アモルファス鉄心変圧器
【課題】
最近、大型化しているアモルファス鉄心変圧器において、鉄心幅を大きく取るために、従来同じ幅寸法のアモルファス鉄心を2列並べ、三相5脚鉄心の場合は4組8個の鉄心を用い、鉄心コイル組立において、コイルへの鉄心挿入後の鉄心のラップ作業に時間を費やし、作業効率が悪かった。
本発明は、作業効率を向上させるアモルファス鉄心を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明のアモルファス鉄心は、幅の異なる複数種のアモルファス磁性薄帯をそれぞれ突き合わせて並べて積層するとき、該並べて積層したアモルファス磁性薄帯の突き合わせ面がずれるように並べる位置を交互に換えて積層してアモルファス鉄心を構成とし、ラップの作業時間を大幅に削減し、作業効率を向上した。
最近、大型化しているアモルファス鉄心変圧器において、鉄心幅を大きく取るために、従来同じ幅寸法のアモルファス鉄心を2列並べ、三相5脚鉄心の場合は4組8個の鉄心を用い、鉄心コイル組立において、コイルへの鉄心挿入後の鉄心のラップ作業に時間を費やし、作業効率が悪かった。
本発明は、作業効率を向上させるアモルファス鉄心を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明のアモルファス鉄心は、幅の異なる複数種のアモルファス磁性薄帯をそれぞれ突き合わせて並べて積層するとき、該並べて積層したアモルファス磁性薄帯の突き合わせ面がずれるように並べる位置を交互に換えて積層してアモルファス鉄心を構成とし、ラップの作業時間を大幅に削減し、作業効率を向上した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アモルファス鉄心変圧器に関し、特にアモルファス磁性薄帯を用いた巻鉄心(以下、アモルファス鉄心という)を有するアモルファス鉄心変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
アモルファス鉄心変圧器に使用されるアモルファス磁性薄帯は、厚さが0.022〜0.025mmと非常に薄く、かつ、硬度が高く、脆い性質を有している。また、アモルファスシートをロール状に巻回した材料を使用しているが、特性にばらつきがある。
【0003】
また、アモルファス磁性薄帯を巻回して巻鉄心としたアモルファス鉄心変圧器が知られ、例えば図8に示す三相5脚鉄心を有する3相1000KVA用アモルファス鉄心変圧器は、巻鉄心50a〜50h、及びコイル40a〜40cを変圧器タンク容器内に収納している。
巻鉄心は、幅が約170mm、鉄心断面積が16200mm2のアモルファス磁性薄帯を巻回した単位鉄心を薄帯幅方向に2列配列して、4組8個の単位鉄心を使用している。
両外側の単位鉄心は鉄心窓部にコイルが1相分配置されるが、内側の2個の単位鉄心は鉄心窓部にコイルが2相分配置される。そのため、内側単位鉄心の質量は約158Kgとなり、一方、外側の単位鉄心の質量は約142Kgとなって、内側単位鉄心の方が質量は重く、外周の長さは長くなる。
鉄心コイル組立体は、図8に示すように8個の単位鉄心50a〜50hと3個のコイル40a〜40cからなる。単位鉄心は、コイルに挿入するため断面U字形状とし、挿入後、両端を閉じる(ラップ作業)ことにより組み立てる。
コイル内には、巻枠60a〜60fを2個ずつ設置し、図9に示すように、単位鉄心50a〜50hの一方を開放し、逆U字形状にして挿入して開放した箇所をラッピングして、鉄心とコイルを組立てる。
コイル巻枠は、鉄などの金属で中空の四角柱に形成し、上記のように2個並べて構成していた。
【0004】
次に、従来の図8の鉄心コイル組立体の水平断面図を図10に示す。
図10において、三相のコイルは、外側の二次コイル40a、40b、40cと、一次コイル40d、40e、40fで形成され、コイル内には巻枠が各コイル内に2個ずつ並べて設置されている。すなわち、コイル40a,40d内には巻枠60a,60bが設置され、コイル40b、40e内には巻枠60c、60dが設置され、コイル40c、40fには巻枠60e,60fが設置されている。そして、この巻枠内にアモルファス鉄心を挿入する。
【0005】
図10の左側のコイル40a,40dの巻枠60aには鉄心50aを挿入し、巻枠60bには鉄心50bを挿入する。
鉄心50a、50bがそれぞれコイル40a,40bの左側の辺を逆U字形状として跨いで巻枠60a,60bに挿入すると、コイル40aの左外側の鉄心50a,50bは、バラけないようにそれぞれE字押さえ金具70で受け、その後コ字押さえ金具80で上から押さえ固定する。
この左側の構成は、右側の鉄心50g、50hにおいても同じ構成をし、鉄心を固定している。
【0006】
中央左下側の鉄心50cは、コイル40a,40dとコイル40b、40eが並んだ部分を跨ぐようにコイル内に設置された巻枠60aの片側と巻枠60cの片側に挿入され、同様に、中央左上側の鉄心50dもまた、コイル40a,40dとコイル40b、40eが並んだ部分を跨ぐようにコイル内に設置された巻枠60bの片側と巻枠60dの片側に挿入される。
【0007】
中央右下側の鉄心50eは、コイル40b,40eとコイル40c、40fが並んだ部分を跨ぐようにコイル内に設置された巻枠60cの片側と巻枠60eの片側に挿入され、同様に、中央右上側の鉄心50fもまた、コイル内に設置された巻枠60dの片側と巻枠60fの片側に挿入される。
【0008】
右側の鉄心50gは、コイル40c、40fの右辺の部分を跨ぐようにコイル内に設置された巻枠60eの片側とコイル外部に設置されたE字押さえ金具70の部分に挿入され、また、鉄心50hもコイル40c、40fの右辺の部分を跨ぐようにコイル内に設置された巻枠60fの片側とコイル外部に設置されたE字押さえ金具70の部分に挿入される。E字押さえ金具70に収納された鉄心50g、50hは、上からコ字押さえ金具80により固定する。
ここで、従来の鉄心及び巻枠について、図11及び図12に示している。
【0009】
図11は、単位鉄心の一方の端部を開放した逆U字形状の鉄心50aを示し、鉄心の幅は同じで、上記したようにこの同じ幅の鉄心を2列、鉄心断面積を確保するため、図12に示した2個並べて配置した巻枠60a、60bに挿入して鉄心コイル組立体を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005-129966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来は、アモルファス鉄心変圧器の鉄心幅を広く、鉄心断面積を多くするために上記したように、同じ幅寸法のアモルファス磁性薄帯で製造した8個の単位鉄心を2列配列して、アモルファス鉄心変圧器を構成している。
このような従来技術の構成は、鉄心コイル組立体の組立において変圧器1個に対して8個の鉄心のラッピング作業があり、作業効率が良くなかった。
【0012】
本発明は、大容量化のアモルファス鉄心変圧器の鉄心コイル組立体の組立作業において、アモルファス鉄心の断面積を確保し、作業効率を向上したアモルファス鉄心構造を有したアモルファシ鉄心変圧器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成するために、アモルファス磁性薄帯からなるアモルファス鉄心と、該アモルファス鉄心を挿入するコイルとを組み立ててなる鉄心コイル組立体を収納したアモルファス鉄心変圧器において、前記アモルファス鉄心は、幅の異なる複数種のアモルファス磁性薄帯をそれぞれ突き合わせて並べて積層するとき、該並べて積層したアモルファス磁性薄帯の突き合わせ面がずれるように並べる位置を交互に換えて積層してアモルファス鉄心を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
現行のアモルファス巻鉄心ではラッピング作業を2回行っていたものを1回にまとめることができるため、作業効率の向上になる。また、従来のアモルファス巻鉄心の巻枠は、1つのコイル内にアモルファス巻鉄心を2列にする必要があるため2個必要であり、本発明のアモルファス巻鉄心はコイル内に巻枠は1個であるため、仕切りが不要となり、その分巻枠及びコイルの小形化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のアモルファス鉄心変圧器の外観の斜視図である。
【図2】本発明の鉄心コイル組立体の斜視図である。
【図3】本発明の鉄心コイル組立体の組立を示す斜視図である。
【図4】本発明のアモルファス鉄心の構成を示す部分斜視図である。
【図5】本発明のコイル内に設置する巻枠の斜視図を示す。
【図6A】本発明の別のアモルファス鉄心の構成を示す部分斜視図である。
【図6B】図6Aのアモルファス鉄心の構成の変形例を示す部分斜視図である。
【図6C】本発明の幅の異なるアモルファス磁性薄帯を突き合わせて積層する構成について説明する図を示す。
【図7A】本発明のさらに別のアモルファス鉄心の構成を示す部分斜視図である。
【図7B】図7Aの構成の外の構成について説明する図を示す。
【図8】従来のアモルファス鉄心変圧器の鉄心コイル組立体の斜視図である。
【図9】従来の鉄心コイル組立体の組立を示す斜視図である。
【図10】図8に示した従来の鉄心コイル組立体の水平方向の断面図を示す。
【図11】従来の単位鉄心の斜視図である。
