説明

アラルキルテトラヒドロピリジンを含む医薬組成物

【課題】TNF-アルファの調整に優れた活性を有する医薬を提供する。
【解決手段】部分的に飽和されたアラルキル基で置換されたテトラヒドロピリジン誘導体を有効成分として含む医薬により、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアラルキルテトラヒドロピリジン類を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
EP0 458 697は、腸運動の調整作用を有するナフチルアルキルテトラヒドロピリジン誘導体を記載している。
ブーリー(Bourrie)ら(Proc. Natl. Acad. Sci. 1999、96(22):12855−12859)は、実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)モデルおよびTNF-アルファ(腫瘍壊死因子)の調整における、SR57746と呼ばれる化合物、 (1-(2-ナフト-2-イルエチル)-4-(3-トリフルオロメチル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン)の活性を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP0458697号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Proc. Natl. Acad. Sci. 1999、96(22):12855−12859
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
部分的に飽和されたアラルキル基で置換されたいくつかのテトラヒドロピリジンが、TNF-アルファの調整に優れた活性を有することがいまや見出された。
TNF-アルファは、免疫、炎症、細胞増殖、繊維症などのメディエーターとして、最近関心を呼び起こしているサイトカインである。このメディエーターは、炎症性滑液膜組織に豊富に存在し、自己免疫の病因において重要な役割を果たしている(Annu. Rep. Med.Chem.、1997、 32:241-250)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かくして、本発明は、その一面によれば、
式(I):
【化1】

[式中、
XはNまたはCHを表し;
1 は水素もしくはハロゲン原子またはCF3基を表し;
nは1〜5の整数であり;
Aは式(a)〜(d):
【化2】

の基(ここで、mは1または2である)を表す]
のアラルキルテトラヒドロピリジン、その塩または溶媒和物もしくはN−オキサイドを含む医薬組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書の記載において、用語「ハロゲン」は、塩素、臭素、ヨウ素、およびフッ素から選択される原子を意味する。
好ましい化合物はnが1であるものである。
その他の好ましい化合物は、R1がCF3基であるものである。
その他の好ましい化合物は、XがCHであり、R1がベンゼンの3位にあるものである。
その他の好ましい化合物は、XがCHであり、R1がCF3基であるものである。
その他の好ましい化合物は、XがNであり、ピリジンが2、6位で置換されているものである。
【0008】
本発明による式(I)の化合物の塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸二水素塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩などのような、医薬的に許容される無機または有機の酸との付加塩、およびピクリン酸塩、シュウ酸塩のように式(I)の化合物の好適な分離または結晶化を許容する付加塩の両方、あるいは例えばカンファースルホン酸およびマンデル酸または置換マンデル酸のような光学活性な酸との付加塩を含む。
【0009】
本発明によれば、式(I)の化合物はN−オキサイド誘導体として存在することができ、特にそれらはテトラヒドロピリジン上にN−オキサイド基を有することができる。
【0010】
式(I)の化合物は、次の工程を含む方法により合成することができる。
(a)式(II):
【化3】

