説明

アミロイド症を処置するためのアミジン誘導体

本発明は、アミロイド関連疾患の処置におけるアミジン化合物の使用に関する。特に、本発明は、対象において、アミロイド関連疾患を処置するもしくは予防する方法であって、治療量のアミジン化合物を該対象にアミジン化合物を投与することを含む方法に関する。本発明による使用における化合物は、投与した際に、アミロイド原繊維の形成、神経分解、または細胞毒性を減少させるもしくは阻害する、下記の式に記載の化合物である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連明細書
本明細書は、米国仮特許出願第 60/387,001 号(出願日2002年7月7日)(これは、言及することによって本明細書に組み込まれる)の優先権を主張している。
【0002】
本発明の背景
アミロイド症は、アミロイド繊維(amyloid fibers)の存在によって特徴付けられる病理的状態に関する。アミロイドは、幾つかの異なる疾患において見られる、種々の、しかし特定の蛋白質堆積物(protein deposits)(細胞内もしくは細胞外の)の群を指す総称である。その発生において異なるが、全てのアミロイド堆積物は、共通の形態学的性質、特定の色素(例えばコンゴレッド)での染色性を有し、染色後に、偏光で特徴的な赤−緑複屈折を有する。それらはまた、共通の超構造的特徴を有し、共通のX線回折および赤外吸収スペクトルを示す。
【0003】
アミロイド関連疾患は、1個の器官に制限され得るか、または幾つかの器官に広がり得る。第1の例は、“局所性アミロイド症”と呼ばれ、一方第2の例は“全身性アミロイド症”と呼ばれる。
幾つかのアミロイド症は、特発性であり得るが、大部分のこれらの疾患は、先に存在する疾患との合併症として起こる。例えば、原発性アミロイド症は、全く他の病理所見もなく発症するか、またはプラズマ細胞疾患または多発性骨髄腫に続いて発症し得る。
【0004】
二次アミロイド症は、通常慢性感染(例えば結核)、または慢性炎症(例えばリウマチ性関節炎)を伴って見られる。二次アミロイド症の家族型はまた、家族性地中海熱(Familial Mediterranean Fever)(FMF)においても見られる。家族性アミロイド症の他の型の1つとしての、アミロイド症のこの家族型は、一般的に遺伝し、そして特定の集団で見られる。これらの2つの型のアミロイド症において、堆積は、幾つかの器官で見られ、従って全身性アミロイド疾患と考えられる。
別の型の全身性アミロイド症は、長期血液透析患者において見られる。これらの場合はそれぞれ、異なるアミロイド形成蛋白質がアミロイド堆積に関与している。
【0005】
“局所性アミロイド症”は、唯一の器官系に関係する傾向があるものである。異なるアミロイド症はまた、堆積物中に存在する蛋白質の型によって特徴付けられる。例えば、神経変性疾患、例えばスクレイピー、ウシ海綿状脳炎、Creutzfeldt-Jakob病などは、中枢神経系における、プロテアーゼ耐性型のプリオン蛋白質(AScrまたはPrP−27と呼ばれる)の出現および堆積によって特徴付けられる。同様に、別の神経変性疾患であるアルツハイマー病は、神経突起のプラークおよび神経原繊維のもつれによって特徴付けられる。この場合には、プラークおよび血管アミロイドが、原繊維Aβアミロイド蛋白質(fibrillary Aβ amyloid protein)の堆積によって形成される。他の疾患、例えば成人発症型糖尿病(タイプ II 型糖尿病)は、膵臓中のアミロイドの局所的な蓄積によって特徴付けられる。
これらのアミロイドが一旦形成されたならば、アミロイド堆積物をその場で明確に溶解する、広く受け入れられる治療もしくは処置は知られていない。
【0006】
それぞれのアミロイド形成蛋白質は、β−シートを構成し、そして細胞外もしくは細胞内に堆積され得る不溶な原繊維(fibrils)を形成する能力を有する。それぞれのアミロイド形成蛋白質は、アミノ酸配列が異なるが、原繊維を形成し、そして他の要素、例えばプロテオグリカン、アミロイド P、および補体成分に結合するという同一の性質を有する。さらに、それぞれのアミロイド形成蛋白質は、異なってはいるが、例えばプロテオグリカンのグリコサミノグリカン(GAG)部分に結合し得る領域(GAG結合部位と呼ばれる)、およびβ−シート形成を促進する他の領域で、類似性を示すアミノ酸配列を有する。
【0007】
特定の場合において、アミロイド性原繊維は、一旦堆積されれば、周辺細胞に対して毒性となり得る。例えば、老年性プラークとして構成されるAβ原繊維は、アルツハイマー病を有する患者において、死んだ神経細胞と小膠細胞症(microgliosis)を伴うことが示されている。in vitro で試験された場合に、Aβペプチドは、小膠細胞 (脳マクロファージ)の活性化プロセスを開始し得ることが示された。このことは、アルツハイマー病を有する患者の脳で、小膠細胞症および脳の炎症の存在を説明し得る。
【0008】
タイプ II 型糖尿病を有する患者で見られる別のタイプのアミロイド症において、アミロイド形成蛋白質IAPPは、in vitro でβ島細胞毒性を誘発することが示されている。従って、タイプ II 型糖尿病患者の膵臓におけるIAPP原繊維の出現は、β島細胞(ランゲルハンス)の喪失および器官機能不全に寄与する。
【0009】
アルツハイマー病に罹患しているヒトは、脳中の3つの主要な構造的変化(脳の多くの部分における神経細胞の広汎な欠失、神経原繊維のもつれと呼ばれる細胞内蛋白質の堆積物の蓄積、およびアミロイドもしくは老年性プラークと呼ばれる 異常神経末端(栄養不良性神経突起)によって囲まれている細胞外蛋白質の堆積物の蓄積)を伴う、成人期における進行性痴呆を発生する。これらのアミロイド・プラークの主な組成は、アミロイド−βペプチド(Aβ)、すなわちβ−アミロイド前駆体蛋白質(APP)の切断によって生じる39〜43個のアミノ酸蛋白質である。
アルツハイマー病における症候の処置が存在するが、現在、この疾患を予防するもしくは完治させることはできない。
【0010】
本発明の要約
本発明は、アミロイド関連疾患の処置におけるアミジン化合物の使用に関する。特に、本発明は、対象において、アミロイド関連疾患を処置するもしくは予防する方法であって、治療量のアミジン化合物を対象に投与することを含む方法に関する。本発明に使用するための化合物は、投与した際に、アミロイド原繊維形成、神経変性、または細胞毒性を減少させるもしくは阻害する、下記の式:
【化1】

による化合物である。
【0011】
図面の簡単な説明
図1:ThTアッセイによって測定された、Aβ(1−40)組み立て(assembly)に対するペンタアミジン型化合物の効果
図2:ThTアッセイによって測定された、Aβ(1−40) 組み立てに対するペンタアミジン様化合物の効果
図3:ThTアッセイによって測定された、Aβ(A−40) 組み立てに対するアミジン型化合物の効果
図4:ThTアッセイによって測定された、IAPP組み立てに対するペンタアミジン型化合物の効果
【0012】
本発明の詳細な説明
本発明は、アミロイド関連疾患の処置におけるアミジン化合物の使用に関する。
アミロイド関連疾患
AA(反応性)アミロイド症
一般的に、AAアミロイド症は、持続性急性期応答を誘発する幾つかの疾患を表す。該疾患は、慢性炎症性疾患、慢性局所もしくは全身性微生物感染、および悪性新生物を含む。
【0013】
AA原繊維は、一般的に、血清アミロイドA蛋白質(ApoSAA)の、分泌された際にHDLと複合体を形成する、例えばIL−1、IL−6、およびTNFなどのサイトカインに応答する肝細胞中で合成される循環性(circulating)アポリポ蛋白質の、蛋白質分解によって形成される、8,000Daltonのフラグメントからなる(AAペプチドもしくは蛋白質)からなる。堆積は体内で広がり、柔組織に好んで起こる。脾臓は通常堆積部位であり、腎臓もまた影響を受ける。堆積はまた、心臓および胃腸管にも共通して見られる。
【0014】
AAアミロイド疾患は、炎症性疾患、例えばリウマチ性関節炎、若年性慢性関節炎、強直性脊椎炎、乾癬、乾癬性関節炎、ライター病、成人スティル病、ベーチェット症候群、およびクローン病を含み、これらに制限されない。AA堆積はまた、慢性微生物感染、例えばハンセン病、結核、気管支拡張症、褥瘡潰瘍、慢性腎盂腎炎、骨髄炎、およびウイップル病(Whipple's disease)の結果として生じる。特定の悪性新生物はまた、AA原繊維のアミロイド堆積を起こし得る。これらは、例えばホジキンリンパ腫(Hodgkin's lymphoma)、腎臓癌、腸、肺、および泌尿生殖管の癌、基底細胞癌、および有毛細胞白血病などの状態を含む。
【0015】
ALアミロイド症
ALアミロイド堆積は、一般的に、プラズマ細胞の悪性疾患(多発性骨髄腫)から良性のモノクローナル免疫グロブリン血症にわたる、Bリンパ球系のほとんど全ての悪液質を伴う。多くの場合、アミロイド堆積物の存在は、背景にある悪液質の主な指標であり得る。
【0016】
ALアミロイド堆積物の原繊維は、モノクローナル免疫グロブリンの軽鎖もしくはそのフラグメントから構成される。より特定的には、フラグメントは、軽鎖(κもしくはλ)のN−末端領域から誘導され、そしてその可変ドメイン(V)の全てもしくは一部を含む。堆積は、一般的に、間葉組織で起こり、末梢神経障害および自律神経障害、手根管症候群、巨大舌、拘束性心筋症、大関節の関節症、免疫悪液質、骨髄腫、および潜在性悪液質を引き起こす。しかし、ほとんど全ての組織が、特に内臓器官が、例えば心臓が関与し得ることに注意すべきである。
【0017】
遺伝性全身性アミロイド症
遺伝性全身性アミロイド症には多くの形態がある。それらは比較的まれな症状であるが、症候の成人後の発症、およびその遺伝パターン(通常常染色体優性)が、一般的な集団における該疾患の存在に結びつく。一般的に、この症候群は、アミロイド形成ペプチドもしくは蛋白質の変異体の生産をもたらす前駆体蛋白質のポイント・ミューテーションが原因とされる。表1は、これらの疾患の代表例の原繊維組成を要約している。
【0018】
【表1】

