説明

アリピプラゾール無水物結晶、それらの製造方法及びそれらを含む製剤

【課題】本発明は、アリピプラゾール無水物結晶を含有する医薬製剤を長期間保存した場合においても、水和物に変化し難く、溶出性が実質的に低下しないアリピプラゾール無水物結晶を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明のアリピプラゾール無水物結晶は、例えば図9に示されるH−NMRスペクトルと同じH−NMRスペクトル、図10に示される粉末X線回析スペクトルと同じ粉末X線回析スペクトル、図11に示されるIR(KBr)スペクトルと同じIRスペクトルを示す。本発明のアリピプラゾール無水物結晶は、低吸湿性であり、長期間保存した場合においても、水和物に変化し難い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアリピプラゾール無水物結晶、それらの製造方法及びそれらを含む製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アリピプラゾール、即ち7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロカルボスチリル又は7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノンは、精神分裂病の治療に有用な非定型抗精神病薬である(米国特許第4,734,416号明細書(特許文献1)及び米国特許第5,006,528号明細書(特許文献2))。
【0003】
精神分裂病は、一般的なタイプの精神病であり、妄想、幻覚及び他者からの徹底的引きこもりを特徴とする。精神分裂病の兆候は、概して16から25歳の間に起こり、世界中で100人に1人に発症する。アルツハイマー病、多発性硬化症、インシュリン依存性糖尿病及び筋ジストロフィーよりも多く見られる。早期検診及び治療により、回復及び結果を著しく改善することができる。更に、早期の治療的介入により、費用のかかる入院を避けることができる。
【0004】
特開平2−191256号公報(特許文献3)の実施例1によれば、アリピプラゾール無水物結晶は、例えば7−(4−ブロモブトキシ)−3,4−ジヒドロカルボスチリルと1−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジンとを反応させ、得られる粗アリピプラゾール無水物をエタノールにて再結晶することにより製造されている。
【0005】
また、第4回日韓合同分離技術シンポジウム(1996年10月6日〜8日)講演要旨集(非特許文献1)によれば、アリピプラゾール無水物結晶は、アリピプラゾール水和物を80℃で加熱することにより製造されている。しかしながら、上記の方法で得られるアリピプラゾール無水物結晶は、吸湿性が高いという欠点を有している。
【0006】
これらの結晶は、処理及び処方の過程で湿気に曝されないようにするために高価で厄介な測定を行わなければならず、その吸湿性により取り扱いが困難となっている。アリピプラゾール無水物結晶は、湿気に曝されると、水分を帯びてアリピプラゾール水和物に変化し、このことが幾つかの欠点を示す。第一に、アリピプラゾール水和物は、アリピプラゾール無水物に比べて生体利用度が低く溶出性が低いという欠点を有する。第二に、アリピプラゾール無水物に対するアリピプラゾール水和物のバッチ間の変動は、薬物管理機関が定めた規格を満たさない可能性がある。第三に、粉砕によって薬物すなわちアリピプラゾール無水物が製造装置に付着することがあり、更にこの結果、処理の遅れ、オペレータの関与の増加、コストの増大、維持費の増大及び生産量の低下につながり得る。第四に、これら吸湿性無水物を処理する間に水分の導入が引き起こす問題のほかに、保存及び取り扱い時に吸湿する可能性は、アリピプラゾール薬物の溶出性に悪影響を与える。従って、製品の保存安定性は著しく低下し、及び/又は包装コストが著しく増加し得る。低吸湿性型のアリピプラゾールを見い出すことが非常に好ましく、これにより、保存安定性が高められ適切な溶出性及び適切な生体利用度を備えたアリピプラゾール医薬製品の単位服用量を生産するのに必要な、薬剤学的処理及び処方操作が容易となる。
【0007】
また、第4回日韓合同分離技術シンポジウム(1996年10月6日〜8日)講演要旨集は、アリピプラゾール無水物結晶にはI形結晶とII形結晶とが存在すること、アリピプラゾールのエタノール溶液から再結晶するか、アリピプラゾール水和物を80℃で加熱することによりアリピプラゾール無水物I形結晶が製造されること、及びアリピプラゾール無水物I形結晶を130〜140℃で15時間加熱することによりアリピプラゾール無水物II形結晶が製造されることを開示している。
【0008】
上記方法では、アリピプラゾール無水物II形結晶を、工業的規模で再現性よく、しかも高純度で製造することが困難である。
【特許文献1】米国特許第4,734,416号明細書、第1欄第10〜56行、第3欄第16〜17行
【特許文献2】米国特許第5,006,528号明細書、第1欄第51行〜第2欄第2行、第3欄第26〜43行、第10欄第64行〜第11欄第11行
【特許文献3】特開平2−191256号公報、実施例1
【非特許文献1】青木聡之ほか(Satoshi Aoki et al.), 「アリピプラゾールの結晶変形に関する研究(Study on Crystal Transformation of Aripiprazol), 第4回日韓合同分離技術シンポジウム(1996年10月6日〜8日)講演要旨集、第937〜940頁(発行:日本国)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、新規なアリピプラゾール無水物結晶を提供することである。
【0010】
本発明の他の課題は、アリピプラゾール無水物結晶を含有する医薬製剤を長期間保存した場合においても、水和物に変化し難く、溶出性が実質的に低下しないアリピプラゾール無水物結晶を提供することである。
【0011】
本発明の他の課題は、工業的規模で再現性よく、しかも高純度で製造することができるアリピプラゾール無水物結晶の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねてきた。その結果、公知のアリピプラゾール水和物を粉砕すると、ピーク強度の異なる粉末X線回析スペクトルを有するアリピプラゾール水和物(以下、「アリピプラゾール水和物A」という)に変化することを見い出した。更に、熱重量測定/示差熱分析において、未粉砕の公知のアリピプラゾール水和物に特徴的な123.5℃のシャープな脱水吸熱ピークが、アリピプラゾール水和物Aでは消失することを見い出した。このように、公知のアリピプラゾール水和物は、これを粉砕するとアリピプラゾール水和物Aに変化し、約71℃に弱いピークを持ち約60℃から約120℃までのなだらかな脱水吸熱ピークを示す。
【0013】
また、本発明者は、この新規アリピプラゾール水和物Aを所定温度90〜125℃まで3〜50時間加熱し、緩やかに脱水することにより、公知のアリピプラゾール水和物では急激な脱水が原因で起こると考えられる凝集現象を回避できること、及び新規アリピプラゾール水和物Aを所定温度に加熱して得られるアリピプラゾール無水物結晶が所望の性質を備えたアリピプラゾール無水物結晶であることを見い出した。驚くべきことに、公知のアリピプラゾール水和物が初め加熱され、次いで粉砕されると、多量の凝集が起こり、引続く処理工程は工業的に不適になる。
【0014】
更に、本発明者は、公知のアリピプラゾール無水物を特定温度に加熱することにより、所望のアリピプラゾール無水物結晶が得られることを見い出した。また、本発明者は、公知のアリピプラゾール無水物を特定の溶媒を用いて再結晶することにより、所望のアリピプラゾール無水物結晶が得られることを見い出した。更に、本発明者は、公知のアリピプラゾール無水物を特定の溶媒に懸濁させ、得られる懸濁液を加熱することにより、所望のアリピプラゾール無水物結晶が得られることを見い出した。更に、アリピプラゾール無水物の溶融物(ガラス体)を密封容器中、室温で少なくとも二週間以上放置することにより、所望のアリピプラゾール無水物結晶が得られることを見い出した。
【0015】
従って、本発明によれば、吸湿性が低く薬剤学的処理及び処方に一層適した種類のアリピプラゾールが提供される。
【0016】
本発明は、これらの知見に基づき完成されたものである。
【0017】
本発明の第一側面の第一態様によれば、粉末X線回折スペクトルが図3に示す粉末X線回折スペクトルと実質的に同じアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0018】
本発明の第一側面の他の態様によれば、粉末X線回折スペクトルが2θ=12.6°,15.4°,17.3°,18.0°,18.6°,22.5°及び24.8°に特徴的なピークを有するアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0019】
本発明の第一側面の他の態様によれば、IR(KBr)スペクトルにおいて、2951、2822、1692、1577、1447、1378、1187、963及び784cm−1に特有の赤外線吸収バンドを有するアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0020】
本発明の第一側面の他の態様によれば、H−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)が図2に示すH−NMRスペクトルと実質的に同じアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0021】
本発明の第一側面の他の態様によれば、H−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)において、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)に特徴的なピークを有するアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0022】
本発明の第一側面の他の態様によれば、図1の熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有するアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0023】
本発明の第一側面の他の態様によれば、平均粒子径が50μm以下であるアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0024】
本発明の第一側面の他の態様によれば、平均粒子径が40μm以下であるアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0025】
本発明の第一側面の他の態様によれば、平均粒子径が35μm以下であるアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0026】
本発明の第一側面の他の態様によれば、平均粒子径が30μm以下であるアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0027】
本発明の第一側面の他の態様によれば、平均粒子径が25μm以下であるアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0028】
本発明の第一側面の他の態様によれば、平均粒子径が20μm以下であるアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0029】
本発明の第一側面の他の態様によれば、平均粒子径の範囲が40から10μmであるアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0030】
本発明の第一側面の他の態様によれば、平均粒子径の範囲が36から14μmであるアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0031】
本発明の第二側面によれば、公知のアリピプラゾール水和物の粉砕工程を含むアリピプラゾール水和物Aの製造方法が提供される。
【0032】
本発明の第二側面の第一態様によれば、公知のアリピプラゾール水和物の粉砕工程を含み、粉砕が粉砕機により行われるアリピプラゾール水和物Aの製造方法が提供される。
【0033】
本発明の第二側面の他の態様によれば、公知のアリピプラゾール水和物の粉砕工程を含み、粉砕機がアトマイザー、ピンミル、ジェットミル又はボールミルであるアリピプラゾール水和物Aの製造方法が提供される。
【0034】
本発明の第二側面の他の態様によれば、公知のアリピプラゾール水和物の粉砕工程を含み、粉砕機がアトマイザーであるアリピプラゾール水和物Aの製造方法が提供される。
【0035】
本発明の第二側面の他の態様によれば、公知のアリピプラゾール水和物の粉砕工程を含み、粉砕機は主軸回転数が5000〜15000rpm、送り回転数が10〜30rpm、スクリーンの孔径が1〜5mmであるアトマイザーであるアリピプラゾール水和物Aの製造方法が提供される。
【0036】
本発明の第三側面の態様によれば、上記で示す1種又は2種以上の態様により定義される、上記方法で製造されるアリピプラゾール水和物Aが提供される。
【0037】
本発明の第四側面によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物が提供される。
【0038】
本発明の第四側面の第一態様によれば、温度60℃、湿度100%に保持されたデシケーター中で該薬物を24時間放置した後の水分含有量0.5%以下である低吸湿性のアリピプラゾール薬物が提供される。
【0039】
本発明の第四側面の他の態様によれば、温度60℃、湿度100%に保持されたデシケーター中で該薬物を24時間放置した後の水分含有量0.4%以下である低吸湿性のアリピプラゾール薬物が提供される。
【0040】
本発明の第四側面の他の態様によれば、温度60℃、湿度100%に保持されたデシケーター中で該薬物を24時間放置した後の水分含有量0.25%以下である低吸湿性のアリピプラゾール薬物が提供される。
【0041】
本発明の第四側面の他の態様によれば、温度60℃、湿度100%に保持されたデシケーター中で該薬物を24時間放置した後の水分含有量0.15%以下である低吸湿性のアリピプラゾール薬物が提供される。
【0042】
本発明の第四側面の他の態様によれば、温度60℃、湿度100%に保持されたデシケーター中で該薬物を24時間放置した後の水分含有量0.10%以下である低吸湿性のアリピプラゾール薬物が提供される。
【0043】
本発明の第四側面の他の態様によれば、温度60℃、湿度100%に保持されたデシケーター中で該薬物を24時間放置した後の水分含有量0.05%以下である低吸湿性のアリピプラゾール薬物が提供される。
【0044】
本発明の第四側面の他の態様によれば、温度60℃、湿度100%に保持されたデシケーター中で該薬物を24時間放置した後の水分含有量0.04%以下である低吸湿性のアリピプラゾール薬物が提供される。
【0045】
本発明の第四側面の他の態様によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物がアリピプラゾール無水物B形結晶であるアリピプラゾール薬物が提供される。
【0046】
本発明の第四側面の他の態様によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物が、図5に示される粉末X線回析スペクトルと実質的に同じ粉末X線回析スペクトルを有する低吸湿性のアリピプラゾール無水物B形結晶である上記薬物が提供される。
【0047】
本発明の第四側面の他の態様によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物が、粉末X線回析スペクトルにおいて、2θ=11.0°、16.6°、19.3°、20.3°及び22.1°において特徴的なピークを有する低吸湿性のアリピプラゾールB形結晶である上記薬物が提供される。
【0048】
本発明の第四側面の他の態様によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物が、IR(KBr)スペクトルにおいて、2945、2812、1678、1627、1448,1377、1173,960及び779cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有する低吸湿性のアリピプラゾールB形結晶である上記薬物が提供される。
【0049】
本発明の第四側面の他の態様によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物が、図4に示されるH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)と実質的に同じH−NMRスペクトルを有する低吸湿性のアリピプラゾールB形結晶である上記薬物が提供される。
【0050】
本発明の第四側面の他の態様によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物が、H−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)において、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)において特徴的なピークを有する低吸湿性のアリピプラゾールB形結晶である上記薬物が提供される。
【0051】
本発明の第四側面の他の態様によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物が、熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)で約141.5℃付近に吸熱ピークを示す低吸湿性のアリピプラゾールB形結晶である上記薬物が提供される。
【0052】
本発明の第四側面の他の態様によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物が、示差走査熱量分析(昇温速度5℃/分)で約140.7℃付近に吸熱ピークを示す低吸湿性のアリピプラゾールB形結晶である上記薬物が提供される。
【0053】
本発明の第四側面の他の態様によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物が、相対湿度(RH)60%、温度25℃で1年間以上保存した場合でも、アリピプラゾール水和物に実質的に変化しない低吸湿性のアリピプラゾールB形結晶である上記薬物が提供される。
【0054】
本発明の第四側面の他の態様によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物が、相対湿度(RH)60%、温度25℃で4年間以上保存した場合でも、アリピプラゾール水和物に実質的に変化しない低吸湿性のアリピプラゾールB形結晶である上記薬物が提供される。
【0055】
本発明の第四側面の他の態様によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物が、相対湿度(RH)75%、温度40℃で0.5年間以上保存した場合でも、アリピプラゾール水和物に実質的に変化しない低吸湿性のアリピプラゾールB形結晶である上記薬物が提供される。
【0056】
本発明の第四側面の他の態様によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物が、錠剤等の製剤及び例えばフラッシュメルト製剤を含む他の固形投与製剤用に要求される平均粒子径50μm以下の低吸湿性のアリピプラゾールB形結晶である上記薬物が提供される。
【0057】
本発明の第四側面の他の態様によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物が、錠剤等の製剤及び例えばフラッシュメルト製剤を含む他の固形投与製剤用に要求される平均粒子径40μm以下の低吸湿性のアリピプラゾールB形結晶である上記薬物が提供される。
【0058】
本発明の第四側面の他の態様によれば、低吸湿性のアリピプラゾール薬物が、錠剤等の製剤及び例えばフラッシュメルト製剤を含む他の固形投与製剤用に要求される平均粒子径30μm以下の低吸湿性のアリピプラゾールB形結晶である上記薬物が提供される。
【0059】
本発明の第五側面によれば、アリピプラゾール無水物B形結晶の製造方法が提供される。
【0060】
本発明の第五側面の第一態様によれば、アリピプラゾール水和物Aを加熱することを含むアリピプラゾール無水物B形結晶の製造方法が提供される。
【0061】
本発明の第五側面の他の態様によれば、アリピプラゾール水和物Aを90〜125℃で約3〜約50時間加熱することを含むアリピプラゾール無水物B形結晶の製造方法が提供される。
【0062】
本発明の第五側面の他の態様によれば、アリピプラゾール水和物Aを100℃で約18時間加熱することを含むアリピプラゾール無水物B形結晶の製造方法が提供される。
【0063】
本発明の第五側面の他の態様によれば、アリピプラゾール水和物Aを100℃で約24時間加熱することを含むアリピプラゾール無水物B形結晶の製造方法が提供される。
【0064】
本発明の第五側面の他の態様によれば、アリピプラゾール水和物Aを120℃で約3時間加熱することを含むアリピプラゾール無水物B形結晶の製造方法が提供される。
【0065】
本発明の第五側面の他の態様によれば、アリピプラゾール水和物Aを100℃で約18時間加熱し次いで120℃で約3時間加熱することを含むアリピプラゾール無水物B形結晶の製造方法が提供される。
【0066】
本発明の第六側面の態様によれば、上記で示す1種又は2種以上の態様により定義される、上記方法で製造されるアリピプラゾール無水物B形結晶が提供される。
【0067】
本発明の第七側面によれば、1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体と配合されたアリピプラゾール無水物B形結晶が提供される。
【0068】
本発明の他の態様は、ここに開示する態様及び/又は側面の2つ又はそれ以上の適当な組み合わせを含んでいてもよい。
【0069】
本発明の要旨を以下に示す。
【0070】
1. 図3に示される粉末X線回析スペクトルと実質的に同じ粉末X線回析スペクトルを有するアリピプラゾール水和物A。
【0071】
2. 粉末X線回析スペクトルにおいて、2θ=12.6°、15.4°、17.3°、18.0°、18.6°、22.5°及び24.8°に特徴的なピークを有するアリピプラゾール水和物A。
【0072】
3. IR(KBr)スペクトルにおいて、2951、2822、1692、1577、1447、1378、1187、963及び784cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有するアリピプラゾール水和物A。
【0073】
4. 図1に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有するアリピプラゾール水和物A。
【0074】
5. 平均粒子径が50μm以下であるアリピプラゾール水和物A。
【0075】
6. 平均粒子径が36〜14μmの範囲であるアリピプラゾール水和物A。
【0076】
7. 図3に示される粉末X線回析スペクトルと実質的に同じ粉末X線回析スペクトル;
IR(KBr)スペクトルにおいて、2951、2822、1692、1577、1447、1378、1187、963及び784cm−1に顕著な赤外線吸収バンド;
図1に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線;及び
50μm以下の平均粒子径
を有するアリピプラゾール水和物A。
【0077】
8. アリピプラゾール水和物を平均粒子径50μm以下まで粉砕することを含む水和物Aの製造方法。
【0078】
9. 主軸回転数が5000〜15000rpm、送り回転数が10〜30rpm、スクリーンの孔径が1〜5mmであるアトマイザーを用いて粉砕を行う、上記8に記載の水和物Aの製造方法。
【0079】
10. アリピプラゾール水和物を平均粒子径50μm以下まで粉砕することを含む方法に従い製造されるアリピプラゾール水和物A。
【0080】
11. 主軸回転数が5000〜15000rpm、送り回転数が10〜30rpm、スクリーンの孔径が1〜5mmであるアトマイザーを用いて、アリピプラゾール水和物を平均粒子径50μm以下まで粉砕することを含む方法に従い製造されるアリピプラゾール水和物A。
【0081】
12. 温度60℃、湿度100%に保持されたデシケーター中で薬物を24時間放置した後の水分含有量が0.40%以下である、低吸湿性アリピプラゾール薬物。
【0082】
13. 温度60℃、湿度100%に保持されたデシケーター中で薬物を24時間放置した後の水分含有量が0.40%以下である、低吸湿性アリピプラゾール無水物B形結晶。
【0083】
14. 温度60℃、湿度100%に保持されたデシケーター中で薬物を24時間放置した後の水分含有量が0.10%以下である、低吸湿性アリピプラゾール薬物。
【0084】
15. 温度60℃、湿度100%に保持されたデシケーター中で薬物を24時間放置した後の水分含有量が0.10%以下である、低吸湿性アリピプラゾール無水物B形結晶。
【0085】
16. 図5に示される粉末X線回析スペクトルと実質的に同じ粉末X線回析スペクトルを有するアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0086】
17. 粉末X線回析スペクトルにおいて、2θ=11.0°、16.6°、19.3°、20.3°及び22.1°に特徴的なピークを有するアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0087】
18. IR(KBr)スペクトルにおいて、2945、2812、1678、1627、1448、1377、1173、960及び779cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有するアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0088】
19. 熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)において、約141.5℃付近に吸熱ピークを示すアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0089】
20. 示差走査熱量分析(昇温速度5℃/分)において、約140.7℃付近に吸熱ピークを示すアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0090】
21. 相対湿度(RH)60%、温度25℃で保存した時であっても、4年以上の長期間に亘りアリピプラゾール水和物に実質的に変化しない、アリピプラゾール無水物B形結晶。
【0091】
22. 平均粒子径が50μm以下であるアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0092】
23. 平均粒子径が30μm以下であるアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0093】
24. 上記16及び18乃至22に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0094】
25. 上記17乃至22に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0095】
26. 上記13、16、18乃至20、及び22に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0096】
27. 上記15、16、18乃至20、及び22に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0097】
28. 上記13、17乃至20、及び22に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0098】
29. 上記15、17乃至20、及び22に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0099】
30. アリピプラゾール水和物Aを加熱することを含む、アリピプラゾール無水物B形結晶の製造方法。
【0100】
31. アリピプラゾール水和物Aを90〜125℃で約3〜約50時間加熱することを含む、アリピプラゾール無水物B形結晶の製造方法。
【0101】
32. アリピプラゾール水和物Aを100℃で約18時間加熱することを含む、アリピプラゾール無水物B形結晶の製造方法。
【0102】