[式中、R1は上で定義された通りである]
の化合物を、式(III):
【化4】

[式中、nおよびAは上で定義された通りである]
の酸またはその官能性誘導体の一つと反応させ、
【0011】
(b)このようにして得られる式(IV):
【化5】

の化合物のカルボニル基を還元し、
【0012】
(c)このようにして得られる式(V):
【化6】

のピペリジノール中間体を脱水し、
【0013】
(d)このようにして得られる式(I)の化合物を単離し、任意にその塩もしくは溶媒和物またはそのN−オキサイドの一つに変換する。
【0014】
工程(a)の反応は、有機溶媒中、−10℃〜反応混合物の還流温度の間の温度で好適に行われる。
式(III)の酸の官能性誘導体としてクロライドが用いられる場合のように、発熱反応のときは、この反応を冷温下で行うのが好ましいだろう。
【0015】
式(III)の化合物として、例えばBOP、すなわちトリ(ジメチルアミノ)ベンゾトリアゾール-1-イルオキシホスホニウムヘキサフルオロホスフェートで 任意に活性化されていてもよい遊離酸、または例えば酸無水物、混合酸無水物、活性エステル、もしくは酸ハライド、好ましくはブロマイドのようなその官能性誘導体のいずれかを用いることができる。
【0016】
活性エステルの中では、p−ニトロフェニルエステルが特に好ましいが、メトキシフェニル、トリチルおよびベンズヒドリルエステルなども適している。
【0017】
反応溶媒としては、メチレンクロライド、ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロホルムなどのようなハロゲン化溶媒が好適に使用されるが、用いられる反応試剤と相溶性のあるその他の有機溶媒、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、またはへキサンのような炭化水素も用いることができる。
【0018】
この反応は、プロトン受容体、例えば炭酸アルカリ金属、またはトリエチルアミンのような三級アミンの存在下で好適に行われる。
【0019】
工程(b)の還元は、ボランコンプレックス、例えばボラン−ジメチルサルファイド ([CH3]2S-BH3)、アルミニウムハイドライドまたはリチウムアルミニウムハイドライドコンプレックスのような適当な還元剤により、不活性な有機溶媒中、0℃〜反応混合物の還流温度の間の温度で、慣用の技術に従って行うのが好ましい。
【0020】
用語「不活性な有機溶媒」は、反応を妨害しない溶媒を意味するものと理解される。そのような溶媒は、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンまたは1,2−ジメトキシエタンのようなエーテル類である。
【0021】
好ましい操作モードによれば、この方法は、出発化合物(II)に対して過剰に用いられるボラン-ジメチルサルファイドを用い、還流温度で、任意に不活性雰囲気下で行われる。この還元は、通常、数時間後に完了する。
【0022】
工程(c)の脱水は、例えば酢酸/硫酸混合液を用いて、室温〜用いられる溶媒の還流温度の間の温度で容易に行われる。
好ましい方法によれば、工程(c)の反応は、容積比3/1の酢酸/硫酸混合液中で、約80〜100℃の温度で、1〜3時間加熱することにより行われる。
【0023】
所望の化合物は、慣用の技術により、遊離の塩基またはその塩の一つの形態で単離される。遊離の塩基は、アルコール、好ましくはエタノールもしくは2−プロパノール、1,2−ジメトキシエタンのようなエーテル、酢酸エチル、アセトン、またはへキサンのような炭化水素のような有機溶媒中での、単なる塩化により、その塩の一つに変換され得る。
【0024】
得られる式(I)の化合物は、任意にそのN−オキサイド誘導体の一つに変換してもよい。
テトラヒドロピリジンの窒素原子上にN−オキサイド基を有する式(I)の化合物は、式(I)の対応化合物の酸化により製造され得る。この場合、式(I)の化合物は、慣用の方法に従って、酸化反応、例えば適当な溶媒中でm−クロロ過安息香酸との反応に付され、当業者に周知の通常の技術により単離される。
【0025】
式(I)の化合物は、式(VI):
【化7】

[式中、XおよびR1は上で定義したとおりである]
のテトラヒドロピリジンを、式(VII):
【化8】

[式中、nおよびAは上で定義したとおりであり、Lは脱離基である]
の化合物との縮合反応、このようにして得られる式(I)の化合物の単離、およびその塩または溶媒和物の一つへの任意の変換によっても製造することができる。
【0026】
脱離基「L」としては、例えばハロゲン基、または式(VI)の化合物との縮合に適したその他の基を用いることができる。
縮合反応は、例えばメタノールまたはブタノールのようなアルコールのような有機溶媒中で、例えば炭酸アルカリ金属のような塩基の存在下に、室温〜選択された溶媒の還流温度の間の温度で、慣用の方法に従って、出発化合物(VI)および(VII)を混合することにより行われる。
【0027】
式(II)の出発化合物は公知であるか、あるいは公知の化合物と同様の方法で製造され得る。
【0028】
式(III゜):
【化9】

[式中、A°は上で定義された式(a)、(c)または(d)の基であり、nは1〜5の整数であり、mは1または2である]
の化合物、およびそれらの塩または溶媒和物は新規な化合物であり、本発明の次の局面を構成する。
【0029】
Aが基(a)であるとき、これらの新規化合物は、式(III'):
【化10】

[式中、nおよびmは上で定義したとおりである]
で表わされ、次の工程を含む方法により合成され得る。
【0030】
(i) 次の化合物(VIII) :
【化11】

[式中、mは1または2である]
をアルカリ金属ハイドライドのような強塩基の存在下にジアルキルカーボネ−トと反応させ、
【0031】
(ii)このようにして得られる式(IX):
【化12】

の化合物を
Hal-(CH2)n-COOAlk
[式中、nは上で定義されたとおりであり、Alkはアルキル基であり、Halはハロゲン原子である]
の誘導体と、アルカリ金属ハイドライドのような強塩基の存在下に反応させ、
【0032】
(iii) このようにして得られる化合物(X):
【化13】

を水酸化ナトリウムのような塩基の存在下に加熱することにより、加水分解および脱炭酸し、
【0033】
(iv) このようにして得られる式(XI):
【化14】

のケトンを還元し、
【0034】
(v) このようにして得られる式(XII):
【化15】

の化合物を、例えばデカリンのような溶媒中、高温下に、Pd/Cで酸化することにより芳香族化し、慣用の方法により単離される(III')の化合物を得、任意にその塩の一つに変換する。
【0035】
Aが基(c)であるとき、これらの新規化合物は,式(III”):
【化16】

[式中、nおよびmは上で定義されたとおりである]
により表わされる。
nが0であるとき、これらの化合物は次の工程を含む方法により合成することができる。
【0036】
(vi)式(XIII):
【化17】

の化合物をポリリン酸(PPA)と反応させ、このようにして得られる9−オキソフルオレン誘導体を還元し、nが0であるときは式(III”)の化合物を得;またnが1であるときは、
【0037】
(vii) このようにして得られるフルオレンカルボン酸(XIV):
【化18】

を、例えば塩酸の存在下にメタノールとの反応によりエステル化し、次いでLiAlH4での還元により還元し、
【0038】
(viii) このようにして得られる式(XV):
【化19】

