説明

アリルおよびプロパルギルエーテル

式X−C(R)(R)−O−C(CH)(R)−OCH(I)(式中、Xはエチニルまたはビニル基であり、Rはメチルまたはエチルであり、Rは、飽和または不飽和直鎖または環式脂肪族炭化水素残基であり、そしてRはメチルまたはエチルである)のアリルおよびプロパルギルエーテル、それらの調製方法、ならびにβ−ケトアレン、α,β−不飽和カルボニル化合物またはγ,δ−不飽和ケトンの製造のためのそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、アリルおよびプロパルギルエーテル、それらの調製方法、ならびにそれらの使用に関する。
【0002】
より正確には、本発明は、一般式X−C(R)(R)−O−C(CH)(R)−OCH(I)(式中、Xはエチニルまたはビニル基であり、Rはメチルまたはエチルであり、Rは、飽和または不飽和直鎖または環式脂肪族炭化水素残基であり、そしてRはメチルまたはエチルである)のアリルおよびプロパルギルエーテル、ならびに酸触媒の存在下で式X−C(R)(R)−OH(II)の第3級エチニルまたはビニルカルビノールをイソプロペニルメチルエーテル(IPM)または2−n−ブテニルメチルエーテル(BME)と反応させることによるそれらの調製方法に関する。したがって、式(I)の化合物は、それぞれ、IPM−およびBME−付加物としても記載される。
【0003】
Saucyら(Helv.Chim.Acta 50(1967),1158)は、不活性溶媒中、60〜80℃の温度で、触媒量のp−トルエンスルホン酸またはリン酸の存在下でアセチレンカルビノールをビニルエーテルと反応させることによる高収率のβ−ケトアレン類の調製について記載している。Xがエチニルである式(I)のプロパルギル中間体を通して反応が進行することを提案する理由があったが、この中間体を単離および識別することはできなかった。
【0004】
同様に、Saucyら(Helv.Chim.Acta 50(1967),2091)は、圧力下、120〜200℃の温度で、12〜16時間、触媒量のリン酸の存在下、第3級ビニルカルビノールをイソプロペニルエーテルと反応させることによる高収率(カルビノールに対して73〜94%)のγ,δ−不飽和ケトン類の調製について記載している。圧力をかけずに反応させると、6−メチル−5−ヘプタン−2−オン(MH)の場合の93%の代わりに、はるかに少ない収率、例えば41%のみという結果が得られる。再び、著者は、Xがビニルである式1の中間体を介して反応が先行することを仮定し、これらの化合物を単離および識別することができなかったことを認めた。
【0005】
本発明に従って、−20℃以下の温度でMBEとIPMとの反応を実行することにより、有用な既知の化合物に変換される前に、従来文献に記載されていない式(I)の仮定の中間体を高収率および純度で単離することができることが見出された。
【0006】
したがって、本発明は、一般式X−C(R)(R)−O−C(CH)(R)−OCH(I)(式中、Xはエチニルまたはビニル基であり、Rはメチルまたはエチルであり、Rは、飽和または不飽和直鎖または環式脂肪族炭化水素残基である)のアリルおよびプロパルギルエーテル、ならびに−20℃以下の温度で、触媒として酸の存在下で式X−C(R)(R)−OH(II)の第3級エチニルまたはビニルカルビノールをイソプロペニルメチルエーテル(IPM)または2−n−ブテニルメチルエーテル(BME)と反応させることによるそれらの調製方法に関する。また本発明は、既知のβ−ケトアレン類、α,β−不飽和カルボニル化合物およびγ,δ−不飽和ケトン類、例えば、MH(6−メチル−5−ヘプテン−2−オン)の製造のための新規化合物の使用、ならびにそれらの相当する製造方法に関する。
【0007】
飽和または不飽和直鎖または環式脂肪族炭化水素残基は、1個以上の二重または三重結合を有する直鎖または分枝鎖アルキル、アルケニルおよびアルキニル基、ならびに1〜46個の炭素原子を有するシクロアルキルおよびシクロアルケニル基を含む。そのような基Rの好ましい例は、メチル、CH−プレニル、CH−ゲラニル、CH−ファルネシル、CH−ヘキサヒドロファルネシル、CH−ソラネシルおよびCH=CH−(2,6,6トリメチルシクロヘキサ1−エニル)である。
【0008】
出発化合物、すなわち、第3級エチニルおよびビニルカルビノール、ならびにIPMおよびBMEは当該技術で周知である。それらは商業的に入手可能であるか、または当該技術で周知の方法によって製造可能である。