33. アリピプラゾール水和物Aを100℃で約24時間加熱することを含む、アリピプラゾール無水物B形結晶の製造方法。
【0103】
34. アリピプラゾール水和物Aを120℃で約3時間加熱することを含む、アリピプラゾール無水物B形結晶の製造方法。
【0104】
35. アリピプラゾール水和物Aを100℃で約18時間加熱し、更に120℃で約3時間加熱することを含む、アリピプラゾール無水物B形結晶の製造方法。
【0105】
36. アリピプラゾール水和物Aを100℃で約18時間加熱し、更に120℃で約3時間加熱することを含む方法により製造される上記24乃至29のいずれかに記載のアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0106】
37. 1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体と配合された、上記24乃至29のいずれかに記載のアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0107】
38. 1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体と配合されて固形経口錠剤を形成する、上記24乃至29のいずれかに記載のアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0108】
39. 1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体と配合されて経口フラッシュメルト錠剤を形成する、上記24乃至29のいずれかに記載のアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0109】
40. 上記7に記載のアリピプラゾール水和物Aを加熱することを含む、上記26に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含有する医薬固形経口製剤の製造方法。
【0110】
41. 上記7に記載のアリピプラゾール水和物Aを90〜125℃で約3〜約50時間加熱することを含む、上記26に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含有する医薬固形経口製剤の製造方法。
【0111】
42. 上記7に記載のアリピプラゾール水和物Aを加熱することを含む、上記27に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含有する医薬固形経口製剤の製造方法。
【0112】
43. 上記7に記載のアリピプラゾール水和物Aを90〜125℃で約3〜約50時間加熱することを含む、上記27に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含有する医薬固形経口製剤の製造方法。
【0113】
44. 上記7に記載のアリピプラゾール水和物Aを加熱することを含む、上記28に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含有する医薬固形経口製剤の製造方法。
【0114】
45. 上記7に記載のアリピプラゾール水和物Aを90〜125℃で約3〜約50時間加熱することを含む、上記28に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含有する医薬固形経口製剤の製造方法。
【0115】
46. 上記7に記載のアリピプラゾール水和物Aを加熱することを含む、上記29に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含有する医薬固形経口製剤の製造方法。
【0116】
47. 上記7に記載のアリピプラゾール水和物Aを90〜125℃で約3〜約50時間加熱することを含む、上記29に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含有する医薬固形経口製剤の製造方法。
【0117】
48. 相対湿度(RH)60%、温度25℃で1年以上の長期間保存した時であっても、アリピプラゾール水和物に実質的に変化しない、アリピプラゾール無水物B形結晶。
【0118】
49. 相対湿度(RH)75%、温度40℃で0.5年以上の長期間保存したときであっても、アリピプラゾール水和物に実質的に変化しない、アリピプラゾール無水物B形結晶。
【0119】
50. 上記16、18乃至20、22及び48に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0120】
51. 上記17乃至20、22及び48に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0121】
52. 上記16、18乃至20、22及び49に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0122】
53. 上記17乃至20、22及び49に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0123】
54. 1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体と配合された、上記50乃至53のいずれかに記載のアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0124】
55. 1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体と配合されて固形経口錠剤を形成する、上記50乃至53のいずれかに記載のアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0125】
56. 1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体と配合されて経口フラッシュメルト錠剤を形成する、上記50乃至53のいずれかに記載のアリピプラゾール無水物B形結晶。
【0126】
57. 中枢神経疾患の治療のためのアリピプラゾール無水物B形結晶の使用。
【0127】
58. 精神分裂病の治療のためのアリピプラゾール無水物B形結晶の使用。
【0128】
59. 双極性障害の治療のためのアリピプラゾール無水物B形結晶の使用。
【0129】
60. 認知障害を伴う難治性(薬剤抵抗性、慢性)精神分裂病又は認知障害を伴わない難治性(薬剤抵抗性、慢性)精神分裂病の治療のためのアリピプラゾール無水物B形結晶の使用。
【0130】
61. 自閉症、ダウン症候群又は注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療のためのアリピプラゾール無水物B形結晶の使用。
【0131】
62. アルツハイマー病、パーキンソン病又は他の神経変性疾患の治療のためのアリピプラゾール無水物B形結晶の使用。
【0132】
63. パニック、強迫性障害(OCD)、睡眠障害、性的機能不全、アルコール及び薬物依存症、嘔吐、動揺病、肥満、偏頭痛又は認知障害の治療のためのアリピプラゾール無水物B形結晶の使用。
【0133】
64. 不安、鬱病又は躁病の治療のためのアリピプラゾール無水物B形結晶の使用。
【0134】
65. 精神分裂病及び精神分裂病に伴う症状を治療又は予防する薬物を調製するためのアリピプラゾール無水物B形結晶の使用。
【0135】
66. 精神分裂病又はこれに伴う症状を治療するための有効量のアリピプラゾール無水物B形結晶を薬剤学的に許容し得る希釈剤と混合して含有する、精神分裂病又は精神分裂病に伴う症状を治療するための薬物。
【0136】
67. 精神分裂病又はこれに伴う症状を治療するために当該薬物を用いることという使用説明書付きのコマーシャル・パッケージに収容された、上記66に記載の薬物。
【0137】
68. 上記26に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0138】
69. 上記27に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0139】
70. 上記28に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0140】
71. 上記29に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0141】
72. 上記26に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶の医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0142】
73. 上記27に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶の医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0143】
74. 上記28に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶の医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0144】
75. 上記29に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶の医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0145】
76. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記26に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む医薬固形経口製剤。
【0146】
77. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記27に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む医薬固形経口製剤。
【0147】
78. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記28に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む医薬固形経口製剤。
【0148】
79. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記29に記載のアリピプラゾール無水物B形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む医薬固形経口製剤。
【0149】
80. 図10に示される粉末X線回析スペクトルを有するアリピプラゾール無水物C形結晶。
【0150】
81. 粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ=12.6°、13.7°、15.4°、18.1°、19.0°、20.6°、23.5°及び26.4°に特徴的なピークを有するアリピプラゾール無水物C形結晶。
【0151】
82. IR(KBr)スペクトルにおいて、2939、2804、1680、1375及び780cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有するアリピプラゾール無水物C形結晶。
【0152】
83. 熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)において、約150.2℃付近に吸熱ピークを示すアリピプラゾール無水物C形結晶。
【0153】
84. 固体13C−NMRスペクトルにおいて、32.8ppm、60.8ppm、74.9ppm、104.9ppm、152.2ppm、159.9ppm及び175.2ppmに特徴的なピークを有するアリピプラゾール無水物C形結晶。
【0154】
85. 上記80及び82乃至84に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物C形結晶。
【0155】
86. 上記81乃至84に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物C形結晶。
【0156】
87. 図15に示される粉末X線回析スペクトルを有するアリピプラゾール無水物D形結晶。
【0157】
88. 粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ=8.7°、11.6°、16.3°、17.7°、18.6°、20.3°、23.4°及び25.0°に特徴的なピークを有するアリピプラゾール無水物D形結晶。
【0158】
89. IR(KBr)スペクトルにおいて、2946、1681、1375、1273、1175及び862cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有するアリピプラゾール無水物D形結晶。
【0159】
90. 熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)において、約136.8℃及び141.6℃付近に吸熱ピークを示すアリピプラゾール無水物D形結晶。
【0160】
91. 固体13C−NMRスペクトルにおいて、32.1ppm、62.2ppm、66.6ppm、104.1ppm、152.4ppm、158.4ppm及び174.1ppmに特徴的なピークを有するアリピプラゾール無水物D形結晶。
【0161】
92. 上記87及び89乃至91に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物D形結晶。
【0162】
93. 上記88乃至91に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物D形結晶。
【0163】
94. 図20に示される粉末X線回析スペクトルを有するアリピプラゾール無水物E形結晶。
【0164】
95. 粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ=8.0°、13.7°、14.6°、17.6°、22.5°及び24.0°に特徴的なピークを有するアリピプラゾール無水物E形結晶。
【0165】
96. IR(KBr)スペクトルにおいて、2943、2817、1686、1377、1202、969及び774cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有するアリピプラゾール無水物E形結晶。
【0166】
97. 熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)において、約146.5℃付近に吸熱ピークを示すアリピプラゾール無水物E形結晶。
【0167】
98. 上記94及び96乃至97に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物E形結晶。
【0168】
99. 上記95乃至97に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物E形結晶。
【0169】
100. 図24に示される粉末X線回析スペクトルを有するアリピプラゾール無水物F形結晶。
【0170】
101. 粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ=11.3°、13.3°、15.4°、22.8°、25.2°及び26.9°に特徴的なピークを有するアリピプラゾール無水物F形結晶。
【0171】
102. IR(KBr)スペクトルにおいて、2940、2815、1679、1383、1273、1177、1035、963及び790cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有するアリピプラゾール無水物F形結晶。
【0172】
103. 熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)において、約137.5℃及び149.8℃付近に吸熱ピークを示すアリピプラゾール無水物F形結晶。
【0173】
104. 上記100及び102乃至103に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物F形結晶。
【0174】
105. 上記101乃至103に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物E形結晶。
【0175】
106. 図28に示される粉末X線回析スペクトルを有するアリピプラゾール無水物G形結晶。
【0176】
107. 粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ=10.1°、12.8°、15.2°、17.0°、17.5°、19.1°、20.1°、21.2°、22.4°、23.3°、24.5°及び25.8°に特徴的なピークを有するアリピプラゾール無水物G形結晶。
【0177】
108. IR(KBr)スペクトルにおいて、2942、2813、1670、1625、1377、1195、962及び787cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有するアリピプラゾール無水物G形結晶。
【0178】
109. 熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)において、約141.0℃付近に吸熱ピークを、また約122.7℃付近に発熱ピークを示すアリピプラゾール無水物G形結晶。
【0179】
110. 上記106及び108乃至109に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物G形結晶。
【0180】
111. 上記107乃至109に記載の全ての理化学的性質を有するアリピプラゾール無水物G形結晶。
【0181】
112. アリピプラゾール無水物結晶を140℃より高く150℃より低い温度で加熱することを特徴とする、上記85又は86に記載のアリピプラゾール無水物C形結晶の製造方法。
【0182】
113. アリピプラゾール無水物結晶をトルエンから再結晶することを特徴とする上記92又は93に記載のアリピプラゾール無水物D形結晶の製造方法。
【0183】
114. アリピプラゾール無水物結晶をアセトニトリルに加温溶解し、次いでこれを冷却することを特徴とする上記98又は99に記載のアリピプラゾール無水物E形結晶の製造方法。
【0184】
115. アリピプラゾール無水物結晶のアセトン懸濁液を加熱することを特徴とする上記104又は105に記載のアリピプラゾール無水物F形結晶の製造方法。
【0185】
116. アリピプラゾール無水物ガラス体を密封容器中、室温で少なくとも二週間以上放置することを特徴とする上記110又は111に記載のアリピプラゾール無水物G形結晶の製造方法。
【0186】
117. 上記85に記載のアリピプラゾール無水物C形結晶、上記92に記載のアリピプラゾール無水物D形結晶、上記98に記載のアリピプラゾール無水物E形結晶、上記104に記載のアリピプラゾール無水物F形結晶及び上記110に記載のアリピプラゾール無水物G形結晶からなる群より選ばれた少なくとも1種並びに薬理学的に許容し得る担体を含有する医薬組成物。
【0187】
118. 上記86に記載のアリピプラゾール無水物C形結晶、上記93に記載のアリピプラゾール無水物D形結晶、上記99に記載のアリピプラゾール無水物E形結晶、上記105に記載のアリピプラゾール無水物F形結晶及び上記111に記載のアリピプラゾール無水物G形結晶からなる群より選ばれた少なくとも1種並びに薬理学的に許容し得る担体を含有する医薬組成物。
【0188】
119. 上記85に記載のアリピプラゾール無水物C形結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0189】
120. 上記86に記載のアリピプラゾール無水物C形結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0190】
121. 上記92に記載のアリピプラゾール無水物D形結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0191】
122. 上記93に記載のアリピプラゾール無水物D形結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0192】
123. 上記98に記載のアリピプラゾール無水物E形結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0193】
124. 上記99に記載のアリピプラゾール無水物E形結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0194】
125. 上記104に記載のアリピプラゾール無水物F形結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0195】
126. 上記105に記載のアリピプラゾール無水物F形結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0196】
127. 上記110に記載のアリピプラゾール無水物F形結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0197】
128. 上記111に記載のアリピプラゾール無水物F形結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0198】
129. 上記85に記載のアリピプラゾール無水物C形結晶を含有する医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0199】
130. 上記86に記載のアリピプラゾール無水物C形結晶を含有する医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0200】
131. 上記92に記載のアリピプラゾール無水物D形結晶を含有する医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0201】
132. 上記93に記載のアリピプラゾール無水物D形結晶を含有する医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0202】
133. 上記98に記載のアリピプラゾール無水物E形結晶を含有する医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0203】
134. 上記99に記載のアリピプラゾール無水物E形結晶を含有する医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0204】
135. 上記104に記載のアリピプラゾール無水物F形結晶を含有する医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0205】
136. 上記105に記載のアリピプラゾール無水物F形結晶を含有する医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0206】
137. 上記110に記載のアリピプラゾール無水物G形結晶を含有する医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0207】
138. 上記111に記載のアリピプラゾール無水物G形結晶を含有する医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0208】
139. アリピプラゾール無水物結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0209】
140. アリピプラゾール無水物結晶を含有する医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0210】
141. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する医薬固形経口製剤。
【0211】
142. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記139で製造された医薬固形経口製剤。
【0212】
143. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記140で製造された医薬固形経口製剤。
【0213】
144. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記85に記載のアリピプラゾール無水物C形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む医薬固形経口製剤。
【0214】
145. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記86に記載のアリピプラゾール無水物C形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む医薬固形経口製剤。
【0215】
146. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記92に記載のアリピプラゾール無水物D形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む医薬固形経口製剤。
【0216】
147. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記93に記載のアリピプラゾール無水物D形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む医薬固形経口製剤。
【0217】
148. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記98に記載のアリピプラゾール無水物E形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む医薬固形経口製剤。
【0218】
149. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記99に記載のアリピプラゾール無水物E形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む医薬固形経口製剤。
【0219】
150. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記104に記載のアリピプラゾール無水物F形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む医薬固形経口製剤。
【0220】
151. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記105に記載のアリピプラゾール無水物F形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む医薬固形経口製剤。
【0221】
152. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記110に記載のアリピプラゾール無水物G形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む医薬固形経口製剤。
【0222】
153. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記111に記載のアリピプラゾール無水物G形結晶及び1種又は2種以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む医薬固形経口製剤。
【0223】
154. アリピプラゾール水和物を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【0224】
155. アリピプラゾール水和物を含有する医薬固形経口製剤を70〜100℃で乾燥することを特徴とする、医薬固形経口製剤の製造方法。
【0225】
156. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記154で製造された医薬固形経口製剤。
【0226】
157. pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、上記155で製造された医薬固形経口製剤。
【0227】
本発明の更に他の態様及び側面は、以下に示す説明により明らかとなるであろう。

