)の化合物と式(XIV)の化合物の溶液は、約50℃の温度でチタンテトラエトキシドによって処理される。
【0089】
式(XIII)と(XIV)の化合物は市販されているか、または周知の一般知識(たとえば、Richard Larockによる‘Comprehensive Organic Transformations’(1999,VCH Publishers
Inc.)を参照されたい)の結果として、もしくは特定の刊行された手順を参照することのいずれかにより、当業者に公知の標準法によって容易に製造される。
【0090】
第4の工程、(D)、に従って、RおよびRが両方Hである式(I)の化合物は、代わりに式(XV)のエステル:
【0091】
【化14】

【0092】
(式中、RおよびRは先に定義したとおりである)の加水分解によって製造されてもよい。加水分解は酸性または塩基性条件下で行ってもよい。典型的な手順において、水性塩酸中の式(XV)の化合物の溶液は16時間還流下で加熱される。
【0093】
式(XV)の化合物は式(XVI)の化合物:
【0094】
【化15】

【0095】
(式中、RおよびRは先に定義したとおりであり、そしてYおよびYはそれぞれC〜Cアルキルから選択される)のメタノリシスによって製造されてもよい。反応は酸または塩基触媒によって行ってもよい。典型的な手順において、メタノール塩酸中の式(XVI)の化合物の溶液は約72時間、室温で攪拌する。
【0096】
式(XVI)の化合物は式(XVII)の化合物:
【0097】
【化16】

【0098】
(式中、R、YおよびYは先に定義したとおりである)の、式Rの化合物(式中、Rは先に定義したとおりであり、そしてLは適切な脱離基である)によるアルキル化により製造されてもよい。Lは好ましくはハロ(とりわけブロモ)、トリフルオロメタンスルホネートまたはメタンスルホネートである。典型的には、式(XVII)の化合物は塩基、たとえばブチルリチウムのような塩基により、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランのような不活性溶媒中、低温(通常-78℃〜-0℃の範囲)で脱プロトン化される。次に不活性溶媒中のアルキル化剤の溶液が添加される。好ましい手順において、テトラヒドロフラン中の式(XVII)の化合物の溶液は-78℃においてn−ブチ
ルリチウムにより処理され、その後過剰のアルキル化剤が添加される。
【0099】
式(XVII)の化合物は式(XVIII)の化合物:
【0100】
【化17】

【0101】
(式中、Rは先に定義したとおりである)の二重アルキル化によって製造されてもよい。典型的には、式(XVIII)の化合物はテトラヒドロフランまたはジエチルエーテルのような不活性溶媒中で、塩基(たとえば、カリウムtert−ブトキシド、カリウムヘキサメチルジシルアジドまたは水素化ナトリウム)を使用して脱プロトン化される。次に
、ハロゲン化アルキル(とりわけアルキルブロミド)またはアルキルスルホネートエステル(たとえば、アルキルメシレート)のような適切なアルキル化剤が-20℃〜室温まで
の温度で添加される。好ましい手順において、過剰のトリメトキソニウムテトラフルオロボレートがアルキル化剤として使用される。
【0102】
式(XVIII)の化合物は式(XIX)の化合物:
【0103】
【化18】

【0104】
(式中、Rは先に定義したとおりである)の環化によって製造されてもよい。典型的な手順において、トルエンのような適切な溶媒中の式(XIX)の化合物の溶液は還流下で加熱される。
【0105】
式(XIX)の化合物は式(XX)の化合物:
【0106】
【化19】

【0107】
(式中、Rは先に定義したとおりである)の還元によって製造されてもよい。還元は典型的には水素および、水素添加触媒(たとえばパラジウム、プラチナまたはロジウム触媒)を使用して行われる。好ましい手順において、水性エタノール塩酸のような適切な溶媒中の式(XX)の化合物の溶液は室温で水素によって処理される。
【0108】
式(XX)の化合物は式(XXI)のアミン:
【0109】
【化20】

【0110】
と式(XXII)の酸:
【0111】
【化21】

【0112】
(式中、Rは先に定義したとおりである)をカップリングすることによって製造されてもよい。酸は始めに、対応する酸クロリドへの変換によって、または適切なペプチドカップリング剤による処理によってのいずれかで活性化される。酸クロリドが使用される場合、それは前もって生成され、その後塩基(たとえばトリエチルアミン)の存在下で、適切な不活性溶媒(たとえばジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン)中の溶液としてアミンと反応させられる。あるいは、適切な溶媒(たとえばジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン)中の酸およびアミンの溶液は、塩基(たとえばトリエチルアミン)およびカップリング剤(たとえばカルボジイミド)により処理される。
【0113】
式(XXI)および(XXII)の化合物は市販されているか、または周知の一般知識(たとえば、Richard Larockによる‘Comprehensive Organic Transformations’(1999,VCH Publishers Inc.)を参照されたい)の結果として、もしくは特定の刊行された手順を参照することのいずれかにより、当業者に公知の標準法によって容易に製造される。
【0114】
5番目の工程、(E)に従って、式(I)の化合物(式中、RおよびRは両方Hであり、RおよびRはハロまたはシアノによって置換されず、そしてRはメチルである)は代わりに式(Ia)のラセミ化合物:
【0115】
【化22】

【0116】
の分割によって製造されてもよい。
分割は、キラルクロマトグラフィー、ジアステレオマー誘導体(たとえばエステル、エーテルまたは塩)の形成、または化学的もしくは酵素速度論的分割を含む、当業者に公知の多くの方法により行われてもよい。典型的には、式(Ia)の化合物は、適切な有機溶媒中で、キラル塩基または酸により処理されてジアステレオマー塩を形成し、そして分離は最も溶解度の低いジアステレオマーの結晶化によって成し遂げられる。適切な分割試薬には、酒石酸誘導体、マンデル酸、カンファースルホン酸、スパルテイン、アルファ‐メチルベンジルアミン、プソイドエフェドリンおよびアミノアルコールが挙げられる。また、ジアステレオマー塩分割を使用して、エナンチオマー過剰の式(I)の非ラセミ化合物を増加させてもよい。
【0117】
式(Ia)の化合物(式中、Rは場合によりアミノ、(C〜C)アルキルアミノ
、ヒドロキシル、(C〜C)アルコキシ、スルホネート、スルホンアミド、スルホニル、トリフルオロメチル、ニトロ、(C〜C)アシルまたはニトリルにより置換されたアリールであり、そしてRは水素、(C〜C)アルキルまたはRaである)は、式(XXIII)の化合物:
【0118】
【化23】

【0119】
から水素化分解脱保護により製造されてもよい。
水素化分解脱保護条件は工程(A)に関して先に記載のとおりである。
あるいは、式(I)の化合物は式(XXIII)の化合物の分割、続いて水素化分解脱保護によって式(XXIII)の化合物から製造することができる。
【0120】
式(XXIII)の化合物は式(XXIV)の化合物:
【0121】
【化24】

【0122】
を先に定義したような式(VII)の化合物で処理することによって製造されてもよい。イミン付加反応に適切な条件は工程(A)に関して先に定義したとおりである。有機マグネシウム(Grignard)試薬(式中、MはMgXであり、Xはハロゲン化物である)が好ましい。好ましい手順において、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中の式(XXIV)の化合物の溶液は低温で、典型的には0〜-78℃の温度において、ホウ素
トリフルオリドエーテラートまたはホウ素トリフルオリドテトラヒドロフラン複合体の存在下、適切な式(VII)のGrignard試薬で処理される。
【0123】
式(XXIV)の化合物は、適切な触媒の存在下、工程(A)で定義したような、式(X)のエステル化合物と、式(XXV)のアミン化合物:
【0124】
【化25】

【0125】
の縮合によって製造されてもよい。
条件は工程(A)に関して記載のとおりである。式(XXV)の化合物は市販されている。
【0126】
6番目の工程(F)に従って、式(I)の化合物(式中、RおよびRは両方Hであ
り、そしてRはハロまたはシアノによって置換されず、Rはメチルである)は、代わりに式(XXVI)の化合物:
【0127】
【化26】

【0128】
(式中、RおよびRは工程(E)に関して定義したとおりであり、そしてRは適切なキラルエステル基、たとえばメチルまたはプソイドエフィドリニルである)の化合物の脱保護により製造されてもよい。脱保護は酸性または塩基性条件、典型的には水性塩酸とジエチルエーテルまたは水性クエン酸とテトラヒドロフラン下で行われてもよい。
【0129】
式(XXVI)の化合物は、Tetrahedron;Asymmetry,1992,3,591−594およびTetrahedron Letters,1982,23,4259−4262に記載のとおりに製造されてもよい。
【0130】
あるいは、式(Ia)のラセミ化合物(式中、RはC1〜6アルキルまたはベンジルのようなアキラルなエステル基である)は、類似の工程によって製造されてもよい。
式(XXVI)の化合物は、塩基性条件下、式(XXVII)の化合物と式(XXVIII)の求電子試薬:
【0131】
【化27】

