説明

アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物

【課題】アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する医薬組成物等を提供する。
【解決手段】式(I)等で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物;式(I)等で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤;式(I)等で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用;式(I)等で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する医薬組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
アミロイドβタンパク質(以下、Aβと記すこともある。)は、約40のアミノ酸残基からなる不溶性のタンパク質であり、これの前駆体タンパク質からβ−セクレターゼとγ-セクレターゼとにより切断されることにより生じる。β−セクレターゼは、アスパラギン酸プロテアーゼであることが同定されており(非特許文献1参照)、γ-セクレターゼは、家族性アルツハイマー病(FAD)原因遺伝子やプレセニリン又はプレセニリンを含む複合体がその活性発現に関与していることが明らかにされている(非特許文献1参照)。
このAβが生体内の各器官及び組織に蓄積すれば、これら各器官及び組織の機能に障害を来たすことが知られている。このAβの蓄積により各器官及び組織に障害を来たす疾患を総称してAβ関連疾患(アミロイドーシス)といわれている。
【0003】
【非特許文献1】Neuron、27、419−422、2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような知見に基づけば、Aβの蓄積を抑制する医薬組成物を特定できれば、当該医薬組成物をAβ関連疾患を治療又は予防できる薬剤として利用することができる。これらの実情を鑑み、本発明はAβの蓄積を抑制する医薬組成物を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、かかる状況のもと鋭意検討した結果、本発明に至った。即ち、本発明は以下の発明を含む。
[発明1]
式(I):

で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物
[式中、
R1はH、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-C12ハロアルキル、C1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、ヒドロキシ、C1-C12アルコキシ、C1-C12ハロアルコキシ、-OC(O)R8又はアリールである;
R2はH、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-C12ハロアルキル、C1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、ヒドロキシ、C1-C12アルコキシ、C1-C12ハロアルコキシ、-OC(O)R8又はアリールである;
R3はシアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-C12ハロアルキル、C1-C12ヘテロシクリル、ヒドロキシ、C1-C12アルコキシ、C1-C12ハロアルコキシ、-OC(O)R8、-C(O)OR8'、-CONHR8'、-C(O)R8、-S(O)nR8'、-SO2NR8'R8''、-NHC(O)R8又は-NHSO2R8'であり、nは0、1又は2である;
R4はH、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-C12ハロアルキル、C1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、ヒドロキシ、C1-C12アルコキシ、C1-C12ハロアルコキシ、-OC(O)R8又はアリールである;
R5はH、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-C12ハロアルキル、C1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、ヒドロキシ、C1-C12アルコキシ、C1-C12ハロアルコキシ、-OC(O)R8又はアリールである;
ここで、R1、R2、R4及びR5の少なくとも1つはH以外である;
R6及びR7のそれぞれは、独立して、H又は-(Ra)x-R9から選ばれる;
RaはC1-C8アルキレン鎖であり、xは0又は1である;
R8は、独立して、H、C1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C2-C12ヘテロシクリル、アリール、アリール(C1-C12)アルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリール(C1-C12)アルキルである;
R8'及びR8''は、それぞれ独立して、H、C1-C12アルキル、C3-C12アルケニル、C3-C12アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12ヘテロシクリル、アリール、アリール(C1-C12)アルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリール(C1-C12)アルキルである;
R9はC1-C12アルキル、C1-C12ハロアルキル、C2-C12ヒドロキシアルキル、C3-C12アルケニル、C3-C12アルキニル、C1-C12アルコキシ、C1-C12アルキルチオ、C2-C12ハロアルコキシ、C3-C12シクロアルキル、ホルミル、アジド又は-NR10R11である;
R10及びR11は、それぞれ独立して、H、C1-C12アルキル、-C(O)H、-C(O)R12、-C(O)OR12又は-SO2R12である;
R12はC1-C12アルキルである;
但し、R6がメトキシ又はメチルチオのとき、同時に、R7がメトキシ又はメチルチオとなることはなく、また、R9がトリフルオロメチル又はアジドのとき、xが0となることはなく、また、R9がアジドのとき、Raがメチレンとなることはない]。
[発明2]
発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤。
[発明3]
発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用。
[発明4]
発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。
[発明5]
R1及びR5の少なくとも一方がHである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
[発明6]
R1及びR5の少なくとも一方がHである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤。
[発明7]
R1及びR5の少なくとも一方がHである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用。
[発明8]
R1及びR5の少なくとも一方がHである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。
[発明9]
R2及びR4の少なくとも一方がHである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
[発明10]
R2及びR4の少なくとも一方がHである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤。
[発明11]
R2及びR4の少なくとも一方がHである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用。
[発明12]
R2及びR4の少なくとも一方がHである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。
[発明13]
C1-C12アルキルがC1-C6アルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
[発明14]
C1-C12アルキルがC1-C6アルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤。