のアルコールを、例えば対応するクロライドの製造およびKCNとの反応によりシアノ誘導体に変換し:
【0039】
(ix)式(XVI):
【化20】

のこのシアノ誘導体を、例えば酸の媒体中で加水分解し、nが1である式(III”)の化合物を得、それを慣用の方法により単離し、任意にその塩の一つに変換する。
nが1より大きい式(III”)の化合物を製造することが望まれる場合は、その他の公知の合成方法を用いてアルキル鎖を延ばしてもよいが、(vii)〜(ix)の工程を繰り返すだけで十分である。
【0040】
Aが基(d)であるとき、これらの新規化合物は、式(III'''):
【化21】

[式中、nおよびmは上で定義したとおりである]
により表される。
nが0または1である式(III''')の化合物は、次の工程を含む方法により合成される:
【0041】
(x)式(XVII):
【化22】

の化合物を、(1-シアノ-3,3-ジエトキシプロピル)ジエチルホスホネートと反応させ;
【0042】
(xi)このようにして得られる式(XVIII):
【化23】

の化合物を、例えばSnCl4の存在下に環化し、そして
【0043】
(xii)式(XIX):
【化24】

のシアノ誘導体を加水分解して、nが0である式(III''')の化合物を得るか、
【0044】
(xiii)あるいは、nが1であるとき、式(XIX)の誘導体を、例えばCH3MgIを用いるグリニヤル反応により、式(XX):
【化25】