データはTan SY, Pepys MB. Amyloidosis. Histopathology, 25(5), 403-414 (Nov 1994)から導出された。
【0019】
表1に提供されたデータは、例示であり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。例えば、トランスサイレチン遺伝子中の40以上の別個の点変異が記載され、その全てが、臨床的に類似の家族性アミロイド多発神経障害の形態を引き起こす。
【0020】
トランスサイレチン(TTR)は、プレアルブミンと呼ばれることもある14kDaの蛋白質である。それは、肝臓および脈絡叢によって生産され、そしてそれは、甲状腺ホルモンおよびビタミンAの輸送に機能する。それぞれ1個のアミノ酸の変化によって特徴付けられている、少なくとも50個の蛋白質の変異体の形態は、家族性アミロイド多発神経障害の様々な形態の原因である。例えば、位置55でのプロリンのロイシンへの置換は特に進行性の形態の神経障害を引き起こし、位置111でのメチオニンのロイシンへの置換は、デンマーク人患者で、重度の心疾患を引き起こす。
【0021】
全身性アミロイド症を有する患者の心臓組織から単離されたアミロイド堆積物は、TTRおよびそのフラグメント(その全長の配列が同定されている)の異種混合物(総称でATTRと呼ばれる)からなる。ATTR原繊維成分は、プラークおよびその構造から抽出され得、そして配列を当業界で既知の方法に従って決定した (例えば Gustavsson, A., et al., Laboratory Invest. 73: 703-708, 1995 ; Kametani, F., et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 125: 622-628, 1984 ; Pras, M.,et al., PNAS 80: 539-42, 1983)。
【0022】
アポリポ蛋白質 A1におけるポイント・ミューテーション(例えば Gly→Arg26; Trp→Arg50; Leu→Arg60)を有するヒトは、アポリポ蛋白質またはそのフラグメント(AApoAI)の堆積によって特徴付けられる、アミロイド症の形態("Oestertag型")を示す。これらの患者は、低レベルの高密度リポ蛋白質(HDL)を有し、そして末梢神経障害または腎不全を有する。
【0023】
酵素リゾチームのα鎖における変異(例えばIle→Thr56 または Asp→His57)は、英国の家族で報告されている、別の形態の Oestertag型の非神経障害遺伝性アミロイドに基づく。この時、変異体リゾチーム蛋白質(Alys)の原繊維が堆積し、患者は、一般的に、損なわれた腎機能を示す。この蛋白質は、多くの原繊維形成蛋白質と異なり、通常全形態(フラグメント化していない形態)で存在する (Benson, M. D., et al. CIBA Fdn. Symp. 199: 104-131, 1996)。
【0024】
β−アミロイド・ペプチド(Aβ)は、β−アミロイド前駆体蛋白質(βAPP)として知られる大きな蛋白質から、蛋白質分解によって誘導される、39〜43個のアミノ酸のペプチドである。βAPPにおける変異は、Aβ原繊維および下記にさらに詳細に記載している他の成分からなるプラークの脳堆積によって特徴付けられる家族性アルツハイマー病、ダウン症、または老年性痴呆を起こす。アルツハイマー病を伴うAPPにおける既知の変異は、βもしくはγ−セクレターゼ切断部位の近くで、またはAβの範囲内で起こる。例えば、位置717は、APPのAβへのプロセッシングにおいて、APPのγ−セクレターゼ切断部位の近くであり、そして位置670/671は、β−セクレターゼ切断部位の近くである。これらの何れかの残基での変異は、アルツハイマー病を引き起こし得、たぶんAPPから得られるAβの42/43個のアミノ酸の量の増大を引き起こす。
【0025】
様々な長さのAβペプチドの構造および配列は、当業界で周知である。該ペプチドは、当業界で既知の方法に従って製造され得る(例えば Glenner and Wong, Biochem Biophys. Res. Comm. 129: 885-890, 1984; Glenner and Wong, Biochem Biophys. Res. Comm. 122: 1131-1135, 1984)。さらに、該ペプチドの様々な形態は、市販されている。
【0026】
本明細書で用いられる際に、“β−アミロイド”または“アミロイド−β”という用語は、特記しない限り、アミロイド−β蛋白質もしくはペプチド、アミロイド−β前駆体蛋白質もしくはペプチド、中間体、および修飾体、およびそのフラグメントを言う。特に、“Aβ”は、APP遺伝子産物の蛋白質分解プロセッシングによって生産された何れかのペプチド、特にAβ1−39、Aβ1−40、Aβ1−41、Aβ1−42、およびAβ1−43を含む、アミロイド病理と関連するペプチドを言う。
【0027】
命名の便宜上、“Aβ1−42”は、本明細書で、“Aβ(1−42)”、または単に“Aβ42”もしくは“Aβ42”と言う(本明細書中に述べた何れかの他のアミロイドペプチドについても同様)。本明細書中で用いるように、“β−アミロイド”、“アミロイド−β”、および“Aβ”という用語は、同義である。
【0028】
特記しない限り、“アミロイド”という用語は、可溶(例えばモノマーもしくはオリゴマーの)もしくは不溶(例えば原繊維構造を有する、またはアミロイド・プラークにおいて)であり得る、アミロイド形成蛋白質、ペプチド、もしくはそのフラグメントを言う。
【0029】
ゲルソリンは、フラグメントおよびアクチンフィラメントに結合しているカルシウム結合蛋白質である。この蛋白質の位置187での変異(例えばAsp→Asn; Asp→Tyr)は、遺伝性全身性アミロイド症の1形態の原因となり、通常フィンランド人の患者、およびドイツもしくは日本起源のヒトで見出される。発症している個人において、ゲルソリンフラグメントから形成される原繊維(Agel)は、通常アミノ酸173−243(68kDaのカルボキシ末端フラグメント)からなり、血管および基底膜中に堆積し、角膜のジストロフィー、および脳神経障害(末梢神経障害やジストロフィー皮膚変化や他の器官中の堆積へと進行する)を引き起こす (Kangas, H., et al. Human Mol. Genet. 5(9): 1237-1243, 1996)。
【0030】
他の変異した蛋白質、例えば変異体α鎖のフィブリノーゲン(AfibA)、および変異体システインC(Acys)はまた、原繊維を形成し、特徴的な遺伝性疾患を生ずる。AfibA原繊維は、腎疾患での非神経障害遺伝性アミロイドに特徴的な堆積物を形成し;Acys堆積物は、アイスランドで報告された遺伝性脳アミロイド血管症に特徴的である (Isselbacher, Harrison's Principles of Internal Medicine, McGraw-Hill, San Francisco, 1995; Benson, et al.)。少なくとも幾つかの場合において、脳アミロイド血管症(CAA)を有する患者は、アミロイドβ蛋白質と共にシステインCの非変異体形態を含むアミロイド原繊維を有することを示した (Nagai, A., et al. Molec. Chem. Neuropathol. 33: 63-78, 1998)。
【0031】
プリオン疾患のある種の形態は、かっては主として天然における感染症であると考えられていたが、現在は15%までは、遺伝性であると考えられている (Baldwin, et al., in Research Advances in Alzheinzer's Disease and Related Disorders, John Wiley and Sons, New York, 1995)。このようなプリオン疾患において、患者は、正常なプリオン蛋白質の異常なアイソフォーム(PrPSc)からなるプラークを形成する。
【0032】
優先的な変異体のアイソフォームであるPrPSc(AScrとも呼ばれる)は、プロテアーゼ分解耐性、洗浄剤抽出後不溶性、二次的リソソーム中の堆積、翻訳後合成、およびβ−ひだ状シートの高い含量の点で正常な細胞蛋白質と異なる。少なくとも5個の変異に遺伝的関連が確立されており、Creutzfeldt-Jacob病(CJD)、Gerstmann-Straeussler-Scheinker症候群(GSS)、および致死性家族性不眠症(FIT)を引き起こす(Baldwin, supra)。スクレイピー原繊維由来の原繊維ペプチドの抽出方法、配列決定方法、および該ペプチドを作る方法は、当業者に既知である (例えば Beekes, M., et al. J. Gen. Virol. 76: 2567-76, 1995)。
【0033】
例えば、GSSの1つの形態は、コドン102でのPrP変異と関連しており、一方、終脳のGSSは、コドン117での変異を伴って分離する。コドン198および217での変異は、アルツハイマー病に特徴的な神経突起のプラークが、Aβペプチドの代わりにPrPを含む、GSSの形態をもたらす。家族性CJDの特定の形態は、コドン200および210での変異に関連しており;コドン129および178での変異は、家族性CJDとFFIの両方で見出された (Baldwin, supra)。
【0034】
老年性全身性アミロイド症
アミロイド堆積は、全身もしくは局所の何れかで、年齢と共に増加する。例えば、野生型のトランスサイレチン(TTR)の原繊維は、高齢者の心臓組織中で一般的に見出される。これらは、無症候性であり得るか、臨床的にサイレントであり得るか、または心不全を引き起こし得る。無症候性原繊維局所堆積はまた、脳(Aβ)、前立腺のアミロイド小体(Aβミクログロブリン)、関節および精嚢中で起こり得る。
【0035】
脳アミロイド症
アミロイドの局所の堆積は、脳中で、特に高齢者で一般的である。アミロイドの最も多いタイプは、Aβペプチド原繊維から主に構成され、痴呆または散発性(非遺伝性)アルツハイマー病を引き起こす。事実、散発的アルツハイマー病の発症は、遺伝性であるとされる形態を大きく超えている。これらのプラークを形成する原繊維ペプチドは、上記のアルツハイマー病(AD)の遺伝形態で言及したことと非常に類似している。
【0036】
脳アミロイド血管症(CAA)は、軟膜および皮層の動脈、細動脈の壁中の、および毛細血管および静脈中の、アミロイド原繊維の特定の堆積を言う。それは、アルツハイマー病、ダウン症、および正常な加齢を、および卒中もしくは痴呆に関連する様々な家族性状態を、一般的に伴う (Frangione et al., Amyloid: J. Protein Folding Disord. 8, Suppl : 1, 36-42 (2001)を参照のこと)。CAAは、散発的に起こり得るか、または遺伝的であり得る。AβもしくはAPP遺伝子の何れかの多くの変異部位は、痴呆もしくは脳溢血の何れかを臨床的に伴う。例示的なCAA疾患は、アイスランド型(HCHWA−I)、HCHWAのドイツ型(HCHWA−D;Aβにおける変異)、Aβのフラマン型変異、Aβの北極型変異、Aβのイタリア型変異、Aβのアイオワ型変異、家族性イギリス性痴呆、および家族性デンマーク型痴呆のアミロイド症を伴う遺伝性脳溢血を含み、これらに制限されない。
【0037】
透析関連アミロイド症
β−ミクログロブリン(AβM)原繊維からなるプラークは、一般的に、長期血液透析もしくは腹膜透析を受けた患者で起こる。β−ミクログロブリンは、11.8kDaのポリペプチドであり、全ての有核細胞上に存在する、クラスI型MHC抗体の軽鎖である。通常の状況下では、それは、細胞膜から連続的に流出し、通常腎臓によって濾過される。クリアランスの機能不全は(例えば腎機能障害などの場合における)、腎臓および他の部位(関節のコラーゲン・リッチの組織で主として)での堆積を起こす。他の原繊維蛋白質と異なり、AβM分子は、一般的に、原繊維中でフラグメント化されていない形態で存在している (Benson, supra)。
【0038】
島アミロイド・ポリペプチドおよび糖尿病
島ヒアリン症(アミロイド堆積)は、重度の高血圧症を有する患者の膵臓中における繊維性蛋白質の凝集体の存在として100年以上前に初めて記載された (Opie, EL. , JExp. Med. 5: 397-428,1990)。今日、優先的に島アミロイド・ポリペプチド(IAPP)から構成される島アミロイド、またはアミリンは、タイプ II 型糖尿病 (非インシュリン依存性糖尿病またはNIDDM)の全てのケースの90%以上において、特徴的な組織病理学的マーカーである。これらの原繊維の蓄積は、pro−IAPPと呼ばれる より大きな前駆体から誘導される、37個のアミノ酸ペプチドである島アミロイド・ポリペプチド(IAPP)またはアミリンの凝集を原因とする。
【0039】
IAPPは、β細胞分泌促進物質に応答して、インシュリンと共に局在化し、共に分泌される。この病理学的特徴は、インシュリン依存性(タイプI型)糖尿病とは関連せず、そしてNIDDM(タイプ II 型糖尿病)として診断される別の臨床的表現型に一致する特徴である。
【0040】
ネコにおける長期的な研究およびサルにおける免疫細胞化学的調査は、島アミロイドの進行性増加がインシュリン分泌β細胞の劇的な減少、および疾患の重症度の増大に関連していることを示している。より近年には、遺伝子組み換え研究が、IAPPプラーク形成とβ細胞機能不全の関係を強くし、そのことは、アミロイド堆積がタイプ II 型糖尿病にける主要な因子であることを示している。
【0041】
IAPPはまた、in vitro でβ−島細胞毒性を誘発することを示しており、そのことは、タイプ II 型もしくはタイプI型糖尿病患者(移植後)の膵臓におけるIAPP原繊維の出現が、β島細胞(ランゲルハンス)の減少および器官の機能不全に寄与し得ることを示している。タイプ II 型糖尿病を有する患者において、膵臓のIAPPの蓄積は、島のインシュリン生産β細胞を徐々に置換する、不溶性の繊維の堆積としてIAPP−アミロイドの蓄積をもたらし、β細胞の涸渇および機能不全を引き起こす(Westermark, P. , Grimelius, L., Acta Path. Microbiol. Scand., sect. A. 81 : 291-300, 1973 ; de Koning, EJP., et al., Diabetologia 36: 378-384, 1993; および Lorenzo, A., et al., Nature 368: 756-760, 1994)。
【0042】
1つもしくは複数の特定のタイプの細胞の死もしくは機能不全によって起こる疾患は、該当するタイプの細胞の健常細胞の患者への移植によって処置され得る。この方法は、タイプI型糖尿病患者に用いられている。しばしば膵臓の島細胞は、移植前に、その数を増やし、単離操作から回復させ、またはその免疫原性を減少させるために in vitro で培養される。しかし、多くの例において、移植された細胞が死ぬために、島細胞移植は不成功である。成功率が低い理由の1つが、原繊維を形成し in vitro で細胞に対して毒性と成り得るIAPPである。さらに、IAPP原繊維は、細胞が移植され、細胞の死もしくは機能不全を引き起こした後にも成長し続けそうである。このことは、細胞が健康なドナー由来である場合でさえ起こり得、移植を受けた患者は、原繊維の存在によって特徴付けられる疾患を有しない。例えば、本発明の化合物はまた、国際出願(PCT)番号 WO 01/03,680 に記載された方法に従って、移植のための組織もしくは細胞を準備する際に用いられ得る。
【0043】
ホルモン由来アミロイド症
内分泌器官は、特に高齢者においてアミロイド堆積物を含み得る。ホルモン分泌腫瘍はまた、ホルモン由来アミロイド・プラークを含み得、その原繊維は、ポリペプチド・ホルモン、例えばカルシトニン(甲状腺の髄様癌)、島アミロイド・ポリペプチド(アミリン;タイプ II 型糖尿病を有するほとんどの患者において生成)、および心房性ナトリウム利尿性ペプチド(単独心房性アミロイド症)からなる。これらの蛋白質の配列および構造は、当業界で周知である。
【0044】
種々のアミロイド症
アミロイドの局所的な堆積として通常明示されている、様々な他の形態のアミロイド疾患がある。一般的に、これらの疾患は、おそらく特定の原繊維前駆体の局所的な生産または異化の減退、または原繊維堆積における特定の組織(例えば関節)の素因の結果である。該特発性堆積の例は、結節性ALアミロイド、内分泌アミロイド、および腫瘍関連アミロイドを含む。
【0045】
本発明の化合物は、アミロイド−β原繊維の形成、凝集、または堆積を伴う疾患を処置するために、治療的にまたは予防的に投与され得る。本発明の化合物は、下記の何れかのメカニズム(このリストは例示を意味し、制限しない)を用いて、アミロイド−β関連疾患の過程を改善するよう;アミロイド−β原繊維の形成もしくは堆積の速度を遅らせるよう;アミロイド−β堆積の程度を減少させるよう;アミロイド原繊維の形成を阻害、減少、または予防するよう;アミロイド−βによって誘発される神経変性または細胞毒性を阻害するよう;アミロイド−β誘発性炎症を阻害するよう;または脳からのアミロイド−βのクリアランスを増強するよう、作用し得る。
【0046】
本発明の化合物は、脳への移行(血液−脳関門の通過)、または末梢からの移行の何れかの後、アミロイド−βの堆積を制御するのに有効であり得る。末梢から作用する際は、化合物は、脳からのAβの排出を助長するように、脳および血漿の間のAβの平衡を変え得る。脳からのAβの排出の増大は、Aβの脳濃度の減少をもたらし、従って、Aβの堆積の減少を助長する。あるいは、脳に移行する化合物は、脳のAβに直接作用することによって、例えばそれを非原繊維の形態に保つことによって、または脳からのその排出を助長することによって、堆積を制御することができる。
【0047】
望ましい具体的態様において、本方法は、アルツハイマー病(例えば散発性もしくは家族性AD)を処置するために用いられる。本方法はまた、アミロイド−β堆積(例えばダウン症の人における、および脳アミロイド血管症(“CAA”)または遺伝性脳溢血を有する患者における)の臨床的な発生を処置するために、予防的にもしくは治療的に用いられ得る。
【0048】
さらに、筋繊維中のAPPおよびアミロイド−β蛋白質の異常蓄積は、散発性封入体筋炎(sporadic inclusion body myositis(IBM))の病理に関連しているとされた (Askanas, V., et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93 : 1314-1319 ; Askanas, V. et al. (1995) Current Opinion in Rheumatology 7: 486-496)。従って、本発明の化合物は、非神経位置で、アミロイド−β蛋白質を異常に堆積する疾患の処置、例えば本化合物の筋繊維への送達によるIBMの処置において、予防的にもしくは治療的に用いられ得る。
【0049】
本発明は、従って、アミロイド関連疾患、とりわけアルツハイマー病、脳アミロイド血管症、封入体筋炎、ダウン症、およびタイプ II 型糖尿病を含むアミロイド関連疾患の予防もしくは処置における、アミジン化合物の使用に関する。
本発明の望ましい化合物は、少なくとも2個のアミジン部分(好ましくは アリールアミジン、より好ましくはベンゾアミジン)を有する。
【0050】
1つの特定の具体的態様において、本発明は、アミロイド関連疾患、例えば米国特許第 5,428,051号、4,963,589号、5,202,320号、5,935,982号、5,521,189号、5,686,456号、5,627,184号、5,622,955号、5,606,058号、5,668,167号、5,667,975号、6,025,398号、6,214,883号、5,817,687号、5,792,782号、5,939,440号、6,017,941号、5,972,969号、6,046,226号、6,294,565(B1)号、6,156,779号、6,326,395号、6,008,247号、6,127,554号、6,172,104号、4,940,723号、5,594,138号、5,602,172号、5,206,236号、5,843,980号、4,933,347号、5,668,166号、5,817,686号、5,723,495号、4,619,942号、5,792,782号、5,639,755号、5,643,935号、および 5,578,631号(それぞれは、本明細書中で言及することによってその全体が組み込まれている)に開示されている疾患の予防もしくは処置における、アミジン化合物の新規使用に関する。
【0051】
別の具体的態様において、本発明は、対象(好ましくはヒト)において、アミロイド関連疾患を処置するもしくは予防する方法であって、該対象に、アミロイド原繊維形成もしくは堆積、神経変性、または細胞毒性が減少するまた阻害する、下記の式による化合物を治療量で投与することを含む方法に関する。別の具体的態様において、本発明は、対象(好ましくはヒト)において、アミロイド関連疾患を処置するもしくは予防する方法であって、脳アミロイド症、例えばアルツハイマー病または脳アミロイド血管症を有する患者において、認識機能を安定化する、またはさらなる認識機能の劣化を妨げる、遅らせる、または停止させる、下記の式:
【化2】

