説明

アリールスルホンアミドアミン化合物および5−HT6リガンドとしてのそれらの使用

本発明は、式(I)の新規なアリールスルホンアミドアミン化合物、本明細書に記載されているそれらの互変異性型、それらの立体異性体、それらの多形、それらの薬学的に許容される塩、それらの薬学的に許容される溶媒和物、およびそれらを含有する薬学的に許容される組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の新規なアリールスルホンアミドアミン化合物、本明細書に記載されているそれらの互変異性型、それらの立体異性体、それらの多形、それらの薬学的に許容される塩、それらの薬学的に許容される溶媒和物、およびそれらを含有する薬学的に許容される組成物に関する。
【0002】
【化1】

【0003】
本発明はまた、上記の前記新規な化合物、本明細書に記載されているそれらの互変異性型、それらの立体異性体、それらの多形、それらの薬学的に許容される塩、それらの薬学的に許容される溶媒和物、およびそれらを含有する薬学的に許容される組成物を調製するための方法に関する。
【0004】
これらの化合物は、5-HT6受容体機能と関連する様々な障害の治療または予防に有用である。
【背景技術】
【0005】
不安、うつ、運動障害などの様々な中枢神経系障害は、神経伝達物質である5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)すなわちセロトニンの障害が関与していると考えられる。セロトニンは中枢および末梢神経系に局在しており、とりわけ、精神障害、運動活性、摂食行動、性的行為および神経内分泌の制御を含めた多くのタイプの状態に影響を及ぼすことが知られている。5-HT受容体サブタイプは、セロトニンの様々な効果を制御している。公知の5-HT受容体ファミリーには、5-HT1ファミリー(例えば、5-HT1A)、5-HT2ファミリー(例えば、5-HT2Aおよび5-HT2C)、5-HT3、5-HT4、5-HT5、5-HT6および5-HT7サブタイプが含まれる。
【0006】
5-HT6受容体サブタイプは、1993年に最初にラットの組織(Monsma,F.J.;Shen,Y.;Ward,R.P.;Hamblin,M.W.、Sibley,D.R.、Molecular Pharmacology、1993、43、320〜327頁)、続いてヒト組織(Kohen,R.;Metcalf,M.A.;Khan,N.;Druck,T.;Huebner,K.;Sibley,D.R.、Journal of Neurochemistry、1996、66、47〜56頁)からクローニングされた。この受容体は、アデニル酸シクラーゼと正に共役するGタンパク質共役受容体(GPCR)である(Ruat,M.;Traiffort,E.;Arrang,J-M.;Tardivel-Lacombe,L.;Diaz,L.;Leurs,R.;Schwartz,J-C.、Biochemical Biophysical Research Communications、1993、193、268〜276頁)。この受容体は、ラットおよびヒトの両方において、殆ど中枢神経系(CNS)領域のみに見出される。
【0007】
mRNAを使用したラット脳における5-HT6受容体のインサイチュハイブリダイゼーション研究は、線条体、側坐核、嗅結節および海馬体を含めた5-HT投射の領域に主として局在することを示す(Ward,R.P.;Hamblin,M.W.;Lachowicz,J.E.;Hoffman,B.J.;Sibley,D.R.;Dorsa,D.M.、Neuroscience、1995、64、1105〜1111頁)。最も高いレベルの5-HT6受容体のmRNAは、嗅結節、線条体、側坐核、および歯状回、ならびに海馬のCA1、CA2およびCA3領域において観察されてきた。より低いレベルの5-HT6受容体のmRNAは、小脳の顆粒層、いくつかの間脳核、扁桃体において、および皮質において見出された。ノーザンブロットによって、5-HT6受容体のmRNAは脳においてもっぱら存在しているようにみえ、末梢組織におけるその存在についての証拠が殆どないことが明らかになった。
【0008】
5-HT6受容体に対する多数の抗精神病剤の高親和性、線条体、嗅結節および側坐核における受容体のmRNAの局在性は、これらの化合物の臨床作用のいくつかが、この受容体を介して媒介し得ることを示唆する。精神医学において使用される広範囲の治療化合物に結合する受容体の能力は、脳におけるその興味深い分布と相まって、前記受容体と相互作用することができる新規な化合物に対するかなりの興味を刺激してきた(Sleight,A.J.ら、5-HT6 and 5-HT7 receptors:molecular biology, functional correlates and possible therapeutic indications、Drug News Perspective、1997、10、214〜224頁)。精神医学、認知機能障害、運動機能および制御、記憶、気分などにおける5-HT6受容体の果たし得る役割を理解するためにかなりの努力が行われている。5-HT6受容体への結合親和性を示す化合物は、5-HT6受容体の研究における補助として、および中枢神経系障害の治療における可能性のある治療剤としての両方で真剣に求められている。例えば、Reavill C.およびRogers D.C.、Current Opinion in Investigational Drugs、2001、2(1):104〜109頁、Pharma Press Ltdを参照されたい。
【0009】
Monsma F.J.ら(1993)およびKohen,R.ら(2001)は、いくつかの三環式抗うつ化合物(アミトリプチリンなど)および非定型抗うつ化合物(ミアンセリンなど)が5-HT6受容体に対して高親和性を有することを示してきた。これらの新知見によって、5-HT6受容体が、情動障害の病因および/または治療に関与しているという仮説が導かれた。不安に関連する行動のげっ歯類モデルは、不安における5-HT6受容体の役割について相反する結果をもたらす。5-HT6受容体アンタゴニストによる治療は、ラット最大電気痙攣ショック試験において発作閾値を増加させる[Stean,T.ら、Anticonvulsant properties of the selective 5-HT6 receptor antagonist SB-271046 in the rat maximal electroshock seizure threshold test. British Journal of Pharmacology、1999、127、予稿集補遺-131頁;Routledge,C.ら、Characterization of SB-271046:a potent, selective and orally active 5-HT6 receptor antagonist、British Journal of Pharmacology、2000、130、1606〜1612頁]。これは5-HT6受容体が発作閾値を制御し得ることを示すが、その効果は、公知の抗けいれん薬物の効果ほど明白ではない。
【0010】
5-HT6受容体リガンドの役割についての本発明者らの理解は、この受容体が主要な役割を有する可能性が高い2つの治療適用、すなわち学習および記憶欠損、ならびに異常な摂食行動において最先端である。5-HT6受容体の正確な役割は、不安などの他のCNS適用においてまだ確立されていないが、1種の5-HT6アゴニストが最近、第I相臨床試験に到達した。直接の効果に基づいて、および利用可能な科学的研究からの適用に基づいて、ヒトにおいて5-HT6受容体リガンドについての多くの可能性のある治療用途が存在する。これらの研究には、受容体の局在性、公知のインビボ活性を有するリガンドの親和性、および今までに行われた様々な動物試験が含まれる。好ましくは、5-HT6受容体のアンタゴニスト化合物が治療剤として求められる。
【0011】
5-HT6受容体機能のモジュレーターの1つの可能性のある治療用途は、アルツハイマーなどのヒト疾患における認知および記憶の増強にある。尾状核/被殻、海馬、側坐核および皮質を含めた前脳などの構造において見出される高レベルの受容体は、これらの領域が記憶において重要な役割を果たすことが知られているため、記憶および認知におけるこの受容体が果たす役割を示唆する(Gerard,C.;Martres,M.P.;Lefevre,K.;Miquel,M.C.;Verge,D.;Lanfumey,R.;Doucet,E.;Hamon,M.;EI Mestikawy,S.、Brain Research、1997、746、207〜219頁)。コリン作動性伝達を増強する公知の5-HT6受容体リガンドの能力はまた、認知における可能性のある使用を支持する(Bentley,J.C.;Boursson,A.;Boess,F.G.;Kone,F.C.;Marsden,C.A.;Petit,N.;Sleight,A.J.、British Journal of Pharmacology、1999、126(7)、1537〜1542頁)。
【0012】
研究によって、公知の5-HT6選択的アンタゴニストは、ノルアドレナリン、ドーパミンまたは5-HTのレベルを上昇させることなく、前頭皮質においてグルタメートおよびアスパルテートのレベルを有意に増加させたことが見出された。特定の神経化学物質のこの選択的な上昇は、記憶および認知の間に確認され、これは認知における5-HT6リガンドの役割を強力に示唆する(Dawson,L.A.;Nguyen,H.Q.;Li,P.、British Journal of Pharmacology、2000、130(1)、23〜26頁)。公知の選択的5-HT6アンタゴニストによる記憶および学習の動物試験は、いくつかの好ましい効果を有する(Rogers,D.C.;Hatcher,P.D.;Hagan,J.J.、Society of Neuroscience、アブストラクト、2000、26、680頁)。
【0013】
5-HT6リガンドについての関連する可能性のある治療用途は、小児および成人における注意欠陥障害(ADD、注意欠陥多動性障害またはADHDとしてもまた知られている)の治療にある。5-HT6アンタゴニストは黒質線状体ドーパミン経路の活性を増強するように思われ、ADHDは尾状核における異常と関連付けられてきたため(Ernst,M;Zametkin,A.J.;Matochik,J.H.;Jons,P.A.;Cohen,R.M.、Journal of Neuroscience、1998、18(15)、5901〜5907頁)、5-HT6アンタゴニストは、注意欠陥障害を減弱し得る。
【0014】
現時点では、少数の完全な選択的アゴニストが利用可能である。WyethアゴニストであるWAY-181187は現在、不安を標的として第I相トライアル中である[Cole,D.C.ら、(2005)、Discovery of a potent, selective and orally active 5-HT6 receptor agonist, WAY-181187、230th ACS Natl. Meet.(8月28日〜9月1日、Washington DC)、アブストラクトMEDI17]。
【0015】
国際公開第WO03/066056A1号は、5-HT6受容体の拮抗が哺乳動物の中枢神経系における神経細胞増殖を促進し得ることを報告している。別の国際公開第WO03/065046A2号は、ヒト5-HT6受容体の新規な変異体を開示しており、5-HT6受容体が多数の他の障害と関連することを提唱している。
【0016】
公知の治療上の有用性を有する様々なCNSリガンドの親和性、または公知の薬物への構造上の強い類似点を調査する初期の研究は、統合失調症およびうつの治療における5-HT6リガンドが果たす役割を示唆する。例えば、クロザピン(有効な臨床抗精神病剤)は、5-HT6受容体サブタイプに対して高親和性を有する。また、いくつかの臨床抗うつ剤は、同様に受容体に対して高親和性を有し、かつこの部位においてアンタゴニストとして作用する(Branchek,T.A.;Blackburn,T.P.、Annual Reviews in Pharmacology and Toxicology、2000、40、319〜334頁)。
【0017】
さらに、ラットにおける最近のインビボ研究は、5-HT6モジュレーターがてんかんを含めた運動障害の治療において有用であり得ることを示す(Stean,T.;Routledge,C.;Upton,N.、British Journal of Pharmacology、1999、127、予稿集補遺-131頁;およびRoutledge,C.;Bromidge,S.M.;Moss,S.F.;Price,G.W.;Hirst,W.;Newman,H.;Riley,G.;Gager,T.;Stean,T.;Upton,N.;Clarke,S.E.;Brown,A.M.;British Journal of Pharmacology、2000、30(7)、1606〜1612頁)。
【0018】
まとめると、5-HT6受容体モジュレーター、すなわちリガンドである化合物は、記憶、認知および学習における欠陥と関連する疾患(アルツハイマーおよび注意欠陥障害など)の治療;人格障害(統合失調症など)の治療;行動障害(例えば、不安、うつおよび強迫性障害)の治療;挙動または運動障害(パーキンソン病およびてんかんなど)の治療;神経変性と関連する疾患(脳卒中もしくは頭部外傷など)の治療;またはニコチン、アルコールおよび他の乱用物質への嗜癖を含めた薬物嗜癖からの離脱を含めた治療適用に有用であり得ることを、上記の研究は強力に示唆する。
【0019】
このような化合物はまた、腸機能障害などの特定の胃腸(GI)障害の治療において有用であることが期待されている。例えば、Roth,B.L.ら、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、1994、268、1403〜1412頁;Sibley,D.R.ら、Molecular Pharmacology、1993、43、320〜327頁、Sleight,A.J.ら、Neurotransmission、1995、11、1〜5頁;およびSleight,A.J.ら、Serotonin ID Research Alert、1997、2(3)、115〜118頁を参照されたい。
【0020】
さらに、ラットにおいて食物摂取量を減少させる5-HT6アンタゴニストおよび5-HT6アンチセンスオリゴヌクレオチドの効果、したがって潜在的に肥満症の治療における効果が報告されてきた。例えば、Bentley,J.C.;Boursson,A.;Boess,F.G.;Kone,F.C.;Marsden,C.A.;Petit,N.;Sleight,A.J.、British Journal of Pharmacology、1999、126(7)、1537〜1542頁);Wooleyら、Neuropharmacology、2001、41:210〜129頁およびWO02/098878を参照されたい。
【0021】
Holenz,Jo"rgら、Drug Discovery Today、11、7/8、2006年4月、Medicinal chemistry strategies to 5-HT6 receptor ligands as potential cognitive enhancers and antiobesity agentsによる最近のレビューは、5-HT6リガンドの段階的変化に関する入念な議論を提供する。このレビューは、統合失調症、他のドーパミンが関連する障害およびうつなどの病気における5-HT6受容体の評価において使用される薬理学的ツールおよび前臨床候補について概要を述べ、5-HT6受容体の遮断または活性化の神経化学的および電気生理学的効果をまとめた。最近、HealD.J.ら、Pharmacology and therapeutics、2008、117、207〜231頁、Selective 5-HT6 receptor ligands:Progress in the development of a novel pharmacological approach to the tratment of the obesity and related metabolic disordersによるレビューは、5-HT6リガンドの医薬品化学および薬理学の分野における大きな発展について記載したが、新規な抗肥満薬としての5-HT6リガンドの可能性のある用途について特に重点を置いている。さらに、リガンドは、5-HT6受容体を特性決定し、その分布を調査するために使用されてきた。
【0022】
アルツハイマー病と関連する認知機能障害の治療適用のためのGlaxoSmithKlineからの第II相アンタゴニスト候補であるSB-742457[Ahmed,M.ら、(2003)Novel compounds、WO特許2003080580]およびLilly化合物であるLY-483518[Filla,S.A.ら、(2002)Preparation of benzenesulfonic acid indol-5-yl esters as antagonists of the 5-HT6 receptor、WO2002060871]が報告されてきた。第I相臨床開発に入った最初の5-HT6受容体アンタゴニストであるSB-271046は中断された(おそらく血液脳関門への低い浸透のために)。さらに、選択的5-HT6受容体アンタゴニストであるSB-271046は、統合失調症の陽性または陰性症状と関連する動物試験において不活性である[Pouzet,B.ら、Effects of the 5-HT6 receptor antagonist, SB-271046, in animal models for schizophrenia、Pharmacol. Biochem. Behav.、2002、71、635〜643頁]。
【0023】
国際公開第WO2007/046112号、同第WO2007/020653号、同第WO2007/138611号、同第WO2005/066157号、同第WO2004/108671号、同第WO2004/048331号、同第WO2004/048330号および同第WO2004/048328号(全てはSuven Life Sciences Limitedに譲渡されている)は、関連する従来技術を記載している。さらに、WO98/27081、WO99/02502、WO99/37623、WO99/42465およびWO01/32646(全てはGlaxo SmithKline Beecham PLCに譲渡されている)は、5-HT6受容体アンタゴニストとしての一連のアリールスルホンアミドおよびスルホキシド化合物を開示しており、様々なCNS障害の治療において有用であると主張している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】国際公開第WO03/066056A1号
【特許文献2】国際公開第WO03/065046A2号
【特許文献3】WO02/098878
【特許文献4】WO特許2003080580
【特許文献5】WO2002060871
【特許文献6】国際公開第WO2007/046112号
【特許文献7】国際公開第WO2007/020653号
【特許文献8】国際公開第WO2007/138611号
【特許文献9】国際公開第WO2005/066157号
【特許文献10】国際公開第WO2004/108671号
【特許文献11】国際公開第WO2004/048331号
【特許文献12】国際公開第WO2004/048330号
【特許文献13】国際公開第WO2004/048328号
【特許文献14】WO98/27081
【特許文献15】WO99/02502
【特許文献16】WO99/37623
【特許文献17】WO99/42465
【特許文献18】WO01/32646
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】Monsma,F.J.;Shen,Y.;Ward,R.P.;Hamblin,M.W.、Sibley,D.R.、Molecular Pharmacology、1993、43、320〜327頁
【非特許文献2】Kohen,R.;Metcalf,M.A.;Khan,N.;Druck,T.;Huebner,K.;Sibley,D.R.、Journal of Neurochemistry、1996、66、47〜56頁
【非特許文献3】Ruat,M.;Traiffort,E.;Arrang,J-M.;Tardivel-Lacombe,L.;Diaz,L.;Leurs,R.;Schwartz,J-C.、Biochemical Biophysical Research Communications、1993、193、268〜276頁
【非特許文献4】Ward,R.P.;Hamblin,M.W.;Lachowicz,J.E.;Hoffman,B.J.;Sibley,D.R.;Dorsa,D.M.、Neuroscience、1995、64、1105〜1111頁
【非特許文献5】Sleight,A.J.ら、5-HT6 and 5-HT7 receptors:molecular biology, functional correlates and possible therapeutic indications、Drug News Perspective、1997、10、214〜224頁
【非特許文献6】Reavill C.およびRogers D.C.、Current Opinion in Investigational Drugs、2001、2(1):104〜109頁、Pharma Press Ltd
【非特許文献7】Stean,T.ら、Anticonvulsant properties of the selective 5-HT6 receptor antagonist SB-271046 in the rat maximal electroshock seizure threshold test. British Journal of Pharmacology、1999、127、予稿集補遺-131頁
【非特許文献8】Routledge,C.ら、Characterization of SB-271046:a potent, selective and orally active 5-HT6 receptor antagonist、British Journal of Pharmacology、2000、130、1606〜1612頁
【非特許文献9】Gerard,C.;Martres,M.P.;Lefevre,K.;Miquel,M.C.;Verge,D.;Lanfumey,R.;Doucet,E.;Hamon,M.;EI Mestikawy,S.、Brain Research、1997、746、207〜219頁
【非特許文献10】Bentley,J.C.;Boursson,A.;Boess,F.G.;Kone,F.C.;Marsden,C.A.;Petit,N.;Sleight,A.J.、British Journal of Pharmacology、1999、126(7)、1537〜1542頁
【非特許文献11】Dawson,L.A.;Nguyen,H.Q.;Li,P.、British Journal of Pharmacology、2000、130(1)、23〜26頁
【非特許文献12】Rogers,D.C.;Hatcher,P.D.;Hagan,J.J.、Society of Neuroscience、アブストラクト、2000、26、680頁
【非特許文献13】Ernst,M;Zametkin,A.J.;Matochik,J.H.;Jons,P.A.;Cohen,R.M.、Journal of Neuroscience、1998、18(15)、5901〜5907頁
【非特許文献14】Cole,D.C.ら、(2005)、Discovery of a potent, selective and orally active 5-HT6 receptor agonist, WAY-181187、230th ACS Natl. Meet.(8月28日〜9月1日、Washington DC)、アブストラクトMEDI17
【非特許文献15】Branchek,T.A.;Blackburn,T.P.、Annual Reviews in Pharmacology and Toxicology、2000、40、319〜334頁
【非特許文献16】Stean,T.;Routledge,C.;Upton,N.、British Journal of Pharmacology、1999、127、予稿集補遺-131頁
【非特許文献17】Routledge,C.;Bromidge,S.M.;Moss,S.F.;Price,G.W.;Hirst,W.;Newman,H.;Riley,G.;Gager,T.;Stean,T.;Upton,N.;Clarke,S.E.;Brown,A.M.;British Journal of Pharmacology、2000、30(7)、1606〜1612頁
【非特許文献18】Roth,B.L.ら、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、1994、268、1403〜1412頁
【非特許文献19】Sibley,D.R.ら、Molecular Pharmacology、1993、43、320〜327頁
【非特許文献20】Sleight,A.J.ら、Neurotransmission、1995、11、1〜5頁
【非特許文献21】Sleight,A.J.ら、Serotonin ID Research Alert、1997、2(3)、115〜118頁
【非特許文献22】Wooleyら、Neuropharmacology、2001、41:210〜129頁
【非特許文献23】Holenz,Jo"rgら、Drug Discovery Today、11、7/8、2006年4月、Medicinal chemistry strategies to 5-HT6 receptor ligands as potential cognitive enhancers and antiobesity agents
【非特許文献24】HealD.J.ら、Pharmacology and therapeutics、2008、117、207〜231頁、Selective 5-HT6 receptor ligands:Progress in the development of a novel pharmacological approach to the tratment of the obesity and related metabolic disorders
【非特許文献25】Ahmed,M.ら、(2003)Novel compounds
【非特許文献26】Filla,S.A.ら、(2002)Preparation of benzenesulfonic acid indol-5-yl esters as antagonists of the 5-HT6 receptor
【非特許文献27】Pouzet,B.ら、Effects of the 5-HT6 receptor antagonist, SB-271046, in animal models for schizophrenia、Pharmacol. Biochem. Behav.、2002、71、635〜643頁
【非特許文献28】Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorder;第4版、American Psychiatric Association、Washington,D.C.
【非特許文献29】Principles of Asymmetric synthesis、J.E.Baldwin編、Tetrahedron series、14、311〜316頁
【非特許文献30】Jacquesら、「Enantiomers, Racemates and Resolution」、Wiley Interscience、1981
【非特許文献31】J.Pharm.Sci.、1977、66、1〜19頁
【非特許文献32】Arthur Murry III,D.Lloyd Williams;Organic Synthesis with Isotopes、第I巻および第II巻、Interscience Publishers Inc.、N.Y.(1958)
【非特許文献33】Melvin Calvinら、Isotopic Carbon John Wiley and Sons Inc.、N.Y.(1949)
【非特許文献34】T.W.Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」(J.Wiley and Sons、1991)
【非特許文献35】Kaskら、European Journal of Pharmacology、414、2001、215〜224頁
【非特許文献36】Turnballら、Diabetes、2002、51、2441〜2449頁
【非特許文献37】Ennaceur,A.、Delacour,J.、A new one-trial test for neurobiological studies of memory in rats - Behavioural data、Behav.Brain Res.、1988、31、47〜59頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
いくつかの5-HT6モジュレーターが開示されてきた一方、5-HT6を調整するのに有用な化合物に対する需要が依然としてある。5-HT6受容体の領域における本発明者らのリサーチにおいて、本発明者らは、式(I)のアリールスルホンアミドアミン化合物が非常に高い5-HT6受容体親和性を示すことを見出した。したがって、本発明の目的は、種々の中枢神経系障害または5-HT6受容体によって影響される障害の治療/予防において治療剤として有用である化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、式(I)の新規なアリールスルホンアミドアミン化合物、本明細書に記載されているそれらの互変異性型、それらの立体異性体、それらの多形、それらの薬学的に許容される塩、それらの薬学的に許容される溶媒和物、およびそれらを含有する薬学的に許容される組成物に関する。
【0028】
【化2】

