説明

アリル−及びビニルエーテルに基づくアニオン性添加剤を含む水性顔料調合物

本発明は、
(A) 少なくとも一種の有機及び/または無機顔料、
(B) 式(I)、(II)、(III)または(IV)の分散剤、あるいは式(I)、(II)、(III)または(IV)の分散剤の混合物、
【化1】


【化2】


【化3】


【化4】


(C) 場合により、湿潤剤、
(D) 場合により、更なる界面活性剤及び/または分散剤、
(E) 場合により、一種またはそれ以上の有機溶剤あるいは一種またはそれ以上のハイドロトロープ物質、
(F) 場合により、水性顔料分散体の製造に慣用の更に別の添加剤、及び
(E) 水、
を含む水性顔料調合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、分散剤として新規のアニオン性ポリマーを含む水性顔料調合物、並びに天然もしくは合成材料の着色のためのそれの使用である。
【背景技術】
【0002】
液状媒体中に顔料を分散させるためには、通常、分散剤が必要である。商業的に特に重要なものは、例えば、エマルション塗料及び着色用ニス、ペイント、被覆剤及び印刷インキの着色に並びに紙及び紙パルプ、厚紙及びテキスタイル材料の着色に使用される顔料濃厚物の製造における顔料の分散のための分散剤である。
【0003】
従来技術では、配列されたポリマー構造を含む顔料調合物も開示されている。これの例は、欧州特許出願公開第1293523号明細書(特許文献1)、独国特許出願公開第102005012315号明細書(特許文献2)、及び欧州特許出願公開第1721941号明細書(特許文献3)である。
【0004】
従前から慣用のノボラック系分散剤は、それの製造法の結果として、アルキルフェノール、多くの場合にノニルフェノール、及びこれらのエトキシレートの残渣を含む。アルキルフェノールエトキシレートまたはそれの分解生成物は、環境中で殆ど分解せず、蓄積してしまう。このことは問題である。というのも、これらは水性生物にホルモン作用を示すからである。そのため、多くの国において、開放物質循環系においてアルキルフェノールまたはそれらのエトキシレートを含む物質を使用することを制限するかまたは禁止する法規制が発布されている(例えば2003/53/EC)。
【0005】
従来の試験は、アニオン性ノボラック系とそれの性能に関して同等の分散剤を合成することは相変わらず極めて困難であることを示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1293523号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102005012315号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1721941号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、有機顔料を40%を超える高濃度で低粘度に分散できる新しい分散剤が要望されている。この分散体は簡単に製造できなければならない。すなわち、顔料は簡単に濡れることができなければならず、かつ簡単に水性媒体中に配合できなければならない。この分散体は、強くかつ再現可能な色強度を有していなければならず、またこれは、数年間の期間にわたり安定したままでいなければならない。同様に、他の全てのカラーパラメータ、例えば色相角及び純度が再現可能でかつ安定しているべきである。更に、この分散体は低い粘度を有していなければならず、顔料は集塊(アグロメレ−ション)も凝集(フロキュレーション)もしてはならず、浮遊も沈降もしてはならない。また分散体は、発泡するべきではないし、または適用媒体中で泡の形成を惹起もしくは促進すべきではない。更に、分散剤は、様々な適用媒体中での分散体の幅の広い相溶性に貢献すべきである。加えて、分散体は剪断安定性でなければならない。すなわち、剪断下に色強度または色彩が変化してはならず、また分散体は、この条件下に凝集(フロキュレーション)安定性を保たなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、マクロモノマーを用いて、ポリエチレン−/ポリプロピレングリコール−モノビニルエーテルまたは−アリルエーテルから製造される特定のアニオン性コポリマーが上記の課題を満たすことが見出された。
【0009】
本発明の対象は、
(A) 少なくとも一種の有機及び/または無機顔料、
(B) 式(I)、(II)、(III)または(IV)の分散剤、または式(I)、(II)、(III)または(IV)の分散剤の混合物、
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

【0012】
【化3】

【0013】
【化4】

【0014】
[式中、インデックスa、b及びcは、個々のモノマーのモル分率を示し、
aは、0.01〜0.8、好ましくは0.1〜0.7であり;
bは、0.001〜0.8、好ましくは0.1〜0.6であり;
cは、0.001〜0.8、好ましくは0.1〜0.6であり;
この際、a+b+cの合計は1に等しく、
Aは、C〜C−アルキレンであり、そして
Bは、Aとは異なるC〜C−アルキレンを表し、
kは、0または1の数に相当し、
mは、0〜500の数、好ましくは0〜50の数であり;
nは、0〜500の数、好ましくは0〜50の数であり、
この際、m+nの合計は1〜1000に等しく、