アリピプラゾール水和物A
アリピプラゾール水和物Aは、下記(1)〜(5)に示す理化学的性質を有する。
【0228】
(1)図1に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、約71℃に小さなピークを持ち、約60℃〜120℃にかけてなだらかな吸熱ピークを示すことが特徴的である。
【0229】
(2)図2に示されるH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)と実質的に同じH−NMRスペクトルを有する。具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)において特徴的なピークを有する。
【0230】
(3)図3に示される粉末X線回析スペクトルと実質的に同じ粉末X線回析スペクトルを有する。具体的には、2θ=12.6°,15.4°、17.3°,18.0°,18.6°,22.5°及び24.8°において特徴的なピークを有する。
【0231】
(4)IR(KBr)スペクトルにおいて、2951、2822、1692、1577、1447、1378、1187、963及び784cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有する。
【0232】
(5)平均粒子径が50μm以下である。
【0233】
アリピプラゾール水和物Aの製造方法
アリピプラゾール水和物Aは、公知のアリピプラゾール水和物を粉砕することにより製造される。アリピプラゾール水和物の粉砕には、公知の粉砕方法を用いることができる。例えば、粉砕機を用いて公知のアリピプラゾール水和物を粉砕し得る。アトマイザー、ピンミル、ジェットミル又はボールミル等の一般に使用されている粉砕機を用いることができる。これらの中でも、アトマイザーが好適である。
【0234】
アトマイザーを用いた場合の具体的な粉砕条件に関しては、例えば、主軸には5000〜15000rpmの回転数を用いることができ、送り回転数を10〜30rpm、スクリーンの孔径を1〜5mmとする。
【0235】
粉砕により得られるアリピプラゾール水和物Aの平均粒子径は、通常50μm以下、好ましくは30μm以下がよい。平均粒子径は、後述する粒度測定方法により求めることができる。
【0236】
アリピプラゾール無水物B形結晶
本発明のアリピプラゾール無水物B形結晶は、下記(6)〜(10)に示す理化学的性質を有する。
【0237】
(6)図4に示されるH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)と実質的に同じH−NMRスペクトルを有する。具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)において特徴的なピークを有している。
【0238】
(7)図5に示される粉末X線回析スペクトルと実質的に同じ粉末X線回析スペクトルを有する。具体的には、2θ=11.0°、16.6°、19.3°、20.3°及び22.1°において特徴的なピークを有している。
【0239】
(8)IR(KBr)スペクトルにおいて、2945、2812、1678、1627、1448,1377、1173,960及び779cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有する。
【0240】
(9)熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)で約141.5℃付近に吸熱ピークを示す。
【0241】
(10)示差走査熱量分析(昇温速度5℃/分)で約140.7℃付近に吸熱ピークを示す。
【0242】
本発明のアリピプラゾール無水物B形結晶は低吸湿性である。例えば、本発明のアリピプラゾール無水物B形結晶は、温度60℃、湿度100%に設定されたデシケーター内で24時間後、水分含有量0.4%以下を維持する。水分含有量の測定方法としては、結晶の水分測定に慣用されている方法であれば公知の水分測定方法が使用可能である。例えば、カールフィッシャー法等を適用できる。
【0243】
錠剤等の製剤及び例えばフラッシュメルト製剤を含む他の固形投与製剤用に、小さな粒子径が必要な場合には、平均粒子径は50μm以下が好ましい。
【0244】
アリピプラゾール無水物B形結晶の製造方法
小さな粒子径(50μmより小)が必要な製剤の場合には、その調製のために粉砕が必要である。しかしながら、多量の公知アリピプラゾール無水物又は粒子径の大きな無水物B形結晶を粉砕するとき、粉砕された薬物が粉砕機内で互いに付着しあう。従って、粒子径の小さなアリピプラゾール無水物B形結晶を工業的に製造するのが困難であるという不都合がある。
【0245】
こうした状況下、本発明者らは、公知のアリピプラゾール水和物を容易に粉砕できること、また、公知のアリピプラゾール水和物を粉砕して得られたアリピプラゾール水和物Aを加熱することによって、粒子径の小さなアリピプラゾール無水物B形結晶を高収率で得られることを見い出した。
【0246】
本発明のアリピプラゾール無水物B形結晶は、例えば、上記アリピプラゾール水和物Aを90〜125℃で加熱することにより製造される。加熱時間は、一般に、3〜50時間程度であるが、加熱温度により異なり一概には言えない。加熱時間と加熱温度とは相反する関係にあり、例えば、加熱温度が低ければ加熱時間は長く、加熱温度が高ければ加熱時間は短くてよい。具体的には、アリピプラゾール水和物Aの加熱温度が100℃であれば、加熱時間は通常18時間以上、好ましくは24時間程度がよい。また、アリピプラゾール水和物Aの加熱温度を120℃にすると、加熱時間は約3時間でよい。アリピプラゾール水和物Aを温度100℃で約18時間加熱し、次いで温度120℃で約3時間加熱することにより、本発明のアリピプラゾール無水物B形結晶を確実に製造することができる。加熱時間を更に長くしても本発明のアリピプラゾール無水物B形結晶が得られるが、経済的に好ましくない。
【0247】
製剤のために小さな粒子径が必要でない場合、例えば薬物が注射剤或いは経口溶液製剤用に製造される場合には、アリピプラゾール無水物B形結晶は以下のプロセスによっても得ることができる。
【0248】
本発明者らはまた、公知のアリピプラゾール水和物又は公知のアリピプラゾール無水物結晶を特定温度まで加熱することによって、アリピプラゾール無水物B形結晶を得ることができることを見い出した。しかしながらこの方法では、固形経口投与製剤形態での商業的使用に適したアリピプラゾール無水物B形結晶を工業的に有利に製造できない。
【0249】
また、本発明のアリピプラゾール無水物B形結晶は、例えば、公知のアリピプラゾール無水物結晶を90〜125℃で加熱することにより製造される。加熱時間は、一般に、3〜50時間程度であるが、加熱温度により異なり一概には言えない。加熱時間と加熱温度とは相反する関係にあり、例えば、加熱温度が低ければ加熱時間は長く、加熱温度が高ければ加熱時間は短くてよい。具体的には、アリピプラゾール無水物結晶の加熱温度が100℃であれば、加熱時間は約4時間でよく、加熱温度が120℃であれば、加熱時間は約3時間でよい。
【0250】
アリピプラゾール無水物C形結晶
本発明のアリピプラゾール無水物C形結晶は、下記(11)〜(15)に示す理化学的性質を有する:
(11)図8の熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線、具体的には150.2℃付近に吸熱ピークを有する;
(12)図9に示されるH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)と実質的に同じH−NMRスペクトル、具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)において特徴的なピークを有する;
(13)図10に示される粉末X線回析スペクトルと実質的に同じ粉末X線回析スペクトル、具体的には、2θ=12.6°,13.7°、15.4°,18.1°,19.0°,20.6°,23.5°及び26.4°において特徴的なピークを有する;
(14)図11に示されるIR(KBr)スペクトルと実質的に同じIRスペクトル、具体的には、2939、2804、1680、1375及び780cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有する;及び
(15)図12に示される固体13C−NMRスペクトルと実質的に同じ固体13C−NMRスペクトル、具体的には、32.8ppm,60.8ppm,74.9ppm,104.9ppm,152.2ppm,159.9ppm及び175.2ppmにおいて特徴的なピークを有する。
【0251】
アリピプラゾール無水物C形結晶の製造方法
本発明のアリピプラゾール無水物C形結晶は、例えば、アリピプラゾール無水物を140℃より高く150℃より低い温度で加熱することにより製造される。
【0252】
原料として用いられるアリピプラゾール無水物は、例えばアリピプラゾール無水物I形結晶、アリピプラゾール無水物II形結晶等の公知のアリピプラゾール無水物結晶でもよく、更にこれら無水物は、精製物であってもよいし、未精製物であってもよい。或いは、本発明で製造されるアリピプラゾール無水物B形結晶、アリピプラゾール無水物D形結晶、アリピプラゾール無水物E形結晶、アリピプラゾール無水物F形結晶又はアリピプラゾール無水物G形結晶を、原料のアリピプラゾール無水物として用いることもできる。これらアリピプラゾール無水物は、単独で又は2種以上を混合して使用できる。
【0253】
加熱温度は、通常140℃より高く150℃より低く、好ましくは142〜148℃である。加熱時間は、通常15分〜3時間、好ましくは30分〜1時間である。
【0254】
アリピプラゾール無水物を上記温度に加熱すると、アリピプラゾール無水物C形結晶が生成する。
【0255】
上記で得られるアリピプラゾール無水物C形結晶は、公知の方法に従い、単離、精製できる。例えば、上記温度に加熱後、室温まで冷却することにより、純度100%のアリピプラゾール無水物C形結晶を得ることができる。
【0256】
アリピプラゾール無水物D形結晶
本発明のアリピプラゾール無水物D形結晶は、下記(16)〜(20)に示す理化学的性質を有する:
(16)図13の熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線、具体的には、約136.8℃及び141.6℃付近に吸熱ピークを示す;
(17)図14に示されるH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)と実質的に同じH−NMRスペクトル、具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)において特徴的なピークを有する;
(18)図15に示される粉末X線回析スペクトルと実質的に同じ粉末X線回析スペクトル、具体的には、2θ=8.7°,11.6°,16.3°,17.7°,18.6°,20.3°,23.4°及び25.0°において特徴的なピークを有する;
(19)図16に示されるIR(KBr)スペクトルと実質的に同じIRスペクトル、具体的には、2946、1681、1375、1273、1175及び862cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有する;及び
(20)図17に示される固体13C−NMRスペクトルと実質的に同じ固体13C−NMRスペクトル、具体的には、32.1ppm,62.2ppm,66.6ppm,104.1ppm,152.4ppm,158.5ppm及び174.1ppmにおいて特徴的なピークを有する。
【0257】
アリピプラゾール無水物D形結晶の製造方法
本発明のアリピプラゾール無水物D形結晶は、例えば、アリピプラゾール無水物をトルエンから再結晶することにより製造される。具体的にはアリピプラゾール無水物をトルエンに加え、加温溶解し、次いで得られる溶液を冷却すればよい。このような操作により、本発明のアリピプラゾール無水物D形結晶は、トルエン中に結晶として晶析する。
【0258】
原料として用いられるアリピプラゾール無水物は、例えばアリピプラゾール無水物I形結晶、アリピプラゾール無水物II形結晶等の公知のアリピプラゾール無水物でもよく、更にこれら無水物は、精製物であってもよいし、未精製物であってもよい。或いは、本発明で製造されるアリピプラゾール無水物B形結晶、アリピプラゾール無水物C形結晶、アリピプラゾール無水物E形結晶、アリピプラゾール無水物F形結晶又はアリピプラゾール無水物G形結晶を、原料のアリピプラゾール無水物として用いることもできる。これらアリピプラゾール無水物は、単独で又は2種以上を混合して使用できる。
【0259】
加温溶解して得られた溶液を冷却する際に、アリピプラゾール無水物D形結晶を種晶として該溶液に添加してもよい。また、加温溶解して得られた溶液を徐冷することで種晶を生成させてもよい。種晶の存在下にアリピプラゾール無水物D形結晶を析出させてもよい。
【0260】
トルエン中に析出してくるアリピプラゾール無水物D形結晶は、公知の方法に従い、単離、精製できる。このようにして、純度100%のアリピプラゾール無水物D形結晶を得ることができる。
【0261】
アリピプラゾール無水物E形結晶
本発明のアリピプラゾール無水物E形結晶は、下記(21)〜(24)に示す理化学的性質を有する:
(21)図18の熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線、具体的には、約146.5℃に付近に吸熱ピークを示す;
(22)図19に示されるH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)と実質的に同じH−NMRスペクトル、具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)において特徴的なピークを有する;
(23)図20に示される粉末X線回析スペクトルと実質的に同じ粉末X線回析スペクトル、具体的には、2θ=8.0°,13.7°、14.6°,17.6°,22.5°及び24.0°において特徴的なピークを有する;及び
(24)図21に示されるIR(KBr)スペクトルと実質的に同じIRスペクトル、具体的には、2943、2817、1686、1377、1202、969及び774cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有する。
【0262】
アリピプラゾール無水物E形結晶の製造方法
本発明のアリピプラゾール無水物E形結晶は、例えば、アリピプラゾール無水物をアセトニトリルから結晶化することにより製造される。具体的には、公知のアリピプラゾール無水物をアセトニトリルに加え、加温溶解し、次いで得られる溶液を冷却すればよい。このような操作により、本発明のアリピプラゾール無水物E形結晶は、アセトニトリル中に結晶として晶析する。
【0263】
公知のアリピプラゾール無水物をアセトニトリルに加えると、アリピプラゾール無水物E形結晶以外に、アリピプラゾール無水物I形結晶、アリピプラゾール無水物II形結晶及びアリピプラゾール無水物D形結晶が析出する。アセトニトリルから70℃で析出する板状結晶はI形結晶、II形結晶及びD形結晶であり、針状結晶はE形結晶である。これらの結晶が析出したアセトニトリルを再度加熱(例えば75℃以上の温度に加熱)すると、板状結晶(I形結晶、II形結晶及びD形結晶)は速やかに溶解するのに対して、針状結晶(E形結晶)は溶解しない。アセトニトリルを再び冷却するときには、既に析出している針状結晶(E形結晶)を種晶としてその周囲に針状結晶(E形結晶)が析出してくる。このようにして、アリピプラゾール無水物E形結晶をアセトニトリル中に結晶として晶析させることができる。
【0264】
原料として用いられるアリピプラゾール無水物は、例えばアリピプラゾール無水物I形結晶、アリピプラゾール無水物II形結晶等の公知のアリピプラゾール無水物でもよく、更にこれら無水物は、精製物であってもよいし、未精製物であってもよい。或いは、本発明で製造されるアリピプラゾール無水物B形結晶、アリピプラゾール無水物C形結晶、アリピプラゾール無水物D形結晶、アリピプラゾール無水物F形結晶又はアリピプラゾール無水物G形結晶を、原料のアリピプラゾール無水物として用いることもできる。これらアリピプラゾール無水物は、単独で又は2種以上を混合して使用できる。
【0265】
加温(加温溶解)して得られたアセトニトリル液を冷却する際に、アリピプラゾール無水物E形結晶を種晶として該液に添加してもよい。また、加温して得られたアセトニトリル液を徐冷することで種晶を生成させてもよい。
【0266】
アセトニトリル中に析出してくるアリピプラゾール無水物E形結晶は、公知の方法に従い、単離、精製できる。このようにして、純度100%のアリピプラゾール無水物E形結晶を得ることができる。
【0267】
アリピプラゾール無水物F形結晶
本発明のアリピプラゾール無水物F形結晶は、下記(25)〜(28)に示す理化学的性質を有する:
