説明

アミリン誘導体

【課題】ヒトアミリン又はその誘導体を含有する医薬組成物及び疾患治療のための医薬の調製のための該誘導体の使用を提供する。
【解決手段】(a)2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しているか、あるいは(b)1位のリジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している遅延作用プロファイルを有するヒトアミリン又はその誘導体。これら誘導体を含有する医薬組成物、及び肥満に関連した疾病、糖尿病及び他の代謝性疾患の治療のための該誘導体の使用。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、新規なアミリン誘導体、これら誘導体を含有する医薬組成物、及び肥満に関連する疾病、糖尿病及び他の代謝疾患の治療への該誘導体の使用に関する。
【0002】
(発明の背景)
益々多数の人々が(真性)糖尿病や肥満になってきている。糖尿病はグルコースを利用する能力が部分的もしくは完全に失われている代謝性疾患である。全人口の約5%が糖尿病に罹っており該疾患は異常な割合に近づいている。1920年代でのインスリンの導入以降、糖尿病の治療を改善するために絶え間ない努力がなされてきている。
【0003】
糖尿病と肥満という二つの状態が、糖尿病は肥満の患者に一般的にみられその逆もしかりであるという意味で関連している。一方では糖尿病及び肥満と他方では心臓血管疾患との間に強い関連がまた存在する。これは、これらの症状を被っている人々を短命にする。糖尿病及び肥満の効果的な治療は、例えば視力や腎機能に悪影響を及ぼす糖尿病の晩期合併症などの合併症を少なくすることがよく知られ文献に記載されている。
多くの治療法は過剰な血糖を標的とする一方、減量に重きを置いているものもある。血糖を低下させるために使用される最も効果的な抗糖尿病薬はインスリンとそのアナログ(アナログ)である。伝統的なインスリンを糖尿病の治療に使用する場合、それには体重の増加が伴うことは昔から知られている。インスリンは一日に数回まで皮下注射されなければならない。
【0004】
2型糖尿病は、一般に初期段階では食事制限と運動で治療される。症状が進行すると、様々な経口抗糖尿病薬が加えられる。GLP-1アナログのような注入薬剤がまたこの段階で使用されうる。一般に、これらの薬剤はインスリンとアミリンを放出可能なβ細胞が機能している患者において最も効果的である。進行した2型糖尿病の95%において、患者のアミリンが膵臓で沈降し、最終のβ細胞不全の原因を構成しうる(L. Yan, PNAS, 2006, 103(7), 2046-2051)。最終的には、患者はもはやアミリンとインスリンを生産することができなくなる。1型糖尿病の患者と同様に、これらの進行した2型糖尿病の患者は、ついで、β細胞がアミリンとインスリンの二種のホルモンを実際に生産しているという事実にかかわらず、インスリンで治療される。極く最近になって、アミリンとインスリンを置き換えることができるようになった。
ヒトアミリンは、薬剤としての使用を面倒なものにする物理化学的性質を有している37アミノ酸長のペプチドである。特に、それはインビトロ及び/又はエキソビボでフィブリル化し、沈殿のために効果がなくなる傾向がある。37個のアミノ酸のうち3個がプロリンに置換されているヒトアミリンのアナログ(プラムリンタイド(pramlintide))を含むシムリンと呼ばれる薬剤製品が現在市場に出ている。これは、フィルリル化傾向を実質的に改善する。しかしながら、プラムリンタイドも中性pHで溶液中に維持することは難しく、酸性溶液、つまりシムリンで提供される。
【0005】
糖尿病及び肥満に関連するアミリンの作用は、体重低下に導く食物摂取の低減、より遅い胃内容排出、食後のグルコースプロファイルの平滑化、及び過剰糖尿病性グルカゴン放出の低減である (A. Young, Amylin: Physiology and Pharmacology, Academic Press (2005))。概して、アミリンの作用は、標的器官に直接というよりはむしろ確認されたCNSレセプターを介して媒介される。
シムリンはインスリンの補助薬として承認されている。臨床試験により、インスリン単独での治療に対して、0.3−0.6のオーダーで改善されたHbA1c、より円滑で浅い食後グルコースプロファイル及び体重減少が明らかになった。シムリンは、現在は、別の注射部位に別の注射として一日3回投与されている。患者が一日に3回のインスリン注射を使用する場合、これは全部で毎日6回の注射に増える。
【0006】
シムリン療法は副作用として吐き気があるために制約がある。吐き気は投薬量に関連するが、時間と共に消失する傾向がある。シムリンの薬物動態プロファイルは終日血漿中濃度にかなり大きな変動を生じる。シムリンがCmaxに到達するのに皮下注射からおよそ20分かかり、血漿t1/2は、20−50分のオーダーである (Colburn, W.A. J. Clin. Pharmacol. 36, 13-24 (1996)。最終的には、このために、大きな副作用を生じせしめることなく薬理学的な血漿中濃度を維持するためには毎日3回以上の注射が必要となる。毎日3回の注射でさえ、シムリンはアミリンの自然の放出プロファイルをそれほど良好に模倣しない。アミリンは、注射されたシムリンプロファイルの1−1.5時間の期間とは異なり、3−6時間に近い期間の食事関連ピークとして放出される。アミリンはまたシムリンによっては模倣されない実質的な基礎レベルを有している(A. Young, Amylin: Physiology and Pharmacology, Academic Press (2005))。
1型糖尿病の患者は本質的には自然のアミリン放出はなく、2型患者は健常な個体より低濃度である。
天然のヒトアミリンの活性を有する誘導体、並びに遅延性PKプロファイルを有し、天然のヒトアミリンに対して亢進された溶解性及び/又は安定性を示す誘導体を提供することは有用であろう。
【0007】
(発明の概要)
本発明は、一側面では、配列番号1のヒトアミリン又はそのアナログの誘導体であり、ここで、
a)2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しているか、あるいは
b)1位のリジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しているか、あるいは
c)リジン残基が38位に付加され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致している化合物に関する。
【0008】
本発明は、一側面では、配列番号1のヒトアミリン又はそのアナログの誘導体であり、ここで、
a)2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しているか、あるいは
b)1位のリジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致している化合物に関する。
【0009】
本発明は、ヒトアミリン又はそのアナログの患者における作用時間を増大させる方法において、
a)2から37位のアミノ酸残基を、リジン残基又はシステイン残基で置換し、該リジン残基又はシステイン残基をアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合させることによって修飾し、あるいは
b)1位のリジン残基をアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合させ、あるいは
c)リジン残基を38位に付加し、該リジン残基はアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致している方法をまた提供する。
本発明はまた本発明に係る誘導体を含有する医薬組成物及び疾患治療のための医薬の調製のための本発明に係る誘導体の使用を提供する。
【0010】
(発明の説明)
ここで使用される「薬学的に許容可能な」なる用語は、通常の製薬学的な応用に適した手段、つまり患者等に有害事象のような重大な副作用を生じない手段を意味する。
ここで使用される「賦形剤」なる用語は、医薬組成物に通常添加される化学的な化合物、例えばバッファー、等張剤、保存料等を意味する。
ここで使用される「有効量」なる用語は、治療されない患者と比較して患者の治療に有効であるのに十分な投薬量を意味する。
ここで使用される「医薬組成物」なる用語は、薬学的賦形剤、例えばバッファー、保存料、及び場合によっては張度調整剤及び/又は安定剤と共に活性な誘導体を含有する生成物を意味する。よって、医薬組成物はまた医薬製剤としても知られている。
ここで使用される「疾病の治療」なる用語は、疾病、病状又は疾患を発症した患者の管理及び世話(ケア)を意味する。治療の目的は、疾病、症状又は疾患と闘うことである。治療には、疾病、症状又は疾患を排除し又は制御するため、並びに疾病、症状又は疾患に伴う徴候又は合併症を緩和するための活性な化合物の投与を含む。
【0011】
本発明は、一側面では、配列番号1のヒトアミリン又はそのアナログの誘導体である化合物に関し、ここで、
a)2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しているか、あるいは
b)1位のリジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しているか、あるいは
c)リジン残基が38位に付加され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致している。
【0012】
本発明は、一側面では、配列番号1のヒトアミリン又はそのアナログの誘導体である化合物に関し、ここで、
a)2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しているか、あるいは
b)1位のリジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致している。
本発明は、一側面では、配列番号1のヒトアミリン又はそのアナログの誘導体である化合物に関し、ここで、2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致している。
【0013】
本発明は、一側面では、配列番号1のヒトアミリンの誘導体である化合物に関し、ここで、
a)2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しているか、あるいは
b)1位のリジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致している。
本発明は、他の側面では、配列番号1のヒトアミリンの誘導体である化合物に関し、ここで、2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致している。
【0014】
ここで使用される「ヒトアミリン」なる用語は、配列番号1に示された配列を有するペプチドヒトアミリンを意味する。限定するものではないが、該用語には、アミリンと称される37個のアミノ酸のヒトペプチドホルモンが含まれ、これは、膵臓のβ細胞からインスリンと共に同時分泌される。ヒトアミリンは次のアミノ酸配列を有している:Lys-Cys-Asn-Thr-Ala-Thr-Cys-Ala-Thr-Gln-Arg-Leu-Ala-Asn-Phe-Leu-Val-His-Ser-Ser-Asn-Asn-Phe-Gly-Ala-Ile-Leu-Ser-Ser-Thr-Asn-Val-Gly-Ser-Asn-Thr-Tyr(配列番号1)。よって、構造式は、以下に示すようにLys-Cys-Asn-Thr-Ala-Thr-Cys-Ala-Thr-Gln-Arg-Leu-Ala-Asn-Phe-Leu-Val-His-Ser-Ser-Asn-Asn-Phe-Gly-Ala-Ile-Leu-Ser-Ser-Thr-Asn-Val-Gly-Ser-Asn-Thr-Tyr-NH(配列番号1)であり、2つのCys残基とC末端アミド基の間にジスルフィド架橋を有している。

