説明

アモルファス円筒製造装置及びアモルファス円筒製法

【課題】
本発明は平ベルトのように回転をスムーズに伝達するベルトにアモルファス材を選択し、新しい製法開発により、従来の平ベルトよりもトルク伝達能力が大きくできる減速駆動機構ベルトの素材となるアモルファス円筒の製造装置及びアモルファス円筒製法を提供する。
【解決手段】
真空チャンバー1内部のターゲット4に対して平行な軸14を有する薄肉ドラム10を備え、薄肉ドラム10の外周にターゲット4をスパッタ成膜するアモルファス円筒製造装置100であって、真空チャンバー1外部から内部の薄肉ドラム10の軸心に送気および排気の配管36,37がされ、配管36,37に気体又は液体の冷却材を還流させて薄肉ドラム10を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主として印刷機、複写機、各種のOA機器、医療用機器などの、モーターの駆動力を回転精度良く減速するベルト式変速機構へ適用するベルトの素材となるアモルファス円筒製造装置及びアモルファス円筒製法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パソコンのプリンターや複写機などの動力伝達部に利用されている減速機は歯車を使用しているものが主流であり、他には歯付ベルトあるいは平ベルトを使用しているものがある。歯車を使用したものは、歯の特性に基づく音や振動の発生がありプリンターなどの回転精度の要求をされるものではその振動の影響が画質に悪い影響を及ぼす。
また、アミューズメントロボットなどにガタの有る歯車減速機を使用すると、予期しない振動などの発生原因となっている。
【0003】
ゴム製のベルトを使用したものは、ベルトの剛性が低いため装置の負荷変動によりベルトの長さ変化を生じ速度変動が発生する。
【0004】
平ベルトを使用しているものは、回転精度は良く伝達することができるが、ベルトとプーリ間の摩擦力を利用したものであるため、伝達負荷能力が低く構造が大型化する。特にその減速比が大きくなると入力軸側のプーリに対して出力側のプーリ径は減速比の逆数倍となるので大型となる。しかし、ベルトの応力はプーリ径に逆比例するため、あまり小さなプーリ径にすることはできない。
このため、2段減速とすることが必要となり、構造が複雑となる。
【0005】
回転精度が良く、伝達負荷能力の大きなものとして、アモルファス材などのベルトが望まれるが、その円筒製法は確立されたものがない状況である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は平ベルトのように回転をスムーズに伝達するベルトにアモルファス材を選択し、新しい製法開発により、従来の平ベルトよりもトルク伝達能力が大きくできる減速駆動機構ベルトの素材となるアモルファス円筒製造装置及びアモルファス円筒製法を提供するもので、動力伝達系における振動あるいは動力伝達系における低い剛性及び減速機サイズに対する低い伝達負荷能力などの課題を解決しようとするものである。
【0007】
具体的にはベルト減速機の小型化のキーパーツとなる円筒状のアモルファスベルトの作成をスパッタリングによる手法によって作成するに当たっての課題を記述する。
【0008】
スパッタは、平面基板に行うものが普通であるが、基板に相当する位置に設けた剛体の回転するドラムにスパッタをすると、ドラムと環状材の組み合わせが、平面であれば取りはずせる材質の組み合わせであっても、ドラムからスッパタされた環状材だけを取り出すことはきわめて困難である。
【0009】
薄肉ドラムの内部に冷却回路のない場合、アモルファスの環状材はプラズマの発生するエネルギーのため加熱される。ドラムは軸受に支持されているが、ドラム周辺は真空状態にあるため、プラズマの発生するエネルギーが蓄熱され、スパッタ時間の経過とともにアモルファス化に必要な冷却速度が得られなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1.本発明のアモルファス製造装置は真空チャンバー内部のターゲットに対して平行な回転軸を有する薄肉ドラムを備え、前記薄肉ドラムの外周に前記ターゲットをスパッタ成膜するプラズマ方式のスパッタ装置であって、前記真空チャンバー外部から内部の前記薄肉ドラムの軸心に送気および排気の配管がされ、前記配管に気体又は液体の冷却材を還流させて前記薄肉ドラムを冷却する冷却部を具備することを特徴とする。
2.本発明のアモルファス製造装置は,前述のアモルファス円筒の製造装置において、前記薄肉ドラムの外径に勘合した薄肉治具ベルトを備え、前記薄肉治具ベルトにスパッタすることを特徴とする。