[発明15]
C1-C12アルキルがC1-C6アルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用。
[発明16]
C1-C12アルキルがC1-C6アルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。
[発明17]
C1-C12アルコキシがC1-C6アルコキシである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
[発明18]
C1-C12アルコキシがC1-C6アルコキシである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤。
[発明19]
C1-C12アルコキシがC1-C6アルコキシである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用。
[発明20]
C1-C12アルコキシがC1-C6アルコキシである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。
[発明21]
C1-C12ハロアルキルがC1-C6ハロアルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
[発明22]
C1-C12ハロアルキルがC1-C6ハロアルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤。
[発明23]
C1-C12ハロアルキルがC1-C6ハロアルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用。
[発明24]
C1-C12ハロアルキルがC1-C6ハロアルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。
[発明25]
R1、R2、R4、R5及びR8のC2-C12アルケニルがC2-C6アルケニルであり、かつ、R8'、R8''及びR9のC3-C12アルケニルがC3-C6アルケニルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
[発明26]
R1、R2、R4、R5及びR8のC2-C12アルケニルがC2-C6アルケニルであり、かつ、R8'、R8''及びR9のC3-C12アルケニルがC3-C6アルケニルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤。
[発明27]
R1、R2、R4、R5及びR8のC2-C12アルケニルがC2-C6アルケニルであり、かつ、R8'、R8''及びR9のC3-C12アルケニルがC3-C6アルケニルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用。
[発明28]
R1、R2、R4、R5及びR8のC2-C12アルケニルがC2-C6アルケニルであり、かつ、R8'、R8''及びR9のC3-C12アルケニルがC3-C6アルケニルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。
[発明29]
R1、R2、R4、R5及びR8のC2-C12アルキニルがC2-C6アルキニルであり、かつ、R8'、R8''及びR9のC3-C12アルキニルがC3-C6アルキニルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
[発明30]
R1、R2、R4、R5及びR8のC2-C12アルキニルがC2-C6アルキニルであり、かつ、R8'、R8''及びR9のC3-C12アルキニルがC3-C6アルキニルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤。
[発明31]
R1、R2、R4、R5及びR8のC2-C12アルキニルがC2-C6アルキニルであり、かつ、R8'、R8''及びR9のC3-C12アルキニルがC3-C6アルキニルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用。
[発明32]
R1、R2、R4、R5及びR8のC2-C12アルキニルがC2-C6アルキニルであり、かつ、R8'、R8''及びR9のC3-C12アルキニルがC3-C6アルキニルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。
[発明33]
C3-C12シクロアルキルがC3-C6シクロアルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
[発明34]
C3-C12シクロアルキルがC3-C6シクロアルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤。
[発明35]
C3-C12シクロアルキルがC3-C6シクロアルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用。
[発明36]
C3-C12シクロアルキルがC3-C6シクロアルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。
[発明37]
R1又はR5がニトロ、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル又はハロゲンである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
[発明38]
R1又はR5がニトロ、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル又はハロゲンである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤。
[発明39]
R1又はR5がニトロ、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル又はハロゲンである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用。
[発明40]
R1又はR5がニトロ、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル又はハロゲンである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。
[発明41]
R2又はR4がニトロ、シアノ、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、ハロゲン又はヒドロキシである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
[発明42]
R2又はR4がニトロ、シアノ、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、ハロゲン又はヒドロキシである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤。
[発明43]
R2又はR4がニトロ、シアノ、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、ハロゲン又はヒドロキシである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用。
[発明44]
R2又はR4がニトロ、シアノ、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、ハロゲン又はヒドロキシである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。
[発明45]
R3がニトロ、シアノ又はハロゲンである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
[発明46]
R3がニトロ、シアノ又はハロゲンである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤。
[発明47]
R3がニトロ、シアノ又はハロゲンである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用。
[発明48]
R3がニトロ、シアノ又はハロゲンである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。
[発明49]
