説明

アミン誘導体

本発明は(2S,3S)−3−[[(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチル]カルバモイル]オキシラン−2−カルボン酸ナトリウムの合成中間体として有用な(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチルアミン及びその製法に関する。
前記製法はL−ロイシノールと次の一般式


で表される化合物を塩基の存在下、反応させ、得られた(1S)−1−(2−メチル−2−プロペノキシメチル)−3−メチルブチルアミンを還元することからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明はアミン誘導体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
次式、

で表される(2S,3S)−3−[[(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチル]カルバモイル]オキシラン−2−カルボン酸ナトリウム(以下、化合物Aと略す。)はカテプシン阻害作用を有し、慢性関節リウマチ、骨粗鬆症の治療薬等として有用である。(特許文献1:国際公開第99/11640号パンフレット)
特許文献1では、化合物Aは次の反応スキームにより製造している。(特許文献1の実施例48参照)

上記化合物Aを工業的に製造できる合成方法の提供が求められている。
【発明の開示】
本発明の目的は上記化合物Aの合成中間体として使用できるアミン誘導体、即ち次式、

で表される(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチルアミン及びその製造方法を提供することにある。
(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチルアミンは以下の反応スキームにより得ることができる。

工程1:L−ロイシノール(2)→化合物(3)
この反応はL−ロイシノール(2)と化合物(4)をTHF、DMSO等の反応に関与しない溶媒中、塩基の存在下、−30℃〜溶媒の沸点で行うことができる。
上記の化合物(4)でXで表される脱離基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
用いられる塩基としては、NaH、LiH、KHなどの水素化アルカリ金属、CaHなどの水素化アルカリ土類金属、BuOK等のアルカリ金属アルコキシド、NaOH、KOH等の無機の塩基、トリエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。
尚、原料であるL−ロイシノールは、例えばL−ロイシンを還元することにより得ることができる。(例えば、米国特許第3935280号。)
工程2:化合物(3)→化合物(1)
この反応はPd/C、ラネーニッケルなどの二重結合の接触還元に用いられる触媒を0.1〜20%用い、エタノール、酢酸などの反応に関与しない溶媒中、1〜100気圧の水素圧下で行うことができる。
また(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチルアミンは、次の反応スキームにより製造することもできる。

かくして得られた(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチルアミンから例えば以下の反応スキームで上記化合物Aを製造することができる。(特許文献1の実施例48及び実施例18a参照。)

本発明方法を用いることで高収率でアミン誘導体、即ち(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチルアミンを得ることができ、さらにこのアミン誘導体を用いることで上記化合物Aを高収率で得ることができる。
次に、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【実施例1】
(1S)−1−(2−メチル−2−プロペノキシメチル)−3−メチルブチルアミン
L−ロイシノール(20.0g,0.17mol)と無水THF(200mL)の溶液に60%NaH(7.92g,0.198mol)を少量ずつ加え、室温で30分、更に50℃で2時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、この懸濁液に3−クロロ−2−メチルプロペン(15.45g,0.17mol)と無水THF(50mL)の溶液を滴下し、室温で20時間攪拌した。減圧下THFを留去して得られた残渣に氷水、続いてジエチルエーテルを加え室温で5分間攪拌後、有機層を分取し、水層をジエチルエーテルで抽出し、前記有機層と合わせた。この有機層を1mol/L塩酸水溶液(7mL)で洗浄後、1mol/L塩酸水溶液(153mL)にて抽出し、この塩酸抽出液に炭酸カリウムを加え、pHを約10とし、ジエチルエーテルで抽出した。この有機層を水洗後、硫酸ナトリウムにて乾燥、減圧下溶媒を留去して表題化合物(20.22g,69.2%)を油状物として得た。
H−NMR(CDCl)δ:
0.90(3H,d,J=7Hz)
0.93(3H,d,J=7Hz)
1.1−1.3(2H,m)
1.74(3H,s)
1.7−1.8(1H,m)
2.62(2H、broad s)
3.0〜3.1(1H,m)
3.15(1H,dd,J=8Hz and 9Hz)
3.38(1H,dd,J=3Hz and 9Hz)
3.88(1H,d,J=13Hz)
3.92(1H,d,J=13Hz)
4.89(1H,s)
4.96(1H,s)
【実施例2】
(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチルアミン
(1S)−1−(2−メチル−2−プロペノキシメチル)−3−メチルブチルアミン(51.9g,0.3mol)、5%Pd/C(10.4g)とエタノール(520mL)の懸濁液を水素雰囲気下(1気圧)室温で18時間攪拌した。氷冷下、この反応液に6mol/L塩酸水溶液(52mL)を加え、セライトにて不溶物を濾別後、減圧下溶媒を留去した。残渣に水を加え溶解し、炭酸カリウムを加え、pHを約10とし、ジエチルエーテルで抽出後、有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥、減圧下溶媒を留去して表題化合物(48.6g,92.6%)を油状物として得た。
bp 66−67℃/5mmHg
H−NMR(CDCl)δ:
0.90(3H,d,J=6Hz)
0.90(3H,d,J=6Hz)
0.91(3H,d,J=6Hz)
0.93(3H,d,J=6Hz)
1.1−1.2(2H,m)
1.50(2H,broad s)
1.6−1.8(1H,m)
1.8−1.9(1H,m)
3.0−3.1(1H、m)
3.11(1H,dd,J=8 and 9Hz)
3.16(1H,dd,J=7 and 9Hz)
3.23(1H,dd,J=7 and 9Hz)
3.37(1H,dd,J=3 and 9Hz)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチルアミン。
【請求項2】
(1S)−1−(2−メチル−2−プロペノキシメチル)−3−メチルブチルアミンを還元することを特徴とする(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチルアミンを得る方法。
【請求項3】
L−ロイシノールと次の一般式

で表される化合物を塩基の存在下、反応させ、得られた(1S)−1−(2−メチル−2−プロペノキシメチル)−3−メチルブチルアミンを還元することを特徴とする(1S)−1−イソブトキシメチル−3−メチルブチルアミンを得る方法。

【国際公開番号】WO2004/024672
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【発行日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−535909(P2004−535909)
【国際出願番号】PCT/JP2003/011468
【国際出願日】平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願人】(000228590)日本ケミファ株式会社 (33)
【Fターム(参考)】