説明

アムラ(別名フィランタスエンブリカ)抽出物の経口投与による日光に誘発される(sun−induced)損傷からの皮膚の保護方法

本発明は日焼け防止に関し、さらに詳しくはアムラ(Emblica officinalis)(別名フィランタスエンブリカ)植物抽出物の経口投与による皮膚の日焼け防止の方法、およびその目的のための適当な投与形態に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は日焼け防止に関し、さらに詳しくは、アムラ(Emblica officinalis)(別名フィランタスエンブリカ(Phyllanthus emblica))植物の抽出物の経口投与による皮膚の日焼け防止の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚やその他の様々なヒト組織の主な細胞外基質成分は、密接に関係しているが、遺伝的には区別されるタンパク質のスーパーファミリーであるコラーゲンである。遺伝的に区別されるコラーゲン型はそれぞれ、皮膚内の区画配置の中で重要な機能的役割を果たしている。
【0003】
皮膚の外因性の老化には、皮膚への多くの環境的侵襲の蓄積の結果である諸変化が含まれる。これらの侵襲のうちで最も重要なのは、明らかに長時間の日光曝露である。コラーゲンの量と構造、皮膚の弾力性および伸展性の変化は、光で損傷を受けた皮膚においては助長される。最近の研究によれば、皮膚のコラーゲンの減少は、外因性の光損傷を受けた皮膚の方が内因性の老化した皮膚よりも大きいことが示唆されている。
【0004】
光化学作用によって損傷を受けた皮膚(太陽光線の化学作用によって損傷を受けた皮膚)においては、鉄含有量が非常に増加するため、高度反応性酸素種(ROS:reactive oxygen species)の産生が促され、引き続く組織損傷および長期的な結果として皮膚の癌や早期老化等がもたらされる。この病的分解に関与するUV誘導性遺伝子にはいくつかのプロテアーゼ類があり、その中でもマトリクス分解性メタロプロテアーゼ(MMP)はコラーゲンなどの結合組織化合物の分解に寄与し、それによってしわの形成、弾力の喪失を引き起こし、皮膚癌の侵入および転移を促進する。UV曝露による細胞レベルでの鉄貯蔵タンパク質からの鉄の放出は、酸化的ストレスの主要な原因とみなされている。
【0005】
日光曝露は皮膚の早期老化を引き起こす。皮膚の早期老化はスジ、しわ、シミ、ソバカス、乾燥および皮膚の色調ムラとして現れる。光老化はまたコラーゲンを破壊し、そのため皮膚の弾力性および堅固さが低下する。これらの兆候は皮膚が損傷していることを示し、気になることであるが、個人の容貌をも衰えさせ、多くの場合、実際よりもずっと年取ったように見える。光老化の大部分は顔、首、胸、手、腕の皮膚など毎日露出されていて、したがって目に見える皮膚で起こるので、これはそれ自体、特に女性には悩ましいこととなる可能性がある。クリーム、ローションおよび化粧品は問題点を覆い隠すことを試みることはできるが光老化によって引き起こされた損傷を逆戻りさせることはできない。本当に必要なのは、内部から皮膚を養い、活気を与えることによって、日光の皮膚損傷作用を保護し、逆戻りさせるのを助ける製品である。現在までのところ、本願発明に至るまではそのような製品は存在しない。
【0006】
紫外線(UVR)で誘発された炎症反応はUVR依存性のROSの増加やUVR依存性の皮膚の酸化損傷の大部分を説明するのに提起された有力な機序の1つである。加えて、炎症反応を促進し、レドックス調節された転写因子NF−kBは、ヒトの皮膚の中でUVRによって開始されるシグナル伝達の間に標的とされる主要な分子の1つとして同定されている。その結果、UVRは、5’隣接領域に核因子−kB(NF−kB)結合部位を含む、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−1α(IL−1α)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)などの広範な炎症反応促進遺伝子の発現を刺激する。
【0007】
炎症反応は、ROS濃度の上昇を介してUVRによって誘起される酸化的ストレスおよび皮膚における損傷に重大な役割を演じるので、抗炎症性を有する抗酸化剤はUVRの損傷作用を和らげると考えられている。
【0008】
例えば、Ghosal,S.は、米国特許第6,124,268号において、アムラ植物の抽出によって得た天然抗酸化剤ブレンド物について記載しており、それはスプレーローション、水性ゲル、またはクリームとして適用すれば日射遮蔽剤としてユーザの皮膚に対して使用することができる。この特許は記載抽出物の抗酸化剤としての特性を生かすために、例えばビタミンとの経口投与可能な組成物についても記載しているが、そういった組成物が日射による損傷から皮膚を防御できるとの示唆はない。一方、Lorenz,R.は、米国特許第6,433,025号においてアスタキサンチンの経口投与によって日光皮膚炎を遅延または防止する方法を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、アムラ(Emblica officinalis)の抽出物組成物の経口投与による、UVR誘起の紅斑に対して皮膚の日焼けを防止する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここで見いだされたことは、アムラ(Emblica officinalis)植物の抽出物をベースとする抗酸化剤組成物は、ユーザによる経口摂取によって、有効な皮膚の日焼け防止を提供しうるということである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明における抗酸化剤組成物は、アムラ(Emblica officinalis)の抽出物、例えば米国特許第6,124,218号のもの、および好ましくは低分子量(<1000)の加水分解可能なタンニン類、エンブリカニン(Emblicanin)A、エンブリカニン(Emblicanin)B、ペダンクラーギン(Pedunculagin)およびペニグルコニン(Punigluconin)を適切には40%を越えて、好ましくは50〜80%(w/w)含み、総フラボノイドを1重量%未満、好ましくは0.6%未満の低濃度しか含まない標準抽出物である。この標準抽出物はGhosalによって記載された抽出物とは異なる。標準抽出物中のこの総フラボノイド濃度では組成物の好ましい優雅なオフホワイト乃至黄色の色を損なうことはない。これに対して、市販の競合製品は非常に高濃度の総フラボノイドを有しており、かなり暗い色を示す。また、フラボノイド類であるルチン(3’,4’,5’,7−テトラヒドロキシ−フラボン−3−0−ラムノグルコシド)の本発明の標準抽出物中の望ましい濃度は1.0%未満であり、0.01%未満が好ましく、0.001〜0.01%の値が特に好ましい。最も好ましい成分濃度は全乾燥抽出物の重量百分率で以下の通りである:
【0012】
【表1】


