説明

アリールアミノ酸誘導体の治療的使用

【化1】


式(I)の化合物は、失神発作、運動低下症、頭蓋障害、神経変性障害、うつ病、不安症、パニック、ニューロパシー性痛、神経病理学的障害および睡眠障害の処置に有用である。最終製品の製造方法および該方法中で有用な中間体が含まれる。一つまたはそれを超える該化合物を含有する医薬組成物も含まれる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、薬剤として有用な新規なアリールアミノ酸誘導体、それらの製造方法、それらを含有する医薬組成物、および下に挙げられる状態の処置のためのそれらの使用に関する。
【0002】
発明の背景
ガバペンチン(Gabapentin)(Neurontin(登録商標))は、癲癇の処置に有用である抗痙攣剤であるが、最近になって、神経性痛のための可能性ある処置であることが示された。それは、構造式
【0003】
【化1】

【0004】
を有する1−(アミノメチル)−シクロヘキシル酢酸である。
ガバペンチンは、式
【0005】
【化2】

【0006】
(式中、Rは、水素または低級アルキル基であり、nは、4、5または6である)を有する一連の化合物の一つである。これら化合物は、US−A−4024175号およびその分割出願US−A−4087544号に記載されている。それら開示された使用は、チオセミカルバジドに誘発される痙攣に対する防御;カルジアゾール痙攣に対する防御;大脳疾患、癲癇、失神発作(faintness attack)、運動低下症および頭蓋外傷;および大脳機能の改善である。それら化合物は、老年患者に有用である。上記二つの特許の開示は、参照により本明細書に援用される。
【0007】
WO95/31194号は、その開示は参照により援用されるが、関節炎、大腸炎および結腸炎を含めた慢性炎症性疾患および他の炎症性障害、並びに、虚血およびその後の再灌流によって生じる外傷の臨床的処置に有用な、炎症の処置のための別の薬剤と組み合わせた、式(A)
【0008】
【化3】

