説明

アミン系化合物、これを含む有機発光素子、及びその有機発光素子を具備した平板表示装置

【課題】アミン系化合物、これを含む有機発光素子、及びその有機発光素子を具備した平板表示装置の提供。
【解決手段】下記化学式1で表示されるアミン系化合物及びこれを含む有機膜を具備した有機発光素子:

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミン系化合物、及びこれを含む有機膜を具備した有機発光素子に関し、さらに詳細には、電気的安定性と高い電荷輸送能とを有し、ガラス転移温度が高くて結晶化を防止できる材料であるアミン系化合物、これを含む有機膜を具備した有機発光素子、及びその有機発光素子を具備した平板表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(organic light emitting diode)は、自発光型素子であって、視野角が広くてコントラストにすぐれるだけではなく、応答時間が速いという長所を有しているために、大きな注目を集めている。有機発光素子は、輝度、駆動電圧及び応答速度特性にすぐれ、多色化が可能であるという点で、多くの研究がなされている。
【0003】
有機発光素子は、アノード/有機層/カソードの構造からなりうるが、有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層のうち、1層以上の層を多様に含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
正孔注入層の材料及び/または正孔輸送層の材料として、ポリフェニル化合物またはアントラセン誘導体などが使用可能であるが、これまで公知の正孔注入層及び/または正孔輸送層の形成材料を含む有機発光素子は、寿命、効率及び消費電力の特性が、満足すべきほどのレベルに達しておらず、改善の余地が多い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するために、下記化学式1で表示されるアミン系化合物が提供される:
【0006】
【化1】

【0007】
式中、Arは、置換または非置換のC−C30アリール基、置換または非置換のC−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC−C20ヘテロアリール基、または置換または非置換のC−C20縮合多環基であり、Rは、水素、置換または非置換のC−C20アルキル基、置換または非置換のC−C20アルコキシ基、置換または非置換のC−C30アリール基、置換または非置換のC−C20ヘテロアリール基、または置換または非置換のC−C20縮合多環基であり、R及びRはそれぞれ独立的に、水素、置換または非置換のC−C20アルキル基、置換または非置換のC−C20アルコキシ基、置換または非置換のC−C30アリール基、置換または非置換のC−C20縮合多環基、フッ素、シアノ基またはアミノ基であり、R,R,R及びRはそれぞれ独立的に、水素、置換または非置換のC−C20アルキル基、置換または非置換のC−C20アルコキシ基、または置換または非置換のC−C30アリール基である。
【0008】
また、上記技術的課題を解決するために、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に上記化合物を含む有機膜を具備した有機発光素子が提供される。
【0009】
前記有機膜は、正孔注入層、正孔輸送層または発光層でありうる。
【0010】
また、上記課題を解決するために、上記有機発光素子及び薄膜トランジスタを具備し、前記有機発光素子の第1電極が前記薄膜トランジスタのソース電極またはドレイン電極と電気的に連結される平板表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
化学式1で表示されるアミン系化合物は、優秀な電気的特性及び電荷輸送能を有しており、有機発光素子の正孔注入材料、正孔輸送材料及び/または発光材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による有機発光素子の構造を示した図である。
【図2】本発明の実施形態による有機発光素子及び従来の有機発光素子の寿命特性を比較して示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
下記化学式1で表示される化合物は、下記のように、カルバゾール環とフルオレン環とを同時に有する:
【0014】
【化2】

【0015】
上記化学式1のアミン系化合物は、分子内にカルバゾリル基とフルオレニル基とを同時に有するアミン系化合物であり、正孔注入材料、正孔輸送材料及び/または発光材料としての機能を有することができる。
【0016】
上記化学式1のアミン系化合物は、カルバゾール基の導入によって、ガラス転移温度(Tg)や融点が高い。従って、電界発光時における有機層内、または有機層間、ないしは有機層と金属電極との間で発生するジュール熱に対する耐熱性及び高温環境下での耐性が向上しうる。従って、上記化学式1で表示されるアミン系化合物を利用して製造された有機発光素子は、素子形成、保存、保管及び/または駆動時の耐久性が高い。
【0017】
一方、上記化学式1のアミン系化合物は、フルオレンの導入によって、フィルム状の分子膜状態が改善されうる。これにより、上記化学式1のアミン系化合物を含む有機膜を具備した有機発光素子の各種特性が向上しうる。
【0018】
上記化学式1で、Arは、置換または非置換のC−C30アリール基、置換または非置換のC−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC−C20ヘテロアリール基、または置換または非置換のC−C20縮合多環基でありうる。これは、蒸着容易性を考慮したものである。
【0019】
具体的に、上記Arは、置換または非置換のC−C16アリール基、置換または非置換のC−C16ヘテロアリール基でありうる。
【0020】
さらに具体的に、上記Arは、非置換のフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ペンタレニル基、インデニル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フルオレニル基、ペナントレニル基、トリフェニレニル基、ナフタセニル基、ペナレニル基、ピレニル基、ペンタフェニル基、ヘキサフェニル基、ピリジニル基、キノリニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基またカルバゾリル基;またはハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、(C−C10アルキル)アミノ基、ジ(C−C10アルキル)アミノ基、(C−C14アリール)アミノ基、ジ(C−C14アリール)アミノ基、C−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基、C−C14アリールオキシ基、C−C14アリール基、及びC−C14アリール基で置換されたC−C14アリール基からなる群から選択された一つ以上の置換基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ペンタレニル基、インデニル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フルオレニル基、ペナントレニル基、トリフェニレニル基、ナフタセニル基、ペナレニル基、ピレニル基、ペンタフェニル基、ヘキサフェニル基、ピリジニル基、キノリニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基またはカルバゾリル基でありうるが、それらに限定されるものではない。
【0021】
例えば、上記Arは、フェニル基、低級アルキルフェニル基、低級アルコキシフェニル基、シアノフェニル基、フェノオキシフェニル基、フルオロフェニル基、ナフチル基、低級アルキルナフチル基、低級アルコキシナフチル基、シアノナフチル基、ハロナフチル基、フルオレニル基、カルバゾリル基、低級アルキルカルバゾリル基、ビフェニル基、低級アルキルビフェニル基、低級アルコキシビフェニル基、ターフェニル基、ピリジル基またはキノリン基でありうる。上記低級アルキル及び低級アルコキシの炭素数は、1ないし5の範囲が望ましい。
【0022】
望ましい具体的なArの例は、フェニル基、エチルフェニル基、エチルビフェニル基、o−,m−またはp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、シアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、o−,m−またはp−トリル基、メシチル基、フェノキシフェニル基、(α,α−ジメチルベンゼン)フェニル基、(N,N’−ジメチル)アミノフェニル基、(N,N’−ジフェニル)アミノフェニル基、ペンタレニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フルオレニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレン基、ナフタセニル基、ピレニル基、ビフェニル基、メチルビフェニル基、ペンタフェニル基、ヘキサフェニル基、カルバゾリル基、ピリジル基またはキノリル基である。
【0023】
さらに望ましくは、上記Arは、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基及びカルバゾリル基から選択される単環ないし三環のアリール基、またはそれらの芳香族環にC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、アミノ、フェノキシ、フェニル及びハロゲン元素からなる群から選択された1個ないし3個が置換された上記単環ないし三環のアリール基でありうる。
【0024】
上記Arの一実施形態は、下記化学式2aないし2qのうち、いずれか一つであるが、それらに限定されるものではない:
【0025】
【化3】

