説明

アリールスルフィド誘導体

【課題】LFA−1が関与する炎症性疾患及び自己免疫疾患、殊に関節リウマチ、喘息、乾癬、炎症性腸疾患、多発性硬化症、又は腎炎等の予防或いは治療に用いることができる化合物を提供すること。
【解決手段】カルバマート等の特定のリンカーを介してピペリジン若しくはピペラジン等の環基が4位に結合したアリールスルフィド誘導体又はその塩。
【効果】この化合物はLFA−1とそのリガンドであるICAM−1との接着過程を阻害することに基づく良好な薬理作用を有するため、医薬上有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬、特に炎症性疾患又は自己免疫疾患の予防或いは治療剤として有用な、アリールスルフィド誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞-細胞間接着は、細胞が血管壁等を通過して標的部位へ移行する時や、細胞間でシグナルを伝えあうことで相互に活性化する時に必須の現象である。インテグリンスーパーファミリーはこの接着を介在する重要な分子群の一つであり、細胞膜タンパク質として、細胞-細胞相互作用の場面で重要な役割を果たしている事が知られている。中でもLFA−1は、白血球全般に発現するインテグリンファミリーの一員として(J. Biol. Chem. 257: 12412-8 (1982))、血管内皮細胞や上皮細胞、線維芽細胞、樹状細胞など多くの細胞でその発現が認められるICAM−1(J. Immunol. 137: 245-254 (1986))、ICAM−2又はICAM−3等の接着を介した多くの生体現象に関わっている。
このLFA−1とICAM−1間の相互作用は、特にリンパ球のホーミングや炎症部位への炎症性細胞の移動において極めて重要な役割を果たしており(J. Exp. Med. 189: 1467-1478 (1999))、実際これらの分子の発現が関節リウマチ(J. Rheumatol. 24: 458-464 (1997))や喘息(J. Clin. Invest. 94:1840-1845 (1994))、乾癬(Arch. Dermatol. Res. 286: 304-311 (1994))、多発性硬化症(J. Neuropathol. Exp. Neurol. 55:1060-1072 (1996))等の病変部位で高発現していることが知られている。又、これまでに関節炎や喘息、皮膚炎、腎炎、移植等の動物疾患モデルにおいて、LFA−1抗体(Cell. Immunol. 142: 324-337 (1992)、Am. J. Respir. Crit. Care. Med. 153:521-519 (1996)、Transpl. Int. 9: 420-425 (1996))、ICAM−1抗体(Clin. Exp. Immunol. 117: 462-468 (1999) J. Immunol. 150:1074-1083 (1993))、又はICAM−1アンチセンスの有効性が示されている。又、ノックアウトマウス(J. Immunol. 157: 3153-3158 (1996)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 8529-8533 (1993))等を用いた検討からも、LFA−1とICAM−1間の相互作用の関与が証明されている。
更に、臨床においてもLFA−1又はICAM−1を標的とした抗体又はアンチセンスによる治験が、乾癬や炎症性腸疾患他を適応として進められている(N. Engl. J. Med. 349: 2004-2013 (2003)、Gut 51: 30-36 (2002)、J. Allergy Clin. Immunol. 112: 331-338 (2003))。
以上のことから、LFA−1及びICAM−1間の結合を阻害することにより、関節リウマチ、喘息、乾癬、炎症性腸疾患、多発性硬化症又は腎炎などの自己免疫疾患或いは炎症性疾患の病態を改善できると考えられる。
【0003】
特許文献1及び特許文献2には、下記一般式で示される桂皮酸アミド誘導体等が、LFA−1とICAM−1との結合を阻害し、炎症及び免疫疾患の治療に用いられることが報告されている。
【化3】

(式中、Arは-H、ハロゲン及びアルキル等から選択された基で置換された、アリール又はヘテロアリール等を、R1、R2、R3、R4及びR5は独立して、-H、ハロゲン又はアルキル等を示す。但し、R1或いはR3の少なくとも一方は下記に示される基である。
【化4】

ここで、R8及びR9は-H又はアルキル等を、R10及びR11は-H、アルキル、置換されていてもよいヘテロシクリル等、又はNR10R11として置換されていてもよいヘテロシクリルを示す。詳細は当該公報参照。)
これらの化合物は、いずれも桂皮酸アミド構造を有することが特徴であり、本発明化合物とは構造が異なる。
【0004】
【特許文献1】国際公開第00/39081号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/59880号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LFA−1とそのリガンドであるICAM−1との結合を阻害する化合物は、炎症性疾患及び自己免疫疾患、殊に関節リウマチ、喘息、乾癬、炎症性腸疾患、多発性硬化症又は腎炎等の予防或いは治療に有用と考えられるが、現在までに臨床で効果が確認された低分子化合物の報告はない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、LFA−1とICAM−1との結合阻害作用を有する化合物につき鋭意検討した結果、下記一般式(I)に示すように、ベンゼン環の4位にカルバマート等の特定のリンカーを介して特定の環基、特に好ましくはピペリジン若しくはピペラジン等の環基が結合した構造に特徴を有する新規なアリールスルフィド誘導体が、LFA−1とICAM−1との結合阻害作用に基づく良好な薬理作用を有することを確認し、これを有効成分とする医薬組成物が、炎症性疾患及び自己免疫疾患の治療及び予防剤となりうることを知見して本発明を完成したものである。
即ち、本発明は下記一般式(I)で示される新規なアリールスルフィド誘導体又はその製薬学的に許容される塩に関する。
【0007】
【化5】

