説明

アリールスルホンアミドピリジン−ピリジノン誘導体、該誘導体の調製、および該誘導体の治療用途

本発明は、一般式(I)のピリジン−ピリジノン誘導体:(式中、R1、R2、R3、R4、n、n’、V、W、Y、Z、Arは本明細書中で定義するとおりである。)、ならびに該誘導体の調製方法および該誘導体の治療応用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリールスルホンアミドで7位が置換されているピリジノ−ピリジノン誘導体、該誘導体の調製、ならびにp70S6(S6K1)などのプロテインキナーゼのおよび/またはPDGFR−TK(血小板由来成長因子)の、または他のキナーゼの阻害剤としての該誘導体の治療応用に関する。
【背景技術】
【0002】
1)プロテインキナーゼp70S6K:
I.p70 S6キナーゼまたはS6K1:概観、構造、活性化
リボソームp70 S6キナーゼ(S6K1、旧名p70S6K)は、インスリンおよび多くの成長因子によって活性化されると最初に記載された、PI3−キナーゼ/mTOR経路の(AGCキナーゼファミリーの)セリン/トレオンキナーゼである。このキナーゼは、この主基質、40Sサブユニットのリボソームタンパク質S6によって2つの細胞過程:タンパク質合成および細胞成長(細胞の増殖および大きさ)の調節に関与する(Avruch J.2001)。1991年にGroveらによりクローン化されることにより、mRNAの選択的スプライシングの結果として生じるアイソフォームであって、2つのタンパク質配列をコードするものである2つのアイソフォーム:p85 S6K(α−1、525アミノ酸)およびp70S6K(α−II、502アミノ酸)が同定された。後者のアイソフォームは主としてサイトゾル中に存在するが、α−Iアイソフォームは核のものである(23アミノ酸のN末端伸長部上の核局在部位の存在)。S6K1は、遍在的に発現される。
【0003】
S6K1は、7つのリン酸化部位(セリンまたはトレオニン)が保存される、同じくmTORによって活性化される、S6K2(旧名p70ベータS6キナーゼ)と70%のアミノ酸相同性を呈示する。
【0004】
S6K1の構造は、4つのモジュール:N末端部に非触媒性ドメイン(I)、中央触媒ドメイン(II)、キナーゼドメインの伸長部(III)および最後にC末端部に自己阻害ドメイン(IV)を含む。このキナーゼの活性化は、この配座全体を修飾して酵素活性を獲得させることとなる、様々なドメインに位置するセリンまたはトレオニン部位の4段階での逐次的リン酸化を必要とする(Pollen N.1997、Dennis JBC1998)。
【0005】
II.PI3K/mTORシグナル伝達経路におけるS6K1
S6K1の上流シグナル伝達は、細胞成長、増殖および分化を制御する多数の膜Gタンパク質結合受容体(GPCR)の活性化の結果として生ずる。成長因子(例えばPDGF、EGF)、栄養素またはホルモン(例えばアミノ酸、グルコースもしくはインスリン)などのリガンドの結合後、これらの受容体の活性化は、PI3−キナーゼの動員をもたらして、Aktをリン酸化するPDK1によりリン酸化カスケードを誘発し、(TSC1/2およびRhebにより)mTORを活性化し、最終的に、S6K1、mTORの2つの主エフェクターのうちの1つを活性化する。最終的に、アポトーシス促進性タンパク質BADのS136がS6K1によってリン酸化され、このリン酸化がBADを不活性化し、細胞生存を向上させる(Harada et al.PNAS 2001)。
【0006】
より最近には、シャペロン含有TCP1、CCTがS6K1の基質として報告された。CCTは、新たに合成されるタンパク質、例えばアクチン、チューブリンおよび幾つかの細胞周期タンパク質の折り畳みにおいて役割を果たし、このことは細胞周期調節におけるS6K1についての役割も暗示する(Abe et al.JBC2009)。
【0007】
III.S6K1阻害剤の応用
細胞成長およびタンパク質合成に対する調節活性により、S6K1は、多くの生理病理過程に関与する。従って、S6K1阻害剤は、多くの治療領域:心血管疾患、例えば、心筋肥大の結果として起こる心不全、動脈の平滑筋細胞の過剰増殖の結果として起こるアテローム硬化症および再狭窄、または腎不全に応用することができる。代謝障害および特に糖尿病および肥満は、S6K1阻害剤の他の可能な治療応用の代表である。とりわけS6K1の活性により調製される、細胞外基質の過剰合成および線維芽細胞、星状細胞または平滑筋細胞の過剰増殖に起因する線維性疾患、例えば肝臓、膵臓、心臓および血管周囲線維症も、これらの阻害剤の治療適応症である。最後に、PI3K/Akt/mTOR経路の調節解除を伴ういずれの腫瘍もS6K1阻害剤での治療の恩恵を受けることができる。
【0008】
IV.新血管系におけるS6K1の役割
過剰なタンパク質合成による心筋細胞の肥大は、心不全を生じさせる結果となる心筋肥大の発生に関与する重要なメカニズムの1つである。mTOR/S6K1シグナル伝達経路は、タンパク質合成および細胞増殖を調節することにより細胞成長を調節するための主要システムの1つである。インビボでの非常に多くの研究が、S6K1の活性化を遮断するmTORの阻害剤(mTORC1複合体)であるラパマイシンを含めて、この経路の阻害剤の治療潜在能力を証明している。ラパマイシンは、マウスおよびラットにおいて大動脈の狭窄による心臓過負荷の結果として起こる心肥大を減少させる(Gao et al.Hypertension 2006、Boluyt M.et al.Cardiovasc.Drug Therap.2004、Shioi et al.Circulation 2003)。ラパマイシンは、リボソームタンパク質S6およびelF4Eのリン酸化を阻害するので、mTOR/S6K1経路を伴うメカニズムにより左心室の肥大を減少させ、収縮機能を保護し、心臓線維症を減少させる(コラーゲンの減少)(Shioi et al.Circulation 2003)。