【0009】
本発明の方法の触媒としていかなる強有機または無機酸も使用可能であるが、均質相で実行可能な酸を使用することが都合よい。好ましい酸は、1.5〜4.5の範囲のpKaを有するものから選択される。考慮される酸の中で、0.5〜2.0モル%、好ましくは1.0モル%の量のリン酸が好ましい酸であることがわかった。
【0010】
0℃未満の温度で実行される実験では、より高い収率およびより高い生成物品質がもたらされるが、より長い反応時間およびより高い量のリン酸が必要とされる。反応のための適切な温度は−20℃未満の温度であり、そして適切な温度範囲は約−30℃〜−20℃である。
【0011】
化合物(I)に対して過剰量のIPMまたはBMEを使用することが都合よい。過剰量とは、20モル当量まで、好ましくは5.0〜12.5モル当量、より好ましくは5.0〜7.5モル当量であり得る。
【0012】
反応を不活性溶媒の不在下または存在下で、好ましくは、溶媒を用いずに、または炭化水素、例えばペンタン、ヘキサンまたはヘプタン中で実行することができる。
【0013】
反応終了の後、すなわち、通常24〜72時間後、反応混合物を弱塩基、例えば、アミンまたは弱酸の塩、および酢酸ナトリウムなどの強塩基で中和する。この場合の好ましい塩基は、トリエチルアミンである。
【0014】
通常の単離技術を用いて、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、そして最も好ましくは少なくとも95%の純度で、少なくとも80%、好ましくは85%まで、そしてなおさらに高い(化合物(II)に対して90%まで)の収率で、式(I)の化合物を単離することができる。そのように得られた生成物は、−20℃で数ヶ月間安定であるが、室温(22℃)で60日より長い間貯蔵される場合に分解する。好ましい式(I)の化合物は、2−メチル−3−ブテン−2−オール(MBE)およびIPMからの6−メチル−5−ヘプテン−2−オン(MH)の調製方法での中間体である3−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−3−メチル−1−ブテン(MMMB)である。他の好ましい式(I)の化合物は、例えば、3−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−3−メチル−5−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−1−ペンチン−4−エンおよび3−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−3−メチル−5−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−1,4−ペンタジエンであり、これらから、例えば、ビタミンAまたは香味料中間体を調製することができる。
【0015】
当該技術で周知の方法に従って、例えば、酸化アルミニウム、シリカおよび弱塩基性イオン交換器などの適切な固体塩基性担体での吸着/脱着によって、反応混合物から単離したり、または最初にさらに精製することなく、生成物を所望のβ−ケトアレンまたはγ,δ−不飽和ケトンに直接変換することもできる。さらなる精製のための特に適切な薬剤は、商業的に入手可能な塩基性酸化アルミニウム、例えば、Alox B、クラスA−Iである。部分的な不活性化のため、乾燥酸化アルミニウムにいくらかの水、すなわち、3〜7重量%の範囲、好ましくは約5重量%で水を添加することが不可欠である。アルゴンなどの保護性気体の下で実行すること、そして溶媒として炭化水素、例えば、ペンタンまたはヘキサンを使用することも好ましい。
【0016】
触媒の存在下または不在下で、場合により溶媒の存在下で、100〜160℃、好ましくは120〜150℃まで加熱することによって、式(I)の化合物を、それぞれ所望のβ−ケトアレン類(X=エチニルの場合)またはγ,δ−不飽和ケトン類(X=ビニルの場合)に変換することができる。好ましい触媒は、酸、特にミネラル酸、例えば、硫酸およびリン酸である。バッチ様式で、または連続的に実行可能な反応を、追加的なIPMを用いなくても、好ましくは用いても実行可能である。0.1〜5.0当量、好ましくは0.5〜3.5当量、最も好ましくは1.0〜3.0当量(モル/モル)の過剰量のIPMが適切である。