【0026】
上記化学式2aないし2qのうち、Q及びQは互いに独立的に、水素、フッ素、シアノ基、アミノ基、C−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基、C−C14アリール基、C−C14ヘテロアリール基、またはC−C14アリール基で置換されたC−C14アリール基であり、*は、化学式1のうちNとの結合サイトである。ここで、C−C14アリール基で置換されたC−C14アリール基は、例えば、C−C10アルキル基またはC−C10アルコキシ基で置換されたビフェニル基、ターフェニル基でありうる。
【0027】
望ましくはArは、化学式2a,2b,2cまたは2hでありうる。
【0028】
上記化学式1で、Rは、水素、置換または非置換のC−C20アルキル基、置換または非置換のC−C20アルコキシ基、置換または非置換のC−C30アリール基、置換または非置換のC−C20ヘテロアリール基、または置換または非置換のC−C20縮合多環基でありうる。
【0029】
具体的に上記Rは、置換または非置換のC−C14アリール基でありうる。
【0030】
さらに具体的に、上記Rは、非置換のフェニル基、ナフチル基、ペンタレニル基、インデニル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フルオレニル基、ペナントレニル基、トリフェニレニル基、ナフタセニル基、ペナレニル基、ピレニル基、ペンタフェニル基、またはヘキサフェニル基;またはハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、(C−C10アルキル)アミノ基、ジ(C−C10アルキル)アミノ基、(C−C14アリール)アミノ基、ジ(C−C14アリール)アミノ基、C−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基、C−C14アリールオキシ基、C−C14アリール基、及びC−C14アリール基で置換されたC−C14アリール基からなる群から選択された一つ以上の置換基で置換されたフェニル基、ナフチル基、ペンタレニル基、インデニル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フルオレニル基、ペナントレニル基、トリフェニレニル基、ナフタセニル基、ペナレニル基、ピレニル基、ペンタフェニル基、またはヘキサフェニル基でありうるが、それらに限定されるものではない。
【0031】
望ましくは上記Rは、フェニル基、ナフチル基、ハロフェニル基、またはフェニル基で置換されたフェニル基(ビフェニル基)であるが、それらに限定されるものではない。
【0032】
上記化学式1で、R及びRはそれぞれ独立的に、水素、置換または非置換のC−C20アルキル基、置換または非置換のC−C20アルコキシ基、置換または非置換のC−C30アリール基、置換または非置換のC−C20縮合多環基、フッ素、シアノ基またはアミノ基でありうる。
【0033】
具体的に、上記R及びRは互いに独立的に、水素、フッ素、シアノ基、アミノ基、C−C10アルキル基、またはC−C10アルコキシ基でありうるが、それらに限定されるものではない。さらに具体的に上記R及びRは、水素でありうる。
【0034】
上記化学式1で、R,R,R及びRはそれぞれ独立的に、水素、置換または非置換のC−C20アルキル基、置換または非置換のC−C20アルコキシ基、または置換または非置換のC−C30アリール基でありうる。
【0035】
具体的に、上記RないしRは互いに独立的に、水素、C−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基またはC−C14アリール基でありうるが、それらに限定されるものではない。さらに具体的に、上記RないしRは互いに独立的に、水素、C−C10アルキル基、フェニル基、またはナフチル基でありうるが、それらに限定されるものではない。
【0036】
本明細書で、非置換のC−C20アルキル基は、線形及び分枝形であって、その非制限的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、iso−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノナニル、ドデシルなどを挙げることができ、上記アルキル基のうち、一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸でもその塩、またはC−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基、C−C10アルケニル基、C−C10アルキニル基、C−C16アリール基、またはC−C16ヘテロアリール基で置換されうる。
【0037】
本明細書で、非置換のC−C20アルコキシ基は、−OA(ここで、Aは、上記非置換のC−C20アルキル基である)の構造を有する基であり、その非制限的な例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、ペントキシなどを挙げることができる。これらアルコキシ基のうち、少なくとも一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基で置換可能である。
【0038】
本明細書で、非置換のC−C30アリール基は、一つ以上の芳香族環を含むC−C30炭素環芳香族システムを意味し、2以上の環を有する場合、互いに融合されたり、単一結合などを介して連結されうる。上記アリール基のうち、一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基で置換可能である。
【0039】
本明細書で、置換または非置換のC−C30アリール基の例としては、フェニル基、C−C10アルキルフェニル基(例えば、エチルフェニル基)、ハロフェニル基(例えば、o−,m−及びp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基)、シアノフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ビフェニル基、ハロビフェニル基、シアノビフェニル基、C−C10ビフェニル基、C−C10アルコキシビフェニル基、o−,m−及びp−トリル基、o−,m−及びp−クメニル基、メシチル基、フェノキシフェニル基、(α,α−ジメチルベンゼン)フェニル基、(N,N’−ジメチル)アミノフェニル基、(N,N’−ジフェニル)アミノフェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、ハロナフチル基(例えば、フルオロナフチル基)、C−C10アルキルナフチル基(例えば、メチルナフチル基)、C−C10アルコキシナフチル基(例えば、メトキシナフチル基)、シアノナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、ペナレニル基、フルオレニル基、アントラキノリル基、メチルアントリル基、フェナントリル基、トリフェニレン基、ピレニル基、クリセニル基、エチル−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネリル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基などを挙げることができる。
【0040】
本明細書で、非置換のC−C30アリールオキシ基は、−OB(このうち、Bは、上記C−C30アリール基である)で表示される化学式を意味する。上記C−C30アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などがあって、それらのうち、少なくとも一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基で置換可能である。
【0041】
本明細書で、非置換のC−C20ヘテロアリール基は、N,O,PまたはSのうちから選択された1個以上のヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである一つ以上の芳香族環からなるシステムを意味し、2以上の環を有する場合、それらは互いに融合されたり、単一結合などを介して連結されることができる。上記ヘテロアリール基のうち、一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基で置換可能である。
【0042】
本明細書で、非置換のC−C20ヘテロアリール基の例には、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジニル基、ピリダニジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、カルバゾリル基、インドリル基、キノリニル基、イソキノリニル基などを挙げることができる。これらは、上記アルキル基の置換基と同様に置換されうることはいうまでもない。
【0043】
本明細書中、非置換のC−C20縮合多環基は、一つ以上の芳香族環及び/または一つ以上の非芳香族環が互いに融合された2以上の環を含む置換基を指すものであり、上記アリール基またはヘテロアリール基の例のうち一部以上は、上記縮合多環基に含まれうる。
【0044】
以下、本発明の上記化学式1で表現される化合物の具体的な例として、下記化学式3で表示される化合物1ないし96を挙げることができる。しかし、本発明の化学式1で表現される化合物が、それら化合物によって限定されるものではない。
【0045】
【化4】







