説明

アリールカルバメートから誘導される化合物、製造法及び使用

本発明は、新規化合物、その製造及びその使用、特に治療上の使用に関する。より具体的には、本発明は、アリールカルバメートから誘導される化合物、その製造、及びその使用、特にヒト及び動物の健康の分野におけるそれらの使用に関する。本発明の化合物は、好ましくは、5−HT4セロトニン作動性受容体リガンドであり、それ故に、5−HT4受容体が関与するいかなる障害の治療的処置又は予防的処置においても使用することができる。本発明はまた、化合物を含有する医薬組成物、その製造及び使用、並びに上記化合物を用いる処置方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、その製造及びその使用、特に治療上の使用に関する。より具体的には、本発明は、アリールカルバメートから誘導される化合物、その製造及び使用特にヒト又は動物の健康の分野におけるその使用に関する。本発明の化合物は、好ましくは、5−HT4セロトニン作動性受容体リガンドであり、それ故に、5−HT4受容体が関与するいかなる障害の治療的処置又は予防的処置においても使用することができる。本発明は、上記化合物を含む医薬組成物、その製造及び使用、並びに上記化合物を用いる処置方法にも関する。
【0002】
現在まで、多くのセロトニン依存性過程が特定されており、セロトニン受容体に作用する多くの分子が、ヒトの治療に使用されている。1ダースを超えるセロトニン受容体が特定されていて、最も最近のものの1つは、5−HT4受容体である(J. Bockaert et al., Trends Pharmacol.Sci., 13, 141, 1992)。本発明は、一般式(I)で表されるアリールカルバメート及びそれらの薬理学的に許容されうる塩に関する。これらは、好ましくは、セロトニン依存性過程に干渉できる化合物であり、更に好ましくは、5−HT4受容体のリガンドであり、特に、ヒトの血清型のリガンドである。したがって、本発明は、5−HT4受容体が関与するいかなる障害をも治療又は予防する方法を提供する。本発明の化合物及び組成物は、種々の病理の予防的処置又は治療的処置のために有用なことを実証することができ、種々の病態としては例えば:
【0003】
−種々の胃腸障害、例えば、胃食道逆流症(GERD)、過敏性腸管症候群、機能性消化不良、胃不全麻痺、胃腸の運動性に関連する障害、嘔気、及び便秘、
−心臓障害、例えば、心房性細動、不整脈及び頻脈、
−泌尿器障害、例えば、残尿感、尿失禁、
−中枢神経系障害、例えば、特に、不安、精神分裂病、強迫性挙動(多食症又は食欲不振のような)、うつ病、記憶障害及び痴呆、
−偏頭痛及び痛み、
などである
【0004】
本発明の第1の目的は、一般式(I):
【0005】
【化13】

【0006】
〔式中:
1は、低級アルキル、アリール、ハロゲノアルキル又は低級アリールアルキル基を表し、
2は、水素原子又は低級アルキル基を表し、
Aは、アリール又はヘテロ環基を表し、当該基は、R3以外の置換基により置換されていることもあり、
3は、以下の基:
【0007】
【化14】

【0008】
、NR6COR13、及び−(NR6n'−CONR713の中から選択される基を表し、
基R7〜R12は、同じか又は異なり、水素原子、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、低級アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノアルキル基、アルキル−COOR17基を表し、
基R7〜R12は2つずつを使い、、それらを支持する直鎖と一緒になって、更に少なくとも1つの飽和又は不飽和の環、例えば、特に、シクロアルキル、シクロアルキレン、ヘテロ環を形成することができ、
基R10〜R12はまた、−COOR17基を表し、
13は、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルキルカルボキシ基、アルキル−COOR17基、アルコキシアルキル基、イミダゾピリジニルアルキル基、トリフルオロアルキル基又はヘテロアリールチオアルキル基を表すが、Aがフェニルを表し、R2が水素原子を表し、G及びJがCH基を表し、R3がNR6COR13又は−(NR6n'−CONR713(R6及び/又はR7は水素原子を表す)を表す場合は、R13はメチル基又はエチル基を表すことができないと解され、
nは1又は2であり、n’は0又は1であり、m、p、q、r、s及びtは0〜2の整数であり、r、s及びtは同時に0ではなく、
Yは、2〜5個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖のアルキレン鎖を表し、
Jは、C−R14基又は窒素原子を表し、
Gは、C−R15基又は窒素原子を表し、
6、R16及びR17は、同じか又は異なり、水素原子又は低級アルキル基を表し、
4、R5、R14及びR15は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルスルホキシド、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基を表し、
あるいは、G又はJが窒素原子ではない場合、基OR1とR14、及び/又は基R14とR5、及び/又は基R15とR5、及び/又は基R15とR4は、それらが結合している芳香族環と一緒になって、飽和又は不飽和の環を形成することができ、
前記の、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロ環、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルアミノアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ及びアルキルカルボキシ基、並びに前記の環は、置換されているか又は置換されていない〕
で表される化合物及びその塩、光学異性体及び幾何学異性体、又はそれらの混合物を中核としている。
【0009】
本発明によれば、用語「アルキル」は、より具体的には、直鎖又は分枝鎖の、好ましくは飽和の、1〜24個の炭素原子を有する炭化水素を示す。本発明によれば、用語「低級アルキル」は、より具体的には、直鎖又は分枝鎖の、好ましくは飽和の、1〜12個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する炭化水素を示し、例えば、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル又はドデシルを示す。これらが分枝鎖である場合、アルキル基は、特に、2−エチルヘキシル、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、1−メチルヘキシル及び3−メチルヘプチル基からなる群において選択することができる。C1〜C4基が好ましい。メチル及びエチル基がとりわけ好ましい。
【0010】
本発明によれば、用語「ハロゲノアルキル」は、少なくとも1つのハロゲン原子、好ましくはフッ素で置換されている、本明細書中で上に定義されたようなアルキル基を示す。本発明の特定の態様によれば、R1は、ペルハロゲノアルキル基、好ましくはペルフルオロアルキル、例えばトリフルオロメチルを表す。
【0011】
本発明によれば、「アルキレン」基は、水素原子が除かれた、本明細書中で上に定義されたアルキル基に対応する二価の基である。
【0012】
シクロアルキル又はシクロアルキレン基は、環を形成する、本明細書中で上に定義されたようなアルキル又はアルキレン基である。
【0013】
「アリール」基は、6〜18個の炭素原子を含有する、一般的に5又は6員環を有する、単環式、二環式又は三環式の芳香族炭化水素系である。フェニル又はナフチル基が、具体的な例である。ヘテロアリール基は、環中に少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、特に窒素、硫黄又は酸素)を含有する芳香族炭化水素系である。
【0014】
ヘテロ環との用語は、環中に少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、特に、窒素、硫黄又は酸素)を含有する、単環式、二環式又は三環式の芳香族炭化水素系を示す。これらのヘテロ環は、環中に少なくとも1つの不飽和結合を有することができることもある。これらのヘテロ環は、芳香族であってもそうでなくてもよい。ヘテロ環の特別な例は、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ホモピペラジン、ホモピペリジン、チオモルホリン、テトラヒドロピリジン、チオフェン、フラン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン及びピラジン基である。
【0015】
「アルコキシ」基は、−O−(エーテル)結合により分子の残基に結合される、本明細書中で上に定義されたアルキル基に対応する。
【0016】
アルキル−COOR17基は、アルキル鎖の末端にCOOR17基を含有する、アルキル基、好ましくは低級アルキルに対応する。
【0017】
「アルキルチオ」基は、−S−(チオエーテル)結合により分子の残基に結合される、本明細書中で上に定義されたアルキル基に対応する。
【0018】
「アルキルスルホニル」基は、SO2基により分子の残基に結合される、本明細書中で上に定義されたアルキル基に対応する。
【0019】
「アルキルスルホキシド」基は、SO基により分子の残基に結合される、本明細書中で上に定義されたアルキル基に対応する。
【0020】
「アルキルアミノ」又は「ジアルキルアミノ」基は、窒素原子又はアミン基により分子の残基に結合される、本明細書中で上に定義された1つのアルキル基又は2つのアルキル基に対応する。アルキルアミノアルキル基は、アミン基によって中断されているアルキル基に対応する。
【0021】
「イミダゾピリジニルアルキル」基は、本明細書中で上に定義されたようなアルキル基により分子の残基に結合される、イミダゾピリジン基に対応する。
【0022】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を示す。
【0023】
「ヘテロ原子」は、O、N、及びSからなる群において選択される原子を示す。
【0024】
アリールアルキル(ヘテロアリールアルキル及びヘテロシクロアルキル)基は、アルキレン鎖により分子の残基に結合される、本明細書中で上に定義されたような、アリール官能基(それぞれヘテロアリール及びヘテロ環)を含む基である。ベンジル及びフェネチル基は、アリールアルキル基が具体的な例である。
【0025】
「飽和又は不飽和の環」は、芳香族又は芳香族ではない環状炭化水素系を意味し、環中にへテロ原子及び/又は不飽和結合を含有することもあると解される。それ故に、これらの飽和又は不飽和の環としては、本明細書中に上で定義されたような、特に、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環又はシクロアルキル基が挙げられる。飽和又は不飽和の環の具体的な例としては、シクロアルキル、シクロアルキレン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ホモピペラジン、ホモピペリジン、チオモルホリン、及びテトラヒドロピリジン基が挙げられる。
【0026】
基OR1とR14、及び/又は基R5とR14、及び/又は基R5とR15、及び/又は基R15とR4は、それらが結合している芳香族環と一緒になって、飽和又は不飽和の環を形成するときは、好ましくは、芳香族であるか、又は芳香族ではなく、1個又はそれ以上、好ましくは0〜3個のヘテロ原子を含有することもある、3〜8個の原子を含む環であるのが好ましい。上記の環の好ましい例は、特に、ベンゾフラン、ジヒドロベンゾフラン、ベンゾジオキサン、ベンゾピラン、ジヒドロベンゾピラン、ベンゾジオキソールである。
【0027】
更に、これまでに示したように、本明細書中で上に注記された種々の基は、例えば、ハロゲン、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシ、(C1〜C6)−アルコキシカルボニル、モノ−若しくはジ−(C1〜C6)−アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニル、モノ−若しくはジ−(C6〜C12)−アリール−又はヘテロ−(C2〜C12)−アリールアミノカルボニル、モノ−若しくはジ−(C2〜C12)−アリール−又はヘテロ−(C2〜C12)−アリール−(C1〜C6)−アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、(C1〜C6)−アルキル、(C1〜C6)−アルキルアミノ、そして場合により、(C1〜C6)−アルキル、(C3〜C8)−シクロアルキル、(C2〜C12)−アリール、ヘテロ−(C2〜C12)−アリール、(C6〜C12)−アリール−(C1〜C6)−アルキル、ヘテロ−(C2〜C12)−アリール−(C1〜C6)−アルキル、(C1〜C7)−アルカノイル、シクロ−(C3〜C8)−アルカノイル、(C6〜C12)−アロイル、又は(C6〜C12)−アリール−(C1〜C7)−アルカノイルからなる群において選択される1つ又はそれ以上の基により置換されていることもあるアミノ、からなる群において選択される、1つ又はそれ以上の置換基を含有してもしなくてもよい。
【0028】
本発明の好ましい化合物は、以下に特定される条件の少なくとも1つ、好ましくは全てを満たす、本明細書中の上記の式(I)で表される化合物である:
Aは、フェニル、ピリミジン、ピリダジン又はピラジンを表し、かつ/あるいは
R1は、メチル又はエチル基を表し、かつ/あるいは
n=1、かつ/あるいは
n’=1、かつ/あるいは
Yは、2又は3個の炭素原子を有する、好ましくは直鎖のアルキレン鎖であり、かつ/あるいは
2は水素原子であり、かつ/あるいは
3は以下の基:
【0029】
【化15】