【0015】
本明細書において、「ヒトアミリンのアナログ」なる用語は、配列番号1のヒトアミリンの一又は複数のアミノ酸残基が独立して他のアミノ酸残基で置換され、及び/又はヒトアミリンの一又は複数のアミノ酸残基が欠失され、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基がヒトアミリンに付加されているペプチドを意味するために使用される。
本発明の一側面では、かかるアミノ酸残基の付加又は欠失はペプチドのN末端及び/又はペプチドのC末端で生じうる。一側面では、ヒトアミリンのアナログは、好ましくは30から45の天然に生じるか天然には生じないアミノ酸、好ましくは35−40の天然に生じるか天然には生じないアミノ酸を有している。
「誘導体」なる用語は、本明細書では、ペプチドのアミノ酸残基の一又は複数が、例えばアルキル化、アシル化、エステル形成、アミド形成又はマレイミドカップリングによって、修飾されているペプチドを示すために使用される。
「ヒトアミリン又はそのアナログの誘導体」又は「アミリン誘導体」なる用語は、本明細書では、ヒトアミリン又はそのアナログの誘導体を示すために使用される。
【0016】
本発明の更なる側面では、ヒトアミリンのアナログは、ヒトアミリンと比較して少なくとも70%のインビボ活性を示すのに十分なヒトアミリンとの相同性を有している。
本発明の化合物は、アミリンレセプターあるいはアミリン自体がそれと相互作用して生物学的応答、例えば食物摂取の低減を誘発しうる他のレセプター又はレセプター群と、結合し又は直接的又は間接的に相互作用等し得る。本発明の化合物は、2OnM、10nM、又は5nMより良好な親和性で、より好ましくは2nM、1nM、0.5nM、0.2nM又は0.10nMより良好な親和性で、アミリンレセプターに結合しうる。
【0017】
本発明の一実施態様では、本発明の化合物は、アミリンの生物学的活性の少なくとも約25%、好ましくは約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%を保持しうる。他の実施態様では、本発明の化合物は、改善された生物学的活性を示す。更なる実施態様では、本発明の化合物は、アミリンの少なくとも約110%、125%、130%、140%、150%、200%又はそれ以上を示す。
「活性」なる用語は一実施態様では食欲を減少させ及び/又は満腹感を増加させる能力を意味する。本発明の一側面では、活性は、例えば「アッセイ」なる表題下で薬理学的アッセイI及びIIに記載されたように、食欲を減少させる能力によって測定される。
【0018】
本発明の一実施態様では、本発明の化合物は、ビヒクル投与より5%多く、ビヒクルより好ましくは15%多く、より好ましくは25%多く、更により好ましくは35%又は40%多く、最も好ましくは50%多い累積的食物摂取を減少させる能力を有しうる。
「活性」なる用語は、他の実施態様では、動物モデルにおいて胃内容物排出を遅延させる能力を意味する。「活性」なる用語は、他の実施態様では、動物モデルにおいてグルカゴンの放出を阻害する能力を意味する。
「作用時間」なる用語は、本文脈では、減少した食物摂取のような薬理学的効果が測定可能である期間を意味する。
【0019】
本発明の一実施態様では、アミリン誘導体は、ヒトアミリンと比較してインビボ及び/又はエキソビボでフィブリル化することがより少ない。フィブリル化の傾向は、例えば「物理的安定性」なる語句の定義下で以下に記載されるチオフラビンT試験で推定されうる。
本発明の一実施態様では、アミリン誘導体は、当業者に知られているELISAのような標準的な手順によって測定して、プラムリンタイドと比較して遅延した薬物動態プロファイルを有している。本発明の他の実施態様では、アミリン誘導体は少なくとも1時間の血漿t1/2を有している。本発明の他の実施態様では、アミリン誘導体は少なくとも1.5時間の血漿t1/2を有している。本発明の他の実施態様では、アミリン誘導体は少なくとも2時間の血漿t1/2を有している。本発明の他の実施態様では、アミリン誘導体は少なくとも4時間の血漿t1/2を有している。本発明の他の実施態様では、アミリン誘導体は少なくとも6時間の血漿t1/2を有している。本発明の他の実施態様では、アミリン誘導体は少なくとも8時間の血漿t1/2を有している。本発明の他の実施態様では、アミリン誘導体は少なくとも12時間の血漿t1/2を有している。本発明の他の実施態様では、アミリン誘導体は少なくとも16時間の血漿t1/2を有している。本発明の他の実施態様では、アミリン誘導体は少なくとも24時間の血漿t1/2を有している。本発明の他の実施態様では、アミリン誘導体は少なくとも48時間の血漿t1/2を有している。本発明の他の実施態様では、アミリン誘導体は少なくとも96時間の血漿t1/2を有している。
【0020】
本発明の他の更なる側面では、ヒトアミリンのアナログは、ヒトアミリンの対応する一のアミノ酸とは、1、2、3、4、5、又は6又は7又は8のアミノ酸が異なるように修飾されたヒトアミリンのアミノ酸配列を有している。本発明の他の更なる側面では、アナログは、ヒトアミリンに対して、8未満の変更(置換、欠失、付加)を含む。本発明の他の更なる側面では、アナログは、ヒトアミリンに対して、7未満の変更(置換、欠失、付加)を含む。本発明の他の更なる側面では、アナログは、ヒトアミリンに対して、6未満の変更(置換、欠失、付加)を含む。本発明の他の更なる側面では、アナログは、ヒトアミリンに対して、5未満の変更(置換、欠失、付加)を含む。本発明の他の更なる側面では、アナログは、ヒトアミリンに対して、4未満の変更(置換、欠失、付加)を含む。本発明の他の更なる側面では、アナログは、ヒトアミリンに対して、3未満の変更(置換、欠失、付加)を含む。本発明の他の更なる側面では、アナログは、ヒトアミリンに対して、2未満の変更(置換、欠失、付加)を含む。本発明の他の更なる側面では、アナログは、ヒトアミリンに対して、ただ一つの変更(置換、欠失、付加)を含む。
【0021】
本発明の一側面では、変更は置換である。本発明の一側面では、変更は欠失である。本発明の一側面では、変更は付加である。
本発明の一側面では、2、3、4、5、又は6位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換されており、該リジン残基又はシステイン残基が、場合によってはリンカーを介して、アルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに結合している。
本発明の一側面では、23、24、25、26、27又は28位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換されており、該リジン残基又はシステイン残基が、場合によってはリンカーを介して、アルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに結合している。
本発明の一側面では、32、33、34、35、36又は37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換されており、該リジン残基又はシステイン残基が、場合によってはリンカーを介して、アルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに結合している。
【0022】
本発明の更なる側面では、25、28及び29位のアミノ酸残基の1、2又は全てがプロリン残基で置換されている。本発明の更なる側面では、25位のアミノ酸残基がプロリン残基で置換されている。本発明の更なる側面では、28位のアミノ酸残基がプロリン残基で置換されている。本発明の更なる側面では、29位のアミノ酸残基がプロリン残基で置換されている。本発明の更なる側面では、18位のアミノ酸残基がアルギニン残基で置換されている。本発明の更なる側面では、23位のアミノ酸残基がロイシン残基で置換されている。本発明の更なる側面では、26位のアミノ酸残基がバリン残基で置換されている。
【0023】
本発明は、他の側面では、配列番号1のヒトアミリン又はそのアナログの誘導体である化合物に関し、ここで、
2から37位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致している。
【0024】
本発明は、他の側面では、配列番号1のヒトアミリン又はそのアナログの誘導体である化合物に関し、ここで、
1位のリジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致している。
【0025】
本発明は、他の側面では、配列番号1のヒトアミリン又はそのアナログの誘導体である化合物に関し、ここで、
リジン残基が38位に付加され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致している。
【0026】
本発明は他の側面では配列番号1のヒトアミリンの誘導体に関する。
本発明は他の側面ではヒトアミリンアナログの誘導体に関する。
本発明は、他の側面では、2、3、4、5、又は6位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
本発明は、他の側面では、23、24、25、26、27又は28位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
【0027】
本発明は、他の側面では、32、33、34、35、36又は37位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
本発明は、他の側面では、1位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
本発明は、他の側面では、アルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーが、場合によってはリンカーを介して、リジン残基のεアミノ基に結合している誘導体に関する。
【0028】
本発明は、他の側面では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、又は37位の何れか一のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
本発明は、他の側面では、1、10、11、14、15、16、17、18、21、22、25、28、29、31、35又は38位の何れか一のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
本発明は、他の側面では、1、11、17、21、22、25、28、29又は31位の何れか一のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
【0029】
本発明は、他の側面では、1、11、17、21、22、25、28、29又は31位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基に場合によってはリンカーを介して結合している誘導体に関する。
本発明は、他の側面では、1、11、17、21、22又は31位の何れか一のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
本発明は、他の側面では、21位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
【0030】
本発明は、他の側面では、22位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
本発明は、他の側面では、17位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
本発明は、他の側面では、31位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
【0031】
本発明は、他の側面では、11位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
本発明は、他の側面では、28位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
本発明は、他の側面では、25位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
【0032】
本発明は、他の側面では、29位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している誘導体に関する。
本発明は、他の側面では、リジン残基がアルブミン結合残基にリンカーを介して結合している誘導体に関する。
本発明の他の側面では、誘導体はヒトアミリンと比較して1−6のアミノ酸置換を有している。
本発明の他の側面では、誘導体はヒトアミリンと比較して1−4のアミノ酸置換を有している。
【0033】
本発明の更なる側面では、23から29位の-FGAILSS-(配列番号2)が-FGPILPP-(配列番号3)に変化せしめられている。
本発明の更なる側面では、23から29位の-FGAILSS-(配列番号2)が-FGEILSS-(配列番号4)に変化せしめられている。
本発明の更なる側面では、23から29位の-FGAILSS-(配列番号2)が-FGDILSS-(配列番号5)に変化せしめられている。
【0034】
ここで使用される「結合している」という用語は、共有結合を介する化学的な結合を意味する。例えば、リジン残基又はシステイン残基は化学結合を介してアルブミン結合残基に結合している。かかる化学結合は、例として、例えば長鎖脂肪酸のようなアルブミン結合残基の活性なエステルでのアシル化によってリジンのεアミノ基を誘導体化することによって得ることができる。
本発明において使用される二つの化学部分を結合させる他の例には、限定するものではないが、アルキル化、エステル形成、アミド形成又はマレイミドカップリングが含まれる。
【0035】
ここで使用される「アルブミン結合残基」なる用語は、本発明の一側面では、ヒト血清アルブミンに非共有的に結合する残基を意味する。治療用ポリペプチドに結合したアルブミン結合残基は、ヒト血清アルブミンに対して、典型的には10μM以下、好ましくは1μM以下の親和性(結合定数)を有している。ある範囲のアルブミン結合残基は、4−40の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状親油性部分、シクロペンタノフェナントレン骨格を有する化合物、10−30のアミノ酸残基を有するペプチド等々から知られている。
【0036】
アルブミン結合親和性は当該分野で知られている幾つかの方法によって定量することができる。一方法では、測定される化合物を例えば125I又は3Hで放射標識し、固定化アルブミンと共にインキュベートする(Kurtzhals等, Biochem.J., 312, 725-731 (1995))。標準に対する化合物の結合性を計算する。他の方法では、関連化合物を放射標識し、例えばSPAビーズ上に固定化されたアルブミンへのその結合性を、測定される化合物の希釈群と競合させる。競合に対するEC50値が化合物の親和性の測定値である。第三の方法では、化合物のレセプター親和性又は作用強度を様々な濃度のアルブミンで測定するが、アルブミン濃度の関数としての化合物の相対親和性又は作用強度のシフトがアルブミンに対するその親和性を反映する。
【0037】
ここで使用される「C1−6-アルキル」なる用語は、1から6の炭素原子を有する飽和した分枝状、直鎖状又は環状炭化水素基を意味する。代表的な例には、限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキサン等々が含まれる。
ここで使用される「リンカー」なる用語は、ペプチドとアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーを分離するスペーサー(本明細書では、スペーサーとリンカーの二つの用語を交換可能に使用する)を意味する。
【0038】
ここで使用される「親水性リンカー」なる用語は、少なくとも5個の重原子(これらの30−50%がN又はOである)を含む化学部分を有する、ペプチドとアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーを分離するスペーサーを意味する。
本発明の一側面では、リンカーは、1から7のメチレン基、好ましくは2のメチレン基を有する非分枝状のアルカンα、ωジカルボン酸基を含み、該リンカーは、ペプチドのアミノ基とアルブミン結合残基のアミノ基又はポリエチレングリコールポリマーの間に架橋を形成する。
本発明の他の側面では、リンカーは、一又は複数のアルキレングリコール単位、例えば1から5のアルキレングリコール単位を含む。アルキレングリコール単位は、更なる側面では、エチレングリコール、プロピレングリコール又はブチレングリコールであるが、またより高級のアルキレングリコールであってもよい。
【0039】
本発明の他の側面では、リンカーは、
-(CH)D[(CH)E](CH)-Q-
から選択される親水性リンカーであり、ここで、
l、m及びnは独立して1−20、pは0−10であり、
Qは-Z-(CH)D[(CH)G](CH)-であり、
qは0から5の範囲の整数であり、
各D、E、及びGは独立して-O-、-NR-、-N(COR)-、-PR(O)-、及び-P(OR)(O)-(ここで、R、R、R、及びRは独立して水素又はC1−6-アルキルを表す)から選択され、
Zは-C(O)NH-、-C(O)NHCH-、-OC(O)NH-、-C(O)NHCHCH-、-C(O)CH-、-C(O)CH=CH-、-(CH)-、-C(O)-、-C(O)O-又は-NHC(O)-(ここでsは0又は1である)から選択される。
【0040】
本発明の他の側面では、リンカーは、lが1又は2、n及びmが独立して1−10、pが0−10である上述の親水性リンカーである。
本発明の他の側面では、リンカーはDが-O-である上述の親水性リンカーである。
本発明の他の側面では、リンカーはEが-O-である上述の親水性リンカーである。
本発明の更に他の側面では、親水性リンカーは、-CHO[(CH)O](CH)-(ここで、mは1−10、pは1−3、Qは-Z-HO[(CH)O](CH)- (ここで、Zは上述の通りである)である)である。
【0041】
本発明の他の側面では、リンカーはqが1である上述の親水性リンカーである。
本発明の他の側面では、リンカーはGが-O-である上述の親水性リンカーである。
本発明の他の側面では、リンカーは、Zが-C(O)NH-、-C(O)NHCH-、及び-OC(O)NH-からなる群から選択された上述の親水性リンカーである。
本発明の他の側面では、リンカーはqが0である上述の親水性リンカーである
本発明の他の側面では、リンカーはlが2である上述の親水性リンカーである
本発明の他の側面では、リンカーはnが2である上述の親水性リンカーである
【0042】
この発明の一側面では、化学的部分でペプチドとアルブミン結合残基を分離する「親水性リンカー」Bが使用される。
この発明の一側面では、親水性リンカーBは、
-C(O)-(CH)-O-[(CHCH-O]-(CH)-[NHC(O)-(CH)-O-[(CH)-O]-(CH)]-NH-
であり、ここで、l、m、n、及びpは独立して1−5であり、qは0−5である。
この発明の更に他の側面では、親水性リンカーBは、
-C(O)-CH-O-CHCH-O-CHCH [NHC(O)-CH-O-CHCHO-CHCH]-NH-
であり、qは0−5である。
【0043】
この発明の更に他の側面では、親水性リンカーBは、
-C(O)-CH-O-CHCH-O-CHCH-NHC(O)-CH-O-CHCHO-CHCH-NH-
である。
この発明の更に他の側面では、親水性リンカーBは、
-[CHCHO]m+1(CH)-
であり、ここでm及びpは独立して0−10で、qは0−5であり、
Qは上述の通り-Z-(CH)D[(CH)G](CH)-である。
【0044】
本発明の更に他の側面では、親水性リンカーBは、
-(CH)-O-[(CH)-O]-(CH)-[C(O)NH-(CH)-O-[(CH)-O]-(CH)]-
であり、ここで、l、m、n、及びpは独立して1−5であり、qは0−5である。
本発明の更なる側面では、リンカーはCys以外のアミノ酸残基、又はGly-Lysのようなジペプチドを含む。本明細書において、「Gly-Lysのようなジペプチド」という表現は、C末端アミノ酸残基がLys、His又はTrp、好ましくはLysであり、N末端アミノ酸残基がAla、Arg、Asp、Asn、Gly、Glu、Gln、Ile、Leu、Val、Phe及びProを含む群から選択されるジペプチドを示すために使用される。
【0045】
適切なPEGポリマーは典型的には市販されているか、あるいは当業者によく知られた方法によって作製されうる。
本発明の一側面では、PEGポリマーは700Dより大きい分子量、更なる側面では5kDより大きく、また更なる側面では10kDより大きく、また更なる側面では20kDより大きい分子量を有している。PEGポリマーは直鎖状又は分枝状でありうる。PEGポリマーが20KDaより大きい場合、分枝構造を有するPEGポリマー、例えば43kDの分枝状PEG-ペプチド (Shearwater 2001 カタログ番号2D3XOT01, mPEG2-MAL)が好ましい。
【0046】
インタクトなペプチドへのPEGの結合は、レセプターと相互作用するペプチド表面の反対側へPEGを結合させることによって達成することができる。
本発明の一側面では、PEGの結合は、場合によってはリンカーを介してリジン残基又はシステインで置換されているヒトアミリン又はそのアナログの2、3、4、5、又は6位のアミノ酸残基で生じる。本発明の更なる側面では、PEGの結合は、場合によってはリンカーを介してリジン残基又はシステインで置換されているヒトアミリン又はそのアナログの23、24、25、26、27又は28位のアミノ酸残基で生じる。本発明の更なる側面では、PEGの結合は、場合によってはリンカーを介してリジン残基又はシステインで置換されているヒトアミリン又はそのアナログの32、33、34、35、36又は37位のアミノ酸残基で生じる。
【0047】
PEGをペプチドにカップリングさせるためには幾つかの方策があり(例えばVeronese, Biomaterials 22:405-417, 2001を参照)、その全てを出典明示によりその全体をここに援用する。従って、当業者であれば、ここに記載されたヒトアミリン又はアミリンアナログにPEGポリマーを結合させるためのよく知られた方法を利用することができるであろう。
簡単に述べると、システインペグ化は部位特異的なペグ化の一方法であり、ヒトアミリン又はアミリンアナログ上の特定の位置の一つに独特のシステイン変異を導入し、ついで得られたペプチドをPEG-マレイミドのようなシステイン特異的ペグ化試薬と反応させることによって達成することができる。部位特異的なペグ化を可能にするためにはペプチドを変異させることが必要な場合がある。例えば、ペプチドがシステイン残基を含んでいる場合、これらは、部位特異的なペグ化を担保するために保存的アミノ酸で置換される必要がある。また、限定するものではないが「GGS」、「GGSGGS」及び「PPPS」を含む強固なリンカーを、C末端に、しかしPEG結合部位の前に(つまり独特のシステイン残基)付加しうる。
【0048】
本発明の一側面では、アルブミン結合残基は親油性残基である。更なる側面では、親油性残基は、コンジュゲーション化学、例えばアルキル化、アシル化、エステル形成、又はアミド形成によって場合によってはリンカーを介してリジン残基に、あるいはマレイミドカップリングによってシステイン残基に結合させられる。
本発明の更なる側面では、アルブミン結合残基は生理学的pHで負に荷電している。本発明の他の側面では、アルブミン結合残基は、負に荷電し得る基を含んでいる。負に荷電しうる好ましい一つの基はカルボン酸基である。
本発明の更なる側面では、アルブミン結合残基はアルブミンに非共有的に結合している。本発明の他の側面では、アルブミン結合残基は、ヒト血清アルブミンに対して約10μMより良好な又は約1μMより良好な結合親和性を有している。
【0049】
本発明の更に他の側面では、アルブミン結合残基は、直鎖状アルキル基、分枝状アルキル基、ωカルボン酸基を有する基、及び部分的に又は完全に水素化されたシクロペンタノフェナントレン骨格からなる群から選択される。
本発明の更なる側面では、アルブミン結合残基はチバクロニル(cibacronyl)残基である。
本発明の更なる側面では、アルブミン結合残基は、6から40個の炭素原子、8から26個の炭素原子又は8から20個の炭素原子を有している。
【0050】
本発明の更なる側面では、アルブミン結合残基は、CH(CH)CO-(ここで、rは4から38の整数、好ましくは4から24の整数である)を含む群から選択され、より好ましくはCH(CH)CO-、CH(CH)CO-、CH(CH)10CO-、CH(CH)12CO-、CH(CH)14CO-、CH(CH)16CO-、CH(CH)18CO-、CH(CH)20CO-及びCH(CH)22CO-を含む群から選択されるアシル基である。
本発明の他の側面では、アルブミン結合残基は直鎖状又は分枝状アルカンα、ωジカルボン酸のアシル基である。
【0051】
本発明の他の側面では、アルブミン結合残基は、HOOC(CH)CO-(ここで、sは4から38の整数、好ましくは4から24の整数である)を含む群から選択され、より好ましくはHOOC(CH)14CO-、HOOC(CH)16CO-、HOOC(CH)18CO-、HOOC(CH)20CO-及びHOOC(CH)22CO-を含む群から選択されるアシル基である。
【0052】
本発明の他の側面では、アルブミン結合残基は、式CH(CH)CO-NHCH(COOH)(CH)CO-(ここでvは10から24の整数である)の基である。
本発明の他の側面では、アルブミン結合残基は、式CH(CH)CO-NHCH((CH)COOH)CO-(ここで、wは8から24の整数である)の基である。
本発明の他の側面では、アルブミン結合残基は、式COOH(CH)CO-(ここで、xは8から24の整数である)の基である。
本発明の他の側面では、アルブミン結合残基は、式-NHCH(COOH)(CH)NH-CO(CH)CH(ここで、yは8から18の整数である)の基である。
【0053】
この発明の一側面では、組み合わせたアルブミン結合残基及びリンカーは、-C(O)-(CH)-O-[(CHCH-O)-(CH)-[NHC(O)-(CH)-O-[(CH)-O]-(CH)]-NH-W(ここで、l、m、n、及びpは独立して1−5であり、qは0−5であり、Wは、CH(CH)CO-、CH(CH)CO-、CH(CH)10CO-、CH(CH)12CO-、CH(CH)14CO-、CH(CH)16CO-、CH(CH)18CO-、CH(CH)20CO-、CH(CH)22CO-、HOOC(CH)14CO-、HOOC(CH)16CO-、HOOC(CH)18CO-、HOOC(CH)20CO-及びHOOC(CH)22CO-からなる群から選択される)である。
【0054】
この発明の一側面では、組み合わせたアルブミン結合残基及びリンカーは、-C(O)-CH-O-CHCH-O-CHCH [NHC(O)-CH-O-CHCH-O-CHCH]-NH-Ac(ここで、qは0−5であり、Acはアセチルである)である。
この発明の他の側面では、組み合わせたアルブミン結合残基及びリンカーは、式-C(O)-CH-O-CHCH-O-CHCH-NHC(O)-CH-O-CHCHO-CHCH-NH-Ac(ここで、Acはアセチルである)の基である。
この発明の他の側面では、組み合わせたアルブミン結合残基及びリンカーは