【0013】
標準組成物におけるこれらの好ましい値からの百分率の平均偏差は以下のようになる可能性がある。
【0014】
【表2】


【0015】
本発明の好ましい抗酸化剤組成物はアセトニトリル/水/リン酸(20/80/1)、または他の溶媒組成の溶媒系を用いて、逆相カラムクロマトグラフィーまたはHPLCで総フラボノイドを除去することによって得ることができる。その際フラボノイドは、低分子量のタンニン類よりも先に溶離してくる。また、産地を選択することによって、フィランタスエンブリカの実の抽出物は、総フラボノイド濃度が実質的に低濃度(<1.0%)となる可能性がある。さらに特に、東インドのある地域から11月〜2月に集めた中程度の大きさの実は、水抽出および乾燥後、総フラボノイド含量が所望の低い粉末として好ましい抗酸化剤組成物を得ることができることが観察されている。したがって、抽出物の総フラボノイド含量を分析し、所望の総フラボノイド含量の低い抽出物を選択することにより、所望の標準抽出物を再現性のあるやり方で調製することが可能である。
【0016】
本発明の明細書においては、「フラボノイド類」という用語にはUVスペクトルデータにより分析したとき350nmに極大を示す化合物のファミリーを含む。フラボノイド類の例には、フラボノール類およびフラボン類が含まれるが、それらには限らない。そのような化学種には上述のルチンがある。
【0017】
本発明の好ましい実施形態においては、フィランタスエンブリカの実質的に水溶性の(95重量%以上)抽出物はポリマー状タンニンを5重量%未満しか含まず、実質的に黒いものを含まず、分子量1,000未満の生体活性のある、低分子量で加水分解可能なタンニンが高濃度例えば75重量%以上であるようなものが使用される。この抽出物はオリゴマーおよびポリマーのタンニンを除去する方法によって得ることができる。適当な方法には以下の段階が含まれる。1)植物からの元の抽出物から、あるいはその抽出物を処理した後(例えば乾燥段階の後)に得られる粉末化組成物の懸濁によって得られる、フィランタスエンブリカの抽出物を準備する、2)必要な場合、例えば濾過助剤を使用する濾過によって水溶性成分から、黒い小粒および/またはその前駆体および/またはポリマー状タンニンを物理的に分離する、3)所望であれば、得られたアムラの組成物を豊富に含む水溶液を濃縮して、例えば乾燥粉末にする。
【0018】
本発明の抗酸化剤組成物は、皮膚防御の独特の4つの特徴を提供するという点で真に革新的である。
【0019】
・ 酸化促進活性を有しない。
【0020】
・ コラゲナーゼおよびストロメリシン−1活性を阻害する。
【0021】
・ 鉄および銅のキレート化活性。
【0022】
酸化促進活性を有しない:酸化作用を調節する、すなわち減ずるために、その皮膚に対する有害な影響を阻止するとはいわないまでも、皮膚を光損傷から守る目的で、多様な抗酸化剤を使用することが可能である。一般的に抗酸化剤を使用することが勧められる場合、これらの化合物は抗酸化剤として機能するだけでなく、特に鉄および銅のような遷移金属の存在下では、(本質的には)酸化促進作用も有しているということは、しばしば無視されてきた。紫外線が当たると鉄貯蔵タンパク質であるフェリチンから鉄が遊離することが、主要な酸化的ストレスの原因であるとされている。その結果、潜在的に有害な遊離の鉄が細胞内に放出されると、光による過酸化の損傷効果を明らかに悪化させ、紫外線に曝された後の皮膚の可逆的損傷にも退行的損傷にも中心的な重要性を持っていると考えられる。ヒトの表皮の鉄含量は日光に曝されたエリアでは曝されない部位よりも3倍も多いということが分かっている。鉄はフェントン(Fenton)反応と呼ばれる、反応性酸素化学種との一連の反応によりその毒性を発揮し、生体分子に対して結果として、損傷をもたらす毒性の強いヒドロキシルラジカルを発生させる。ビタミンC、ビタミンE、プロアントシアニジン類(マツおよびブドウより)、超酸化物不均化酵素およびグルタチオン等の周知の抗酸化剤が酸化促進活性を示すのに対して、本発明の抗酸化剤は、遷移金属に誘起される酸化促進活性をまったく持たない。
【0023】
コラゲナーゼ活性の阻害:本発明の抗酸化剤は、コラーゲンを消化し、したがってコラーゲンを分解するコラゲナーゼ活性(コラゲナーゼはMMPの一種である)を阻害するという点で特異である。UV曝露は、老化の目に見える兆候に寄与するコラゲナーゼ酵素の発現を増大させる傾向がある。本発明の抗酸化剤はこの酵素活性を阻止することができ、コラーゲンの破壊を減少させる。文献データによれば、既存のコラーゲンを保護する方が、コラーゲンの産生を活性化するよりも重要である(EF BernsteinおよびJ Uitta、Clinics in Dermatology、14、143〜151、1996)。
