説明

アリピプラゾールの粒径を小さくする方法

粒子形状を持つ微粉化アリピプラゾールII形であって、上記粒子の90%以上が約30μmの粒径を持ち、且つ、X線回折によって測定した場合に、上記微粉化アリピプラゾールII形が10重量%以下のアリピプラゾールC型しか含まないもの、並びにその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
当該出願は、本明細書によって援用される、2005年12月22日に出願された米国仮出願第60/752,466号の利益を主張する。
発明の属する技術分野
本願発明は、得られたアリピプラゾールの約10重量%以下しかアリピプラゾールC型に転移されない、アリピプラゾールII形の粒径を小さくする方法を含む。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術
統合失調症は、中枢神経系におけるドーパミン作動性神経系の過剰な神経伝達活性によって引き起こされる最も一般的なタイプの精神病である。中枢神経系内のドーパミン作動性受容体の神経伝達を遮断する多くの薬物が、統合失調症の治療における使用のために開発されてきた。開発された薬物の中には、フェノチアジン型化合物、例えば、クロルプロマジンなど、ブチロフェノン型化合物、例えば、ハロペリドールなど、及びベンズアミド型化合物、例えば、スルピリドなどがある。これらの薬物は、統合失調症の急性期における、いわゆる、陽性症状、例えば幻覚、妄想、及び興奮などを改善する。
【0003】
しかしながら、これらの薬物は、統合失調症の慢性期において観察される、いわゆる、陰性症状、例えば、感情鈍麻、感情的な落ち込み、及び精神作用減退などを改善するには有効でない。現在使用されている薬物は、線条体内のドーパミン作動性受容体の神経伝達を遮断することによって望ましくない副作用、例えば、静座不能、ジストニア、パーキンソン病運動障害、及び遅発性運動障害などを引き起こす。統合失調症の陰性及び陽性症状の両方を改善するが、統合失調症の望ましくない副作用を軽減する薬物が特に望ましい。
【0004】
化学式7-{4-[4-(2,3-ジクロロフェニル)-1-ピペラジニル]-ブトキシ}-3,4-ジヒドロ・カルボスチリル、又は7-{4-[4-(2,3-ジクロロフェニル)-1-ピペラジニル]-ブトキシ}-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノンによって表されるアリピプラゾールは、448.38の分子量と以下の構造を持つ:
【0005】
【化1】

【0006】
この分子は、Bristol-Myers SquibbによってAbility(登録商標)という名称で販売されている、統合失調症の治療において有効な、非定型向精神薬である。その治療用途は、米国特許第4,734,416号及び同第5,006,528号において開示されている。この向精神薬は、ドーパミンD2及びD3、セロトニン5-HT1A及び5-HT2A受容体に対する高親和性を示し;ドーパミンD4、セロトニン5-HT2C、及び5-HT7、α1-アドレナリン作動性、及びヒスタミンH1受容体に対する中程度の親和性を示し;並びにセロトニン再取り込み部位に対して中程度の親和性を示す。アリピプラゾールは、コリン作動性ムスカリン受容体に対してさほどの親和性を持たない。アリピプラゾールの有効性は、D2及び5-HT1A受容体における部分的アゴニスト活性、並びに5-HT2A受容体におけるアンタゴニスト活性の組合せを通じて仲介されると言われた。
【0007】
特開平02-191256号公報には、アリピプラゾール無水物結晶が、通常、エタノールからのアリピプラゾールの再結晶によって、又は80℃の温度にてアリピプラゾール水和物を加熱することによって製造されることが開示されている。WO 03/26659によると、これらの方法によって調製されたアリピプラゾール無水物はかなり吸湿性である。
【0008】
第4回日韓分離技術シンポジウム(1996年10月6日〜8日)の講演要旨集には、アリピプラゾール無水物結晶がI型及びII型結晶として存在しうることが開示されている。I型アリピプラゾール結晶は、エタノール溶液からアリピプラゾールを再結晶させることによって、又はアリピプラゾール水和物を80℃で加熱することによって調製できる。II型アリピプラゾール結晶は、I型結晶を130℃〜140℃で15時間、加熱することによって調製できる。この方法は、アリピプラゾール無水物の工業規模の調製に簡単には適用されない。
【0009】
PCT公開WO 03/26659は、無水アリピプラゾールA、B、C、D、E、F、及びG型の調製、並びにアリピプラゾール水和物Aを開示しているらしい。無水アリピプラゾールC型(本明細書中では「C型」)は、2θ=12.6°、13.7°、15.4°、18.1°、19.0°、20.6°、23.5°、及び26.4°に特徴的なピークを持つ粉末X線回折スペクトルを外観上の特徴とする。