【0009】
動脈の平滑筋細胞の肥大へのmTOR/S6K1経路の関与は、動脈の平滑筋細胞の成長におけるラパマイシンの阻害的役割によりインビトロで立証され、およびラパマイシンを被覆したステントを使用する経腔的血管形成術後(Moses et al.N Engl.J.Med.2003)または全身注射後(ORAR Trial、Rodriguez et al.J.Invasive cardiol.2003)の冠動脈の再狭窄の予防に用いられている。特に、糖尿病患者において、臨床研究により、ラパマイシンを含浸させたステントは心血管形成術後の再狭窄のリスクを有意に減少させることが証明されている(SIRIUS Substudy、Moussa et al.Circulation 2004)。従って、本発明の化合物を再狭窄およびアテローム性動脈硬化症の予防に応用することができる。
【0010】
V.線維症過程におけるS6K1の役割
細胞外基質の過剰な合成および線維芽細胞の筋線維芽細胞への過剰な分化をもたらす、慢性的損傷/刺激の結果として起こる過剰な組織修復は、非常に多数の組織において発生する線維症過程の特徴である。タンパク質合成および細胞成長に対する調節活性により、S6K1は、線維症に高度に関与する;従って、本発明の阻害剤は、肝臓、膵臓、皮膚、肺、心臓または腎臓の線維症に応用することができる。
【0011】
肝臓線維症におけるおよび特に肝星状細胞の活性化の過程(総説については、Parsons J.Gastro.Hepatol.2007を参照のこと)におけるS6K1の役割は、ラットにおける肝臓線維症モデルでのインビボ実験において、胆管の結紮またはラパマイシンによるmTORの阻害がS6K1の活性化を減少させ、線維症を減少させ、および門脈性高血圧を改善することにより、TGFβ、CTGF、PDGFβのmRNAの減少ならびにリン酸化S6K1の減少を随伴する機能効果が立証されている(Biecker et al.JPET 2005)。ラットにおいて四塩化炭素により誘導される肝臓の線維症のもう1つのモデルでは、ラパマイシンは、コラーゲン沈着およびトランスグルタミナーゼ活性をインビボで減少させ、PDGFβによって誘導される星状細胞の増殖を完全に阻止する(Zhu et al.Gastroenterology 1999)。胆管の結紮(BDL)によりまたはジメチルニトロソアミン(DMN)の注射により誘導される肝臓線維症の2つのモデルにおいて、ERK1/2およびS6K1の活性のエクスビボでの動態研究により、このキナーゼの活性が肝星状細胞の活性化および増殖より先に起こり、S6K1活性ピークがDMNモデルでは6時間およびDBLモデルでは72時間であることが証明された(Svegliati−Baroni et al.J.Hepatol.2003)。インビトロでは、PDGFbおよびIGF−1による星状細胞の活性化はS6K1を必要とし、ラパマイシンは星状細胞の増殖およびS6K1の活性化を阻害する(Bridle et al.JLCM 2006)。この阻害剤がTGFβにより活性化される星状細胞においてMMP13の過発現、コラーゲンIの過発現およびS6K1の活性化を遮断できることも証明されている(Lechuga et al.J.AJPGLP 2004)。
【0012】
皮膚線維症のレベルでは、S6K1の高い発現がケロイド瘢痕において立証されている。ラパマイシンは、コラーゲン、フィブロネクチン、アクチンα(α−SMA)を減少させる(Ong et al.Exp.Dermatol.2007)。
【0013】
肺線維症のレベルでは、ラパマイシンは、肺でTGFαを過発現するトランスジェニックマウスモデルにおいて肺線維症の開始および進行を予防する。さらに、この阻害剤は、肺においてTGFαによって誘導されるS6K1のリン酸化およびコラーゲンの沈着を阻止する(Korfhagen et al.Am.J.resp.Cell Mol.Biol.2009)。
【0014】
VI.腫瘍学:
P70S6Kの阻害剤は腫瘍学、特に以下のものに応用されている:
乳癌、7.5−10.2%の原発性乳癌に増幅および過発現されたS6K1遺伝子が存在する(Barlund et al.2000、Wu et al.2000、Couch et al.1999);この過発現は、HER2の増幅とは無関係に予後不良に関連づけられる(Barlund et al.2000)。
【0015】
肝臓癌(肝臓癌腫、HCC):Sahin et al(2004)によって報告されているS6K1の過発現。
【0016】
神経膠芽腫(Riemenschneider et al.2006)。
【0017】
甲状腺癌(Miyakawa et al.2003)。
【0018】
卵巣および子宮頸癌(Wong et al.2000)。S6K1は、卵巣癌細胞において上皮細胞の間葉細胞への移行(EMT)の過程を促進する(Pon et al.Cancer Res.2008)。
【0019】
2)PDGF−R受容体チロシンキナーゼ:
PDGF−R受容体は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)のクラスIIIファミリーのメンバーである。RTKへのリガンドの結合は、受容体の二量体化、これらのチロシンキナーゼ部分の活性化を誘導し、この活性化がチロシン残基のリン酸基転移につながる(Weiss & Schlessinger,1998)。
【0020】
これらのRTKへのリガンドの結合は、受容体の二量体化、およびこれらのチロシンキナーゼ部分の活性化を誘導し、この活性化がチロシン残基のリン酸基転移につながる(Weiss & Schlessinger,1998)。従って、これらのリン酸化残基は、細胞内シグナル伝達タンパク質のための固着点として役立ち、最終的に様々な細胞応答:維持、分裂、増殖、分化または細胞移動を生じさせる(Claesson−Welsh,1994)。