R9がC1-C6アルキル、C3-C6アルケニル又はC2-C6ヒドロキシアルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
[発明50]
R9がC1-C6アルキル、C3-C6アルケニル又はC2-C6ヒドロキシアルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤。
[発明51]
R9がC1-C6アルキル、C3-C6アルケニル又はC2-C6ヒドロキシアルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用。
[発明52]
R9がC1-C6アルキル、C3-C6アルケニル又はC2-C6ヒドロキシアルキルである発明1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、Aβの蓄積を抑制する医薬組成物等を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の医薬組成物(以下、本医薬組成物と記すこともある。)に含有される化合物(以下、本化合物と記すこともある。)は、例えば、J.Comb.Chem.2007,9,107及び特表2007-500245号公報等に記載されており、その構造及び製造法等は公知である。
【0008】
本発明において「アルキル」とは、直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族飽和炭化水素基であり、具体的に例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、n-ペンチル等があげられる。
【0009】
本明細書中において用いる好ましい原子(例えば、炭素)数は、例えば「Cx-Cyアルキル」なる語により表され、これは特定されている数の炭素原子を含有する本明細書中で定義されているとおりのアルキル基を意味する。他の好ましい用語及び範囲にも、同様の用法が適用される。
【0010】
本発明において「アルケニル」とは、1以上の炭素-炭素二重結合を含有する直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基であり、具体的に例えば、ビニル、2−プロペニル、3−メチル−2−ブテニル等があげられる。
【0011】
本発明において「アルキニル」とは、1以上の炭素-炭素三重結合を含有する直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基であり、具体的に例えば、エチニル、2−プロピニル、等があげられる。
【0012】
本発明において「アルキレン」とは、直鎖状又は分枝鎖状の二価脂肪族飽和炭化水素基であり、具体的に例えば、メチレン (-CH2-)、エチレン (-CH2-CH2-)等があげられる。
【0013】
本発明において「シクロアルキル」とは、単環式又は多環式環系の脂肪族飽和炭化水素基であり、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等があげられる。
【0014】
本発明において「ヘテロシクリル」とは、1以上の不飽和度を場合により含有していてもよい1以上のヘテロ原子を含有する3〜10員複素環をなす基であり、場合により置換されていてもよく、ヘテロアリールとは重複しない。ヘテロ原子としては、N-オキシド、硫黄オキシド及びジオキシドを含む窒素原子、酸素原子及び硫黄原子があげられ、ヘテロアリール環、アリール環又はシクロアルキル環の1以上と縮合していてもよい。該環として、具体的には、テトラヒドロフラン、ピラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、テトラヒドロチオピラン及びテトラヒドロチオフェンがあげられる。
【0015】
本発明において「アリール」とは、芳香族炭化水素環をなす基であり、場合により置換されていてもよく、アリール環又はシクロアルキル環の1以上と縮合していてもよい。該環として、具体的には、ベンゼン、アントレセン、フェナントレン、ナフタレン、ビフェニルがあげられる。
【0016】
本発明において「ヘテロアリール」とは、1以上のヘテロ原子を含有する芳香環をなす基であり、場合により置換されていてもよい。ヘテロ原子としては、N-オキシド、硫黄オキシド及びジオキシドを含む窒素原子、酸素原子及び硫黄原子があげられ、ヘテロアリール環、アリール環又はシクロアルキル環の1以上と縮合していてもよい。該環として、具体例には、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、インダゾールがあげられる。
同様に「ヘテロアリールアルキル」とは、アルキレンリンカーを介して結合するヘテロアリール基を意味する。
【0017】
本発明において「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0018】
本発明において「ハロアルキル」とは、少なくとも1つのハロゲンで置換された分枝状又は直鎖状の飽和炭化水素基であり、具体例には、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチルがあげられる。
【0019】
本発明において「ヒドロキシアルキル」とは、1以上の水酸基で置換された分枝状又は直鎖状の飽和炭化水素基であり、具体例には、2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピルがあげられる。
【0020】
本発明において「アルコキシ」とは、基-OR(RはC1-C12アルキルを表す。)を意味する。
【0021】
本発明において「アルキルチオ」とは、基-SR(Rは前記と同一の意味を表す。)を意味する。
【0022】
本発明において「ハロアルコキシ」とは、基-OR’を意味し、R’は、前記で定義されているハロアルキルを意味する。
【0023】
本明細書中で用いる「場合により置換されていてもよい」又はその派生表現は、1以上の置換基での随意的な(すなわち、場合によって生じうる)置換(複数の置換度を含む)を意味する。
【0024】
典型的な随意的な置換基には以下のものが含まれる。
C1-C6アシル;
C1-C6アルキル;
C2-C6アルケニル;
C2-C6アルキニル;
C1-C6アルキルスルホニル;
C1-C6アルコキシ;
シアノ;
ハロゲン;
C1-C6ハロアルキル;
ヒドロキシ;
ニトロ;
アリール;
(これは、C1-C6アシル、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、C1-C6ハロアルキル、ヒドロキシ又はニトロで置換されていてもよい)
ヘテロアリール;
(これは、C1-C6アシル、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、C1-C6ハロアルキル、ヒドロキシ又はニトロで置換されていてもよい)
アリールスルホニル;
(これは、C1-C6アシル、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、C1-C6ハロアルキル、ヒドロキシ又はニトロで置換されていてもよい)
ヘテロアリールスルホニル;
(これは、C1-C6アシル、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、C1-C6ハロアルキル、ヒドロキシ又はニトロで置換されていてもよい)
アリールオキシ;
(これは、C1-C6アシル、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、C1-C6ハロアルキル、ヒドロキシ又はニトロで置換されていてもよい)
NR*R**
(ここで、R*及びR**は、それぞれ独立して、H、C1-C6アルキル、C3-C6アルケニル、C3-C6アルキニル、C3-C6シクロアルキル、C3-C6ヘテロシクリル、アリール、アリール(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、C1-C6アルキルスルホニル、アリールスルホニル又はヘテロアリールスルホニルから選ばれ、ここで、そのようなアリール又はヘテロアリールの各々は、1以上のC1-C6アシル、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、C1-C6ハロアルキル、ヒドロキシ又はニトロで置換されていてもよく、あるいは、R*及びR**は一緒になって環を形成していてもよく、該環は、場合により追加的なヘテロ原子を有していてもよく、場合により1以上の不飽和度を有していてもよく、場合により、C1-C6アシル、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、C1-C6ハロアルキル、ヒドロキシ又はニトロで置換されていてもよい)