【0009】
(式中、n=0〜10;R=H、OH、C1−10アルコキシ、C1−10アミノアルキル、SOH、C1−11アルキル;R、R=H、OH、Me)
を有するアミノ安息香酸誘導体および類似体、およびそれらの塩、エステルおよびアミドを開示している。
【0010】
【特許文献1】US−A−4024175
【特許文献2】US−A−4087544
【特許文献3】WO95/31194
【0011】
発明の要旨
本発明は、失神発作、運動低下症、頭蓋障害、神経変性障害、うつ病、不安症、パニック、ニューロパシー性痛、睡眠障害および神経病理学的障害を含めた種々の障害の処置に有用なアリールアミノ酸誘導体およびそれらのプロドラッグ、および薬学的に許容しうる塩および溶媒和化合物を提供する。提供される化合物は、月経前症候群の処置にも有用でありうる。
【0012】
したがって、本発明は、式(I)
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、Rは、H、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
Xは、−(CH−C(R)(R)−であり;
Yは、直接結合または−(CH−C(R)(R10)−であり;
、R、RおよびR10は、独立して、HまたはC−Cアルキルであり;または
およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、4〜8員ヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;または
10およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、4〜8員ヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;または
およびR10は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜8員炭素環を形成してもよく;
nは、0、1または2であり;
mは、0、1または2であり;
、R、RおよびRは、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、チオ、C−Cアルキルチオ、スルホンアミド、ペルフルオロ−C−Cアルキル、ペルフルオロ−C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、アミノ、(C−Cアルキルまたはジ−C−Cアルキル)アミノ、アミノカルボニル、(C−Cアルキルまたはジ−C−Cアルキル)アミノカルボニル、C−Cアシルアミノ、(N−C−Cアルキル)C−Cアシルアミノ、フェニルまたは単環式ヘテロアリールより選択され、ここにおいて、フェニルおよび単環式ヘテロアリールは、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル、C−Cアルコキシカルボニルまたはペルフルオロ−C−Cアルコキシで場合により置換されており;または
CR、CR、CRおよびCRのいずれか一つまたは二つは、窒素で置き換えられていてよく;または
およびR、またはRおよびR、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、縮合したC−Cシクロアルキル環、4〜8員ヘテロシクロアルキル環、フェニル環または単環式ヘテロアリール環を形成してよく;または
およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、4〜8員ヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;または
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜8員炭素環またはヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;そして
は、ヒドロキシカルボニルもしくはカルボン酸バイオスター(biostere)またはそのプロドラッグである)
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容しうる塩の、失神発作、運動低下症、頭蓋障害、神経変性障害、うつ病、不安症、パニック、ニューロパシー性痛、睡眠障害および神経病理学的障害より選択される疾患の処置用の薬剤の製造における使用を提供する。
【0015】
式(I)により、Rは、適切には、Hである。
式(I)により、Yは、適切には、直接結合である。
式(I)により、Xは、適切には、−C(R)(R)−であり、またはRは、適切には、Hであり、そしてRは、適切には、HまたはC−Cアルキル、例えば、メチルであり、またはRおよびRは、適切には、4〜8員炭素環、好ましくは、5員炭素環、例えば、シクロペンチルを形成し、またはRおよびRは、適切には、4〜8員ヘテロシクロアルキル環、好ましくは、5員ヘテロシクロアルキル環、例えば、テトラヒドロピラン環を形成する。
【0016】
式(I)により、R、R、RおよびRは、適切には、独立して、Hおよびハロゲン、例えば、臭化物または塩化物より選択される。
式(I)により、Rは、好ましくは、ヒドロキシカルボニル、テトラゾールまたはオキサゾリジノン、最も好ましくは、ヒドロキシカルボニルである。
【0017】
本発明による好ましいサブグループは、式(II)
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、RおよびRは、独立して、HまたはC−Cアルキルであり;そして
、R、RおよびRは、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノ、C−Cアルキルスルホニル、ペルフルオロ−C−Cアルキル、ペルフルオロ−C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキルおよび4〜8員ヘテロシクロアルキルより選択され;または
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜8員の炭素環またはヘテロシクロアルキル環を形成してもよい)
を有する化合物によって表される。
【0020】
式(I)の化合物の特に好ましい例は、
2−アミノメチル−5−クロロ安息香酸;
2−アミノメチル−4,5−ジクロロ安息香酸;
2−アミノメチル−3−ブロモ安息香酸;
2−アミノメチル−6−クロロ安息香酸;
2−(1−アミノエチル)−安息香酸;
2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−カルボン酸;および
3−(2−アミノメチル−5−クロロフェニル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン;または
それらの薬学的に許容しうる塩である。
【0021】
式(I)の一定の化合物は新規であり、しかもこれら化合物またはそれらの薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、多形体またはプロドラッグは、本発明のさらなる側面を形成しているということが理解されるであろう。本発明は、それら化合物を含む医薬組成物および薬剤としてのそれらの使用にも関する。
【0022】
上記定義中、ハロとは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。指示されている場合を除き、必要な数の炭素原子を含有するアルキルおよびアルコキシの基は、未分岐または分岐状鎖でありうる。アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルが含まれる。アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシおよびt−ブトキシが含まれる。
【0023】
本明細書中で用いられる場合の4〜8員ヘテロシクロアルキルは、O、SおよびNより独立して選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含有する単一の飽和または部分不飽和環系を意味する。適切なヘテロシクロアルキル基には、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピラニル、チオピラニル、アジリジニル、オキシラニル、メチレンジオキシル、イソオキサゾリジニル、1,3−オキサゾリジン−3−イル、イソチアゾリジニル、1,3−チアゾリジン−3−イル、1,2−ピラゾリジン−2−イル、1,3−ピラゾリジン−1−イル、ピペリジニル、チオモルホリニル、1,2−テトラヒドロチアジン−2−イル、1,3−テトラヒドロチアジン−3−イル、テトラヒドロチアジアジニル、モルホリニル、1,2−テトラヒドロジアジン−2−イル、1,3−テトラヒドロジアジン−1−イル、テトラヒドロアゼピニル、ピペラジニル等が含まれる。
【0024】
本明細書中で用いられる場合の単環式ヘテロアリールは、O、SおよびNより独立して選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含有する単一の芳香環を意味する。適切なヘテロアリール基には、フリル、チエニル、チアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、チアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、1,3,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,3,5−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、1,2,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル等が含まれる。
【0025】
本明細書中で用いられるC−Cシクロアルキルは、単一の飽和または部分不飽和炭素環を意味する。適切なシクロアルキル基には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロヘプチル基が含まれる。
【0026】
本明細書中で用いられる場合のカルボン酸バイオスターは、カルボン酸と機能的に等価の基を意味する。適切なバイオスターには、テトラゾリル、オキサゾリジノニル、スルホン酸、スルフィン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ヒダントイニル、ピロリジオニルおよび3−イソキサゾリルが含まれる。
【0027】
本発明の化合物は、非溶媒和の形態で、並びに、水和形態を含めた溶媒和形態で存在しうる。概して、水和形態を含めた溶媒和形態は、同位体置換を含有してよいが(例えば、D2O、d6−アセトン、d6−DMSO)、非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に包含される。
【0028】
本発明の一定の化合物は、一つまたはそれを超えるキラル中心を有し、各々の中心は、R(D)またはS(L)配置で存在してよい。本発明は、全ての鏡像異性およびエピマーの形態、並びに、それらの適当な混合物を含む。ジアステレオマーまたはシスおよびトランス異性体の分離は、慣用的な技法によって、例えば、本発明の化合物またはその適切な塩または誘導体の立体異性体混合物の分別結晶化、クロマトグラフィーまたはH.P.L.C.によって行うことができる。本発明の化合物の個々の鏡像異性体は、対応する光学的に純粋な中間体からか、または適切なキラル支持体を用いた対応するラセミ体のH.P.L.C.によるかもしくは対応するラセミ体と適切な光学活性な酸または塩基との反応によって形成されるジアステレオマー塩の分別結晶化などによる分割によって、適宜製造することもできる。
【0029】
本発明は、更に、本発明の化合物またはその薬学的に許容しうる塩の適切な同位体変種を全て含む。本発明の化合物またはその薬学的に許容しうる塩の同位体変種とは、少なくとも一つの原子が、同じ原子番号を有するが天然に通常見出される原子質量とは異なった原子質量を有する原子により置き換えられているものとして定義される。本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容しうる塩中に取り込まれうる同位体の例には、H、H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clのような、それぞれ、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体が含まれる。本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容しうる塩の一定の同位体変種、例えば、Hまたは14Cなどの放射性同位体が取り込まれているものは、薬物および/または基質の組織分布研究において有用である。トリチウム化された、すなわち、H同位体、および炭素14、すなわち、14C同位体は、それらの製造の容易さおよび検出能のため、特に好ましい。更に、重水素、すなわち、Hなどの同位体での置換は、一層大きい代謝安定性によって生じる一定の治療的利点、例えば、増加した in vivo 半減期または減少した投薬要件を与えうるので、ある状況においては好適でありうる。本発明の化合物および本発明のそれらの薬学的に許容しうる塩の同位体変種は、概して、詳しく説明されている方法、または以下の実施例および製造例に記載の製造例などによる慣用法によって、適切な試薬の適当な同位体変種を用いて製造することができる。
【0030】
アミノ酸は、両性であるので、薬理学的に適合性の塩は、適当な無毒性の無機または有機酸または塩基の塩でありうる。適切な酸付加塩は、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、フマル酸塩、アスパラギン酸塩、ベシラート塩、重炭酸塩/炭酸塩、カムシラート塩、DおよびL−乳酸塩、DおよびL−酒石酸塩、エジシラート塩、メシラート塩、マロン酸塩、オロチン酸塩、グルセプテート(gluceptate)塩、メチル硫酸塩、ステアリン酸塩、グルクロン酸塩、2−ナプシラート(napsylate)塩、トシラート塩、ヒベンザート(hibenzate)塩、ニコチン酸塩、イセチオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、エシラート塩およびパモエート塩である。適切な塩基塩は、無毒性塩を形成する塩基より形成され、そして例は、ナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、コリン塩、ジオールアミン(diolamine)塩、オールアミン(olamine)塩、アルギニン塩、グリシン塩、トロメタミン塩、ベンザチン塩、リシン塩、メグルミン塩およびジエチルアミン塩である。第四級アンモニウムイオンとの塩も、例えば、テトラメチルアンモニウムイオンで製造することができる。本発明の化合物は、双性イオンとして形成されてもよい。
【0031】
本発明の化合物の適切な塩は、塩酸塩である。適切な塩に関する概説については、Berge et al, J.Pharm.Sci., 66,1-19,1977 を参照されたい。
本発明の化合物の範囲内に更に含まれるのは、それらの多形体である。
【0032】
上記化合物のプロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。経口投与される薬物の有効性は、粘膜上皮越しの薬物の有効な輸送および腸肝循環におけるその安定性に依存する。非経口投与後に有効であるが、経口ではあまり有効でない薬物、または血漿中半減期が短すぎると考えられる薬物は、化学修飾してプロドラッグの形態にすることができる。プロドラッグは、化学修飾されていて、その作用部位では生物学的に不活性でありうるが、一つまたはそれを超える酵素的過程または他の in vivo 過程によって元の生物活性な形態へと分解または修飾されることができる薬物である。この化学修飾された薬物またはプロドラッグは、その親とは異なった薬物動態学的プロフィールを有し、より容易な粘膜上皮越しの吸収、より良い塩形成および/または溶解度、改善された全身安定性(例えば、血漿中半減期の増加について)を可能にするはずである。これら化学修飾は、次のものであってよい。
【0033】
(1)例えば、エステラーゼまたはリパーゼによって切断されうるエステルまたはアミド誘導体。エステル誘導体について、そのエステルは、薬物分子のカルボン酸部分から既知の手段によって誘導される。アミド誘導体について、そのアミドは、薬物分子のカルボン酸部分またはアミン部分から既知の手段によって誘導されうる。
【0034】
(2)特異的または非特異的プロテイナーゼによって認識されうるペプチド。ペプチドは、既知の手段により、薬物分子のアミン部分またはカルボン酸部分とのアミド結合形成によって薬物分子にカップリングすることができる。
【0035】
(3)プロドラッグ形態または修飾プロドラッグ形態の膜選択によって作用部位に蓄積する誘導体。
(4)1〜3のいずれかの組合せ。
【0036】
例えば H Bundgaard (Elsevier) 1985 による "Design of Prodrugs" に記載されている「プロ部分(pro-moieties)」として当業者に知られている一定の部分は、本発明の化合物中に適当な官能基が存在している場合、このような官能基上に配置されて、「プロドラッグ」を形成することができるということも、当業者に更に理解されるであろう。更に、本発明の一定の化合物は、本発明の他の化合物のプロドラッグとして作用しうる。本発明の化合物の保護された誘導体およびプロドラッグは全て、本発明の範囲内に含まれる。
【0037】
研究は、一定の薬物の経口吸収を、「軟」第四級塩の製造によって増加させることができるということを示した。その第四級塩は、普通の第四級塩、例えば、R−N(CHとは異なり、加水分解で活性な薬物を放出することができるので、それを「軟」第四級塩と称する。「軟」第四級塩は、塩基性薬物またはその塩と比較して有用な物理的性質を有する。水溶性は、塩酸塩のような他の塩と比較して増加しうるが、一層重要なことに、腸からの薬物吸収が増加することがありうる。増加した吸収は、おそらくは、「軟」第四級塩が界面活性剤特性を有し、そして胆汁酸等と一緒にミセルおよび非イオン化イオン対を形成することができ、それらが腸管上皮により有効に浸透することができるという事実に因る。そのプロドラッグは、吸収後速やかに加水分解されるとともに、活性な親薬物が放出される。
【0038】
アミノアシル−グリコール酸エステルおよび−乳酸エステルは、アミノ酸のプロドラッグとして知られている(Wermuth C.G., Chemistry and Industry, 1980:433-435)。アミノ酸のカルボニル基は、既知の手段によってエステル化することができる。プロドラッグおよび軟薬物は、当該技術分野において知られている(Palomino E., Drugs of the Future, 1990;15(4):361-368)。この二つの引用は、参照により本明細書中に援用される。
【0039】
本発明は、更に、神経変性障害の症状を処置または軽減するための薬剤としての本発明の化合物の治療的使用に関する。このような神経変性障害には、例えば、ハンチントン病、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症が含まれる。本発明は、更に、急性脳傷害と称される神経変性障害を処置することに及ぶ。これらには、頭部外傷および窒息(asphyxia)が含まれるが、これに限定されない。他の事象は、頭部外傷、脊髄外傷、または全身の無酸素症、低酸素症、低血糖症、低血圧症による傷害、並びに、エンボール(embole)、ハイパーフュージョン(hyperfusion)による手順の際に認められる類似の傷害および低酸素症である。本発明は、例えば、心臓バイパス外科手術中の、頭部内出血の事象における、周産期窒息における、および心拍停止における一定範囲の事象に有用であろう。
【0040】
本発明の化合物は、痛み、特に、ニューロパシー性痛の一般的な処置に有用である。生理学的痛みは、外部環境からの潜在的に有害な刺激による危険を警告するように設計された重要な防御機構である。そのシステムは、特定の一組の一次感覚ニューロンによって作動し、末梢伝達機構を介する有害刺激によって独占的に活性化される(統合的概説についての、Millan 1999 Prog.Neurobio. 57:1-164)。これら感覚線維は、侵害受容器として知られ、遅い伝導速度を有する小さい径の軸索を特徴とする。侵害受容器は、有害刺激の強さ、持続時間および質をコード化し、そして脊髄へのそれらの局所解剖学的に組織化された投射によって、その刺激の場所をコード化する。それら侵害受容器は、Aデルタ線維(有髄)およびC線維(無髄)という二つの主要タイプがある侵害受容神経線維上で見出される。侵害受容器入力によって生じる活性は、後角における複雑なプロセシングの後、直接的にかまたは脳幹中継核(brain stem relay nuclei)を介して視床腹部基底(ventrobasal thalamus)へ移送され、次いで皮質に移送され、そこで、痛みの感覚を生じる。
【0041】
強い急性痛および慢性痛は、病態生理学的過程によって駆動される同じ経路を含み、それ自体、防御機構を与えることを止めて、代わりに、広範囲の疾患状態に関連した症状を弱くするのに寄与しうる。痛みは、多数の外傷および疾患状態の特徴である。疾患または外傷を介して体組織への実質的な傷害が生じる場合、侵害受容器活性化の特性は変化する。鋭敏化は、末梢に、傷害の周りに局所的に、および侵害受容器が終端となる中枢に存在する。これは、損傷部位に、および付近の正常組織中に過敏性をもたらす。急性痛の場合、これら機構は、修復過程が起こるのに有用でありうるし且つそれをできるようにし得、そして過敏性は、傷害がいったん治癒すると、正常に戻る。しかしながら、多数の慢性疼痛状態では、過敏性は、治癒過程をはるかに長く続け、それは通常は神経系傷害に因る。この傷害は、しばしば、求心性線維の順応不良をもたらす(Woolf & Salter 2000 Science 288:1765-1768)。患者の症状のうちで、不快および異常な感受性が重要な役割を果たす場合、臨床的痛みが存在する。患者は、全く異質である傾向があり、いろいろな痛み症状を示すことがありうる。多数の典型的な痛みサブタイプが存在する:(1)鈍な、焼け付くような、または刺すようなものでありうる自発的痛み;(2)有害刺激への痛み応答が激化する(痛覚過敏);(3)通常は無害である刺激によって痛みが生じる(異痛)(Meyer et al., 1994 Textbook of Pain 13-44)。背痛、関節炎痛、CNS外傷またはニューロパシー性痛を有する患者は、類似の症状を有しうるが、基礎となる機構は異なるので、異なった処置戦略を必要としうる。したがって、痛みは、異なった病態生理学ゆえに、多数の異なった領域に分けることができ、これらには、侵害受容性、炎症性、ニューロパシー性の痛み等が含まれる。一定のタイプの痛みは、複数の病因を有するので、二つ以上の領域に分類することができるということは注目されるべきであり、例えば、背痛、癌痛は、侵害受容性、炎症性およびニューロパシー性の成分を有することがありうる。
【0042】
侵害受容性痛は、組織傷害によって、または傷害を引き起こす可能性のある強い刺激によって引き起こされる。痛み求心性神経は、傷害部位における侵害受容器による刺激の伝達によって活性化され、それらの終末のレベルで脊髄を鋭敏化する。次に、これは、脊髄路を上って脳へと中継され、そこで、痛みが知覚される(Meyer et al., 1994 Textbook of Pain 13-44)。侵害受容器の活性化は、二つのタイプの求心性神経線維を活性化する。有髄Aデルタ線維は、速やかに伝達して、鋭敏且つ刺すような痛み感覚の原因となるが、無髄C線維は、より遅い速度で伝達し、鈍なまたはうずく痛みを伝える。中程度〜重度の急性侵害受容性痛は、挫傷/捻挫による痛み、術後痛(いずれかのタイプの外科手術法後の痛み)、外傷後痛、熱傷、心筋梗塞、急性膵炎および腎疝痛の顕著な特徴であるが、これらに限定されるわけではない。更に、癌に関係した急性痛症候群は、通常は、化学療法毒性、免疫療法、ホルモン療法および放射線療法などの治療的相互作用に因る。中程度〜重度の急性侵害受容性痛は、腫瘍に関係した痛み(例えば、骨痛、頭痛および顔面痛、内臓痛)または癌療法に関連したもの(例えば、化学療法後症候群、慢性外科手術後痛症候群、放射線後症候群)でありうる癌痛;ヘルニアのもしくは断裂した椎間円板によるか、または腰脊椎間関節(lumber facet joints)、仙腸関節、傍脊柱筋(paraspinal muscles)もしくは後縦靱帯の異常のによるものでありうる背痛の顕著な特徴であるが、これに限定されるわけではない。
【0043】
ニューロパシー性痛は、神経系の一次病変または機能不全によって開始されるまたは引き起こされる痛みとして定義される(IASP定義)。神経損傷は、外傷および疾患によって引き起こされうるので、「ニューロパシー性痛」という用語は、多様な病因での多くの障害を包含する。これらには、糖尿病性ニューロパシー、ヘルペス後神経痛(post herpetic pain)、背痛、癌ニューロパシー、化学療法に誘発されるニューロパシー、HIVニューロパシー、幻想肢痛、手根管症候群、慢性アルコール症、甲状腺機能低下症、三叉神経痛、尿毒症、外傷に誘発されるニューロパシーまたはビタミン欠乏症が含まれるが、これに限定されるわけではない。ニューロパシー性痛は、防御的役割をもたないので、病理学的である。それは、しばしば、もとの原因が消散した後にもかなり存在し、通常は、何年間も続き、患者の生活の質を著しくに低下させる(Woolf and Mannion 1999 Lancet 353:1959-1964)。ニューロパシー性痛の症状は、しばしば、同じ疾患の患者間でも異質であるので、処置するのが難しい(Woolf & Decosterd 1999 Pain Supp. 6: S141-S147; Woolf and Mannion 1999 Lancet 353:1959-1964)。それらには、継続的でありうる自発的痛み、または痛覚過敏(有害刺激への増加した感受性)および異痛(通常は無害な刺激への感受性)などの発作性の異常な誘発痛が含まれる。
【0044】
炎症過程は、組織傷害または異物の存在に応答して活性化される複雑な一連の生化学的および細胞性のイベントであり、腫脹および痛みを引き起こす(Levine and Taiwo 1994: Textbook of Pain 45-56)。関節炎痛は、炎症性痛集団の大部分を構成している。リウマチ様疾患は、先進諸国において最も共通した慢性炎症性状態の一つであり、慢性関節リウマチ(RA)は、障害の共通原因である。RAの正確な病因は知られていないが、現在の仮説は、遺伝的および微生物学的双方の因子が重要でありうるということを示唆している(Grennan & Jayson 1994 Textbook of Pain 397-407)。ほぼ1600万人の米国人が、症候性変形性関節症(OA)または変性関節疾患を有すると推定されているが、そのほとんどは60歳を超えており、その集団年齢が増加すると、これが4000万人に増加して、これがきわめて大きな公衆衛生問題になると考えられる(Houge & Mersfelder 2002 Ann Pharmacother. 36:679-686; McCarthy et al., 1994 Textbook of Pain 387-395)。OAを有するほとんどの患者は、痛みのために医療行為を探し求めている。関節炎は、心理社会的および身体的機能に著しい影響を有し、後年の障害の主な原因であることが知られている。他のタイプの炎症性痛には、炎症性腸疾患(IBD)が含まれるが、これに限定されるわけではない。
【0045】
他のタイプの痛みには、次が含まれるが、これに限定されるわけではない;
筋骨格障害であって、筋肉痛、線維筋痛、脊椎炎、血清陰性(非リウマチ性)関節症、非関節性リウマチ、ジストロフィノパシー(dystrophinopathy)、グリコジェノリシス(glycogenolysis)、多発性筋炎、化膿性筋炎が含まれるがこれに限定されるわけではないもの。
【0046】
神経系の病変または機能不全によって引き起こされる痛みとして定義される中枢性痛または「視床痛」であって、中枢性発作後痛、多発性硬化症、脊髄傷害、パーキンソン病および癲癇を包含するがこれに限定されるわけではないもの。
【0047】
心臓および血管の痛みであって、アンギナ、心筋梗塞、僧帽弁狭窄、心膜炎、レイノー現象、スクレロドーマ(sclerodoma)、骨格筋虚血症を包含するがこれに限定されるわけではないもの。
【0048】
内臓痛および胃腸障害。この内臓は、腹腔の器官を包含する。これら器官には、性器、脾臓、および消化器系の部分が含まれる。内臓に関連した痛みは、ニューロパシー性、侵害受容性並びに炎症性であり得、消化器内臓痛および非消化器内臓痛に分けることができる。通常に遭遇する胃腸(GI)障害には、機能性腸障害(FBD)および炎症性腸疾患(IBD)が含まれる。これらGI障害には、現在は中程度にしか制御されていない広範囲の疾患状態が含まれる。その疾患状態には、FBDについて、胃食道逆流、消化不良、過敏性腸症候群(IBS)および機能性腹痛症候群(FAPS)が、およびIBDについて、クローン病、大腸炎および潰瘍性大腸炎が含まれ、これらは全て、きまって内臓痛を生じる。他のタイプの内臓痛には、月経困難症、骨盤痛、膀胱炎および膵炎に関連した痛みが含まれる。
【0049】
少数の薬物は、GI障害に関連した過敏性に選択的に作用することことが知られている(Farthing M.J. (1988) Drugs 56:11-21)。利用可能な痛みの処置は、二つの主なカテゴリーに属する:(1)軽症の痛みを処置するのに用いられるが、その治療的使用がGI副作用(胃びらん、ペプチド潰瘍形成、十二指腸および結腸の炎症)によって限定される、非ステロイド性抗炎症薬;(2)中程度〜重度の痛みを処置するのに用いられるが、その治療的使用が便秘、呼吸抑制、耐性および乱用可能性を含めた望ましくない副作用によって限定される、モルヒネおよび関連オピオイド。