(式中の記号は以下の意味を示す。
A:アリール又はヘテロ環基;
R1:同一又は互いに異なって、-H、-R0、ハロゲン、-OH、-O-R0、-O-CO-NR4-R0、-NH2、-NO2、-NR4-R0、-S-R0、-SO-R0、-SO2-R0、-CO-R0、-CHO、-CN、-CO-NH2、-CO-NR4-R0、-CO2H、-CO2-R0、-CO-NH-OH、-SO3H、-SO2-NH2、-SO2-NR4-R0、-NR4-CO-R0、-NR4-SO2-R0、置換されていてもよいシクロアルキル、-低級アルケニレン-CO2-R0、-低級アルケニレン-CO2H、-低級アルケニレン-CO-NH2、-低級アルケニレン-CO-NR4-R0、-低級アルケニレン-CO-置換されていてもよいヘテロ環、置換されていてもよいヘテロ環、-CO-置換されてもよいヘテロ環、-O-置換されてもよいヘテロ環、-NR4-置換されてもよいヘテロ環、-NR4-CO-置換されてもよいヘテロ環、-CO-NR4-置換されてもよいヘテロ環、-S-置換されてもよいヘテロ環、-NR4-SO2-置換されてもよいヘテロ環、置換されていてもよいアリール、-CO-置換されてもよいアリール、-O-置換されてもよいアリール、-NR4-置換されてもよいアリール、-NR4-CO-置換されてもよいアリール、-CO-NR4-置換されてもよいアリール、-S-置換されてもよいアリール又は-NR4-SO2-置換されてもよいアリール;
R0:同一若しくは互いに異なって、置換されていてもよい低級アルキル;
R4:同一若しくは互いに異なって、-H又は置換されていてもよい低級アルキル;
R00:同一若しくは互いに異なって、-OH又は-O-低級アルキルで置換されていてもよい低級アルキレン;
n:1、2又は3;
R2及びR3:同一又は互いに異なって、-H、-R0、ハロゲン、-CN、-NO2、-O-R0、-S-R0、-SO-R0又は-SO2-R0、但しR2及びR3が同時に-Hではない;
X:-R00-、低級アルケニレン、-R00-O-CO-、-R00-O-CO-NR4-、-R00-O-CO-NR4-R00-、-R00-CO-、低級アルケニレン-NR4-、低級アルケニレン-NR4-R00-又は低級アルケニレン-NR4-CO-;
B:置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、又は置換されていてもよいヘテロ環基;
Y:単結合、-R00-、-CO-R00-、-NR4-R00-、-O-R00-、-CO2-R00-、-CO-NR4-R00-、-NR4-CO-R00-又は-R00-O-R00-;及び
Z:-H、-R0、-CO2H、-CO-NH2、-CO2-R0、-CHO、-CO-NH-OH、-C(NH)-NH2、-SO3H、-SO2-R0、-SO2-NH2、-SO2-NR4-R0-PO(OR4)2、-O-PO(OR4)2、-CN、-OH、-O-R0、-NH2、-NR4-R0、-NH-C(NH)-NH2、-NR4-CO-R0、-NR4-SO2-R0、-NR4-CO-NH2、-NR4-CO-NR4-R0、-NR4-CO-NR4-R0、-NR4-SO2-NH2、-O-CO-NR4-R0、-CO-NR4-R0、-CO-R0、-O-CO-R0、-CO-CO2H、置換されていてもよいヘテロ環、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、-CO-置換されていてもよいヘテロ環、-CO-置換されていてもよいアリール、-CO-NR4-置換されていてもよいヘテロ環、-CO-NR4-置換されていてもよいアリール、-CO-O-置換されていてもよいヘテロ環、-SO2-置換されていてもよいヘテロ環、-O-CO-置換されていてもよいヘテロ環、-O-置換されていてもよいヘテロ環、-NR4-置換されていてもよいヘテロ環、-NR4-CO-置換されていてもよいヘテロ環、-NR4-SO2-置換されていてもよいヘテロ環及び-SO2-NR4-置換されていてもよいヘテロ環。以下同様。)
【発明の効果】
【0008】
本発明化合物はLFA−1/ICAM−1結合阻害活性を有しており、炎症性疾患又は自己免疫疾患、特に、運動器系疾患(関節リウマチ等)、消化器系疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病等)、皮膚炎症性疾患(アトピー性皮膚炎、乾癬等)、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、腎炎、呼吸器疾患(喘息、成人呼吸切迫症候群等)、中枢疾患(脳卒中、多発性硬化症等)、移植拒絶(GVH病等)、心血管疾患(心筋組織の再灌流阻害、血栓症、血栓溶解後の再閉塞、動脈硬化症等)等の予防又は治療に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について詳述する。
本明細書中、「アルキル」、「アルキレン」及び「アルケニレン」は直鎖状又は分枝状の炭化水素基を示す。「低級アルキル」とは炭素数1〜6の(以後C1-6と略)アルキルであり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、へキシル等が挙げられる。好ましくはC1-4アルキルであり、更に好ましくは、メチル、エチル及びイソプロピルである。「低級アルキレン」とはC1-6アルキレンであり、メチレン、エチレン、プロピレン、メチルメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン等が挙げられる。好ましくはC1-4アルキレン、更に好ましくはメチレン及びエチレンである。「低級アルケニレン」とはC2-6のアルキレンの任意の位置に1個以上の二重結合を有する基であり、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン等が挙げられる。好ましくはC2-4のアルケニレンである。
「ハロゲン」とは、F、Cl、Br又はIを示す。「ハロゲンで置換された低級アルキル」とは、1個以上のハロゲンで置換された低級アルキルであり、好ましくは、1〜5個のFを有するC1-2のアルキルであり、より好ましくはフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルが挙げられる。
「アリール」とは、C6-14の単環〜三環式芳香族炭化水素環基であり、好ましくはフェニル及びナフチルである。又、二若しくは三環式アリールの一つの環が水素化されたものも包含され、例えばテトラヒドロナフチル等が挙げられる。
「シクロアルキル」とは、C3-10の環状の飽和炭化水素環基であり、架橋を有していてもよい。好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びアダマンチルである。
「ヘテロ環」とは、O、S及びNから選択されるヘテロ原子を1〜4個含有する単環3〜8員、好ましくは5〜7員環基であり、不飽和環であるヘテロアリール、飽和環であるヘテロシクロアルキル、及び前記ヘテロアリールが部分的に水素化された環基を含む。当該ヘテロ環同士、又はベンゼン環とヘテロ環が縮環し二〜三環式ヘテロ環を形成してもよい。環原子であるS又はNが酸化されオキシドやジオキシドを形成してもよい。ヘテロアリールとして好ましくは、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピロリル、ピロリジル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、キナゾリル、キノキサリニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、及びクロマニル等が挙げられる。ヘテロシクロアルキル基、又はヘテロアリール基が部分的に水素化された環基として好ましくは、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ピペリジル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、インドリニル、テトラヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾジオキシニル及びジヒドロベンズイミダゾリジニル等が挙げられる。ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールが部分的に水素化された環基においては、任意の炭素原子がオキソ基で置換されていてもよい。又、上記ヘテロ環は、スピロ環及び架橋されたヘテロ環を包含する。当該スピロ環としては、2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オン-8-イル、1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン-8-イル等が挙げられる。又、当該架橋環としては、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル等が挙げられる。
本明細書において「アリール」、「シクロアルキル」及び「ヘテロ環」は便宜上一価基として記載してあるが、構造によっては二価基以上の多価基である場合がある。本発明はそれらの構造を包含する。例えば二価基の具体的な態様としては、有機化合物命名法に従って上記環基の接尾辞をジイルに変換したものが対応する。例えばピペリジンジイル等については、1,4-ピペリジンジイル、1,3-ピペリジンジイルに加え4,4,-ピペリジンジイル等のジェミナル置換形式であるものも包含する。
「置換されていてもよい」とは、「無置換であること」或いは「置換基を有していること」のいずれかを示す。
例えば、「置換されていてもよい低級アルキル」及び「置換されていてもよい低級アルキレン」において、これらの低級アルキル及び低級アルキレンは1〜5個の置換基を有していてもよい。置換基として好ましくは下記G群に示す基であり、特に好ましくは、-ハロゲン、-OH、-CO2H、及び-O-C1-6アルキルである。
G群: -ハロゲン、-シクロアルキル、-ヘテロ環、-アリール、-OH、-O-C1-6アルキル、-O-ハロゲンで置換されたC1-6アルキル、-S-C1-6アルキル、-SO2-C1-6アルキル、-O-アリール、-O-シクロアルキル、-O-ヘテロ環、-S-シクロアルキル、-S-ヘテロ環、-NH-アリール、-N(C1-6アルキル)-アリール、-NH-シクロアルキル、-N(C1-6アルキル)-シクロアルキル、-NH-ヘテロ環、-N(C1-6アルキル)-ヘテロ環、-NH2、-NH-C1-6アルキル、-N(C1-6アルキル)2、-CO-C1-6アルキル、-CO-NH-C1-6アルキル、-NH-CO-C1-6アルキル、-N(C1-6アルキル)-CO-C1-6アルキル、-CO-N(C1-6アルキル)2、-CO2-C1-6アルキル、-SO2-NH-C1-6アルキル、-SO2-N(C1-6アルキル)2、-NH-SO2-C1-6アルキル、-N(C1-6アルキル)-SO2-C1-6アルキル、-NH-CO2-C1-6アルキル、-N(C1-6アルキル)-CO2-C1-6アルキル、-O-CO-NH-C1-6アルキル、-O-CO-N(C1-6アルキル)2、-CO-NH2、-CO2H、-SO3H、-SO2-NH2、-NH-CO-NH2、-N(C1-6アルキル)-CO-NH2、-NH-CO-NH(C1-6アルキル)、N(C1-6アルキル)-CO-NH(C1-6アルキル)、-N(C1-6アルキル)-CO-N(C1-6アルキル)2、-C(NH)-NH2、-NH-C(NH)-NH2、-O-C1-6アルキレン-CO2H、-O-C1-6アルキレン-OH、-NH-C1-6アルキレン-OH、-NH-C1-6アルキレン-CO2H、-CO2-C1-6アルキレン-OH、-CO2-C1-6アルキレン-CO2H、-NO2及び-CN。ここに当該ヘテロ環及びアリールは、ハロゲン、OH及びC1-4アルキルから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい。
又、「置換されていてもよいアリール」、「置換されていてもよいシクロアルキル」及び「置換されていてもよいヘテロ環」において、これらの環基は1〜5個の範囲内で置換基を有していてもよく、置換基として好ましくは、前記G群から選択される基で置換されていてもよい低級アルキル、及び前記G群に示される基である。
「ヘテロ原子で中断されていてもよい低級アルキレン」とは、低級アルキレン、或いは低級アルキレンの途中又は末端にO、S(O)p(p=0、1又は2)及びNR7(R7はH又はC1-6アルキル)から選択されるヘテロ原子1個又は2個が挿入された基を表す。例えば、-CH2CH2-、-O-CH2CH2-、-CH2-O-CH2-、-O-CH2CH2-O-、-CH2-S-CH2-、-CH2-S(O)-CH2-、-CH2-N(CH3)-CH2-等の基が挙げられ、好ましくは-CH2CH2-である。又、該ヘテロ原子が窒素原子の場合、隣接位がオキソ化されていてもよく、例えば-CH2-CO-NH-CH2-等が挙げられる。
【0010】
本発明化合物(I)における好ましい化合物は以下の化合物である:
(1) Xが低級アルケニレン、-R00-O-CO-、-R00-O-CO-NR4-又は-R00-O-CO-NR4-R00-;
R1が同一又は互いに異なって、-H、-R0、ハロゲン、-O-R0、-NR4-CO-R0、置換されていてもよいヘテロ環、又は-R00-置換されていてもよいヘテロ環;
R2及びR3が同一又は互いに異なって、-H、低級アルキル、ハロゲン、-NO2、-CN、又はハロゲンで置換された低級アルキル、但しR2及びR3が同時に-Hではない;及び
Bがフェニレン、テトラヒドロピランジイル又は下式(i)〜(iv)から選択される基
【化6】