は、炭素原子数3〜30の芳香族または芳香脂肪族基を表し、これらは、場合により、N、O及びSの一つまたはそれ以上のヘテロ原子を含み、
は、Hまたは(C〜C)アルキルを表し、
は、Hまたは(C〜C)アルキルを表し、
は、Hまたは(C〜C)アルキルを表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、炭素原子数3〜30の芳香族または芳香脂肪族基を表し、これらは、場合により、N、O及びSの一つまたはそれ以上のヘテロ原子を含み、
は、酸素またはNH基を表し、
は、水素またはメチルを表し、
Yは、炭素原子数1〜30、好ましくは6〜30、特に9〜20の脂肪族炭化水素基を表し、これは、線状もしくは分枝状、または環状であることもでき、ヘテロ原子O、N及び/またはSを含むことができ、また不飽和であることもでき、
は、酸素またはNH基を表し;
Qは、SO、CHCOO、POMを表すか;
またはQMは、
【0015】
【化5】

【0016】
を意味し、
ここで、
Mは、H、一価の金属カチオン、二価の金属カチオン、NH、第二、第三もしくは第四アンモニウムイオン、またはこれらの組み合わせ、あるいは二価、三価または多価の金属イオンの当量、例えばCa2+またはAl3+の当量を表す(上記マルクーシュ式中の星印*は、この箇所においてポリマーへの結合が存在することを示す)]
(C) 場合によっては、湿潤剤、
(D) 場合によっては、更に別の界面活性剤及び/または分散剤、
(E) 場合によっては、一種またはそれ以上の有機溶剤及び/または一種またはそれ以上のハイドロトロープ物質、
(F) 場合によっては、水性顔料分散体を調製するための更に別の慣用の添加剤、及び
(G) 水、
を含む水性顔料調合物である。
【0017】
好ましい顔料調合物は、成分(A)を5〜80重量%、例えば10〜70重量%の割合で含む。
【0018】
好ましい顔料調合物は、成分(B)を0.1〜30重量%、例えば2〜15重量%の割合で含む。
【0019】
特に好ましい顔料調合物は、それぞれ顔料調合物の総重量(100重量%)を基準にして、
成分(A) 5〜80重量%、例えば10〜70重量%、
成分(B) 0.1〜30重量%、例えば2〜15重量%、
成分(C) 0〜10重量%、例えば0.1〜5重量%、
成分(D) 0〜20重量%、例えば1〜10重量%、
成分(E) 0〜30重量%、例えば5〜20重量%、
成分(F) 0〜20重量%、例えば0.1〜5重量%、
成分(G) 水1〜90重量%、好ましくは10〜70重量%、
を含む。
【0020】
成分(C)、(D)、(E)及び(F)の一種またはそれ以上が存在する場合には、それの最小濃度は、互いに独立して、顔料調合物の総重量を基準にして合目的的には少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%である。
【0021】
本発明の顔料調合物の成分(A)は、微細な有機または無機顔料、あるいは異なる有機及び/または無機顔料の混合物である。成分(A)は、或る特定の溶剤中に可溶性でありそして他の溶剤中では顔料の特性を有する染料であることもできる。顔料は、乾燥粉末の形でも、または含水のプレスケーキとしても使用することができる。
【0022】
有機顔料としては、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、レーキ化アゾ顔料、β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾ縮合顔料、アゾ金属錯体顔料、及び多環式顔料、例えばフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインディゴ顔料、アンタントロン顔料、アントラキノン顔料、フラバントロン顔料、インダントロン顔料、イソビオラントロン顔料、ピラントロン顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、及びジケトピロロピロール顔料またはカーボンブラックが挙げられる。
【0023】
上記の有機顔料のうち、該調合物の調製にとってできるだけ微細なものが特に好適であり、この際、顔料粒子のうち好ましくは95%、特に好ましくは99%が≦500nmの粒度を有する。
【0024】
この際、特に好ましい有機顔料の例示的な選択としては、カーボンブラック顔料、例えばガスブラックまたはファーネスブラック; モノアゾ顔料及びジスアゾ顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー81、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー87、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー111、ピグメントイエロー126、ピグメントイエロー127、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー174、ピグメントイエロー176、ピグメントイエロー191、ピグメントイエロー213、ピグメントイエロー214、ピグメントイエロー219、ピグメントレッド38、ピグメントレッド144、ピグメントレッド214、ピグメントレッド242、ピグメントレッド262、ピグメントレッド266、ピグメントレッド269、ピグメントレッド274、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ34またはピグメントブラウン41; β−ナフトール