説明

アライメントマークの加工方法

【課題】検査用治具へ被検査体を搭載する際に位置決め用のマークとなるアライメントマークを、コストを抑えつつ高精度に加工することが可能なアライメントマークの加工方法を提供する。
【解決手段】微小電気機械システム技術によって、接触子33を基板32の縁部から突出するように形成すると同時に、基板32の縁部から突出するようにマーキング孔85を有するアライメントマーキング用マスク86を形成し、検査用プローブ31をプローブブロック12の固定ブロック21に支持させた状態で、アライメントマーキング用マスク86へレーザーLを照射し、マーキング孔85を通過したレーザーLで被検査体ブロック13へアライメントマーク81を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査用プローブを備えた検査用治具へ電子デバイス、半導体デバイスあるいは表示デバイスなどの被検査体を位置決めする際に用いられるアライメントマークを加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス、半導体デバイスあるいは表示デバイスなどは、検査用治具を用いて通電試験等が行われる。このような検査用治具として、キャリア押え部材とキャリア基板とによりICチップを保持するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−149289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような検査用治具で被検査体を検査する際には、この被検査体を検査用治具のブロックの所定位置に位置決めして搭載させる必要がある。このため、被検査体は、ブロックに設けられたアライメントマークを基準として位置決めされる。
【0005】
ところで、このアライメントマークは、検査用プローブとは別に加工されるため、被検査体を搭載するブロックのアライメントマークに対して検査用プローブの位置を調整してブロックに取り付ける必要があった。そのため、アライメントマークに対する検査用プローブの位置調整が取り付け時の機械精度に依存することとなり、高精度化が困難であった。また、検査用プローブの位置調整に多大な時間を必要とするため、生産効率が悪く、コストが増加してしまう。
【0006】
本発明の目的は、検査用治具へ被検査体を搭載する際に位置決め用のマークとなるアライメントマークを、コストを抑えつつ高精度に加工することが可能なアライメントマークの加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明のアライメントマークの加工方法は、被検査体の電極に接触される導電性を有する複数の接触子が基板に形成された検査用プローブと、前記検査用プローブを支持するプローブブロックと、前記被検査体を装着した状態で前記プローブブロックに近接されることにより、前記検査用プローブの前記接触子を前記被検査体の前記電極に接触させる被検査体ブロックとを備えた検査用治具に対して、前記被検査体ブロックへの前記被検査体の位置決め用のアライメントマークを加工するアライメントマークの加工方法であって、
微小電気機械システム技術によって、前記接触子を前記基板の縁部から突出するように形成すると同時に、前記基板の縁部から突出するように貫通孔を有するアライメントマーキング用マスクを形成し、
前記検査用プローブを前記プローブブロックに支持させた状態で、前記アライメントマーキング用マスクへレーザーを照射し、前記貫通孔を通過したレーザーで前記被検査体ブロックに前記アライメントマークを形成することを特徴とする。
【0008】
本発明のアライメントマークの加工方法において、前記レーザー加工後に前記アライメントマーキング用マスクを除去することが好ましい。
【0009】
本発明のアライメントマークの加工方法は、被検査体の電極に接触される導電性を有する複数の接触子が基板に形成された検査用プローブと、前記検査用プローブを支持するプローブブロックと、前記被検査体を装着した状態で前記プローブブロックに近接されることにより、前記検査用プローブの前記接触子を前記被検査体の前記電極に接触させる被検査体ブロックとを備えた検査用治具に対して、前記被検査体ブロックへの前記被検査体の位置決め用のアライメントマークを加工するアライメントマークの加工方法であって、
前記基板として透光性を有する基板を用い、微小電気機械システム技術によって、前記接触子を平面視で前記基板内に配置されるように形成すると同時に、平面視で前記基板内に配置されるように貫通孔を有するアライメントマーキング用マスクを形成し、
前記基板における前記アライメントマーキング用マスクとの積層箇所の一部を除去して前記貫通孔を露出させ、
前記検査用プローブを前記プローブブロックに支持させた状態で、前記アライメントマーキング用マスクへレーザーを照射し、前記貫通孔を通過したレーザーで前記被検査体ブロックに前記アライメントマークを形成することを特徴とする。