【0050】
頭痛であって、片頭痛、前兆を伴う片頭痛、前兆を伴わない片頭痛、群発性頭痛、緊張型頭痛を包含するがこれに限定されるわけではないもの。
口顔面痛であって、歯痛、側頭下顎筋筋膜痛包含するがこれに限定されるわけではないもの。
【0051】
式(I)の化合物は、好ましくは、ニューロパシー性痛の処置に用いられる。
本発明の化合物は、うつ病の処置にも有用であると考えられる。うつ病は、自己喪失に関連したストレスに二次的であるかまたは元来特発性である、器質性疾患の結果でありうる。いくつかの形態のうつ病の家族性発症には、強い傾向があり、少なくともいくつかの形態のうつ病について機構的原因が示唆される。うつ病の診断は、主に、患者の気分変化の定量化によって行われる。これら気分の評価は、概して、医師によって行われるか、または神経心理学者により、Hamilton Depression Rating Scale または Brief Psychiatric Rating Scale などの有効な評価尺度を用いて定量される。多数の他の尺度が、不眠、集中困難、気力の欠乏、無価値の感情および罪責感のような、うつ病患者の気分変化の度合いを定量し測定するのに開発されている。うつ病の診断並びに全ての精神医学診断の基準は、DSMと称される Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (Fourth Edition) に集められている。
【0052】
本発明の別の側面として、失神発作、運動低下症、頭蓋障害、神経変性障害、うつ病、不安症、パニック、ニューロパシー性痛、睡眠障害および神経病理学的障害より選択される疾患を処置する方法であって、この処置を必要としている哺乳動物に、治療的有効量の式(I)の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0053】
本発明の化合物の生物学的活性は、[H]ガバペンチンと、ブタ脳組織由来のαδサブユニットとを用いる放射性リガンド結合検定において測定することができる(Gee N.S., Brown J.P., Dissanayake V.U.K., Offord J., Thurlow R., Woodruff G.N., J.Biol.Chem., 1996;271:5776-5879)。結果は、μMまたはnMのα2δ結合親和性によって表すことができる。
【0054】
本発明の化合物は、一つまたはそれを超える他の薬理学的活性剤と、別々に、同時にまたは逐次的に組み合わせて投与することができる。特に、ニューロパシー性痛の処置に適切な薬剤には、次のものが含まれる:
(i)オピオイド鎮痛薬、例えば、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファノール、レバロルファン、メタドン、メペリジン、フェンタニール、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン(nalmefene)、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフェンおよびペンタゾシン;
(ii)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナル(diflusinal)、エトドラク(etodolac)、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル(flufenisal)、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン(nabumetone)、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、ゾメピラックおよびそれらの薬学的に許容しうる塩;
(iii)バルビツレート鎮静薬、例えば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール(butabital)、メフォバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタル、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、タルブタール、テアミラル(theamylal)、チオペンタールおよびそれらの薬学的に許容しうる塩;
(iv)鎮静作用を有するベンゾジアゼピン類、例えば、クロルジアゼポキシド、クロラゼペート、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラムおよびそれらの薬学的に許容しうる塩;
(v)鎮静作用を有するHアンタゴニスト、例えば、ジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミン、クロルシクリジンおよびそれらの薬学的に許容しうる塩;
(vi)その他の鎮静薬、例えば、グルテチミド、メブロバメート、メタクアロン、ジクロラルフェナゾンおよびそれらの薬学的に許容しうる塩;骨格筋弛緩薬、例えば、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモル、オルフレナジン(orphrenadine)およびそれらの薬学的に許容しうる塩;
(vii)NMDAレセプターアンタゴニスト、例えば、デキストロメトルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)およびその代謝物デキストロルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリンキノンおよびシス−4−(ホスホノメチル)−2−ピペリジンカルボン酸およびそれらの薬学的に許容しうる塩;
(viii)αアドレナリン作動性活性化合物、例えば、ドキサゾシン、タムスロシン(tamsulosin)、クロニジンおよび4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノール−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン;
(ix)三環系抗うつ薬、例えば、デシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリン(amytriptiline)およびノルトリプチリン;
(x)抗痙攣薬、例えば、カルバマゼピン、ガバペンチン、プレガバリン(pregabalin)およびバルプロエート;
(xi)セロトニン再吸収阻害剤、例えば、フルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム(citalopram)およびセルトラリン;
(xii)混合セロトニン−ノルアドレナリン再吸収阻害剤、例えば、ミルナシプラン(milnacipran)、ヴェンラファキシン(venlafaxine)およびデュロキセチン(duloxetine);ノルアドレナリン再吸収阻害剤、例えば、レボキセチン(reboxetine);
(xiii)タキキニン(NK)アンタゴニスト、具体的には、Nk−3、NK−2およびNK−1のアンタゴニスト、例えば、(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,1g][1,7]ナフトリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、ラネピタント(lanepitant)、ダピタント(dapitant)および3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチルアミノ]−2−フェニルピペリジン(2S,3S)
(xiv)ムスカリン様アンタゴニスト、例えば、オキシブチン(oxybutin)、トルテロジン(tolterodine)、プロピベリン(propiverine)、塩化トロプシウム(tropsium chloride)およびダリフェナシン(darifenacin);
(xv)PDEV阻害剤、例えば、シルデナフィル(sildenafil)、バルデナフィル(vardenafil)および Cialis(商標);
(xvi)COX−2阻害剤、例えば、セレコキシブ(celecoxib)、ロフェコキシブ(rofecoxib)およびバルデコキシブ(valdecoxib);
(xvii)非選択的COX阻害剤(好ましくは、GI防御を伴う)、例えば、ニトロフルルビプロフェン(HCT−1026);
(xviii)コールタール鎮痛薬、特に、パラセタモール;
(xix)神経弛緩薬、例えばドロペリドール;
(xx)バニロイドレセプターアゴニスト、例えば、レシンフェラトキシン(resinferatoxin);
(xxi)βアドレナリン作動性化合物、例えばプロプラノロール;
(xxii)局所麻酔薬、例えばメキシレチン;
(xxiii)コルチコステロイド類、例えばデキサメタゾン;
(xxiv)セロトニンレセプターアゴニストおよびアンタゴニスト;コリン作動性(ニコチン性)鎮痛薬;および
(xxv)その他の薬剤、例えばトラマドール(Tramadol、登録商標)。
【0055】
本発明の化合物と他の治療薬との組合せは、別々に、逐次的にまたは同時に投与することができる。したがって、本発明は、式(I)の化合物;上に挙げられたような一つまたはそれを超える他の治療薬;および適切な容器を含むキットに及ぶ。
【0056】
本発明の化合物は、単独でまたは他の薬物と組み合わせて投与することができるが、一般的には、予定の投与経路および標準的な薬学的慣例に関して選択される適切な薬学的賦形剤(一つまたは複数)、希釈剤(一つまたは複数)または担体との混合物で投与されるであろう。「賦形剤」という用語は、本明細書において、本発明の化合物以外のいずれかの成分を記載するのに用いられる。適当ならば、助剤を加えることができる。助剤は、保存剤、抗酸化剤、着香剤または着色剤である。本発明の化合物は、即時放出、遅延放出、修飾放出、徐放、パルス放出または制御放出タイプの組成物中で投与することができる。
【0057】
式(I)の化合物は、例えば、次の経路、即ち、経口、口腔内または舌下で、錠剤、カプセル剤、多−およびナノ−微粒子、液剤、ゲル剤、フィルム剤(粘膜付着剤を含めた)、散剤、小卵剤、エリキシル剤、ロゼンジ剤(液体充填剤入りを含めた)、咀嚼剤、溶液剤、懸濁剤および噴霧剤の形態で投与することができるが、これに限定されるわけではない。式(I)の化合物は、Liang and Chen (2001) による Expert Opinion in Therapeutic Patents, 11(6),981-986 に記載されたもののような、浸透圧性剤形として、または高エネルギー分散の形態で、または被覆粒子もしくは急速溶解性、急速崩壊性剤形として投与することもできる。式(I)の化合物は、結晶性製品または非晶質製品として投与することができる。それらは、例えば、固形プラグ(solid plug)、粉末または薄膜として、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥または蒸発乾燥などの方法によって得ることができる。マイクロ波または高周波乾燥も、この目的に用いることができる。式(I)の化合物の適切な製剤は、所望により、親水性または疎水性マトリックス、イオン交換樹脂複合体、被覆または未被覆の形態、およびUS6,106,864号に記載のような他のタイプであってよい。このような医薬組成物、例えば、錠剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、グリシンおよびデンプン(好ましくは、トウモロコシ、バレイショまたはタピオカデンプン)、マンニトールなどの賦形剤;ナトリウムスターチグリコラート、クロスカルメロースナトリウムおよび一定の複合シリケートなどの崩壊剤;およびポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、トリグリセリド、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ベントナイトスクロース、ソルビトール、ゼラチンおよびアラビアゴムなどの造粒結合剤を含有してよい。更に、固体組成物には、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、PEGおよびタルク、またはラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤、または保存剤、抗酸化剤、着香剤および着色剤を加えることができる。更に、炭水化物、リン脂質およびタンパク質などのポリマーが含まれてよい。
【0058】
急速分散性または溶解性の投与製剤(FDDF)は、次の成分、すなわち、アスパルテーム、アセスルファームカリウム、クエン酸、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ジアスコルビン酸、アクリル酸エチル、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、メタクリル酸メチル、ミント着香剤、ポリエチレングリコール、ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、ナトリウムスターチグリコラート、ステアリルフマル酸ナトリウム、ソルビトールまたはキシリトールを含有してよい。本明細書においてFDDFを記載するのに用いられる分散性または溶解性という用語は、用いられる薬物物質の溶解度に依存する。すなわち、薬物物質が不溶性である場合、急速分散性剤形を製造することができ、薬物物質が可溶性である場合、急速溶解性剤形を製造することができる。
【0059】
錠剤などの固体剤形は、製剤化学者(forumaltionchemist)に知られている標準法を用いて、例えば、直接圧縮、湿式、乾式もしくは溶融造粒、溶融凝固(melt congealing)または押出によって製造される。単層または多層であってよい錠剤コアは、当該技術分野において知られている適当なオーバーコートで被覆することができる。
【0060】
経口投与用の固体製剤は、即時放出および/または修飾放出であるように製剤化することができる。修飾放出製剤には、遅延放出、徐放、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。本発明の目的に適した修飾放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散、および浸透圧性粒子および被覆粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、Verma et al., Pharmaceutical Technology On-line, 25(2),1-14(2001) に見出される。
【0061】
類似のタイプの固体組成物も、ゼラチン、デンプンまたはHPMCのカプセル剤などのカプセル剤中の充填剤として用いることができる。この点で好ましい賦形剤には、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。液体組成物は、ゼラチンカプセルなどの軟または硬カプセル剤中の充填剤として用いることができ、典型的には、担体、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適切な油、および一つまたはそれを超える乳化剤および/または懸濁化剤を含む。水性および油状の懸濁剤、液剤、シロップ剤および/またはエリキシル剤のために、本発明の化合物は、いろいろな甘味剤または着香剤、着色剤または染料と、乳化剤および/または懸濁化剤と、および水、エタノール、プロピレングリコール、メチルセルロース、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、グリセリン、油、ヒドロコロイド剤およびそれらの組合せなどの希釈剤と混合することができる。更に、これら化合物および賦形剤を含有する製剤は、使用前に水または他の適切なビヒクルで再構成するための乾燥製品として与えることができる。
【0062】
液形態製剤には、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤、エリキシル剤および乳剤、例えば、水または水プロピレングリコールの溶液剤が含まれる。非経口注射のためには、液体製剤を、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液形態中で製剤化してもよい。経口使用に適した水性液剤は、活性成分を水中に溶解させ、適切な着色剤、フレーバー、安定化剤および増粘剤を所望により加えることによって製造することができる。経口使用に適した水性懸濁液剤は、微粉活性成分を、天然または合成のガム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび他の周知の懸濁化剤などの粘稠材料と一緒に水中に分散させることによって製造することができる。
【0063】
本発明の化合物は、注射により、すなわち、静脈内、筋肉内、皮内、十二指腸内、または腹腔内、動脈内、くも膜下、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、髄腔内または皮下に投与することもできる。非経口投与に適したデバイスには、針(マイクロニードルを含めた)注射器、無針注射器、注入または植込剤注射技術が含まれる。このような非経口投与のために、それらは、当該技術分野において知られている他の物質、例えば、溶液を血液と等張にするのに充分な塩類または炭水化物、例えばグルコースを含有してよい滅菌水溶液、懸濁液またはエマルジョン(またはミセルが含まれうる系)の形態で最もよく用いられる。それら水溶液は、必要ならば、適切に(好ましくは、3〜9のpHに)緩衝化されるべきである。非経口投与の一定の形態のためには、それらを、モノグリセリドまたはジグリセリドを含めた不揮発性油およびオレイン酸を含めた脂肪酸などの滅菌非水系の形態で用いることができる。滅菌条件、例えば、凍結乾燥の下での適切な非経口製剤の製造は、当業者に周知の標準的な製剤技術によって容易に行われる。或いは、活性成分は、滅菌発熱物質不含水などの適切なビヒクルと一緒にして用いられる乾燥された形態であってよい。
【0064】
非経口溶液剤の製造に用いられる式(I)の化合物の溶解度は、溶解度増強剤を組み込むなどの適当な製剤技術の使用によって増加させることができる。
非経口投与用製剤は、即時放出および/または修飾放出であるように製剤化することができる。したがって、式(I)の化合物は、活性化合物の長期放出を提供する植込デポーとしての投与のために一層中実な形態で製剤化することができる。
【0065】
更に、本発明の化合物は、鼻腔内にまたは吸入によって投与することができる。それらは、好都合には、乾燥粉末吸入器からの乾燥粉末(単独でか、混合物、例えば、ラクトースとのドライブレンドとしてか、または例えば、リン脂質との混合成分粒子として)の形態で、または加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、電気流体力学を用いて微細ミストを生じるアトマイザー)もしくはネブライザーからのエアゾルスプレー提示の形態で、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン;1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134A[商標])または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227EA[商標])などのヒドロフルオロアルカン;二酸化炭素;Perflubron[商標]などの更に過フッ素化された炭化水素または他の適切なガスを使用してまたは使用することなく送達される。
【0066】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーは、例えば、エタノール(場合により、水性エタノール)、または分散させるか、可溶化させるかもしくは放出を延長するのに適した物質と、溶媒としての噴射剤との混合物であって、更に、ソルビタントリオレアートなどの界面活性剤またはオリゴ乳酸を含有してよい混合物を用いる活性化合物の溶液または懸濁液を含有することができる。吸入器または吹入器中で用いるためのカプセル剤、ブリスターおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンまたはHPLCより製造される)は、本発明の化合物;ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤;およびI−ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムなどの性能調節剤の粉末配合物を含有するように製剤化することができる。
【0067】
乾燥粉末吸入剤およびエアゾル剤の場合、その投薬量単位は、計量された量を送達するバルブによって決定する。
吸入用の乾燥粉末製剤または懸濁製剤中での使用前に、本発明の化合物は、吸入による送達に適したサイズ(典型的には、5ミクロン未満と考えられる)に微粉砕される。微粉砕は、いずれかの適当な粉砕法、例えば、スパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、ナノ粒子を形成する超臨界流体プロセシング、高圧均一化によっても、または噴霧乾燥によっても達成され得る。
【0068】
電気流体力学を用いて微細ミストを生じるアトマイザー中で用いるのに適した溶液製剤は、作動あたり1μg〜10mgの本発明の化合物を含有してよいが、その作動容量は、1μl〜100μlで変動し得る。典型的な製剤は、式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含むことができる。プロピレングリコールの代わりに、別の溶媒、例えば、グリセロールまたはポリエチレングリコールを用いることができる。
【0069】
吸入/鼻腔内投与用の製剤は、即時放出および/または修飾放出であるように製剤化することができる。
或いは、本発明の化合物は、皮膚または粘膜へ局所的に、皮膚的にまたは経皮的に、例えば、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散布用粉末、ドレッシング、泡(foam)、フィルム、皮膚パッチ、ウェファー、植込剤、スポンジ、繊維、包帯、ミクロエマルジョンおよびそれらの組合せの形態で投与することができる。リポソームを用いてもよい。このような用途には、式(I)の化合物は、例えば、鉱油、液状ペトロラタム、白色ペトロラタム、グリセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化性ワックス、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含めた不揮発性油、およびオレイン酸を含めた脂肪酸、水、ソルビタンモノステアラート、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、エタノールなどのアルコール類の一つまたはそれを超えるものとの混合物中に懸濁または溶解させることができる。或いは、浸透促進剤を用いることができる。例えば、Finnin and Morgan(1999年10月)による J.Pharm.Sci., 88(10),955-958 を参照されたい。次のもの、即ちポリマー、炭水化物、タンパク質、リン脂質も、ナノ粒子(ニオソーム(niosomes)またはリポソームなど)の形態で用いてもよく、または懸濁もしくは溶解させてもよい。更に、それらは、イオン導入、エレクトロポレーション、フォノフォレシス(phonophoresis)およびソノフォレシス(sonophoresis)を用いて送達することができる。
【0070】
局所投与の他の手段には、イオン導入、エレクトロポレーション、フォノフォレシス、ソノフォレシスおよび無針注射またはマイクロニードル注射による送達が含まれる。
局所投与用製剤は、即時放出および/または修飾放出であるように製剤化することができる。
【0071】
或いは、本発明の化合物は、直腸に、例えば、坐剤、ペッサリーまたは浣腸剤の形態で投与することができる。それらは、膣内経路によって投与することもできる。例えば、次の提示に限定されるわけではないが、これら組成物は、薬物を、カカオ脂、合成グリセリドエステルまたはポリエチレングリコールなどの適切な非刺激性賦形剤と混合することによって製造することができ、それらは、常温では固体であるが、腔内で液化および/または溶解して薬物を放出する。
【0072】
直腸/膣内投与用製剤は、即時放出および/または修飾放出であるように製剤化することができる。
本発明の化合物は、眼または耳に直接的に投与することもできる。眼および耳の投与には、式(I)の化合物は、等張な、pH調整された滅菌生理食塩水中の微粉懸濁剤または溶液剤として製剤化することができる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはメチルセルロース)、またはヘテロ多糖ポリマー(例えば、ゲランガム(gelan gum))などのポリマーを加えることができる。或いは、それらは、ペトロラタムまたは鉱油などの軟膏中で製剤化してもよく、生分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)または非生分解性(例えば、シリコーン)の植込剤、ウェファー、滴剤、レンズ中に包含してもよく、またはニオソームまたはリポソームなどの粒状系または小胞系を介して送達してもよい。製剤は、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と混合されていてもよい。更に、それらは、イオン導入を用いて送達することができる。眼/耳投与用の製剤は、即時放出および/または修飾放出であるように製剤化することができる。
【0073】
本発明の化合物は、それらの溶解度、溶解速度、味のマスキング、バイオアベイラビリティーおよび/または安定性を改善するために、シクロデキストリンまたはポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性巨大分子物質と組合せて用いることもできる。薬物−シクロデキストリン複合体は、概して、ほとんどの剤形および投与経路に有用である。包接および非包接双方の複合体を用いることができる。薬物との直接複合体形成に代わるものとして、シクロデキストリンは、補助添加剤として、例えば、担体、希釈剤または可溶化剤として用いることができる。α−、β−およびγ−シクロデキストリンが、最も一般的に用いられ、適切な例は、WO−A−91/11172号、WO−A−94/02518号およびWO−A−98/55148号に記載されている。
【0074】
「投与される」という用語には、ウイルス性または非ウイルス性の技法による送達が含まれる。ウイルス送達機構には、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター、ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターおよびバキュロウイルスベクターが含まれるが、これに限定されるわけではない。非ウイルス送達機構には、脂質に媒介されるトランスフェクション、リポソーム、イムノリポソーム、リポフェクチン、カチオン面両親媒性物質(cationic facial amphiphiles)(CFA)およびそれらの組合せが含まれる。このような送達機構のための経路には、粘膜、点鼻、経口、非経口、胃腸内、局所または舌下の経路が含まれるが、これに限定されるわけではない。
【0075】
医薬製剤は、好ましくは、単位剤形である。このような形態では、製剤は、適当な量の活性成分を含有する単位用量に細分される。この単位剤形は、容器入りの錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の散剤のような、個別の量の製剤を含有する包装である容器入り製剤でありうる。更に、単位剤形は、それ自体がカプセル剤、錠剤、カシェ剤またはロゼンジ剤でもよいし、またはそれは、適当な数のこれらのいずれかが容器入りとされた形態でもよい。単位用量製剤中の活性成分の量は、特定の用途および活性成分の効力に依存して、0.1mg〜1gで変動してもよいしまたはそれに調整されてよい。医学的使用の場合、薬物は、例えば、100mgまたは300mgのカプセル剤として1日3回投与することができる。治療的使用の場合、本発明の薬学的方法で利用される化合物は、1日に約0.01mg〜約100mg/kgの初期用量で投与される。約0.01mg〜約100mg/kgの1日用量範囲が好適である。しかしながら、投薬量は、患者の要求、処置されている状態の重症度、および用いられている化合物に依存して変動し得る。特定の状況に適当な投薬量の決定は、当該技術の範囲内である。概して、処置は、化合物の最適用量未満である、より少ない投薬量で開始される。その後、その投薬量を、その状況下での最適の作用に達するまで、僅かな増加量で増加させる。便宜上、所望ならば、総1日用量を分割し、当日中に少量ずつ投与してよい。
【0076】
本発明による医薬組成物は、所望ならば、一つまたはそれを超える他の適合性の治療薬を含有することもできる。具体的には、その組成物を、上に挙げられたような、痛みの処置に有用ないずれか一つまたはそれを超える化合物と混合することができる。したがって、本発明は、式(I)または(II)の化合物、一つまたはそれを超える他の薬理学的活性剤、および一つまたはそれを超える薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物を与える。
【0077】
本明細書における処置についての全ての言及には、治癒的処置、待期的処置および予防的処置が含まれるということが理解される。
一般的な方法
第一の方法Aによれば、Yが直接結合であり、RがHであり、そしてRがCOHである場合、式(I)の化合物は、式(III)
【0078】
【化6】