−及びナフトールAS−顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントレッド2、ピグメントレッド3、ピグメントレッド4、ピグメントレッド5、ピグメントレッド9、ピグメントレッド12、ピグメントレッド14、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド146、ピグメントレッド147、ピグメントレッド170、ピグメントレッド184、ピグメントレッド187、ピグメントレッド188、ピグメントレッド210、ピグメントレッド247、ピグメントレッド253、ピグメントレッド256、ピグメントオレンジ5、ピグメントオレンジ38またはピグメントブラウン1; レーキ化アゾ−及び金属錯体顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド257、ピグメントオレンジ68またはピグメントオレンジ70; ベンズイミダゾリン顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントイエロー120、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー181、ピグメントイエロー194、ピグメントレッド175、ピグメントレッド176、ピグメントレッド185、ピグメントレッド208、ピグメントバイオレット32、ピグメントオレンジ36、ピグメントオレンジ62、ピグメントオレンジ72またはピグメントブラウン25; イソインドリノン−及びイソインドリン顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントイエロー139またはピグメントイエロー173; フタロシアニン顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントグリーン7またはピグメントグリーン36; アンタントロン−、アントラキノン−、キナクリドン−、ジオキサジン−、インダントロン−、ペリレン−、ペリノン−及びチオインディゴ顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントイエロー196、ピグメントレッド122、ピグメントレッド149、ピグメントレッド168、ピグメントレッド177、ピグメントレッド179、ピグメントレッド181、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントレッド263、ピグメントブルー60、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23またはピグメントオレンジ43; トリアリールカルボニウム顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントレッド169、ピグメントブルー56またはピグメントブルー61; ジケトピロロピロール顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントレッド254、ピグメントレッド255、ピグメントレッド264、ピグメントレッド270、ピグメントレッド272、ピグメントオレンジ71、ピグメントオレンジ73、ピグメントオレンジ81を挙げることができる。
【0025】
更に、レーキ化染料、例えばスルホン酸−及び/またはカルボン酸基含有染料のCa、Mg、Alレーキも適している。
【0026】
適当な無機顔料は、例えば、二酸化チタン類、硫化亜鉛類、酸化亜鉛類、酸化鉄類、マグネタイト類、酸化鉄マンガン類、酸化クロム類、ウルトラマリン、ニッケル−もしくはクロムアンチモンチタンオキシド類、マンガンチタンルチル類、酸化コバルト類、コバルトとアルミニウムの混合酸化物、ルチル混合相顔料、希土類元素の硫化物、ニッケル及び亜鉛を含むコバルトのスピネル、銅、亜鉛並びにマンガンを含む鉄及びクロムに基づくスピネル、バナジン酸ビスマス類、並びに体質顔料(Verschnittpigmente)である。特に、カラーインデックス顔料のピグメントイエロー184、ピグメントイエロー53、ピグメントイエロー42、ピグメントイエローブラウン24、ピグメントレッド101、ピグメントブルー28、ピグメントブルー36、ピグメントグリーン50、ピグメントグリーン17、ピグメントブラック11、ピグメントブラック33並びにピグメントホワイト6が使用される。好ましくは、無機顔料の混合物もしばしば使用される。有機顔料と無機顔料との混合物も同様にしばしば使用される。
【0027】
顔料分散体の代わりに、例えば天然の微細な鉱石、鉱物、難溶性もしくは不溶性の塩、ワックス粒子またはプラスチック粒子、染料、植物保護剤及び有害生物駆除剤、UV吸収剤、蛍光増白剤及び重合安定剤を固形物として含む分散体を製造することもできる。
【0028】
コポリマー(成分B)は、10g/mol〜10g/mol、特に好ましくは10〜10g/mol、特に好ましくは10〜10g/molの分子量を有する。これらのポリマーは、式(I)、(II)、(III)または(IV)中の括弧[ ]、[ ]及び[ ]に記載の基に相当するモノマーのラジカル重合の慣用の方法によって、製造することができる。この重合の後に、こうして得られた非イオン性ポリマーをアニオン官能性に変える。
【0029】
基[ ]の好ましいモノマーは、Aがエチレンを、Bがプロピレンを意味するか、またはAがプロピレンを、Bがエチレンを意味するものである。