【0046】
本発明の一実施形態による有機発光素子は、第1電極、第2電極、及び上記第1電極と上記第2電極との間に上記化学式1で表示されるアミン系化合物を含む有機膜を具備する。上記化学式1で表示されるアミン系化合物を含む有機膜は、正孔注入層または正孔輸送層であって、正孔注入機能及び正孔輸送機能をいずれも有する単一膜でもありうる。または、上記化学式1で表示されるアミン系化合物を含む有機膜は、発光層でもありうる。このとき、上記化学式1で表示されるアミン系化合物は、青色、緑色または赤色の蛍光材料または燐光材料のホスト材料として使用することができる。
【0047】
例えば、上記化学式1で表示されるアミン系化合物を含む有機膜は、正孔輸送層である。
【0048】
一方、上記第1電極はアノードであり、上記第2電極はカソードでありうるが、これと反対の場合も、もちろん可能である。
【0049】
上記有機発光素子は、必要によって、上記有機膜は、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層のうち、一つ以上の層をさらに具備でき、必要によっては、上記有機膜の各層を二層に形成することも可能である。
【0050】
例えば、本発明による有機発光素子は、第1電極/正孔注入層/発光層/第2電極、第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/第2電極、または第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極の構造(図1参照)を有することができる。または、上記有機発光素子は、第1電極/正孔注入機能及び正孔輸送機能を同時に有する単一膜/発光層/電子輸送層/第2電極、または第1電極/正孔注入機能及び正孔輸送機能を同時に有する単一膜/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極構造を有することができる。
【0051】
本発明による有機発光素子は、前面発光型、背面発光型など多様な構造に適用可能である。
【0052】
以下、本発明による有機発光素子の製造方法について、図1に図示された有機発光素子を参照しつつ、説明することとする。図1の有機発光素子は、基板(不図示)、第1電極(アノード)、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び第2電極(カソード)を具備している。
【0053】
まず、基板上部に、大きい仕事関数を有する第1電極用物質を蒸着法またはスパッタリング法などによって形成し、第1電極を形成する。上記第1電極は、アノードまたはカソードでありうる。ここで、基板としては、一般的な有機発光素子で使われる基板を使用するが、機械的強度、熱的安定性、透明性、表面平滑性、取扱容易性及び防水性にすぐれるガラス基板または透明プラスチック基板が望ましい。第1電極用物質としては、伝導性にすぐれる酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、Al、Ag、Mgなどを利用でき、透明電極または反射電極として形成できる。
【0054】
次に、上記第1電極の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB(Langmuir−Blodget)法のような多様な方法を利用し、正孔注入層(HIL)を形成できる。
【0055】
真空蒸着法によって正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性などによって異なるが、一般的に、蒸着温度100ないし500℃、真空度10−8ないし10−3torr、蒸着速度0.01ないし100Å/secの範囲で適切に選択することが望ましい。
【0056】
スピンコーティング法によって正孔注入層を形成する場合、そのコーティング条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性によって異なるが、2,000rpmないし5,000rpmほどのコーティング速度、コーティング後の溶媒除去のための熱処理温度は、80℃ないし200℃ほどの温度範囲で適切に選択することが望ましい。
【0057】
上記正孔注入層の物質としては、上記化学式1で表示されるアミン系化合物を利用できる。または、公知の正孔注入材料を使用することもできるが、例えば、銅フタロシアニンのようなフタロシアニン化合物、4,4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)、TDATA、2−TNATA、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)またはポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PANI/PSS)などを使用できるが、それらに限定されるものではない。
【0058】
【化5】

【0059】
上記正孔注入層の厚さは100Åないし10,000Åほど、例えば、100Åないし1,000Åでありうる。上記正孔注入層の厚さが上記範囲を満足する場合、駆動電圧の上昇なしし、優秀な正孔注入特性を得ることができる。
【0060】
次に、上記正孔注入層の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような多様な方法を利用し、正孔輸送層(HTL)を形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって正孔輸送層を形成する場合、その蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲のうちから選択される。
【0061】
上記正孔輸送層の物質は、上記化学式1で表示されるアミン系化合物でありうる。または、公知の正孔輸送層物質を利用することもできるが、例えば、N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールのようなカルバゾール誘導体、NPB、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)などの芳香族縮合環を有するアミン誘導体などを使用できる。
【0062】
【化6】

【0063】
上記正孔輸送層の厚さは、50Åないし1,000Åほど、例えば、100Åないし600Åでありうる。上記正孔輸送層の厚さが上記範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに優秀な正孔輸送特性を得ることができる。
【0064】
次に、上記正孔輸送層の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような方法を利用し、発光層(EML)を形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって発光層を形成する場合、その蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲のうちから選択される。
【0065】
上記発光層は、上記化学式1で表示されるアミン系化合物を含むことができる。例えば、化学式1で表示されるアミン系化合物は、ホストまたはドーパントとして使用することができる。上記化学式1で表示されるアミン系化合物以外に、発光層は、公知の多様な発光物質を利用して形成できるが、公知のホスト及びドーパントを利用して形成することもできる。上記ドーパントの場合、公知の蛍光ドーパント及び公知の燐光ドーパントをいずれも使用できる。
【0066】
例えば、ホストとしては、トリス(8−キノリノレート)アルミニウム(Alq3)、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(ADN)、またはジスチリルアリーレン(DSA)などを使用できるが、それらに限定されるものではない。
【0067】
一方、公知の赤色ドーパントとして、PtOEP、Ir(piq)、BtpIr(acac)、4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(DCJTB)などを利用できるが、それらに限定されるものではない。
【0068】
【化7】

【0069】
また、公知の緑色ドーパントとして、Ir(ppy)(ppy=フェニルピリジン)、Ir(ppy)(acac)、Ir(mpyp)、C545Tなどを利用できるが、それらに限定されるものではない。
【0070】
【化8】

【0071】
一方、公知の青色ドーパントとして、FIrpic、(Fppy)Ir(tmd)、Ir(dfppz)、ter−フルオレン、4,4’−ビス(4−ジフェニルアミノスチリル)ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(TBP)などを利用できるが、それらに限定されるものではない。
【0072】
【化9】

【0073】
上記ドーパントの含有量は、発光層の形成材料100重量部(すなわち、ホストとドーパントとの総重量は、100重量部である)を基準として、0.1ないし20重量部、例えば、0.5〜12重量部であることが望ましい。ドーパントの含有量が上記範囲を満足するならば、濃度消光現象を実質的に防止できる。
【0074】
上記発光層の厚さは、100Åないし1,000Åほど、望ましくは、200Åないし600Åでありうる。上記発光層の厚さが上記範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な発光特性を得ることができる。
【0075】
発光層が燐光ドーパントを含む場合、三重項励起子または正孔が電子輸送層に広がる現象を防止するために、正孔阻止層(HBL)を発光層の上部に形成できる(図1には図示せず)。このときに使用できる正孔阻止層の物質は、特別に制限されるものではなく、公知の正孔阻止層の物質のうち、任意に選択して利用できる。例えば、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、Balq、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)などを利用できる。
【0076】
上記正孔阻止層の厚さは、50Åないし1,000Åほど、例えば、100Åないし300Åでありうる。上記正孔阻止層の厚さが50Å未満である場合、正孔阻止特性が低下し、上記正孔阻止層の厚さが1,000Åを超える場合、駆動電圧が上昇しうるのである。
【0077】
次に、電子輸送層(ETL)を真空蒸着法、またはスピンコーティング法、キャスト法などの多様な方法を利用して形成する。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって電子輸送層を形成する場合、その条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲のうちから選択される。
【0078】
上記電子輸送層の物質は、特別に限定されるものではなく、公知の電子輸送層の形成材料のうちから任意に選択されうる。例えば、その例としては、キノリン誘導体、特に、Alq3、TAZ、Balqのような公知の材料を使用することができるが、それらに限定されるものではない。
【0079】
【化10】