のケトンに変換し;そして
【0045】
(xiv)そのケトン(XX)を、nが1である式(III''')の対応する酸に変換する。
【0046】
nが1より大きい式(III''')の化合物の製造を所望するならば、工程(xiv)にて得られる式(III''')の酸から出発して、上記の(vii)〜(ix)の工程を繰り返すか、あるいはアルキル鎖を延ばすためのその他の公知の合成を用いることで十分である。
【0047】
ベータ−アルデヒドから出発して工程(xi)の環化を行うとき、式(XIX)の二つの誘導体を得ることができる。なぜならば、芳香環の形成は、二つの隣接する位置の一つでの環化によって達成できるからである。この場合、このようにして形成される異性体を、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィーの手段により分離し、所望の異性体を用いて処理すべきである。
【0048】
上記の反応は、一般に当業者によく知られている。そのような方法の詳細な実施例は、いずれの場合も実験の部で報告されている。
【0049】
本発明の化合物は、TNF‐αの阻害に関して有利な特性を有している。
これらの特性は、エッシェリヒア・コリからリポポリサッカライド(LPS)によりバルブ/cマウスに生じさせたTNF‐αの合成に対する、分子の効果を測定することを目的とした試験を用いて実証された(055:B5, Sigma, St. Louis, Mo)。
【0050】
試験物質を7〜8週齢の雌のバルブ/cマウス(Charles River、フランス)5匹のグループに経口投与する。1時間後、LPSを静脈注射する(10μg/マウス)。LPS投与の1.5時間後に、各動物の血液を採取する。サンプルを遠心分離し、血漿を回収し、-80℃で凍結する。市販のキット(R and D、 Abingdon、 イギリス)を用いてTNF-αを測定する。
【0051】
この試験において、本発明の代表的な化合物は、きわめて低い投与量でも、TNF-αの合成を阻害することにより、極めて活性であることが見出された。
【0052】
この活性およびそれらの低毒性のために、式(I)の化合物およびそれらの塩または溶媒和物は、免疫に関連する病気および炎症性疾患の治療において、あるいは鎮痛薬として用いることができる。
【0053】
特に、式(I)の化合物は、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性疾患、神経細胞の髄鞘脱落に起因する疾患(多発性硬化症のような)、喘息、リウマチ性関節炎、心筋線維症、特発性肺線維症、膵嚢胞性線維症、糸球体腎炎、リウマチ性脊椎炎、骨関節症、痛風、骨および軟骨吸収、骨粗鬆症、パジェット病、多発性骨髄腫、ブドウ膜網膜症、敗血症ショック、敗血症、内毒素性ショック、移植片対宿主反応、移植片拒絶反応、成人呼吸窮迫症候群、珪肺症、石綿肺、肺サルコイド症、クローン病、潰瘍性大腸炎、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、播種性紅斑狼瘡、血行動態ショック、虚血性疾患(心筋梗塞、心筋虚血症、冠状血管痙攣、狭心症、心不全、心臓発作)、虚血後返血発作、マラリア、マイコバクテリア感染症、脳膜炎、らい病、ウイルス感染症(HIV,サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス)エイズ関連日和見感染症、結核、乾癬、アトピー性皮膚炎および接触性皮膚炎、糖尿病、悪液質、癌および放射線媒介障害の治療に用いることができる。
【0054】
式(I)の化合物、ならびにその医薬的に許容される塩および溶媒和物は、好ましくは経口投与される。
【0055】
本発明の経口用医薬組成物において、活性成分は、単位投与形態で、上記の症状の治療のために、動物およびヒトに対して、通常の医薬支持体との混合物として、投与され得る。
適当な単位投与形態は、例えば、分割可能な錠剤、ゲルカプセル、散剤、顆粒剤、および経口液剤または懸濁液剤を含む。
【0056】
錠剤の形態で固形組成物が製造されるとき、主有効成分は、ゼラチン、澱粉、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アラビアゴムなどのような医薬的媒体と混合される。錠剤は、蔗糖またはその他の適当な材料で被覆するか、あるいは持続性または遅効性を有するように、あるいは所定量の有効成分を継続的に放出するように処理することができる。
【0057】
ゲルカプセルの形態の製剤は、有効成分を希釈剤と混合し、得られた混合物をソフトまたはハードゲルカプセルに注入することにより得られる。
【0058】
シロップまたはエリキシルの形態にある製剤は、有効成分を、甘味剤、好ましくは無カロリーの甘味剤、防腐剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、さらに香料および適当な着色剤と共に含むことができる。
【0059】
水−分散性散剤または顆粒剤は、有効成分を、分散剤もしくは湿潤剤、またはポリビニルピロリドンのような懸濁化剤、さらに甘味料または着香料との混合物として含むことができる。
【0060】
有効成分は、任意に一つ以上の支持物または添加剤を用いて、マイクロカプセルの形態に製剤化することもできる。
【0061】
本発明による医薬組成物において、有効成分はシクロデキストリン、またはそのエーテルもしくはエステル中の包接コンプレックスの形態でもあり得る。
【0062】
有効成分の投与量は、常にそうであるように、疾病の進行具合、患者の年齢や体重に依存する。しかしながら、単位投与量は、通常0.001mg 〜 100mg、より良いのは0.01mg 〜 50mg、好ましくは0.1mg 〜 20mg、有利には0.5mg 〜 10mgの有効成分を含む。
【0063】
もう一つの観点によれば、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物の一つと、インターフェロンベータ-1bのような免疫抑制剤;副腎皮質ホルモン;プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンのようなグルココルチコイド;インターロイキン−1阻害剤から選択される少なくとも一つの化合物とを含む組合せに関する。
【0064】
さらに詳細には、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物と、レキニメックス (1,2ジヒドロ-4-ヒドロキシ-N,1-ジメチル-2-オキソ-3-キノリンカルボキシアニリド)、ミロラン (ボビンミエリンを含むAutoimmune社からの製品)、アンテグレン(Elan/Athena Neurosciences社からのヒトモノクローナル抗体)、および組換え型インターフェロンベータ-1bから選択される少なくとも一つの化合物とを含む組合せに関する。
【0065】
その他の可能な組合せは、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物と、例えばファムプリジン(4-アミノピリジン)のようなカリウム-チャンネルブロッカーとからなるものである。
【0066】
もう一つの観点によれば、本発明は、免疫に関連する疾病、および炎症性疾患の治療、ならびに疼痛の治療、特に脳梗塞、自己免疫性疾患、神経細胞の髄鞘脱落に起因する疾患(多発性硬化症のような)、喘息、リウマチ性関節炎、心筋線維症、特発性肺線維症、膵嚢胞性線維症、糸球体腎炎、リウマチ性脊椎炎、骨関節症、痛風、骨および軟骨吸収、骨粗鬆症、パジェット病、多発性骨髄腫、ブドウ膜網膜症、敗血症ショック、敗血症、内毒素性ショック、移植片対宿主反応、移植片拒絶反応、成人呼吸窮迫症候群、珪肺症、石綿肺、肺サルコイド症、クローン病、潰瘍性大腸炎、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、播種性紅斑狼瘡、血行動態ショック、虚血性疾患(心筋梗塞、心筋虚血症、冠状血管痙攣、狭心症、心不全、心臓発作)、虚血後返血発作、マラリア、マイコバクテリア感染症、脳膜炎、らい病、ウイルス感染症(HIV,サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス)エイズ関連日和見感染症、結核、乾癬、アトピー性皮膚炎および接触性皮膚炎、糖尿病、悪液質、癌および放射線媒介性障害の治療方法に関するものであり、式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を単独で、またはその他の有効成分と組み合わせて投与することを含む。
【0067】
以下の実施例は本発明を説明するものである。
製造例1
1,2,3,6,7,8-ヘキサヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ナフタレン-5-オン
【化26】

ジクロロメタン/ニトロメタン=8/1 混液 188ml中の無水AlCl361g(0.457mol)の懸濁液を0〜5℃に冷却し、これにインダン22.15gおよび無水コハク酸22.5g (0.225mol)を少しずつ加える。0℃で1時間後、媒体を氷水混合液中に注ぎ、37%の塩酸を澄明な溶液が得られるまで加える。媒体を酢酸エチルで抽出し、水洗し、有機相を乾燥し、溶媒を減圧下に蒸発させる。ジオキサン500 mlに溶解する白色固形物を得る。これにエタノール 50 ml中の98%濃硫酸4.6 mlおよび10%Pd/C(3.6g) を加える。水素雰囲気下で5時間後、触媒を濾去し、溶媒を留去し、残渣を水中に採取し、媒体を酢酸エチルで抽出する。得られた生成物をメタノール20 mlに溶解し、これに1N水酸化ナトリウム水溶液8 mlを加え、媒体を2時間室温で攪拌する。
【0068】
溶媒を留去し、水を加え、媒体を酸性のpHにし、それを抽出し、白色の固体を単離する。この生成物38.7gを、窒素雰囲気下で無水塩化メチレン1000 mlに溶解する;媒体を0℃に冷却し、これにPCl3 47g(0.225mol) を注意深く加え、媒体を0℃で2時間攪拌し、これにSnCl4 121.8g (0.467mol)を徐々に加え、10分後、媒体を室温に戻す。室温で2時間後、媒体を氷水中に注ぎ、塩化メチレンで抽出し、油を分離した後、シクロヘキサン/酢酸エチル=8/2混液で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製する。表題の化合物6.0gを得る。
【0069】
製造例2
2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-6-イル酢酸
【化27】