【0025】
式(I)の化合物は、多形として公知の特徴である2以上の形態として結晶化することが可能であり、そのような多形形態(「多形体」)は式(I)の範囲内である。多形は、一般には、温度、圧力又はそれらの両方の変化に対する反応として生じうる。多形は結晶化過程における変動からも生じうる。多形は、X線回折パターン、溶解度及び融点のような当技術分野で公知の種々の物理的特徴により識別されうる。
【0026】
本明細書に記載の化合物の或るものは1以上のキラル中心を含有し、あるいは、複数の立体異性体として存在しうる。本発明の範囲は立体異性体の混合物及び精製されたエナンチオマー又はエナンチオ的/ジアステレオ的に富化された混合物を含む。また、式(I)で表される化合物の個々の異性体及びそれらの任意の完全に又は部分的に平衡化した混合物も本発明に含まれる。本発明はまた、1以上のキラル中心が反転した対応異性体との混合物としての、前記式で表される化合物の個々の異性体を含む。
【0027】
前記のR1、R2、R4、R5、R8、R8'、R8''、R9、R10、R11及びR12のC1-C12アルキルとして、好ましくはC1-C6アルキルがあげられ、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルがあげられる。
【0028】
前記のR1、R2、R3、R4、R5及びR9のC1-C12アルコキシとして、好ましくはC1-C6アルコキシがあげられ、より好ましくはメトキシ、エトキシがあげられる。
【0029】
前記のR1、R2、R3、R4、R5及びR9のC1-C12ハロアルキルとして、好ましくはC1-C6ハロアルキルがあげられ、より好ましくはトリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチルがあげられる。
【0030】
前記のR1、R2、R4、R5及びR8のC2-C12アルケニルとして、好ましくはC2-C6アルケニルであり、より好ましくは、イソプロペニル、3,3−ジメチル−2−プロペニル、アリルがあげられ、また、R8'、R8''及びR9のC3-C12アルケニルとして、好ましくは、C3-C6アルケニルであり、より好ましくはイソプロペニル、3,3−ジメチル−2−プロペニル、アリルがあげられる。
【0031】
前記のR1、R2、R4、R5及びR8のC2-C12アルキニルとして、好ましくはC2-C6アルキニルであり、より好ましくは、プロパルギルがあげられ、また、R8'、R8''及びR9のC3-C12アルキニルとして、好ましくは、C3-C6アルキニルであり、より好ましくは、プロパルギルがあげられる。
【0032】
前記のR8、R8'、R8''及びR9のC3-C12シクロアルキルとして、好ましくは、C3-C6シクロアルキルであり、より好ましくは、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルがあげられる。
【0033】
前記のR3として、好ましくはニトロ、シアノ又はハロゲンの場合があげられ、より好ましくは、同時に、R1、R2、R4又はR5のうち少なくとも1以上がC1-C6ハロアルキルの場合があげられ、さらに好ましくは、同時に、R2又はR4のうち少なくとも1以上がC1-C6ハロアルキルの場合があげられる。
【0034】
前記のR3として、好ましくはニトロ、シアノ又はハロゲンの場合があげられ、より好ましくは、同時に、R1、R2、R4又はR5のうち少なくとも1以上がハロゲンの場合があげられ、さらに好ましくは、同時に、R2又はR4のうち少なくとも1以上がハロゲンの場合があげられ、一層好ましくは、同時に、R2又はR4のうち少なくとも1以上が塩素の場合があげられる。
【0035】
前記のR3として、好ましくはシアノの場合があげられ、より好ましくは、同時に、R1、R2、R4又はR5のうち少なくとも1以上がニトロの場合があげられる。
【0036】
前記のR3として、好ましくはニトロの場合があげられ、より好ましくは、同時に、R1、R2、R4又はR5のうち少なくとも1以上がシアノの場合があげられる。
【0037】
前記のR3として、好ましくはシアノの場合があげられ、より好ましくは、同時に、R2又はR4のうち少なくとも1以上がシアノの場合があげられる。
【0038】
これら本化合物の好ましい態様は、
4-[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
4-(ジアリルアミノ)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
5-[アリル(シクロペンチル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
4-[ブチル(プロピル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
4-[エチル(2-メチル-2-プロペニル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
4-[ブチル(エチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-(ジプロピルアミノ)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
N-ブチル-N-エチル-3-メチル-4-ニトロアニリン、
5-(ジアリルアミノ)-2-ニトロベンゾニトリル、
5-[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
4-(ジアリルアミノ)-2-ニトロベンゾニトリル、
3-メチル-4-ニトロ-N,N-ジプロピルアニリン、
4-[sec-ブチル(プロピル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
5-[ブチル(エチル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
2-クロロ-4-[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]ベンゾニトリル、
5-[ブチル(プロピル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
5-[(2-メトキシエチル)(メチル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
2-クロロ-4-(ジアリルアミノ)ベンゾニトリル、
4-[(2-メトキシエチル)(プロピル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
4-[アリル(シクロペンチル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
4-[エチル(2-メチル-2-プロペニル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
2-クロロ-4-[[2-(ジメチルアミノ)エチル](メチル)アミノ]ベンゾニトリル、
N-(2-メトキシエチル)-N,2-ジメチル4-ニトロアニリン、
N-アリル-N-シクロペンチル-4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
5-(ジプロピルアミノ)-2-ニトロフェノール、
2-クロロ-4-(ジプロピルアミノ)ベンゾニトリル、
5-[エチル(2-メチル-2-プロペニル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
N,N-ジアリル-4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
N,N-ジアリル-2-メチル-4-ニトロアニリン、
5-[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]-2-ニトロフェノール、
N-(2-メトキシエチル)-3-メチル-4-ニトロ-N-プロピルアニリン、
4-[ブチル(プロピル)アミノ]-2-クロロベンゾニトリル、
N-ブチル-2-クロロ-N-メチル-4-ニトロアニリン、
4-(ジプロピルアミノ)-2-ニトロベンゾニトリル、
2-クロロ-4-[(2-メトキシエチル)(プロピル)アミノ]ベンゾニトリル、
N,N-ジアリル-3-メチル-4-ニトロアニリン、
N-(sec-ブチル)-4-ニトロ-N-プロピル-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
4-(ジペンチルアミノ)-2-ニトロベンゾニトリル、