【0017】
同様の方法で、式IのBME−付加物をn−およびイソ−不飽和化合物に変換することができる。例えば、BME−ジヒドロリナロール−付加物をn−およびイソ−イソナリン(これらはβ−ケトアレン類である)に、そしてさらにn−およびイソ−メチル−シュードイオノン、ならびにn−およびイソ−α−イソナリン(これらは全てα,β−不飽和ケトン類である)へと、それぞれ、当該技術で周知の方法によって変換することができる。
【0018】
したがって、本発明は、場合により触媒の存在下または不在下で、好ましくは酸の存在下で、場合により追加的なIPMを用いて、式(I)の化合物を100〜160℃、好ましくは120〜150℃まで加熱することを特徴とするβ−ケトアレン類またはγ,δ−不飽和ケトン類の製造方法を含む。好ましい実施形態において、式Iの化合物は、リナロール、デヒドロリナロール、ネロリドール、2−ソラネシル−1−メチル−1−エチニル−エタノール、ビニル−β−イオノールまたはエチニル−β−イオノールとIPMまたはBMEとの付加生成物(付加物)である。
【0019】
酸の存在下、式Iの化合物を2,2−ジメトキシプロパン(DMP、III)と反応させると、式(R)(R)C=Y−CH−CO−R(IV)(式中、R、RおよびRは上記で定義されたとおりであり、そしてYはC=CHまたはCH−CHである)のγ,δ−不飽和ケトンが形成可能であることがさらに見出され、したがって、これも本発明の一部である。本反応の好ましい実施形態において、式Iの化合物は、3−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−3−メチル−1−ブテン(MBE−IPM−付加物またはMMMB)であり、式IIIのγ,δ−不飽和ケトンは、MH(6−メチル−5−ヘプテン−2−オン)である。
【0020】
本反応を使用可能な酸に関して、式Iの化合物の形成に関して上記された同様のことが適用される。好ましい酸はリン酸である。反応体IおよびIIIは、1:1〜10、好ましくは1:1.5〜5、より好ましくは1:2〜4のモル比で反応される。温度は100〜170℃の範囲、好ましくは130〜160℃の範囲にあることが都合よく、そして反応は約80%の収率で、24時間後にほとんど完了する。
【0021】
最後に、驚くべきことに、リン酸触媒反応においてMBEおよびDMPがMHを形成することが本発明と関連して見出され、したがって、本発明の一部を形成する。反応条件は、化合物IとIIIの反応に関するものと同様である。反応は、約52%の収率で、24時間後にほとんど完了する。
【0022】
本発明について、以下の実施例によってさらに詳細に例示する。
【0023】
[実施例1]
[MBEへのリン酸接触IPM−付加]
[反応]
52.2g(0.592モル)の2−メチル−3−ブテン−2−オール(MBE)と、331.9g(4.44モル)のイソプロペニルメチルエーテル(IPM)との混合物を、アルゴン雰囲気下、−30℃の温度で、1Lの3つ口丸底フラスコ中、マグネチックスターラーで撹拌した。使い捨てチップが付いた体積調節可能なピペットを用いて、アセトン中17.7重量%のHPOからなる触媒溶液、3.72g(=MBEに対して1モル%)を1回で添加した。無色透明の溶液を急速冷凍冷蔵庫中−26℃の温度で72時間貯蔵した。撹拌およびアルゴン下で、1.81g(2.485ml、0.018モル)のトリエチルアミンの添加によって溶液を塩基性にし、室温(22℃)にした。次いで、反応混合物を22〜25℃を超えない温度で、75mbarの圧力下で、ロータベイパーで濃縮した。2.4gのリン酸トリエチルアンモニウムを含む94.9gの粗製3−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−3−メチル−ブタ−1−エンを得た。88.4gのMMMBまたはMBE−IPM−付加物を含有する(収率:MBEに対して87.2%)。
【0024】
[精製]