[式中、
a1、Rb1、Rc1、Ra2、Rb2、およびRc2は、独立して、水素、Zであるか、
またはRa1とRb1、またはRa2とRb2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって環構造を形成し;
とYは、それぞれ独立して、直接結合または結合部分であり;
mとqは、それぞれ独立して、0から5から選択される整数であって、そしてその結果1m+q5であり、または別の具体的態様において、2m+q5であり、または別の態様において、1m+q10であり、または別の具体的態様において、2m+q10であり;そして
Aは、置換もしくは非置換の脂肪族性および芳香族性の基、およびそれらの組み合わせから選択されるキャリアー部分であり;
好ましくは、その結果YとY部分が芳香族性の基と結合している] による化合物を、治療量で投与することを含む方法に関する。
【0052】
Aは、好ましくは二価の基(すなわちm+q=2)であり、例えばアルキレン、すなわち−(CH)−{ここでkは1から12(好ましくは6から9、より好ましくは7から9)である}およびその置換されたアナログ(−CH−部分が酸素原子によって置換されている基を含む)、アルケニレン(好ましくは2から12個の炭素原子を有し、より好ましくは6から9個の炭素原子を有し、かつ1個以上の二重結合を有する基を含む)、アルキニレン(好ましくは2から12個の炭素原子を有し、より好ましくは6から9個の炭素原子を有し、かつ1個以上の三重結合を有する基を含む)、アルコキシアルキレン、アルキルアミノアルキレン、チオアルコキシアルキレン、アリーレンジアルキレン、ヘテロアリーレンジアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、オリゴエーテル性の基、例えばオリゴ(アルキレンオキシド)、またはアリーレン−ジ(オリゴアルキレンオキシド)であり、それぞれの基は、置換(下記で定義した通りのZで、例えばヒドロキシアルキレンで)されていても、非置換であってもよい。
【0053】
Aはまた、本明細書中の式I〜IVの対応する部分を含む。
本発明の望ましい態様において、本発明は、対象(好ましくはヒト)において、アミロイド関連疾患を処置するもしくは予防する方法であって、下記の式の1つの化合物を治療量で該対象に投与し、その結果アミロイド原繊維の形成もしくは堆積、神経変性、または細胞毒性を減少させるもしくは阻害することを含む方法に関する。別の具体的態様において、本発明は、対象(好ましくはヒト)において、アミロイド関連疾患を処置するもしくは予防する方法であって、下記の式の1つの化合物を治療量で該対象に投与し、その結果、脳アミロイド症(例えばアルツハイマー病または脳アミロイド血管症)を有する患者において、認識機能を安定化するもしくは認識機能のさらなる劣化を妨げる、遅らせる、または止めることを含む方法に関する。
【0054】
ここで、化合物は、
【化3】

【化4】

【0055】
【化5】

【0056】
【化6】

【0057】
【化7】

【化8】

[式中、Ra1、Rb1、Rc1、Ra2、Rb2、Rc2、Y、およびYは、本明細書で定義した通りであり;そして
Aは上記で定義した通りであり;
それぞれのRとRは、独立して、水素であるか、またはZであるか、または
2つの隣接した もしくは最も近いRおよびRは、対応するXとXに沿って、存在するならば(例えば式 II において)、それらが結合している環(例えばフェニル環)と一緒になって、縮合環構造、例えば芳香族性もしくはヘテロ芳香族性構造(例えばベンゾフラン)、またはシクロアルキルもしくはヘテロ環構造を形成し;
【0058】
それぞれのRとRは、独立して、水素、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル(好ましくはC−C)、シクロアルキル(好ましくはC−C)、炭素環、アリール(例えばフェニル)、ヘテロ環、およびヘテロアリールからなる群から選択され;
それぞれのR1*とR2*は、独立して、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、アリール(フェニルを含む)、およびヘテロアリールからなる群から選択され;
【0059】
それぞれのXとXは、独立して、直接結合、または酸素、NR'{ここでR'は水素(すなわちNH)、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリールである}、スルホンアミド(すなわち、NHSOまたはSONH)、カルボニル、アミド(すなわち、NHCOまたはCONH)、C−Cアルキレン(例えば−CH−)、C−Cアルケニレン(例えば、EまたはZ−CH=CH−)、C−Cアルキニレン、または硫黄原子、またはそれらの組み合わせ(例えば、−OCH−、−CHO−、EまたはZ−OCH=CH−または−CH=CHO−)であり;
Mは、二価の基、例えばアルキレン、すなわち−(CH)−{ここでkは1から12(好ましくは5から10、より好ましくは6から9、最も好ましくは7から8)である}およびその置換されたアナログ(−CH−部分が酸素原子によって置換されている基を含む)、アルケニレン(好ましくは2から12個の炭素原子を有し、より好ましくは6から9個の炭素原子を有し、かつ1個以上の二重結合を有する基を含む)、アルキニレン(好ましくは2から12個の炭素原子を有し、より好ましくは6から9個の炭素原子を有し、かつ1個以上の三重結合を有する基を含む)、アルコキシアルキレン、アルキルアミノアルキレン、チオアルコキシアルキレン、アリーレンジアルキレン、アルキレンジアリーレン、ヘテロアリーレンジアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、オリゴエーテル性の基、例えばオリゴ(アルキレンオキシド)、またはアリーレン−ジ(オリゴアルキレンオキシド)であり、
【0060】
それぞれの基は、置換(例えば本明細書で定義した通りのZで、例えばヒドロキシアルキレンで、例えば−(CH)0−6(CHOH)(CH)0−6−で)され得るか;または他のこのような置換された部分、例えば、−(CH)0−6(CHCOアルキル)(CH)0−6)−を含む−(CH)0−6(CHZ)(CH)0−6−であり得るか、または非置換であり得;
【0061】
Zは、直鎖もしくは分枝のアルキル(好ましくはC−C)、シクロアルキル(好ましくはC−C)、アルコキシ(好ましくはC−C)、チオアルキル(好ましくはC−C)、アルケニル(好ましくはC−C)、アルキニル(好ましくはC−C)、ヘテロ環、炭素環、アリール(例えばフェニル)、アリールオキシ(例えばフェノキシ)、アラルキル(例えばベンジル)、アリールオキシアルキル(例えばフェニルオキシアルキル)、アリールアセトアミドイル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、アルキルカルボニルおよびアリールカルボニル、または他のこのようなアシル、ヘテロアリールカルボニルまたはヘテロアリール、(CR'R")0−3NR'R"(例えば、−NH)、(CR'R")0−3CN(例えば−CN)、NO、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、またはI)、(CR'R")0−3C(ハロゲン)(例えば−CF)、(CR'R")0−3CH(ハロゲン)、(CR'R")0−3CH(ハロゲン)、(CR'R")0−3CONR'R"、(CR'R")0−3(CNH)NR'R"、(CR'R")0−3S(O)1−2NR'R"、(CR'R")0−3CHO、(CR'R")0−3O(CR'R")0−3H、(CR'R")0−3S(O)0−3R'(例えば−SOH)、(CR'R")0−3O(CR'R")0−3H、(例えば−CHOCHおよび−OCH)、(CR'R")0−3S(CR'R")0−3H(例えば−SHおよび−SCH)、(CR'R")0−3OH(例えば−OH)、(CR'R")0−3COR'、(CR'R")0−3(置換もしくは非置換フェニル)、(CR'R")0−3(C−Cシクロアルキル)、(CR'R")0−3COR'(例えば−COH)、または(CR'R")0−3OR'、または何れかの天然由来のアミノ酸の側鎖から選択される、置換もしくは非置換部分であり;
【0062】
別の具体的態様において、Zは、直鎖もしくは分枝のアルキル(好ましくはC−C)、シクロアルキル(好ましくはC−C)、アルコキシ(好ましくはC−C)、チオアルキル(好ましくはC−C)、アルケニル(好ましくはC−C)、アルキニル(好ましくはC−C)、ヘテロ環、炭素環、アリール(例えばフェニル)、アリールオキシ(例えばフェノキシ)、アラルキル(例えばベンジル)、アリールオキシアルキル(例えばフェニルオキシアルキル)、アリールアセトアミドイル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、アルキルカルボニルおよびアリールカルボニル、または他のこのようなアシル、ヘテロアリールカルボニルまたはヘテロアリール、(CR'R")0−10NR'R"(例えば−NH)、(CR'R")0−10CN(例えば−CN)、NO、ハロゲン(例えばF、Cl、Br、またはI)、(CR'R")0−10C(ハロゲン)(例えば−CF)、(CR'R")0−10CH(ハロゲン)、(CR'R")0−10CH(ハロゲン)、(CR'R")0−10CONR'R"、(CR'R")0−10(CNH)NR'R"、(CR'R")0−10S(O)1−2NR'R"、(CR'R")0−10CHO、(R'R")0−10O(CR'R")0−10H、(CR'R")0−10S(O)0−3R'(例えば−SOH)、(CR'R")0−10O(CR'R")0−10H(例えば−CHOCHおよび−OCH)、(CR'R")0−10S(CR'R")0−3H(例えば−SHおよび−SCH)、(CR'R")0−10OH(例えば−OH)、(CR'R")0−10COR'、(CR'R")0−10(置換もしくは非置換のフェニル),(CR'R")0−10(C−Cシクロアルキル)、(CR'R")0−10COR'(例えば−COH)、または(CR'R")0−10OR'、または何れかの天然アミノ酸の側鎖であり;
ここでR'およびR"は、それぞれ独立して、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリールであるか、または
R'とR"は、一緒になって、ベンジリデンまたは−(CH)O(CH)−であり;
mとqは、それぞれ独立して、0から5から選択される整数であり;
【0063】
式Iにおいて、
mとqは、それぞれ独立して、0から4から選択される整数であって、
nとpは、それぞれ独立して、0から4から選択される整数であって、
その結果m+n5であり、p+q5であり;
ここで、mもしくはqの何れかが少なくとも1であり;
そして好ましくはmとqは1であり;
式 II において、
mは0から6から選択される整数であって、
nは0から5から選択される整数であって、
その結果m+n6であり;
式 III において、
m、n、p、およびqは、それぞれ独立して、0から3から選択される整数であって、
その結果m+n4、p+q4、そしてm+q1(好ましくはm=q=1)であり;
式 IV および IVb において、
mとnは、それぞれ独立して0から3から選択される整数であって、
pとqは、それぞれ独立して0から4から選択される整数であって、
m+n4、p+q5、そしてm+q1(好ましくはm=q=1)である]の化合物、およびその薬学的に許容される塩である。
【0064】
本明細書中の化学構造は、当業者に既知の慣用の基準に従って記載されている。従って、原子価を満たさないで記載されている原子(例えば炭素原子)は、たとえ水素原子が必ずしも明らかに記載されていなくても、水素原子によって原子価が満たされると考えられる。
【0065】
別の具体的態様において、本発明は、本明細書に記載の新規化合物およびその新規使用方法に関する。該化合物および方法は、本明細書に開示されている式の範囲内であって、かつ上記の米国特許に開示されていない。
【0066】
上記の式中のRa1、Rb1、Rc1、Ra2、Rb2、およびRc2は、好ましくは水素、または置換もしくは非置換のC−Cアルキル、またはC−Cアルコキシ、またはヒドロキシである。望ましいRa1およびRa2は、水素、ヒドロキシル、アルキルオキシ(特に低級アルキルオキシ、例えばメトキシ)、アリールオキシ、アシルオキシ、およびアロイルオキシ(すなわちR−(C=O)−O−(ここでRは脂肪族または芳香族性である))である。
【0067】
“RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、環構造を形成する”というフレーズは、2個のRおよびRが、ヘテロ環、例えば下記:
【化9】