(ここにk:0、1又は2;
q:0、1又は2;
m:1又は2;
R5及びR6:同一又は互いに異なって、-H又は低級アルキル、或いはR5及びR6が一体となってオキソ基を形成してもよく、或いはR5及びR6が一体となってヘテロ原子で中断されていてもよい低級アルキレンとして、Bが架橋環又はスピロ環を形成してもよい);
である化合物。
(2) Aが、ベンゼン環と単環式へテロ環が縮合した二環式ヘテロ環基、又はフェニル、より好ましくは、単環5〜6員のヘテロ環が縮合したフェニル、又はフェニルである化合物。
(3) Xが、低級アルケニレン、-R00-O-CO-、-R00-O-CO-NR4-又は-R00-O-CO-NR4-R00-である化合物。特に、Bが前記式(i)若しくは(iv)で示される基の場合、Xが低級アルケニレン又は-R00-O-CO-である化合物がより好ましく、更に好ましくはC3-5のアルケニレン又は-R00-O-CO-、より更に好ましくはプロピレン又は-R00-O-CO-、特に好ましくは(E)-CH=CH-CH2-又は-CH2-O-CO-で示される化合物である。又一方、Bが前記式(ii)若しくは(iii)で示される基、又はフェニレン若しくはテトラヒドロピランジイルの場合、Xが低級アルケニレン、-R00-O-CO-NR4-又は-R00-O-CO-NR4-R00-である化合物がより好ましく、更に好ましくは-R00-O-CO-NR4-又は-R00-O-CO-NR4-R00-で示される化合物である。ここにR00としてはC1-3アルキレン、特にメチレンが好ましく、又、R4としては-H又はメチルが好ましい。
(4) R1が同一又は互いに異なって、-H、-R0、ハロゲン、-O-R0、-R00-OH、-R00-NR4-R0、置換されていてもよいヘテロ環、又は-R00-置換されていてもよいヘテロ環である化合物。より好ましくは-R0、ハロゲン、-O-R0、-R00-OH、-R00-NR4-R0、置換されていてもよいヘテロ環、又は-R00-置換されていてもよいヘテロ環である化合物。ここにR00としてはC1-3アルキレンが、R4としては-H又はメチルが、ヘテロ環としては単環5〜6員のヘテロ環基がそれぞれ好ましい。又、「置換されていてもよいヘテロ環」及び「置換されていてもよいアリール」における好ましい置換基は、特に-CO2H、-CO2-C1-4アルキル及びメチルである。
(5) nが1又は2である化合物。
(6) R2及びR3が同一又は互いに異なって、-H、ハロゲン、-CN、-NO2又はハロゲンで置換された低級アルキルである化合物。より好ましくは-Cl、-NO2又はトリフルオロメチル基である化合物。
(7) Bがフェニレン、ピペリジンジイル、ピペラジンジイル、テトラヒドロピランジイル、モルホリンジイル、ピロリジンジイル、ホモピペラジンジイル又は8-アザビシクロ[3.2.1]オクタンジイルである化合物。より好ましくはフェニレン、ピロリジンジイル、ピペリジンジイル又はピペラジンジイルである化合物。
(8) Yが、単結合、-R00-、-CO-R00-、-NR4-R00-、-O-R00-、-CO2-R00-、-CO-NR4-R00-、-NR4-CO-R00-又は-R00-O-R00-である化合物。特に、Bが前記式(i)若しくは(ii)で示される基、又はフェニレン若しくはテトラヒドロピランジイルの場合、Yが単結合、-R00-、-NR4-R00-、-O-R00-、-CO-NR4-R00-又は-NR4-CO-R00-である化合物がより好ましい。又一方、Bが前記式(iii)若しくは(iv)で示される基の場合、Yが単結合、-R00-、-CO-R00-、-CO2-R00-、-CO-NR4-R00-又は-R00-O-R00-である化合物がより好ましい。ここにR00としてはC1-3アルキレンが好ましく、R4としては-H又はメチルが好ましい。
(9) Zが-H、-R0、置換されていてもよいヘテロ環、-CO2H、-CO-NH2、-OH、-SO2-R0、-NR4-R0、-NR4-CO-R0、-NR4-SO2-R0、-CO-NR4-R0、-CO-R0又は-CO-置換されていてもよいヘテロ環である化合物。ここにR0としてはC1-3アルキル、特にメチルが好ましく、R4としては、-H又はメチルが好ましい。又、ヘテロ環としては単環5〜6員のヘテロ環が好ましく、更に好ましくはテトラヒドロフリル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリル、ピリジニル環である。ここで、「置換されていてもよいヘテロ環」及び「置換されていてもよいアリール」における好ましい置換基は、-C1-4アルキル、-C1-4アルキレン-OH、-OH、-N(C1-4アルキル)2から選択される基であり、当該置換基を1〜5個、好ましくは1〜3個有してもよい。なお、Yが単結合のとき、Zは置換されていてもよいヘテロ環又は-CO2Hが特に好ましい。
【0011】
化合物(I)の塩としては製薬学的に許容される塩である。具体的には塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩等が挙げられる。又、置換基の種類によっては、塩基との塩を形成する場合もあり、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属を含む無機塩基、或いはメチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リジン、オルニチン等の有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
【0012】
化合物(I)には、置換基の種類によっては、各種の異性体、例えばシス−トランス等の幾何異性体やケト−エノール等の互変異性体が存在する場合があるが、本発明にはこれらの異性体の分離したもの、或いは混合物が包含される。更に化合物(I)は、不斉炭素原子を有する場合があり、不斉炭素原子に基づく異性体が存在しうる。化合物(I)はこれらの異性体の混合物や単離されたものを包含する。又、化合物(I)は、置換基の種類によっては、N−オキシドを形成する場合もあり、これらのN−オキシド体も包含される。更に化合物(I)の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形の物質をも包含される。
なお、化合物(I)には、生体内において代謝されて化合物(I)又はその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。このプロドラッグを形成する基としては、Prog. Med. 5:2157-2161(1985)に記載されている基や廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163-198に記載されている基が挙げられる。
【0013】
(製造法)
本発明化合物及びその製薬学的に許容される塩は、その基本骨格或いは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料乃至中間体の段階で適当な保護基で保護、又は当該官能基に容易に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。このような官能基としては例えばアミノ基、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基等であり、それらの保護基としては例えばグリーン(T. W. Greene)及びウッツ(P. G. M. Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年、John Wiley & Sons)」に記載の保護基を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法では、当該保護基を導入して反応を行った後、必要に応じて保護基を除去、或いは所望の基に転化することにより、所望の化合物を得ることができる。
又、本発明化合物のプロドラッグは上記保護基と同様、原料乃至中間体の段階で特定の基を導入、或いは得られた本発明化合物を用い反応を行うことで製造できる。反応は通常のエステル化、アミド化、脱水等、当業者により公知の方法を適用することにより行うことができる。
以下本発明化合物の代表的な製造法を説明する。
【0014】
製法A アルキル化(1)
【化7】

(式中、L1は脱離基、X1はR00又は低級アルケニレン、B'はBのうち環原子として窒素原子を有するヘテロ環を示す。以下同様。)
本製法は、化合物(II)と化合物(IIIa)とを反応させ、本発明化合物(Ia)を得る方法である。ここで、L1の脱離基としては、例えばハロゲン原子、メチルスルホニルオキシ、p-トルエンスルホニルオキシ、アセトキシ基等が挙げられる。
反応は、化合物(II)と化合物(IIIa)とを等量若しくは一方を過剰量用い、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチルピロリドン(NMP)、酢酸エチル、アセトニトリル等反応に不活性な溶媒中、又は無溶媒下、冷却下から加熱還流下、好ましくは0℃から80℃で行うことができる。トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン若しくはN-メチルモルホリン等の有機塩基、又は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム若しくは水酸化カリウム等の無機塩基の存在下に反応させるのが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。又、化合物によっては、パラジウムなどの遷移金属或いはそのホスフィン錯体の存在下に行うのが有利な場合がある。例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、20巻、1992年、284)等に記載の方法が適用できる。
化合物(IIIa)の代わりに、環外にアミノ基を有する原料化合物(IIIb)を用いても、同様にアルキル化反応を行うことができる。
【化8】

(式中、X2は単結合又はR00を示す。以下同様。)
製法B アルキル化(2)
【化9】

(式中、X3は単結合、R00又は低級アルケニレンを示す。以下同様。)
本製法は、化合物(IV)と化合物(IIIa)との還元的アルキル化反応により、本発明化合物(Ib)を得る方法である。
反応は、化合物(IV)と化合物(IIIa)とを等量若しくは一方を過剰量用い、これらの混合物を、等量若しくは過剰量のシアン化水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム[NaBH(OAc)3]、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤で処理することにより行われる。通常、メタノール、エタノール等のアルコール類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、芳香族炭化水素類等の溶媒中、酢酸、塩酸等の酸、チタニウム(IV)イソプロポキシド、四塩化チタン、三フッ化ホウ素エーテル錯体等のルイス酸、或いはモレキュラーシーブス等の脱水剤の存在下、又は非存在下で、−20℃から加熱還流下、好ましくは0℃から室温で行うことができる。中間体としてイミン体を一旦単離し、還元反応を行っても良い。又、前記還元剤での処理の代わりにメタノール、エタノール、酢酸エチル、酢酸等の溶媒中、酢酸、塩酸等の酸の存在下、又は非存在下で、還元触媒(例えば、パラジウム炭素、ラネーニッケル等)を用いて、常圧から50気圧の水素雰囲気下で、0℃から100℃で行うことができる。
化合物(IIIa)の代わりに、環外にアミノ基を有する誘導体(IIIb)を用いても、同様にアルキル化反応を行うことができる。
製法C オレフィン化
【化10】

(式中、X4は単結合又はC1-3アルキレン、pは1〜3、L2は脱離基を示す。)
本製法は、化合物(V)と化合物(VI)及び(IIIa)とを反応させ、本発明化合物(Ic)を得る方法である。ここで、L2の脱離基としては、例えばハロゲン原子が挙げられる。
本反応は、化合物(V)に対し、等量若しくは過剰量の化合物(VI)及び化合物(IIIa)を用い、これらの混合物を、等量若しくは過剰量のリチウム ジイソプロピルアミド、水素化ナトリウム、アルキルリチウム、フェニルリチウム、カリウム t−ブトキシド、炭酸カリウム等の塩基で処理することにより行われる。通常、ジエチルエーテル、THF、DMF、エタノール、イソプロパノール等の溶媒中、冷却下から加熱還流下、好ましくは室温から100℃で行うことができる。ヨウ化テトラn−ブチルアンモニウム等の相間移動触媒存在下に反応させるのが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。
化合物(IIIa)の代わりに、環外にアミノ基を有する原料化合物(IIIb)を用いても、同様にオレフィン化反応を行うことができる。
製法D カルバマート化
【化11】