N-(シクロプロピルメチル)-3-メチル-4-ニトロ-N-プロピルアニリン、
5-(ジプロピルアミノ)-2-ニトロベンゾニトリル、
N,N-ジブチル-4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
N1-(2-クロロ-4-ニトロフェニル)-N1,N2,N2-トリメチル-1,2-エタンジアミン、
5-[sec-ブチル(プロピル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
N-エチル-N-(2-メチル-2-プロペニル)-4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
N-(2-メトキシエチル)-4-ニトロ-N-プロピル-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
4-[ブチル(エチル)アミノ]-2-クロロベンゾニトリル、
5-(ジブチルアミノ)-2-ニトロベンゾニトリル、
4-[ブチル(エチル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
4-[(2-メトキシエチル)(プロピル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
5-[(2-メトキシエチル)(プロピル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
4-[アリル(シクロペンチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[ブチル(プロピル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
N,N-ジブチル3-メチル-4-ニトロアニリン、
4-[メチル(オクチル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
4-(ジブチルアミノ)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
N-(シクロプロピルメチル)-4-ニトロ-N-プロピル-2-(トリフルオロメチル)アニリン、
N-アリル-N-シクロヘキシル-4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
4-[(2-メトキシエチル)(メチル)アミノ]-3-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-(ジアリルアミノ)-3-ニトロベンゾニトリル、
N-1-(2-クロロ-4-ニトロフェニル)-N1,N3,N3-トリメチル-1,3-プロパンジアミン、
N,N-ビス(2-メトキシエチル)-4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
4-[sec-ブチル(プロピル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
2-クロロ-4-[エチル(2-メチル-2-プロペニル)アミノ]ベンゾニトリル、
N-シクロヘキシル-N-エチル-4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
2-クロロ-4-(ジブチルアミノ)ベンゾニトリル、
4-[シクロヘキシル(エチル)アミノ]-2-ニトロベンゾニトリル、
4-[ビス(2-エトキシエチル)アミノ]-3-クロロベンゾニトリル、
2-クロロ-N-(2-メトキシエチル)-N-メチル-4-ニトロアニリン、
N-ブチル-N-エチル-4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
N-(sec-ブチル)-3-メチル-4-ニトロ-N-プロピルアニリン、
N-(2-メトキシエチル)-N-メチル-4-ニトロ-2-(トリフルオロメチル)アニリン、
4-{ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ}-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
N-(シクロプロピルメチル)-4-ニトロ-N-プロピル-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
4-[(メチル)(オクチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-(プロピルアミノ)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-ニトロ-N-プロピル-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
3-{[4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}プロパン-1-オール、
4-[(3-ヒドロキシプロピル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-{[2-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ}-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-(ジメチルアミノ)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-(ジエチルアミノ)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[メチル(2-メチルプロピル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(シクロプロピルメチル)(3-ヒドロキシプロピル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(シクロプロピルメチル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
N-(シクロプロピルメチル)-4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
3-{(シクロプロピルメチル)[4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}-1-プロパノール、
2-{(シクロプロピルメチル)[4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}エタノール、
4-[(シクロプロピルメチル)アミノ]-3-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
1-[4-[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)フェニル]エタノン、
4-[(1-シクロプロピルエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[アリル(1-シクロプロピルエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、4-[(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(2,2-ジメチルプロピル)(3-ヒドロキシプロピル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(2,2-ジメチルプロピル)(2-プロペン-1-イル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(2,3-ジヒドロキシプロピル)(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(2,2-ジメチルプロピル)(2-オキソエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(2,2-ジメチルプロピル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(2,2-ジメチルプロピル)(プロピル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
N-(1,1-ジメチルエチル)-4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