【0024】
ストロメリシン−1活性の阻害:ストロメリシン−1は細胞外基質の様々なプロテオグリカン成分やフィブロネクチンおよびラミニンを分解する際、コラゲナーゼよりもはるかに広い基質特異性を有する。UV曝露は、老化の目に見える兆候に寄与するストロメリシン−1酵素の発現を増大させる傾向がある。本発明の抗酸化剤はこの酵素活性を阻止することができ、それによって細胞外基質タンパク質の破壊を減少させる。
【0025】
鉄および銅のキレート化活性:鉄はすべての生細胞にとって主要な成長因子である。体内の鉄の大部分は血流中にある。しかし、その循環の中に入る鉄がすべてヘモグロビンによって運ばれているわけではない。鉄が「遊離の鉄」と呼ばれているタンパク質に結合しない状態で血流中で循環すると、大規模破壊をもたらし、酸化的ストレスを促進することがある。脂肪組織内で起こる鉄によって引き起こされる酸化は脂質過酸化と呼ばれる。例えば、脳および神経系のニューロン(神経細胞)はミエリン(myelin)と呼ばれる脂肪に裏打ちされており、非結合鉄濃度が高すぎると非常に破壊されやすい。
【0026】
本発明の抗酸化剤は非常に効率的な鉄および銅のキレート化剤である。鉄および銅は、早期老化や皮膚への光損傷を引き起こすコラーゲンの破壊およびフリーラジカル損傷において主要な役割を果たすものである。鉄の還元電位をH22との反応が起こらない程度に変更するか、あるいはH22が結合するのに使われる鉄の部位をブロックすると、遷移金属によって引き起こされる酸化を止める解決策となるかもしれない。これら2つの原理は皮膚の手入れ用の抗酸化機能を持ったキレート化剤の設計上重要である。本発明の抗酸化剤は理想的な抗酸化剤の特質をすべて有しているが、Fe3+およびCu2+に対する卓越したキレート化特性を有するため、遷移金属によって引き起こされる酸化促進活性を有しておらず、そのため、皮膚が紫外線に曝されたときに最も著しく、ヒドロキシルラジカルの発生および皮膚に対する有害な影響を排除する。
【0027】
カスケード効果:本発明の抗酸化剤は、特異な「カスケード効果」を示す抗酸化剤の非常に小さなグループの1つである。このカスケード効果は、活性を長期間にわたって保てるように活性形態を連続的に再循環させることにより、フリーラジカル除去活性を強めている。大部分の抗酸化剤は活性な役割から不活性な役割に移行するのに対して、本発明の抗酸化剤は多段階の抗酸化化合物のカスケードを使用しており、その結果として全体として特異な抗酸化能力の延長がもたらされている。
【0028】
本発明のさらなる実施形態は、アムラ(Emblica officinalis)の抽出物を含むことを特徴とする経口投与に適した投与形態である。
【0029】
前記投与形態は、経口投与等に適した賦形剤を含むのが好ましい。この投与形態は錠剤またはカプセルまたはエリキシル剤または懸濁剤またはドリンク剤とすることができる。
【0030】
前記投与形態は皮膚の光損傷の徴候を遅らせ、防御し、逆行させることのできる他の成分を含んでいてもよい。
【0031】
栄養補助剤は意図する用途によって変わる多くの形態をとる。追加のビタミン、ミネラルまたは他の食品群の入った飲食物を供給するのに、液剤、丸薬または錠剤および菓子バーの形態が使用されてきた。タンパク質補充剤は粉末、錠剤および自立固体構造など、いくつかの形態で商業的に手に入る。粉末は普通、他の食品に振りかけたり、他の食品と混合し、最も典型的には水またはミルクなどの液体と混合する。補充剤がより口当たりよく、液体中に容易に分散できるように普通、香味剤および他の添加剤が使用される。自立固体構造は商業的には普通菓子バー、例えば「キャンディ」バーとして入手できる。粉末品と同様に、食感や口当たりをよくするために、通常、香味料および他の添加剤が含まれている。
【0032】
多くのタイプの労働や運動に必要とされる種類の身体活動は、ある種の栄養素を高レベルで消費する必要があるので、その様な活動を行う人たちの身体に大きな要求を突きつける。さらに、汗には高レベルの鉄および銅が存在するので、皮膚に対してはるかに大きな酸化的ストレスを、そしてその結果として光老化およびしわの形成を引き起こす。