【0079】
(式中、PGは、H、または tert−ブトキシカルボニルなどの適切な保護基である)
を有するラクタムを、ジオキサンなどの適切な溶媒中で塩酸などの適切な酸を用いる酸加水分解により開環するか、またはテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で水酸化リチウムなどの水酸化物源を用いる塩基に媒介される開環をした後、存在するいずれかの保護基を、当該技術分野において知られている方法、例えば、ジエチルエーテルまたはジオキサンなどの適切な溶媒中における塩酸などの酸で処理することにより脱保護することによって製造することができる。
【0080】
第二の方法Bによれば、Yが直接結合であり、そしてRがHである場合、式(I)の化合物は、式(IV)
【0081】
【化7】

【0082】
(式中、PGは適切な保護基である)
を有する化合物を、当該技術分野において知られている方法により脱保護することによって製造することができる。典型的には、PGが tert−ブトキシカルボニルである場合、脱保護は、ジエチルエーテルまたはジオキサンなどの適切な溶媒中における塩酸などの酸での処理によって行うことができる。
【0083】
第三および第四の方法CおよびDによれば、RがHであり、Yが直接結合であり、R、R、RおよびRが、シアノ、チオまたはアミノではなく、そしてRが、テトラゾールまたはオキサゾリジノンである場合、式(IV)の化合物は、スキーム1に従って式(V)の化合物から製造することができる。
【0084】
【化8】