【図12】従来のコイル内に設置された巻枠の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のアモルファス鉄心変圧器の実施の形態を図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1は、本発明のアモルファス鉄心を搭載したアモルファス鉄心変圧器の外観を示す斜視図である。
図1において、アモルファス鉄心変圧器1は、アモルファス鉄心及びアモルファス鉄心に装着したコイルを絶縁、冷却する絶縁油を収納したタンク容器2の周縁に波リブ3を設けて、コイルや鉄心などから発生する熱を冷却する構造となっている。
また、図1において、9は波リブ3の上下に溶接して固定した溶接線で、波リブ3に強度を持たせ、変形しないようにしている。7はタンク容器2の上部に設置された一次側端子で、発電所から送電された高電圧の電源を接続する端子である。8は、タンク容器2の上部に設置された二次側端子で、変圧器で昇圧又は降圧した電圧を負荷側に送るために接続する端子である。
【0017】
次に、本発明の鉄心コイル組立体について図2を用いて説明する。
図2は、本発明のアモルファス鉄心及び巻枠を搭載した鉄心コイル組立体を示す斜視図である。
図2において、アモルファス鉄心変圧器は、三相5脚鉄心の変圧器で、コイルを3個(4a,4b,4c)設置し、このコイル4a,4b,4cにアモルファス鉄心5a,5b,5c,5dを挿入して、ラッピングした状態を示している。
アモルファス鉄心5a,5b,5c,5dの鉄心の表面にある線は、アモルファス鉄心を形成するアモルファス磁性薄帯を突き合わせた線である。突き合わせた磁性薄帯の線が、隣り合う鉄心で異なっているのは、鉄心幅が異なっていることを強調しているためであって、図2のように鉄心の表面を必ずしも交互にする必要はない。
【0018】
次に図2に示した鉄心コイル組立体の組立方法について、図3を用いて説明する。
図3は、本発明の鉄心とコイルとを組み立てる組立方法を示し、5a〜5cはアモルファス鉄心、4a〜4cはコイル、6はコイル内に設置した巻枠である。
図3において、アモルファス鉄心5a,5bがコイル4a,4bに挿入され、アモルファス鉄心5cがコイル4b、4cに挿入されようとしている状態を示している。
また、図3において、アモルファス鉄心5a〜5cは幅の異なるアモルファス磁性薄帯を突き合わせて、幅の異なる磁性薄帯を交互に位置を換えて積層して構成した鉄心で、詳細は図4において説明する。
【0019】
本発明の構成の鉄心は、図9に示したように、従来同じ幅寸法の磁性薄帯を2列に配置した構成と異なり、2枚の幅の異なる磁性薄帯が一体化した構成となる。
このようにアモルファス磁性薄帯で一体化した鉄心を形成すると、従来のようにアモルファス鉄心を2列ではなく、1列で構成できる。
従って、アモルファス鉄心5a〜5dをコイル4a〜4cに挿入した後、アモルファス鉄心の開放端のラッピング作業は従来の約半分の作業で済むことができる。
また、コイル内に設置した巻枠6を、コイル1個につき2個設置していたのを1個にすることができ、よって、巻枠の材料費を削減でき、アモルファス鉄心の断面積を確保し、巻枠を小型化できるため変圧器全体を小型化できる。
【0020】
次に、アモルファス鉄心5aの構成について、図4を用いて説明する。
図4は、アモルファス鉄心を表面よりブロック毎に内側に向かって剥いでいった状態の斜視図を示している。
図4において、アモルファス磁性薄帯の幅が異なった2種類(幅狭L1と幅広L2で、L1<L2の関係になっている)のブロックを用いたアモルファス鉄心の場合を示し、表面より内側に4層目からの積層状態について説明する。
図4において、表面より内側に向かって4層目のブロックのアモルファス鉄心は、左側が幅広L2のアモルファス鉄心5a−7と、右側が幅狭L1のアモルファス鉄心5a−8とを突き合わせて並べて積層し、表面より内側の4層目を形成する。
次に、この表面より4層目の上に、左側が幅狭L1のアモルファス鉄心5a−5と、右側が幅広L2のアモルファス鉄心5a−6とを突き合わせて並べて積層し、表面より内側の3層目を形成する。
次に、この表面より3層目の上に、左側が幅広L2のアモルファス鉄心5a−3と、右側が幅狭L1のアモルファス鉄心5a−4とを突き合わせて並べて積層し、表面より内側の2層目を形成する。
次に、この表面より内側の2層目の上に、左側が幅狭L1のアモルファス鉄心5a−1と、右側が幅広L2のアモルファス鉄心5a−2とを突き合わせて並べて積層し、表面を形成する。
【0021】
このように図4に示すアモルファス鉄心において、表面より内側の4層目のアモルファス鉄心5a−7とアモルファス鉄心5a−8の突き合わせ面T4と、
その上の表面より内側の3層目のアモルファス鉄心5a−5とアモルファス鉄心5a−6の突き合わせ面T3との位置を比較するとずれて配置される。
また、表面より内側の3層目のアモルファス鉄心5a−5とアモルファス鉄心5a−6の突き合わせ面T3と、その上の表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−3とアモルファス鉄心5a−4の突き合わせ面T2との位置を比較するとずれて配置される。
さらに、表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−3とアモルファス鉄心5a−4の突き合わせ面T2と、その上の表面のアモルファス鉄心5a−1とアモルファス鉄心5a−2の突き合わせ面T1との位置を比較するとずれて配置される。
このように各層のブロックの幅の異なるアモルファス鉄心を突き合わせて積層していき、幅の異なるアモルファス磁性薄帯を交互に積層するため、その突き合わせ面の位置をずらすことができ、積層した鉄心全体が一体化され、1枚の鉄心のように扱うことが可能となる。
【0022】
図5は、コイル内に設置する巻枠の斜視図である。
本発明の巻枠6は、図4に示したアモルファス鉄心を挿入するもので、挿入する開口部は1箇所で、長方形で中空の四角柱を形状である。材質は金属で構成される。従来は、図12に示すように2個並べていたが、本発明は1個であるため、上記の通り、仕切りが不要となり、その分巻枠の材料費を削減でき、アモルファス鉄心の断面積を確保し、巻枠を小型化できるため変圧器全体を小型化できる。
(実施例2)
次に、よりアモルファス鉄心幅を大きく取るために3枚のアモルファス磁性薄帯を用い、アモルファス鉄心を形成する場合について説明する。
ここで、3枚のアモルファス磁性薄帯の幅は、2枚が同じ幅の幅広L3で、1枚が幅狭L4である。すなわちL4<L3の関係である。
図6Aは、アモルファス磁性薄帯の2枚が同じ幅の幅広L3で、1枚が幅狭L4で構成したアモルファス鉄心を表面よりブロック毎に内側に向かって剥いでいった状態の斜視図を示す。
図6Aにおいて、表面より内側の4層目のアモルファス鉄心より説明する。
先ず、表面より内側の4層目において、左側の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−19と中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−20とを突き合わせて、中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−20と右側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−21とを突き合わせして、表面より内側の4層目を形成する。
【0023】
次に、この表面より内側の4層目の上に、左側の幅狭L4のアモルファス鉄心を右側に移動して、左側に幅広L3のアモルファス鉄心5a−16と中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−17とを突き合わせして、中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−17と右側の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−18とを突き合わせして積層し、表面より内側の3層目を形成する。
次に、この表面より内側の3層目の上に、右側の幅狭L4のアモルファス鉄心を左側に移動して、左側に幅狭L4のアモルファス鉄心5a−13と中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−14とを突き合わせて、中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−14と右側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−15とを突き合わせして積層し、表面より内側の2層目を形成する。
次に、この表面から内側の2層目の上に、左側の幅狭L4のアモルファス鉄心を右側に移動して、左側に幅広L3のアモルファス鉄心5a−10と中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−11とを突き合わせして、中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−11と右側の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−12とを突き合わせして積層し、表面を形成する。
【0024】
図6Aにおいて、各層の3枚のアモルファス磁性薄帯の突き合わせ面について説明する。