【0030】
の中から選択される基を表し、
4は水素原子であり、かつ/あるいは
6は水素原子であり、かつ/あるいは
GはCH基であり、かつ/あるいは
JはCH基である。
【0031】
本発明の他の好ましい化合物は、以下に特定される条件の少なくとも1つ、好ましくは全てを満たす、本明細書中の上記の式(I)で表される化合物である:
Aは、フェニル、ピリミジン、ピリダジン又はピラジンを表し、かつ/あるいは
R1は、メチル又はエチル基を表し、かつ/あるいは
n=1、かつ/あるいは
n’=0、かつ/あるいは
Yは、2又は3個の炭素原子を有する、好ましくは直鎖のアルキレン鎖であり、かつ/あるいは
2は水素原子であり、かつ/あるいは
3は以下の基:
【0032】
【化16】

【0033】
の中から選択される基を表し、
4は水素原子であり、かつ/あるいは
GはCH基であり、かつ/あるいは
JはCH基である。
【0034】
本発明の他の好ましい化合物は、以下に特定される条件の少なくとも1つ、好ましくは全てを満たす、本明細書中の上記の式(I)で表される化合物である:
Aは、フェニル、ピリミジン、ピリダジン又はピラジンを表し、かつ/あるいは
R1は、低級アルキル基、好ましくはメチル又はエチル基を表し、かつ/あるいは
n=1、及び/又は
Yは、2又は3個の炭素原子を有する、好ましくは直鎖のアルキレン鎖であり、かつ/あるいは
2は水素原子であり、かつ/あるいは
4は水素原子であり、かつ/あるいは
5は水素原子であり、かつ/あるいは
GはCH基であり、かつ/あるいは
JはCH基であり、かつ/あるいは
3は以下の基:
【0035】
【化17】

【0036】
の中から選択される基を表し、
ここで、R6は、水素原子又は低級アルキル基(特にメチル)であり、rは0、1又は2(特に1又は2)を表す。
【0037】
本発明の他の好ましい化合物は、以下に特定される条件の少なくとも1つ、好ましくは全てを満たす、本明細書中の上記の式(I)で表される化合物である:
Aは、フェニル、ピリミジン、ピリダジン又はピラジンを表し、かつ/あるいは
R1は、低級アルキル基、特にメチル又はエチル基を表し、かつ/あるいは
n=1、及び/又は
Yは、2又は3個の炭素原子を有する、好ましくは直鎖のアルキレン鎖であり、かつ/あるいは
2は水素原子であり、かつ/あるいは
4は水素原子であり、かつ/あるいは
5は水素原子であり、かつ/あるいは
GはCH基であり、かつ/あるいは
JはCH基であり、かつ/あるいは
3は以下の基:
【0038】
【化18】

【0039】
の中から選択される基を表し、
ここで、R6は、水素原子又は低級アルキル基(特にメチル)であり、R7は、水素原子又は低級アルキル基(特にメチル)であり、mは0〜2(特に0又は1)の整数である。
【0040】
本発明の他の好ましい化合物は、以下に特定される条件の少なくとも1つ、好ましくは全てを満たす、本明細書中の上記の式(I)で表される化合物である:
Aは、フェニル、ピリミジン、ピリダジン又はピラジンを表し、かつ/あるいは
R1は、低級アルキル基、特にメチル又はエチル基を表し、かつ/あるいは
n=1、かつ/あるいは
Yは、2又は3個の炭素原子を有する、好ましくは直鎖のアルキレン鎖であり、かつ/あるいは
2は水素原子であり、かつ/あるいは
4は水素原子であり、かつ/あるいは
5は水素原子であり、かつ/あるいは
GはCH基であり、かつ/あるいは
はCH基であり、かつ/あるいは
3は以下の基:
【0041】
【化19】