【0085】
典型的な反応条件:
(i)DMFなどの適切な溶媒中、還流下で、適切なアジド源、例えばアジ化ナトリウムでNHClと共に、またはトリメチルシリルアジドで(V)を処理する。
【0086】
(ii)無水エタノールなどの適切な溶媒中、高温で、ヒドロキシルアミン塩酸塩などの適切なヒドロキシルアミン源、およびトリエチルアミンなどの酸アクセプターで(V)を処理する。
【0087】
(iii)テトラヒドロフランなどの適切な溶媒中、高温で、カルボニルジイミダゾールなどの適切なカルボニル源で、(VII)を処理する。
第五の方法Eによれば、RがHであり、RおよびRが5員炭素環を形成し、R、RおよびRが、シアノ、チオまたはアミノではなく、そしてYが直接結合である場合、式(I)の化合物は、スキーム2に従って式(IX)の化合物から製造することができる。
【0088】
【化9】

【0089】
典型的な反応条件。
(i)メタノールまたはエタノールなどの適切な溶媒中、室温で、ヒドロキシルアミン塩酸塩などの適切なヒドロキシルアミン源およびトリエチルアミンなどの酸アクセプターで(IX)を処理する。
【0090】
(ii)メタノールなどの適切な溶媒中、高温で、氷酢酸または塩酸のような適切なプロトン源と、ナトリウムアマルガム、亜鉛、または水素と触媒パラジウムを用いて(X)を還元する。
【0091】
第六の方法Fによれば、RおよびRが5員炭素環を形成し、R、RおよびRが、シアノ、チオまたはアミノではなく、そしてYが直接結合である場合、式(I)の化合物は、スキーム3によって式(XI)の化合物から製造することができる。
【0092】
【化10】

【0093】
典型的な反応条件。
(i)エタノール、クロロベンゼンまたはトルエンなどの適切な溶媒中、ベンジルアミンで室温または高温で(XI)を処理する。
【0094】
(ii)適切な溶媒中でパラジウム触媒および水素などの脱ベンジル化剤を室温で用いるか、またはジクロロメタンまたはメタノールなどの適切な溶媒中でクロロギ酸α−クロロエチルを高温で用いて脱保護した後、メタノールおよびテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中で、室温で水酸化リチウムなどの適切な水酸化物源を用いて加水分解する。
【0095】
、R、RおよびRが、シアノ、チオまたはアミノでない場合、式(III)のラクタムは、式(XIII)
【0096】
【化11】

【0097】
を有する化合物から、メタノールなどのアルコール性溶媒中、0〜25℃で、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で、塩化コバルト六水和物と共に処理することよって製造することができる。
【0098】
、R、RおよびRが、チオでない場合、式(III)のラクタムは、式(XIV)
【0099】
【化12】

【0100】
を有する化合物から、テトラヒドロフランまたはエタノールなどの適切な溶媒中、0〜25℃で水酸化アンモニウムなどの適切なアンモニア源を用いるラクタム形成をすることによって製造することができる。
【0101】
、R、RおよびRが、チオまたはアミノでない場合、式(III)のラクタムは、式(XV)
【0102】
【化13】

【0103】
を有する化合物から、メタノールまたはエタノールなどの適切な溶媒中、高温で、ヒドロキシルアミン塩酸塩などの適切なヒドロキシルアミン源およびピリジンなどの塩基で(XV)を処理して、ベンゾ[d][1,2]オキサイン−1−オンを形成後、氷酢酸または塩酸などの酸中、高温で、亜鉛などの適切な還元剤で処理することによる開環およびラクタム形成によって製造することができる。
【0104】
上の一般的な方法に関して、保護基が存在する場合には、これらは、概して、類似の性質の他の保護基と相互交換可能であること、例えば、アミンが、tert−ブトキシカルボニル基で保護されていると記載されている場合、これは、いずれか適切なアミン保護基と容易に相互交換することができるということは、当業者に容易に理解されるであろう。
【0105】
本明細書中の上記に示された一般的な方法における具体的な工程は、示されていないいずれかの他の方式で適切に組み合わされて、本発明による化合物を提供することができるということは、当業者に容易に理解されるであろう。
【0106】
本発明の化合物の薬学的に許容しうる塩は、適宜、本発明の化合物の溶液と所望の酸または塩基とを互いに混合することによって容易に製造することができる。その塩は、溶液から沈殿し、濾過によって集めることができるし、または溶媒の蒸発によって回収することができる。
【0107】
したがって、要約すると、本発明は:
(i)式(I)の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、多形体またはプロドラッグの製造方法;
(ii)式(I)の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、多形体またはプロドラッグを、薬学的に許容しうる賦形剤、希釈剤または担体と一緒に含む医薬組成物;
(iii)本明細書中で前述された状態のいずれかを処置するための薬剤の製造のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、多形体、プロドラッグもしくは組成物の使用;
(iv)本明細書中で前述された状態のいずれかを処置するための薬剤の製造のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、多形体、プロドラッグもしくは組成物の使用;
(v)本明細書中で前述された状態のいずれかを処置するための哺乳動物の処置方法であって、この哺乳動物を、有効量の式(I)の化合物で、またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物、多形体、プロドラッグもしくは組成物で処置することを含む方法;
(vi)本明細書中で前述された状態のいずれかを処置するための方法であって、このような処置を必要としている患者に、式(I)の化合物およびさらなる疼痛薬の組合せを、同時に、別々にまたは逐次的に投与することを含む方法;
(vii)本明細書中で前述された状態のいずれかを処置するための薬剤の製造のための、式(I)の化合物およびさらなる治療薬の組合せの使用;および
(viii)本明細書中で前述された状態のいずれかの処置における、同時の、別々のまたは逐次的な使用のための組合せ製剤として式(I)の化合物およびさらなる治療薬を含有する製品
を提供する。
【0108】
本発明を、次の非限定的な実施例および中間体によって詳しく説明する。
【実施例1】
【0109】
2−アミノメチル−5−クロロ安息香酸塩酸塩
【0110】
【化14】

【0111】
ジオキサン(1ml)中の6−クロロ−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン(0.115g,0.68mmol)および6M塩酸(8ml)の混合物を、110℃に18時間加熱した。室温に冷却後、固体を濾去し、真空中で乾燥させて、標題化合物(0.0055g,4%)をベージュ色固体として得た。
【0112】
【化15】

【0113】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[MH]186。
微量分析:実測値:C,43.13;H,4.05;N,6.18。CNOCl.HClの理論値:C,43.26;H,4.08;N,6.31%。
【実施例2】
【0114】
2−アミノメチル−4,5−ジクロロ安息香酸塩酸塩
【0115】
【化16】

【0116】
上記化合物を、実施例1と同様の方法を用いて金色固体として合成した(0.159g,46%)。
【0117】
【化17】

【0118】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M]220。
微量分析:実測値:C,36.98;H,3.06;N,5.21。CNOCl.HCl.0.1HOの理論値:C,37.20;H,3.20;N,5.42%。
【実施例3】
【0119】
2−アミノメチル−3−ブロモ安息香酸塩酸塩
【0120】
【化18】

【0121】
ジエチルエーテル中の2M HCl(10ml)中の2−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)−3−ブロモ安息香酸(0.188g,0.57mmol)の混合物を、室温で18時間撹拌した。溶媒を減圧下の蒸発によって除去した。固体を酢酸エチル/ジオキサン(1:1)(10ml)で希釈し、室温で1.5時間撹拌した。固体を濾去し、乾燥させて、標題化合物(0.02g,13%)を白色固体として得た。
【0122】
【化19】