【0021】
PDGF受容体の2つのアイソフォーム、PDGF−Rアルファ鎖およびPDGF−Rベータ鎖が同定されており、これらは、これらのリガンドの連結後にホモまたはヘテロ二量体化し、細胞内シグナル伝達を誘導する。PDGF受容体は、間葉由来の細胞によって主として発現され、特に、線維芽細胞、平滑筋細胞、周皮細胞およびグリア細胞上で見つけられる(Ross et al.,1986、Heldin,1992)。
【0022】
約30000ダルトンの分子量を有するタンパク質である「血小板由来成長因子」、PDGFは、主として血小板によって、次いで内皮、血管平滑筋および単球によって分泌される。PDGFは、ジスルフィド結合によって互いに連結されてホモ二量体またはヘテロ二量体を形成する2本のポリペプチド鎖で構成される。4つの遺伝子(7p22、22q13、4q31および11q22)が4つの異なるポリペプチド鎖(A、B、CおよびD)をコードすると記載されており、これらは、二量体化されると、5つの生物活性リガンド、PDGF−AA、BB、CC、DDおよびABをもたらす(総説については、Yu et al,2003)。特に、受容体のアルファアイソフォームについてのPGDF−AA、BB形態についてのPDGF−D、ならびにアルファおよびアルファ/ベータ形態についてのPDGF−Cを含めて、結合特異性が存在する。PDGFリガンドは強力なマイトジェンであるが、細胞移動、生存、アポトーシスおよび形質転換の現象にも関与する。
【0023】
PDGF−Rアルファ、ベータ機能の阻害は、様々な治療分野に関与する。これらの受容体が関与する生理病理現象の中には、腫瘍細胞および/または腫瘍環境の(血管の、線維芽細胞)細胞をターゲットにする転移を伴うまたは伴わない癌、線維症ならびに血管疾患がある:
有利には、AML(急性骨髄性白血病)型芽細胞は、キナーゼ活性を有する他の受容体、例えばc−kitまたはPDGF−Rも過発現する。
【0024】
骨髄増殖性/異形成症候群
かなりの頻度で、染色体転座後の細胞遺伝学的異常が骨髄増殖性症候群において報告されている。これらの再配列は、骨髄芽細胞の増殖に関与する、チロシンキナーゼ活性を有する調節解除された融合タンパク質を生じさせる。
【0025】
PDGF−Rベータキナーゼ活性を有する融合タンパク質
PDGF−Rベータキナーゼ活性を有する融合タンパク質は、PDGF−R−ベータの細胞内部分および、他方では、別のタンパク質(一般に転写因子)のN末端ドメインから成る。次のものが、特に慢性骨髄単球性白血病(CMML)において、報告されている:Rab5/PDGF−Rベータ、H4−PDGF−Rベータ、HIP1−PDGF−RBまたはTel/PDGF−Rベータ。最後のものが最も広範に提示されている。このTel/PDGF−Rベータは、転座t(5;12)(q31;p12)から誘導され、ならびに転写因子TelのN末端部分とPDGF−RベータのC末端部分とから成る融合タンパク質をコードする。Tel部分に存在するオリゴマー化ドメインは、二量体形態の融合タンパク質をもたらすと共に、キナーゼドメインの構成的活性化をもたらす。このタンパク質は、造血細胞を幾度も形質転換できることがインビトロで証明されており、特に、M.Carrolらによる論文(PNAS,1996,93,14845−14850)に詳細に示されている。インビボでは、この融合タンパク質は、骨髄細胞増殖亢進をもたらす(Ritchie et al.,1999)。
【0026】
さらに、動物において、およびヒトにおける臨床現場において、チロシンキナーゼの阻害剤が芽細胞の増殖を阻害し、白血病発生過程のチェックを可能にすることが証明されている。
【0027】
PGDF−Rアルファキナーゼ活性を有する融合タンパク質
PDGF−Rアルファを含む2つの融合タンパク質が報告されている:異型慢性骨髄性白血病(CML)に存在するbcr−PDGF−Rアルファ、および好酸球増加症候群から誘導される白血病の亜集団、CEL「好酸球性白血病」において見つけられるFIP1L1−PDGF−Rアルファ(Griffin et al.,2003)。この融合タンパク質は、PDGF−Rアルファのキナーゼドメインの構成的活性を有し、およびこれらの細胞の無秩序な増殖の原因である。
【0028】
PDGF−Rアルファのキナーゼ活性の阻害剤は、陽性FIP1L1−PDGF−Rアルファの増殖に対する効力を示し、最近、ある阻害化合物がHES/CELに指示された。
【0029】
このように、本発明の化合物がなすようなPDGF−Rアルファおよびベータのキナーゼ活性の阻害がAMLについて治療的に対象のものであることは証明されている。
【0030】
A.固形癌
PDGF−Rアルファおよびベータ受容体のチロシンキナーゼ活性の阻害剤は、自己分泌(autocriny)もしくはパラ分泌(paracriny)によりPDGF−R TK阻害活性に対して感受性である腫瘍細胞を直接ターゲットにすることから、または網目構造を不安定にして他の治療薬との会合を促進することによりこの環境の細胞をターゲットにすることから、固形癌について対象のものであり得る。固形癌の例は、ユーイング肉腫、胃腸管間質腫瘍(GIST)、皮膚線維肉腫、神経膠腫、神経膠芽腫、血管腫ならびに類腱腫である。本発明の化合物は、このような固形癌の治療に対象のものである。
【0031】
B.腫瘍環境でのPDGF−RTKのターゲティング
血管新生
腫瘍環境の細胞は、原発性腫瘍の場合であろうと、続発性腫瘍(転移)の場合であろうと、癌の発生の不可欠部分を構成する。PDGF−Rを発現する環境の細胞であって、この受容体の役割が立証されている細胞の中には、血管の壁細胞、即ち、周皮細胞および平滑筋細胞、また活性化線維芽細胞もある。