4つ口反応フラスコ中、12.2gの脱イオン水を232gの乾燥Alox B、クラスA−Iに添加し、均質な粉末が得られるまで、手でガラスロッドを用いて混合物を混合した。PT−100熱電対を反応フラスコに配置した。室温(22℃)に達するまで、熱粉末を氷浴中、アルゴン下で冷却した。94.4gの粗製MMMBを116gのペンタンと一緒に、5重量%の水を含有するAlox Bに移した。KPGガラスプロペラスターラーを反応フラスコに配置し、ペーストを2時間室温(22℃)で撹拌した(400〜500rpm)。ペンタン中の生成物を5μmテフロン(Teflon)フィルタ上で濾過によってAlox Bから分離した。濾過ケーキを約2000mlのペンタンで洗浄した。抽出物を最高25mbarの圧力下、最高25℃の温度でロータベイパー上で濃縮した。78.9gのMMMBが、96.5%の純度で、81重量%の収率(MBEに対して)で無色油状物として得られた。構造および品質については、GCおよびNMR分光法によって確認した。
【0025】
[NMRパラメーター]
5mmのBBO BB−1Hのプローブヘッドを備えたBruker Avance 300分光計で、Hに関しては300MHz、13Cに関しては75.5MHzで操作してNMRスペクトルを記録した。スペクトルをCDCl中で記録し、TMS(δ)または溶媒シグナル(δ)を参照した。δ0.00/δ77.0。割当ては、結合定数および化学シフトを考慮して、Hおよび13C−NMRスペクトルデータを基にした。13Cの多様性は、DEPTによって暗示されて与えられる。C=s,CH=d,CH=t,CH=q。

【化1】



分子式 C18
モノアイソトピック質量 158.1307
化学名(CAS) 3−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−3−メチル−ブタ−1−エン
H−NMR δ 6.12(1H,dd,J=17.6,10.8Hz,H−10a),5.08(1H,dd,J=17.6,1.1Hz,H−11b),4.97(1H,dd,J=10.8,1.1Hz,H−11a),3.25(3H,s,H−2),1.37(4×3H,4×s,H−6,H−7,H−8,H−9)
13C−NMR δ 146.9(d,C−10),110.9(t,C−11),101.3(s,C−3),75.5(s,C−5),48.2(q,C−2),28.6(2×q,C−6&C−9,27.3(2×q,C−7&C−8)
【0026】
[実施例2]
デヒドロリナロール(DLL)へのリン酸接触BME−付加]
[反応]
アルゴン下、T=−20℃(T=約−25℃)で、19gのDLL(0.1236モル)と、81.4gのBME(0.927モル)との混合物を250mlの3つ口丸底フラスコ中で攪拌した(マグネチックスターラー)。使い捨てチップが付いた体積調節可能なピペットを用いて、0.341gの触媒溶液(アセトン中17.7重量%のHPO、0.618ミリモル=DLLに対して0.5モル%)を1回で添加した。この無色透明の溶液を約−22℃の急速冷凍冷蔵庫中でT=−20℃で24時間貯蔵した。急速冷凍冷蔵庫の外で、まだT=−20℃で、撹拌およびアルゴン下、溶液を260μlのトリエチルアミンで塩基性にし、そして室温に達するまで撹拌した。次いで、反応混合物をメンブレン−ポンプ(10mbar)を備えたロータベイパー上で濃縮し、そして高真空ポンプ(ポンプで0.02mbar)で脱気した。このプロセスと以下の作業間、DLL−BME−付加物の温度は、22〜25℃を超えてはならない。28.1gの粗製生成物を単離した。85.9面積%のDLL−BME−付加物を含有する。収率81.9%。
【0027】
[濃縮]
4つ口反応フラスコ中、8.86gの脱イオン水を168gのAlox B、クラスI(乾燥)に添加し、次いで均質な粉末が得られるまで、ガラスロッドを用いて手で混合した。PT−100熱電対を反応フラスコに配置した。室温に達するまで、熱粉末を氷浴中アルゴン下で冷却させた。28.1gの粗製生成物を、84gのペンタンと一緒に、5重量%の水を含有するAlox Bに移した。KPGガラスプロペラスターラーを反応フラスコに配置した。ペーストを2時間室温で撹拌した(400〜500rpm)。5μmテフロン(Teflon)フィルタ上で濾過によってペンタン中の生成物をAlox Bから分離した。濾過ケーキを約1000mlのペンタンで洗浄した。抽出物をメンブレン−ポンプ(10mbar)を備えたロータベイパー上で濃縮し、そしてT=25℃の最高温度で、高真空ポンプ(ポンプで0.02mbar)で脱気した。22.3gの濃縮されたDLL−BME−付加物が得られた。純度97.8面積%、収率74.1、濃縮プロセスでのDLL−BME−付加物の回収90.5%。残りのAlox Bを再度約500mlのペンタンで洗浄した。抽出物をメンブレン−ポンプ(10mbar)を備えたロータベイパー上で濃縮し、そしてT=25℃の最高温度で、高真空ポンプ(ポンプで0.02mbar)で脱気した。1.2gの第2の濃縮されたDLL−BME−付加物が得られた。純度94.1面積%、収率3.8、濃縮プロセスでのDLL−BME−付加物の回収4.7%。