【0080】
上記電子輸送層の厚さは100Åないし1,000Åほど、例えば、100Åないし500Åでありうる。上記電子輸送層の厚さが上記範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な電子輸送特性を得ることができる。
【0081】
また、電子輸送層の上部に、カソードから電子の注入を容易にする機能を有する物質である電子注入層(EIL)が積層されうる。
【0082】
電子注入層としてはLiF、NaCl、CsF、LiO、BaOのような電子注入層の形成材料として公知の任意の物質を利用できる。上記電子注入層の蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲のうちから選択される。
【0083】
上記電子注入層の厚さは、1Åないし100Åほど、望ましくは、5Åないし90Åでありうる。上記電子注入層の厚さが上記範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な電子注入特性を得ることができる。
【0084】
最後に、電子注入層の上部に、真空蒸着法やスパッタリング法のような方法を利用し、第2電極を形成できる。上記第2電極は、カソードまたはアノードとして使用することができる。上記第2電極の形成用物質としては、小さい仕事関数を有する金属、合金、導電性化合物及びそれらの混合物を使用できる。具体的な例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを挙げることができる。また、前面発光素子を得るために、ITO、IZOを使用した透明カソードを使用することもできる。
【0085】
本発明による有機発光素子は、多様な形態の平板表示装置、例えば、受動マトリックス有機発光表示装置、及び能動マトリックス有機発光表示装置に備えることができる。特に、能動マトリックス有機発光表示装置に備わる場合、基板側に備わった第1電極は、画素電極として薄膜トランジスタのソース電極またはドレイン電極きて電気的に連結されうる。また、上記有機発光素子は、両面に画面を表示できる平板表示装置に備えることができる。
【実施例】
【0086】
以下、本発明について、化合物1、6、7、9,22、46、60、72、74及び83の望ましい合成例及び実施例を具体的に例示するが、本発明が下記の実施例に限定されるということを意味するものではない。
【0087】
(合成例1:中間体1の合成)
フェニルカルバゾール2.433g(10mmol)を80%の酢酸100mLに入れた後、ここに、ヨード(I)1.357g(5.35mmol)とオルト過ヨウ素酸(HIO)0.333g(1.46mmol)とを固体状態で加えた後、窒素雰囲気で80℃、2時間撹拌した。
【0088】
反応終了後、エチルエーテル(50mL)で三回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて得られた残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体1を白色固体で3.23g(収率87%)得た。
【0089】
HNMR(CDCl、300MHz)δ(ppm)8.43(d、1H)、8.05(d、1H)、7.62(dd、1H)、7.61−7.75(m、2H)、7.51−7.43(m、3H)、7.41−7.35(m、2H)、7.27(dd、1H)、7.14(d、1H)
【0090】
(合成例2:中間体2の合成)
上記の中間体1の合成と同じ方法で、フェニルカルバゾールの代わりにナフチルカルバゾールを反応させ、中間体2を85%の収率で合成した。
【0091】
HNMR(CDCl、300MHz)δ(ppm)8.29(s、1H)、8.13(d、1H)、7.92(d、1H)、7.80−7.73(m、3H)、7.59−7.49(m、5H)、7.37−7.29(m、3H)
【0092】
(合成例3:中間体3の合成)
上記の中間体1の合成と同じ方法で、フェニルカルバゾールの代わりに4−フルオロフェニルカルバゾールを反応させ、中間体3を83%の収率で合成した。
【0093】
HNMR(CDCl、300MHz)δ(ppm)8.30(s、1H)、8.13−8.11(m、1H)、7.74(d、1H)、7.56−7.52(m、3H)、7.37−7.29(m、3H)、7.08−7.03(m、2H)
【0094】
(合成例4:中間体4の合成)
上記の中間体1の合成と同じ方法で、フェニルカルバゾールの代わりにビフェニルカルバゾールを反応させ、中間体4を62%の収率で合成した。
【0095】
HNMR(CDCl、300MHz)δ(ppm)8.30(s、1H)、8.13−8.11(m、1H)、7.74(d、1H)、7.59−7.53(m、3H)、7.40−7.28(m、8H)、6.64−6.60(m、2H)
【0096】
【化11】

【0097】
(合成例5:中間体5の合成)
2,7−ジブロモ−9,9−ジメチルフルオレン17.6g(50mmol)をジエチルエーテル150mLに溶かした後、−78℃でノルマルブチルリチウム(ヘキサン中で20mL、2.5M)を添加した。30分後に温度を徐々に常温に昇温させた。30分後、ホウ酸トリイソプロピル23mL(100mmol)をジエチルエーテル50mLに溶かした溶液を−78℃に維持し、上記溶液を徐々に添加した。室温で5時間撹拌した後で水を添加し、ジエチルエーテル(200mL)で三回洗浄した。洗浄したジエチルエーテル層をMgSO4で乾燥させた後で減圧乾燥させて生成物を得て、ノルマルヘキサンで再結晶させて中間体5を白色固体で00.3g(収率65%)得た。
【0098】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.09(s、2OH)、7.84−7.81(dd、1H)、7.75−7.72(m、2H)、7.67−7.65(dd、1H)、7.49−7.46(dd、1H)、7.40(d、1H)、1.85(s、6H)
【0099】
(合成例6:中間体6の合成)
上記の中間体5の合成と同じ方法で、2,7−ジブロモ−9,9−ジメチルフルオレンの代わりに2,7−ジブロモ−9,9−ジフェニルフルオレンを反応させ、中間体6を58%の収率で合成した。
【0100】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.27(d、1H)、8.09(s、2OH)、7.94−7.92(dd、1H)、7.81(d、1H)、7.74(d、1H)、7.69(d、1H)、7.60−7.51(m、5H)、7.18(t、4H)、7.02−6.97(m、2H)
【0101】
【化12】