窒素気流下で本工程を行ない、80%水素化ナトリウム3g(0.075mol)をテトラヒドロフラン845mlに混合し、これにテトラヒドロフラン45 mlに溶解した製造例1の生成物0.7g
(0.0375mol)を加える。還流下で1時間後、テトラヒドロフラン45 ml中のジエチルカーボネート9ml (0.075mol)を加え、媒体を還流下で5時間攪拌し続ける。この混合物を冷却し、これに塩化アンモニウム飽和水溶液および水を加えて完全に溶解させ、媒体を酢酸エチルで抽出する。
【0070】
媒体を水洗し、有機相を乾燥し、溶媒を減圧下に留去する。得られた油状物をテトラヒドロフラン60mlに溶解し、この溶液を窒素雰囲気下に室温でテトラヒドロフラン30ml中の80%水素化ナトリウム(1.6g; 0.41mol)の懸濁液に加える。媒体を30分間攪拌し、これにブロモ酢酸エチル8.8ml(0.08 mol)を加え、媒体を室温で5時間攪拌する。塩化アンモニウムを加え、媒体を塩化メチレンで抽出する。媒体を水洗し、有機相を乾燥し、減圧下で溶媒を留去する。かくして得られた油状物を0.5N 水酸化ナトリウムの水−アルコール溶液
(EtOH/H2O 比= 2/1) 600mlに溶解する。
【0071】
生成物がそのナトリウム塩に完全に変換するまで、媒体を約40℃で加熱する(酢酸エチル/へキサン=3/7の混液で溶出する薄層クロマトグラフィ試験において塩基での生成物の形成)。約8時間後、溶媒の半分を減圧下に留去し、媒体を1N 塩酸15mlで酸性にし、50℃で約45分間加温する。媒体を酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥し、溶媒を減圧下に留去する。得られた生成物を酢酸60mlおよび98%硫酸4.5mlに溶解し、酢酸9ml中に希釈し、これに10%Pd/C(1g)を加える;次いで、媒体を8時間水素化する。
【0072】
溶媒の半分を留去し、触媒を濾去し、水を加え、媒体を酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥し、溶媒を留去する。かくして得られた生成物をメタノール100 mlに溶解し、これにパラ−トルエンスルホン酸200 mgを加え、媒体を還流下で4時間加熱する。溶媒を一部留去し、これに5%炭酸水素ナトリウム水溶液50 mlを加え、媒体をジエチルエーテルで抽出し、媒体を水および食塩水で洗浄する。
【0073】
有機相を乾燥し、溶媒を減圧下に留去する。かくして得られた生成物をデカリン(20ml)に溶解し、これに10%Pd/C(1.4g)を加え、媒体を200℃で48時間加熱する。触媒を濾去し、溶媒を留去し、粗反応生成物をシクロヘキサン/酢酸エチル = 9/1混液で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製する。
【0074】
かくして得られた生成物750 mgをエタノール30 mlに溶解し、これに1N NaOH 20 mlを加え、媒体を50℃で4時間加熱する。エタノールを留去し、媒体を1N HClで酸性にする。白色の固体を得る。m.p.185−188℃。
【0075】
製造例3
5-(2-ブロモエチル)インダン
塩化メチレン33 ml中のインダン2 ml(0.016mol)およびブロモアセチルブロマイド1.6 ml(0.019mol)を0℃で混合する。AlCl3 2.27g (0.017mol)を徐々に加え、媒体を室温に戻し、2時間攪拌する。
【0076】
混合物を氷水中に注ぎ、塩化メチレンで抽出する。有機相を乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に留去する。粗反応生成物をヘキサンから結晶化させる。白色の固体をアシル化生成物に対応して分離する(m.p. 57.8-58.1°C)。
【0077】
この物質1.67g (7mmol)をトリエチルシラン3.9mlおよびトリフルオロ酢酸3.9 mlに溶解し、媒体を80℃で2時間加熱する。媒体を氷/NaOH混合物中に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。表題の化合物を得る。
【0078】
製造例4
2-(2-ブロモエチル)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン
インダンの代わりにテトラリンを用いて、製造例3に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。
【0079】
製造例5
5-(3-ブロモプロピル)インダン
ブロモアセチルブロマイドの代わりにブロモプロピオニルブロマイドを用いて、製造例3に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。
【0080】
製造例6
5-(3-ブロモブチル)インダン
ブロモアセチルブロマイドの代わりにブロモブタノイルブロマイドを用いて、製造例3に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。
【0081】
製造例7
2-(2-ブロモエチル)フルオレン
インダンの代わりにフルオリンを用いて、製造例3に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。
【0082】
製造例8
2-(2-ブロモエチル)-9,10-ジヒドロフェナントレン
インダンの代わりに9,10−ジヒドロフェナントレンを用いて、製造例3に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。
【0083】
製造例9
3-フルオレニル酢酸
9a) 9-オキソフルオレン-3-イルカルボン酸
2,5‐ビフェニルジカルボン酸0.45g (0.00186mol)およびポリリン酸(PPA)13.9gの混合物を200℃に加熱する。1時間後、媒体を100℃に冷却し、これに全量が約100 mlになるまで氷を加える。媒体を濾過し、水90 ml中のNaOH 0.5gの溶液を析出物に加え、媒体を60℃で1時間攪拌する。媒体を塩酸で酸性にし、酢酸エチルで抽出する。有機相を乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に留去する。表題の物質0.31 gを淡褐色の固体の形態で得る。
【0084】
9b) フルオレン3−イルカルボン酸
前工程の物質0.27g (0.0012mol)をエチレングリコール2.5 mlに溶解し、これにNaOH 0.1gおよび98%ヒドラジン (d=1.03) 0.25 mlを加える。媒体を還流下で1.5時間加熱し、室温に戻し、水70 mlを加え、媒体を塩酸でpH=6に酸性化する。媒体を酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に留去する。かくして表題の物質0.4 gを黄色固体の形態で得る。
【0085】
9c) フルオレン-3-イルカルボン酸のメチルエステル
前工程の生成物のエステルを塩酸中のメタノールを用いて製造する。溶液を塩基性pHにし、酢酸エチルで抽出し、かくして表題の物質を油の形態で得る。
【0086】
9d) 3-ヒドロキシメチルフルオレン