(式中、L3は脱離基を示す。)
本製法は、化合物(VII)とイソシアナート化合物(VIIIa)を反応させることにより、或いは炭酸エステル誘導体(IX)へと変換後、化合物(IIIa)と反応させることにより、本発明化合物(1d)又は(1e)を得る方法である。ここで、L3の脱離基としては、例えばクロロ基、イミダゾリル基、フェニル基、4-ニトロフェニル基等が挙げられる。
前者の反応においては、化合物(VII)及び(VIIIa)を等量若しくは一方を過剰量用いて、これらを混合することにより行われる。反応は、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、アセトニトリル、DMF等の反応に不活性な有機溶媒中、又は無溶媒下、冷却下から加熱還流下、好ましくは0℃から室温で行うことができる。イソシアナート化合物(VIIIa)は、対応する酸アジド化合物のCurtius転位、或いは一級アミド化合物のHoffmann転位等により製造できる。当該酸アジドは、カルボン酸の反応性誘導体とアジ化ナトリウム等のアジ化物塩との反応、又はカルボン酸とジフェニルホスホリルアジド(DPPA)との反応により製造できる。
後者の反応においては、まず、化合物(VII)をハロゲン化炭化水素類やアセトニトリル等の反応に不活性な溶媒中、有機塩基又は無機塩基存在下で、ジホスゲン、トリホスゲン、1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)、クロロギ酸 4-ニトロフェニル、クロロギ酸フェニル等のカルボニル化試薬で処理し、次いで、反応系中で等量若しくは過剰量の化合物(IIIa)と反応させる。本反応は、冷却下から加熱還流下、好ましくは0℃から80℃で行われる。クロロギ酸 4-ニトロフェニル又はクロロギ酸フェニルを使用する場合、中間体であるフェニルカルボナート体(IX)を一旦単離して反応を行っても良い。
化合物(IIIa)の代わりに、環外にアミノ基を有する原料化合物(IIIb)を用いても、同様にカルバマート化反応を行うことができる。
製法E 置換反応
【化12】

(式中、L4、L5は脱離基を示す。)
本製法は、化合物(XI)とチオール誘導体(X)、若しくは化合物(XII)とチオール誘導体(XIII)を反応させ、本発明化合物(I)を得る方法である。ここで、L4、L5の脱離基としては、例えばハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ジアゾニウム基等が挙げられる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、24巻、1992年、336)、Org. Lett., 3517-3520 (2002) 等に記載の方法が適用できる。
【0015】
製法F その他の製法
種々の官能基を有する本発明化合物は、当業者に自明の方法又は公知の製造法、或いはその変法を適用することによっても製造することができる。例えば本発明化合物(I)を原料として、以下の反応を置換基R1又は-Y-Zの変換に適用することにより、本発明化合物(I)の一部を製造することができる。
F−1 アミド化
本発明化合物(I)中、アミノ基を有する化合物を種々のカルボン酸化合物、若しくはその反応性誘導体とを反応させることにより、アミド基を有する化合物を製造することができる。同様に、本発明化合物(I)中、カルボキシル基を有する化合物を種々のアミン化合物と縮合させることにより、アミド基を有する化合物を製造することができる。又、カルボン酸の代わりに、種々のスルホン酸誘導体(スルホン酸ハライドやスルホン酸無水物等の反応性誘導体が好ましい)を使用することで、種々のスルホンアミド誘導体を製造することができる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、22巻、1992年、137)等に記載の方法が適用できる。
F−2:アルキル化(1)
本発明化合物(I)中、アミノ基を有する化合物を、種々のアルキル化剤(例えば、アルキルハライドやアルキルスルホン酸エステル等)と前記製法Aと同様に反応させることで、アルキルアミノ基を有する化合物を製造することができる。
F−3:アルキル化(2)
本発明化合物(I)中、アミノ基を有する化合物を、種々のカルボニル化合物と前記製法Bと同様に反応させることによっても、アルキルアミノ基を有する化合物を製造することができる。
F−4:アルキル化(3)
本発明化合物(I)中、水酸基を有する化合物を、塩基存在下(例えば、炭酸カリウムや水素化ナトリウム)、種々のアルキル化剤(例えば、アルキルハライドやアルキルスルホン酸エステル等)と反応させることにより、アルコキシ基を有する化合物を製造することができる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、20巻、1992年、187)等に記載の方法が適用できる。
F−5:アミノ化
本発明化合物(I)中、ハロゲン原子を有する化合物を一級又は二級アミン化合物と反応させることで、アミノ基を有する化合物を製造することができる。又、化合物(I)中、水酸基を有する化合物の場合には、この水酸基を種々の脱離基(例えば、ハロゲン原子やトリフルオロメタンスルホニルオキシ等)へと変換した後、同様の反応を行うことにより置換アミノ化合物を製造することができる。尚、脱離基を芳香環内に有する化合物を反応させる場合には、パラジウムなどの遷移金属或いはそのホスフィン錯体の存在下に行う。反応は、例えばJ. Org. Chem., 1144-1157 (2000)等に記載の方法が適用できる。
【0016】
製法G 原料化合物の製法
前記製法にて使用した原料化合物は、例えば下記合成経路に従って製造できる。
【化13】