【0042】
の中から選択される基を表し、
ここで、R7は、水素原子又は低級アルキル基(特にメチル)であり、mは1又は2を表す。
【0043】
本発明の好ましい下位系列は、R1が低級アルキル基、特にメチル又はエチルを表す式(I)を有する化合物により表される。実施例において示されるように、本発明の上記誘導体は、5−HT4受容体リガンドとして有利な性質を示す。
【0044】
本発明の化合物の別の特定の範ちゅうは、Aが、1若しくは2個の窒素原子を含有する6原子のヘテロ環であり、置換されていることもある、又はフェニル基であり、置換されていることもある、一般式(I)を有する化合物により表される。
【0045】
特に好ましい実施態様によれば、本発明は、Yが2又は3炭素のアルキレン鎖であり、R1がメチル又はエチル基を表し、Aが置換されているか又は置換されていないフェニル基を表す、式(I)を有する化合物を扱う。
【0046】
本発明の化合物の別の特に好ましい範ちゅうは、R3が、−NR6−COR13又は−(NR6n'−CONR713基を表し、ここで、R13は、シクロアルキル基、ヘテロ環、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルカルボキシ基、シクロアルキルカルボキシ基、アルキル−COOR17基、イミダゾピリジニルアルキル基、トリフルオロアルキル基又はヘテロアリールチオアルキル基を表す、式(I)の化合物により表される。
【0047】
本発明の特定の系列は、本明細書中で上に定義されたような一般式(I)を有する化合物及び本明細書中で上に示された下位系列により表され、ここで、R2は水素原子であり、かつ/又はR4は水素原子であり、かつ/又はR14は水素原子であり、かつ/又はR15は水素原子であり、更に好ましくは、基R2、R4、R14及びR15のうち少なくとも2つは水素原子であり、更に好ましくは、4つの基R2、R4、R14及びR15が、それぞれ水素原子を表す。
【0048】
本発明の別の特定の系列は、GがCH基であり、かつ/又はJがCH基であり、更に好ましくは、G及びJがそれぞれCH基を表す、本明細書中で上に定義されたような一般式(I)を有する化合物及び本明細書中で上に示された下位系列により表される。
【0049】
本発明の別の特別な系列は、nが1に等しい、本明細書中で上に定義されたような一般式(I)を有する化合物及び本明細書中で上に示された下位系列により表される。
【0050】
本発明の特定の系列は、Yが2又は3炭素原子を有する、好ましくは分枝していないアルキレン鎖である、本明細書中で上に定義されたような一般式(I)を有する化合物及び本明細書中で上に示された下位系列により表される。
【0051】
本発明の化合物の別の特定の系列は、R4、R5、R14及びR15が水素原子を表す、本明細書中で上に定義されたような一般式(I)を有する化合物により表される。
【0052】
本発明の化合物の特定の範ちゅうは、R4、R5、R14及びR15の少なくとも1つが水素原子とは異なる、本明細書中で上に定義されたような一般式(I)を有する化合物により表される。特に、R4、R5、R14及びR15のうち少なくとも1つは、アルコキシ基(特にメトキシ)、NO2、アルキル(特にメチル)又はハロゲン原子(特に塩素又はフッ素)を表し、他のR4、R5、R14及びR15は、有利には水素原子を表す。
【0053】
記載したように、本発明の化合物は、塩、特に塩基付加塩又は酸付加塩、好ましくは薬学的使用に適合した塩の形態であることができる。
【0054】
薬学的に許容されうる酸の中で、非限定的な例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ショウノウ酸等が挙げられる。薬学的に許容されうる塩基の中で、非限定的な例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン及びtert−ブチルアミンが挙げられる。
【0055】
本発明の好ましい化合物の具体的な例は、特に実施例に記載されている化合物であり、更に具体的には、実施例9〜67、72〜102、104〜106及び112〜119の化合物であり、並びにそれらの塩であり、そして、特に、以下の化合物である:
【0056】
【化20】

【0057】
2−(4−{3−[3−(1−エチル−ピロリジン−2−イルメチル)−ウレイド]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、57
【0058】
【化21】

【0059】
2−(4−{3−[(1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、21
【0060】
【化22】

【0061】
2−{4−[3−(3−アミノ−プロピオニルアミノ)−フェニル]−ピペラジン−1−イル}−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、42
【0062】
【化23】

【0063】
2−(4−{3−[2−アミノ−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオニルアミノ]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、44
【0064】
【化24】

【0065】
2−[4−(3−{3−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロピル]−ウレイド}−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、60
【0066】
【化25】

【0067】
2−(4−{3−[(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、59
【0068】
【化26】

【0069】
2−(4−{3−[2−ピペリジン−1−イル−エチルカルバモイル]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、78
【0070】
【化27】

【0071】
2−(4−{3−[(2−ジメチルアミノ−エチル)−メチル−カルバモイル]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、105。
【0072】
式(I)で表される化合物は、当業者に公知の方法により製造することができる。これに関して、本発明は、異なる合成経路を記載(図1〜4及び実施例に記載されている)してあり、実施例に記載されるようにして、当業者により実施することができる。出発化合物は市販されているか、又は通常の方法により合成することができる。本出願は、特定の合成経路に限定されず、示された化合物の製造が可能な他の方法を包含すると解される。
【0073】
特定の目的によれば、本発明は、式(II)で表される生成物と、式(III):
【0074】
【化28】

【0075】
〔式中、基R1、R2、R3、R4、R5、A、Y、J、G及びnは本明細書で上に定義されたとおりである〕
で表される生成物とを、カルボニル供与試薬、好ましくは、トリホスゲン又は(Boc)2O/DMAP系の存在下で反応させて、得られる生成物を回収することを特徴とする、本明細書中で上に定義されたような化合物を製造するための方法に基づく。本反応は、有利には溶媒中、例えば、中性溶媒中、代表的には非プロトン性溶媒中で行われる(図1参照)。
【0076】
特定の目的によれば、本発明は、式(IV)で表される生成物と、式(III):
【0077】
【化29】

【0078】
〔式中、基R1、R2、R3、R4、R5、A、Y、J、G及びnは本明細書中で上に定義されたとおりである〕
で表される生成物とを反応させることを特徴とする、本明細書中で上に定義されたような化合物を製造するための方法に基づく。本反応は、有利には溶媒中、例えば、中性溶媒中、代表的には非プロトン性溶媒中で行われる(図2参照)。
【0079】
本発明の別の特定の目的は、式(V)で表される生成物と、式(VI)〔基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、A、Y、J、G、R8〜R12、R16及びn、m、p、qは本明細書中で上に定義されたとおりである〕で表される生成物とを、カルボニル供与試薬、好ましくはトリホスゲン又はカルボニルジイミダゾールの存在下で反応させることを特徴とする、本明細書中で上に定義されたような化合物を製造するための方法に基づく。本反応は、有利には溶媒中、例えば、中性溶媒中、代表的には非プロトン性溶媒中で行われる(図3参照)。
【0080】
【化30】

【0081】
本発明の別の特定の目的は、式(V)で表される生成物を、式(VII)〔式中、基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R13、A、Y、J、G及びnは本明細書中で上に定義されたとおりである〕で表される生成物とを、カルボニル供与試薬、好ましくはトリホスゲン又はカルボニルジイミダゾールの存在下で反応させることを特徴とする、本明細書中で上に定義されたような化合物を製造するための方法に基づく。本反応は、有利には溶媒中、例えば、中性溶媒中、代表的には非プロトン性溶媒中で行われる(図3参照)。
【0082】
【化31】

【0083】
本発明の別の特定の目的は、式(V)で表される化合物を、式(VIII)〔式中、基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、A、Y、J、G、R8〜R12、R16、n、r、s及びtは本明細書中で上に定義されるとおりである〕で表される生成物とを、古典的なカップリング剤、例えば、DCC(固体担体に担持)、EDCI、PS−カルボジイミド樹脂の存在下で反応させることを特徴とする、本明細書中で上に定義されたような化合物を製造するための方法に基づく。本反応は、有利には溶媒中、例えば、中性溶媒中、代表的には非プロトン性溶媒中で行われる(図4参照)。
【0084】
【化32】

【0085】
本発明の別の特定の目的は、式(V)で表される生成物を、式(IX)〔式中、基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R13、A、Y、J、G及びnは本明細書中で上に定義されたとおりである〕で表される生成物とを、カップリング剤、例えば、DCC、EDCI、PS−カルボジイミド樹脂の存在下で反応させることを特徴とする、本明細書中で上に定義されたような化合物を製造するための方法に基づく。本反応は、有利には溶媒中、例えば、中性溶媒中、代表的には非プロトン性溶媒中で行われる(図4参照)。
【0086】
【化33】