3.本発明のアモルファス製法は,真空チャンバー内部のターゲットに対して平行な回転軸を有する薄肉ドラムを備え、前記真空チャンバー外部から内部の前記薄肉ドラムの軸心に送気および排気の配管がされ、前記配管に気体又は液体の冷却材を還流させて前記薄肉ドラムを冷却する冷却部を備えたプラズマ方式のスパッタ装置において、前記ターゲットと前記薄肉ドラムとのあいだに電圧を印加しプラズマを発生させ、前記薄肉ドラムを回転させながら前記薄肉ドラムの表面に前記ターゲットをスパッタ吸着させると同時に冷却する工程を連続して実行し、ベルト状の薄膜を生成することを特徴とする。
4.本発明のアモルファス製法は,前述のアモルファス円筒製法において、薄肉ドラムの外径に嵌合した薄肉治具ベルトを備え、にスパッタをすることを特徴とする。
5.本発明のアモルファス製法は,前述2つのアモルファス円筒製法において、前記薄肉ドラムまたは該薄肉治具ベルトの軸回転数を10〜200rpmとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
現在市場で使われている金属ベルトの材質SUS304と比較すると、アモルファスの中には引張強度が強く、縦弾性係数が小さい値を示すものが多数見受けられる。
これ等を前述の課題を解決する手法により加工することにより、アモルファスを円筒状に加工できる。これにより、ベルト減速機のサイズは従来のものより大幅に縮小ができ、重量的にも軽量化ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のアモルファス円筒製造装置について以下に詳細説明する。
図1は本発明のアモルファス円筒製造装置の断面図、図2は本発明実施例1のドラム部分の拡大断面図である。
【実施例1】
【0013】
図1に示すように本発明の、アモルファス円筒製造装置100は真空チャンバー1とチャンバー蓋2との間に設けた、Oリング3により密閉状態を保持できる構造となっておりその内部にターゲット4と、対面する位置にモーター32で回転する薄肉ドラム10を備え、真空チャンバー1の外部から送気及び排気の配管がされ、これにつながる送気管36および排気管37の内部を流れる気体又は液体により、この薄肉ドラムを支持する軸14の軸心を通して前述の冷却材を還流させ薄肉ドラム10の円筒内面を冷却する構造を具備している。
【0014】
ターゲット4は作成しようとするベルトの材質で作られた素材に相当するもので、真空チャンバー1に固定されているターゲット押さえ5との間の面6にインジュ-ムなどの金属を溶かした接着剤で固定する。
【0015】
シャッター7はチャンバー1のセンターを貫通する軸8により支持されており、外部より回転することにより本番スパッタをする場合は孔9のある位置がターゲット4の上に位置決めされ、本番スパッタ前のターゲット4を空焚きするような場合は回転することにより板の部分により、プラズマ現象により粒子がターゲット4から薄肉ドラム10に付着することを防止する。
薄肉ドラム10はディスク11に図示はされていないがボルトで締結されたSUS、アルミ等の通電可能な材料で製作された筐体12に設けられたブッシュ13により回転可能に支持された軸14と、該軸14の外径に嵌合支持された、SUS製の管部付きディスク内筒側15、管部付きディスク外筒側16、の外径部に嵌合している。
【0016】
該管部付きディスク内筒側15と管部付きディスク外筒側16はワッシャー17をはさみスナップリング18により軸14に軸方向に「がた」の発生がないように止められている。
【0017】
さらに、軸14と該管部付きディスク内筒側15との間にOリング19、軸14と管部付きディスク外筒側16との間にOリング20、該管部付きディスク内筒側15と薄肉ドラム10との間にOリング21、管部付きディスク外筒側16と薄肉ドラム10との間にOリング22を設け、管部付きディスク内筒側15、内部の空間23とチャンバー内の空間24とが完全に通気性のない状況に保たれている。ここで、薄肉ドラム10はニッケルメッキなどで作られた厚さ0.1mm以下のものであり、柔軟性に富んでいる。
【0018】
図1においてガス導入系101、真空排気系102、スパッタ用電源103はそれぞれ、すでに汎用に使用されているスパッタ装置につけられているものと同等の特性を持つものである。
冷却系104は工業用の圧搾空気や水道水に流量コントロールのできる装置のついたものなどである。
また、ドラム回転用電源105はモータ32の回転数を可変する必要な電流、電圧を制御する一般の装置である。
【0019】
次に図2と、図2のA−A断面図、図3を使って説明をする。冷却系の冷媒は気体でも液体でも良いがここでは空気を使うことで以下に説明する。
冷却空気の入出力用ポートを有するスリーブ25は中央に軸14を貫通しており、軸方向は筐体12との間にワッシャー26、ワッシャー27、筐体12と大歯車28との間にワッシャー29をはさみ、大歯車28に孔設された雌ねじ30、に止めねじ31により軸方向は適正な隙間を保持し・回転方向は相対動きがないように止められている。