【0132】
[式中、LGは適切な脱離基、たとえばCl、Br、IまたはRSOO(式中、RはC〜Cアルキル、CF、または場合によりC〜Cアルキルもしくはニトロで置換されたアリールである)、好ましくはBrまたはトリフルオロメタンスルホニルである]の反応により製造されてもよい。付加的に、ヨウ化カリウムのような付加物を使用して、in‐situでより反応性の高い求電子試薬を形成してもよい。典型的には、反応は、場合によりジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはトルエンのような有機溶媒中、-78℃〜室温までの温度において、場合により相間移動触媒の存在下で、炭酸カリウ
ムもしくは水酸化ナトリウムのような無機塩基、またはフォスファゼン塩基のような有機塩基を使用して行われる。
【0133】
式(XXVII)の化合物はTetrahedron,2004,60,5919−5930およびTetrahedron Letters,1998,39,8775−8778に記載のとおりに製造されてもよい。
【0134】
また式(XXVII)の化合物は、それ自体が工程(E)に記載の工程に類似の工程によって式(XXV)のアミン化合物から製造される式(XXIV)の化合物の異性体化によって製造されてもよい。
【0135】
あるいは、式(XXVI)の化合物は、式(XXIX)の化合物:
【0136】
【化28】

【0137】
のメチル化によって製造されてもよい。
典型的な条件は、-78℃〜室温の温度において、ジクロロメタン、テトラヒドロフラ
ンまたはトルエンのような有機溶媒中、場合により相間移動触媒の存在下で、式(XXIX)の化合物を、適切な求電子試薬(たとえば、ヨウ化メチル、ジメチル硫酸、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボレート、またはメチルトリフレート)と炭酸カリウムもしくは水酸化ナトリウムのような無機塩基、またはフォスファゼン塩基のような有機塩基で処理することを含む。
【0138】
式(XXIX)の化合物は、工程(F)に関して先に記載のように、塩基性条件下、式(XXX)の化合物:
【0139】
【化29】

【0140】
と式(XXVIII)の求電子試薬の反応により製造されてもよい。
あるいは、式(XXIX)の化合物はTetrahedron,2004,60,5919−5930およびTetrahedron Letters,1998,39,8775−8778に記載のとおりに製造されてもよい。
【0141】
式(XXX)の化合物はJ.Org.Chem,1982,47,2663−2666に記載のとおりに製造されてもよい。
7番目の工程(G)に従って、式(Ia)のラセミ化合物(式中、RおよびRは両方Hであり、RおよびRはハロまたはシアノによって置換されず、そしてRはメチルである)は、かわりに式(XXXI)の化合物:
【0142】
【化30】

【0143】
と、アンモニウム供与源またはアミンおよびシアン化物供与源との縮合、続いて、得られたアミノニトリルまたはヒダントインの加水分解により製造されてもよい。
縮合は、酢酸アンモニウムもしくは炭酸アンモニウム、またはRNH(式中、RはC〜Cアルキル、ベンジル、または場合によりアミノ、(C〜Cアルキル)アミノ、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、スルホネート、スルホンアミド、スルホニル、CF、ニトロ、C〜Cアシルまたはニトリルで置換されたアリールである)のようなアンモニア供与源と、シアニド塩のようなアシルアニオン等価物を使用して行って
もよい。加水分解の典型的な条件は、生じたアミノニトリルまたはヒダントインを水性溶媒系中で、酸または塩基のいずれかで処理することを含む。典型的には、アミノニトリルまたはヒダントインは、室温〜100℃までの温度で、6〜12%の過酸化水素を含む、水性塩酸、臭化水素酸、硫酸もしくはリン酸、または水性水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムで処理される。
【0144】
あるいは、縮合ステップは、キラル触媒(たとえばランタニド‐BINOL由来触媒またはシクロヘキシルジアミン由来触媒)の存在下、ケトン上またはホスフィニルイミンのような適切なケトン誘導体上のいずれかで行われてもよく、あるいは式(XXXI)の化合物のキラルケトン誘導体、たとえばキラルイミン、またはスルフィニルイミンを使用して立体選択的様式で式(I)の化合物を提供してもよい。
【0145】
8番目の工程(H)に従って、式(I)(式中、RおよびRは両方Hであり、RおよびRはハロまたはシアノによって置換されず、そしてRはメチルである)の化合物は代わりに、式(XXXII)の化合物:
【0146】
【化31】

【0147】
(式中、RはH、C〜C10アルキル、ベンジルまたは置換されたベンジルである)のHoffmann転位によって製造されてもよい。Hoffmann転位は、次亜臭素酸ナトリウムまたは水性水酸化ナトリウムと臭素の混合物を使用して適切に行われる。あるいは、室温でアセトニトリルと水の混合物中、フェニルヨードシルビス(トリフラート)がこの転位をもたらすことになる。
【0148】
式(XXXII)の化合物は、式(XXXIII)の化合物:
【0149】
【化32】

【0150】
(式中、Rは先に定義したとおりである)、または式(XXXV)の化合物:
【0151】
【化33】

【0152】
の脱対称化により、エステル基のうちの1つと、アンモニア、もしくは塩化アンモニウムのようなアンモニア供与源、または適切に保護された後に脱保護されるアミン、との選択的反応により製造されてもよい。あるいは、脱対称化は、1つのエステル基のカルボン酸
への加水分解、続く(たとえば、室温でアセトニトリル中の1,1′−カルボニルジイミダゾールとアンモニアを使用した)アミドカップリングにより、式(XXXII)の化合物を得ることによってもたらされてもよい(Angewandte Chemie,International Edition(2004),43(47),6493−6496を参照されたい)。脱対称化は酵素(たとえば水性またはアンモニアを基礎にした溶媒系中の、ブタ肝臓エステラーゼまたはカンジダアンタークチカ(Candida Antarctica)のようなリパーゼ)を使用するか、または化学的(たとえばアルファ‐メチルベンジルアミン、続いて室温またはそれより高い温度におけるアルコール性溶媒中のパラジウム炭素および水素を使用した水素化分解を使用することによるか、またはキラル触媒と適切なアミンもしくはアンモニア供与源を使用することによる)のいずれかで、行われてもよい。
【0153】
式(XXXIII)および(XXXV)の化合物は、手順Fに記載のように、塩基性条件下、適切な式(XXVIII)の求電子試薬との反応により、市販の式(XXXIV)の化合物:
【0154】
【化34】

【0155】
(式中、RはH、C〜C10アルキル、ベンジルもしくは置換されたベンジルであるか、または一緒になった2つのRがC(CHである)から製造することができる。
【0156】
あるいは、式(XXXIII)および(XXXV)の化合物は、手順Fに記載のように、塩基性条件下、適切な式(XXVIII)の求電子試薬との反応、続く適切な試薬によるメチル化により、市販の式(XXXVI)の化合物:
【0157】
【化35】