【0032】
血管新生は、既存の血管から、または骨髄細胞の移動および分化により、新たな毛細血管を生成する過程である。従って、内皮細胞の無制御増殖と骨髄細胞からの血管芽細胞の移動の両方が、腫瘍新生血管形成の際に観察される。幾つかの成長因子、例えばVEGFおよびFGFが内皮増殖を刺激することは、インビトロおよびインビボで証明されている。これらのメカニズムに加えて、壁細胞、例えば周皮細胞および平滑筋細胞が新たに形成される血管の安定化に関与することも立証されている。PDGF−Rベータの無効化は、マウスにおいて周皮細胞の欠損を生じさせ、ならびに微小出血および浮腫のため妊娠期間の最後にこれらの動物の死をもたらす(Hellstrom et al,1999、Hellstrom et al,2001)。洗練された移植研究では、周皮細胞によるPDGF−R−ベータの発現が、内皮細胞によるPDGF−Bの保持による、しかしまた腫瘍細胞により分泌されるPDGF−Bによる、腫瘍血管のレベルでの周皮細胞の動員のために必要であることが証明されている(Abramsson et al,2003)。膵臓腫瘍のRip1Tag2トランスジェニックモデルにおいて、Songらは、骨髄に由来する髄内の血管周囲前駆細胞上でのPDGF−Rベータの発現も証明しており、これらの前駆細胞が、腫瘍の周囲で成熟周皮細胞へと分化する。
【0033】
腫瘍周皮細胞に対するPDGF−Rの活性を遮断することの重要性は、動物モデル(膵臓腫瘍および神経膠腫腫瘍内植のトランスジェニックモデル)においてPDGF−Rのチロシンキナーゼ活性の阻害剤の使用により実証されており、腫瘍成長に対する効果は、VEGF−Rのキナーゼ活性の阻害剤と併用すると非常に大きいことがわかる(Bergers et al.,2003)。文献データ(Cao et al,2002、Fons et al.,2004)により、PDGF−RアルファおよびPDGF−Cの、血管新生への介入ならびに内皮前駆細胞の周皮細胞タイプまたは平滑筋細胞への分化への介入が立証されている。
【0034】
これらの様々な研究にかんがみて、本発明の化合物は、この環境の細胞に対する本化合物の効果による固形癌の治療に関し、この効果は他の治療薬、例えば細胞傷害剤または血管新生の阻害剤との併用によるものであることは明らかである。
【0035】
活性化線維芽細胞
PDGF−Rは、腫瘍間質に豊富に存在し、活性化線維芽細胞(筋線維芽細胞)上で見つけられる。PDGF−Rの阻害剤またはアンタゴニストと細胞傷害剤の併用は、卵巣癌において(Apte et al.,2004)および膵臓癌において(Hwang et al.,2003)血管の微小密度の減少をもたらすことが2つの研究にて証明されている。PDGF−Rベータは、腫瘍の間質組織の圧力を調節し(Heuchel et al.,1999)、PDGF−Rの阻害剤と化学療法薬の併用投与は、腫瘍内圧力を減少させることにより腫瘍細胞内へのこれらの送達を改善する(Griffon−Etienne,1999)。最後に、マウスモデルにおいて、PDGF−Rのキナーゼ活性の阻害剤の投与は、腫瘍による化学療法薬の消費を改善し、従って、化学療法薬の効力を増大させる(Griffon−Etienne,1999;Pietras et al.,2002;Pietras et al.,2003)。従って、腫瘍間質中に存在する活性化線維芽細胞は、腫瘍学における新規治療ターゲットに相当する(総説についてはBouzin & Feron,2007を参照のこと)。
【0036】
転移
幾つかの研究は、PDGF−RとPDGF−リガンドのペアが、間違いなく血管新生に対するおよび血液循環による転移に対するペアの作用によって、またリンパ管新生に対するおよび従ってリンパ管により広められる転移に対する直接効果によっても、転移の発生に関与することを示す。ある総説は、特に、リンパ管新生およびリンパ性転移におけるPDGF−BBの直接的な役割を実証している(Cao et al,2005)。しかし、大多数の研究は、続発性腫瘍の樹立および発達を促進する転移環境でのPDGF−Rの発現を含む。最も頻繁に報告されている例は、前立腺癌の骨転移の発生である。
【0037】
これらの様々な研究にかんがみて、本発明の化合物は、この環境の細胞に対する本化合物の効果による固形癌の治療に関し、この効果は他の治療薬、例えば細胞傷害剤または血管新生の阻害剤との併用によるものであることは明らかである。
【0038】
C.線維症
線維症は、多くの場合、癌、放射線治療、肝炎、アルコール血症などの主な事象の原因である。PDGFの関連は、放射線療法によって誘導される、肺線維症(石綿肺を含む。)、腎線維症(糸球体腎炎を含む。)、骨髄線維症(多くの場合、巨核球性白血病を随伴する。)、ならびに肝および膵線維症(アルコール血症または肝炎に関連づけられる。)において明確に立証されている(総説については、JC Bonner,2004を参照のこと)。PDGFの過発現は、特に明確に証明されており、PDGF−R TK活性の阻害剤を用いるインビボモデルでの結果も報告されている。これらの研究の中で、Einter et al.,(2002)の研究は、PDGF−CCが腎線維症の強力な誘導因子であることを証明している。この著者らは、線維症が特に急速に発現する片側尿道結紮モデルにおいて中和抗体の効力を試験した。本研究者らは、筋線維芽細胞の蓄積の減少、細胞外基質の蓄積の減少およびコラーゲンIV沈着の減少を伴う非常に顕著な抗線維化効果を観察した。マウスにおいてブレオマイシンにより誘導される肺線維症のモデルで行われた別の研究は、間葉細胞の増殖の阻害によって線維症の予防に対するPDGF−RのTK活性の阻害剤の効力を証明している(Aono et al.,2005)。石綿によって誘導される線維症のモデルにおいて、PDGF−R TK阻害剤は、肺実質における線維症の進行およびコラーゲンの沈着を減少させた(Vuorinen K,Gao F,Oury TD、Kinnula VL,Myllarniemi M.Imatinib mesylate inhibits fibrogensis in abestos−induced interstitial pneumon)。幾つかのチームが肝線維症へのPDGF−Rの関与を証明した。PDGFBBおよびDDが肝星状細胞に対して線維形成促進特性を有することは明確に証明されている(Rovida et al.,2008;Borkham−Kamphorst et al.,2007)。インビボで、PDGF−R TK阻害剤は、ラットにおける胆管結紮モデルにおいて早期線維形成を減少させることができる(Neef et al.,2006)。
