説明

アミロイドβ蛋白の凝集抑制剤、凝集アミロイドβ蛋白の分解剤、抗痴呆薬および抗痴呆性食品

【課題】 新規な、アミロイドβ蛋白の凝集抑制剤、凝集アミロイドβ蛋白の分解剤、抗痴呆薬および抗痴呆性食品を提供すること。
【解決手段】 牡丹皮、桂皮、これらのエキスから選ばれる少なくとも1つを有効成分とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な、アミロイドβ蛋白の凝集抑制剤、凝集アミロイドβ蛋白の分解剤、抗痴呆薬および抗痴呆性食品に関する。
【背景技術】
【0002】
社会の高齢化が進む中、老人性痴呆症とりわけその多くを占めるアルツハイマー病は、その病因も十分には解明されておらず、未だ真に有効な手段が確立していないことから、深刻な社会問題となっている。この病気の病理的特徴として、脳の老人斑形成やタウ蛋白の異常リン酸化および神経原繊維変化が挙げられる。このうち老人斑は、アミロイド蛋白(以下Aβ蛋白)が凝集・蓄積することによって形成される。この蛋白が蓄積することにより、活性酸素が生成されて神経細胞を破壊し、脳の萎縮が起こることが報告されている。しかも、Aβ蛋白の凝集は、アルツハイマー病の症状が認められる数十年前から起こることが知られている。現在のアルツハイマー病治療薬は、神経賦活作用が主要であり、Aβ蛋白の除去を目的としたものではないので対処療法に過ぎず、その効果はきわめて限定的である。Aβ蛋白の凝集抑制、あるいは凝集したAβ蛋白の分解除去が可能な薬剤こそが、アルツハイマー病の予防および治療における原因治療薬となりうる。
【0003】
以上のような視点に立ち、今日臨床に幅広く用いられてきている東洋の伝統医学である漢方を基礎とした、新規な抗痴呆薬を提供する試みがなされている。本発明者らも、これまでの研究から、中高年者の老化予防の漢方として繁用されている八味地黄丸(処方:地黄6.0、山茱萸3.5、山薬3.5、沢瀉3.0、茯苓3.0、牡丹皮3.0、桂皮1.0、附子1.0)が認知機能を改善することを見出し、報告を行っている(非特許文献1)。しかしながら、非特許文献1には八味地黄丸のAβ蛋白に対する作用は記載しておらず、その作用は今だ知られていない。そこで、今回、八味地黄丸のAβ蛋白に対する作用を調べてみたところ、軽度なAβ蛋白の凝集抑制作用が認められたものの、凝集Aβ蛋白の分解作用は認められなかった。従って、八味地黄丸にはAβ蛋白を介した薬理機序による抗痴呆効果は期待できないことがわかった。また、八味地黄丸には、そこに含まれる附子がトリカブトのひげ根を加工したものであり、強心作用や末梢循環改善作用などの薬効と共に一定の毒性を有することから、使用の際には副作用の発現に十分に注意しなければならないといった制約がある。そこで、八味地黄丸から附子を除いた処方のAβ蛋白に対する作用も調べてみたが、その作用は八味地黄丸の作用よりもさらに劣るものであった。
【非特許文献1】Koh Iwasaki, et.al : A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Clinical Trial of the Chinese Herbal Medicine" Ba Wei Di Huang Wan "in the Treatment of Dementia : Journal of the American Geriatrics Society, Volume 52, Issue 9, Page 1518-1521, September 2004.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、新規な、Aβ蛋白の凝集抑制剤、凝集Aβ蛋白の分解剤、抗痴呆薬および抗痴呆性食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、八味地黄丸の成分に含まれる生薬として知られている牡丹皮と桂皮に、優れたAβ蛋白の凝集抑制作用や凝集Aβ蛋白の分解作用があることを見出した。