【0158】
(式中、Rは先に記載のとおりである)から製造することができる。
あるいは、式(Ia)の化合物は、化合物(XXXIIa):
【0159】
【化36】

【0160】
(式中、Rは先に記載のとおりである)のHoffmann転位によって製造することができる。条件は工程(H)に関して先に記載のとおりである。
式(XXXIIa)のラセミ化合物は、先の工程(H)に関して記載の条件を使用するが、エナンチオ選択的触媒またはキラル試薬の非存在下で、式(XXXIII)または(
XXXV)の化合物から製造することができる。
【0161】
また、式(I)の化合物は先に記載の反応を使用することにより、RまたはRが部分的に形成される化合物を構築し、その後官能基操作によって合成を完成させることにより製造することができる。たとえば、ある基は保護された形態で合成によって運ばれ、最終ステップで脱保護されてもよい。適切な保護基はTheodora Greene and Peter Wutsによる‘Protective Groups in Organic Synthesis’(3版,1999,John Wiley and Sons)に記載される。適切な官能基変換は、Richard Larockによる‘Comprehensive Organic Transformations’(1999,VCH Publishers Inc.)に記載される。
【0162】
式(I)の化合物は結晶または非結晶製品として投与されてもよい。それらは、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥のような方法により、たとえば、固体プラグ、粉末、またはフィルムとして得られてもよい。マイクロウェーブまたはラジオ波乾燥がこの目的のために使用されてもよい。
【0163】
それらは単独で、または1種以上の他の式(I)の化合物との組み合わせにおいて、もしくは1種以上の他の薬物との組み合わせにおいて(またはそのいずれかの組み合わせとして)投与されてもよい。一般に、それらは1種以上の薬剤的に受容できる賦形剤と一緒に製剤として投与されることになる。‘賦形剤’という用語は、本明細書では式(I)の化合物以外のいずれかの成分を説明するために使用される。賦形剤の選択は大部分、特有の投与様式、溶解度および安定性に対する賦形剤の効果、および剤形の特質のような因子に依存することになる。
【0164】
式(I)の化合物の送達に適切な医薬組成物およびそれらの製造のための方法は当業者には容易に明白である。そのような組成物およびそれらの製造のための方法は、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19版(Mack Publishing Company,1995)に見いだされてもよい。
【0165】
式(I)の化合物は経口的に投与されてもよい。経口投与には、化合物が消化器に入る嚥下を挙げてもよく、あるいは化合物が直接口から血流に入る口腔または舌下投与が使用されてもよい。
【0166】
経口投与に適切な製剤には、錠剤、微粒子を含有するカプセル剤、液剤、粉末剤、トローチ剤(液体が満たされたトローチ剤を含む)、咀嚼剤(chew)、マルチ‐およびナノ‐微粒子、ゲル剤、固形溶液、リポソーム、フィルム、オブル(ovule)、スプレーおよび液体製剤が挙げられる。
【0167】
液体製剤には、懸濁剤、溶液、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられる。そのような製剤は軟または硬カプセル中の充填剤として使用されてよく、そして典型的にはキャリア、たとえば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適切なオイル、および1種以上の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤はまた、たとえばサシェ由来の固体を溶くことにより製造されてもよい。
【0168】
また、式(I)の化合物はLiang and ChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents,11(6),981−986,(2001)に記載のような、速溶解性、速崩壊性剤形で使用されてもよい。
【0169】
錠剤剤形の場合、用量に依存して、式(I)の化合物は剤形の1重量%〜80重量%まで、より典型的には剤形の5重量%〜60重量%までを構成する。式(I)の化合物に加えて、錠剤は一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例としてはデンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース微結晶セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。一般に、崩壊剤は剤形の1重量%〜25重量%まで、好ましくは5重量%〜20重量%までを構成する。
【0170】
結合剤は一般に錠剤製剤に粘着性を与えるために使用される。適切な結合剤には、微結晶セルロース、ゼラチン、糖類、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。また、錠剤は希釈剤、たとえばラクトース(たとえば、一水和物、噴霧乾燥一水和物または無水物の形態として)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶セルロース、デンプンおよび第2リン酸カルシウム二水和物を含有してもよい。
【0171】
また、錠剤は場合により、界面活性剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80、および滑り剤(glidant)、たとえば二酸化珪素およびタルクを含有してもよい。存在する場合、界面活性剤は錠剤の0.2重量%〜5重量%まで構成してもよく、滑り剤は錠剤の0.2重量%〜1重量%まで構成してもよい。
【0172】
また、錠剤は一般に潤滑剤、たとえばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物を含有する。潤滑剤は一般に、錠剤の0.25重量%〜10重量%まで、好ましくは0.5重量%〜3重量%までを構成する。
【0173】
別の可能性のある成分には、酸化防止剤、着色剤、香味剤、保存剤および矯味剤が挙げられる。
代表的な錠剤は、約80%までの式(I)の化合物、約10重量%〜約90重量%までの結合剤、約0重量%〜約85重量%までの希釈剤、約2重量%〜約10重量%までの崩壊剤、および約0.25重量%〜10重量%までの潤滑剤を含有する。
【0174】
錠剤ブレンドは、直接またはローラーにより圧縮され、錠剤を形成してもよい。錠剤ブレンドまたはブレンドの一部は、代わりに、湿式‐、乾式‐、もしくは溶融‐造粒、溶融凝固、または押し出し成形されて、錠剤化されてもよい。最終製剤は1つ以上の層を含有し、そして被覆されても、または、被覆されなくてもよく;それはカプセル化すらされてもよい。
【0175】
錠剤の製剤は、H.Lieberman and L. LachmanによるPharmaceutical Dosage Forms:Tablets,1巻,(Marcel Dekker, New York, 1980)で論じられる。
【0176】
ヒトまたは動物の使用のための消耗可能な経口フィルムは、典型的にはしなやかな水溶性または水‐膨潤性の薄いフィルム剤形であり、それらは速やかに溶解するか、または粘膜粘着性であってもよく、典型的には式(I)の化合物、フィルム‐形成ポリマー、結合剤、溶媒、湿潤剤、可塑剤、安定化剤または乳化剤、粘度‐調節物質および溶媒を含有する。製剤のいくつかの成分は1種より多い機能を果たしてもよい。
【0177】
フィルムにおける使用のための式(I)の化合物は、水溶性または非水溶性であっても
よい。水溶性化合物は典型的には、溶質の1重量%〜80重量%まで、より典型的には、20重量%〜50重量%までを構成する。溶解性の低い化合物は組成物のより高い割合、典型的には溶質の88重量%までを構成してもよい。あるいは、式(I)の化合物は多粒子ビーズの形態において使用されてもよい。
【0178】
フィルム‐形成ポリマーは、天然の多糖、タンパク質、または合成親水コロイドから選択されてもよく、そして典型的には0.01〜99重量%の範囲、より典型的には30〜80重量%の範囲で存在する。
【0179】
そのようなフィルムにおける他の可能性のある成分には、酸化防止剤、着色剤、香味剤香味促進剤、保存剤、唾液分泌促進剤、冷却剤、共溶媒(オイルを含む)、緩和剤、バルク剤、消泡剤、界面活性剤および矯味剤が挙げられる。
【0180】
本発明に従ったフィルムは、典型的には剥離可能な裏張り支持物または紙上に被覆された薄い水性フィルムの蒸発乾燥によって製造される。これは、乾燥オーブンもしくはトンネル、典型的には組み合わせたコータードライヤー(coater dryer)中で、または凍結乾燥または真空処理により行われてもよい。
【0181】
経口投与のための固形製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤されてもよい。調節放出製剤には、遅延化、持続化、パルス化、制御化、標的化およびプログラム化放出製剤が挙げられる。
【0182】
本発明の目的にとって適切な調節放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載される。他の適切な放出技術、たとえば、高エネルギー分散ならびに浸透圧および被覆粒子はVerma et alによるPharmaceutical Technology On−line,25(2),1−14,(2001)に見いだされることになる。制御化放出を達成するためのチューインガムの使用は、WO−A−00/35298に記載される。
【0183】
式(I)の化合物はまた、直接、血流に、筋肉に、または内部器官に投与されてもよい。そのような非経口投与のための適切な経路には、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下送達が挙げられる。非経口投与のための適切な手段には、針(マイクロ針を含む)注射器、針なし注射器および注入技術が挙げられる。
【0184】
非経口製剤は典型的に水性溶液であり、それらは塩、炭水化物および(好ましくは3〜9までのpHにおける)緩衝剤を含んでいてよいが、いくつかの適用では、それらは滅菌非水性溶液として、または乾燥された形態としてより適切に製剤され、滅菌した、発熱物質を含まない水のような適切なベヒクルと一緒に使用されてもよい。
【0185】
滅菌条件下、たとえば凍結乾燥による非経口製剤の製造は、当業者に公知の標準医薬技術を使用して、容易に成し遂げられてもよい。
非経口製剤の製造に使用される式(I)の化合物の溶解度は、適切な製剤技術、たとえば溶解度‐促進剤の混合のような、適切な製剤技術の使用により高められてもよい。
【0186】
非経口投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤されてもよい。調節放出製剤には、遅延化、持続化、パルス化、制御化、標的化およびプログラム化放出製剤が挙げられる。したがって、式(I)の化合物は、活性化合物の調節放出を提供する埋め込みデポとして固形、半固形、または揺動性溶液(thixotropic liquid)として製剤されてもよい。そのような製剤の例としては薬物‐被覆ステント
およびポリ(dl−ラクティック‐コグリコーリック)酸(PGLA)ミクロスフェアが挙げられる。
【0187】
式(I)の化合物はまた、皮膚または粘膜に局所的に、すなわち、皮膚上に、または経皮的に投与されてもよい。この目的のための典型的な製剤には、ゲル剤、親水ゲル剤、ローション剤、溶液、クリーム剤、軟膏、散布粉剤、ドレッシング(dressing)、泡状物、フィルム、皮膚パッチ、ウエファー(wafer)、インプラント、スポンジ、繊維、包帯(bandage)およびマイクロエマルションが挙げられる。また、リポソームが使用されてもよい。典型的なキャリアには、アルコール、水、鉱物油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。透過促進剤が混ぜられてもよい‐Finnin and MorganによるJ.Pharm.Sci.,88(10),955−958,(October 1
999)を参照されたい。
【0188】
局所適用の他の手段としては、エレクトロポレーション、イオントフォレーシス、フォノフォレーシス、ソノフォレーシスおよびマイクロ針または針なし(たとえば、Powerject(登録商標)、Bioject(登録商標)など)注射が挙げられる。
【0189】
局所投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤されてもよい。調節放出製剤には、遅延化、持続化、パルス化、制御化、標的化およびプログラム製剤化放出が挙げられる。
【0190】
式(I)の化合物はまた、鼻腔内に、または吸入によって、典型的には乾燥粉末吸入器から、乾燥粉末(単独で、たとえばラクトースとの乾燥ブレンドの混合物として、または、たとえば、ホスファチジルコリンのようなリン脂質と混合された混合成分粒子としてのいずれか)の形態で、または加圧された容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは電気流体力学を使用して細かい霧を生じるアトマイザー)、もしくは、1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンのような適切な噴射剤の使用を伴うか、または伴わないネブライザーからエアゾールスプレーとして投与されうる。鼻腔内への使用の場合、粉末は生物接着剤、たとえば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでいてもよい。
【0191】
加圧された容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、式(I)の化合物の溶液または懸濁液を含有し、たとえば、エタノール、水性エタノール、または活性成分の分散化、可溶化、または拡張化放出のために適切な代わりの薬剤、溶媒としての噴射剤および、ソルビタントリオレエート、オレイン酸またはオリゴ乳酸のような任意の界面活性剤を含有する。
【0192】
乾燥粉末または懸濁製剤における使用に先だって、薬物製品は吸入による送達に適したサイズ(典型的には5ミクロン未満)に微粉化される。これは、いずれか適切な粉末化法、たとえばスパイラルジェットミリング、流動層ジェットミリング、ナノ粒子形成のための超臨界流体プロセシング、高圧ホモゲナイズ化、または噴霧乾燥により成し遂げられてもよい
カプセル(たとえば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースから作られたもの)、ブリスターおよび吸入器またはガス注入器における使用のためのカートリッジは、式(I)の化合物の粉末混合物、ラクトースまたはデンプンのような適切な粉末基剤、およびl−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムのような性能改善剤を含有するように製剤されてもよい。ラクトースは無水または一水和物の形態、好ましくは後者であってもよい。他の適切な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが挙
げられる。
【0193】
細かいミストを生成するための、電気流体力学を使用したアトマイザーにおける使用のための適切な溶液製剤は、操作(actuation)毎に1μg〜20mgまでの式(I)の化合物を含有してもよく、そして操作(actuation)容積は1μl〜100μlまで変化してもよい。典型的な製剤は式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含有してもよい。プロピレングリコールの代わりに使用してもよい代替溶媒には、グリセロールおよびポリエチレングリコールが挙げられる、
適切な香味剤、たとえばメントールおよびレボメントール、または甘味剤、たとえばサッカリンもしくはサッカリンナトリウムが、吸入/鼻腔内投与を意図した製剤に添加されてもよい。
【0194】
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、たとえばPGLAを使用した即時/または調節放出であるように製剤されてもよい。調節放出製剤には、遅延化、持続化、パルス化、制御化、標的化およびプログラム化放出製剤が挙げられる。
【0195】
乾燥粉末吸入器およびエアゾールの場合、投薬単位は計量された量を送達するバルブにより決定される。本発明に従った単位は、典型的には計量された量または“パフ”を投与するように調整される。全体の1日投薬量は単回投与で、より普通には1日を通して分割された量として投与されることになる。
【0196】
式(I)の化合物は、直腸内または膣内に、たとえば坐薬、ペッサリー、または浣腸の形態で投与されてもよい。ココア粉末は伝統的な坐薬基剤であるが、種々の代替物が適宜使用されてよい。
【0197】
直腸内/膣内投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤されてもよい。調節放出製剤には、遅延化、持続化、パルス化、制御化、標的化およびプログラム化製剤が挙げられる。
【0198】
