説明

アライメント用パターンを備えたハードディスクメディアおよびアライメント方法

【課題】パターンドメディアの製造過程における表面検査時に、ディスクをステージに正確にアライメントするために、ディスクの中心及び方向を検出する必要があるが、現状のディスクではディスクの方向を検出することができない。
【解決手段】パターンドメディア1は、中央穴3を有する非磁性基板2の片面あるいは両面に、磁性体の凸部4からなるビットパターン6を有する。パターンドメディア1の内周(または外周)に、アライメント用のパターンとして回折格子パターン20が形成されている。回折格子パターン20は、繰返し形状のパターンであり、円周上の少なくとも1箇所に、他の部分と異なる繰返しピッチのパターンを含むか、またはパターンが無い部分を含む。この回折格子パターン20に検出光を照射して回折光を検出することにより、ディスク1の中心と方向を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクリートトラックあるいはビットパターンを有するハードディスクメディアに関し、特に製造過程における検査において、ディスク保持ステージに正確にアライメントすることができるハードディスクメディアの構造に関する。また、ハードディスクメディアを検査装置のディスク保持ステージにアライメントする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクドライブはサーバやコンピュータ向けの利用が増大するだけでなく、家庭用ハードディスクレコーダやカーナビゲーション、ポータブルAV再生機器等、様々な用途への利用が拡大しており、またその容量も種々の用途のデジタル化に伴い増大する傾向にある。容量を増大するためには、記録媒体であるハードディスクの記録密度を増大させる必要があり、ハードディスクの記録密度を増大させる技術の一つとして、将来導入が期待されているのが、パターンドメディアである。現行のハードディスクは、ディスク基板表面に形成した磁性膜を磁化してデータを記録するものであるが、パターンドメディアの一種であるビットパターンドメディアは、ディスク基板の表面に磁性体のビットパターンを形成したもので、このビットパターンの1つの凸部が記録の一単位となる。
【0003】
特許文献1には、パターンドメディアの一種であるディスクリートトラックメディアの使用により、高密度記録が可能となるが、正確に記録再生を行うためには、磁気ディスクの磁性トラックがスピンドルモータの回転中心と同心に位置していることが必要であること、スピンドルモータの回転中心に対する磁気ディスクの偏心量を測定するために、データ記録領域の外周側のランディング領域に、認識トラックを形成することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、ディスクリートトラックメディアの内周部または外周部に、ディスクリート溝に対して同心円上に位置する位置決めマークとして、検出光を反射または透過させるミラーや透明の部分を形成し、ディスクリートトラックメディアのターンテーブルへの装着は、この位置決めマークの中心を検出し、検出した中心をターンテーブルの回転中心に一致させた状態で行うことが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−185545号公報
【特許文献2】特開2006−318611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パターンドメディアは、一般に、ナノインプリント技術を用いて作成する。すなわち、モールド(型)の凹凸パターンを磁性層に転写することによりディスクリートトラックあるいはビットパターンを形成する。このとき、モールド自体に欠陥がある場合や、異物が付着している場合には、転写されるパターンにも欠陥が生じることになる。そのため、ナノインプリント技術の導入により、磁気ディスクとして完成する前に、ディスクリートトラックあるいはビットパターンが形成された段階で、ディスクリートトラックあるいはビットパターンが適切に形成されているかを、検査する必要が新たに生じることとなる。
数十nmの微小なビットパターンを検査する方法としては、SEMやAFMを用いることが考えられる。しかし、これらの方法では、スループットの観点からディスク上の限られた領域の検査しかできない。
【0007】
ビットパターンが主として繰返し構造であることから、光学式のスキャットロメトリを用いる方法が考えられる。対象表面に微小な繰返しの構造が形成されている場合、電磁波解析手法の一つであるRCWA(Rigorous coupled analysis)等の手法を用いることにより対象表面の反射率を算出することができる。スキャトロメトリとは、実際に検出した反射率に対して演算によって求めた反射率をフィッティング(当てはめ)すること等により対象の形状を検出する手法である(図3参照)。この方法では、検出視野を数十〜数百マイクロメートルと大きくすることが可能で、しかも反射率の検出自体は短時間でできることから、高速に検査することができ、ディスク表面全体を検査することも可能である。しかし、この方法ではビットパターンの形状が異なる変形をしていても表面の反射率が同様となる場合が考えられ、対象のビットパターンに不良が生じていること自体は検出できるが、不良の種類までは特定できない場合が考えられる。