N-(シクロプロピルメチル)-N-(1,1-ジメチルエチル)-4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
4-[(1,1-ジメチルエチル)(2-プロペン-1-イル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(1,1-ジメチルエチル)(2-オキソエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(1,1-ジメチルエチル)(プロピル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-{(3-ヒドロキシプロピル)[(1S)-1-メチルプロピル]アミノ}-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
2-(トリフルオロメチル)-4-[(3,3,3-トリフルオロプロピル)アミノ]ベンゾニトリル、
4-[ビス(2-フルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-ニトロ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
4-[(3-ヒドロキシプロピル)(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(3-ヒドロキシプロピル)(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-3-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-ブロモ-N,N-ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)-3-(トリフルオロメチル)アニリン、
4-[ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(2,2-ジフルオロエチル)(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)[2-(トリフルオロメチル)-4-ビフェニリル]アミン、
4-[(2-ヒドロキシエチル)(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[[2-(メチルオキシ)エチル](2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[[2-(エチルオキシ)エチル](2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-((2,2,2-トリフルオロエチル){2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)オキシ]エチル}アミノ)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[メチル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[エチル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[プロピル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[ブチル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(2-メチルプロパ-2-エニル)(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[イソブチル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(3-メチルブタ-2-エニル)(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[イソペンチル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[プロパ-2-イニル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(2-フルオロエチル)(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[[2-(メチルチオ)エチル](2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
4-[(2-アジドエチル)(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
N-{2-[[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル](2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル}アセトアミド、
メチル 2-[[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル](2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチルカルバマート、
tert-ブチル 2-[[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル](2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチルカルバマート、
N-{2-[[4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)フェニル](2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル} メタンスルホンアミド及び4-(ジプロピルアミノ)フタロニトリル、
が挙げられる。
【0039】
本医薬組成物は、本化合物又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するものである。
薬学的に許容される塩としては、生理学的に許容される酸(無機酸、有機酸等)や塩基(アルカリ金属等)等との塩が挙げられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。このような酸付加塩としては例えば、無機酸(塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸等)との塩、又は有機酸(酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等)との塩等が挙げられる。
【0040】
また、本医薬組成物は、前記本化合物又は薬学的に許容されるそれらの塩の他に、例えば薬学的に許容される担体等を含有していてもよい。
薬学的に許容される担体としては、一般に医薬組成物素材として慣用の各種有機又は無機担体物質が用いられ、例えば賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等が用いられる。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を用いることもできる。
【0041】
賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
結合剤としては、例えばα化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
溶剤としては、例えば注射用水、生理的食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。
懸濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
等張化剤としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、ブドウ糖等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
無痛化剤としては、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。
防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸塩等が挙げられる。
着色剤としては、例えば水溶性食用タール色素(食用赤色2号及び3号、食用黄色4号及び5号、食用青色1号及び2号等の食用色素等)、水不溶性レーキ色素(前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩等)、天然色素(β−カロチン、クロロフィル、ベンガラ等)等が挙げられる。
