説明

アリールスルホニルナフタレン誘導体およびその使用

本出願は、式I[式中:mは0〜3であり;qは0〜3であり;Arは場合により置換されているアリールまたは場合により置換されているヘテロアリールであり;R1およびR7は、それぞれ独立してハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ヘテロアルキル、シアノ、−S(O)−Ra、−C(=O)−NRbc、−SO2−NRbc、−N(Rd)−C(=O)−Re、または−C(=O)−Rfであり(式中、tは0〜iであり、Ra、Rb、Rc、RdおよびReはそれぞれ独立して水素またはアルキルであり、かつRfは、水素、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシである);R2は(II)である(式中、nは1〜3である)]の化合物またはその薬学的に許容され得る塩に関するものである。この化合物は、5−ヒドロキシトリプタミン6および2Aレセプターのモデュレーターである。式Iの化合物を調製するための方法、それを含む組成物およびそれを使用するための方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリールスルホニルナフタレン化合物、ならびにそれに関連する組成物、それを治療剤として使用するための方法、およびその調製方法に関するものである。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、式I:
【化1】


[式中:
mは0〜3であり;
qは0〜3であり;
Arは、場合により置換されているアリールまたは場合により置換されているヘテロアリールであり;
1およびR7は、それぞれ独立してハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ヘテロアルキル、シアノ、−S(O)t−Ra、−C(=O)−NRbc、−SO2−NRbc、−N(Rd)−C(=O)−Re、または−C(=O)−Rfであり(式中、tは0〜2であり、Ra、Rb、Rc、RdおよびReは、それぞれ独立して水素またはアルキルであり、かつRfは、水素、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシである);
2は、
【化2】


である
(式中、nは1から3であり;
3およびR4は、それぞれ独立して水素もしくはアルキルであるか、またはR3およびR4は、一緒になって、=Oもしくは=NRz(Rzは水素またはアルキルである)を形成していてもよく;
かつR5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニルアルキル、もしくは場合により置換されているヘテロアリールであるか;あるいは
5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、アミジニル基、尿素基、グアニジニル基、または5員もしくは6員のヘテロアリールもしくはヘテロシクリル環(この環は、場合により置換されており、かつO、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含んでいる)を形成していてもよく;あるいは
5およびR6の一方ならびにR3およびR4の一方は、それらが結合している原子と一緒になって、O、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含んでいる5員または6員環を形成していてもよい)]の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0003】
本発明は、上述の化合物を調製する方法、使用する方法、およびその化合物を含む薬学的組成物もまた提供する。
【0004】
脳内の主要なモデュレーション性神経伝達因子としての5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)の作用は、5−HT1、5−HT2、5−HT3、5−HT4、5−HT5、5−HT6、および5−HT7と名付けられたいくつかのレセプターファミリーにより仲介される。脳内の高レベルの5−HT6レセプターmRNAに基づき、5−HT6レセプターは中枢神経系障害の病理および処置に役割を果たしうると言われている。特に、5−HT2選択的リガンドおよび5−HT6選択的リガンドは、ある種のCNS障害、例えばパーキンソン病、ハンチントン病、不安、うつ病、躁うつ病、精神病、てんかん、強迫性障害、気分障害、偏頭痛、アルツハイマー病(認知記憶の向上)、睡眠障害など、摂食障害、例えば食欲不振、過食および肥満など、パニック発作、静坐不能、注意欠陥多動性障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)、薬物乱用、例えばコカイン、エタノール、ニコチンおよびベンゾジアゼピンなどの乱用からの離脱、統合失調症の処置に、ならびに脊髄外傷および/または頭部損傷に関連する障害、例えば水頭症の処置にもまた潜在的に有用であると確認されている。このような化合物は、機能性腸障害などのある種の消化器(GI)障害の処置に有用であるともまた予想されている。例えば、B.L. Roth et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1994, 268, pages 1403-14120、D. R. Sibley et al., Mol. Pharmacol., 1993, 43, 320-327、A.J. Sleight et al., Neurotransmission, 1995, 11, 1-5、およびA. J. Sleight et al., Serotonin ID Research Alert, 1997, 2(3), 115-8を参照されたい。
【0005】
いくつかの5−HT6および5−HT2Aモデュレーターが開示されているが、5−HT6レセプター、5−HT2Aレセプター、またはその両方をモデュレーションするために有用な化合物は引き続き必要である。
【0006】
本発明は、アリールスルホニルナフタレン化合物、それに関連する組成物、それを治療剤として使用するための方法、およびその調製方法を提供する。
【0007】
本開示に引用する全ての刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0008】
定義
別に述べない限り、明細書および特許請求の範囲を含めた本出願に使用する以下の用語は、下に示す定義を有する。明細書および添付の特許請求の範囲に使用する単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに別のことを示さない限り複数の指示対象を含むことに留意せねばならない。
【0009】
「アゴニスト」は、別の化合物またはレセプター部位の活性を高める化合物を表す。
【0010】
「アンタゴニスト」は、別の化合物またはレセプター部位の作用を軽減または防止する化合物を表す。
【0011】
「アルキル」は、炭素および水素原子のみからなる一価の直鎖または分岐の飽和炭化水素部分であって、炭素原子1〜12個を有する飽和炭化水素部分を意味する。「低級アルキル」は、炭素原子1〜6個のアルキル基(すなわち「C1−C6アルキル」)を表す。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、n−ヘキシル、オクチル、ドデシルなどが挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0012】
「アルキレン」は、炭素原子1〜6個の直鎖飽和二価炭化水素基または炭素原子3〜6個の分岐飽和二価炭化水素基、例えば、メチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレンなどを意味する。
【0013】
「アルケニレン」は、炭素原子2〜6個の直鎖不飽和二価炭化水素基または炭素原子3〜6個の分岐飽和二価炭化水素基、例えば、エテニレン(−CH=CH−)、2,2−ジメチルエテニレン、プロペニレン、2−メチルプロペニレン、ブテニレン、ペンテニレンなどを意味する。
【0014】
「アルキルカルボニル」は、式−C(O)−Rの基(式中、Rは本明細書に定義するアルキルである)を意味する。
【0015】
「アルキルカルボニルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はアルキルカルボニルである)を意味する。
【0016】
「アルキルスルホニル」は、基−SO2−R(式中、Rは本明細書に定義するアルキルである)を意味する。
【0017】
「アルキルスルホニルアルキル」は、基−R−SO2−R’(式中、R’は本明細書に定義するアルキルであり、かつRはアルキレンである)を意味する。
【0018】
「アルキルスルホニルアルキルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はアルキルスルホニルアルキルである)を意味する。
【0019】
「アルキルスルホンアミドアルキル」は、式−R−NR’−SO2−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、R”はアルキルである)を意味する。
【0020】
「アルコキシ」は、基−OR(式中、Rは本明細書に定義するアルキルである)を意味する。アルコキシ部分の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどが挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0021】
「アルコキシカルボニル」は、式−C(O)−Rの基(式中、Rは本明細書に定義するアルコキシである)を意味する。
【0022】
「アルコキシカルボニルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はアルコキシカルボニルである)を意味する。
【0023】
「アルコキシカルボニルアルキル」は、式−R−C(O)−R’の基(式中、R’は本明細書に定義するアルコキシであり、かつRはアルキレンである)を意味する。
【0024】
「アルコキシカルボニルアルキルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はアルコキシカルボニルアルキルである)を意味する。
【0025】
「アルコキシアルキル」は、式−R−OR’の基(式中、R’は本明細書に定義するアルキルであり、かつRはアルキレンである)である。
【0026】
「アルコキシアルキルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はアルコキシアルキルである)を意味する。
【0027】
「アミノ」は、基−NRR’(式中、RおよびR’は、それぞれ独立して水素または本明細書に定義するアルキルである)を意味する。したがって、「アミノ」には「アルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」が含まれる。
【0028】
「アミジニル」は、式:
【0029】
【化3】

【0030】
の基(式中、各Rは、独立して水素または本明細書に定義するアルキルである)を意味する。「N−シアノアミジニル」は、式
【0031】
【化4】

【0032】
の基(式中、R’はシアノであり、かつRは水素または本明細書に定義するアルキルである)を意味する。
【0033】
「アミノスルホニル」は、基−SO2−R(式中、Rは−NR’−であり、かつR’は水素または本明細書に定義するアルキルである)を意味する。
【0034】
「アミジニルアルキル」は、基−R−R’(式中、R’はアミジニルであり、Rは本明細書に定義するアルキレンである)を意味する。
【0035】
「アミノアルキル」は、基−R−R’(式中、R’は本明細書に定義するアミノであり、Rはアルキレンである)を意味する。「アミノアルキル」には、アミノメチル、アミノエチル、1−アミノプロピル、2−アミノプロピルなどが挙げられる。「アミノアルキル」のアミノ部分をアルキルにより1または2回置換して、それぞれ「アルキルアミノアルキル」および「ジアルキルアミノアルキル」を提供することができる、「アルキルアミノアルキル」には、メチルアミノメチル、メチルアミノエチル、メチルアミノプロピル、エチルアミノエチルなどが挙げられる。「ジアルキルアミノアルキル」には、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、N−メチル−N−エチルアミノエチルなどが挙げられる。
【0036】
「アルキルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、R’は水素または本明細書に定義するアルキルであり、R”はアルキルであり、かつRはアルキレンである。「ジアルキルアミノアルキル」は、アルキルアミノアルキル(式中、R’はアルキルである)である。
【0037】
「アミノカルボニル」は、式−C(O)−Rの基(式中、Rは本明細書に定義するアミノである)を意味する。
【0038】
「アミノカルボニルアルキル」は、式−R−C(O)−R’の基(式中、R’は本明細書に定義するアミノであり、かつRはアルキレンである)を意味する。
【0039】
「アミノカルボニルアルキルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はアミノカルボニルアルキルである)を意味する。
【0040】
「アミノアルキルカルボニル」は、式−C(O)−R−R’の基(式中、R’はアミノであり、かつRは本明細書に定義するアルキレンである)を意味する。
【0041】
「アミノアルキルカルボニルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はアミノカルボニルアルキルである)を意味する。
【0042】
「アミノスルホンアミドアルキル」は、式−R−NR’−SO2−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はアミノである)を意味する。
【0043】
「アリール」は、単環式、二環式または三環式芳香環からなる一価環状芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は、本明細書に定義するように場合により置換されていることがある。アリール部分の例には、フェニル、ナフチル、ナフタレニル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル、オキシジフェニル、ビフェニル、メチレンジフェニル、アミノジフェニル、ジフェニルスルフィジル、ジフェニルスルホニル、ジフェニルイソプロピリデニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキシリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、ベンゾピペラジニル(benzopiperadinyl)、ベンゾピペラジニル(benzopiperazinyl)、ベンゾピロリジニル、ベンゾモルホリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニルなどがその部分水素化誘導体を含めて挙げられるが、それに限定されるわけではない。好ましいアリールはフェニルおよびナフチルであり、さらに好ましくはフェニルである。好ましい随意の置換基は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルスルホニル、およびシアノである。最も好ましい随意の置換基は、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、メタンスルホニルおよびシアノである。
【0044】
「アリーレン」は、二価アリール基(ここで、アリールは本明細書に定義する通りである)を意味する。「アリーレン」には、例えば、オルト−、メタ−およびパラ−フェニレン(それぞれ1,2−フェニレン、1,3−フェニレンおよび1,4−フェニレン)が挙げられ、これらは、本明細書に定義する通り場合により置換されていてもよい。
【0045】
「アリールアルキル」および「アラルキル」は、相互に置き換えて使用してもよく、基−R−R’(式中、Rは本明細書に定義するアルキレン基であり、かつR’はアリール基である)を意味し;例えば、ベンジル、フェニルエチル、3−(3−クロロフェニル)−2−メチルペンチルなどがアリールアルキルの例である。
【0046】
「シクロアルキル」は、単環または二環からなる飽和炭素環式部分を意味する。好ましくは、シクロアルキルは、3員〜7員飽和炭素環式部分を意味する。シクロアルキルは、一つまたは複数の置換基により場合により置換されていてもよく、ここで、各置換基は、別に具体的に示さない限り、独立してヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ、またはジアルキルアミノである。シクロアルキル部分の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが、シクロヘキセニル、シクロペンテニルなどのその部分不飽和誘導体を含めて挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0047】
「シクロアルキルアルキル」は、式−R−R’の部分(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、かつR’はシクロアルキルである)を意味する。
【0048】
「グアニジニル」は、式
【0049】
【化5】