【0008】
そこで、両者を組み合わせることで、最適な検査システムを構築できると考えられる。すなわち、図5に示すように光学式検査装置によってディスク全面を検査し、不良の種類を特定できない場合には、SEMやAFMを用いて詳細に検査するというシステムである。この様なシステムを構築することにより、スループットを低下することなくディスク全面を検査し、尚且つ不良の種類を特定することが可能となる。
【0009】
しかしながら、上記のような検査システムを構築するためには、光学式検査装置とSEMやAFMとでディスク面上での不良の位置(座標)をやり取りする必要がある。しかし、現状のディスクメディアには、不良の位置を特定するための座標基準となるものがないため、上記座標のやり取りをすることができない。座標基準となるものがない理由は、現状のディスクは単純に磁性膜等を積層して製造するものであり、ディスクの検査としては主として不良の個数に主眼が置かれており、その座標を管理する必要がないためである。
【0010】
将来導入予定のパターンドメディアでは、磁気記録面に位置決め用の情報が記録されていない状態のディスクの座標を特定するために、ディスクの中心及び方向を検出することが新たに必要となる。
本発明の目的は、ディスクの中心及び方向を検出することができるパターンドメディアを提供することである。
本発明の他の目的は、表面検査装置のディスク保持ステージにパターンドメディアを正確に位置決めする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の代表的なパターンドメディアは、基板と、基板の内周部と外周部の間に、所定のトラックピッチで溝形成されたディスクリートトラックあるいは所定のトラックピッチおよびビット周期で規則的に離散したビットパターンを有し、基板の内周部あるいは外周部の円周上に回折格子パターンを有し、回折格子パターンの少なくとも1箇所に他の部分とは異なるピッチの部分が設けられているものである。
【0012】
本発明の代表的なパターンドメディアを表面検査装置のディスク保持ステージに位置決めする方法は、前記パターンドメディアをディスク保持ステージに保持するステップと、パターンドメディアを回転させながら回折格子パターンに光を照射するステップと、回折格子パターンからの回折光を検出するステップと、検出した回折光からパターンドメディアの偏心量と角度を検出するステップと、検出した偏心量と角度からパターンドメディアの中心と方向を検出するステップと、検出した中心と方向が所望の位置及び方向となるようにディスク保持ステージの位置を調整するステップとを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表面検査装置のディスク保持ステージにパターンドメディアを位置決めする際に、ディスクの中心及び方向を検出することができる。これにより、ディスク保持ステージに、パターンドメディアを正確に位置決めすることができる。また、ディスクの記録パターンの形状不良が発生している位置を特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
円形状部品の中心及び方向を検出する方法として、半導体製造工程におけるウェハでのアライメント手法がある。ウェハもハードディスクメディアと同様に円形をしているが、ウェハにはオリフラまたはノッチといった物理的な形状の欠けがあり、回路パターンはこれらの位置に基づいて形成されている。ウェハの中心については、ウェハの外形を検出することにより検出することができ、ウェハの方向についてはオリフラやノッチを検出することにより検出することができる。しかし、ハードディスクメディアの場合には、それ自体が高速で回転するものであるため、上記のオリフラやノッチのような物理的な欠けを作ることができない。そのため、ディスクの中心については上記の方法で求めることができるが、ディスクの方向を検出することはできない。以下に、ディスクの中心及び方向を検出することができる、本発明の実施例によるハードディスクメディア(パターンドメディア)について説明する。
【0015】