【0010】
本発明のアライメントマークの加工方法において、前記アライメントマーキング用マスクの前記貫通孔を目印としてレーザーを照射することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検査用プローブに設けたアライメントマーキング用マスクで被検査体ブロックにアライメントマークを形成することで、プローブブロックに固定した検査用プローブと被検査体ブロックのアライメントマークとを高精度な位置関係とすることができる。したがって、プローブブロックに検査用プローブを固定する際にプローブブロックに対して被検査体ブロックの近接方向と直交する面方向への位置調整を不要とすることができる。それにより、組立工数の削減及び歩留まりの向上を図ることができる。また、アライメントマーキング用マスクを用いることで、アライメントマークを短時間で高精度に形成することができ、検査用治具生産において飛躍的な生産効率向上による生産コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアライメントマークの加工方法が適用される検査用治具を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るアライメントマークの加工方法が適用される検査用治具を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るアライメントマークの加工方法が適用される検査用治具を示す下方側から視た分解斜視図である。
【図4】検査用治具に設けられた検査用プローブの平面図である。
【図5】検査用プローブの製造工程の一例を示す図であって、(a)から(i)は、それぞれ製造途中の検査用プローブの側面図である。
【図6】被検査体と検査用プローブの接触子との接触箇所を示す平面図である。
【図7】被検査体と検査用プローブの接触子との接触箇所を示す斜視図である。
【図8】被検査体を保持する被検査体保持部における斜視図である。
【図9】被検査体保持部へのアライメントマークの形成工程を示す斜視図である。
【図10】被検査体保持部へのアライメントマークの形成工程を示す拡大斜視図である。
【図11】被検査体保持部へのアライメントマークの形成工程を示す上下逆にした検査用治具の斜視図である。
【図12】被検査体保持部へのアライメントマークの形成工程を示す検査用治具の裏面図である。
【図13】被検査体保持部へのアライメントマークの形成工程を示す検査用治具の拡大裏面図である。
【図14】レーザーの照射の仕方を説明する図であって、(a)はアライメントマークの形成箇所における平面図、(b)はアライメントマークの形成箇所における側面図である。
【図15】レーザーの他の照射の仕方を説明する図であって、(a)はアライメントマークの形成箇所における平面図、(b)はアライメントマークの形成箇所における側面図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係るアライメントマークの加工方法が適用される検査用治具を示す分解斜視図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係るアライメントマークの加工方法が適用される検査用治具を破断させた斜視図である。
【図18】被検査体と検査用プローブの接触子との接触箇所を示す斜視図である。
【図19】検査用治具に設けられた検査用プローブの一部の斜視図である。
【図20】被検査体保持部へのアライメントマークの形成工程を示す上下逆にした検査用治具の斜視図である。
【図21】被検査体保持部へのアライメントマークの形成工程を示す検査用治具の裏面図である。
【図22】被検査体保持部へのアライメントマークの形成工程を示す検査用治具の拡大裏面図である。
【図23】被検査体保持部へのアライメントマークの形成工程を示す検査用治具を破断させた斜視図である。
【図24】被検査体保持部へのアライメントマークの形成工程を示す検査用治具を破断させた拡大斜視図である。
【図25】被検査体保持部へのアライメントマークの形成工程を示す図であって、(a)から(c)は、それぞれ検査用プローブの基板のアライメントマーキング用マスク部分における断面図である。
【図26】レーザーの照射の仕方を説明する図であって、(a)はアライメントマークの形成箇所における平面図、(b)はアライメントマークの形成箇所における側面図である。
【図27】レーザーの他の照射の仕方を説明する図であって、(a)はアライメントマークの形成箇所における平面図、(b)はアライメントマークの形成箇所における側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るアライメントマークの加工方法の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0014】