式(I)の化合物はまた、典型的には等張性で、pHが調節された滅菌生理食塩水中の微粉化懸濁液、または溶液の滴下剤の形態で、目または耳に直接投与されてもよい。他の経眼および経耳投与に適した製剤には、軟膏、生分解性(たとえば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(たとえば、シリコン)インプラント、ウエファー(wafer)、レンズおよび粒子状または小胞状システム、たとえばニノソーム(ninosome)またはリポソームが挙げられる。架橋されたポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、たとえばジェランガムのようなポリマーは、保存剤、たとえば塩化ベンザルコニウムと一緒に混合されてもよい。そのような製剤はまた、イオントフォレーシスによって送達されてもよい。
【0199】
経眼/経耳投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤されてもよい。調節放出製剤には、遅延化、持続化、パルス化、制御化、標的化およびプログラム化放出製剤が挙げられる。
【0200】
式(I)の化合物は可溶性高分子実体、たとえばシクロデキストリンもしくはその適切な誘導体、またはポリエチレングリコール‐含有ポリマーと組み合わせて、前述の投与様式のいずれかにおける溶解度、溶解速度、矯味、バイオアベイラビリティーおよび/または安定性を改善してもよい。
【0201】
薬物‐シクロデキストリン複合体は、たとえば、多くの剤形および投与経路に有用であることが見いだされている。包接および非包接複合体の両方が使用されてもよい。薬物との複合体形成の代わりに、シクロデキストリンは補助添加物、すなわちキャリア、希釈剤、または可溶化剤として使用されてもよい。これらの目的に最も一般的に使用されるものはアルファ‐、ベータ‐およびガンマ‐シクロデキストリンであり、その例は国際特許出願番号WO−A−91/11172、WO−A−94/02518およびWO−A−98/55148に見いだされてよい。
【0202】
ヒト患者への適用の場合、式(I)の化合物の全1日投薬量は、もちろん、選択された化合物の投与様式および効力に依存して、典型的には1mg〜1000mgの範囲である。全1日投与量は単回または分割された量で投与されてもよく、そして医師の判断において、本明細書に示された典型的な範囲以外であってもよい。
【0203】
これらの投薬量は、約60〜70kgの体重を有する平均的なヒト対象に基づく。医師は、幼児および高齢者のような、体重がこの範囲外である対象のための量を容易に決定することができる。
【0204】
疑いを避けるために、本明細書における“治療”への言及は、治癒的、一時的緩和および予防的治療への言及を包含する。
本発明のアルファ−2−デルタリガンドの生物学的活性は、J.Biol.Chem.,1996,271(10),5768−5776に示された方法に基づいて、[H]ガバペンチンおよびブタ脳組織に由来するαδサブユニットを使用した放射リガンド結合アッセイで測定されてもよい。このアッセイは以下において再現される。
H]ガバペンチン結合アッセイ
脳膜の調製
すべての溶液は終始4℃に維持した。ブタ脳皮質(50gまで)(新鮮または凍結)は、10倍容量のバッファーA(0.32M スクロース/1mM EDTA/1mM EGTA/10mM Hepes/KOH、pH7.4)の中で、600r.p.mのガラス/テフロン(登録商標) ホモゲナイザーの6ストロークによってホモゲナイズした。1000gx10分間で得られたペレットの除去後、上清は4,000gで20分間遠心分離し、生じたペレットは10倍容量のバッファーB(1mM EDTA/1mM EGTA/10mM
Hepes/KOH、pH7.4)で再懸濁した。30分間連続してかき混ぜた後、バッファーBによる遠心分離によってさらに2回上記のようにペレット化し、約3倍容量の保存バッファー(1.25mM EDTA/1.25mM EGTA/25% グリセロール/12.5mM Hepes/KOH、pH7.4)に最終的に再懸濁し、1ミリリットルにつき約3ミリグラムの濃度のタンパク質を得た。アリコートは必要になるまで-
80℃で保存した。
結合アッセイプロトコル:
ブタ皮質膜への[H]ガバペンチンの結合は、22℃において、10mM Hepes/KOH、pH7.4中、60分間行われた。非特異的結合(nsb)は10μM プレガバリン存在下で得られた結合として定義した。200μlの膜、25μlの試験化合物/バッファー/nsb、25μl [H]ガバペンチン(最終アッセイ濃度 約10nM)を含む250μlのアッセイ容量を使用した。非結合放射リガンドの分離は、2x1mの冷やした50mM Tris/HCl,pH7.4を使用して、冷した50mM Tris/HCl、pH7.4に浸したGF/Bユニフィルタープレートを通した、真空下での急速濾過により行った。プレートは乾燥させ、microscint‐40を50μl/ウェル添加し、TopCountシンチレーションカウンターを使用して結合放射能の量を測定した。結果はμMまたはnMに換算してIC50として表してもよい。
【0205】
以下に記載のすべての実施例はこのアルファ−2−デルタアッセイで試験し、1μMまたはそれより少ない結合親和性(IC50)を有することが見いだされた。たとえば、(2S)−2−アミノ−4−エチル−2−メチルヘキサン酸(実施例1)は21nMの結合親和性を有した。
【0206】
アルファ−2−デルタ受容体リガンドは、とりわけ疼痛の治療において、他の薬理学的に活性な化合物と、または2種以上の他の薬理学的に活性な化合物と有効に組み合わせてもよい。たとえば、アルファ−2−デルタ受容体リガンド、とりわけ先に定義したような式(I)の化合物、または薬剤的に受容できるその塩または溶媒和物は、以下のものから選択される1種以上の薬剤と組み合わせて同時に、連続して、または別々に投与されてもよい:
・オピオイド鎮痛薬、例えば、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファノール、レバロルファン、メタドン、メペリジン、フェンタニル、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィンまたはペタゾシン;
・非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、たとえば、アスピリン、ジクロフェナック、ジフルシナル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダック、トルメチンまたはゾメピラック;
・バルビツレート鎮静薬、たとえばアモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール、メフォバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、タルブタール、テアミラールまたはチオペンタール;
・鎮静作用を有するベンゾジアゼピン、たとえばクロロジアゼポキシド、クロラゼパート、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパムまたはトリアゾラム;
・鎮静作用を有するHアンタゴニスト、たとえばジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミンまたはクロルシクリジン;
・鎮静剤、たとえばグルテチミド、メプロバメート、メタカロンまたはジクロルアルフェナゾン;
・骨格筋弛緩薬、たとえばバクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモールまたはオルフレナジン;
・NMDA受容体アンタゴニスト、たとえばデキストロメトルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)もしくはその代謝産物デキストロルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリンキノンまたはcis−4−(ホスホノメチル)−2−ピペリジンカルボン酸;
・アルファ‐アドレナリン作動薬、たとえばドキサゾシン、タムスロシン、クロニジンまたは4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノール−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン;
・三環抗うつ剤、たとえばデシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリンまたはノルトリプチリン;
・抗痙攣薬、たとえばカルバマゼピンまたはバルプロアート;
・タキキニン(NK)アンタゴニスト、とりわけNK−3、NK−2もしくはNK−1アンタゴニスト、たとえば(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾチノ[2,1−g][1,7]ナフタリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モ
ルホリニル]メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、ラネピタント、ダピタントまたは3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチルアミノ]−2−フェニル−ピペリジン(2S,3S);
・ムスカリンアンタゴニスト、たとえばオキシブチン、トルテロジン、プロピベリン、トロプシウムクロリドまたはダリフェナシン;
・選択的COX‐2阻害剤、たとえばセレコキシブ、ロフェコキシブまたはバルデコキシブ;
・非選択的COX阻害剤(好ましくはGI保護を伴う)、たとえばニトロフルビプロフェン(HCT−1026);
・コールタール鎮痛剤、とりわけパラセタモール;
・抗精神病薬、たとえばドロペリドール;
・バニロイド受容体アゴニスト(たとえば、レシフェラトキシン)またはアンタゴニスト(たとえば、カプサゼピン);
・ベータ‐アドレナリン作動薬、たとえばプロプラノロール;
・局所麻酔薬、たとえばメキシレチン;
・コルチコステロイド、たとえばデキサメタゾン;
・5−HT受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、とりわけ5−HT1B/1Dアゴニスト、たとえばエレトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタンまたはリザトリプタン;
・コリン作動性(ニコチン性)鎮痛薬;
・トラマドール(商標);
・PDEV阻害剤、たとえばシルデナフィル、バルデナフィル、タラダフィル、5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−
ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、1−{6−エトキシ−5−[3−エチル−6,7−ジヒドロ−2−(2−メトキシエチル)−7−オキソ−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−3−ピリジルスルホニル}−4−エチルピペラジン、またはN−[1−(2−エトキシエチル)−5−(N−エチル−N−メチルアミノ)−7−(4−メチルピリジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−3−カルボニル]メタンスルホンアミド;
・カンナビノイド;
・代謝型グルタメートサブタイプ1受容体(mGluR1)アンタゴニスト;
・セロトニン再取込阻害剤、たとえばセルトラリン;
・ノルアドレナリン再取込阻害剤、特に選択的ノルアドレナリン再取込阻害剤、たとえば(S,S)−レボキセチン;
・誘導型一酸化窒素シンターゼ(iNOS)阻害剤、たとえばS−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−2−メチル−L−システインまたは(2S,5Z)−2−アミノ−2−メチル−7−[(1−イミノエチル)アミノ]−5−ヘプテン酸;
・アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、たとえばドネペジル;
・ドーパミン2型(D2)アンタゴニスト、たとえばジプラジドン;
・プロスタグランジンEサブタイプ4(EP4)アンタゴニスト、たとえばN−[({2−[4−(2−エチル−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)フェニル]エチル}アミノ)カルボニル]−4−メチルベンゼンスルホンアミドまたは4−[(1S)−1−({[5−クロロ−2−(3−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸;ならびに薬剤的に受容できるその塩および溶媒和物。
【0207】
活性化合物の組み合わせが投与されることになる場合、2種以上の医薬組成物が組成物の共投与に適したキットの形態に都合よく組み合わされてもよい。
そのようなキットは、2種以上の別個の医薬組成物を含有し、少なくともその1種はアルファ−2−デルタ受容体アンタゴニスト、とりわけ式(I)の化合物、および上記の組成物を別々に保持するための手段、たとえば容器、分割されたボトル、または分割されたホイルパケット(foil packet)を含有する。そのようなキットの例としては、錠剤、カプセル剤などの包装に使用される、よく知られたブリスターパックが挙げられる。
【0208】
そのようなキットは、異なる投薬形態、たとえば経口および非経口製剤を投与するために、異なる投薬間隔で別個の組成物を投与するために、または別個の組成物をお互いに対して滴定するためにとりわけ適する。コンプライアンスを補助するために、キットは典型的には投薬のための説明書を含有し、いわゆるメモリーエイドと一緒に提供されてもよい。
【0209】
本発明が何を提供し、そして何が主張されることになるかは、以下の通りであることが理解されるであろう:
(i)式(II)の化合物または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物;
(ii)式(I)の化合物または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物の製造のための方法;
(iii)式(I)の化合物または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物を薬剤的に受容できる賦形剤と一緒に含有する医薬組成物;
(iv)医薬品としての使用のための、式(I)の化合物または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物もしくは組成物;
(v)アルファ−2−デルタ受容体リガンドが必要とされる疾患を治療するための医薬品の工業的製造のための、式(I)の化合物の、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物もしくは組成物の使用;
(vi)疼痛の治療のための医薬品の工業的製造のための、式(I)の化合物の、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物もしくは組成物の使用;
(vii)有効量の式(I)の化合物で、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物もしくは組成物で、ヒトを含む哺乳動物を治療することを含む、アルファ−2−デルタ受容体リガンドによる上記哺乳動物の治療の方法;
(viii)有効量の式(I)の化合物で、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物もしくは組成物で、ヒトを含む哺乳動物を治療することを含む、疼痛を治療するための、上記哺乳動物の治療の方法;
(ix)本明細書に開示されたある種の新規中間体;および
(x)式(I)または(II)の化合物と1種以上の付加的な薬理学的に活性な化合物の組み合わせ。
【実施例】
【0210】
以下の実施例は式(I)の化合物の製造方法を説明する。
H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、すべての事例において提案された構造と一致した。特徴的な化学シフト(d)は、主要ピークの名称の慣用の略語を使用して、テトラ
メチルシランから下流側にppmで示す:たとえば、s、シングレット;d、ダブレット;t、トリプレット;q、カルテット;m、マルチプレット;br、ブロード。マススペクトル(MS)は、エレクトロスプレイイオン化(ESI)または大気圧化学イオン化(APCI)のいずれかを使用して記録した。以下の略語が一般的な溶媒に使用されている:CDCl、重水素化クロロホルム;D−DMSO、重水素化ジメチルスルホキシド;CDOD、重水素化メタノール;THF、テトラヒドロフラン。‘アンモニア’は0.88の比重を有する濃縮アンモニア水溶液を表す。薄層クロマトグラフィー(TLC)
が使用されている場合、それはシリカゲル60 F254プレートを使用するシリカゲルTLCを表す。Rは、TLCプレート上での溶媒先端の移動距離で割った化合物の移動距離である。マイクロウェーブ放射は2.45GHzにおける15〜300Wの出力範囲の機械を使用して行われ、供給された実際の出力は反応経過中変化して、一定の温度を維持した。LCMSは、液体クロマトグラフィー質量分析法を示す(R=保持時間)。
【0211】
実施例1
(2S)−2−アミノ−4−エチル−2−メチルヘキサン酸
【0212】
【化37】