【0020】
スリーブ25の内径側と軸14の外径の間には冷却系の回路から真空空間を保持するためのOリング25a、25b、25cが設置されている。
【0021】
スリーブ25は冷却空気の入口・出口用ポートを有するため回転しない。このスリーブ25の中心を貫通する軸14はモーター32の軸に固定された小歯車33により回転する大歯車28により回転する。
スリーブ25には入口側ポート34及び出口側ポート35を有しており、このそれぞれに、真空チャンバー1の外部から配管される送気管36、と排気管37が接続されている。
【0022】
スリーブ25の入口側ポート34及び出口側ポート35の内側には環状の空気回路38、39が設けられおり、これに隣接して、軸14に放射状に孔設された空気回路40、41がつながっている。
【0023】
さらにこの回路は軸14のセンターに段差をもって設けられた穴42,43に中間ばめ程度の嵌合で挿入されている内側軸44の空気回路45,46につながっている。
【0024】
送気側のこの空気回路は内側軸44の中央から放射状に孔設された空気回路47、軸14の内側軸44と同じ位置に放射状に孔設された空気回路48と、管部付きディスク外筒側16の内径側に設けられた環状の空気回路49と管部付きディスク外筒側16に放射状に孔設された空気回路50へとつながっている。
【0025】
送気は空気回路50から薄肉ドラム10の内径と管部付きディスク外筒側16の外径との円筒状の空間51、管部付きディスク内筒側15の外径と管部付きディスク外筒側16の内径で作られる円筒状空間52から管部付きディスク内筒側15内部の空間23とつながり、軸14に孔設された放射状の孔53から軸14の内径と内側軸44の外径とでできる円筒状の空気回路54、軸14に放射状に孔設された空気回路41、スリーブ25の環状の空気回路39、排気管37につながっている。
【0026】
内側軸44の軸端部近くにはOリング用溝55が設けられ、ここに冷却空気系とチャンバー内部の真空とを完全に遮断するためOリング56が設置され最端部には軸14の内径に設けられた溝57にスナップリング58により内側軸44の抜け出しを防止している。
【0027】
冷却配管37はモーターの冷却機構59、チャンバー7の外部につながる冷却配管60にながっている。なお、61はスパッタの原子の飛散から配管を保護する配管カバーである。
【0028】
実施例1によれば、真空チャンバー1と、その内部にターゲット4と、対面する位置にモーター32で回転する薄肉ドラム10を備え、真空チャンバー1の外部から送気及び排気の配管がされ、これにつながる送気管36および排気管37の内部を流れる気体又は液体により、この薄肉ドラムを支持する軸14の軸心を通して前述の冷却材を還流させ薄肉ドラム10の円筒内面を冷却する構造を具備したことにより、スパッタ終了後表面に管状のアモルファス薄膜ベルト63の付いた薄肉ドラム10をとりだし、変形させることにより、スッパタされた管状のアモルファス薄膜ベルト63だけを分離取り出すことが簡単にできるようになった。
【0029】
この管状のアモルファス薄膜ベルト63はそのままで広幅のベルトにすることができるがこれをいくつかの幅の円筒に切断すると普通の動力駆動用のベルトとして多数個取りができる。
【0030】
以上装置の構造について説明してきたが、以下に本装置の作動、作用とアモルファス円筒及びベルトの製法について図4アモルファス円筒作成フローに沿って記述する。
【0031】
真空チャンバー1内のターゲット4を作ろうとするベルト材質のものに設定、チャンバー蓋2の内側に前述した装置を全て取り付け、ドラム回転用配線、及び冷却空気系の配管接続を装置との間で行い、真空チャンバー1内に組み入れる。ガス導入、ドラム回転用電源、冷却空気系、スパッタ用電源をそれぞれ遮断して真空排気系を作動する(f1、f2)。
【0032】
十分な真空条件に達したら、アルゴンガスを導入、プラズマが安定して発生する条件になるように真空排気系・アルゴンガスの調整を行い、シャッター7を閉の位置としてスパッタ用電源を投入する。ターゲット4の新しい面の不純物など「からし」条件で放出し、本番のスパッタ条件とする(f3、f4)。
【0033】
本番のスパッタを適用する前にドラム回転用電源と冷却空気循環系の電源を「ON」とする。シャッター7を開の位置、即ちドラム10の真下にシャッター7の孔9がくる位置に設定を行う。これにより、プラズマ領域がターゲット4とシャッター7との間で行われていたものが、図1示したプラズマ領域に広がりドラム10の表面にスパッタがされる(f5、f6、f7)。
【0034】