表面より内側の4層目のアモルファス鉄心5a−19とアモルファス鉄心5a−20の突き合わせ面T11と、アモルファス鉄心5a−20とアモルファス鉄心5a−21の突き合わせ面T12と、その上の表面より内側の3層目のアモルファス鉄心5a−16とアモルファス鉄心5a−17の突き合わせ面T9と、アモルファス鉄心5a−17とアモルファス鉄心5a−18の突き合わせ面T10とを比較すると、突き合わせ面T11と突き合わせ面T9の位置はずれて配置され、突き合わせ面T12と突き合わせ面T10の位置もずれて配置されている。
【0025】
また、表面より内側の3層目のアモルファス鉄心5a−16とアモルファス鉄心5a−17の突き合わせ面T9と、アモルファス鉄心5a−17とアモルファス鉄心5a−18の突き合わせ面T10と、その上の表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−13とアモルファス鉄心5a−14の突き合わせ面T7と、アモルファス鉄心5a−14とアモルファス鉄心5a−15の突き合わせ面T8とを比較すると、突き合わせ面T9と突き合わせ面T7の位置はずれて配置され、突き合わせ面T10と突き合わせ面T8の位置はずれて配置されている。
【0026】
また、表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−13とアモルファス鉄心5a−14の突き合わせ面T7と、アモルファス鉄心5a−14とアモルファス鉄心5a−15の突き合わせ面T8と、その上の表面のアモルファス鉄心5a−10とアモルファス鉄心5a−11の突き合わせ面T5と、アモルファス鉄心5a−11とアモルファス鉄心5a−12の突き合わせ面T6とを比較すると、
突き合わせ面T7と突き合わせ面T5の位置はずれて配置され、突き合わせ面T8と突き合わせ面T6の位置はずれて配置されている。
【0027】
従って、図6Aに示したように、アモルファス磁性薄帯を3枚で、うち2枚は同じ幅広L3の磁性薄帯で、もう1枚は幅狭L4の磁性薄帯を用い、各層のブロックの幅の異なるアモルファス鉄心を突き合わせて積層していき、積層する方向の隣り合う磁性薄帯同士で突き合わせ面の位置がずれるように磁性薄帯を配置しているため、積層した鉄心自体が一体化され、1枚の鉄心のように扱うことが可能となる。
【0028】
次に、図6Aに示したアモルファス磁性薄帯と同じ3枚を用いた場合、磁性薄帯の突き合わせ面の位置がずらすことができないケースについて、図6Bを用いて説明する。
先ず、表面より内側の4層目の鉄心は、左側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−20と中央の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−19とを突き合わせて、さらに、中央の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−19と右側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−21とを突き合わせて、4層目の鉄心を形成している。
【0029】
次に、この表面より内側の4層目の上に、中央の幅狭L4のアモルファス鉄心を右側に移動して、左側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−16と中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−17とを突き合わせて、さらに、中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−17と右側の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−18とを突き合わせて、表面から内側の3層目を形成する。
次に、この表面より内側の3層目の上に、右側の幅狭L4のアモルファス鉄心を左側に移動して、左側の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−13と中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−14とを突き合わせて、さらに、中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−14と右側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−15とを突き合わせて積層し、表面より内側の2層目の鉄心を形成する。
【0030】
次に、この表面より内側の2層目の上に、左側の幅狭L4のアモルファス鉄心を中央に移動して、左側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−10と、中央の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−12とを突き合わせて、さらに、中央の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−12と右側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−11とを突き合わせて積層し、表面を形成している。
【0031】
この図6Bのアモルファス鉄心において、各層の3枚のアモルファス磁性薄帯の突き合わせ面について説明する。
表面より内側の4層目のアモルファス鉄心5a−20とアモルファス鉄心5a−19との突き合わせ面T19と、アモルファス鉄心5a−19とアモルファス鉄心5a−21との突き合わせ面T20と、その上の層の、表面より内側の3層目のアモルファシ鉄心5a−16とアモルファス鉄心5a−17の突き合わせ面T17と、アモルファス鉄心5aー17とアモルファス鉄心5a−18との突き合わせ面T18とを比較すると、突き合わせ面T17と突き合わせ面T19の位置は同じで一致しており、突き合わせ面T18と突き合わせ面T20の位置はずれている。
また、表面より内側の3層目のアモルファス鉄心5a−16とアモルファス鉄心5a−17との突き合わせ面T17と、アモルファス鉄心5a−17とアモルファス鉄心5a−18との突き合わせ面T18と、その上の層の、表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−13とアモルファス鉄心5aー14との突き合わせ面T15と、アモルファス鉄心5a−14とアモルファス鉄心5a−15との突き合わせ面T16とを比較すると、突き合わせ面T15と突き合わせ面T17との位置はそれぞれずれて、また、突き合わせ面T16と突き合わせ面T18の位置もずれている。
また、表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−13とアモルファス鉄心5a−14との突き合わせ面T15と、アモルファス鉄心5a−14とアモルファス鉄心5a−15との突き合わせ面T16と、表面のアモルファス鉄心5a−10とアモルファス鉄心5a−12との突き合わせ面T13と、アモルファス鉄心5a−12とアモルファス鉄心5a−11との突き合わせ面T14とを比較すると、突き合わせ面T13と突き合わせ面T15とは位置がずれているが、突き合わせ面T14と突き合わせ面T16とは位置が同じで一致している。
【0032】
すなわち、図6Bにおいては、積層方向で隣り合う磁性薄帯の配置で、突き合わせ面の位置が同じになり一致するケースがある。
このような状態においては、アモルファス鉄心の一体化を行った場合、ラッピングができないということになる。
【0033】
図6A及び図6Bについてまとめたのが図6Cである。
図6Cは、3枚の磁性薄帯(同じ寸法の幅広L3の磁性薄帯を2枚、幅狭L4の磁性薄帯を1枚)を用いてアモルファス鉄心を構成した場合について、磁性薄帯の配置のパターンを示す。
図6Cにおいて、(a)は左側に幅広L3の磁性薄帯を配置し、中央に幅広L3を配置し、それらを突き合わせて、さらに、中央の幅広L3の磁性薄帯と右側の幅狭L4の磁性薄帯を突き合わせて配置したパターンをベースとする。
この(a)の配置に対し、3枚の磁性薄帯の配置のパターンは、(b)の配置と(c)の配置の2通りがある。
(b)は、左側の幅狭L4の磁性薄帯を配置し、中央の幅広L3の磁性薄帯を配置し、それらを突き合わせて、さらに、中央の幅広L3の磁性薄帯と右側に配置した幅広L3の磁性薄帯を突き合わせた配置のパターンである。
また、(c)の配置は、左側の幅広L3の磁性薄帯を配置し、中央に幅狭L4の磁性薄帯を配置しそれらを突き合わせて、さらに、中央の幅狭L4の磁性薄帯と右側の幅広L3の磁性薄帯とを突き合わせて配置したパターンである。
【0034】
図6Cの(a)をベースにして、積層方向で隣り合う配置で、(a)の突き合わせ面T5,T6の位置は一致するか比較すると、(b)の突き合わせ面T7又はT8の位置はずれて一致していない。
また、(c)の突き合わせ面T13の位置は、(a)の突き合わせ面T5の位置と一致するが、(c)の突き合わせ面T14の位置は(a)の突き合わせ面T6の位置とはずれている。
従って、(a)の磁性薄帯の配置をベースにしたとき、(b)の磁性薄帯の配置において突き合わせ面の位置はずれているが、(c)の磁性薄帯の配置の場合は一致する箇所がある。
【0035】
このように、積層方向で隣り合う磁性薄帯の配置で突き合わせ面が一致すると、アモルファス鉄心を一体化したとき、ラッピングができないということになる。
従って、図6Cにおいて、右側に判定を示しているが、(b)の判定は○で、(c)の判定は×としている。
(実施例3)
次に、磁性薄帯を3枚用い、この3枚の幅寸法がすべて異なる場合について説明する。