{ここで、rは0から4の整数である}、
【化10】

{ここで、rは0から2の整数である}、
【化11】

{ここで、rは0から6の整数である}、または
【化12】

{ここで、rは0から4の整数である}
の環構造中の2個の窒素原子をつなぐ部分であることを意味する。
【0068】
本発明の別の具体的態様において、例えば、式IIの化合物において、Ra1およびRb1、またはRa2およびRb2は、共にそれらが結合している窒素原子と一緒になって、非芳香環、または脂肪族環、または単環、または非縮合環である環構造を形成する。
【0069】
式IIの幾つかの具体的態様において、例えばRa1、Rb1、Rc1、Ra2、Rb2、およびRc2は、好ましくは、水素、または置換もしくは非置換C−Cアルキルであり、ここで、アルキル置換基は、上記で定義したZの何れかのメンバーであるが、アリール(例えばフェニル)またはアルキルではない。同様に、式IIの特定の具体的態様において、Rは、置換アリール(例えばフェニル)またはヘテロアリール以外の、上記で定義した通りのZから選択される部分である。
【0070】
とRは、好ましくは、水素、置換もしくは非置換C−Cアルキル、置換もしくは非置換C−Cアルケニル、ハロゲン(特に臭素)、置換もしくは非置換アリールもしくはヘテロアリール、置換もしくは非置換アミノ、ニトロ、または置換もしくは非置換C−Cアルコキシ(特にメトキシ)である。
【0071】
それぞれのYは、直接結合であるか、または結合部分(または結合基)であって、少なくとも2つの他の部分に共有結合する基、例えば1つの二価の原子またはオリゴメチレン基であり得る。炭素原子の直鎖である結合部分は、所望により置換され、または不飽和であり得る。
【0072】
好ましくは結合部分は、分子の残りの部分と比較して比較的小さく、より好ましくは、分子量250未満であり、さらにより好ましくは分子量約75未満である。特に、望ましい結合部分は、−(CH)−{ここで、nは1、2、または3である}、−NR'−{ここで、R'は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリールである}、−S−、−O−、−NH−CH−、および−CH=CH−(E型およびZ型共に)、またはそれらの組み合わせである。結合部分はまた、(CR)、CROR(CR)、CRSH(CR)、CRNR(CR)、(CR)O(CR){ここで、それぞれのnは、独立して、0、1、2、または3の何れかであり、そしてR、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のC−C分枝もしくは直鎖アルキルまたはアルコキシ、C−C分枝もしくは直鎖アルケニル、アリールオキシカルボニル、アリールアミノカルボニル、アリールアルキル、アシル、アリール、またはC−C環である}であり得る。
【0073】
アミロイド堆積の“阻害”は、アミロイド形成(例えば原繊維形成)の予防もしくは停止、アミロイド症を有する(例えばすでにアミロイド堆積が起こっている)対象におけるさらなるアミロイド堆積の阻害もしくは遅延、およびアミロイド症に罹患している患者においてアミロイド原繊維形成またはアミロイド堆積物の減少もしくは元に戻すことを含む。アミロイド堆積の阻害は、処置されない対象と比較して、または処置前の処置された対象と比較して決定され、例えば糖尿病患者における膵臓機能の、または脳アミロイド症を有する患者(例えばアルツハイマー病もしくは脳アミロイド血管症患者)の場合において認識機能の安定化またはさらなる認識機能の減退の予防(すなわち疾患の進行の予防、遅延、もしくは停止)の、臨床的に測定可能な改善によって決定される。
【0074】
“アルキル”という用語は、直鎖アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、分枝鎖アルキル(イソプロピル、tert−ブチル、イソブチルなど)、シクロアルキル(脂肪族環)(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなど)、アルキル置換シクロアルキル、およびシクロアルキル置換アルキルを含む、飽和脂肪族を含む。特記しない限り、アルキルという用語は、さらに、炭化水素骨格の1個以上の炭素と置き換えられた、酸素、窒素、硫黄、またはリン原子をさらに含み得るアルキルを含む。
【0075】
特定の具体的態様において、直鎖もしくは分枝鎖のアルキルは、その骨格に、6個以下の(例えば直鎖においてはC−C、分枝鎖においてはC−C)、より好ましくは4個以下の炭素原子を有する。同様に、望ましいシクロアルキルは、その環構造における3〜8個の炭素原子を有し、より好ましくは環構造における5個もしくは6個の炭素原子を有する。“C−C”という用語は、1から6個の炭素原子を含むアルキル基を含む。“アルキレン”は、対応するアルキルから誘導される二価の基である。
【0076】
さらに、特記しない限り、“アルキル”という用語は、“非置換アルキル”および“置換アルキル”を含み、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上の1個以上の水素を置換した置換基を有するアルキル部分を言う。該置換基は、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキル アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環、アルキルアリール、または芳香族性もしくはヘテロ芳香族性部分を含み得る。シクロアルキルは、例えば上記の置換基で、さらに置換され得る。
【0077】
“アリールアルキル”部分は、アリールで置換されたアルキル(例えばフェニルメチル(すなわちベンジル))である。“アルキルアリール”部分は、アルキルで置換されたアリール(例えばp−メチルフェニル(すなわちp−トリル))である。“n−アルキル”という用語は、直鎖の(すなわち分枝していない)、非置換アルキルを意味する。
【0078】
“アルケニル”という用語は、長さおよび可能な置換基について上記のアルキルと類似しているが、少なくとも1個の二重結合を含む、不飽和脂肪族基を含む。例えば、“アルケニル”という用語は、直鎖のアルケニル(例えばエチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニルなど)、分枝鎖のアルケニル、シクロアルケニル(脂肪環)(シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルなど)、アルキルもしくはアルケニル置換シクロアルケニル、およびシクロアルキルもしくはシクロアルケニル置換アルケニルを含む。アルケニルという用語は、さらに、炭化水素骨格の1個以上の炭素を置換した酸素、窒素、硫黄、またはリン原子を含むアルケニルを、さらに含み得る。
【0079】
特定の具体的態様において、直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルは、その骨格中に6個以下の炭素原子(例えば直鎖ではC−C、分枝鎖ではC−C)を有する。同様に、シクロアルケニルは、その環構造中に3から8個の炭素原子を有し得、より好ましくは環構造に5もしくは6個の炭素を有する。C−Cという用語は、2から6個の炭素原子を含むアルケニルを含む。“アルケニレン”は、対応するアルケニル基から誘導される二価の部分である。
【0080】
さらに、特記しない限り、“アルケニル”という用語は、“非置換アルケニル”および“置換アルケニル”の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上の1個以上の水素を置換した置換基を有するアルケニル部分を言う。該置換基は、例えば、アルキル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート(およびその低級アルキルエステル)、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキル アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環、アルキルアリール、または芳香族性もしくはヘテロ芳香族性部分を含み得る。
【0081】
“アルキニル”という用語は、長さおよび可能な置換基について上記のアルキルと類似しているが、少なくとも1個の三重結合を含む、不飽和脂肪族基を含む。例えば、“アルキニル”という用語は、直鎖のアルキニル(例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル,ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニルなど)、分枝鎖のアルキニル、およびシクロアルキルもしくはシクロアルケニル置換アルキニルを含む。別記しない限り、アルキニルという用語は、炭化水素骨格の1個以上の炭素を置換した酸素、窒素、硫黄、またはリン原子を含むアルキニルをさらに含む。特定の具体的態様において、直鎖もしくは分枝鎖のアルキニルは、その骨格に6個以下の炭素原子(例えば直鎖ではC−C、分枝鎖ではC−C)を有する。C−Cという用語は、2から6個の炭素原子を含むアルキニルを含む。
“アルキニレン”は、対応するアルキニル基から誘導される二価の部分である。
【0082】
さらに、特記しない限り、アルキニルという用語は、“非置換アルキニル”および“置換アルキニル”の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上の1個以上の水素を置換した置換基を有するアルキニル部分を言う。
該置換基は、例えば、アルキル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキル アミノ、ジアルキルアミノ,アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環、アルキルアリール、または芳香族性もしくはヘテロ芳香族性部分を含み得る。
【0083】
炭素の数は、特記しない限り、本明細書で用いた“低級アルキル”は、上記で定義したアルキルを意味し、その骨格構造に1から5個の炭素原子を有する。“低級アルケニル”および“低級アルキニル”は、例えば2〜5個の炭素原子の長さを有する。
【0084】
“アシル”という用語は、その炭素原子に、水素(すなわちホルミル)、脂肪族性基(例えばアセチル)、芳香族性基(例えばベンゾイル)などでその炭素原子を介して結合しているカルボニルを言う。“置換アシル”という用語は、1個以上の炭素原子上の1個以上の水素原子が、例えば、アルキル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ (アルキル アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環、アルキルアリール、または芳香族性もしくはヘテロ芳香族性部分によって、置換されているアシルを含む。
【0085】
“アシルアミノ”という用語は、アミノ部分がアシルに結合している部分を含む。例えば、アシルアミノは、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む。
【0086】
“アルコキシアルキル”、“アルキルアミノアルキル”、および“チオアルコキシアルキル”という用語は、炭化水素骨格の1個以上の炭素を置換した酸素、窒素、または硫黄原子をさらに含む、上記のアルキルを含む。
【0087】
“アルコキシ”または“アルキルオキシ”という用語は、酸素原子と共有結合している、置換および非置換のアルキル、アルケニル、およびアルキニルを含む。アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、およびペントキシを含む。置換アルコキシの例は、ハロゲン化されたアルコキシを含む。
【0088】
アルコキシは、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキル アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環、アルキルアリール、または芳香族性もしくはヘテロ芳香族性部分といった基で、置換され得る。ハロゲン置換アルコキシの例は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシなど、および過ハロゲン化アルキルオキシを含み、これらに制限されない。
【0089】
“アミン”または“アミノ”という用語は、窒素原子が少なくとも1個の炭素もしくはヘテロ原子と共有結合している化合物もしくは部分を含む。
“アルキルアミノ”は、窒素が少なくとも1個のアルキルと結合している基を含む。“ジアルキルアミノ”という用語は、窒素原子が少なくとも2個のアルキルと結合している基を含む。
“アリールアミノ”および“ジアリールアミノ”という用語は、窒素が、それぞれ少なくとも1個もしくは2個のアリールと結合している基を含む。
【0090】
“アルキルアリールアミノ”という用語は、少なくとも1個のアルキルおよび少なくとも1個のアリールと結合しているアミノを言う。
“アルキルアミノアルキル”という用語は、アルキルアミノで置換されているアルキル、アルケニル、またはアルキニルを言う。
“アミド”または“アミノカルボニル”という用語は、カルボニルまたはチオカルボニルの炭素に結合している窒素原子を含む化合物もしくは部分を含む。
【0091】
“カルボニル”または“カルボキシ”という用語は、酸素原子に二重結合で結合している炭素を含む化合物および部分を含む。カルボニルを含む部分の例は、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物などを含む。
“エーテル”または“エーテルの”という用語は、2個の炭素原子に結合している酸素を含む化合物または部分を含む。例えば、エーテルまたはエーテルの基は、“アルコキシアルキル”を含み、アルコキシで置換されているアルキル、アルケニル、またはアルキニルを言う。
【0092】
“ヒドロキシ”または“ヒドロキシル”は、−OH、または−O(適切なカウンターイオンを有する)を含む。
“ハロゲン”という用語は、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などを含む。“過ハロゲン化された”という用語は、一般的に、全ての水素がハロゲン原子によって置換されている部分を言う。
【0093】
アリーレンジアルキレンまたはアリーレンジアルキルは、2個の別のアルキレン(同一であっても異なっていてもよい)が結合しており、かつ2個のアルキレンが次いで他の部分と結合しているアリーレンを有する基を含む。アリーレンジアルキレンまたはアリーレンジアルキルの例は、下記:
【化13】

[式中、それぞれのRは、独立して、水素(望ましい)であるか、または上記のZで定義された基から選択され、そして18であり、18であり、04である] を含む。
【0094】
アルキレンジアリーレンは、2個の別のアリーレン(同一であっても異なっていてもよい)が結合しており、かつ2個のアルキレンが次いで別の部分と結合しているアルキレン(またはシクロアルキレン)を有する基を含む。アルキレンジアリーレンの例は、下記:
【化14】

[式中、それぞれのRは、独立して、水素(望ましい)であるか、または上記のZで定義された基から選択され、110(好ましくは14)であり、18であり、18であり、04であり、そして04である] を含む。
【0095】
ヘテロアリーレンジアルキレンまたはヘテロアリーレンジアルキルは、2個の別のアルキレン(同一であっても異なっていてもよい)と結合しており、そして2個のアルキレンが順に別の部分で結合している、ヘテロアリーレンを有する基を含む。
【0096】
ヘテロアリーレンジアルキレンまたはヘテロアリーレンジアルキルの例は、下記:
【化15】

[式中、03であり、そして03であり、そしてX=NR'{ここで、R'は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリールである}、O、またはSであり、18であり、18である]、または
【化16】

[式中、02であり、そしてX=NR'{ここで、R'は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリールである}、O、またはSであり、18であり、18である]、または
【化17】

[式中、03であり、18であり、18である]、または
【化18】

[式中、02である]を含む。ここで、それぞれ、Rは、独立して、水素(望ましい)であるか、または上記のZで定義された基から選択され、18であり、18であり、そしてhおよびiは示された通りである。
【0097】
アリーレンは、少なくとも2カ所で他の置換基と共有結合可能な芳香族性の基であり、下記:
【化19】

[式中、それぞれのRは、独立して、水素(望ましい)であるか、または上記のZで定義された基から選択され、そして0h4である]の例を含み、例えば
【化20】

である。
【0098】
ヘテロアリーレンは、少なくとも2つの部分を介して別の置換基と共有結合し得るヘテロ芳香族性の基であり、下記の例:
【化21】

[式中、03であり、そして03であり、そしてX=NR'{ここで、R'は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリールである}、O、またはSである]、または
【化22】

[式中、02であり、そしてX=NR'{ここで、R'は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリールである}、O、またはSである]、または
【化23】

[式中、03である]、または
【化24】

[式中、02である]を含む。
ここで、それぞれのRは、独立して、水素(望ましい)であるか、または上記のZで定義された基から選択され、そしてhおよびiは、示された通りである。例えば、Rは、下記の基である。
【化25】

【0099】
同様に、本発明は、下記:
【化26】

[式中、X=NR'{ここで、R'は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリールである}、O、またはSであり、
8であり、
8であり、そして
それぞれのRは、独立して、水素(望ましい)であるか、または上記のZで定義した基から選択される]のヘテロアリーレンに関する。
【0100】
一般的に、“アリール”という用語は、0から4個のヘテロ原子を含み得る5員環および6員環の単環式芳香族性基を含む基を含み、例えばベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどから誘導される基を含む。
【0101】
さらに、“アリール”という用語は、多環式アリールを含み、例えば、三環式、二環式、例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、またはインドリジンから誘導される基を含む。
環構造中にヘテロ原子を有するアリールは、また“アリールヘテロ環”、“ヘテロ環”、“ヘテロアリール”、または“ヘテロ芳香族”と呼ばれ得る。
【0102】
芳香環は、上記で定義した通りの置換基で、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル(例えばトリル)、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキル アミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキル アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロ環、アルキルアリール、または芳香族性もしくはヘテロ芳香族性部分で、1個以上の環の位置で置換され得る。
【0103】
アリールはまた、脂環式環 または芳香族性ではないヘテロ環式環と、縮合または架橋し、多環式環(例えばテトラリン)を形成し得る。
“ヘテロ環式”または“ヘテロ環”という用語は、ヘテロアリール、およびヘテロ原子または炭素ではない原子を組み込んで形成される何れかの環を含む。該環は、飽和であっても不飽和であってもよく、1個以上の二重結合を含み得る。望ましいヘテロ環の基の例は、ピリジル、フラニル、チオフェニル、モルホリニル、およびインドリルを含む。“ヘテロ原子”という用語は、炭素もしくは水素以外の何れかの原子を含む。望ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、およびリンである。
【0104】
“アリーレン”は、アリールから誘導される二価の部分である。
オリゴエーテル性の基、例えばオリゴ(アルキレンオキシド)は、ポリエチレングリコール(PEG)、および−[(CR)O](CR)−{ここで、16であり、そして16であり、そしてそれぞれのRは、独立して、水素(望ましい)、または上記のZで定義した基から選択される}を含むその短鎖のアナログを含む。
【0105】
アリーレン−ジ(オリゴアルキレンオキシド)は、それに結合している2個のオリゴアルキレンオキシド(順に別の部分に結合している)を有するアリールであり、下記の例:
【化27】