(第1実施形態)
まず、検査用治具の構造について説明する。
図1及び図2に示すように、第1実施形態に係るアライメントマークの加工方法が適用される検査用治具11は、プローブブロック12と、被検査体ブロック13とを備えており、プローブブロック12は、ベース基板15上に固定されている。
この検査用治具11は、電子デバイス、半導体デバイスあるいは表示デバイスなどの被検査体の通電試験を行う際に用いられるもので、例えば、検査装置へ組み込まれて用いられる。被検査体となる表示デバイスとしては、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)や有機ELディスプレイなどがある。
【0015】
図3に示すように、ベース基板15は、矩形状に形成された配線基板からなるものであり、その裏面には、複数の接続端子部15aを有している。そして、これらの接続端子部15aが検査装置等の接点と導通される。
【0016】
被検査体ブロック13は、プローブブロック12に対して着脱されるようになっている。プローブブロック12の両端には、係止爪17を有する係止部18が、水平軸線を中心として回動可能に連結されている。また、被検査体ブロック13の両端には、係止爪17が係止可能な係止片19が形成されている。そして、プローブブロック12に対して被検査体ブロック13を近接させると、プローブブロック12の係止部18の係止爪17が、被検査体ブロック13の係止片19を係止し、これにより、被検査体ブロック13がプローブブロック12に装着された状態に維持される。なお、プローブブロック12の係止部18を回動させて係止爪17による係止片19の係止状態を解除させることにより、被検査体ブロック13のプローブブロック12からの取り外しが可能となる。
【0017】
プローブブロック12は、固定ブロック21と、この固定ブロック21を支持する支持ブロック22とから構成されている。支持ブロック22は、収容凹部23を有しており、この支持ブロック22の収容凹部23内に、固定ブロック21が収容されている。支持ブロック22と固定ブロック21との間には、複数のコイルバネ(図示省略)が設けられており、これらのコイルバネの付勢力によって固定ブロック21が上方である被検査体ブロック13側へ付勢されている。
【0018】
被検査体ブロック13には、位置決めピン91が形成され、プローブブロック12の支持ブロック22には、位置決め孔92が形成されている。そして、この位置決めピン91が位置決め孔92に係合することで、支持ブロック22と被検査体ブロック13とが位置決めされる。
さらに、プローブブロック12の固定ブロック21には、位置決めピン95が形成され、被検査体ブロック13には、位置決め孔96が形成されている。そして、この位置決めピン95が位置決め孔96に係合することで、固定ブロック21と被検査体ブロック13とが位置決めされる。
【0019】
上記構造のプローブブロック12には、その固定ブロック21に、検査用プローブ31が固定されている。
図4に示すように、検査用プローブ31は、絶縁性材料からなる基板32と、この基板32の縁部から外に延在するように突出して並列に配置された複数の接触子33とを有しており、接触子33は、その先端部が接点35とされている。この接触子33は、導電性材料からなり、その基端側が基板32上に配置されている。また、基板32には、接触子33と繋がって導通する配線パターン34が形成されている。
【0020】
この検査用プローブ31は、基板32上にフォトリソグラフィー等の微小電気機械システム技術であるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて配線パターン34と微細な接点35を有する接触子33とを一括形成したものである。
【0021】
ここで、検査用プローブ31を製造する方法について説明する。
検査用プローブ31を製造するには、まず、図5(a)に示すように、印刷法、スピンコーティング法等によって所望の厚さ(例えば、0.1ミクロン〜5.0ミクロン)になるように基板32上にフォトレジスト43を塗布する。その後、溶媒分除去のためにプリベーク処理を行い、露光及び現像を行う。ポストベークが必要な場合は、適正な条件で実施する。
【0022】
図5(b)に示すように、基板32上に金属膜からなる犠牲層44を所望の材質と厚さで形成する。例えば、TiとCuからなる犠牲層34を、Ti/Cu=(100Å〜500Å)/(100Å〜5000Å)でスパッタリング法により加工する。
次に、図5(c)に示すように、不要なフォトレジスト43と犠牲層44を、例えば、リフトオフ法によって除去する。
【0023】
