説明

アミノ酸誘導体

本発明は、Ar、R、RおよびR2aが、本明細書で定義されている通りである式(I)の化合物を用いて疼痛を治療する方法に関する。本発明は、式(I)の特定の新規化合物にも関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β−アミノ酸誘導体に関する。より詳細には、本発明は、アリールオキシ置換β−アミノ酸誘導体ならびにそのような誘導体を調製するための方法、そのような誘導体の調製において使用される中間体、そのような誘導体を含有する組成物、およびそのような誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
EP−0347000A、EP−0401903AおよびWO−92/09287Aは、単純ヘルペス感染および呼吸器疾患の治療に有用なバニロイド誘導体について論じている。WO−98/017273Aは、毛包損傷を防ぐための酪酸誘導体について論じている。MikhalevaおよびMamaev(Zhurnal Obshchei Khimii、1964、34(7)、2153〜2157およびIzv.Sibirsk.Otd.Akad.Nauk SSSR、1962、11、145〜148)は、以下の化合物、すなわち、2−フェノキシ−β−アラニン、2−(4−クロロフェノキシ)−β−アラニン、2−(4−フルオロフェノキシ)−β−アラニン、2−(4−ブロモフェノキシ)−β−アラニン、2−(4−ヨードフェノキシ)−β−アラニン、2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−β−アラニン、2−(2,4,5−トリクロロフェノキシ)−β−アラニン、2−(4−トリルオキシ)−β−アラニンおよび2−[(4−クロロ−2−トリル)オキシ]−β−アラニンの合成について論じている。
【0003】
本発明の化合物は、アルファ−2−デルタ(α2δ)受容体リガンド(アルファ−2−デルタリガンドとしても知られている)であるため、多くの異なる疾患の治療に有用である。アルファ−2−デルタ受容体リガンドは、ヒトカルシウムチャネルアルファ−2−デルタサブユニットの任意のサブタイプと結合する分子である。カルシウムチャネルアルファ−2−デルタサブユニットは、文献に記載された多くのサブタイプ(例えば、1型、J.Biol.Chem.、1996、271(10)、5768〜76;2および3型、J.Membr.Biol.、2001、184(1)、35〜43およびMol.Pharmacol.、2001、59(5)、1243〜1248;ならびに4型、Mol.Pharmacol.、2002、62(3)、485〜496)を含む。アルファ−2−デルタ受容体リガンドは、GABA類似体としても知られていることがある。
【0004】
知られているアルファ−2−デルタ受容体リガンドの中には、ガバペンチン(商標Neurontinの下で販売されている)およびプレガバリン(商標Lyricaの下で販売されている)などの販売されている薬がある。ガバペンチンは、てんかんの治療用に販売されている抗痙攣薬である。プレガバリンは、神経障害性疼痛の治療用に販売されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
改善された特性(例えば、より大きい効力、より大きい選択性、胃腸管からのより良い吸収、より大きい代謝安定性およびより好ましい薬物動態特性)を潜在的に有する新たな薬物を提供することが常に必要である。他の潜在的利点には、標的とされる疾患に応じてより大きいまたはより小さい血液脳関門の透過、より低い毒性および副作用の発生率低下が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、第一の実施形態Aとして、医薬品として使用するための、式(I)の化合物、
【0007】
【化1】

または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を提供し、式中、
は、水素または(C〜C)アルキルであり、
およびR2aは、各々独立して、水素またはメチルであり、
Arは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキルチオ、(C〜C)アルキルアミノ、(ジ−(C〜C)アルキル)アミノ、アミノ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル、(ジ−(C〜C)アルキル)アミノ(C〜C)アルキル、(C〜C)アシル、(C〜C)アシルオキシ、(C〜C)アシルオキシ(C〜C)アルキル、(C〜C)アシルアミノ、(C〜C)アルキルチオ、(C〜C)アルキルチオカルボニル、(C〜C)アルキルスルホニル、(C〜C)アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、(C〜C)アルキルアミノスルホニル、(ジ−(C〜C)アルキル)アミノスルホニル、(C〜C)シクロアルキル、Het、フェニルおよびHetから選択される1個または複数の置換基によって置換されていてもよいフェニルであり、
Hetは、各々が独立して窒素、酸素およびイオウから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含む5または6員の飽和または部分不飽和の複素環式基であり、前記環窒素原子は、(C〜C)アルキル置換基を有していてもよく、前記環イオウ原子は、1または2個の酸素原子を有していてもよく、
Hetは、(a)1〜4個の窒素原子または(b)1個の酸素もしくは1個のイオウ原子および0、1もしくは2個の窒素原子のどちらかを含む5もしくは6員のヘテロアリール基である。
【0008】
上記の定義において、ハロは、フルオロ、クロロまたはブロモを意味し、フルオロまたはクロロであることが好ましい。必要数の炭素原子を含有するアルキルおよびアルコキシ基は、特に指定のない限り、直鎖または分岐鎖であってよい。アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルが含まれる。アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシおよびt−ブトキシが含まれる。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが含まれる。
【0009】
本発明は、実施形態Bとして、実施形態Aにおいて定義したような式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物をさらに提供するが、ただし、化合物は、以下の具体的化合物のうちの1つではない。
2−フェノキシ−β−アラニン;
2−(4−クロロフェノキシ)−β−アラニン;
2−(4−フルオロフェノキシ)−β−アラニン;
2−(4−ブロモフェノキシ)−β−アラニン;
2−(4−ヨードフェノキシ)−β−アラニン;
2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−β−アラニン;
2−(2,4,5−トリクロロフェノキシ)−β−アラニン;
2−(4−トリルオキシ)−β−アラニン;または
2−[(4−クロロ−2−トリル)オキシ]−β−アラニン。
【0010】
実施形態B1において、本発明は、ArおよびRが、実施形態Aにおいて上記に定義した通りであり、RおよびR2aが、共に水素である式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0011】
実施形態B2において、本発明は、Rが、実施形態Aにおいて上記で定義した通りであり、RおよびR2aが、実施形態Aまたは実施形態B1において上記で定義した通りであり、Arが、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルコキシおよびハロ(C〜C)アルキルチオから個別に選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、Arが、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびトリフルオロメチルチオから個別に選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよいフェニルであることがより好ましい、(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0012】
実施形態B3において、本発明は、RおよびR2aが、実施形態Aまたは実施形態B1において上記で定義した通りであり、Arが、実施形態Aまたは実施形態B2において上記で定義した通りであり、Rが、水素である、(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0013】
実施形態B4において、本発明は、RおよびR2aが、実施形態Aまたは実施形態B1において上記で定義した通りであり、Arが、実施形態Aまたは実施形態B2において上記で定義した通りであり、Rが、実施形態Aまたは実施形態B3において上記で定義した通りである、(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を提供し、化合物は、副式(sub−formula)(Ia)に従い、(2S)−立体化学を有する。
【0014】
【化2】