【0039】
従って、文献データにかんがみて、本発明の化合物は、様々なタイプの線維症に対し治療的関心が示されているように思われる。
【0040】
D.血管疾患:アテローム性硬化症および再狭窄、動脈硬化症
血管平滑筋細胞の増殖および移動は、動脈の内膜肥厚の一因となり、従って、アテローム性動脈硬化症においてならびに血管形成術および動脈内膜除去術後の再狭窄において重要な役割を果たす。PDGFがこれらの減少に関与することはインビトロでおよび動物モデルにおいてインビボで明確に立証されている。インビボでは、特に、ブタの「静脈移植」モデルにおいてPDGFの発現の増加が証明されている。さらに、PDGF−RのTK活性の阻害剤が糖尿病マウスApoE−KO(ストレプトゾトシンで治療された動物)において胸部および腹部動脈の病変の大きさを実質的に減少させたことも証明されている。別の研究は、PDGF(アンチセンスTKまたはPDGF A)によって誘導されるシグナル伝達の阻害が「バルーン傷害」および「冠動脈再狭窄」モデルにおいて新内膜形成の減少をもたらすことを証明している(Deguchi J,1999、Ferns et al.,1991、Sirois et al,1997、Lindner et al.,1995)。
【0041】
このように、本発明の化合物のなどの、PDGF−Rのチロシンキナーゼ活性阻害剤は、単独で、またはこれらの病態に関与する他の成長因子、例えばFGFのアンタゴニストである化合物と併用で、血管平滑筋細胞の増殖に関連づけられる病態、例えば、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後のまたは血管内プロテーゼ(ステント)の取付後のまたは大動脈冠動脈バイパス術中の再狭窄の治療において選択される療法に相当する。
【0042】
本発明の化合物は、PDGF−RのTK活性に対する本化合物の阻害活性のため、これらの血管疾患の治療に有利であると判明した。
【0043】
E.その他
特発性肺動脈性高血圧(PAH)をはじめとする、その他の病態は、本発明の化合物にとっての可能性ある適応症であるように思われる。肺動脈圧が高く継続的に増加することを特徴とするPAHは、右室不全および多くの場合、患者の死につながる。PAHは、肺血管の平滑筋細胞の増殖および移動の増加に関連づけられる。Schemulyら(2005)は、PDGF受容体のチロシンキナーゼ活性の阻害剤がこの疾患の進行を相当改善することを証明した。この証明のために、本研究者らは、とりわけ、28日間のモノクロタリンの投与によって得たラットの実験的肺動脈性高血圧を用いた。治療したすべてのラットが生き残ったのに対し、未治療対照群ではラットの50%が死亡した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0044】
【非特許文献1】PNAS,1996,93,14845−14850
【非特許文献2】Vuorinen K,Gao F,Oury TD、Kinnula VL,Myllarniemi M.Imatinib mesylate inhibits fibrogensis in abestos−induced interstitial pneumonia.Exp Lung Res.2007 Sep;33(7):357−73
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0045】
本発明の主題は、酸の形態、塩基の形態または酸もしくは塩基との付加塩の形態での式(I)の化合物:
【0046】
【化1】

であり、式中、
nは、0、1、2または3を表し;
n’は、0、1、2、3または4を表し;
R1は、アルキル基を表し;
R2は、
(i)シクロアルキル基、
(ii)アルキル基または
(iii)アルコキシ基
を表し、前記シクロアルキル、アルキルまたはアルコキシ基は、1個以上のハロゲン原子で場合により置換されており;
R3は、
(i)水素原子または
(ii)−C(O)アルキル基
を表し;
Arは、Y、Z、VおよびWが、
(a)互いに独立して、
(i)=CH−基、
(ii)=C(R5)−基(この基におけるR5は、
アルキル基、
ハロゲン原子または
アルコキシ基
を表す。)
(iii)窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選択されるヘテロ原子
を表し、
(b)Y、Z、VおよびWのうちの少なくとも1つが場合により不在である、
5員または6員アリールまたはヘテロアリール環を表し、
Arが、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリルおよびトリアゾリルから選択されるヘテロアリールを表すとき、該ヘテロアリールの窒素原子の少なくとも1個は、アルキル基から選択される基R6で場合により置換されていることがあると解され;
R4は、
アルキル基、
アルコキシアルキル基、