無水エチルエーテル7ml中のLiAlH4 0.68gの混合物を窒素気流下で0℃に冷却し、これに無水エチルエーテル27ml 中の前工程での生成物3.4g (0.0152)の溶液を滴下し、媒体を一夜攪拌する。次いで、水/氷混合物を加え、媒体を酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に留去する。かくして粗生成物3gを得、これをシクロヘキサン/酢酸エチル7/3混液で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製する。かくして表題の物質1.33gを白色固体の形態で得る。
【0087】
9e) 3−クロロメチルフルオレン
塩化メチレン0.5ml中の前工程での生成物35mg (0.178mmol)の溶液を0℃に冷却し、これに塩化チオニル0.13 ml (1.178mmol)を滴下する。混合物を室温で3時間攪拌し、これに水と炭酸水素ナトリウムの混合物を加えてpH8にする。媒体を塩化メチレンで抽出し、有機相を乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に留去する。かくして表題の物質20 mgを黄色油状物として得る。
【0088】
9f) 3-シアノメチルフルオレン
前工程の生成物1.3g (0.00605mol)をDMSO 32 ml に溶解し、これにKCN 0.44g (0.00666mol)を加える。媒体を80℃で3時間加熱し、これに水/氷混合物を加え、媒体を酢酸エチルで抽出する。有機相を乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に留去する。粗生成物をシクロヘキサン/酢酸エチル 8/2 混液で溶出するフラッシュクロマトグラフィで精製する。かくして表題の物質250 mgを得る。
【0089】
9g) 3-フルオレニル酢酸
前工程のシアノ誘導体を還流下で加熱しながら、6N塩酸で加水分解する。水/氷混合物を加え、媒体を酢酸エチルで抽出する。有機相を乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に留去する。かくして表題の物質0.22gを固体の形態で得る。m.p.: 166-168°C。
【0090】
製造例10
2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-8-イル酢酸
10a) 4,4-ジエトキシ-2-インダン-4-イルメチレンブチロニトリル
無水THF20ml中の60%NaH 0.23g (0.0092mol)を窒素気流下で0℃に冷却し、これにTHF16ml 中の(1-シアノ-3,3-ジエトキシプロピル)ホスホン酸のジエチルエステル2.26g (0.0085mol)の溶液を加える。30分後、混合物は澄明になり、次いでこれにTHF 16 ml中の2,3-ジヒドロ-1H-インデン-8-イルベンズアルデヒド1.1g (0.0075mol)の溶液を滴下する。媒体を0℃で一時間攪拌し、次いで水/氷混合物を加える。媒体を塩化メチレンで抽出し、有機相をNaOH/水の溶液で洗浄し、有機相を乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に留去する。かくして粗生成物2.49gをオレンジ色の油状物として得る。これをシクロヘキサン/酢酸エチル95/5混液で抽出するフラッシュクロマトグラフィで精製する。かくして、表題の物質を得る。
10b) 8-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン
【0091】
塩化メチレン14 ml中の前工程での生成物 0.56g (0.0021mol)の混合物を0℃に冷却し、これにSnCl4 (d = 2.226) 152ml (0.0013mol) を滴下する。媒体を室温で4時間攪拌し、これに10%炭酸水素ナトリウムを加え、媒体を塩化メチレンで抽出する。有機相を乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に留去する。かくして表題の物質0.43 gを黄色固体の形態で得る。
10c) 8-メチルカルボニル-2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン
【0092】
前工程の生成物0.5g (0.0025mol)を無水トルエン20 ml中に溶解し、これに窒素気流下で3M メチルマグネシウムヨウダイド1.6ml (0.005mol)を滴下する。媒体を室温で一夜攪拌し、次いでこれに水および塩酸を加える。媒体を15分間攪拌し、5M NaOH溶液で塩基性pHにし、酢酸エチルで抽出する。有機相を水洗し、乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に留去する。かくして粗生成物0.69 gを得る。これをへキサン/ジエチルエーテル95/5混液で溶出するフラッシュクロマトグラフィにより精製する。かくして表題の物質0.35 gを得る。
【0093】
10d) 8-(モルホリノチオカルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン
前工程の生成物 0.35g (0.0016mol)をモルホリン(d = 0.999) 0.35ml (0.0016mmol) 中に溶解し、これに硫黄0.54g (0.0020)およびパラトルエンスルホン酸(PTSA)の結晶を加える。媒体を還流下で6時間加熱し、次いでメタノールを加える。媒体を室温で一夜攪拌する。溶媒を減圧下で除去し、かくして粗生成物2.5 gを得る。これをシクロヘキサン/酢酸エチル9/1で溶出するフラッシュクロマトグラフィで精製する。かくして表題の物質0.16 gを得る。
【0094】
10e) 2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-8-イル酢酸
前工程の生成物 0.16g (0.0005mol)を1:1のメタノール/水の溶液7.6ml中に溶解し、これに固形のNaH 0.02g を加える。媒体を還流下で6時間加熱し、次いで溶媒を減圧下に除去し、残留物を水と酢酸エチルの混液中に採取し、有機相を除去し、水相を酸性にし、塩化メチレンで抽出する。有機相を乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下に留去する。かくして、表題の物質20mgを得る。
【0095】
製造例11
5,6,7,8-テトラヒドロフェナントレン-3-イル酢酸
2,3-ジヒドロ-1H-インデン-7-イルベンズアルデヒドの代わりに5,6,7,8-テトラヒドロフェナントレン-1-イルベンズアルデヒドを用いて、製造例10に記載の手順に従って、表題の物質を得る。
【0096】
製造例12
5,6,7,8-テトラヒドロアントレン-2-イル酢酸
2,3-ジヒドロ-1H-インデン-7-イルベンズアルデヒドの代わりに5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イルベンズアルデヒドを用いて、製造例10に記載の手順に従い、表題の物質を得る。
【0097】
実施例1
1-[2-(2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-6-イル)エチル]-4-[3-トリフルオロメチルフェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンおよびその塩酸塩
【化28】