【0030】
アルキレンオキシド単位(A−O)及び(B−O)は、ランダム状に、または好ましい実施形態の場合のようにブロック状配置されて存在することができる。アルキレンオキシド単位の合計は、原則的にn+m=1〜1000であることができ、好ましくは1〜500、特に2〜100、特に好ましくは5〜100である。
【0031】
[ ]基のモノマーには、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸の次のエステル及びアミド、すなわちフェニル、ベンジル、トリル、2−フェノキシエチル、フェネチルエステル及びアミドが挙げられる。
【0032】
[ ]基の更に別のモノマーは、ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン及びそれの誘導体、例えばビニルトルエン、アルファ−メチルスチレンである。芳香族単位は、例えば1−ビニルイミダゾールの場合のように、ヘテロ芳香族であることもできる。
【0033】
[ ]基の特に好ましいモノマーは、スチレン、1−ビニルイミダゾール、ベンジルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート及びフェネチルメタクリレートであることができる。
【0034】
[ ]基のモノマーには、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸の次のエステル及びアミド、すなわちメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、3,3−ジメチルブチル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、ラウリル、セチル、ステアリル、ベヘニル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ボルニル、イソボルニル、アダマンチル、(2,2−ジメチル−1−メチル)プロピル、シクロペンチル、4−エチル−シクロヘキシル、2−エトキシエチル、テトラヒドロフルフリル、及びテトラヒドロピラニル−エステル及びアミドが挙げられる。
【0035】
更に、[ ]基のモノマーには、カルボン酸のビニルエステル、例えばラウリン酸ビニルエステル、ミリスチン酸ビニルエステル、ステアリン酸ビニルエステル、ベヘン酸ビニルエステル、ピバリン酸ビニルエステル、ネオヘキサン酸ビニルエステル、ネオヘプタン酸ビニルエステル、ネオオクタン酸ビニルエステル、ネオノナン酸ビニルエステル、及びネオデカン酸ビニルエステルが挙げられる。ここで、これらの種のカルボン酸の混合物からなるビニルエステルも同様に使用できる。
【0036】
[ ]基の好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸の次のアルキルエステルもしくはアルキル−アミド、すなわちメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、2−エトキシエチル、ミリスチル、オクタデシル、特に好ましくは2−エチルヘキシル及びラウリル−エステルまたはアミドである。
【0037】
成分(C)としては、大概の場合に、顔料の濡れを助けるカチオン性、アニオン性、両性またはノニオン性化合物(湿潤剤)、例えばアルキルスルフェート、例えばラウリルスルフェート、アルキルベンゼンスルホン酸、短鎖アルコキシル化生成物、例えば約5モルのエチレンオキシドまたはアルキンジオールと反応させたラウリルアルコールが使用される。
【0038】
本発明の顔料調合物の成分(D)としては、水性顔料分散体の製造に適した慣用の分散剤及び界面活性剤またはこれらの物質の混合物が使用される。通常は、独国特許出願公開第102007021870号明細書に記載のような、アニオン性、カチオン性、両性またはノニオン性界面活性化合物が使用される。
【0039】
成分(E)は有機溶剤または水溶性ハイドロトロープ物質に相当する。場合によっては溶剤としても働くかまたはオリゴマー性もしくはポリマー性である、ハイドロトロープ化合物は、例えば、ホルムアミド、尿素、テトラメチル尿素、ε−カプロラクタム、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、α−メチル−ω−ヒドロキシ−ポリエチレングリコールエーテル、ジメチルポリエチレングリコールエーテル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジメチルポリプロピレングリコールエーテル、エチレングリコール及びプロピレングリコールからなるコポリマー、ブチルグリコール、メチルセルロース、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、N−メチルピロリドン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、チオジグリコール、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ブチルモノグリコール硫酸ナトリウム、セルロース誘導体、ゼラチン誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルイミダゾール、及びビニルピロリドン、ビニルアセテート及びビニルイミダゾールからなるコポリマー及びターポリマー(ビニルアセテート構造要素を含むこれらのポリマーは、次いで、鹸化に付してビニルアルコールにすることができる)である。
