説明

アミロイド関連障害を処置するためのコロニー刺激因子の全身投与

本発明は、コロニー刺激因子の全身性の投与による処置を必要とする動物の器官または組織において組織内在性マクロファージ活性を増大することによって、アミロイドーシス(アミロイド症)、アミロイド斑形成に関連する疾患および障害、例えばアルツハイマー病を処置する方法に関する。例えば、器官または組織における骨髄由来小グリア細胞の活性は、コロニー刺激因子、特にマクロファージコロニー刺激因子を、単独かまたはさらなるコロニー刺激因子、幹細胞因子もしくはアミロイドーシスを処置し得る他の化合物と組み合わせるかのいずれかで全身投与することによって、増大され得る。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミロイドーシスに罹患した動物の器官または組織における組織内在性マクロファージ活性を増大する方法であって、増大を必要とする動物に対して:
(a)単離されたコロニー刺激因子ポリペプチド、またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体;
(b)プロモーターとの作動可能な会合を通じた、コロニー刺激因子ポリペプチド、またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体をコードする単離されたポリヌクレオチド;ならびに
(c)(a)および(b)の組み合わせ;
からなる群より選択される活性成分を含む組成物を全身投与し、
ここで該組成物は該動物において組織内在性マクロファージ活性を増大するのに有効な量で投与される工程を包含し、これによって該アミロイドーシスを処置する、方法。
【請求項2】
前記器官または組織中の組織内在性マクロファージ活性の前記増大が、該器官または組織における組織内在性マクロファージの数の増大によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記器官または組織中の組織内在性マクロファージ活性の前記増大が、該器官または組織における組織内在性マクロファージの機能的活性の増大によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記器官または組織中の組織内在性マクロファージ活性の前記増大が、該器官または組織における組織内在性マクロファージの標的化における増大によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組織内在性マクロファージが小神経膠細胞である、請求項1から4に記載の方法。
【請求項6】
前記小神経膠細胞が骨髄由来小神経膠細胞である、請求項1から5に記載の方法。
【請求項7】
前記アミロイドーシスが、前記動物の器官または組織におけるアミロイド斑または凝集体の形成を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記アミロイド斑または凝集体が前記組織内在性マクロファージによって貪食される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組織内在性マクロファージが骨髄由来小グリア細胞である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アミロイド斑または凝集体が、数が減少するか、大きさが低下するか、またはその組み合わせである、請求項7から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか1項に記載の方法であって、前記の斑または凝集体が、βアミロイド、免疫グロブリン軽鎖、血清アミロイドA、β−ミクログロブリン、ドルーゼ、野性型もしくは変異型のトランスサイレチン、変異体アポリポタンパク質AI、変異体アポリポタンパク質AII、膵島アミロイド前駆体タンパク質、カルシトニン、心房性ナトリウム利尿タンパク質、ハンチンチン、「スクレイピー」型のヒトプリオンタンパク質、α−シヌクレイン、タウ、シスタチンC、ゲルソリン、アミリン、変異体リゾチーム、インスリン、スーパーオキシドジスムターゼI、アンドロゲンレセプター、アタキシン、TATAボックス結合タンパク質、変異体フィブリノーゲンAα鎖、βタンパク質前駆体、およびアミロイドタンパク質の組み合わせからなる群より選択されるタンパク質を含む、方法。
【請求項12】
前記アミロイドーシスが、アルツハイマー病、軽度認識障害、軽度から中等度の認識障害、血管性認知症、脳のアミロイドアンギオパチー(CAA)、老年性認知症、トリソミー21(ダウン症)、オランダ型遺伝性アミロイド性脳出血(HCHWA−D)、封入体筋炎、加齢性黄斑変性症、多発性骨髄腫、肺性高血圧、うっ血性心不全、II型糖尿病、関節リウマチ、家族性アミロイド・ポリニューロパシー(FAP)、海綿状脳症、パーキンソン病、原発性全身性アミロイドーシス、二次性全身性アミロイドーシス、前頭側頭認知症、老人性全身性アミロイドーシス、遺伝性脳のアミロイドアンギオパチー、血液透析関連アミロイドーシス、家族性アミロイド多発神経障害III、フィンランド遺伝性全身性アミロイドーシス、甲状腺の髄様癌、心房性アミロイドーシス、遺伝性非神経障害性全身性アミロイドーシス、注射部位限局性アミロイドーシス、遺伝性腎アミロイドーシス、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、脊髄性および延髄性の筋萎縮症、脊髄小脳失調、封入体筋炎、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記アミロイドーシスがアルツハイマー病である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
動物の前記器官または組織が、中枢神経系(CNS)、末梢神経系(PNS)、脳、肝臓、脾臓、膵臓、腎臓、胃、心臓、胃腸管、甲状腺、肺、唾液腺、脳血管、全身の血管およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記器官または組織が脳である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記コロニー刺激因子が、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、任意のこのようなコロニー刺激因子の活性な改変体、フラグメントまたは誘導体、および2つ以上のこのようなコロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体の組み合わせからなる群より選択される、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記コロニー刺激因子がマクロファージコロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記コロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体が、配列番号1、2、または3のアミノ酸残基XからYまでを含み、ここでX=33から37までであり、かつYが145から158までである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体が、配列番号1、2、または3のアミノ酸残基XからYまでを含み、ここでY=181から191までである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記コロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体が、配列番号1、2、または3のアミノ酸残基XからYまでを含み、ここでY=220から224までである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記コロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体が、配列番号1または2のアミノ酸残基XからYまでを含み、ここでY=337である、請求項28に記載の方法。