【0010】
PCT公開WO 05/058835は、無水アリピプラゾール結晶形態、中でも、約16.5、18.7、21.9、22.4、及び23.5度の2θ、±0.2度の2θにおける粉末X線回折ピークを特徴とするII形を開示している。更に、C型を含めた他のアリピプラゾール結晶形態を40%未満しか含まない、より好ましくは、他のアリピプラゾール結晶形態を10重量%以下しか含まない、実質的に純粋なII形が開示されている。加えて、II形を加熱することがC型への転移につながることが開示されている。
【0011】
薬物製剤に必要な重要な工程は、製剤の均一性、崩壊、又は生物学的利用能を改善するための取り組みの中で、粒径分布を低くするための手段としてすりつぶすこと(grinding)、押し砕くこと(crushing)、及び製粉すること(milling)を伴う。アリピプラゾールII形の場合では、望ましくない多形転移が製剤化、そして、保存中の問題を引き起こす可能性があるので、多形完全性を維持したまま製粉する方法を開発することが特に重要である。従って、当該技術分野において、得られたアリピプラゾール中の多形転移の量を最小限にするか又はそれをなくす、アリピプラゾールII形の粒径を小さくする方法の必要性が存在する。
【発明の開示】
【0012】
本発明の概要
本発明の1つの態様は、粒子形状を持つ微粉化アリピプラゾールII形であって、上記粒子の90%以上が約30μmの粒径を持ち、且つ、X線回折によって測定した場合に、上記微粉化アリピプラゾールII形が10重量%以下のアリピプラゾールC型しか含まないものを含む。
【0013】
本発明の他の態様は、微粉化アリピプラゾールII形の製造方法であって、それによって、X線回折によって測定した場合に、上記微粉化アリピプラゾールII形が10重量%以下の量のアリピプラゾールC型しか含まず、且つ、ここで、上記微粉化アリピプラゾールの90%以上が約30μmの粒径を持つ上記方法を含む。
【0014】
本発明の更に他の態様は、アリピプラゾールII形を準備するステップを含むアリピプラゾールII形の粒径を小さくする方法;並びに粒状アリピプラゾールII形を得るためのアリピプラゾールII形の粒径を小さくする方法であって、ここで、粒径の縮小がボール・ミルを用いて実施されないことを条件に、アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC型の量からX線回折によって測定した場合に、上記粒状アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC型の量が10重量%以下である上記方法を含む。好ましくは、アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC型の量は、X線回折によって測定した場合に、5重量%以下、そして、より好ましくは、1重量%以下である。
好ましくは、アリピプラゾールII形の粒径の縮小は、コーン・ミル、乳鉢と乳棒、又は微粉砕機を用いて実施される。
【0015】
本発明の他の態様は、本発明の微粉化アリピプラゾールII形、及び1種類以上の医薬として許容される賦形剤、希釈剤、又は担体を含む医薬組成物を含む。
本発明の他の態様は、本発明の方法によって得られた微粉化アリピプラゾールII形、及び1種類以上の医薬として許容される賦形剤、希釈剤、又は担体を含む医薬組成物を含む。
【0016】
発明の詳細な説明
先に議論したように、薬物製剤に必要な重要な工程は、所望のサイズに固体材料の粒径を縮小するステップを伴う。この役割を果たすデバイスには:ボール又はメディア・ミル、コーン及びジャイレトリー・クラッシャー、ジェット又は流体エネルギー・ミルなどを含む。
【0017】
アリピプラゾールの粒径を縮小することは、アリピプラゾールの多形転移、又は非晶質アリピプラゾールの生成をもたらす可能性があり、且つ、II形は加熱によりC型への転移を生じることが知られているので、多形転移が無い、アリピプラゾールII形の平均粒径を縮小する方法の発見が望まれている。例えば、ボール・ミル法を使用してアリピプラゾールII形の粒子を作成する時、アリピプラゾールII形はアリピプラゾールC型に転移された。実施例5が、この望ましくない転移について例証している。製粉する間の、ある結晶形から他の結晶形へのこれらの転移は、アリピプラゾールの物理化学的、処方、及び加工パラメーターに影響を及ぼすので、望まれない。様々な多形体の混合物は、バッチ間の一貫性を要求する厳格なGMP要件の観点から容認できない変わりやすい特性を持つ可能性がある。本発明の方法は、C型への顕著な転移なしに安定したアリピプラゾールII形粒子をもたらし、その結果、GMP要件、例えば、バッチ間の一貫性などを満たす。