図5(d)に示すように、基板32上に、メッキ給電層となる所望の材料のシード層45を所望の厚さが得られるように形成する。例えば、TiとNi合金からなるシード層45を、Ti/Ni合金=(100Å〜2000Å)/(500Å〜5000Å)でスパッタリング法により形成する。
【0024】
印刷法、スピンコーティング法等によって、接触子33及び配線パターン34を形成するためのフォトレジスト46を所望の厚さ(例えば、10ミクロン〜50ミクロン)になるように塗布し、その後、溶媒分除去のためプリベーク処理を行い、露光及び現像を行う。フォトレジスト46として化学増幅型のレジストを用いる場合、反応促進のため、露光後に加熱処理(Post Exposure Bake)を適正条件で実施した後に現像処理を行う。
【0025】
図5(e)に示すように、メッキ処理を施すことにより配線層48を形成する。配線層48は、例えば、Ni合金(NiCo,NiMn,NiFe,NiPd等)から形成し、所望のばね性能が確保できる厚さに形成する。
配線層48の形成後、図5(f)に示すように、フォトレジスト46の除去及びシード層45の除去を行う。
ここで、基板32が最終の所望厚より厚い寸法である場合、基板32の裏面に研削加工や研磨加工を施し、基板32の厚さを所望の厚さまで薄化加工する。
【0026】
次に、図5(g)に示すように、ダイシング加工によって個片外形カットを行って個々の検査用プローブ31とし、基板32の裏面に溝47を形成する。このとき、基板32を加熱発泡タイプの接着シートでガラス基板に貼り付ける。ガラス基板から剥離するときは、接着シートを加熱発泡させて個片化させたチップをテープから取り出す。
【0027】
その後、図5(h)に示すように、選択エッチングによって犠牲層44を除去する。この選択エッチングでは、例えば、銅(Cu)除去用液に一定時間浸漬して銅(Cu)成分を除去した後、チタニウム(Ti)除去のためアンモニウム過水に浸漬してチタニウム(Ti)成分を除去する。
最後に、図5(i)に示すように、基板32を溝47の箇所で切断し、犠牲層44を除去した部分における基板32を除去する。
【0028】
上記のように、MEMS技術を用いた製造プロセスを行うことにより、接触子33が形成された検査用プローブ31を短いリードタイムで製造することができ、検査用プローブ31の製造コストを大幅に低減させることができる。
【0029】
プローブブロック12を構成する固定ブロック21は、外側へ向かって次第に被検査体ブロック13から離間する方向へ傾斜したテーパ面55を有しており、このテーパ面55に、検査用プローブ31の基板32が固定されている。そして、このテーパ面55に固定された検査用プローブ31は、接触子33が斜め上方へ向かって延在されている。
【0030】
上記の検査用プローブ31は、接触子33の延出側と反対側に、フレキシブルプリント配線板(FPC)51が接続されており、このフレキシブルプリント配線板51からなる配線が、検査用プローブ31の配線パターン34と導通接続されている。このフレキシブルプリント配線板51の検査用プローブ31と反対側は、プローブブロック12から外部に引き出されている。このプローブブロック12から引き出されたフレキシブルプリント配線板51には、配線コネクタ52が接続されている。
【0031】
また、ベース基板15には、フレキシブルプリント配線板51の引出側における上面に、接続コネクタ(コネクタ)53が設けられており、この接続コネクタ53に、フレキシブルプリント配線板51の配線コネクタ52が接続されている。これにより、検査用プローブ31からの信号を、ベース基板15を介して外部へ取り出すことが可能とされている。なお、フレキシブルプリント配線板51に配線コネクタ52を設けず、フレキシブルプリント配線板51の端部を、接続コネクタ53へ直接差し込んで接続する構造としても良い。
【0032】
図3に示すように、被検査体ブロック13は、プローブブロック12側の面に、被検査体保持部61を有しており、この被検査体保持部61に、被検査体71を保持する。被検査体保持部61には、表裏に貫通する複数の吸引孔62が形成されており、これらの吸引孔62から吸引することにより、被検査体保持部61に被検査体71が吸着されて保持される。また、被検査体ブロック13は、被検査体保持部61の両側に、外側へ向かって次第にプローブブロック12から離間する方向へ傾斜したテーパ面63を有している。
【0033】
そして、プローブブロック12に対して被検査体ブロック13が近接されると、図6及び図7に示すように、被検査体ブロック13の被検査体保持部61に保持された被検査体71の電極72に対してプローブブロック12に設けられた検査用プローブ31の接触子33の先端からなる接点35が押し付けられる。これにより、接触子33は、被検査体71の電極72に押し付けられることにより弾性変形し、この接触子33の弾性力によって接点35が被検査体71の電極72に押圧され、電極72と接触子33とが良好に導通接触され、被検査体71の検査が可能となる。