【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明による具体的な好ましい化合物は、以下の実施例の項に列挙されている化合物ならびに薬学的に許容できるそれらの塩および溶媒和物である。
【0016】
薬学的に許容できる式(I)の化合物の塩には、それらの酸付加塩および塩基塩が含まれる。
【0017】
適当な酸付加塩は、無毒性塩を形成する酸から形成される。例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素塩/臭化物、ヨウ化水素塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチレート、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびキシノホ酸塩(xinofoate)が含まれる。
【0018】
適当な塩基塩は、無毒性塩を形成する塩基から形成される。例には、アルミニウム塩、アルギニン塩、ベンザチン塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオラミン塩、グリシン塩、リシン塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、オラミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩および亜鉛塩が含まれる。
【0019】
酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩も形成することができる。
【0020】
適当な塩の総説については、StahlおよびWermuthによるHandbook of Phamaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(Wiley−VCH、2002)を参照されたい。
【0021】
薬学的に許容できる式(I)の化合物の塩は、3つの方法のうち1つまたは複数により、すなわち、
(i)式(I)の化合物を望ましい酸または塩基と反応させることにより、
(ii)望ましい酸または塩基を用い、式(I)の化合物の適当な前駆体から酸もしくは塩基に不安定な保護基を除去するか、または適当な環状前駆体、例えば、ラクトンもしくはラクタムを開環することにより、または
(iii)適切な酸もしくは塩基との反応により、または適当なイオン交換カラムにより、式(I)の化合物のある塩を別の塩に変換することにより調製することができる。
【0022】
通常、3つの反応はすべて、溶液中で行われる。得られる塩は、沈殿させて濾過によって集めるか、または溶媒の蒸発によって回収することができる。得られる塩におけるイオン化の程度は、完全なイオン化からほぼ非イオン化までと様々であってよい。
【0023】
本発明の化合物は、完全な非晶性から完全な結晶性までの一連の固体状態で存在することがある。用語「非晶性の」は、その材料が、分子レベルで長距離秩序を欠き、温度に応じて、固体または液体の物理的特性を示すことがある状態を指す。通常、そのような材料は、特有のX線回折パターンを与えず、固体の特性を示すものの、より正式には液体として記述される。加熱すると、通常は二次の状態変化(「ガラス転移」)を特徴とする固体特性から液体特性への変化が起きる。用語「結晶性の」は、その材料が、分子レベルで規則的な秩序のある内部構造を有し、ピークが明確な特有のX線回折パターンを与える固相を指す。そのような材料は、十分に加熱された場合、液体の特性も示すが、固体から液体への変化は、通常は一次の相変化(「融点」)を特徴とする。
【0024】
本発明の化合物は、非溶媒和形態および溶媒和形態でも存在することがある。本明細書において、用語「溶媒和物」は、本発明の化合物および1種または複数の薬学的に許容できる溶媒分子、例えばエタノールを含む分子コンプレックスについて記載するために使用される。用語「水和物」は、前記溶媒が水である場合に用いられる。
【0025】
有機水和物について現在受け入れられている分類システムは、孤立部位(isolated site)、チャネル、または金属イオン配位水和物を定義するものであり、K.R.MorrisによるPolymorphism in Pharmaceutical Solids(H.G.Brittain編、Marcel Dekker、1995)を参照されたい。孤立部位水和物は、水分子が、介在する有機分子によってお互いとの直接的接触から隔離されている水和物である。チャネル水和物において、水分子は、それらが他の水分子に隣接している格子チャネル中に位置する。金属イオン配位水和物において、水分子は、金属イオンに結合している。
【0026】
溶媒または水が強固に結合している場合、コンプレックスは、湿度とは無関係に明確な化学量論を有するであろう。しかしながら、チャネル溶媒和物および吸湿性化合物におけるように、溶媒または水が弱く結合している場合、水/溶媒含有量は、湿度および乾燥条件に左右されるであろう。そのような場合には、非化学量論が普通であろう。
【0027】
薬物および少なくとも1つの他の成分が化学量論的または非化学量論的な量で存在する多成分コンプレックス(塩および溶媒和物以外)も本発明の範囲内に含まれる。このタイプのコンプレックスには、クラスレート(薬物−ホスト包接コンプレックス)および共結晶が含まれる。後者は通常、非共有結合性相互作用を介して結合しているが、中性分子と塩のコンプレックスでもあり得る中性分子成分の結晶性コンプレックスと定義される。共結晶は、融解結晶化により、溶媒からの再結晶により、または成分を一緒に物理的に粉砕することにより調製することができる。O.AlmarssonおよびM.J.ZaworotkoによるChem Commun、17、1889〜1896(2004)を参照されたい。多成分コンプレックスの一般総説については、HaleblianによるJ Pharm Sci、64(8)、1269〜1288(1975年8月)を参照されたい。
【0028】
本発明の化合物は、適当な条件にさらされた場合、メソモルフィック状態(中間相または液晶)で存在することがある。メソモルフィック状態は、真の結晶性状態と真の液体状態(融液または溶液のどちらか)の中間である。温度変化の結果として起こるメソモルフィズム(mesomorphism)は、「サーモトロピックな」と称され、水または別の溶媒などの第二の成分の添加に起因するメソモルフィズムは、「リオトロピックな」と称される。リオトロピックな中間相を形成する潜在力を有している化合物は、「両親媒性の」と称され、イオン性(−COONa、−COO、または−SONaなど)または非イオン性(−N(CHなど)極性頭部基を有する分子からなる。詳細な情報については、N.H.HartshorneおよびA.StuartによるCrystals and the Polarizing Microscope、第4版(Edward Arnold、1970)を参照されたい。
【0029】
本明細書では以後、式(I)の化合物へのすべての言及には、それらの塩、溶媒和物、多成分コンプレックスおよび液晶、ならびにそれらの塩の溶媒和物、多成分コンプレックスおよび液晶への言及が含まれる。
【0030】
本発明の化合物には、それらのすべての多形体および晶癖を含む本明細書で前に定義したような式(I)の化合物、本明細書で後に定義するようなそれらのプロドラッグおよび異性体(光学異性体、幾何異性体および互変異性体を含む)ならびに式(I)の同位体標識化合物が含まれる。
【0031】
示すように、式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も、本発明の範囲内にある。すなわち、それら自体が薬理学的活性をほとんど、または全く有さないことがある式(I)の化合物の特定の誘導体は、体内または体表に投与された場合、例えば加水分解により、望ましい活性を有する式(I)の化合物に変換されることがある。そのような誘導体は、「プロドラッグ」と呼ばれる。プロドラッグの使用に関するそれ以上の情報は、Pro−drugs as Novel Delivery Systems、第14巻、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella)およびBioreversible Carriers in Drug Design、Pergamon Press、1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)中に見いだすことができる。
【0032】
本発明によるプロドラッグは、例えば、式(I)の化合物中に存在する適切な官能基を、例えば、H.BundgaardによるDesign of Prodrugs(Elsevier、1985)に記載されているような「プロモイエティ(pro−moieties)」として当業者に知られている特定の部分で置き換えることにより製造することができる。
【0033】
本発明によるプロドラッグのいくつかの例には、
(i)式(I)の化合物がカルボン酸官能基(−COOH)を含有する場合は、そのエステル、例えば、式(I)の化合物のカルボン酸官能基の水素が、(C〜C)アルキルによって置き換えられている化合物、
(ii)式(I)の化合物がアルコール官能基(−OH)を含有する場合は、そのエーテル、例えば、式(I)の化合物のアルコール官能基の水素が、(C〜C)アルカノイルオキシメチルによって置き換えられている化合物、
(iii)式(I)の化合物が一級または二級アミノ官能基(−NHまたは−NHR(RはHではない))を含有する場合は、そのアミド、例えば、場合によって、式(I)の化合物のアミノ官能基の一方または両方の水素が、(C〜C10)アルカノイルによって置き換えられている化合物が含まれる。
【0034】
上記の例および他のプロドラッグタイプの例による置換基の他の例は、上述の参考文献中に見いだすことができる。
【0035】
さらに、式(I)の特定の化合物は、それら自体で式(I)の他の化合物のプロドラッグとしての役割を果たすことができる。
【0036】
式(1)の化合物の代謝産物、すなわち、薬物の投与によってin vivoで形成される化合物も本発明の範囲内に含まれる。本発明による代謝産物のいくつかの例には、
(i)式(I)の化合物がメチル基を含有する場合は、そのヒドロキシメチル誘導体(−CH→−CHOH)、
(ii)式(I)の化合物がアルコキシ基を含有する場合は、そのヒドロキシ誘導体(−OR→−OH)、
(iii)式(I)の化合物が三級アミノ基を含有する場合は、その二級アミノ誘導体(−NR→−NHRまたは−NHR)、
(iv)式(I)の化合物が二級アミノ基を含有する場合は、その一級誘導体(−NHR→−NH)、
(v)式(I)の化合物がフェニル部分を含有する場合は、そのフェノール誘導体(−Ph→−PhOH)、および
(vi)式(I)の化合物がカルボキサミド基を含有する場合は、そのカルボン酸誘導体(−CONH→COOH)が含まれる。
【0037】
1個または複数の不斉炭素原子を含有する式(1)の化合物は、2種以上の立体異性体として存在することがある。式(1)の化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含有する場合、幾何学的なシス/トランス(すなわちZ/E)異性体が可能である。構造異性体が低いエネルギー障壁を介して相互変換可能である場合、互変異性の異性(「互変異性」)が生じることがある。これは、例えば、イミノ、ケト、もしくはオキシム基を含有する式(I)の化合物におけるプロトン互変異性、または芳香族部分を含有する化合物におけるいわゆる原子価互変異性の形をとることがある。その結果、単一の化合物が2種以上のタイプの異性を示すことがある。
【0038】
2種以上のタイプの異性を示す化合物、およびそれらの1個または複数の混合物を含む式(I)の化合物のすべての立体異性体、幾何異性体および互変異性体は、本発明の範囲内に含まれる。対イオンが光学活性である、例えば、d−乳酸塩もしくはl−リシンであるか、またはラセミである、例えば、dl−酒石酸塩もしくはdl−アルギニンである酸付加塩または塩基塩も含まれる。
【0039】
シス/トランス異性体は、当業者によく知られている従来技法、例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶によって分離することができる。
【0040】
個々の鏡像異性体を調製/分離するための従来技法には、適当な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または、例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いるラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。
【0041】
代替方法として、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を、適当な光学活性化合物、例えばアルコールと、または、式(I)の化合物が酸性もしくは塩基性部分を含有する場合には、1−フェニルエチルアミンもしくは酒石酸などの塩基もしくは酸と反応させることができる。得られるジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶によって分離することができ、ジアステレオ異性体の一方または双方は、当業者によく知られている手段により対応する純粋な(1個または複数の)鏡像異性体に変換することができる。
【0042】
本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、イソプロパノール0〜50容量%、典型的には2%〜20%、およびアルキルアミン0〜5容量%、典型的にはジエチルアミン0.1%を含有する炭化水素、典型的にはヘプタンまたはヘキサンからなる移動相による不斉樹脂上のクロマトグラフィー、典型的にはHPLCを用い、鏡像異性的に富化された形態で得ることができる。溶出液を濃縮すると、富化された混合物が得られる。
【0043】
任意のラセミ体が結晶化する場合、2種の異なるタイプの結晶が可能である。第一のタイプは、等モル量で両鏡像異性体を含有する1つの均一形態の結晶が形成される上述のラセミ化合物(真のラセミ体)である。第二のタイプは、各々が単一の鏡像異性体を含む2種の形態の結晶が等モル量で形成されるラセミ混合物または集合体である。
【0044】
ラセミ混合物中に存在する結晶体は共に同一の物理的特性を有するが、それらは、真のラセミ体に比べて異なる物理的特性を有することがある。ラセミ混合物は、当業者に知られている従来技法により分離することができる。例えば、E.L.ElielおよびS.H.WilenによるStereochemistry of Organic Compounds(Wiley、1994)を参照されたい。