【0087】
本発明の別の特定の目的は、式(X)で表される生成物を、式(VI)〔R1、R2、R3、R4、R5、R7、A、Y、J、G、R8〜R12及びn、m、p、qは本明細書中で上に定義されたとおりである〕で表される生成物とを、カップリング剤、例えば、DCC、EDCI、PS−カルボジイミド樹脂の存在下で反応させることを特徴とする、本明細書中で上に定義されたような化合物を製造するための方法に基づく。本反応は、有利には溶媒中、例えば、中性溶媒中、代表的には非プロトン性溶媒中で行われる(図5参照)。
【0088】
【化34】

【0089】
本発明の別の特定の目的は、式(X)で表される生成物を、式(VII)〔R1、R2、R3、R4、R5、R7、R13、A、Y、J、G及びnは本明細書中で上に定義されたとおりである〕で表される生成物とを、カップリング剤、例えば、DCC、EDCI、PS−カルボジイミド樹脂の存在下で反応させることを特徴とする、本明細書中で上に定義されたような化合物を製造するための方法に基づく。本反応は、有利には溶媒中、例えば、中性溶媒中、代表的には非プロトン性溶媒中で行われる(図5参照)。
【0090】
【化35】

【0091】
本発明の別の目的は、本発明の化合物を製造するために有用な中間体生成物に関する。上記中間体生成物は、より具体的には、エチル 3−{4−[2−(2−エトキシ−フェニルカルバモイルオキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−ベンゾエート、ナトリウム 3−{4−[2−(2−エトキシ−フェニルカルバモイルオキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−ベンゾエート及びそれらの付加塩の1つからなる群において選択される。
【0092】
本発明の別の目的は、本明細書中で上に定義されたような化合物を含むあらゆる医薬組成物に関する。該目的は、有利には、5−HT4受容体、例えば、5−HT4e受容体が関与する疾病を治療又は予防するための医薬組成物である。本発明の医薬組成物は、胃腸の障害、中枢神経系障害、心臓疾病、泌尿器障害、強迫性挙動、偏頭痛あるいは痛みを治療又は予防するのに特に有用である。
【0093】
本発明は更に、ヒト又は動物の身体における治療又は予防の方法を実践するための医薬組成物を製造するための、本明細書中で上に定義されたような化合物の使用に関する。
【0094】
本発明は更に、本明細書中で上に定義された化合物又は医薬組成物の有効量を被験体、特にヒトに投与することを含む、5−HT4受容体が関与する病理を処置するための方法に関する。
【0095】
本発明の医薬組成物は、有利には、1つ又はそれ以上の薬学的に許容されうる賦形剤若しくはビヒクルを含む。例としては、薬学的使用に適合性し、当業者に公知の、生理食塩水、生理的溶液、等張性溶液、緩衝液等が挙げられる。本組成物は、分散剤、可溶化剤、安定化剤、防腐剤などからなる群において選択される1つ又はそれ以上の薬剤若しくはビヒクルを含有してもよい。製剤(液体及び/又は注射可能物及び/又は固体)において使用可能な薬剤又はビヒクルは、特に、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリソルベート80、マンニトール、ゼラチン、ラクトース、植物油、アラビアゴム等である。本組成物は、注射用懸濁液、ゲル、オイル、錠剤、坐剤、散剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤(gelule)等として製剤することができ、場合により、徐放性及び/又は遅放性を有する製剤形態若しくは器具を用いることができることもある。この種の製剤のためには、セルロース、カーボネート又はデンプンのような薬剤を使用するのが有利である。
【0096】
本発明の化合物又は組成物は、異なる様式及び異なる形態で投与することができる。例えば、本発明の化合物又は組成物は、経口経路又は全身的経路、好ましくは全身的経路、例えば、静脈内、筋内、皮下、経皮、動脈内等の経路により投与することができる。注射のためには、該化合物は、一般的に液体懸濁液として製剤され、例えば、シリンジからか、又は輸液により注入することができる。注入速度及び/又は注入用量は、患者、病理、投与方法等に従って、当業者が適合させることができると解される。代表的には、該化合物は、0.1μg〜100mg/体重kg、より一般的には0.01〜10mg/kg、代表的には0.1〜10mg/kgの範囲の用量で投与する。更に、適切な場合、反復注入を施すこともできる。その上、本発明の組成物は、他の活性成分又は薬剤を更に含んでもよい。
【0097】
本発明の他の態様及び利点は、以下の実施例において明らかになるが、これらの実施例は、例示の目的のためであり、限定のために示されているのではない。
【0098】
材料及び方法
本発明の化合物は、並行合成及び有機合成の通常の方法を用いて得た。
1H及び13CNMRスペクトルは、Brucker分光計AC−200型で記録した。化学シフトは、内部基準としてテトラメチルシランを用い、ppmで示した。記号m、s、sl、d、t、q、quint.、dd、td等は、それぞれ、多重線、一重線、幅広の一重線、二重線、三重線、四重線、五重線、分裂二重線、分裂三重線を表す。赤外線スペクトルは、Perkin Elmer841型(KBr錠剤)又はBrucker Vector 22 フーリエ変換装置で記録した。
融点は、Kofler装置で決定した。
分取HPLCによる精製は、Uptisphere UP5ODS&10US C18カラム(100×28mm)を取り付けたVWR-Knauerシステムで、波長220nm(流量:4分間に15〜50mL/分の勾配、次いで50mL/分の一定;溶媒A=水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸 95/5/0.05、溶媒B=アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸 80/20/0.05)で行なった。
HPLCクロマトグラムは、Uptisphere UP50DB-5m C18カラム(4.6×50mm)を取り付けたShimadzu SCL10Aシステムで、流量4mL/分、波長220nmで記録した。
HPLC/MS分析は、APCIイオン化源(カラムTSKゲルスーパーODS4.6mm ID×5cm、流量2.75mL/分、勾配:3分間で100%A〜100%B、100% Bで1分間のプラトー、溶媒A=水/0.05%トリフルオロ酢酸、溶媒B=アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸 80/20/0.05)を用いて、PlateformのLC Micromass分光計で行なった。
別途指定されない限り、式(I)で表される化合物を調製するために使用した生成物は、市販で得られ、更に精製することなく使用した。以下の実験記録は、決して限定するためではなく、例示の目的のために示される。
【0099】
実施例1:1−(3−ニトロフェニル)ピペラジン
ピペラジン28.4g(0.33mol、5.5当量)をDMSO50mLに溶解し、次いで、3−フルオロニトロベンゼン6.4mL(60mmol)を添加した。混合物を100℃で60時間加熱した。冷却後、反応媒体を水530mLに注いだ。得られた沈殿をろ過し、ろ液をEt2Oで抽出した。MgSO4で乾燥させ、減圧濃縮した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2/MeOH9:1)で精製し、期待していた化合物8.04gを橙色の油状物の形態で得、これを室温で結晶化した(収率:65%)。
【0100】
【表1】

【0101】
実施例2:2−ブロモエチル−N−(2−エトキシフェニル)カルバメート
アルゴン雰囲気下に置いた50mL二ッ口フラスコ内で、(Boc)2O 1.5g(7mmol、1.4当量)を、無水のCH2Cl25mLに溶解し、その後に、無水のCH2Cl25mLに溶解したDMAP61mg(0.5mol、10%当量)を、続いて2−エトキシアニリン0.65mL(5mmol)を滴下した。無水のCH2Cl25mLで希釈した2−ブロモエタノール0.5mL(7mmol、1.4当量)を添加する前に、混合物を室温で20分間攪拌した。反応を室温で30分間放置し、次いでジクロロメタン還流下に約15分間置いた。次いで、媒体を冷却し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2)により精製し、無色の油状物1.43gを得た(収率:99%)。
【0102】
【表2】

【0103】
実施例3:2−[4−(3−ニトロフェニル)ピペラジノ]エチル−N−(2−エトキシフェニル)カルバメート
実施例2の化合物0.47g(1.62mmol)、DIEA2.282μL(1.62mmol、1当量)、実施例1の化合物0.42g(1.46mmol、0.9当量)及びDMF5mL中の少量のKI結晶を反応させ、カラムクロマトグラフィー(溶離液:EtOAc/石油エーテル、8:2)による精製処理し、混合物を得て、それを再度カラムクロマトグラフィー(溶離液:CH2Cl2、次いでCH2Cl2:MeOH 9:1)により精製処理すると油状物を生じた。生成物は、橙色の油状物の塩酸塩として保管した。反応により、橙色の固体384mgを得た(収率:58%)。
【0104】
【表3】