(式中、Halはハロゲンを、R8は低級アルキル又はベンジル等のカルボキシル基の保護基を示す。)
上記式中、置換反応は前記製法Eと同様にして行うことができる。還元、酸化、ハロゲン化及びオレフィン化は、公知の反応を用いて実施することができる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(丸善)」(第4版、1992年)等に記載の方法が適用できる。
【0017】
このようにして製造された化合物(I)は、遊離のまま、又は常法による造塩処理を施し、その塩として単離、精製される。単離、精製は抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常の化学操作を適応して行われる。
各種の異性体は異性体間の物理化学的な性質の差を利用して常法により単離できる。例えば光学異性体は、ラセミ化合物を光学活性な有機酸(酒石酸等)とのジアステレオマー塩に導いた後に分別再結晶する方法、或いはキラル充填材を用いたカラムクロマトグラフィー等の手法により、各々分離精製することができる。又、光学活性化合物は適切な光学活性化合物を原料として用いることにより製造することもできる。尚、ジアステレオマーの混合物についても、分別結晶化又はクロマトグラフィー等により分離することができる。
【0018】
(試験方法)
本発明化合物の効果は以下の薬理試験により確認された。
(1)細胞接着阻害作用
細胞接着阻害作用の評価は、ヒト血管内皮細胞株であるECV304とヒトTリンパ球のジャーカットT細胞株を用いて行った。(尚、ECV304細胞はその細胞表面に、主たる接着分子としてICAM−1を発現しており、本発明者は、市販のICAM−1及びLFA−1の抗体が、各々ECV304とジャーカットT細胞との接着をほぼ完全に抑制することを確認した。)
ECV304は96穴平底プレートに1.8x104個/200μl 10%FBS RPMI1640/ウェルの密度で撒き、37℃ CO2インキュベータ中で一晩培養し、細胞をウェル上で伸展させたものをアッセイに用いた。次に予め20μMカルセインAM(和光純薬)で一時間ラベルしたジャーカットT細胞を1x106個/ml 10%FBS RPMI1640に調製した後、最終濃度が2mMになるようにMnCl2を添加した。これに最終濃度の100倍濃度に調製した化合物溶液を1/100量添加し、室温で15分間インキュベートした。ECV304の培養上清を取り除いた後、各ウェルに1x105個/0.1mlずつ添加し、37℃ CO2インキュベータ中で30分インキュベートした。インキュベート後、各ウェルの上清を除去し、PBS(−)を加えて洗浄するという操作を三回繰り返したのち、2mM EDTA-4Na 0.5%Triton−X溶液を100μlずつ添加し、細胞を溶解させた。プレートを軽くプレートシェイカーで攪拌した後、カルセインの蛍光強度(485/530nm)をCytoFluorII(日本パーセプティブ・リミテッド)にて測定した。試験化合物がジャーカット細胞とECV304細胞との接着を1μMで阻害する強さ(%阻害率)を算出した。
後記実施例12、15、20、29、36、45、51、60、71、93、96、103、109、132、133、145、175、180、181及び183の各化合物は50%以上の阻害作用を示した。
【0019】
(2)マウス接触性過敏反応
6〜9週令の雌性Balb/cマウスの腹部を剃毛し、7%塩化ピクリル(TNCB)のアセトン:オリーブオイル(4:1(v/v))溶液を50μl塗布することにより感作した。感作の5日目にケタミン・キシラジン麻酔下で0.3%TNCBのアセトン:オリーブオイル(4:1(v/v))溶液20μlをマウス右耳の表裏に10μlずつ塗布した。試験薬物投与はTNCB溶液の塗布1時間前と6時間後に経口投与(30mg/kg)により行った。右耳介の厚みは塗布前と24時間後にシックネスゲージ(ミツトヨ)を用いて測定した。感作を行い、5日後に溶媒のみを投与した群をコントロール群、感作なしで5日後にTNCB溶液を塗布した群をノーマル群とし、それぞれの24時間後の厚みの増加(腫れ)から下式により抑制率を計算した。
抑制率=(コントロール群の腫れ−試験薬物投与群の腫れ)X100/(コントロール群の腫れ−ノーマル群の腫れ)
本発明化合物は、経口投与で優れた抑制活性を示した。
【0020】
一般式(I)で示された化合物の1種又は2種以上を有効成分として含有する本発明の医薬組成物は、当分野において通常用いられている薬剤用担体、賦形剤等を用いて通常使用されている方法によって調製することができる。投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は静注、筋注等の注射剤、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等の外用剤、坐剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0021】
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、一つ又はそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等の崩壊剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性コーティング剤で被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を包含し、一般的に用いられる不活性な溶剤、例えば精製水、エタノール等を用いることができる。この組成物は不活性な溶剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁化剤のような補助剤、甘味剤、矯味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤を包含する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成物は、更に等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。又、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解、懸濁して使用することもできる。
【0022】
外用剤としては、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等を包含する。一般に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有する。例えば、軟膏又はローション基剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、白色ワセリン、サラシミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウロマクロゴール、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0023】
本発明化合物の1日の投与量は、通常、経口投与の場合、体重当たり約0.001から50mg/kg、好ましくは0.01〜30mg/kg、更に好ましくは、0.05〜10mg/kgが、静脈投与される場合、1日の投与量は、体重当たり約0.0001から10mg/kg、好ましくは0.001〜1.0mg/kgがそれぞれ適当であり、これを1日1回乃至複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。又、外用剤として用いる場合は、本発明化合物を0.0001〜20%、好ましくは0.01〜10%を含む外用剤が好ましい。これを1日1〜数回、症状に応じて局所に投与する。
【実施例】
【0024】
以下実施例を挙げ、本発明化合物の製造方法を具体的に説明する。なお、本発明化合物の原料化合物の製造方法を参考例として示す。
参考例1:WO2002/059132, EXAMPLE1記載の方法に従って製造した2-[4-(メトキシメトキシ)フェニル]-5,5-ジメチル-1,3-ジオキソランのTHF溶液に、-78℃で1.6M n-ブチルリチウム/ヘキサン溶液を加えてリチオ化した後、ジメチルジスルフィドを加え室温で反応させる事により、2-[4-(メトキシメトキシ)-3-(メチルスルファニル)フェニル]-5,5-ジメチル-1,3-ジオキソランを得た。FAB-MS:299 (M+H)+
参考例2:参考例1の生成物を60℃にて1M塩酸で処理する事により、4-ヒドロキシ-3-(メチルスルファニル)ベンズアルデヒドを得た。FAB-MS:169 (M+H)+
参考例3:参考例2の生成物を、ピリジン中でトリフルオロメタンスルホン酸無水物と反応させてトリフルオロメタンスルホン酸 4-ホルミル-2-(メチルスルファニル)フェニルエステルとした後、この塩化メチレン溶液を、等量のメタクロロ過安息香酸で処理する事により、トリフルオロメタンスルホン酸 4-ホルミル-2-(メチルスルフィニル)フェニルエステルを得た。FAB-MS:317 (M+H)+
参考例4:参考例1の生成物を塩化メチレン中、2当量のメタクロロ過安息香酸で処理する事により、2-[4-(メトキシメトキシ)-3-(メチルスルホニル)フェニル]-5,5-ジメチル-1,3-ジオキソランを得た。FAB-MS:331 (M+H)+
参考例5: 2-モルホリン-4-イルフェノールのアセトン溶液に、ジメチルチオカルバミン酸クロリドと炭酸カリウムを加え100℃で反応させることにより、O-(2-モルホリン-4-イルフェニル) ジメチルチオカルバマートを得た[FAB-MS:267 (M+H)+]。次いで、これをアルゴン雰囲気中、無溶媒下250℃で加熱した後、メタノール及び28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液を加え、加熱還流することにより、2-モルホリン-4-イルベンゼンチオールを得た。FAB-MS:196 (M+H)+
【0025】
参考例6:4-(2-アミノエチル)ピペラジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステルをピリジン中、無水酢酸と反応させた後、減圧下で濃縮し、次いでトリフルオロ酢酸で処理する事により、N-(2-ピペラジン-1-イルエチル)アセトアミド 二トリフルオロ酢酸塩を得た。FAB-MS:172 (M+H)+
参考例7:ピペラジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステルとN-(2-クロロエチル)フタルイミドを、DMF溶液中、炭酸カリウム及びヨウ化ナトリウムの存在下で反応させた後、生成物を塩酸塩として結晶化させることにより、2-(2-ピペラジン-1-イルエチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン 二塩酸塩を得た。FAB-MS:260 (M+H)+
参考例8:2,3-ジクロロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドを、ピリジン中でトリフルオロメタンスルホン酸無水物と反応させて製造したトリフルオロメタンスルホン酸 2,3-ジクロロ-4-ホルミルフェニルエステルを、アセトニトリル中、N,N-ジイソプロピルエチルアミン存在下、室温で2-イソプロピルベンゼンチオールと反応させることにより、2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンズアルデヒドを得た。FAB-MS:325 (M+H)+
参考例9:{2-[(2,3-ジクロロ-4-ホルミルフェニル)スルファニル]フェニル}酢酸のベンゼン/メタノール溶液を、2Mトリメチルシリルジアゾメタン/ヘキサン溶液で処理することにより、{2-[(2,3-ジクロロ-4-ホルミルフェニル)スルファニル]フェニル}酢酸 メチルエステルを得た。FAB-MS:355 (M+H)+
参考例10:2,3-ジクロロ-4-[(2-ヒドロキシフェニル)スルファニル]ベンズアルデヒドのDMF溶液を、炭酸カリウム存在下、ブロモ酢酸 t-ブチルエステルと反応させる事により、{2-[(2,3-ジクロロ-4-ホルミルフェニル)スルファニル]フェノキシ}酢酸 t-ブチルエステルを得た。FAB-MS:413 (M+H)+
【0026】
参考例11:2,3-ジクロロ-4-{[2-(ヒドロキシメチル)フェニル]スルファニル}ベンズアルデヒドをDMF中、t-ブチル(クロロ)ジメチルシラン及びイミダゾールで処理する事により、4-{[2-({[t-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)フェニル]スルファニル}-2,3-ジクロロベンズアルデヒドを得た。FAB-MS:426 (M-H)-
参考例12:4-[(3-ブロモフェニル)スルファニル]-2,3-ジクロロベンズアルデヒド、エチレングリコール及び触媒量のp-トルエンスルホン酸のベンゼン溶液を、脱水条件下で加熱還流してアセタール化した後、生成物をトルエン中、炭酸セシウム、触媒量の1,1'-ビナフタレン-2,2'-ジイルビス(ジフェニルホスフィン)及び酢酸パラジウムの存在下、ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステルと100℃で反応させ、1-(3-{[2,3-ジクロロ-4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]スルファニル}フェニル)ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステルとした。これをアセトン中、濃硫酸で処理してアセタールの加水分解を行うことにより、1-{3-[(2,3-ジクロロ-4-ホルミルフェニル)スルファニル]フェニル}ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステルを得た。FAB-MS:438 (M+H)+
参考例13:参考例12と同様にして、1-{3-[(2,3-ジクロロ-4-ホルミルフェニル)スルファニル]フェニル}ピペリジン-3-カルボン酸 エチルエステルを製造した。FAB-MS:438 (M+H)+
参考例14:2,3-ジクロロ-4-{[2-(ヒドロキシメチル)フェニル]スルファニル}ベンズアルデヒドをDMF溶液中、臭化リチウム及び三臭化リンと反応させた後、生成物をN,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、モルホリンと反応させることにより、2,3-ジクロロ-4-{[2-(モルホリン-4-イルメチル)フェニル]スルファニル}ベンズアルデヒドを得た。FAB-MS:382 (M+H)+
参考例15:参考例14と同様にして、2,3-ジクロロ-4-({2-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}スルファニル)ベンズアルデヒドを製造した。FAB-MS:339 (M+H)+
【0027】
参考例16:2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンズアルデヒドをピリジン溶液中、触媒量のピペリジン存在下、マロン酸と110℃で反応させることにより、(2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}アクリル酸を得た。FAB-MS:365 (M-H)-
参考例17:(2E)-3-(2,3,4-トリフルオロフェニル)アクリル酸 メチルエステルと2-イソプロピルベンゼンチオールを、参考例8と同様の条件下で反応させて得られた生成物を、1M水酸化ナトリウム水溶液で処理することにより、(2E)-3-{2,3-ジフルオロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}アクリル酸を製造した。FAB-MS:333 (M-H)-
参考例18:ホスホノ酢酸トリエチルをTHF中、水素化ナトリウムで処理した後、4-{[2-({[t-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)フェニル]スルファニル}-2,3-ジクロロベンズアルデヒドと反応させる事により、(2E)-3-(4-{[2-({t-ブチル(ジメチル)シリル}オキシ}メチル)フェニル}スルファニル}-2,3-ジクロロフェニル)アクリル酸 エチルエステルを得た。FAB-MS:496 (M-H)-
参考例19:(2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}アクリル酸を、トリエチルアミン存在下、クロロギ酸エチルと反応させた後、反応液を濾過し、濾液に水素化ホウ素ナトリウム及びメタノールを加えて還元反応を行うことにより、(2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-オールを得た。EI-MS:352 (M)+
参考例20:J. Org. Chem., 49: 1079, 1984記載の方法に従って4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドをリチオ化した後、ヘキサクロロエタンを加えてクロル化を行い、次いで参考例16及び参考例19と同様の反応を逐次行った後、生成物を分離精製して位置異性体(2E)-3-{2-クロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル}プロプ-2-エン-1-オール[FAB-MS:387 (M+H)+]及び(2E)-3-{2-クロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル}プロプ-2-エン-1-オール[FAB-MS:387 (M+H)+]を各々得た。
【0028】