【0006】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、本発明のAβ蛋白の凝集抑制剤は、請求項1記載の通り、牡丹皮、桂皮、これらのエキスから選ばれる少なくとも1つを有効成分とすることを特徴とする。
また、本発明の凝集Aβ蛋白の分解剤は、請求項2記載の通り、牡丹皮、桂皮、これらのエキスから選ばれる少なくとも1つを有効成分とすることを特徴とする。
また、本発明の抗痴呆薬は、請求項3記載の通り、牡丹皮、桂皮、これらのエキスから選ばれる少なくとも1つを有効成分として、これらのアミロイドβ蛋白の凝集抑制作用および/または凝集アミロイドβ蛋白の分解作用に基づくことを特徴とする。
また、本発明の抗痴呆性食品は、請求項4記載の通り、牡丹皮、桂皮、これらのエキスから選ばれる少なくとも1つを有効量含んでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、新規な、Aβ蛋白の凝集抑制剤、凝集Aβ蛋白の分解剤、抗痴呆薬および抗痴呆性食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において、牡丹皮とは、ボタン科(Paeoniaceae)牡丹(Paeonia suffruticosa Andr.)の根の皮の部分(根皮)であり、通常、芯を抜いて乾燥したものが用いられる。桂皮とは、クスノキ科(Lauraceae)桂樹(Cinnamomum cassia Blume)の樹皮を乾燥したものである。牡丹皮や桂皮をそのままAβ蛋白の凝集抑制剤や凝集Aβ蛋白の分解剤の有効成分として用いる場合、例えば、これらを粉砕して用いればよい。牡丹皮や桂皮のエキスは、例えば、水や熱水、メタノールやエタノールやブタノールをはじめとするアルコールなどの抽出溶媒を用いて室温放置や加熱還流することで成分抽出を行い、抽出溶媒を凍結乾燥、噴霧乾燥、減圧留去などの方法で除去することで調製することができる。
【0009】
牡丹皮や桂皮の粉砕物やエキスは、自体公知の方法によって顆粒剤や錠剤やカプセル剤などに製剤化し、服用することで、優れたAβ蛋白の凝集抑制作用や凝集Aβ蛋白の分解作用に基づく抗痴呆薬(予防薬および/または治療薬)として機能する。その服用量は、服用者の年齢、性別、体重、体調などによって適宜決定することができる。また、牡丹皮や桂皮の粉砕物やエキスは、種々の形態の食品(サプリメントを含む)に、Aβ蛋白の凝集抑制作用や凝集Aβ蛋白の分解作用を発揮するに足る有効量を添加し、痴呆に対する予防効果および/または治療効果をもたらす抗痴呆性食品として食してもよい。
【実施例】
【0010】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって何ら限定して解釈されるものではない。
【0011】
実施例1:牡丹皮エキスのAβ蛋白の凝集抑制作用と凝集Aβ蛋白の分解作用について
(A)牡丹皮エキスの調製
牡丹皮を乾燥重量で10g量り取り、100mlの蒸留水を加えて30分間加熱還流し、冷却後、ろ過して抽出液を得、エバポレーターを用いて減圧乾固し、抽出溶媒として蒸留水を用いた牡丹皮エキスを調製した。また、蒸留水にかえてメタノールとエタノールをそれぞれ抽出溶媒として用い、同様の方法で牡丹皮エキスを調製した。
【0012】
(B)評価試験(その1:Aβ蛋白の凝集抑制作用)
[評価方法]
チオフラビン-Tを用いた方法によって行った。チオフラビン-Tは、凝集Aβ蛋白のβ-シートに結合して蛍光を発することが知られているので、この蛍光量を蛍光プレートリーダーで検出して、蛋白凝集の指標とした。即ち、評価サンプルがAβ蛋白の凝集を抑制するならば、チオフラビン-Tは凝集Aβ蛋白に結合しないので、蛍光量が減少するという現象を利用して行った。具体的な手順は以下のようにした。
(1)DMSOに希釈した牡丹皮エキスを、50mM potassium phosphate buffer(pH7.4)に、最終濃度で10μg/mlおよび100μg/mlになるように希釈し、96ウェルプレートに25μlずつ分注した。