図7Aは、磁性薄帯の幅寸法をL5,L6,L7とし、それぞれL5<L6<L7(ここで、幅狭L5、幅中L6,幅広L7という)の関係とし、アモルファス鉄心を構成した場合を示す。
図7Aにおいて、表面より内側の4層目のアモルファス鉄心より説明する。
先ず、表面より内側の4層目において、左側の幅中L6のアモルファス鉄心5a−39と中央の幅広L7のアモルファス鉄心5a−40とを突き合わせて、さらに、中央の幅広L7のアモルファス鉄心5a−40と右側の幅狭L5のアモルファス鉄心5a−41とを突き合わせて、表面より内側の4層目のアモルファス鉄心を形成する。
次に、この表面より内側の4層目の上に、右側の幅狭L5のアモルファス鉄心を左側に移動して、
左側に幅狭L5のアモルファス鉄心5a−36と中央の幅中L6のアモルファス鉄心5a−37とを突き合わせて、さらに、中央の幅中L6のアモルファス鉄心5a−37と右側の幅広L7のアモルファス鉄心5a−38とを突き合わせて、表面より内側の3層目を形成する。
次に、この表面より内側の3層目の上に、左側の幅狭L5のアモルファス鉄心を右側に移動して、
左側の幅中L6のアモルファス鉄心5a−33と中央の幅広L7のアモルファス鉄心5a−34とを突き合わせて、さらに、中央の幅広L7のアモルファス鉄心5a−34と右側の幅狭L5のアモルファス鉄心5a−35とを突き合わせて、表面より内側の2層目を形成する。
次に、表面より内側の2層目の上に、右側の幅狭L5のアモルファス鉄心を左側に移動して、
左側に幅狭L5のアモルファス鉄心5a−30と中央の幅中L6のアモルファス鉄心5a−31とを突き合わせて、さらに、中央の幅中L6のアモルファス鉄心5a−31と右側の幅広L7のアモルファス鉄心5a−32とを突き合わせて、表面の層を形成する。
以上が、幅の異なる3枚の磁性薄帯を配置したときの一例である。
【0036】
この図7Aに示した幅の異なる3枚の磁性薄帯を配置について、各層の突き合わせ面の位置について説明する。
【0037】
先ず、表面より内側の4層目のアモルファス鉄心5a−39とアモルファス鉄心5a−40との突き合わせ面T27と、アモルファス鉄心5a−40とアモルファス鉄心5a−41との突き合わせ面T28と、その上の層の、表面より内側の3層目のアモルファス鉄心5a−36とアモルファス鉄心5a−37の突き合わせ面T25と、アモルファス鉄心5a−37とアモルファス鉄心5a−38との突き合わせ面T26とを比較すると、それぞれの突き合わせ面T27,T28,T25,及びT26の位置は積層方向でずれて配置される。
【0038】
次に、表面より内側の3層目のアモルファス鉄心5a−36とアモルファス鉄心5a−37の突き合わせ面T25と、アモルファス鉄心5a−37とアモルファス鉄心5a−38との突き合わせ面T26と、表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−33とアモルファス鉄心5a−34との突き合わせ面T23と、アモルファス鉄心5a−34とアモルファス鉄心5a−35との突き合わせ面T24とを比較すると、それぞれの突き合わせ面T23、T24、T25、及びT26の位置は、ずれて一致していない。
【0039】
次に、表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−33とアモルファス鉄心5a−34との突き合わせ面T23と、アモルファス鉄心5a−34とアモルファス鉄心5a−35との突き合わせ面T24と、表面のアモルファス鉄心5a−30とアモルファス鉄心5a−31との突き合わせ面T21と、アモルファス鉄心5a−31とアモルファス鉄心5a−32との突き合わせ面T22とを比較すると、それぞれの突き合わせ面T23,T24,T21,及びT22の位置はずれて一致していない。
【0040】
従って、図7Aに示したアモルファス鉄心は、各層の突き合わせ面の位置がずれて一致していないため、鉄心を一体化した場合、ラッピングが可能となる。
【0041】
次に、幅の異なる3枚のアモルファス磁性薄帯を配置換えして、アモルファス鉄心を構成するパターンのバリエーションについて説明する。
図7Bは、(a)に示す左側の幅狭L5のアモルファス鉄心と中央の幅中L6のアモルファス鉄心を突き合わせて、さらに、中央の幅中L6のアモルファス鉄心と右側の幅広L7のアモルファス鉄心とを突き合わせて形成した磁性薄帯の配置の模式図を示し、これをベースとし、他のアモルファス鉄心の配置換えの場合の突き合わせ面の比較の基準とする。
この(a)を基準としたとき、3枚のアモルファス磁性薄帯の配置のパターンは5通りがある
(b)は、左側の幅中L6のアモルファス鉄心と中央の幅広L7のアモルファス鉄心とを突き合わせて、さらに、中央の幅広L7のアモルファス鉄心と右側の幅狭L5のアモルファス鉄心とを突き合わせてアモルファス鉄心を形成している。
(c)は、左側の幅狭L5のアモルファス鉄心と中央の幅広L7のアモルファス鉄心とを突き合わせて、さらに、中央の幅広L7のアモルファス鉄心と右側の幅中L6のアモルファス鉄心とを突き合わせて形成している。
(d)は、左側の幅中L6のアモルファス鉄心と中央の幅狭L5のアモルファス鉄心とを突き合わせて、さらに、中央の幅狭L5のアモルファス鉄心と右側の幅広L7のアモルファス鉄心とを突き合わせて、アモルファス鉄心を形成している。
(e)は、左側の幅広L7のアモルファス鉄心と中央の幅中L6のアモルファス鉄心とを突き合わせて、さらに、幅中L6のアモルファス鉄心と右側の幅狭L5のアモルファス鉄心とを突き合わせて、アモルファス鉄心を形成している。
(f)は、左側の幅広L7のアモルファス鉄心と中央の幅狭L5のアモルファス鉄心とを突き合わせて、さらに、中央の幅狭L5のアモルファス鉄心と右側の幅中L6のアモルファス鉄心とを突き合わせて、アモルファス鉄心を形成している。
以上が、図7Bの(b)〜(f)までのアモルファス鉄心の構成、すなわち磁性薄帯の配置の説明である。
【0042】
次に、(a)をベースにしたとき、(b)〜(f)の構成の磁性薄帯の突き合わせ面の位置との比較について説明する。
【0043】
先ず、(a)と(b)とを比較すると、それぞれの突き合わせ面T21,T22,T23、及びT24の位置がずれて配置され、一致する箇所はない。
従って、(a)の磁性薄帯の配置と(b)の磁性薄帯の配置を隣り合う層で交互に置き換えて積層すれば、一体化したときラッピングは可能となる。
【0044】
次に、(a)と(c)とを比較すると、(c)の突き合わせ面T30は、(a)の突き合わせ面T21と一致し、(c)の突き合わせ面T31と(a)の突き合わせ面T22と配置がずれている。
従って、(a)と(c)とは突き合わせ面が1箇所一致するため、隣り合って積層して一体化したとき、ラッピングができない。
【0045】
次に、(a)と(d)について比較すると、(d)の突き合わせ面T32は、(a)の突き合わせ面T21とはずれて一致しないが、突き合わせ面T33がつき合わせ面T22と一致する。
従って、(a)と(b)の磁性薄帯の配置を交互に積層してアモルファス鉄心を構成したとき、ラッピングができない。
【0046】
次に、(a)と(e)について比較すると、(e)の突き合わせ面T34及びT35は、(a)の突き合わせ面T21及びT22とはずれて一致はしない。
従って、(a)の磁性薄帯の配置と(e)の磁性薄帯の配置を交互に積層して、アモルファス鉄心を形成し一体化したとき、ラッピングが可能となる。
【0047】
次に、(a)と(f)について比較すると、(f)の突き合わせ面T36とT37の位置は(a)の突き合わせ面T21及びT22の位置とずれて配置され、一致しない。
従って、(a)の磁性薄帯に配置と(f)の磁性薄帯の配置を交互に積層してアモルファス鉄心を形成し一体化したとき、ラッピングが可能となる。
以上、(a)の磁性薄帯の配置を基準にしたとき、積層方向で隣り合う磁性薄帯で突き合わせ面がずれて一致しないのは、図7Bに判定を記したように、(b)、(e)及び(f)の配置の場合である。この場合は、アモルファス磁性薄帯を交互に積層してアモルファス鉄心を組み立てたとき、鉄心は一体化し、1枚の鉄心として扱うことができる。
【0048】
また、本発明の構成により、従来より幅の広い鉄心を提供できる。
【符号の説明】
【0049】
1‥アモルファス鉄心変圧器
2‥タンク容器
3‥波リブ
4a,4b,4c‥コイル
5a,5b,5c,5d‥アモルファス鉄心
6‥巻枠
5a−1〜5a−8,5a−10〜5a−21,5a−30〜5a−41‥アモルファス鉄心又はアモルファス磁性薄帯
T1〜T4,T5〜T28,T30〜T37‥磁性薄帯の突き合わせ面
【技術分野】
【0001】
本発明は、アモルファス鉄心変圧器に関し、特にアモルファス磁性薄帯を用いた巻鉄心(以下、アモルファス鉄心という)を有するアモルファス鉄心変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
アモルファス鉄心変圧器に使用されるアモルファス磁性薄帯は、厚さが0.022〜0.025mmと非常に薄く、かつ、硬度が高く、脆い性質を有している。また、アモルファスシートをロール状に巻回した材料を使用しているが、特性にばらつきがある。
【0003】
また、アモルファス磁性薄帯を巻回して巻鉄心としたアモルファス鉄心変圧器が知られ、例えば図8に示す三相5脚鉄心を有する3相1000KVA用アモルファス鉄心変圧器は、巻鉄心50a〜50h、及びコイル40a〜40cを変圧器タンク容器内に収納している。
巻鉄心は、幅が約170mm、鉄心断面積が16200mm2のアモルファス磁性薄帯を巻回した単位鉄心を薄帯幅方向に2列配列して、4組8個の単位鉄心を使用している。