この間モーターは小歯車33、大歯車28をとうして薄肉ドラム10を回転するが、この回転がゆっくりであるとドラム10のターゲット4側のみの板厚が厚くなり反対側のドラムには極微量ではあるがプラズマ領域で活性化した粒子により真空空間に浮遊するスラッジ状の粒子を付着する。
したがって、このスラッジ状の付着が面状になり、さらに厚くならないような回転条件とする(f7)。
【0035】
また、薄肉ドラム10の回転を早くすると、送気管内の圧力と真空チャンバー内の境界にあるOリング25a、25b、25cが発熱したり、磨耗が発生することにより真空の確保を損なうことになるため、ドラムの回転は10〜200rpmが望ましい(f7)。
【0036】
図にない外部装置で生成した圧縮空気は送気管36からスリーブ25の入口側ポート34、環状の空気回路38、放射状に孔設された空気回路40, 空気回路45、放射状に孔設された空気回路47、48、環状の空気回路49、放射状に孔設された空気回路50を通って圧送され、円筒状の空間を通る時にプラズマの熱で過熱された薄肉ドラム10の内径部を冷却、円筒状の空間52、空間23、放射状に孔設された空気回路53、円筒状の空間54、放射状に孔設された空気回路41環状の空気回路39、出口側ポート35、排気管37を通ってモーターの冷却機構59でモーターを冷却、冷却配管60を通って外気に放出される(f6)。
【0037】
スパッタを所期の厚さまで行ったら、全ての電源を「OFF」とし、チャンバーより薄肉ドラム10を取り出す。ドラム外径には管状のアモルファス薄膜63が形成されており、これをドラムと共に円筒状から凹まし、ひょうたん型に変形させることを数回繰り返すと薄肉ドラム10と管状のアモルファス薄膜との間に隙間が生じ剥離することができる(f8、f9、f10、f11、f12)。
【0038】
この管状のアモルファス薄膜はそのままで広幅のベルトにすることができるが
これをいくつかの幅の円筒に切断すると普通の動力駆動用のベルトとして多数個取りができる(f13)。
【0039】
ここで、管状のアモルファス薄膜は薄いため薄肉ドラム10から取り外す時にキズをつけやすく、またこの管状のアモルファス薄膜を動力駆動用の狭い幅のベルトに切断することは簡単にはできない(f13)。
【実施例2】
【0040】
図5は本発明の実施例2薄肉治具ベルト62の説明図であり、薄肉ドラム10の外径に作成しようとするアモルファスベルトと同じ幅の薄肉治具ベルト62を並列に並べたものである。実施例2の装置の作動、作用とアモルファス円筒及びベルトの製法は、薄肉治具ベルト62の設置を除き、図4に示す実施例1のアモルファス円筒作成フローと同様である(f1)。
【0041】
この状態でスパッタをするため真空引きをはじめると、薄肉ドラム10の内径側は大気圧で外形径側は真空となるため、この圧力差で薄肉ドラム10の径が拡張して薄肉治具ベルト62とは締め代のある圧入状態のように隙間のないはめあいとすることができ、薄肉治具ベルト62のスパッタによる発熱を薄肉ドラム10にばらつきのない形で伝達冷却することができる。管状のアモルファスベルト63は傷や破損することなく作成することができる(f2〜f8)。
【0042】
スパッタを終了し、薄肉ドラム10の外径から薄肉治具ベルト62の外径にアモルファスベルト63の付着しているリングを取り出し、円筒状から凹まし、ひょうたん型に変形させることを数回繰り返すと薄肉治具ベルト62と管状のアモルファスベルト63との間に隙間が生じ剥離することができる(f14、f15、f16、f17)。
【0043】
実施例2によれば前記実施例1の薄肉ドラム10の外径に嵌合した完成目標のベルト幅とおなじ幅の薄肉治具ベルト61を薄肉ドラム10外表面に並べ、前記薄肉治具ベルト62にスパッタすることにより、アモルファス薄膜の狭い幅のベルトに切断することなく薄肉治具ベルト62と同じ動力駆動用の幅の狭い管状のアモルファス薄膜ベルト62を作ることができる。
【実施例3】
【0044】
図6は本発明の実施例3の全体を示した装置の中央断面図である。以下にその装置の構造について説明をする。図6は図1と比べてモーター64と減速機構部分だけをチャンバアー65の外部に取り出した方式としたものである。
モーター64の回転力は小歯車66とこれにかみ合う大歯車67により減速され駆動軸68をとうして内部に伝達される。
駆動軸68はチャンバアー65に設けたOリング69によりにより、チャンバアー65内部の真空を確保している。
【0045】
また、駆動軸68のチャンバアー65側の端部には入力側ドッグクラッチ70が止めねじ71で固定されている。受側ドッグクラッチ72は軸73の端部に止めねじ74で固定されている。