【0050】
の基(式中、各Rは、独立して水素またはアルキルであり、R’は水素、アルキル、またはフェニルであり、かつR”は水素、アルキルまたはシアノである)を意味する。「グアニジニル」のフェニル部分は、本明細書に定義するように場合により置換されていてもよい。「N−シアノグアニジニル」は、グアニジニルについての式中のR”がシアノであることを意味する。
【0051】
「グアニジニルアルキル」は、基−R−R’(式中、R’は本明細書に定義するグアニジニルであり、かつRはアルキレンである)である。「N−シアノグアニジニルアルキル」は、R’が本明細書に定義するN−シアノグアニジニルであることを意味する。
【0052】
「グアニジニルカルボニルアルキル」は、式−R−C(O)−R’の基(式中、R’は本明細書に定義するグアニジニルであり、かつRはアルキレンである)を意味する。
【0053】
「ヘテロアルキル」は、1、2または3個の水素原子が、−ORii、−NRiiiiv、および−S(O)zv(式中、zは0〜2の整数である)からなる群より独立して選択される置換基に交換されている、本明細書に定義するアルキル基を意味し、ヘテロアルキル基の結合点は、炭素原子を介することが了解されており、式中、Riiは、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり;RiiiおよびRivは、相互に独立して水素、アシル、アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり;かつzが0の場合に、Rvは水素、アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり、zが1または2の場合に、Rvはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、またはジアルキルアミノである。代表的な例には、メトキシ、エトキシ、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、アミノスルホニルプロピル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピルなどが挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0054】
「ヘテロアリール」は、N、O、またはSより選択される1、2、または3個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子はCである、少なくとも一つの芳香環を有する環原子5〜12個の単環式または二環式一価基を意味し、ヘテロアリール基の結合点は芳香環上にあることが了解されている。ヘテロアリール環は、本明細書に定義するように場合により置換されていてもよい。ヘテロアリール部分の例には、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、チエニル、ベンゾチエニル、チオフェニル、フラニル、ピラニル、ピリジル、ピリジニル、ピリダジル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾピラニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、トリアジニル、キノキサリニル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、アクリジニルなどをその部分水素化誘導体を含めて挙げられるが、それに限定されるわけではない。前述のヘテロアリール部分は、部分飽和であってもよい。したがって、「ヘテロアリール」には、「イミダゾリニル」、「テトラヒドロピリミジニル」などが挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0055】
「ヘテロアリーレン」は、二価ヘテロアリール基(ここで、ヘテロアリールは本明細書に定義する通りである)を意味する。「ヘテロアリーレン」は、本明細書に定義するように場合により置換されていてもよい。「ヘテロアリーレン」には、例えば、インドリレン、ピリミジニレンなどが挙げられる。
【0056】
「ヘテロアリールアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はヘテロアリールである)を意味する。
【0057】
用語「ハロ」および「ハロゲン」は、相互に置き換えて使用してもよく、置換基フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを表す。
【0058】
「ハロアルキル」は、本明細書に定義するアルキル(ここで、一つまたは複数の水素は、同一または異なるハロゲンに交換されている)を意味する。ハロアルキルの例には、−CH2Cl、−CH2CF3、−CH2CCl3、ペルフルオロアルキル(例えば−CF3)などが挙げられる。
【0059】
「ヘテロシクロアミノ」は、少なくとも一つの環原子がN、NHまたはN−アルキルであり、かつ残りの環原子がアルキレン基を形成している飽和環を意味する。
【0060】
「ヘテロシクリル」は、(窒素、酸素または硫黄より選ばれる)1、2、3または4個のヘテロ原子を組み入れている1〜3個の環からなる一価飽和部分を意味する。ヘテロシクリル環は、本明細書に定義するように場合により置換されていてもよい。ヘテロシクリル部分の例には、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼピニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キヌクリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、チアジアゾリリジニル(thiadiazolylidinyl)、ベンゾチアゾリジニル、ベンゾアゾリリジニル(benzoazolylidinyl)、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルなどをその部分不飽和誘導体を含めて挙げられるが、それに限定されるわけではない。好ましいヘテロシクリルはピペラジン−2−オンである。
【0061】
「ヒドロキシアルキル」は、ヒドロキシにより1、2または3回置換された、本明細書に定義するアルキルを意味する。
【0062】
「ヒドロキシアルキルカルボニル」は、式−C(O)−R−OHの基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンである)を意味する。
【0063】
「ヒドロキシアルキルカルボニルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はヒドロキシアルキルカルボニルである)を意味する。
【0064】
「ヒドロキシアルキルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はヒドロキシアルキルである)を意味する。
【0065】
「イミダゾリニル」は、式
【0066】
【化6】

【0067】
の基、そしてさらに好ましくは式
【0068】
【化7】

【0069】
の基(式中、Rは水素またはアルキルである)を意味する。「イミダゾリニル」は、「4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル」と置き換えて使用してもよい。
【0070】
「イミダゾロニル」は、式
【0071】
【化8】

【0072】
の基、そしてさらに好ましくは式
【0073】
【化9】

【0074】
の基(式中、Rは水素またはアルキルである)を意味する。
【0075】
「イミダゾロニルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はイミダゾロニルである)を意味する。
【0076】
「イミダゾリニルアルキル」は、基−R−R’(式中、R’は本明細書に定義するイミダゾリニルであり、Rはアルキレンである)を意味する。
【0077】
「イミダゾリニルアミノアルキル」は、基−R−R’−R”(式中、R”は本明細書に定義するイミダゾリニルであり、R’はアミノであり、かつRはアルキレンである)を意味する。「イミダゾリニルアミノアルキル」のアミノ部分は、アルキルで場合により置換されていてもよい。
【0078】
「イミダゾリルカルボニル」は、式
【0079】
【化10】

【0080】
の基(式中、Rは水素または本明細書に定義するアルキルである)を意味する。
【0081】
「イミダゾリニルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はイミダゾリニルである)を意味する。
【0082】
「イミダゾリルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はイミダゾリルである)を意味する。
【0083】
「イミダゾリニルアルキル」は、式−R−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、かつR”はイミダゾリニルである)である。
【0084】
「イミダゾリニルカルボニルアミノアルキル」は、式−R−C(O)−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、R”はイミダゾリニルである)を意味する。
【0085】
「ピリミジニルアミノアルキル」は、基−R−R’−R”(式中、R”はピリミジニル(好ましくはピリミジン−2−イル)であり、R’はアミノであり、かつRはアルキレンである)を意味する。「ピリミジニルアミノアルキル」のピリミジニル部分は、本明細書に定義するように場合により置換されていてもよく、「ピリミジニルアミノアルキル」のアミノ部分は、アルキルで場合により置換されていてもよい。
【0086】
「ピロリルカルボニル」は、式
【0087】
【化11】

【0088】
の基(式中、Rは水素または本明細書に定義するアルキルである)を意味する。
【0089】
「ピロリルカルボニルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はピロリルカルボニルである)を意味する。
【0090】
「ピロリジニルカルボニル」は、式
【0091】
【化12】

【0092】
の基(式中、Rは水素または本明細書に定義するアルキルである)を意味する。
【0093】
「ピロリジニルカルボニルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の基(式中、Rは本明細書に定義するアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、かつR”はピロリジニルカルボニルである)を意味する。
【0094】
「テトラヒドロピリミジニル」は、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニル、好ましくは1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イルを意味し、本明細書に定義するように場合により置換されていてもよい。「テトラヒドロピリミジニル」には、5,5−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イルが挙げられる。
【0095】
「テトラヒドロピリミジニルアミノアルキル」は、基−R−NR’−R”(式中、R”は本明細書に定義するテトラヒドロピリミジニルであり、R’は水素またはアルキルであり、かつRはアルキレンである)を意味する。
【0096】
「尿素」または「ウレイル」は、相互に置き換えて使用してもよく、式:
【0097】
【化13】

【0098】
の基(式中、各Rは独立して水素またはアルキルである)を意味する。
【0099】
「ウレアルキル」は、基R−R’(式中、R’は尿素であり、Rは本明細書に定義するアルキレンである)を意味する。
【0100】
「場合により置換されている」は、「アリール」、「フェニル」、「ヘテロアリール」、または「ヘテロシクリル」と関連して使用される場合に、独立して置換基1〜4個、好ましくは置換基1または2個で場合により置換されているアリール、フェニル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルを意味し、この置換基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アシルアミノ、モノ−アルキルアミノ、ジ−アルキルアミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、−COR(式中、Rは、水素、アルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)、−(CR’R”)y−COOR(式中、yは0〜5の整数であり、R’およびR”は独立して水素またはアルキルであり、かつRは水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)、または−(CR’R”)y−CONR”’R””(式中、yは0〜5の整数であり、R’およびR”は独立して水素またはアルキルであり、かつR”’およびR””は、相互に独立して水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)から選択される。好ましい随意の置換基は、別に特定しない限り、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルスルホニル、およびシアノである。最も好ましい随意の置換基は、別に特定しない限り、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、メタンスルホニルおよびシアノである。
【0101】
「脱離基」は、有機合成化学においてそれに慣習的に関連する意味を有する基、すなわち置換反応条件で交換可能な原子または基を意味する。脱離基の例には、ハロゲン、アルカンスルホニルオキシまたはアリーレンスルホニルオキシ、例えばメタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、チオメチル、ベンゼンスルホニルオキシ、トシルオキシ、およびチエニルオキシ、ジハロホスフィノイルオキシ、場合により置換されているベンジルオキシ、イソプロピルオキシ、アシルオキシなどが挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0102】
「モデュレーター」は、ターゲットと相互作用する分子を意味する。この相互作用には、本明細書に定義するアゴニスト、アンタゴニストなどが挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0103】
「随意の」または「場合により」は、続いて記載される事象または状況が起こってもよいが、起こる必要はないこと、ならびにその記述がその事象または状況が起こる場合およびそれが起こらない場合を含むことを意味する。
【0104】
「病状」は、任意の疾患、状態、症状、または徴候を意味する。
【0105】
「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」は、その溶媒がそれと共に記載される反応条件で不活性であることを意味し、この溶媒には、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、メチレンクロリドまたはジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサン、ピリジンなどが挙げられる。別に特定しない限り、本発明の反応に使用される溶媒は不活性溶媒である。
【0106】
「薬学的に許容され得る」は、一般に安全で、無毒で、生物学的にもその他でも望ましくないわけではない薬学的組成物を調製するときに有用なことを意味し、これには、獣医学およびヒトでの薬学的使用に許容され得るものが含まれる。
【0107】
化合物の「薬学的に許容され得る塩」は、本明細書に定義するように薬学的に許容され、親化合物の所望の薬理活性を保有する塩を意味する。このような塩には、
無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを用いて形成したか;もしくは有機酸、例えば酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンフルスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸などを用いて形成した酸付加塩;あるいは
親化合物に存在する酸プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオンに交換されているか;または有機もしくは無機塩基に配位しているかのいずれかの場合に形成する塩が挙げられる。許容される有機塩基には、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミンなどが挙げられる。許容される無機塩基には、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0108】
好ましい薬学的に許容され得る塩は、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、酒石酸、クエン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムから形成される塩である。
【0109】
薬学的に許容され得る塩への全ての言及には、本明細書に定義する同じ酸付加塩の溶媒付加形(溶媒和物)または結晶形(多形)が含まれることを了解すべきである。
【0110】
用語「プロ−ドラッグ」および「プロドラッグ」は、本明細書において相互に置き換えて使用してもよく、このようなプロドラッグを哺乳動物対象に投与した場合に、式Iの活性親薬物をin vivo放出する任意の化合物を表す。式Iの化合物のプロドラッグは、式Iの化合物に存在する一つまたは複数の官能基を改変し、その改変がin vivoで切断されると親化合物を放出することができるようにすることにより調製される。プロドラッグには、式Iの化合物のヒドロキシ、アミノ、またはスルフヒドリル基が、in vivoで切断されて遊離のヒドロキシル、アミノ、またはスルフヒドリル基をそれぞれ再生することのできる任意の基に結合している式Iの化合物が挙げられる。プロドラッグの例には、エステル(例えば、酢酸誘導体、ギ酸誘導体、および安息香酸誘導体)、式Iの化合物のヒドロキシ官能基のカルバメート(例えば、N,N−ジメチルアミノカルボニル)、アミノ官能基のN−アシル誘導体(例えばN−アセチル)、N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基およびエナミノン、式Iの化合物のケトンおよびアルデヒド官能基のオキシム、アセタール、ケタールおよびエノールエステルなどが挙げられるが、それに限定されるわけではない。Bundegaard、H. "Design of Prodrugs" p1-92、Elesevier, New York-Oxford (1985)などを参照されたい。
【0111】
「保護基(protective groupまたはprotecting group)」は、化学合成においてそれに慣例的に関連する意味で、多官能性化合物中の一つの反応性部位を選択的にブロックすることにより、別の保護されていない反応性部位で化学反応を選択的に実施することができる基を意味する。本発明のある種のプロセスは、保護基が反応物に存在する反応性窒素原子および/または酸素原子をブロックすることに頼っている。例えば、用語「アミノ保護基」および「窒素保護基」は、本明細書において相互に置き換えて使用してもよく、合成手順の間の望まれない反応から窒素原子を保護することを意図した有機基を表す。窒素保護基の例には、トリフルオロアセチル、アセトアミド、ベンジル(Bn)、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(BOC)などが挙げられるが、それに限定されるわけではない。当業者は、除去を容易にし、そしてそれに続く反応に耐えられるための基を選択する方法を知っている。
【0112】
「溶媒和物」は、化学量論的な量または非化学量論的な量の溶媒のいずれかを含有する溶媒付加形態を意味する。一部の化合物は、結晶固体状態の一定モル比の溶媒分子をトラップすることにより溶媒和物を形成する傾向を有する。溶媒が水ならば、形成する溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールならば、形成する溶媒和物はアルコレートである。水和物は、一つまたは複数の水分子と、一つの物質との組み合わせにより形成され、この組み合わせでは、水はその分子状態をH2Oとして保ち、このような組み合わせは一つまたは複数の水和物を形成することができる。
【0113】
「対象」は、哺乳動物および非哺乳動物を意味する、哺乳動物は、ヒト;非ヒト霊長類、例えばチンパンジーおよび他の類人猿およびサル種;農用動物、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、およびブタ;家畜、例えばウサギ、イヌおよびネコ;げっ歯動物、例えばラット、マウス、およびモルモットなどを含む実験動物を含むが、それに限定されるわけではない哺乳綱の任意のメンバーを意味する。非哺乳動物の例には、鳥類などが挙げられるが、それに限定されるわけではない。用語「対象」は、特定の年齢または性別を示さない。
【0114】
「治療有効量」は、病状を処置するために対象に投与した場合に、その病状のそのような処置に影響を及ぼすために十分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、処置される病状、処置される重症度または疾患、対象の年齢および相対的な健康、投与経路および投与形態、担当の医師または獣医師の判断、ならびに余暇の要因に応じて変動するものである。
【0115】
用語「上に定義される」および「本明細書に定義される」は、可変物を表す場合に、その可変物の広い定義を、そしてもしあれば好ましい、さらに好ましい、および最も好ましい定義を参照により組み入れる。
【0116】
病状を「処置する」または病状の「処置」には:
(i)病状を予防すること、すなわちその病状に曝されているか、もしくはその素因がありうるが、その病状の症状をまだ経験も表出もしていない対象にその病状の臨床症状が発生しないようにすること。
(ii)病状を阻害すること、すなわち病状もしくはその臨床症状の発生を停止させること、または
(iii)病状を軽減すること、すなわち病状もしくはその臨床症状の一過性もしくは永続的な減退を引き起こすこと
が挙げられる。
【0117】
用語「処置する」、「接触させる」および「反応させる」は、化学反応を表す場合に、適切な条件で二つ以上の試薬を添加または混合して、表示および/または所望の生成物を生成させることを意味する。表示および/または所望の生成物を生成する反応は、最初に添加された二つの試薬の組み合わせから必ずしも直接生じないことがあり、すなわち、混合物中に生成し、最終的には表示および/または所望の生成物の形成につながるような一つまたは複数の中間体が存在してもよい。
【0118】
命名法
全般に、本出願に使用する命名法は、IUPACの系統的な用語を作製するためのBeilstein Instituteコンピュータ化システムであるAUTONOM(商標)v.4.0に基づく。
【0119】
本明細書に示す化学構造は、ISIS(登録商標)バージョン2.2を用いて作成した。本明細書における構造中の炭素、酸素、硫黄または窒素原子に出現する任意の空の結合手は水素の存在を示す。この構造にキラル中心が存在し、立体化学が示されない場合に、この構造は、キラル中心に関連する両方の立体異性体を包含することを意図する。構造の複数に互変異性体形が可能な場合には、その構造がこのような追加の互変異性体形を包含することを意図する。
【0120】
本発明は、式I:
【化14】