[式中、“アリール”は、アリーレン部分であり、16であり、06であり、そしてそれぞれのRは、独立して、水素(望ましい)、または上記のZで定義した基から選択される]を含む。望ましいアリーレン−ジ(オリゴアルキレンオキシド)は、
【化28】

[式中、16であり、06であり、04であり、そしてそれぞれのRは、独立して、水素(望ましい)、または上記のZで定義した基から選択される]を含む。
【0106】
“置換された”という用語は、その部分が、該分子がその意図された機能を有し得る、水素以外の部分に存在する置換基を有することを意味する。置換基の例は、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル(好ましくはC−C)、シクロアルキル(好ましくはC−C)、アルコキシ(好ましくは C−C)、チオアルキル(好ましくはC−C)、アルケニル(好ましくはC−C)、アルキニル(好ましくはC−C)、ヘテロ環、炭素環、アリール(例えばフェニル)、アリールオキシ(例えばフェノキシ)、アラルキル(例えばベンジル)、アリールオキシアルキル(例えばフェニルオキシアルキル)、アリールアセトアミドイル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、アルキルカルボニル、およびアリールカルボニルから選択される部分、または他のこのようなアシル、ヘテロアリールカルボニル、またはヘテロアリール、(CR'R")0−3NR'R"(例えば−NH)、(CR'R")0−3CN(例えば−CN)、NO、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、またはI)、(CR'R")0−3C(ハロゲン)(例えば−CF)、(CR'R")0−3CH(ハロゲン)、(CR'R")0−3CH(ハロゲン)、(CR'R")0−3CONR'R"、(CR'R")0−3(CNH)NR'R"、(CR'R")0−3S(O)1−2NR'R"、(CR'R")0−3CHO、(CR'R")0−3O(CR'R")0−3H、(CR'R")0−3S(O)0−3R'(例えば−SOH)、(CR'R")0−3O(CR'R")0−3H(例えば−CHOCHおよび−OCH)、(CR'R")0−3S(CR'R")0−3H(例えば−SHおよび−SCH)、(CR'R")0−3OH(例えば−OH)、(CR'R")0−3COR'、(CR'R")0−3(置換もしくは非置換フェニル)、(CR'R")0−3(C−Cシクロアルキル)、(CR'R")0−3COR'(例えば−COH)、または(CR'R")0−3OR'、または何れかの天然アミノ酸の側鎖
{ここでR'およびR"は、それぞれ独立して、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリールであるか、または
R'とR"は、一緒になって、ベンジリデンまたは−(CH)O(CH)−である}から選択される部分を含む。
好ましくは、置換基は、本発明の化合物の意図した機能を行う能力を、例えばアミロイド堆積物の形成を阻害する能力を強める。
【0107】
本発明の化合物において、m=1であり、そしてn=0、1、または2であることが望ましい。式Iの化合物において、好ましくはp=0、1、または2、そしてq=1である。式Iに記載の分子は対称であり、従ってRa1=Ra2、Rb1=Rb2、Rc1=Rc2、m=q、n=p、そしてY=Yである。同様に、式Iの分子において、R=Rであり、そしてX=Xであることが望ましい。
【0108】
本発明の望ましい化合物の1つのグループは、式Ia:
【化29】

[式中、Mは、
【化30】

であり;
望ましい態様において、Ra1とRb1は一緒になって、またはRa2とRa2は一緒になって、C−Cアルキレンを表し;
c1とRc2はHであり;
h1はHであり;そして
h2は、OCH、またはO(C)R{式中、RはHまたは低級−アルキルである}であり;そして
Xは、O、NR'{式中、R'は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキル、またはアリールである}、またはSである]の化合物である。
【0109】
望ましい式 Ia の化合物の別のグループにおいて、Ra1とRb1は一緒になって、またはRa2とRb2は一緒になって、C−直鎖飽和アルキレンを表し;
c1とRc2は、−(低級アルキル)−OHであり;そして
h1とRh2は、それぞれHである。Rc1とRc2の“低級アルキル”は、好ましくはエチレンである。
【0110】
式 Ia の望ましい化合物のさらに別のグループにおいて、Ra1とRb1は一緒になって、またはRa2とRb2は一緒になってC−アルキレンを表し;
c1とRc2は、H(望ましい)、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、またはアルキルアミノアルキルであり;
h1とRh2は、独立して、H(望ましい)、低級アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、またはアリールアルコキシからなる群から選択される。
【0111】
式 Ia の望ましい化合物のいっそう別のグループにおいて、Ra1、Ra2、Rb1、およびRb2は、Hであり;
c1とRc2は、イソプロピル、または−(CH)N(CH)であり;そして
h1とRh2はHである。
【0112】
式 Ia の望ましい化合物のさらなるグループにおいて、Ra1とRb1は一緒になって、またはRa2とRb2は一緒になって、フェニレン{所望により3個までの−CONHRNR (式中、Rは低級アルキルであり;そしてRとRは、それぞれ独立して、Hまたは低級アルキルからなる群から選択される) で置換されている}を表し;そしてRc1、Rc2、Rh1、およびRh2は、Hである。
式 Ia の特に望ましい化合物は、HであるRh1、Rh2、Rb1、Rc1、Rb2、およびRc2、およびヒドロキシまたはメトキシであるRa1とRa2を有する。
【0113】
望ましい化合物の別のグループは、式 Ib:
【化31】

[式中、Mは、
【化32】

であり;
Xは、O、NR'{式中、R'は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリールである}、またはSであり;
h1とRh2は、それぞれ独立して、H、低級アルキル、アリール、アルキルアリール、アミノアルキル、アミノアリール、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、またはオキシアリールアルキルからなる群から選択され;
とRは、それぞれ独立して、H、低級アルキル、アルコキシ、アルキルアリール、アリール、アリールオキシ、アミノアルキル、アミノアリール、またはハロゲンからなる群から選択され;そして
それぞれのRa1、Ra2、Rb1、およびRb2は、独立して、H、低級アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、シクロアルキル、アリール、ヒドロキシ、またはアルキルアリールからなる群から選択されるか、または
a1とRb1は一緒になって、またはRa2とRb2は一緒になって、C−C10アルキル、ヒドロキシアルキル、またはアルキレンを表し;そして
それぞれのRc1とRc2は、独立して、H、ヒドロキシ、低級アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルキル、アリール、またはアルキルアリールである]の化合物である。
【0114】
望ましい化合物の別のグループは、式 Ic:
【化33】

[式中、Mは、
【化34】

であり;
Xは、S、O、またはNR'{式中、R'は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリールである}であり;
b1、Rb2、Rc1、およびRc2は、それぞれ独立して、H、低級アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アリール、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、またはアルキルアミノアルキルからなる群から選択され;
とRは、H、低級アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、アリール、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、またはハロゲンであり;
a1とRa2は−OYであるか、またはRa1とRb1は一緒になって、またはRa2とRb2は一緒になって、
【化35】

{式中、Rは、
【化36】

(ここで、Yは、Hまたは低級アルキルである)である}を表し;
それぞれのXとXは、−(CH)−(ここで、nは0から2の整数である)であり;そして
h1とRh2は、それぞれ独立して、H、低級アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、またはオキシアリールアルキルからなる群から選択される]の化合物である。
【0115】
望ましい化合物のさらに別のグループは、式 Ic:
[式中、Mは−(CH)−{式中、nは2から16(または2から12、または2から10)の整数である}であり;
それぞれのXとXはO、NH、またはSであり;
a1、Ra2、Rb1、およびRb2はHであるか、または
a1とRb1は一緒になって、またはRa2とRb2は一緒になって、−(CH)−{式中、mは2、3、または4である}であり;
それぞれのRとRは、H、OCH、NO、またはNHであり;
c1とRc2は、H、CH、またはCHCHである]の化合物である。別の具体的態様において、XがOまたはSである場合、RとRc1の両者はHではあり得ず;
そしてXがOまたはSである場合、RとRc2の両者はHではあり得ない。
【0116】
望ましい化合物の別のグループは、式 Id:
【化37】

[式中、それぞれのRa1、Ra2、Rb1、およびRb2は、独立して、H、低級アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、シクロアルキル、アリール、またはアルキルアリールからなる群から選択されるか、
またはRa1とRb1の2つは一緒になって、またはRa2とRb2は一緒になって、C−C10アルキレンを表し;
c1とRc2は、独立して、H、ヒドロキシ、低級アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、シクロアルキル、アリール、またはアルキルアリールであり;そして
R'は、H、低級アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、シクロアルキル、アリール、またはアルキルアリールである]の化合物である。
【0117】
望ましい化合物の別のグループは、式 Ie:
【化38】

[式中、Mは、アルキレン(例えばC−C16)であり;そして
とXは、酸素である]の化合物である。
望ましい式 Ie の別のグループにおいて、Ra1とRb1は一緒になって、またはRa2とRb2は一緒になって、C−直鎖飽和アルキレンを表し;Rc1とRc2はHである。
【0118】
本発明の望ましい化合物の別のグループは、式 IIa:
【化39】

[式中、Eは、
【化40】

であり;
、Y、Z、およびRは、上記で定義した通りであり;
nは、0〜4であり;
は、好ましくはO、NH、S、置換もしくは非置換メチレンであるか、または直接結合であり;
Zは、水素原子であり得るか、またはZは、好ましくはアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アミノ、ニトロ、スルホ、またはハロゲンであり得;
a1、Rb1、およびRc1は、独立して、水素、低級アルキル、芳香族性、ヒドロキシル、またはアルコキシであり;そして
Bは、直接結合、または1から16個の炭素原子を含む置換もしくは非置換アルキレンであるか、またはビフェニレンであるか、またはビフェニレン−アルキレンの組み合わせであるか、−[(CH)O](CH)−{式中、mは1から6であり、そしてnは2から6である}であるか、またはヘテロ環である]の化合物である。
【0119】
式 IIb の化合物はまた、本発明中、
【化41】

[式中、n=2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり;そして
R=水素、ヒドロキシ、ハロゲン、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アルコキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、またはアリールオキシである]である。
【0120】
望ましい化合物の別のグループは、式 IIIa:
【化42】

[式中、Mは、
【化43】

であり;
Xは、S、O、またはNR'{式中、R'は、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリールである}であり;
a1、Ra2、Rb1、およびRb2は、それぞれ独立して、H、低級アルキル、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、またはアルキルアミノアルキルからなる群から選択されるか、またはRa1とRb1は一緒になって、またはRa2とRb2は一緒になって、C−C10アルキル、ヒドロキシアルキル、またはアルキレンを表すか、またはRa1とRb1は一緒になって、またはRa2とRb2は一緒になって、
【化44】

{式中、nは、1から3の数であり、そしてR10は、H、または−CONHR11NR1516(ここでR11は低級アルキルであり、そしてR15とR16は、それぞれ独立して、Hおよび低級アルキルからなる群から選択される)である}であり;そして
c1とRc2は、H、ヒドロキシ、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、アルコキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、アルコキシシクロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、またはアルキルアミノアルキルであり;
そしてRh1とRh2は、それぞれ独立して、H、低級アルキル、ハロゲン、アリール、アリールアルキル、アミノアルキル、アミノアリール、アルコキシ、アリールオキシ、またはオキシアリールアルキルからなる群から選択される]の化合物である。
【0121】
望ましい化合物のさらに別のグループは、式 IIIb:
【化45】

[式中、Ra1とRb1のペア、およびRa2とRb2のペアは、一緒になって、それぞれ−(CH)−(式中、mは、2から4である)を表し;
c1とRc2は、独立して、Hまたは低級アルキルであり;そして
M(低級アルキルで置換されていてもよい)は、−CH=CH−CH−CH−、−CH−CH=CH−CH−、および−CH=CH−CH=CH−からなる群から選択される]の化合物である。
【0122】
望ましい化合物の別のグループは、式 IIIc:
【化46】