【0123】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M]230。
微量分析:実測値:C,35.09;H,3.39;N,5.12。CNOBr.1.2HClの理論値:C,35.24;H,3.41;N,4.87%。
【実施例4】
【0124】
2−アミノメチル−6−クロロ安息香酸塩酸塩
【0125】
【化20】

【0126】
上記化合物を、実施例3と同様の方法を用いて白色固体として合成した(0.0051g,11%)。
【0127】
【化21】

【0128】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M−H]184。
【実施例5】
【0129】
2−(1−アミノエチル)−安息香酸塩酸塩
【0130】
【化22】

【0131】
上記化合物を、実施例3と同様の方法を用いて白色固体として合成した(0.006g,8%)。
【0132】
【化23】

【0133】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M−H]166。
微量分析:実測値:C,52.84;H,5.98;N,6.74。C11NO.HClの理論値:C,52.65;H,5.94;N,6.82%。
【実施例6】
【0134】
2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−カルボン酸
【0135】
【化24】

【0136】
25%MeOH/THF(4ml)中の2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−カルボン酸メチルエステル塩酸塩(0.18g,0.83mmol)の懸濁液に、水(1ml)中の水酸化リチウム(0.08g,3.32mmol)を滴加後、水(2ml)を加え、そしてその透明な溶液を、窒素下において室温で5時間撹拌した。溶液をHCl水で酸性にし、そしてアンモニア:水(5:95)の溶媒勾配で溶離するイオン交換樹脂(DOWEX(登録商標) 50WX2−100)によって精製して、標題化合物(0.0059g,4%)を白色固体として得た。
【0137】
【化25】

【実施例7】
【0138】
3−(2−アミノメチル−5−クロロフェニル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン塩酸塩
【0139】
【化26】

【0140】
ジオキサン中の4M HCl(8ml)中の[4−クロロ−2−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]オキサジアゾリル−3−イル]−ジカルバミン酸 tert−ブチルエステル(0.2875g,0.68mmol)の混合物を、0℃で撹拌後、窒素下において室温に18時間加温した。固体を濾去し、ジクロロメタン(5ml)およびジエチルエーテル(5ml)で洗浄した。暗ベージュ色固体を6M塩酸中に入れ、ジクロロメタン(3x10ml)および酢酸エチル(3x10ml)で洗浄した。そのHCl溶液を減圧下で蒸発させ、得られた固体を減圧下で乾燥させて、標題化合物(0.028g,16%)をベージュ色固体として得た。
【0141】
【化27】

【0142】
製造例1
2−クロロ−6−アミノ安息香酸メチルエステル
【0143】
【化28】

【0144】
DMF(15ml)中の2−アミノ−6−クロロ安息香酸(1g,5.83mmol)および炭酸カリウム(1.21g,8.74mmol)に、ヨウ化メチル(0.47ml,7.58mmol)を滴加し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。その反応混合物を水(150ml)で停止した。水性層をジエチルエーテル(3x50ml)で抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。混合物を濾過し、溶媒を減圧下の蒸発によって除去して、橙色残渣を得た。その残渣を、最少量のジクロロメタン中に溶解させ、そしてヘプタン:酢酸エチル(3:1)の溶媒勾配で溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(0.61g,56%)を橙色油状物として得た。
【0145】
【化29】

【0146】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M+H+Na]208。
微量分析:実測値:C,51.69;H,4.34;N,7.46。CNOClの理論値:C,51.77;H,4.34;N,7.55%。
【0147】
同様に、次を製造した。
製造例2
3−クロロ−6−アミノ安息香酸メチルエステル
【0148】
【化30】

【0149】
上記化合物を、白色固体として合成した(0.33g,15%)。
【0150】
【化31】

【0151】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M−H]184。
微量分析:実測値:C,51.84;H,4.32;N,7.49。CNOClの理論値:C,51.77;H,4.34;N,7.55%。
【0152】
1.Cai, Sui Xiong: Zhou, Zhang-Lin: Huang, Jin-Cheng; Whittermore, Edward R; Egbuwoku, Zizi O; J.Med.Chem.; 39,17,1996,3248-3255.
2.Sigma Aldrich より商業的に入手可能。
【0153】
製造例3
3−クロロ−6−シアノ安息香酸メチルエステル
【0154】
【化32】

【0155】
濃塩酸(1.1ml)中の2−アミノ−5−クロロ安息香酸メチル(0.33g,1.77mmol)の撹拌懸濁液に、0℃で水を加えた(5ml)。水(1ml)中の亜硝酸ナトリウム(0.12g,1.77mmol)の溶液を滴加し、その溶液を完全に溶解するまで撹拌した。そのジアゾニウム塩を、飽和重炭酸ナトリウムでPh.6.0とした。別のフラスコで、水(2ml)中のシアン化カリウム(0.53g,8.13mmol)の撹拌溶液に0℃で、水(2ml)中のCuSO.5HO(0.53g,2.12mmol)の溶液を滴加した。トルエン(3ml)を加え、得られた褐色混合物を撹拌し、60℃に加熱した。
【0156】
前に調製されたジアゾニウム溶液を、そのCu(I)CNに60℃で30分間にわたって加えた。反応混合物を70℃に更に1時間加熱後、室温に冷却した。その褐色混合物を酢酸エチル(70ml)で希釈し、セライト(登録商標)のパッドを介して濾過し、酢酸エチル(3x20ml)で洗浄し、合わせた有機層をブライン(50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を減圧下の蒸発によって除去して、暗橙色固体を得た。その固体を最少量のジクロロメタン中に溶解させ、ヘプタン:酢酸エチル(3:1)の溶媒勾配で溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(0.23g,65%)をオフホワイト固体として得た。
【0157】
【化33】

【0158】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M+H]218。
微量分析:実測値:C,55.16;H,3.09;N,7.08。CNOClの理論値:C,55.26;H,3.09;N,7.16%。
【0159】
同様に、次を製造した。
製造例4
2−クロロ−6−シアノ安息香酸メチルエステル
【0160】
【化34】

【0161】
上記化合物を、黄色固体として合成した(0.34g,64%)。
【0162】
【化35】

【0163】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M+Na+H]218。
微量分析:実測値:C,55.24;H,3.07;N,7.19。CNOClの理論値:C,55.26;H,3.09;N,7.16%。
【0164】
3.Patent; CIBA-GEIGY; DE 2525587; 1975; Chem.Abstr.; 84; 91648.
製造例5
6−クロロ−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン
【0165】
【化36】

【0166】
メタノール(18ml)中の3−クロロ−6−シアノ安息香酸メチルエステル(0.22g,1.12mmol)および塩化コバルト六水和物(0.54g,2.24mmol)の撹拌溶液に、水素化ホウ素ナトリウムを少量ずつ加えた(発熱するので注意)。その黒色混合物を、窒素下において室温で1時間撹拌した。混合物を5%HCl(水性10ml)で停止し、水(10ml)および濃水酸化アンモニウム(20ml)で希釈し、酢酸エチル(3x50ml)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を減圧下の蒸発によって除去して、褐色固体を得た。その固体を、酢酸エチルの溶媒勾配で溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(0.116g,61%)を黄色固体として得た。
【0167】
【化37】

【0168】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M+H+Na]190。
同様に、次を製造した。
製造例6
7−クロロ−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン
【0169】
【化38】

【0170】
上記化合物を、製造例3と同様の方法を用いて黄色固体として合成した(0.17g,62%)。
【0171】
【化39】

【0172】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M−H]166。
製造例7
5,6−ジクロロ−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン
【0173】
【化40】

【0174】
上記化合物を、橙色のものとして合成した(0.37g,25%)。
【0175】
【化41】

【0176】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M−2H]200。
4.Anderson, P.S. et al. J.Org.Chem; 44,9,1979,1519-1533.
5.Hennige, Hans; Kreher, Richard P.; Konard, Michael; Jellito, Frank; Chem Ber, 121,1988,243-252.
製造例8
3−ブロモ−2−ブロモメチル安息香酸メチルエステル
【0177】
【化42】

【0178】
クロロベンゼン(40ml)中の3−ブロモ−2−メチル安息香酸メチルエステル(2.4g,10.29mmol)、NBS(1.83g,10.29mmol)およびAIBN(4mg)の混合物を、窒素下において80℃に18時間加熱した。その混合物を、氷浴中で冷却し、濾過し、溶媒を減圧下の蒸発によって除去した。橙色残渣を、ヘプタン:酢酸エチル(40:1)の溶媒勾配で溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(2.74g,86%)を無色油状物として得た。
【0179】
【化43】

【0180】
微量分析:実測値:C,35.21;H,2.67;N,0.00。CBrの理論値:C,35.10;H,2.62;N,0.00%。
6.Tasaka, Akihiro; Kaku, Tomohiro; Kusaka, Masami; PCT Int.Appl (2001). WO 0130764
製造例9
4−ブロモ−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン
【0181】
【化44】

【0182】
テトラヒドロフラン(70ml)中の3−ブロモ−2−ブロモメチル安息香酸メチルエステル(2.74g,8.88mmol)の溶液に0℃で、30%アンモニア水(10ml)を加え、その混合物を窒素下において室温で18時間撹拌した。溶媒を減圧下の蒸発によって除去した。白色残渣を、酢酸エチル(50ml)と2Mクエン酸(50ml)との間で分配した。酢酸エチルを硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下の蒸発によって除去した。橙色油状物を、最少量のジクロロメタン中に溶解させ、そしてジクロロメタン/メタノール(9:1)の溶媒勾配で溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(1.5g,80%)を白色固体として得た。
【0183】
【化45】

【0184】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M+2H]214。
微量分析:実測値:C,45.20;H,2.90;N,6.67。CNOBrの理論値:C,45.31;H,2.85;N,6.60%。
【0185】
7.Tasaka, Akihiro; Kaku, Tomohiro; Kusaka, Masami; PCT Int.Appl (2001). WO 0130764
製造例10
4−ブロモ−1−オキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【0186】
【化46】

【0187】
ジクロロメタン(7ml)中の4−ブロモ−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン(0.159g,0.749mmol)、ジカルボン酸ジ−tert−ブチル(0.33g,1.5mmol)、トリエチルアミン(0.11ml,0.75mmol)およびDMAP(0.092g,0.75mmol)の混合物を、窒素下において室温で18時間撹拌した。黄色溶液を、ヘプタン/酢酸エチル(3:1)の溶媒勾配で溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(0.23g,99%)を無色残渣として得た。
【0188】
【化47】

【0189】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M+2H+Na]336。
微量分析:実測値:C,50.45;H,4.72;N,4.38。C1314NOBrの理論値:C,50.02;H,4.52;N,4.49%。
【0190】
同様に、次を製造した。
製造例11
7−クロロ−1−オキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【0191】
【化48】

【0192】
上記化合物を、無色泡状物として合成した(0.064g,80%)。
【0193】
【化49】

【0194】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M+Na]289。
微量分析:実測値:C,58.64;H,5.43;N,5.09。C1314NOClの理論値:C,58.33;H,5.27;N,5.23%。
【0195】
製造例12
1−メチル−3−オキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【0196】
【化50】

【0197】
上記化合物を、3−メチル−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オンから、製造例6と同様の方法を用いて無色油状物として合成した(0.12g,72%)。
【0198】
【化51】

【0199】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M+Na]269。
微量分析:実測値:C,67.52;H,6.93;N,5.60。C1417NOの理論値:C,67.99;H,6.93;N,5.66%。
【0200】
8.Kreher, Richard P.; Hennige, Hans; Konrad, Michael; Uhrig, Juergen; Clemens, Andrea; Z.Naturforsch.B; 46,6,1991,809-828.
製造例13
2−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)−3−ブロモ安息香酸
【0201】
【化52】