【0102】
(合成例7:中間体7の合成)
2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレンを8.2g(30mmol)、アニリンを4.1mL(45mmol)、t−BuONaを4.3g(45mmol)、Pd(dba)を0.55g(0.6mmol)、P(t−Bu)を0.12g(0.6mmol)でトルエン100mLに溶かした後、90℃で3時間撹拌した。上記反応が完結した後、常温に冷やし、これを、蒸溜水とジエチルエーテル100mLとで三回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて得られた残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体7を7.87g(収率92%)得た。
【0103】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−7.82(d、1H)、7.54−7.49(m、2H)、7.27−7.21(m、3H)、7.12−7.08(m、3H)、6.97−6.93(m、1H)、6.90−6.86(m、1H)、6.59−6.56(m、1H)、5.44(NH)、1.85(s、6H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−149.1、146.8、142.2、140.0、134.6、133.5、129.4、127.8、127.1、126.8、120.4、119.7、119.1、117.4、109.0、107.5、44.9、24.5
【0104】
(合成例8:中間体8の合成)
上記の中間体7の合成と同じ方法で、アニリンの代わりに4−フルオロアニリンを反応させ、中間体8を78%の収率で合成した。
【0105】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−7.95−7.91(m、2H)、7.82(d、1H)、7.54−7.49(m、2H)、7.24−7.19(m、3H)、7.12(d、1H)、6.97−6.93(m、1H)、6.59−6.56(dd、1H)、5.44(s、NH)、1.85(s、6H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−161.0、154.5、149.1、146.8、140.0、138.3、134.6、132.5、127.8、127.1、126.8、120.4、119.7、116.5、115.8、112.3、112.1、109.6、107.5、44.9、24.5
【0106】
(合成例9:中間体9の合成)
上記の中間体7の合成と同じ方法で、アニリンの代わりに1−ブロモナフタレンを反応させ、中間体9を83%の収率で合成した。
【0107】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.41(dd、1H)、7.82(d、1H)、7.72(d、1H)、7.59−7.36(m、5H)、7.24−7.09(m、4H)、6.97−6.93(m、1H)、6.55(dd、1H)、5.83(s、NH)、1.85(s、6H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−149.1、148.7、144.3、140.0、137.2、134.6、133.3、128.8、128.2、127.8、127.1、126.8、125.0、124.5、122.4、122.3、121.3、119.7、116.8、109.2、107.7、99.0、44.9、24.5
【0108】
(合成例10:中間体10の合成)
上記の中間体7の合成と同じ方法で、アニリンの代わりに4−アミノビフェニルを反応させ、中間体10を85%の収率で合成した。
【0109】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−7.82(d、1H)、7.60−7.49(m、6H)、7.40−7.29(m、3H)、7.24−7.20(m、1H)、7.12(d、1H)、6.95(t、1H)、6.79−6.75(m、2H)、6.59−6.56(m、1H)、5.44(s、NH)、1.85(s、6H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−149.1、146.8、140.0、138.8、137.4、134.9、134.6、132.9、129.9、128.8、127.8、127.2、127.1、126.8、120.4、119.7、116.3、109.0、107.5、44.9、24.5
【0110】
(合成例11:中間体11の合成)
上記の中間体7の合成と同じ方法で、アニリンの代わりにN,N’−ジビフェニル−1,4−フェニレンジアミンを反応させ、中間体11を74%の収率で合成した。
【0111】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−7.82(d、1H)、7.76−7.64(m、8H)、7.54−7.49(m、2H)、7.40−7.11(m、10H)、6.97−6.93(m、1H)、6.60−6.43(m、7H)、5.44(s、NH)、1.85(s、6H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−149.1、147.9、146.8、143.8、140.0、136.9、136.4、135.4、134.6、134.2、132.3、128.9、128.8.127.8、127.2、127.1、126.8、120.4、119.7、117.7、114.6、109.0、107.5、44.9、24.5
【0112】
【化13】

【0113】
(合成例12:中間体12の合成)
中間体5を9.51g(30mmol)、中間体1を16.6g(60mmol)、Pd(PPhを1.7g(1.5mmol)、及びKCOを20g(150mmol)で100mLのテトラヒドロフラン(THF)/HO(2:1)混合溶液に溶かし、80℃で5時間撹拌した。反応液をジエチルエーテル600mlで三回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて得られた残留物をジクロロメタンとノルマルヘキサンとで再結晶し、中間体12を10.03g(収率65%)得た。
【0114】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.16−8.14(m、1H)、7.94(d、1H)、7.68(d、1H)、7.63(s、1H)、7.50−7.46(m、5H)、7.36−7.27(m、5H)、7.07−6.94(m、4H)、1.85(s、6H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−163.3、150.7、144.7、144.2、141.6、141.0、137.0、136.0、134.0、131.8、131.6、129.8、129.3、129.2、127.4、127.1、126.8、126.3、121.8、121.2、120.6、120.4、119.9、119.5、118.6、115.4、114.5、109.0、49.6、24.5
【0115】
(合成例13:中間体13の合成)
上記の中間体12の合成と同じ方法で、中間体1の代わりに中間体2を反応させ、中間体13を63%の収率で合成した。
【0116】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.15(d、1H)、7.95−7.91(m、2H)、7.81−7.46(m、9H)、7.36−7.27(m、4H)、7.06(d、1H)、7.00−6.94(m、4H)、1.85(s、6H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−163.3、150.7、144.9、144.2、141.6、140.0、136.1、136.0、134.0、131.8、131.6、129.5、129.3、129.2、128.2、127.9、127.6、126.8、126.7、126.2、124.3、122.5、122.3、121.8、121.4、121.2、120.6、119.9、118.6、117.3、116.6、114.5、110.2、105.1、49.6、24.5
【0117】
(合成例14:中間体14の合成)
上記の中間体12の合成と同じ方法で、中間体1の代わりに中間体3を反応させ、中間体14を62%の収率で合成した。
【0118】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.16−8.14(m、1H)、7.95(d、1H)、7.69(d、1H)、7.63(s、1H)、7.56−7.46(m、3H)、7.36−7.27(m、4H)、7.08−6.94(m、6H)、1.85(s、6H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−163.3、162.0、155.5、150.7、144.2、143.8、141.6、140.0、136.1、136.0、134.0、131.6、129.3、129.2、126.8、126.3、125.5、125.3、121.8、121.2、120.6、120.4、119.9、119.5、118.6、115.4、114.5、113.8、113.1、109.0、49.6、24.5
【0119】
(合成例15:中間体15の合成)
上記の中間体12の合成と同じ方法で、中間体1の代わりに中間体4を反応させ、中間体15を58%の収率で合成した。
【0120】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.16−8.14(m、1H)、7.95(d、1H)、7.69(d、1H)、7.63(s、1H)、7.60−7.56(m、2H)、7.49−7.45(m、1H)、7.41−7.27(m、9H)、7.07−6.94(m、4H)、6.64−6.60(m、2H)、1.85(s、6H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−163.3、150.7、144.2、144.1、141.6、140.3、139.3、136.9、136.0、135.4、134.0、131.9、131.8、131.6、129.3、129.2、128.9、128.8、127.2、126.8、126.3、121.8、121.2、120.6、120.4、119.9、119.5、118.6、116.8、115.4、114.5、109.0、49.6、24.5
【0121】
(合成例16:中間体16の合成)
上記の中間体12の合成と同じ方法で、中間体5の代わりに中間体6を反応させ、中間体16を55%の収率で合成した。
【0122】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.16−8.14(m、1H)、7.95(d、1H)、7.77(d、1H)、7.65−7.63(m、2H)、7.59(dd、1H)、7.52−7.46(m、9H)、7.37−7.27(m、4H)、7.20−7.13(m、5H)、7.06(dd、1H)、7.02−6.97(m、3H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−164.2、151.5、145.4、144.7、142.9、141.0、140.7、137.0、135.7、135.1、132.8、131.3、130.1、129.8、128.8、127.8、127.4、127.1、126.3、126.0、125.1、122.9、122.3、121.7、120.4、119.9、119.5、118.6、115.4、114.1、109.0、72.9
【0123】
【化14】