[式中、RとRは、独立して、Hまたは−CONHRNR{式中、Rは、低級アルキルであり、RとRは、それぞれ独立して、Hおよび低級アルキルからなる群から選択される}であり;
a1、Ra2、Rb1、およびRb2は、独立して、H、低級アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、シクロアルキル、アリール、またはアルキルアリールからなる群から選択されるか、またはRa1とRb1は一緒になって、またはRa2とRb2は一緒になって、C−C10アルキレンを表し;
c1とRc2は、独立して、H、ヒドロキシ、低級アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、シクロアルキル、アリール、またはアルキルアリールであり;
c3とRc4は、独立して、H、ヒドロキシ、低級アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル,アルキルアミノアルキル、シクロアルキル、アリール、またはアルキルアリールであり;そして
R'は、H、低級アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、またはハロゲンである]の化合物である。
【0123】
別の具体的態様において、本発明は、アミロイド関連疾患を処置するための本明細書中の何れかの式の化合物を含む医薬組成物、および該医薬組成物の製造方法に関する。
【0124】
本発明の化合物は、in vivo で適切な分布を確実にするよう製剤化され得る。例えば、血液−脳関門(BBB)は、多くの親水性の高い化合物を排除する。より親水性の本発明の治療化合物を確かにBBBを通過させるためには、それらは、例えばリポソーム中に製剤化され得る。リポソームの製造方法については、例えば米国特許第 4, 522,811 号; 5,374,548 号; および 5,399,331 号を参照のこと。リポソームは、特定の細胞もしくは器官に選択的に輸送される1個以上の部分(“標的部分”)を含み、それによって標的化薬物送達を遂行し得る (例えば V. V. Ranade (1989) J. Clin. Pharmacol. 29:685 を参照のこと)。
【0125】
標的部分の例は、
葉酸塩またはビオチン (例えば米国特許第 5,416,016 号, Low et al.参照);
マンノシド (Umezawa et al. (1988) Biochem. Biophys. Res. Commun. 153: 1038);
抗体 (P. G. Bloeman et al. (1995) FEBS Lett. 357 :140 ; M. Owais et al. (1995) Antimicrob. Agents Chemother.39 :180);
界面活性蛋白質A受容体 (Briscoe et al. (1995) Am. J. Physiol. 1233: 134);
gp120 (Schreier et al. (1994) J. Biol. Chem. 269: 9090); また K.Keinanen ; M. L.Laukkanen (1994) FEBS Lett. 346: 123; J.J. Killion; I. J.Fidler (1994) Immunomethods 4: 273 を参照のこと)
を含む。望ましい具体的態様において、本発明の治療化合物は、リポソーム中に製剤化され、より望ましい具体的態様において、リポソームは、標的部分を含む。
【0126】
確かに本発明の化合物をBBBに通過させるために、それらはBBB輸送ベクターと結合され得る (BBB輸送ベクターとメカニズムのレビューについては Bickel, et al., Adv. Drug Delivery Reviews, vol. 46, pp. 247-279, 2001 を参照のこと)。輸送ベクターの例は、カチオン化されたアルブミン、またはトランスフェリン受容体に対するOX26モノクローナル抗体を含む。これらの蛋白質は、それぞれ、BBBを通して吸収介在および受容体介在の経細胞輸送を行う。
【0127】
脳への受容体介在輸送システムを標的とした別のBBB輸送ベクターの例は、インシュリン、インシュリン様成長因子(IGF−I、IGF−II)、アンジオテンシン II、心房および脳ナトリウム利尿ペプチド(ANP、BNP)、インターロイキン I(IL−1)、およびトランスフェリンなどの因子を含む。これらの因子と結合する受容体に対するモノクローナル抗体はまた、BBB輸送ベクターとして用いられ得る。吸収介在経細胞輸送におけるBBB輸送ベクター標的メカニズムは、例えばポリリジン、カチオン化されたアルブミン、またはカチオン化された免疫グロブリンと結合した、カチオン化されたLDL、アルブミン、または西洋ワサビ ペルオキシダーゼなどのカチオン性部分を含む。ダイノルフィン・アナログ E−2078、およびACTHアナログ エビラチドなどの小さい塩基性オリゴペプチドは、吸収介在経細胞輸送を介して脳に渡し得、そして可能性のある輸送ベクターである。
【0128】
別のBBB輸送ベクターは、脳へ栄養を輸送するためのシステムを標的とする。このようなBBB輸送ベクターの例は、ヘキソース部分を含み、例えばグルコース、モノカルボン酸(例えば乳酸)、天然のアミノ酸(例えばフェニルアラニン)、アミン(例えばコリン)、塩基性アミノ酸(例えばアルギニン)、ヌクレオシド(例えばアデノシン)、プリン塩基(例えばアデニン)、および甲状腺ホルモン(例えばトリヨードチリジン(thyridine))を含む。栄養トランスポーターの細胞外ドメインに対する抗体はまた、輸送ベクターとして用いられ得る。別の可能性のあるベクターは、アンジオテンシン II およびANPを含む。これらはBBB透過性を制御することに関与し得る。
【0129】
幾つかの場合において、治療化合物を輸送ベクターに結合する結合は、生物学的に活性な化合物を遊離させるために脳への輸送の後切断され得る。リンカーの例は、ジスルフィド結合、エステルをベースとした結合、チオエーテル結合、アミド結合、酸に不安定な結合、およびシッフ塩基結合を含む。アビジン/ビオチン・リンカー(ここでアビジンはBBB薬物輸送ベクターに共有結合している)もまた、用いられ得る。アビジンそれ自身が、薬物輸送ベクターであり得る。
【0130】
治療化合物を非経腸投与以外によって投与するために、本化合物を、その不活性化を妨げる物質で、コートするか、またはそれと共に投与する必要があり得る。例えば、治療化合物を、適切な担体(例えばリポソーム)または希釈剤中で、対象に投与し得る。薬学的に許容される希釈剤は、食塩水および水性緩衝溶液を含む。リポソームは、水中油中水型CGF乳液、および慣用のリポソームを含む(Strejan et al. (1984) J. Neuroimmunol. 7: 27)。
【0131】
治療化合物はまた、非経腸で、腹腔内で、脊髄内で、または脳内で投与され得る。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中で、および油中で製造され得る。保存および使用の通常条件下では、これらの製剤は、微生物の成長を妨げるために保存料を含み得る。
【0132】
注射可能な使用に適切な医薬組成物は、滅菌処理された水溶液(水に可溶な場合)または分散液、および滅菌処理された注射可能な溶液もしくは懸濁液を即時に製造するための滅菌処理された粉末を含む。全ての場合において、組成物は、滅菌処理されていなければならず、かつ容易に注射器に充填され得る程度の流体でなければならない。それは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、かつバクテリアおよび真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されていなければならない。
【0133】
賦形剤は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレン グリコール、および液体ポリエチレン グリコールなど)、その適切な混合物、およびベジタブル・オイルを含む、溶媒もしくは分散液の媒体であり得る。コーティング(例えばレシチン)の使用によって、分散液の場合は、求められる粒子サイズの保持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性を保持し得る。微生物の作用からの保護は、様々な抗微生物剤および抗菌剤(例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど)によって達成され得る。多くの場合において、組成物中に、等張剤(例えば糖、塩化ナトリウム、またはポリアルコール(例えばマンニトールおよびソルビトール))を含むことが望ましい。注射可能な組成物の延長された吸収は、組成物中に、吸収を遅らせる薬剤(例えばモノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンなど)を含むことによって、達成され得る。
【0134】
適切な注射可能な溶液は、適切な溶媒中で、求められる量の治療化合物を、上記で列挙した成分の1つもしくはその組み合わせと組み合わせ、その後必要であれば滅菌濾過することによって製造され得る。一般的に、上記で列挙した基本的な分散液媒体および求められる他の成分を含む、滅菌された賦形剤と治療化合物を組み合わせることによって製造される。滅菌処理された注射可能な溶液を製造するための滅菌処理された粉末の場合において、望ましい製造方法は、活性成分(すなわち治療化合物)に加えて何れかのさらなる望ましい成分の粉末を、その前述の滅菌濾過した溶液から得る、真空乾燥および凍結乾燥である。
【0135】
治療化合物は、例えば不活性な希釈剤または吸収可能な食用担体と共に、経口で投与され得る。治療化合物および他の成分はまた、硬もしくは軟ゼラチンカプセル中に封入され得、錠剤に打錠され得、または対象の食事に直接混合され得る。経口治療投与において、治療化合物は、賦形剤と組み合わせられ得、そして摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウェハーなどの形態で用いられ得る。組成物中の治療化合物のパーセンテージおよび製造法は、当然に変化させ得る。該治療有用組成物中の治療化合物の量は、適切な投与を得る量である。
【0136】
投与を容易にするために、そして投与の均一化のために、単位投与系中の非経腸の組成物を製剤化することが特に有益である。本明細書中で用いられる単位投与形は、処置される対象に1つの投与形として適切な物理学的に別個の単位を言い、ここで、それぞれの単位は、必要な薬学的賦形剤と組み合わせて、望ましい治療効果を生じるよう計算された治療化合物を、前もって定められた量で含む。本発明の単位投与形に対する詳細は、
(a)治療化合物および達成されるべき特定の治療効果の独特の性質;および
(b)対象におけるアミロイド堆積の処置のための治療化合物の混合の分野に固有の制限;
に従い、またそれに直接依存する。
【0137】
本発明は、従って、エアゾール、経口および非経腸の投与のための、薬学的に許容される担体中の、本明細書中で記載の式の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)を含む医薬製剤を含む。また、本発明は、凍結乾燥されており、かつ、静脈内、筋肉内、または皮下注射による投与のための薬学的に許容される製剤を形成するよう再構成され得る該化合物またはその塩を含む。投与はまた、皮内であっても経皮であってもよい。
【0138】
本発明に従って、本明細書で記載の式の化合物およびその薬学的に許容される塩を、固体として経口もしくは吸入によって投与され得るか、または溶液、懸濁液、もしくは乳液として、筋肉内にまたは静脈内に投与され得る。あるいは、本化合物またはその塩は、吸入によって、リポソーム懸濁液として、静脈内でまたは筋肉内で、投与され得る。
【0139】
エアゾール製剤として吸入によって投与するのに適切な医薬製剤をまた提供する。これらの製剤は、本明細書中の何れかの式の望ましい化合物またはその塩の溶液もしくは懸濁液、または本化合物または塩の複数の固体粒子を含む。望ましい製剤は、小さいチャンバー中に入れられ、霧状にされ得る。霧状化は、本化合物または塩を含む複数の液滴または固体粒子を形成するために、圧縮空気または超音波エネルギーによって達成され得る。液滴または固体粒子は、約0.5から約5ミクロンの範囲の粒子サイズを有するべきである。固体粒子は、本明細書中に記載された何れかの式の固体の化合物もしくはその塩を、当業界で周知の何れかの適切な方法で、例えば微細化によって、加工することによって得られる。最も好ましくは、固体粒子または液滴のサイズは、約1から約2ミクロンである。この点において、市販のネブライザーは、この目的を達成するために利用可能である。
【0140】
好ましくは、エアゾールとして投与するのに適切な医薬製剤が液体の形態である場合、製剤は、水に可溶な 本明細書中に記載された何れかの式の化合物またはその塩を、水を含む担体に含む。霧状化にかけた場合に、望ましいサイズ範囲の液滴の形成をもたらすのに十分な程製剤の表面張力を減少させる界面活性剤が存在し得る。
【0141】
活性な化合物は、対象において、アミロイド堆積を阻害するのに十分な治療上効果的な量で投与される。“治療上効果的な量”は、処置しない対象と比較して、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、いっそうより好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも約80%まで、少なくともアミロイド堆積を阻害する。アルツハイマー病の患者の場合において、“治療上効果的な”量は、認識機能を安定化するか、またはさらなる認識機能の減少を妨げる(すなわち疾患の進行を妨げる、遅らせる、または止める)。
【0142】
化合物のアミロイド堆積を阻害する能力は、ヒトの疾患においてアミロイド堆積を阻害するのに有効であると予測され得る動物モデル系で、例えばヒトのAPPを発現するトランスジェニック・マウスで、またはAβ堆積が見られる他の関連の動物モデルで評価され得る。同様に、化合物のモデル系における認識障害を予防するまたは減少させる能力は、ヒトに有効であり得る。あるいは、化合物の能力は、in vitro でアミロイド原繊維の形成を阻害する化合物の能力を試験することによって、例えばThT、CD、またはEMアッセイを含む、本明細書中で記載されている原繊維形成アッセイを用いて、評価され得る。アミロイド原繊維への化合物の結合もまた、本明細書中で記載したように、MSアッセイを用いて測定され得る。
【0143】
本発明は、また、本明細書で開示した式の化合物のプロドラッグに関する。プロドラッグは、in vivo で活性な形態に変換される化合物である (例えば R. B. Silverman, 1992, "The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action," Academic Press, Chp. 8 を参照のこと)。プロドラッグは、体内分布を変えるために (例えばプロテアーゼの反応部位を典型的に入らない化合物とする)、または特定の化合物の薬物動態学的性質を変えるために用いられ得る。例えば、カルボン酸基は、例えばメチル基またはエチル基でエステル化され、エステルを得る。該エステルを対象に投与した場合、エステルは、酵素で、または酵素以外で、還元的に、酸化的に、または加水分解的に切断され、アニオン性の基を示す。アニオン性の基は、その後分解して活性な化合物を得る中間体化合物を示すよう切断される部分(例えばアシルオキシメチル エステル)でエステル化され得る。プロドラッグ部分は、エステラーゼによって、またはカルボン酸への他のメカニズムによって、in vivo で代謝され得る。
【0144】
プロドラッグおよびその使用の例は、当業界で周知である (例えば Berge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci. 66: 1-19 を参照のこと)。プロドラッグは、該化合物の最終的な単離および精製の間にそのままで、または、別に、精製されたその遊離酸の形態の化合物を、適切な誘導化剤と反応させることによって製造され得る。カルボン酸は、触媒の存在下で、アルコールで処理することによって、エステルに変換され得る。
【0145】
切断可能なカルボン酸プロドラッグ部分の例は、置換および非置換の、分枝もしくは分枝ではない低級アルキル エステル部分(例えばエチル エステル、プロピル エステル、ブチル エステル、ペンチル エステル、シクロペンチル エステル、ヘキシル エステル、シクロヘキシル エステル)、低級アルケニル エステル、ジ低級アルキル−アミノ低級アルキルエステル(例えばジメチルアミノエチル エステル)、アシルアミノ 低級アルキル エステル、アシルオキシ 低級アルキル エステル(例えばピバロイルオキシメチル エステル)、アリール エステル (フェニル エステル)、アリール−低級アルキルエステル(例えばベンジル エステル)、置換された(例えばメチル、ハロ、またはメトキシ置換基で置換された)アリールおよびアリール−低級アルキルエステル、アミド、低級アルキル アミド、ジ低級アルキル アミド、およびヒドロキシ アミドを含む。
【0146】
本発明の幾つかの化合物の構造は、立体異性の炭素原子を含むことについて言及する。このような不斉から生じる異性体(例えば全てのエナンチオマーおよびジアステレオマー)は、別記しない限り、本発明の範囲に含まれると解されるべきである。明記しない限り、何れのキラルの炭素中心も、(R)もしくは(S)−立体化学の何れかであり得る。このような異性体は、古典的な分離方法によって、および立体学的に制御された合成によって、実質的に純粋な形態で得られる。さらに、アルケンは、適切であれば、EもしくはZ−幾何異性体の何れも含み得る。
【0147】
本発明の化合物の特定の具体的態様において、塩基性官能基(例えばアミノもしくはアルキルアミノ)を含み得、従って、薬学的に許容される酸と、薬学的に許容される塩を形成し得る。“薬学的に許容される塩”という用語は、この態様において、本発明の化合物の、比較的毒性のない無機および有機酸付加塩を言う。これらの塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間にそのままで、または、別に、精製した遊離塩基の形態の本発明の化合物を適切な有機酸もしくは無機酸と反応させることによって、製造され得る。
【0148】
代表的な塩は、ハロゲン化水素塩(臭化水素酸塩および塩酸塩)、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩(napthylate)、メシレート、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩、およびラウリル硫酸塩などを含む(例えば Berge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm, Sci. 66: 1-19 を参照のこと)。
【0149】
別の場合において、本発明の化合物は、1個以上の酸性の官能基を含み得、従って、薬学的に許容される塩基と、薬学的に許容される塩を形成し得る。“薬学的に許容される塩”という用語は、これらの例において、本発明の化合物の、比較的毒性のない無機および有機塩基付加塩を言う。
【0150】
これらの塩は、本化合物の最終的な単離および精製の際にそのままで、または、別に、精製された遊離酸の形態の化合物を、適切な塩基と、例えば薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物塩、炭酸塩、または重炭酸塩と、アンモニアと、または薬学的に許容される有機第1級、第2級、もしくは第3級アミンと反応させることによって製造され得る。代表的なアルカリもしくはアルカリ土類金属塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム塩などを含む。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンは、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどを含む。
【0151】
当業者は、それ以上の慣例の実験を用いることなく、または本明細書中で記載した特定の具体的態様および方法における多くの均等物を認識するまたは確かめ得る。該均等物は、下記の請求の範囲に含まれることが意図されている。本明細書で引用した全ての特許、特許明細書、および文献は、その全体が、言及することによって、明らかに組み込まれている。本発明は、さらに下記の実施例(これに制限されると考えるべきではない)によって例示される。
【実施例】
【0152】
本発明のアミジン化合物の合成は、米国特許第 5,428,051号、4,963,589号、5,202,320号、5,935,982号、5,521,189号、5,686,456号、5,627,184号、5,622,955号、5,606,058号、5,668,167号、5,667,975号、6,025,398号、6,214,883号、5,817,687号、5,792,782号、5,939,440号、6,017,941号、5,972,969号、6,046,226号、6,294,565(B1)号、6,156,779号、6,326,395号、6,008,247号、6,127,554号、6,172,104号、4,940,723号、5,206,236号、5,843,980号、4,933,347号、5,668,166号、5,817,686号、5,723,495号、4,619,942号、5,792,782号、5,639,755号、5,643,935号、5,602,172号、5,594,138号、および 5,578,631号に記載されている。化合物の多くはまた、Sigma-Aldrich Co. (Milwaukee, USA) から購入され得る。本化合物はまた、当分野の認識されている技術に従って合成され得る。
【0153】
試験化合物を、商業的ソースから購入し、または合成し、チオフラビン T 蛍光アッセイ(“ThTアッセイ”)によってスクリーニングした。あるいは、円二色性(“CD”)、電子顕微鏡(“EM”)、または質量分析(“MS”)アッセイによって、試験化合物をスクリーニングした。MSアッセイは、化合物がアミロイド蛋白質に結合する能力についてデータを示し、一方ThT、EM、およびCDアッセイは、原繊維形成の阻害についてデータを示す。
【0154】
原繊維形成におけるチオフラビン T 蛍光アッセイは、蛍光色素であるチオフラビン Tが原繊維に特異的に結合し、凝集していないAβペプチドに結合しないという原理に基づいている(LeVine III, H., 1993, Protein Science 2:404-410)。結合の後に、チオフラビン Tは、容易に検出し得る特徴的な蛍光を発する (Naiki, H., et al. , 1996, Lab. Invest. 74: 374-383)。色素は、全てのアミロイドの共通の構造モチーフである重なった交差状−βプリーツシートと相互作用すると考えられている (LeVine III, H., 1995, Amyloid: Int. J.Exp. Clin Invest. 2: 1.6)。チオフラビン Tは、Aβペプチドおよび他のアミロイド蛋白質の原繊維形成に対する化合物の効果をアッセイするために広く用いられる(Bronfman, P. C., et al. , 1995, Neuroscience Lett. 218:201-203)。このアッセイにおいて、試験化合物は、5μM チオフラビン T、0.02M Tris/0.02M アセテート/0.15M NaCl/0.005% アジド(pH 7.40)を含む、Aβ(1−40) (20μM)またはIAPP(10μM)の溶液と共に、密封した 384 well microplate 中で、37℃でインキュベートする。測定(励起 430nm/放出 485nm)は、microplate fluorescence reader で、様々な時間間隔で行う。蛍光の増大は、図に例示したように、アミロイドもしくはアミロイド生成における中間体の発現を意味する(一般的に、ThTの蛍光が原繊維に結合した際により大きくなるために、原繊維形成を阻害する化合物はアッセイの蛍光がより低い)。
【0155】
プロトコル:Aβペプチド:Aβ(1−40) 純度95%(American Peptide Company, Inc, Sunnyvale, Cal. USA)を、トリフルオロ酢酸中で脱凝集させ、0.02μmフィルター(Whatman Anotop 25 plus, 0.02μm, カタログ番号 6809 4102)で、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中で濾過する。HFIP中600μMのAβ(1−40)またはIAPPの溶液を−80℃で保存する。アッセイ混合物:混合物を、the 384 well microplate (Corning Costar cat. 3705)に添加した際に合わされる2つの溶液として調製する。
i)溶液Aは、0.02M Tris/0.02M アセテート/0.15M NaCl/0.01% アジド(pH 7.40)中の試験化合物または緩衝液のみ(コントロール)からなる。
ii)溶液Bは、0.02M Tris/0.02M アセテート/0.15M NaCl(pH 7.40)中の、Aβ(1−40) 40μM、またはIAPP 20μM、チオフラビン T 10mMからなる。この溶液は、窒素下でAβを乾燥し、次に0.04MのTris塩基中でこれを15分間超音波処理して再度懸濁することによって調製する。等体積の0.3M NaClを含む0.04M 酢酸を加え、溶液を7.40±0.02に調節する。少量の20mM チオフラビン Tを溶液に加え、最終濃度5μMのチオフラビン Tを得る。
iii)マイクロプレートに40μLの溶液Aを入れ、次に40μLの溶液Bを入れ、0.02M Tris/0.02M アセテート/0.15M NaCl/0.005% アジド(pH 7.40)中の、最終濃度20μM Aβ(1−40)または10μM IAPP、5μM チオフラビン T、および示された濃度の試験化合物を得る。
【0156】
プレートを密封し、microplate fluorescence reader にかけた。蛍光測定分析:The HTS-7000 Bio Assay Reader, Perkin Elmer を用いて、約1日の速度論的測定を行った。測定は、15分間隔で、それぞれの測定の前に1分間振盪して行った。Bandpassフィルターを用いた(励起 430nm, 放出 485mm)。
【0157】
同様に、電子顕微鏡(“EM”)アッセイにおいて、それぞれの試料を1分間超音波処理し、試験前に大きな塊を壊した。試料(5μlのアリコート)を、新たに切り出した雲母上に置いて空気乾燥した。雲母を Balzers High-vacuum, Freeze-Etch Unit (model 301) 中に置き、白金で陰を作り(30°の角度で)、そして炭素フィルムでコートした。レプリカを浮かせることによって雲母から除き、300メッシュの銅網に移した。試料を Joel 2000 FX transmission electron microscope を用いて試験した。
【0158】
円二色(“CD”)アッセイにおいて、試料を、光路長0.1cmの石英キュベットに移し、Jasco J-715 spectropolarimeter を用いてCDスキャンを行った。測定を、37℃で、190から240nmの間で、解像度0.1nmで、そしてバンド幅1nmで行った。
【0159】
質量分析(“MS”)において、試料を、20%のエタノール、200μMの試験化合物、および20μMの可溶化されたAβ40を含む水溶液として製造した。それぞれの試料のpHの値を、0.1%の水性水酸化ナトリウムを添加することによって、7.4(±0.2)に調節した。次に溶液を、エレクトロスプレーイオン化質量分析によって、Waters ZQ 4000 massspectrometer を用いて分析した。試料を、25μl/分の流速で、2時間以内で、直接注入によって導入した。全ての分析において、ソースの温度を70℃に保ち、コーンの電圧を20Vとした。データを Masslynx 3.5 software を用いて加工した。MSアッセイは、化合物がAβに結合する能力についてのデータを示し、一方ThT、EM、およびCDアッセイは、原繊維形成の阻害についてのデータを示す。
【0160】
幾つかの本発明の選択された化合物を以下の表2に示す。特定の塩(例えば塩酸塩)を描くが、遊離塩基および他の薬学的に許容される塩は、本発明の範囲内である。
【0161】
表2:可溶性Aβアッセイにおける本発明の幾つかの化合物の構造および活性
【表2】