【0213】
方法A
Pearlman触媒(0.15g)は、エタノール(5ml)および1モル水性塩酸(1ml)中の(3S,5S)−3−(2−エチルブチル)−3−メチル−5−フェニルモルホリン−2−オン(0.15g、0.54mmol、製造法1)の溶液に添加した。反応物は水素ガス(414kPa、60psi)下、室温で24時間攪拌した。反応混合物はアルボセル(arbocel)を通して濾過し、エタノール(20ml)で洗浄した。液(liquor)は減圧下で留去し、残渣はジクロロメタン((50ml)と水(20ml)に分配した。有機層を除去し、水相はそれ以外のジクロロメタン(50ml)で抽出した。水相は減圧下で留去し、黄色固体を得た。材料は、Dowex 50 WX8レジン上、0.88水性アンモニア:水(2:98〜14:86)で溶出するイオン交換クロマトグラフィーで精製し、表題化合物を白色結晶性固体(30mg)として得た。
HNMR(CD3-OD,400MHz)d:0.83−0.89(m,6H),1.29−1.43(m,8H),1.58−1.62(dd,1H),1.81−1.86(dd,1H)。
LRMS(ESI):m/z 174[M+H],172[M−H]。
【0214】
方法B
20wt%水酸化パラジウム‐炭素(1.0g;50wt%水 ウェット)は、プロパン−2−オールおよび水(4:1;200ml)中の4−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1−フェニル−エチルアミノ)−2−メチル−ヘキサン酸(製造法10、10.0g;34.0mmol)の懸濁液に添加した。容器は窒素、続いて水素により、3回パージし、懸濁液はその後、水素ガス雰囲気(60psi)下、80℃で4時間攪拌した。得られた溶液は次にアルボセル(Arbocel)(登録商標)を通して濾過し、プロパン−2−オールおよび水(4:1;20ml)で洗浄した。プロパン−2−オールおよび水(4:1;100ml)を添加し、その後減圧下で蒸留して溶媒260mlを集めた。付加的な部分のプロパン−2−オール(100ml)を添加し、付加的な溶媒40mlは減圧下で蒸留により除去した。第3の部分のプロパン−2−オール(100ml)を添加し、付加的な溶媒40mlは減圧下で蒸留により除去した。その後、粘性の白色スラリーが見られ、それを22℃に冷却した。生じた溶液スラリーは22℃で30分間攪拌し、その後固体を濾過により分離した。濾過ケーキはプロパン−2−オール(20ml)で洗浄し、真空下で45℃で一晩乾燥し、表題化合物(3.5g粗重量、98%純度、20.2mmol、60%収率)を得た。;H−NMR(CDOD,300MHz),δ:0.86(6H,q),1.28-1.40(5H,m),1.44(3H,s),1.57−1.
63(1H,dd),1.80−1.87(1H,dd)。
【0215】
実施例1.1
(2S)−2−アミノ−4−エチル−2−メチルヘキサン酸ベンゼンスルホン酸塩
アセトニトリル(50ml)中のベンゼンスルホン酸塩(9.5g)溶液は、アセトニトリル(175ml)中の(2S)−2−アミノ−4−エチル−2−メチルヘキサン酸(10g、0.057mol、実施例1)の懸濁液に添加し、混合物は溶解するまで加熱した。溶液は熱い間に濾過し、一晩冷却し、表題化合物を白色針状結晶(16.5g、86%)として得た。
HNMR(CD3OD,400MHz)δ:0.87(m,6H),1.36(m,4H),1.41(m,1H),1.54(m,3H),1.75(m,1H),1.88(m,1H),7.42(m,3H),7.83(m,2H)、交換可能(exchangeable)な4つは現れず.
実施例1.2
(2S)−2−アミノ−4−エチル−2−メチルヘキサン酸p−トルエンスルホン酸塩
アセトニトリル(1ml)中のp−トルエンスルホン酸(54mg、0.28mmol)の溶液は、アセトニトリル(1ml)中の(2S)−2−アミノ−4−エチル−2−メチルヘキサン酸(50mg、0.28mmol、実施例1)に添加し、混合物は溶解するまで加熱した。溶液は熱い間に濾過し、一晩冷却し、表題化合物を白色針状結晶(69mg、70%)として得た。
HNMR(CD3OD,400MHz)δ:0.88(m,6H),1.36(m,5H),1.54(s,3H),1.75(m,1H),1.90(m,1H),2.36(s,3H),7.22(d,2H),7.70(d,2H),交換可能な4つは現れず.
実施例1.3
(2S)−2−アミノ−4−エチル−2−メチルヘキサン酸塩酸塩
メタノール中のHCl溶液は、メタノール(1ml)にアセチルクロリド(0.04ml)を注意深く添加することにより製造した。冷却した溶液はメタノール(1ml)中の(2S)−2−アミノ−4−エチル−2−メチルヘキサン酸(100mg、0.56mmol、実施例1)の懸濁液に添加し、混合物は溶解するまで温め、その後減圧下で留去した。得られた塩酸塩はメタノール/アセトニトリルから再結晶化し、白色固体(63mg、52%)を得た。
HNMR(CD3OD,400MHz)δ:0.87(m,6H),1.36(m,4H),1.43(m,1H),1.55(s,3H),1.75(m,1H),1.90(m,1H),交換可能な4つは現れず.
実施例2
2,5,5−トリメチル−L−ノルロイシン
【0216】
【化38】