(ここで、Bは上に記載した通りであり、Z、V、q及びwは以下に定義する通りである)である。
【0055】
この発明の他の側面では、組み合わせたアルブミン結合残基及びリンカーは

[ここで、ZはCH又はCOOHであり、VはH又はCOOHであり、qは7から21であり、wは0から5、kは0から5であり、Bは-C(O)-(CH)-O-[(CHCH-O)-(CH)-[NHC(O)-(CH)-O-[(CH)-O]-(CH)]-NH-(ここで、l、m、n、及びpは独立して1−5で、qは0−5である)である]である。
【0056】
この発明の他の側面では、組み合わせたアルブミン結合残基及びリンカーは、

(ここで、ZはCH 又はCOOH、VはH又はCOOH、qは7から21mwは0から5、kは0から5である)である。この発明の他の側面では、ZはCHであり、VはCOOHである。この発明の他の側面では、VはHであり、ZはCOOHである。この発明の他の側面では、VはHであり、ZはCHである。この発明の他の側面では、V及びZは共にCOOHである。この発明の好ましい側面では、qは13から19であり、より好ましくはqは13から15である。この発明の好ましい側面では、kは1から4であり、より好ましくは1から2である。この発明の好ましい側面では、wは1から4であり、より好ましくは1から2である。
【0057】
この発明の他の側面では、組み合わせたアルブミン結合残基及びリンカーは、

(ここで、ZはCH 又はCOOHで、qは7から21であり、kは0から5である)である。この発明の他の側面では、ZはCHである。この発明の他の側面では、ZはCOOHである。この発明の好ましい側面では、qは13から19、より好ましくはqは13、14又は15である。この発明の好ましい側面では、kは1から4、より好ましくは1又は2である。
【0058】
本発明の他の側面では、アルブミン結合残基はペプチド、例えば40未満のアミノ酸残基のペプチドである。アルブミン結合残基である多くの小ペプチド並びにそれらの同定方法は、J. Biol Chem. 277, 38 (2002) 35035-35043に見出される。
本発明の他の側面では、場合によってはリンカーを介してアルブミン結合残基はリジン残基のεアミノ基を介して結合している。
【0059】
本発明の他の側面では、場合によってはリンカーを介してアルブミン結合残基はシステイン残基を介して結合している。
更なる側面では、本発明は、親油性残基が、Cysを除くアミノ酸残基であるか又はGly-Lysのようなジペプチドであるリンカーによって親ペプチドに結合しており、親ペプチドのカルボキシル基が、Lys残基又はLys残基を含むジペプチドのアミノ基とアミド結合を形成し、Lys残基又はLys残基を含むジペプチドの他のアミノ基が親油性残基のカルボキシル基とアミド結合を形成するアミリン誘導体に関する。
【0060】
更なる側面では、本発明は、親油性残基が、Cysを除くアミノ酸残基であるか又はGly-Lysのようなジペプチドであるリンカーによって親ペプチドに結合しており、親ペプチドのアミノ基が、アミノ酸残基又はジペプチドリンカーのカルボキシル基とアミド結合を形成し、アミノ酸残基又はジペプチドリンカーのアミノ基が親油性残基のカルボキシル基とアミド結合を形成するアミリン誘導体に関する。
【0061】
更なる側面では、本発明は、親油性残基が、Cysを除くアミノ酸残基であるか又はGly-Lysのようなジペプチドであるリンカーによって親ペプチドに結合しており、親ペプチドのカルボキシル基が、アミノ酸残基リンカー又はジペプチドリンカーのアミノ基とアミド結合を形成し、アミノ酸残基リンカー又はジペプチドリンカーのカルボキシル基が親油性残基のアミノ基とアミド結合を形成するアミリン誘導体に関する。
【0062】
更なる側面では、本発明は、親油性残基が、Cysを除くアミノ酸残基であるか又はGly-Lysのようなジペプチドであるリンカーによって親ペプチドに結合しており、親ペプチドのカルボキシル基が、Asp又はGluであるリンカー又はAsp又はGlu残基を含むジペプチドリンカーのアミノ基とアミド結合を形成し、該リンカーのカルボキシル基が親油性残基のアミノ基とアミド結合を形成するアミリン誘導体に関する。
【0063】
本発明の一側面では、アミリン誘導体のC末端は酸かアミドの何れかとして終端しうる。好ましい側面では、アミリン誘導体のC末端はアミドである。
【0064】
本発明の一側面では、アミリン誘導体のアミノ酸配列は、
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号24)、
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILPPTKVGSNTY(配列番号6)、
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTYK(配列番号7)、
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILKPTNVGSNTY(配列番号8),
KCNTATCATQKLANFLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号9),
KCNTATCATQRLANFLVHSSKNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号10),
KCNTATCATQRLANFLVHSSNKFGPILPPTNVGSNTY(配列番号11),
KCNTATCATQRLANFKVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号12),
KCNTATCATQRLANFLKHSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号13),
KCNTATCATQRLAKFLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号14),
KCNTATCATQRLANKLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号15),
KCNTATCATKRLANFLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号16),
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILPPTNVGSKTY(配列番号17),
KCNTATCATQRLANFLVRSSNNLGPVLPPTNVGSNTYK(配列番号18),
KCNTATCATQRLANFLVKSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号19),
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILPKTNVGSNTY(配列番号20),
KCNTATCATQRLANFLVKSSNNLGPVLPPTNVGSNTY(配列番号21)、
KCNTATCATQKLANFLVRSSNNLGPVLPPTNVGSNTY(配列番号22),及び
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGKILPPTNVGSNTY(配列番号23)
からなる群から選択さる。
ここで、リジン残基(群)の少なくとも一つは、場合によってはリンカーを介して、アルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに結合している。
【0065】
更なる側面では、アミリン誘導体中の一つのリジン残基のみが、場合によってはリンカーを介して、アルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに結合している。
好ましい属面では、配列番号6から24のアミノ酸配列の何れか一つを有するアミリン誘導体のC末端はアミドである。
【0066】
本発明の更なる側面では、リンカーと組み合わされたアルブミン結合残基は、

からなる群から選択される。
【0067】
本発明の一側面では、アミリン誘導体は、
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号24)(ここで、1位のリジン残基は、次の式:

を有するリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している );
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILPPTKVGSNTY(配列番号6)(ここで、31位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTYK (配列番号7)(ここで、38位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILKPTNVGSNTY (配列番号8)(ここで、28位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQKLANFLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY (配列番号9)(ここで、11位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQRLANFLVHSSKNFGPILPPTNVGSNTY (配列番号10)(ここで、21位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQRLANFLVHSSNKFGPILPPTNVGSNTY (配列番号 11)(ここで、22位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQRLANFKVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号12)(ここで、16位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQRLANFLKHSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号13)(ここで、17位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQRLAKFLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号14)(ここで、14位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQRLANKLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号15)(ここで、15位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATKRLANFLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号16)(ここで、10位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILPPTNVGSKTY(配列番号17)(ここで、35位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQRLANFLVRSSNNLGPVLPPTNVGSNTYK(配列番号18)(ここで、38位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQRLANFLVKSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号19)(ここで、18位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILPKTNVGSNTY(配列番号20)(ここで、29位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQRLANFLVKSSNNLGPVLPPTNVGSNTY(配列番号21)(ここで、18位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
KCNTATCATQKLANFLVRSSNNLGPVLPPTNVGSNTY(配列番号22)(ここで、11位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している);
及び
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGKILPPTNVGSNTY(配列番号23)(ここで、25位のリジン残基は、