まず、図2を参照してパターンドメディアの一種であるビットパターンドメディアの概略構成を説明する。ビットパターンドメディア1は、中央穴3を有するガラス基板等の非磁性基板2の片面あるいは両面に、所定のトラックピッチおよびビット周期で規則的に離散した凸部4からなるビットパターン6を有する。凸部4が記録の一単位となる。図3を参照してビットパターンドメディア1の製造方法の概略を説明する。ビットパターンドメディア1の形成には、ナノインプリント技術が用いられる。図3(a)に示すようにガラス基板等のディスク基板2の上に磁性層4′を形成し、磁性層4′の上にレジスト8を塗布し、凹凸パターンを有する光を透過するモールド(型)10をレジスト8に押し当て、この状態でレジスト8を露光する。続いて、図3(b)に示すようにモールド10を取り除き、図3(c)に示すようにレジスト8をマスクとして磁性層4′のエッチングを行う。次に、図3(d)に示すようにレジスト8を除去して、モールド10の凹凸パターンが転写されたビットパターン6を形成する。なお、磁性層4′は、垂直記録媒体の場合には、軟磁性層と硬磁性層の積層膜とすることが望ましい。
【0016】
次に、図1を参照して本発明の実施例1によるパターンドメディアの特徴について説明する。基本的な構成は図2に示したビットパターンドメディアと同じであり、同じ構成部分については、同じ参照符号を使用する。本実施例では、パターンドメディア(以下、ディスクと称す)1の内周(または外周)に、アライメント用のパターンとして回折格子パターン20を形成する。この回折格子パターン20に検出光を照射して回折光を検出することにより、ディスク1の中心と方向を検出することができる。回折格子パターン20は、図1に示すように繰返し形状のパターンとする。そして、円周上の少なくとも1箇所に、他の部分と異なる繰返しピッチのパターンを設けるか、またはパターンが無い部分を設ける。同図では回折格子パターン20の例として、半径方向パターンと円周方向パターンを示している。
【0017】
図1の左側2つの回折格子パターン20a、20bは、円周方向に繰返しのパターンの例である。回折格子パターン20aは、繰返しパターンの一部にピッチの異なるパターンが入っている例であり、回折格子パターン20bは繰返しパターンの一部にパターンが無い例である。一方、右側の2つは、半径方向に繰返しのパターンが入っている例であり、回折格子パターン20cが繰返しパターンの一部にピッチの異なるパターンが入っている例、回折格子パターン20dが繰返しパターンの一部にパターンが無い例である。図1ではこれらのパターンが直線状に並んでいるように描かれているが、実際には円周状に配置されたものとなる。
【0018】
回折格子パターン20は、モールド10によりビットパターン6を形成する際に同時に形成することができる。繰返しピッチは、検出光の波長や回折光検出器の配置によって決めることができる。図6に示すように、検出光照射光学系4からの検出光をディスク面に垂直に照射した場合、検出光の波長をλ、検出器15の配置角をφ、回折格子パターンのピッチをpとすると、λ/p=sinφの関係が成り立つ。この関係に基づいて、それぞれの値を決定すればよい。検出光を垂直でない角度で照射した場合も、同様な関係が成り立つため、その関係に基づいて決定することができる。
【0019】
次に、上記回折格子パターン20を用いて、ディスク1の中心及び方向を検出する方法について説明する。図6は光学式検査装置などが備えるアライメント装置の模式図である。アライメント装置は検出光照射光学系14、検出器15、ディスク保持ステージ16及び信号処理部17で構成される。同図では検出器15としてCCDカメラを用いた場合を示しており、回折格子パターン20からの回折光を2次元の領域で検出することができる。検出光源としてレーザー光等の単波長の光が適している。ディスク保持ステージ16は、θステージ(回転ステージ)上にXYステージを乗せた構成のものが適している。図6では、光をディスク面に対して垂直に照射した場合を示しているが、斜めに照射した場合でも同様の効果を得ることが可能で有る。
【0020】
図6に示すように、ディスク保持ステージ16の中心軸16aをディスク1の中央穴3に挿入して、ディスク1をディスク保持ステージ16に保持させる。ディスク保持ステージ16によりディスク1を回転させながら、検出光照射光学系14から出た光をディスク1の内周に形成した回折格子パターン20に照射し、回折格子パターン20からの回折光をCCDカメラ15により検出する。今、回折格子パターン20を円周方向の繰返しパターン20aあるいは20bとし、CCDカメラ15をX方向がディスク1の半径方向、Y方向が円周方向となるように配置した場合を考える。ディスク1を回転させながら回折光を検出した場合、回折光の検出位置はCCDカメラ15上で移動することとなる。図7は、CCDカメラ15のX方向とY方向での回折光の検出位置の動きをディスク1の回転角θに対して示したものである。
【0021】
ディスク1の中心と回転中心とで偏心がある場合は、X方向のグラフに示す様に、ディスク1の回転に従って回折光のX方向の位置がサインカーブ状に変化して検出される。ディスク1を1回転させた場合、極大値と極小値とが1つずつ現れ、これらの検出される回転角は180度ずれたものとなる。このとき、極大値または極小値となる方向が偏心している方向であり、極小値と極大値の平均値が偏心量となる。
【0022】