[式中:
mは0〜3であり;
qは0〜3であり;
Arは、場合により置換されているアリールまたは場合により置換されているヘテロアリールであり;
1およびR7は、それぞれ独立してハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ヘテロアルキル、シアノ、−S(O)t−Ra、−C(=O)−NRbc、−SO2−NRbc、−N(Rd)−C(=O)−Re、または−C(=O)−Rfであり(式中、tは0〜2であり、Ra、Rb、Rc、RdおよびReは、それぞれ独立して水素またはアルキルであり、かつRfは、水素、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシである);
2
【0121】
【化15】

【0122】
である
(式中、nは1〜3であり;
3およびR4は、それぞれ独立して水素またはアルキルであるか、またはR3およびR4は、一緒になって、=Oまたは=NRzを形成していてもよく(式中、Rzは水素またはアルキルである);かつ
5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ、他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニルアルキル;もしくは場合により置換されているヘテロアリールであるか;あるいは
5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、アミジニル基、尿素基、グアニジニル基または5員もしくは6員のヘテロアリールもしくはヘテロシクリル環(この環は、場合により置換されており、かつO、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい)を形成していてもよく;あるいは
5およびR6の一方ならびにR3およびR4の一方は、それらが結合している原子と一緒になって、O、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含んでいる5員または6員環を形成していてもよい)]の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0123】
nが2または3の場合には、一つのR3は別のR3と独立して選択することができ、一つのR4もまた別のR4と独立して選択することができる。
【0124】
本発明の範囲は、存在しうる様々な異性体だけでなく形成しうる様々な異性体混合物もまた包含することを了解すべきである。
【0125】
さらに、本発明の範囲は、式Iの化合物の溶媒和物および塩もまた包含する。
【0126】
式Iのある態様では、基Arは、上記のように場合により置換されているフェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルである。好ましい随意の置換基は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルスルホニル、およびシアノである。最も好ましい随意の置換基は、別に特定しない限り、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、メタンスルホニルおよびシアノである。
【0127】
式Iのある態様では、基Ar−SO2−は、ナフタレン環系の6−位に位置する。
【0128】
式Iのある態様では、nは1である。その好ましい態様は、R3およびR4が水素の態様である。その好ましい態様は、R5およびR6の一方が水素で、他方がアルキルの態様である。
【0129】
式Iのある態様では、nは1である。その好ましい態様は、qが0の態様である。
【0130】
式Iのある態様では、nは1である。その好ましい態様は、R5およびR6が水素の態様である。
【0131】
式Iの多くの態様では、mは0または1であり、好ましくはmは0である。
【0132】
式Iのある態様では、R1はハロである。
【0133】
式Iのある態様では、基Ar−SO2−は、(R2に対して)ナフタレン環系の6−位または7−位に位置する。
【0134】
式Iのある態様では、基Ar−SO2−は、(R2に対して)ナフタレン環系の6−位に位置する。
【0135】
式Iのある態様では、mは0または1であり、かつR1はナフタレン環系の8−位に位置する。
【0136】
式Iのある態様では、nは1である。
【0137】
式Iのある態様では、nは2である。
【0138】
式Iのある態様では、nは3である。
【0139】
式Iのある態様では、R3およびR4は水素であるか、またはR3およびR4は一緒になって、=Oを形成していてもよい。
【0140】
式Iのある態様では、R3およびR4は水素である。
【0141】
式Iのある態様では、R5およびR6の一方は水素であり、他方はアルキルである。
【0142】
式Iのある態様では、qは0である。
【0143】
式Iのある態様では、R5およびR6は水素である。
【0144】
式Iのある態様では、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、他方は、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、またはアルコキシアルキルである。
【0145】
式Iのある態様では、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または場合により置換されているヘテロアリールである。
【0146】
式Iのある態様では、R5およびR6の一方は水素であり、他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである。
【0147】
式Iのある態様では、R5およびR6の一方は水素であり、他方は、それぞれ場合により置換されているベンゾチアゾリル、インドリル、チエニル、フラニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリルおよびイミダゾリルより選択されるヘテロアリールである。
【0148】
式Iのある態様では、R5およびR6の一方は水素であり、他方は、ピリミジニル、ベンゾチアゾール−2−イル、および5,5−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニルより選択されるヘテロアリールである。
【0149】
式Iのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、アミジニル基を形成している。
【0150】
式Iのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、グアニジニル基を形成している。
【0151】
式Iのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、尿素基を形成している。
【0152】
式Iのある態様では、R3およびR4は、それらが結合している窒素と一緒になって、=NRzを形成している(式中、Rzは水素である)。
【0153】
式Iのある態様では、R3およびR4は、それらが結合している窒素と一緒になって、=Oを形成している。
【0154】
式Iのある態様では、R5およびR6の一方ならびにR3およびR4の一方は、それらが結合している原子と一緒になって、イミダゾリニル環を形成している。
【0155】
式Iのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員または6員ヘテロアリール環を形成している(この環は、置換されていてもよく、かつさらなる窒素ヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0156】
式Iのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、それぞれ場合により置換されているピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、イミダゾリルまたはピラゾリルより選択される5員または6員ヘテロアリール環を形成している。
【0157】
式Iのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員または6員ヘテロシクリル環(この環は、場合により置換されており、かつO、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含んでいる)を形成している。
【0158】
式Iのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、アゼピニルおよびジアゼピニルより選択される5員または6員ヘテロシクリル環を形成している。
【0159】
式Iのある態様では、Arは場合により置換されているフェニルである。
【0160】
式Iのある態様では、Arは2−ハロフェニルまたは3−ハロフェニルである。
【0161】
式Iのある態様では、Arはヘテロアリールである。
【0162】
式Iのある態様では、Arは、それぞれ場合により置換されているインドリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイミダゾリル、チエニル、フラニル、ピリジニルおよびピリミジニルより選択されるヘテロアリールである。
【0163】
式Iのある態様では、Arは、それぞれ場合により置換されているインドリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、およびベンズイミダゾリルより選択されるヘテロアリールである。
【0164】
式Iのある態様では、Arは、インドール−3−イル、ピロール−3−イル、1−メチルイミダゾール−2−イル、イミダゾール−2−イル、ピラゾール−4−イル、ベンズイミダゾール−4−イル、6−フルオロインドール−3−イル、1−メチルピロール−3−イルおよび6−フルオロベンズイミダゾール−4−イルより選択されるヘテロアリールである。
【0165】
式Iのある態様では、R5およびR6の一方ならびにR3およびR4の一方は、それらが結合している原子と一緒になって、イミダゾリニル環を形成している。
【0166】
式Iのある態様では、qは0であり、かつmは0または1である。
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、かつnは1である。
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは1であり、かつR3およびR4は水素である。
【0167】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは1、2または3であり、R3およびR4は水素であるか、またはR3およびR4は一緒になって、=Oを形成していてもよく、R5およびR6の一方は水素もしくはアルキルであり、かつ他方は、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、もしくは場合により置換されているヘテロアリールであるか、またはR5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員ヘテロシクリル環(この環は、場合により置換されており、かつO、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含んでいる)を形成していてもよい。
【0168】
以下に、nが1であるか、nが2であるか、またはnが3である式Iのある態様を説明する。その組み合わせ、すなわち、nが1または2であり、nが1または3であり、nが2または3であり、特にnが1、2または3であるこれらの態様の組み合わせもまた本発明に包含されることを了解すべきである。
【0169】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは1であり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、他方は、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または場合により置換されているヘテロアリールである。
【0170】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは1であり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素であり、他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである。
【0171】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは1であり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素であり、他方はアルキルである。
【0172】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは1であり、R2は:アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、イミダゾリニルアミノアルキル、イミダゾリニルアルキル、グアニジニルアルキル、テトラヒドロピリミジニルアミノアルキル、アミジニルアルキル、ウレアルキル、アミジニル、ヘテロアリールアミノアルキル、イミダゾリルアミノアルキル、グアニジニルカルボニルアルキル、イミダゾロニルアミノアルキル、イミダゾリニルカルボニルアミノアルキル、アミノカルボニルアルキル、ピロリルカルボニルアミノアルキル、アミノアルキルカルボニルアミノアルキル、アルコキシカルボニルアルキルアミノアルキル、N−シアノグアニジニルアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アミノカルボニルアルキルアミノアルキル、ピロリジニルカルボニルアミノアルキル、アルキルスルホンアミドアルキル、アミノスルホンアミドアルキル、アルコキシカルボニルアミノアルキル、ヒドロキシアルキルカルボニルアミノアルキル、ヒドロキシアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキルアミノアルキル、またはアルキルスルホニルアルキルアミノアルキルである。この場合、n=1は、ナフタレン環と窒素との間のアルキレンリンカーが1であることを意味する。
【0173】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、かつR2は、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、グアニジニルアルキル、アミジニルアルキル、ウレアルキル、アミジニル、グアニジニルカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アミノカルボニルアルキルアミノアルキル、またはアルコキシカルボニルアミノアルキルである。
【0174】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、かつR2は:
【0175】
【化16】

【0176】
である(式中、Rgは水素、アルキル、場合により置換されているフェニルまたは場合により置換されているピリミジニルであり、Rh、Ri、RjおよびRkは、それぞれ独立した出現において水素またはアルキルであり、かつRmは、水素、アルキルまたは−NRhiである)。
【0177】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、かつR2は:
【0178】
【化17】

【0179】
である(式中、Rg、Rh、RiおよびRjは水素またはアルキルである)。
【0180】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは1であり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0181】
【化18】

【0182】
である(式中、Rgは、水素、アルキル、場合により置換されているフェニルまたは場合により置換されているピリミジニルであり、Rh、Ri、RjおよびRkは、それぞれ独立した出現において水素またはアルキルであり、Rmは水素、アルキルまたは−NRhiである)。
【0183】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは1であり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0184】
【化19】

【0185】
である(式中、Rg、Rh、RiおよびRjは水素またはアルキルである)。
【0186】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは1または2であり、かつR3およびR4は、それらが結合している窒素と一緒になって、=NRzを形成しており(式中、Rzは水素である)、ここで、R5およびR6は水素である。
【0187】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは1または2であり、かつR3およびR4は、それらが結合している窒素と一緒になって、=Oを形成している。
【0188】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、かつnは2である。
【0189】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは2であり、かつR3およびR4は水素である。
【0190】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは2であり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または場合により置換されているヘテロアリールである。
【0191】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは2であり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである。
【0192】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは2であり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素であり、他方はアルキルである。
【0193】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは2であり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0194】
【化20】

【0195】
である(式中、Rgは水素、アルキル、場合により置換されているフェニルまたは場合により置換されているピリミジニルであり、Rh、Ri、RjおよびRkは、それぞれ独立した出現において水素またはアルキルであり、かつRmは水素、アルキルまたは−NRhiである)。
【0196】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは2であり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0197】
【化21】

【0198】
である(式中、Rg、Rh、RiおよびRjは、水素またはアルキルである)。
【0199】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、かつnは3である。
【0200】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは1であり、かつR3およびR4は水素である。
【0201】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは3であり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または場合により置換されているヘテロアリールである。
【0202】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは3であり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである。
【0203】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは3であり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0204】
【化22】

【0205】
である(式中、Rgは、水素、アルキル、場合により置換されているフェニルまたは場合により置換されているピリミジニルであり、Rh、Ri、RjおよびRkは、それぞれ独立した出現において水素またはアルキルであり、かつRmは水素、アルキルまたは−NRhiである)。
【0206】
式Iのある態様では、qは0であり、mは0または1であり、nは3であり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0207】
【化23】