【0029】
式中、R1、R2、R3およびR5は、同じまたは異なっていてもよく、各々独立に、水素、ハロゲン、(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)アルコキシ、シクロ(C3〜C6)アルキル、シクロ(C3〜C6)アルコキシ、ハロ(C1〜C3)アルキルまたはハロ(C1〜C3)アルコキシを表し、
【0030】
【化3】

【0031】
は、アリールまたは複素環を表し、
R4は、水素、(C1〜C3)アルキル、シクロ(C3〜C6)アルキル、ハロ(C1〜C3)アルキル、アリールまたはアラルキルを表し、
「n」は、1〜2を表す。
【0032】
本発明は、5-HT6受容体機能と関連する様々な障害の治療/予防における医薬を製造するための、治療有効量の式(I)の化合物の使用に関する。
【0033】
具体的には、本発明の化合物は、不安、アルツハイマー病、うつ、痙攣性疾患、強迫性障害、片頭痛、頭痛、認知記憶障害、ADHD(注意欠陥障害/多動性症候群)、人格障害、精神病、パラフレニー、精神病性うつ病、パーキンソン病、躁病、統合失調症、パニック障害、睡眠障害、薬物乱用症候群からの離脱、脳卒中、頭部外傷、軽度認知機能障害、神経変性障害、胃腸障害および肥満症などの様々な障害の治療において有用である。
【0034】
別の態様において、本発明は、少なくとも1種の適切な担体、賦形剤、アジュバントまたは添加剤と混合した、治療有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物、または個々の立体異性体、立体異性体のラセミもしくは非ラセミ混合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含有する医薬組成物に関する。
【0035】
別の態様において、本発明は、医学的診断または治療において使用するための式(I)の放射性標識化合物、および5-HT6受容体機能と関連する様々な障害の治療において有用な医薬を調製するための式(I)の放射性標識化合物の使用に関する。
【0036】
別の態様において、本発明は、疾患および状態の治療または予防のための医薬の製造のための少なくとも1種のさらなる活性成分と組み合わせた、本発明による化合物の使用に関する。
【0037】
また別の態様では、本発明は、式(I)の化合物を含む組成物、および式(I)の化合物を使用するための方法に関する。
【0038】
さらに別の態様において、本発明はさらに、式(I)の化合物を調製するための方法に関する。
【0039】
下記は、一般式(I)に属する化合物の部分的リスト
N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4フルオロ-N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-イソプロピル-N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2-ブロモ-N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-フルオロ-N-[4-メトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
N-[4-メトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2-ブロモ-N-[4-メトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-イソプロピル-N-[4-メトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-メトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2-ブロモ-N-[3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-イソプロピル-N-[3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-フルオロ-N-[3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2-ブロモ-N-[4-メチル-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
N-[4-メチル-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-フルオロ-N-[4-メチル-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-メチル-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
N-[3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
5-クロロ-3-メチル-N-[4-メトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゾ[b]チオフェン-2-イルスルホンアミド;
N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド;
4-イソプロピル-N-[4メチル-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド;
2-ブロモ-N-{4-メトキシ-3-[N-メチル-N-(1-メチルピペリジン-4-イル)アミノ]フェニル}ベンゼンスルホンアミド;
N-[4-ブロモ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
N-[4-エトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
N-[4-トリフルオロメチル-3-(ピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-フルオロ-N-[4-フルオロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-フルオロ-N-[4-メトキシ-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-ブロモ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-エトキシ-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-イソプロピル-N-[4-トリフルオロメトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-イソプロピル N-[4-クロロ-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2-ブロモ-N-[4-クロロ-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-ブロモ-N-[3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-ブロモ-N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メトキシ-N-[4-ブロモ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メトキシ-N-[4-トリフルオロメチル-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2,4-ジクロロ-N-[4-メトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2,4-ジクロロ-N-[4-ブロモ-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-トリフルオロメトキシ-N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-クロロ-N-[4-クロロ-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2-クロロ-N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2-メトキシ-N-[4-トリフルオロメチル-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-クロロ-3-[N-メチル-N-(4-メチルピペリジン-1-イル)アミノ]フェニル)]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-メトキシ-3-[N-メチル-N-(4-メチルピペリジン-1-イル)アミノ]フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4メチル-N-[4-フルオロ-3-[N-メチル-N-(ピペリジン-1-イル)アミノ]フェニル]ベンゼンスルホンアミドおよび;
4-メチル-N-[4-トリフルオロメチル-3-[N-メチル-N-(ピペリジン-1-イル)アミノ]フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
ならびにその互変異性型、その立体異性体、その多形、その薬学的に許容される塩および溶媒和物である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される下記の用語は、下記に示す意味を有する。
【0041】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0042】
「(C1〜C3)アルキル」とは、1個〜3個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖アルキル基を意味し、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソ-プロピルが含まれる。
【0043】
「(C1〜C3)アルコキシ」とは、1個〜3個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖アルキル基を意味し、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシまたはイソ-プロピルオキシが含まれる。
【0044】
「シクロ(C3〜C6)アルキル」とは、3個〜6個の炭素原子を含有する環状または分岐状環状アルキル基を意味し、置換されている、または置換されていなくてもよい、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロプロピルメチル、シクロ(C3〜C6)アルキルメチルまたはシクロヘキシルが含まれ、任意選択で置換基は、ハロゲン、(C1〜C3)アルキルまたは(C1〜C3)アルコキシから選択し得る。
【0045】
「シクロ(C3〜C6)アルコキシ」とは、3個〜6個の炭素原子を含有する環状および分岐状環状アルキル基を意味し、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシまたはシクロヘキシルオキシが含まれる。
【0046】
「ハロ(C1〜C3)アルキル」とは、1個〜3個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖アルキル基を意味し、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、フルオロエチル、ジフルオロエチルなどが含まれる。
【0047】
「ハロ(C1〜C3)アルコキシ」とは、1個〜3個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖アルキル基を意味し、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、フルオロエトキシ、ジフルオロエトキシなどが含まれる。
【0048】
「複素環」とは、環の一部として炭素に加えて硫黄、酸素または窒素などの原子含有環状構造を含有する有機化合物を意味する。複素環は単純な芳香環または非芳香環でよく、ピリジン、ピリミジン、ベンゾチオフェンなどが含まれる。
【0049】
「アリール」とは、水素、ハロゲン、(C1〜C3)アルキル、ハロ(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)アルコキシまたはハロ(C1〜C3)アルコキシで任意選択で置換することができる単環式芳香環系を意味する。
【0050】
「アラルキル」とは、ベンジルまたはヘテロシクリルメチルなどを意味する。
【0051】
「統合失調症」という用語は、統合失調症、統合失調症様障害および分裂感情障害を意味する。
【0052】
「精神病性障害」という用語は、妄想、顕著な幻覚、混乱した言語または混乱したもしくは緊張性行動を意味する。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorder;第4版、American Psychiatric Association、Washington,D.C.を参照されたい。
【0053】
「薬学的に許容される塩」という語句は、物質または組成物が、哺乳動物を治療する製剤を構成する他の成分と化学的および/または毒物学的に適合性でなくてはならないことを示す。
【0054】
「治療有効量」とは、(i)特定の疾患、状態または障害を治療または予防し、(ii)特定の疾患、状態または障害の1つもしくは複数の症状を減弱、寛解または除去し、(iii)本明細書に記載されている特定の疾患、状態または障害の1つもしくは複数の症状の発症を予防または遅延させる、本発明の化合物の量として定義される。
【0055】
「治療すること」、「治療する」または「治療」という用語は、防止的、予防的および対症療法的などの全ての意味を包含する。
【0056】
「立体異性体」という用語は、空間におけるそれらの原子の配向のみが異なる、個々の分子の全ての異性体についての一般用語である。立体異性体には、鏡像異性体(エナンチオマー)、幾何(cis-trans)異性体、および複数のキラル中心を有する互いに鏡像でない化合物の異性体(ジアステレオマー)が含まれる。
【0057】
「ADHD」という用語は、注意欠陥多動性障害を意味する。
【0058】
式(I)の特定の化合物は、立体異性体の形態(例えば、ジアステレオマーおよびエナンチオマー)で存在することができ、本発明は、これらの立体異性体の形態の各々、およびラセミ化合物を含めたその混合物にまで及ぶ。異なる立体異性体の形態は、通常の方法によって互いに分離してもよく、または任意の所与の異性体は、立体特異的もしくは不斉合成によって得てもよい。本発明はまた、互変異性型およびこれらの混合物にまで及ぶ。
【0059】
概して、立体異性体は一般に、それ自体公知の態様で光学活性な異性体に分離することができるラセミ化合物として得られる。不斉炭素原子を有する一般式(I)の化合物の場合、本発明は、D型、L型およびD,L混合物に関し、いくつかの不斉炭素原子の場合、ジアストレオマー形態および本発明は、これらの立体異性体の形態の各々、およびラセミ化合物を含めたこれらの混合物にまで及ぶ。不斉炭素を有し、かつ一般にラセミ化合物として得られる一般式(I)のそれらの化合物は、通常の方法によってもう一方から分離することができ、または任意の所与の異性体は、立体特異的または不斉合成によって得てもよい。しかし、最初から光学活性な化合物を用いることもまた可能であり、相当する光学活性なエナンチオマーまたはジアステレオマー化合物が次いで最終的な化合物として得られる。
【0060】
一般式(I)の化合物の立体異性体は、下記に示す1つまたは複数の方法によって調製し得る。
i)試薬の1種または複数を、それらの光学活性な形態で使用してもよい。
ii)金属触媒と共に光学的に純粋な触媒またはキラル配位子を、還元過程において用いてもよい。金属触媒は、ロジウム、ルテニウム、インジウムなどでよい。キラル配位子は、好ましくはキラルホスフィンでよい(Principles of Asymmetric synthesis、J.E.Baldwin編、Tetrahedron series、14、311〜316頁)。
iii)立体異性体の混合物は、キラル酸またはキラルアミンまたはキラルアミノアルコール、キラルアミノ酸と共にジアステレオマー塩を形成させるなど従来の方法によって分解してもよい。次いで、ジアステレオマーのこのように得られた混合物は、分別結晶、クロマトグラフィーなどの方法によって分離してもよく、それに続いて誘導体を加水分解することによって光学活性な生成物を単離するさらなるステップがある(Jacquesら、「Enantiomers, Racemates and Resolution」、Wiley Interscience、1981)。
iv)立体異性体の混合物は、微生物分割、キラル酸またはキラル塩基と共に形成されたジアステレオマー塩を分割することなど従来の方法によって分解してもよい。
【0061】
用いることができるキラル酸は、酒石酸、マンデル酸、乳酸、カンファースルホン酸、アミノ酸などでよい。用いることができるキラル塩基は、キナアルカロイド、ブルシンまたは塩基性アミノ酸(リシン、アルギニンなど)でよい。幾何異性を含有する一般式(I)の化合物の場合、本発明は、これらの幾何異性体の全てに関する。
【0062】
適切な薬学的に許容される塩は、当業者であれば明らかであろうが、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸)、および有機酸(例えば、コハク酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはナフタリンスルホン酸)と形成される酸付加塩など、J.Pharm.Sci.、1977、66、1〜19頁において記載されているものが含まれる。本発明には、その範囲内で、全ての可能性のある化学量論的および非化学量論的形態が含まれる。
【0063】
本発明の一部を形成する薬学的に許容される塩は、式(I)の化合物を、1〜6当量の塩基(水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、カリウムt-ブトキシド、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウムなど)で処理することによって調製し得る。水、アセトン、エーテル、THF、メタノール、エタノール、t-ブタノール、ジオキサン、イソプロパノール、イソプロピルエーテルまたはこれらの混合物などの溶媒を使用し得る。
【0064】
式(I)の化合物は、結晶または非結晶形態で調製してもよく、結晶の場合、例えば、水和物として任意選択で溶媒和し得る。本発明には、その範囲内で、化学量論的溶媒和物(例えば、水和物)、および不定量の溶媒(例えば、水)を含有する化合物が含まれる。
【0065】
本発明の化合物は、互いに組み合わせて、あるいは上記に一覧表示した状態を治療または予防するために使用される他の治療剤またはアプローチと組み合わせて使用することができる。このような薬剤またはアプローチには、β-セクレターゼ阻害剤;γ-セクレターゼ阻害剤;アミロイド凝集阻害剤(例えば、Alzhemed);直接的または間接的に作用する神経保護化合物;抗酸化剤(ビタミンEおよびギンコリドなど);抗炎症剤(Cox阻害剤またはNSAIDなど);HMG-CoAレダクターゼ阻害剤(スタチン);アセチルコリン-エステラーゼ阻害剤(ドネペジル、リバスチグミン、タクリン、ガランタミンなど);NMDA受容体アンタゴニスト(例えば、メマンチン);AMPAアゴニスト;神経伝達物質の放出または濃度を調整する化合物(例えば、NS-2330);成長ホルモンの放出を誘発する化合物(例えば、メシル酸イブタモレンおよびカプロモレリン);CBI受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト;ミノサイクリンまたはリファンピシンなどの抗生物質;PDE-IVおよびPDE-IX阻害剤;GABAAインバースアゴニスト;ニコチンアゴニスト;ヒスタミンH3アンタゴニスト;5-HT4アゴニストまたは部分アゴニスト;5-HT6アンタゴニスト;a2-アドレナリン受容体アンタゴニスト;ムスカリンM1アゴニスト;ムスカリンM2アンタゴニスト;代謝型グルタミン酸受容体5の正のモジュレーター;ならびに本発明の化合物の効力および/もしくは安全性が増加し、または副作用が減少するように受容体または酵素を調整する化合物が含まれる。
【0066】
好ましいのは、本発明の化合物の1つまたは複数と、Alzhemed、ビタミンE、ギンコリド、ドネペジル、リバスチグミン、タクリン、ガランタミン、メマンチン、NS-2330、メシル酸イブタモレン、カプロモレリン、ミノサイクリンおよびリファンピシンからなる群から選択される1種または複数のさらなる活性成分とを含むこのような組合せである。
【0067】
本発明の組合せにおいて、本発明の化合物および上記の組合せパートナーは、別々に(例えば、パーツのキット)または1つの医薬組成物(例えば、カプセル剤または錠剤)中で一緒に投与し得る。さらに、本発明の組合せの1つの要素の投与は、本発明の組合せの他の要素の投与の前、同時、または後でよい。本発明の化合物および1種または複数のさらなる活性成分が別々の製剤中に存在する場合、これらの別々の製剤は、同時または順次に投与し得る。
【0068】
上記の疾患および状態の治療または予防のために、本発明の化合物は、例えば、Aベータペプチドもしくはその誘導体による免疫化、または抗Aベータペプチド抗体の投与などの免疫学的アプローチと組み合わせて使用することができる。
【0069】
したがって、本発明は、疾患および状態の治療または予防のための医薬の製造のための、少なくとも1種のさらなる活性成分と組み合わせた本発明による化合物の使用に関する。
【0070】
多数の放射性同位体は、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、123I、124I、125I、131I、18F、75Br、76Br、77Br、82Brおよび36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、ヨウ素、フッ素、臭素および塩素の同位体を含めて容易に利用可能である。
【0071】
一般式(I)の化合物は、有機化学において公知の標準的な技術を使用することによって放射標識することができる。代わりに、式(I)の化合物は、出発物質の1つにおいて、または式(I)の化合物の合成において使用される中間体において置換基として放射性同位体で放射標識されている。例えば、Arthur Murry III,D.Lloyd Williams;Organic Synthesis with Isotopes、第I巻および第II巻、Interscience Publishers Inc.、N.Y.(1958)およびMelvin Calvinら、Isotopic Carbon John Wiley and Sons Inc.、N.Y.(1949)を参照されたい。
【0072】
放射性標識化合物の合成は、放射性標識されたプローブ化合物のカスタム合成を専門に扱う放射性同位体の供給業者(Amersham Corporation、Arlington Heights、IL;Cambrige Isotopes Laboratories,Inc.Andover、MA;Wizard Laboratories、West Sacramento、CA;ChemSyn Laboratories、Lexena、KS;American Radiolabeled Chemicals,Inc.& St.Louis、MOなど)によって好都合に行い得る。
【0073】
式(I)の化合物の放射性標識された類似体を、臨床試験において使用して、5-HT6受容体リガンドが関与していると考えられる種々の疾患領域における5-HT6受容体リガンドの役割を評価し得る。
【0074】
式(I)の放射性標識化合物は、薬物療法および診断のための造影剤およびバイオマーカーとして有用である。このような放射性標識化合物はまた、5-HT6の機能および活性を研究するための薬理学的ツールとして有用である。例えば、同位体標識化合物は、SPECT(単光子放射型コンピューター断層撮影法)およびPET(ポジトロン放出断層撮影)において特に有用である。
【0075】
本発明はまた、下記の経路(スキームI)で構成される、一般式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の調製のための方法を提供し、
【0076】
【化4】

