説明

アラーム情報処理装置およびアラーム情報処理プログラム

【課題】アラーム履歴に記録されたアラーム内容を相互に関連付けるためのアラーム情報処理装置およびアラーム情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のアラームデータ処理装置は、患者の生体情報の異常または医療機器の異常に基づいて発生されたアラームに関するアラーム情報を複数読み込む読込部と、アラーム情報に含まれ、アラームの要因となった異常の内容を示すアラーム内容について、異なるアラーム情報に含まれる同一の当該アラーム内容同士を関連付ける制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラーム情報処理装置およびアラーム情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場において、異常を検出するためにアラームを発生させる医療機器が利用されている。アラームは、患者の健康状態についての異常または医療機器の一部に関する異常等が検出された時に発生され、アラームに従って医療従事者が患者を処置することにより、患者の生命または健康の維持が図られている。
【0003】
このようなアラームは、通常アラーム履歴として保存される。アラーム履歴を保存しておくことにより、医療従事者が発生している異常について対処するためだけではなく、患者から離れなくてはならない場合に患者の状態を事後的に正確に把握できる。
【0004】
これに関連する技術として、アラームの要因となった異常の内容(以下、アラーム内容という)を、発生した順にアラーム履歴(ログ)として記憶して、リスト表示させるものがある(たとえば、特許文献1)。ある異常とその異常が発生した時間とがリストとして表示されるので、いつ異常が発生したかが明確である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−131324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術によれば、アラーム内容は、その発生時間と関連付けられて、単に時系列に羅列されているだけである。異なる時間に発生したアラーム内容同士は、全く関連付けられていないので、関連性を一見して理解するには役立たない。これでは、過去に発生したアラームの発生状況を加味してアラームの再発性や法則等を検討することはできない。換言すると、せっかく取得したデータが統計的には処理されていない。
【0007】
本願発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、アラーム履歴に記録されたアラーム内容を相互に関連付けるためのアラーム情報処理装置およびアラーム情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るアラーム情報処理装置は、読込部と制御部とを有する。読込部は、患者の生体情報の異常または医療機器の異常に基づいて発生されたアラームに関するアラーム情報を複数読み込む。制御部は、当該アラーム情報に含まれ、当該アラームの要因となった異常の内容を示すアラーム内容について、異なるアラーム情報に含まれる同一の当該アラーム内容同士を関連付ける。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アラーム履歴に記録されたアラーム内容を相互に関連付けることができる。したがって、関連付けた過去のアラーム内容も加味して、アラーム発生の原因や、アラーム発生の防止のための改善や、アラーム発生の法則等を評価でき、医療環境の改善に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態にかかる生体情報モニタシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】アラーム情報およびアラーム内容の例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る生体情報モニタ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】アラーム情報を取得して、アラーム内容について関連付けおよび評価して、結果を表示するための処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る、表示用データの例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る、表示用データのその他の例を示す図である。
【図7】本実施形態に係る、表示用データのその他の例を示す図である。
【図8】本実施形態に係る、表示用データのその他の例を示す図である。
【図9】本実施形態に係る、アラーム発生状況についての評価の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の実施形態にかかる生体情報モニタシステムの全体構成を示すブロック図、図2はアラーム情報およびアラーム内容の例を示す図である。
【0013】