【0034】
このように、被検査体71の電極72に接触子33の接点35が押し付けられて接触される検査用プローブ31には、その両側部に、被検査体押さえ36が設けられている。これらの被検査体押さえ36は、基板32から接触子33と同一方向へ延在される板状部材であり、MEMS技術で検査用プローブ31を作製する際に設けられる。これらの被検査体押さえ36は、接触子33よりも延在長さが長くされており、プローブブロック12と被検査体ブロック13との近接時に、被検査体ブロック13の被検査体保持部61に保持された被検査体71の両側部近傍に当接し、弾性変形しながら被検査体71を被検査体ブロック13側へ弾性力で押さえ付ける。
【0035】
図8に示すように、上記の検査用治具11には、被検査体ブロック13における被検査体保持部61の両端部近傍に、アライメントマーク81が設けられている。このアライメントマーク81は、被検査体71を被検査体保持部61へ位置決めする際の基準となるもので、例えば、光学式のセンサによって捕捉される。このアライメントマーク81は、プローブブロック12の固定ブロック21に固定された検査用プローブ31を基準として被検査体ブロック13に形成される。
【0036】
次に、検査用プローブ31を基準としたアライメントマーク81の加工方法について説明する。
図9及び図10に示すように、検査用プローブ31の基板32における接触子33の配列の両側部に、マーキング孔(貫通孔)85を有するアライメントマーキング用マスク86を、接触子33と同様に、基板32の縁部から突出するように設けておく。このアライメントマーキング用マスク86は、MEMS技術で検査用プローブ31を作製する際に設けておく。
【0037】
そして、検査用プローブ31を固定ブロック21に固定した状態で、プローブブロック12に、被検査体71を保持していない被検査体ブロック13を近接させ、アライメントマーキング用マスク86を被検査体ブロック13に密着させる。
【0038】
この状態で、図11に示すように、検査用治具11を上下反転させ、ベース基板15側からアライメントマーキング用マスク86へレーザーLを照射してアライメントマーク81を形成する。
【0039】
ここで、図12及び図13に示すように、ベース基板15には、窓部15bが形成され、また、プローブブロック12を構成する固定ブロック21及び支持ブロック22には、検査用プローブ31の接触子33の先端からなる接点35の下方側に、互いに連通する開口部21a,22aが形成されている。これにより、ベース基板15の窓部15b及びプローブブロック12の開口部21a,22aを通して、アライメントマーキング用マスク86へレーザーLを容易に照射することができる。
【0040】
図14(a),(b)に示すように、アライメントマーキング用マスク86へレーザーLを照射すると、このアライメントマーキング用マスク86のマーキング孔85を通過したレーザーLが被検査体ブロック13に照射される。これにより、この被検査体ブロック13における被検査体保持部61の両側部に、アライメントマーク81が形成される。
【0041】
アライメントマーキング用マスク86は、被検査体71の検査では不要なものであるので、アライメントマーク81の加工後に、プローブブロック12から被検査体ブロック13を離間させ、検査用プローブ31の基板32からアライメントマーキング用マスク86を取り去ることが好ましい。このように、アライメントマーキング用マスク86を取り去れば、アライメントマーキング用マスク86に付着した異物等が接触子33に付着するような不具合を防止することができる。
【0042】
なお、アライメントマーク81を形成する際に、アライメントマーキング用マスク86のマーキング孔85を、レーザーLの照射位置の目印として用いても良い。この場合、図15(a),(b)に示すように、目印としたマーキング孔85をレーザー照射装置で捕捉し、このマーキング孔85の中心を通過するようにレーザーLを照射する。すると、このマーキング孔85を通過したレーザーLが被検査体ブロック13に照射されて、この被検査体ブロック13における被検査体保持部61の両側部に、アライメントマーク81が形成される。
【0043】
このように、第1実施形態に係るアライメントマークの加工方法によれば、検査用プローブ31に設けたアライメントマーキング用マスク86で被検査体ブロック13にアライメントマーク81を形成することで、固定ブロック21に固定した検査用プローブ31と被検査体ブロック13のアライメントマーク81とを高精度な位置関係とすることができる。したがって、固定ブロック21に検査用プローブ31を固定する際に固定ブロック21に対して被検査体ブロック13の近接方向と直交する面方向への位置調整を不要とすることができる。これにより、組立工数の削減及び歩留まりの向上を図ることができる。また、アライメントマーキング用マスク86を用いることで、アライメントマーク81を短時間で高精度に形成することができ、検査用治具生産において飛躍的な生産効率向上による生産コスト低減を図ることができる。