参考例21:参考例18の生成物をTHF溶液中、1.0M水素化ジイソブチルアルミニウム/THF溶液で処理して還元反応を行う事により、(2E)-3-(4-{[2-({[t-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)フェニル]スルファニル}-2,3-ジクロロフェニル)プロプ-2-エン-1-オールを得た。FAB-MS:455 (M+H)+
参考例22:参考例19の生成物を塩化メチレン中、酸化マンガンで処理する事により、(2E)-3-{2,3-ジクロロフェニル-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}アクリルアルデヒドを得た。FAB-MS:351 (M+H)+
参考例23:参考例8の生成物をメタノール中、水素化ホウ素ナトリウムで処理する事により、{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}メタノールを得た。EI-MS:326 (M)+
参考例24:(2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}アクリル酸をメタノール溶液中、触媒量の5%ルテニウム炭素及び活性炭の存在下、接触水素還元を行う事により、3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロピオン酸を得た。EI-MS:368 (M)+
参考例25:参考例24の生成物とピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステルを、DMF中、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及びN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N'-エチルカルボジイミド 塩酸塩(WSC・HCl)存在下縮合し、1-(3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロパノイル)ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステルを得た。FAB-MS:508 (M+H)+
【0029】
参考例26:参考例23の生成物をエチルエーテル中、三臭化リンを用いてブロム化を行う事により、1-(ブロモメチル)-2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンゼンを得た。FAB-MS:389 (M+H)+
参考例27:参考例19の生成物を原料として、J. Org. Chem., 36: 3044, 1971記載の方法に従って、2,3-ジクロロ-1-[(1E)-3-クロロプロプ-1-エン-1-イル]-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンゼンを製造した。EI-MS:370 (M)+
参考例28:(2E)-3-(4-{[2-({[t-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)フェニル]スルファニル}-2,3-ジクロロフェニル)アクリルアルデヒドと1-アセチルピペラジンの塩化メチレン溶液を、NaBH(OAc)3で処理する事により1-アセチル-4-[(2E)-3-(4-{[2-({[t-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)フェニル]スルファニル}-2,3-ジクロロフェニル)プロプ-2-エン-1-イル]ピペラジンを得た。FAB-MS:565 (M+H)+
参考例29:1-アセチルピペラジンの2-プロパノール溶液に、2,3-ジクロロ-4-[(3-メトキシフェニル)スルファニル]ベンズアルデヒド、臭化(2-クロロエチル)トリフェニルホスホニウム、ヨウ化テトラ n-ブチルアンモニウム、炭酸カリウムを加え、加熱還流を行う事により、1-アセチル4-(3-{2,3-ジクロロ-4-[(3-メトキシフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)ピペラジンを、E体及びZ体の混合物として得た。FAB-MS:451 (M+H)+
参考例30:参考例28の生成物をTHF溶液中、フッ化テトラ n-ブチルアンモニウムで処理する事により、[2-({4-[(1E)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロプ-1-エン-1-イル]-2,3-ジクロロフェニル}スルファニル)フェニル]メタノールを得た。FAB-MS:451 (M+H)+
【0030】
参考例31:参考例30と同様にして、1-[(2E)-3-(2,3-ジクロロ-4-{[3-(ヒドロキシメチル)フェニル]スルファニル}フェニル)プロプ-2-エン-1-イル]ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステルを製造した。FAB-MS:480 (M+H)+
参考例32:参考例30の生成物を用い、参考例14と同様にして、1-[2-({4-[(1E)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロプ-1-エン-1-イル]-2,3-ジクロロフェニル}スルファニル)ベンジル]ピペリジン-3-カルボン酸 エチルエステルを製造した。FAB-MS:590 (M+H)+
参考例33:4-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)ピペラジン-1-カルボン酸 t-ブチルエステルを、4M塩化水素/酢酸エチル溶液で処理する事により、1-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)ピペラジン 二塩酸塩を得た。FAB-MS:421 (M+H)+
参考例34:1-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)ピペラジン 二塩酸塩と(4S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-カルボン酸を原料として、参考例25と同様にして、1-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)-4-{[(4S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]カルボニル}ピペラジンを製造した。FAB-MS:549 (M+H)+
参考例35:1-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(3-メトキシフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステルを、塩化メチレン中、1M三臭化ホウ素/塩化メチレン溶液で処理して1-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(3-ヒドロキシフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステルを得た。FAB-MS:466 (M+H)+
【0031】
参考例36:参考例35の生成物を、DMF中、炭酸カリウムの存在下1,3-ジオキソラン-2-オンと反応させる事により、1-[(2E)-3-(2,3-ジクロロ-4-{[3-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルファニル}フェニル)プロプ-2-エン-1-イル]ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステルを得た。FAB-MS:510 (M+H)+
参考例37:参考例35の生成物を、参考例36と同様の条件下でブロモ酢酸エチルと反応させる事により、1-[(2E)-3-(2,3-ジクロロ-4-{[3-(2-エトキシ-2-オキソエトキシ)フェニル]スルファニル}フェニル)プロプ-2-エン-1-イル]ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステルを得た。FAB-MS:552 (M+H)+
参考例38:3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジル}イミダゾリジン-2,4-ジオンをDMF中、水素化ナトリウム及びブロモ酢酸エチルと反応させて(3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジル}-2,4-ジオキソイミダゾリジン-1-イル)酢酸 エチルエステルを得た。FAB-MS:495 (M+H)+
参考例39:参考例38と同様にして、[3-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)-2,4-ジオキソイミダゾリジン-1-イル]酢酸 エチルエステルを製造した。FAB-MS:521 (M+H)+
参考例40:参考例23の生成物を、塩化メチレン中、ピリジン存在下、クロロギ酸 4-ニトロフェニルエステルと反応させた後、得られた生成物を塩化メチレン中で、ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステルと反応させる事により、1-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジル} 4-エチル ピペリジン-1,4-ジカルボキシラートを得た。FAB-MS:510 (M+H)+
【0032】
参考例41:4-オキソピペリジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジルエステルとグリシン t-ブチルエステル 塩酸塩を原料として、参考例28と同様にして4-[(2-t-ブトキシ-2-オキソエチル)アミノ]ピペリジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジルエステルを製造した。FAB-MS:567 (M+H)+
参考例42: 4-{[2-({[t-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)フェニル]スルファニル}-2,3-ジクロロベンジル 4-[2-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)エチル]ピペラジン-1-カルボキシラートを、ヒドラジン一水和物で処理してアミノ体とした後、これをピリジン中、無水酢酸で処理して4-[2-(アセチルアミノ)エチル]ピペラジン-1-カルボン酸 4-{[2-({[t-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)フェニル]スルファニル}-2,3-ジクロロベンジルエステルを得た。FAB-MS:626 (M+H)+
参考例43:4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-{[2-(ヒドロキシメチル)フェニル]スルファニル}ベンジルエステルを原料として、参考例22と同様にして4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(2-ホルミルフェニル)スルファニル]ベンジルエステルを製造した。FAB-MS:469 (M+H)+
参考例44:参考例8の生成物と1-(1-トリチル-1H-イミダゾール-4-イル)エタノンを、2M水酸化ナトリウム水溶液とエタノールの混合液中で縮合し、(2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}-1-(1-トリチル-1H-イミダゾール-4-イル)プロプ-2-エン-1-オンを得た。FAB-MS:659 (M+H)+
参考例45:参考例8の生成物と1-(1H-ピロール-3-イル)エタノンをナトリウム メトキシド存在下縮合して得られたアルドール体を、p-トルエンスルホン酸存在下脱水することにより、(2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}-1-(1H-ピロール-3-イル)プロプ-2-エン-1-オンを得た。FAB-MS:416 (M+H)+
【0033】
参考例46:参考例45の生成物をWilkinson触媒存在下、水素雰囲気下4気圧で還元する事により、3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}-1-(1H-ピロール-3-イル)プロパン-1-オンを得た。FAB-MS:418 (M+H)+
参考例47:参考例46の生成物を、カリウム t-ブトキシド存在下、ブロモ酢酸エチルでアルキル化し、[3-(3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロパノイル)-1H-ピロール-1-イル]酢酸 エチルエステルを得た。FAB-MS:504 (M+H)+
【0034】
参考例8と同様にして48〜78を、参考例11と同様にして79〜80を、参考例16と同様にして81〜98を、参考例18と同様にして99〜100を、参考例19と同様にして101〜105及び108〜120を、参考例21と同様にして121〜122を、参考例22と同様にして106〜107及び123〜137を、参考例23と同様にして138〜150を、参考例28と同様にして151〜157及び161〜176を、参考例40と同様にして158〜160及び177〜185を製造した。これらの構造式及び物理化学的性状を、後記表1〜表11に示す。
【0035】
実施例1:(2E)-3-{2,3-ジクロロフェニル-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}アクリルアルデヒド200 mg、3-ピペラジン-1-イルプロパン-1,2-ジオール183 mg、1,2-ジクロロエタン3 ml、NaBH(OAc)3 254 mgの混合物を室温で30分間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/10)で精製し、得られた油状物を酢酸エチルに溶解し、4M塩化水素/酢酸エチル溶液を加えた後、溶媒を留去した。残渣をメタノールと水の混合液から再結晶して、3-[4-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)ピペラジン-1-イル]プロパン-1,2-ジオール 二塩酸塩113 mgを無色結晶として得た。
実施例2:2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンズアルデヒド494 mgの2-プロパノール25 ml溶液に1-アセチルピペラジン195 mg、臭化(2-クロロエチル)トリフェニルホスホニウム617 mg、ヨウ化テトラ n-ブチルアンモニウム112 mg及び炭酸カリウム1.05 gを室温で加え、20時間加熱還流した。反応終了後、溶媒を留去し、残渣に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した(以後、常法による処理と略す)。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=2/98)で精製した。得られた油状物を酢酸エチルに溶解し、4M塩化水素/酢酸エチル溶液を加えた後、溶媒を留去した。残渣をエタノールから再結晶して、1-アセチル-4-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロパ-2-エン-1-イル)ピペラジン 塩酸塩84 mgを無色結晶として得た。
実施例3:原料として2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンズアルデヒド1171 mgと2-ピペラジン-1-イルエタノール622 mgを用い、実施例2と同様に反応を行った後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=2/98〜10/90)で精製し、高極性生成物623mgと低極性生成物132mgを得た。このうち、高極性生成物310mgを用いて、実施例2と同様に4M塩化水素/酢酸エチル溶液で処理した後に、メタノールから再結晶して、2-[4-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロパ-2-エン-1-イル)ピペラジン-1-イル]エタノール 二塩酸塩194mgを無色結晶として得た。
【0036】
実施例4:実施例3において、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる分離精製後に得られた低極性生成物132mgを用い、実施例3と同様にして2-[4-((2Z)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロパ-2-エン-1-イル)ピペラジン-1-イル]エタノール 二塩酸塩104mgを無色結晶として得た。
実施例5:2,3-ジクロロ-1-[(1E)-3-クロロプロプ-1-エン-1-イル]-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンゼン3.77gのアセトン80ml溶液に、ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステル1.62mlと炭酸カリウム1.41gを加え、室温下一晩攪拌し、更にピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステル0.54mlと炭酸カリウム0.47gを加えて一日攪拌した。常法による処理を行った後、シリカゲルカラムクロマトグラフフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/1)により精製して、1-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロパ-2-エン-1-イル)ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステル3.72gを淡黄色固体として得た。