両外側の単位鉄心は鉄心窓部にコイルが1相分配置されるが、内側の2個の単位鉄心は鉄心窓部にコイルが2相分配置される。そのため、内側単位鉄心の質量は約158Kgとなり、一方、外側の単位鉄心の質量は約142Kgとなって、内側単位鉄心の方が質量は重く、外周の長さは長くなる。
鉄心コイル組立体は、図8に示すように8個の単位鉄心50a〜50hと3個のコイル40a〜40cからなる。単位鉄心は、コイルに挿入するため断面U字形状とし、挿入後、両端を閉じる(ラップ作業)ことにより組み立てる。
コイル内には、巻枠60a〜60fを2個ずつ設置し、図9に示すように、単位鉄心50a〜50hの一方を開放し、逆U字形状にして挿入して開放した箇所をラッピングして、鉄心とコイルを組立てる。
コイル巻枠は、鉄などの金属で中空の四角柱に形成し、上記のように2個並べて構成していた。
【0004】
次に、従来の図8の鉄心コイル組立体の水平断面図を図10に示す。
図10において、三相のコイルは、外側の二次コイル40a、40b、40cと、一次コイル40d、40e、40fで形成され、コイル内には巻枠が各コイル内に2個ずつ並べて設置されている。すなわち、コイル40a,40d内には巻枠60a,60bが設置され、コイル40b、40e内には巻枠60c、60dが設置され、コイル40c、40fには巻枠60e,60fが設置されている。そして、この巻枠内にアモルファス鉄心を挿入する。
【0005】
図10の左側のコイル40a,40dの巻枠60aには鉄心50aを挿入し、巻枠60bには鉄心50bを挿入する。
鉄心50a、50bがそれぞれコイル40a,40bの左側の辺を逆U字形状として跨いで巻枠60a,60bに挿入すると、コイル40aの左外側の鉄心50a,50bは、バラけないようにそれぞれE字押さえ金具70で受け、その後コ字押さえ金具80で上から押さえ固定する。
この左側の構成は、右側の鉄心50g、50hにおいても同じ構成をし、鉄心を固定している。
【0006】
中央左下側の鉄心50cは、コイル40a,40dとコイル40b、40eが並んだ部分を跨ぐようにコイル内に設置された巻枠60aの片側と巻枠60cの片側に挿入され、同様に、中央左上側の鉄心50dもまた、コイル40a,40dとコイル40b、40eが並んだ部分を跨ぐようにコイル内に設置された巻枠60bの片側と巻枠60dの片側に挿入される。
【0007】
中央右下側の鉄心50eは、コイル40b,40eとコイル40c、40fが並んだ部分を跨ぐようにコイル内に設置された巻枠60cの片側と巻枠60eの片側に挿入され、同様に、中央右上側の鉄心50fもまた、コイル内に設置された巻枠60dの片側と巻枠60fの片側に挿入される。
【0008】
右側の鉄心50gは、コイル40c、40fの右辺の部分を跨ぐようにコイル内に設置された巻枠60eの片側とコイル外部に設置されたE字押さえ金具70の部分に挿入され、また、鉄心50hもコイル40c、40fの右辺の部分を跨ぐようにコイル内に設置された巻枠60fの片側とコイル外部に設置されたE字押さえ金具70の部分に挿入される。E字押さえ金具70に収納された鉄心50g、50hは、上からコ字押さえ金具80により固定する。
ここで、従来の鉄心及び巻枠について、図11及び図12に示している。
【0009】
図11は、単位鉄心の一方の端部を開放した逆U字形状の鉄心50aを示し、鉄心の幅は同じで、上記したようにこの同じ幅の鉄心を2列、鉄心断面積を確保するため、図12に示した2個並べて配置した巻枠60a、60bに挿入して鉄心コイル組立体を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005-129966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来は、アモルファス鉄心変圧器の鉄心幅を広く、鉄心断面積を多くするために上記したように、同じ幅寸法のアモルファス磁性薄帯で製造した8個の単位鉄心を2列配列して、アモルファス鉄心変圧器を構成している。
このような従来技術の構成は、鉄心コイル組立体の組立において変圧器1個に対して8個の鉄心のラッピング作業があり、作業効率が良くなかった。
【0012】
本発明は、大容量化のアモルファス鉄心変圧器の鉄心コイル組立体の組立作業において、アモルファス鉄心の断面積を確保し、作業効率を向上したアモルファス鉄心構造を有したアモルファシ鉄心変圧器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成するために、アモルファス磁性薄帯からなるアモルファス鉄心と、該アモルファス鉄心を挿入するコイルとを組み立ててなる鉄心コイル組立体を収納したアモルファス鉄心変圧器において、前記アモルファス鉄心は、幅の異なる複数種のアモルファス磁性薄帯をそれぞれ突き合わせて並べて積層するとき、該並べて積層したアモルファス磁性薄帯の突き合わせ面がずれるように並べる位置を交互に換えて積層してアモルファス鉄心を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
現行のアモルファス巻鉄心ではラッピング作業を2回行っていたものを1回にまとめることができるため、作業効率の向上になる。また、従来のアモルファス巻鉄心の巻枠は、1つのコイル内にアモルファス巻鉄心を2列にする必要があるため2個必要であり、本発明のアモルファス巻鉄心はコイル内に巻枠は1個であるため、仕切りが不要となり、その分巻枠及びコイルの小形化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のアモルファス鉄心変圧器の外観の斜視図である。
【図2】本発明の鉄心コイル組立体の斜視図である。
【図3】本発明の鉄心コイル組立体の組立を示す斜視図である。
【図4】本発明のアモルファス鉄心の構成を示す部分斜視図である。
【図5】本発明のコイル内に設置する巻枠の斜視図を示す。
【図6A】本発明の別のアモルファス鉄心の構成を示す部分斜視図である。
【図6B】図6Aのアモルファス鉄心の構成の変形例を示す部分斜視図である。
【図6C】本発明の幅の異なるアモルファス磁性薄帯を突き合わせて積層する構成について説明する図を示す。
【図7A】本発明のさらに別のアモルファス鉄心の構成を示す部分斜視図である。
【図7B】図7Aの構成の外の構成について説明する図を示す。
【図8】従来のアモルファス鉄心変圧器の鉄心コイル組立体の斜視図である。
【図9】従来の鉄心コイル組立体の組立を示す斜視図である。
【図10】図8に示した従来の鉄心コイル組立体の水平方向の断面図を示す。
【図11】従来の単位鉄心の斜視図である。
【図12】従来のコイル内に設置された巻枠の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のアモルファス鉄心変圧器の実施の形態を図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1は、本発明のアモルファス鉄心を搭載したアモルファス鉄心変圧器の外観を示す斜視図である。
図1において、アモルファス鉄心変圧器1は、アモルファス鉄心及びアモルファス鉄心に装着したコイルを絶縁、冷却する絶縁油を収納したタンク容器2の周縁に波リブ3を設けて、コイルや鉄心などから発生する熱を冷却する構造となっている。
また、図1において、9は波リブ3の上下に溶接して固定した溶接線で、波リブ3に強度を持たせ、変形しないようにしている。7はタンク容器2の上部に設置された一次側端子で、発電所から送電された高電圧の電源を接続する端子である。8は、タンク容器2の上部に設置された二次側端子で、変圧器で昇圧又は降圧した電圧を負荷側に送るために接続する端子である。
【0017】
次に、本発明の鉄心コイル組立体について図2を用いて説明する。
図2は、本発明のアモルファス鉄心及び巻枠を搭載した鉄心コイル組立体を示す斜視図である。
図2において、アモルファス鉄心変圧器は、三相5脚鉄心の変圧器で、コイルを3個(4a,4b,4c)設置し、このコイル4a,4b,4cにアモルファス鉄心5a,5b,5c,5dを挿入して、ラッピングした状態を示している。
アモルファス鉄心5a,5b,5c,5dの鉄心の表面にある線は、アモルファス鉄心を形成するアモルファス磁性薄帯を突き合わせた線である。突き合わせた磁性薄帯の線が、隣り合う鉄心で異なっているのは、鉄心幅が異なっていることを強調しているためであって、図2のように鉄心の表面を必ずしも交互にする必要はない。
【0018】
次に図2に示した鉄心コイル組立体の組立方法について、図3を用いて説明する。
図3は、本発明の鉄心とコイルとを組み立てる組立方法を示し、5a〜5cはアモルファス鉄心、4a〜4cはコイル、6はコイル内に設置した巻枠である。
図3において、アモルファス鉄心5a,5bがコイル4a,4bに挿入され、アモルファス鉄心5cがコイル4b、4cに挿入されようとしている状態を示している。
また、図3において、アモルファス鉄心5a〜5cは幅の異なるアモルファス磁性薄帯を突き合わせて、幅の異なる磁性薄帯を交互に位置を換えて積層して構成した鉄心で、詳細は図4において説明する。
【0019】
本発明の構成の鉄心は、図9に示したように、従来同じ幅寸法の磁性薄帯を2列に配置した構成と異なり、2枚の幅の異なる磁性薄帯が一体化した構成となる。
このようにアモルファス磁性薄帯で一体化した鉄心を形成すると、従来のようにアモルファス鉄心を2列ではなく、1列で構成できる。
従って、アモルファス鉄心5a〜5dをコイル4a〜4cに挿入した後、アモルファス鉄心の開放端のラッピング作業は従来の約半分の作業で済むことができる。