【0077】
重要中間体(II)は、文献において公知の様々な方法によって合成される。
【0078】
本発明の方法には、適切な溶媒の存在下で周囲温度にて適切な還元剤および塩基を使用して式(II)の化合物を、
【0079】
【化5】

【0080】
ピペリジン-4-オン誘導体と反応させて、式(I)の化合物を得ることが含まれ、全ての置換は、上記に記載した通りである。
【0081】
上記の反応は好ましくは、エタノール、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル、水、チタンイソプロポキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルエーテルなど、またはこれらの混合物などの溶媒中で、好ましくは酢酸エチルを使用して行われる。反応は、ナトリウム、水酸化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなど、またはこれらの混合物などの還元剤を使用して、好ましくはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを使用することによって行われる。反応は、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水素化ナトリウムまたはこれらの混合物などの塩基の存在下で、好ましくは水酸化ナトリウムを使用して行われてもよい。反応温度は、溶媒の選択に基づいて20℃〜45℃の範囲でよく、好ましくは20℃〜30℃の範囲の温度である。反応の持続時間は、1〜5時間、好ましくは2〜4時間の期間の範囲であり得る。
【0082】
重要中間体(II)は、調製1に記載されているように合成される。この重要中間体(II)は市販でもよく、または重要中間体(II)は、従来の方法によって、もしくは公知の方法を使用した修正によって調製し得る。
【0083】
本発明はまた、下記の経路(スキームII)を含む、一般式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の調製のための代わりの方法を提供し、重要中間体(III)は、文献において公知の様々な方法によって合成される。
【0084】
【化6】