(2)Aβ1-40蛋白またはAβ1-42蛋白を、20μMになるように、50mM potassium phosphate buffer(pH7.4)に溶解し、45kHzで15分間超音波破砕した後、無色透明あるいは均一の懸濁液が得られたことを確認してから、これを、牡丹皮エキスを分注した上記のプレートの各ウェルに25μlずつ分注した(最終濃度5μM)。
(3)85rpm,37℃で、Aβ1-40蛋白の場合は96時間、Aβ1-42蛋白の場合は24時間インキュベートした。
(4)6μMチオフラビン-T(100mM glycine-NaOH,pH8.5に溶解)を各ウェルに50μlずつ添加した(最終濃度3μM)。
(5)攪拌して30分後に蛍光マイクロプレートリーダーで測定した(励起波長442nm,吸収波長485nm)。チオフラビン-T単独の蛍光度を0%、Aβ蛋白とチオフラビン-Tの結合時の蛍光度を100%として算出し、Aβ蛋白の凝集抑制作用を評価した。
【0013】
[評価結果]
図1の(a)にAβ1-40蛋白の凝集抑制作用を示し(b)にAβ1-42蛋白の凝集抑制作用を示す。図1から明らかなように、Aβ1-40蛋白を用いて検討したところ、いずれの抽出溶媒を用いて調製された牡丹皮エキスにおいても、10μg/mlでは50%程度、100μg/mlではほぼ100%の蛍光量の減少が確認された。また、Aβ1-42蛋白を用いた場合には、Aβ1-40蛋白を用いた場合よりも効力は弱く、100μg/mlで30%程度までしか蛍光量を減少させないものの、牡丹皮エキスは用量依存的にチオフラビン-Tの蛍光量を減少させ、そのAβ蛋白の凝集抑制作用を確認することができた。
【0014】
(C)評価試験(その2:凝集Aβ蛋白の分解作用)
[評価方法]
評価試験その1と同様にチオフラビン-Tを用いた方法によって行った。具体的な手順は以下のようにした。
(1)Aβ1-40蛋白またはAβ1-42蛋白を、20μMになるように、50mM potassium phosphate buffer(pH7.4)に溶解し、45kHzで15分間超音波破砕した後、無色透明あるいは均一の懸濁液が得られたことを確認してから、これを、96ウェルプレートに25μlずつ分注した(最終濃度5μM)。
(2)85rpm,37℃で、Aβ1-40蛋白の場合は96時間、Aβ1-42蛋白の場合は24時間インキュベートした。
(3)DMSOに希釈した牡丹皮エキスを、50mM potassium phosphate buffer(pH7.4)に、最終濃度で10μg/mlおよび100μg/mlになるように希釈し、Aβ蛋白を分注した上記のプレートの各ウェルに25μlずつ分注し、30分間インキュベーションした。
(4)6μMチオフラビン-T(100mM glycine-NaOH,pH8.5に溶解)を各ウェルに50μlずつ添加した(最終濃度3μM)。
(5)攪拌して30分後に蛍光マイクロプレートリーダーで測定した(励起波長442nm,吸収波長485nm)。チオフラビン-T単独の蛍光度を0%、Aβ蛋白とチオフラビン-Tの結合時の蛍光度を100%として算出し、凝集Aβ蛋白の分解作用を評価した。
【0015】
[評価結果]
図2の(a)に凝集Aβ1-40蛋白の分解作用を示し(b)に凝集Aβ1-42蛋白の分解作用を示す。図2から明らかなように、いずれの抽出溶媒を用いて調製された牡丹皮エキスにおいても、凝集しているAβ1-40蛋白およびAβ1-42蛋白と結合しているチオフラビン-Tの蛍光量を用量依存的に減少させ、100μg/mlで蛍光量は20%以下にまで減少したことから、その凝集Aβ蛋白の分解作用を確認することができた。
【0016】
実施例2:桂皮エキスのAβ蛋白の凝集抑制作用と凝集Aβ蛋白の分解作用について
(A)桂皮エキスの調製
実施例1の(A)の牡丹皮を桂皮にかえたこと以外は実施例1の(A)と同様にして、抽出溶媒として蒸留水とメタノールとエタノールを用いた桂皮エキスを調製した。
【0017】
(B)評価試験(その1:Aβ蛋白の凝集抑制作用)
実施例1の(B)と同様の評価方法によって評価した。図3の(a)にAβ1-40蛋白の凝集抑制作用を示し(b)にAβ1-42蛋白の凝集抑制作用を示す。図3から明らかなように、いずれの抽出溶媒を用いて調製された桂皮エキスにおいても、Aβ1-40蛋白およびAβ1-42蛋白の凝集抑制作用を確認することができた。