【0208】
である(式中、Rg、Rh、RiおよびRjは、水素またはアルキルである)。
【0209】
本発明のある態様では、主題化合物は式II:
【0210】
【化24】

【0211】
[式中:
sは0〜4であり;
8は、それぞれ独立してハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シアノ、−S(O)r−Ra、−C(=O)−NRbc、−SO2−NRbc、−N(Rd)−C(=O)−Rf、または−C(=O)−Rfであり(式中、rは0〜2であり、Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して水素またはアルキルであり、かつ、Rfは水素、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシである);かつ
m、n、R1、R3、R4、R5およびR6は、本明細書に定義する通りである]の化合物であってもよい。
【0212】
好ましくは、主題化合物は式II[式中、
mは0〜3であり;
nは1〜3であり;
sは0〜4であり;
1は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ヘテロアルキル、シアノ、−S(O)t−Ra、−C(=O)−NRbc、−SO2−NRbc、−N(Rd)−C(=O)−Re、または−C(=O)−Rfであり(式中、tは0〜2であり、Ra、Rb、Rc、RdおよびReは、それぞれ独立して水素またはアルキルであり、かつRfは水素、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシである);
3およびR4は、それぞれ独立して水素またはアルキルであるか、またはR3およびR4は、一緒になって、=Oまたは=NRzを形成していてもよく(式中、Rzは水素またはアルキルである);
5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニルアルキル、もしくは場合により置換されているヘテロアリールであるか;あるいは
5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、アミジニル基、尿素基、グアニジニル基または5員もしくは6員のヘテロアリールもしくはヘテロシクリル環(この環は、場合により置換されており、かつO、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含んでいる)を形成していてもよいし;あるいは
5およびR6の一方ならびにR3およびR4の一方は、それらが結合している原子と一緒になって、O、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含んでいる5員または6員環を形成していてもよく;
8は、それぞれ独立してハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シアノ、−S(O)r−Ra、−C(=O)−NRbc、−SO2−NRbc、−N(Rd)−C(=O)−Rf、または−C(=O)−Rfである(式中、rは0〜2であり、Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して水素またはアルキルであり、かつRfは水素、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシである)]の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であってもよい。
【0213】
式IIのある態様では、
mは0または1であり;
nは1、2または3であり;
3およびR4は水素であるか、またはR3およびR4は一緒になって、=Oを形成していてもよく;
5およびR6の一方は、水素またはアルキルであり、かつ他方は、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、もしくは場合により置換されているヘテロアリールであるか、またはR5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員ヘテロシクリル環(この環は、場合により置換されており、O、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含んでいる)を形成していてもよい。
【0214】
式IIのある態様では、
mは0または1であり;
nは1、2または3であり;
3およびR4は水素であるか、またはR3およびR4は、一緒になって、=Oを形成していてもよく、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである。
【0215】
式IIのある態様では、R8はハロであり、sは0〜4である。
【0216】
式IIの多くの態様では、mは0または1である。
【0217】
式IIのある態様では、R1はハロである。
【0218】
式IIのある態様では、mは0または1であり、かつR1は、ナフタレン環系の8−位に位置する。
【0219】
式IIのある態様では、nは1である。
【0220】
式IIのある態様では、nは2である。
【0221】
式IIのある態様では、nは3である。
【0222】
式IIの多くの態様では、sは0または1である。
【0223】
式IIの多くの態様では、mは0または1であり、R1はハロ、好ましくはフルオロである。
【0224】
式IIの多くの態様では、sは0または1であり、かつR8はハロ、好ましくはフルオロである。
【0225】
式IIのある態様では、R3およびR4は水素である。
【0226】
式IIのある態様では、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方はアルキルである。
【0227】
式IIのある態様では、R5およびR6は水素である。
【0228】
式IIのある態様では、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、またはアルコキシアルキルである。
【0229】
式IIのある態様では、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または場合により置換されているヘテロアリールである。
【0230】
式IIのある態様では、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである。
【0231】
式IIのある態様では、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、それぞれ場合により置換されているベンゾチアゾリル、インドリル、チエニル、フラニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリルおよびイミダゾリルより選択されるヘテロアリールである。
【0232】
式IIのある態様では、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、ピリミジニル、ベンゾチアゾール−2−イル、および5,5−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニルより選択されるヘテロアリールである。
【0233】
式IIのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、アミジニル基を形成している。
【0234】
式IIのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、グアニジニル基を形成している。
【0235】
式IIのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、尿素基を形成している。
【0236】
式IIのある態様では、R3およびR4は、それらが結合している窒素と一緒になって、=NRzを形成している(式中、Rzは水素である)。
【0237】
式IIのある態様では、R3およびR4は、それらが結合している窒素と一緒になって、=Oを形成している。
【0238】
式IIのある態様では、R5およびR6の一方ならびにR3およびR4の一方は、それらが結合している原子と一緒になって、イミダゾリニル環を形成している。
【0239】
式IIのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員または6員ヘテロアリール環(この環は、場合により置換されており、かつさらなる窒素ヘテロ原子を場合により含んでいる)を形成している。
【0240】
式IIのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、それぞれ場合により置換されていているピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、イミダゾリルまたはピラゾリルより選択される5員または6員ヘテロアリール環を形成している。
【0241】
式IIのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員または6員ヘテロシクリル環(この環は、場合により置換されており、かつO、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含んでいる)を形成している。
【0242】
式IIのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、アゼピニルおよびジアゼピニルより選択される5員または6員ヘテロシクリル環を形成している。
【0243】
式IIのある態様では、R5およびR6の一方ならびにR3およびR4の一方は、それらが結合している原子と一緒になって、イミダゾリニル環を形成している。
【0244】
以下において、nは1であるか、nが2であるか、またはnが3である、式IIのある態様を説明する。その組み合わせ、すなわちnが1または2、nが1または3、nが2または3、特にnが1、2または3であるこれらの態様の組み合わせもまた本発明に包含されることを了解すべきである。
【0245】
式IIのある態様では、mは0または1であり、かつnは1である。
【0246】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは1であり、かつR3およびR4は水素である。
【0247】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは1であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または場合により置換されているヘテロアリールである。
【0248】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは1であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである。
【0249】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは1であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方はアルキルである。
【0250】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは1であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0251】
【化25】

【0252】
である(式中、Rgは、水素、アルキル、場合により置換されているフェニルまたは場合により置換されているピリミジニルであり、Rh、Ri、RjおよびRkは、それぞれ独立した出現において水素またはアルキルであり、かつRmは水素、アルキルまたは−NRhiである)。
【0253】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは1であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0254】
【化26】

【0255】
である(式中、Rg、Rh、RiおよびRjは、水素またはアルキルである)。
【0256】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは1または2であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、かつR3およびR4は、それらが結合している窒素と一緒になって、=NRzを形成しており(式中、Rzは水素である)、かつここで、R5およびR6は水素である。
【0257】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは1または2であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、かつR3およびR4は、それらが結合している窒素と一緒になって、=Oを形成している。
【0258】
式IIのある態様では、mは0または1であり、かつnは2である。
【0259】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは2であり、かつR3およびR4は水素である。
【0260】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは2であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または場合により置換されているヘテロアリールである。
【0261】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは2であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである。
【0262】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは2であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素であり、他方はアルキルである。
【0263】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは2であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0264】
【化27】

【0265】
である(式中、Rgは、水素、アルキル、場合により置換されているフェニルまたは場合により置換されているピリミジニルであり、Rh、Ri、RjおよびRkは、それぞれ独立した出現において水素またはアルキルであり、かつRmは、水素、アルキルまたは−NRhiである)。
【0266】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは2であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0267】
【化28】

【0268】
である(式中、Rg、Rh、RiおよびRjは水素またはアルキルである)。
【0269】
式IIのある態様では、mは0または1であり、かつnは3である。
【0270】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは1であり、かつR3およびR4は水素である。
【0271】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは3であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または場合により置換されているヘテロアリールである。
【0272】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは3であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである。
【0273】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは3であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0274】
【化29】

【0275】
である(式中、Rgは、水素、アルキル、場合により置換されているフェニルまたは場合により置換されているピリミジニルであり、Rh、Ri、RjおよびRkは、それぞれ独立した出現において水素またはアルキルであり、かつRmは、水素、アルキルまたは−NRhiである)。
【0276】
式IIのある態様では、mは0または1であり、nは3であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R3およびR4は水素であり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、他方は:
【0277】
【化30】

【0278】
である(式中、Rg、Rh、RiおよびRjは水素またはアルキルである)。
【0279】
ある態様では、主題化合物は、さらに具体的に式III:
【0280】
【化31】

【0281】
[式中、m、n、s、R1、R5、R6およびR8は、本明細書に定義する通りである]の化合物であってもよい。
【0282】
式IIIの多くの態様では、mは0または1である。
【0283】
式IIIのある態様では、R1はハロである。
【0284】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、かつR1は、ナフタレン環系の8−位に位置する。
【0285】
式IIIのある態様では、nは1である。
【0286】
式IIIのある態様では、nは2である。
【0287】
式IIIのある態様では、nは3である。
【0288】
式IIIのある態様では、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方はアルキルである。
【0289】
式IIIのある態様では、R5およびR6は水素である。
【0290】
式IIIのある態様では、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、またはアルコキシアルキルである。
【0291】
式IIIのある態様では、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または場合により置換されているヘテロアリールである。
【0292】
式IIIのある態様では、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである。
【0293】
式IIIのある態様では、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、それぞれ場合により置換されているベンゾチアゾリル、インドリル、チエニル、フラニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリルおよびイミダゾリルより選択されるヘテロアリールである。
【0294】
式IIIのある態様では、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、ピリミジニル、ベンゾチアゾール−2−イル、および5,5−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニルより選択されるヘテロアリールである。
【0295】
式IIIのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、アミジニル基を形成している。
【0296】
式IIIのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、グアニジニル基を形成している。
【0297】
式IIIのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、尿素基を形成している。
【0298】
式IIIのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員または6員ヘテロアリール環(この環は、場合により置換されており、かつさらなる窒素ヘテロ原子を場合により含んでいる)を形成している。
【0299】
式IIIのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、それぞれ場合により置換されているピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、イミダゾリルまたはピラゾリルより選択される5員または6員ヘテロアリール環を形成している。
【0300】
式IIIのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、5員または6員ヘテロシクリル環(この環は、場合により置換されており、かつO、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含んでいる)を形成している。
【0301】
式IIIのある態様では、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、アゼピニルおよびジアゼピニルより選択される5員または6員ヘテロシクリル環を形成している。
【0302】
式IIIのある態様では、R5およびR6の一方ならびにR3およびR4の一方は、それらが結合している原子と一緒になって、イミダゾリニル環を形成している。
【0303】
式IIIのある態様では、sは0〜2であり、かつR8はハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、シアノまたはメタンスルホニルである。
【0304】
式IIIのある態様では、sは0または1であり、かつR8はハロである。
【0305】
以下に、nが1であるか、nが2であるか、またはnが3である、式IIIのある態様を説明する。その組み合わせ、すなわちnが1または2であり、nが1または3であり、nが2または3であり、特にnが1、2または3であるこれらの態様の組み合わせもまた本発明に包含されることを了解すべきである。
【0306】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、かつnは1である。
【0307】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、nは1であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または場合により置換されているヘテロアリールである。
【0308】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、nは1であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである。
【0309】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、nは1であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方はアルキルである。
【0310】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、nは1であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0311】
【化32】

【0312】
である(式中、Rgは、水素、アルキル、場合により置換されているフェニルまたは場合により置換されているピリミジニルであり、Rh、Ri、RjおよびRkは、それぞれ独立した出現において水素またはアルキルであり、かつRmは、水素、アルキルまたは−NRhiである。
【0313】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、nは1であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0314】
【化33】

【0315】
である(式中、Rg、Rh、RiおよびRjは水素またはアルキルである)。
【0316】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、nは2である。
【0317】
式IIIaまたはIIIbのいずれかのある態様では、mは0または1であり、nは2であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または場合により置換されているヘテロアリールである。
【0318】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、nは2であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである。
【0319】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、nは2であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は アルキルである。
【0320】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、nは2であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0321】
【化34】

【0322】
である(式中、Rgは水素、アルキル、場合により置換されているフェニルまたは場合により置換されているピリミジニルであり、Rh、Ri、RjおよびRkは、それぞれ独立した出現において水素またはアルキルであり、かつRmは水素、アルキルまたは−NRhiである)。
【0323】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、nは2であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0324】
【化35】

【0325】
である(式中、Rg、Rh、RiおよびRjは、水素またはアルキルである)。
【0326】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、かつnは3である。
【0327】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、nは3であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または場合により置換されているヘテロアリールである。
【0328】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、nは3であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R5およびR6の一方は水素であり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである。
【0329】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、nは3であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0330】
【化36】

【0331】
である(式中、Rgは、水素、アルキル、場合により置換されているフェニルまたは場合により置換されているピリミジニルであり、Rh、Ri、RjおよびRkは、それぞれ独立した出現において水素またはアルキルであり、かつRmは、水素、アルキルまたは−NRhiである)。
【0332】
式IIIのある態様では、mは0または1であり、nは3であり、sは0または1であり、R1およびR8はハロであり、R5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は:
【0333】
【化37】

【0334】
である(式中、Rg、Rh、RiおよびRjは、水素またはアルキルである)。
【0335】
本明細書におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、RmおよびRzのうち任意のものがアルキルであるか、またはアルキル部分を含有する場合に、このようなアルキルは、好ましくは低級アルキル、すなわちC1−C6アルキルであり、さらに好ましくはC1−C4アルキルである。
【0336】
本発明による代表的な化合物を表1に示す:
【0337】
【表1】