(25)図22の熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線、具体的には、約137.5℃及び約149.8℃に付近に吸熱ピークを示す;
(26)図23に示されるH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)と実質的に同じH−NMRスペクトル、具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)において特徴的なピークを有する;
(27)図24に示される粉末X線回析スペクトルと実質的に同じ粉末X線回析スペクトル、具体的には、2θ=11.3°,13.3°,15.4°,22.8°,25.2°及び26.9°において特徴的なピークを有する;及び
(28)図25に示されるIR(KBr)スペクトルと実質的に同じIRスペクトル、具体的には、2940、2815、1679、1383、1273、1177、1035、963及び790cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有する。
【0268】
アリピプラゾール無水物F形結晶の製造方法
本発明のアリピプラゾール無水物F形結晶は、例えば、アリピプラゾール無水物をアセトンに懸濁し、次いで得られるアセトン懸濁液を加熱することにより製造される。
【0269】
原料として用いられるアリピプラゾール無水物は、例えばアリピプラゾール無水物I形結晶、アリピプラゾール無水物II形結晶等の公知のアリピプラゾール無水物でもよく、更にこれら無水物は、精製物であってもよいし、未精製物であってもよい。或いは、本発明で製造されるアリピプラゾール無水物B形結晶、アリピプラゾール無水物C形結晶、アリピプラゾール無水物D形結晶、アリピプラゾール無水物E形結晶又はアリピプラゾール無水物G形結晶を、原料のアリピプラゾール無水物として用いることもできる。これらアリピプラゾール無水物は、単独で又は2種以上を混合して使用できる。
【0270】
加熱温度は通常アセトンの沸点付近がよく、加熱時間は通常5〜10時間である。アセトン懸濁液をアセトンの沸点付近に加熱すると、アリピプラゾール無水物F形結晶が生成するので、熱時濾過し、該結晶を単離すればよい。結晶の単離は、公知の方法に従い行うことができる。このような工程により、純度100%のアリピプラゾール無水物F形結晶を得ることができる。
【0271】
アリピプラゾール無水物G形結晶
本発明のアリピプラゾール無水物G形結晶は、下記(29)〜(32)に示す理化学的性質を有する:
(29)図26の熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線、具体的には、約141.0℃付近に吸熱ピークを、また約122.7℃付近に発熱ピークを示す;
(30)図27に示されるH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)と実質的に同じH−NMRスペクトル、具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)において特徴的なピークを有する;
(31)図28に示される粉末X線回析スペクトルと実質的に同じ粉末X線回析スペクトル、具体的には、2θ=10.1°、12.8°、15.2°、17.0°、17.5°、19.1°、20.1°、21.2°、22.4°、23.3°、24.5°及び25.8°において特徴的なピークを有する;
(32)図29に示されるIR(KBr)スペクトルと実質的に同じIRスペクトル、具体的には、2942、2813、1670、1625、1377、1195、962及び787cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを有する。
【0272】
アリピプラゾール無水物G形結晶の製造方法
本発明のアリピプラゾール無水物G形結晶は、例えば、アリピプラゾールガラス体を密封容器に入れ、室温で少なくとも2週間、好ましくは2週間〜6ヶ月放置することにより製造される。
【0273】
出発物質のアリピプラゾールガラス体は、アリピプラゾール無水物を170℃付近にて加熱溶融後、室温に徐冷することにより得ることができる。
【0274】
原料として用いられるアリピプラゾール無水物は、例えばアリピプラゾール無水物I形結晶、アリピプラゾール無水物II形結晶等の公知のアリピプラゾール無水物でもよく、更にこれら無水物は、精製物であってもよいし、未精製物であってもよい。或いは、本発明で製造されるアリピプラゾール無水物B形結晶、アリピプラゾール無水物C形結晶、アリピプラゾール無水物D形結晶、アリピプラゾール無水物E形結晶又はアリピプラゾール無水物F形結晶を、原料のアリピプラゾール無水物として用いることもできる。これらアリピプラゾール無水物は、単独で又は2種以上を混合して使用できる。
【0275】
上記で得られるアリピプラゾール無水物G形結晶は、公知の方法に従い、単離、精製できる。例えば、アリピプラゾールガラス体を上記方法により、放置することにより、純度100%のアリピプラゾール無水物G形結晶を得ることができる。
【0276】
本発明のアリピプラゾール無水物C形結晶、アリピプラゾール無水物D形結晶、アリピプラゾール無水物E形結晶、アリピプラゾール無水物F形結晶及びアリピプラゾール無水物G形結晶は、これらを長期間保存した場合においても、水和物に変化し難く、溶出性が実質的に低下しない。
【0277】
本発明によれば、工業的規模で再現性よく、しかも高純度で製造することができるアリピプラゾール無水物結晶の製造方法が提供される。
【0278】
本発明によれば、長期間保存した場合においても、実質的に溶出性が低下せず、安定性に優れた医薬組成物が提供される。
【0279】
本発明のアリピプラゾール無水物B形結晶〜G形結晶の製造原料であるアリピプラゾール無水物結晶は、例えば、下記方法a又は方法bにより製造される。
【0280】
「方法a」:アリピプラゾール粗結晶の製造方法
公知のアリピプラゾール無水物結晶は、例えば、特開平2−191256号公報の実施例1に記載されているように、7−(4−ブロモブトキシ)−3,4−ジヒドロカルボスチリルと1−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジンとを反応させ、得られる粗アリピプラゾール結晶をエタノールにて再結晶することにより製造される。
【0281】
「方法b」:公知のアリピプラゾール無水物の製造方法
方法bは、第4回日韓合同分離技術シンポジウム(1996年10月6日〜8日)講演要旨集に記載されている。
【0282】
また、本発明のアリピプラゾール無水物B形結晶は、例えば、公知のアリピプラゾール水和物を90〜125℃で加熱することにより製造される。加熱時間は、一般に、3〜50時間程度であるが、加熱温度により異なり一概には言えない。加熱時間と加熱温度とは相反する関係にあり、例えば、加熱温度が低ければ加熱時間は長く、加熱温度が高ければ加熱時間は短くてよい。具体的には、アリピプラゾール水和物の加熱温度が100℃であれば、加熱時間は約24時間でよく、加熱温度が120℃であれば、加熱時間は約3時間でよい。
【0283】
本発明のアリピプラゾール無水物B形結晶の製造原料であるアリピプラゾール水和物は、例えば、下記方法cにより製造される。
【0284】
「方法c」:公知のアリピプラゾール水和物の製造方法
アリピプラゾール水和物は、上記方法aで得られるアリピプラゾール無水物結晶を含水溶媒に溶解し、得られる溶液を加温した後、冷却することにより容易に得られる。斯かる手段により、アリピプラゾール水和物は、含水溶媒中に結晶として晶析する。
【0285】
含水溶媒としては、水を含む有機溶媒が通常用いられる。有機溶媒は、水と混和性を有している有機溶媒であるのが望ましく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド又はこれらの混合溶媒等、特に好ましくはエタノール等が挙げられる。含水溶媒中の含水量は、溶媒に対して10〜25重量%、好ましくは20重量%付近がよい。
【0286】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、薬剤学的に許容し得る担体中に上記アリピプラゾール無水物B形結晶、アリピプラゾール無水物C形結晶、アリピプラゾール無水物D形結晶、アリピプラゾール無水物E形結晶、アリピプラゾール無水物F形結晶及びアリピプラゾール無水物G形結晶からなる群より選ばれた少なくとも1種を含有する。本発明の好ましい医薬組成物は、薬剤学的に許容し得る担体中に上記アリピプラゾール無水物B形結晶を含有する。
【0287】
薬剤学的に許容し得る担体としては、医薬製剤に通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤、賦形剤等が挙げられる。
【0288】
本発明の医薬組成物の製剤形態は、一般的な医薬製剤の形態でよく、例えば錠剤、フラッシュメルト錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等が挙げられる。
【0289】
錠剤の形態に成形するに際しては、当該分野でよく知られる各種担体を広く使用することができる。その例としては、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、キシリトール、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
【0290】
丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオバター、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
【0291】
坐剤の形態に成形するに際しては、担体として従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばポリエチレングリコール、カカオバター、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を挙げることができる。
【0292】
カプセル剤は、常法に従い、アリピプラゾール無水物結晶を上記で例示した各種の担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル(HPMCカプセル)等に充填して調製される。
【0293】
更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を医薬組成物中に含有させることもできる。
【0294】
顆粒の形態に成形するに際しては、アリピプラゾール無水物結晶(公知のアリピプラゾール無水物結晶又は本発明のアリピプラゾール無水物B形〜G形結晶)、担体を含む造粒成分の混合粉体に液(通常、水又は結合剤を含む水溶液)を加えて粒とする湿式造粒にて製造される。担体としては、この分野で公知のものを広く使用でき、例えば賦形剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、保湿剤、吸収促進剤、吸着剤、滑沢剤、着色剤等が挙げられる。これらの具体例としては、前述のものが挙げられる。
【0295】
湿式造粒には、流動層造粒法、連合造粒法、押出造粒法、転動造粒法等の種々の方法を適用できる。
【0296】
例えば、流動層造粒法では、各種担体を含む造粒成分を給気エヤーにより混合し、引続き造粒成分を流動させながら液をスプレーして造粒する。連合造粒法では、各種担体を含む造粒成分を攪拌により混合し、引続き造粒成分を攪拌しながら液を液を添加して造粒する。
【0297】
造粒後、必要に応じてスクリーンを通して顆粒のサイズを整える。
【0298】
このようにして得られた顆粒は、まず通常の乾燥処理が施される。
【0299】
乾燥方法としては、公知の方法を広く用いることができる。乾燥機としては、例えば、流動層乾燥機、送風乾燥機、真空乾燥機等が挙げられる。流動層乾燥機を用いる場合、例えば、風量0.5〜50m3/分、給気温度70〜100℃で10分〜1時間程度乾燥すればよい。
【0300】
このようにして得られた顆粒は、整粒後、更に2度目の乾燥処理が施される。
【0301】
2度目の乾燥方法としては、公知の方法を広く用いることができる。乾燥機としては、例えば、流動層乾燥機、送風乾燥機、真空乾燥機等が挙げられる。流動層乾燥機を用いる場合、例えば、風量0.5〜50m3/分、給気温度70〜100℃で1〜6時間程度乾燥すればよい。真空乾燥機を用いる場合、例えば、0〜10トール付近の真空度、ジャケット温度70〜100℃で1〜6時間程度乾燥すればよい。
【0302】
このようにして製造された顆粒は、そのまま製剤として使用してもよいし、必要に応じて錠剤に成形して使用してもよい。
【0303】
また、上記1回目の通常乾燥を施した顆粒を錠剤に成形した後、該錠剤に2度目の乾燥処理を施してもよい。
【0304】
このようにして製造された製剤は、長期保存した場合においても水和物に変化し難い。それ故、溶出性が殆ど低下しない製剤(最高血中濃度(Cmax)を維持する溶出率が、pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が60%以上又はpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である)を提供することができる。
【0305】
また、公知のアリピプラゾール水和物を上記と同様の方法で顆粒とし、同様の条件下に通常乾燥した後、2度目の乾燥を行うことによっても、長期保存した場合においても水和物に変化し難く、溶出性が殆ど低下しない製剤を得ることができる。
【0306】
更に、公知のアリピプラゾール水和物を上記と同様の方法で顆粒とし、同様の条件下に通常乾燥した顆粒を錠剤とし、該錠剤に2度目の乾燥を施すことによっても、長期保存した場合においても水和物に変化し難く、溶出性が殆ど低下しない製剤を得ることができる。
【0307】
これは、製剤に2度の乾燥処理を施すことにより、製剤中の公知のアリピプラゾール無水物結晶又は公知のアリピプラゾール水和物がアリピプラゾール無水物B形結晶に変化したためであると考えられる。
本発明の医薬組成物中に含有されるべきアリピプラゾール無水物結晶(B形結晶、C形結晶、D形結晶、E形結晶、F形結晶又はG形結晶)の量としては、処置しようとする疾患に適した広範囲から適宜選択される。通常は、医薬組成物中に約1〜70重量%、好ましくは約1〜30重量%とするのがよい。
【0308】
本発明の医薬組成物の投与方法は特に制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件(疾患の程度等)に応じた方法で投与される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には、経口投与される。また注射剤の場合には単独で又はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。坐剤の場合には直腸内投与される。
【0309】
本発明医薬組成物の投与量は、用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択されるが、通常アリピプラゾール無水物B形結晶の量が、1日当り体重1kg当り、約0.1〜10mg程度とするのがよい。また投与単位形態の製剤はアリピプラゾール無水物B形結晶を約1〜100mgの範囲で、より好ましくは単位投与量当たり1〜30mg含有しなくてはならない。
【0310】
本発明の医薬組成物は、長期間保存した場合においても、実質的に溶出性が低下せず、安定性に優れている。
【0311】
本発明の医薬組成物は、認知障害を伴う難治性(治療抵抗性、慢性)精神分裂病、認知障害を伴わない難治性(治療抵抗性、慢性)精神分裂病等を含む精神分裂病、軽度不安(mild anxiety)を含む不安、双極性障害急性期躁病(bipolar disorder acutemania)等の急性期躁病(acute mania)を含む躁病、双極性障害(bipolar disorder)、双極性障害鬱病(bipolar disorder depression)を含む鬱病、自閉症、ダウン症候群、注意欠陥多動性障害(attention deficit hyperactivity disorder ; ADHD)、アルツハイマー、パーキンソン病等の神経変性疾患、パニック、強迫性障害(obsessive compulsive disorder ; OCD)、睡眠障害(sleep disorder)、性的機能不全、アルコール及び薬物依存症、嘔吐、動揺病(motion sickness)、肥満、偏頭痛、認知障害等の中枢神経疾患の予防及び治療に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0312】
以下に、参考例、実施例、試料調製例及び製剤例を掲げて、本発明をより詳細に説明する。