【0085】
本発明の方法には、適切な溶媒の存在下で周囲温度にて式(III)の化合物を、
【0086】
【化7】

【0087】
アリールスルホニルクロリド誘導体と反応させて、式(I)の化合物を得ることが含まれ、全ての置換は、上記に記載した通りである。
【0088】
上記の反応は好ましくは、エタノール、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル、水、ピリジン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルエーテルなど、またはこれらの混合物などの溶媒中、好ましくはピリジンおよびジクロロメタンを使用して行われる。反応温度は、溶媒の選択に基づいて20℃〜45℃の範囲でよく、好ましくは25℃〜30℃の範囲の温度である。反応の持続時間は、1〜5時間の範囲、好ましくは4時間の期間であり得る。
【0089】
重要中間体(III)は、調製2に記載されているように合成される。この重要中間体(III)は市販でもよく、または重要中間体(III)は、従来の方法によって、もしくは公知の方法を使用した修正によって調製し得る。
【0090】
本発明の上記の調製方法によって得た化合物は、酸化、還元、保護、脱保護、転位反応、ハロゲン化、ヒドロキシル化、アルキル化、アルキルチオール化、脱メチル化、O-アルキル化、O-アシル化、N-アルキル化、N-アルケニル化、N-アシル化、N-シアノ化、N-スルホニル化、遷移金属を使用したカップリング反応などの周知の反応を使用したさらなる化学修飾によって、本発明の別の化合物に転換することができる。
【0091】
必要に応じて、下記のステップの任意の1つまたは複数を行うことができる、
i)式(I)の化合物を式(I)の別の化合物に変換すること
ii)任意の保護基を除去すること、あるいは
iii)薬学的に許容される塩、その溶媒和物またはプロドラッグを形成させること。
【0092】
工程(i)は、エピマー化、酸化、還元、アルキル化、求核または芳香族求電子置換反応、およびエステル加水分解またはアミド結合形成などの従来の相互変換手順を使用して行い得る。
【0093】
工程(ii)において、保護基の例および保護基の除去のための手段は、T.W.Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」(J.Wiley and Sons、1991)に見出すことができる。適切なアミン保護基には、スルホニル(例えば、トシル)、アシル(例えば、アセチル、2',2',2'-トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたはt-ブトキシカルボニル)およびアリールアルキル(例えば、ベンジル)が含まれ、必要に応じて、加水分解によって(例えば、塩酸もしくはトリフルオロ酢酸などの酸を使用した)、または還元的に除去(例えば、ベンジル基の水素化分解、もしくは酢酸中の亜鉛を使用した2',2',2'-トリクロロエトキシカルボニル基の還元的除去)し得る。他の適切なアミン保護基には、塩基触媒加水分解によって除去し得るトリフルオロアセチル、または例えば、トリフルオロ酢酸による酸触媒加水分解によって除去し得る固相樹脂結合ベンジル基(メリフィールド樹脂結合2,6-ジメトキシベンジル基(Ellmanリンカー)など)が含まれる。
【0094】
工程(iii)において、ハロゲン化、ヒドロキシル化、アルキル化および/または薬学的に許容される塩は、上記で詳細を記載したように、適切な酸または酸誘導体との反応によって従来法で調製し得る。
【0095】
式(I)の化合物を治療において使用するために、式(I)の化合物は通常の標準的薬務に従って医薬組成物に製剤される。
【0096】
本発明の医薬組成物は、1種または複数の薬学的に許容される担体を使用して従来の通り製剤し得る。したがって、本発明の活性化合物は、経口、口腔、鼻腔内、非経口(例えば、静脈内、筋内もしくは皮下)、または直腸投与、または吸入もしくは吹送による投与に適した形態のために製剤し得る。
【0097】
経口投与のために、医薬組成物は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、バレイショデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);あるいは湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される添加剤と共に従来の手段によって調製される、例えば、錠剤またはカプセル剤の形態を取り得る。錠剤は、当技術分野で周知の方法によってコーティングし得る。経口投与のための液体調製物は、例えば、溶液剤、シロップ剤もしくは懸濁剤の形態を取ってもよく、またはそれらは、使用する前に水または他の適切なビヒクルと共に構成するための乾燥生成物として提供し得る。このような液体調製物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ剤、メチルセルロースまたは硬化食用脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステルまたはエチルアルコール)および保存剤(例えば、メチルまたはp-ヒドロキシ安息香酸プロピルまたはソルビン酸)などの薬学的に許容される添加物と共に、従来の手段によって調製し得る。
【0098】
口腔投与のために、組成物は、従来の態様で製剤した錠剤またはロゼンジ剤の形態を取り得る。
【0099】
本発明の活性化合物は、従来のカテーテル法技術または注入の使用を含めた、注射による非経口投与のために製剤し得る。注射のための製剤は、添加された保存剤と共に、単位剤形、例えば、アンプルで、または複数用量容器で提供してもよい。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、溶液剤または乳剤などの形態を取ってもよく、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤などの製剤化剤を含有し得る。代わりに、活性成分は、使用する前に、適切なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質なしの水と再構成するための粉末形態でよい。
【0100】
本発明の活性化合物はまた、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する、坐剤または停留浣腸などの直腸用組成物に製剤し得る。
【0101】
鼻腔内投与または吸入による投与のために、本発明の活性化合物は好都合には、加圧容器もしくはネブライザーから、または吸入器もしくは注入器を使用したカプセルからのエアゾールスプレーの形態で送達される。加圧エアゾールの場合、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体、および投与単位は、定量を送達するためのバルブを設けることによって決定し得る。加圧容器またはネブライザーのための医薬は、活性化合物の溶液または懸濁液を含有してもよく、一方カプセルについては、医薬は好ましくは、粉末の形態であるべきである。吸入器または注入器において使用するためのカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンで作られている)は、本発明の化合物および適切な粉末基剤(ラクトースまたはデンプンなど)の混合粉体を含有して製剤し得る。
【0102】
平均的な成人における上記で言及した状態(例えば、片頭痛)の治療のためのエアゾール製剤は、エアゾールの各定量または「ひと吹き」が20μg〜1000μgの本発明の化合物を含有するように好ましくは準備される。エアゾールによる全体的な1日用量は、100μg〜10mgの範囲内である。投与は、毎日数回、例えば、2回、3回、4回または8回でよく、毎回、例えば、1、2または3用量を与える。
【0103】
有効量の上記定義のような一般式(I)の化合物またはそれらの誘導体を使用して、従来の医薬助剤、担体および添加物と共に、医薬を生成することができる。
【0104】
このような治療には、複数の選択肢が含まれ、例えば、単回用量形態で2種の適合性の化合物を同時に投与し、または別々の投与量で各化合物を個々に投与し、または必要に応じて薬理学の公知の原理に従って有益な効果を最大化し、もしくは薬物の可能性のある副作用を最小化するために、同じ時間間隔もしくは別々に投与する。
【0105】
活性化合物の用量は、投与経路、患者の年齢および体重、治療する疾患の性質および重症度、ならびに同様の要因などの要因によって変化し得る。したがって、本明細書において薬理学的有効量の一般式(I)の化合物への任意の言及は、上記の要因を意味する。上記で言及した状態の治療のための、平均的な成人への経口、非経口、経鼻または口腔投与のための、本発明の活性化合物の提唱される用量は、例えば、1日当たり1〜4回投与することができる単位用量毎に活性成分0.1〜200mgである。
【0106】
市販の試薬を、それ以上精製することなく利用した。室温とは、25〜30℃を意味する。IRはKBrを使用して、固体状態で採取した。特に明記しない限り、全ての質量スペクトルはESI条件を使用して行った。1H-NMRスペクトルは、Bruker機器で400MHzにて記録した。重水素化クロロホルム(99.8%D)を、溶媒として使用した。TMSを、内部参照標準として使用した。化学シフト値は、百万分率(δ)値で表す。下記の略語を、NMR信号についての多重度のために使用する。s=一重線、bs=幅広い一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、qui=五重線、h=七重線、dd=二重線の二重線、dt=三重線の二重線、tt=三重線の三重線、m=多重線。クロマトグラフィーは、100〜200メッシュのシリカゲルを使用して行い、窒素圧(フラッシュクロマトグラフィー)条件下で実行されるカラムクロマトグラフィーを意味する。
【0107】
(実施例)
本発明の新規な化合物を、適切な材料を使用して下記の手順によって調製し、下記の具体例によってさらに例示する。本発明の最も好ましい化合物は、これらの実施例において特に記載されているもののいずれかまたは全てである。しかし、これらの化合物は、本発明として考えられる唯一の属を形成すると解釈されず、化合物の任意の組合せまたはそれらの部分は、それ自体で属を形成し得る。下記の実施例は、本発明の化合物の調製についての詳細をさらに例示する。下記の調製手順の条件および方法の公知のバリエーションを、これらの化合物を調製するために使用できることは、当業者であれば容易に理解するであろう。
【0108】
調製1:N-(4-クロロ-3-アミノフェニル)ベンゼンスルホンアミドの調製
ステップ(I):2-クロロ-5-ニトロアセトアニリドの調製
2-クロロ-5-ニトロアニリン(12グラム、70mmol)を、撹拌しながらジクロロメタン(110mL)を含有する500mLの三つ口丸底フラスコ中に入れた。次いで、トリエチルアミン(14.9mL、105mmol)を、室温にて反応マス(reaction mass)に15分で滴下で添加した。反応マスを撹拌しながら0℃に冷却し、塩化アセチル(6.8mL、84mmol)を0℃で10分の期間に亘り加えた。反応マスを20〜25℃で3時間さらに撹拌した。150mLの水に反応マスをクエンチし、生成物を過剰なジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン溶液(2×25mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、塩を含まないように濾過し、真空下で濃縮し、油性塊(7.8gm)を得た。
IRスペクトル(cm-1):1550、1335、1190;
1H-NMR (δ ppm): 2.15 (3H, s)、7.51〜7.53 (1H, d, J=8.56Hz)、7.85〜7.87 (1H, dd, J=2.48, 8.56Hz)、8.21(1H, d, J=2.46Hz);
質量 (m/z): 215.6 (M+H)+
【0109】
ステップ(II):2-クロロ-5-アミノアセトアニリドの調製
500mLの三つ口丸底フラスコに、ステップ(I)で得た2-クロロ-5-ニトロアセトアニリド(34.05グラム、158.5mmol)、およびメタノール(100mL)を加えた。塊を撹拌し、透明な溶液を得て、次いでメタノール(20mL)を使用してラネーニッケル(3.4グラム)をゆっくり注意深く加えた。ヒドラジン水和物(39.6mL、792.5mmol)を、塊の温度を25〜30℃に維持することによって、窒素雰囲気下にて滴下で添加した。添加の間、反応は発熱性であった。反応マスを25〜30℃で2時間さらに撹拌した。反応マスはhyflow supercellベッドを通して濾過し、メタノール(50mL)で洗浄した。濾液を濃縮し、油性塊を得た。水(200mL)を加え、40%水酸化ナトリウム水溶液を使用することによってpHを10に調整した。生成物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン溶液(2×25mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、塩を含まないように濾過し、真空下で濃縮し、油性生成物(18.48グラム)を得た。
IRスペクトル(cm-1):3310、1535、1331、1153;
1H-NMR (δ ppm): 2.15 (3H, s)、3.68 (2H, bs)、6.34〜6.37 (1H, dd, J=2.48, 8.56Hz)、6.70 (1H, d, J=2.46Hz)、6.90〜6.92 (1H, d, J=8.56Hz);
質量 (m/z): 185.6 (M+H)+
【0110】
ステップ(III):N-(4-クロロ-3-アセトアミドフェニル)ベンゼンスルホンアミドの調製
ジクロロエタン(20mL)を含有する乾燥した100mLの三つ口丸底フラスコに、ステップ(II)で得た2-クロロ-5-アミノアセトアニリド(1.5グラム、8mmol)を加え、続いてピリジン(0.7mL、8mmol)を窒素雰囲気下にて加えた。反応マスを1時間撹拌し、次いでベンゼンスルホニルクロリド(1.6mL、9.2mmol)を室温にて20分で滴下で添加し、反応マスを2時間さらに撹拌した。反応の完了後、反応マスを100mLの水にクエンチし、生成物をジクロロエタン(3×350mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン溶液(2×25mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、塩を含まないように濾過し、真空下で濃縮し、油性塊を得て、それを酢酸エチルおよびヘキサンを溶離液として使用したカラムクロマトグラフィーによってさらに精製し、2.1グラムの生成物を得た。