したがって、本発明の好ましい一実施形態においては、投与形態は栄養補助剤であり、液剤、粉末剤、丸薬または錠剤および菓子バーの形態が好ましく、焼いた可食性の高タンパク質製品が特に好ましい。特に好ましい一投与形態にはa)少なくとも0.1%のアムラ(Emblica officinalis)抽出物、b)高タンパク質成分の混合物、c)小麦粉、d)膨張剤、e)甘味料、およびf)水が含まれる。さらなる投与形態は、リンゴ、バナナ、サクランボ、シナモン、クランベリー、ブドウ、甘露、ハチミツ、キウィ、レモン、ライム、オレンジ、モモ、ペパーミント、パイナップル、ラズベリー、タンジェリン、スイカ、セイヨウミザクラなどを含む水溶性の天然抽出物または人工抽出物からなる群から選択され、全体で前記乾燥組成物の0.10重量%〜2.0重量%の範囲で含まれる、前記栄養組成物に特徴的な味を与える香味成分、および/または青、緑、オレンジ、赤、紫、および黄色の水溶性の天然色素または人工色素、酸化鉄色素、青、ピンク、赤、紫のウルトラマリン顔料等で構成される群から選択され、全体で前記乾燥組成物の0.10重量%〜2.0重量%の範囲で含まれる、前記栄養組成物に独特の色を与える着色料成分を含んでいてもよい。
【実施例】
【0033】
これ以上手を煩わさなくても、当業者であれば、これまでの説明を使用して、本発明を完全に使用することができると考えられる。したがって、以下の好ましい具体的実施形態は、単に説明のためのものであって、本開示の残りの部分をなんであれ制限するものではないとみなすべきである。
【0034】
これまでおよび以下の実施例において、温度はすべて補正なしの摂氏温度であり、部および百分率は別途記載のない限りすべて重量である。
実施例1
新鮮なアムラ(Emblica officinalis)の実(5kg)の果肉を細かく取りだし、食塩(1%重量/重量)を含む水(2リットル)と混ぜ合わせた。その混合物を約12時間室温に放置した。次いで混合物を冷所(10℃)に3日間貯蔵した。その後、薄い布で濾過し、濾液を噴霧乾燥した。噴霧乾燥したブレンド物中の抗酸化剤画分は、高圧薄層クロマトグラフィー(HPTLC)による測定で、果肉に対して約0.1g/100gであった。ブレンド物中にはいくらかの遊離の没色子酸(1.8g/100g果肉)、単糖類、澱粉(グルコース、ラムノース、ガラクトースなど)(12g/100g果肉)も存在した。
【0035】
以下の例は必ずしも実施されたものではなく、本発明を説明するものである。