【0313】
まず、分析方法について説明する。
【0314】
分析方法
(1)H−NMRスペクトルは、DMSO−d中、TMSを標準として測定した。
【0315】
(2)粉末X線回折
粉末X線回折パターンは、理学電機製のRAD−2B回折計を用いて、室温下、Cu Ka封入管(35kV 20mA)をX線源とし、広角ゴニオメーター、散乱スリット1°、受光スリット0.15mm、グラファイト2次モノクロメ−ターとシンチレーション計数管により測定した。データ収集はスキャンスピード5°/分、スキャンステップ0.02°で、3°から40°までの範囲を2θ連続スキャンモードで行った。
【0316】
(3)IRスペクトルは、KBr法で測定した。
【0317】
(4)熱重量測定/示差熱分析
熱重量測定/示差熱分析は、セイコー製のSSC5200制御装置とTG/DTA220示差熱熱重量同時測定装置を用いて測定した。5〜10mgの試料を開放アルミニウムパンに入れ、乾燥窒素雰囲気下で20℃から200℃まで昇温速度5℃/分で加熱した。基準物質としてはα−アルミナを用いた。
【0318】
(5)示差走査熱量測定
熱重量測定/示差熱分析はセイコー製のSSC5200制御装置とDSC220C示差走査熱量計を用いて測定した。5〜10mgの試料をクリンプしたアルミニウムパンに入れ、乾燥窒素雰囲気下で20℃から200℃まで昇温速度5℃/分で加熱した。基準物質としてはα−アルミナを用いた。
【0319】
(6)粒子サイズ測定
粒度は、大豆製レシチン0.5gのn−ヘキサン20ml溶液に、測定すべき粒子0.1gを懸濁し、超音波処理を行い、粒度分布測定装置(マイクロトラックHRA、マイクロトラック社製)を用いて測定した。
【0320】
(7)吸湿性試験方法
試料1gを秤量瓶(直径5cm)に正確に量り取り、キムワイプ(kimwipes)で蓋をして、60℃/100%RHの環境(水/デシケータ)中に静置した。24時間後、秤量瓶を取り出し、室温/約30%RHの環境(塩化マグネシウム・6水和物飽和水溶液/デシケータ)中に移し24時間静置した後、カールフィッシャー法で試料中の水分を測定した。
【0321】
(8)固体13C−NMRスペクトル
固体13C−NMRスペクトルは、下記に示す条件で測定した。
測定装置:Chemagnetics社製のCMX-360 Solid State NMR Spectrometer
コンピューター:SUNマイクロシステム社製のSPARC station 2
OS,ソフト:Solalis 1.1.1 Rev.B(UNIX(登録商標))、Spinsight Ver.2.5
測定パルス名:CP/MAS法のうちのTOSS法(装置のプログラム名はTOSS)
測定パルス幅:CP条件下において、90°パルスを使用
測定試料管:外径7.5mm、内容積約0.8mlのジルコニア製試料管
回転数:4250Hz(1秒間の回転数)
Contact-Time:1msec
待ち時間:20sec
積算回数:512回
測定温度:約25℃(試験管外側の温度)
外部標準:ヘキサメチルベンゼンのメチル基(δ17.3)を外部標準とした。
【0322】
参考例1
炭酸カリウム8.39gを水140mlに溶解し、この中に7−(4−クロロブトキシ)−3,4−ジヒドロカルボスチリル19.4g及び1−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジン・1塩酸塩16.2gを加え、撹拌下に約3時間還流した。反応後、冷却し、析出した結晶を濾取した。この結晶を酢酸エチル350mlに溶解し、還流下に約210mlの水/酢酸エチル共沸物を留去した。残った溶液を冷却し、析出晶を濾取した。得られた結晶を60℃で14時間乾燥して、粗製のアリピプラゾール20.4g(74.2%)を得た。
【0323】
上記で得られた粗製アリピプラゾール30gを、特開平2−191256号公報記載の方法に従い、450mlのエタノールから再結晶し、得られた結晶を80℃で40時間乾燥してアリピプラゾール無水物結晶を得た。収量29.4g(98.0%)。
【0324】
このアリピプラゾール無水物結晶の融点(mp)は140℃であり、特開平2−191256号公報記載のアリピプラゾール無水物結晶の融点と一致した。
【0325】
この結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置する時、3.28%の吸湿性を示した(後記表1参照)。
【0326】
参考例2
参考例1の途中で得られた粗製アリピプラゾール6930gを、第4回日韓合同分離技術シンポジウムで発表された方法に従い、138リットルの含水エタノール(含水量20容量%)138リットル中に加熱溶解後、室温まで徐冷(2〜3時間)、更に0℃付近まで冷却した。析出する結晶を濾取して、約7200gのアリピプラゾール水和物(ウェット状態)を得た。
【0327】
上記で得たウェット状態のアリピプラゾール水和物結晶を80℃で30時間乾燥して、アリピプラゾール無水物I形結晶6480g(93.5%)を得た。この結晶の融点(mp)は139.5℃であった。また、この結晶の形態は、無色鱗片状であった。
【0328】
この結晶のカールフィッシャー法による水分値は0.03%を示し、無水物であることが確認できた。
【0329】
この結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置する時、1.78%の吸湿性を示した(後記表1参照)。
【0330】
参考例3
参考例2の途中で得られたウェット状態のアリピプラゾール水和物820gを50℃で2時間乾燥すると、アリピプラゾール水和物結晶780gが得られた。この結晶のカールフィッシャー法による水分値は、3.82%を示した。熱重量測定/示差熱分析は図6に示したように、75.0、123.5及び140.5℃に吸熱ピークが認められた。融点(mp)は70℃付近から脱水が始まるため、明確ではない。
【0331】
この方法によって得られるアリピプラゾール水和物の粉末X線回折スペクトルは図7に示したように、2θ=12.6°、15.1°、17.4°,18.2°,18.7°、24.8°及び27.5°に特徴的なピークを認めた。
【0332】
このアリピプラゾール水和物の粉末X線回折スペクトルは第4回日韓合同分離技術シンポジウムで発表されたアリププラゾール水和物の粉末X線回折スペクトルと同一であった。
【0333】
参考例4
参考例2で得られたアリピプラゾール無水物I形結晶を含む15mg錠の製造
アリピプラゾール無水物I形結晶525g、乳糖1995g、トウモロコシデンプン350g及び結晶セルロース350gを流動層造粒乾燥機(フローコーター FLO−5 フロイント産業株式会社製)に投入し、給気温度70℃、風量3m3/分で造粒成分を流動させながら約3分間混合した。引き続き同条件で造粒成分を流動させながら5%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液約1400gをスプレーして湿顆粒を得た。給気温度80℃で、約15分間乾燥して、乾燥顆粒水分4.3%の乾燥顆粒を得た(収率99%)。
【0334】
得られた乾燥顆粒を710μmのフルイに通し整粒した。この整粒顆粒にステアリン酸マグネシウムを約1%添加し、混合後、打錠機(高速回転式錠剤機、12HUK、株式会社菊水製作所製)に顆粒を供給し、臼杵で打錠して1錠重量95mgの錠剤を得た。
【0335】
水分は、日本薬局方の水分測定法(カールフィッシャー法)の容量滴定法又は電量滴定法に準じ測定した。
水分測定方法
試料0.1〜0.5g(錠剤の場合は1錠)を精密に量り、水分測定機によって水分を測定する。
【0336】
容量滴定法:自動水分測定装置(KF−06型、三菱化成株式会社製)。
【0337】
電量滴定法:微量自動水分測定装置(AQ−7F型、平沼産業株式会社製)、自動水分気化装置(LE−20S、平沼産業株式会社)、加熱温度:165±10℃、窒素流量:約150ml/分。
【0338】
参考例5
アリピプラゾール無水物B形結晶を含む15mg錠の製造
アリピプラゾール無水物B形結晶4500g、乳糖17100g、トウモロコシデンプン3000g及び結晶セルロース3000gを流動層造粒乾燥機(ニューマルメライザー(NQ−500、不二パウダル株式会社製)に投入し、給気温度70℃、風量10〜15m3/分で造粒成分を流動させながら約3分間混合した。引き続き同条件で造粒成分を流動させながら5%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液約12000gをスプレーして湿顆粒を得た。給気温度85℃で、約28分間乾燥して、乾燥顆粒水分3.8%(参考例4の方法に従って測定した)。の乾燥顆粒を得た(収率96%)。
【0339】
得られた乾燥顆粒を850μmのフルイに通し整粒した。この整粒顆粒にステアリン酸マグネシウムを約1%添加し、混合後、打錠機(高速回転式錠剤機、12HUK、株式会社菊水製作所製)に顆粒を供給し、臼杵で打錠して1錠重量95mgの錠剤を得た。
【0340】
実施例1
参考例3で得られたアリピプラゾール水和物結晶500.3gをサンプルミル(小型アトマイザー)を使って粉砕した。この時、主軸回転数を12000rpm、送り回転数を17rpmに設定し、スクリーンには1.0mmヘリボーンを用いた。粉砕は3分で終了し、アリピプラゾール水和物Aの粉末474.6g(94.9%)を得た。
【0341】
このようにして得られたアリピプラゾール水和物A(粉末)の平均粒子径は20〜25μmであった。融点(mp)は70℃付近から脱水が観測されるため不明瞭であった。
【0342】
上記で得られたアリピプラゾール水和物A(粉末)のH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)は、図2に示すH−NMRスペクトルと実質的に同じH−NMRスペクトルを示した。具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)にピークを認めた。
【0343】
上記で得られたアリピプラゾール水和物A(粉末)の粉末X線回折スペクトルは、図3に示す粉末X線回折スペクトルと実質的に同じであった。即ち、2θ=12.6°,15.4°、17.3°,18.0°,18.6°,22.5°及び24.8°に特徴的なピークを認めた。粉砕前のアリピプラゾール水和物の粉末X線回折スペクトルを示す図7と比べると、明らかに異なったパターンを示した。
【0344】
上記で得られたアリピプラゾール水和物A(粉末)のIR(KBr)スペクトルにおいて、2951、2822、1692、1577、1447、1378、1187、963及び784cm−1に赤外線吸収バンドを認めた。
【0345】
上記で得られたアリピプラゾール水和物A(粉末)は、図1に示したように、熱重量測定/示差熱分析で71.3℃に弱いピークを持ち、60〜120℃にかけてブロードな吸熱ピーク(水1分子に相当する重量減少が観測される)が認められた。このアリピプラゾール水和物A(粉末)の吸熱曲線は、明らかに粉砕前のアリピプラゾール水和物の吸熱曲線(図6参照)とは異なっていた。
【0346】
実施例2
実施例1で得られたアリピプラゾール水和物A(粉末)450gを熱風乾燥機を用いて、100℃で24時間乾燥し、427g(収率98.7%)のアリピプラゾール無水物B形結晶を得た。
【0347】
このアリピプラゾール無水物B形結晶の融点(mp)は139.7℃を示した。
【0348】
上記で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶のH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)は、図4に示されるH−NMRスペクトルと実質的に同じH−NMRスペクトルを示した。具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)にピークを認めた。
【0349】
上記で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の粉末X線回折スペクトルは、図5に示されるアリピプラゾール無水物の粉末X線回折スペクトルと実質的に同じであった。即ち、2θ=11.0°、16.6°、19.3°、20.3°及び22.1°に特徴的なピークが認められた。
【0350】
上記で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶のIR(KBr)スペクトルにおいて、2945、2812、1678、1627、1448,1377、1173,960及び779cm−1に特徴的な赤外線吸収を認めた。
【0351】
上記で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の熱重量測定/示差熱分析で約141.5℃に吸熱ピークが見られた。
【0352】
上記で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の示差走査熱量分析で約140.7℃に吸熱ピークが見られた。
【0353】
上記で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置しても、0.4%以上の吸湿性を示すことはなかった(後記表1参照)。
【0354】
実施例3
実施例1で得たアリピプラゾール水和物A(粉末)44.29kgを100℃の熱風乾燥機で18時間乾燥加熱し、更に120℃で3時間加熱して42.46kg(収率99.3%)のアリピプラゾール無水物B形結晶を得た。
【0355】
得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質は、実施例2で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質と同じであった。
【0356】
このようにして得られたアリピプラゾール無水物B形結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置しても、0.4%以上の吸湿性を示すことはなかった(後記表1参照)。
【0357】
実施例4
実施例1で得たアリピプラゾール水和物A(粉末)40.67kgを100℃の熱風乾燥機で18時間乾燥加熱し、更に120℃で3時間加熱して38.95kg(収率99.6%)のアリピプラゾール無水物B形結晶を得た。
【0358】
得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質は、実施例2で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質と同じであった。
【0359】
このようにして得られたアリピプラゾール無水物B形結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置しても、0.4%以上の吸湿性を示すことはなかった(後記表1参照)。
【0360】
実施例5〜10は、アリピプラゾール水和物Aではなく、公知のアリピプラゾール水和物又は公知のアリピプラゾール無水物結晶を加熱してアリピプラゾール無水物B形結晶を製造しているため、注射用又は経口溶液用製剤として使用されるが、固形投与製剤には使用されない。
【0361】
実施例5
参考例1で得た吸湿性のあるアリピプラゾール無水物結晶を実施例2と同様の手法で、100℃、50時間加熱した。得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質は、実施例2で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質と同じであった。
【0362】
このようにして得られたアリピプラゾール無水物B形結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置しても、0.4%以上の吸湿性を示すことはなかった(後記表1参照)。
【0363】
実施例6
参考例1で得た吸湿性のあるアリピプラゾール無水物結晶を実施例2と同様の手法で、120℃、3時間加熱した。得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質は、実施例2で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質と同じであった。
【0364】
このようにして得られたアリピプラゾール無水物B形結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置しても、0.4%以上の吸湿性を示すことはなかった(後記表1参照)。
【0365】
実施例7
参考例2で得た吸湿性のあるアリピプラゾール無水物I形結晶を実施例2と同様の手法で、100℃、50時間加熱した。得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質は、実施例2で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質と同じであった。