実施例6:ヒダントイン31 mgをDMF1.5 mlに溶解し、炭酸カリウム31 mgを加えて30分間撹拌した後、1-(ブロモメチル)-2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンゼン111 mgのDMF1.5ml溶液を加え、室温にて14時間撹拌した。常法による処理を行った後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製して、3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジル}イミダゾリジン-2,4-ジオン102 mgを得た。
【0037】
実施例7:{2,3-ジクロロ-4-[(3,4-ジメトキシフェニル)スルファニル]フェニル}メタノール0.61 g、ピリジン0.13 ml、塩化メチレン5.0 mlの混合物に、クロロギ酸 4-ニトロフェニルエステル363 mgを加え、14時間攪拌後、反応液を濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルで洗浄し、2,3-ジクロロ-4-[(3,4-ジメトキシフェニル)スルファニル]ベンジル 4-ニトロフェニル カルボナート886 mgを得た。本化合物200 mgのDMF1.0 ml溶液にN-(2-ピペラジン-1-イルエチル)アセトアミド 二トリフルオロ酢酸塩155 mg及びトリエチルアミン0.14 mlを加え、室温で7時間攪拌した。反応液をクロロホルムで希釈した後、MP-carbonate(アルゴノートテクノロジー社)1.00gを加えて30分間攪拌してから濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/20)で精製し、得られた固体を酢酸エチルとメタノールの混合液に溶解し、4M塩化水素/酢酸エチル溶液を加えた。溶媒を留去して得られた残渣をアセトニトリルとメタノールの混合液から再結晶して、4-[2-(アセチルアミノ)エチル]ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(3,4-ジメトキシフェニル)スルファニル]ベンジルエステル 塩酸塩60 mgを無色結晶として得た。
実施例8:1-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジル} 4-エチル ピペリジン-1,4-ジカルボキシラート176 mgのエタノール1.5 mL溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液414 μlを加え、室温にて6時間撹拌した。反応液に1M塩酸を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製して、1-[({2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジル}オキシ)カルボニル]ピペリジン-4-カルボン酸130 mgを無色非晶性固体として得た。
実施例9:1-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)ピペリジン-3-カルボン酸 エチルエステル277mg、アセトン5.6ml、2M塩酸11.2mlの混合物を50℃の油浴中で一日攪拌した後、更に2M塩酸5.6mlを加えて一日攪拌した。放冷後、析出した固体を濾取し、少量の氷水で洗浄後乾燥して、1-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)ピペリジン-3-カルボン酸 塩酸塩258mgを淡褐色固体として得た。
【0038】
実施例10:[2-({2,3-ジクロロ-4-[(1E)-3-オキソプロプ-1-エン-1-イル]フェニル}スルファニル)フェノキシ]酢酸 t-ブチルエステル410 mg、1-アセチルピペラジン155 mg、酢酸0.22 ml及び1,2-ジクロロエタン3 mlの混合物を室温で1時間撹拌した後、NaBH(OAc)3 403 mgを加え、室温で3日間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液3 mlを加え、生成物をクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮し[2-({4-[(1E)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロプ-1-エン-1-イル]-2,3-ジクロロフェニル}スルファニル)フェノキシ]酢酸 t-ブチルエステルの粗生成物を得た。得られた粗生成物を塩化メチレン5 mlに溶解し、トリフルオロ酢酸2 mlを加えて2時間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)で精製した後、4M塩化水素/酢酸エチル溶液1 mlを加え、減圧下で濃縮した。得られた残渣をアセトニトリルとメタノールの混合液から再結晶して[2-({4-[(1E)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロプ-1-エン-1-イル]-2,3-ジクロロフェニル}スルファニル)フェノキシ]酢酸 塩酸塩113 mgを無色結晶として得た。
実施例11:1-アセチル-4-(3-{2,3-ジクロロ-4-[(3-メトキシフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)ピペラジン670 mgの塩化メチレン10 ml溶液に-78℃にて、1M三臭化ホウ素/塩化メチレン溶液3.27 mlを滴下し、室温にて16時間撹拌した。常法による処理を行った後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=3/97〜7/93)で精製した。得られた固体を酢酸エチル2 mlに溶解し、4M塩化水素/酢酸エチル溶液1 mlを加えた後、溶媒を留去した。得られた残渣をエタノールと酢酸エチルの混合液から再結晶して、3-({4-[(1E)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロプ-1-エン-1-イル]-2,3-ジクロロフェニル}スルファニル)フェノール 塩酸塩123 mgを無色結晶として得た。
実施例12:2-({4-[(1E)-3-(4-アセチルピペラジン-1-イル)プロプ-1-エン-1-イル]-2,3-ジクロロフェニル}スルファニル)フェノール236 mgのDMF2 ml溶液に、1,3-ジオキソラン-2-オン106 mgを加え、100℃で14時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トリエチルアミン/メタノール/クロロホルム=1/10/200)で精製した後、4M塩化水素/酢酸エチル溶液1mlを加え、減圧下で濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルとエタノールの混合液から再結晶して2-[2-({4-[(1E)-3-(4-アセチルピぺラジン-1-イル)プロプ-1-エン-1-イル]-2,3-ジクロロフェニル}スルファニル)フェノキシ]エタノール 塩酸塩126 mgを無色結晶として得た。
【0039】
実施例13:t-ブチル 2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジル ピペラジン-1,4-ジカルボキシラート1.0 gのジオキサン5 ml溶液に、4M塩化水素/酢酸エチル溶液を1 ml加え、室温で5時間撹拌した後減圧下で濃縮し、ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジルエステル 塩酸塩700 mgを無色非晶性固体として得た。
実施例14:1-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)ピペラジン 二塩酸塩237 mg、グリコール酸41 mg、DMF 4 mlの混合物に、トリエチルアミン134 μl、WSC・HCl 102 mg、HOBt 72 mgを加え、室温で一晩攪拌した。常法による処理を行った後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム〜メタノール/クロロホルム=1/99)で精製した後、酢酸エチルに溶解して4M塩化水素/酢酸エチル溶液を加え、減圧下で濃縮した。得られた残渣をアセトニトリルとメタノールの混合液から再結晶して、2-[4-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)ピペラジン-1-イル]-2-オキソエタノール 塩酸塩113 mgを無色結晶として得た。
実施例15:4-{2-[(t-ブトキシカルボニル)アミノ]エチル}ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジルエステル138 mgの塩化メチレン2 ml溶液に、氷冷下トリフルオロ酢酸0.5 mlを加え、30分間攪拌した。減圧下濃縮して得られた残渣をピリジン2 mlに溶解し、氷冷下無水酢酸0.28 mlを加えた。室温で1時間攪拌した後水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を1M塩酸と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/99〜1/10)で精製した後、4M塩化水素/酢酸エチル溶液1mlを加え、減圧下で濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルとメタノールの混合液から再結晶して、4-[2-(アセチルアミノ)エチル]ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジルエステル 塩酸塩40 mgを無色結晶として得た。
【0040】
実施例16:ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジルエステル 塩酸塩150 mgの塩化メチレン5 ml溶液に、トリエチルアミン0.07 ml、アセトキシ酢酸クロリド55 mgの順で加え、室温で12時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1〜2/1)で精製することにより4-[(アセトキシ)アセチル]ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジルエステル109 mgを無色非晶性固体として得た。
実施例17:ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジルエステル 塩酸塩100 mgの塩化メチレン5 ml溶液に、トリエチルアミン0.07 ml、メタンスルホン酸クロリド0.045 mlの順で加え、室温で11時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製することにより4-(メタンスルホニル)ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジルエステル81 mgを無色非晶性固体として得た。
実施例18:4-{[(4S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]カルボニル}ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジルエステル112 mgのメタノール2 ml溶液に、4M塩化水素/酢酸エチル溶液を0.1 ml加え、室温で2時間撹拌した後減圧下で濃縮し、4-[(2S)-2,3-ジヒドロキシプロパノイル]ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジルエステル105 mgを無色非晶性固体として得た。
【0041】
実施例19:(2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}-1-(1-トリチル-1H-イミダゾール-4-イル)プロプ-2-エン-1-オン1.10gの酢酸60 ml溶液に酸化白金150 mgを加え、水素雰囲気下4気圧で、室温にて4日間攪拌した。減圧下濃縮後、クロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、不溶物を濾去してから有機層を分液し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製して、3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}-1-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパン-1-オン275 mgを淡黄色非晶性固体として得た。
実施例20:1-アセチル-4-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロプ-2-エン-1-イル)ピペラジン250mgを、メタノール10ml中、濃塩酸0.2ml及び酸化白金64mgの存在下、接触水素還元を行った後、実施例19と同様の後処理を行った。得られた残渣を4M塩化水素/酢酸エチル溶液で処理した後、酢酸エチルとエタノールの混合液から再結晶して、1-アセチル-4-((2E)-3-{2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]フェニル}プロピル)ピペラジン 塩酸塩45mgを無色結晶として得た。
実施例21:4-[2-(アセチルアミノ)エチル]ピペラジン-1-カルボン酸 4-{[2-({[t-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)フェニル]スルファニル}-2,3-ジクロロベンジルエステル417 mgのTHF10 ml溶液に、フッ化テトラ n-ブチルアンモニウム 三水和物231 mgを加え、室温にて20分間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/99〜6/94)で精製した後、酢酸エチルに溶解して4M塩化水素/酢酸エチル溶液を加え、減圧下濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルとエタノールの混合液から再結晶して、4-[2-(アセチルアミノ)エチル]ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-{[2-(ヒドロキシメチル)フェニル]スルファニル}ベンジルエステル170 mgを得た。
【0042】
実施例22:4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(2-ホルミルフェニル)スルファニル]ベンジルエステル300 mgのDMF2 ml溶液に、ホスホノ酢酸トリエチル180 mg、炭酸カリウム140 mgを加え、室温で11時間撹拌した。常法による処理を行った後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)で精製し、4M塩化水素/酢酸エチル溶液1 mlを加え、減圧下で濃縮し4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-({2-[(1E)-3-エトキシ-3-オキソプロプ-1-エン-1-イル]フェニル}スルファニル)ベンジルエステル 塩酸塩205 mgを無色非晶性固体として得た。
実施例23:4-オキソピペリジン-1-カルボン酸 2,3-ジクロロ-4-[(2-イソプロピルフェニル)スルファニル]ベンジルエステルとN-(2-アミノエチル)アセタミドを原料として、実施例1と同様にして実施例23の化合物を製造した。
【0043】
以上の実施例と同様にして実施例24〜200の化合物を製造した。それらの構造式と物理化学的性状を、後記表12〜表29に示す。又、後記表30〜表33の化合物は前記実施例や製造法に記載の方法とほぼ同様にして、或いはそれらの方法より当業者に自明な若干の変法を適用することにより、容易に製造することができる。
【0044】
なお、表中の記号は以下の意味を有する。置換基の前の数字は置換位置を示し、数字が複数個あるものは複数の置換を示す。例えば、2,3-Cl2は2,3-ジクロロを示す。但し、3,4-O(CH2)2O-は3位及び4位で架橋したエチレンジオキシ基を示す。
Me:メチル、Et:エチル、iPr:イソプロピル、tBu:t-ブチル、Ac:アセチル、TBS:t-ブチルジメチルシリル、Boc:t-ブトキシカルボニル、REx:参考例番号、Ex:実施例番号、Cmp:化合物番号、Syn:製造法(数字は同様に製造した実施例番号を示す。)、Sal:塩(無記載:フリー体;HCl:塩酸塩;Oxa:シュウ酸塩;数字は酸成分のモル比を示し、例えば、2HClは二塩酸塩を意味する。)、Dat:物理化学的性状(FP:FAB-MS(M+H)+、FN:FAB-MS(M-H)-、EI:EI-MS(M)+、ESI:ESI-MS(M+H)+)、EA:元素分析値(%)(Cal:計算値;Fnd:実測値)、NMR1:核磁気共鳴スペクトル(DMSO-d6, TMS内部標準)の代表的なピークのδ値、NMR2:核磁気共鳴スペクトル(CDCl3, TMS内部標準)の代表的なピークのδ値)。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
【表5】