また、コイル内に設置した巻枠6を、コイル1個につき2個設置していたのを1個にすることができ、よって、巻枠の材料費を削減でき、アモルファス鉄心の断面積を確保し、巻枠を小型化できるため変圧器全体を小型化できる。
【0020】
次に、アモルファス鉄心5aの構成について、図4を用いて説明する。
図4は、アモルファス鉄心を表面よりブロック毎に内側に向かって剥いでいった状態の斜視図を示している。
図4において、アモルファス磁性薄帯の幅が異なった2種類(幅狭L1と幅広L2で、L1<L2の関係になっている)のブロックを用いたアモルファス鉄心の場合を示し、表面より内側に4層目からの積層状態について説明する。
図4において、表面より内側に向かって4層目のブロックのアモルファス鉄心は、左側が幅広L2のアモルファス鉄心5a−7と、右側が幅狭L1のアモルファス鉄心5a−8とを突き合わせて並べて積層し、表面より内側の4層目を形成する。
次に、この表面より4層目の上に、左側が幅狭L1のアモルファス鉄心5a−5と、右側が幅広L2のアモルファス鉄心5a−6とを突き合わせて並べて積層し、表面より内側の3層目を形成する。
次に、この表面より3層目の上に、左側が幅広L2のアモルファス鉄心5a−3と、右側が幅狭L1のアモルファス鉄心5a−4とを突き合わせて並べて積層し、表面より内側の2層目を形成する。
次に、この表面より内側の2層目の上に、左側が幅狭L1のアモルファス鉄心5a−1と、右側が幅広L2のアモルファス鉄心5a−2とを突き合わせて並べて積層し、表面を形成する。
【0021】
このように図4に示すアモルファス鉄心において、表面より内側の4層目のアモルファス鉄心5a−7とアモルファス鉄心5a−8の突き合わせ面T4と、
その上の表面より内側の3層目のアモルファス鉄心5a−5とアモルファス鉄心5a−6の突き合わせ面T3との位置を比較するとずれて配置される。
また、表面より内側の3層目のアモルファス鉄心5a−5とアモルファス鉄心5a−6の突き合わせ面T3と、その上の表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−3とアモルファス鉄心5a−4の突き合わせ面T2との位置を比較するとずれて配置される。
さらに、表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−3とアモルファス鉄心5a−4の突き合わせ面T2と、その上の表面のアモルファス鉄心5a−1とアモルファス鉄心5a−2の突き合わせ面T1との位置を比較するとずれて配置される。
このように各層のブロックの幅の異なるアモルファス鉄心を突き合わせて積層していき、幅の異なるアモルファス磁性薄帯を交互に積層するため、その突き合わせ面の位置をずらすことができ、積層した鉄心全体が一体化され、1枚の鉄心のように扱うことが可能となる。
【0022】
図5は、コイル内に設置する巻枠の斜視図である。
本発明の巻枠6は、図4に示したアモルファス鉄心を挿入するもので、挿入する開口部は1箇所で、長方形で中空の四角柱を形状である。材質は金属で構成される。従来は、図12に示すように2個並べていたが、本発明は1個であるため、上記の通り、仕切りが不要となり、その分巻枠の材料費を削減でき、アモルファス鉄心の断面積を確保し、巻枠を小型化できるため変圧器全体を小型化できる。
(実施例2)
次に、よりアモルファス鉄心幅を大きく取るために3枚のアモルファス磁性薄帯を用い、アモルファス鉄心を形成する場合について説明する。
ここで、3枚のアモルファス磁性薄帯の幅は、2枚が同じ幅の幅広L3で、1枚が幅狭L4である。すなわちL4<L3の関係である。
図6Aは、アモルファス磁性薄帯の2枚が同じ幅の幅広L3で、1枚が幅狭L4で構成したアモルファス鉄心を表面よりブロック毎に内側に向かって剥いでいった状態の斜視図を示す。
図6Aにおいて、表面より内側の4層目のアモルファス鉄心より説明する。
先ず、表面より内側の4層目において、左側の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−19と中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−20とを突き合わせて、中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−20と右側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−21とを突き合わせして、表面より内側の4層目を形成する。
【0023】
次に、この表面より内側の4層目の上に、左側の幅狭L4のアモルファス鉄心を右側に移動して、左側に幅広L3のアモルファス鉄心5a−16と中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−17とを突き合わせして、中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−17と右側の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−18とを突き合わせして積層し、表面より内側の3層目を形成する。
次に、この表面より内側の3層目の上に、右側の幅狭L4のアモルファス鉄心を左側に移動して、左側に幅狭L4のアモルファス鉄心5a−13と中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−14とを突き合わせて、中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−14と右側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−15とを突き合わせして積層し、表面より内側の2層目を形成する。
次に、この表面から内側の2層目の上に、左側の幅狭L4のアモルファス鉄心を右側に移動して、左側に幅広L3のアモルファス鉄心5a−10と中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−11とを突き合わせして、中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−11と右側の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−12とを突き合わせして積層し、表面を形成する。
【0024】
図6Aにおいて、各層の3枚のアモルファス磁性薄帯の突き合わせ面について説明する。
表面より内側の4層目のアモルファス鉄心5a−19とアモルファス鉄心5a−20の突き合わせ面T11と、アモルファス鉄心5a−20とアモルファス鉄心5a−21の突き合わせ面T12と、その上の表面より内側の3層目のアモルファス鉄心5a−16とアモルファス鉄心5a−17の突き合わせ面T9と、アモルファス鉄心5a−17とアモルファス鉄心5a−18の突き合わせ面T10とを比較すると、突き合わせ面T11と突き合わせ面T9の位置はずれて配置され、突き合わせ面T12と突き合わせ面T10の位置もずれて配置されている。
【0025】
また、表面より内側の3層目のアモルファス鉄心5a−16とアモルファス鉄心5a−17の突き合わせ面T9と、アモルファス鉄心5a−17とアモルファス鉄心5a−18の突き合わせ面T10と、その上の表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−13とアモルファス鉄心5a−14の突き合わせ面T7と、アモルファス鉄心5a−14とアモルファス鉄心5a−15の突き合わせ面T8とを比較すると、突き合わせ面T9と突き合わせ面T7の位置はずれて配置され、突き合わせ面T10と突き合わせ面T8の位置はずれて配置されている。
【0026】
また、表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−13とアモルファス鉄心5a−14の突き合わせ面T7と、アモルファス鉄心5a−14とアモルファス鉄心5a−15の突き合わせ面T8と、その上の表面のアモルファス鉄心5a−10とアモルファス鉄心5a−11の突き合わせ面T5と、アモルファス鉄心5a−11とアモルファス鉄心5a−12の突き合わせ面T6とを比較すると、
突き合わせ面T7と突き合わせ面T5の位置はずれて配置され、突き合わせ面T8と突き合わせ面T6の位置はずれて配置されている。
【0027】
従って、図6Aに示したように、アモルファス磁性薄帯を3枚で、うち2枚は同じ幅広L3の磁性薄帯で、もう1枚は幅狭L4の磁性薄帯を用い、各層のブロックの幅の異なるアモルファス鉄心を突き合わせて積層していき、積層する方向の隣り合う磁性薄帯同士で突き合わせ面の位置がずれるように磁性薄帯を配置しているため、積層した鉄心自体が一体化され、1枚の鉄心のように扱うことが可能となる。
【0028】
次に、図6Aに示したアモルファス磁性薄帯と同じ3枚を用いた場合、磁性薄帯の突き合わせ面の位置がずらすことができないケースについて、図6Bを用いて説明する。
先ず、表面より内側の4層目の鉄心は、左側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−20と中央の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−19とを突き合わせて、さらに、中央の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−19と右側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−21とを突き合わせて、4層目の鉄心を形成している。