【0217】
表題化合物は、実施例1に概説した手順に従って、(3S,5S)−3−(3,3−ジメチルブチル)−3−メチル−5−フェニルモルホリン−2−オン(0.394g、1.43mmol、製造法2)から製造した。生成物(0.138g)は白色結晶性固体として得た。
HNMR(CD3-OD,400MHz)d:0.91(s,9H),1.17−1.25(m,1H),1.28−1.36(m,1H),1.44(s,3H),1.59−
1.67(m,1H),1.83−1.91(m,1H).
LRMS(ESI):m/z 174[M+H],172[M−H].
実施例3
(2S)−2−アミノ−3−シクロペンチル−2−メチルプロパン酸
【0218】
【化39】

【0219】
表題化合物は、実施例1に概説した手順に従って、(3S,5S)−3−(シクロペンチルメチル)−3−メチル−5−フェニルモルホリン−2−オン(0.426g、1.56mmol、製造法3)から製造した。生成物(0.157g)は白色結晶性固体として得た。
HNMR(CD3-OD,400MHz)d:1.08−1.22(m,2H),1.44(s,3H),1.48−1.68(m,4H),1.74−2.00(m,5H).LRMS(ESI):m/z 174[M+H],172[M−H].
実施例4
(2S)−2−アミノ−5−エチル−2−メチルヘプタン酸
【0220】
【化40】

【0221】
表題化合物は、実施例1に概説した手順に従って、(3S,5S)−3−(3−エチルペンチル)−3−メチル−5−フェニルモルホリン−2−オン(製造法4)から製造した。生成物は白色結晶性固体として得た。
HNMR(CD3-OD,400MHz)d:0.85−0.92(m,6H),1.16−1.48(m,7H),1.56(s,3H),1.72−1.99(m,2H).LRMS(ESI):m/z 188[M+H],186[M−H].
実施例5
(2S)−2−アミノ−3−シクロブチル−2−メチルプロパン酸
【0222】
【化41】

【0223】
Pearlman触媒(0.5g)は、エタノール(15ml)、水(2ml)およびトリフルオロ酢酸(0.5ml)中の(3S,5S)−3−(シクロブチルメチル)−3−メチル−5−フェニルモルホリン−2−オン(0.445g、1.7mmol、製造法5)の溶液に添加した。反応物は水素ガス(414kPa、60psi)下、室温で24時間攪拌した。反応混合物はアルボセル(Arbocel)(登録商標)を通して濾過し、エタノール(20ml)で洗浄した。液(liquor)は減圧下で留去し、残渣はジ
クロロメタン(50ml)と水(50ml)に分配した。有機層を除去し、水相は付加的なジクロロメタン(50ml)で抽出した。水相は減圧下で留去し、黄色固体を得た。生成物は、Dowex 50 WX8レジン上、0.88水性アンモニア:水(2:98〜14:86)で溶出するイオン交換クロマトグラフィーで精製し、表題化合物(0.034g)を白色固体として得た。
HNMR(CD3-OD,400MHz)d:1.40(s,3H),1.69−1.84 (m,6H),2.04−2.17(m,2H),2.41−2.54(m,1H).
LRMS(ESI):m/z 158[M+H],156[M−H].
実施例6
(2S,5R)−2−アミノ−2,5−ジメチルヘプタン酸
【0224】
【化42】

【0225】
ジオキサン(3ml)および6N水性塩酸(15ml)中の製造法8の化合物(1.10g)の溶液は16時間、加熱還流した。その後溶液を室温に戻し、溶媒を留去し、残渣を2mlの水に再溶解した。Dowex−50X8−200(25g)カラムは250mlの脱イオン水、続いて250mlの10%水性アンモニアで溶出した。塩基性画分は留去し、表題化合物(0.18g)を白色固体として得た。
HNMR(CD3-OD,400MHz)d:0.89(6H,m),1.08−1.24(2H,m),1.26−1.49(6H,m),1.56−1.65(1H,m),1.87−1.96(1H,m).
LRMS(APCI):m/z 174[M+H].
実施例7
(4S)−2,4−ジメチル−L−ノルロイシン
【0226】
【化43】