【0045】
本発明には、1個または複数の原子が、同じ原子番号であるが、自然において優位を占める原子量または質量数と異なる原子量または質量数を有する原子によって置き換えられているすべての薬学的に許容できる式(I)の同位体標識化合物が含まれる。
【0046】
本発明の化合物中に含めるのに適している同位体の例には、HおよびHなどの水素、11C、13Cおよび14Cなどの炭素、36Clなどの塩素、18Fなどのフッ素、123Iおよび125Iなどのヨウ素、13Nおよび15Nなどの窒素、15O、17Oおよび18Oなどの酸素、32Pなどのリン、ならびに35Sなどのイオウの同位体が含まれる。
【0047】
式(I)の特定の同位体標識化合物、例えば、放射性同位体を組み入れた同位体標識化合物は、薬物および/または基質の組織分布研究において有用である。放射性同位体であるトリチウム、すなわちH、および炭素−14、すなわち14Cは、それらを組み入れる容易さおよびそれらを検出する手段が用意されていることに鑑みてこの目的に特に有用である。
【0048】
重水素、すなわちHなどのより重い同位体による置換は、より大きい代謝安定性に由来する特定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の増加または用量要件の軽減を提供することがあるため、一部の環境において好ましいことがある。
【0049】
11C、18F、15Oおよび13Nなどのポジトロン放出同位体による置換は、基質受容体占有を調べるためのポジトロン放出断層撮影(PET)研究において有用なことがある。
【0050】
一般的に、式(I)の同位体標識化合物は、当業者に知られている従来技法により、またはこれまでに用いた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を用い、添付の実施例および調製に記載されているプロセスに類似したプロセスにより調製することができる。
【0051】
本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、結晶化の溶媒が、同位体置換されている、例えばDO、d−アセトン、d−DMSOであってよい溶媒和物が含まれる。
【0052】
式(I)の化合物は、アルファ−2−デルタ受容体リガンドであり、広範囲な障害の治療に潜在的に有用である。疼痛、特に神経障害性疼痛の治療は、好ましい使用である。
【0053】
生理学的疼痛は、外部環境からの潜在的に傷害性の刺激による危険を警告するように設計された重要な防御機構である。このシステムは、特異的な一連の一次感覚ニューロンを通して作動し、末梢性伝達機構を介して侵害刺激により活性化される(総説についてはMillan、1999、Prog.Neurobio.、57、1〜164を参照)。これらの感覚線維は、侵害受容器として知られており、伝導速度の遅い特徴的に小さな直径の軸索である。侵害受容器は、侵害刺激の強度、持続時間および質、ならびに脊髄に対するそれらの局所解剖学的に組織化された投射に基づき、刺激の位置をコードする。侵害受容器は、A−δ線維(有髄)およびC線維(無髄)という2つの主要な型がある侵害受容性神経線維上に見いだされる。侵害受容器入力により生成される活動は、後角における複雑なプロセシング後、直接的に、または脳幹中継核を介して基底腹側(ventrobasal)視床に、次いで皮質に伝達され、そこで疼痛の感覚が生成される。
【0054】
一般的に、疼痛は、急性または慢性として分類することができる。急性疼痛は、突然始まり短寿命である(通常は12週以下)。急性疼痛は、通常、特定の損傷などの特定の原因を伴い、鋭くかつ重度であることが多い。急性疼痛は、外科手術、歯科治療、挫傷または捻挫に起因する特定の損傷後に起こり得る種類の疼痛である。一般的に、急性疼痛は、いかなる持続性な心理学的応答ももたらすことはない。対照的に、慢性疼痛は、長期の疼痛であり、通常、3カ月を超えて持続し、著しい心理学的および感情的問題につながる。慢性疼痛の一般例は、神経障害性疼痛(例えば、有痛性の糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛)、手根管症候群、背痛、頭痛、癌性疼痛、関節痛および慢性術後疼痛である。
【0055】
疾患または外傷を介して、身体組織に対して実質的な損傷が起きる場合、侵害受容器活性化の特徴は変化し、末梢においては、損傷の周囲で局所的に、侵害受容器が終わる場所では中枢的に、過敏化が存在する。これらの効果は、疼痛の感覚増大につながる。急性疼痛では、これらの機構が、修復プロセスを起こしやすくすることがある防御行動を促進するのに有用なことがある。普通に予測されるのは、ひとたび損傷が治癒すれば感受性は正常に戻ることであろう。しかしながら、多くの慢性疼痛状態において、過敏性は、治癒プロセスよりあるかに長く続き、神経系の損傷に起因することが多い。この損傷は、適応不全および異所性活動に伴う感覚神経線維の異常につながることが多い(WoolfおよびSalter、2000、Science、288、1765〜1768)。
【0056】
臨床的疼痛は、患者の症状の中でも不快かつ異常な感受性を特色とする場合に存在する。患者は、全く不均一である傾向があり、様々な疼痛症状を示すことがある。そのような症状には、1)鈍痛、灼熱痛、または刺痛のような自発痛、2)侵害刺激に対する過度の疼痛応答(痛覚過敏)、および3)通常は無害な刺激により生じる疼痛(異疼痛−Meyer他、1994、Textbook of Pain、13〜44)が含まれる。様々な形態の急性および慢性疼痛に罹患している患者は、類似の症状を有するが、根底にある機構は、異なることがあるため、異なる治療戦略を必要とすることがある。したがって、疼痛は、侵害受容性、炎症性および神経障害性疼痛を含む、異なる病態生理学による多くの異なるサブタイプに分類することができる。
【0057】
侵害受容性疼痛は、組織損傷により、または損傷を引き起こす可能性のある激しい刺激により誘発される。痛覚求心性は、損傷部位における侵害受容器による刺激の伝達により活性化され、それらの終了位置において脊髄内のニューロンを活性化する。次いで、脊髄路を上行して脳に中継され、そこで疼痛が認知される(Meyer他、1994、Textbook of Pain、13〜44)。侵害受容器の活性化は、2つのタイプの求心性神経線維を活性化する。有髄のA−δ線維は、迅速に伝達し、鋭くかつ刺すような疼痛感覚を担い、一方、無髄のC線維は、より遅い速度で伝達し、鈍いかうずくような疼痛を伝達する。中等度から重度の急性侵害受容性疼痛は、中枢神経系外傷、挫傷/捻挫、火傷、心筋梗塞および急性膵炎、術後疼痛(任意のタイプの外科手術後の疼痛)、外傷後疼痛、腎疝痛、癌性疼痛および背痛由来の疼痛の際立った特徴である。癌性疼痛は、腫瘍関連疼痛(例えば、骨痛、頭痛、顔面痛または内臓痛)または癌療法に伴う疼痛(例えば、化学療法後症候群、慢性術後疼痛症候群または照射後症候群)などの慢性疼痛であってよい。癌性疼痛は、化学療法、免疫療法、ホルモン療法または放射線療法に応答して起きることもある。背痛は、脱出性もしくは破裂性椎間板、または腰部椎間関節、仙腸関節、傍脊柱筋もしくは後縦靱帯の異常に起因することがある。背痛は、自然に消散することがあるが、一部の患者において、背痛が12週間にわたって続く場合、特に衰弱性であり得る慢性状態になる。
【0058】
現在、神経障害性疼痛は、神経系における原発性病変または機能障害により開始または引き起こされる疼痛と定義される。神経損傷は、外傷および疾患により引き起こされることがあるため、用語「神経障害性疼痛」は、多様な病因を有する多くの障害を包含する。これらには、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、背痛、癌性神経障害、HIV神経障害、幻肢痛、手根管症候群、中枢性脳卒中後疼痛ならびに慢性アルコール依存症、甲状腺機能低下症、尿毒症、多発性硬化症、脊髄損傷、パーキンソン病、てんかんおよびビタミン欠乏症に伴う疼痛が含まれるが、これらに限定されるものではない。神経障害性疼痛は、防御的役割をもたないため、病的である。神経障害性疼痛は、元の原因が消散した後も存在することが多く、一般的に数年間持続し、患者の生活の質を著しく低下させる(WoolfおよびMannion、1999、Lancet、353、1959〜1964)。神経障害性疼痛の症状は、同じ疾患を有する患者間でさえ異質であることが多いため、治療するのが困難である(WoolfおよびDecosterd、1999、Pain Supp.、6、S141〜S147;WoolfおよびMannion、1999、Lancet、353:1959〜1964)。それらには、持続性であり得る自発痛、ならびに痛覚過敏(有害刺激に対する感受性増加)および異疼痛(通常は無害な刺激に対する感受性)などの発作性および異常誘発痛が含まれる。
【0059】
炎症プロセスは、組織損傷または異物の存在に反応して活性化される複雑な一連の生化学的および細胞事象であり、腫脹および疼痛をもたらす(LevineおよびTaiwo、1994、Textbook of Pain、45〜56)。関節痛は、最も一般的な炎症性疼痛である。リウマチ様疾患は、先進国における最も一般的な慢性炎症状態の一つであり、関節リウマチは、能力障害の一般的原因である。関節リウマチの正確な病因は不明であるが、現在の仮説は、遺伝学的要因と微生物学的要因が共に重要である可能性を示唆している(GrennanおよびJayson、1994、Textbook of Pain、397〜407)。ほぼ1,600万人のアメリカ人が症候性の変形性関節症(OA)または変性関節疾患を有していると推定されており、その大部分は60歳以上であり、この数は、集団の年齢が上昇するにつれて4,000万人まで増加すると予想され、大変な公衆衛生問題になる(HougeおよびMersfelder、2002、Ann Pharmacother.、36、679〜686;McCarthy他、1994、Textbook of Pain、387〜395)。大部分の変形性関節症患者は、関連する疼痛のために医学的配慮を求める。関節炎は、心理社会的および身体的機能に対して大きな影響を与え、晩年における能力障害の主要原因であることが知られている。強直性脊椎炎も、脊椎および仙腸関節の関節炎を引き起こすリウマチ性疾患である。強直性脊椎炎は、一生を通じて起きる背痛の間欠的エピソードから脊椎、末梢関節および他の体器官を攻撃する重度の慢性疾患までと様々である。
【0060】
別のタイプの炎症性疼痛は、炎症性腸疾患(IBD)に伴う疼痛を含む内臓痛である。内臓痛は、腹腔の器官を包含する内臓に関係する疼痛である。これらの器官には、生殖器官、脾臓および消化器系の一部が含まれる。内臓に関係する疼痛は、消化器系内臓痛および非消化器系内臓痛に分類することができる。疼痛を引き起こす一般的に遭遇する胃腸(GI)障害には、機能性腸障害(FBD)および炎症性腸疾患(IGD)が含まれる。これらのGI障害には、FBDについては、胃食道逆流、消化不良、過敏性腸症候群(IBS)および機能性腹痛症候群(FAPS)、IBDについては、クローン病、回腸炎および潰瘍性大腸炎を含む現在のところ中程度に管理されるに過ぎない広範囲な疾患状態が含まれ、これらはすべて、内臓痛を定期的に生じる。他のタイプの内臓痛には、月経困難症、膀胱炎および膵炎に伴う疼痛ならびに骨盤痛が含まれる。
【0061】
疼痛のいくつかのタイプは、複数の病因を有し、したがって、2つ以上の領域に分類することができ、例えば、背痛および癌性疼痛は、侵害受容性成分と神経障害性成分の両方を有することに留意すべきである。
【0062】
他のタイプの疼痛には、
・筋肉痛、線維筋痛、脊椎炎、血清陰性の(非リウマチ性)関節症、非関節性リウマチ、ジストロフィン異常症、グリコーゲン分解、多発性筋炎および化膿性筋炎を含む筋骨格障害に起因する疼痛、
・アンギナ、心筋梗塞、僧帽弁狭窄症、心外膜炎、レイノー現象、浮腫性硬化症および骨格筋虚血により引き起こされる疼痛を含む心臓および血管痛、
・片頭痛(前兆を伴う片頭痛および前兆を伴わない片頭痛)、群発性頭痛、緊張型頭痛、混合性頭痛および血管障害に伴う頭痛などの頭部痛、ならびに
・歯痛、耳痛、口腔灼熱症候群および顎関節筋筋膜疼痛を含む口腔顔面疼痛が含まれる。
【0063】
疼痛の他に、式(I)の化合物は、アルファ−2−デルタ受容体リガンドを用いて治療することができる任意の疾患または状態の治療に潜在的に有用である。そのような状態には、てんかん、胃腸障害、早漏、口腔灼熱症候群、膀胱障害(過活動膀胱など)、失神発作、線維筋痛、運動低下、頭蓋障害、体熱感、本態性振戦、薬物依存および中毒、依存または中毒に伴う禁断症状、嗜癖行動、痙性、関節炎、炎症性障害(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、乾癬)、利尿、月経前症候群、月経前不快気分障害、耳鳴、胃損傷、ダウン症候群、脱髄疾患(例えば、多発性硬化症および筋萎縮性側索硬化症)、急性または慢性脳血管損傷に起因する脳血管障害(例えば、脳梗塞、くも膜下出血または脳浮腫)、頭部外傷、脊髄外傷ならびに、例えば、脳卒中の間に、心臓バイパス手術において、頭蓋内出血の事故において、周産期仮死において、心停止においておよびてんかん重積状態において起きる神経損傷が含まれる。アルファ−2−デルタ受容体リガンドは、譫妄、認知症ならびに健忘性および他の認知または神経変性障害(例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、老年性認知症、記憶障害、血管性認知症)の治療に有用であることもある。アルファ−2−デルタ受容体リガンドは、無動症、運動障害、痙性、トゥーレット症候群、スコット症候群、麻痺、無動硬直症候群および錐体外路運動障害の治療に有用であることもある。アルファ−2−デルタ受容体リガンドは、睡眠障害、気分障害、うつ病、うつ病性障害、双極性障害、不安障害、パニック、境界性人格障害、統合失調症、精神病性障害、精神遅滞に伴う行動障害、自閉性障害および行為障害の治療に有用であることもある。
【0064】
式(I)のすべての化合物は、以下に示される一般法に記載されている手順による、または実施例の項および調製の項に記載されている具体的な方法による、またはそれらに類似した方法によるなどの従来の経路により調製することができる。本発明は、本明細書で使用される任意の新規中間体に加えて、式(I)の化合物を調製するためのこれらのプロセスのうちの任意の1つまたは複数も包含する。
【0065】
以下の一般法において、Ar、R、RおよびR2aは、特に指定のない限り、式(I)の化合物について前に定義した通りである。
【0066】
第一のプロセスによれば、式(I)の化合物は、スキーム1により図示されるように、式(VIII)の化合物から調製することができる。
【0067】
【化3】