からなる群から選択されるリンカーと組み合わされたアルブミン結合残基に結合している)
からなる群から選択される。
【0068】
本発明は、更なる側面では、ヒトアミリン又はそのアナログの患者における作用時間を増大させる方法において、
a)2から37位のアミノ酸残基を、リジン残基又はシステイン残基で置換し、該リジン残基又はシステイン残基をアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合させることによって修飾し、あるいは
b)1位のリジン残基をアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合させ、あるいは
c)リジン残基を38位に付加し、該リジン残基はアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
ここで、アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致していることを特徴とする方法に関する。
【0069】
本発明は、更なる側面では、ヒトアミリン又はそのアナログの患者における作用時間を増大させる方法において、
a)2から37位のアミノ酸残基を、リジン残基又はシステイン残基で置換し、該リジン残基又はシステイン残基をアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合させることによって修飾し、あるいは
b)1位のリジン残基をアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合させ、ここで、アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致していることを特徴とする方法に関する。
他の側面では、本発明は、ヒトアミリン又はそのアナログの患者における作用時間を約40時間以上まで増大させる方法に関する。
【0070】
アミリン誘導体は 、ポリペプチドをコードするDNA配列を含み、ポリペプチドの発現を可能にする条件下で適切な栄養培地中でポリペプチドを発現させることができる宿主細胞を培養し、得られたペプチドを培養物から回収することを含む方法によって産生させることができる。
細胞を培養するために使用される培地は、適切な栄養補助剤を含む最少又は複合培地のような、宿主細胞を増殖させるのに適した任意の一般的な培地でありうる。適切な培地は商業的供給者から入手することができ、又は公開された処方(例えばアメリカンタイプカルチャーコレクションのカタログ)に従って調製することができる。ついで、細胞によって産生されたペプチドは、対象ペプチドのタイプに応じて、遠心分離又は濾過によって培地から宿主細胞を分離し、上清又は濾液のタンパク様成分を塩、例えば硫酸アンモニウムによって沈殿させ、様々なクロマトグラフィー法、例えばイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等によって精製することを含む一般的な手順によって培養培地から回収することができる。
【0071】
治療用ポリペプチドをコードするDNA配列は、好適には、例えば標準的な方法に従ってゲノム又はcDNAライブラリーを調製し、合成オリゴヌクレオチドプローブを使用してハイブリダイゼーションによってポリペプチドの全て又は一部をコードするDNA配列をスクリーニングすることによって得られるゲノム又はcDNA由来のものでありうる(例えば、Sambrook, J, Fritsch, EF及びManiatis, T, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989を参照)。ポリペプチドをコードするDNA配列はまた確立された標準的な方法、例えばBeaucage及びCaruthers, Tetrahedron Letters 22 (1981), 1859-1869に記載された亜リン酸アミダイト法、又はMatthes等, EMBO Journal 3 (1984), 801-805に記載された方法によって合成的に調製することもできる。DNA配列はまた例えば米国特許第4683202号又はSaiki等, Science 239 (1988), 487-491に記載されたように、特異的プライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応によって調製することもできる。
【0072】
DNA配列は組換えDNA法に簡便に使用することができる任意のベクター中に挿入することができ、ベクターの選択はしばしばそれが導入される宿主細胞に依存する。よって、ベクターは、自己複製ベクター、つまり染色体外体として存在し、その複製が染色体複製に独立であるベクター、例えばプラスミドでありうる。あるいは、ベクターは、宿主細胞中に導入されたときに宿主細胞ゲノム中に組み込まれ、それが組み込まれた染色体(群)と共に複製されるものであってもよい。
ベクターは好ましくはペプチドをコードするDNA配列がプロモーターのようなDNAの転写に必要とされる更なるセグメントに作用可能に結合している発現ベクターである。プロモーターは選択された宿主細胞において転写活性を示す任意のDNA配列であり得、宿主細胞に相同的又は異種性のタンパク質コード遺伝子から誘導されうる。様々な宿主細胞において本発明のペプチドをコードするDNAの転写を指示する好適なプロモーターの例は、例えば上掲のSambrook等においてよく知られている。
【0073】
ペプチドをコードするDNA配列はまた、必要に応じて、好適なターミネーター、ポリアデニル化シグナル、転写促進配列、及び翻訳促進配列に作用可能に結合されうる。本発明の組換えベクターは更に対象の宿主細胞中でベクターが複製することを可能にするDNA配列を含みうる。
ベクターはまた選択可能マーカー、例えばその産物が宿主細胞における欠陥を補完する遺伝子、又は薬剤、例えばアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ハイグロマイシン又はメトトレキセートに対する耐性を付与するものを含んでいてもよい。
本発明の親ペプチドを宿主細胞の分泌経路中に向けるために、分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列又はプレ配列としても知られている)を組換えベクター中に配することができる。分泌シグナル配列は正しい読み枠にあるペプチドをコードするDNA配列に結合される。分泌シグナル配列は一般にペプチドをコードするDNA配列の5'に位置している。分泌シグナル配列はペプチドに通常関連するものであってもよく、又は他の分泌タンパク質をコードする遺伝子由来のものであってもよい。
【0074】
本発明のペプチドをコードしているDNA配列とプロモーターと場合によってはターミネーター及び/又は分泌シグナル配列をそれぞれ結合させ、複製のために必要な情報を含んでいる適切なベクター中にそれらを挿入するために使用される手順は、当業者にはよく知られている(例えば上掲のSambrook等を参照)。
DNA配列又は組換えベクターが導入される宿主細胞は、本ペプチドを生成可能な任意の細胞であり得、細菌、酵母菌、真菌及び高等真核細胞を含む。よく知られ当該分野で使用される好適な宿主細胞の例は限定するものではないが、大腸菌、サッカロマイセス・セレヴィシエ、又は哺乳動物BHK又はCHO株価細胞である。
【0075】
医薬組成物
本発明の一側面では、本発明に係る誘導体と薬学的に許容可能な賦形剤を含有する医薬組成物が提供される。本発明の更なる側面では、薬学的組成物は非経口投与に適している。
本発明の他の目的は、0.1mg/mlから25mg/mlの濃度で存在している本発明に係る化合物を含有する医薬製剤を提供することであり、該製剤は3.0から9.0のpHを有する。製剤は、緩衝系、保存料(類)、等張化剤(類)、キレート剤(類)、安定剤及び界面活性剤を更に含有しうる。本発明の一実施態様では、医薬製剤は水性製剤、すなわち水分を含有する製剤である。このような製剤は典型的には溶液又は懸濁液である。本発明の更なる実施態様では、医薬製剤は水溶液である。「水性製剤」なる用語は、少なくとも50%w/wの水分を含有している製剤として定義される。同様に、「水溶液」なる用語は、少なくとも50%w/wの水分を含有している溶液として定義され、「水性懸濁液」なる用語は、少なくとも50%w/wの水分を含有している懸濁液として定義される。
【0076】
他の実施態様では、医薬製剤は凍結乾燥製剤であり、医師又は患者が使用前にそれに溶媒及び/又は希釈剤を加える。
他の実施態様では、医薬製剤は、如何なる事前の溶解も必要なしに使用準備が整っている乾燥製剤(例えば凍結乾燥又はスプレー乾燥)である。
更なる側面では、本発明は、本発明に係る化合物及びバッファーの水溶液を含有する医薬製剤に関し、該化合物は0.1mg/ml又はそれ以上の濃度で存在し、該製剤は約3.0から約9.0のpHを有する。
【0077】
本発明の他の実施態様では、製剤のpHは約3.0から約7.0である。本発明の他の実施態様では、製剤のpHは約4.0から約6.0である。本発明の他の実施態様では、製剤のpHは約4.0から約5.0である。本発明の他の実施態様では、製剤のpHは約7.0から約9.5である。本発明の他の実施態様では、製剤のpHは約3.0から約7.0である。本発明の他の実施態様では、製剤のpHは約5.0から約7.5である。本発明の他の実施態様では、製剤のpHは約7.5から約9.0である。本発明の他の実施態様では、製剤のpHは約7.5から約8.5である。本発明の他の実施態様では、製剤のpHは約6.0から約7.5である。本発明の他の実施態様では、製剤のpHは約6.0から約7.0である。
【0078】
本発明の更なる実施態様では、バッファーは、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン(bicine)、トリシン、リンゴ酸、コハク酸塩、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸又はそれらの混合物から選択される。これらの特定のバッファーが各一が本発明の他の実施態様を構成する。
【0079】
本発明の更なる実施態様では、製剤は、薬学的に許容可能な保存料を更に含有する。本発明の更なる実施態様では、保存料は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、2-フェノキシエタノール、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、及びチオメロサール、ブロノポール、安息香酸、イミド尿素、クロロヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、塩化ベンゼトニウム、クロルフェネシン(chlorphenesine)(3p-クロルフェノキシプロパン-1,2-ジオール)又はそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の更なる実施態様では、保存料は、0.1mg/mlから20mg/mlの濃度で存在している。本発明の更なる実施態様では、保存料は、0.1mg/mlから5mg/mlの濃度で存在している。本発明の更なる実施態様では、保存料は、5mg/mlから10mg/mlの濃度で存在している。本発明の更なる実施態様では、保存料は、10mg/mlから20mg/mlの濃度で存在している。これらの特定の保存料の各一が、本発明の別の実施態様を構成する。医薬組成物中に保存料を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。
【0080】
本発明の更なる実施態様では、製剤は等張化剤を更に含有しうる。本発明の更なる実施態様では、等張化剤は、塩(例えば塩化ナトリウム)、糖又は糖アルコール、アミノ酸(例えば、L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン)、アルジトール(例えばグリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール)ポリエチレングリコール(例えばPEG400)、又はそれらの混合物からなる群から選択される。任意の糖、例えば単糖類、二糖類又は多糖類、又は水溶性グルカン類、例えばフルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、及びカルボキシメチルセルロース-Naを使用することができる。一実施態様では、糖添加剤はスクロースである。糖アルコールは、少なくとも一の-OH基を有するC4-C8炭化水素と定義され、例えばマンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール(galactitol)、ズルシトール、キシリトール、及びアラビトールを含む。一実施態様では、糖アルコール添加剤はマンニトールである。上述した糖又は糖アルコールは、個々に又は組合せて使用されてよい。使用される量は、糖又は糖アルコールが液状調製物に溶解し、本発明の方法を使用して得られた安定化効果に悪影響を与えない限りは、固定された限界値があるものではない。一実施態様では、糖又は糖アルコールの濃度は、約1mg/ml〜約150mg/mlである。本発明の更なる実施態様では、等張化剤は1mg/mlから50mg/mlである。本発明の更なる実施態様では、等張化剤は1mg/mlから7mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる実施態様では、等張化剤は8mg/mlから24mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる実施態様では、等張化剤は25mg/mlから50mg/mlの濃度で存在する。これらの特定の等張化剤の各一が本発明の別の実施態様を構成する。医薬組成物に等張化剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。
【0081】
本発明の更なる実施態様では、製剤はキレート剤を更に含有する。本発明の更なる実施態様では、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、及びアスパラギン酸の塩、及びそれらの混合物から選択される。本発明の更なる実施態様では、キレート剤は0.1mg/mlから5mg/mlの濃度で存在している。本発明の更なる実施態様では、キレート剤は0.1mg/mlから2mg/mlの濃度で存在している。本発明の更なる実施態様では、キレート剤は2mg/mlから5mg/mlの濃度で存在する。これらの特定のキレート剤の各一が本発明の別の実施態様を構成する。医薬組成物にキレート剤を使用することは当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。
【0082】
本発明の更なる実施態様では、製剤は安定剤を更に含有する。医薬組成物に安定剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。
【0083】
より詳細には、本発明の組成物は安定した液状医薬組成物であり、その治療的活性化合物は、液状医薬製剤の保存中に凝集体の形成を示す可能性のあるポリペプチドを含む。「凝集体形成」とは、オリゴマーを形成するポリペプチド分子間の物理的相互作用を意図しており、これは、可溶性か、又は溶液から沈殿する大きな可視できる凝集体として残る。「保存中」とは、液状製薬用組成物又は調製されて直ぐの製剤が、被験者に直ぐ投与されるものではないことを意図している。むしろ、調製後に、液状の形態、凍結状態、液状形態に後で再構成される乾燥した形態、又は被験者への投与に適した他の形態で、包装又は保存されている。「乾燥した形態」とは、液状製薬用組成物又は製剤が、フリーズドライ(すなわち凍結乾燥;例えばWilliams及びPolli(1984)J. Parenteral Sci. Technol. 38:48-59を参照)、噴霧乾燥(Masters(1991) Spray-Drying Handbook(第5版;Longman Scientific and Technical, Essez, U.K.), pp.491-676;Broadhead等, (1992) Drug Devel. Ind. Pharm. 18:1169-1206;及びMumenthaler等, (1994) Pharm. Res. 11:12-20)、又は空気乾燥(Carpenter及びCrowe (1988) Cryobiology 25:459-470;及びRoser (1991) Biopharm. 4:47-53)により乾燥されることを意図している。液状医薬組成物の保存中におけるポリペプチドによる凝集体形成は、ポリペプチドの生物活性に悪影響を及ぼすおそれがあり、医薬組成物の治療効果が損なわれる。更に凝集体形成は、例えばチューブ、膜、又はポリペプチド含有医薬組成物が注入システムを使用して投与される場合はポンプの閉塞のような、他の問題を生じさせうる。