【0227】
表題化合物は、実施例1に概説した手順に従って、(3S,5S)−3−メチル−3−[(2S)−2−メチルブチル]−5−フェニルモルホリン−2−オン(0.586g、2.24mmol、製造法9)から製造した。生成物(0.018g)は白色結晶性固体として得た。
HNMR(CD3-OD,400MHz)d:0.90−0.92(m,3H),0.94−0.95(m,3H),1.17−1.40(m,2H),1.45(s,3H),1.50−1.58(bs,1H),1.69−1.81(m,1H),1.70−1.83(m,1H).
LRMS(ESI):m/z 262[M+H].
以下の製造法は先に記載の実施例の製造において使用される中間体がそれら自体どのように合成され得るかを示す。
【0228】
製造法1
(3S,5S)−3−(2−エチルブチル)−3−メチル−5−フェニルモルホリン−2−オン
【0229】
【化44】

【0230】
ホウ素トリフルオリドエーテラート(5.85ml、46mmol)は、テトラヒドロフラン中の(5S)−3−メチル−5−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−2−オン(4.35g、23mmol、WO−A−02/051983を参照されたい)に−78℃でゆっくり添加した。溶液は50分間攪拌し、その後エーテル(250ml)中の3−(ブロモメチル)ペンタン(10.9g、66mmol)およびマグネシウムターニング(turnings)(削り屑状マグネシウム)(2.5g、99mmol)から製造したGrignard試薬の溶液を40分間かけて添加した。反応混合物は付加的に75分間、-78℃で攪拌し、その後-20℃に温め、飽和水性塩化アンモニウム(100ml)で反応を停止した。付加的なテトラヒドロフラン(100ml)を添加し、有機層を水層から分離した。有機層は乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。残渣はペンタン〜ペンタン:エーテル(30:70)の溶出グラジエントを使用して、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体(3.21g)として表題化合物を得た。
HNMR(CDCl,400MHz)d:0.79(q,6H),1.26−1.3
5(m,5H),1.41(s,3H),1.63(dd,1H),1.91(dd,1H),4.17−4.26(m,1H),4.28−4.35(m,2H),7.25−7.36(m,5H).
LRMS(ESI):m/z 276[M+H].
製造法2
(3S,5S)−3−(3,3−ジメチルブチル)−3−メチル−5−フェニルモルホリン−2−オン
【0231】
【化45】

【0232】
テトラヒドロフラン(13.7ml)中のRiekeマグネシウム(343mg、14.1mmol)の懸濁液は、ジエチルエーテル(50ml)中の1−ヨード−3,3−ジメチルブタンの溶液に20分間かけて添加し、反応物は40分間、室温で攪拌した。Grignard試薬溶液および(5S)−3−メチル−5−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−2−オン(1g、5.28mmol、WO−A−02/051983を参照されたい)を製造法1の方法に従って使用し、表題化合物を得た。合成した化合物の総量は0.394gであった。
HNMR(CDCl,400MHz)d:0.91(s,9H),1.13−1.3
1(m,3H),1.42(s,3H),1.67−1.77(bs,1H),2.02−2.10(m,1H),4.31−4.43(m,3H),7.34−7.46(m,5H).
LRMS(ESI):m/z 276[M+H].
製造法3
(3S,5S)−3−(シクロペンチルメチル)−3−メチル−5−フェニルモルホリン−2−オン
【0233】
【化46】

【0234】
化合物は、(5S)−3−メチル−5−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−2−オン(1g、5.28mmol、WO−A−02/051983を参照されたいおよび(ヨードメチル)シクロペンタンを使用して、製造法1に概説した手順に従って製造した。合成した化合物の総量は0.426gであった。
HNMR(CDCl,400MHz)d:1.12−1.22(m,2H),1.4
3−1.65(m,8H),1.78−1.94(m,4H),2.13−2.18(m,1H),4.23−4.42(m,3H),7.31−7.45(m,5H).
LRMS(ESI):m/z 274[M+H
製造法4
(3S,5S)−3−(3−エチルペンチル)−3−メチル−5−フェニルモルホリン−2−オン
【0235】
【化47】

【0236】
表題化合物は、(5S)−3−メチル−5−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−2−オン(0.454g、2.39mmol、WO−A−02/051983を参照されたい)および1−ブロモ−3−エチルペンタン(Bull.Soc.Chim.Fr.,1975,201−205を参照されたい)から、製造法1に概説した手順に従って製造した。合成した化合物の総量は0.07gであった。
HNMR(CDCl,400MHz)d:0.91(s,9H),1.13−1.3
1(m,3H),1.42(s,3H),1.67−1.77(bs,1H),2.02−2.10(m,1H),4.31−4.43(m,3H),7.34−7.46(m,5H).
LRMS(ESI):m/z 276[M+H].
製造法5
(3S,5S)−3−(シクロブチルメチル)−3−メチル−5−フェニルモルホリン−2−オン
【0237】
【化48】

【0238】
表題化合物は、(5S)−3−メチル−5−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−2−オン(1g、5.28mmol、WO−A−02/051983を参照されたい)および(ブロモメチル)シクロブタンから、製造法1に概説した手順に従って製造した。合成した化合物の総量は0.445gであった。
HNMR(CDCl,400MHz)d:1.43(s,3H),1.73−1.8
2(m,2H),1.86−1.92(m,2H),2.02−2.12(m,2H),2.14−2.19(m,1H),2.43−2.52(m,1H),4.22−4.27(m,1H),4.33−4.37(m,2H),7.31−7.43(m,5H).LRMS(ESI):m/z 260[M+H].
製造法6
(5R)−5−メチルヘプタン−2−オン
【0239】
【化49】

【0240】
ジシクロヘキシルカルボジイミド(9.51g、46.1mmol)、N,N′−ジメチル−4−アミノピリジン(1.13g、9.2mmol)およびトリエチルアミン(6.4ml、46.1mmol)は、ジクロロメタン(150ml)中のMeldrum酸(6.64g、46.1mmol)の溶液に添加した。(4R)−4−メチルヘキサン酸(6g、46.1mmol)を添加し、反応混合物を一晩攪拌した。反応混合物を濾過し、固体をジクロロメタン(2x100ml)で洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ、減圧下で留去し、オレンジ色のオイルを得た。酢酸(50ml)および水(50ml)を添加し、反応物を還流下で、一晩加熱した。溶液を室温に戻した後、それをペンタン(100ml)で抽出した。有機抽出物は乾燥(MgSO)し、留去して、残渣を得て、それをペンタン〜ペンタン:ジエチルエーテル19:1の溶出グラジエントを使用して、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製し、淡黄色オイルとして表題化合物(2.8g)を得た。
HNMR(CDCl3-,400MHz)d:0.82−0.88(6H,m),1.07−1.19(1H,m),1.25−1.41(3H,m),1.54−1.64(1H,m),2.12(3H,s),2.34−2.47(2H,m).
製造法7
N−[(1E,4R)−1,4−ジメチルヘキシリデン]−(S)−2−メチルプロパン−2−スルホンアミド
【0241】
【化50】

【0242】
テトラヒドロフラン(10ml)中の(5R)−5−メチルヘプタン−2−オン(3g、23.4mmol)の溶液は、テトラヒドロフラン中の(S)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドおよびチタンテトラエトキシド(9.8ml、46.8mmol)の溶液に添加した。溶液は50℃で20時間攪拌した。反応混合物を室温に戻し、酢酸エチル(50ml)で希釈し、その後ブライン(100ml)に注いだ。層を激しく2分間攪拌し、その後濾過した。有機層は水層から分離し、乾燥(MgSO)した。溶媒は減圧下で留去し、残渣は1:9 酢酸エチル:ペンタン、次に3:17 酢酸エチル:ペンタンの溶出グラジエントを使用して、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製した。このようにして、黄色オイル(3.6g)として表題化合物を得た。
HNMR(CDCl3-,400MHz)d:0.82−0.91(6H,m),1.10−1.23(10H,m),1.29−1.43(3H,m),1.54−1.65(1H,m),2.15(0.6H,s),2.30(2.4H,s),2.32−2.72(2H,m).
LRMS:m/z ESI 232[M+H
製造法8
N−[(1S,4R)−1−シアノ−1,4−ジメチルヘキシル]−2−メチルプロパン−(S)−2−スルフィンアミド
【0243】
【化51】