【0338】
本発明の別の局面は、治療有効量の少なくとも一つの式(I)の化合物および薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
【0339】
本発明のなお別の局面は、対象における中枢神経系(CNS)の病状を処置するための方法を提供し、その方法は、治療有効量の式Iの化合物を対象に投与することを含む。この病状は、例えば、精神病、統合失調症、躁うつ病、神経障害、記憶障害、注意欠陥障害、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病またはハンチントン病を含むことがある。
【0340】
本発明のなお別の局面は、対象における消化障害を処置するための方法を提供し、その方法は、治療有効量の式(I)の化合物をその対象に投与することを含む。
【0341】
本発明の別の局面は、式(I)の化合物を生成させる方法を提供する。
【0342】
合成
本発明の化合物は、下に示し、説明する例示的な合成反応スキームに描写する多様な方法により製造することができる。
【0343】
これらの化合物を調製するときに使用する出発物質および試薬は、全般にAldrich Chemical Co.などの市販品供給業者から入手されるか、または当業者に公知の方法により、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis;Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-15;Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1-5 and Supplementals;およびOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 2004, Volumes 1-56などの参考文献に示される手順通りに調製される。以下の合成反応スキームは、本発明の化合物を合成することができるいくつかの方法を単に例示したものであり、これらの合成反応スキームに様々な改変を行うことができ、本出願の内容の開示を参照した当業者に示唆されるものである。
【0344】
合成反応スキームの出発物質および中間体は、所望であれば通常の技法を使用して単離および精製することができ、その技法には、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどが挙げられるが、それに限定されるわけではない。このような物質は、物理定数およびスペクトルデータを含めた通常の手段を使用して特徴づけることができる。
【0345】
別に特定しない限り、本明細書に記載する反応は、好ましくは大気圧の不活性雰囲気下で、約−78℃〜約150℃の反応温度範囲で、さらに好ましくは約0℃〜約125℃で、そして最も好ましくかつ好都合にはおよそ室温(または外界温度)で、例えば約20℃で行われる。
【0346】
下記のスキームAは、本発明の化合物を調製するために使用することのできる一合成手順を例示し、この化合物では、Ar、m、q、R1およびR7は本明細書に定義する通りである。ナフタレン化合物への多数の合成経路が公知であり、主題化合物の調製に使用することができ、スキームAの手順は単なる例証である。スキームAの手順の具体例は、以下の実験の部に提供される。
【0347】
【化38】

【0348】
スキームA
スキームAのステップ1では、ケトン化合物は、アルキル化/シアニル化反応を受けてアリールスルホニルニトリル化合物が得られる。ケトン化合物は、当業界で公知の多様な技法により調製することができ、このような化合物を調製する具体例は、本開示の下記実験の部に提供される。ステップ1のアルキル化反応は、ヨウ化亜鉛の存在下で極性非プロトン性溶媒条件下でケトン化合物をトリメチルシリルシアニドで処理し、続いてp−トルエンスルホン酸などの酸で処理することにより達成することができる。
【0349】
ステップ2では、アリールスルホニルニトリル化合物を酸化に供し、アリールスルホニルナフタレン化合物を提供する。この酸化は、化合物をジクロロ−ジシアノ−ベンゾキノンで処理することにより達成することができる。
【0350】
ステップ3では、還元反応を実施して、アリールスルホニルナフタレン化合物のニトリル基を還元し、アリールスルホニルアミノメチルナフタレン化合物を得る。化合物は、本発明に記載の式Iの化合物である。
【0351】
スキームAの化合物のアミン基は、様々な反応を受けて、スキームBに示す多様なR2官能基を提供することができる。
【0352】
【化39】

【0353】
スキームB
スキームBでは、化合物をBocで保護し、次いで還元条件下でアルキル化に供し、続いて脱保護し、メチルアミノ化合物を得ることができる。化合物を別のアルキル化(スキームに示さず)に供し、対応するジメチルアミノ化合物または他のジアルキルアミノ化合物を得ることができる。
【0354】
化合物を極性非プロトン性溶媒条件のアミン触媒の存在下で1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン塩酸塩ともまた反応させて、グアニジン化合物を得ることができる。または、化合物をジメチルホルムアミドジメチルアセタールと反応させて、ホルムアミジン化合物を回収することができる。なお別の代替として、化合物を2−メチルスルファニル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾールで処理して、イミダゾリニルアミノ化合物を得ることができる。なお別の代替では、化合物をイミド酸エチル(アセトイミド酸エチルエステル)と反応させて、アセトアミド化合物を提供することができる。
【0355】
スキームAおよびスキームBの手順に多数の変形が可能であり、その変形は当業者に容易に明らかなものである。このような追加の反応の具体例は、下記実施例に提供される。
【0356】
有用性
本発明の化合物は、5−HT6および5−HT2Aレセプターまたはその両方を含めた5−HTレセプターに選択的親和性を有し、そしてそれとして、ある種のCNS障害、例えばパーキンソン病、ハンチントン病、不安、うつ病、躁うつ病、精神病、てんかん、強迫性障害、気分障害、偏頭痛、アルツハイマー病(認知記憶の向上)、睡眠障害、摂食障害、例えば食欲不振、過食、および肥満など、パニック発作、静坐不能、注意欠陥多動性障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)、薬物乱用、例えばコカイン、エタノール、ニコチンおよびベンゾジアゼピンなどの乱用からの離脱、統合失調症などの処置に、ならびに脊髄外傷および/または頭部損傷に関連する障害、例えば水頭症の処置にも有用であると予想される。このような化合物は、ある種のGI(消化器)障害、例えば機能性腸障害および過敏性腸症候群などの処置にもまた有用であると予想される。
【0357】
試験
本発明の化合物の薬理作用を、当技術分野で認識されている手順により判定した。放射性リガンド結合アッセイおよび機能的アッセイにおいて5−HT6レセプターおよび5−HT2Aレセプターでの被験化合物の親和性を判定するためのこのin vitro技法を下に説明する。
【0358】
投与および薬学的組成物
本発明には、本発明の少なくとも一つの化合物、または個別の異性体、異性体のラセミ混合物もしくは非ラセミ混合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物を、少なくとも一つの薬学的に許容される担体と一緒に、かつ場合により他の治療および/または予防用成分と一緒に含む薬学的組成物が含まれる。
【0359】
全般に、本発明の化合物は、類似の有用性にかなう薬剤を投与する任意の許容される様式により治療有効量で投与されるものである。適切な投薬範囲は、典型的には1日1〜500mg、好ましくは1日1〜100mg、そして最も好ましくは1日1〜30mgであり、処置される疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康度、使用する化合物の効力、投与経路および投与形態、投与が向けられる適応、ならびに関係する医師の好みおよび経験などの数多くの要因に依存する。このような疾患を処置する当業者は、過度の実験を行わずに、そして個人の知識および本出願の開示を頼りにして、所与の疾患についての本発明の化合物の治療有効量を確認することができるものである。
【0360】
全般に、本発明の化合物は、経口(口腔および舌下を含む)、直腸、経鼻、局所、肺、膣、もしくは非経口(筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、皮下および静脈内)投与に適したものを含めた薬学的処方として、または吸入もしくは吹入による投与に適した剤形で投与されるものである。好ましい投与方法は、全般に都合のよい毎日投与方式を用いた経口であり、これは、苦痛の程度に応じて調整することができる。
【0361】
本発明の一つまたは複数の化合物は、通常の一つまたは複数の佐剤、担体、または希釈剤と一緒に、薬学的組成物および単位投薬形態に入れることができる。薬学的組成物および単位投薬形態は、追加の活性化合物または主薬の存在下または不在下で、通常の比率の、通常の成分からなることがあり、単位投薬形態は、採用しようとする一日投薬範囲と釣り合う任意の適切な有効量の活性成分を含有することがある。薬学的組成物は、経口使用のための錠剤もしくは充填済みカプセル剤などの固体、半固体、散剤、徐放性製剤、または液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、もしくは充填済みカプセル剤などの液体として;または直腸もしくは膣投与用の坐剤の剤形で;または非経口使用のための滅菌注射液の剤形で採用することができる。したがって、1錠あたり活性成分約1ミリグラム、さらに広くは約0.01〜約100ミリグラムを含有する処方が、適切な代表的な単位投薬形態である。
【0362】
本発明の化合物は、多様な経口投薬形態に処方することができる。薬学的組成物および投薬形態は、本発明の一つもしくは複数の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を活性構成要素として含むことがある。薬学的に許容される担体は、固体または液体のいずれかでありうる。固体剤形の製剤には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒が挙げられる。固体担体は、希釈剤、着香料、溶解補助剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存料、錠剤崩壊剤、または封入材料としてもまた作用することができる一つまたは複数の物質でありうる。散剤において、担体は全般に微粉化活性構成要素との混合物である微粉化固体る。錠剤において、活性構成要素は必要な結合能を有する担体と適切な比率で全般に混合され、所望の形状および大きさに圧縮される。散剤および錠剤は、好ましくは約1〜約70%の活性化合物を含有する。適切な担体には、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ろう、カカオ脂などが挙げられるが、それに限定されるわけではない。用語「製剤」は、担体として封入材料を用いた活性化合物の処方を含むことにより、活性構成要素が担体の存在下または不在下で、活性構成要素に関連する担体により囲まれたカプセルが提供されることを意図する。同様に、カシェ剤およびトローチ剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびトローチ剤は、経口投与に適した固体剤形であってもよい。
【0363】
経口投与に適した他の剤形には、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤を含めた液体剤形製剤、または使用直前に液体剤形製剤に変換することが意図される固体剤形製剤が挙げられる。乳剤は、溶液に入れて、例えば、プロピレングリコール水溶液に入れて調製してもよいし、乳化剤、例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアラビアゴムなどを含有してもよい。水溶液は、水に活性構成要素を溶解させ、そして適切な着色料、着香料、安定化剤、および粘稠化剤を添加することにより調製することができる。水性懸濁剤は、粘性物質、例えば天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知の懸濁化剤を用いて微粉化活性構成要素を水に分散させることにより調製することができる。固体剤形製剤には、液剤、懸濁剤、および乳剤が挙げられ、固体剤形製剤は、活性構成要素に加えて、着色料、着香料、安定化剤、緩衝剤、人工および天然甘味料、分散剤、粘稠化剤、溶解補助剤などを含有することがある。
【0364】
本発明の化合物は、非経口投与用に(例えば注射、例えば大量瞬時注射または連続点滴により)処方することができ、アンプル、充填済みシリンジ、少量点滴での単位量形態で、または保存料を添加した多回量容器に入れて提示することができる。組成物は、油性または水性ビヒクルに入れた懸濁剤、液剤、または乳剤などの剤形、例えば水性ポリエチレングリコールに入れた液剤の剤形をとることがある。油性または非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えばオリーブ油)、および注射用有機エステル(例えばオレイン酸エチル)が挙げられ、そしてこれは、保存料、湿潤剤、乳化剤または懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤用薬剤を含有することがある。または、活性成分は、使用する前に適切なビヒクル、例えば滅菌した無発熱物質水で構成するために、滅菌固体を無菌的に単離することにより得られたか、または溶液から凍結乾燥することにより得られた粉末形態であってもよい。
【0365】
本発明の化合物は、表皮に局所投与するために軟膏剤、クリーム剤もしくはローション剤として、または経皮パッチとして処方することができる。軟膏剤およびクリーム剤は、例えば、適切な粘稠化剤および/またはゲル化剤を添加して水性または油性基剤と共に製剤することができる。ローション剤は、水性または油性基剤を用いて処方することができ、全般に一つまたは複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、粘稠化剤または着色料もまた含有するものである。口内局所投与に適した処方には、着香基剤、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカント中に活性薬剤を含むトローチ剤;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性基剤中に活性成分を含むパステル剤;ならびに適切な液体担体中に活性成分を含む洗口剤が挙げられる。
【0366】
本発明の化合物は、坐剤として投与するために処方することができる。脂肪酸グリセリド混合物またはカカオ脂などの低融点ろうを、最初に融解し、活性構成要素を、例えば撹拌することにより均一に分散させる。次いで、融解した均一の混合物を好都合な大きさの鋳型に注ぎ、冷却させ、固化させる。
【0367】
本発明の化合物は、膣投与用に処方することができる。活性成分に加えて、当技術分野で適切であることが知られている担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、パスタ剤、フォーム剤またはスプレー剤である。
【0368】
本発明の化合物は、経鼻投与用に処方することができる。液剤または懸濁剤は、通常の手段により、例えばスポイト、ピペットまたはスプレーを用いて鼻腔に直接適用される。この処方は、単回量形態または多回量形態で提供することができる。スポイトまたはピペットの後者の場合、これは、患者が適切な予定された量の溶液または懸濁液を投与することにより達成することができる。スプレーの場合、これは、例えば定量噴霧スプレーポンプにより達成することができる。
【0369】
本発明の化合物は、鼻腔内投与を含む、特に呼吸器へのエーロゾル投与のために処方することができる。この化合物は、全般に小さい粒子径、例えば5ミクロン以下のオーダを有するものである。このような粒子径は、当技術分野で公知の手段により、例えば微粒子化により得ることができる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、もしくはジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素もしくは他の適切な気体などの適切な噴射剤と共に加圧パックに入れて提供される。エーロゾルは、レシチンなどの界面活性剤もまた好都合に含有することがある。薬物の用量は、定量バルブにより制御することができる。または、活性成分は、乾燥した粉末、例えば乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体およびポリビニルピロリドン(PVP)などの適切な粉末基剤に入れた化合物の粉末混合物の形態で提供することができる。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成するものである。粉末組成物は単位量形態で、例えばカプセルまたは例えばゼラチンのカートリッジまたはブリスターパックに入れて提示することができ、インヘラーによりブリスターパックから粉末を投与することができる。
【0370】
所望であれば、処方は、活性成分の徐放または放出制御投与に適合した腸溶性コーティングを用いて調製することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮または皮下薬物デリバリー装置中に処方することができる。化合物の徐放が必要な場合に、そして患者が処置方式を遵守することが重大な場合に、これらのデリバリーシステムが有利である。経皮デリバリーシステム中の化合物は、皮膚接着性固体担体に付属していることが多い。関心対象の化合物は、透過促進剤、例えばアゾン(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることもまたできる。徐放デリバリーシステムは、手術または注射により真皮下層に皮下挿入される。真皮下植込剤は、この化合物を脂溶性膜、例えばシリコンゴム、または生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸に封入する。
【0371】
薬学的製剤は、好ましくは単位投薬形態である。このような形態では、製剤は適切な量の活性構成要素を含有する単位量に細分される。単位投薬形態はパッケージに入れられた製剤のことがあり、このパッケージは別個の量の製剤、例えばパッケージに入れられた錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の散剤を中に含む。また、単位投薬形態はカプセル剤、錠剤、カシェ剤、またはトローチ剤自体のことがあるし、これらのうち任意のものが適切な数でパッケージされた形態になっていることがある。
【0372】
他の適切な薬学的担体およびその処方は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, edited by E. W. Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。本発明の化合物を含有する代表的な薬学的処方は、下記実施例に記載される。
【実施例】
【0373】
以下の調製および実施例は、当業者が本発明をさらにはっきりと理解し実施できるようにするために示すものである。これらは、本発明の範囲を限定するものではなく、単にその例示および代表であるとみなすべきである。以下の略語を実施例に使用することがある。
【0374】
略語
DCM ジクロロメタン/メチレンクロリド
DDQ 2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン
Dibal 水素化ジイソブチルアルミニウム
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
tBuOH tert−ブタノール
gc ガスクロマトグラフィー
HMPA ヘキサメチルホスホルアミド
hplc 高速液体クロマトグラフィー
mCPBA m−クロロ過安息香酸
MeCN アセトニトリル
NMP N−メチルピロリジノン
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
LDA リチウムジイソプロピルアミン
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0375】
本発明の化合物を製造するための追加の手順は、2005年12月21日に出願された米国特許出願第11/315,706号に見い出され、その開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0376】
調製1
6−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン
この調製の部に記載する合成手順は、スキームCに示すプロセス通りに実施した。
【0377】
【化40】