【0040】
成分(F)としては、例えば、増粘剤、防腐剤、粘度安定剤、粉砕助剤及びフィラーが使用される。更に別の慣用の添加剤は、沈降防止剤、光保護剤、酸化防止剤、脱ガス剤/消泡剤、泡減少剤、アンチケーキング剤、並びに粘度及びレオロジーに有利に影響を及ぼす添加剤であることができる。粘度の調節のための剤としては、例えばポリビニルアルコール及びセルロース誘導体などが挙げられる。同様に、粘着力及び耐摩耗性の向上のための成膜剤もしくは結合剤としての水溶性天然もしくは人工樹脂並びにポリマーも挙げられる。pH調節剤としては、有機もしくは無機塩基及び酸が使用される。好ましい有機塩基は、アミン類、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、アミノメチルプロパノール、またはジメチルアミノメチルプロパノールである。好ましい無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムまたはアンモニアである。成分(F)は、植物もしくは動物由来の油脂、例えば牛脂、パーム核脂肪、ココナッツ脂肪、ナタネ油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム油、大豆油、ピーナッツ油及び鯨油、綿実油、トウモロコシ油、ケシ油、オリーブ油、ヒマシ油、コルザ油(Rueboel)、ベニバナ油、ソイビーン油、アザミ油、ヒマワリ油、ニシン油、イワシ油に相当する。飽和もしくは不飽和の高級脂肪酸、例えばパルミチン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、カプロン酸、カプリル酸、アラキン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸及びリシノール酸、並びにこれらの塩も慣用の添加剤である。
【0041】
顔料調合物の製造に使用される水、すなわち成分(G)は、好ましくは、脱塩水または蒸留水の形で使用される。飲料水(水道水)及び/または天然水も使用することができる。
【0042】
本発明の更に別の対象は、本発明の顔料調合物の製造方法であって、粉末、顆粒物または水性プレスケーキの形の成分(A)を、水(G)並びに成分(B)の存在下及び場合により(C)及び(D)の存在下に分散し、次いで場合により水(G)、並びに場合により成分(E)及び(F)の一種またはそれ以上を混合し、そして場合により、得られた水性顔料調合物を水(G)で希釈することを特徴とする前記方法である。好ましくは、先ず、成分(B)、場合により及び成分(C)、(D)、(E)及び(F)の一種またはそれ以上を混合、均一化し、次いで成分(A)を、仕込んだこの混合物に混ぜ入れて、この際、成分A)がペースト化されそして予備分散される。次いで、成分(A)の粒の硬さに依存して、場合により冷却下に、粉砕もしくは分散装置を用いて微分散する。このためには、攪拌機、ディスソルバ(鋸歯攪拌機)、ローター・ステーターミル、ボールミル、攪拌ボールミル、例えばサンドミル及びビーズミル、高速ミキサー、混練装置、ロールミルまたは高性能ビーズミルを使用することができる。成分(A)の微分散もしくは粉砕は、希望の粒度分布まで行われ、そして0〜100℃の範囲の温度、合目的的には10〜70℃の温度、好ましくは20〜60℃の温度で行うことができる。微分散の後は、顔料調合物を、水(G)、好ましくは脱イオン水または蒸留水で更に希釈することができる。
【0043】
本発明の顔料調合物は、全ての種類の天然もしくは合成材料の顔料着色及び着色に、特に水性ペイント、エマルションペイント及び着色ニス(分散ラッカー)の顔料着色及び着色に、原紙料(Papiermasse)の着色に並びにラミネートの製造及び着色に適している。
【0044】
更に、本発明の顔料調合物は、全ての種類の巨大分子量材料、例えば天然及び合成繊維材料、好ましくはセルロース繊維の着色に適している。更に別の用途は、印刷インキ、例えばテキスタイル材料用印刷インキ、フレキソ印刷用インキ、装飾用インキまたは凹版印刷用インキ、壁紙用着色料、水で希釈可能な塗料、木材保護系、ビスコース紡糸着色、塗料(粉末塗料も含む)、ソーセージケーシング、種、肥料、ガラス、特にガラスボトルの製造に、並びに屋根瓦の内部着色、漆喰、コンクリート、木材着色用媒染剤、色鉛筆の芯、フェルトペン、ワックス、パラフィン、製図用インキ、ボールペン用ペースト、チョーク、洗剤及び洗浄剤、靴の手入れ剤、ラテックス製品、研磨剤の着色に、並びに全ての種類のプラスチックもしくは高分子材料の着色である。高分子有機材料は、例えばセルロースエーテル及びセルロースエステル、例えばエチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテートまたはセルロースブチレート、天然樹脂もしくは合成樹脂、例えば重合樹脂または縮合樹脂、例えばアミノプラスト、特に尿素−及びメラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、フェノプラスト、ポリカーボネート、ポリオレフィン、例えばポリスチレン、ポリビニルクロライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアミド、ポリウレタン、またはポリエステル、ゴム、カゼイン、ラテックス、シリコーン、シリコーン樹脂の個々のものまたは混合物である。
【0045】