【0124】
(合成例17:化合物1の合成)
中間体12を5.14g(10mmol)、中間体7を3.42g(12mmol)、t−BuONaを2.9g(30mmol)、Pd(dba)を366mg(0.4mmol)、及びP(t−Bu)を380mg(0.4mmol)でトルエン60mLに溶かした後、90℃で3時間撹拌した。上記反応が完結した後、常温に冷やし、これを蒸溜水とジエチルエーテル50mLとで三回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて溶媒を蒸発させ、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで分離精製し、化合物1を5.9g(収率82%)を得た。
【0125】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.16−8.14(m、1H)、7.99−7.93(m、2H)、7.69−7.46(m、8H)、7.37−7.27(m、6H)、7.24−6.93(m、8H)、6.64−6.59(m、1H)、6.31(dd、2H)、5.65(dd、2H)、1.85(s、12H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−158.7、148.6、148.1、147.1、147.0、144.9、144.7、141.0、139.6、138.0、137.0、136.5、134.8、134.0、131.8、129.8、129.4、129.3、127.8、127.4、127.1、126.8、126.3、126.1、124.0、122.9、121.7、121.1、120.5、120.4、119.9、119.5、118.7、118.6、117.8、117.2、115.4、114.5、112.7、109.0、46.1、44.9、24.5
【0126】
(合成例18:化合物6の合成)
上記の化合物1の合成と同じ方法で、中間体7の代わりに中間体8を反応させ、化合物6を75%の収率で合成した。
【0127】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.16−8.14(m、1H)、7.99−7.93(m、2H)、7.69−7.46(m、8H)、7.37−6.93(m、14H)、6.73(dd、2H)、6.31(dd、2H)、1.85(s、12H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−162.0、158.7、155.5、148.1、147.1、146.0、144.7、141.0、140.7、139.6、138.0、137.0、136.5、134.8、134.0、131.8、129.8、129.3、127.8、127.4、127.1、126.8、126.4、126.3、126.2、126.1、121.7、121.1、120.5、120.4、119.9、119.5、118.7、118.6、117.8、117.2、116.2、115.5、115.4、114.5、112.7、109.0、46.1、44.9、24.5
【0128】
(合成例19:化合物7の合成)
上記の化合物1の合成と同じ方法で、中間体7の代わりに中間体9を反応させ、化合物7を80%の収率で合成した。
【0129】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.50(dd、1H)、8.16−8.14(m、1H)、7.99−7.93(m、2H)、7.85(dd、1H)、7.69−6.93(m、24H)、6.29(dd、2H)、6.08(dd、1H)、1.85(s、12H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−158.7、150.6、150.5、150.0、147.1、144.7、141.0、139.6、138.0、137.0、136.5、134.8、134.0、131.8、129.8、129.3、128.6、127.8、127.6、127.4、127.1、126.8、126.7、126.3、126.1、126.0、124.1、123.5、122.9、121.7、121.5、120.5、120.4、119.9、119.5、118.7、118.6、118.0、117.4、116.4、115.4、114.5、112.9、109.0、46.1、44.9、24.5
【0130】
(合成例20:化合物9の合成)
上記の化合物1の合成と同じ方法で、中間体7の代わりに中間体10を反応させ、化合物9を77%の収率で合成した。
【0131】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.16−8.14(m、1H)、7.99−7.93(m、2H)、7.76−6.93(m、27H)、6.43−6.29(m、4H)、1.85(s、12H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−158.7、148.6、148.1、147.1、146.3、145.5、144.7、141.0、139.6、138.0、137.0、136.9、136.5、135.4、134.8、134.2、134.0、131.8、129.8、129.3、128.9、128.8、127.7、127.4、127.2、127.1、126.8、126.3、126.1、117.8、117.7、117.2、115.4、114.5、112.7、109.0、46.1、44.9、24.5
【0132】
(合成例21:化合物22の合成)
上記の化合物1の合成と同じ方法で、中間体7の代わりに中間体11を反応させ、化合物22を72%の収率で合成した。
【0133】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.16−8.14(m、1H)、7.99−7.93(m、2H)、7.76−7.63(m、10H)、7.56(dd、2H)、7.49(dd、4H)、7.41−7.07(m、15H)、7.00−6.93(m、3H)、6.47−6.43(m、4H)、6.32−6.19(m、6H)、1.85(s、12H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−158.7、148.6、148.1、147.1、146.8、145.7、144.7、143.8、141.0、139.6、138.0、137.0、136.9、136.5、135.4、134.8、134.2、134.0、131.8、129.8、129.3、128.9、128.8、127.8、127.4、127.2、127.1、126.8、126.3、126.1、121.7、121.1、120.5、119.9、119.7、119.6、118.7、117.8、117.7、117.2、115.4、114.5、112.7、109.0、46.1、44.9、24.5
【0134】
(合成例22:化合物46の合成)
上記の化合物9の合成と同じ方法で、中間体12の代わりに中間体13を反応させ、化合物46を75%の収率で合成した。
【0135】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.15(d、1H)、7.99−7.91(m、3H)、7.80−7.49(m、13H)、7.41−7.07(m、11H)、7.00−6.93(m、3H)、6.43−6.39(m、2H)、6.31(dd、2H)、1.85(s、12H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−158.7、148.6、148.1、147.1、146.3、145.5、144.9、140.0、139.6、138.0、137.0、136.9、136.5、136.1、135.4、134.8、134.2、134.0、131.8、129.5、129.3、128.9、128.8、128.2、127.8、127.6、127.2、126.8、126.7、126.2、126.1、124.3、122.5、122.3、121.7、121.4、121.1、120.5、119.9、118.7、118.6、117.8、117.7、117.3、117.2、116.6、114.5、112.7、110.2、105.1、46.1、44.9、24.5
【0136】
(合成例23:化合物60の合成)
上記の化合物9の合成と同じ方法で、中間体12の代わりに中間体14を反応させ、化合物60を78%の収率で合成した。
【0137】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.16−8.14(m、1H)、7.99−7.93(m、2H)、7.76−7.52(m、10H)、7.41−6.93(m、16H)、6.43−6.39(m、2H)、6.31(dd、2H)、1.85(s、12H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−161.9、158.7、155.5、148.6、148.1、147.1、146.3、145.5、143.8、140.0、139.6、138.0、137.0、136.9、136.5、136.1、135.4、134.8、134.2、134.0、131.8、129.3、128.9、128.8、127.8、127.2、126.8、126.3、126.1、125.5、125.3、121.7、121.1、120.5、120.4、119.9、119.5、118.7、118.6、117.8、117.7、117.2、115.4、114.5、113.8、113.1、112.7、109.0、46.1、44.9、24.5