【0366】
このようにして得られたアリピプラゾール無水物B形結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置しても、0.4%以上の吸湿性を示すことはなかった(後記表1参照)。
【0367】
実施例8
参考例2で得た吸湿性のあるアリピプラゾール無水物I形結晶を実施例2と同様の手法で、120℃、3時間加熱した。得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質は、実施例2で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質と同じであった。
【0368】
このようにして得られたアリピプラゾール無水物B形結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置しても、0.4%以上の吸湿性を示すことはなかった(後記表1参照)。
【0369】
実施例9
参考例3で得たアリピプラゾール水和物結晶を実施例2と同様の手法で、100℃、50時間乾燥加熱した。得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質は、実施例2で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質と同じであった。
【0370】
このようにして得られたアリピプラゾール無水物B形結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置しても、0.4%以上の吸湿性を示すことはなかった(後記表1参照)。
【0371】
実施例10
参考例3で得たアリピプラゾール水和物結晶を実施例2と同様の手法で、120℃、3時間乾燥加熱した。得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質は、実施例2で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の物理化学的性質と同じであった。
【0372】
このようにして得られたアリピプラゾール無水物B形結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置しても、0.4%以上の吸湿性を示すことはなかった(後記表1参照)。
【0373】
実施例11(アリピプラゾール無水物C形結晶の製造)
参考例2で得られたアリピプラゾール無水物I形結晶100mgを約145(±3)℃に加熱した。このとき、一度融解した後、再び結晶化する様子が観察された。斯くして、アリピプラゾール無水物C形結晶100mg(100%)が得られた。この結晶の融点は150℃であった。この結晶の形態は、無色プリズム状であった。
【0374】
上記で得られたアリピプラゾール無水物C形結晶は、図8に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)の吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を示した。具体的には、約150.2℃付近に吸熱ピークを認めた。
【0375】
上記で得られたアリピプラゾール無水物C形結晶のH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)は、図9に示すH−NMRスペクトルと実質的に同じであった。具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)に特徴的なピークを認めた。
【0376】
上記で得られたアリピプラゾール無水物C形結晶の粉末X線回折スペクトルは、図10に示す粉末X線回折スペクトルと実質的に同じであった。即ち、2θ=12.6°,13.7°、15.4°,18.1°,19.0°,20.6°,23.5°及び26.4°に特徴的なピークを認めた。
【0377】
上記で得られたアリピプラゾール無水物C形結晶のIR(KBr)スペクトルは、図11に示すIRスペクトルと実質的に同じであった。具体的には、2939、2804、1680、1375及び780cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを認めた。
【0378】
上記で得られたアリピプラゾール無水物C形結晶の固体13C−NMRスペクトルは、図12に示される固体13C−NMRスペクトルと実質的に同じであった。具体的には、32.8ppm,60.8ppm,74.9ppm,104.9ppm,152.2ppm,159.9ppm及び175.2ppmにおいて特徴的なピークを認めた。
【0379】
熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)の吸熱曲線及び粉末X線回折スペクトルから、アリピプラゾール無水物C形結晶が生成していることを確認した。
【0380】
上記で得られたアリピプラゾール無水物C形結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置しても、0.4%以上の吸湿性を示すことはなかった(後記表1参照)。
【0381】
実施例12(アリピプラゾール無水物D形結晶の製造)
参考例2で得られたアリピプラゾール無水物I形結晶をトルエン200ml中に加え、74℃まで加温して溶解させた。完全に溶解したことを確認した後、このトルエン溶液を7℃まで冷却し、析出晶を濾取した。そのまま風乾し、17.9g(89.5%)のアリピプラゾール無水物D形結晶を得た。
【0382】
上記で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶は、図13に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)の吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を示した。具体的には、約136.8℃付近及び約141.6℃付近に吸熱ピークを認めた。
【0383】
上記で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶のH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)は、図14に示すH−NMRスペクトルと実質的に同じH−NMRスペクトルを示した。具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)に特徴的なピークを認めた。
【0384】
上記で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶の粉末X線回折スペクトルは、図15に示す粉末X線回折スペクトルと実質的に同じであった。即ち、2θ=8.7°,11.6°、16.3°,17.7°,18.6°、20.3°,23.4°及び25.0°に特徴的なピークを認めた。
【0385】
上記で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶のIR(KBr)スペクトルは、図16に示すIRスペクトルと実質的に同じであった。具体的には、2946、1681、1375、1273、1175及び862cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを認めた。
【0386】
上記で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶の固体13C−NMRスペクトルは、図17に示される固体13C−NMRスペクトルと実質的に同じであった。具体的には、32.1ppm,62.2ppm,66.6ppm,104.1ppm,152.4ppm,158.5ppm及び174.1ppmにおいて特徴的なピークを認めた。
【0387】
熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)の吸熱曲線及び粉末X線回折スペクトルから、アリピプラゾール無水物D形結晶が生成していることを確認した。
【0388】
上記で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置しても、0.4%以上の吸湿性を示すことはなかった(後記表1参照)。
【0389】
実施例13(アリピプラゾール無水物D形結晶の製造)
参考例2で得られたアリピプラゾール無水物I形結晶1200gをトルエン18リットル中に加熱溶解した。このトルエン溶液を40℃まで冷却し、実施例12で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶36gを種晶として加え、更に10℃まで冷却し、放置した。析出した結晶を濾取し、60℃で18時間乾燥し、アリピプラゾール無水物D形結晶(純度100%)を得た。収量は1073gであり、収率は86.8%であった。この結晶の形態は無色板状であった。
【0390】
上記で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶は、図13に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)の吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を示した。具体的には、約136.8℃付近及び約141.6℃付近に吸熱ピークを認めた。
【0391】
上記で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶のH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)は、図14に示すH−NMRスペクトルと実質的に同じH−NMRスペクトルを示した。具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)に特徴的なピークを認めた。
【0392】
上記で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶の粉末X線回折スペクトルは、図15に示す粉末X線回折スペクトルと実質的に同じであった。即ち、2θ=8.7°,11.6°、16.3°,17.7°,18.6°、20.3°,23.4°及び25.0°に特徴的なピークを認めた。
【0393】
上記で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶のIR(KBr)スペクトルは、図16に示すIRスペクトルと実質的に同じであった。具体的には、2946、1681、1375、1273、1175及び862cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを認めた。
【0394】
上記で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶の固体13C−NMRスペクトルは、図17に示される固体13C−NMRスペクトルと実質的に同じであった。具体的には、32.1ppm,62.2ppm,66.6ppm,104.1ppm,152.4ppm,158.5ppm及び174.1ppmにおいて特徴的なピークを認めた。
【0395】
熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)の吸熱曲線及び粉末X線回折スペクトルから、アリピプラゾール無水物D形結晶が生成していることを確認した。
【0396】
上記で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置しても、0.4%以上の吸湿性を示すことはなかった(後記表1参照)。
【0397】
実施例14(アリピプラゾール無水物E形結晶の製造)
参考例2で得られたアリピプラゾール無水物I形結晶40gをアセトニトリル1000ml中に80℃に加熱することにより溶解させた。このアセトニトリル溶液を約10分かけて約70℃まで冷却し、その温度で約30分間保持して種晶を析出させた。次いで、該溶液の温度を75℃までゆっくりと昇温し、その温度を1時間保つことによって結晶を成長させた。その後、該溶液を約4時間要して10℃まで冷却し、析出する結晶を濾取した。得られた結晶を一夜風乾し、アリピプラゾール無水物E形結晶(純度100%)を得た。収量は37.28gであり、収率は93.2%であった。この結晶の融点は145℃であり、その形態は無色針状であった。
【0398】
上記で得られたアリピプラゾール無水物E形結晶は、図18に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)の吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を示した。具体的には、約146.5℃付近に吸熱ピークを認めた。
【0399】
上記で得られたアリピプラゾール無水物E形結晶のH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)は、図19に示すH−NMRスペクトルと実質的に同じであった。具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)に特徴的なピークを認めた。
【0400】
上記で得られたアリピプラゾール無水物E形結晶の粉末X線回折スペクトルは、図20に示す粉末X線回折スペクトルと実質的に同じであった。即ち、2θ=8.0°,13.7°、14.6°,17.6°,22.5°及び24.0°に特徴的なピークを認めた。
【0401】
上記で得られたアリピプラゾール無水物E形結晶のIR(KBr)スペクトルは、図21に示すIRスペクトルと実質的に同じであった。具体的には、2943、2817、1686、1377、1202、969及び774cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを認めた。
【0402】
熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)の吸熱曲線及び粉末X線回折スペクトルから、アリピプラゾール無水物E形結晶が生成していることを確認した。
【0403】
上記で得られたアリピプラゾール無水物E形結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置しても、0.4%以上の吸湿性を示すことはなかった(後記表1参照)。
【0404】
実施例15(アリピプラゾール無水物F形結晶の製造)
参考例2で得られたアリピプラゾール無水物I形結晶140gをアセトン980ml中に懸濁し、還流下に7.5時間攪拌を続けた。次いで、懸濁液を熱時濾過し、分離した結晶を室温で16時間風乾し、アリピプラゾール無水物F形結晶(純度100%)を得た。収量は86.19gであり、収率は61.6%であった。この結晶の形態は無色プリズム晶であった。
【0405】
上記で得られたアリピプラゾール無水物F形結晶は、図22に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)の吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を示した。具体的には、約137.5℃付近及び約149.8℃付近に吸熱ピークを認めた。
【0406】
上記で得られたアリピプラゾール無水物F形結晶のH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)は、図23に示すH−NMRスペクトルと実質的に同じH−NMRスペクトルを示した。具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)に特徴的なピークを認めた。
【0407】
上記で得られたアリピプラゾール無水物F形結晶の粉末X線回折スペクトルは、図24に示す粉末X線回折スペクトルと実質的に同じであった。即ち、2θ=11.3°、13.3°,15.4°,22.8°、25.2°及び26.9°に特徴的なピークを認めた。
【0408】
上記で得られたアリピプラゾール無水物F形結晶のIR(KBr)スペクトルは、図25に示すIRスペクトルと実質的に同じであった。具体的には、2940、2815、1679、1383、1273、1177、1035、963及び790cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを認めた。
【0409】
熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)の吸熱曲線及び粉末X線回折スペクトルから、アリピプラゾール無水物F形結晶が生成していることを確認した。
【0410】
上記で得られたアリピプラゾール無水物F形結晶は、湿度100%、温度60℃に調整したデシケーター中に24時間放置しても、0.4%以上の吸湿性を示すことはなかった(後記表1参照)。
【0411】
【表1】