【0044】
(第2実施形態)
まず、検査用治具の構造について説明する。
図16及び図17に示すように、第2実施形態に係るアライメントマークの加工方法が適用される検査用治具11Aの検査用プローブ31は、接触子33が平面視で基板32内に配置されている。この検査用プローブ31を構成する基板32は、透明または半透明等の透光性を有したものであり、レーザー加工が可能な材質から形成されている。
【0045】
この基板32に形成された接触子33も、第1実施形態と同様に微小電気機械システム技術によって形成されており、図18及び図19に示すように、基板32の上面側に配置され、先端部の接点35が上方へ向けて突出されている。
【0046】
そして、この検査用治具11Aでは、プローブブロック12に対して被検査体ブロック13が近接されると、図18に示すように、被検査体ブロック13の被検査体保持部61に保持された被検査体71の電極72に対してプローブブロック12に設けられた検査用プローブ31の接触子33の先端からなる接点35が押し付けられる。これにより、接触子33は、被検査体71の電極72に押し付けられることにより弾性変形し、この接触子33の弾性力によって接点35が被検査体71の電極72に押圧され、電極72と接触子33とが良好に導通接触され、被検査体71の検査が可能となる。
【0047】
次に、この検査用治具11Aにおける検査用プローブ31を基準としたアライメントマーク81の加工方法について説明する。
図19に示すように、検査用プローブ31の基板32における接触子33の配列の両側部に、マーキング孔(貫通孔)95を有するアライメントマーキング用マスク96を、接触子33と同様に、平面視で基板32内に設けておく。このアライメントマーキング用マスク96は、MEMS技術で検査用プローブ31を作製する際に設けておく。
【0048】
そして、検査用プローブ31を固定ブロック21に固定した状態で、プローブブロック12に、被検査体71を保持していない被検査体ブロック13を近接させ、アライメントマーキング用マスク96を被検査体ブロック13に密着させる。
【0049】
この状態で、図20に示すように、検査用治具11Aを上下反転させ、ベース基板15側からアライメントマーキング用マスク96へレーザーLを照射してアライメントマーク81を形成する。
【0050】
図21及び図22に示すように、ベース基板15には、窓部15bが形成され、また、プローブブロック12を構成する固定ブロック21及び支持ブロック22には、互いに連通する穴部21b,22bが形成されている。これらの穴部21b,22bは、アライメントマーキング用マスク96の形成位置に合わされている。したがって、ベース基板15の窓部15bから穴部21b,22bを通して、アライメントマーキング用マスク96が設けられた基板32が露出されている。また、基板32が透光性を有することより、ベース基板15の窓部15bから穴部21b,22bを通して基板32の裏面側に設けられたアライメントマーキング用マスク96の視認が可能とされている。
【0051】
アライメントマーク81を形成する場合、まず、その前準備として、図23及び図24に示すように、ベース基板15の窓部15bから穴部21b,22bを通して基板32へレーザーLを照射し、基板32の一部を除去する。
【0052】
具体的には、図25(a)に示すように、アライメントマーキング用マスク96を覆っている基板32に対して、図25(b)に示すように、レーザーLを照射する。すると、基板32におけるアライメントマーキング用マスク96との積層箇所の一部がレーザーLによって除去される。これにより、図25(c)に示すように、基板32におけるアライメントマーキング用マスク96との積層箇所の一部が除去されてマーキング孔95が露出される。
【0053】
このように、マーキング孔95を含むアライメントマーキング用マスク96を露出させたら、ベース基板15の窓部15b及び穴部21b,22bを通して、アライメントマーキング用マスク96へレーザーLを照射する。
【0054】
図26(a),(b)に示すように、アライメントマーキング用マスク96へレーザーLを照射すると、このアライメントマーキング用マスク96のマーキング孔95を通過したレーザーLが被検査体ブロック13に照射され、よって、この被検査体ブロック13における被検査体保持部61の両側部に、アライメントマーク81が形成される。
【0055】
なお、アライメントマーク81を形成する際に、アライメントマーキング用マスク96のマーキング孔95を、レーザーLの照射位置の目印として用いても良い。この場合、図27(a),(b)に示すように、目印としたマーキング孔95をレーザー照射装置で捕捉し、このマーキング孔95の中心を通過するようにレーザーLを照射する。すると、このマーキング孔95を通過したレーザーLが被検査体ブロック13に照射されて、この被検査体ブロック13における被検査体保持部61の両側部に、アライメントマーク81が形成される。