【0378】
ステップ1 4−(3−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−酪酸メチルエステル
3−フルオロベンズアルデヒド(35.38g、285.07mmol)の35mLジメチルホルムアミド(DMF)溶液を、アルゴン下でアクリル酸メチルの加熱した溶液(48℃)(26.28mL、25.03g、290.7mmol)および粉末KCNに加えた。反応混合物を40℃で2時間撹拌し、次いで水500mLに注いだ。この水相を500mLのEt2Oで2回、そして250mLのEtOAcで1回抽出した。合わせた有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、油として50.89g(242.2mmol、84.93%)の4−(3−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−酪酸メチルエステルを得た。MS:211(M+H)+
【0379】
ステップ2 4−(3−フルオロ−フェニル)−酪酸
4−(3−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−酪酸メチルエステル(28.27g、134.49mmol)、ヒドラジン一水和物(26.1mL、26.93g、537.96mmol)およびKOH(22.64g、403.47mmol)のエチレングリコール(150mL)溶液をアルゴン下で加熱還流し、2時間還流させた。反応混合物を冷却し、水1.5リットルで希釈し、500mLのEt2Oを加え、そして撹拌しながら6M HCLを加えることによりこの混合物を酸性化し、その後追加の500mLのEt2Oを加えた。有機層を除去し、水層を500mLのEt2O/EtOAc(3:1)を250mLに分けて2回抽出した。合わせた有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥させた。減圧下で溶媒を蒸発させ、帯褐色の油を回収し、ヘキサン/EtOAc(9:1)を用いてこの油にシリカゲルを通過させて溶出した。減圧下で溶媒を除去することで18.44g(101.21mmol、75.26%)の4−(3−フルオロ−フェニル)−酪酸を油として回収した。MS:183(M+H)+
【0380】
ステップ3 6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン
メタンスルホン酸(75mL)およびP25の溶液を85℃で15分間撹拌し、その時点で大部分のP25は溶解した。追加のメタンスルホン酸15mLを滴加し、この混合物を85℃で2時間撹拌した。反応混合物を水500mLに注ぎ、400mLのEtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3、水、および飽和食塩水で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、油を得て、ヘキサンs/EtOAc(9:1)を用いてこの油にシリカゲルを通過させて溶出した。減圧下で溶媒を除去し、6.06g(36.91mmol、53.97%)の6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オンを黄色油として回収した。MS:165(M+H)+
【0381】
ステップ4 6−フェニルスルファニル−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン
6−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(5.51g、33.56mmol)、ベンゼンチオール(4.07g、3.79mL、36.92mmol)およびK2CO3(9.28g、67.12mmol)の50mL N−メチルピロリジノン(NMP)溶液をアルゴン下で80℃に加熱し、80℃で2時間撹拌した。反応混合物を500mLの水に注ぎ、300mLのEtOAcで希釈した。層を分離させ、水層を250mLのEtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、油を回収し、ヘキサン/EtOAc(9:1)を用いてこの油にシリカゲルを通過させて溶出した。減圧下で溶媒を除去することで8.05g(31.65mmol、94.31%)の6−フェニルスルファニル−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オンを単黄色油として提供した。MS:255(M+H)+
【0382】
ステップ5 6−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン
6−フェニルスルファニル−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(8.05g、31.65mmol)のMeOH/MeCN(それぞれ50mL)溶液を室温で撹拌した。OXONE(商標)(ペルオキシ一硫酸カリウム、77.83g、126.60mmol)を50mLの水に溶解させ、撹拌中の反応物に加えた。反応混合物を15時間撹拌し、次いで減圧下で蒸発させた。結果として得られた水性残渣を500mLの水に希釈し、300mLのEtOAcで3回抽出した。合わせた抽出物を水、飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、油を回収し、ヘキサンに続いてクロロホルムを用いてこの油にシリカゲルを通過させて溶出した。減圧下で溶媒を除去することで6.55g(22.87mmol、72.27%)の白色固体を産出させ、これをEtO2/ヘキサンから再結晶させた。MS:287(M+H)+
【0383】
同様に、ステップ4の3−クロロベンゼンチオールを用いて、上記手順を使用して6−(3−クロロ−ベンゼンスルホニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オンを調製した。MS:287(M+H)+
【0384】
同様に、ステップ4の3−フルオロ−ベンゼンチオールを用いて、上記手順を使用して6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オンを調製した。MS:305(M+H)+
【0385】
調製2
7−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン
この調製の項に記載する合成手順は、スキームDに示すプロセス通りに実施した。
【0386】
【化41】

【0387】
ステップ1: 4−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−酪酸
フルオロベンゼン(50mL、530mmol)および三塩化アルミニウム(156g、1.17mol)を500mLのメチレンクロリドに加え、反応混合物を撹拌した。撹拌中の反応混合物に無水コハク酸(50g、500mmol)を全部一度に加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。10%HClを慎重に加えることで反応をクエンチし、反応混合物を500mLの水に加えた。水性混合物を250mLのメチレンクロリドで2回抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で蒸発させ、62g(316mmol、59.6%)の4−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−酪酸を粗固体として得た。MS:197(M+H)+
【0388】
ステップ2: 4−オキソ−4−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−酪酸
4−(4−フルオロ−フェニル)−4−オキソ−酪酸(10.0g、51mmol)、チオフェノール(5.2g、51mmol)および粉末炭酸カリウム(13.8g、100mmol)を25mLのジメチルスルホキシド(DMSO)に加えた。反応混合物を110℃に2時間加熱し、次いで冷却し、250mLの水を加えることにより希釈した。水性混合物を100mLのEtOAcで3回抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で蒸発させ、11g(38.5mmol、75.5%)の4−オキソ−4−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−酪酸を粗固体として回収した。MS:287(M+H)+
【0389】
ステップ3: 4−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−酪酸
粉末亜鉛(66g)を2%HClで洗浄し、HgCl2(6g)の6M HCl溶液50mLに加えた。この混合物を5分間激しく振り混ぜ、過剰の液体をデカンテーションした。次いで、450mLの6M HCl中で4−オキソ−4−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−酪酸(6.5g、22.7mmol)を機械撹拌した懸濁液に、この混合物を加え、この反応混合物を室温で5日間撹拌した。次いで、この混合物をデカンテーションし、過剰のHClを除去し、250mLの水を加えることによりクエンチした。水性混合物を100mLのEtOAcで3回抽出し、合わせた有機層を減圧下で乾燥させて5.0g(18.4mmol、81%)の4−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−酪酸を粗固体として回収した。MS:273(M+H)+
【0390】
ステップ4: 7−フェニルスルファニル−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン
4−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−酪酸(5.0g、18.4mmol)を50mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた。オキサリルクロリド(1.8mL、20mmol)およびDMF1滴を加え、反応混合物を1時間撹拌し、次いで減圧下で蒸発乾固させた。結果として得られた残渣を40mLの1,2−ジクロロエタンに溶解させ、三塩化アルミニウム(0.85g、25mmol)を全部一度に加えた。反応混合物を1時間撹拌し、2%HClを加えることによりクエンチした。この水性混合物を100mLのEtOAcで2回抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(MgSO4)、蒸発させて2.54g(10mmol、55.5%)の7−フェニルスルファニル−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オンをゴム状残渣として回収した。MS:255(M+H)+
【0391】
ステップ5: 7−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン
7−フェニルスルファニル−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン( )を50mLのMeOHに溶解させ、室温で撹拌した。OXONE(商標)(13.5g、22mmol)を10mLの水に溶解させ、撹拌中の反応物に加えた。この反応混合物を8時間撹拌し、次いで減圧下で蒸発させた。結果として得られた水性残渣を200mLの水で希釈し、100mLのEtOAcで3回抽出した。合わせた抽出液をMgSO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去し、油を回収し、1:1のEtOAc/ヘキサンを用いてこの油にシリカゲルを通過させて溶出した。減圧下で溶媒を除去することで、1.7g(5.9mmol、59%)の7−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オンが油として産出した。MS:287(M+H)+
【0392】
同様に、ステップ2の4−フルオロベンゼンチオールを用いて、上記手順を使用して7−(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オンを調製した。MS:287(M+H)+
【0393】
実施例1
(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−メチル−アミン
この実施例に記載する合成手順は、スキームFに示すプロセス通りに実施した。
【0394】
【化42】

【0395】
ステップ1 6−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−カルボニトリル
上記調製1からの6−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(4.0g、14mmol)、トリメチルシリルシアニド(10.0g、100mmol)およびヨウ化亜鉛(0.25g)を合わせ、窒素下で15時間撹拌した。次いで、200mLのEt2Oを加えることにより反応混合物を希釈し、冷水で洗浄し、有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で蒸発させ、油にした。この油を250mLのトルエンに溶解させ、0.5gのパラトルエンスルホン酸を加えた。反応混合物を3時間還流し、冷却し、溶媒を減圧下で除去した。ヘキサン中の5%EtOAcを用いて中程度の圧力下で粗生成物にシリカゲルを通過させて溶出し、1.8g(6.1mmol、44%)の(ラセミ)6−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−カルボニトリルを油として回収した。MS:296(M+H)+
【0396】
ステップ2 6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−カルボニトリル
0.89g(3mmol)の6−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−カルボニトリルおよび0.68g(3mmol)のDDQを15mLのジオキサンに入れた混合物を還流下で18時間加熱した。別の0.25g(0.12mmol)のDDQを加え、反応混合物を還流下でもう20時間加熱した。この混合物を濾過し、収集した固体をジエチルエーテルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解させ、5%水酸化ナトリウムおよび半飽和水性塩化ナトリウムで洗浄した。有機相を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、減圧下で濃縮した。クロロホルム:ヘキサン:酢酸エチル(50:49:1)、次いで50:48:2、そして最終的に50:46:4を用いて溶出して、シリカゲル230〜400メッシュを通過させるカラムクロマトグラフィーに残渣を供した。標題化合物を0.266グラムの白色固体として得た(30%)。NMR(CDCl3)ppmδ:8.67(d,1H,J=1.8Hz)、8.34(d,1H,J=8.8Hz)、8.24(d,1H,J=8.41Hz)、8.04(m,4H)、7.69(dd,1H,J=4.25Hz,J=11.5Hz)、7.56(m 3H)。
【0397】
ステップ3 (6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル
0.26グラム(0.89mmol)の6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−カルボニトリル、0.39g(1.8mmol)のジ−tert−ブチルジカルボネートおよび0.022g(0.092mmol)の塩化ニッケル六水和物を8mLのメタノールに入れた混合物を0℃に冷却した。固体水素化ホウ素ナトリウム(0.235g、6.2mmol)を小分けして35分かけて加えた。反応混合物を23℃で2時間撹拌した。この混合物にジエチレントリアミン3滴を加えた。この混合物を23℃で30分間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。酢酸エチルと飽和重炭酸ナトリウムの間で残渣を分配した。有機相を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、減圧下で濃縮した。結果として得られた粗(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを3mLのTHFに溶解させ、0.043g(1.07mmol)の60%水素化ナトリウムおよび0.13mL(0.92mmol)のヨードメタンを3mLのTHFに入れた混合物に滴加した。反応混合物を23℃で18時間撹拌し、次いでさらに0.025gの60%水素化ナトリウムおよび5滴のヨードメタンを加えた。この混合物を追加的に20時間撹拌し、次いでさらに0.03gの60%水素化ナトリウムおよび6滴のヨードメタンを加えた。追加的に3日間撹拌後に、混合物を10mLのジエチルエーテルで希釈し、水で洗浄した。有機相を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、減圧下で濃縮した。ヘキサン中の2〜50%酢酸エチルの勾配を用いて溶出して、シリカゲル230〜400メッシュを通過させるカラムクロマトグラフィーに残渣を供した。標題化合物は、無色泡、0.25グラム(68%)として得た。NMR(CDCl3)ppm δ:8.67(d,1H,J=1.82Hz)、8.27、(br s,1H)、8.01(dd,2H,J=1.36Hz,J=4.51Hz)、7.91(m,3H)、7.52(m,5H)、4.88(s,2H)、2.73(br s,3H)、1.49(s,9H)。
【0398】
ステップ4 (6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−メチル−アミン
0.245g(0.6mmol)の(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステルおよびエチルエーテル中の2M塩化水素20mLの溶液を23℃で20時間撹拌した。結果として得られた白色固体を濾過により収集し、真空中で乾燥させ、(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−メチル−アミンを塩酸塩0.12グラム(57%)として提供した、M+H=312。
【0399】
実施例2
C−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミン
【0400】
【化43】