【0028】
2つのジアステレオ異性体DLL付加物、(3R)−3−{[(1R)−1−メトキシ−1−メチルプロピル]オキシ}−7−メチルオクタ−6−エン−1−イン−3−オールおよび(3R)−3−{[(1S)−1−メトキシ−1−メチルプロピル]オキシ}−7−メチルオクタ−6−エン−1−イン−3−オールを混合物として特徴づけた。ジアステレオ異性体へのNMRデータセットの割当ては調査されなかった。
【0029】
[DLL−BME−付加物1:]
H−NMR:δ=5.14(1H,m,H−6),3.19(3H,OCH),2.43(1H,s,H−1),2.19(2H,m,H−5),1.76(4H,m,H−4,H−2’),1.69(3H,s,H−8),1.63(3H,s,CH−7),1.57(3H,s,H−1’),1.54(3H,s,CH−3),0.88(3H,t,J=7.5Hz,H−3’)
13C−NMR:δ=131.7,124.1,104.2,87.9,72.4,70.1,48.0,45.2,31.4,27.9,25.7,23.1,22.9,17.6,8.6
【0030】
[DLL−BME−付加物2:]
H−NMR:δ=5.14(1H,m,H−6),3.23(3H,OCH),2.45(1H,s,H−1),2.19(2H,m,H−5),1.76(4H,m,H−4,H−2’),1.69(3H,s,H−8),1.63(3H,s,CH−7),1.57(3H,s,H−1'),1.47(3H,s,CH−3),0.89(3H,t,J=7.5Hz,H−3’)
13C−NMR:δ=131.7,124.1,104.0,87.3,72.5,69.8,48.3,44.8,31.6,29.1,25.7,23.4,23.1,17.6,8.9
【0031】
[実施例3]
[エチニル−β−イオノールへのリン酸接触IPM−付加]
[反応]
アルゴン下、T=−20℃(T=約−25℃)で、54.8gのエチニル−β−イオノール(0.245モル)と、69.7gのIPM(0.932モル)との混合物を250mlの3つ口丸底フラスコ中で攪拌した(マグネチックスターラー)。使い捨てチップが付いた体積調節可能なピペットを用いて、0.132gの触媒溶液(アセトン中18.1重量%のHPO、0.245ミリモル=エチニル−β−イオノールに対して0.1モル%)を1回で添加した。無色透明の溶液を約−22℃の急速冷凍冷蔵庫中でT=−28℃で72時間貯蔵した。急速冷凍冷蔵庫の外で、まだT=−20℃で、撹拌およびアルゴン下、溶液を103μlのトリエチルアミンで塩基性にし、そして室温に達するまで撹拌した。次いで、反応混合物をメンブレン−ポンプ(10mbar)を備えたロータベイパー上で濃縮し、そして高真空ポンプ(ポンプで0.02mbar)で脱気した。このプロセスと以下の作業間、エチニル−β−イオノール−IPM−付加物の温度は、22〜25℃を超えてはならない。73gの粗製生成物を単離した。95.7面積%のエチニル−β−イオノール−IPM−付加物を含有する。収率98.3%。
【0032】
上記方法によって精製を達成した。71.3gの生成物、純度97.0%、収率97.4%が得られた。

【化2】



分子式 C1930
モノアイソトピック質量 290.45
化学名(CAS) 2−[(E)−3−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−3−メチル−ペンタ−1−エン−4−イニル]−1,3,3−トリメチル−シクロヘキセン
H−NMR(CDCl)δ(ppm):0.94(6H,s,H−7+H−8),1.40-1.36(2H,m,H1+H6),1.39(3H,s,H−20またはH−21),1.45(3H,s,H−20または21),1.50−1.56(2H,m,H1+H6),1.53(3H,s,H−15),1.61(3H,d,J=0.80Hz,H−9),1.91(2H,br t,J=6.03Hz,H−5),2.56(1H,s,H−14),3.19(3H,s,H−19),5.46(1H,d,J=16.02Hz,H11),6.35(1H,dd,J=0.80Hz;J=16.02Hz,H−10)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm):136.0(C−11),135.5(C−3),127.7(C−4),126.3(C−10),101.1(C−17),84.6(C−13),73.5,(C−14),70.0(C−12),47.3(C−19),38.5(C−1またはC−6),33.4(C−2),32.0(C−15),31.7(C−5),27.6−27.7(C−7+C−8),25.2−25.7(C−20+C−21),20.1(C−9),18.3(C−1またはC−6)