本実施形態に係る生体情報モニタシステム100は、生体情報モニタ装置10、セントラルモニタ装置20およびネットワーク30を含む。また、患者50は、プローブ等の生体情報を取得するためのセンサを装着され、生体情報モニタ装置10に接続される。
【0014】
生体情報モニタ装置10は、ベッドサイドモニタ等であり、各種生体情報を計測する。生体情報モニタ装置10によって計測される生体情報には、心電図(ECG)、動脈血酸素飽和度(SpO)、観血式血圧(IBP)、非観血式血圧(NIBP)、呼吸(RESP)、呼気および吸気の二酸化炭素量(CO)等がある。たとえば、ECGを計測する生体情報モニタ装置10は、不整脈または心拍数(HR)の上下限についての異常を、生体の異常を示すバイタルアラームとして検出する。また、当該生体情報モニタ装置10は、計測信号に内在するノイズがある場合または1つ以上の電極からの信号がない場合等、装置の技術的な異常をテクニカルアラームとして検出する。一方、SpOを計測する生体情報モニタ装置10は、SpOまたは脈拍数(PR)の上下限についての異常を、バイタルアラームとして検出する。また、当該生体情報モニタ装置10は、プローブからの信号または脈波が正常に受信されない場合、このような異常をテクニカルアラームとして検出する。このような生体情報の計測は、侵襲的または非侵襲的になされうる。
【0015】
異常を検出した場合、生体情報モニタ装置10は、アラームを発生する。同時に、アラームを発生させた異常についての情報が、アラーム情報として生体情報モニタ装置10に記憶される。記憶されるアラーム情報の例は、図2に示される通りである。図2に示されるように、アラーム情報40は、複数のアラーム内容40−1〜40−6等を含み、図示されるように行毎に時系列に並べて記憶される。40−1は、アラームが発生した時刻を示す。時刻は、秒単位まで記憶されてもよい。40−2は、アラームが発生した場所を示す。図示されるように、アラーム情報は、異なる場所の異なる生体情報モニタ装置10からアラーム情報を取得できる。40−3は、アラームを発生させた患者のベッドの識別番号を示す。なお、ベッド識別番号は、患者の識別情報(たとえば、患者の名前)でもよい。
【0016】
40−4は、生体情報モニタ装置10により計測された生体情報の計測値を示す。40−5は、生体情報モニタ装置10により検出された生体情報の異常に対応するアラームの内容を示す。たとえば、一パラメータとしてのECGに関連して、「不整脈」および「心拍数(HR)上下限」等の情報がアラーム内容として含まれる。また、SpOに関連して、「SpO上下限」および「PR上下限」等の情報がアラーム内容として含まれる。また、IBP、NIBP、RESPおよびCOに関連して、それぞれのパラメータの上下限等の情報がアラーム内容に含まれる。40−6は、発生したアラームが生体情報の異常に関するものかまたは技術上の異常に関するものかを示し、上述したバイタルアラームまたはテクニカルアラームかを示す。なお、ECGに関連するテクニカルアラームとして「解析不能」および「電極確認」、SpOに関連するテクニカルアラームとして「プローブ確認」、「脈波検出不能」および「外来光ノイズ」等の情報がアラーム内容に含まれる。また、テクニカルアラームのうち、いずれのパラメータにも関連しない内容として「電波切れ」等の内容が含まれてもよい。なお、アラーム情報には、アラームが発生してから解消されるまでの時間、医療従事者によりアラーム情報に対応する処置がなされたかの内容を含む情報が含まれてもよい。
【0017】
セントラルモニタ装置20は、ネットワーク30に接続された一以上の生体情報モニタ装置10からアラーム情報を取得する。セントラルモニタ装置20は、生体情報モニタ装置10の状態監視等の管理処理を実行する。また、セントラルモニタ装置20は、管理処理を実行しつつ、自身が生体情報を取得してアラーム情報処理を実行できるように構成されてもよい。セントラルモニタ装置20には、本実施形態に係るアラーム情報を処理するためのプログラムがインストールされており、アラーム内容を関連付ける処理を実行する。アラーム内容を関連付ける処理の手順については後述する。
【0018】
ネットワーク30は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によりコンピュータやネットワーク機器同士を接続したLAN(Local Area Network)や、LAN同士を専用線で接続したWAN(Wide Area Network)等からなる。なお、ネットワーク30に接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。たとえば、セントラルモニタ装置20により処理された結果を印刷出力するためのプリンタ、または処理結果を表示するためのPC(Personal Computer)や携帯端末等が接続されてもよい。
【0019】
なお、生体情報をセントラルモニタ装置20に送信して、セントラルモニタ装置20が上記生体情報モニタ装置10の機能を備えることもできる。
【0020】
図3は、本発明の実施形態に係る生体情報モニタ装置10の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る生体情報モニタ装置10は、センサ部11、信号処理部12、制御部13、記憶部14、操作部15、警報部16、表示部17および通信I/F(インタフェース)部18とを有する。これらは信号をやり取りするためのバスまたはケーブル等を介して相互に接続されている。