【0018】
本発明は、アリピプラゾールII形であって、X線回折によって測定した場合に、粒状アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC型の量が10重量%以下しか存在せず、且つ、上記粒子の90%以上が約30μmの粒径を持つものを含む。好ましくは、前記粒子の90%以上が約20μm、より好ましくは、10μmの粒径を持つ。好ましくは、X線回折によって測定した場合に、アリピプラゾールC型が5重量%以下、より好ましくは、1%以下しか存在しない。
【0019】
本発明は、加えて、大量のアリピプラゾールを調製する方法であって、粒子の90%以上が約30μmの粒径を持ち、且つ、X線回折によって測定した場合に、粒状アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC型の量が、10重量%以下である上記方法を含む。
【0020】
アリピプラゾールII形を微粉化する方法は、アリピプラゾールII形を準備し;そして、コーン・ミル、乳鉢と乳棒、又は微粉砕機を使用してアリピプラゾールII形を製粉し、粒状アリピプラゾールII形を得るステップを含み、ここで、アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC型の量に基づいてX線回折によって測定した場合に、粒状アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC型の量が10重量%以下である。
【0021】
製粉ステップは、約470ミクロンスクリーン〜830ミクロンスクリーンのサイズのミクロンスクリーンを使用したコニカル・ミルを用いてすりつぶすことによって達成されるかもしれない。コニカル・ミルを使用する時、製粉スピードは、約1315rpm〜約4710rpmである。好ましくは、470ミクロンスクリーンを使用する時、製粉スピードは約4710rpmである。好ましくは、830ミクロンスクリーンを使用する時、製粉スピードは約1315rpmである。
あるいは、製粉ステップは、約0.5分間〜10分間の、好ましくは、約1分間の、乳棒と乳鉢を用いた力強い手によるすりつぶしによって達成されるかもしれない。
【0022】
あるいは、製粉ステップは微粉砕機を用いたすりつぶしによって達成されてもよく、ここで、上記微粉砕機のエアーの設定は、約2.0bars〜約6.0barsの範囲にわたる給送用エアー、及び約1.0〜約5.0barsの範囲のすりつぶし用エアーである。製粉ステップは、約470ミクロンスクリーン〜830ミクロンスクリーンのサイズのミクロンスクリーンを使用し、且つ、約1315rpm〜約4710rpmの製粉スピードを使用したコニカル・ミルを用いて実施されてもよい。好ましくは、製粉ステップは470ミクロンスクリーンを使用したコニカル・ミルを用いて実施され、且つ、製粉スピードが約4710rpmであり、そして、より好ましくは、製粉ステップは830ミクロンスクリーン、且つ、約1315rpmの製粉スピードを使用したコニカル・ミルを用いて実施される。製粉ステップが微粉砕機を用いたすりつぶしによって実施される時、微粉砕機のエアーの設定が、約2.0bars〜約6.0barsの給送用エアー、且つ、約1.0〜約5.0barsの範囲のすりつぶし用エアーである。
【0023】
前記方法の出発アリピプラゾールII形は、本明細書中に援用されるPCT公開WO 05/058835、又は2004年12月16日に出願された米国出願第11/015,068号に記載の方法を使用して作り出すことができる。
【0024】
好ましくは、粒状アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC型の量は、X線回折によって測定された場合に、5重量%以下である。より好ましくは、粒状アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC型の量は、X線回折によって測定された場合に、1重量%以下である。好ましくは、出発アリピプラゾールII形は、アリピプラゾールC型の1重量%未満の増加を実現するために冷凍される。
好ましくは、前記粒子の90%以上が、約20μmの粒径を持ち、そして、より好ましくは、10μmの粒径を持つ。
【0025】