一方、ディスク1の方向については、Y方向の動きに着目する。前述の通り、回折格子パターン20a,20bには一部繰返しピッチの異なる部分またはパターンの無い部分が少なくとも1箇所設けられている。そのため、その様な場所では回折光の位置が異なるかまたは回折光が無くなることとなる。そこで、このときの角度を検出することにより、ディスク1の方向を検出することができる。図7では繰返しピッチが異なる場所が2箇所有る場合の例を示している。Y方向のグラフが示すように、繰返しピッチが異なる回転角で、回折光の位置が変化する。これらのパターンピッチの異なる位置からディスク1の方向を検出することができる。なお、回折格子パターンが半径方向の繰返しパターン20c,20dの場合にも、上記と同様な方法を用いることにより、ディスク1の中心及び方向を検出することができる。
【0023】
次に、ディスク1を、光学式検査装置などのディスク保持ステージにアライメントする方法について図8により説明する。まず、ディスク1をディスク保持ステージ16に保持し、ディスク1を回転させながらレーザー光を回折格子パターン20に照射し、回折光の位置をCCDカメラ15によって検出する(ステップ800)。次に検出したデータに基づいてディスク1の偏心量と回折光の位置が変化する角度を検出する(ステップ802)。次に検出した偏心量と回折光の位置が変化する角度からディスク1の中心及び方向を検出する(ステップ804)。次に検出したディスク中心及び方向が所望の位置及び方向となるように、ディスク保持ステージ16のXYステージ、θステージを駆動する(ステップ806)。以上で、ディスク1のディスク保持ステージ16に対するアライメントが完了する。
【0024】
上記実施例1では、回折格子パターン20を円周状に形成する例を示したが、円周上全てに形成するのではなく、円周上の少なくとも2箇所に形成するようにしてもよい。この場合は図7の様なサインカーブ状のデータは得られないが、回折光の検出位置とディスク保持ステージ16の回転角から、ディスク1の中心及び方向を検出することができる。
【0025】
また、円周方向繰返しパターンと半径方向繰返しパターンを組み合わせてもよい。例えば、図9に示すように円周方向と半径方向の繰返しパターンを組み合わせて十字状のパターンとすることもできる。また、この様な回折格子パターンを少なくとも3つ設け、そのうち1つを他の2つと識別できるパターンとすることで、より精度を高めることができる。
【0026】
また、ディスク1を回転させるだけでなく、半径方向(XY方向)にも移動させて回折光を検出すれば、中心及び方向の検出精度をより高めることができる。
【0027】
なお、上記実施例1では、パターンドメディアとしてビットパターンドメディアを例に説明したが、ビットパターンドメディアに代えて、所定のトラックピッチで溝形成されたディスクリートトラックメディアであっても良い。すなわち、ディスクリートトラックメディアの内周(または外周)に、アライメント用のパターンとして回折格子パターン20を形成し、この回折格子パターン20に検出光を照射して回折光を検出することにより、ディスク1の中心と方向を検出することができる。
【0028】
次に図10及び図11を参照して実施例2によるパターンドメディア(以下、ディスクと称す)100の特徴について説明する。基本的な構成は図2に示した構成と同じであり、同じ構成部分については、同じ参照符号を使用する。実施例2では、ディスク100のビットパターン6上に、アライメント用のパターンを形成するものである。また、このアライメントパターンを検出することにより、ディスクの中心及び方向を検出し、ディスクのディスク保持ステージへのアライメントを行う。
【0029】
パターンドメディアでは、一部領域のビットパターンの高さや幅を変えると、その領域の反射率が変化して違った色として見える。そこで、ディスク面上の一部領域のビットパターン形状を他の部分と変えることにより、その部分をアライメント用のマークとして可視化することができる。図10は十字形状のアライメントマーク30を示しており、十字形状部分のビットパターン6の幅や高さを変えて可視化した場合を示している。また、図11はサーボパターン40に対して同様に実施した場合を示している。
【0030】
本実施例の場合でも、アライメントマーク30はディスク面上に少なくとも1つ必要であるが、2つ以上とすることによりアライメントの精度を高くすることができる。
【0031】
次に、上記アライメントマーク30を用いて、ディスク100の中心及び方向を検出する方法について説明する。図12は光学式検査装置などが備えるアライメント装置の模式図である。アライメント装置はアライメントマーク検出光学系21、ディスク保持ステージ16及び信号処理部22で構成される。アライメントマーク検出光学系21の光学系は、一般的な顕微鏡の光学系でよく、光源は単色のレーザー光でも、キセノンランプ等の白色光源を用いてもよい。ただし、検出光の波長が大きい場合には、ビットパターン形状の違いによる表面反射率の変化が小さくなり、紫外領域の光のほうがパターン形状の違いによる表面の反射率の変化が大きいことから、紫外領域の光を検出光とすることが必要である。また、検出器についても紫外領域での検出感度を持つ必要がある。ディスク保持ステージ16については前記のステージと同様である。