【0029】
次に、この表面より内側の4層目の上に、中央の幅狭L4のアモルファス鉄心を右側に移動して、左側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−16と中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−17とを突き合わせて、さらに、中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−17と右側の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−18とを突き合わせて、表面から内側の3層目を形成する。
次に、この表面より内側の3層目の上に、右側の幅狭L4のアモルファス鉄心を左側に移動して、左側の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−13と中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−14とを突き合わせて、さらに、中央の幅広L3のアモルファス鉄心5a−14と右側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−15とを突き合わせて積層し、表面より内側の2層目の鉄心を形成する。
【0030】
次に、この表面より内側の2層目の上に、左側の幅狭L4のアモルファス鉄心を中央に移動して、左側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−10と、中央の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−12とを突き合わせて、さらに、中央の幅狭L4のアモルファス鉄心5a−12と右側の幅広L3のアモルファス鉄心5a−11とを突き合わせて積層し、表面を形成している。
【0031】
この図6Bのアモルファス鉄心において、各層の3枚のアモルファス磁性薄帯の突き合わせ面について説明する。
表面より内側の4層目のアモルファス鉄心5a−20とアモルファス鉄心5a−19との突き合わせ面T19と、アモルファス鉄心5a−19とアモルファス鉄心5a−21との突き合わせ面T20と、その上の層の、表面より内側の3層目のアモルファシ鉄心5a−16とアモルファス鉄心5a−17の突き合わせ面T17と、アモルファス鉄心5aー17とアモルファス鉄心5a−18との突き合わせ面T18とを比較すると、突き合わせ面T17と突き合わせ面T19の位置は同じで一致しており、突き合わせ面T18と突き合わせ面T20の位置はずれている。
また、表面より内側の3層目のアモルファス鉄心5a−16とアモルファス鉄心5a−17との突き合わせ面T17と、アモルファス鉄心5a−17とアモルファス鉄心5a−18との突き合わせ面T18と、その上の層の、表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−13とアモルファス鉄心5aー14との突き合わせ面T15と、アモルファス鉄心5a−14とアモルファス鉄心5a−15との突き合わせ面T16とを比較すると、突き合わせ面T15と突き合わせ面T17との位置はそれぞれずれて、また、突き合わせ面T16と突き合わせ面T18の位置もずれている。
また、表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−13とアモルファス鉄心5a−14との突き合わせ面T15と、アモルファス鉄心5a−14とアモルファス鉄心5a−15との突き合わせ面T16と、表面のアモルファス鉄心5a−10とアモルファス鉄心5a−12との突き合わせ面T13と、アモルファス鉄心5a−12とアモルファス鉄心5a−11との突き合わせ面T14とを比較すると、突き合わせ面T13と突き合わせ面T15とは位置がずれているが、突き合わせ面T14と突き合わせ面T16とは位置が同じで一致している。
【0032】
すなわち、図6Bにおいては、積層方向で隣り合う磁性薄帯の配置で、突き合わせ面の位置が同じになり一致するケースがある。
このような状態においては、アモルファス鉄心の一体化を行った場合、ラッピングができないということになる。
【0033】
図6A及び図6Bについてまとめたのが図6Cである。
図6Cは、3枚の磁性薄帯(同じ寸法の幅広L3の磁性薄帯を2枚、幅狭L4の磁性薄帯を1枚)を用いてアモルファス鉄心を構成した場合について、磁性薄帯の配置のパターンを示す。
図6Cにおいて、(a)は左側に幅広L3の磁性薄帯を配置し、中央に幅広L3を配置し、それらを突き合わせて、さらに、中央の幅広L3の磁性薄帯と右側の幅狭L4の磁性薄帯を突き合わせて配置したパターンをベースとする。
この(a)の配置に対し、3枚の磁性薄帯の配置のパターンは、(b)の配置と(c)の配置の2通りがある。
(b)は、左側の幅狭L4の磁性薄帯を配置し、中央の幅広L3の磁性薄帯を配置し、それらを突き合わせて、さらに、中央の幅広L3の磁性薄帯と右側に配置した幅広L3の磁性薄帯を突き合わせた配置のパターンである。
また、(c)の配置は、左側の幅広L3の磁性薄帯を配置し、中央に幅狭L4の磁性薄帯を配置しそれらを突き合わせて、さらに、中央の幅狭L4の磁性薄帯と右側の幅広L3の磁性薄帯とを突き合わせて配置したパターンである。
【0034】
図6Cの(a)をベースにして、積層方向で隣り合う配置で、(a)の突き合わせ面T5,T6の位置は一致するか比較すると、(b)の突き合わせ面T7又はT8の位置はずれて一致していない。
また、(c)の突き合わせ面T13の位置は、(a)の突き合わせ面T5の位置と一致するが、(c)の突き合わせ面T14の位置は(a)の突き合わせ面T6の位置とはずれている。
従って、(a)の磁性薄帯の配置をベースにしたとき、(b)の磁性薄帯の配置において突き合わせ面の位置はずれているが、(c)の磁性薄帯の配置の場合は一致する箇所がある。
【0035】
このように、積層方向で隣り合う磁性薄帯の配置で突き合わせ面が一致すると、アモルファス鉄心を一体化したとき、ラッピングができないということになる。
従って、図6Cにおいて、右側に判定を示しているが、(b)の判定は○で、(c)の判定は×としている。
(実施例3)
次に、磁性薄帯を3枚用い、この3枚の幅寸法がすべて異なる場合について説明する。
図7Aは、磁性薄帯の幅寸法をL5,L6,L7とし、それぞれL5<L6<L7(ここで、幅狭L5、幅中L6,幅広L7という)の関係とし、アモルファス鉄心を構成した場合を示す。
図7Aにおいて、表面より内側の4層目のアモルファス鉄心より説明する。
先ず、表面より内側の4層目において、左側の幅中L6のアモルファス鉄心5a−39と中央の幅広L7のアモルファス鉄心5a−40とを突き合わせて、さらに、中央の幅広L7のアモルファス鉄心5a−40と右側の幅狭L5のアモルファス鉄心5a−41とを突き合わせて、表面より内側の4層目のアモルファス鉄心を形成する。
次に、この表面より内側の4層目の上に、右側の幅狭L5のアモルファス鉄心を左側に移動して、
左側に幅狭L5のアモルファス鉄心5a−36と中央の幅中L6のアモルファス鉄心5a−37とを突き合わせて、さらに、中央の幅中L6のアモルファス鉄心5a−37と右側の幅広L7のアモルファス鉄心5a−38とを突き合わせて、表面より内側の3層目を形成する。
次に、この表面より内側の3層目の上に、左側の幅狭L5のアモルファス鉄心を右側に移動して、
左側の幅中L6のアモルファス鉄心5a−33と中央の幅広L7のアモルファス鉄心5a−34とを突き合わせて、さらに、中央の幅広L7のアモルファス鉄心5a−34と右側の幅狭L5のアモルファス鉄心5a−35とを突き合わせて、表面より内側の2層目を形成する。
次に、表面より内側の2層目の上に、右側の幅狭L5のアモルファス鉄心を左側に移動して、
左側に幅狭L5のアモルファス鉄心5a−30と中央の幅中L6のアモルファス鉄心5a−31とを突き合わせて、さらに、中央の幅中L6のアモルファス鉄心5a−31と右側の幅広L7のアモルファス鉄心5a−32とを突き合わせて、表面の層を形成する。
以上が、幅の異なる3枚の磁性薄帯を配置したときの一例である。
【0036】
この図7Aに示した幅の異なる3枚の磁性薄帯を配置について、各層の突き合わせ面の位置について説明する。
【0037】
先ず、表面より内側の4層目のアモルファス鉄心5a−39とアモルファス鉄心5a−40との突き合わせ面T27と、アモルファス鉄心5a−40とアモルファス鉄心5a−41との突き合わせ面T28と、その上の層の、表面より内側の3層目のアモルファス鉄心5a−36とアモルファス鉄心5a−37の突き合わせ面T25と、アモルファス鉄心5a−37とアモルファス鉄心5a−38との突き合わせ面T26とを比較すると、それぞれの突き合わせ面T27,T28,T25,及びT26の位置は積層方向でずれて配置される。
【0038】
次に、表面より内側の3層目のアモルファス鉄心5a−36とアモルファス鉄心5a−37の突き合わせ面T25と、アモルファス鉄心5a−37とアモルファス鉄心5a−38との突き合わせ面T26と、表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−33とアモルファス鉄心5a−34との突き合わせ面T23と、アモルファス鉄心5a−34とアモルファス鉄心5a−35との突き合わせ面T24とを比較すると、それぞれの突き合わせ面T23、T24、T25、及びT26の位置は、ずれて一致していない。