【0162】
【表3】

【0163】
【表4】

【0164】
【表5】

【0165】
【表6】

【0166】
【表7】

【0167】
【表8】

【0168】
【表9】

【0169】
【表10】

【0170】
【表11】

【0171】
【表12】

【0172】
【表13】

【0173】
【表14】

【0174】
【表15】

【0175】
【表16】

【0176】
【表17】

示したそれぞれのアッセイにおいて、"+"= 活性; "-" = 不活性; "pr" = 促進; "nd" または空欄 = 測定せず。
【0177】
表3の化合物はまた、本明細書中に記載された方法に従って用いられ得る。
表3:本発明の方法に使用するためのさらなる例示的な化合物
【化47】

【0178】
【化48】

【0179】
【化49】

【0180】
【化50】

【0181】
【化51】

【0182】
下記のチャートは、ThTアッセイの結果である。
【化52】

【表18】

【0183】
【化53】

【表19】

【0184】
本発明はまた、新規化合物およびその合成に関する。それ故に、下記の実施例は、幾つかの化合物をどのように製造するかを例示するために示される。
【0185】
一般事項
薬品は、Aldrich から購入した。分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)を、シリカゲル 60F254 プラスチック背面プレートで行った。溶媒は、特記しない限り、試薬等級であった。H(500MHz)と13C(125MHz)を、Varian Innova 500 で記録した。化学シフトを、δのスケールで、百万分率(ppm)で記録した。赤外吸収(IR)スペクトルは、Perkin-Elmer Spectra One spectrometer (無操作化合物, NaClプレート上)で測定した。
【0186】
1,4−ビス(4−アミジノアニリノ)ブタン
【化54】

【0187】
段階1:1,4−ビス(4−シアノアニリノ)ブタン
【化55】

4−フルオロベンゾニトリル(3g, 0.025mol)と、1,4−ジアミノブタン(0.6g, 0.006mol)と、トリエチルアミン(5ml)と、DMSO(16ml)の混合物を、150℃で、3時間撹拌しながら加熱した。次に混合物を凍らせた水(250ml)に注ぎ、沈殿物を濾過によって集めた。粗生成物(0.58g)を、DMSO/HO(6:1)から再結晶し、生成物を明黄色の固体として得た(0.48g, 収率27.6%)。
【0188】
段階2:1,4−ビス(4−アミジノアニリノ)ブタン
【化56】

【0189】
エタノール(30ml)とジオキサン(10ml)中の、1,4−ビス(4−シアノアニリノ)ブタン(0.44g, 1.52mmol)の混合物を、0℃まで冷却し、HClガスで飽和させた。得られた混合物を、室温で、IRが2200cm−1でのニトリルの吸収ピークを示さなくなるまで撹拌した。ジエチルエーテル(100ml)を加え、形成した沈殿物を集め、ジエチルエーテルで洗浄した。得られた固体を50mlの丸底フラスコに入れた。エタノール性アンモニア(2M, 30ml)をシリンジを介してゆっくりと加えた。得られた混合物を3時間還流し、次に室温まで冷却した。ジエチルエーテル(100ml)を加え、沈澱を誘発させた。形成した沈殿物を集め、エーテルで洗浄し、HOから再結晶し、0.50gの生成物を得た(収率99%)。
【0190】
線状ジベンゾアミジンおよびジイミダゾリノ化合物
【化57】

【0191】
段階1:α,ω−ビス(4−シアノフェノキシ)アルカン
ナトリウム(1.2g, 0.05mol)を小片に切り、乾燥エタノール(40ml)の溶液に、撹拌しながらゆっくりと加えた。ナトリウムを完全に溶解した後、4−シアノフェノール(6g, 0.05mol)を加え、次に1,4−ジブロモブタン(5.4g, 0.025mol)を滴下した。得られた混合物を撹拌しながら1〜2日間還流し、室温まで冷却した。反応物中に形成された白色の固体を減圧濾過によって集め、水で洗浄し、真空下で乾燥した。得られた生成物:1,4−ビス(4−シアノフェノキシ)ブタン(7.18g, 98%収率)を、精製することなく次の段階に直接用いた。n=3、5、6、7、8、9、および10を有する同様の化合物を製造し、収率は70〜95%の範囲であった。該化合物のH−および13C−NMRは、該構造と矛盾しなかった。
【0192】
段階2:ジベンゾアミジンおよびジイミダゾリノ化合物
α,ω−ビス(4−シアノフェノキシ)アルカン(3.42mmol)と、ジオキサン(15ml)と、エタノール(40ml)の混合物を、0℃まで冷却した。乾燥HClガスを飽和するまで混合物に通気した。混合物を室温でIRの2200cm−1でのニトリルの吸収が消失するまで撹拌した。ジエチルエーテル(100ml)を加え、白色の沈殿物が形成した。沈殿物を減圧濾過によって集め、ジエチルエーテルで洗浄し、50mlの丸底フラスコに入れた。エタノール性アンモニア溶液(2M, 30ml;ジベンゾアミジンの製造において)、またはMeOH中エチレンジアミン(1.5M, 30ml;ジイミダゾリノ化合物の製造において)を、シリンジを介してゆっくりと加えた。得られた混合物を撹拌しながら3時間還流した。混合物を室温まで冷却した後、ジエチルエーテル(100ml)を加えた。形成した白色の沈殿物を集め、ジエチルエーテルで洗浄した。固体をHCl(2N)で再結晶し、望ましい生成物を得た。n=3〜10を有するジベンゾアミジン化合物を製造し、その収率は60〜85%の範囲であった。n=4〜10を有するジイミダゾリノ化合物を製造し、その収率は50〜92%の範囲であった。
【0193】
1−(4−アミジノ)フェノキシ−8−ブロモオクタン臭化水素酸塩
【化58】

【0194】
段階1:1−(4−シアノ)フェノキシ−8−ブロモオクタン
100mlの丸底フラスコ中に、4−シアノフェノール(2.38g, 20mmol)と、KCO(無水物, 25mmol)と、DMF(50ml)を入れた。混合物を室温で30分間撹拌した。混合物が濁ったら、8−ブロモオクタノール(20mmol)を、シリンジを介して滴下した。次に混合物を5時間還流し、室温まで冷却し、凍らせた水(200ml)に注いだ。白色の沈殿物が形成し、それを減圧濾過によって集めた。純粋な生成物を、シリカゲルのフラッシュ・カラム・クロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン中20〜40%酢酸エチル)にかけた後、白色の固体として得た(4.1g, 収率88.7%)。
【0195】
段階2:8−(4−アミジノフェノキシ)オクタノール
対応するアミジン化合物は、上記と類似の方法で、飽和エタノール性塩化水素溶液とエタノール性アンモニアで連続して処置することによって得られた。
【0196】
段階3:1−(4−アミジノフェノキシ)−8−ブロモオクタン臭化水素酸塩
50mlの丸底フラスコ中に、8−(4−アミジノフェノキシ)オクタノール(2.14g, 6.8mmol)と、ジクロロメタン(30ml)を入れた。混合物を0℃まで冷却し、PBr(3.4mmol, 0.5当量)をシリンジを介して滴下した。次に混合物を終夜室温で撹拌した。白色の固体出発物質を徐々に溶解し、ジクロロメタンと混和し得ない黄色の油相にした。反応完了時、水を加えて反応をクエンチし、ジクロロメタンを減圧下で蒸発させ、白色の固体を粗生成物として得た。シリカゲルのフラッシュ・カラム・クロマトグラフィー(溶出液:CHCl/MeOH/AcOH 94/5/1)にかけ、次にHBr/CHCN(2N)から再結晶した後、純粋な生成物を得た(白色の固体, 780mg, 収率31%)。
【0197】
9−(4−アミジノフェノキシ)ノナン酸塩酸塩
【化59】