基−NRR’[この場合のRおよびR’は、同一であるまたは異なることがあり、互いに独立して、水素原子、アルキル基または−(C3−C6)シクロアルキル基を表す。]、
シクロアルキル基、
アルケニル基、
アリール基[該基は、少なくとも1個のハロゲン原子で、および/または−(C1−C5)アルキル、ハロアルキル、ニトリル、ハロアルキルオキシ、アルコキシ、ニトロ基および基−NRR’(この場合のRおよびR’は、同一であるまたは異なることがあり、互いに独立して、水素原子または、アルキル基および−(C3−C6)シクロアルキル基から選択される基を表す。)から選択される少なくとも1つの基で、場合により置換されている。]、
ヘテロアリール基[該基は、窒素または硫黄原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、該ヘテロアリール基は、アルキル基および(窒素および酸素原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む)ヘテロシクロアルキル基から選択される少なくとも1つの基で場合により置換されている;
ヘテロアリール基が、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリルおよびトリアゾリルから選択されるとき、該ヘテロアリールの窒素原子の少なくとも1個は、アルキル基から選択される基R6で置換されていることがあると解される。]、
ヘテロシクロアルキル基[基は、窒素、硫黄および酸素原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、ならびに(i)ハロゲン原子、(ii)ハロアルキル基、(iii)アルキル基、有利には線状または分岐−(C1−C4)アルキル基および(iv)シクロアルキル基から選択される少なくとも1つの置換基で場合により置換されている;
該ヘテロシクロアルキル基が、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニルおよびチオモルホリニルから選択されるとき、該ヘテロシクロアルキルの窒素原子の少なくとも1個は、アルキル基から選択される基R6で場合により置換されていることがあると解される]
から選択される基を表す。
【0047】
式(I)の化合物は、1個以上の不斉炭素原子を含有することがある。従って、これらの化合物は、エナンチオマーまたはジアステレオマーの形態で存在することがある。これらのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびこれらの混合物(ラセミ混合物を含む。)は、本発明の一部を構成する。
【0048】
例えば、R4が複素環を表すとき、該複素環上の置換されている炭素の絶対立体配置は、Rであることもあり、またはSであることもある。
【0049】
式(I)の化合物は、塩基の形態または酸との付加塩の形態で存在することがある。このような付加塩は、本発明の一部を構成する。
【0050】
これらの塩を、医薬として許容されるを用いて調製することができるが、例えば式(I)の化合物の精製または単離に有用な他の酸の塩も本発明の一部を構成する。
【0051】
式(I)の化合物は、溶媒和物または水和物の形態で、即ち溶媒もしくは水の1つ以上の分子との会合もしくは結合の形態で、結晶質形態または非晶質形態で存在することもある。このような溶媒和物および水和物は、本発明の一部を形成する。
【0052】
本発明の主題は、本発明による式(I)の化合物の調製方法であって、式(IXa)の化合物:
【0053】
【化2】

と式(VII)の化合物:
【0054】
【化3】

(これらの式中、R1、R2、R3、R4、n、n’、V、W、Y、ZおよびArは、上で定義したとおりであり、Xは、下で定義する脱離基を表し、有利にはXはハロゲンを表し、さらにいっそう有利にはXは塩素原子を表し、ならびにMは上で定義したとおりである。)
とをカップリング触媒および塩基の存在下で反応させることを特徴とする方法でもある。
【0055】
もう1つの態様によると、本発明の主題は、本発明による式(I)の化合物の調製方法であって、式(IXb)の化合物:
【0056】
【化4】

と式(VIII)の化合物:
【0057】
【化5】

(これらの式中、R1、R2、R3、R4、n、n’、V、W、Y、ZおよびArは、上で定義したとおりであり、Xは、下で定義する脱離基を表し、有利にはXはハロゲンを表し、さらにいっそう有利にはXは臭素またはヨウ素原子を表し、ならびにMは上で定義したとおりである。)
とを反応させることを特徴とする方法でもある。
【0058】
本発明の文脈では、文中で別様に述べられていない限り、下記のものと解される:
ハロゲン原子:フッ素、臭素またはヨウ素原子;
ヘテロ原子:窒素、酸素または硫黄原子;
アルキル基:1、2、3、4、5または6個の炭素原子を含有し得る線状または分岐飽和脂肪族基(−(C1−C6)アルキルと略記される。)。有利には、アルキル基は−(C1−C4)アルキル基である。例として、(i)−C1アルキル基としてはメチル基、(ii)−C2アルキル基としてはエチル基、(iii)−C3アルキル基としてはプロピル、イソプロピル基、(iv)−C4アルキル基としてはブチル、イソブチル、tert−ブチル基、(v)−C5アルキル基としてはペンチル、イソペンチル基、(vi)−C6アルキル基としてはヘキシル基を挙げることができる;
アルキレン基:前に定義したとおりのアルキル基であって、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を含有し得る線状または分岐飽和二価アルキル基(−(C1−C6)アルキレンと略記される。)。例として、メチレン(即ち−CH−)、エチレン(即ち−CH−CH−)、プロピレン(即ち−CH−CH−CH−)基を挙げることができる;