IRスペクトル(cm-1):1652、1522、1310、1155;
1H-NMR (δ ppm): 2.1 (3H, s)、3.52 (1H, bs)、6.34〜6.37 (1H, dd., J=8.56, 2.48Hz)、6.70 (1H, d,J=2.46Hz),6.90〜6.92 (1H,d,J=8.56Hz) ,7.25〜7.39 (3H,m)、7.66〜7.68 (2H,m)、9.41 (1H, s);
質量 (m/z): 325.7 (M+H)+
【0111】
ステップ(IV):N-(4-クロロ-3-アミノフェニル)ベンゼンスルホンアミドの調製
ステップ(III)で得たN-(4-クロロ-3-アセトアミドフェニル)ベンゼンスルホンアミド(4.5グラム、13.8mmol)を、エタノール(50mL)を含有する100mLの三つ口丸底フラスコに撹拌しながら加えた。濃塩酸の水溶液(4.2mL、30mmol)を加え、反応マスを還流させながら(75〜80℃)5時間加熱した。エタノールを真空下で蒸発させ、このように得られた塊を水(100mL)にクエンチし、トリエチルアミンで塩基性化した。生成物を酢酸エチル(4×100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン溶液(2×25mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、塩を含まないように濾過し、真空下で濃縮し、油性塊を得て、それを酢酸エチルおよびヘキサン(1:1混合物)を使用したカラムクロマトグラフィーによってさらに精製し、3.1グラムの生成物を得た。
IRスペクトル(cm-1):1603、1520、1325、1151;
1H-NMR (δ ppm): 3.96 (2H, bs)、6.35〜6.38 (1H, dd, J=8.56, 2.48Hz)、6.62 (1H, d, J=2.46Hz)、6.86〜6.88 (1H, d, J=8.56Hz)、7.25〜7.39 (3H, m)、7.66〜7.68 (2H, m)、9.41 (1H, s);
質量 (m/z): 283.7 (M+H)+
【0112】
調製2:4-メトキシ-N-メチル-N-(1-メチルピペリジン-4-イル)ベンゼン-1,3-ジアミンの調製
ステップ(I):2-メトキシ-5-ニトロ-N-(1-Bocピペリジン-4-イル)フェニルアミンの調製
2-メトキシ-5-ニトロフェニルアミン(8.0グラム、47.61mmol)を丸底フラスコに加え、続いて1-boc-4-ピペリドン(28.42グラム、142.83mmol)、硫酸ナトリウム(67.6グラム、476mmol)および酢酸(80mL)を加えた。上記の反応マスを周囲温度で8時間撹拌した。次いで、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(30.28グラム、142.83mmol)を20〜25℃で5分で加え、反応マスをさらに3時間撹拌した。反応マスを水(100mL)にクエンチし、50%水酸化ナトリウム水溶液でpH9に塩基性化した。生成物を酢酸エチル(4×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、油性生成物を得た。生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液は酢酸エチル、n-ヘキサンおよびトリエチルアミンである)によってさらに精製し、24.01グラムの純粋な生成物を得た。
IRスペクトル(cm-1):3418、2950、1685、1264、1172;
1H-NMR (δ ppm): 1.35〜1.45 (2H, m)、1.47 (9H, s)、2.04〜2.09 (2H, m)、2.96〜3.02 (2H, m)、3.50〜3.52 (1H, m)、3.94(3H, s)、4.06〜4.11 (2H,m),4.33〜4.35 (1H, d, J=7.76Hz)、6.75〜6.77 (1H, d, J= 8.8Hz)、7.38〜7.39 (1H, d, J= 2.64Hz)、7.60〜7.63 (1H, dd, J=8.76, 2.64Hz);
質量 (m/z): 352.2 (M+H)+
【0113】
ステップ(II):2-メトキシ-5-ニトロ-N-メチル-N-(1-Bocピペリジン-4-イル)フェニルアミンの調製
ステップ(I)で得た2-メトキシ-5-ニトロ-N-(1-Bocピペリジン-4-イル)フェニルアミン(5グラム、14.24mmol)を、メタノール(10mL)を含有する丸底フラスコ中に入れ、25〜30℃で5分間撹拌した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.06グラム、17.09mmol)およびギ酸(1.96グラム、42.7mmol)を加え、反応マスを10分間撹拌した。白色の固体塊が分離した。次いで、反応マスを氷バス中0〜5℃に冷却し、ホルムアルデヒド(2.84mL、28.4mmol、30〜50%)を加えた。透明な溶液を得た。塊を20〜25℃で6時間さらに撹拌した。反応の完了後(薄層クロマトグラフィー)、溶媒を蒸発させ、油性塊を得た。水(100mL)を加え、炭酸水素ナトリウム溶液の飽和溶液を使用してpH8に塩基性化した。生成物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、層を分離した。合わせた有機層をブライン溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層を濃縮し、5.86グラムの濃い色の油を得た。
IRスペクトル(cm-1):3425、2959、1680、1176;
1H-NMR (δ ppm): 1.45 (9H, s)、1.60〜1.69 (4H, m)、2.66 (2H, m)、2.75 (3H, s)、3.34〜3.37 (1H, m)、3.94 (3H, s)、4.14〜4.19 (2H, bs)、6.88〜6.90 (1H, d, J=8.98Hz)、7.79〜7.80 (1H, d, J=2.72Hz)、7.90〜7.93 (1H, dd, J=8.95, 2.72Hz);
質量 (m/z): 366.5 (M+H)+
【0114】
ステップ(III):2-メトキシ-5-ニトロ-N-メチル-N-(ピペリジン-4-イル)フェニルアミンの調製
250mLの三つ口丸底フラスコに、ステップ(II)で得た2-メトキシ-5-ニトロ-N-メチル-N-(1-Bocピペリジン-4-イル)フェニルアミン(3グラム、8.21mmol)を加え、続いてイソプロピルアルコール(20mL)を加え、10分間撹拌した。反応マスを40〜45℃に加熱し、5分間撹拌し、透明な溶液を得た。イソプロパノール塩化水素(20%)溶液(15.99mL、65.75mmol)を上記の反応マスに10分の期間に亘り滴下で添加した。さらに、反応マスを60〜63℃で2時間加熱した。分離した固体を濾過し、水(20mL)中に入れ、アンモニア溶液で塩基性化し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去し、2.5グラムの表題生成物を得た。
IRスペクトル(cm-1):3410、2956、1650、1174;
1H-NMR (δ ppm): 1.65〜1.72 (4H, m)、2.55〜2.61 (2H, m)、2.78 (3H, s)、3.14〜3.17 (2H, m)、3.31〜3.34(1H, m)、3.94 (3H, s)、6.87〜6.89 (1H, d, J=8.96Hz)、7.79〜7.80 (1H, d, J=2.74Hz); 7.88〜7.91 (1H, dd, J=8.98, 2.68Hz);
質量 (m/z): 266.1 (M+H)+
【0115】
ステップ(IV):2-メトキシ-5-ニトロ-N-メチル-N-(1-メチルピペリジン-4-イル)フェニルアミンの調製
250mLの三つ口丸底フラスコに、ステップ(III)で得た2-メトキシ-5-ニトロ-N-メチル-N-(ピペリジン-4-イル)フェニルアミン(1.93グラム、7.33mmol)を加え、続いてメタノール(20mL)を加え、25〜30℃で5分間撹拌した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.548グラム、8.80mmol)およびギ酸(1.08mL、22.01mmol)を加え、反応マスを10分間撹拌した。反応マスを氷バス中0〜5℃に冷却し、ホルムアルデヒド(1.46mL、14.6mmol、30〜50%)をシリンジによって加えた。透明な溶液を得た。反応マスを20〜25℃で6時間さらに撹拌した。反応が完了した後(薄層クロマトグラフィー)、溶媒を減圧下で蒸発させた。残留した油性塊に、水(100mL)を加え、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液を使用してpH8に塩基性化した。生成物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、1.96グラムの濃い黄色の油性塊を得た。
IRスペクトル(cm-1):2956、1650、1515、1180;
1H-NMR (δ ppm): 1.68〜1.71 (2H, m)、1.86〜1.92 (2H, m)、1.98〜2.04 (2H, m)、2.17 (3H, s)、2.78 (3H, s)、2.94〜2.97 (2H, m),3.25〜3.28 (1H, m)、3.96 (3H, s)、6.87〜6.91 (1H, d, J=8.98Hz)、7.80 (1H, d, J=2.68Hz)、7.88〜7.92 (1H, dd, J=8.96, 2.64Hz);
質量 (m/z): 280.2 (M+H)+
【0116】
ステップ(V):4-メトキシ-N-メチル-N-(1-メチルピペリジン-4-イル)ベンゼン-1,3-ジアミンの調製
250mLの三つ口丸底フラスコに、鉄粉(1.99グラム、6.81mmol)および10mLの脱塩水を加えた。塊を5分間撹拌し、濃塩酸(12mL)を滴下で添加した。反応は発熱性であった。さらに、反応マスを50℃に加熱し、エタノール(20mL)に溶解したステップ(IV)で得た2-メトキシ-5-ニトロ-N-メチル-N-(1-メチルピペリジン-4-イル)フェニルアミン(1.9グラム、6.81mmol)の溶液を添加漏斗によって滴下で添加した。反応マスを78〜80℃で4時間加熱した。反応が完了した後(薄層クロマトグラフィー)、エタノールを減圧下で完全に蒸留し、油性塊を得た。水(50mL)を加え、50%水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH9に塩基性化した。無機物を濾過し、ケークを酢酸エチル(2×50mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮させ、2.31グラムの油性生成物を得た。
IRスペクトル(cm-1)3415、2970、1625、1532、1171;
1H-NMR (δ ppm): 1.24〜1.25 (2H, m)、1.68〜1.81 (2H, m)、1.92〜1.98 (2H, m)、2.26 (3H, s)、2.26〜2.27 (2H, m)、2.68 (3H, s)、2.88〜2.91 (1H, m)、3.77 (3H, s)、4.70 (2H, bs)、6.29〜6.31 (1H, dd, J=8.40, 2.53Hz)、6.38 (1H, d, J=2.72Hz)、6.68〜6.70 (1H, d, J=8.61Hz);
質量 (m/z): 250.2 (M+H)+。
【0117】
(実施例1)
N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミドの調製
調製1で得たN-(4-クロロ-3-アミノフェニル)ベンゼンスルホンアミド(1グラム、3.5mmol)を、100mLの三つ口丸底フラスコに加え、続いて1-メチル-4-ピペリドン(0.81グラム、7.18mmol)、硫酸ナトリウム(3.49グラム、35mmol)および酢酸(20mL)を加えた。反応マスを室温(30℃)で8時間し、次いでトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.23グラム、10.5mmol)を、反応マスに20〜25℃にて5分で加えた。この反応混合物を室温で3時間さらに撹拌した。反応混合物を100mLの水にクエンチし、50%水酸化ナトリウム水溶液でpH9に塩基性化し、生成物を酢酸エチル(4×50mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン溶液(2×50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、塩を含まないように濾過し、真空下で濃縮し、油性塊を得た。それを、溶離液として酢酸エチルおよびn-ヘキサンおよびトリエチルアミンを使用したカラムクロマトグラフィーによってさらに精製し、0.86gmの表題生成物を得た。
IRスペクトル(cm-1):1603、1324、1148、1092;
1H-NMR (δ ppm): 1.44〜1.53 (2H, m)、1.92〜1.96 (2H, m)、2.10〜2.16 (2H, m)、2.30 (3H, s)、2.76〜2.79 (2H, m)、3.18〜3.20 (1H, m)、4.18〜4.20 (1H, d)、6.17〜6.20 (1H, dd, J=8.39, 2.44Hz)、6.42〜6.43 (1H, d, J=2.40Hz)、7.04〜7.06 (1H, d, J=8.39Hz)、7.43〜7.47 (2H, m)、7.53〜7.57 (1H, m)、7.76〜7.78 (2H, m);
質量 (m/z): 380 (M+H)+
【0118】
(実施例2〜20)
実施例2〜20の化合物を、いくつかの重大でないバリエーションを伴って、実施例1において記載されているような手順に従うことによって調製した。
【0119】
【表1A】