実施例2
抽出物の錠剤およびカプセル剤
【0036】
【表3】


【0037】
注:抽出物を澱粉ペーストと共に粒状にし、流動性の粉末にする。4以外のすべての成分をブレンダー中で、25分間ブレンドする。4を篩い入れてさらに5分間ブレンドする。7/16インチの標準凹型治具を使用し、圧縮して錠剤にする。また、ブレンドした物質を適当なカプセルに詰めることもできる。
実施例3
抽出物錠剤およびカプセル剤
【0038】
【表4】


【0039】
6以外の全成分をブレンダー中で20分間ブレンドする。6を篩い入れ、さらに5分間ブレンドする。7/16インチの標準凹型治具を使用し、圧縮して錠剤にする。
実施例4
抽出物シラップ
【0040】
【表5】



【0041】
実施例5
抽出物飲料
【0042】
【表6】



【0043】
実施例6
抽出物シリアル
【0044】
【表7】



【0045】
実施例7
抽出物栄養バー
【0046】
【表8】

【0047】
実施例8
本発明の抽出物の金属キレート化能力
スーパーオキシドアニオンラジカルと過酸化水素とから鉄に触媒されたヒドロキシルラジカル生成が起こるためには、空のまたは水などの容易に解離できるリガンドに占められた少なくとも1つの鉄の配位座が利用できることが必要である。この水との配位はアジドアニオン(N3-)などのより強い配位子で完全に置き換えることができる。この原理はFe3+抗酸化剤錯体においてある配位座が空位であるかどうかをUVスペクトロメトリー法で測定するのに応用される(E.Grafら「鉄触媒によるヒドロキシルラジカルの生成、遊離鉄配位座のための厳格な要求」J.Biol Chem.1984 259:3620〜3624.;A.E.Martellら.Advances in Catalysis、IX(A.Farakas、編)、Academic Press、New York、NY、319、1957)。試験したすべてのFe3+キレートのうち、本発明の抽出物だけが配位領域に水がない(すなわち、その錯体は完全にかつ安定に飽和しており、オキソフェリルラジカルの形成を経る酸化促進活性を持つことができない)。ほかの抗酸化剤/キレート化剤はすべて、それによってオキソフェリルラジカルを形成することのできる異種の配位座を示し、特に低濃度で酸化促進効果を明らかに持つ。本発明の抽出物は、最も有効な鉄のキレート化剤であり、ラジカルによって引き起こされる酸化的ストレスによる損傷を防ぎ、遷移金属イオンを失わせるはずである。
【0048】
この結果は下記表3に記した。
【0049】
【表9】