1a) 1-[4-ヒドロキシ-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1-ピペリジニル]-2-(2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-6-イル)-1-エタノン
製造例2の生成物400mg (1.76 mol)を窒素雰囲気下で無水塩化メチレン10ml 中に溶解し、これに 4-ヒドロキシ-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)ピペリジン430mg (1.76mol)、BOP 0.79g (1.76mol) および トリエチルアミン0.73mlを加え、媒体を室温で3時間攪拌する。酢酸エチル40 mlを加え、媒体を1N塩酸溶液、次いで1N水酸化ナトリウム溶液、次いで水で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去する。表題の化合物を油の形態で得る。
【0098】
1b) 1-[2-(2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-6-イル)エチル]-4-ヒドロキシ-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)ピペリジン
実施例1aで得られた生成物を無水THF 7 ml中に溶解し、媒体を還流下で加熱し、これにボラン-ジメチルサルファイドを加え、媒体を還流下で4時間加熱する。媒体を0〜5℃に冷却し、これにメタノール7 mlを注意深く加える。5分後、媒体を還流下で30分間加熱し、溶媒を留去し、残留物を水/アンモニア=1/1の混液中に採取し、媒体を酢酸エチルで抽出し、2層を分離し、有機相を水洗する。媒体を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去する。粗結晶生成物を2−プロピルエーテル中で精製する。表題の物質0.37gを得る。m.p. 154-156°C。
【0099】
1c) 1-[2-(2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-6-イル)エチル]-(4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンおよびその塩酸塩
前工程の生成物350mg (0.8 mmol)を酢酸10 ml中に溶解し、これに96%硫酸1mlを加え、この媒体を80℃で2時間加熱する。媒体を冷却し、これに濃NH4OHを加え、媒体を酢酸エチルで抽出する。媒体を水洗し、乾燥し、減圧下に蒸発させる。表題の化合物を得る。塩酸で飽和した2−プロパノール溶液を用いて塩酸塩を製造する。m.p. (塩酸塩) 264-266°C。
【0100】
実施例2
1-[2-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)エチル]-4-[3-トリフルオロメチルフェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンおよびその塩酸塩
【化29】