【0033】
[実施例4]
[ビニル−β−イオノールへのリン酸接触IPM−付加]
[反応]
アルゴン下、T=−20℃(T=約−25℃)で、18.4gのビニル−β−イオノール(0.081モル)と、23.1gのIPM(0.309モル)との混合物を250mlの3つ口丸底フラスコ中で攪拌した(マグネチックスターラー)。使い捨てチップが付いた体積調節可能なピペットを用いて、0.0438gの触媒溶液(アセトン中18.1重量%のHPO、0.081ミリモル=ビニル−β−イオノールに対して0.1モル%)を1回で添加した。この無色透明の溶液を冷凍庫中でT=0℃で72時間貯蔵した。急速冷凍冷蔵庫の外で、溶液を34μlのトリエチルアミンで塩基性にし、そして室温に達するまで撹拌した。次いで、反応混合物をメンブレン−ポンプ(10mbar)を備えたロータベイパー上で濃縮し、そして高真空ポンプ(ポンプで0.02mbar)で脱気した。このプロセスと以下の作業間、ビニル−β−イオノール−IPM−付加物の温度は、22〜25℃を超えてはならない。22.8gの粗製生成物を単離した。65面積%のビニル−β−イオノール−IPM−付加物を含有する。収率62.3%。上記方法に従って最終精製を達成した。生成物を収率54.7%(15g、純度87%)で単離することができた。

【化3】



分子式 C1932
モノアイソトピック質量 292.44
化学名(CAS) 2−[(E)−3−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−3−メチル−ペンタ−1,4−ジエニル]−1,3,3−トリメチル−シクロヘキセン
H−NMR(CDCl)δ(ppm):0.92(6H,s,H−7+H−8),1.39-1.37(2H,m,H−1+H−6),1.35(3H,s,H−20またはH−21),1.36(3H,s,H−20またはH−21),1.44(3H,s,H−15),1.57−1.49(2H,m,H−1+H−6),1.60(3H,d,J=0.75Hz,H−9),1.90(2H,br t,J=5.88Hz,H−5),3.17(3H,s,H−19),4.97(1H,dd,J=10.74Hz;J=1.40Hz,H−14Z),5.13(1H,dd,J=17.65Hz;J=1.40Hz,H−14E),5.53(1H,d,J=16.30Hz,H−11),5.93(1H,dd,J=16.30Hz;J=0.94Hz,H−10),6.03(1H,dd,J=10.74Hz;J=17.65Hz,H−13)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm):143.4(C−13),138.5(C−11),136.1(C−3),127.2(C−4),124.6(C−10),110.9(C−14),100.3(C−12),76.8(C−17),47.2(C−19),38.5(C−1またはC−6),33.3(C−2),31.7(C−5),27.8(C−7+C−8),26.3−25.2(C−20+C−21),20.3(C−9),18.3(C−1またはC−6)
【0034】
[NMRパラメーター]
5mmのBBO BB−1Hのプローブヘッドを備えたBruker Avance 300分光計で、Hに関しては300MHz、13Cに関しては75.5MHzで操作してNMRスペクトルを記録した。スペクトルをCDCl中で記録し、TMS(δ)または溶媒シグナル(δ)を参照した。δ0.00/δ77.0。割当ては、結合定数および化学シフトを考慮して、Hおよび13C−NMRスペクトルデータを基にした。
【0035】
[実施例5]
[MBE−IPM−付加物の熱裂開と、それに続く追加のIPMを用いたMHへのリンの酸接触合成]