実施例16
a)参考例2で得られたアリピプラゾール無水物I形結晶10gをステンレス製丸皿(直径80mm)に仕込み、約170℃まで加熱し完全に融解させた。この融液を室温にて徐冷すると、淡褐色澄明に固化するので、それをステンレス丸皿より剥離し、9.8g(収率98%)のアリピプラゾール無水物ガラス体を得た。得られたガラス体は、粉末X線で有効なピークが見られないのが特徴である(図31参照)。
【0412】
熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)では、図30で示されるように86.5℃付近にアリピプラゾール無水物のガラス体がアリピプラゾール無水物B形結晶に転移するときの発熱ピークが観測された。140.1℃付近には、アリピプラゾール無水物B形結晶の融解による吸熱ピークが観測された。融点は138〜139℃であった。
【0413】
b)実施例16a)で得られたアリピプラゾール無水物ガラス体を密封容器に入れ、室温で約6ケ月間放置すると、淡褐色澄明から白色に変化したアリピプラゾール無水物G形結晶25g(収率100%)を得た。
【0414】
上記で得られたアリピプラゾール無水物G形結晶は、図26に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度5℃/分)の吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を示した。具体的には、約141.0℃付近に吸熱ピークを、約122.7℃付近に発熱ピークを認めた。
【0415】
上記で得られたアリピプラゾール無水物G形結晶のH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)は、図27に示すH−NMRスペクトルと実質的に同じH−NMRスペクトルを示した。具体的には、1.55〜1.63ppm(m,2H)、1.68〜1.78ppm(m,2H)、2.35〜2.46ppm(m,4H)、2.48〜2.56ppm(m,4H+DMSO)、2.78ppm(t,J=7.4Hz,2H)、2.97ppm(brt,J=4.6Hz,4H)、3.92ppm(t,J=6.3Hz,2H)、6.43ppm(d,J=2.4Hz,1H)、6.49ppm(dd,J=8.4Hz,J=2.4Hz,1H)、7.04ppm(d,J=8.1Hz,1H)、7.11〜7.17ppm(m,1H)、7.28〜7.32ppm(m,2H)、及び10.00ppm(s,1H)に特徴的なピークを認めた。
【0416】
上記で得られたアリピプラゾール無水物G形結晶の粉末X線回折スペクトルは、図28に示す粉末X線回折スペクトルと実質的に同じであった。即ち、2θ=10.1°、12.8°、15.2°、17.0°、17.5°、19.1°、20.1°、21.2°、22.4°、23.3°、24.5°及び25.8°に特徴的なピークを認めた。
【0417】
上記で得られたアリピプラゾール無水物G形結晶のIR(KBr)スペクトルは、図29に示すIRスペクトルと実質的に同じであった。具体的には、2942、2813、1670、1625、1377、1195、962及び787cm−1に顕著な赤外線吸収バンドを認めた。
【0418】
実施例17
a)アリピプラゾール無水物B形結晶を含む追加乾燥用30mg錠の顆粒の製造
アリピプラゾール無水物B形結晶1500g、乳糖5700g、トウモロコシデンプン1000g及び結晶セルロース1000gを流動層造粒乾燥機(フローコーターFLO−5M フロイント産業株式会社製)に投入し、給気温度60℃、風量3〜4m3/分で造粒成分を流動させながら約3分間混合した。引き続き同条件で造粒成分を流動させながら5%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液約4000gをスプレーして湿顆粒を得た。給気温度85℃に上げ、約20分間乾燥し、乾燥顆粒水分3.8%(参考例4の方法に従って測定した)の乾燥顆粒を得た。
【0419】
b)実施例17a)で得られた乾燥顆粒4kgを整粒機(フィオーレF−0、株式会社徳寿工作所製)にて整粒した。
【0420】
整粒顆粒3kgを流動層造粒乾燥機(フローコーターFLO−5M、フロイント産業株式会社製)に投入し、給気温度85℃、風量2m3/分で、2時間乾燥し、乾燥顆粒水分3.6%(参考例4の方法に従って測定した)の整粒顆粒を得た。
【0421】
この整粒顆粒にステアリン酸マグネシウムを約1%添加し、混合後、打錠機(高速回転式錠剤機VIRGO、株式会社菊水製作所製)に顆粒を供給し、臼杵で打錠して1錠重量190mgの錠剤を得た。
【0422】
c)実施例17a)で得られた乾燥顆粒3kgを真空乾燥機(真空造粒乾燥機VG−50、菊水製作所製)に投入し、ジャケット温度70℃、真空度5トールで1時間乾燥し、乾燥顆粒水分3.1%(参考例4の方法に従って測定した)の乾燥顆粒を得た。
【0423】
得られた乾燥顆粒を850μmのフルイに通し整粒した。この整粒顆粒にステアリン酸マグネシウムを約1%添加し、混合後、打錠機(高速回転式錠剤機VIRGO、株式会社菊水製作所製)に顆粒を供給し、臼杵で打錠して1錠重量190mgの錠剤を得た。
【0424】
実施例18
a)アリピプラゾール無水物B形結晶を含む30mg錠の製造
アリピプラゾール無水物B形結晶4500g、乳糖17100g、トウモロコシデンプン3000g及び結晶セルロース3000gを流動層造粒乾燥機(フローコーターFLO−5M、フロイント産業株式会社製)に投入し、給気温度70℃、風量10〜15m3/分で造粒成分を流動させながら約3分間混合した。引き続き同条件で造粒成分を流動させながら5%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液約12000gをスプレーして湿顆粒を得た。給気温度85℃で、約30分間乾燥し、乾燥顆粒水分3.6%(参考例4の方法に従って測定した)の乾燥顆粒を得た(収率96%)。
【0425】
得られた乾燥顆粒を整粒機(フィオーレF−0 株式会社徳寿工作所製)にて整粒した。この整粒顆粒にステアリン酸マグネシウムを約1%添加し、混合後、打錠機(高速回転式錠剤機VIRGO、株式会社菊水製作所製)に顆粒を供給し、臼杵で打錠して1錠重量190mgの錠剤を得た。
【0426】
b)実施例18a)で得られた錠剤5kgを送風乾燥機(アクアコーターAQC−48T、フロイント産業株式会社製)に投入し、給気温度90℃、風量2m3/分で、6時間乾燥し、乾燥顆粒水分3.3%(参考例4の方法に従って測定した)の錠剤を得た。
【0427】
c)実施例18a)で得られた錠剤5kgを真空乾燥機(真空造粒乾燥機VG−50、菊水製作所製)に投入し、ジャケット温度80℃、真空度5トールで、4時間乾燥し、乾燥顆粒水分2.7%(参考例4の方法に従って測定した)の錠剤を得た。
【0428】
実施例19
a)実施例18a)と同様にして参考例2で得られたアリピプラゾール無水I形結晶を含む1錠重量190mgの錠剤を得た。
【0429】
b)給気温度を100℃、乾燥時間を1時間とする以外は、実施例18b)と同様にして乾燥した。
【0430】
c)給気温度を100℃、乾燥時間を3時間とする以外は、実施例18b)と同様にして乾燥した。
【0431】
実施例20
実施例18a)と同様にしてアリピプラゾール無水物C形結晶を含む1錠重量190mgの錠剤を得た。
【0432】
実施例21
実施例18a)と同様にしてアリピプラゾール無水物D形結晶を含む1錠重量190mgの錠剤を得た。
【0433】
実施例22
a)参考例3で得られたアリピプラゾール水和物結晶156g、乳糖570g、トウモロコシデンプン100g及び結晶セルロース100gを流動層造粒乾燥機(ニューマルメライザーNQ−160、不二パウダル株式会社製)に投入し、給気温度60℃、風量1.0〜1.5m3/分、回転板回転数400rpmで造粒成分を流動させながら約3分間混合した。引き続き同条件で造粒成分を流動させながら4%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液約500gをスプレーして湿顆粒を得た。給気温度85℃に上げ、製品温度が46℃になるまで乾燥した。乾燥顆粒を850μmのフルイで整粒し、乾燥顆粒水分4.37%(参考例4の方法に従って測定した)の整粒顆粒を得た。
【0434】
b)実施例22a)で得られた整粒顆粒200gを流動層乾燥機(マルチプレックスMP−01、株式会社パウレック製)に投入し、給気温度85℃、風量0.5m3/分で、2時間乾燥し、乾燥顆粒水分3.50%(参考例4の方法に従って測定した)の整粒顆粒を得た。
【0435】
c)実施例22a)で得られた乾燥顆粒100gを真空乾燥機(真空造粒乾燥機LCV−232、株式会社タバイ製)に投入し、棚温度80℃、真空度760mmHgで2時間乾燥して、乾燥顆粒水分3.17%(参考例4の方法に従って測定した)の整粒顆粒を得た。また同様に6時間乾燥して、乾燥顆粒水分2.88%(参考例4の方法に従って測定した)の整粒顆粒を得た。
【0436】
d)実施例22b)で得られた整粒顆粒にステアリン酸マグネシウムを約1%添加し、混合後、打錠機(単発式錠剤機No.2B、株式会社菊水製作所製)に顆粒を供給し、臼杵で打錠し、1錠重量191mgの錠剤を得た。
【0437】
e)実施例22c)で得られた各整粒顆粒にステアリン酸マグネシウムを約1%添加し、混合後、打錠機(単発式錠剤機No.2B、株式会社菊水製作所製)に顆粒を供給し、臼杵で打錠し、1錠重量191mgの錠剤を得た。
【0438】
溶出試験
各種錠剤を25℃/60%RH又は40℃/75%RHの開封条件下で前者は6ケ月、後者は1週間静置し、以下の方法で溶出率を測定した。60分後の溶出率を表2及び表3に示す。40℃/75%RHの開封条件下2週間静置後の60分後の溶出率を表4及び表5に示す。40℃/75%RHの開封条件下1週間静置後の60分後の溶出率を表6に示す。
【0439】
a)15mg錠の溶出試験方法
本品1個をとり、試験液にpH5.0酢酸緩衝液(注1)900mlを用い、USP(注2)により毎分100回転で試験を行った。
試験開始10分、20分、30分、45分及び60分後の溶出液をそれぞれ試料溶液T10、T20、T30、T45及びT60とした。
【0440】
別にアリピプラゾール標準品約0.05gを精密に量り、エタノール(95%)を加えて溶かし、正確に50mlとした。この液20mlを正確に量り、0.01モル/l塩酸試液(注3)を加えて正確に1000mlとし、標準溶液とした。
【0441】
試験溶液及び標準溶液を孔径10〜20μmのフィルターで濾過し、濾液をフローセル(層長10mm)を装着した分光光度計に導き、吸光度測定法により試験を行い、波長249nmにおける吸光度と325nmにおける吸光度の差At10、At20、At30、At45、At60及びAsを測定した。
【0442】
測定後の試料溶液T10、T20、T30及びT45は試験容器に戻した。更に5個の試料につき、同様の操作を行った。
【0443】
溶出装置は、USPのパドル法に適合する試験装置であればいずれでもよいが、以下の装置を使用した。モデル:NTR−6100(富山産業株式会社製)及びモデル:DT−610(日本分光株式会社製)。
【0444】
アリピプラゾールの表示量に対する溶出率(%)は、次式により求めた。
アリピプラゾールの表示量に対する溶出率(%)=アリピプラゾールの標準品の量(mg)×At×As×9/5×20/C
ここで、ここでAsは標準溶液、AtはAt10、At20、At30、At45又はAt60であり、Cは表示量(mg)である。
(注1)酢酸(100)1.97g及び酢酸ナトリウム3水和物9.15gに水を加えて溶かし、1000mlとした。(0.1モル/l)
(注2)パドル法
(注3)0.1モル/l塩酸試液(注4)100mlに水を加えて1000mlとした。
(注4)塩酸9.0mlに水を加えて、1000mlとした。
【0445】
b)30mg錠の溶出試験方法
本品1個をとり、試験液にpH4.5酢酸緩衝液(注5)900mlを用い、USP(注6)により毎分75回転で試験を行った。
【0446】
試験開始10分、20分、30分、45分及び60分後の溶出液をそれぞれ試料溶液T10、T20、T30、T45及びT60とした。
【0447】
別にアリピプラゾール標準品約0.05gを精密に量り、エタノール(95%)を加えて溶かし、正確に50mlとした。この液20mlを正確に量り、0.01モル/l塩酸試液(注7)を加えて正確に1000mlとし、標準液とした。
【0448】
試験溶液及び標準溶液を孔径10〜20μmのフィルターで濾過し、濾液をフローセル(層長10mm)を装着した分光光度計に導き、吸光度測定法により試験を行い、波長249nmにおける吸光度と325nmにおける吸光度の差At10、At20、At30、At45、At60及びAsを測定した。
【0449】
測定後の試料溶液T10、T20、T30及びT45は試験容器に戻した。更に5個の試料につき、同様の操作を行った。
【0450】
アリピプラゾールの表示量に対する溶出率(%)は、次式により求めた。
アリピプラゾールの表示量に対する溶出率(%)=アリピプラゾールの標準品の量(mg)×At×As×9/5×20/C
ここでAsは標準溶液、AtはAt10、At20、At30、At45又はAt60であり、Cは表示量(mg)である。
(注5)酢酸(100)1.91g及び酢酸ナトリウム3水和物2.99gに水を加えて溶かし、1000mlとした。(0.05モル/l)
(注6)パドル法
(注7)0.1モル/l塩酸試液(注8)100mlに水を加えて1000mlとした。
(注8)塩酸9.0mlに水を加えて、1000mlとした。
【0451】
表5の溶出試験は、試験液にpH4.0酢酸緩衝液900mlを用い、USPにより毎分50回転で試験を行う以外は、b)30mg錠の溶出試験方法に準じて行った。
【0452】
【表2】