II形の中のC型の量は、アリピプラゾールII形とアリピプラゾールC型のピークの間のピークの高さの比を、基準と比較することによって測定される。アリピプラゾールII形のピークは、約20.4°の2θにあり、そして、アリピプラゾールC型のピークは、約20.8°の2θにある。すりつぶす前に、アリピプラゾールC型の初期量を決定するために、ピークの高さの比が基準と比較される。同様に、すりつぶした後に、アリピプラゾールC型の最終的な量を決定するために、再び、ピークの高さの比が基準と比較される。これにより、各ステップで、アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC型の量を定量化する。図6Bがこの方法を例証している。また、Polymorphism in Molecular Crystals, Joel Bernstein、117-125ページ(Oxford Science Publications、2002年)も参照のこと。特定の量のC型とII形を混合し、X線回折パターンを測定することによって、基準を準備することができる。
【0026】
この方法は、また、既知の混合物におけるピークの高さの間の比を計算するために使用される図6A及びBにおいて例証されている。3%、5%、10%、20%、及び30%のアリピプラゾールC型を含むアリピプラゾールII形の混合物が、高さの比をサンプル中のC型を重量%に変換するための基準として使用される。サンプル中のアリピプラゾールC型の増加率の測定は、すりつぶし前後のサンプルのXRD回折図形においてC型の割合を計算することによって達成される。
【0027】
このようにして、特定の好ましい態様及び以下の説明に役立つ実施例を参照して本発明について説明したので、当業者は、明細書中に開示された本発明の本質と範囲から逸脱することのない、記載及び例証された本発明に対する修飾を十分に理解するだろう。実施例は、本発明を理解する際の手助けとなるように示され、決して本発明の範囲を制限することを意図することなく、且つ、そのように解釈されるべきでない。実施例は、在来法の詳細な説明を含んでいない。そのような方法は、当業者に周知であり、そして、多数の刊行物に記載されている。
【実施例】
【0028】
機器
X線粉末回折データを、当該技術分野で知られている方法によって、例えば、1.5418Åの銅の放射線を使用した固体検出器を備えたSCINTAG粉末X線回折装置モデルX’TRAの使用などによって得た。バックグラウンドがゼロの丸いアルミニウム製の試料ホルダを使用した。走査パラメーターには、以下の:範囲:2〜40度の2θ;走査モード:連続走査;ステップ・サイズ:0.05度;及び3度/分の速度が含まれた。回転/発振モードでの運転。全てのピーク位置が±0.2度の2θの誤差で報告される。
【0029】
実施例1コーン・ミルによる製粉
A)アリピプラゾールII形(100g)を、470ミクロンスクリーン、及び4710rpmの製粉スピードを使用したコニカル・ミル(Quadro comil 197)により製粉した。製粉したサンプルを、XRDによって分析し、そして、5%未満のC型しか含まれていないことがわかった。
B)アリピプラゾールII形(100g)を、830ミクロンスクリーン、及び1315rpmの製粉スピードを使用することによって製粉した。製粉したサンプルを、XRDによって分析した。20.4°の2θにおけるピークの高さ(II形)と、20.8°の2θにおけるピークの高さ(C型)の比は約5であった。5という比と、6bに示される基準を比較することで、5重量%未満のC型しか存在しないことが示された(図1を参照のこと)。
【0030】
実施例2乳鉢と乳棒によるすりつぶし
アリピプラゾールII形(200mg)を、約1分間、乳鉢と乳棒を使用して激しくすりつぶした。サンプルをX線回折によって分析した。すりつぶす前のサンプルのXRD回折図形を、乳鉢と乳棒によってすりつぶした後のサンプルのXRD回折図形と比較して、20.8°の2θにおける小さなC型の特徴的なピークを示した。図2の印した矢印を参照のこと。20.4°の2θにおけるピークの高さ(II形)と、20.8°の2θにおけるピークの高さ(C型)の間の比は、約6であった。これにより、図6bに示された基準を使用して、6という比は、製粉サンプルが約5%未満のC型しか含んでいなかったことを示した。
【0031】
実施例3微粉砕機によるすりつぶし
A)アリピプラゾールII形(100g)を、5.0barsの給送用エアー及び4.0barsのすりつぶし用エアーの設定で微粉砕機(Micronizer Sturtevant 50mm)を使用して微粉化した。XRDによれば、製粉サンプルはC型を含まなかった。
B)アリピプラゾールII形(100g)を、3.0barsの給送用エアー及び2.0barsのすりつぶし用エアーの設定で微粉砕機(Micronizer Sturtevant 50mm)を使用して微粉化した。XRDによれば、製粉サンプルはC型を含まなかった。
C)アリピプラゾールII形(4kg)を、6.0barsの給送用エアー及び5.0barsのすりつぶし用エアーの設定で微粉砕機(Micronizer Sturtevant 50mm)を使用して微粉化した。サンプルをXRDによって分析した(図5)。XRDによれば、製粉サンプルはC型を含まなかった。