【0032】
ディスク100の中心及び方向の検出は、上記アライメントマーク30を検出することにより実現する。例えば、図10に示すような十字形状のアライメントマーク30を用いる場合を考える。この十字形状の部分は、他の部分とは異なる反射率になっているため、この部分をアライメントマークとして利用することができる。このマークを含む領域を検出器で画像として検出し、検出画像内でのマーク位置とディスク保持ステージ16の位置から、ディスク上でのマークの位置を検出することができる。アライメントマーク30と、ディスク100の中心及び方向の関係は予め決まっているため、検出したアライメントマーク30の位置から、ディスク100の中心及び方向を検出することができる。
【0033】
次に図13を用いて、アライメントのシーケンスを説明する。まず、ディスクをディスク保持ステージに保持し、ディスクを回転させながら検出光を照射し、アライメントマーク30を検出する(ステップ1300)。次に検出したアライメントマーク30の位置を検出する(ステップ1302)。次に検出したマークの位置に基づいてディスクの中心及び方向を検出する(ステップ1304)。次に検出したディスクの中心及び方向が所望の位置及び方向となるように、ディスク保持ステージ16をX、Y、θ方向に駆動する(ステップ1306)。以上で、ディスク100のディスク保持ステージ16に対するアライメントが完了する。
【0034】
上記実施例2においても、パターンドメディアとしてビットパターンドメディアを例に説明したが、ビットパターンドメディアに代えて、所定のトラックピッチで溝形成されたディスクリートトラックメディアであっても良い。
【0035】
上記実施1及び2においては、アライメント装置がステージを備える構成であるが、ステージは例えば光学式検査装置やAFMやSEMに搭載されているステージを用いても良い。この場合、各装置に同じ検出光学系を搭載することで、それぞれの装置でアライメントを実施することができる。
【0036】
上記実施例1及び2で説明した方法により、図4及び図5に示した光学式検査装置のディスク保持ステージに、ディスクをアライメントした後、光学式検査装置によるディスク全面の検査を行う。光学式検査装置は、光源からの光をディスク面に導くハーフミラー28と、ディスク1からの反射光を受光する回折格子26と、回折格子26からの分光を検出する検出器29とを有する。光学式検査装置の検査において、ビットパターンに不良が生じていること自体は検出できたが、不良の種類までは特定できない場合は、光学式検査装置はアライメント時に検出したディスクの中心と方向(座標基準)から不良の位置(座標)を特定し、SEMあるいはAFMに不良の位置(座標)を送信する。SEMあるいはAFMにおいて、光学式検査装置から受け取った不良の位置(座標)を基に、不良の種類を特定する検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例1によるパターンドメディアの構成を示す平面模式図である。
【図2】パターンドメディアの基本構成を示す模式図である。
【図3】パターンドメディアの製造方法を示す工程図である。
【図4】光学式検査装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】パターンドメディア検査システムの概略構成図である。
【図6】アライメント装置の概略構成を示す模式図である。
【図7】アライメント装置における回折光の検出結果の一例を示す図である。
【図8】アライメントのシーケンスを示すフローチャートである。
【図9】回折格子パターンの例を示す図である。
【図10】実施例2によるパターンドメディアの構成を示す平面模式図である。
【図11】実施例2によるパターンドメディアの他の構成例を示す平面模式図である。
【図12】アライメントマークを検出するための光学系の概略構成を示す模式図である。
【図13】実施例2によるパターンドメディアのアライメントのシーケンスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
1…パターンドメディア、2…非磁性基板、3…中心穴、4…磁性体の凸部、6…ビットパターン、14…検出光照射光学系、15…検出器(CCDカメラ)、16…ディスク保持ステージ、16a…回転軸、17…信号処理部、21…アライメントマーク検出光学系、22…信号処理部、26…回折格子、28…ハーフミラー、29…検出器、30…アライメントマーク、40サーボパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周部と外周部を有する基板と、該基板の内周部と外周部の間に、所定のトラックピッチで溝形成されたディスクリートトラックあるいは所定のトラックピッチおよびビット周期で規則的に離散したビットパターンを有するハードディスクメディアにおいて、前記基板の内周部あるいは外周部の円周上に回折格子パターンが設けられ、該回折格子パターンの少なくとも1箇所に他の部分とは異なるピッチの部分が設けられていることを特徴とするハードディスクメディア。