【0453】
【表3】

【0454】
【表4】

【0455】
【表5】

【0456】
【表6】

表2より明らかなように、公知のアリピプラゾール無水物結晶(参考例4)の15mg錠に比較して、アリピプラゾール無水物B形結晶(参考例5)の15mg錠は、25℃/60%RHで6ケ月開封静置条件下及び40℃/75%RHで1週間開封静置条件下、pH5.0、60分後の溶出率において最高血中濃度(Cmax)を維持する溶出率以下に低下しないことがわかる。
【0457】
表3より明らかなように、アリピプラゾール無水物B形結晶の顆粒を2回乾燥(実施例17b及びcの30mg錠)或いはアリピプラゾール無水物B形結晶の製剤を更に乾燥する(実施例18b及びcの30mg錠)ことにより、25℃/60%RHで6ケ月開封静置条件下及び40℃/75%RHで1週間開封静置条件下、pH4.5、60分後の溶出率においてほとんど低下しなくなることがわかる。
【0458】
表4より明らかなように、公知のアリピプラゾール無水物結晶の30mg錠の製剤を更に乾燥することにより、40℃/75%RHで2週間開封静置条件下、pH4.5、60分後の溶出率において最高血中濃度(Cmax)を維持する溶出率以下に低下しなくなることがわかる。
【0459】
表5より明らかなように、アリピプラゾール無水物B形結晶(実施例18a)、アリピプラゾール無水物C形結晶(実施例20)及びアリピプラゾール無水物D形結晶(実施例21)の30mg錠は、40℃/75%RHで2週間開封静置条件下、pH4.0、60分後の溶出率においてほとんど低下しないことがわかる。
【0460】
表6より明らかなように、公知のアリピプラゾール水和物結晶の顆粒を2回乾燥することにより、40℃/75%RHで1週間開封静置条件下、pH4.5、60分後の溶出率において最高血中濃度(Cmax)を維持する溶出率以下に低下しなくなることがわかる。
【0461】
試料調製例1
アリピプラゾール無水物B形結晶 5mg
デンプン 131mg
マグネシウムステアレート 4mg
乳糖 60mg
計 200mg
医薬製剤分野の当業者に公知の製剤法により、1錠中に上記組成を含有する錠剤を製造した。
【0462】
試料調製例2
アリピプラゾール無水物C形結晶 5mg
デンプン 131mg
マグネシウムステアレート 4mg
乳糖 60mg
計 200mg
常法により、1錠中に上記組成を含有する錠剤を製造した。
【0463】
試料調製例3
アリピプラゾール無水物D形結晶 5mg
デンプン 131mg
マグネシウムステアレート 4mg
乳糖 60mg
計 200mg
常法により、1錠中に上記組成を含有する錠剤を製造した。
【0464】
試料調製例4
アリピプラゾール無水物E形結晶 5mg
デンプン 131mg
マグネシウムステアレート 4mg
乳糖 60mg
計 200mg
常法により、1錠中に上記組成を含有する錠剤を製造した。
【0465】
試料調製例5
アリピプラゾール無水物F形結晶 5mg
デンプン 132mg
マグネシウムステアレート 18mg
乳糖 45mg
計 200mg
常法により、1錠中に上記組成を含有する錠剤を製造した。
【0466】
試料調製例6
アリピプラゾール無水物G形結晶 5mg
デンプン 131mg
マグネシウムステアレート 4mg
乳糖 60mg
計 200mg
医薬製剤分野の当業者に公知の製剤法により、1錠中に上記組成を含有する錠剤を製造した。
【0467】
製剤例
以下の製剤例では、公知のアリピピラゾール水和物をまず粉砕又は微粉砕した後、加熱して得られるアリピピラゾール無水物B形結晶を用いた。
【0468】
製剤例1
以下の通りフラッシュメルト錠剤を調製した。
顆粒内
【0469】
【表7】

ステアリン酸マグネシウム以外の成分を、市販のVブレンダーで、全てを加えるまでそれぞれ5分間等比例で混合した。次にステアリン酸マグネシウムを加え、混合物を更に3分間混合した。混合された製剤を、オリフィスを備えた市販のコンパクターで圧力30〜35kgF/cm2で圧縮し、その結果リボン状の成形体が得られた。リボンを30メッシュ(600ミクロン)のフルイに通して約150〜400ミクロンの安定顆粒に成形した。
【0470】
顆粒外成分
【0471】
【表8】

内顆粒をブレンダーに入れ、アビセル(登録商標)RH200及びクロスポビドンをこれに加え、5分間混合した。次にステアリン酸マグネシウムを加え、混合物を更に3分間混合して最終混合物を得た。これにより圧縮された錠剤は、2.3kP(3.5SCU)の破断荷重を有し、5mlの水に10秒で分解した。最終混合物製剤は、優れた流動性を示し、欠け、キャッピング、付着等その他の問題がなかった。アビセル(登録商標)RH102を内顆粒に、アビセル(登録商標)RH200を外顆粒成分に用いることにより、得られる錠剤の品質が向上することが見い出された。
【0472】
製剤例2
2つの等級のケイ酸カルシウムの組み合わせを含むフラッシュメルト錠剤を以下の通り調製した。
【0473】
顆粒内
【0474】
【表9】

ステアリン酸マグネシウム以外の成分を、市販のVブレンダーで、全てを加えるまでそれぞれ5分間等比例で混合した。次にステアリン酸マグネシウムを加え、混合物を更に3分間混合した。製剤例1の工程に従い、混合された製剤を圧縮し、フルイに通して安定顆粒に成形した。
【0475】
顆粒外成分
【0476】
【表10】

内顆粒をブレンダーに入れ、アビセル(登録商標)RH200及びクロスポビドンをこれに加え、5分間混合した。次にステアリン酸マグネシウムを加え、混合物を更に3分間混合して最終混合物を得た。これにより圧縮された錠剤は、2.0kP(3.1SCU)の破断荷重を有し、5mlの水に10秒で分解した。
【0477】
製剤例3
抗精神分裂病薬であるアリピプラゾールを含むフラッシュメルト錠剤を、以下の通り調製した。
【0478】
顆粒内
【0479】
【表11】

ステアリン酸マグネシウム以外の成分を、市販のVブレンダーで、全てを加えるまでそれぞれ5分間等比例で混合した。ステアリン酸マグネシウムを加え、混合物を更に3分間混合した。製剤例1の工程に従い、混合された製剤を圧縮し、フルイに通して安定顆粒に成形した。
【0480】
顆粒外成分
【0481】
【表12】

内顆粒をブレンダーに入れ、アビセル(登録商標)RH200及びクロスポビドンをこれに加えて5分間混合した。次にステアリン酸マグネシウムを加え、混合物を更に3分間混合して最終混合物を得た。これにより圧縮された錠剤は、2.0kP(3.1SCU)の破断荷重を有し、5mlの水に10秒で分解した。
【0482】
製剤例4
アリピプラゾールを含むフラッシュメルト錠剤を、以下の通り調製した。
【0483】
顆粒内
【0484】
【表13】

ステアリン酸マグネシウム以外の成分を、市販のVブレンダーで、全てを加えるまでそれぞれ5分間等比例で混合した。ステアリン酸マグネシウムを加え、混合物を更に3分間混合した。製剤例1の工程に従い、混合された製剤を圧縮し、フルイに通して安定顆粒に成形した。
【0485】
顆粒外成分
【0486】
【表14】

内顆粒をブレンダーに入れ、アビセル(登録商標)RH200及びクロスポビドンをこれに加えて5分間混合した。次にステアリン酸マグネシウムを加え、混合物を更に3分間混合して最終混合物を得た。これにより圧縮された錠剤は、2.3kP(3.5SCU)の破断荷重を有し、5mlの水に10秒で分解した。
【図面の簡単な説明】
【0487】
図面の簡単な説明
【図1】実施例1で得られたアリピプラゾール水和物Aの熱重量測定/示差熱分析図である。
【図2】実施例1で得られたアリピプラゾール水和物AのH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)図である。
【図3】実施例1で得られたアリピプラゾール水和物Aの粉末X線回折図である。
【図4】実施例2で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶のH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)図である。
【図5】実施例2で得られたアリピプラゾール無水物B形結晶の粉末X線回折図である。
【図6】参考例3で得られたアリピプラゾール水和物の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図7】参考例3で得られたアリピプラゾール水和物の粉末X線回折図である。
【図8】実施例11で得られたアリピプラゾール無水物C形結晶の熱重量測定/示差熱分析吸熱曲線である。
【図9】実施例11で得られたアリピプラゾール無水物C形結晶のH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)図である。
【図10】実施例11で得られたアリピプラゾール無水物C形結晶の粉末X線回折スペクトル図である。
【図11】実施例11で得られたアリピプラゾール無水物C形結晶のIRスペクトル図である。
【図12】実施例11で得られたアリピプラゾール無水物C形結晶の固体13CNMRスペクトル図である。
【図13】実施例12又は実施例13で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶の熱重量測定/示差熱分析吸熱曲線である。
【図14】実施例12又は実施例13で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶のH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)図である。
【図15】実施例12又は実施例13で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶の粉末X線回折スペクトル図である。
【図16】実施例12又は実施例13で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶のIRスペクトル図である。
【図17】実施例12又は実施例13で得られたアリピプラゾール無水物D形結晶の固体13C−NMRスペクトル図である。
【図18】実施例14で得られたアリピプラゾール無水物E形結晶の熱重量測定/示差熱分析吸熱曲線である。
【図19】実施例14で得られたアリピプラゾール無水物E形結晶のH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)図である。
【図20】実施例14で得られたアリピプラゾール無水物E形結晶の粉末X線回折スペクトル図である。
【図21】実施例14で得られたアリピプラゾール無水物E形結晶のIRスペクトル図である。
【図22】実施例15で得られたアリピプラゾール無水物F形結晶の熱重量測定/示差熱分析吸熱曲線である。
【図23】実施例15で得られたアリピプラゾール無水物F形結晶のH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)図である。
【図24】実施例15で得られたアリピプラゾール無水物F形結晶の粉末X線回折スペクトル図である。
【図25】実施例15で得られたアリピプラゾール無水物F形結晶のIRスペクトル図である。
【図26】実施例16b)で得られたアリピプラゾール無水物G形結晶の熱重量測定/示差熱分析吸熱曲線である。
【図27】実施例16b)で得られたアリピプラゾール無水物G形結晶のH−NMRスペクトル(DMSO−d、TMS)図である。
【図28】実施例16b)で得られたアリピプラゾール無水物G形結晶の粉末X線回折スペクトル図である。
【図29】実施例16b)で得られたアリピプラゾール無水物G形結晶のIRスペクトル図である。
【図30】実施例16a)で得られたアリピプラゾール無水物のガラス体の熱重量測定/示差熱分析吸熱曲線である。
【図31】実施例16a)で得られたアリピプラゾール無水物のガラス体の粉末X線回折スペクトル図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アリピプラゾール無水物結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【請求項2】
アリピプラゾール無水物結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、顆粒を錠剤に成形した後、該錠剤を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、錠剤の製造方法。
【請求項3】
pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、請求項1で製造された顆粒。
【請求項4】
pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、請求項2で製造された錠剤。
【請求項5】
アリピプラゾール水和物を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【請求項6】
アリピプラゾール水和物を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、顆粒を錠剤に成形した後、該錠剤を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、錠剤の製造方法。
【請求項7】
pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、請求項5で製造された顆粒。
【請求項8】
pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、請求項6で製造された錠剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アリピプラゾール無水物結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【請求項2】
アリピプラゾール無水物結晶が、7−(4−ブロモブトキシ)−3,4−ジヒドロカルボスチリルと1−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジンとを反応させ、得られる粗アリピプラゾール結晶をエタノールにて再結晶することにより製造されるアリピプラゾール無水物結晶である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
アリピプラゾール無水物結晶が、アリピプラゾール無水物I形結晶である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
アリピプラゾール無水物結晶が、アリピプラゾール無水物II形結晶である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
アリピプラゾール無水物結晶を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、顆粒を錠剤に成形した後、該錠剤を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、錠剤の製造方法。
【請求項6】
アリピプラゾール無水物結晶が、7−(4−ブロモブトキシ)−3,4−ジヒドロカルボスチリルと1−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジンとを反応させ、得られる粗アリピプラゾール結晶をエタノールにて再結晶することにより製造されるアリピプラゾール無水物結晶である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
アリピプラゾール無水物結晶が、アリピプラゾール無水物I形結晶である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
アリピプラゾール無水物結晶が、アリピプラゾール無水物II形結晶である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項9】
pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により製造された顆粒。
【請求項10】
pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、請求項5〜8のいずれかに記載の製造方法により製造された錠剤。
【請求項11】
アリピプラゾール水和物を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、整粒し、整粒した顆粒を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、顆粒の製造方法。
【請求項12】
アリピプラゾール水和物が、
(i)7−(4−ブロモブトキシ)−3,4−ジヒドロカルボスチリルと1−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジンとを反応させ、得られる粗アリピプラゾール結晶をエタノールにて再結晶することによりアリピプラゾール無水物結晶を製造し、次いで
(ii)上記アリピプラゾール無水物結晶を含水溶媒に溶解し、得られる溶液を加温した後、冷却する、
ことにより製造されるアリピプラゾール水和物である、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
アリピプラゾール水和物を湿式造粒することにより得られた顆粒を、70〜100℃で乾燥後、顆粒を錠剤に成形した後、該錠剤を再度70〜100℃で乾燥することを特徴とする、錠剤の製造方法。
【請求項14】
アリピプラゾール水和物が、
(i)7−(4−ブロモブトキシ)−3,4−ジヒドロカルボスチリルと1−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジンとを反応させ、得られる粗アリピプラゾール結晶をエタノールにて再結晶することによりアリピプラゾール無水物結晶を製造し、次いで
(ii)上記アリピプラゾール無水物結晶を含水溶媒に溶解し、得られる溶液を加温した後、冷却する、
ことにより製造されるアリピプラゾール水和物である、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、請求項11又は12で製造された顆粒。
【請求項16】
pH4.5での30分後の溶出率が60%以上、pH4.5での60分後の溶出率が70%以上及びpH5.0での60分後の溶出率が55%以上である群から選ばれた溶出率を少なくとも1つ有する、請求項13又は14で製造された錠剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2006−70045(P2006−70045A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341187(P2005−341187)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【分割の表示】特願2002−279085(P2002−279085)の分割
【原出願日】平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【Fターム(参考)】