【0068】
は、適当な酸保護基であり、通常は(C〜C)アルキルまたはベンジルであり、ベンジルであることが好ましい。
【0069】
は、適当な酸保護基であり、通常は(C〜C)アルキルである。
【0070】
2aが、水素である場合、式(II)の化合物は、市販されている。R2aが、水素でない場合、式(II)の化合物は、BajwaおよびMiller(J.Org.Chem.;1983;48(7);1114〜1116ページ)ならびにEckおよびSimon(Tetrahedron;1994;50(48);13641〜13654ページ)により記載されている方法に従って調製することができる。
【0071】
式(III)のアセタール化合物は、T.W.GreeneおよびP.Wutzによる「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載されているような標準的方法論を用いてプロセスステップ(i)により式(II)の化合物から調製することができる。典型的条件は、1〜8時間、40℃〜80℃の温度にて、トルエン中のジオール化合物(II)1.0当量および2,2−ジメトキシプロパン4.0〜4.2当量の使用を含む。
【0072】
式(IV)の化合物は、プロセスステップ(ii)、すなわち、式(III)の化合物を、80℃〜150℃の温度にて、トルエンまたはキシレンなどの適当な溶媒中、O,O−ジフェニルホスホリルアジドなどの適当なアジド源で処理することにより、式(III)の化合物から調製することができる。クルチウス転位(Org.React.1946、3、337)によりイソシアネート中間体が得られ、in situで適当なアルコール(ROH)で処理すると、一般式(IV)の化合物が得られる。典型的条件は、1〜4時間、80℃〜150℃の温度にて、トルエン中の化合物(III)1.0当量およびO,O−ジフェニルホスホリルアジド1.2当量の使用と、続く、18〜24時間、室温〜100℃の温度にて、in situでのROHによる処理を含む。
【0073】
式(V)の化合物は、プロセスステップ(iii)、すなわち、18時間までの周囲条件下、アセトニトリルまたはジクロロメタンなどの適当な溶媒中、1M塩酸またはトリフルオロ酢酸などの適当な水性の酸の存在下、式(IV)の化合物の加水分解により、式(IV)の化合物から調製することができる。典型的条件は、室温にて18時間、アセトニトリル中の化合物(IV)1.0当量および過剰の希塩酸の使用を含む。
【0074】
式(VI)の化合物は、プロセスステップ(iv)、すなわち、式(V)の化合物を、1〜18時間、周囲条件下、ジクロロメタンおよびメタノールなどの適当な溶媒中、トリメチルシリルジアゾメタンなどの適当なアルキル化剤で処理することにより、一般式(V)の化合物から調製することができる。代替方法として、化合物(V)を、水素化ナトリウムなどの塩基で脱プロトン化し、1〜18時間、25℃〜50℃の温度にて、アセトンなどの適当な溶媒中、ヨウ化メチルなどのアルキル化剤で処理することができる。典型的条件は、18時間までの周囲条件下、ジクロロメタンとメタノールの混合物中の化合物(V)1.0当量およびトリメチルシリルジアゾメタン1.2当量の使用を含む。
【0075】
他の実施形態において、式(VI)の化合物は、ワンポット合成でプロセスステップ(iii)と(iv)の組合せにより式(IV)の化合物から調製することができる。
【0076】
式(VII)の化合物は、市販されているか、または文献中で知られている標準的方法論により調製することができる。
【0077】
式(VIII)の化合物は、プロセスステップ(v)、すなわち、1〜48時間、25℃〜115℃の温度にて、ジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒中、トリ−ブチルホスフィンまたはトリフェニルホスフィンなどの適当なホスフィン化合物およびアゾジカルボン酸ジイソプロピルまたはアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチルなどの適当なアゾ化合物の存在下、式(VI)の化合物と式(VII)の化合物の間の光延反応により、一般式(VI)の化合物から調製することができる。典型的条件は、18時間の周囲条件下、テトラヒドロフラン中、化合物(VI)1.0当量、化合物(VII)1.0〜1.3当量、トリフェニルホスフィン1.0〜1.3当量およびアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル1.0〜1.3当量の使用を含む。
【0078】
式(I)の化合物は、プロセスステップ(vi)、すなわち、T.W.GreeneおよびP.Wutzによる「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載されているような標準的方法論を用いてアミノ基、場合によりカルボキシル基の脱保護を行うことにより、式(VIII)の化合物から調製することができる。典型的条件は、18時間まで、室温〜100℃の温度にて、過剰の6N塩酸などの濃酸による化合物(VIII)1.0当量の処理を含む。
【0079】
第二のプロセスによれば、式(I)の化合物は、スキーム2に記載されるように、式(X)の化合物から調製することができる。
【0080】
【化4】