【0105】
元素分析:
【表4】

【0106】
実施例4:2−[4−(3−アミノフェニル)ピペラジノ]エチル−N−(2−エトキシフェニル)カルバメート
実施例3の化合物1.08g(2.60mmol)をメタノール40mLに溶解した。ラネーニッケルをスパテュラ1杯添加し、混合物を水素雰囲気下に置き、室温で攪拌した。反応の進行をTLC(移動相:EtOAc/石油エーテル 8:2)で監視した。30分後、反応媒体の色が消えた。次いで、混合物をセライトでろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物をエーテル中にとり、1M HCl水溶液で抽出した。次いで、K2CO3を添加して、抽出した水相をアルカリ性のpHに調整し、次いで、EtOAcで抽出した。Na2SO4で乾燥させ、有機相を蒸発させた後、純粋な黄色の固体0.8gを得た(収率:80%)。
【0107】
【表5】

【0108】
元素分析:
【表6】

【0109】
実施例5:2−アミノ−6−クロロピラジン
水120mL、28%アンモニア水溶液20.8mL(0.31mol、4.6当量)及び2,6−ジクロロピラジン10g(0.067mol、1当量)を、オートクレーブ反応器に連続して添加した。オートクレーブを密閉し、混合物を140℃で3時間加熱し、次いで、室温で60時間放置した。混合物をろ過し、沈殿物を水で洗浄し、次いで、減圧乾燥させた。反応により、微粉末5.4gを得た(収率:63%)。
【0110】
【表7】


HPLC:t=1.07分
MS:130(MH
HPLC純度:100%
【0111】
実施例6:1−(6−クロロ−ピラジン−2−イル)−3−エチル−ウレア
窒素雰囲気中0℃で、実施例5の化合物5.5g(42.5mmol、1当量)をテトラヒドロフラン40mLに入れ、次いで、水素化ナトリウムの鉱油中60%懸濁液1.79g(46.7mmol、1.1当量)を少しずつ増やしながら添加した。混合物を攪拌し、水素の発生がなくなるまで、温度を30℃に保持した。室温まで冷却した後、イソシアン酸エチル5.1mL(63.8mmol、1.5当量)のテトラヒドロフラン10mL溶液を滴下した。混合物を室温で16時間攪拌し、次いで、減圧下で蒸発させた。残渣を水/酢酸エチル混合物に取り、1時間粉砕し、ろ過した。沈殿を酢酸エチルで洗浄した。反応により、褐色の固体7.9gを得た(収率:93%)。
【0112】
【表8】


HPLC:t=1.43分
MS:201(MH)HPLC純度:100%
【0113】
実施例7:1−エチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピラジニル−6’−イル]−ウレア
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン624μL(5mmol、1当量)及び炭酸ナトリウム422mg(4mmol、0.8当量)を、実施例6の化合物1g(5mmol、1当量)のn−ブタノール25mL中の懸濁液に添加した。混合物を36時間還流させ、フリットフィルターでろ過した。ろ液を減圧濃縮した。残渣をシリカクロマトグラフィーカラム(溶離液:CH2Cl2/MeOH 9:1)にかけ、油状物0.32gを得て、これは空気中で結晶化した。(収率:22%)。
【0114】
【表9】


HPLC:t=0.95分
MS:295(MH
【0115】
実施例8:(2−エトキシ−フェニル)−カルバミン酸 2−[6’−(3−エチル−ウレイド)−2,3,5,6−テトラヒドロ−[1,2’]ビピラジニル−4−イル]−エチルエステル
2−エトキシフェニルイソシアネート318μL(2.1mmol、2当量)を、実施例7の化合物310mg(1.05mmol、1当量)のテトラヒドロフラン5mL溶液に添加した。混合物を17時間還流させ、次いで、減圧濃縮した。残渣をシリカクロマトグラフィーカラム(溶離液:CH2Cl295/MeOH5+0.5%NH4OH)にかけ、白色の固体0.31gを得た(収率:65%)。
【0116】
【表10】


HPLC:t=1.40分
Ms:458(MH
HPLC純度:100%
【0117】
実施例9〜46:実施例4から誘導されるアミド類
ヒドロキシアザベンゾトリアゾール溶液0.33mL(153mM DCM{25%DMF}、0.05mmol)中のPS−カルボジイミド(Argonaut、0.96mmol/g、74mg、0.071mmol)の懸濁液に、実施例4の化合物の溶液0.5mL(60mM DCM{20% DMF}、0.03mmol)及びカルボン酸溶液0.5mL(66mM DCM{20% DMF}、0.033mmol)を添加した。室温で24時間後、反応混合物をPS−トリスアミン樹脂(Argonaut、3.65mmol/g、65mg、0.24mmol)で一晩中処理した。ろ過した溶液を濃縮して乾固した後、化合物を得た。また、実施例26の化合物を逆相HPLC(CH3CN/H2O/TFA:5/95/0.05〜CH3CN/H2O/TFA:80/20/0.05の勾配)により精製した。保護されたN−t−ブチルオキシカルボニル(NHBoc)カルボン酸(実施例42〜46)について、DCM/TFA溶液(1:1)1mLを用いて室温で2時間加水分解し、カチオン交換樹脂(SCX)で精製した後、これらの化合物を得た。
【0118】
【表11】





【0119】
実施例47〜67:実施例4から誘導されたウレア類
DCM3mL中の、実施例4(0.45g、1.17mmol)及びTEA(489μL、3.51mmol)の混合物を、トリホスゲン(0.128g、0.43mmol)のDCM3.3mL溶液に0℃で滴下した。混合物を1時間放置して室温に戻し、次いで、上記混合物0.2をアミン溶液(60mM、0.06mmol)に添加した。反応混合物を室温で一晩中放置し、次いで、PS−イソシアネート(Argonaut、1.44mmol/g、0.12mmol)0.125gを用いて一晩中処理し、カチオン交換樹脂(SCX)で精製した。
更に、いくつかの化合物を、シリカで、実施例48、49、51及び53については溶離液A(EtOAc/DCM 80:20)、そして実施例54〜61については溶離液B(EtOAc、次いでEtOAc/MeOH 1:1)を用いて精製し、あるいは実施例62〜67については逆相HPLC(CH3CN/H2O/TFA:5/95/0.05〜CH3CN/H2O/TFA:80/20/0.05の勾配)により精製した。
【0120】
【表12】



【0121】
実施例68:3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン−1−イル]−ベンゾニトリル
2−(ピペラジン−1−イル)エタノール104g(0.80mol、5.5当量)をDMSO140mLに溶解し、次いで、3−フルオロベンゾニトリル15.8mL(0.146mol)を添加した。混合物を100℃で90時間加熱した。冷却後、反応混合物を水1.5Lに注ぎ、次いで、酢酸エチル3×200mLで抽出した。プールした有機相を2N HCl水溶液2×100mLで再度抽出した。酸性水相をプールしておき、4N水酸化ナトリウム100mLで塩基性にし、次いで、飽和に達するまで炭酸カルシウムを添加した。混合物を酢酸エチル3×300mLで抽出した。有機相をプールしておき、Na2SO4で乾燥させ、減圧濃縮した:期待していた化合物18.6gを黄色の油状物として得て、これは室温で結晶化した。(収率:55%)。
【0122】
【表13】

【0123】
実施例69:エチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−ベンゾエート
硫酸78.9mL(1.45mol)を、0℃まで冷却した実施例68の化合物18.6g(80mmol)の95%エタノール185mL溶液に非常にゆっくり添加した。混合物を6時間還流させ、次いで、室温で14時間放置し、次いで還流下で更に6時間加熱した。0℃で、混合物をNa2CO3154gの水300mL溶液にゆっくり注いだ。次いで、水酸化ナトリウムのペレットを添加し、pH=12を得た。エタノールを減圧下室温で蒸発させ、次いで、媒質を酢酸エチル3×200mLで抽出した。有機相をプールしておき、Na2SO4で乾燥させ、減圧濃縮した:期待していた化合物15.8gを橙色油状物の形態で得た(収率:71%)。
【0124】
【表14】