製造例3で得られた生成物をブタノール17 ml中に溶解する。これに4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン0.84g (3.2mmol) および炭酸カリウム0.9g (6.5mmol)を加え、媒体を還流下で5時間加熱する。溶媒を留去し、残留物を水洗する。これを塩化メチレンで抽出し、有機相を乾燥し、溶媒を減圧下に留去する。残留物をシクロヘキサン/酢酸エチル=8/2混液で溶出するシリカゲルカラムで精製する。表題の化合物を得る。塩酸で飽和した2−プロパノールを用いて塩酸塩を製造する。m.p. (塩酸塩) 252-255°C。
【0101】
実施例3
1-[2-(5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル)エチル]-4-[3-トリフルオロメチルフェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンおよびその塩酸塩
【化30】

製造例3の生成物の代わりに製造例4の生成物を用いて、実施例2に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。m.p. (塩酸塩): 263-267°C。
【0102】
実施例4
1-[2-(2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-6-イル)エチル]-4-(6-クロロピリド-2-イル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンおよびその塩酸塩
【化31】

4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンの代わりに4-(6-クロロピリド-2-イル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンを用いて、実施例1に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。m.p. (塩酸塩): 254-258°C。
【0103】
実施例5
1-[2-(2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-6-イル)エチル]-4-(6-トリフルオロメチルピリド-2-イル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンおよびその塩酸塩
【化32】

4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンの代わりに4-(6-トリフルオロメチルピリド-2-イル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンを用いて、実施例1に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。m.p. (塩酸塩): 264 - 267°C。
【0104】
実施例6
1-[3-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)プロピル]-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンおよびその塩酸塩
【化33】

製造例3の生成物の代わりに製造例5の生成物を用いて、実施例2に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。m.p. (塩酸塩): 192 - 195°C。
【0105】
実施例7
1-[4-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)ブチル]-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンおよびその塩酸塩
【化34】

製造例3の生成物の代わりに製造例6の生成物を用いて、実施例2に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。m.p. (塩酸塩): 198-200°C。
【0106】
実施例8
1-[2-(フロオレン-2-イル)エチル]-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンおよびその塩酸塩
【化35】

製造例3の生成物の代わりに製造例7の生成物を用いて、実施例2に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。m.p. (塩酸塩): 285-287°C。
【0107】
実施例9
1-[2-(9,10-ジヒドロフェナントレン-2-イル)エチル]-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンおよびその塩酸塩
【化36】

製造例3の生成物の代わりに製造例8の生成物を用いて、実施例2に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。M.p. (塩酸塩)256−258℃。
【0108】
実施例10
1-[2-(2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-6-イル)エチル]-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン 1-オキサイド
【化37】

m-クロロ過安息香酸0.27gを、塩化メチレン40 ml中の1-[2-(2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-6-イル)エチル]-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン0.47g (1.1mmol)の溶液に、0〜5℃で加える。媒体を0〜5℃で2時間続けて攪拌し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、2層を分離する。有機相を乾燥し、濾過し、減圧下に蒸留する。媒体をメタノール/酢酸エチル=1/1混液で溶出するクロマトグラフィで精製して、表題の物質を得る。m.p.: 116−117℃。
【0109】
実施例11
1-[2-(フルオレン-3-イル)エチル]-(4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンおよびその塩酸塩
【化38】

製造例2の生成物の代わりに製造例9の生成物を用いて、実施例1に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。m.p. (塩酸塩): 238-240°C。
【0110】
実施例12
1-[2-(2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ナフタレン-8-イル)エチル]-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンおよびその塩酸塩
【化39】

製造例2の生成物の代わりに製造例10の生成物を用いて、実施例1に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。m.p. (塩酸塩): 212 - 213°C。
【0111】
実施例13
1-[2-(5,6,7,8-テトラヒドロフェナントレン-3-イル)エチル]-(4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンおよびその塩酸塩
【化40】

製造例2の生成物の代わりに製造例11の生成物を用いて、実施例1に記載の工程を行うことにより、表題の化合物を得る。m.p. (塩酸塩): 222 - 224°C。
【0112】
実施例14
1-[2-(5,6,7,8-テトラヒドロアントラセン-2-イル)エチル]-(4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンおよびその塩酸塩
【化41】

製造例2の生成物の代わりに製造例12の生成物を用いて、実施例1に記載の方法を行うことにより、表題の化合物を得る。m.p. (塩酸塩): 252 - 253°C。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
XはNまたはCHを表し;
1 は水素もしくはハロゲン原子またはCF3基を表し;
nは1〜5の整数であり;
Aは式(a)〜(d):
【化2】

の基(ここで、mは1または2である)を表す]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくはそのテトラヒドロピリジン上のN−オキサイドを有効成分として含む医薬組成物。
【請求項2】
有効成分を0.001〜100mg含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
鎮痛剤および/または免疫および炎症性疾患の治療用医薬を製造するための、請求項1に記載の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくはテトラヒドロピリジン上のN−オキサイドの使用。
【請求項4】
請求項1に記載の式(I)の化合物の一つ、またはその塩、溶媒和物もしくはテトラヒドロピリジン上のN−オキサイドを含むことを特徴とする医薬。

【公開番号】特開2010−120961(P2010−120961A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33642(P2010−33642)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【分割の表示】特願2003−536206(P2003−536206)の分割
【原出願日】平成14年10月14日(2002.10.14)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】