33mlのステンレス鋼オートクレーブに、5gのMBE−IPM−付加物、96.4面積%(30.5ミリモル)を添加し、T150℃のヒーティングブロックを備えた「Lab Shaker」中、16時間、250分−1で振動させた。オートクレーブを室温まで完全に冷却し、正味重量を測定した。GC重量%のためのサンプリングが行われた後、使い捨てチップが付いた体積調節可能なピペットを用いて、25.2mgの触媒溶液(アセトン中17.7重量%のHPO、0.046ミリモル=MBE−IPM−付加物に対して0.15モル%)を1回で添加した。次いで、5.71gのIPM(96.5面積%、76.ミリモル)を添加した。閉じたオートクレーブを「Lab Shaker」中、前記と同じ状態にさらに16時間置いた。オートクレーブを室温まで完全に冷却し、正味重量を測定した。オートクレーブを開けて、反応混合物を20μlのトリエチルアミンでマグネチックスターラー下で中和した。GC面積%および重量%に関してサンプリングを行なった。収率:86%。
【0036】
[実施例6]
[MBE−IPM−付加物の熱裂開と、それに続く追加のIPMを用いないMHへのリンの酸触媒合成]
実施例5に記載されたものと同じ手順が行われるが、追加のIPMを用いない場合、MHは収率60%で得られた。
【0037】
[実施例7]
[MHを形成するための酸の存在下でのMBE−IPM−付加物+DMP]
33mlのステンレス鋼オートクレーブに、5gのMBE−IPM−付加物(30.7ミリモル)と、8.34gのDMP、96%(76.9ミリモル、2.5等量)を添加した。撹拌下、使い捨てチップが付いた体積調節可能なピペットを用いて、24.9mgの触媒溶液(アセトン中18.15重量%のHPO、0.046ミリモル=付加物に対して0.15モル%)を1回で添加した。閉じたオートクレーブをT150℃のヒーティングブロックを備えた「Lab Shaker」中に置き、それぞれ、8、16、24および32時間、250分−1で振動させた。オートクレーブを最初に水で冷却し、次いでは、3時間かけて室温まで冷却した。オートクレーブを開け、撹拌下、反応混合物を19.4μlのトリエチルアミンで中和した。MHの正味重量を測定し、GC面積%および重量%に関してサンプリングを行なった。収率は、それぞれ、47.1%、70.0%、78.3%および78.8%であった。
【0038】
[実施例8]
[MHを形成するためのMBEとDMPとのリン酸接触反応]
マグネチックスターラーを備えた33mlのステンレス鋼オートクレーブに、3.19gのMBE(36.2ミリモル)および9.81gのDMP、96%(90.4ミリモル、2.5等量)を添加した。撹拌下、使い捨てチップが付いた体積調節可能なピペットを用いて、29.3mgの触媒溶液(アセトン中18.15重量%のHPO、0.054ミリモル=MBEに対して0.15モル%)を1回で添加した。閉じたオートクレーブをT150℃のヒーティングブロックを備えた「Lab Shaker」中に置き、それぞれ、8、16、24および32時間、250分−1で振動させた。オートクレーブを最初に水で冷却し、次いでは、3時間かけて室温まで冷却した。オートクレーブを開け、撹拌下、反応混合物を22.8μlのトリエチルアミンで中和した。正味重量を測定し、GC面積%および重量%に関してサンプリングを行なった。8、16、24および32時間後のMHの収率は、それぞれ、38.6%、46.0%、51.2%および52.0%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
X−C(R)(R)−O−C(CH)(R)−OCH(I)
(式中、Xはエチニルまたはビニル基であり、
はメチルまたはエチルであり、
は、飽和または不飽和直鎖または環式脂肪族炭化水素残基であり、そして
はメチルまたはエチルである)
のアリルおよびプロパルギルエーテル。
【請求項2】
3−(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)−3−メチル−1−ブテンである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
3−(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)−3−メチル−5−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−1−ペンチン−4−エンである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