【0084】
本発明の医薬組成物は、組成物の保存中、ポリペプチドによる凝集体形成を低減させるのに十分な量のアミノ酸塩基を更に含有しうる。「アミノ酸塩基」とは、アミノ酸又はアミノ酸の組合せを意図しており、任意の与えられたアミノ酸が、その遊離塩基の形態又はその塩の形態の何れかで存在している。アミノ酸の組合せを使用する場合、全てのアミノ酸が遊離塩基の形態で存在していてもよく、全てが塩の形態で存在していてもよく、又は幾つかが遊離塩基の形態で存在していてもよく、残りが塩の形態で存在していてもよい。一実施態様では、本発明の組成物の調製に使用されるアミノ酸は、帯電側鎖を担持しているもの、例えばアルギニン、リジン、アスパラギン酸、及びグルタミン酸である。特定のアミノ酸(例えば、メチオニン、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン及びそれらの混合物)の任意の立体異性体(すなわち、L、D、又はそれらの混合物)、又はこれらの立体異性体の組合せが、該特定のアミノ酸が遊離塩基の形態又は塩の形態の何れかで存在している限り、本発明の製薬用組成物中に存在していてもよい。一実施態様では、L-立体異性体が使用される。また本発明の組成物は、これらのアミノ酸の類似体と共に製剤化されてもよい。「アミノ酸類似体」とは、本発明の液状製薬用組成物の保存中に、ポリペプチドによる凝集体形成を低減させるという所望の効果をもたらす天然に生じるアミノ酸の誘導体を意図している。適切なアルギニン類似体は、例えばアミノグアニジン、オルニチン及びN-モノエチル-L-アルギニンを含み、適切なメチオニン類似体はエチオニン及びブチオニンを含み、適切なシステイン類似体はS-メチル-L-システインを含む。他のアミノ酸と同様、アミノ酸アナログは、遊離塩基の形態又は塩の形態の何れかで組成物中に導入される。本発明の更なる実施態様では、アミノ酸又はアミノ酸アナログは、タンパク質の凝集を防止し又は遅延化させるのに十分な濃度で使用される。
【0085】
本発明の更なる実施態様では、メチオニン(又は他の硫黄含有アミノ酸又はアミノ酸アナログ)は、治療剤として作用するポリペプチドが酸化を受けやすい少なくとも一のメチオニン残基を有するポリペプチドである場合、メチオニン残基のメチオニンスルホキシドへの酸化を阻害するために添加されうる。「阻害」とは、経時的なメチオニン酸化種の蓄積を最小にすることを意図している。メチオニン酸化を阻害すると、適切な分子形態でのポリペプチドの保持が更に高まる。メチオニン(L又はD)の任意の立体異性体又はそれらの任意の組合せを使用することができる。添加される量は、メチオニンスルホキシドの量が規制機関にとって許容可能であるような、メチオニン残基の酸化を阻害するのに十分な量とするべきである。典型的には、これは、組成物が約10%から約30%を越えるメチオニンスルホキシドを含まないことを意味する。一般的に、これは、メチオニン残基に添加されるメチオニンの比率が、約1:1から約1000:1、例えば10:1から約100:1の範囲になるようにメチオニンを添加することで、達成することができる。
【0086】
本発明の更なる実施態様では、製剤は高分子量ポリマー又は低分子量化合物の群から選択される安定剤を更に含有する。本発明の更なる実施態様では、安定剤は、ポリエチレングリコール(例えばPEG3350)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシ-/ヒドロキシセルロース又はそれらの誘導体(例えばHPC、HPC-SL、HPC-L及びHPMC)、シクロデキストリン類、硫黄含有物質、例えばモノチオグリセロール、チオグリコール酸及び2-メチルチオエタノール、及び異なった塩(例えば塩化ナトリウム)から選択される。これらの特定の安定剤の各一が本発明の別の実施態様を構成する。
【0087】
医薬用組成物は、その中の治療的に活性なポリペプチドの安定性を更に高める付加的な安定剤をまた含有しうる。本発明にとって特に関心のある安定剤は、限定されるものではないが、メチオニンの酸化に対してポリペプチドを保護するEDTA及びメチオニン、及び凍結-解凍又は機械的剪断に関連する凝集からポリペプチドを保護する非イオン性界面活性剤を含む。
【0088】
本発明の更なる実施態様では、製剤は更に界面活性剤を含有する。本発明の更なる実施態様では、界面活性剤は、洗浄剤、エトキシル化ヒマシ油、ポリグリコール化グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタンの脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンのブロックポリマー(例えばポロキサマー、例えばプルロニック(Pluronic)(登録商標)F68、ポロキサマー188及び407、トリトンX-100)、ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン及びポリエチレンの誘導体、例えばアルキル化されアルコキシル化された誘導体(トゥイーン類(tweens)、例えばトゥイーン-20、トゥイーン-40、トゥイーン80及びビリジ(Brij)-35)、モノグリセリド類又はそのエトキシル化誘導体、ジグリセリド類又はそのポリオキシエチレン誘導体、アルコール、グリセロール、レシチン及びリン脂質(例えば、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロール及びスフィンゴミエリン)、リン脂質の誘導体(例えばホスファチジン酸ジパルミトイル)及びリゾリン脂質(例えばパルミトイル-リゾホスファチジル-L-セリン、及びエタノールアミン、コリン、セリン又はスレオニンの1-アシル-sn-グリセロ-3-ホスファートエステル)、及びリゾホスファチジル及びホスファチジルコリンのアルキル、アルコキシル(アルキルエステル)、アルコキシ(アルキルエーテル)-誘導体、例えばリゾホスファチジルコリンのラウロイル及びミリストイル誘導体、ジパルミトイルホスファチジルコリン及び極性頭部基の修飾体、コリン類、エタノールアミン類、ホスファチジン酸、セリン類、スレオニン類、グリセロール、イノシトール、及び正に帯電したDODAC、DOTMA、DCP、BISHOP、リゾホスファチジルセリン、及びリゾホスファチジルスレオニン、及びグリセロリン脂質(例えばセファリン類)、グリセロ糖脂質(例えばガラクトピラノシド)、スフィンゴ糖脂質(例えばセラミド類、ガングリオシド類)、ドデシルホスホコリン、鶏卵リゾレシチン、フシジン酸誘導体-(例えばタウロ-ジヒドロフジシン酸ナトリウム等)、長鎖脂肪酸及びそれらのC6-C12塩(例えばオレイン酸及びカプリル酸)、アシルカルニチン類及び誘導体、リジン、アルギニン又はヒスチジンのNα-アシル化誘導体、又はリジン又はアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リジン、アルギニン又はヒスチジンと中性又は酸性アミノ酸の任意の組合せを含有するジペプチドのNα-アシル化誘導体、中性アミノ酸と2つの帯電したアミノ酸の任意の組合せを含有するトリペプチドのNα-アシル化誘導体、DSS(ドキュセートナトリウム、CAS登録番号[577-11-7])、ドキュセートカルシウム、CAS登録番号[128-49-4])、ドキュセートカリウム、CAS登録番号[7491-09-0])、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウム)、カプリル酸ナトリウム、コール酸又はその誘導体、胆汁酸及びその塩、及びグリシン又はタウリンコンジュゲート、ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート、アニオン性(アルキル-アリール-スルホナート類)の一価の界面活性剤、双性イオン性界面活性剤(例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホナート、3-コールアミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホナート、カチオン性界面活性剤(第4級アンモニウム塩基)(例えばセチル-トリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド)、非イオン性界面活性剤(例えば、ドデシル-β-D-グルコピラノシド)、ポロキサミン類(例えばテトロニックス(Tetronic's))で、エチレンジアミンにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを逐次付加することにより誘導された四官能性ブロックコポリマーから選択され、又は界面活性剤は、イミダゾリン誘導体又はそれらの混合物の群から選択されてもよい。これらの特定の界面活性剤の各一が本発明の別の実施態様を構成する。
医薬組成物に界面活性剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。
【0089】
本発明の更なる実施態様では、製剤は、プロテアーゼインヒビター、例えばEDTA(エチレンジアミン四酢酸)及びベンズアミジンHClを更に含有するが、他の商業的に入手可能なプロテアーゼインヒビターを使用することもできる。プロテアーゼインヒビターを使用することは、自己触媒を阻害するため、プロテアーゼのチモーゲンを含有する医薬組成物に特に有用である。
【0090】
他の成分が本発明のペプチド医薬製剤中に存在することも可能である。このような付加的な成分は、湿潤剤、乳化剤、酸化防止剤、増量剤、張力修正剤、キレート剤、金属イオン、油性ビヒクル、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、ゼラチン又はタンパク質)及び双性イオン(例えばアミノ酸、特にベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジン及びヒスチジン)を含みうる。もちろん、このような付加的な成分は、本発明の医薬製剤の全体的な安定性に悪影響がないようにすべきである。
【0091】
本発明に係る化合物を含む医薬組成物は、幾つかの部位、例えば局所的部位、特に皮膚及び粘膜部位、動脈、静脈、心臓への投与等、バイパス吸収がなされる部位、例えば皮膚、皮下、粘膜又は腹部への投与等、吸収に関連する部位において、このような治療が必要とされる患者に投与されうる。
本発明に係る医薬組成物は、幾つかの投与経路、例えば舌、舌下、頬、口、経口、胃、及び腸、鼻、肺を介して、例えば細気管支及び肺胞又はそれらを組合せたもの、表皮、真皮、経皮、膣、直腸、眼球を介して、例えば結膜、尿管、及び非経口を介して、このような治療を必要としている患者に投与されうる。
【0092】
本発明の組成物は、幾つかの投与形態、例えば溶液、懸濁液、エマルション、マイクロエマルション、多相エマルション、フォーム、膏薬、ペースト、プラスター、軟膏、錠剤、被覆錠剤、リンス、カプセル、例えば硬質ゼラチンカプセル及び軟質ゼラチンカプセル、坐薬、直腸用カプセル、ドロップ、ゲル、スプレー、パウダー、エアゾール、吸入剤、点眼剤、眼球用軟膏、眼球用リンス、膣用ペッサリー、膣用リング、膣用軟膏、注入溶液、インサイツ形質転換溶液、例えばインサイツゲル化、インサイツセット用、インサイツ沈殿化、インサイツ結晶化のもの、注入液、及び移植片として投与されうる。
【0093】
本発明の組成物は、更に、化合物の安定性を更に高め、生物学的利用能を増加させ、溶解度を高め、副作用を低減させ、当業者によく知られている時間療法を達成し、患者のコンプライアンスを高め、又はそれらの任意の組合せのために、例えば共有的、疎水的及び静電気的相互作用を介して、薬剤担体、薬剤送達系、及び進化した薬剤送達系に配合され、又は付加されてもよい。担体、薬剤送達系及び進化した薬剤送達系の例は、限定されるものではないが、ポリマー、例えばセルロース及び誘導体、多糖類、例えばデキストラン及び誘導体、デンプン及び誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、アクリラート及びメタクリラートポリマー、ポリ乳酸及びポリグリコール酸、及びそれらのブロックコ-ポリマー、ポリエチレングリコール、担体タンパク質、例えばアルブミン、ゲル、例えば熱ゲル化系、例えば当業者によく知られているブロックコポリマー系、ミセル、リポソーム、ミクロスフィア、ナノ粒子、液晶、及びそれらの分散液、L2相、及び脂質-水系における相挙動が当業者によく知られているそこでの分散液、ポリマー性ミセル、多相エマルション、自己乳化剤、自己-マイクロ乳化剤、シクロデキストリン及びそれらの誘導体、及びデンドリマーを含む。
【0094】
本発明の組成物は、全て当業者によく知られたデバイスである、定量吸入器、乾燥パウダー吸入器、及び噴霧器等を使用し、化合物を肺に投与するための、固形、半固形、パウダー及び溶液の製剤に有用である。
本発明の組成物は、制御、徐放性、持続性、遅延性及び低速放出性の薬剤送達系の製剤に特に有用である。より詳細には、特に限定されるものではないが、組成物は、当業者によく知られている非経口用の制御放出性及び徐放性系(双方の系とも、投与の数が何倍も低下する)製剤に有用である。更に好ましいのは、皮下投与される制御放出性及び徐放性系のものである。本発明の範囲を限定することなく、有用な制御放出性及び組成物の例は、ヒドロゲル、油性ゲル、液晶、ポリマー性ミセル、ミクロスフィア、ナノ粒子である。
【0095】
本発明の組成物に有用な制御放出性系の作製方法は、限定されるものではないが、結晶化、凝縮、共結晶化、沈殿、共沈殿、乳化、分散、高圧ホモジナイズ、カプセル化、噴霧乾燥、マイクロカプセル化、コアセルベーション、相分離、ミクロスフィアを製造するための溶媒蒸発、押出及び超臨界流体プロセスを含む。一般的には、Handbook of Pharmaceutical Controlled Release(Wise, D.L.編. Marcel Dekker, New York, 2000)及びDrug and the Pharmaceutical Sciences vol.99:Protein Formulation and Delivery(MacNally, E.J.編. Marcel Dekker, New York, 2000)を参照。
非経口投与は、シリンジ、場合によってはペン様シリンジにより、皮下、筋肉内、腹膜内又は静脈内注射によって実施されうる。あるいは、非経口投与は、注入ポンプにより実施することもできる。更なる選択肢は、鼻用又は肺用スプレーの形態で化合物を投与するための溶液又は懸濁液であってよい組成物にある。更なる選択肢としては、本発明の化合物を含む製薬用組成物を、例えば針のない注射、又はイオン導入パッチであってよいパッチによる経皮投与用、又は頬等の経粘膜投与用に適合させることもできる。
【0096】
本発明の化合物は、肺薬剤送達系に適した任意の既知のタイプのデバイスを使用し、ビヒクル、例えば溶液、懸濁液又は乾燥パウダーとして、肺経路を介して投与することができる。これらの例には、限定されるものではないが、肺薬剤送達用の3種類のエアゾール発生の一般的タイプが含まれ、ジェット又は超音波噴霧器、定量吸入器、又は乾燥パウダー吸入器が含まれうる(Yu J, Chien YW. Pulmonary drug delivery:Physiologic and mechanistic aspects. Crit Rev Ther Drug Carr Sys 14(4)(1997)395-453を参照)。
【0097】
標準化された試験法に基づき、粒子の空気動力学的直径(d)を、単位密度(1g/cm)の参照基準球形粒子の幾何学的相当直径として定義する。最も単純な場合、球形粒子に対して、dは:

に記載されるような密度比の平方根の関数として、参照直径(d)に関連している。
この関係は非球形粒子に対しては修正される(Edwards DA, Ben-Jebria A, Langer R. Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2)(1998)379-385を参照)。「MMAD」及び「MMEAD」なる用語は、詳しく記載されており、当該分野で知られている(Edwards DA, Ben-Jebria A, Langer R、及び空気動力学的粒子径分布の中央値の測定値を表す。Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2) (1998) 379-385を参照)。空気動力学的中央粒子径(MMAD)及び有効空気動力学的中央粒子径(MMEAD)(mass median effective aerodynamic diameter)は、交換可能に使用され、統計パラメータであり、実際の形状、サイズ又は密度に無関係に、肺中に沈着するそれらの可能性に関連して、エアゾール粒子のサイズが経験的に記載されている(Edwards DA, Ben-Jebria A, Langer R. Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2)(1998)379-385を参照)。通常、MMADは、空気中における粒子の慣性挙動を測定する装置、衝突体を用いてなされる測定から算出される。
【0098】
更なる実施態様では、製剤は、10μm、好ましくは1−5μm、最も好ましくは1−3μm未満のエアゾール粒子のMMADを達成するために、任意の既知のエアゾール化技術、例えばネブライゼーションによりエアゾール化することができる。好ましい粒子径は、肺の奥深くまで薬剤を送達せしめるのに最も効果的なサイズに基づいており、タンパク質が最適に吸収されるようになされる (例えば、Edwards DA, Ben-Jebria A, Langer A, Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2)(1998)379-385を参照)。
本発明の化合物を含有する肺用製剤を肺の奥深くに付着させることは、吸入技術、例えば限定されるものではないが、低吸入速度(例えば30L/分)、呼吸停止及び作動のタイミングを修正して最適化されうる。
【0099】
「安定化された製剤」なる用語は、物理的安定性が増した、化学的安定性が増した、又は物理的及び化学的安定性が増した製剤を意味する。
ここで使用されるタンパク質製剤の「物理的安定性」なる用語は、タンパク質が熱-機械的ストレスに暴露され、及び/又は不安定な表面及び界面、例えば疎水性表面及び界面と相互作用する結果として、タンパク質が生物学的に不活性になり及び/又は不溶性の凝集体が形成されるというタンパク質の傾向を意味する。水性タンパク質製剤の物理的安定性は、適切な容器(例えばカートリッジ又はバイアル)に充填された製剤を、様々な時間、異なる温度で機械的/物理的ストレス(例えば攪拌)に暴露した後に、視覚検査及び/又は濁度測定することで評価される。製剤の視覚検査は、暗色背景で、鋭く集光されたライト下において実施される。製剤の濁度は、例えば0から3のスケールで、濁りの程度をランク付けする視覚スコア(濁りのない製剤は視覚スコア0に相当し、日光下で視覚的に濁りのある製剤は視覚スコア3に相当する)により特徴付ける。製剤は、日光下で視覚的濁りを示す場合に、タンパク質会合に関して物理的に不安定であると分類される。また製剤の濁度は、当業者によく知られている簡単な濁度測定法により評価することもできる。また水性タンパク質製剤の物理的安定性は、タンパク質の構造状態のプローブ又は分光剤を使用して評価することもできる。プローブは、好ましくはタンパク質の非天然配座異性体に結合する小分子である。タンパク質構造の小分子分光プローブの一例はチオフラビンTである。チオフラビンTは、アミロイド原繊維の検出に広範囲に使用されている蛍光染料である。原繊維、おそらく他のタンパク質立体配置が存在すると、チオフラビンTが約450nmで新たな励起極大を引き起こし、原繊維タンパク質形態に結合した時に、約482nmで増強発光する。未結合のチオフラビンTは、本質的にはその波長で非蛍光性である。
【0100】
天然から非天然状態までのタンパク質構造における変化のプローブとして、他の小分子を使用することができる。例えば、タンパク質の暴露された疎水性パッチに優先的に結合する「疎水性パッチ」プローブである。疎水性パッチは、その天然状態にあるタンパク質の3次構造内に一般的に埋められているが、タンパク質の展開及び変性が始まると、暴露されるようになる。これらの小分子の例、分光プローブは、芳香族の疎水性染料、例えばアントラセン、アクリジン、フェナントロリン等である。他の分光プローブは金属-アミノ酸錯体、例えば疎水性アミノ酸、例えばフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、及びバリン等のコバルト金属錯体である。
【0101】
ここで使用されるタンパク質製剤の「化学的安定性」なる用語は、天然のタンパク質構造と比較して、免疫原性の潜在的増加及び/又は生物学的有効性の潜在的低下を伴う、化学的な分解産物の形成に至るタンパク質構造における化学的共有変化を意味する。種々の化学的な分解産物は、天然タンパク質の性質及び種類、及びタンパク質が暴露される環境に応じて形成されうる。化学的分解の排除は、多くの場合、完全に回避することはできず、当業者によく知られているように、タンパク質製剤の保存及び使用中に、化学的な分解産物の量の増加が見られる。殆どのタンパク質は、脱アミド化する傾向にあり、グルタミニル又はアスパラギニル残基の側鎖アミド基が加水分解されて、遊離カルボン酸を形成する。他の分解経路は高分子量の形質転換産物の形成に関与しており、2又はそれ以上のタンパク質分子は、アミド転移及び/又はジスルフィド相互作用を介して互いに共有結合し、共有結合した二量体、オリゴマー及びポリマーの分解産物の形成に至る(Stability of Protein Phramaceuticals, Ahern. T. J. & Manning M.C., Plenum Press, New York 1992)。(例えばメチオニン残基の)酸化も、化学的分解の他の変形例として挙げることができる。タンパク質製剤の化学的安定性は、異なる環境条件に暴露させた後、種々の時点での化学的な分解産物の量を測定することにより評価することができる(分解産物の形成は、多くの場合、例えば温度上昇により促進される)。個々の分解産物の各々の量は、多くの場合、様々なクロマトグラフィー技術(例えばSEC-HPLC及び/又はRP-HPLC)を使用し、分子サイズ及び/又は電荷に応じて、分解産物を分離することにより測定される。
【0102】
よって、上に概要を述べたように、「安定化された製剤」とは、物理的安定性が増加、化学的安定性が増加、又は物理的及び化学的安定性が増加した製剤を意味する。一般的に、製剤は、有効期限に到達するまで、使用及び保存中に(推奨される用途及び保存条件で)安定していなければならない。
【0103】
本発明の一実施態様では、本発明の化合物を含有する医薬製剤は、6週間以上の使用と、3年以上の保存に対して安定している。
本発明の他の実施態様では、本発明の化合物を含有する医薬製剤は、4週間以上の使用と、3年以上の保存に対して安定している。
本発明の更なる実施態様では、本発明の化合物を含有する医薬製剤は、4週間以上の使用と、2年以上の保存に対して安定している。
本発明の更なる実施態様では、本発明の化合物を含有する製剤組成物は、2週間以上の使用と、2年以上の保存に対して安定している。
【0104】
他の側面では、本発明は医薬の調製における本発明に係る化合物の使用に関する。
一実施態様では、本発明に係る化合物は、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、卒中、冠状動脈性心臓病及び他の心臓血管疾患、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のための医薬の調製に使用される。
他の実施態様では、本発明に係る化合物は、2型糖尿病における疾患の進行を遅延させ又は防止するための医薬の調製に使用される。
他の実施態様では、本発明に係る化合物は、食物摂取量を低減させ、β細胞アポトーシスを低減させ、β細胞機能及びβ細胞質量を増大させ、及び/又はβ細胞に対するグルコース感受性を回復させるための医薬の調製に使用される。
【0105】
本発明の一側面では、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病及び他の心臓血管疾患、卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のため、あるいは2型糖尿病における疾患の進行を遅延させ又は防止するため、又は食物摂取量を低減させ、β細胞アポトーシスを低減させ、β細胞機能及びβ細胞質量を増大させ、及び/又はβ細胞に対するグルコース感受性を回復させるための医薬としての使用のための本発明に係る誘導体が提供される。
【0106】
本発明の更なる側面では、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病及び他の心臓血管疾患、卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のため、あるいは2型糖尿病における疾患の進行を遅延させ又は防止するため、又は食物摂取量を低減させ、β細胞アポトーシスを低減させ、β細胞機能及びβ細胞質量を増大させ、及び/又はβ細胞に対するグルコース感受性を回復させるための方法であって、本発明に係る誘導体の該治療のために該治療を必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
【0107】
本発明に係る化合物での治療は、例えば抗糖尿病薬、抗肥満薬、食欲調節剤、高血圧治療薬、糖尿病から生じるか又は糖尿病に関連する合併症の治療及び/又は予防のための薬剤及び肥満から生じるか肥満に関連する合併症及び疾患の治療及び/又は予防のための薬剤から選択される第二又はそれより多い薬学的に活性な物質と組み合わせることもできる。これらの薬理学的に活性な物質の例は、インスリン、スルホニル尿素類、ビグアニド類、メグリチニド類、グルコシダーゼ阻害剤、グルカゴンアンタゴニスト、DPP-IV(ジペプチジルペプチダーゼ-IV)インヒビター、グルコース新生及び/又はグリコーゲン分解の刺激に関与している肝酵素のインヒビター、グルコース取り込みのモジュレーター、脂質代謝を調節する化合物、例えばHMG CoAインヒビター(スタチン類)のような抗高脂血症剤、食糧摂取量を低下させる化合物、RXRアンタゴニスト及びβ細胞のATP依存性カリウムチャンネルに作用する薬剤;コレスチラミン、コレスチポール、クロフィブラート、ジェムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、プロブコール、デキストロチロキシン、ネテグリニド、レパグリニド;β遮断薬、例えば、アルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロール、及びメトプロロール、ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害薬、例えば、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、アラトリオプリル、キナプリル及びラミプリル、カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼム及びベラパミル、及びα遮断薬、例えば、ドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシン及びテラゾシン;CART(コカインアンフェタミン調節転写)アゴニスト、NPY(神経ペプチドY)アンタゴニスト、MC4(メラノコルチン4)アゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、TNF(腫瘍壊死因子)アゴニスト、CRF(コルチコトロピン放出因子)アゴニスト、CRF BP(コルチコトロピン放出因子結合タンパク質)アンタゴニスト、ウロコルチンアゴニスト、β3アゴニスト、MSH(メラノサイト刺激ホルモン)アゴニスト、MCH(メラノサイト集中ホルモン)アンタゴニスト、CCK(コレシストキニン)アゴニスト、セロトニン再摂取インヒビター、セロトニン及びノルエピネフェリン再摂取インヒビター、混合セロトニン及びノルアドレナリン作動性化合物、5HT(セロトニン)アゴニスト、ボンベシンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、成長因子、成長ホルモン放出化合物、TRH(チロトロピン放出ホルモン)アゴニスト、UCP2又は3(脱共役タンパク質2又は3)モジュレーター、レプチンアゴニスト、DAアゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼインヒビター、RXR(レチノイドXレセプター)モジュレーター、TRβアゴニスト;ヒスタミンH3アンタゴニスト、ガストリン及びガストリンアナログである。
【0108】
本発明に係る化合物と上述の化合物の一又は複数と場合によっては一又は複数の更なる薬理学的に活性な物質の任意の適切な組合せが本発明の範囲内にあると考えられることが理解されなければならない。
【0109】
発明の更なる実施態様
1. a)2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しているか、あるいは
b)1位のリジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致している配列番号1のヒトアミリン又はそのアナログの誘導体。
【0110】
2. 2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している、配列番号1のヒトアミリン又はそのアナログの実施態様1に記載の誘導体。
【0111】
3. 2、3、4、5、又は6位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している実施態様1又は2の何れか一に記載の誘導体。
【0112】
4. 23、24、25、26、27又は28位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している実施態様1又は2の何れか一に記載の誘導体。
【0113】
5. 32、33、34、35、36又は37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している実施態様1又は2の何れか一に記載の誘導体。
【0114】
6. 誘導体が、ヒトアミリンと比較して1−6のアミノ酸置換を有する実施態様1から5の何れか一に記載の誘導体。
【0115】
7. 誘導体が、ヒトアミリンと比較して1−4のアミノ酸置換を有する実施態様1から5の何れか一に記載の誘導体。
【0116】
8. 23から29位の-FGAILSS-(配列番号2)が-FGPILPP-(配列番号3)に変化せしめられた実施態様1から7の何れか一に記載の誘導体。
【0117】
9. 23から29位の-FGAILSS-(配列番号2)が-FGEILSS-(配列番号4)に変化せしめられた実施態様1から7の何れか一に記載の誘導体。
【0118】
10. 23から29位の-FGAILSS-(配列番号2)が-FGDILSS-(配列番号5)に変化せしめられた実施態様1から7の何れか一に記載の誘導体。
【0119】
11. 誘導体が配列番号1のヒトアミリンであり、ここで、
a)ヒトアミリンの2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しているか、あるいは
b)1位のリジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している実施態様1に記載の誘導体。
【0120】
12. 誘導体が配列番号1のヒトアミリンであり、ここで、
ヒトアミリンの2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している実施態様11に記載の誘導体。
【0121】
13. 2、3、4、5、又は6位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している実施態様11又は12の何れか一に記載の誘導体。
【0122】
14. 23、24、25、26、27又は28位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している実施態様11又は12の何れか一に記載の誘導体。
【0123】
15. 32、33、34、35、36又は37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している実施態様11又は12の何れか一に記載の誘導体。
【0124】
16. 23から29位の-FGAILSS-(配列番号2)が-FGPILPP-(配列番号3)に変化せしめられた実施態様11から15の何れか一に記載の誘導体。
【0125】
17. 23から29位の-FGAILSS-(配列番号2)が-FGEILSS-(配列番号4)に変化せしめられた実施態様11から15の何れか一に記載の誘導体。
【0126】
18. 23から29位の-FGAILSS-(配列番号2)が-FGDILSS-(配列番号5)に変化せしめられた実施態様11から15の何れか一に記載の誘導体。
【0127】
19. 誘導体がポリエチレングリコールポリマーに結合している実施態様1から18の何れか一に記載の誘導体。
【0128】
20. ポリエチレングリコールポリマーが少なくとも30kDの分子量を有するポリエチレングリコールである実施態様19に記載の誘導体。
【0129】
21. ポリエチレングリコールポリマーが、分枝状のポリエチレングリコールである実施態様18から20の何れか一に記載の誘導体。
【0130】
22. 誘導体がアルブミン結合残基に結合している実施態様1から18の何れか一に記載の誘導体。
【0131】
23. アルブミン結合残基が新油性残基である実施態様22に記載の誘導体。
【0132】
24. アルブミン結合残基が、生理学的pHで負に荷電している実施態様22に記載の誘導体。
【0133】
25. アルブミン結合残基が、負に荷電可能な基を含む実施態様22に記載の誘導体。
【0134】
26. アルブミン結合残基がカルボン酸基を含む実施態様25に記載の誘導体。
【0135】
27. アルブミン結合残基がアルブミンに非共有的に結合している実施態様22から26の何れか一に記載の誘導体
【0136】
28. アルブミン結合残基が、ヒト血清アルブミンに対して約10μM以下又は約1μM以下である結合親和性を有している実施態様22から27の何れか一に記載の誘導体。
【0137】
29. アルブミン結合残基が、直鎖状アルキル基、分枝状アルキル基、ωカルボン酸基を有する基、及び部分的又は完全に水素化されたシクロペンタノフェナントレン骨格からなる群から選択される実施態様22に記載の誘導体。