【0021】
センサ部11は、患者の生体に装着されて、生体から生体情報を取得する。たとえば、センサ部11は、電極パッド、トランスデューサを含むカテーテル、カフ、プローブ、またはカプノメータの光学センサ部分等である。センサ部11により取得された生体情報は、たとえばアナログ信号として信号処理部12に伝達される。
【0022】
信号処理部12は、センサ部11により取得された生体情報を受け取り、生体情報を処理する。たとえば、信号処理部12は、信号増幅、FFT(高速フーリエ変換)またはA/D変換等を実行し、制御部13により解釈可能な信号として生体信号に変換する。信号処理部12により処理された生体信号は、制御部13に伝達される。なお、生体情報は、信号処理部12を介することなく制御部13に伝達され、生体信号として受信されてもよい。
【0023】
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)等から構成される(いずれも不図示)。これらの構成要素は、制御部13の内部バスにより相互に接続されている。CPUは、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を実行する。ROMまたはRAMは、各種プログラムや各種データを格納する。制御部13の各機能は、各機能に対応するプログラムをCPUが実行することにより発揮される。たとえば、制御部13は、生体情報が閾値に達したかを判断し、閾値に達したと判断した場合に異常を検出し、アラームを発生する。同時に、制御部13は、当該異常を発生させたアラームに対応するアラーム情報を生成する。アラーム情報は、図2について上述のように、複数のアラーム内容を含み、ログとして記憶部14等に記憶される。また、制御部13は、同一のアラーム内容同士を関連付ける処理を実行し、同一のアラーム内容の発生回数を集計したり、集計により得られる結果に基づいてグラフ等の表示用のデータを作成したりする処理を実行する。また、制御部13は、時間に関する複数のアラーム内容を読み込んで、アラームが発生してから解消するまでの時間を演算できる。
【0024】
記憶部14は、フラッシュメモリまたはHDD(Hard Disk Drive)等から構成され、オペレーティングシステムを含む生体情報モニタ装置10の各構成要素を制御するための各種プログラムを記憶する。また、記憶部14は、生体情報に関するパラメータおよび各パラメータの閾値を記憶する。記憶部14は、当該閾値とセンサ部11により取得された生体情報とを比較して、生体情報が閾値に達したか否かを判断するためのプログラムが記憶されている。また、記憶部14は、アラーム情報内のアラーム内容を関連付けてアラームの発生回数をカウントするためのプログラム、アラームの発生回数に基づいて評価結果を表示するためのメッセージに関するデータ等を記憶する。また、記憶部14は、アラーム発生開始からアラーム解消までの時間をカウントするプログラムを記憶する。また、記憶部14は、全国的なアラーム発生状況についてのデータを保持する。
【0025】
操作部15は、ユーザによる種々の設定を受け付ける。たとえば、患者を担当する医療従事者による、生体情報についての閾値についての設定を受け付ける。また、操作部15は、アラーム情報について統計処理を実行するための期間、生体情報の種類または生体情報を処理した結果を表示するためのグラフの形態等に関するユーザによる設定を受け付ける。
【0026】
警報部16は、制御部13による判断に基づいて、警報を発する。具体的には、制御部13により生体信号が閾値に達したと判断される場合、制御部13による警報を発する指示が警報部16に伝達され、警報部16は警報を発する。なお、警報部16は、聴覚的または視覚的なアラームとして警告を発生させてもよい。
【0027】
表示部17は、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic Light Emitting Display)等の表示器であり、各種の情報を表示する。たとえば、表示部17は、制御部13により生成および送信される、生体情報の計測値についての画像データに基づいて、当該計測値と閾値とを表示できる。計測値と閾値は、たとえば折れ線グラフの形態に表示される。表示部17は、制御部13によって集計または集約されたアラーム情報についての統計処理の結果を表示できる。なお、表示部17は、タッチパネルとして構成され、操作部15と一体となるように構成されてもよい。また、表示部17は、警報部16による警告を表示できる。
【0028】
表示部17はまた、プリンタを備え、上記表示器に表示される各種の情報を必要に応じて適宜印刷して表示することができる。
【0029】
通信I/F部18は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber−Distributed Data Interface)等の規格によるネットワークインタフェース、またはシリアルインタフェース等である。通信I/F部18は、外部機器からの入力信号を受信し、受信した入力信号を制御部13に伝達する。外部機器とは、たとえば、生体情報モニタ装置10により取得される生体情報とは別の種類の生体情報を取得する医療機器、またはPC等である。