【0032】
微粉砕機によって製粉されたII形のXRD回折図形は、サンプルがII形として残っていることを示した(図5を参照のこと)。約20.8°の2θにてC型の特徴的なピークが検出されなかったという事実は、II形を微粉砕機を使用して製粉した時に、II形がC型に顕著に転移しなかったことを示した。
【0033】
実施例4冷凍したアリピプラゾールII形のコーン・ミルによる製粉
A)アリピプラゾールII形(100g)を、凍結するまで−10℃〜−20℃の凍結温度にて24時間、保存した。凍った材料を、470ミクロンスクリーン及び4710の製粉スピードを使用してコニカル・ミル(Quadro comil 197)により製粉した。
B)アリピプラゾールII形(100g)を、凍結するまで−10℃〜−20℃の凍結温度にて24時間、保存した。凍った材料を、830ミクロンスクリーン及び1315rpmの製粉スピードを使用してコニカル・ミルにより製粉した。
【0034】
どちらの場合も、製粉した形態のXRD回折図形は、製粉前のサンプルのXRD回折図形と同じであった。図4を参照のこと。約20.8°の2θにおけるC型の特徴的なピークは、製粉サンプルの回折図形において検出されず、あらゆる重要な尺度に関して、アリピプラゾールII形はこの方法によってC型に転移されなかったことを示した。
【0035】
実施例5比較例:ボール・ミルの使用:
アリピプラゾールII形(100g)を、580rpmで90分間、作動させた遠心式ボール・ミル(Retch S-100)により製粉した。製粉媒体は、250mmのステンレス・ジャー内の26のステンレス球であった。サンプルをXRDによって分析した。サンプルの製粉前後のXRD回折図形の比較は、C型の含有量の明らかな増加を示した。図3を参照のこと。すりつぶし後に、XRD回折図形は、サンプルの結晶度が低下したことを示すブロード・ピークを含んだ。従って、ボール・ミル手順は、行き過ぎた多形転移が望まれないアリピプラゾールに使用することができない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例1に記載のとおりにコニカル・ミルによってアリピプラゾールII形を製粉する前後のX線回折について例証する。
【図2】実施例2に記載のとおりに乳鉢と乳棒によってアリピプラゾールII形をすりつぶす前後のX線回折について例証する。
【図3】実施例5に記載のとおりにボール・ミルによってアリピプラゾールII形をすりつぶす前後のX線回折について例証する。
【図4】実施例4に記載のとおりにコーン・ミルによって凍らせたアリピプラゾールII形をすりつぶす前後のX線回折について例証する。
【図5】実施例3cに記載のとおりに微粉砕機によってアリピプラゾールII形をすりつぶす前後のX線回折について例証する。
【図6A】5%、10%、20%、及び30%のC型を含むII形に関するX線回折について例証する。20.8におけるC型の特徴的なピークが矢印によって示されている。
【図6B】13〜29度の領域を中心に、5%、10%、20%、及び30%のC型を含むII形に関するX線回折について例証する。(20.4度における)II形ピークの高さの間の比、及び(20.8度における)C型ピークの高さの間の比が、混合物に関して計算される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アリピプラゾールII形の粒径を小さくする方法であって、以下のステップ:
アリピプラゾールII形を準備し;そして
上記アリピプラゾールII形を、コーン・ミル、乳鉢と乳棒、又は微粉砕機を使用して製粉して、粒状アリピプラゾールII形を得る、
を含み、アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC形の量に基づいてX線回折によって測定した場合に、上記粒状アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC形の量が10重量%以下である前記方法。
【請求項2】
X線回折によって測定した場合に、前記粒状アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC形の量が、5重量%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