【0056】
このように、第2実施形態に係るアライメントマークの加工方法の場合も、検査用プローブ31に設けたアライメントマーキング用マスク96で被検査体ブロック13にアライメントマーク81を形成することで、固定ブロック21に固定した検査用プローブ31と被検査体ブロック13のアライメントマーク81とを高精度な位置関係とすることができる。したがって、固定ブロック21に検査用プローブ31を固定する際に固定ブロック21に対して被検査体ブロック13の近接方向と直交する面方向への位置調整を不要とすることができ、よって、組立工数の削減及び歩留まりの向上を図ることができる。また、アライメントマーキング用マスク96を用いることで、アライメントマーク81を短時間で高精度に形成することができ、検査用治具生産において飛躍的な生産効率向上による生産コスト低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0057】
11,11A:検査用治具、12:プローブブロック、13:被検査体ブロック、31:検査用プローブ、32:基板、33:接触子、71:被検査体、72:電極、81:アライメントマーク、85,95:マーキング孔(貫通孔)、86,96:アライメントマーキング用マスク、L:レーザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体の電極に接触される導電性を有する複数の接触子が基板に形成された検査用プローブと、前記検査用プローブを支持するプローブブロックと、前記被検査体を装着した状態で前記プローブブロックに近接されることにより、前記検査用プローブの前記接触子を前記被検査体の前記電極に接触させる被検査体ブロックとを備えた検査用治具に対して、前記被検査体ブロックへの前記被検査体の位置決め用のアライメントマークを加工するアライメントマークの加工方法であって、
微小電気機械システム技術によって、前記接触子を前記基板の縁部から突出するように形成すると同時に、前記基板の縁部から突出するように貫通孔を有するアライメントマーキング用マスクを形成し、
前記検査用プローブを前記プローブブロックに支持させた状態で、前記アライメントマーキング用マスクへレーザーを照射し、前記貫通孔を通過したレーザーで前記被検査体ブロックに前記アライメントマークを形成することを特徴とするアライメントマークの加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載のアライメントマークの加工方法であって、
前記レーザー加工後に前記アライメントマーキング用マスクを除去することを特徴とするアライメントマークの加工方法。
【請求項3】
被検査体の電極に接触される導電性を有する複数の接触子が基板に形成された検査用プローブと、前記検査用プローブを支持するプローブブロックと、前記被検査体を装着した状態で前記プローブブロックに近接されることにより、前記検査用プローブの前記接触子を前記被検査体の前記電極に接触させる被検査体ブロックとを備えた検査用治具に対して、前記被検査体ブロックへの前記被検査体の位置決め用のアライメントマークを加工するアライメントマークの加工方法であって、
前記基板として透光性を有する基板を用い、微小電気機械システム技術によって、前記接触子を平面視で前記基板内に配置されるように形成すると同時に、平面視で前記基板内に配置されるように貫通孔を有するアライメントマーキング用マスクを形成し、
前記基板における前記アライメントマーキング用マスクとの積層箇所の一部を除去して前記貫通孔を露出させ、
前記検査用プローブを前記プローブブロックに支持させた状態で、前記アライメントマーキング用マスクへレーザーを照射し、前記貫通孔を通過したレーザーで前記被検査体ブロックに前記アライメントマークを形成することを特徴とするアライメントマークの加工方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載のアライメントマークの加工方法であって、
前記アライメントマーキング用マスクの前記貫通孔を目印としてレーザーを照射することを特徴とするアライメントマークの加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2013−107094(P2013−107094A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252637(P2011−252637)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】