【0050】
【表10】



【0051】
実施例9
経口投与によりUVに誘起される紅斑を変化させる本発明の抽出物組成物の評価および比較のためのテストプロトコール(test protocol)の観察
具体的には、この抽出物栄養補助剤は1〜500mg/日の量を8週間経口投与した後、最低紅斑照射量(MED)となるのに必要なUV照射量を増大させるはずである。紅斑は目視評価の専門家が評価する。本抽出物の補助食品の皮膚を白くする能力を評価するために、使用前のベースライン皮膚、4週間使用後および8週間使用後に、ミノルタクロマメータで測定を実施する。
【0052】
1.組入基準
a.皮膚タイプII〜III(下記)の36人の健常人男女被験者を試験用に選択する。
【0053】
皮膚タイプ 日光皮膚炎および日焼け歴
I 常に容易に日光皮膚炎を起こす;日焼けしない(感受性が高い)
II 常に容易に日光皮膚炎を起こす;わずかに日焼けする(感受性が高い)
III 中程度に日光皮膚炎を起こす:徐々に日焼けする(正常)
IV 最小限度の日光皮膚炎を起こす;いつもよく日焼けする(正常)
V まれに日光皮膚炎を起こす;過度に日焼けする(感受性が低い)
VI 日光皮膚炎を起こす;深く色づく(感受性が低い)
b.年齢18〜60才
c.試験物質による皮膚反応と紛らわしいような、目に見える皮膚疾患がないこと。
【0054】
2.除外基準
a.日光に対する異常な反応の経験を持つ被験者および日光に対する異常な反応を起こす可能性のある投薬を受けている被験者は試験から除外する。
【0055】
b.現在日光皮膚炎、日焼け、試験結果の評価を妨げる可能性のある皮膚の色ムラまたは目に見える皮膚疾患のある被験者は試験から除外する。
【0056】
c.妊娠中または授乳中の女性は除外する。
【0057】
d.定期的にUVA日光ベッドを使用している被験者。
【0058】
e.紅斑性狼瘡または皮膚癌の既往歴のある被験者。
【0059】
f.試験開始前2週間以内に何らかのビタミン補助剤を摂取した被験者。
【0060】
3.光源
キセノンアーク太陽光シミュレータ(150w)を紫外線照射源として使用する。(ソーラーライト社(Solar Light Company)、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)。この装置は、J.Invest.Dermatol.53、192(1969)に詳細に説明されているが、自然太陽光のスペクトル出力と同等の紫外線領域におけるスペクトル出力を有する。波長範囲290〜400nmの基本的なUV−AおよびUV−B波長スペクトルを提供するためにWG−320フィルタおよびUG−11フィルタを使用する。
【0061】
試験期間の前後にUV強度計(UVB検出器付き、Model PMA2100、ソーラーライト社、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)でランプの出力を測定する。
【0062】
4.方法論
本試験は、無作為に選択され、各18人の被験者からなる2グループに分けられた36人の志願者による、無作為化対照試験で実施する。18人を経口投与群に、18人を対照群に割り当てる。
【0063】
5.ベースライン
試験開始の1週間前と、試験の初日に再び、被験者は実験室に行き、MED値を測定し、これら2つの値の平均をベースラインMED値とする。
【0064】
最低紅斑照射量(MED:Minimal Erythemal Dose)
MEDは、未処理の皮膚に認知できる最低限の紅斑を生じるのに十分な紫外線照射時間または量と定義される。各被験者のMEDは、各回の曝露時間が前回の曝露時間より25%増えるように累進的に増やして、等比数列的な紫外線曝露によって決定する。
【0065】
照射16〜24時間後に、その部位の紅斑を以下の評点システムにより評価する。
【0066】
0 陰性、目に見える反応なし
0.5 最低限の紅斑
1 明確な紅斑
2 中等度の紅斑
3 重度の紅斑
MEDの視覚評価に加えて、ミノルタクロマメータを使用してベースライン皮膚の測定を実施する。試験期間中に色の変化があればL***表色系を使用して評価する。測定は3回繰り返して行い、平均値をデータとして採用する。
【0067】
処置群の被験者には、8週間にわたって1日2回、本発明の抽出物組成物を2錠経口服用するよう指示する。被験者には、日光に当たらないように、そして遵守を記録する日記をつけるように指示する。
【0068】
第2週
被験者はMED値を測定するために実験室にもどる。被験者はベースラインMEDに隣接する位置に上述のように照射を受ける。照射16〜24時間後に上記の評価システムを使用してMEDを評価する。
【0069】
第4週
被験者はMED値を測定するために実験室にもどる。被験者はベースラインMEDに隣接する位置に上述のように照射を受ける。上述のように、ベースライン皮膚のミノルタクロマメータによる測定を行う。
【0070】
照射16〜24時間後に上記の評価システムを使用してMEDを評価する。
【0071】
第8週
被験者はMED値を測定するために実験室にもどる。被験者はベースラインMEDに隣接する位置に上述のように照射を受ける。上述のように、ベースライン皮膚のミノルタクロマメータによる測定を行う。
【0072】
照射16〜24時間後に上記の評価システムを使用してMEDを評価する。
【0073】
試験の終わりに、試験前後のMEDおよびクロマメータの読みを比較し何らかの有意な変化が観察されるか否か決定する。
実施例10
本発明の抽出物組成物の経口投与によりUV誘起の皮膚損傷の変化の評価のためのバイオマーカとしてのストロメリシン−1の観察
1.ヒト志願者の日光曝露前後の血清中のストロメリシン−1の濃度(プラセボ、陰性対照)
2.日光曝露後に本発明の抗酸化剤(1〜4週間まで50〜500mg/日)の処置を受けたヒト志願者の血清中のストロメリシン−1のレベル
試験の終わりに、試験前後のストロメリシン−1濃度を比較、分析して何らかの有意な変化が観察されるか否か調べる。
実施例11
本発明の抽出物組成物の経口投与によるUV皮膚損傷の変化の評価のためのバイオマーカとしてのランゲルハンス細胞(LC)の観察
日光またはUV照射に曝すとヒトの皮膚中のLCに著しい大きな変化が生じる。LC計数値はUV照射量の関数として低下する。LCは樹状形状を失い、混乱する。LCは抗原提示能を失う。これら2つの変数はATPアーゼ染色技術で検知し、追跡することができる(KWolffおよびG.Stibgl、J.Invest:Dermatol、80、17s〜21s、1983)。
【0074】
1.ヒト志願者の日光曝露前の皮膚中LCレベル(プラセボ、陰性対照)
2.本発明の抗酸化剤の経口投与(1〜4週間、50〜500mg/日)を受けたヒト志願者の日光曝露後の皮膚中のLCのレベル
調査の終わりに、調査前後のLCレベルについて何らかの有意な変化が観察されるか否か比較する。