【0018】
(C)評価試験(その2:凝集Aβ蛋白の分解作用)
実施例1の(C)と同様の評価方法によって評価した。図4の(a)に凝集Aβ1-40蛋白の分解作用を示し(b)に凝集Aβ1-42蛋白の分解作用を示す。図4から明らかなように、いずれの抽出溶媒を用いて調製された桂皮エキスにおいても、凝集Aβ1-40蛋白および凝集Aβ1-42蛋白の分解作用を確認することができた。
【0019】
実施例3:牡丹皮、桂皮、八味地黄丸、八味地黄丸から附子を除いた処方の蒸留水抽出エキスのAβ1-42蛋白の凝集抑制作用の比較
実施例1の(A)の方法に従って調製した4種類の蒸留水抽出エキスのAβ1-42蛋白の凝集抑制作用を実施例1の(B)の方法によって評価して比較した結果を図5に示す。図5から明らかなように、牡丹皮と桂皮のエキスには、優れたAβ1-42蛋白の凝集抑制作用を確認することができた。八味地黄丸のエキスにも同様の作用を確認することができたが、その作用は僅かであった。八味地黄丸から附子を除いた処方のエキスにはこのような作用は認められなかった。
【0020】
実施例4:牡丹皮、桂皮、八味地黄丸、八味地黄丸から附子を除いた処方の蒸留水抽出エキスの凝集Aβ1-42蛋白の分解作用の比較
実施例1の(A)の方法に従って調製した4種類の蒸留水抽出エキスの凝集Aβ1-42蛋白の分解作用を実施例1の(C)の方法によって評価して比較した結果を図6に示す。図6から明らかなように、牡丹皮と桂皮のエキスには、優れた凝集Aβ1-42蛋白の分解作用を確認することができた。しかしながら、八味地黄丸と八味地黄丸から附子を除いた処方のエキスにはこのような作用は認められなかった。
【0021】
実施例5:急速にAβ蛋白が蓄積するアルツハイマー病モデルマウスのAβ蛋白の凝集に対する牡丹皮の蒸留水抽出エキスの作用について
[評価方法]
(1)Taconic社製のトランスジェニックマウス(App MI B6.SJL Hemi ♂)を使用した。15ヶ月週齢のマウスに3ヶ月間、食餌に牡丹皮の蒸留水抽出エキスを混ぜて投与した。この際、Low Dose群(n=5)には食餌にエキスを0.1%添加し、マウス体重1g当り一日に80μgを投与した。High Dose群(n=5)には食餌にエキスを1%添加し、マウス体重1g当り一日に800μgを投与した。牡丹皮の蒸留水抽出エキスを混ぜていない食餌を投与したControl群はn=4とした。
(2)飼育後、断頭して大脳を取り出し、粉末ドライアイスにて凍結させた後に、脳切片を8枚作製した(海馬周辺を冠状断で8mm間隔で作製)。
(3)脳切片をホルマリン固定した後に、チオフラビン-Tを50%エタノールで溶解して0.125%濃度の溶液とし、これを切片に滴下した。
(4)3分後に水洗し、次に50%エタノール液で非特異的に結合しているチオフラビン-Tを洗浄して再び水洗した後、蛍光顕微鏡にてAβ蛋白の凝集斑を観察し(励起波長455nm,吸収波長470nm)、単位面積当りのAβ蛋白の凝集斑数を測定した。
【0022】
[評価結果]
図7に示す。図7から明らかなように、牡丹皮の蒸留水抽出エキスは容量依存的にAβ蛋白の凝集斑数を減少させ、とりわけHigh Dose群においては優れた効果を示した。
【0023】
実施例6:急速にAβ蛋白が蓄積するアルツハイマー病モデルマウスのAβ蛋白の凝集に対する桂皮の蒸留水抽出エキスの作用について
[評価方法]
(1)Taconic社製のトランスジェニックマウス(App/Tau MI STOCK Hemi/Hemi ♂)を使用した。7ヶ月週齢のマウスに2ヶ月間、食餌に桂皮の蒸留水抽出エキスを混ぜて投与した。この際、エキス投与群(n=2)には食餌にエキスを1%添加し、マウス体重1g当り一日に800μgを投与した。桂皮の蒸留水抽出エキスを混ぜていない食餌を投与したControl群はn=2とした。
(2)飼育後、断頭して大脳を取り出し、粉末ドライアイスにて凍結させた後に、脳切片を8枚作製した(海馬周辺を冠状断で8mm間隔で作製)。
(3)脳切片をホルマリン固定した後に、チオフラビン-Tを50%エタノールで溶解して0.125%濃度の溶液とし、これを切片に滴下した。