更に、本発明の顔料調合物は、全ての慣用のインクジェットプリンター、特にバブルジェット法もしくはピエゾ法に基づくインクジェットプリンターに使用する印刷インキの製造に適している。これらの印刷インキを用いて、紙、天然もしくは合成繊維材料、フィルム及びプラスチックに印刷することができる。加えて、本発明の顔料調合物は、様々な種類の被覆されたもしくは被覆されていない基材の印刷、すなわち例えば、厚紙、ボール紙、木材、及び木材加工製作材料、金属製材料、半導体材料、セラミック材料、ガラス、ガラス繊維及びセラミック繊維、無機材料、コンクリート、皮革、食品、化粧料、皮膚及び毛髪の印刷に使用することができる。この際、この基材は、二次的に平面に広がるか、または立体的に広がる、すなわち三次元の形であることができ、全体がもしくは一部のみ印刷もしくは被覆されていることができる。
【0046】
更にまた、本発明の顔料調合物は、電子写真用トナー及び現像剤、例えば一成分もしくは二成分粉末トナー(一成分もしくは二成分現像剤とも称される)、磁気トナー、液体トナー、ラテックストナー、重合トナー並びに特殊トナー中の着色剤としても適している。
【0047】
更に、本発明の顔料調合物は、インキ、好ましくはインクジェット用インキ、例えば水性もしくは非水性(“溶剤系”)のインクジェット用インキ、マイクロエマルションインキ、UV硬化性インキに、並びにホットメルト法に従い機能するインキに着色剤として適している。
【0048】
更に、本発明の顔料調合物は、加法発色及び減法発色の両方のための“フラットパネルディスプレー”用のカラーフィルターのための着色剤、更に“フォトレジスト”のための着色剤、並びに電子インキ(“エレクトロニックインキ”または“e−インキ”)のための着色剤として、または電子ペーパー(“エレクトロニックペーパー”または“e−ペーパー”)のための着色剤としても使用することができる。
【実施例】
【0049】
分散剤(B)の製造:
【0050】
合成手順1:
一般重合手順:
攪拌機、還流冷却器、内部温度計及び窒素導入部を備えたフラスコ内で、モノマーA、モノマーC、場合により及び分子量調節剤を、溶剤中に窒素導入下に仕込んだ。次いで、温度を攪拌しながら80℃にし、そして一時間内に開始剤の溶液を計量添加した。これと同時に、モノマーBの計量添加を初め、これを3時間後に完了した。それに次いで、この温度で2時間更に攪拌し、次いで溶剤を真空下に除去した。
【0051】
合成手順2:
一般重合手順:
攪拌機、還流冷却器、内部温度計及び窒素導入部を備えたフラスコ内で、モノマーA、モノマーC、及び場合により分子量調節剤、及びレドックス開始剤系の成分1(アスコルビン酸)を、溶剤中に窒素導入下に仕込んだ。次いで、温度を攪拌下に80℃にし、そして3時間内にレドックス開始剤系の成分2(t−BuOOH)の溶液を計量添加した。これと同時に、成分Bの計量添加を開始し、これを3時間後に完了した。これに次いで、この温度で2時間更に攪拌し、次いで溶剤を真空下に除去した。
【0052】
合成手順3:
合成手順1または2に従い得られたポリマーを反応させて、側鎖にエーテルスルフェート基を有するアニオン性コポリマーとするための一般合成手順:
コポリマーを、窒素雰囲気下にアミドスルホン酸及び尿素を含むフラスコ中に仕込んだ。次いで、攪拌下に4時間、100℃に加温した。次いで、50%濃度苛性ソーダ溶液を用いて、pH値を6.5〜7.5に調節した。NMR分光分析により、対応する硫酸エステル−アンモニウム塩への>95%の転化率を求めることができた。
【0053】
合成手順4:
合成手順1または2に従い得られたポリマーを反応させて、側鎖にスルホスクシネート基を有するアニオン性コポリマーとするための一般合成手順:
コポリマーを窒素下にフラスコ中に仕込んだ。次いで、無水マレイン酸及び水酸化ナトリウムを加え、そして攪拌下に75〜85℃の温度に加熱した。この温度で三時間攪拌し、次いで亜硫酸ナトリウム水溶液(10重量%濃度)を計量添加した。60〜70℃で反応が完了するまで攪拌し、そして最後に50%濃度苛性ソーダ溶液を用いてpH値をpH7に調節した。
【0054】
以下の三つの表は、先ずポリマーを合成手順1または2に従い製造し、次いでこのポリマーのアニオン性誘導体を合成手順3または4に従い製造する二段階の合成例を含む。
AMBN=2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
表1〜3のモノマーA:

ポリグリコール1 ポリアルキレングルコールモノビニルエーテル(式(I)、k=0、n=0、m=11.5;(A−O)は(CHCHO)に相当) 分子量 約550g/mol。
ポリグリコール2 ポリアルキレングルコールモノビニルエーテル(式(I)、k=0、n=0、m=24;(A−O)は(CHCHO)に相当) 分子量 約1100g/mol。
ポリグリコール3 ポリアルキレングルコールモノビニルエーテル(式(I)、k=0、n=0、m=44.5;(A−O)は(CHCHO)に相当) 分子量 約2000g/mol。
ポリグリコール4 ポリアルキレングルコールモノビニルエーテル(式(I)、k=0、n=0、m=135.4;(A−O)は(CHCHO)に相当) 分子量 約6000g/mol。
ポリグリコール5 ポリアルキレングリコールモノアリルエーテル(式(I)、k=1、n=0、m=6.6;(A−O)は(CHCHOに相当)) 分子量 約350g/mol。
ポリグリコール6 ポリアルキレングリコールモノアリルエーテル(式(I)、k=1、n=0、m=10;(A−O)は(CHCHO)に相当) 分子量 約500g/mol。