【0030】
なお、セントラルモニタ装置20は、生体情報モニタ装置10とほぼ同一の構成を有しうる。また、セントラルモニタ装置20は、自身により生成されたアラーム情報および生体情報モニタ装置10からネットワーク30を介して取得されたアラーム情報を取得する。また、セントラルモニタ装置20は、たとえばSNMP(Simple Network Management Protocl)により生体情報モニタ装置10を管理する場合、SNMPマネージャとして機能するためのアプリケーションがセントラルモニタ装置20に記憶される。この場合、生体情報モニタ装置10には、SNMPエージェントとして機能するためのアプリケーションが生体情報モニタ装置10に記憶される。
【0031】
なお、生体情報モニタ装置10およびセントラルモニタ装置20は、IHE(Integrating the Healthcare Enterprise)、HL7(Health Level Seven)またはDICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)等のプロトコル、またはSOAP(Simple Object Access Protocol)による通信可能に構成されてもよい。また、生体情報モニタ装置10およびセントラルモニタ装置20は、上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0032】
(アラーム内容を関連付けして集計および評価する処理)
次に、図4を参照して、セントラルモニタ装置が生体情報モニタ装置からアラーム情報を取得して、アラーム情報を読み込んでアラーム内容の関連付けを実行し、関連付けの集計結果の評価を表示するまでの処理について説明する。
【0033】
図4は、アラーム情報を取得して、アラーム内容について関連づけおよび評価して、結果を表示するための処理の手順を示すフローチャートである。図4に示されるように、まず、セントラルモニタにより生体情報モニタ装置からアラーム情報が取得される(ステップS11)。このステップでは、生体情報モニタ装置10に記憶されたアラームに関する情報が、セントラルモニタ装置20により取得される。取得されたアラーム情報は、適宜生体情報モニタ装置10の記憶部14に記憶される。
【0034】
続いて、記憶されたアラーム情報が読み込まれる(ステップS12)。このステップでは、ステップS11において取得されたアラーム情報が記憶部14等に記憶され、記憶されたアラーム情報が、読込部としての制御部13により読み込まれる。
【0035】
続いて、アラーム内容について関連付けが実行される(ステップS13)。このステップでは、ステップS12おいて読み込まれたアラーム情報に含まれるアラーム内容について、関連付けをする処理が実行される。たとえば、図2の41および42に示されるように、異なる2行のアラーム情報に、「SpO上下限」の共通するアラーム内容が含まれているので、当該アラーム内容を含むアラームの発生件数が集計される。この場合、「SpO上下限」を含むアラーム情報は2つであるので、集計結果として「2」が算出される。他のアラーム内容についても、同様にアラームの発生件数が集計されうる。なお、アラームの発生件数の集計は、期間別に実行されうる。任意の期間が、たとえば「2011/3/4〜2011/3/7」のように、操作部15等において指定されうる。
【0036】
続いて、表示用のデータが作成される(ステップS14)。このステップでは、ステップS13において集計された結果に基づいて、表示用のデータが作成される。表示用のデータとは、数値、図形、表、グラフ、色および文字を含む、表示するためのデータまたは印刷出力するためのデータである。具体的には、過去に発生したアラームの発生状況についてユーザが理解しやすい形態に、表示用のデータが作成される。表示用データの例については、図5〜図8に関連して後述する。
【0037】
続いて、集計結果が評価される(ステップS15)。このステップでは、ステップS14において作成されたデータに基づいて、評価が実行される。具体的には、表示用のデータの作成に加え、過去に発生したアラームの発生状況およびアラームに対する対処等についての評価がなされうる。このような評価は、ステップS14において作成されたデータに基づいて、たとえば予め準備されたメッセージを、データ値に対応付けることにより評価を表示させうる。評価の例については、図9に関連して後述する。
【0038】
(表示用データおよび評価結果)
次に、図5〜図9を参照して、本実施形態に係るアラーム発生状況を示す表示用データおよび評価結果について説明する。
【0039】