【0125】
実施例70:エチル 3−{4−[2−(2−エトキシ−フェニルカルバモイルオキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−ベンゾエート
2−エトキシフェニルイソシアネート9.23mL(62.3mmol)を、実施例69の化合物15.7g(56.5mmol)の乾燥アセトニトリル150mL溶液に添加した。混合物を14時間還流させ、次いで、2−エトキシフェニルイソシアネート0.9mL(6.1mmol)を添加し、反応混合物を還流下で更に6時間加熱した。減圧下で蒸発させた後、残渣をエチルエーテル500mL中に取り、不溶性物質をろ過した。ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカクロマトグラフィーカラム(シクロヘキサン80/EtOAc20+3%TEA)にかけ、期待していた化合物20.5gを無色油状物の形態で得た(収率:82%)。
【0126】
【表15】


HPLC/MS:RT=1.84分/442(M+H)。
【0127】
実施例71:ナトリウム 3−{4−[2−(2−エトキシ−フェニルカルバモイルオキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−ベンゾエート
1N 炭酸ナトリウム11.3mL(11.3mmol)を、実施例70の化合物5.0g(11.3mmol)のエタノール30mL溶液に添加した。混合物を攪拌しながら40℃で60時間加熱した。減圧下で蒸発させ乾燥させた後、期待していた化合物4.5gを白色固体の形態で得た(収率:92%)。
【0128】
【表16】


HPLC/MS:RT=1.74分/414(対応する酸のM+H)。
【0129】
実施例72〜102:実施例71のアミド誘導体類
PS−カルボジイミド(Argonaut、0.81mmol/g、74mg、0.060mmol)のヒドロキシアザベンゾトリアゾール溶液0.33mL(153mM DCM{25%DMF}、0.05mmol)の懸濁液に、実施例71の化合物の溶液0.5mL(66mM DCM{50%DMF}、0.033mmol)及びアミン溶液0.5mL(60mM DCM{20%DMF}、0.030mmol)に添加した。室温で16時間後、反応混合物をPS−トリスアミン樹脂(Argonaut、3.65mmol/g、65mg、0.24mmol)で一晩中処理した。反応混合物をろ過し、2×0.5mLで洗浄し、減圧濃縮し、DCM0.5mL中に取り、次いで、PS−イソシアネート樹脂(Argonaut、1.44mmol/g、63mg、0.090mmol)で一晩中処理した。ろ過した溶液を濃縮し、乾固した後、化合物を得た。
【0130】
実施例72については、使用したアミンはN−tブチルオキシカルボニル−エチレンジアミンであり、得られた化合物をDCM/TFA溶液(1:1)1mLで、室温で2時間加水分解した。カチオン交換樹脂(SCX)で精製した。実施例101及び102の化合物もカチオン交換樹脂(SCX)で精製した。
【0131】
【表17】



【0132】
実施例103:メチル−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−アミン
2−ピペリジン−1−イル−エチルアミン2g(15.6mmol)の新しく蒸留したTHF20mL溶液に、窒素雰囲気中0℃で、トリエチルアミン2.60mL(18.7mmol)を添加し、続いてクロロギ酸エチル1.79mL(18.7mmol)を滴下した。混合物を室温で16時間攪拌した。蒸発乾固した後、残渣を酢酸エチル/飽和Na2CO3溶液の混合物中に取った。水相を酢酸エチルで2回以上抽出し、次いでプールしておいた有機相をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させた。反応により、無色の油状物3.1gを得た。
粗生成物を新しく蒸留したTHF70mLに取った。水素化アルミニウムリチウム1.17g(30.8mmol)の懸濁液を、窒素下で、0℃に冷却したこの溶液に滴下した。混合物を16時間還流させ、水1.17mL、4N水酸化ナトリウム1.17mL、次いで水1.17mLを続けて添加して反応を止めた。ろ過し、沈殿をエーテルで洗浄した後、ろ液を蒸発乾固し、残渣を減圧蒸留した(80℃、5mbar)。反応により、無色の油状物1.15gを得た(収率:52%)。
【0133】
【表18】

【0134】
実施例104〜106:実施例71のアミド誘導体類
トリエチルアミン0.128mL(0.92mmol)、アミン0.92mmol、ヒドロキシベンゾトリアゾール124mg(0.92mmol)、及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩176mg(0.92mmol)を、実施例71の化合物400mg(0.92mmol)のジクロロメタン8mL溶液に続けて添加した。混合物を室温で24時間攪拌し、次いで、飽和Na2CO3溶液10mLで希釈した。水相をジクロロメタンで2回以上抽出し、次いで、プールしておいた有機相をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させた。残渣をシリカクロマトグラフィーカラム(溶離液:EtOAc+3%トリエチルアミン)にかけた。
【0135】
実施例104:2−(4−{3−[(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−メチル−カルバモイル]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−エチル N−(2−エトキシ−フェニル)−カルバメート
反応により、黄色の油状物0.210gを得た(収率:42%)。
【0136】
【表19】


HPLC:t=8.31分
MS:538(MH
HPLC純度:98%
【0137】
実施例105:2−(4−{3−[(2−ジメチルアミノ−エチル)−メチル−カルバモイル]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−エチル N−(2−エトキシ−フェニル)−カルバメート
反応により、無色の油状物0.150gを得た(収率:32%)。
【0138】
【表20】


HPLC:t=8.19分
MS:498(MH
HPLC純度:98%
【0139】
(実施例106:2−(4−{3−[(2−ジエチルアミノ−エチル)−メチル−カルバモイル]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−エチル N−(2−エトキシ−フェニル)−カルバメート)
反応により、無色の油状物0.180gを得た(収率:38%)。
【0140】
【表21】


HPLC:t=9.00分
MS:526(MH
HPLC純度:99%
【0141】
実施例107:2−[4−(3−ニトロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタノール
2−(ピペラジン−1−イル)エタノール153mL(1.170mol、5.5当量)を、DMSO100mLに溶解し、次いで、3−フルオロ−ニトロベンゼン22.6mL(0.214mol)のDMSO 105mL溶液を添加した。混合物を100℃で30時間加熱した。室温まで冷却後、反応媒体を水2Lに注ぎ、沈殿をろ過した。減圧下で乾燥させた後、期待していた化合物41.8gを黄色固体の形態で得た(収率:78%)。
【0142】
【表22】


HPLC/MS:RT=0.90分/252(M+H)。
【0143】
実施例108:1−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−4−(3−ニトロ−フェニル)−ピペラジン
トリエチルアミン7.05mL(50.7mmol、3当量)及びtert−ブチル−クロロ−ジメチルシラン7.64g(50.7mmol、3当量)を、実施例107の化合物4.25g(16.9mmol)のアセトニトリル150mLの懸濁液に連続して添加した。混合物を室温で16時間攪拌し、次いで、2時間還流した。減圧下で蒸発させた後、残渣をジクロロメタン/飽和炭酸ナトリウム水溶液の混合物に取った。有機相をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカクロマトグラフィーカラム(シクロヘキサン/EtOAc 80:20)にかけ、期待していた化合物5.03gを黄色油状物の形態で得た(収率:81%)。
【0144】
【表23】


HPLC/MS:RT=2.10分/366(M+H)。
【0145】
実施例109:1−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−4−(3−アミノフェニル)−ピペラジン
メタノール100mLに溶解した実施例108の化合物5.03g(13.8mmol)を、パラジウム炭(10%)500mgの存在下で、水素雰囲気下(P=1atm)で2時間激しく攪拌した。触媒をろ過し、残渣を減圧濃縮して、期待していた化合物4.37gを無色油状物の形態で得た(収率:94%)。
【0146】
【表24】