【0138】
30. アルブミン結合残基がチバクロニル残基である実施態様22に記載の誘導体。
【0139】
31. 親油性残基が部分的又は完全に水素化されたシクロペンタノフェナトレン骨格を含む実施態様23に記載の誘導体。
【0140】
32. アルブミン結合残基が6から40の炭素原子、8から26の炭素原子又は8から20の炭素原子を有する実施態様23に記載の誘導体。
【0141】
33. アルブミン結合残基が、CH(CH)CO-(ここで、rは4から38の整数、好ましくは4から24の整数である)を含む群から選択され、より好ましくはCH(CH)CO-、CH(CH)CO-、CH(CH)10CO-、CH(CH)12CO-、CH(CH)14CO-、CH(CH)16CO-、CH(CH)18CO-、CH(CH)20CO-及びCH(CH)22CO-を含む群から選択されるアシル基である実施態様23に記載の誘導体。
【0142】
34. アルブミン結合残基が、直鎖状又は分枝状アルカンα、ωジカルボン酸のアシル基である実施態様23に記載の誘導体。
【0143】
35. アルブミン結合残基が、HOOC(CH)CO-(ここで、sは4から38の整数、好ましくは4から24の整数である)を含む群から選択され、より好ましくは HOOC(CH)14CO-、HOOC(CH)16CO-、HOOC(CH)18CO-、HOOC(CH)20CO-及びHOOC(CH)22CO-を含む群から選択されるアシル基である実施態様23に記載の誘導体。
【0144】
36. アルブミン結合残基が、式CH(CH)CO-NHCH(COOH)(CH)CO-(ここで、vは10から24の整数である)の基である実施態様23に記載の誘導体。
【0145】
37. アルブミン結合残基が、式CH(CH)CO-NHCH((CH)COOH)CO-(ここで、wは8から24の整数である)の基である実施態様23に記載の誘導体。
【0146】
38. アルブミン結合残基が、式COOH(CH)xCO-(ここで、xは8から24の整数である)の基である実施態様23に記載の誘導体。
【0147】
39. アルブミン結合残基が、式-NHCH(COOH)(CH)NH-CO(CH)CH(ここで、yは8から18の整数である)の基である実施態様23に記載の誘導体。
【0148】
40. アルブミン結合残基が、ペプチド、例えば40より少ないアミノ酸残基を含むペプチドである実施態様22に記載の誘導体。
【0149】
41. 場合によってはリンカーを介して、アルブミン結合残基がリジン残基のεアミノ基を介して結合している実施態様22から40の何れか一に記載の誘導体。
【0150】
42. 場合によってはリンカーを介して、アルブミン結合残基がシステイン残基を介して結合している実施態様22から40の何れか一に記載の誘導体。
【0151】
43. 実施態様1−42の何れか一に記載の誘導体と薬学的に許容可能な賦形剤を含有する薬学的組成物。
【0152】
44. 非経口投与に適した実施態様43に記載の薬学的組成物。
【0153】
45. 医薬の調製のための実施態様1−42の何れか一に記載の誘導体の使用。
【0154】
46. 高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病及び他の心臓血管疾患、卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のための医薬の調製における実施態様1−42の何れか一に記載の誘導体の使用。
【0155】
47. 2型糖尿病における疾患の進行を遅延させ又は防止するための医薬の調製における実施態様1−42の何れか一に記載の誘導体の使用。
【0156】
48. 食物摂取量を低減させ、β細胞アポトーシスを低減させ、β細胞機能及びβ細胞質量を増大させ、及び/又はβ細胞に対するグルコース感受性を回復させるための医薬の調製における実施態様1−42の何れか一に記載の誘導体の使用。
【0157】
49. ヒトアミリン又はそのアナログの患者における作用時間を増大させる方法において、
a)2から37位のアミノ酸残基を、リジン残基又はシステイン残基で置換し、該リジン残基又はシステイン残基をアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合させることによって修飾し、あるいは
b)1位のリジン残基をアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合させ、
ここで、アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致している方法。
【0158】
50. ヒトアミリン又はそのアナログの患者における作用時間が約40時間以上まで増加される実施態様49に記載の方法。
【0159】
51. ヒトアミリン又はそのアナログが実施態様1−41の何れか一に更に記載されているものである実施態様49又は50の何れか一に記載の方法。
【0160】
上記明細書に開示された特徴は、個別にまたその任意の組合せの双方で、本発明をその多様な形で実施するために重要でありうる。
ここで引用される刊行物、特許出願及び特許を含む全ての文献を、あたかも各文献が個々にかつ特に出典明示により援用されることが示され、その全体がここに記載されている場合と同じ程度にその全体が出典明示によりここに援用される。
表題及び副題は便宜のためのみにここで使用され、決して本発明を限定するものと解釈してはいけない。
ここに特に示されない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、そのあらゆる可能な変形例における上述の要素の任意の組合せが本発明に包含される。
【0161】
発明を特定する文脈に使用される「a」及び「an」及び「the」なる用語並びに類似の表現は、ここに特段の注記がなければ又は文脈上明らかに矛盾するということがなければ、単数と複数の双方をカバーするものと解される。
ここでの数値範囲の記載は、ここで特段の説明がない場合には、その範囲内に入るそれぞれ別個の数値を個々に挙げることを省略する方法であることを単に意図しており、それぞれの別個に数値が、それがここに個別に記載されているものとして明細書に含められている。特段の説明がない場合、ここで提供される全ての正確な数値は対応するおよその数値を代表するものである(例えば特定の因子又は測定に関して与えられた全ての正確な例示値は、適切な場合、「約」によって変更される対応のおよその測定値をまた提供していると考えることができる)。
ここに記載される全ての方法は、ここに特段の説明がなければ又は文脈上明らかに矛盾することがなければ、任意の適切な順序で実施することができる。
【0162】
ここに提供される任意のかつ全ての例、又は例を示す表現(例えば「のような(such as)」)の使用は、単に発明をより良好に例証するものであり、特段示されていない限り、本発明の範囲に対する限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も、しかりと明示的に記載されていない限り、ある要素が発明の実施に必須であることを示していると解釈してはいけない。
ここでの特許文献の引用及び援用は便宜のためにのみなすもので、そのような特許文献の有効性、特許性及び/又は権利行使可能性についての見解を何ら反映するものではない。
要素又は要素類に関しての「含有する(comprising)」、「持つ(having)」、「有する(including)」、及び「含む(containing)」なる用語を使用する本発明の任意の側面又は実施態様のここでの説明は、別段の記載がない限り又は明らかに文脈に矛盾しない限り、その特定の要素又は要素類「からなる」か、「から本質的になる」か、又は「実質的に含む」発明の同様の側面又は実施態様に対するサポートを提供することを意図している(例えば、特定の要素を「含有する」とここで記載されている製剤は、別段の記載がない限り又は明らかに文脈に矛盾しない限り、その要素からなる製剤をまた記述していると理解されなければならない)。
本発明は、適用可能な法が許容する最大の範囲で、ここに提供される側面又は特許請求の範囲に記載された主題事項のあらゆる変形物及び均等物を含む。
【0163】
本発明を次の代表的な方法及び実施例において更に例証するが、これらは本発明の範囲を決して限定するものではない。
【0164】
アッセイ
薬理学的アッセイ(I)−不断給餌ラットモデルを使用するアミリン誘導体での食欲に対する効能試験の実験プロトコル
M&Bブリーディング・アンド・リサーチセンターA/S、DenmarkからのTAC:SPRD@molラット又はWistarラットを実験に使用した。ラットは実験の開始の際には体重200−250gであった。ラットは体重180−200gで実験開始の少なくとも10−14日前に届いた。各用量の誘導体を6−8匹のラット群において試験する。6−8匹のラットのビヒクル群を試験の各試験セットに含めた。
【0165】
動物が届いたとき、それらを、光が日中にはなく夜の間にあることを意味する昼/夜逆転相(午前7時30分に消灯し午後7時30分に明かりをつける)で個々に飼育した。ラットは通常は光が除かれると食物摂取を開始し、夜の間にその一日分の食物摂取の大部分を食べるので、これは、食物摂取の開始時間を、明かりが消灯されている7:30amへの変更をなす。10−14日の順化期間の間、ラットは食物と水を自由に摂れる。この期間の間、動物は少なくとも3回処理される。実験はラットのホームケージ中で実施する。投薬の直前に、ラットは体重によって様々な処置群(n=6−8)にランダム化する。それらに、体重に応じて、7:00amと7:45amの間に、0.01−3mg/kg溶液を腹腔内(ip)、経口(po)又は皮下(sc)投与によって投薬する。投薬の時間を各群について記録する。投薬後、ラットはホームケージに戻し、そこで、ラットはついで食物と水を入手できる。食物消費を7時間の間毎時間、ついで24時間後、そして時折48時間後に、個々に記録する。実験期間の終わりに、動物を安楽死させる。
個々のデータはマイクロソフトエクセルシートに記録する。異常値は、異常値に対するGrubbs統計評価試験を適用した後、除外し、結果はGraphPad Prismプログラムを使用してグラフによって表す。
【0166】
薬理学的アッセイ(II)−スケジュール給餌ラットモデルを使用するアミリン誘導体での食欲に対する効能試験の実験プロトコル
M&Bブリーディング・アンド・リサーチセンターA/S、DenmarkからのTAC:SPRD@molラット又はWistarラットを実験に使用した。ラットは実験の開始の際には体重200−250gであった。ラットは体重180−200gで実験開始の少なくとも10−14日前に届いた。各用量の誘導体を6−8匹のラット群において試験する。6−8匹のラットのビヒクル群を試験の各試験セットに含めた。
【0167】
動物が届いたとき、それらを個々に飼育した。研究開始の少なくとも7日前に、ラットは、3から7時間のスケジュールに沿った時間に食物と水に自由に接近できるようにする給餌スケジュールに訓練した。その日の残りの時間にはラットは食物に接近できないが水だけには接近できる。一週間以内にラットは決まったスケジュールで毎日の配給を完全に食べるであろう。ラットは通常は光が除かれると食物摂取を開始し、夜の間にその一日分の食物摂取の大部分を食べるので、この設定は、日中の間における食物摂取のモニターを可能にし、典型的には、不断給餌ラットと比較してビヒクル群中の変動が少ないことを意味する。10−14日の順化期間の間、ラットは食物と水を自由に摂れる。この期間の間、動物は少なくとも3回処理される。実験はラットのホームケージ中で実施する。投薬の直前に、ラットは体重によって様々な処置群(n=6−8)にランダム化する。それらに、体重に応じて、食物への所定の接近の15から30分前の間に0.01−3mg/kg溶液を腹腔内(ip)、経口(po)又は皮下(sc)投与によって投薬する。投薬の時間を各群について記録する。投薬後、ラットはホームケージに戻し、そこで、ラットはついで食物と水を入手できる。食物消費をオンライン登録によって連続的に又はマニュアルでスケジュールの間毎時間、個々に記録する。実験期間の終わりに、動物を安楽死させる。
個々のデータはマイクロソフトエクセルシートに記録する。異常値は、異常値に対するGrubbs統計評価試験を適用した後、除外し、結果はGraphPad Prismプログラムを使用してグラフによって表す。
【0168】
アミリンレセプター結合アッセイ
レセプター結合アッセイに対しては、以下に記載のアミリン3(a)/CRE−luc細胞からの膜を使用した。トレーサーはN末端チロシン中の125Iでヨウ素化したTyr−プラムリンタイドであった。SPA−WGAビーズ(GEヘルスケア RPNQ0001)を、膜、トレーサー及びアミリンアナログの希釈群と共に、50mMのHepes、5mMのMgCl、5mMのEGTA、0.025%のTween−20、pH 7.4を含むバッファー中で96ウェルのOptiplateでインキュベートした。
室温で2時間インキュベーションした後、プレートを遠心分離し、Topcounterで計数した。EC50をレセプター親和性の指標として計算した。
【0169】
アミリンルシフェラーゼアッセイ
1.アミリンアッセイの概要
アミリンによるアミリンレセプターの活性化(カルシトニンレセプター及びレセプター活性修飾ペプチドRAMPsの同時発現)がcAMPの細胞内濃度の増加を生じることが過去に発表されている(Poyner DR等 2002, Pharmacological Reviews 54(2) 233-246)。従って、転写は、cAMP応答エレメント(CRE)の複数コピーを含むプロモーターで活性化される。よって、アミリンレセプターをまた発現するBHK細胞中に導入したCREルシフェラーゼレセプター遺伝子を使用してアミリン活性を測定することができる。
【0170】
2.アミリン3(a)/CRE-luc細胞株の構築
BHK570細胞株にヒトカルシトニンレセプター(CTa)及びCRE応答性ルシフェラーゼレポーター遺伝子を形質移入した。標準的な方法を使用して、細胞株に更にRAMP−3を更に形質移入した。これはカルシトニンレセプターをアミリン3(a)レセプターに変化させる。メトトレキセート、ネオマイシン、及びハイグロマイシンはそれぞれルシフェラーゼ、カルシトニンレセプター、及びRAMP-3に対する選択マーカーである。
【0171】
3.アミリンルシフェラーゼアッセイ
活性アッセイを実施するために、BHKアミリン3(a)//CRE-luc細胞を約20000細胞/ウェルの密度で白色の96ウェル培養プレートに播種した。細胞を100μlの成長培地(10%FBS,1%Pen/Strep,1mMピルビン酸ナトリウム,250nMメトトレキセート,500μg/mlネオマイシン,及び400μg/mlハイグロマイシンを有するDMEM)に入れた。37℃及び5%COでの一晩のインキュベーション後に、成長培地を50μl/ウェルのアッセイ培地(DMEM(フェノールレッドなし), GlumamaxTM, 10%FBS,及び10mM Hepes,pH7,4)で置き換えた。更に、アッセイバッファー中の50μl/ウェルの標準又はサンプルを添加した。37℃及び5%CO下での4時間のインキュベーション後に、標準又はサンプルを含むアッセイ培地を取り除き、100μl/ウェルのPBSで置き換えた。更に、100μl/ウェルのLucLiteTMを加えた。プレートをシールし、室温で30分間インキュベートした。最後に、発光をSPC(単一光子カウント)モードにてTopCounter (Packard)で測定した。
【0172】
実施例
ペプチド合成:
ペプチド合成の一方法は、マイクロ波ベースのLibertyペプチド合成機 (CEM Corp., North Carolina)でのFmoc化学によった。樹脂はTentagel S RAMで0.24 mmol/gの負荷であった。カップリング化学はNMP中0.4Mのアミノ酸溶液と8−10倍のモル過剰を用いるNMP中のDIC/HOAtであった。カップリング条件は70℃までで5分であった。脱保護は、70℃まででNMP中の5%ピペリジンを用いた。 リジン側鎖の化学修飾が望ましい場合、リジンをLys(mtt)として導入し、N末端アミノ酸を、Boc−カーボネートでの処理によって保護した。mtt基を、適切なヘキサフルオロイソプロパノール中に20分間樹脂を懸濁させ、ついでDCM及びNMPで洗浄することによって再形成した。リジンの化学修飾をマニュアル合成によるか又はLibertyでの一又は複数の自動化工程とその後のマニュアルカップリングによって実施した。ペグ化はまた例えばDMSO中でのPEG2000−SPA(Nektar)と精製ペプチドを反応させることによって実施することもできる。ペプチド合成の他の方法は、HBTUカップリングを伴うABI433でのFmoc化学を用いるものであった。合成後、樹脂をDCMで洗浄し、乾燥させ、ペプチドをTFA/TIS/水(92.5/5/2.5)での2時間の処理によって樹脂から切断し、ジエチルエーテルで沈殿させた。ジエチルエーテルで更に洗浄し乾燥後に、ペプチドを1−2mg/mlで水に再溶解させ、pHを約4.5に調節し、1当量の[Pt(IV)エチレンジアミンCl]Clで一晩処理してジスルフィド架橋を形成した。凍結乾燥後、ペプチドを30%酢酸中に再溶解させ、アセトニトリル/TFAを使用してC18カラムでの標準的RP-HPLCによって精製した。あるいは、凍結乾燥を省略して、水溶液をHPLCカラムに直接適用した。ペプチドの同一性はMALDI-MSによって確認した。
【0173】
使用した略語:
DMF: N,Nジメチルホルムアミド
HBTU: 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル-)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
Fmoc: 9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニル
Boc: tert-ブチルオキシカルボニル
Mtt: 4-メチルトリチル
DCM: ジクロロメタン
TIS: トリイソプロピルシラン
TFA: トリフルオロ酢酸
NMP: 1-メチル-ピロリジン-2-オン
HOAt: 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
DIC: ジイソプロピルカルボジイミド
【0174】
実施例1−28
以下の表1に記載された実施例1−28の誘導体は、「ペプチド合成」の欄に上述したようにして調製した。実施例1−28の誘導体を上述の「アミリンルシフェラーゼアッセイ」で試験し、結果を表1に示した。実施例1−28の誘導体のレセプター親和性を上述の「アミリンレセプター結合アッセイ」で試験し、結果を表1に示した。表1中のHPLC溶離データは、20分にわたる10%から90%のアセトニトリル/TFA勾配を使用して分析用HPLCシステムで測定した。
【0175】
一例として、実施例番号1の構造を以下に示す。残基2、7、18、及び37を完全な構造に伸長し、残りのアミノ酸は一文字標記で示す。全てのペプチド配列1−19はシステイン(2位及び7位)間にジスルフィド架橋を有し、全てがC末端アミドである。