図5は、本実施形態に係る、表示用データの例を示す図である。図4に示されるように、本実施形態では、アラームの発生件数に関するデータが一見して理解しやすい形態に表現される。具体的には、ログに含まれるアラーム情報により示されるアラーム発生件数について、表およびグラフが生成される。501は、データが集計された場所、日付、期間、データ集計に使用された機器について等、表示用データ全体の概略を表す文字情報を示す。また、502の表は、バイタルアラームまたはテクニカルアラームのアラーム内容毎に、アラーム発生件数について集計されたデータを示す。また、502の円グラフは、バイタルアラームおよびテクニカルアラーム発生件数の割合を視覚的に示す。503の表は、床(ベッド)毎の1日当りの平均アラーム発生件数を示す。また、503の対数グラフは、当該平均アラーム発生件数をバイタルアラームとテクニカルアラームに対比させて示す。また、504の表は、パラメータ別にアラーム発生件数の集計数を示す。パラメータ毎のアラーム発生件数は、どのパラメータの異常が多発したのかが一見してわかるように、504の円グラフのように出力させうる。また、505の表は、アラーム内容が、パラメータ毎にバイタルアラームとテクニカルアラームとに分類され、さらにパラメータ毎の細かい内容に分類され、当該内容を含むアラームの発生件数の合計が示される。このような細かい内容毎のアラーム発生件数が一見してわかりやすいように、集計結果が505のようなレーダーチャートに示されうる。
【0040】
図6は、本実施形態に係る、表示用データのその他の例を示す図である。図6の601に示されるように、本実施形態では、所望の日の時間毎に、所望の週の日毎に、または所望の日の勤務時間帯毎にアラーム発生件数が集計される。602の棒グラフには、時間別のアラーム発生件数が、バイタルアラームおよびテクニカルアラームそれぞれに異なる色を付けて、合計して示されている。また、603には、勤務時間帯毎または曜日毎のアラーム発生件数が、円グラフまたは棒グラフにより示されている。
【0041】
図7は、本実施形態に係る、表示用データのその他の例を示す図である。本実施形態では、図6に示されるように、時間毎のアラーム発生件数を曜日毎のアラーム発生件数について1本の折れ線で表示することにより、時間および曜日におけるアラーム発生件数が同時に一見してわかるように表示される。
【0042】
図8は、本実施形態に係る、表示用データのその他の例を示す図である。図8の801に示されるように、アラーム発生件数が最も多かった日における、ベッド別のバイタルアラームおよびテクニカルアラームの発生件数が表示され、このデータが棒グラフによって表示されている。また、802に示されるように、アラームが発生してから解消されるまでの時間が最も長い時間であると分類されるアラームについて、アラーム発生から解消までの時間が示される。当該アラーム発生件数は、パラメータ毎に集計され、当該集計に基づいて棒グラフに集約されて出力される。なお、このようなアラームが発生してから解消されるまでの時間は、802の表に示されるように、バイタルアラームおよびテクニカルアラームについて関連付けすることにより集計され、表示用のデータが作成される。また、本実施形態では、アラーム発生件数の月単位の合計が前月の合計と比較され、803に示されるような対数グラフにより表示されうる。また、804に示されるように、テクニカルアラームとバイタルアラームとが対比されて、全国的なアラーム発生件数等のデータと共にグラフ表示されるようにしてもよい。
【0043】
図9は、本実施形態に係る、アラーム発生状況についての評価の例を示す図である。図9に示されるように、上述のように作成されたアラーム発生件数のデータに基づいて、評価がなされる。具体的には、当該データに基づいてアラーム指数が算出され、アラーム指数を基に評価がなされる。アラーム指数として、たとえば、1日1床当りのアラーム発生件数を利用することができる。当該アラーム指数を算出する際には、バイタルアラームまたはテクニカルアラームに適宜重み付け等をして算出してもよい。また、作成された結果データに基づいて、対応する適切な評価メッセージおよび評価マーク(図形)が出力される。当該評価メッセージは、たとえば、特定のパラメータついて、またはアラーム発生件数が多かった日または時間等に関連して表示されうる。たとえば、どういったアラーム件数が多かったのか、どの時間帯のどの場所のアラーム件数が多かったのかについて評価される。また、作成された結果データに基づいて、対処方法が出力されうる。たとえば、電極についてのテクニカルアラームが多かった場合、電極確認を促す旨のメッセージが出力される。
【0044】
以上のように、本実施形態では、ログとして記憶されたアラーム情報に含まれるアラーム内容毎に、同一のアラーム内容を含むアラーム情報が検索され、対応するアラーム情報が関連付けられる。そして、関連付けられたアラームの発生件数が集計される。このように、アラーム情報を関連付けして集計することにより、生体情報モニタ装置において異なる時間に発生した多数のアラームについての相互関連が、容易に理解できるように表示出力できる。また、作成された表示データに基づいて、評価および対処法が出力される。このような評価および対処法にしたがって処置することにより、過去に発生したアラームの発生状況を加味してアラームの再発性や法則等を検討でき、今後の医療処置を改善するための指針とすることができる。したがって、より安全かつ快適な医療処置を達成することに資する。
【0045】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0046】