X線回折によって測定した場合に、前記粒状アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC形の量が、1重量%以下である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒状アリピプラゾールII形が約30μmの粒径を持つ、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒状アリピプラゾールII形が約20μmの粒径を持つ、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記製粉ステップを、約470ミクロンスクリーン〜830ミクロンスクリーンのサイズのミクロンスクリーン、及び約1315rpm〜約4710rpmの製粉スピードを使用したコニカル・ミルを用いて実施する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記製粉ステップを、470ミクロンスクリーンを使用し、且つ、製粉スピードが約4710rpmであるコニカル・ミルを用いて実施する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記製粉ステップを、830ミクロンスクリーン、及び約1315rpmの製粉スピードを使用したコニカル・ミルを用いて実施する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記製粉ステップを微粉砕機を用いてすりつぶすことによって実施し、上記微粉砕機のエアー設定が、約2.0bars〜約6.0barsの給送用エアー、及び約1.0〜約5.0barsの範囲のすりつぶし用エアーである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記粒状アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC形の量を、20.4°の2θにおけるアリピプラゾールII形と、20.8°の2θにおけるアリピプラゾールC形のピークとのピークの高さの比を比較し、そして、図6Bとその比を比較することによって測定する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
粒子形状を持つ微粉化アリピプラゾールII形であって、上記粒子の90%以上が約30μmの粒径を持ち、且つ、X線回折によって測定した場合に、上記微粉化アリピプラゾールII形が10重量%以下のアリピプラゾールC型しか含まないもの。
【請求項12】
X線回折によって測定した場合に、前記粒状アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC型の量が、5重量%以下しか存在しない、請求項11に記載の微粉化アリピプラゾールII形。
【請求項13】
X線回折によって測定した場合に、前記粒状アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC型の量が、1重量%以下しか存在しない、請求項11に記載の微粉化アリピプラゾールII形。
【請求項14】
前記粒径が約20μmである、請求項11〜13のいずれか1項に記載の微粉化アリピプラゾールII形。
【請求項15】
粒子形状を持つ微粉化アリピプラゾールII形であって、上記粒子の90%以上が約30μmの粒径を持ち、且つ、X線回折によって測定した場合に、上記微粉化アリピプラゾールII形が10重量%以下のアリピプラゾールC型しか含まないもの、及び少なくとも1種類の医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項16】
X線回折によって測定した場合に、前記粒状アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC型の量が、5重量%以下しか存在しない、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項17】
X線回折によって測定した場合に、前記粒状アリピプラゾールII形の中のアリピプラゾールC型の量が、1重量%以下しか存在しない、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項18】
前記粒径が約20μmである、請求項15〜17のいずれか1項に記載の医薬製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2008−537540(P2008−537540A)
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556441(P2007−556441)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/048761
【国際公開番号】WO2007/075871
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】