【請求項2】
前記回折格子パターンは、円周方向に繰り返す凹凸パターンであることを特徴とする請求項1記載のハードディスクドメディア。
【請求項3】
前記回折格子パターンは、同心円状に繰り返す凹凸パターンであることを特徴とする請求項1記載のハードディスクメディア。
【請求項4】
前記回折格子パターンの異なるピッチの部分は、回折格子パターンが存在しない領域であることを特徴とする請求項1記載のハードディスクメディア。
【請求項5】
内周部と外周部を有する基板と、該基板の内周部と外周部の間に、所定のトラックピッチで溝形成されたディスクリートトラックあるいは所定のトラックピッチおよびビット周期で規則的に離散したビットパターンを有するハードディスクメディアにおいて、前記基板の内周部あるいは外周部の同一円周上の少なくとも2箇所に、円周接線方向または半径方向に繰り返す回折格子パターンを有することを特徴とするハードディスクメディア。
【請求項6】
前記基板の内周部あるいは外周部の同一円周上の3箇所に、円周接線方向または半径方向に繰り返す回折格子パターンを有し、そのうちの1つが他の2つと識別できる回折格子パターンであることを特徴とする請求項5記載のハードディスクメディア。
【請求項7】
基板と、該基板の上に所定のトラックピッチで溝形成されたディスクリートトラックあるいは所定のトラックピッチおよびビット周期で規則的に離散したビットパターンを有するハードディスクドメディアにおいて、前記ディスクリートトラックあるいはビットパターンの一部領域の凸部形状が、他の領域の凸部形状と異なることを特徴とするハードディスクメディア。
【請求項8】
前記一部領域の凸部は、他の領域の凸部と高さまたは幅が異なることを特徴とする請求項7記載のハードディスクメディア。
【請求項9】
内周部と外周部を有する基板と、該基板の内周部と外周部の間に、所定のトラックピッチで溝形成されたディスクリートトラックあるいは所定のトラックピッチおよびビット周期で規則的に離散したビットパターンを有し、前記基板の内周部あるいは外周部の円周上に回折格子パターンが設けられ、該回折格子パターンの少なくとも1箇所に他の部分とは異なるピッチの部分が設けられているハードディスクメディアを、表面検査装置のディスク保持ステージに位置決めする方法であって、前記ハードディスクメディアを前記ディスク保持ステージに保持するステップと、前記ハードディスクメディアを回転させながら前記回折格子パターンに光を照射するステップと、前記回折格子パターンからの回折光を検出するステップと、前記ステップで検出した回折光から前記ハードディスクメディアの偏心量と角度を検出するステップと、前記ステップで検出した偏心量と角度から前記ハードディスクメディアの中心と方向を検出するステップと、前記ステップで検出した中心と方向が所望の位置及び方向となるように前記ディスク保持ステージの位置を調整するステップと、を含むことを特徴とするハードディスクメディアを表面検査装置のディスク保持ステージに位置決めする方法。
【請求項10】
基板と、該基板の上に所定のトラックピッチで溝形成されたディスクリートトラックあるいは所定のトラックピッチおよびビット周期で規則的に離散したビットパターンを有し、該ディスクリートトラックあるいはビットパターンの一部領域の凸部形状が他の領域の凸部形状と異なるハードディスクメディアを、表面検査装置のディスク保持ステージに位置決めする方法であって、前記ハードディスクメディアを前記ディスク保持ステージに保持するステップと、前記ハードディスクメディアを回転させながら前記ディスクリートトラックあるいはビットパターンに光を照射するステップと、前記ディスクリートトラックあるいはビットパターンからの反射光を検出するステップと、前記ステップで検出した反射光から前記形状の異なる凸部が存在する領域を検出するステップと、前記ステップで検出した領域の位置から前記ハードディスクメディアの中心と方向を検出するステップと、前記ステップで検出した中心と方向が所望の位置及び方向となるように前記ディスク保持ステージの位置を調整するステップと、を含むことを特徴とするハードディスクメディアを表面検査装置のディスク保持ステージに位置決めする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−299912(P2008−299912A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142236(P2007−142236)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】