【0202】
テトラヒドロフラン(10ml)中の4−ブロモ−1−オキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.206g,0.66mmol)の撹拌溶液に、水酸化リチウム水溶液(1M,2ml,1.98mmol)を滴加し、その混合物を窒素下において室温で18時間撹拌した。混合物をジエチルエーテル(30ml)で希釈し、1M HCl(10ml)で洗浄した。水性層をジエチルエーテル(2x20ml)で抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を減圧下の蒸発によって除去して、標題化合物(0.188g,86%)を白色ロウ質固体として得た。
【0203】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M]330。
同様に、次を製造した。
製造例14
2−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)−6−クロロ安息香酸
【0204】
【化53】

【0205】
上記化合物を、白色固体として合成した(0.064g,94%)。
【0206】
【化54】

【0207】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M−H]284。
微量分析:実測値:C,54.51;H,5.91;N,4.54。C1316NOClの理論値:C,54.65;H,5.64;N,4.90%。
【0208】
製造例15
2−(tert−ブトキシカルボニルアミノエチル)−安息香酸
【0209】
【化55】

【0210】
上記化合物を、白色固体として合成した(0.11g,86%)。
【0211】
【化56】

【0212】
LRMS(エレクトロスプレー):m/z[M−H]264。
製造例16
3−ヒドロキシイミノインダン−4−カルボン酸
【0213】
【化57】

【0214】
メタノール(25ml)中の3−オキソインダン−4−カルボン酸(1g,5.68mmol)、炭酸カリウム(0.81g,5.85mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.39g,5.68mmol)の混合物を、窒素下において室温で18時間撹拌した。溶媒を減圧下の蒸発によって除去し、残渣を酢酸エチル(30ml)中に入れ、水(30ml)で洗浄した。水性層を酢酸エチル(2x30ml)で抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下の蒸発によって除去して、標題化合物(0.95g,87%)を淡黄色固体として得た。
【0215】
【化58】

【0216】
微量分析:実測値:C,62.89;H,4.71;N,7.05。C10NOの理論値:C,62.82;H,4.74;N,7.33%。
9.Panetta, Charles A; Dixit, Ajjit S; Synthesis; 1,1981,59-60.
製造例17
3−アミノインダン−4−カルボン酸
【0217】
【化59】

【0218】
1M HCl(10ml)および氷酢酸(3ml)中の3−ヒドロキシイミノインダン−4−カルボン酸(0.45g,2.35mmol)、亜鉛粉末(0.72g)の混合物を、90℃に18時間加熱した。混合物を室温に冷却し、固体を濾去し、そして溶媒を減圧下の蒸発によって除去した。残渣を水(5ml)で希釈し、ジクロロメタン(3x10ml)および酢酸エチル(5ml)で抽出した。水性画分を、アンモニア:水(5:95)の溶媒勾配で溶離するイオン交換カラム(DOWEX(登録商標) 50WX2−100)によって精製して、標題化合物(0.142g,34%)を白色固体として得た。
【0219】
【化60】

【0220】
微量分析:実測値:C,64.81;H,6.34;N,7.53。C1011NO.0.15NHClの理論値:C,64.85;H,5.99;N,7.56%。
製造例18
2−ベンジル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−カルボン酸メチルエステル
【0221】
【化61】

【0222】
ベンジルアミン(0.71ml,6.52mmol)、10M NaOH、n−テトラブチルアンモニウムクロリド(0.12g,0.42mmol)の混合物に、2,3−ビスブロモメチル安息香酸メチルエステル10(1.20g,3.74mmol)の溶液を加え、その混合物を窒素下において室温で18時間撹拌した。混合物を水(50ml)中に注いだ。水性画分を酢酸エチル(10ml)で抽出し、有機層を一緒にし、ブライン(10ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下の蒸発によって除去して、橙色油状物を得た。その油状物を最少量のジクロロメタン中に入れ、そしてヘプタン:酢酸エチル(3:1)の溶媒勾配で溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(0.57g,57%)を淡黄色油状物として得た。
【0223】
【化62】

【0224】
微量分析:実測値:C,75.83;H,6.40;N,5.20。C1717NO.0.1HOの理論値:C,75.87;H,6.37;N,5.20%。
10.Neubeck, H.K. Montash.Chem; 127,2,1996,201-217.
製造例19
2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−カルボン酸メチルエステル塩酸塩
【0225】
【化63】

【0226】
ジクロロメタン(4ml)中の2−ベンジル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−カルボン酸メチルエステル(0.3g,1.12mmol)の溶液に−10℃で、クロロギ酸α−クロロエチル(0.16ml,1.46mmol)を滴加し、−10℃で30分間撹拌した。溶媒を減圧下の蒸発によって除去し、残渣をメタノール(5ml)中に溶解させ、90℃に40分間加熱した。その溶液を室温に冷却し、溶媒を減圧下の蒸発によって除去した。残渣を酢酸エチル(30ml)で希釈し、飽和NaOH溶液中に抽出して、吸湿性固体を得て、更に精製することなく用いた。
【0227】
【化64】

【0228】
製造例20
(4−クロロ−2−シアノベンジル)−ジカルバミン酸 tert−ブチルエステル
【0229】
【化65】

【0230】
無水テトラヒドロフラン(30ml)中の水素化ナトリウム(1.91g,47.72mmol)の懸濁液に、窒素下において室温で、無水テトラヒドロフラン(35ml)中の2−ブロモメチル−5−クロロベンゾニトリル11(10g,43.39mmol)の溶液を加えた後、無水テトラヒドロフラン(30ml)中のジ−tert−ブチルイミノジカルボキシレート(10.37g,47.72mmol)を滴加した。その反応混合物を、窒素下において室温で28時間撹拌した。反応を水(50ml)で停止し、溶媒を減圧下で除去した。水性層をジエチルエーテル(3x100ml)で抽出し、合わせた有機層をブライン(50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下の蒸発によって除去した。残渣を、ヘプタン:酢酸エチル(4:1)の溶媒勾配で溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(13.45g,84%)を淡黄色固体として得た。
【0231】
【化66】

【0232】
微量分析:実測値:C,59.37;H,6.47;N,7.09。C1823Clの理論値:C,58.93;H,6.32;N,7.64%。
11.Ando, Kazuo; Tokoroyama, Takshi; Kubota, Takshi; Bull Chem..Soc.Jpn., 53,10,1980,2885-2890.
製造例21
[4−クロロ−2−(N−ヒドロキシカルバミミドイル)−ベンジル]−ジカルバミン酸 tert−ブチルエステル
【0233】
【化67】

【0234】
ヒドロキシルアミン塩酸塩(1.33g,19.08mmol)およびトリエチルアミン(2.9ml,20.99mmol)の混合物を、室温において無水エタノール(200ml)中で30分間撹拌した。これに、(4−クロロ−2−シアノベンジル)ジカルバミン酸 tert−ブチルエステル(7g,19.08mmol)を加え、85℃に18時間加熱した。そのエタノールを減圧下の蒸発によって除去後、水(100ml)で希釈した。水性層を酢酸エチル(3x75ml)で抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下の蒸発によって除去して、黄色残渣を得た。その残渣を最少量のジクロロメタン中に溶解させ、そしてヘプタン:酢酸エチル(4:1)の溶媒勾配で溶離するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製して、標題化合物(1.03g,13%)を淡黄色泡状物として得た。
【0235】
【化68】

【0236】
微量分析:実測値:C,54.26;H,6.60;N,10.20。C1820Clの理論値:C,54.07;H,6.55;N,10.51%。
製造例22
[4−クロロ−2−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]オキサジアゾリル−3−イル]−ジカルバミン酸 tert−ブチルエステル
【0237】
【化69】

【0238】
無水テトラヒドロフラン(100ml)中の[4−クロロ−2−(N−ヒドロキシカルバミミドイル)−ベンジル]−ジカルバミン酸 tert−ブチルエステル(0.85g,2.13mmol)の溶液に、カルボニルジイミダゾール(0.52g,3.19mmol)を加え、その混合物を撹拌し、窒素下において90℃に18時間加熱した。混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下の蒸発によって除去した。褐色残渣を最少量のジクロロメタン中に溶解させ、そしてヘプタン:酢酸エチル(4:1)〜(1:1)〜酢酸エチル〜ジクロロメタン:メタノール(9:1)の溶媒勾配で溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物(0.3105g,34%)を褐色ガラス固体として得た。
【0239】
【化70】

【0240】
医薬組成物実施例
次の実施例において、活性化合物は、式(I)のいずれかの化合物および/またはその薬学的に許容しうる塩、溶媒和化合物または生理学的に機能性の誘導体でありうる。
【0241】
(i)錠剤組成物
次の組成物AおよびBは、成分(a)〜(c)および(a)〜(d)を、ポビドン溶液と湿式造粒した後、ステアリン酸マグネシウムの添加および圧縮を行うことによって製造することができる。
【0242】
組成物A
【0243】
【表1】

【0244】
組成物B
【0245】
【表2】

【0246】
組成物C
【0247】
【表3】

【0248】
次の組成物DおよびEは、混合された成分の直接圧縮によって製造することができる。製剤E中に用いられるラクトースは、直接圧縮タイプのものである。
組成物D
【0249】
【表4】

【0250】
組成物E
【0251】
【表5】

【0252】
組成物F(制御放出組成物)
【0253】
【表6】

【0254】
この組成物は、成分(a)〜(c)を、ポビドン溶液と湿式造粒した後、ステアリン酸マグネシウムの添加および圧縮を行うことによって製造することができる。
組成物G(腸溶コーティング錠)
組成物Cの腸溶コーティング錠は、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル(polyvinylacetatephthalate)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethyl-cellulose phthatate)、またはメタクリル酸およびメタクリル酸メチルエステルの陰イオンポリマー(Eudragit L)などの25mg/錠剤の腸溶ポリマーで錠剤を被覆することによって製造することができる。Eudragit Lを除いて、これらポリマーは、適用中または貯蔵時の膜亀裂を防止するために、(用いられるポリマー量の重量で)10%の可塑剤も含むべきである。適当な可塑剤には、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチルおよびトリアセチンが含まれる。
【0255】
組成物H(腸溶コーティング制御放出錠)
組成物Fの腸溶コーティング錠は、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはメタクリル酸およびメタクリル酸メチルエステルの陰イオンポリマー(Eudgragit L)などの50mg/錠剤の腸溶ポリマーで錠剤を被覆することによって製造することができる。Eudgragit Lを除いて、これらポリマーは、適用中または貯蔵時の膜亀裂を防止するために、(用いられるポリマー量の重量で)10%の可塑剤も含むべきである。適当な可塑剤には、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチルおよびトリアセチンが含まれる。
【0256】
(ii)カプセル剤組成物
組成物A
カプセル剤は、上の組成物Dの成分を混合し、そして得られた混合物を二部材ゼラチン硬カプセルに充填することによって製造することができる。組成物B(以下)は、同様に製造することができる。
【0257】
組成物B
【0258】
【表7】

【0259】
組成物C
【0260】
【表8】

【0261】
カプセル剤は、Macrogol 4000BPを溶融し、その溶融液中に活性成分を分散させ、そしてそれで二部材ゼラチン硬カプセルを充填することによって製造することができる。
【0262】
組成物D
【0263】
【表9】

【0264】
カプセル剤は、レシチンおよびラッカセイ油中に活性成分を分散させ、そしてその分散液で弾性ゼラチン軟カプセルを充填することによって製造することができる。
組成物E(制御放出カプセル剤)
【0265】
【表10】

【0266】
制御放出カプセル製剤は、混合された成分(a)〜(c)を、押出機を用いて押出後、その押出品を球状化(spheronising)し、乾燥させることによって製造することができる。それら乾燥ペレットを、放出制御性膜(d)で被覆し、二部材ゼラチン硬カプセル中に充填する。
【0267】
組成物F(腸溶カプセル剤)
【0268】
【表11】