【0401】
6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−カルボニトリルを乾燥THFに溶解させ、氷浴温度まで冷却させる。ボラン−THF錯体を加え、反応混合物を室温で一晩、窒素下で撹拌する。HClおよびメタノールを加えることにより反応をクエンチし、1M NaOHを加えることにより塩基性にする。結果として得られた残渣をEtOAcで抽出し、有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をHCl/EtOHから再結晶させ、C−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミンを塩酸塩として得る。
【0402】
実施例3
2−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−エチルアミン
この実施例に記載した合成手順は、スキームGに示すプロセス通りに実施した。
【0403】
【化44】

【0404】
ステップ1 6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−カルバルデヒド
Dibal(11mLの1.5Mトルエン懸濁液)を6−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−カルボニトリル(4.5g、14.5mmol)の100mLトルエン溶液に室温で撹拌しながら滴加した。この反応混合物を室温で4時間撹拌し、次いで10%水性HCl(25mL)を加えることによりクエンチした。この混合物を食塩水で希釈し、THFで1回抽出し、EtOAc/THFの1:1混合物で1回抽出し、合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。溶媒としてメチレンクロリドを用いて残渣にシリカゲルを通過させて溶出させた。合わせた画分をメチルtert−ブチルエーテルと共に摩砕し、結果として得られた沈殿を濾過により収集し、乾燥させて、2.55gの6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−カルバルデヒドを得た。
【0405】
ステップ2 3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−アクリル酸エチルエステル
カリウムtert−ブトキシド(6.5mLの1M THF溶液)を1.3mLのトリエチルホスホニルアセテート(6.5mmol)に0℃で滴加した。次いで、この溶液を室温で6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−カルバルデヒド(1.7g、5.4mmol)のTHF溶液100mLに滴加した。この反応混合物を室温で18時間撹拌し、次いで希釈した水性HClでクエンチした。この混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、2.1gの粗3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−アクリル酸エチルエステルを得たが、これをさらに精製せずに直接使用した。
【0406】
ステップ3 3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピオン酸 エチルエステル
3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−アクリル酸エチルエステル(2.0g)をParr容器中のメタノール(20mL)、酢酸(20mL)およびEtOAc(50mL)の混液に溶解させた、パラジウム活性炭(1.0g、10%Pd)を加え、容器を窒素パージした。反応混合物を室温で60気圧(4.14Bar)水素下で18時間撹拌した。容器を窒素パージし、反応混合物を除去し、セライトを通過させて除去した。濾液を減圧下で蒸発させて、2.0gの3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピオン酸エチルエステルを得た。
【0407】
ステップ4 3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピオン酸
3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピオン酸エチルエステル(2.0g)を25mLのエタノールに溶解させ、10mLの25%水性NaOHを加えた。反応混合物を1時間加熱還流し、次いで室温に冷却した。エタノールを減圧下で除去し、10%水性HClを加えることにより液体残渣を酸性化した。この混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗油を得た。この油を温トルエンに溶解させ、不溶物を濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮して1.6gの3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピオン酸を得た。
【0408】
ステップ5 2−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−エチルアミン
3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピオン酸(1.0g、2.8mmol)を35mLのメチレンクロリドに入れた懸濁液を0.8mLのオキサリルクロリドに加えた。1滴のDMFを加え、反応混合物を室温で10分間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、結果として得られた残渣を25mLのアセトンに溶解させ、氷浴中で冷却した。ナトリウムアジド(0.5g)の水溶液3mLを滴加し、反応混合物を氷浴温度で20分間撹拌した。反応混合物を100mLのトルエンで希釈し、水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して油を得て、次いでこの油を100mLのトルエンに溶解させた。この溶液を1時間100℃に加熱し、次いで冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を15mLのジオキサンに溶解させ、結果として得られた溶液を沸騰中の50%水性HClに滴加した。この混合物を15分間還流し、次いで熱いうちに濾過した。熱濾液を冷却し、結果として生じた沈殿を濾過により収集し、乾燥させて0.81gの2−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−エチルアミンを塩酸塩として得た。MS(M+H)=330。
【0409】
実施例4
3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピルアミン
この実施例に記載する合成手順は、スキームHに示すプロセス通りに実施した。
【0410】
【化45】

【0411】
ステップ1 3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピオンアミド
3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピオン酸(1.0g、2.8mmol)を35mLのメチレンクロリドに入れた懸濁液に0.8mLのオキサリルクロリドを加えた。DMF1滴を加え、反応混合物を室温で10分間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、結果として得られた残渣を10mLのEtOAcに溶解させた。撹拌しながら氷浴温度の水性NH4OH(飽和)にこの溶液を加えた。この混合物を1時間撹拌し、次いで有機層を除去し、水層をEtOAcで抽出した。、合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、0.58gの3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピオンアミドを得た。MS(M+H)=358。
【0412】
ステップ2 3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピルアミン
ボラン(8mLの1M THF溶液)を3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピオンアミドのTHF溶液20mLに加えた。反応混合物を5時間還流させ、次いで冷却し、10%水性HCl(25mL)を加えることによりクエンチした。混合物を1時間加熱還流し、次いで冷却し、減圧下でTHFを除去した、結果として得られた沈殿を濾過により収集し、0.42gの3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピルアミンを得た。MS(M+H)=344。
【0413】
実施例5
N−(6−ベンゼンスルホニル−1ナフタレン−1−イルメチル)−アセトアミド
【0414】
【化46】

【0415】
C−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミンおよびエチルイミデート(アセトイミド酸エチルエステル)を無水エタノールに溶解させ、反応混合物を室温のアルゴン下で撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、残渣をEt2O/EtOHから再結晶させ、シュウ酸塩としてN−(6−ベンゼンスルホニル−1ナフタレン−1−イルメチル)−アセトアミドを得る。
【0416】
実施例6
N−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−グアニジン
【0417】
【化47】

【0418】
C−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミン、1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン塩酸塩およびジエチルイソプロピルアミンをDMFに溶解させ、この反応混合物を100℃に加熱し、次いで冷却し、水を加えることにより希釈する。この水性混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、N−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−グアニジンを得る。
【0419】
実施例7
(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
【0420】
【化48】

【0421】
C−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミンおよび2−メチルスルファニル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾールヨウ化水素酸塩をメチレンクロリドに加え、全ての溶媒が蒸発するまでこの反応混合物を加熱還流した。反応混合物を150℃まで加熱し、次いで冷却する。結果として得られた混合物をNaOH水溶液の滴加により塩基性にし、次いで分取用液体クロマトグラフィーにより精製して、(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミンを得る。
【0422】
実施例8
(7−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−(5,5−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン−2−イル)−アミン
【0423】
【化49】

【0424】
実施例1および2の手順通りにC−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミンを7−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オンから調製する。C−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミンおよび5,5−ジメチル−2−メチルスルファニル−ヘキサヒドロ−ピリミジン塩酸塩をメチレンクロリドに加え、反応混合物を加熱して、全ての溶媒が蒸発するまで静かに還流させる。反応混合物を150℃まで加熱し、次いで冷却する。結果として得られた混合物をNaOH水溶液の滴加により塩基性にし、次いで分取用液体クロマトグラフィーにより精製して(7−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−(5,5−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン−2−イル)−アミンを得る。
【0425】
実施例9
N’−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−N,N−ジメチル−ホルムアミジン
【0426】
【化50】

【0427】
C−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミンをジメチルホルムアミドジメチルアセタールに加え、この反応混合物を95℃に加熱する。この反応混合物を冷却し、水を加えることによりクエンチし、結果として得られた水性混合物をEtOAcで抽出する。有機層を水、食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で蒸発させ、N’−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−N,N−ジメチル−ホルムアミジンを得る。
【0428】
実施例10
2−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチル]−ジメチル−アミン
【0429】
【化51】

【0430】
Journal of Organic Chemistry, 61(11), 3849-3862 (1996)に記載された手順を使用して、C−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミンおよび水性ホルムアルデヒドのメチレン溶液を室温で撹拌し、NaBH(OAc)3を加え、この反応混合物を室温で撹拌する。飽和水性NaHCO3をゆっくりと加え、反応をクエンチし、水性混合物をEtOAcで抽出する。有機層を水および食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮し、2−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチル]−ジメチル−アミンを産生させる。
【0431】
実施例11
N−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−アセトアミド
【0432】
【化52】

【0433】
C−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミンをピリジンに溶解させ、塩化アセチルを加える。反応混合物を室温で撹拌し、次いで水を加えることによりクエンチする。混合物をEtOAcで抽出し、有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して、N−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−アセトアミドを得る。
【0434】
実施例12
2−[(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−アミノ]−3,5−ジヒドロ−イミダゾール−4−オン
【0435】
【化53】

【0436】
C−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミン、2−メチルスルファニル−3,5−ジヒドロ−イミダゾール−4−オン(ChenらのWO9736859に報告された方法により調製されたもの)および水酸化ナトリウムをエタノールに入れた混合物を加熱還流し、次いで減圧下で濃縮し、酢酸エチルで希釈し、水性炭酸ナトリウムで洗浄する。有機相を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、減圧下で濃縮して2−[(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−アミノ]−3,5−ジヒドロ−イミダゾール−4−オンを得る。
【0437】
実施例13
N−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−2−メチルアミノ−アセトアミド
この実施例に記載される合成手順は、スキームGに示すプロセス通りに実施した。
【0438】
【化54】

【0439】
ステップ1 {[(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−カルバモイル]−メチル}−メチル−カルバミン酸ベンジルエステル
C−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミン、(ベンジルオキシカルボニル−メチル−アミノ)−酢酸、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミドおよびトリエチルアミンをメチレンクロリドに入れた混合物を室温で撹拌する。水を加えることにより反応をクエンチし、この混合物にシリカゲルを通過させて溶出し、{[(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−カルバモイル]−メチル}−メチル−カルバミン酸ベンジルエステルを得る。
【0440】
ステップ2 N−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−2−メチルアミノ−アセトアミド
{[(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−カルバモイル]−メチル}−メチル−カルバミン酸ベンジルエステルのメタノールおよびギ酸溶液に、撹拌しながら室温でパラジウム炭素を加える。混合物を室温で撹拌し、セライトで濾過し、濾液を濃縮してN−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−2−メチルアミノ−アセトアミドを得る。
【0441】
実施例14
2−[(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−アミノ]−N−メチル−アセトアミド
この実施例に記載する合成手順は、スキームHに示すプロセス通りに実施した。
【0442】
【化55】

【0443】
ステップ1 [(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−アミノ]−酢酸エチルエステル
C−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミンおよびトリエチルアミン(0.2ml、1.55mmol)をジクロロエタン中で撹拌し、氷浴中で冷却する。エチルグロキシレート(ethylgloxylate)を加え、続いてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを加える。この反応物を撹拌し、次いで2%炭酸ナトリウム溶液を加えることによりクエンチする。この混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して[(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−アミノ]−酢酸エチルエステルを得る。
【0444】
ステップ2 2−[(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−アミノ]−N−メチル−アセトアミド
[(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−アミノ]−酢酸エチルエステルをメタノール中のメチルアミンに加え、溶液を室温で撹拌し、次いで減圧下で濃縮する。油をエタノールに溶解させ、ジエチルエーテル中の1N HClを加えて2−[(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−アミノ]−N−メチル−アセトアミドを塩酸塩として沈殿させる。
【0445】
実施例15
(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−尿素
【0446】
【化56】

【0447】
C−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミンおよびシアン酸カリウムを水に撹拌しながら加え、この混合物を60℃に加熱し、次いで室温に冷却する。結果として得られた沈殿を濾過により収集し、冷水で洗浄し、真空下で乾燥させて、(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−尿素を得る。
【0448】
実施例16
N−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−メタンスルホンアミド
【0449】
【化57】

【0450】
C−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イル)−メチルアミンをメチレンクロリドおよびピリジンに溶解させ、この混合物を氷浴中で冷却する。メタンスルホニルクロリドを滴加し、反応混合物を氷浴温度で撹拌し、次いで室温まで加温させる。水を加えることにより反応混合物をクエンチし、メチレンクロリドで抽出する。有機層を水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧下で濃縮して、N−(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−メタンスルホンアミドを得る。
【0451】
実施例17
処方
様々な経路によるデリバリー用の薬学的製剤は、以下の表に示すように処方する。表に使用する「活性成分」または「活性化合物」は、式Iの一つまたは複数の化合物を意味する。
【0452】
【表2】