HPLC/MS:RT=1.83分/336(M+H)。
【0147】
実施例110:N−(3−{4−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−フェニル)−3−ジエチルアミノ−プロピオンアミド
実施例109の化合物4.37g(13.0mmol)のジクロロメタン130mL溶液に、トリエチルアミン7.59mL(54.6mmol、4.2当量)、3−(N−ジエチル)アミノプロピオン酸塩酸塩2.36g(13.0mmol、1当量)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1.93g(14.3mmol、1.1当量)及びO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)4.59g(14.3mmol、1.1当量)を続けて添加した。混合物を室温で72時間攪拌し、次いで、飽和炭酸ナトリウム水溶液100mLで希釈した。有機相を飽和Na2CO3溶液で2回以上抽出し、次いで、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカクロマトグラフィーカラム(ジクロロメタン96/MeOH4+0.4%NH4OH、次いでジクロロメタン90/MeOH10+1%NH4OH)にかけて、期待していた化合物2.87gを無色油状物の形態で得た(収率:47%)。
【0148】
【表25】


HPLC/MS:RT=1.85分/463(M+H)。
【0149】
実施例111:3−ジエチルアミノ−N−{3−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−プロピオンアミド
テトラブチルアンモニウムフルオリド1.56g(5.0mmol、2当量)を、実施例110の化合物1.15g(2.5mmol)のテトラヒドロフラン10mL溶液に添加した。混合物を室温で12時間攪拌し、次いで、減圧下で蒸発させた。残渣をジクロロメタン20mL及び水20mLに取った。水相をジクロロメタン20mLで2回以上抽出した。有機相をプールしておき、次いで、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカクロマトグラフィーカラム(ジクロロメタン95/MeOH5+0.5%NH4OH)にかけ、期待していた化合物660mgを無色油状物の形態で得た(収率:76%)。
【0150】
【表26】


HPLC/MS:RT=0.29分/349(M+H)。
【0151】
実施例112〜119:実施例111のフェニルカルバメート誘導体類
実施例111の化合物の溶液0.8mL(0.188M CH3CN、0.15mmol)を、置換フェニルイソシアネートの溶液0.5mL(0.3M CH3CN、0.15mmol)に添加した。反応混合物をオービタルシェーカー(orbital shaker)中で攪拌し、72℃(外部温度)に20時間保持した。室温に戻した後、置換フェニルイソシアネート溶液0.25mL(0.3M CH3CN、0.075mmol)を添加し、反応混合物を同じ条件下、72℃で20時間攪拌した。減圧下で蒸発させた後、残渣をDMSO2mLに取り、分取HPLC(勾配:15分間で10%B→100%B)により精製した。減圧下で蒸発させた後、予想生成物をEtOAc2mL及び飽和Na2CO3溶液2mLの混合液中に取った。有機相を蒸発乾固した後、期待していた化合物を得た。
化合物をHPLC/MSにより分析した。
【0152】
【表27】

【0153】
生物学的結果:
本発明の化合物を、ヒトのアイソフォームであるh5−HT4eを安定して発現するラットのグリア細胞中に、放射能標識されたリガンド[3H]−GR113808を転置することにより決定される、親和定数Kiを測定することで評価した。
密集したグリア細胞をPBSで2回洗浄し、300Gで5分間遠心分離した。直ちにペレットを使用し、細胞をHEPES(50mM、pH7.4、4℃)10容に懸濁させ、次いで、テフロン(登録商標)ホモジナイザーで均一化し、40,000Gで20分間遠心分離した。ペレットを再度HEPES15容に懸濁させた。結合転置の実験は、アイソフォームh5−HT4eについては0.2nMの濃度の、又はCOS細胞中で発現されるその他のアイソフォームについては放射性リガンドKdの半分に等しい濃度の、放射能標識されたリガンド[3H]−GR113808 20μLと、7種の異なる濃度の競リガンド20μLと、膜標本50μL(Bradford法により決定したタンパク質100〜200μg)とを含有する50mM HEPES緩衝液500mL中で行なった。結合は、25℃で30分間行ない、0.1%PEI中で予めインキュベートしたWhatman GF/Bフィルターでの急速減圧ろ過(Brandel Harvester)により反応を停止し、非特異的結合を減らした。膜結合放射能は、フィルターに保持され、これを裁断し、冷緩衝液(50mM トリス−HCl、pH7.4)で洗浄し、シンチレーション液4mL中で一晩中インキュベートした。放射能は、液体シンチレーション計数器(Beckmann LS 6500C)中で測定した。結合データは、コンピューター支援線形回帰(Graph Prism Program、Graph Pad Software.Inc., San Diego, CA)により得た。
例として、下表の結果を示す:
【0154】
【表28】

【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明の化合物の合成経路1。A、Y、G、J及び基R1〜R5は本明細書中で上に定義されるとおりである。
【図2】本発明の化合物の合成経路2。A、Y、G、J及び基R1及びR3〜R5は本明細書中で上に定義されるとおりである。
【図3】本発明の化合物の合成経路3。A、Y、G、J及び基R1〜R2及びR4〜R13は本明細書中で上に定義されるとおりである。
【図4】本発明の化合物の合成経路4。A、Y、G、J及び基R1〜R2、R4〜R6及びR8〜R13は本明細書中で上に定義されるとおりである。
【図5】本発明の化合物の合成経路5。A、Y、G、J及び基R1〜R2、R4〜R5及びR7〜R13は本明細書中で上に定義されるとおりである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】


〔式中:
1は、低級アルキル、アリール、ハロゲノアルキル又は低級アリールアルキル基を表し、
2は、水素原子又は低級アルキル基を表し、
Aは、アリール又はヘテロ環基を表し、当該基は、R3以外の置換基により置換されていることもあり、
3は、以下の基:
【化2】


、NR6COR13、及び−(NR6n'−CONR713の中から選択される基を表し、
基R7〜R12は、同じか又は異なり、水素原子、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、低級アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノアルキル基、アルキル−COOR17基を表し、
基R7〜R12は2つずつを使い、それらを支持する直鎖と一緒になって、更に、少なくとも1つの飽和又は不飽和の環、例えば、特に、シクロアルキル、シクロアルキレン、ヘテロ環を形成することができ、
基R10〜R12はまた、COOR17基を表し、
13は、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルキルカルボキシ基、アルキル−COOR17基、アルコキシアルキル基、イミダゾピリジニルアルキル基、トリフルオロアルキル基又はヘテロアリールチオアルキル基を表すが、Aがフェニルを表し、R2が水素原子を表し、G及びJがCH基を表し、R3がNR6COR13又は−(NR6n'−CONR713(ここで、R6及び/又はR7は水素原子を表す)を表す場合は、R13はメチル基又はエチル基を表すことができないと解され、
nは1又は2であり、n’は0又は1であり、m、p、q、r、s及びtは0〜2の整数であり、r、s及びtは同時に0ではなく、
Yは、2〜5個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖のアルキレン鎖を表し、
Jは、C−R14基又は窒素原子を表し、
Gは、C−R15基又は窒素原子を表し、
6、R16及びR17は、同じか又は異なり、水素原子又は低級アルキル基を表し、
4、R5、R14及びR15は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルスルホキシド、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基を表し、
あるいは、G又はJが窒素原子ではない場合、基OR1とR14、及び/又は基R14とR5、及び/又は基R15とR5、及び/又は基R15とR4は、それらが結合している芳香族環と一緒になって、飽和又は不飽和の環を形成することができ、前記の、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロ環、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルアミノアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルチオ及びアルキルカルボキシ基、並びに前記の環は、置換されているか又は置換されていない〕
で表される化合物及びその塩、光学異性体及び幾何学異性体、又はそれらの混合物。
【請求項2】
R1が、低級アルキル基、好ましくはメチル又はエチル基を表す、請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の一般式(I)で表される化合物であって、該式中:
Aが、フェニル、ピリミジン、ピリダジン又はピラジンを表し、かつ/あるいは
n=1、かつ/あるいは
n’=1、かつ/あるいは
Yが、2又は3個の炭素原子を有する、好ましくは直鎖のアルキレン鎖であり、かつ/あるいは
2が水素原子であり、かつ/あるいは
3が以下の基:
【化3】