【0081】
およびRは、スキーム1について定義した通りである。
【0082】
LGは、メシレートまたはトシレートなどの適当な脱離基を表し、メシレートであることが好ましい。
【0083】
式(VI)の化合物は、スキーム1に記載の化合物から調製することができる。
【0084】
式(IX)の化合物は、プロセスステップ(vii)、すなわち、1〜6時間、室温にて、ジクロロメタンまたはジエチルエーテルなどの適当な溶媒中、ヒューニッヒ塩基、トリエチルアミンまたはピリジンなどの適当な塩基の存在下、式(VI)の化合物とメシルクロリド/アンヒドリドまたはトシルクロリドなどの適当なスルホネートアンヒドリドまたはクロリドとの反応によるメシレートまたはトシレートなどの適当な脱離基LGの導入により、式(VI)の化合物から調製することができる。典型的条件は、1〜6時間の周囲条件下、ジクロロメタン中の化合物(VI)1.0当量、メタンスルホン酸無水物2.0当量およびトリエチルアミン4.0当量の使用を含む。
【0085】
式(X)の化合物は、プロセスステップ(viii)、すなわち、化合物(VII)を、水素化ナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシドなどの適当な強塩基で処理し、得られるアニオンを、1〜18時間、室温〜溶媒の還流温度の温度にて、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはテトラヒドロフランなどの適当な溶媒中、化合物(IX)と反応させることにより、一般式(IX)および(VII)の化合物から調製することができる。典型的条件は、18時間までの周囲条件下、テトラヒドロフラン中、化合物(VII)1.3当量、水素化ナトリウム1.5〜2.0当量、および化合物(IX)1.0当量の使用を含む。
【0086】
式(I)の化合物は、スキーム1に記載したように、プロセスステップ(vi)により式(X)の化合物から調製することができる。
【0087】
第三のプロセスによれば、RおよびR2aが、共に水素である場合、式(I)の化合物は、スキーム3に従って式(XIV)の化合物から調製することができる。
【0088】
【化5】