【0039】
次に、表面より内側の2層目のアモルファス鉄心5a−33とアモルファス鉄心5a−34との突き合わせ面T23と、アモルファス鉄心5a−34とアモルファス鉄心5a−35との突き合わせ面T24と、表面のアモルファス鉄心5a−30とアモルファス鉄心5a−31との突き合わせ面T21と、アモルファス鉄心5a−31とアモルファス鉄心5a−32との突き合わせ面T22とを比較すると、それぞれの突き合わせ面T23,T24,T21,及びT22の位置はずれて一致していない。
【0040】
従って、図7Aに示したアモルファス鉄心は、各層の突き合わせ面の位置がずれて一致していないため、鉄心を一体化した場合、ラッピングが可能となる。
【0041】
次に、幅の異なる3枚のアモルファス磁性薄帯を配置換えして、アモルファス鉄心を構成するパターンのバリエーションについて説明する。
図7Bは、(a)に示す左側の幅狭L5のアモルファス鉄心と中央の幅中L6のアモルファス鉄心を突き合わせて、さらに、中央の幅中L6のアモルファス鉄心と右側の幅広L7のアモルファス鉄心とを突き合わせて形成した磁性薄帯の配置の模式図を示し、これをベースとし、他のアモルファス鉄心の配置換えの場合の突き合わせ面の比較の基準とする。
この(a)を基準としたとき、3枚のアモルファス磁性薄帯の配置のパターンは5通りがある
(b)は、左側の幅中L6のアモルファス鉄心と中央の幅広L7のアモルファス鉄心とを突き合わせて、さらに、中央の幅広L7のアモルファス鉄心と右側の幅狭L5のアモルファス鉄心とを突き合わせてアモルファス鉄心を形成している。
(c)は、左側の幅狭L5のアモルファス鉄心と中央の幅広L7のアモルファス鉄心とを突き合わせて、さらに、中央の幅広L7のアモルファス鉄心と右側の幅中L6のアモルファス鉄心とを突き合わせて形成している。
(d)は、左側の幅中L6のアモルファス鉄心と中央の幅狭L5のアモルファス鉄心とを突き合わせて、さらに、中央の幅狭L5のアモルファス鉄心と右側の幅広L7のアモルファス鉄心とを突き合わせて、アモルファス鉄心を形成している。
(e)は、左側の幅広L7のアモルファス鉄心と中央の幅中L6のアモルファス鉄心とを突き合わせて、さらに、幅中L6のアモルファス鉄心と右側の幅狭L5のアモルファス鉄心とを突き合わせて、アモルファス鉄心を形成している。
(f)は、左側の幅広L7のアモルファス鉄心と中央の幅狭L5のアモルファス鉄心とを突き合わせて、さらに、中央の幅狭L5のアモルファス鉄心と右側の幅中L6のアモルファス鉄心とを突き合わせて、アモルファス鉄心を形成している。
以上が、図7Bの(b)〜(f)までのアモルファス鉄心の構成、すなわち磁性薄帯の配置の説明である。
【0042】
次に、(a)をベースにしたとき、(b)〜(f)の構成の磁性薄帯の突き合わせ面の位置との比較について説明する。
【0043】
先ず、(a)と(b)とを比較すると、それぞれの突き合わせ面T21,T22,T23、及びT24の位置がずれて配置され、一致する箇所はない。
従って、(a)の磁性薄帯の配置と(b)の磁性薄帯の配置を隣り合う層で交互に置き換えて積層すれば、一体化したときラッピングは可能となる。
【0044】
次に、(a)と(c)とを比較すると、(c)の突き合わせ面T30は、(a)の突き合わせ面T21と一致し、(c)の突き合わせ面T31と(a)の突き合わせ面T22と配置がずれている。
従って、(a)と(c)とは突き合わせ面が1箇所一致するため、隣り合って積層して一体化したとき、ラッピングができない。
【0045】
次に、(a)と(d)について比較すると、(d)の突き合わせ面T32は、(a)の突き合わせ面T21とはずれて一致しないが、突き合わせ面T33がつき合わせ面T22と一致する。
従って、(a)と(b)の磁性薄帯の配置を交互に積層してアモルファス鉄心を構成したとき、ラッピングができない。
【0046】
次に、(a)と(e)について比較すると、(e)の突き合わせ面T34及びT35は、(a)の突き合わせ面T21及びT22とはずれて一致はしない。
従って、(a)の磁性薄帯の配置と(e)の磁性薄帯の配置を交互に積層して、アモルファス鉄心を形成し一体化したとき、ラッピングが可能となる。
【0047】
次に、(a)と(f)について比較すると、(f)の突き合わせ面T36とT37の位置は(a)の突き合わせ面T21及びT22の位置とずれて配置され、一致しない。
従って、(a)の磁性薄帯に配置と(f)の磁性薄帯の配置を交互に積層してアモルファス鉄心を形成し一体化したとき、ラッピングが可能となる。
以上、(a)の磁性薄帯の配置を基準にしたとき、積層方向で隣り合う磁性薄帯で突き合わせ面がずれて一致しないのは、図7Bに判定を記したように、(b)、(e)及び(f)の配置の場合である。この場合は、アモルファス磁性薄帯を交互に積層してアモルファス鉄心を組み立てたとき、鉄心は一体化し、1枚の鉄心として扱うことができる。
【0048】
また、本発明の構成により、従来より幅の広い鉄心を提供できる。
【符号の説明】
【0049】
1‥アモルファス鉄心変圧器
2‥タンク容器
3‥波リブ
4a,4b,4c‥コイル
5a,5b,5c,5d‥アモルファス鉄心
6‥巻枠
5a−1〜5a−8,5a−10〜5a−21,5a−30〜5a−41‥アモルファス鉄心又はアモルファス磁性薄帯
T1〜T4,T5〜T28,T30〜T37‥磁性薄帯の突き合わせ面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アモルファス磁性薄帯からなるアモルファス鉄心と、
該アモルファス鉄心を挿入するコイルとを組み立ててなる鉄心コイル組立体を収納したアモルファス鉄心変圧器において、
前記アモルファス鉄心は、幅の異なる複数種のアモルファス磁性薄帯をそれぞれ突き合わせて並べて積層するとき、該並べて積層したアモルファス磁性薄帯の突き合わせ面がずれるように並べる位置を交互に換えて積層してアモルファス鉄心を構成することを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
【請求項2】
請求項1記載のアモルファス鉄心変圧器において、
前記交互に積層する位置を換えるアモルファス磁性薄帯は1枚または複数枚のブロックであることを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
【請求項3】
アモルファス磁性薄帯からなるアモルファス鉄心と、
該アモルファス鉄心を挿入するコイルとを組み立ててなる鉄心コイル組立体を収納したアモルファス鉄心変圧器において、
前記アモルファス鉄心は、幅の異なる2種類のアモルファス磁性薄帯をそれぞれ突き合わせて並べて積層するとき、該アモルファス磁性薄帯の位置を交互に換えて積層してアモルファス鉄心を構成することを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
【請求項4】
請求項1又は3記載のアモルファス鉄心変圧器において、
前記アモルファス鉄心を挿入するコイル内に設置した巻枠は、1個のコイルに対して1個の中空の四角柱で構成されたことを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
【請求項1】
アモルファス磁性薄帯からなるアモルファス鉄心と、
該アモルファス鉄心を挿入するコイルとを組み立ててなる鉄心コイル組立体を収納したアモルファス鉄心変圧器において、
前記アモルファス鉄心は、幅の異なる複数種のアモルファス磁性薄帯をそれぞれ突き合わせて並べて積層するとき、該並べて積層したアモルファス磁性薄帯の突き合わせ面がずれるように並べる位置を交互に換えて積層してアモルファス鉄心を構成することを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
【請求項2】
請求項1記載のアモルファス鉄心変圧器において、
前記交互に積層する位置を換えるアモルファス磁性薄帯は1枚または複数枚のブロックであることを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
【請求項3】
アモルファス磁性薄帯からなるアモルファス鉄心と、
該アモルファス鉄心を挿入するコイルとを組み立ててなる鉄心コイル組立体を収納したアモルファス鉄心変圧器において、
前記アモルファス鉄心は、幅の異なる2種類のアモルファス磁性薄帯をそれぞれ突き合わせて並べて積層するとき、該アモルファス磁性薄帯の位置を交互に換えて積層してアモルファス鉄心を構成することを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
【請求項4】
請求項1又は3記載のアモルファス鉄心変圧器において、
前記アモルファス鉄心を挿入するコイル内に設置した巻枠は、1個のコイルに対して1個の中空の四角柱で構成されたことを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−98349(P2013−98349A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239840(P2011−239840)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
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