【0120】
【表1B】

【0121】
【表1C】

【0122】
【表1D】

【0123】
【表1E】

【0124】
(実施例21)
N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩の調製
実施例1から得た生成物(0.86グラム)を、下記の手順を使用することによってその塩酸塩に変換した。得られた塩基をジエチルエーテル(25mL)中に入れ、1mLの10%イソプロパノール塩化水素を加えた。反応マスを25〜30℃で3時間撹拌し、塩酸塩を濾過し、表題生成物(0.8グラム)を得た。
IRスペクトル(cm-1):1605、1326、1152、1095;
1H-NMR (δ ppm): 1.46〜1.50 (2H, m)、1.94〜1.97 (2H, m)、2.12〜2.15 (2H, m)、2.32 (3H, s)、2.75〜2.78 (2H, m)、3.19〜3.21 (1H, m)、4.15〜4.17 (1H, d)、6.19〜6.21 (1H, dd, J=8.39, 2.44Hz)、6.44〜6.45 (1H, d, J=2.40Hz)、7.08〜7.10 (1H, d, J=8.39Hz)、7.44〜7.48 (2H, m)、7.54〜7.56 (1H, m)、7.78〜7.80 (2H, m);
質量 (m/z): 380 (M+H)+
【0125】
(実施例22)
4-イソプロピル-N-[4-メチル-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド塩酸塩の調製
4-イソプロピル-N-[4-メチル-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミドは、いくつかの重大でないバリエーションを伴って、実施例1において記載されているのと同様の手順を使用することによって調製する。このように得た塩基を、ジエチルエーテル(25mL)中に入れ、1mLの10%イソプロパノール塩化水素を加えた。反応マスを25〜30℃で3時間撹拌し、塩酸塩を濾過し、表題生成物(0.78グラム)を得た。
IRスペクトル(cm-1):1592、1528、1166、1156;
1H-NMR (δ ppm): 1.22〜1.24 (6H, d, J=6.92Hz)、1.43〜1.48 (2H, m)、1.95〜1.97 (2H, m)、2.02 (3H, s)、2.10〜2.15 (2H, m)、2.30 (3H, s)、2.77〜2.79 (2H, m)、2.91〜2.94 (1H, 七重線, J=6.92Hz)、3.20 (1H, m)、3.40 (1H, bs)、6.20〜6.23 (1H, dd, J=8.40, 2.40Hz)、6.36〜6.37 (1H, d, J=2.40Hz)、6.85〜6.87 (1H, d, J=8.40Hz)、7.26〜7.28 (2H, m)、7.67〜7.70 (2H, m);
質量 (m/z): 402.3 (M+H)+
【0126】
(実施例23)
2-ブロモ-N-{4-メトキシ-3-[N-メチル-N-(1-メチルピペリジン-4-イル)アミノ]フェニル}ベンゼンスルホンアミドの調製
調製2で得た4-メトキシ-N-メチル-N-(1-メチルピペリジン-4-イル)ベンゼン-1,3-ジアミン(2グラム、8.03mmol)を、100mLのフラスコ中のジクロロメタン(25mL)に溶解した。ピリジン(1.29mL、16.06mmol)をフラスコに加え、反応マスを窒素雰囲気下にて30分間撹拌した。2-ブロモベンゼンスルホニルクロリド(2.45グラム、9.61mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液を、滴下漏斗によって25〜30℃にて滴下で添加した。反応マスをさらに4時間撹拌した。水(80mL)を加え、生成物をジクロロメタン(3×60mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、溶媒を減圧下で除去し、油性塊を得た。さらに、それを溶離液として酢酸エチルおよびヘキサンを使用したカラムクロマトグラフィーによって精製し、表題生成物(1.65グラム)を得た。
融解範囲:119.2〜121.3℃;
IRスペクトル(cm-1):2951、1503、1330、1235、1164;
1H-NMR (δ ppm): 1.46〜1.49 (2H, m)、1.64〜1.71 (2H, m)、1.83〜1.89 (2H, m)、2.24 (3H, s)、2.54 (3H, s)、2.83〜2.86 (2H, m)、3.08 (1H, m)、3.76 (3H, s)、6.64〜6.68 (2H, m)、6.75〜6.78 (1H, dd, J=8.60, 2.53Hz)、7.28〜7.36 (2H, m)、7.70〜7.72 (1H, dd, J=7.6, 1.6Hz)、7.89〜7.99 (1H, dd, J =7.42, 2.08Hz);
質量 (m/z): 468.2, 470.2 (M+H)+
【0127】
(実施例24〜47)
当業者は、上記の手順に従うことによって、実施例24〜47の化合物を調製することができる。
【0128】
【表2】

【0129】
(実施例48)
式(I)の化合物を含む錠剤
【0130】
【表3】

【0131】
成分を合わせ、メタノールなどの溶媒を使用して顆粒化した。次いで、製剤を乾燥させ、適切な錠剤成形機で錠剤(約20mgの活性化合物を含有)に形成した。
【0132】
(実施例49)
経口投与のための組成物
【0133】
【表4】

【0134】
成分を混合し、各々約100mgを含有するカプセル剤中に分注した。1個のカプセル剤は、1日総投与量に近い。
【0135】
(実施例50)
液体経口製剤
【0136】
【表5】

【0137】
成分を混合し、経口投与のための懸濁剤を形成させた。
【0138】
(実施例51)
非経口製剤
【0139】
【表6】

【0140】
活性成分を注射用水の一部に溶解した。次いで、十分な量の塩化ナトリウムを撹拌しながら加え、溶液を等張性とした。溶液は注射用水の残りと共に秤量するように作製し、0.2ミクロンのメンブランフィルターを通して濾過し、無菌状態下にてパッケージした。
【0141】
(実施例52)
坐剤製剤
【0142】
【表7】

【0143】
成分を一緒に溶融し、スチームバス上で混合し、2.5グラムの総重量を含有する型中に注いだ。
【0144】
(実施例53)
局所製剤
【0145】
【表8】

【0146】
水を除いた成分の全てを合わせ、撹拌しながら約60℃に加熱した。次いで、十分な量の水を約60℃で激しく撹拌しながら加え、成分を乳化し、次いで水を約100グラムの適量で加えた。
【0147】
(実施例54)
ヒト5-HT6受容体についての結合アッセイ
化合物は、下記の手順に従って試験することができる。
【0148】
材料および方法:
受容体源:HEK293細胞中で発現しているヒト組換え体
放射性リガンド:[3H]LSD(60〜80Ci/mmol)
最終リガンド濃度-[1.5nM]
非特異的決定因子:メチオテピンメシレート-[0.1μM]
参照化合物:メチオテピンメシレート
陽性対照:メチオテピンメシレート
【0149】
インキュベーション条件:
反応は、10μMのMgCl2、0.5mMのEDTAを含有する50μMのTRIS-HCl(pH7.4)中で37℃にて60分間行った。ガラス繊維フィルター上への急速な真空濾過によって反応を終了させた。フィルター上に捕捉された放射能を決定し、試験化合物とクローニングされたセロトニン5-HT6結合部位との相互作用を確認するために対照値と比較した。
【0150】
【表9】