本実施形態に係るアラーム情報処理プログラムは、セントラルモニタ装置にインストールされる形態に限定されない。ネットワーク30に接続されたPC等のコンピュータおよび携帯端末機器等に当該プログラムがインストールされ、PCまたは携帯端末によって実行されてもよい。また、表示された表、グラフおよび評価等の結果は、ネットワークまたはローカル接続されたプリンタによって印刷出力されるように構成してもよいし、生体情報モニタ装置10、セントラルモニタ装置20、PCまたは携帯端末機器の表示部に表示させてもよい。また、当該プログラムは、生体情報モニタ装置10にインストールされ、自身により発生されたアラームに基づいてアラーム情報を記憶して読み込み、当該アラーム情報に基づいてアラーム内容の関連付けを実行するように構成してもよい。
【0047】
ステップS11でアラーム情報が記憶される形態について述べた。しかし、これに限定されない。たとえば、アラーム情報が記憶されることなく、アラーム情報の取得の度に順次読み込まれても良い。
【0048】
上記実施形態では、集計および集約結果の表、評価結果およびグラフを例示した。しかし、例示した形態に限定されない。見やすいように色および形状等を適宜適用してもよい。
【0049】
本実施形態にかかる生体情報モニタシステムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、CD−ROMおよびUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、生体情報モニタシステムの一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 生体情報モニタ装置、
11 センサ部、
12 信号処理部、
13 制御部、
14 記憶部、
15 操作部、
16 警報部、
17 表示部、
18 通信I/F部、
20 セントラルモニタ装置、
30 ネットワーク、
100 生体情報モニタシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の生体情報の異常または医療機器の異常に基づいて発生されたアラームに関するアラーム情報を複数読み込む読込部と、
前記アラーム情報に含まれ、前記アラームの要因となった異常の内容を示すアラーム内容について、異なるアラーム情報に含まれる同一の当該アラーム内容同士を関連付ける制御部と、
を有するアラーム情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、同一の前記アラーム内容の発生回数を集計することで、前記アラーム内容同士を関連付ける請求項1に記載のアラーム情報処理装置。
【請求項3】
前記アラーム内容を関連付けた結果を、数値、図形、表、グラフ、色および文字の少なくとも一つにより表示する表示部をさらに有する請求項1または請求項2に記載のアラーム情報処理装置。
【請求項4】
前記アラーム情報は、前記アラームが発生した時間の情報も含み、
前記制御部は、所定の期間別に、同一の前記アラーム内容を関連付け、
前記表示部は、前記期間別に、前記結果を表示する請求項3に記載のアラーム情報処理装置。
【請求項5】
前記アラーム内容は、複数種類あり、
前記制御部は、アラーム内容の種類別に、当該アラーム内容同士を関連付け、
前記表示部は、アラーム内容の種類別に、前記結果を表示する請求項3に記載のアラーム情報処理装置。
【請求項6】
前記アラーム情報は、アラームが発生した場所の情報も含み、
前記制御部は、アラームの発生場所別に、同一の前記アラーム内容同士を関連付け、
前記表示部は、アラームの発生場所別に、前記結果を表示する請求項3に記載のアラーム情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記アラームが発生してから解消されるまでの時間を演算し、
前記制御部は、前記アラームの内容の種類別に、同一の前記アラーム内容を関連付け、
前記表示部は、前記アラームの内容の種類別に、前記アラームが発生してから解消されるまでの時間を表示する請求項5に記載のアラーム情報処理装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記アラーム内容に対する評価をさらに表示する請求項3〜7のいずれか一項に記載のアラーム情報処理装置。
【請求項9】
患者の生体情報の異常または医療機器の異常に基づいて発生されたアラームに関するアラーム情報を複数読み込む手順(a)と、
前記アラーム情報に含まれ前記アラームの要因となった異常の内容を示すアラーム内容について、異なるアラーム情報に含まれる同一の当該アラーム内容同士を関連付ける手順(b)と、
をコンピュータに実行させて、前記アラーム情報を処理するためのアラーム情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図5】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−205710(P2012−205710A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73059(P2011−73059)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】