(4)3分後に水洗し、次に50%エタノール液で非特異的に結合しているチオフラビン-Tを洗浄して再び水洗した後、蛍光顕微鏡にてAβ蛋白の凝集斑を観察し(励起波長455nm,吸収波長470nm)、単位面積当りのAβ蛋白の凝集斑数を測定した。
【0024】
[評価結果]
図8に示す。図8から明らかなように、桂皮の蒸留水抽出エキスにはAβ蛋白の凝集斑数を減少させる効果があることを確認できた。
【0025】
実施例1〜実施例6のまとめ:
上記の実施例で用いたAβ1-40蛋白は、脳内で最も多く産生されるアミノ酸40残基の蛋白であることが知られており、Aβ1-42蛋白は、Aβ1-40蛋白のC末端側が2残基長いアミノ酸42残基の蛋白であり、産生量は少ないながら、凝集性が高くて毒性が強く、老人斑形成の核になりえるとされている。上記の実施例により、牡丹皮と桂皮のエキスが、これらの蛋白の凝集抑制作用や、凝集したこれらの蛋白の分解作用を持つことがin vitroの実験のみならず経口投与によるin vivoの実験でも明らかになったことで、これまでにない抗痴呆薬や抗痴呆性食品の提供が可能となる。
【0026】
製剤例1:錠剤
牡丹皮の蒸留水抽出エキス10g、乳糖75g、ステアリン酸マグネシウム15g、合計100gを均一に混合し、常法に従って錠剤とした。
【0027】
製剤例2:顆粒剤
桂皮のエタノール抽出エキス20g、澱粉30g、乳糖50g、合計100gを均一に混合し、常法に従って顆粒剤とした。
【0028】
製剤例3:ビスケット
薄力粉32g、全卵16g、バター16g、砂糖24g、水10g、ベーキングパウダー1g、牡丹皮の微粉砕物1g、合計100gを用い、常法に従ってビスケットとした。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、新規な、Aβ蛋白の凝集抑制剤、凝集Aβ蛋白の分解剤、抗痴呆薬および抗痴呆性食品を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例における牡丹皮エキスのAβ蛋白凝集抑制作用を示すグラフである。
【図2】同、牡丹皮エキスの凝集Aβ蛋白分解作用を示すグラフである。
【図3】同、桂皮エキスのAβ蛋白凝集抑制作用を示すグラフである。
【図4】同、桂皮エキスの凝集Aβ蛋白分解作用を示すグラフである。
【図5】同、牡丹皮、桂皮、八味地黄丸、八味地黄丸から附子を除いた処方の蒸留水抽出エキスのAβ1-42蛋白の凝集抑制作用を示すグラフである。
【図6】同、牡丹皮、桂皮、八味地黄丸、八味地黄丸から附子を除いた処方の蒸留水抽出エキスの凝集Aβ1-42蛋白の分解作用を示すグラフである。
【図7】同、認知障害マウスのAβ蛋白の凝集に対する牡丹皮の蒸留水抽出エキスの作用を示すグラフである。
【図8】同、認知障害マウスのAβ蛋白の凝集に対する桂皮の蒸留水抽出エキスの作用を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
牡丹皮、桂皮、これらのエキスから選ばれる少なくとも1つを有効成分とすることを特徴とするアミロイドβ蛋白の凝集抑制剤。
【請求項2】
牡丹皮、桂皮、これらのエキスから選ばれる少なくとも1つを有効成分とすることを特徴とする凝集アミロイドβ蛋白の分解剤。
【請求項3】
牡丹皮、桂皮、これらのエキスから選ばれる少なくとも1つを有効成分として、これらのアミロイドβ蛋白の凝集抑制作用および/または凝集アミロイドβ蛋白の分解作用に基づくことを特徴とする抗痴呆薬。
【請求項4】
牡丹皮、桂皮、これらのエキスから選ばれる少なくとも1つを有効量含んでなることを特徴とする抗痴呆性食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−206584(P2006−206584A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−370522(P2005−370522)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】