【0269】
腸溶カプセル剤組成物は、混合された成分(a)〜(c)を、押出機を用いて押出後、その押出品を球状化し、乾燥させることによって製造することができる。それら乾燥ペレットを、可塑剤(e)を含有する腸溶膜(d)で被覆し、二部材ゼラチン硬カプセル中に充填する。
【0270】
組成物G(腸溶コーティング制御放出カプセル剤)
組成物Eの腸溶カプセル剤は、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはメタクリル酸およびメタクリル酸メチルエステルの陰イオンポリマー(Eudragit L)などの50mg/カプセル剤の腸溶ポリマーで制御放出ペレットを被覆することによって製造することができる。Eudragit Lを除いて、これらポリマーは、適用中または貯蔵時の膜亀裂を防止するために、(用いられるポリマー量の重量で)10%の可塑剤も含むべきである。適当な可塑剤には、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチルおよびトリアセチンが含まれる。
【0271】
(iii)静脈内注射組成物
【0272】
【表12】

【0273】
活性成分を、リン酸緩衝液の大部分に35〜40℃で溶解させた後、容量調製し、そして滅菌ミクロポアフィルターを介して滅菌10mlガラスバイアル(タイプ1)中に濾過し、それを、滅菌クロージャーおよびオーバーシールで密封する。
【0274】
(iv)筋肉内注射組成物
【0275】
【表13】

【0276】
活性成分を、グリコフロール(glycofurol)中に溶解させる。次に、ベンジルアルコールを加え、溶解させ、そして水を加えて3mlとする。次に、その混合物を、滅菌ミクロポアフィルターを介して濾過し、滅菌3mlガラスバイアル(タイプ1)中に密封する。
【0277】
(v)シロップ剤組成物
【0278】
【表14】

【0279】
安息香酸ナトリウムを、精製水の一部分に溶解させ、ソルビトール溶液を加える。活性成分を加え、溶解させる。得られた溶液を、グリセロールと混合後、精製水で必要な容量に調製する。
【0280】
(vi)坐剤組成物
【0281】
【表15】

【0282】
5分の1の Witepsol H15を、蒸気ジャケット付きパン中で最大45℃で溶融する。活性成分を、200lmシーブを介して篩い、そして溶融基剤に、カッティングヘッドを備えた Silverson を用いて平滑分散が得られるまで混合しながら加える。その混合物を45℃で維持し、残りの Witepsol H15をその懸濁液に加え、それを撹拌して確実に均一配合物とする。次に、その懸濁液全体を、250lmステンレス鋼製スクリーンを介して通過させ、連続撹拌しながら40℃に冷却させる。38〜40℃の温度で、2.02gアリコートのその混合物を、適切なプラスチック製の型に充填し、そして坐剤を室温に冷却させる。
【0283】
(vii)ペッサリー組成物
【0284】
【表16】

【0285】
上の成分を直接的に混合し、そして得られた混合物の圧縮によってペッサリーを製造する。
(viii)経皮組成物
【0286】
【表17】

【0287】
活性成分およびアルコールUSPを、ヒドロキシエチルセルロースとともにゲル化し、10cmの表面積を有する経皮デバイス中に包装する。
生物学的データ
本発明の化合物を、本明細書中に記載の放射性リガンド結合検定で調べ、次のような結合親和性を有することが判明した。
【0288】
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、Rは、H、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
Xは、−(CH−C(R)(R)−であり;
Yは、直接結合または−(CH−C(R)(R10)−であり;
、R、RおよびR10は、独立して、HまたはC−Cアルキルであり;または
およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、4〜8員ヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;または
10およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、4〜8員ヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;または
およびR10は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜8員炭素環を形成してもよく;
nは、0、1または2であり;
mは、0、1または2であり;
、R、RおよびRは、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、チオ、C−Cアルキルチオ、スルホンアミド、ペルフルオロ−C−Cアルキル、ペルフルオロ−C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、アミノ、(C−Cアルキルまたはジ−C−Cアルキル)アミノ、アミノカルボニル、(C−Cアルキルまたはジ−C−Cアルキル)アミノカルボニル、C−Cアシルアミノ、(N−C−Cアルキル)C−Cアシルアミノ、フェニルまたは単環式ヘテロアリールより選択され、ここにおいて、フェニルおよび単環式ヘテロアリールは、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル、C−Cアルコキシカルボニルまたはペルフルオロ−C−Cアルコキシで場合により置換されており;または
CR、CR、CRおよびCRのいずれか一つまたは二つは、窒素で置き換えられていてよく;または
およびR、またはRおよびR、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、縮合したC−Cシクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、フェニルまたは単環式ヘテロアリールを形成してもよく;または
およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、4〜8員ヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;または
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜8員炭素環またはヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;そして
は、ヒドロキシカルボニルもしくはカルボン酸バイオスターまたはそのプロドラッグである)
を有する化合物またはその薬学的に許容しうる塩の、失神発作、運動低下症、頭蓋障害、神経変性障害、うつ病、不安症、パニック、ニューロパシー性痛、睡眠障害および神経病理学的障害より選択される疾患の治癒的、待期的または予防的処置用の薬剤の製造のための使用。
【請求項2】
疾患がニューロパシー性痛である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
Yが直接結合である、請求項1または請求項2に記載の化合物の使用。
【請求項4】
がHであり、そしてRがH、メチルであり、またはRおよびRが、それらが結合している炭素と一緒になって、5員炭素環を形成し、またはRおよびRが、Rが結合している窒素と一緒になって、5員ヘテロシクロアルキル環を形成している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項5】
、R、RおよびRが、独立して、Hおよびハロゲンより選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項6】
が、ヒドロキシカルボニル、テトラゾールまたはオキサゾリジノンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項7】
式(II)
【化2】

(式中、RおよびRは、独立して、HまたはC−Cアルキルであり;そして
、R、RおよびRは、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノ、C−Cアルキルスルホニル、ペルフルオロ−C−Cアルキル、ペルフルオロ−C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキルおよび4〜8員ヘテロシクロアルキルより選択され;または
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜8員の炭素環またはヘテロシクロアルキル環を形成してもよい)
を有する化合物またはその薬学的に許容しうる塩の、失神発作、運動低下症、頭蓋障害、神経変性障害、うつ病、不安症、パニック、ニューロパシー性痛、睡眠障害および神経病理学的障害より選択される疾患の治癒的、待期的または予防的処置用の薬剤の製造のための使用。
【請求項8】
化合物が、
2−アミノメチル−5−クロロ安息香酸;
2−アミノメチル−4,5−ジクロロ安息香酸;
2−アミノメチル−3−ブロモ安息香酸;
2−アミノメチル−6−クロロ安息香酸;
2−(1−アミノエチル)−安息香酸;
2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−カルボン酸;および
3−(2−アミノメチル−5−クロロフェニル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン;または
それらの薬学的に許容しうる塩から成る群より選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
哺乳動物の失神発作、運動低下症、頭蓋障害、神経変性障害、うつ病、不安症、パニック、ニューロパシー性痛、睡眠障害および神経病理学的障害より選択される疾患を処置する方法であって、当該哺乳動物に式(I)の化合物を投与することを含む方法。
【請求項10】
疾患がニューロパシー性痛である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(A)式(III)
【化3】

(式中、PGは、Hまたは適切な保護基である)
を有するラクタムの開環;または
(B)式(IV)
【化4】

(式中、PGは適切な保護基である)
を有する化合物の、方法による脱保護
を含む、式(I)の化合物の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、Rは、H、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
Xは、−(CH−C(R)(R)−であり;
Yは、直接結合または−(CH−C(R)(R10)−であり;
、R、RおよびR10は、独立して、HまたはC−Cアルキルであり;または
およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、4〜8員ヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;または
10およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、4〜8員ヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;または
およびR10は、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜8員炭素環を形成してもよく;
nは、0、1または2であり;
mは、0、1または2であり;
、R、RおよびRは、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、チオ、C−Cアルキルチオ、スルホンアミド、ペルフルオロ−C−Cアルキル、ペルフルオロ−C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、アミノ、(C−Cアルキルまたはジ−C−Cアルキル)アミノ、アミノカルボニル、(C−Cアルキルまたはジ−C−Cアルキル)アミノカルボニル、C−Cアシルアミノ、(N−C−Cアルキル)C−Cアシルアミノ、フェニルまたは単環式ヘテロアリールより選択され、ここにおいて、フェニルおよび単環式ヘテロアリールは、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル、C−Cアルコキシカルボニルまたはペルフルオロ−C−Cアルコキシで場合により置換されており;または
CR、CR、CRおよびCRのいずれか一つまたは二つは、窒素で置き換えられていてよく;または
およびR、またはRおよびR、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、縮合したC−Cシクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、フェニルまたは単環式ヘテロアリールを形成してもよく;または
およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、4〜8員ヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;または
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜8員炭素環またはヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;そして
は、ヒドロキシカルボニルもしくはそのカルボン酸バイオスターまたはプロドラッグである)
を有する化合物またはその薬学的に許容しうる塩の、失神発作、運動低下症、頭蓋障害、神経変性障害、うつ病、不安症、パニック、ニューロパシー性痛、睡眠障害および神経病理学的障害より選択される疾患の治癒的、待期的または予防的処置用の薬剤の製造のための使用。
【請求項2】
疾患がニューロパシー性痛である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
Yが直接結合である、請求項1または請求項2に記載の化合物の使用。
【請求項4】
がHであり、そしてRがH、メチルであり、またはRおよびRが、それらが結合している炭素と一緒になって、5員炭素環を形成し、またはRおよびRが、Rが結合している窒素と一緒になって、5員ヘテロシクロアルキル環を形成している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項5】
、R、RおよびRが、独立して、Hおよびハロゲンより選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項6】
が、ヒドロキシカルボニル、テトラゾールまたはオキサゾリジノンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項7】
式(II)
【化2】

(式中、RおよびRは、独立して、HまたはC−Cアルキルであり;そして
、R、RおよびRは、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル、C−Cアルコキシカルボニル、シアノ、C−Cアルキルスルホニル、ペルフルオロ−C−Cアルキル、ペルフルオロ−C−Cアルコキシ、C−Cシクロアルキルおよび4〜8員ヘテロシクロアルキルより選択され;または
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、4〜8員の炭素環またはヘテロシクロアルキル環を形成してもよい)
を有する化合物またはその薬学的に許容しうる塩の、失神発作、運動低下症、頭蓋障害、神経変性障害、うつ病、不安症、パニック、ニューロパシー性痛、睡眠障害および神経病理学的障害より選択される疾患の治癒的、待期的または予防的処置用の薬剤の製造のための使用。
【請求項8】
化合物が、
2−アミノメチル−5−クロロ安息香酸;
2−アミノメチル−4,5−ジクロロ安息香酸;
2−アミノメチル−3−ブロモ安息香酸;
2−アミノメチル−6−クロロ安息香酸;
2−(1−アミノエチル)−安息香酸;
2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−カルボン酸;および
3−(2−アミノメチル−5−クロロフェニル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン;または
それらの薬学的に許容しうる塩から成る群より選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
哺乳動物の失神発作、運動低下症、頭蓋障害、神経変性障害、うつ病、不安症、パニック、ニューロパシー性痛、睡眠障害および神経病理学的障害より選択される疾患を処置する方法であって、当該哺乳動物に式(I)の化合物を投与することを含む方法。
【請求項10】
疾患がニューロパシー性痛である請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2006−507238(P2006−507238A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−527144(P2004−527144)
【出願日】平成15年7月29日(2003.7.29)
【国際出願番号】PCT/IB2003/003193
【国際公開番号】WO2004/014357
【国際公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】