【0089】
は、スキーム1について上記で定義した通りである。
は、水素であり、Rは、(C〜C)アルキルカルボニルもしくはアリールカルボニルなどの保護基であり、またはRおよびRは、一緒になってフタルイミド基を形成する。
XおよびYは、適当な脱離基、通常は、ハロ、(C〜C)アルコキシまたは[ジ−(C〜C)アルキル]アミノである。
式(XI)の化合物は、市販されている。
【0090】
式(XII)の化合物は、プロセスステップ(ix)、すなわち、不活性溶媒中の塩基性条件および室温〜溶媒の還流温度の温度下、適当なオキシアニオンを用いる置換反応に従って式(XI)の化合物から調製することができる。通常、式(XI)の化合物は、1〜24時間、還流にて、エタノール中のナトリウムエトキシドで処理される。
【0091】
式(XIV)の化合物は、プロセスステップ(x)に従うアルキル化反応、すなわち、1〜24時間、0℃〜120℃の温度にて、トルエンなどの適当な溶媒中、場合により強酸または強塩基などの適当な触媒の存在下、式(XIII)の化合物との反応により、式(XII)の化合物から調製することができる。典型的条件は、1〜24時間、還流したトルエン中、水酸化ナトリウムなどの触媒量の塩基の使用を含む。
【0092】
式(I)の化合物は、プロセスステップ(xi)に従う加水分解反応、すなわち、1〜24時間、0℃〜120℃の温度にて、水性または不活性/水性溶媒混合物中の酸または塩基が媒介する加水分解により、式(XIV)の化合物から調製することができる。典型的条件は、1〜24時間、室温にて撹拌される式(XIV)の化合物、水性/アルコールアルカリ金属水酸化物溶液の使用と、続く、水性塩酸を用いる酸性化、溶媒の除去および140℃までの加熱を含む。
【0093】
式(I)の化合物は、結晶性または非晶性製品として投与することができる。式(I)の化合物は、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥などの方法により、例えば、固体プラグ剤(solid plugs)、散剤、またはフィルム剤として得ることができる。この目的には、マイクロ波または高周波乾燥を使用することができる。
【0094】
式(I)の化合物は、単独で、または1種もしくは複数の本発明の他の化合物との組合せで、または1種もしくは複数の他の薬物との組合せで(または、それらの任意の組合せとして)投与することができる。一般的に、式(I)の化合物は、1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤と共に製剤として投与されるはずである。本明細書において、用語「賦形剤」は、本発明の(1種または複数の)化合物以外の任意の成分について記載するのに使用される。賦形剤の選択は、特定の投与方法、溶解度および安定性に対する賦形剤の影響、ならびに剤形の性質などの要素によって大きく左右されるであろう。
【0095】
本発明の化合物を送達するのに適している医薬組成物およびそれらを調製するための方法は、当業者には容易に明らかであろう。そのような組成物およびそれらを調製するための方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing Company、1995)中に見いだすことができる。
【0096】
本発明の化合物は、経口的に投与することができる。経口投与は、化合物が胃腸管に入るように嚥下すること、および/または、化合物が口から直接血流に入る口腔、舌もしくは舌下投与を含むことがある。
【0097】
経口投与に適している製剤には、錠剤;多粒子剤もしくはナノ粒子剤、液剤、または散剤を含有する軟質もしくは硬質カプセル剤;ロゼンジ剤(液体入りを含む);咀嚼剤(chews);ゲル剤;高速分散性剤形;フィルム剤;膣坐剤;噴霧剤;および口腔/粘膜付着性パッチ剤などの固体、半固体および液体システムが含まれる。
【0098】
液状製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。このような製剤は、軟質または硬質カプセル剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製)における充填剤として用いることができ、通常、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適当な油、ならびに1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液状製剤は、例えばサシェから、固体の再構成によっても調製することができる。
【0099】
本発明の化合物は、LiangおよびChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981〜986(2001)に記載されている剤形などの速溶解性、速崩壊性剤形においても使用することができる。
【0100】
錠剤剤形の場合、投与量に応じて、薬物は、剤形の1重量%〜80重量%、より典型的には剤形の5重量%〜60重量%を占めることができる。一般的に、錠剤は、薬物の他に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが含まれる。一般的に、崩壊剤は、剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を占めるものとする。
【0101】
一般的に、錠剤製剤に凝集性を付与するために結合剤が使用される。適当な結合剤には、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。また、錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水など)、マンニトール、キシリトール、ブドウ糖、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプンおよび第二リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤を含有することができる。
【0102】
また、錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を含んでいてもよい。存在する場合、界面活性剤は、錠剤の0.2重量%〜5重量%を占め、流動促進剤は、錠剤の0.2重量%〜1重量%を占めることがある。
【0103】
また、錠剤は、一般的に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの滑沢剤を含有する。一般的に、滑沢剤は、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を占める。
【0104】
他の可能な成分には、抗酸化剤、着色剤、矯味剤、保存剤および味覚マスキング剤が含まれる。
【0105】
例示的錠剤は、薬物約80%まで、結合剤約10重量%〜約90重量%、希釈剤約0重量%〜約85重量%、崩壊剤約2重量%〜約10重量%、および滑沢剤約0.25重量%〜約10重量%を含有する。
【0106】
錠剤ブレンドを直接、またはローラーにより圧縮し、錠剤を作製することができる。代替方法として、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部を、打錠前に湿式、乾式、もしくは融解式造粒するか、融解式凝結させるか、または押し出すことができる。最終製剤は、1つまたは複数の層を含み、コーティングされていてもされていなくてもよく、カプセル化されてもよい。
【0107】
錠剤の製剤化は、H.LiebermanおよびL.LachmanによるPharmaceutical Dosage Forms:Tablets、第1巻(Marcel Dekker、New York、1980)中で論じられている。
【0108】
ヒトまたは動物使用のために消費できる経口フィルム剤は、通常、速溶解性であるか、または粘膜付着性であってよい柔軟な水溶性または水膨潤性の薄膜剤形であり、通常、式(I)の化合物、フィルム形成ポリマー、結合剤、溶媒、湿潤剤、可塑剤、安定剤または乳化剤、粘度調整剤および溶媒を含む。製剤の一部の成分は、2つ以上の機能を果たすことがある。
【0109】
式(I)の化合物は、水溶性または不水溶性であってよい。通常、水溶性化合物は、溶質の1重量%〜80重量%、より典型的には、20重量%〜50重量%を占める。あまり溶けない化合物は、組成物のより大きな割合、典型的には溶質の88重量%までを占めることがある。代替方法として、式(I)の化合物は、多粒子ビーズの形態であってよい。
【0110】
フィルム形成ポリマーは、天然多糖、タンパク質、または合成親水コロイドから選択することができ、通常、0.01〜99重量%の範囲、より典型的には30〜80重量%の範囲で存在する。
【0111】
他の可能な成分には、抗酸化剤、着色剤、着香料およびフレーバー増強剤、保存剤、唾液刺激剤、冷却剤、共溶媒(油を含む)、緩和薬、充填剤、消泡剤、界面活性剤ならびに味覚マスキング剤が含まれる。
【0112】
通常、本発明によるフィルム剤は、剥離可能な裏打用の支持体または紙の上にコーティングされた薄い水性フィルムを蒸発乾燥させることによって調製される。これは、乾燥炉またはトンネル乾燥機、通常は複合コーター乾燥機中で、または凍結乾燥もしくは真空吸引によって行うことができる。
【0113】
経口投与のための固形製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0114】
本発明の目的に適している放出調節製剤については、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散剤ならびに浸透および被覆粒子剤などの他の適当な放出技術の詳細は、Verma他によるPharmaceutical Technology On−line、25(2)、1〜14(2001)に見いだすことができる。制御放出を実現するためのチューインガムの使用については、WO00/35298に記載されている。
【0115】
本発明の化合物は、血流中、筋肉中、または内臓中に直接投与することもできる。非経口投与に適している手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、滑膜内および皮下が含まれる。非経口投与に適している装置には、針(極微針を含む)注射器、無針注射器および注入技法が含まれる。
【0116】
通常、非経口製剤は、塩、炭水化物および緩衝剤(3〜9のpHが好ましい)などの賦形剤を含有してもよい水溶液であるが、一部の応用例については、滅菌非水溶液として、または乾燥形態として製剤化し、滅菌した発熱物質を含まない水などの適当なビヒクルと併せて使用することがより適当である。
【0117】
無菌条件下、例えば、凍結乾燥による非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準的製薬技法を用いて容易に行うことができる。
【0118】
非経口液剤の調製において使用される式(I)の化合物の溶解性は、溶解性促進剤の組み入れなどの適切な製剤技法の使用により高めることができる。
【0119】
非経口投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。すなわち、本発明の化合物は、懸濁液として、または活性化合物の放出調節を提供する埋込型デポー剤として投与するための固体、半固体、もしくはチキソトロピックな液体として製剤化することができる。そのような製剤の例には、薬物をコーティングしたステントおよび半固体ならびに薬物を負荷したdl−乳酸/グリコール酸共重合体(poly(dl−lactic−coglycolic)acid)(PGLA)ミクロスフェアを含む懸濁剤が含まれる。
【0120】
本発明の化合物は、皮膚または粘膜へ、局所的に、経皮的に(皮内に)((intra)dermally)、または経皮的に(transdermally)投与することもできる。この目的に典型的な製剤には、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚用パッチ剤、ウエハー剤、インプラント剤、スポンジ剤、ファイバー剤、絆創膏剤およびマイクロエマルジョン剤が含まれる。リポソームも使用することができる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが含まれる。
【0121】
透過促進剤を組み入れることができる。例えば、FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci、88(10)、955〜958(1999年10月)を参照されたい。
【0122】
局所投与の他の手段には、エレクトロポレーション、イオントフォレーシス、フォノフォレーシス、ソノフォレーシスおよび極微針または無針(例えば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が含まれる。
【0123】
局所投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0124】
また、本発明の化合物は、鼻腔内に、または吸入により、通常、乾燥粉末インヘイラーから乾燥粉末(単独で、例えば、ラクトースとの乾燥ブレンドにおける混合物として、または、例えば、ホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された混合成分粒子として)の形態で、1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適当な噴射剤の使用の有無にかかわらず加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、細かい霧を発生するための電気流体力学を用いるアトマイザー)、もしくはネブライザーからのエアゾールスプレーとして、または点鼻薬として投与することができる。鼻腔内使用の場合、粉末は、生体接着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含むことができる。
【0125】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、例えば、エタノール、水性エタノール、または活性物質の分散、可溶化、もしくは延長放出のための適当な代替試剤、溶媒としての(1種または複数の)噴射剤およびソルビタントリオレエート、オレイン酸、またはオリゴ乳酸などの任意選択の界面活性剤を含む本発明の(1種または複数の)化合物の溶液または懸濁液を含有する。
【0126】
乾燥粉末または懸濁液製剤における使用に先立って、薬物製品は、吸入による送達に適しているサイズ(通常5ミクロン未満)まで微粉化される。これは、スパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、ナノ粒子を形成するための超臨界流体プロセシング、高圧均質化、または噴霧乾燥などの任意の適切な粉砕方法によって行うことができる。
【0127】
インヘイラーまたはインサフレーターにおいて使用するためのカプセル(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製)、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの適当な粉末基剤およびl−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの動作調整剤の粉末ミックスを含有するように製剤化することができる。ラクトースは、無水または一水和物の形態であってよく、後者であることが好ましい。他の適当な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが含まれる。
【0128】
細かい霧を発生するための電気流体力学を用いるアトマイザーにおいて使用するのに適している溶液製剤は、1動作につき本発明の化合物1μg〜20mgを含有することができ、動作容積は、1μlから100μlまで変化することがある。典型的な製剤は、式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含むことができる。プロピレングリコールの代わりに使用することができる代替溶媒には、グリセロールおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0129】
吸入/鼻腔内投与を目的とする本発明の製剤には、メントールおよびレボメントールなどの適当な香料、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料を添加することができる。
【0130】
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、即時放出および/または、例えば、PGLAを用いる放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0131】
乾燥粉末インヘイラーおよびエアゾール剤の場合、用量単位は、一定量を送達するバルブにより決定される。通常、本発明による単位は、一定量すなわち「パフ」を投与するように配置される。全1日量は、1回量か、またはより一般的には1日を通して分割量として投与することができる。
【0132】
本発明の化合物は、例えば、坐剤、膣坐薬、または浣腸の形態で経直腸的または経膣的に投与することができる。カカオ脂は、伝統的な坐剤基剤であるが、必要に応じて様々な代替物を使用することができる。
【0133】
直腸/膣内投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0134】
本発明の化合物は、通常、等張性のpH調整した滅菌食塩水中の微粉末化された懸濁液または溶液の点滴剤の形態で、眼または耳に直接投与することもできる。眼および耳投与に適した他の製剤には、軟膏剤、ゲル剤、生分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えば、シリコーン)インプラント剤、ウエハー剤、レンズ剤およびニオソームまたはリポソームなどの微粒子または小胞系が含まれる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ゲランガムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と一緒に組み入れることができる。そのような製剤は、イオントフォレーシスによっても送達することができる。
【0135】
眼/耳投与のための製剤は、即時放出および/または放出調節であるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0136】
本発明の化合物は、シクロデキストリンおよび適当なその誘導体またはポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性高分子と混ぜ合わせ、前述の投与方法のいずれかにおいて使用するために、それらの溶解性、溶出速度、味覚マスキング、生物学的利用能および/または安定性を改善することができる。
【0137】
例えば、薬物−シクロデキストリンコンプレックスは、大部分の剤形および投与経路にとって一般的に有用であることが判明している。包接コンプレックスと非包接コンプレックスの双方を使用することができる。薬物との直接コンプレックス化の代替法として、シクロデキストリンを、補助添加剤、すなわち担体、希釈剤、または可溶化剤として使用することができる。これらの目的のためにα−、β−およびγ−シクロデキストリンが最も一般的に使用され、その例は、国際特許出願第WO91/11172号、第WO94/02518号および第WO98/55148号に見いだすことができる。
【0138】
ヒト患者への投与の場合、本発明の化合物の全1日量は、通常、言うまでもなく投与方法に応じて、1mg〜1000mgの範囲である。全1日量は、1回量または分割量で投与することができ、医師の判断で、本明細書に示される典型的な範囲から外れることがある。
【0139】
これらの用量は、約60〜70kgの体重を有する平均的なヒト対象に基づいている。医師は、乳児および高齢者などの、体重がこの範囲から外れている対象に対する投与量を容易に決定することができるはずである。
【0140】
誤解を避けるために、本明細書における「治療」への言及には、治癒的、姑息的および予防的治療が含まれる。
【0141】
アルファ−2−デルタ受容体リガンドは、特に疼痛の治療において、別の薬理学的に活性な化合物、または、2種以上の他の薬理学的に活性な化合物と有用に組み合わせることができる。例えば、上記で定義したようなアルファ−2−デルタ受容体リガンド、特に式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物は、
・オピオイド鎮痛薬、例えば、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、レボルファノール、レバロルファン、メサドン、メペリジン、フェンタニル、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィンまたはペンタゾシン、
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナル(diflusinal)、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサール、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ミロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルプタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチンまたはゾメピラック、
・バルビツール系鎮静薬、例えば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール、メフォバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントパルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、タルブタール、テアミラール(theamylal)またはチオペンタール、
・鎮静作用を有するベンゾジアゼピン系薬、例えば、クロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸塩、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパムまたはトリアゾラム、
・鎮静作用を有するH拮抗薬、例えば、ジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミンまたはクロルシクリジン、
・グルテチミド、メプロバメート、メタカロンまたはジクロラールフェナゾン(dichloralphenazone)などの鎮静薬、
・骨格筋弛緩薬、例えば、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモールまたはオルフレナジン(orphrenadine)、
・NMDA受容体拮抗薬、例えば、NR2B拮抗薬、例えば、イフェンプロジル、トラキソプロジル(traxoprodil)または(−)−(R)−6−{2−[4−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル]−1−ヒドロキシエチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノンを含む、デキストロメトルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)もしくはその代謝産物デキストロルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリンキニン(quinine)、シス−4−(ホスホノメチル)−2−ピペリジンカルボン酸、ブジピン、EN−3231(MorphiDex(登録商標)、モルヒネとデキストロメトルファンの複合製剤)、トピラメート、ネラメキサンまたはペルジンフォテル(perzinfotel)、
・α−アドレナリン作動薬、例えば、ドキサゾシン、タムスロシン、クロニジン、グァンファシン、デクスメタトミジン(dexmetatomidine)、モダフィニルまたは4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタン−スルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノール−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン、
・三環系抗うつ薬、例えば、デシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリンまたはノルトリプチリン、
・抗痙攣薬、例えば、カルバマゼピン、ラモトリジン、トピラトメート(topiratmate)またはバルプロ酸塩、
・タキキニン(NK)拮抗薬、特にNK−3、NK−2またはNK−1拮抗薬、例えば、(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,1−g][1,7]ナフチリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]−メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、アプレピタント、ラネピタント、ダピタントまたは3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−メチルアミノ]−2−フェニルピペリジン(2S,3S)、
・ムスカリン性拮抗薬、例えば、オキシブチニン、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロプシウム(tropsium)、ダリフェナシン、ソリフェナシン、テミベリンおよびイプラトロピウム、
・COX−2選択的阻害薬、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブ、またはルミラコキシブ、
・コールタール鎮痛薬、特に、パラセタモール、
・ドロペリドール、クロルプロマジン、ハロペリドール、ペルフェナジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、ジプラシドン、クエチアピン、セルチンドール、アリピプラゾール、ソネピプラゾール、ブロナンセリン、イロペリドン、ペロスピロン、ラクロプリド、ゾテピン、ビフェプルノックス、アセナピン、ルラシドン、アミスルプリド、バラペリドン(balaperidone)、パリンドール(palindore)、エプリバンセリン、オサネタント、リモナバント、メクリネルタント(meclinertant)、Miraxion(登録商標)またはサリゾタンなどの神経遮断薬、
・バニロイド受容体作動薬(例えば、レジンフェラトキシン(resinferatoxin))または拮抗薬(例えば、カプサゼピン)、
・プロプラノロールなどのβ−アドレナリン作動薬、
・メキシレチンなどの局所麻酔薬、
・デキサメタゾンなどのコルチコステロイド、
・5−HT受容体作動薬または拮抗薬、特に、エレトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタンまたはリザトリプタンなどの5−HT1B/1D作動薬、
・R(+)−α−(2,3−ジメトキシ−フェニル)−1−[2−(4−フルオロフェニルエチル)]−4−ピペリジンメタノール(MDL−100907)などの5−HT2A受容体拮抗薬、
・イスプロニクリン(TC−1734)、(E)−N−メチル−4−(3−ピリジニル)−3−ブテン−1−アミン(RJR−2403)、(R)−5−(2−アゼチジニルメトキシ)−2−クロロピリジン(ABT−594)またはニコチンなどのコリン作動性(ニコチン様)鎮痛薬、
・Tramadol(登録商標)、
・5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニル−スルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル)、(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−ピラジノ[2’,1’:6,1]−ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(IC−351またはタダラフィル)、2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル)、5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、4−[(3−クロロ−4−メトキシベンジル)アミノ]−2−[(2S)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]−N−(ピリミジン−2−イルメチル)ピリミジン−5−カルボキサミド、3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミドなどのPDEV阻害薬、
・カンナビノイド、
・代謝型グルタミン酸サブタイプ1受容体(mGluR1)拮抗薬、
・セルトラリン、セルトラリン代謝産物デメチルセルトラリン、フルオキセチン、ノルフルオキセチン(フルオキセチンデスメチル代謝産物)、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、シタロプラム代謝産物デスメチルシタロプラム、エスシタロプラム、d,l−フェンフルラミン、フェモキセチン、イホキセチン、シアノドチエピン(cyanodothiepin)、リトキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、セリクラミンおよびトラゾドンなどのセロトニン再取り込み阻害薬、
・マプロチリン、ロフェプラミン、ミルタゼピン(mirtazepine)、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン、ミアンセリン、ブプロプリオン(buproprion)、ブプロプリオン代謝産物ヒドロキシブプロプリオン、ノミフェンシンおよびビロキサジン(Vivalan(登録商標))、特に、レボキセチン、特に、(S,S)−レボキセチンなどの選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬などのノルアドレナリン(ノルエピネフリン)再取り込み阻害薬、
・ベンラファキシン、ベンラファキシン代謝産物O−デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミン代謝産物デスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプランおよびイミプラミンなどのデュアルセロトニン−ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、
・S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−L−ホモシステイン、S−[2−[(1−イミノエチル)−アミノ]エチル]−4、4−ジオキソ−L−システイン、S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−2−メチル−L−システイン、(2S,5Z)−2−アミノ−2−メチル−7−[(1−イミノエチル)アミノ]−5−ヘプテン酸、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)−ブチル]チオ]−5−クロロ−3−ピリジンカルボニトリル;2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−4−クロロベンゾニトリル、(2S,4R)−2−アミノ−4−[[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]チオ]−5−チアゾールブタノール、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−6−(トリフルオロメチル)−3ピリジンカルボニトリル、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−5−クロロベンゾニトリル、N−[4−[2−(3−クロロベンジルアミノ)エチル]フェニル]チオフェン−2−カルボキサミジン、またはグアニジノエチルジスルフィドなどの誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害薬、
・ドネペジルなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害薬、
・N−[({2−[4−(2−エチル−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)フェニル]エチル}アミノ)−カルボニル]−4−メチルベンゼンスルホンアミドまたは4−[(1S)−1−({[5−クロロ−2−(3−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸などのプロスタグランジンEサブタイプ4(EP4)拮抗薬、
・1−(3−ビフェニル−4−イルメチル−4−ヒドロキシ−クロマン−7−イル)−シクロペンタンカルボン酸(CP−105696)、5−[2−(2−カルボキシエチル)−3−[6−(4−メトキシフェニル)−5E−ヘキセニル]オキシフェノキシ]−吉草酸(ONO−4057)またはDPC−11870などのロイコトリエンB4拮抗薬、
・ジロートン、6−[(3−フルオロ−5−[4−メトキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル])フェノキシ−メチル]−1−メチル−2−キノロン(ZD−2138)、または2,3,5−トリメチル−6−(3−ピリジルメチル),1,4−ベンゾキノン(CV−6504)などの5−リポキシゲナーゼ阻害薬、
・リドカインなどのナトリウムチャネル遮断薬、
・オンダンセトロンなどの5−HT3拮抗薬、
および薬学的に許容できるそれらの塩および溶媒和物から選択される1種または複数の薬剤と組み合わせて、同時に、順次にまたは個別に投与することができる。
【0142】
活性化合物の組合せを投与する場合、2つ以上の医薬組成物を、組成物の同時投与に適しているキットの形態で都合良く組み合わせることができる。そのようなキットは、少なくとも1つが、アルファ−2−デルタ受容体リガンド、特に式(I)の化合物を含有している2つ以上の別々の医薬組成物、および容器、分かれたボトル、または分かれたホイルパケットなどの前記組成物を別々に保持するための手段を含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などの包装に使用されるよく知られているブリスターパックである。
【0143】
そのようなキットは、異なる剤形、例えば、経口および非経口製剤を、異なる投与間隔で別々の組成物を投与するのに、またはお互いに対して別々の組成物を増量するのに特に適している。コンプライアンスを補助するため、キットは、通常、投与説明書を含み、いわゆる記憶補助を提供することができる。
【0144】
本発明が提供するもの、および特許請求の範囲に記載されるものは、以下の通りであることを理解されたい。
(i)医薬品として使用するための式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、
(ii)アルファ−2−デルタ受容体リガンドが適応とされる疾患を治療するための医薬品を製造するための、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物の使用、
(iii)疼痛を治療するための医薬品を製造するための、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物の使用、
(iv)ヒトを含む哺乳類においてアルファ−2−デルタ受容体リガンドが適応とされる疾患または状態を治療する方法であって、有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を投与することを含む方法、
(v)ヒトを含む哺乳類において疼痛を治療する方法であって、有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を投与することを含む方法、
(vi)薬学的に許容できる賦形剤と一緒に、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物、
(vii)化合物が、以下の具体的化合物、すなわち、2−フェノキシ−β−アラニン、2−(4−クロロフェノキシ)−β−アラニン、2−(4−フルオロフェノキシ)−β−アラニン、2−(4−ブロモフェノキシ)−β−アラニン、2−(4−ヨードフェノキシ)−β−アラニン、2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−β−アラニン、2−(2,4,5−トリクロロフェノキシ)−β−アラニン、2−(4−トリルオキシ)−β−アラニンまたは2−[(4−クロロ−2−トリル)オキシ]−β−アラニンのうちの1つではないという条件で、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、
(viii)式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を調製するためのプロセス、
(ix)本明細書の中で開示される特定の新規中間体、および
(x)式(I)の化合物と1種または複数の他の薬理学的に活性な化合物の組合せ。
【0145】
以下の実施例は、式(I)の化合物の調製を例示している。
【0146】
H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、すべての場合において、推定構造と一致していた。特徴的な化学シフト(δ)は、主要ピークを表すための従来の略語、例えば、s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;br、幅広いを用い、テトラメチルシランから低磁場に百万分率で示す。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)または大気圧化学イオン化(APCI)のどちらかを用いて記録した。共通溶媒について以下の略語を使用した。CDCl、重クロロホルム;D−DMSO、重ジメチルスルホキシド;CDOD、重メタノール;THF、テトラヒドロフラン。LCMSは、液体クロマトグラフィー質量分析法を示す(R=保持時間)。
【実施例】
【0147】
(実施例1)
(2S)−3−アミノ−2−(2,5−ジクロロフェノキシ)プロパン酸塩酸塩
【0148】
【化6】