の中から選択される基を表し、
4が水素原子であり、かつ/あるいは
6が水素原子であり、かつ/あるいは
GがCH基であり、かつ/あるいは
JがCH基である、化合物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の一般式(I)で表される化合物であって、該式中:
Aが、フェニル、ピリミジン、ピリダジン又はピラジンを表し、かつ/あるいは
n=1、かつ/あるいは
n’=0、かつ/あるいは
Yが、2又は3個の炭素原子を有する、好ましくは直鎖のアルキレン鎖であり、かつ/あるいは
2が水素原子であり、かつ/あるいは
3が以下の基:
【化4】


の中から選択される基を表し、
4が水素原子であり、かつ/あるいは
GがCH基であり、かつ/あるいは
JがCH基である、化合物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の一般式(I)で表される化合物であって、該式中:
Aが、フェニル、ピリミジン、ピリダジン又はピラジンを表し、かつ/あるいは
n=1、かつ/あるいは
Yが、2又は3個の炭素原子を有する、好ましくは直鎖のアルキレン鎖であり、かつ/あるいは
2が水素原子であり、かつ/あるいは
4が水素原子であり、かつ/あるいは
5が水素原子であり、かつ/あるいは
GがCH基であり、かつ/あるいは
JがCH基であり、かつ/あるいは
3が以下の基:
【化5】


の中から選択される基を表し、
ここで、R6は、水素原子又は低級アルキル基(特にメチル)であり、rは0、1又は2(特に1又は2)を表す、化合物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の一般式(I)で表される化合物であって、該式中:
Aが、フェニル、ピリミジン、ピリダジン又はピラジンを表し、かつ/あるいは
n=1、かつ/あるいは
Yが、2又は3個の炭素原子を有する、好ましくは直鎖のアルキレン鎖であり、かつ/あるいは
2が水素原子であり、かつ/あるいは
4が水素原子であり、かつ/あるいは
5が水素原子であり、かつ/あるいは
GがCH基であり、かつ/あるいは
JがCH基であり、かつ/あるいは
3が以下の基:
【化6】


の中から選択される基を表し、
ここで、R6は、水素原子又は低級アルキル基(特にメチル)であり、R7は、水素原子又は低級アルキル基(特にメチル)であり、mは0〜2(特に0又は1)の整数である、化合物。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の一般式(I)で表される化合物であって、該式中:
Aが、フェニル、ピリミジン、ピリダジン又はピラジンを表し、かつ/あるいは
n=1、かつ/あるいは
Yが、2又は3個の炭素原子を有する、好ましくは直鎖のアルキレン鎖であり、かつ/あるいは
2が水素原子であり、かつ/あるいは
4が水素原子であり、かつ/あるいは
5が水素原子であり、かつ/あるいは
GがCH基であり、かつ/あるいは
JがCH基であり、かつ/あるいは
3が以下の基:
【化7】


の中から選択される基を表し、
ここで、R7は、水素原子又は低級アルキル基(特にメチル)であり、mは1又は2を表す、化合物。
【請求項8】
3が、−NR6−COR13又は−(NR6n'−CONR713基を表し、R13は、シクロアルキル基、ヘテロ環、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルカルボキシ基、シクロアルキルカルボキシ基、アルキル−COOR17基、イミダゾピリジニルアルキル基、トリフルオロアルキル基又はヘテロアリールチオアルキル基を表す、請求項1又は2に記載の一般式(I)で表される化合物。
【請求項9】
3が、−CONR713基を表し、R13は、シクロアルキル基、ヘテロ環、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルカルボキシ基、シクロアルキルカルボキシ基、アルキル−COOR17基、アルコキシアルキル基、イミダゾピリジニルアルキル基、トリフルオロアルキル基又はヘテロアリールチオアルキル基を表す、請求項1又は2に記載の一般式(I)で表される化合物。
【請求項10】
Aが、置換されていてもよいフェニルである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物。
【請求項11】
Yが、2又は3個の炭素を含有するアルキレン鎖である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物。
【請求項12】
実施例9〜46の化合物及びそれらの塩からなる群において選択される化合物。
【請求項13】
実施例47〜67の化合物及びそれらの塩からなる群において選択される化合物。
【請求項14】
実施例72〜102及び104〜106の化合物及びそれらの塩からなる群において選択される化合物。
【請求項15】
実施例112〜119の化合物及びそれらの塩からなる群において選択される化合物。
【請求項16】
2−(4−{3−[3−(1−エチル−ピロリジン−2−イルメチル)−ウレイド]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、
2−(4−{3−[(1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、
2−{4−[3−(3−アミノ−プロピオニルアミノ)−フェニル]−ピペラジン−1−イル)−エチルエステル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、
2−(4−{3−[2−アミノ−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオニルアミノ]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、
2−[4−(3−{3−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロピル]−ウレイド}−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、
2−(4−{3−[(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、
2−(4−{3−[2−ピペリジン−1−イル−エチルカルバモイル]−フェニル)−ピペラジン−1−イル)−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、
2−(4−{3−[(2−ジメチルアミノ−エチル)−メチル−カルバモイル]−フェニル}−ピペラジン−1−イル)−エチル−N−(2−エトキシ−フェニル)カルバメート、及びそれらの塩からなる群において選択される化合物。
【請求項17】
3−{4−[2−(2−エトキシ−フェニルカルバモイルオキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−安息香酸エチル、3−{4−[2−(2−エトキシ−フェニルカルバモイルオキシ)−エチル]−ピペラジン−1−イル}−安息香酸ナトリウム又はそれらの付加塩の1つである、請求項1に記載の生成物を製造するために有用な中間体生成物。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物を少なくとも1つ含む、医薬組成物。
【請求項19】
5−HT4受容体が関与する疾患の治療又は予防のための、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
胃腸障害、中枢神経系障害、心臓疾患、泌尿器の疾病、痛みあるいは偏頭痛を治療又は予防するための、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
ヒト又は動物の身体における治療又は予防の方法を実施するための医薬組成物を製造するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項22】
胃腸障害、中枢神経系障害、心臓疾病、泌尿器の疾病、痛みあるいは偏頭痛を治療的又は予防的に処置するための医薬組成物を製造するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項23】
式(II)で表される生成物と、式(III):
【化8】


〔式中、基R1、R2、R3、R4、R5、A、Y、J、G及びnは請求項1に定義されたとおりである〕
で表される生成物とを、カルボニル供与試薬、好ましくはトリホスゲンの存在下で反応させて、得られる生成物を回収することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物を製造するための方法。
【請求項24】
式(IV)で表される生成物と、式(III):
【化9】


〔式中、基R1、R3、R4、R5、A、Y、J、G及びnは請求項1に定義されたとおりである〕
で表される生成物とを、非プロトン性溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン中で反応させることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物を製造するための方法。
【請求項25】
式(V)で表される生成物と、式(IV)又は(VII):
【化10】


〔式中、基R1〜R13、R16、A、Y、J、G及びn、m、p、qは請求項1に定義されたとおりである〕
で表される生成物とを、カルボニル供与試薬、好ましくはトリホスゲンの存在下で、非プロトン性溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン中で反応させることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物を製造するための方法。
【請求項26】
式(V)で表される生成物と、式(VIII)又は(IX):
【化11】


〔式中、基R1〜R6、R8〜R13、R16、A、Y、J、G及びn、r、s及びtは請求項1に定義されたとおりである〕
で表される生成物とを、古典的なカップリング剤、好ましくは、固体担体上のDCC又はEDCIの存在下で、非プロトン性溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン中で反応させることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物を製造するための方法。
【請求項27】
式(X)で表される化合物と、式(VI)又は(VII):
【化12】


〔式中、基R1〜R5、R7〜R13、R16、A、Y、J、G及びn、m、p及びqは請求項1に定義されたとおりである〕
で表される生成物とを、古典的なカップリング剤、好ましくは、固体担体上のDCC又はEDCIの存在下で、非プロトン性溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン中で反応させることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物を製造するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−504675(P2006−504675A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−530307(P2004−530307)
【出願日】平成15年8月22日(2003.8.22)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002564
【国際公開番号】WO2004/018436
【国際公開日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(500129786)
【氏名又は名称原語表記】CEREP
【Fターム(参考)】