【0151】
参考文献:Monsma F. J. Jr., et al., Molecular Cloning and Expression of Novel
Serotonin Receptor with High Affinity for Tricyclic Psychotropic Drugs. Mol. Pharmacol. 1993, 43, 320-327
【0152】
(実施例55)
5-HT6機能アッセイサイクリックAMP
ヒト5-HT6受容体における化合物のアンタゴニスト特性は、安定的にトランスフェクトされたHEK293細胞中のcAMP蓄積に対する化合物の効果を試験することによって決定した。ヒト5-HT6受容体へのアゴニストの結合は、アデニルシクラーゼ活性の増加をもたらす。アゴニストである化合物は、cAMP生成の増加を示し、アンタゴニストである化合物は、アゴニスト効果を遮断する。
【0153】
ヒト5-HT6受容体をクローニングし、HEK293細胞中で安定的に発現させた。これらの細胞を、6ウェルプレート中で10%ウシ胎仔血清(FCS)および500μg/mLのG418を有するDMEM/F12培地中に入れ、CO2インキュベーター中で37℃にてインキュベートした。実験の開始前に、細胞を約70%コンフルエンスまで増殖させた。実験の日に、培地を除去し、細胞を無血清培地(SFM)で一度洗浄した。2mLのSFM+IBMX培地を加え、37℃で10分間インキュベートした。培地を除去し、様々な化合物および1μMのセロトニン(アンタゴニストとして)を含有する新鮮なSFM+IBMX培地を、適切なウェルに加え、30分間インキュベートした。インキュベーションに続き、培地を除去し、細胞を1mLのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で一度洗浄した。各ウェルを、1mLの冷たい95%エタノールおよび5μMのEDTA(2:1)で4℃にて1時間処理した。次いで、細胞をこすり取り、エッペンドルフチューブ中に移した。チューブを4℃で5分間遠心分離し、アッセイまで上清を4℃で保存した。
【0154】
cAMP含量を、Amersham Biotrak cAMP EIAキット(Amersham RPN225)を使用してEIA(酵素-免疫アッセイ)によって決定した。使用した手順は、キットについて記載されている通りである。手短に言えば、cAMPは、抗-cAMP抗体上の結合部位についての、非標識cAMPと定量のペルオキシダーゼ標識したcAMPとの間の競合によって決定する。抗体を、二次抗体でプレコーティングしたポリスチレンマイクロタイターウェル上に固定化する。50μLのペルオキシダーゼ標識したcAMPを、抗血清(100mL)と共に4℃にて2時間プレインキュベートした試料(100μL)に加えることによって反応を開始させる。4℃での1時間のインキュベーションの後に、非結合のリガンドを、単純な洗浄手順によって分離する。次いで、酵素基質であるトリメチルベンジジン(1)を加え、室温で60分間インキュベートする。100mLの硫酸(1.0M)を加えることによって反応を停止させ、30分以内で生じた色を450nmでマイクロタイタープレート分光光度計によって読み取った。
【0155】
機能的アデニル酸シクラーゼアッセイにおいて、本発明の化合物のいくつかは、他のセロトニン受容体(5-HT1Aおよび5-HT7など)を含めたいくつかの他の受容体の対して良好な選択制を有する競合的アンタゴニストであることが見出された。
【0156】
(実施例56)
げっ歯類の薬物動態研究
NIN(National Institute of Nutrition、Hyderabad、India)から得たWistar系雄性ラット(230〜280グラム)を、実験動物として使用した。
【0157】
3匹〜5匹の動物を、各ケージ中に収容した。動物を一晩絶食させ、12時間の明/暗サイクルに維持した。3匹のラットに、0日目および2日目に、NCE(10mg/Kg)を経口的および静脈内に投与した。
【0158】
各時点で、血液を頸静脈によって集めた。血漿は-20℃で冷凍して分析まで保存した。血漿中のNCE化合物の濃度は、LC-MS/MS法を使用して決定した。
【0159】
スケジュール時点:投与前、投与後0.25時間、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間および24時間(n=3)。NCE化合物を、固相抽出技術を使用して有効なLC-MS/MS法によって血漿中で定量化した。NCE化合物は、血漿中2〜2000ng/mLの較正範囲で定量化した。研究試料は、バッチの較正試料、およびバッチに拡散する品質管理試料を使用して分析した。
【0160】
薬物動態パラメータであるCmax、Tmax、AUCt、AUCinf、半減期、分布容積、クリアランス、平均滞留時間、およびしたがって経口バイオアベイラビリティーを、ソフトウェアWinNonliバージョン5.1を使用してノンコーパートメントモデルによって計算した。
【0161】
【表10】

【0162】
(実施例57)
げっ歯類の脳浸透研究
NIN(National Institute of Nutrition、Hyderabad、India)から得た雄性Wisterラット(230〜280グラム)を、実験動物として使用した。3匹の動物を各ケージに収容した。実験を通して動物に水および食物を自由に与え、12時間の明/暗サイクルで維持した。
【0163】
脳浸透は、ラットにおいて定常状態で決定した。投与日の1日前に、Wistar系雄性ラット(225〜250グラム)を、頸静脈および大腿静脈カテーテルの手術による留置のためにハロタンで麻酔した。手術後に、ラットを、注入コンポーネント(Instech Solomon;Plymouth Meeting、PA.USA)と接続している個々のラット注入ケージに収容し、食物および水に自由に利用させた。
【0164】
NCE化合物を水に溶解し、1.0mgの遊離塩基/kg/時間の標的投与速度で6〜10時間に亘り一定の注入速度(5mL/kg/時間)で投与した。血液試料を注入の後段の間に取り出し、定常状態の血中濃度を確認し、脳および血液を集め、推定した。動物を殺処分し、血漿および脳組織を集め、ホモジナイズした。血漿および脳を、分析まで-20℃で冷凍保存した。血漿および脳中のNCE化合物の濃度を、LC-MS/MS法を使用して決定した。
【0165】
NCE化合物は、固相抽出技術を使用して有効なLC-MS/MS法によって血漿および脳ホモジネートにおいて定量化した。NCE化合物を、血漿および脳ホモジネートにおいて1〜500ng/mLの較正範囲で定量化した。研究試料は、バッチの較正試料、およびバッチに拡散する品質管理試料を使用して分析した。脳-血液比の程度を計算した(Cb/Cp)。
【0166】
【表11】

【0167】
(実施例58)
神経伝達物質の可能な調整のためのげっ歯類脳微小透析研究
N.I.N.(National Institute of Nutrition、Hyderabad、India)から得た雄性Wisterラット(230〜280グラム)を、実験動物として使用した。
【0168】
群への割り当て、1群:ビヒクル(水;5mL/kg;経口)、2群:NCE(3mg/kg;経口)、3群:NCE(10mg/kg;経口)
【0169】
外科的処置:ラットを、クロラール水和物で麻酔し、定位固定フレーム中に置いた。ガイドカニューレ(CMA/12)は、PaxinosおよびWatson(1986)のアトラスに従って、ブレグマからAP:-5.2mm、ML:+5.0mmおよび脳表面からDV:-3.8mmに留置した。動物がまだ麻酔をかけられている間に、微小透析プローブ(CMA/12、4mm、PC)を、ガイドカニューレを通して挿入し、所定の位置に固定した。動物を研究に供する前に、手術後に48〜72時間の回復期を維持した。
【0170】
研究の前日に、動物を順化のためにホームケージに移し、埋め込んだプローブを、1.3μMのCaCl2(Sigramsa)、1.0μMのMgCl2(Sigramsa)、3.0μMのKCl(Sigramsa)、147.0μMのNaCl(Sigramsa)、1.0μMのNa2HPO4・7H2Oおよび0.2μMのNaH2PO4・2H2Oおよび0.3μMの臭化ネオスチグミン(Sigramsa)(pHは7.2まで)からなる修正リンゲル液で、マイクロ注入ポンプ(PicoPlus、Harward)によって設定した0.2μL/分の速度で一晩灌流した。実験の日に、潅流量を1.2μL/分に変更し、3時間安定化させた。安定化期間の後、投与前に4つの基礎を20分の間隔で集めた。透析液試料を、CMA/170冷却フラクションコレクターを使用してガラス製バイアル中に集めた。
【0171】
4つの画分を集めた後、ビヒクルまたはNCE(3mg/kgまたは10mg/kg)を胃管栄養法によって投与した。投与後6時間まで灌流液を集めた。
【0172】
透析液試料中のアセチルコリン濃度を、LC-MS/MS(API4000、MDS SCIEX)法によって測定した。アセチルコリンを、透析液中で0.250〜8.004ng/mLの較正範囲で定量化する。
【0173】
微小透析実験が完了すると、動物を殺処分し、それらの脳を取り出し、10%ホルマリン溶液中に保存した。各脳は、クリオスタット(Leica)上で50μにスライスし、染色し、顕微鏡的に試験し、プローブ留置を確認した。不正確なプローブ留置をした動物からのデータは廃棄した。
【0174】
微小透析データは、薬物投与前の4つの試料の平均絶対値(fM/10μL)として定義される、ベースラインのパーセント変化(平均±S.E.M.)として表した。
【0175】
NCE(3mg/kgおよび10mg/kg)およびビヒクル処理の効果を、一元配置分散分析と、それに続くDunnettの多重比較検定とによって、統計的に評価した。全ての統計的測定において、p<0.05は有意であると見なした。Graph Pad Prismプログラムによって、データを統計的に評価した。
【0176】
(実施例59)
食物摂取量測定
N.I.N.(National Institute of Nutrition、Hyderabad、India)から得た雄性Wisterラット(120〜140gm)を使用した。次いで、栄養の十分なラットにおける食物摂取に対する一般式(I)の化合物の慢性効果を、下記のように決定した。
【0177】
ラットを単一のホームケージに28日間収容した。この期間の間、ラットに、経口的または腹腔内に、式(I)の化合物を含む組成物、または前記化合物(対照群)を有さない相当する組成物(ビヒクル)を1日1回投与した。ラットに食物および水を自由に与える。
【0178】
0日目、1日目、7日目、14日目、21日目および28日目に、ラットを事前に秤量した量の食物と共に置いた。食物摂取量および体重増加を、定期的に測定した。また、食物摂取方法は、文献に開示されている(Kaskら、European Journal of Pharmacology、414、2001、215〜224頁およびTurnballら、Diabetes、2002、51、2441〜2449頁、およびいくつかの組織内の修正)。記載の各々の部分は、参考文献として本明細書において組み込まれており、それらは開示の部分を形成する。
【0179】
いくつかの代表的な化合物は、10mg/Kgもしくは30mg/Kgまたは両方の用量で上記の態様で行われたとき、食物摂取量の統計的に有意な減少を示した。
【0180】
(実施例60)
物体認識課題モデル
本発明の化合物の認知増強特性を、動物認知のモデルである物体認識課題モデルを使用して推定した。
【0181】
N.I.N.(National Institute of Nutrition、Hyderabad、India)から得た雄性Wisterラット(230〜280グラム)を、実験動物として使用した。4匹の動物を各ケージに収容した。1日前に、動物を20%食物欠乏状態とし、実験を通して水を自由に与え、12時間の明/暗サイクルに維持した。また、ラットを物体の非存在下で個々の活動領域に1時間慣らした。
【0182】
熟知(T1)および選択トライアル(T2)の1時間前に、12匹のラットの1群に、ビヒクル(1mL/Kg)を経口的に投与し、別の組の動物に、式(I)の化合物を経口的または腹腔内で与えた。
【0183】
実験は、アクリルでできている50×50×50cmのオープンフィールド中で行った。熟知化相(T1)において、ラットを個々にオープンフィールド中に3分間入れ、その中に黄色のマスキングテープだけで覆われた2個の同一の物体(プラスチックボトル、高さ12.5cm×直径5.5cm)(a1およびa2)を、壁から10cmの2つの隣接するコーナーに置いた。長期記憶試験のための(T1)トライアルの24時間後、同じラットを、T1トライアルにおいて入れたのと同じ活動領域に入れた。選択相(T2)ラットは、1個の熟知した物体(a3)および1個の新規な物体(b)(こはく色のガラス製ボトル、高さ12cmおよび直径5cm)の存在下で、オープンフィールドを3分間探索させた。熟知した物体は、同様の質感、色およびサイズを示した。T1およびT2トライアルの間、各物体の探索(嗅ぐ動作、なめる動作、咀嚼または1cm未満離れた物体に向かって鼻を向けいる間に震毛が動くことと定義される)を、ストップウォッチによって別々に記録した。物体上に座ることは、探索活動として見なさなかったが、しかしそれはまれにしか観察されなかった。
T1は、熟知した物体(a1+a2)を探索するのに費やす全時間である。
T2は、熟知した物体および新規な物体(a3+b)を探索するのに費やす全時間である。
【0184】
物体認識試験は、Ennaceur,A.、Delacour,J.、A new one-trial test for neurobiological studies of memory in rats - Behavioural data、Behav.Brain Res.、1988、31、47〜59頁に記載されているように行った。
【0185】
いくつかの代表的な化合物は、好ましい効果を示しており、これは新規な物体認識の増加、すなわち新規な物体への探索時間の増加およびより高い識別指数を示す。
【0186】
【表12】

【0187】
(実施例61)
水迷路
水迷路装置は、水(24±2℃)で満たされ、動物を追跡するための広角ビデオカメラの下に配置された黒いPerspex(TSE systems、Germany)で作成された円形プール(直径1.8m、高さ0.6m)からなった。水表面の1cm下に横たわる10cm2のperspexプラットフォームを、4つの仮想象限の1つの中央に置き、全てのラットについて一定に保った。迷路およびプラットフォームの作成において使用した黒いPerspexは、逃避行動を導く迷路内の手がかりを提供しなかった。対照的に、訓練室は、逃避学習のために必要な空間地図の形成を助けるいくつかの迷路外の強力な視覚的手がかりを提供した。自動化追跡システム[Videomot2(5.51)、TSE systems、Germany]を用いた。このプログラムは、道程、泳ぐスピード、侵入の回数、および水迷路の各象限において費やした水泳時間の持続時間を決定するデジタルカメラおよび画像収集ボードによって得られたビデオ画像を分析する。
【0188】
【表13】