ポリグリコール7 ポリアルキレングリコールモノアリルエーテル(式(I)、k=1、n=0、m=21.4;(A−O)は(CHCHO)に相当) 分子量 約1000g/mol。
ポリグリコール8 ポリアルキレングリコールモノアリルエーテル(式(I)、k=1、エチレンオキシド/プロピレンオキシドの比率6:4(ランダムに重合) 分子量 約500g/mol。
ポリグリコール9 ポリアルキレングリコールモノアリルエーテル(式(I)、k=1、エチレンオキシド(B−O)/プロピレンオキシド(A−O)の比率11:4(ブロックコポリマー) 分子量 約750g/mol。
ポリグリコール10 ポリアルキレングリコールモノアリルエーテル(式(I)、k=1、エチレンオキシド(B−O)/プロピレンオキシド(A−O)の比率20:10(ブロックコポリマー) 分子量 約1500g/mol。
ポリグリコール11 ポリアルキレングリコールモノアリルエーテル(式(I)、k=1、エチレンオキシド/プロピレンオキシドの比率20:20(ランダムに重合) 分子量 約2100g/mol。
【0059】
顔料調合物の製造:
粉末、顆粒物またはプレスケーキのいずれかとしての顔料を、分散剤及び他の添加剤と一緒に脱イオン水中でペースト化し、次いでディスソルバ(例えばVMA−Getzmann GmbH製のタイプAE3−M1)または他の適当な装置を用いて均一化、予備分散した。次いで、ビーズミル(例えばVMA−Getzmann社製のAE3−M1)または他の適当な分散装置を用いて微分散を行った。この際、サイズd=1mmのシリカザイト(Siliquarzit)ビーズまたはジルコニウム混合酸化物ビーズを用いて冷却しながら、希望の色強度及び色になるまで粉砕を行った。次いで、この分散体を、脱イオン水を用いて希望の顔料濃度に調節し、粉砕媒体を分離し、そして顔料調合物を単離した。
【0060】
顔料調合物の評価
色強度及び色相の測定は、DIN55986に従い行った。“ラブアウト試験(ラブアウト試験)”のために、エマルションペイントを、顔料調合物と混合した後、ペイントチャートに塗布した。次いで、このペイントチャートの下の方の部分を指で後擦りした。この際、後擦り面が、それの隣の後処理していない面と比べて強く着色している場合に馴染みの悪さが存在した(“ラブアウト試験”は、独国特許出願公開第2638946号明細書に記載されている)。
【0061】
更に、原紙料の着色の色特性を評価した。このために、セルロース懸濁液を顔料調合物で10%着色し、それから乾燥及び圧搾して堅い紙を作製し、その後、色強度及び色相を求めた。
【0062】
気泡力の測定のために、水で2%に希釈した分散体を、蠕動ポンプを用いて高流速で連続的にガラスシリンダ中に注入し、そして生じた泡の高さを測定した。
【0063】
カチオン性エピクロロヒドリン樹脂を用いて、分散体の顔料粒子をセルロース懸濁液中で凝集(flocken)させることによって、顔料調合物の剪断安定性を測定した。剪断は、商業的に入手可能な台所用ミキサー(ここではブラウンMX32)を用いて、高回転速度に調節して行った。その後、このパルプから紙を作製し、そして剪断した分散体の色強度を、剪断していない分散体の色強度と比較した。
【0064】
粘度は、Haake社製のコーン−プレート粘度計(Roto Visco1)を用いて20℃測定した(チタン製コーン: φ60mm、1°)。この際、0〜200s−1の範囲の剪断速度に対する粘度の依存性を試験した。粘度は60s−1の剪断速度で測定した。
【0065】
分散体の貯蔵安定性の評価のために、粘度を、製造直後と、50℃で四週間貯蔵した後に測定した。
【0066】
以下の例に記載の顔料調合物は上記の方法に従い製造したものである。この際、以下の成分を、各々の顔料調合物が100部生ずるように記載の量で使用した。以下の例において、部は重量部を意味する。以下の一般処方が当てはまる。
X部 成分(A)、顔料
Y部 成分(B)、式(I)、(II)、(III)または(IV)に相当する分散剤、合成例の番号を表に示す。
1部 成分(C)、ステアリルアルコキシレート(エチレンオキシド4モル)
10部 成分(E)
0.2部 成分(F)、防腐剤
残部 成分(G)、水
X及びYのそれぞれの割合及び成分Eは以下の表に記載する。FSは色強度、Komp.は成分、P.はピグメントを意味する。
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) 少なくとも一種の有機及び/または無機顔料、
(B) 式(I)、(II)、(III)または(IV)の分散剤、あるいは式(I)、(II)、(III)または(IV)の分散剤の混合物
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

[式中、インデックスa、b及びcは、それぞれのモノマーのモル分率を表し、
a=0.01〜0.8;
b=0.001〜0.8;
c=0.001〜0.8;
ここで、a+b+cの合計は1に等しく、
Aは、C−〜C−アルキレンを表し、そして
Bは、Aとは異なるC−〜C−アルキレンを表し、
kは、0または1の数に相当し、
mは、0〜500の数であり;
nは、0〜500の数であり、
ここで、m+nの合計は1〜1000に等しく、
は、炭素原子数3〜30の芳香族または芳香脂肪族基を表し、これは、場合により、N、O及びSの一つまたはそれ以上のヘテロ原子を含み、
は、Hまたは(C−C)−アルキルを表し、
は、Hまたは(C−C)−アルキルを表し、
は、Hまたは(C−C)−アルキルを表し、