実施例12
本発明抽出物組成物の経口投与による、UV皮膚損傷の変化の評価のバイオマーカとしての脂質過酸化物の観察
日光またはUV照射に曝露すると酸化的ストレスおよびヒトの皮膚中の脂質過酸化物レベルの有意な変化が生じる。脂質過酸化物レベルをP.Puglieseの、化粧品の臨床安全性および評価試験(Clinical Safety and efficacy testing of Cosmetics)Vol1、Marcel Dekker、NY、295〜309、1990中の抗老化剤の評価に記載された手順により検出し、追跡できる。
【0075】
1.日光曝露前のヒト志願者の皮膚中の脂質過酸化物レベル(プラセボ、陰性対照)
2.本発明の抗酸化剤の経口投与(1〜2カ月間、1〜2回/日、50〜500mg/日)を受けたヒト志願者の日光曝露後の皮膚中の脂質過酸化物のレベル
調査の終わりに、調査前後の脂質過酸化物レベルに何らかの有意な変化が観察されるか否か比較決定する。
【0076】
上記のプロトコールの結果は、UV照射曝露に対する皮膚のコントロールまたは保護に対する本発明の抽出物組成物の経口投与の有効性を科学的に証明するものと考えられる。
【0077】
しかし、この保護の有効性は広範で高い日焼け防止指数を有する日焼け防止剤を使用するのと同等ではないが、本発明の補助食品は基礎的な保護を増大し、それによって紫外線による皮膚の損傷に対する防御を増大するのに使用できる。本発明は、局所的に適用する通常の日焼け防止剤、特にアムラ(Emblica officinalis)抽出物、特に標準抽出物を含む日焼け防止剤の使用により補うことができる。したがって、本発明の一態様は、ある人の皮膚に局所用日焼け防止剤を施し、日光への曝露前および/または曝露中に、アムラ(Emblica officinalis)抽出物、好ましくは標準抽出物を含む組成物を摂取するという投薬計画を提供する。好ましい投薬計画は抽出物を含む組成物を日光曝露の前の、例えば日光曝露の少なくとも1週間前、または少なくとも2〜3日前に経口投与することを含む。観測された投与量は日光曝露による皮膚損傷を改善するのに十分な量、例えば1日に標準抽出物1〜500、好ましくは2〜200mgである。
【0078】
ビタミンE、リポ酸、カロテノイド類、ルテイン、メラトニンなどの1種または複数の疎水性抗酸化剤を、本発明の抗酸化剤とブレンドしても、一般的にまたは具体的に記載した前記の実施例で使用した本発明の操作条件で、前記実施例を同様に成功裏に繰り返すことが可能である。
【0079】
前記実施例は一般的にまたは具体的に記載した反応剤および/または本発明の操作条件を前記実施例において使用したものと置き換えても成功裏に繰り返すことが可能である。
【0080】
2000年9月26日の米国特許第6,124,268号、2002年4月11日付の同時係属出願第10/120,156号および2002年7月15日付仮出願第60/395,612を含めるがそれに限定されることなく、上記および下記に引用した特許出願、特許および出版物の開示はすべて全体として参照として本明細書に組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
当業者であれば、上述の説明から本発明の本質的特性を容易に確かめることができ、その精神および範囲からはずれることなく、様々な用途および状況に適応させるために本発明の様々な変更および修正を行うことができよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚の光損傷の徴候の遅延、防止および/または改善のためのアムラ(Emblica officinalis)抽出物の非治療的使用。
【請求項2】
皮膚の光損傷の徴候の予防および/または治療に適した薬剤の製造のためのアムラ(Emblica officinalis)抽出物の使用。
【請求項3】
アムラ(Emblica officinalis)抽出物を含むことを特徴とする経口投与に適した投与形態。
【請求項4】
経口投与に適した賦形剤を含む請求項3に記載の投与形態。
【請求項5】
投与形態が錠剤またはカプセルまたはエリキシル剤または懸濁剤またはドリンク剤である請求項3に記載の投与形態。
【請求項6】
投与形態が皮膚の光損傷の徴候を遅延、防止、および改善させることができる他の成分を含む請求項3乃至5のいずれか一項に記載の投与形態。