【0138】
(合成例24:化合物72の合成)
上記の化合物7の合成と同じ方法で、中間体12の代わりに中間体15を反応させ、化合物72を81%の収率で合成した。
【0139】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.50(dd、1H)、8.16−8.14(m、1H)、7.99−7.93(m、2H)、7.85(dd、1H)、7.69−6.93(m、26H)、6.64−6.60(m、2H)、6.29(dd、2H)、6.09(dd、1H)、1.85(s、12H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−158.7、150.6、150.5、150.0、147.1、144.1、140.3、139.6、139.3、138.0、137.0、136.9、136.5、135.4、134.8、134.0、131.8、129.3、128.9、128.8、128.6、127.8、127.6、127.2、126.8、126.7、126.3、126.1、126.0、124.1、123.5、122.9、121.7、121.5、120.5、120.4、119.9、119.5、118.7、109.0、46.1、44.9、24.5
【0140】
(合成例25:化合物74の合成)
上記の化合物9の合成と同じ方法で、中間体12の代わりに中間体15を反応させ、化合物74を83%の収率で合成した。
【0141】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.16−8.14(m、1H)、7.99−7.93(m、2H)、7.76−7.53(m、10H)、7.41−6.93(m、18H)、6.64−6.60(m、2H)、6.43−6.39(m、2H)、6.31(dd、2H)、1.85(s、12H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−158.7、148.6、148.1、147.1、146.3、145.5、144.1、140.3、139.6、139.3、138.0、137.0、136.9、136.5、135.4、134.8、134.2、134.0、131.8、129.3、128.9、128.8、127.8、127.2、126.8、126.3、126.1、121.7、121.1、120.5、119.9、119.5、118.7、118.6、117.8、117.7、117.2、116.8、115.4、114.5、112.7、109.0、46.1、44.9、24.5
【0142】
(合成例26:化合物83の合成)
上記の化合物1の合成と同じ方法で、中間体12の代わりに中間体16を反応させ、化合物83を69%の収率で合成した。
【0143】
HNMR(CDCl、400MHz)δ(ppm)−8.16−8.14(m、1H)、7.99−7.93(m、2H)、7.69−7.56(m、10H)、7.49(d、4H)、7.37−6.93(m、18H)、6.64−6.59(m、1H)、6.42(dd、1H)、6.31(dd、1H)、5.67−5.63(m、2H)、1.85(s、6H)
13CNMR(CDCl、100MHz)δ(ppm)−159.7、149.5、148.1、147.1、146.5、144.7、144.4、141.0、140.8、138.3、138.0、137.0、136.5、136.2、135.1、134.5、132.8、129.8、129.4、128.8、128.6、127.8、127.4、127.1、126.8、126.3、126.1、126.0、125.1、124.0、122.9、122.2、121.7、120.4、119.9、119.5、118.7、118.6、117.8、116.9、115.4、114.1、113.6、112.7、109.0、69.5、44.9、24.5
【0144】
(実施例1)
アノードは、コーニング(Corning)15Ωcm(1,200Å)ITOガラス基板を、50mm×50mm×0.7mmサイズに切り、イソプロピルアルコールと純水とを利用し、それぞれ5分間超音波洗浄した後、30分間紫外線(UV)を照射し、オゾンに露出させて洗浄し、真空蒸着装置に該ガラス基板を設けた。
【0145】
上記基板上部に、まず正孔注入層として、公知の物質である2−TNATAを真空蒸着して600Å厚に形成した後、次に、正孔輸送性化合物として、化合物1を300Å厚に真空蒸着して正孔輸送層を形成した。
【0146】
上記正孔輸送層の上部に、公知の緑色蛍光ホストであるAlq3と公知の緑色蛍光ドーパントであるC545Tを、重量比98:2で同時蒸着し、300Å厚に発光層を形成した。
【0147】
次に、上記発光層の上部に、Alq3を電子輸送層として300Å厚に蒸着し、LiFを電子注入層として10Å厚に蒸着し、Alを3,000Å(カソード電極)厚に真空蒸着してLiF/Al電極を形成することによって、有機発光素子を製造した。
【0148】
該素子は、電流密度50mA/cmであり、駆動電圧6.42Vであり、発光輝度8,303cd/mの高輝度を示し、色座標は(0.310,0.644)であり、発光効率は16.6cd/Aであった。
【0149】
(実施例2)
正孔輸送層の形成時、化合物1の代わりに化合物6を利用したことを除いては、実施例1と同様にし、有機発光素子を製作した。
【0150】
該素子は、電流密度50mA/cmであり、駆動電圧6.28Vであり、発光輝度8,485cd/mの高輝度を示し、色座標は(0.310,0.643)であり、発光効率は17.0cd/Aであった。
【0151】
(実施例3)
正孔輸送層の形成時、化合物1の代わりに化合物7を利用したことを除いては、実施例1と同様にし、有機発光素子を製作した。
【0152】
該素子は、電流密度50mA/cmであり、駆動電圧6.16Vであり、発光輝度8,590cd/mの高輝度を示し、色座標は(0.309,0.642)であり、発光効率は17.2cd/Aであった。
【0153】
(実施例4)
正孔輸送層の形成時、化合物1の代わりに化合物9を利用したことを除いては、実施例1と同様にし、有機発光素子を製作した。
【0154】
該素子は、電流密度50mA/cmであり、駆動電圧6.45Vであり、発光輝度7,634cd/mの高輝度を示し、色座標は(0.310,0.642)であり、発光効率は15.3cd/Aであった。
【0155】
(実施例5)
正孔輸送層の形成時、化合物1の代わりに化合物22を利用したことを除いては、実施例1と同様にし、有機発光素子を製作した。
【0156】
該素子は、電流密度50mA/cmであり、駆動電圧6.34Vであり、発光輝度8,036cd/mの高輝度を示し、色座標は(0.309,0.641)であり、発光効率は16.1cd/Aであった。
【0157】
(実施例6)
正孔輸送層の形成時、化合物1の代わりに化合物46を利用したことを除いては、実施例1と同様にし、有機発光素子を製作した。
【0158】
該素子は、電流密度50mA/cmであり、駆動電圧6.39Vであり、発光輝度8,126cd/mの高輝度を示し、色座標は(0.310,0.643)であり、発光効率は16.3cd/Aであった。
【0159】
(実施例7)
正孔輸送層の形成時、化合物1の代わりに化合物60を利用したことを除いては、実施例1と同様にし、有機発光素子を製作した。
【0160】
該素子は、電流密度50mA/cmであり、駆動電圧6.29Vであり、発光輝度7,914cd/mの高輝度を示し、色座標は(0.311,0.644)であり、発光効率は15.8cd/Aであった。
【0161】
(実施例8)
正孔輸送層の形成時、化合物1の代わりに化合物72を利用したことを除いては、実施例1と同様にし、有機発光素子を製作した。
【0162】
該素子は、電流密度50mA/cmであり、駆動電圧6.24Vであり、発光輝度8,393cd/mの高輝度を示し、色座標は(0.309,0.643)であり、発光効率は16.8cd/Aであった。
【0163】
(実施例9)
正孔輸送層の形成時、化合物1の代わりに化合物74を利用したことを除いては、実施例1と同様にし、有機発光素子を製作した。
【0164】
該素子は、電流密度50mA/cmであり、駆動電圧6.30Vであり、発光輝度8,090cd/mの高輝度を示し、色座標は(0.309,0.641)であり、発光効率は16.2cd/Aであった。
【0165】
(実施例10)
正孔輸送層の形成時、化合物1の代わりに化合物83を利用したことを除いては、実施例1と同様にし、有機発光素子を製作した。
【0166】
該素子は、電流密度50mA/cmであり、駆動電圧6.34Vであり、発光輝度7,898cd/mの高輝度を示し、色座標は(0.310,0.642)であり、発光効率は15.8cd/Aであった。
【0167】
(比較例1)
正孔輸送層の形成時、上記化合物1の代わりに4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)を利用したことを除いては、実施例1と同様にし、有機発光素子を製作した。
【0168】
該素子は、電流密度50mA/cmであり、駆動電圧7.45Vであり、発光輝度6,102cd/mを示し、色座標は(0.309,0.642)とほぼ同一であり、発光効率は12.2cd/Aであった。
【0169】
実施例1ないし10の有機発光素子は、比較例1の有機発光素子に比べ、駆動電圧はおよそ1V以上低くなり、効率の向上した優秀なI−V−L(電流−電圧−輝度)特性を示すということが分かった。
【0170】
一方、下記表1に実施例1,3,4,6,7,9及び比較例1の有機発光素子の半減寿命を示した(図2も参照)。
【0171】
【表1】