3−(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)−3−メチル−5−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−1,4−ペンタジエンである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
純度が少なくとも80%、好ましくは少なくとも95%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
酸触媒の存在下、−20℃以下の温度で、式X−C(R)(R)−OH(II)(式中、X、RおよびRについては請求項1で定義された通りである)の第3級エチニルまたはビニルカルビノールをイソプロペニルメチルエーテル(IPM)または2−n−ブテニルメチルエーテル(BME)と反応させることを特徴とする請求項1に記載の化合物の調製方法。
【請求項7】
酸触媒がリン酸である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
反応終了後、反応混合物を弱塩基で中和する請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
塩基がトリエチルアミンである請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
β−ケトアレン類、α,β−不飽和カルボニル化合物またはγ,δ−不飽和ケトン類の製造のための請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項11】
6−メチル−5−ヘプテン−2−オンの製造のための3−(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)−3−メチル−1−ブテンの使用。
【請求項12】
場合により触媒の存在下または不在下で、好ましくは酸の存在下で、場合により追加的なIPMを用いて、請求項1で定義された式(I)の化合物を100〜160℃、好ましくは120〜150℃まで加熱することを特徴とするβ−ケトアレンまたはγ,δ−不飽和ケトンの製造方法。
【請求項13】
6−メチル−5−ヘプテン−2−オンが3−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−3−メチル−1−ブテンから調製される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式Iの化合物が、リナロール、デヒドロリナロール、ネロリドール、2−ソラネシル−1−メチル−1−エチニル−エタノール、ビニル−β−イオノールまたはエチニル−β−イオノールとIPMまたはBMEとの付加物であることを特徴とする請求項12に記載のβ−ケトアレンまたは不飽和ケトンの製造方法。
【請求項15】
酸、好ましくはリン酸の存在下、請求項1〜5のいずれか一項に記載の式Iの化合物をDMPと反応させることを特徴とする式(R)(R)C=Y−CH−CO−R(IV)(式中、Rはメチルまたはエチルであり、Rは、飽和または不飽和直鎖または環式脂肪族炭化水素残基であり、Rはメチルまたはエチルであり、そしてYはC=CHまたはCH−CHである)のγ,δ−不飽和ケトンの調製方法。
【請求項16】
式Iの化合物が3−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−3−メチル−1−ブテンであり、式IVの化合物がMHである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
触媒としてリン酸の存在下でMBEをDMPと反応させることを特徴とするMHの調製方法。

【公表番号】特表2011−520833(P2011−520833A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508889(P2011−508889)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055692
【国際公開番号】WO2009/138389
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】