調製5の生成物(270mg、0.68mmol)と6N塩酸(15mL)の混合物を還流下で18時間加熱した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、ジクロロメタン(4×20mL)で洗浄し、真空中で濃縮すると、収率84%で白色の固体として表題化合物163mgが得られた。
HNMR(400MHz,CDOD)δ:3.50〜3.70(m,2H)、5.20(m,1H)、7.05(d,1H)、7.20(s,1H)、7.40(d,1H);LCMS m/z 250[M+H]
【0149】
(実施例2〜4)
以下に示す一般式の以下の化合物は、実施例1について記載したのと同じ方法を用い、調製6〜8の生成物から調製した。
【0150】
【化7】

【0151】
【表1】

【0152】
(実施例5)
(2S)−3−アミノ−2−(3−プロピルフェノキシ)プロパン酸塩酸塩
【0153】
【化8】

アゾジカルボン酸ジ−イソプロピル(0.2mL、1.03mmol)を、テトラヒドロフラン(4mL)中の調製4の生成物(200mg、0.79mmol)、3−n−プロピルフェノール[(140mg、1.03mmol)Organic Process Research & Development、2003、7、585]およびトリフェニルホスフィン(269mg、1.03mmol)の混合物に加え、混合物を室温にて18時間撹拌した。次いで、反応混合物を水(数滴)でクエンチし、真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶かし、1M水酸化ナトリウム溶液(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮した。次いで、残渣を、6N塩酸(10mL)に懸濁し、混合物を55℃にて18時間加熱した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、ジクロロメタン(4×20mL)で洗浄し、真空中で濃縮すると、定量的収率で白色の固体として表題化合物が得られた。
HNMR(400MHz,CDOD)δ:0.92(t,3H)、1.60〜1.65(m,2H)、2.55(t,2H)、3.33〜3.39(m,1H)、3.41〜3.48(m,2H)、6.78〜6.83(m,3H)、7.17(m,1H);LCMS m/z 224[M+H]
【0154】
以下の調製は、上記した実施例の調製において使用される中間体自体を合成することができる方法を例示している。
【0155】
調製1
[(4R)−2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル]酢酸
【0156】
【化9】