【0189】
(実施例62)
5-HT6アンタゴニストによる咀嚼/あくび/ストレッチの誘発
200〜250グラムの重量の雄性Wisterラットを使用した。ラットにビヒクルの注射を与え、試験日前の2日間、毎日1時間個々の透明チャンバーに入れ、ラットを観察チャンバーおよび試験手順に慣らした。試験日に、ラットを薬物投与の直後に観察チャンバー中に入れ、薬物またはビヒクル注射の後60分から90分まで、あくび、ストレッチ、および咀嚼行動について連続して観察した。薬物投与の60分前に、フィゾスチグミン(0.1mg/kg、腹腔内)を、全ての動物に投与した。30分の観察期間の間のあくび、ストレッチおよび意味のない咀嚼の動きの平均数を記録した。
参考文献:(A) King M. V., Sleight A., J., Woolley M. L., and et. al., Neuropharmacology, 2004, 47, 195-204. (B) Bentey J. C., Bourson A., Boess F. G., Fone K. C. F., Marsden C. A., Petit N., Sleight A. J., British Journal of Pharmacology, 1999, 126 (7), 1537-1542).
【0190】
(実施例63)
受動回避
動物を、単一トライアル、ステップスルー、および明-暗受動回避パラダイムで訓練した。訓練装置は、設定された設計に作成された長さ300mm、幅260mm、および高さ270mmのチャンバーからなった。正面および上部は透明であり、実験者は装置内の動物の行動を観察することができた。チャンバーを、チャンバーの正面に近く設定した幅50mmおよび高さ75mmの小開口部を含有する中央のシャッターによって分離されている2つのコンパートメントに分割した。コンパートメントの小さな方は、幅9mmの寸法であり、低出力(6V)の照明源を含有した。より大きなコンパートメントは、幅210mmの寸法であり、光を当てなかった。この暗いコンパートメントの床は、直径5mmであり、12.5mmの間隙を介した16本の水平のステンレス鋼バーのグリッドからなった。定電流源によってグリッド床に0.75mAを供給し、グリッド床に16本のバーに亘って0.5秒おきにスクランブルをかけた。ラットの対照群について40〜60マイクロオームの抵抗範囲が計算され、装置をそれに合うように較正した。動物の抵抗を検出する電子回路によって、抵抗の変化を伴う電圧の自動変動による正確な電流送達が確実にされた。
【0191】
実験手順:
これは、上記で記載したように行った。200〜230グラムの重量の成体雄Wisterラットを使用した。実験の1時間前に動物を実験室に入れた。訓練の日に、動物を、装置の明るいコンパートメントの後方に対面して入れた。動物がチャンバーの正面に完全に対面すると、タイマーを開始した。暗いチャンバーに入る潜時を記録し(通常、<20秒)、暗いコンパートメントに完全に入ると、3秒間の0.75mAの回避不能なフットショックを動物に与えた。次いで、動物をそれらのホームケージに戻した。各訓練セッションの間に、チャンバーの両方のコンパートメントを清掃し、混乱させる嗅覚の手がかりを除去した。この抑制刺激の記憶を、動物を明るいチャンバーに戻し、暗いチャンバーに入る動物の潜時を記録することによって、訓練後24時間、72時間および7日に評価し、300秒の判断基準時間を用いた。
参考文献:(A) Callahan P.M., Rowe N. B., Tehim A., Abst. 776.19.2004, Society for neuroscience, 2004. (B) Fox G. B., Connell A. W. U., Murphy K. J., Regan C. M., Journal of Neurochemistry, 1995, 65, 6, 2796-2799.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物
【化1】

その立体異性体、その多形、その薬学的に許容される塩および溶媒和物
(式中、R1、R2、R3およびR5は、同じまたは異なっていてもよく、各々独立に、水素、ハロゲン、(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)アルコキシ、シクロ(C3〜C6)アルキル、シクロ(C3〜C6)アルコキシ、ハロ(C1〜C3)アルキルまたはハロ(C1〜C3)アルコキシを表し、
【化2】

は、アリールまたは複素環を表し、
R4は、水素、(C1〜C3)アルキル、シクロ(C3〜C6)アルキル、ハロ(C1〜C3)アルキル、アリールまたはアラルキルを表し、
「n」は、1〜2を表す)。
【請求項2】
R1が、水素、ハロゲン、(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)アルコキシ、シクロ(C3〜C6)アルキル、シクロ(C3〜C6)アルコキシ、ハロ(C1〜C3)アルキルまたはハロ(C1〜C3)アルコキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R2が、水素、ハロゲン、(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)アルコキシ、シクロ(C3〜C6)アルキル、シクロ(C3〜C6)アルコキシ、ハロ(C1〜C3)アルキルまたはハロ(C1〜C3)アルコキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R3が、水素、ハロゲン、(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)アルコキシ、シクロ(C3〜C6)アルキル、シクロ(C3〜C6)アルコキシ、ハロ(C1〜C3)アルキルまたはハロ(C1〜C3)アルコキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R4が、水素、(C1〜C3)アルキル、シクロ(C3〜C6)アルキル、ハロ(C1〜C3)アルキル、アリールまたはアラルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R5が、水素、ハロゲン、(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)アルコキシ、シクロ(C3〜C6)アルキル、シクロ(C3〜C6)アルコキシ、ハロ(C1〜C3)アルキルまたはハロ(C1〜C3)アルコキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-フルオロ-N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-イソプロピル-N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2-ブロモ-N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-フルオロ-N-[4-メトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
N-[4-メトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2-ブロモ-N-[4-メトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-イソプロピル-N-[4-メトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-メトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2-ブロモ-N-[3-(1-メチルピペリジン-4イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-イソプロピル-N-[3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-フルオロ-N-[3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2-ブロモ-N-[4-メチル-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
N-[4-メチル-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-フルオロ-N-[4-メチル-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-メチル-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
N-[3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
5-クロロ-3-メチル-N-[4-メトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゾ[b]チオフェン-2-イルスルホンアミド;
N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド;
4-イソプロピル-N-[4メチル-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド;
2-ブロモ-N-{4-メトキシ-3-[N-メチル-N-(1-メチルピペリジン-4-イル)アミノ]フェニル}ベンゼンスルホンアミド;
N-[4-ブロモ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
N-[4-エトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
N-[4-トリフルオロメチル-3-(ピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-フルオロ-N-[4-フルオロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-フルオロ-N-[4-メトキシ-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-ブロモ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-エトキシ-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-イソプロピル-N-[4-トリフルオロメトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-イソプロピル N-[4-クロロ-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2-ブロモ-N-[4-クロロ-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-ブロモ-N-[3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-ブロモ-N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メトキシ-N-[4-ブロモ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メトキシ-N-[4-トリフルオロメチル-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2,4-ジクロロ-N-[4-メトキシ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2,4-ジクロロ-N-[4-ブロモ-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-トリフルオロメトキシ-N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-クロロ-N-[4-クロロ-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2-クロロ-N-[4-クロロ-3-(1-メチルピペリジン-4-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
2-メトキシ-N-[4-トリフルオロメチル-3-(ピペリジン-1-イルアミノ)フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-クロロ-3-[N-メチル-N-(4-メチルピペリジン-1-イル)アミノ]フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-メトキシ-3-[N-メチル-N-(4-メチルピペリジン-1-イル)アミノ]フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
4-メチル-N-[4-フルオロ-3-[N-メチル-N-(ピペリジン-1-イル)アミノ]フェニル]ベンゼンスルホンアミドおよび
4-メチル-N-[4-トリフルオロメチル-3-[N-メチル-N-(ピペリジン-1-イル)アミノ]フェニル]ベンゼンスルホンアミド;
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、ならびにその互変異性型、その立体異性体、その多形、その薬学的に許容される塩および溶媒和物。
【請求項8】
式(II)の化合物を、
【化3】

適切な溶媒の存在下で周囲温度にて適切な還元剤および塩基を使用して、ピペリジン-4-オン誘導体と反応させて、式(I)の化合物を得るステップを含み、全ての置換は請求項1に記載されている通りである、請求項1に記載の式(I)の化合物の調製方法。
【請求項9】
式(III)の化合物を、
【化4】

適切な溶媒の存在下で周囲温度にてアリールスルホニルクロリド誘導体と反応させて、式(I)の化合物を得るステップを含み、全ての置換は請求項1に記載されている通りである、請求項1に記載の式(I)の化合物の調製方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の化合物、または薬学的に許容される担体、賦形剤、添加剤もしくは溶媒和物を、治療有効量の請求項1に記載の化合物、その立体異性体、その多形、その薬学的に許容される塩、その薬学的に許容される溶媒和物、および上記の任意の適切な組合せと共に含む、医薬組成物。
【請求項11】
β-セクレターゼ阻害剤;γ-セクレターゼ阻害剤;アミロイド凝集阻害剤;直接的または間接的に作用する神経保護化合物;抗酸化剤;抗炎症剤;HMG-CoAレダクターゼ阻害剤;アセチルコリン-エステラーゼ阻害剤;NMDA受容体アンタゴニスト;AMPAアゴニスト;神経伝達物質の放出または濃度を調整する化合物;成長ホルモンの放出を誘発する化合物;CBI受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト;抗生物質;PDE-IVおよびPDE-IX阻害剤;GABAAインバースアゴニスト;ニコチンアゴニスト;ヒスタミンH3アンタゴニスト;5-HT4アゴニストまたは部分アゴニスト;5-HT6アンタゴニスト;a2-アドレナリン受容体アンタゴニスト;ムスカリンM1アゴニスト;ムスカリンM2アンタゴニスト;代謝型グルタミン酸受容体5の正のモジュレーターからなる群から選択される1種または複数のさらなる活性成分を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
Alzhemed、ビタミンE、ギンコリド、ドネペジル、リバスチグミン、タクリン、ガランタミン、メマンチン、NS-2330、メシル酸イブタモレン、カプロモレリン、ミノサイクリンおよびリファンピシンからなる群から選択される1種または複数のさらなる薬剤を含む、請求項10または11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
錠剤、カプセル剤、散剤、ロゼンジ剤、坐剤、シロップ剤、溶液剤、懸濁剤または注射剤の形態であり、前記形態が、単回投与または多回投与単位で投与される、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
不安、アルツハイマー病、うつ、痙攣性疾患、強迫性障害、片頭痛、頭痛、認知記憶障害、ADHD、人格障害、精神病、パラフレニー、精神病性うつ病、パーキンソン病、躁病、統合失調症、パニック障害および睡眠障害などの臨床症状の治療および/または予防のための、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項15】
薬物乱用症候群からの離脱、脳卒中、頭部外傷、軽度認知機能障害、神経変性障害、胃腸障害および肥満症などの臨床症状の治療および/または予防のための、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項16】
治療有効量の5-HT6再取込み阻害剤、メラトニン、メラトニン作動性モジュレーターまたはその薬学的に許容される塩をさらに含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項17】
それを必要としている患者で、5-HT6受容体に関連する、または5-HT6受容体によって影響を受ける、中枢神経系の障害を治療する方法であって、前記患者に治療有効量の請求項1から7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を提供するステップを含む方法。
【請求項18】
前記障害が、不安、アルツハイマー病、うつ、痙攣性疾患、強迫性障害、片頭痛、頭痛、認知記憶障害、ADHD、人格障害、精神病、パラフレニー、精神病性うつ病、パーキンソン病、躁病、統合失調症、パニック障害および睡眠障害である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記障害が、薬物乱用症候群からの離脱、脳卒中、頭部外傷、軽度認知機能障害、神経変性障害、胃腸障害および肥満症である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
セロトニンに関連する5-HT6受容体に関連する疾患の治療および/または予防のための医薬の製造における、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項21】
不安、アルツハイマー病、うつ、痙攣性疾患、強迫性障害、片頭痛、頭痛、認知記憶障害、ADHD、人格障害、精神病、パラフレニー、精神病性うつ病、パーキンソン病、躁病、統合失調症、パニック障害および睡眠障害などの臨床症状の治療および/または予防のための、請求項20に記載の化合物の使用。
【請求項22】
薬物乱用症候群からの離脱、脳卒中、頭部外傷、軽度認知機能障害、神経変性障害、胃腸障害および肥満症などの臨床症状の治療および/または予防のための、請求項20に記載の化合物の使用。
【請求項23】
放射標識されている、請求項1に記載の化合物。

【公表番号】特表2012−502982(P2012−502982A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527471(P2011−527471)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000145
【国際公開番号】WO2010/032258
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(507302416)スヴェン・ライフ・サイエンシズ・リミテッド (6)
【Fターム(参考)】