【請求項22】
前記コロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体が、配列番号1のアミノ酸残基XからYまでを含み、ここでY=554である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記コロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体が、配列番号1または2のアミノ酸残基XからYまでを含み、ここでY=438である、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記コロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体が、配列番号1、2または3のアミノ酸残基XからYまでを含み、ここでY=256である、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記コロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体が、配列番号1、2または3のアミノ酸残基XからYまでを含み、ここでX=1から4までである、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記コロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体が、配列番号1、2または3のアミノ酸残基XからYまでを含み、ここでY=181から191までである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記コロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体が、配列番号1、2または3のアミノ酸残基XからYまでを含み、ここでY=220から224までである、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記コロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体が、配列番号1、2または3のアミノ酸残基XからYまでを含み、ここでY=337である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記コロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体が、配列番号1のアミノ酸残基XからYまでを含み、ここでY=554である、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記コロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体が、配列番号1または2のアミノ酸残基XからYまでを含み、ここでY=438である、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記コロニー刺激因子またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体が、配列番号1、2または3のアミノ酸残基XからYまでを含み、ここでY=256である、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
請求項17に記載の方法であって、前記コロニー刺激因子が、以下:
(i)配列番号1、2または3の1から145まで;
(ii)配列番号1、2または3の1から149まで;
(iii)配列番号1、2または3の1から150まで;
(iv)配列番号1、2または3の1から158まで;
(v)配列番号1、2または3の1から177まで;
(vi)配列番号1、2または3の1から181まで;
(vii)配列番号1、2または3の1から182まで;
(viii)配列番号1、2または3の1から190まで;
(ix)配列番号1、2または3の1から221まで;
(x)配列番号1、2または3の1から223まで;
(xi)配列番号1または2の1から377まで;
(xii)配列番号1、2または3の33から177まで;
(xiii)配列番号1、2または3の33から181まで;
(xiv)配列番号1、2または3の33から182まで;
(xv)配列番号1、2または3の33から190まで;
(xvi)配列番号1、2または3の33から221まで;
(xvii)配列番号1、2または3の33から223まで;
(xviii)配列番号1または2の33から377まで;
(ixx)配列番号1の1から554まで;
(xx)配列番号1の33から544まで;
(xxi)配列番号1または2の1から438まで;
(xxii)配列番号1または2の33から438まで;
(xxiii)配列番号1、2または3の1から256まで;
(xxiv)配列番号1、2または3の33から256まで;
(ixx)参照アミノ酸配列のうちの2つ以上の組み合わせ、
からなる群より選択される参照アミノ酸配列に対して少なくとも90%の類似性を有するポリペプチドフラグメントを含む、方法。
【請求項33】
前記ポリペプチドフラグメントの前記アミノ酸配列が前記参照アミノ酸配列に対して少なくとも95%類似する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ポリペプチドフラグメントの前記アミノ酸配列が前記参照アミノ酸配列と同一である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が、単離されたコロニー刺激因子ポリペプチド、またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体である、請求項1から34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が、請求項18から34に記載の2つの同一のポリペプチドフラグメントを含むホモ二量体を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が、配列番号18から34に記載の2つの異なるポリペプチドフラグメントを含むヘテロ二量体を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が、プロモーターとの作動可能な会合を通じたコロニー刺激因子ポリペプチド、またはその活性改変体、フラグメントもしくは誘導体をコードする単離されたポリヌクレオチドであり、該ポリヌクレオチドが発現ベクターを介して送達される、請求項1から37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記ベクターがウイルスベクターである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