図6に示されているクラッチの状態は「開」即ちクラッチの接続がされていない状況を示したものである。これは受側ドッグクラッチ72と軸73を含むドラムの回転部分全体を含むチャンバーの蓋75を閉めた直後と、スパッタを終了しチャンバーの蓋75を明ける寸前の状態を示している。
ここで、モーターからの駆動力は駆動軸68を図6において右方向に「a」移動させ、駆動軸68と大歯車67を固定する止めねじ76を締めることによりクラッチを「閉」即ち接続の状態・動力を接続する状態にすることが出きる。
なお、77、78はそれぞれ、入力側ドッグクラッチ70、受側ドッグクラッチ72の表面に設けた放射状にきられた歯の部分である。
このような方式とすることにより、モーター64の発熱によるスパッタ工程への影響を少なくすることができる。
【0046】
また、図示はされていないが図1におけるセンターを貫通する軸8の中央に孔をあけ2重軸とすることによりこれより動力を入れ、傘歯車を組み合わせることにより、軸73を回転させることもできる。
【0047】
さらに、図2に示されたディスク11を除く、斜線部分のパーツはディスク11にプラズマ領域上部になる位置に複列に並べ、それぞれに歯車などで連結して回転させることにより多数個取りとすることもできる。
【0048】
「実施例3」に付いての製法に関しては、(図4)アモルファス円筒作成フォローにおいて(f5)「空焚き完了でモーターの電源を入れドラムの回転」の前に「クラッチの接続」をする項が追加される。
また、(図4)「アモルファス円筒作成フォロー」において(f8)「スパッタ
終了で全ての電源OFF」のあとに「クラッチの切断」をする項が追加される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明アモルファス円筒製造装置の断面図
【図2】本発明実施例1のドラム部分の拡大断面図
【図3】図2のA−A断面図
【図4】アモルファス円筒製造フロー
【図5】本発明実施例2の薄肉治具ベルトの説明図
【図6】本発明の実施例3の全体を示した装置の中央断面図
【符号の説明】
【0050】
1・・・・真空チャンバアー 15・・・・管部付きディスク内筒側
2・・・・チャンバアー蓋 16・・・・管部付きディスク外筒側
4・・・・ターゲット 25・・・・スリーブ
10・・・・薄肉ドラム 44・・・・内側軸
11・・・・ディスク 62・・・・薄肉治具ベルト
12・・・・筐体 63・・・・アモルファス薄肉ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバー内部のターゲットに対して平行な回転軸を有する薄肉ドラムを備え、前記薄肉ドラムの外周に前記ターゲットをスパッタ成膜するプラズマ方式のスパッタ装置であって、前記真空チャンバー外部から内部の前記薄肉ドラムの軸心に送気および排気の配管がされ、前記配管に気体又は液体の冷却材を還流させて前記薄肉ドラムを冷却する冷却部を具備することを特徴とするアモルファス円筒製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアモルファス円筒の製造装置において、前記薄肉ドラムの外径に勘合した薄肉治具ベルトを備え、前記薄肉治具ベルトにスパッタすることを特徴とするアモルファス円筒の製造装置。
【請求項3】
真空チャンバー内部のターゲットに対して平行な回転軸を有する薄肉ドラムを備え、前記真空チャンバー外部から内部の前記薄肉ドラムの軸心に送気および排気の配管がされ、前記配管に気体又は液体の冷却材を還流させて前記薄肉ドラムを冷却する冷却部を備えたプラズマ方式のスパッタ装置において、前記ターゲットと前記薄肉ドラムとのあいだに電圧を印加しプラズマを発生させ、前記薄肉ドラムを回転させながら前記薄肉ドラムの表面に前記ターゲットをスパッタ吸着させると同時に冷却する工程を連続して実行し、ベルト状の薄膜を生成することを特徴とするアモルファス円筒製法。
【請求項4】
請求項3に記載のアモルファス円筒製法において、薄肉ドラムの外径に勘合した薄肉治具ベルトを備え、該薄肉治具ベルトにスパッタをするアモルファス円筒製法。
【請求項5】
請求項3から請求項4に記載のアモルファス円筒製法において、前記薄肉ドラムの軸回転数を10〜200rpmとすることを特徴とするアモルファス円筒製法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−215636(P2009−215636A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63303(P2008−63303)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(599124426)株式会社ディムコ (11)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】