【0244】
イソプロパノール(0.63ml、8.2mmol)は、トルエン(12.3ml)およびテトラヒドロフラン(5ml)中のジエチルアルミニウムシアニドの1モル溶液の混合物に添加した。混合物は室温で10分間攪拌し、その後−78℃に冷却した。テトラヒドロフラン(20ml)中の製造法7の化合物(1.9g、8.2mmol)の溶液を2分間かけて滴下して加えた。その後、反応物を−78℃で5分間、および室温で90分間攪拌した。次に反応混合物を−20℃に冷却し、酢酸エチル(100ml)と水(100ml)の激しく攪拌した混合物上に注いだ。混合物はアルボセル(登録商標)を通して濾過し、酢酸エチル層を分け、乾燥(MgSO)した。溶媒は減圧下で留去し、残渣は1:4 酢酸エチル:ペンタン、続いて3:7酢酸エチル:ペンタンの溶出グラジエントを使用して、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製した。このようにして、白色固体(1.10g)として表題化合物を得た。
HNMR(CDCl3-,400MHz)d:0.86−0.93(6H,m),1.13−1.26(10H,m),1.29−1.44(3H,m),1.48−1.57(2H,m),1.64(3H,s),1.81−1.98(2H,m),3.41(1H,s).
LRMS(APCI):m/z 259[M+H].
製造法9
(3S,5S)−3−メチル−3−[(2S)−2−メチルブチル]−5−フェニルモルホリン−2−オン
【0245】
【化52】

【0246】
表題化合物は、(5S)−3−メチル−5−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−2−オン(1g、5.28mmol、WO−A−02/051983を参照されたい)および(2S)−1−ヨード−2−メチルブタンから、製造法1に概説した手順に従って製造した。合成した化合物の総量は0.586gであった。
HNMR(CDCl,400MHz)d:0.85−0.88(m,3H),0.9
4−0.96(m,3H),1.17−1.40(m,H),1.46(s,3H),1.60(bs,1H),1.73−1.78(m,1H),1.88−1.93(m,1H),4.22−4.42(m,3H),7.28−7.42(m,5H).
LRMS(ESI):m/z [M+H].
製造法10
4−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1−フェニル−エチルアミノ)−2−メチル−ヘキサン酸
【0247】
【化53】

【0248】
ホウ素トリフルオリドテトラヒドロフラン複合体(5.8ml、52.8mmol)は、無水2−メチルテトラヒドロフラン(50ml)中の(5S)−3−メチル−5−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−2−オン(5g、26.4mmol、WO−A−02/051983を参照されたい)の溶液に窒素下、−78℃で、攪拌しながら添加した。次に得られた溶液は−78℃で1時間攪拌した。テトラヒドロフラン中の溶液としての(2−エチルブチル)マグネシウムブロミド(170ml、0.16M、27.7mmol)は、添加中、−60℃以下に温度を維持しながら添加した。得られた溶液は-78℃で付加的に2時間攪拌した。次に酢酸(0.6ml、10.6mmo
l)を添加し、溶液を22℃に温めた。飽和水性塩化アンモニウム(50ml)、続いて水(100ml)を添加した。相を分離し、有機相を保持した。得られた溶液は真空下、蒸発乾固した。次にトルエン(75ml)を添加し、有機溶液を水(25ml)、続いて飽和水性塩化ナトリウム溶液(25ml)で洗浄し、相を分け、有機相を保持した。水性塩酸(100ml、1.5M)を添加し、得られた2相混合物を30℃に温め、2時間攪拌した。相を分け、水相を保持した。水性水酸化ナトリウム(47%w/w、6ml、その後2M、16ml)を添加して、pH紙によりpH5を得た。得られたスラリーは22℃で30分間攪拌し、固体を濾過により単離した。濾過ケーキは水(25ml)で洗浄し、真空下、60℃で一晩乾燥し、表題化合物(4.1g粗重量、95%純度、14.0mmol、53%収率)を得た:mp149℃;H−NMR(CDOD,300MHz
),δ:0.83(3H, t),0.90(3H,t)1.06(3H,s),1.31−1.54(5H,m)1.73(2H,d),4.40(1H,t),7.46−7.50(5H,m);LRMS(ES):m/z 293[M]

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物:
【化1】

(式中、
は:
(a)4−メチルペント−1−イルおよび1−メチルペント−1−イル以外の、分枝したC〜C10アルキル;
(b)1−フルオロエト−1−イル、ヘプタフルオロプロピル、2,2−ジトリフルオロメチルエト−1−イル、ペンタフルオロエチル、2−フルオロエト−1−イル、2−フルオロペント−1−イルおよび2−フルオロ−3−メチルブト−1−イル以外の、1つ以上のフルオロ基によって置換されたC〜Cアルキル;
(c)シクロヘキシルメチル以外の、1つのC〜Cシクロアルキル基によって置換されたC〜Cアルキル;
(d)アリールがフェニルまたは(他の置換にかかわらず)−NH、ヨードもしくはメトキシ基によって置換されたフェニルである場合以外の、1つのアリール基によって置換されたエチル;
(e)アリールがフェニル、3,4−ジヒドロキシフェニルまたは3,4−ジメトキシフェニルである場合以外の、アリールによって置換されたC〜Cアルキル;
(f)アリールによって置換されたC〜Cアルキル;
(g)C〜Cアルコキシによって置換されたC〜Cアルキル;
(h)C〜Cアルコキシによって置換されたC〜Cアルキル;
(i)C〜Cシクロアルキルオキシによって置換されたC〜Cアルキル;
(j)(2−メトキシフェニル)オキシメチル、(4−メトキシフェニル)オキシメチル、(4−クロロフェニル)オキシメチル、(2,6−ジメチルフェニル)オキシメチル、(2−メトキシ−5−クロロフェニル)オキシメチル、(2−メトキシ−5−フルオロフェニル)オキシメチルおよび(2−メトキシ−4−クロロフェニル)オキシメチル以外の、アリールオキシによって置換されたC〜Cアルキル;
(k)ヘキシルチオによって置換されたメチルまたはC〜Cアルキルチオによって置換されたC〜Cアルキル;
(l)シクロヘキシルチオメチル以外の、C〜Cシクロアルキルチオによって置換されたC〜Cアルキル;または
(m)フェニルチオメチル、(4−クロロフェニル)チオメチル、(4−フルオロフェニル)チオメチル、2−(フェニルチオ)エチル、(4−クロロフェニル)チオエチル、(4−メトキシフェニル)チオメチルおよび(4−メトキシフェニル)チオエチル以外の、アリールチオによって置換されたC〜Cアルキルであり;
は、場合により1つ以上のフルオロ基によって置換されたメチルであり;
アリールは、それぞれ場合によりハロ、‐NR、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシおよびシアノから選択される1つ以上の置換基によって置換されたフェニルまたはナフチルであり;そして
はH、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである)、または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
がメチルである、請求項1に記載の式(II)の化合物。
【請求項3】
が:
(a)4−メチルペント−1−イルおよび1−メチルペント−1−イル以外の、分枝したC〜Cアルキル;シクロヘキシルメチル以外の、1つのC〜Cシクロアルキル基によって置換されたC〜Cアルキル;(2−メトキシフェニル)オキシメチル、(4−メトキシフェニル)オキシメチル、(4−クロロフェニル)オキシメチル、(2,6−ジメチルフェニル)オキシメチル、(2−メトキシ−5−クロロフェニル)オキシメチル、(2−メトキシ−5−フルオロフェニル)オキシメチルおよび(2−メトキシ−4−クロロフェニル)オキシメチル以外の、アリールオキシによって置換されたC〜Cアルキル;2−メチルブチル;もしくはクロロフェニルメチル;または
(b)2−エチル−ブト−1−イル、3,3−ジメチルブト−1−イル、3−エチルペント−1−イル、3−メチルペント−1−イル、2−メチルブト−1−イル、4−メチルペント−1−イル、シクロペンチルメチル、シクロブチルメチル、2−シクロプロピルエト−1−イル、2−(フェニルオキシ)エト−1−イルまたは(3−クロロフェニル)メチルである、請求項1または請求項2に記載の式(II)の化合物。
【請求項4】
化合物が以下のもの:
2,5,5−トリメチル−L−ノルロイシン;
(2S)−2−アミノ−3−シクロペンチル−2−メチルプロパン酸;
(2S)−2−アミノ−5−エチル−2−メチルヘプタン酸;
(2S)−2−アミノ−3−シクロブチル−2−メチルプロパン酸;および
(2S,5R)−2−アミノ−2,5−ジメチルヘプタン酸;
から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(II)の化合物、または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に定義された式(II)の化合物、または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物、および薬剤的に受容できる賦形剤を含有する、医薬組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に定義された式(II)の化合物、または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物を含有することを特徴とする疼痛治療剤。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に定義された式(II)の化合物、または薬剤的に受容できるその塩もしくは溶媒和物と、もう一つの薬理学的に活性な化合物とを組合わせてなることを特徴とする医薬。

【公開番号】特開2009−40767(P2009−40767A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173198(P2008−173198)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【分割の表示】特願2008−508341(P2008−508341)の分割
【原出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】