【0050】
【表6】

【0051】
【表7】

【0052】
【表8】

【0053】
【表9】

【0054】
【表10】

【0055】
【表11】

【0056】
【表12】

【0057】
【表13】

【0058】
【表14】

【0059】
【表15】

【0060】
【表16】

【0061】
【表17】

【0062】
【表18】

【0063】
【表19】

【0064】
【表20】

【0065】
【表21】

【0066】
【表22】

【0067】
【表23】

【0068】
【表24】

【0069】
【表25】

【0070】
【表26】

【0071】
【表27】

【0072】
【表28】

【0073】
【表29】

【0074】
【表30】

【0075】
【表31】

【0076】
【表32】

【0077】
【表33】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で示されるスルフィド誘導体又はその製薬学的に許容される塩。
【化1】

A:アリール又はヘテロ環基;
R1:同一又は互いに異なって、-H、-R0、ハロゲン、-OH、-O-R0、-O-CO-NR4-R0、-NH2、-NO2、-NR4-R0、-S-R0、-SO-R0、-SO2-R0、-CO-R0、-CHO、-CN、-CO-NH2、-CO-NR4-R0、-CO2H、-CO2-R0、-CO-NH-OH、-SO3H、-SO2-NH2、-SO2-NR4-R0、-NR4-CO-R0、-NR4-SO2-R0、置換されていてもよいシクロアルキル、-低級アルケニレン-CO2-R0、-低級アルケニレン-CO2H、-低級アルケニレン-CO-NH2、-低級アルケニレン-CO-NR4-R0、-低級アルケニレン-CO-置換されていてもよいヘテロ環、置換されていてもよいヘテロ環、-CO-置換されてもよいヘテロ環、-O-置換されてもよいヘテロ環、-NR4-置換されてもよいヘテロ環、-NR4-CO-置換されてもよいヘテロ環、-CO-NR4-置換されてもよいヘテロ環、-S-置換されてもよいヘテロ環、-NR4-SO2-置換されてもよいヘテロ環、置換されていてもよいアリール、-CO-置換されてもよいアリール、-O-置換されてもよいアリール、-NR4-置換されてもよいアリール、-NR4-CO-置換されてもよいアリール、-CO-NR4-置換されてもよいアリール、-S-置換されてもよいアリール又は-NR4-SO2-置換されてもよいアリール;
R0:同一若しくは互いに異なって、置換されていてもよい低級アルキル;
R4:同一若しくは互いに異なって、-H又は置換されていてもよい低級アルキル;
R00:同一若しくは互いに異なって、-OH又は-O-低級アルキルで置換されていてもよい低級アルキレン;
n:1、2又は3;
R2及びR3:同一又は互いに異なって、-H、-R0、ハロゲン、-CN、-NO2、-O-R0、-S-R0、-SO-R0又は-SO2-R0、但しR2及びR3が同時に-Hではない;
X:-R00-、低級アルケニレン、-R00-O-CO-、-R00-O-CO-NR4-、-R00-O-CO-NR4-R00-、-R00-CO-、低級アルケニレン-NR4-、低級アルケニレン-NR4-R00-又は低級アルケニレン-NR4-CO-;
B:置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、又は置換されていてもよいヘテロ環基;
Y:単結合、-R00-、-CO-R00-、-NR4-R00-、-O-R00-、-CO2-R00-、-CO-NR4-R00-、-NR4-CO-R00-又は-R00-O-R00-;及び
Z:-H、-R0、-CO2H、-CO-NH2、-CO2-R0、-CHO、-CO-NH-OH、-C(NH)-NH2、-SO3H、-SO2-R0、-SO2-NH2、-SO2-NR4-R0-PO(OR4)2、-O-PO(OR4)2、-CN、-OH、-O-R0、-NH2、-NR4-R0、-NH-C(NH)-NH2、-NR4-CO-R0、-NR4-SO2-R0、-NR4-CO-NH2、-NR4-CO-NR4-R0、-NR4-CO-NR4-R0、-NR4-SO2-NH2、-O-CO-NR4-R0、-CO-NR4-R0、-CO-R0、-O-CO-R0、-CO-CO2H、置換されていてもよいヘテロ環、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、-CO-置換されていてもよいヘテロ環、-CO-置換されていてもよいアリール、-CO-NR4-置換されていてもよいヘテロ環、-CO-NR4-置換されていてもよいアリール、-CO-O-置換されていてもよいヘテロ環、-SO2-置換されていてもよいヘテロ環、-O-CO-置換されていてもよいヘテロ環、-O-置換されていてもよいヘテロ環、-NR4-置換されていてもよいヘテロ環、-NR4-CO-置換されていてもよいヘテロ環、-NR4-SO2-置換されていてもよいヘテロ環及び-SO2-NR4-置換されていてもよいヘテロ環。)
【請求項2】
Xが低級アルケニレン、-R00-O-CO-、-R00-O-CO-NR4-又は-R00-O-CO-NR4-R00-;
R1が同一又は互いに異なって、-H、-R0、ハロゲン、-O-R0、-NR4-CO-R0、置換されていてもよいヘテロ環、又は-R00-置換されていてもよいヘテロ環;
R2及びR3が同一又は互いに異なって、-H、低級アルキル、ハロゲン、-CN、-NO2又はハロゲンで置換された低級アルキル、但しR2及びR3が同時に-Hではない;及び
Bがフェニレン、テトラヒドロピランジイル又は下式(i)〜(iv)から選択される基
【化2】

(ここにk:0、1又は2;
q:0、1又は2;
m:1又は2;
R5及びR6:同一又は互いに異なって、-H又は低級アルキル、或いはR5及びR6が一体となってオキソ基を形成してもよく、或いはR5及びR6が一体となってヘテロ原子で中断されていてもよい低級アルキレンとして、Bが架橋環又はスピロ環を形成してもよい);
である、請求項1記載のスルフィド誘導体又はその製薬学的に許容される塩。

【公開番号】特開2007−186422(P2007−186422A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−19666(P2004−19666)
【出願日】平成16年1月28日(2004.1.28)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】