【請求項7】
前記抽出物がエンブリカニン(Emblicanin)A、エンブリカニン(Emblicanin)B、ペンダンクラーギン(Pendunculagin)およびペニグルコニン(Punigluconin)を好ましくは抽出物の40重量%を越える量で含む請求項3乃至6のいずれか一項に記載の投与形態。
【請求項8】
総フラボノイドが抽出物の1重量%未満の量であり、かつ好ましくはフラボノイド類のルチン化学種が0.0001〜0.01%の量しか存在しない、請求項3乃至7のいずれか一項に記載の投与形態。
【請求項9】
前記抽出物が標準抽出物である、請求項3乃至8のいずれか一項に記載の投与形態。
【請求項10】
投与形態が栄養補助剤、好ましくは液剤、粉末剤、丸薬剤または錠剤および菓子バー、特に好ましくは焼いた可食性高タンパク質製品である請求項3乃至9のいずれか一項に記載の投与形態。
【請求項11】
a)少なくとも0.1%のアムラ(Emblica officinalis)抽出物、b)高タンパク質成分混合物、c)小麦粉、d)膨張剤、e)甘味料、およびf)水を含む、請求項10に記載の投与形態。
【請求項12】
リンゴ、バナナ、サクランボ、シナモン、クランベリー、ブドウ、甘露、ハチミツ、キウィ、レモン、ライム、オレンジ、モモ、ペパーミント、パイナップル、ラズベリー、タンジェリン、スイカ、セイヨウミザクラおよびその均等物を含む水溶性の天然または人工抽出物からなる群から選択される、前記栄養組成物に特徴的な味を付与するための香味成分を前記乾燥組成物の0.10重量%〜2.0重量%の範囲で含む、請求項10または11のいずれか一項に記載の投与形態。
【請求項13】
青、緑、オレンジ、赤、紫、および黄色の水溶性の天然または人工色素;酸化鉄色素、青、ピンク、赤、および紫のウルトラマリン顔料;およびそれらの均等物等で構成される群から選択された、前記栄養組成物に特徴的な色を付与する着色成分を、全体で前記乾燥組成物の0.10重量%〜2.0重量%の範囲で含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の投与形態。
【請求項14】
前記抽出物の有効投与量が、1日当たり前記抽出物約1〜500mgの範囲、好ましくは1日当たり前記抽出物約2〜200mgの範囲である、請求項1または2のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記の有効投与量の投与を日光曝露前、曝露中または曝露後、好ましくは日光曝露の2〜3日前、特に好ましくは日光曝露の1週間前に開始する、請求項1、2、または14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
日光曝露中に、日焼け防止剤をヒト対象の皮膚に局所的に投与する、請求項1、2、14または15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
UVが誘発する(UV−induced)金属基質タンパク質活性(MMP−活性)の低下または阻害、好ましくはUVが誘発する(UV−induced)コラゲナーゼ活性の低下または阻害のためのアムラ(Emblica officinalis)抽出物の使用。
【請求項18】
UVが誘発する(UV−induced)ストロメリシン−1活性の低下または阻害のためのアムラ(Emblica officinalis)の抽出物の使用。



























【公表番号】特表2006−512310(P2006−512310A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548774(P2004−548774)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011847
【国際公開番号】WO2004/041231
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【出願人】(504272213)ナトリオン、 インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】NATREON, INC.
【Fターム(参考)】