甘味剤としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビア等が挙げられる。
【0042】
本化合物又は薬学的に許容されるそれらの塩は、Aβ蓄積抑制剤(以下、本Aβ蓄積抑制剤と記すこともある)の有効成分としてAβの蓄積を抑制するために使用することができる。
また、Aβ関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して、本化合物又は薬学的に許容されるそれらの塩、若しくは本Aβ蓄積抑制剤を有効量投与すること(工程)によりAβの蓄積を抑制することができる。
例えば、本化合物又は薬学的に許容されるそれらの塩を本Aβ蓄積抑制剤とし、その有効量をAβ関連疾患と診断されうるヒト等の哺乳動物に経口投与又は非経口投与することで哺乳動物におけるAβの蓄積を抑制することができる。
【0043】
本Aβ蓄積抑制剤は、例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の経口剤や、注射剤(皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、点滴剤等)、外用剤(経皮製剤、軟膏剤等)、坐剤(直腸坐剤、膣坐剤等)、ペレット、経鼻剤、経肺剤(吸入剤等)、点眼剤等の非経口剤として用いることができる。また、これらの製剤(剤)は、速放性製剤又は徐放性製剤等の放出制御製剤(徐放性マイクロカプセル等)であってもよい。
【0044】
経口剤は、必要により、味のマスキング、腸溶性又は持続性を目的として、コーティング基剤でコーティングされていてもよい。
コーティング基剤としては、例えば、糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤等が挙げられる。
糖衣基剤としては、例えば、白糖等が用いられ、更に、タルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナバロウ等から選ばれる1種又は2種以上を併用してもよい。
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE、ポリビニルピロリドン等の合成高分子;プルラン等の多糖類等が挙げられる。
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース等のセルロース系高分子;メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーS等のアクリル酸系高分子;セラック等の天然物等が挙げられる。
徐放性フィルムコーティング基剤としては、例えば、エチルセルロース等のセルロース系高分子;アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル共重合体懸濁液等のアクリル酸系高分子等が挙げられる。
上記したコーティング基剤は、その2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、コーティングの際に、例えば、酸化チタン、三二酸化鉄等のような遮光剤を用いてもよい。
【0045】
本Aβ蓄積抑制剤は、医薬製剤技術分野において慣用の方法、例えば、日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。
尚、本Aβ蓄積抑制剤中の本化合物の含量は、剤型、本化合物の吸収効率等により異なるが、例えば、約0.1〜100重量%である。
また、本Aβ蓄積抑制剤は、前記本化合物又は薬学的に許容されるそれらの塩の他に、例えば薬学的に許容される担体等を含有していてもよい。このときの薬学的に許容される担体等は、前述した本医薬組成物に用いられる担体等と同様である。
【0046】
このようにして得られる本Aβ蓄積抑制剤は低毒性であり、安全性が高いので、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル等)に対して使用(投与)することができる。このときの投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本Aβ蓄積抑制剤の種類、投与形態(剤型)等によって異なる。例えば通常、ヒトに対して経口投与する場合には成人(例えば、体重60kg)で1日あたり有効成分量として約0.01mg〜約1g、好ましくは有効成分量として約0.1mg〜1g、更に好ましくは有効成分量として約1.0mg〜200mg、より好ましくは有効成分量として約1.0mg〜50mg投与すればよい。また、1日の投与量を数回に分けて投与することもできる。
また、ヒトに対して非経口投与する場合、成人(例えば、体重60kg)で1日あたり有効成分量として約0.01mg〜30mg、好ましくは約0.1mg〜20mg、より好ましくは約0.1〜10mgを静脈注射により投与すればよい。
尚、本Aβ蓄積抑制剤の投与方法は、経口、非経口投与等に限定されず、これを単独で又は組み合わせて使用することが出来る。
【0047】
本Aβ蓄積抑制剤の適用可能な疾患としては、例えば、Aβ関連疾患(アミロイドーシス)等の疾患等を挙げることができる。
Aβ関連疾患は、一部の生体内の器官及び組織のみに蓄積(沈着)が起こる「限局性アミロイドーシス」と全身の様々な器官及び組織に蓄積が起こる「全身性アミロイドーシス」とに分類される。
限局性アミロイドーシスとしては、例えば、アルツハイマー病、ダウン症、脳血管アミロイドーシス、遺伝型アミロイド性脳出血、狂牛病(牛海綿状脳症、BSE)や新型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、伝幡性海綿状脳症、スクレイピー、心臓病(老年期心臓アミロイドーシス )、内分泌腫瘍(甲状腺癌)、成人期発症糖尿病、皮膚アミロイドーシス、限局性結節性アミロイドーシス等を挙げることができる。
また、全身性アミロイドーシスとしては、例えば、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)、結核、ハンセン病、家族性地中海熱、気管支拡張症、Muckle-Wells 症候群、反応性AAアミロイドーシス、免疫細胞性アミロイドーシス、骨髄炎、心不全等が挙げられる。他にも高齢で非遺伝的に発症する老人性アミロイドーシスや、透析患者の治療で使用する透析膜では除去できないタンパク質が変化したアミロイドが引き起こす透析アミロイドーシス、リウマチで発現するタンパク質が切れて出来るアミロイドによる二次性アミロイドーシス等を挙げることができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0049】
実施例1(培養神経細胞におけるAβ蓄積量の変動測定)
フェノールレッドfree DMEM培地(Invitrogen社製)にチャコールデキストラン処理済みFBSが終濃度10%となるよう加えられた培地を用いて、培養神経細胞(ヒトNeuroblastoma CHP212, ATCC)を6穴プレート(Falcon社)に約2x105細胞/穴ずつ播種した後、一晩培養した。培養後、該細胞にDMSO及びDMSOに溶解させた式(I)で示される被験物質を添加した。これらの細胞を培養し、前記被験物質添加から48時間後にプロテアーゼインヒビター(p1860,Sigma社)を終濃度1:100となるようにそれぞれのウェルに加えた後、培養液中のAβ量をELISA法(Human/Rat Amyloidβ1-42測定キットCode.No.290-62601,和光純薬株式会社)にて測定した。その結果を図1に示した。
式(I)で示される被験物質が処理された系でのAβ蓄積量が顕著に減少することが確認された。

(I)
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明により、Aβの蓄積を抑制する医薬組成物等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】式(I)の被験物質による培養神経細胞(CHP212細胞)におけるAβ蓄積量の変動測定結果を示した図である。 図中のカラムは左から順に、溶媒(DMSO)のみを加えた対照区(DMSO)、終濃度10-11Mとなるように当該被験物質が添加された区(10-11M)、終濃度10-10Mとなるように当該被験物質が添加された区(10-10M)、終濃度10-9Mとなるように当該被験物質Aが添加された区(10-9M)、終濃度10-8Mとなるように当該被験物質が添加された区(10-8M)、終濃度10-7Mとなるように当該被験物質が添加された区(10-7M)、終濃度10-6Mとなるように当該被験物質が添加された区(10-6M)での測定結果を示している。溶媒(DMSO)のみを加えた対照区を100%とした時の%で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):