アルケニル基:少なくとも2個の炭素原子を含み、一または多不飽和である脂肪族基。有利には、アルケニル基は、少なくとも1つのC=C二重結合を含むC2−C10基、さらにいっそう有利には少なくとも1つのC=C二重結合を含むC2−C6基である;
シクロアルキル基:−(C3−C10)シクロアルキルと略記もされる、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を含有し得る環式アルキル基。有利には、シクロアルキル基は、−(C3−C5)シクロアルキル基である。例として、シクロプロピル、メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチルおよびペンタレン基を挙げることができる;
アルコキシまたはアルキルオキシ基:−O−アルキル基(ここでのアルキル基は前に定義したとおりである。)。例として、−O−(C1−C5)アルキルまたは−(C1−C5)アルコキシ基、および特に、(i)−O−C1アルキル基としては−Oメチル基、(ii)−O−C2アルキル基としては−Oエチル基、(iii)−O−C3アルキル基としては−Oプロピル、−Oイソプロピル基、(iv)−O−C4アルキル基としては−Oブチル、−Oイソブチル、−Otert−ブチル基、(v)−O−C5アルキル基としては−Oペンチル、−Oイソペンチル基を挙げることができる;
アルコキシアルキル基:式−アルキレン−O−アルキルの基(この式中のアルキルおよびアルキレン基は、同数の炭素を含みまたは同数の炭素を含まず、前に定義したとおりである。)。例として、基−(C1−C6)アルキレン−O−(C1−C6)アルキル(この場合の−(C1−C6)アルキレン−および−(C1−C6)アルキルは上で定義したとおり)を挙げることができる;
ハロアルキル基:1、2、3、4または5個の前に定義したとおりのハロゲン原子で置換されている、上で定義したとおりのアルキル基。例えば、基−ハロ(C1−C5)アルキル(この場合の(C1−C5)アルキルは上で定義したとおり)、および特にトリフルオロメチル基(−CFと略記される。)を挙げることができる;
ハロアルキルオキシ基:ハロアルキル−O−基(ここでのハロアルキル基は上で定義したとおりである。);
アリール基:6、7、8、9または10個の炭素原子を含む環式芳香族基。アリール基の例として、フェニル基(Phと略記される。)またはナフチル基を挙げることができる;
アリールアルキル基:少なくとも1つの上で定義したとおりのアルキル基で置換されている、上で定義したとおりのアリール基。有利には、これは、−アルキル−アリール基を指す。例えば、ベンジル、即ち−CH−Ph基を挙げることができる;
アリールオキシ基:式−O−アリールの基(ここでのアリール基は前に定義したとおりである。);
ヘテロアリール基:2、3、4または5個の炭素原子を含むと共に1から3個のヘテロ原子を含む環式芳香族基(ヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から、ヘテロ原子の数が2であるときには同一であるもしくは異なるように互いに独立して、またはヘテロ原子の数が3であるときには同一であるもしくは異なるように互いに独立して選択され得る。)。例えば、ピリジニル、ピロリル、ピラゾリル、フラニル、ピラジニル、ピリミジル、イミダゾリル、チオフェニル、チアゾリル、1,2,3−トリアゾリルおよび1,2,4−トリアゾリル基を挙げることができる。
【0059】
ヘテロシクロアルキル:5、6または7個の炭素原子を含むと共に1、2または3個のヘテロ原子を含む、場合により架橋されている環式アルキル基(ヘテロ原子は、ヘテロ原子の数が2であるときには同一であるもしくは異なるように互いに独立して、またはヘテロ原子の数が3であるときには同一であるもしくは異なるように互いに独立して、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択され得る。)。特に、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、ヘキサメチレンイミノ、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、1,1−ジオキシドテトラヒドロチエニル基を挙げることができる;
保護基Pg:一方ではヒドロキシルまたはアミンなどの反応性官能基を合成中に保護することを可能にし、他方では合成の終了時に反応性官能基を再生することを可能にする基。保護基の例ならびに保護および脱保護の方法は、「Protective Groups in Organic Synthesis」, Green et al.,2nd Edition(John Wiley & Sons,Inc.,New York),1991に記載されている;
脱離基:電子対の離脱を伴うヘテロリシス結合の分解により分子から容易に切断することができる基。従って、この基は、例えば置換反応中に別の基によって容易に置換され得る。このような脱離基は、例えば、ハロゲンまたは活性化ヒドロキシル基、例えばメタンスルホナート、ベンゼンスルホナート、p−トルエンスルホナート、トリフラート、アセタートおよびこれらに類するものである。脱離基の例およびこれらの調製についての参照箇所は、「Advances in Organic Chemistry」,J.March,3rd Edition,Wiley Interscience,1985,p.310−316に記載されている;