2,2−ジメトキシプロパン(75mL、610mmol)を、トルエン(200mL)中のD(+)リンゴ酸(19.8g、148mmol)の懸濁液に加え、混合物を還流下で2.5時間加熱した。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を、ジエチルエーテルで溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。適切な分画を減圧下で蒸発させ、残渣を、ヘプタン:ジエチルエーテル、66:33〜50:50〜0:100で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによりさらに精製すると、収率79%で表題化合物20.2gが得られた。
HNMR(400MHz,CDCl)δ:1.58(s,3H)、1.63(s,3H)、2.80〜3.05(m,2H)、4.70(m,1H)
【0157】
調製2
{[(4R)−2,2−ジメチル−5−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル]メチル}カルバミン酸ベンジル
【0158】
【化10】

トルエン(100mL)中の調製1の生成物(9.8g、56mmol)、トリエチルアミン(9.41mL、68mmol)およびO,O−ジフェニルホスホリルアジド(13.34mL、61.6mmol)の混合物を85℃にて90分間加熱した。次いで、ベンジルアルコール(6.43mL、62mmol)を加え、加熱を、85℃にて20時間続けた。冷却した反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を、ジクロロメタン(200mL)と水(100mL)の間で分配した。有機層を分離し、ブライン(100mL)で洗浄し、合わせた水溶液をジクロロメタン(200mL)で抽出した。合わせた有機溶液を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮した。残渣を、ジクロロメタンで溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。適切な分画を減圧下で蒸発させ、残渣を、ヘプタン:酢酸エチル、75:25〜66:33で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによりさらに精製すると、収率35%で油として表題化合物5.49gが得られた。
HNMR(400MHz,CDCl)δ:1.54(s,3H)、1.56(s,3H)、3.50〜3.70(m,2H)、4.45(m,1H)、5.05〜5.15(m,2H)、7.35(m,5H);LCMS m/z 280[M+H]
【0159】
調製3
(2R)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−ヒドロキシプロパン酸
【0160】
【化11】

アセトニトリル(80mL)中の調製2の生成物(4.29g、15mmol)の溶液を、1M塩酸(80mL)で処理し、混合物を室温にて18時間撹拌した。次いで、反応混合物を真空中で低容量まで濃縮し、混合物を濾過し、水で十分に洗浄した。残渣をアセトン(100mL)に溶かし、溶液を5分間撹拌し、濾過した。濾液をトルエンで希釈し、真空中で濃縮すると、収率83%で白色の固体として表題化合物2.97gが得られた。
HNMR(400MHz,CDOD)δ:3.30〜3.40(m,1H)、3.50(m,1H)、4.20(m,1H)、5.10(s,2H)、7.35(m,5H);LCMS m/z 238[M+H]
【0161】
調製4
(2R)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−ヒドロキシプロパン酸メチル
【0162】
【化12】

トリメチルシリルジアゾメタン(ヘキサン中2M、39.57mL、79.14mmol)を、ジクロロメタン(480mL)およびメタノール(120mL)中の調製3の生成物(15.78g、65.65mmol)の溶液に加え、混合物を室温にて18時間撹拌した。次いで、反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を酢酸エチル(200mL)に溶かし、希酢酸溶液(200mL)およびブライン(200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮した。ヘプタン:酢酸エチル、50:50〜0:100で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製すると、収率77%で黄色の固体として表題化合物12.9gが得られた。
HNMR(400MHz,CDCl)δ:3.50〜3.60(m,2H)、3.75(s,3H)、4.25(m,1H)、5.10(s,2H)、5.20(s,1H)、7.35(m,5H);LCMS m/z 254[M+H]
【0163】
調製5
(2S)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−2−(2,5−ジクロロフェノキシ)プロパン酸メチル
【0164】
【化13】

アゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(236mg、1.03mmol)を、テトラヒドロフラン(5mL)中の調製4の生成物(200mg、0.79mmol)、2,5−ジクロロフェノール(167mg、1.03mmol)およびトリフェニルホスフィン(269mg、1.03mmol)の混合物に加え、混合物を室温にて18時間撹拌した。次いで、反応混合物を水(数滴)でクエンチし、真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶かし、1M水酸化ナトリウム水溶液(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮した。残渣を、ジクロロメタンで溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。適切な分画を減圧下で蒸発させ、残渣を、ヘプタン:酢酸エチル、83:17、80:20で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによりさらに精製すると、収率86%で表題化合物270mgが得られた。
HNMR(400MHz,CDCl)δ:3.70〜3.75(m,4H)、3.85(m,1H)、4.75(m,1H)、5.15(s,2H)、5.35(m,1H)、6.85(m,1H)、6.95(m,1H)、7.25〜7.40(m,6H);LCMS m/z 398[M+H]
【0165】
調製6〜8
以下に示す一般式の以下の化合物は、調製4の生成物および市販のフェノールまたは以下に概説する文献で知られている化合物を用い、調製5について記載したのと同じ方法を用いて調製した。
【0166】
【化14】

【0167】
【表2】

【0168】
調製8:5−クロロ−2−メトキシフェノールは、J.Org.Chem.1984、49、1051に記載されているように調製した。
【0169】
調製8:アゾジカルボン酸ジイソプロピル1.3当量を、アゾジカルボン酸ジ−tert−ブチルの代わりに使用した。
【0170】
本発明のアルファ−2−デルタリガンドの生物学的活性は、[H]ガバペンチンおよびブタ脳組織に由来するαδサブユニット(Gee N.S.、Brown J.P.、Dissanayake V.U.K.、Offord J.、Thurlow R.、Woodruff G.N.、J.Biol.Chem.、1996;271;5768〜5776)を用いる放射性リガンド結合アッセイで測定することができる。結果は、μMまたはnMのα2δ結合親和性として表すことができる。
【0171】
上記されているすべての実施例をこのアルファ−2−デルタアッセイでテストし、130nM未満の結合親和性(IC50)を有することが判明した。
【0172】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品として使用するための式Iの化合物、
【化1】

または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物
[式中、
は、水素または(C〜C)アルキルであり、
およびR2aは、各々独立して、水素またはメチルであり、
Arは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキルチオ、(C〜C)アルキルアミノ、(ジ−(C〜C)アルキル)アミノ、アミノ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル、(ジ−(C〜C)アルキル)アミノ(C〜C)アルキル、(C〜C)アシル、(C〜C)アシルオキシ、(C〜C)アシルオキシ(C〜C)アルキル、(C〜C)アシルアミノ、(C〜C)アルキルチオ、(C〜C)アルキルチオカルボニル、(C〜C)アルキルスルホニル、(C〜C)アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、(C〜C)アルキルアミノスルホニル、(ジ−(C〜C)アルキル)アミノスルホニル、(C〜C)シクロアルキル、Het、フェニルおよびHetから選択される1個または複数の置換基によって置換されていてもよいフェニルであり、
Hetは、各々が独立して窒素、酸素およびイオウから選択される1または2個のヘテロ原子環員を含む5または6員の飽和または部分不飽和の複素環式基であり、前記環窒素原子は、(C〜C)アルキル置換基を有していてもよく、前記環イオウ原子は、1または2個の酸素原子を有していてもよく、
Hetは、(a)1〜4個の窒素原子または(b)1個の酸素もしくは1個のイオウ原子および0、1もしくは2個の窒素原子のどちらかを含む5もしくは6員のヘテロアリール基である]。
【請求項2】
疼痛の治療に使用するための医薬品の製造における、請求項1に記載の式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物の使用。
【請求項3】
疼痛の治療に使用するための、請求項1に記載の式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
ヒトを含む哺乳類において疼痛を治療する方法であって、有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を投与することを含む方法。
【請求項5】
請求項1に記載の式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、および1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項6】
化合物が、以下の具体的化合物、すなわち、
2−フェノキシ−β−アラニン;
2−(4−クロロフェノキシ)−β−アラニン;
2−(4−フルオロフェノキシ)−β−アラニン;
2−(4−ブロモフェノキシ)−β−アラニン;
2−(4−ヨードフェノキシ)−β−アラニン;
2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−β−アラニン;
2−(2,4,5−トリクロロフェノキシ)−β−アラニン;
2−(4−トリルオキシ)−β−アラニン;または
2−[(4−クロロ−2−トリル)オキシ]−β−アラニン
のうちの1つではないという条件で、請求項1に記載の式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項7】
およびR2aが、共に水素である、請求項6に記載の式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項8】
Arが、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルコキシおよびハロ(C〜C)アルキルチオから独立して選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項6または請求項7に記載の式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項9】
が、水素である請求項6から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項10】
(2S)−3−アミノ−2−(2,5−ジクロロフェノキシ)プロパン酸;
(2S)−3−アミノ−2−(3−クロロフェノキシ)プロパン酸;
(2S)−3−アミノ−2−(2−クロロフェノキシ)プロパン酸;
(2S)−3−アミノ−2−(2−メトキシ−5−クロロフェノキシ)プロパン酸;および
(2S)−3−アミノ−2−(3−プロピルフェノキシ)プロパン酸;
ならびに薬学的に許容できるそれらの塩および溶媒和物から選択される、請求項6に記載の式(I)の化合物。


【公表番号】特表2009−515943(P2009−515943A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540718(P2008−540718)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003285
【国際公開番号】WO2007/057767
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】