【0172】
上記表1によれば実施例1,3,4,6,7及び9の有機発光素子の寿命は、比較例1の有機発光素子の寿命に比べ、向上しているということを確認することができた。
【0173】
本発明について、上記合成例及び実施例を参考にして説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、本発明に属する技術分野の当業者ならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解することが可能であろう。よって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決まるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表示されるアミン系化合物:
【化1】

式中、
Arは、置換または非置換のC−C30アリール基、置換または非置換のC−C20アリールオキシ基、置換または非置換のC−C20ヘテロアリール基、または置換または非置換のC−C20縮合多環基であり、
は、水素、置換または非置換のC−C20アルキル基、置換または非置換のC−C20アルコキシ基、置換または非置換のC−C30アリール基、置換または非置換のC−C20ヘテロアリール基、または置換または非置換のC−C20縮合多環基であり、
及びRはそれぞれ独立的に、水素、置換または非置換のC−C20アルキル基、置換または非置換のC−C20アルコキシ基、置換または非置換のC−C30アリール基、置換または非置換のC−C20縮合多環基、フッ素、シアノ基またはアミノ基であり、
,R,R及びRはそれぞれ独立的に、水素、置換または非置換のC−C20アルキル基、置換または非置換のC−C20アルコキシ基、または置換または非置換のC−C30アリール基である。
【請求項2】
前記Arが、置換または非置換のC−C16アリール基、置換または非置換のC−C16ヘテロアリール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記Arが、非置換のフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ペンタレニル基、インデニル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フルオレニル基、ペナントレニル基、トリフェニレニル基、ナフタセニル基、ペナレニル基、ピレニル基、ペンタフェニル基、ヘキサフェニル基、ピリジニル基、キノリニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基またカルバゾリル基;またはハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、(C−C10アルキル)アミノ基、ジ(C−C10アルキル)アミノ基、(C−C14アリール)アミノ基、ジ(C−C14アリール)アミノ基、C−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基、C−C14アリールオキシ基、C−C14アリール基、及びC−C14アリール基で置換されたC−C14アリール基からなる群から選択された一つ以上の置換基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ペンタレニル基、インデニル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フルオレニル基、ペナントレニル基、トリフェニレニル基、ナフタセニル基、ペナレニル基、ピレニル基、ペンタフェニル基、ヘキサフェニル基、ピリジニル基、キノリニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基またはカルバゾリル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記Arは、下記化学式2aないし2qのうちいずれか一つである、請求項1に記載の化合物:
【化2】

前記化学式2aないし2qのうち、Q及びQは互いに独立的に、水素、フッ素、シアノ基、アミノ基、C−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基、C−C14アリール基、またはC−C14アリール基で置換されたC−C14アリール基であり、*は、化学式1のうち、Nとの結合サイトである。
【請求項5】
前記Rが、置換または非置換のC−C14アリール基である、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記Rが、非置換のフェニル基、ナフチル基、ペンタレニル基、インデニル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フルオレニル基、ペナントレニル基、トリフェニレニル基、ナフタセニル基、ペナレニル基、ピレニル基、ペンタフェニル基、またはヘキサフェニル基;またはハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、(C−C10アルキル)アミノ基、ジ(C−C10アルキル)アミノ基、(C−C14アリール)アミノ基、ジ(C−C14アリール)アミノ基、C−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基、C−C14アリールオキシ基、C−C14アリール基、及びC−C14アリール基で置換されたC−C14アリール基からなる群から選択された一つ以上の置換基で置換されたフェニル基、ナフチル基、ペンタレニル基、インデニル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フルオレニル基、ペナントレニル基、トリフェニレニル基、ナフタセニル基、ペナレニル基、ピレニル基、ペンタフェニル基、またはヘキサフェニル基である、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
前記Rが、フェニル基、ナフチル基、ハロフェニル基、またはフェニル基で置換されたフェニル基である、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
前記R及びRが互いに独立的に、水素、フッ素、シアノ基、アミノ基、C−C10アルキル基、またはC−C10アルコキシ基である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
前記RないしRが互いに独立的に、水素、C−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基またはC−C14アリール基である、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
下記化学式として表示される化合物1,6,7,9,22,46,60,72,74,83のうち、いずれか一つである、請求項1に記載の化合物:
【化3】

【請求項11】
第1電極と、第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極間に介在された有機膜とを具備した有機発光素子であって、前記有機膜が請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載の化合物を含む、有機発光素子。
【請求項12】
前記有機膜が、正孔注入層または正孔輸送層である、請求項11に記載の有機発光素子。
【請求項13】
前記有機膜が、正孔注入機能及び正孔輸送機能を同時に有する単一膜である、請求項11に記載の有機発光素子。
【請求項14】
前記有機膜が、発光層である、請求項11に記載の有機発光素子。
【請求項15】
前記有機膜が、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択された1層以上の層をさらに含む、請求項11に記載の有機発光素子。
【請求項16】
前記有機発光素子が、第1電極/正孔注入層/発光層/第2電極、第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/第2電極、または第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極の構造を有する、請求項12に記載の有機発光素子。
【請求項17】
請求項11に記載の有機発光素子及び薄膜トランジスタを具備し、前記有機発光素子の第1電極が、前記薄膜トランジスタのソース電極またはドレイン電極と電気的に連結される、平板表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−31012(P2010−31012A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177239(P2009−177239)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】