【0198】
段階1:9−(4−シアノフェノキシ)ノナノール
100mlの丸底フラスコ中で、4−シアノフェノール(2.38g, 20mmol)と、KCO(無水物, 25mmol)を、DMF(50ml)に混合した。混合物を室温で30分間撹拌した。混合物が濁ったら、9−ブロモノナノール(20mmol)を、シリンジを介して滴下した。次に混合物を5時間還流し、室温まで冷却し、凍らせた水(200ml)に注いだ。形成した白色の沈殿物を減圧濾過によって集めた。シリカゲルのフラッシュ・カラム・クロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン中20〜40%酢酸エチル)にかけた後、純粋な生成物を白色の固体として得た(4.8g, 収率98%)。
【0199】
段階2:9−(4−シアノフェノキシ)ノナン酸
DMF(50ml)中の9−(4−シアノフェノキシ)ノナノール(2.5g, 10.2mmol)の溶液に、PDC(19g, 61mmol, 6当量)を加えた。混合物を50℃で終夜撹拌し、室温まで冷却し、凍らせた水(150ml)に注いだ。混合物を酢酸エチル(4×50ml)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。シリカゲルのフラッシュ・カラム・クロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン中25〜50%酢酸エチル)にかけて精製し、生成物を白色の固体として得た(1.65g, 収率62%)。
【0200】
段階3:9−(4−シアノフェノキシ)ノナン酸, エチルエステル
100mlの丸底フラスコ中で、塩化チオニル(0.88ml, 12mmol)を、無水エタノール(50ml)に加えた。混合物を10分間撹拌し、次に9−(4−シアノフェノキシ)ノナン酸(1.65g, 6.02mmol)を一度に加えた。反応物をTLCによってモニターした。反応完了後、エタノールを減圧下で除去した。エーテル(100ml)と飽和重炭酸ナトリウム溶液(100ml)を加えた。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸留させた後白色の固体として生成物を得た(1.6g, 収率87.7%)。
【0201】
段階4:9−(4−アミジノフェノキシ)ノナン酸塩酸塩
9−(4−シアノフェノキシ)ノナン酸エチルエステル(1.6g, 5.28mmol)を、密閉した100mlの丸底フラスコ中で、エタノールとジオキサンの混合物(50/10ml)に溶解した。混合物を、0℃で、HCl(g)で飽和させ、IRが2200cm−1でのニトリルの吸収を示さなくなるまで、室温で撹拌した。エタノール/ジオキサンを減圧下で除去し、エーテル(100ml)を加えて沈澱を誘発させた。沈殿物を集め、直接乾燥した100mlのフラスコに入れた。エタノール性アンモニア(2M, 40ml)をシリンジを介して加えた。混合物を3時間還流し、その後溶媒を蒸発させ、エーテルを添加し沈澱を誘発させた。形成した固体を集め、HCl(2N)から再結晶した。最終生成物を無色の針状結晶として得た(0.56g, 32.3%)。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) :11.96 (s, 1H), 9.16 (s, 2H), 8.85 (s, 2H), 7.80 (d, 2H, J= 8.5 Hz), 7.13 (d, 2H, J= 8.5 Hz), 4.06 (t,2H, J= 6.5 Hz), 2.18 (t, 2H, J= 7.5Hz), 1.73-1.70 (m, 2H), 1.49-1.46 (m, 2H), 1.40-1.38 (m, 2H), 1.30-1.27 (m, 6H);
13C NMR (125 MHz, DMSO-d6) : 174.46, 164.71, 163.08, 130.15, 119.23, 114.74, 68.08, 33.66, 28.66, 28.57, 28.47, 28.40, 25.34, 24.46.
【0202】
幾つかの置換されたペンタアミジン
【化60】

【0203】
段階1:1,5−ビス(4−シアノ−2−メトキシフェノキシ)ペンタン
【化61】

ナトリウム(0.3g, 0.014mol)を小片に切り、撹拌しながら、乾燥エタノール(30ml)の溶液に、ゆっくりと加えた。ナトリウムが完全に溶解した後、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンゾニトリル(2g, 0.013mol)を加え、次に1,5−ジブロモペンタン(0.9ml, 0.007mol)を滴下した。得られた混合物を2日間撹拌しながら還流し、室温まで冷却した。混合物中の明褐色の沈殿物を集め、水で洗浄し、真空下で乾燥させた。得られた生成物(1.45g, 73%)を、精製することなく次の段階に直接用いた。該化合物のH−および13C−NMRは、該構造と矛盾しなかった。
【0204】
段階2:対応するペンタアミジン
置換1,5−ビス(4−シアノフェノキシ)ペンタン(この例において、R=メトキシ、そしてR=水素)(1.8g, 4.91mmol)と、ジオキサン(15ml)、とエタノール(50ml)の混合物を、0℃まで冷却した。乾燥HClガスを混合物に飽和するまで通気した。IRが2200cm−1でのニトリルの吸収を示さなくなるまで、混合物を室温で撹拌した。ジエチルエーテル(100ml)を加え、形成した白色の沈殿物を減圧濾過によって集め、ジエチルエーテルで洗浄した。得られた白色の固体を50mlの丸底フラスコに入れ、アンモニア−エタノール溶液(2M, 30ml)をシリンジでゆっくりと加えた。得られた混合物を撹拌しながら3時間還流した。混合物を室温まで冷却した後、ジエチルエーテル(100ml)を加え、白色の沈殿物が形成した。沈澱を集め、ジエチルエーテルで洗浄した。固体を2N HC1から再結晶し、望ましい生成物を得た(0.92g, 40%収率)。似た方法で、R=臭素、そしてR=臭素の対応する化合物を収率53%で合成した。
【0205】
化合物#139
【化62】

【0206】
80% エタノール(10ml)中の、1,5−ビス(4−シアノフェノキシ)ペンタン(153mg, 0.5mmol)と、炭酸ナトリウム(180mg, 1.7mmol)と、ヒドロキシルアミン塩酸塩(278mg, 4mmol)の混合物を2時間還流した。混合物を室温まで冷却した。幾らかの固体が沈澱し、それを濾過によって除去した。濾液を減圧下で乾固するまで濃縮した。粗生成物を分取RP−HPLC(Vydac C18, 215nm, 50ml/分, 0.1% TFAを含むHO中 0%から90%MeCN)によって精製し、凍結乾燥し、白色の固体を得た(127.2mg, 42%)。ヘプタンおよびノナン・アナログを同様の方法で製造した。
【0207】
化合物#55
【化63】

【0208】
段階1:DMF(10ml)中の、1,5−ジアミノペンタン(0.35ml, 3mmol)と、トリエチルアミン(0.98ml, 7mmol)の冷却(0℃)した溶液に、塩化 4−シアノベンゾイル(1g, 6mmol)を加えた。混合物を室温で終夜撹拌し、水で希釈した。沈澱したベージュ色の固体を濾過によって集め、真空で乾燥し、対応するアミドを得た(1g, 92%)。
【0209】
段階2:無水エタノール(25ml)と1,4−ジオキサン(20ml)の混合物中の、1,5−ビス−(4−シアノベンズアミド)ペンタン(465mg, 1.3mmol)の懸濁液を、0℃まで冷却し、乾燥HClで飽和させ、得られた混合物を室温で60時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。褐色がかった固体を得た。エタノール(25ml)中の、該固体と炭酸アンモニウム(2.5g, 25mol)の混合物を室温で終夜撹拌した。少量の活性炭を加え、混合物をセライトで濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物を分取RP−HPLC(Vydac C18, 215nm, 50ml/分, 0.1% TFAを含むHO中の0%から90% MeCN)によって精製し、凍結乾燥し、表題化合物を白色の固体として得た(410mg, 51%)。ヘプタンおよびノナン・アナログを同様の方法で製造した。
【0210】
化合物#54
【化64】

【0211】
段階1:乾燥DMF(25ml)中の、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(2.7g, 22mmol)と、1,5−ジブロモペンタン(1.35ml, 10mmol)と、炭酸カリウム(5.2g)の混合物を、100℃で、油浴で、5時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、次に水(100ml)を加えた。形成した固体を濾過によって集め、水で洗い、真空で乾燥した。望ましいビス−アルデヒドを褐色がかった固体として得た(2.8g, 89%)。
【化65】

【0212】
段階2:ジイソプロピル(シアノメチル)ホスホネート(0.86ml, 4.2mmol)を、THF中の水素化ナトリウム(4.4mmol)の懸濁液に、0℃で加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。THF中のビス−アルデヒド(2mmol)の溶液を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、水で、飽和重炭酸ナトリウムで、塩水で連続して洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させた。粗製の固体を酢酸エチルとヘキサンの混合物(1から10, 10ml)で洗浄し、真空で乾燥し、ビス−ニトリルを得た(0.51g, 収率71%)。
【0213】
【化66】

【0214】
段階3:エタノール(20ml)中のビス−ニトリル(0.48g, 1.34mmol)の懸濁液を、0℃で、HClで飽和させた。混合物を室温で3日間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。次に固体をエタノール中2N NH(20ml)に溶解し、混合物を2時間還流した。混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた固体を真空で乾燥し、数滴のエタノールを添加した2N HClから再結晶した。固体を濾過によって集め、水でリンスし、真空で終夜乾燥し、表題化合物を明黄色の固体として得た(0.44g, 71%)。
【0215】
化合物#137
【化67】

【0216】
段階1:DMF(30ml)中の、4−ヒドロキシベンジルシアニド(2.56g, 19.2mmol)と、1,7−ジブロモヘプタン(1.49ml, 8.7mmol)と、炭酸カリウム(11g)の混合物を、油浴で、100℃で、3時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水(150ml)で希釈した。固体が沈澱した。固体を濾過によって集め、水で洗った。次にそれを酢酸エチルに溶解し、10% NaOH(3×20ml)で、塩水(30ml)で、連続して洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた固体を真空で乾燥し、1,7−ビス(4−シアノメチルフェノキシ)ヘプタンを黄褐色の固体として得た(2.58g, 82%)。
【0217】
【化68】

【0218】
段階2:1,4−ジオキサン(10ml)と無水エタノール(10ml)の混合液中の1,5−ビス(4−シアノメチルフェノキシ)ヘプタン(750mg, 5.07mmol)の溶液を、0℃でHClで飽和させた。混合物を室温で3日間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残さを真空で乾燥した。残さをエタノール中2N アンモニア(20ml)に溶解し、混合物を3時間還流した。溶媒を減圧下で蒸発させた。粗製の固体を2N HCl/アセトンから再結晶した。結晶を集め、真空で乾燥した。表題化合物を灰白色の固体として得た(655.3mg, 60%)。
【0219】
化合物#51
【化69】

【0220】
段階1:ボラン・テトラヒドロフラン錯体(10ml, 10mmol)の溶液を、ビス−ニトリル(510mg, 1.53mmol)の溶液に、0℃で加えた。混合物を18時間還流し、氷浴で冷却した。過剰の試薬をメタノール(10ml)をゆっくりと添加することによってクエンチした。得られた混合物を15分間還流し、次に溶媒を減圧下で除去した。残さを3回メタノールと共に共蒸発させ、次にメタノール(20ml)と濃HCl(6ml)の混合物に懸濁した。混合物を1.5時間還流した。混合物を減圧下で約5mlまで減らした。微細な白色の固体が形成した。混合物をエタノールで希釈し、−10℃まで冷却した。固体を濾過によって集め、冷エタノールで洗い、真空で終夜乾燥した。1,5−ビス(4−(2−アミノエチル)フェノキシ)ペンタン 二塩酸塩を微細な白色の粉末として得た(564.6mg, 89%)。
【0221】
【化70】

【0222】
段階2:N,N'−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシアミジン(0.78g, 2.5mmol)を、THF(5ml)とジクロロメタン(20ml)の混合物中の、1,5−ビス(4−(2−アミノエチル)フェノキシ)ペンタン二塩酸塩(470mg, 1.13mmol)とHunig's塩基(0.435ml)の懸濁液に加えた。混合物を室温で2日間撹拌した。過剰の試薬を1,2−エチレンジアミンでクエンチした。混合物をクロロホルムで希釈し、1N HClで、飽和炭酸ナトリウムで、塩水で、連続して洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中0.5%から1% MeOH)によって精製し、白色の泡状固体を得た(246.5mg, 26%)。
【0223】
【化71】

【0224】
段階3:4MのHClの1,4−ジオキサン溶液(5ml)を、1,4−ジオキサン(10ml)中の保護されたビス−グアニジン化合物(246mg, 0.297mmol)の溶液に加えた。混合物を室温で1日間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物を水に溶解し、次に水溶液を凍結乾燥し、表題化合物を白色の固体として得た(146.4mg, 99%)。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【図1】図1:ThTアッセイによって測定された、Aβ(1−40)組み立てに対するペンタアミジン型化合物の効果
【図2】図2:ThTアッセイによって測定された、Aβ(1−40)組み立てに対するペンタアミジン様化合物の効果
【図3】図3:ThTアッセイによって測定された、Aβ(A−40)組み立てに対するアミジン型化合物の効果
【図4】図4:ThTアッセイによって測定された、IAPP組み立てに対するペンタアミジン型化合物の効果

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において、アミロイド関連疾患、例えばアルツハイマー病、脳アミロイド血管症、またはタイプ II 型糖尿病を処置するもしくは予防する方法であって、治療上効果的な量のアミジン化合物を対象に投与することを含む方法。
【請求項2】
対象において、アミロイド関連疾患を処置するもしくは予防する方法であって、アミロイド原繊維の形成もしくは堆積、神経変性、または細胞毒性を、減少させるもしくは阻害する、下記の式:
【化1】

【化2】

【化3】

の何れか1つの化合物を、治療量で、該対象に投与することを含む方法。
【請求項3】
式:
【化4】

の化合物。
【請求項4】
式:
【化5】

の化合物。
【請求項5】
式:
【化6】

の化合物。
【請求項6】
式:
【化7】

の何れか1つの化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−501160(P2006−501160A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−510719(P2004−510719)
【出願日】平成15年6月9日(2003.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2003/017992
【国際公開番号】WO2003/103598
【国際公開日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【出願人】(500459410)ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル (16)
【出願人】(503164982)ジョージア・ステイト・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデーション・インコーポレイテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】GEORGIA STATE UNIVERSITY RESEARCH FOUNDATION, INC.
【出願人】(504450028)
【氏名又は名称原語表記】Robert J. CHALIFOUR
【出願人】(504450039)
【氏名又は名称原語表記】Xianqi KONG
【出願人】(504450062)
【氏名又は名称原語表記】Xinfu WU
【出願人】(504450073)
【氏名又は名称原語表記】Wenshuo LU
【Fターム(参考)】