【0453】
これら成分を混合し、それぞれ約100mgを含有するカプセルに分配する;カプセル1個は1日合計投薬量に近い。
【0454】
【表3】

【0455】
これら成分を合わせ、メタノールなどの溶媒を用いて造粒する。次いで、この処方を乾燥させ、適切な打錠機で錠剤(約20mgの活性化合物を含有する)に成形する。
【0456】
【表4】

【0457】
これらの成分を混合し、経口投与用懸濁剤を形成させる。
【0458】
【表5】

【0459】
適量の注射用水に活性成分を溶解させる。次いで、撹拌しながら十分量の塩化ナトリウムを加え、この溶液を等張にする。残りの注射用水でこの溶液を所定重量に調整し、0.2ミクロンのメンブランフィルターを通過させて濾過し、滅菌条件でパッケージする。
【0460】
【表6】

【0461】
成分を一緒に融解させ、水蒸気浴上で混合し、合計重量2.5gを中に含むように型に注ぐ。
【0462】
【表7】

【0463】
水以外の全ての成分を合わせ、撹拌しながら約60℃に加熱する。次に、激しく撹拌しながら約60℃で十分量の水を加え、成分を乳化させ、次いで約100gの適量の水を加える。
【0464】
鼻スプレーの処方
約0.025〜0.5パーセントの活性化合物を含有するいくつかの水性懸濁液を鼻スプレー処方として調製する。この処方は、場合により例えば、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロースなどの不活性成分を含有する。pHを調整するために塩酸を加えてもよい。鼻スプレー処方は、典型的には1回作動させると約50〜100マイクロリットルの処方をデリバリーする鼻スプレー定量ポンプによりデリバリーすることができる。典型的な投薬スケジュールは4〜12時間毎に2〜4回の噴霧である。
【0465】
実施例18
放射性リガンド結合実験
この実施例は、式Iの化合物のin vitro放射性リガンド結合実験を例示する。
【0466】
本発明の化合物のin vitro結合活性は以下の通り測定した。5−HT6リガンド親和性の2回繰り返し測定は、リコンビナントのヒト5−HT6レセプターを安定発現しているHEK293細胞から得た細胞膜で[3H]LSDの結合を競合することにより行った。5−HT2Aリガンド親和性の2回繰り返し測定は、リコンビナントのヒト5−HT2Aレセプターを安定発現しているCHO−K1細胞から得た細胞膜で[3H]ケタンセリン(3−(2−(4−(4−フルオロベンゾイル)ピペリジノール)エチル)−2,4(1H,3H)−キナゾリンジオン)の結合を競合することにより行った。Monsma et al., Molecular Pharmacology, Vol. 43 pp. 320-327 (1993)に記載された方法によりHEK293細胞系から、そしてBonhaus et al., Br J Pharmacol. Jun;115(4):622-8 (1995)により記載されたようにCHO−K1細胞系から膜を調製した。
【0467】
5−HT6レセプターでの親和性を推定するために、50mM Tris−HCl、10mM MgSO4、0.5mM EDTA、1mMアスコルビン酸(pH7.4)を含有する37℃の反応体積250マイクロリットルのアッセイバッファー中で全ての測定を行った。5−HT2Aレセプターでの親和性の推定のために、全ての測定は、50mM Tris−HCl、5mMアスコルビン酸、4mM CaCl2(pH7.4)を含有する32℃の反応体積250マイクロリットルのアッセイバッファー中で全ての測定を行った。
【0468】
3H]LSDまたは[3H]ケタンセリン(5nM)、競合するリガンド、および膜が中に入ったアッセイ管を振盪中の水浴に入れて37℃で75分間(5−HT6の場合)または32℃で60分間(5−HT2Aの場合に)インキュベーションし、Packard 96ウェル細胞ハーベスターを使用してPackard GF-Bプレート(0.3%PEIで予備浸漬)上に濾過し、氷冷した50mM Tris−HClで3回洗浄した。結合した[3H]LSDまたは[3H]ケタンセリンは、Packard TopCountを使用して1分あたりの放射能カウントとして測定した。
【0469】
結合部位からの[3H]LSDまたは[3H]ケタンセリンの置換は、4変数ロジスティック式に濃度−結合データをあてはめることにより定量した:
【0470】
【数1】

【0471】
[式中、HillはHillの傾きであり、[ligand]は競合する放射性リガンドの濃度であり、IC50は、放射性リガンドの最大比結合の半分を生成する放射性リガンド濃度である。比結合ウインドウは、Bmaxと基本パラメーターとの差である。
【0472】
この実施例の手順を使用して、式Iの化合物を試験し、選択的5−HT6アンタゴニスト、選択的5−HT2Aアンタゴニスト、またはその両方であることを見い出した。例えば、化合物(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−メチル−アミンは、5−HT6について約9.35のpKiおよび5−HT2Aについて約7.87のpKiを示した。表2に5−HT6についてのさらなるデータを示す。
【0473】
【表8】

【0474】
実施例19
認知能力の向上(Cognition Enhancement)
本発明の化合物の認知能力向上特性は、動物の認知モデルである物体認識タスクモデルで行うことができる。4月齢の雄性Wistarラット(Charles River, The Netherlands)を使用した。化合物は毎日調製し、生理食塩水に溶解させ、3用量で試験した。投与は常にT1の60分前にi.p.で行った(注射体積1ml/kg)。化合物を注射した30分後に臭化水素酸スコポラミンを注射した。等しい二つの試験群をラット24匹から作り、2回の実験で試験した。用量の試験順序はランダムに決定した。二重盲検プロトコールを使用して実験を行った。全てのラットを各用量条件で1回処置した。物体認識試験は、Ennaceur, A., Delacour, J., 1988, A new one-trial test for neurobiological studies of memory in rat. 1: Behavioral data. Behav. Brain Res. 31, 47-59により記載された通り行った。
【0475】
本発明の具体的な態様を参照して本発明を説明したが、本発明の真の精神および範囲から逸脱せずに、様々な変更を行うことができ、等価物に置き換えることができることを、当業者は了解すべきである。加えて、特定の状況、材料、物質の組成物、プロセス、プロセスの一つまたは複数のステップに適合させるように、本発明の目的となる精神および範囲に多数の改変を行うことができる。このような全ての改変は、本明細書に添付する特許請求の範囲内に入ることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化58】


[式中:
mは0〜3であり;
qは0〜3であり;
Arは、場合により置換されているアリールまたは場合により置換されているヘテロアリールであり;
1およびR7は、それぞれ独立してハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ヘテロアルキル、シアノ、−S(O)t−Ra、−C(=O)−NRbc、−SO2−NRbc、−N(Rd)−C(=O)−Re,または−C(=O)−Rfであり(式中、tは0〜2であり、Ra、Rb、Rc、RdおよびReは、それぞれ独立して水素またはアルキルであり、Rfは水素、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシであり;
2
【化59】


である
(式中、nは1〜3であり;
3およびR4は、それぞれ独立して水素もしくはアルキルであるか、またはR3およびR4は一緒になって、=Oもしくは=NRzを形成していてもよく(式中、Rzは水素またはアルキルである);かつ
5およびR6の一方は水素またはアルキルであり、かつ他方は、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニルアルキル、または場合により置換されているヘテロアリールであるか;あるいは
5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、アミジニル基、尿素基、グアニジニル基または5員もしくは6員のヘテロアリールもしくはヘテロシクリル環(この環は、場合により置換されており、かつO、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含む)を形成していてもよいか;あるいは
5およびR6の一方ならびにR3およびR4の一方は、それらが結合している原子と一緒になって、O、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含む5員または6員環を形成していてもよい)]の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
基Ar−SO2−が、ナフタレン環系の6−位に位置する、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
qが0であり、mが0または1であり、R3およびR4が水素であるか、またはR3およびR4が一緒になって、=Oを形成していてもよく、R5およびR6の一方が水素またはアルキルであり、かつ他方が、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または場合により置換されているヘテロアリールであるか、またはR5およびR6がそれらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくはまたは6員ヘテロシクリル環(この環は、場合により置換されており、かつO、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含む)を形成していてもよい、
請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
qが0であり、mが0または1であり、R3およびR4が水素であるか、またはR3およびR4が一緒になって、=Oを形成していてもよく、R5およびR6の一方が水素であり、かつ他方が、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
qが0であり、mが0または1であり、nが1であり、かつR2が、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、イミダゾリニルアミノアルキル、イミダゾリニルアルキル、グアニジニルアルキル、テトラヒドロピリミジニルアミノアルキル、アミジニルアルキル、ウレアルキル、アミジニル、ヘテロアリールアミノアルキル、イミダゾリルアミノアルキル、グアニジニルカルボニルアルキル、イミダゾロニルアミノアルキル、イミダゾリニルカルボニルアミノアルキル、アミノカルボニルアルキル、ピロリルカルボニルアミノアルキル、アミノアルキルカルボニルアミノアルキル、アルコキシカルボニルアルキルアミノアルキル、N−シアノグアニジニルアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アミノカルボニルアルキルアミノアルキル、ピロリジニルカルボニルアミノアルキル、アルキルスルホンアミドアルキル、アミノスルホンアミドアルキル、アルコキシカルボニルアミノアルキル、ヒドロキシアルキルカルボニルアミノアルキル、ヒドロキシアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキルアミノアルキル、またはアルキルスルホニルアルキルアミノアルキルである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項6】
qが0であり、mが0または1であり、かつR2が、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、グアニジニルアルキル、アミジニルアルキル、ウレアルキル、アミジニル、グアニジニルカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アミノカルボニルアルキルアミノアルキル、またはアルコキシカルボニルアミノアルキルである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項7】
qが0であり、mが0または1であり、かつR2が:
【化60】


である(式中、Rgは水素、アルキル、場合により置換されているフェニルまたは場合により置換されているピリミジニルであり、Rh、Ri、RjおよびRkは、それぞれ独立した出現において水素またはアルキルであり、かつRmは水素、アルキルまたは−NRhiである)、請求項1または2記載の化合物。
【請求項8】
qが0であり、mが0または1であり、かつR2が:
【化61】


である(式中、Rg、Rh、RiおよびRjは水素またはアルキルである)、請求項1または2記載の化合物。
【請求項9】
qが0であり、mが0または1であり、nが1であり、R3およびR4が水素であり、R5およびR6の一方が水素またはアルキルであり、かつ他方が:
【化62】


である(式中、Rg、Rh、RiおよびRjは水素またはアルキルである)、請求項1または2記載の化合物。
【請求項10】
式II:
【化63】


[式中:
sは0〜4であり;
8は、それぞれ独立してハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シアノ、−S(O)r−Ra、−C(=O)−NRbc、−SO2−NRbc、−N(Rd)−C(=O)−Rf、または−C(=O)−Rfであり(式中、rは0〜2であり、Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して水素またはアルキルであり、かつRfは、水素、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシである);かつ
m、n、R1、R3、R4、R5およびR6は請求項1に定義する通りである]の化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
mが0または1であり;
3およびR4が水素であるか、またはR3およびR4が、一緒になって、=Oを形成していてもよく;
5およびR6の一方が水素またはアルキルであり、かつ他方が:アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、イミダゾロニル、イミダゾリルカルボニル、ピロリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、N−シアノアミジニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノスルホニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、もしくは場合により置換されているヘテロアリールであるか、またはR5およびR6が、それらが結合している窒素と一緒になって、5員もしくは6員ヘテロシクリル環(この環は、場合により置換されており、O、NおよびSより選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含む)を形成していてもよい、請求項10記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項12】
mが0または1であり;
3およびR4が水素であるか、またはR3およびR4が一緒になって、=Oを形成していてもよく、R5およびR6の一方が水素であり、かつ他方が、水素、アルキル、アミジニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノアルキルカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルスルホニル、またはヒドロキシアルキルカルボニルである、
請求項10または11記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項13】
8がハロであり、かつsが0〜4である、請求項10〜12のいずれか一項記載の化合物。
【請求項14】
式III:
【化64】


[式中、m、n、s、R1、R5、R6およびR8は、請求項10に定義する通りである]の化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
(6−ベンゼンスルホニル−ナフタレン−1−イルメチル)−メチル−アミン、
C−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−メチルアミン、
N−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イルメチル]−アセトアミド、
[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イルメチル]−ウレア、
エタンスルホン酸 [6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イルメチル]−アミド、
2−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−エチルアミン、
3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピオンアミド、
{2−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−エチル}−ウレア、
N−{2−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−エチル}−アセトアミド、
{3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピル}−ウレア、
3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピルアミン、
N−{2−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−エチル}−メタンスルホンアミド、
N−{3−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イル]−プロピル}−アセトアミド、又は
4−[6−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−ナフタレン−1−イルメチル]−ピペラジン−2−オン
からなる群より選択される、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項記載の少なくとも一つの化合物を、薬学的に許容され得る担体と混合して含む、薬学的組成物。
【請求項17】
治療活性物質として使用するための、請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物。
【請求項18】
5−HT6レセプターモデュレーター、5−HT2Aレセプターモデュレーターまたはその両方に関連する疾患を処置するための薬を調製するための、請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項19】
精神病、統合失調症、躁うつ病、神経障害、記憶障害、注意欠陥障害、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、摂食障害、およびハンチントン病より選択される中枢神経系の病状の処置のための、請求項18記載の使用。
【請求項20】
消化器障害の処置および/または予防のための、請求項18記載の使用。
【請求項21】
本明細書に記載されている本発明。

【公表番号】特表2009−541249(P2009−541249A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515833(P2009−515833)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055841
【国際公開番号】WO2007/147763
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】