で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物
[式中、
R1はH、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-C12ハロアルキル、C1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、ヒドロキシ、C1-C12アルコキシ、C1-C12ハロアルコキシ、-OC(O)R8又はアリールである;
R2はH、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-C12ハロアルキル、C1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、ヒドロキシ、C1-C12アルコキシ、C1-C12ハロアルコキシ、-OC(O)R8又はアリールである;
R3はシアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-C12ハロアルキル、C1-C12ヘテロシクリル、ヒドロキシ、C1-C12アルコキシ、C1-C12ハロアルコキシ、-OC(O)R8、-C(O)OR8'、-CONHR8'、-C(O)R8、-S(O)nR8'、-SO2NR8'R8''、-NHC(O)R8又は-NHSO2R8'であり、nは0、1又は2である;
R4はH、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-C12ハロアルキル、C1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、ヒドロキシ、C1-C12アルコキシ、C1-C12ハロアルコキシ、-OC(O)R8又はアリールである;
R5はH、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C1-C12ハロアルキル、C1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、ヒドロキシ、C1-C12アルコキシ、C1-C12ハロアルコキシ、-OC(O)R8又はアリールである;
ここで、R1、R2、R4及びR5の少なくとも1つはH以外である;
R6及びR7のそれぞれは、独立して、H又は-(Ra)x-R9から選ばれる;
RaはC1-C8アルキレン鎖であり、xは0又は1である;
R8は、独立して、H、C1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C2-C12ヘテロシクリル、アリール、アリール(C1-C12)アルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリール(C1-C12)アルキルである;
R8'及びR8''は、それぞれ独立して、H、C1-C12アルキル、C3-C12アルケニル、C3-C12アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12ヘテロシクリル、アリール、アリール(C1-C12)アルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリール(C1-C12)アルキルである;
R9はC1-C12アルキル、C1-C12ハロアルキル、C2-C12ヒドロキシアルキル、C3-C12アルケニル、C3-C12アルキニル、C1-C12アルコキシ、C1-C12アルキルチオ、C2-C12ハロアルコキシ、C3-C12シクロアルキル、ホルミル、アジド又は-NR10R11である;
R10及びR11は、それぞれ独立して、H、C1-C12アルキル、-C(O)H、-C(O)R12、-C(O)OR12又は-SO2R12である;
R12はC1-C12アルキルである;
但し、R6がメトキシ又はメチルチオのとき、同時に、R7がメトキシ又はメチルチオとなることはなく、また、R9がトリフルオロメチル又はアジドのとき、xが0となることはなく、また、R9がアジドのとき、Raがメチレンとなることはない]。
【請求項2】
請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するためのアミロイドβタンパク質蓄積抑制剤。
【請求項3】
請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩の、アミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための使用。
【請求項4】
請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、アミロイドβタンパク質関連疾患と診断されうる哺乳動物に対して有効量投与する工程を有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制する方法。
【請求項5】
R1及びR5の少なくとも一方がHである請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
【請求項6】
R2及びR4の少なくとも一方がHである請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
【請求項7】
C1-C12アルキルがC1-C6アルキルである請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
【請求項8】
C1-C12アルコキシがC1-C6アルコキシである請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
【請求項9】
C1-C12ハロアルキルがC1-C6ハロアルキルである請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
【請求項10】
R1、R2、R4、R5及びR8のC2-C12アルケニルがC2-C6アルケニルであり、かつ、R8'、R8''及びR9のC3-C12アルケニルがC3-C6アルケニルである請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
【請求項11】
R1、R2、R4、R5及びR8のC2-C12アルキニルがC2-C6アルキニルであり、かつ、R8'、R8''及びR9のC3-C12アルキニルがC3-C6アルキニルである請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
【請求項12】
C3-C12シクロアルキルがC3-C6シクロアルキルである請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
【請求項13】
R1又はR5がニトロ、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル又はハロゲンである請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
【請求項14】
R2又はR4がニトロ、シアノ、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、ハロゲン又はヒドロキシである請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
【請求項15】
R3がニトロ、シアノ又はハロゲンである請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。
【請求項16】
R9がC1-C6アルキル、C3-C6アルケニル又はC2-C6ヒドロキシアルキルである請求項1記載の式(I)で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を含有するアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制するための医薬組成物。


【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−84254(P2009−84254A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259565(P2007−259565)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】