請求項38または39に記載の方法であって、前記送達が(a)前記ポリヌクレオチドまたは前記ベクターを含む、培養された宿主細胞であって、前記CSFまたはその活性なフラグメント、改変体もしくは誘導体を発現する培養された宿主細胞を提供する工程と;(b)該培養された宿主細胞を哺乳動物中に導入し、その結果該CSFまたはその活性なフラグメント、改変体もしくは誘導体を該哺乳動物中で発現する工程を包含する、方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、前記培養された宿主細胞が、(a)請求項34に記載のポリヌクレオチドまたは請求項34もしくは35に記載のベクターを用いてレシピエント宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトする工程と、(b)該形質転換されたかまたはトランスフェクトされた宿主細胞を培養する工程と、を包含する方法によって作製される、方法。
【請求項42】
前記培養された宿主細胞が処置されるべき前記哺乳動物に由来する、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス、アルファウイルスベクター、エンテロウイルスベクター、ペスチウイルスベクター、レンチウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、パポバウイルスベクター、およびポックスウイルスベクターからなる群より選択される、請求項39から42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記ウイルスベクターが複製欠損ウイルスベクターである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記コロニー刺激因子またはその活性な改変体、フラグメント、もしくは誘導体がさらに、該コロニー刺激因子またはその活性な改変体、フラグメント、もしくは誘導体に融合された第二のポリペプチドを含む、請求項1から44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記第二のポリペプチドが免疫グロブリンFc領域、血清アルブミン部分、標的化部分、レポーター部分、精製促進部分、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群より選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第二のポリペプチドが免疫グロブリンFc領域である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記免疫グロブリンFc領域がヒンジおよびFc領域である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記Fc領域がIgAのFc領域;IgDのFc領域;IgGのFc領域、IgEのFc領域;およびIgMのFc領域からなる群より選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記コロニー刺激因子、またはその活性なフラグメント、改変体もしくは誘導体の有効量が約50μg/kg/日と約100μg/kg/日との間である、請求項1から49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記全身投与が、経口投与、鼻投与、非経口投与、経皮投与、局所投与、眼内投与、気管支内投与、腹腔内投与、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、口腔投与、舌下投与、膣投与によって、吸入によって、埋め込みポンプによって、およびそれらの2つ以上の組み合わせによって達成される、請求項1から50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記全身投与が、1日あたり1回、連続して、間欠的に、アミロイド斑の形成の前、間または後に、アミロイド斑の大きさもしくは形成のいずれかまたは両方の軽減またはそれらの2つ以上の組み合わせがあるまで行われる、請求項1から51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記コロニー刺激因子またはその活性な改変体、フラグメントもしくは誘導体を頭蓋内に投与する工程をさらに包含する、請求項1から52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
幹細胞因子またはその活性な改変体、フラグメントもしくは誘導体を投与する工程をさらに包含する、請求項1から53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記幹細胞因子が、顆粒球コロニー刺激因子、IL−3、IL−5、IL−6、IL−11、キットリガンド、または該コロニー刺激因子のいずれか1つの活性改変体、フラグメント、もしくは誘導体、および該コロニー刺激因子、またはその活性な改変体、フラグメントもしくは誘導体のいずれかのうちの2つ以上の組み合わせからなる群より選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
アミロイドーシスを処置、予防または阻害するために有効な薬学的化合物を投与する工程をさらに包含する、請求項1から55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記薬学的化合物が、コリンエステラーゼインヒビター、例えば、ガランタミン、リバスチグミン、タクリンおよびドネペジル;ならびにN−メチルD−アスパルテート(NMDA)アンタゴニストメマンチン;メルファランに続く骨髄回復を支持するための自家の幹細胞移植(HDM/SCT)、コルヒチン、金属キレーター、アミロイド形成の低分子インヒビター、ベンゾチアゾール、4’−ジアニリノ−1,1’ビナフチル−5,5’−スルホナート(ビス−ANS)、フタロシアニンテトラスルホナート、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記組成物が、結合剤、崩壊剤、安定化剤、充填剤、希釈剤、可溶化剤、流動促進剤、圧縮補助剤、緩衝剤、サーファクタント、防腐剤、懸濁剤、フィルム形成剤(film former)、着色剤、香味料、甘味料、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群より選択される薬学的に受容可能な賦形剤をさらに含む、請求項1から57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記動物が脊椎動物である、請求項1から58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記動物が哺乳動物である、請求項1から59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記動物がヒトである、請求項1から60のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−510219(P2010−510219A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537219(P2009−537219)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/024055
【国際公開番号】WO2008/060610
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】