は、水素またはメチルを表し、
は、炭素原子数3〜30の芳香族または芳香脂肪族基を表し、これは、場合により、N、O及びSの一つまたはそれ以上のヘテロ原子を含み、
は、酸素またはNH基を表し、
は、水素またはメチルを表し、
Yは、炭素原子数1〜30の脂肪族炭化水素基を表し、これは線状または分枝状かまたは環状であることもでき、そしてヘテロ原子O、N及び/またはSを含むことができ、また不飽和であることもでき、
は、酸素またはNH基を表し、
Qは、SO、CHCOO、POMを表し;
あるいはQMは、
【化5】

を意味し、ここで、
Mは、H、一価の金属カチオン、二価の金属カチオン、NH、第二、第三もしくは第四アンモニウムイオン、またはこれらの組み合わせ、あるいは二価、三価または多価の金属イオンの当量を表す]
(C) 場合により、湿潤剤、
(D) 場合により、更なる界面活性剤及び/または分散剤、
(E) 場合により、一種またはそれ以上の有機溶剤、及び/または一種またはそれ以上のハイドロトロープ物質、
(F) 場合により、水性顔料分散体の調製に慣用の更に別の添加剤、及び
(G) 水、
を含む、水性顔料調合物。
【請求項2】
成分(A)を5〜80重量%の割合で含む、請求項1の顔料調合物。
【請求項3】
成分(B)を0.1〜30重量%の割合で含む、請求項1または2の顔料調合物。
【請求項4】
成分(A)〜(G)の次の組成、すなわちそれぞれ顔料調合物の総重量を基準にして、
(A) 5〜80重量%、
(B) 0.1〜30重量%、
(C) 0〜10重量%、
(D) 0〜20重量%、
(E) 0〜30重量%、
(F) 0〜20重量%、
(G) 1〜90重量%の水、
を特徴とする、請求項1〜3の少なくとも一つの顔料調合物。
【請求項5】
成分(A)〜(G)の次の組成、すなわちそれぞれ顔料調合物の総重量を基準にして、
(A) 10〜70重量%、
(B) 2〜15重量%
(C) 0.1〜5重量%
(D) 1〜10重量%
(E) 5〜20重量%
(F) 0.1〜5重量%
(G) 10〜70重量%の水、
を特徴とする、請求項1〜4の少なくとも一つの顔料調合物。
【請求項6】
成分(A)の有機顔料が、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、レーキ化アゾ顔料、β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾ縮合顔料、アゾ金属錯体顔料であるか、またはフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインディゴ顔料、アンタントロン顔料、アントラキノン顔料、フラバントロン顔料、インダントロン顔料、イソビオラントロン顔料、ピラントロン顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料及びジケトピロロピロール顔料の群から選択される多環式顔料、またはカーボンブラックであることを特徴とする、請求項1〜5の少なくとも一つの顔料調合物。
【請求項7】
成分(B)中において、アルキレンオキシド単位(A−O)及び(B−O)がブロック状に配置されていることを特徴とする、請求項1〜6の少なくとも一つの顔料調合物。
【請求項8】
粉末、顆粒物または水性プレスケーキの形の成分(A)を、水(G)並びに成分(B)の存在下に、場合により及び(C)及び(D)の存在下に分散し、次いで場合により、水(G)、場合により並びに成分(E)及び(F)の一種またはそれ以上を混合し、そして場合によっては、得られた水性顔料調合物を水(G)で希釈するか、
あるいは成分(B)を初めに供し、そして場合により先ず成分(C)、(D)、(E)及び(F)の一種またはそれ以上を混合、均一化し、次いで成分(A)を、この予め仕込んだ混合物中に混ぜ入れ、この際、成分(A)がペースト化、予備分散される、
ことを特徴とする、請求項1〜7の少なくとも一つの顔料調合物の製造方法。
【請求項9】
水性ペイント、エマルションペイント及び着色ニス、水で希釈可能な塗料、壁紙用着色料及び印刷インキの顔料着色のための、紙及び紙パルプの着色のための、原紙料の染色にための、紙の製造のための、並びに厚紙及びテキスタイル材料の着色のための、請求項1〜10の一つまたはそれ以上の顔料調合物の使用。
【請求項10】
天然及び合成繊維材料、セルロース繊維の顔料着色、ラミネートの着色、並びに印刷インキ、インクジェット用インキ、電子写真用トナー、粉末塗料、カラーフィルター、電子インキ及び“エレクトロニックペーパー”、カラーフィルター、木材保護系、ビスコース紡糸着色、ソーセージケーシング、種、肥料、ガラスボトルの製造に、並びに屋根瓦の内部着色、漆喰、コンクリート、木材着色用媒染剤、色鉛筆の芯、フェルトペン、ワックス、パラフィン、製図用インキ、ボールペン用ペースト、チョーク、洗剤及び洗浄剤、靴の手入れ剤、ラテックス製品、研磨剤の着色に、並びにプラスチックの着色のための、請求項1〜10の一つまたはそれ以上の顔料調合物の使用。

【公表番号】特表2010−536961(P2010−536961A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521328(P2010−521328)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/006020
【国際公開番号】WO2009/024232
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】