【0176】

【0177】

【0178】

【0179】
上の表1において、誘導体の作用強度を「アッセイ」に上述した「アミリンルシフェラーゼアッセイ」において測定した。上の表1において、誘導体の親和性を「アッセイ」に上述した「アミリンレセプター結合アッセイ」において測定した。
上の表1において、「***」はプラムリンタイドに匹敵する作用強度/親和性を示し、「**」はプラムリンタイドよりも若干低い作用強度/親和性を示し、「*」はプラムリンタイドよりも更に低い作用強度/親和性を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しているか、あるいは
b)1位のリジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しているか、あるいは
c)リジン残基が38位に付加され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致しているヒトアミリン又はそのアナログの誘導体。
【請求項2】
a)2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しているか、あるいは
b)1位のリジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致しているヒトアミリン又はそのアナログの誘導体。
【請求項3】
2から37位のアミノ酸残基がリジン残基又はシステイン残基で置換され、該リジン残基又はシステイン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している、ヒトアミリン又はそのアナログの請求項1から2の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項4】
2から37位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している、ヒトアミリン又はそのアナログの請求項1から3の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項5】
1位のリジン残基がアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合している、ヒトアミリン又はそのアナログの請求項1から4の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項6】
ヒトアミリンの誘導体である請求項1から5の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項7】
ヒトアミリンアナログの誘導体である請求項1から6の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項8】
1、11、17、21、22、25、28、29又は31位のアミノ酸残基がリジン残基で置換され、該リジン残基がアルブミン結合残基に、場合によってはリンカーを介して、結合している請求項1から7の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項9】
リジン残基がアルブミン結合残基にリンカーを介して結合している請求項1から8の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項10】
誘導体が、ヒトアミリンと比較して1−6のアミノ酸置換を有する請求項1から9の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項11】
誘導体が、ヒトアミリンと比較して1−4のアミノ酸置換を有する請求項1から10の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項12】
23から29位の-FGAILSS-(配列番号2)が-FGPILPP-(配列番号3)に変化せしめられた請求項1から11の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項13】
23から29位の-FGAILSS-(配列番号2)が-FGEILSS-(配列番号4)に変化せしめられた請求項1から11の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項14】
23から29位の-FGAILSS-(配列番号2)が-FGDILSS-(配列番号5)に変化せしめられた請求項1から11の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項15】
誘導体が少なくとも4時間の血漿t1/2を有する請求項1から14の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項16】
アルブミン結合残基が新油性残基である請求項1から15の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項17】
リンカーが、式
-C(O)-(CH)-O-[(CHCH-O)-(CH)-[NHC(O)-(CH)-O-[(CH)-O]-(CH)]-NH-
(上式中、l、m、n、及びpは独立して1−5であり、qは0−5である)
の親水性リンカーBである請求項1から16の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項18】
組み合わせたアルブミン結合残基及びリンカーが、
-C(O)-(CH)-O-[(CHCH-O]-(CH)-[NHC(O)-(CH)-O-[(CH)-O]-(CH)]-NH-W
(上式中、l、m、n、及びpは独立して1−5であり、qは0−5である)
であり、Wが
CH(CH)CO-、CH(CH)CO-、CH(CH)10CO-、CH(CH)12CO-、CH(CH)14CO-、CH(CH)16CO-、CH(CH)18CO-、CH(CH)20CO-、CH(CH)22CO-、HOOC(CH)14CO-、HOOC(CH)16CO-、HOOC(CH)18CO-、HOOC(CH)20CO-及びHOOC(CH)22CO-からなる群から選択される請求項1から16の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項19】
組み合わせたアルブミン結合残基及びリンカーが、

(上式中、Bは請求項17に記載の通りであり、ZはCH又はCOOH、VはH又はCOOH、qは7から21、wは0から5である)
である請求項1から16の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項20】
組み合わせたアルブミン結合残基及びリンカーが、

(上式中、ZはCH又はCOOH、VはH又はCOOH、qは7から21、wは0から5、kは0から5である)
である請求項1から16の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項21】
組み合わせたアルブミン結合残基及びリンカーが、

(上式中、ZはCH又はCOOH、qは7から21、kは0から5である)
である請求項1から16の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項22】
高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病及び他の心臓血管疾患、卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のため、あるいは2型糖尿病における疾患の進行を遅延させ又は防止するため、又は食物摂取量を低減させ、β細胞アポトーシスを低減させ、β細胞機能及びβ細胞質量を増大させ、及び/又はβ細胞に対するグルコース感受性を回復させるための医薬としての使用のための、請求項1から21の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項23】
請求項1から21の何れか一項に記載の誘導体と薬学的に許容可能な賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項24】
ヒトアミリン又はそのアナログの患者における作用時間を増大させる方法において、
a)2から37位のアミノ酸残基を、リジン残基又はシステイン残基で置換し、該リジン残基又はシステイン残基をアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合させることによって修飾し、あるいは
b)1位のリジン残基をアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合させ、あるいは
c)リジン残基を38位に付加し、該リジン残基はアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールポリマーに、場合によってはリンカーを介して、結合しており、
アミノ酸番号付けが配列番号1中のアミノ酸番号付けに一致している方法。
【請求項25】
ヒトアミリン又はそのアナログの患者における作用時間が約40時間以上に増加されている請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ヒトアミリン又はそのアナログが請求項1から21の何れか一項に更に記載されているものである請求項24又は25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病及び他の心臓血管疾患、卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のため、あるいは2型糖尿病における疾患の進行を遅延させ又は防止するため、又は食物摂取量を低減させ、β細胞アポトーシスを低減させ、β細胞機能及びβ細胞質量を増大させ、及び/又はβ細胞に対するグルコース感受性を回復させるための方法であって、請求項1から21の何れか一項に記載の誘導体の該治療に有効な量を該治療を必要とする患者に投与することを含む方法。

【公開番号】特開2013−100315(P2013−100315A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−256(P2013−256)
【出願日】平成25年1月4日(2013.1.4)
【分割の表示】特願2008−558824(P2008−558824)の分割
【原出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】