カップリング触媒:ハロゲン化誘導体とスズから誘導される有機金属化合物とからの(「Stilleカップリング」による。)、マグネシウムから誘導される有機金属化合物とからの(「Corriu・熊田カップリング」による。)、ホウ素から誘導される有機金属化合物とからの(「鈴木カップリング」による。)、亜鉛から誘導される有機金属化合物とからの(「根岸カップリング」による。)およびこれらに類するものから誘導される有機金属化合物とからの炭素−炭素結合の形成を可能にする、触媒量で一般に使用される、パラジウムおよびニッケルなどの金属の錯体。このようなカップリング触媒は、「Palladium reagentsおよびcatalysts−Innovations in organic synthesis」,J.Tsuji.(John Wiley & Sons,Inc.,Chichester),1995に記載されている。
【0060】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、
nが、0、1、2もしくは3を表し;
および/または
n’が、0、1、2、3もしくは4を表し;
および/または
R1が、アルキル基、有利には−(C1−C6)アルキル基、さらに有利には−(C1−C4)アルキル基を表し;
および/または
R2が、
シクロアルキル基、有利には−(C3−C10)シクロアルキル基、さらにいっそう有利には−(C3−C5)シクロアルキル基、
アルキル基、有利には−(C1−C6)アルキル基、さらにいっそう有利には−(C1−C4)アルキル基もしくは
アルコキシ基、有利には−O−(C1−C6)アルキル基、さらにいっそう有利には−O−(C1−C4)アルキル基
(前記シクロアルキル、アルキルまたはアルコキシ基は、1個以上のハロゲン基で、有利には1個以上のフッ素原子で、場合により置換されている。)
を表し;
有利には、R2がアルキル基を表し;
および/または
R3が、
水素原子もしくは
−C(O)アルキル基、有利には基
【0061】
【化6】

さらにいっそう有利には基
【0062】
【化7】

を表し;
有利には、R3が水素原子を表し;
Arが、5員もしくは6員アリールもしくはヘテロアリール環を表し、
および/または
Y、Z、VおよびWが、
a)互いに独立して、
i)=CH−基、
ii)=C(R5)−基(この基におけるR5は、
アルキル基、有利には−(C1−C6)アルキル基、さらにいっそう有利には−(C1−C4)アルキル基、
有利にはフッ素原子もしくは塩素原子から選択される、ハロゲン原子、または
アルコキシ基、有利には−O−(C1−C6)アルキル基、さらにいっそう有利には−O−(C1−C4)アルキル基
を表す。)
iii)窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選択されるヘテロ原子
を表し、および/または
(b)Y、Z、VおよびWのうちの多くとも1つが場合により不在であり、
Y、Z、VおよびWが、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリルおよびトリアゾリルから選択されるヘテロアリールに含有されるとき、該ヘテロアリールの窒素原子の少なくとも1個は、基R6で場合により置換されていることがあると解され;
R4が、
アルキル基、有利には−(C1−C6)アルキル基、さらにいっそう有利には−(C1−C4)アルキル基、
アルコキシアルキル基、
基−NRR’、
シクロアルキル基、有利には−(C3−C5)シクロアルキル基、
アルケニル基、有利には、少なくとも1つのC=C結合を含むC2−C10基、さらにいっそう有利には、少なくとも1つのC=C結合を含むC2−C6基、
アリール基、有利には、6個の炭素原子を含むアリール基[該アリール基は、有利にはフッ素および塩素原子から選択される、少なくとも1個のハロゲン原子で、および/または−(C1−C5)アルキル、ハロアルキル、ニトリル、ハロアルキルオキシ、アルコキシ、ニトロ基および基−NRR’から選択される少なくとも1つの基で、場合により置換されている。]、
ヘテロアリール基、有利には、窒素または硫黄原子から選択されるヘテロ原子を含む5員もしくは6員ヘテロアリール基[ヘテロアリール基は、アルキル基、有利には−(C1−C4)アルキル基および(窒素および酸素原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む)ヘテロシクロアルキル基、から選択される少なくとも1つの基で場合により置換されており;有利には、該ヘテロシクロアルキル基はモルホリニルであり;
(i)ヘテロアリール基が、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリルおよびトリアゾリルから選択されるとき、該ヘテロアリールの窒素原子の少なくとも1個は、基R6で場合により置換されていることがあると解され、
(ii)有利には、該ヘテロアリール基は、ピリジニルおよびイミダゾリル基から選択される。]、
ヘテロシクロアルキル基[該基は、窒素、硫黄および酸素原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、ならびに(i)ハロゲン原子、有利にはフッ素および塩素原子選択される、(ii)ハロアルキル基、有利には、1、2、3、4または5個のフッ素原子で置換されているフルオロ(C1−C4)アルキル基、(iii)アルキル基、有利には線状または分岐−(C1−C4)アルキル基および(iv)シクロアルキル基、有利には−(C3−C5)シクロアルキル基、から選択される少なくとも1つの置換基で場合により置換されている;
該ヘテロシクロアルキル基が、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニルおよびチオモルホリニルから選択されるとき、該ヘテロシクロアルキルの窒素原子の少なくとも1個は、基R6で場合により置換されていることがあると解される。]
から選択される基を表し;
および/または
R5が、
アルキル基、有利には−(C1−C6)アルキル基、さらにいっそう有利には−(C1−C4)アルキル基、
ハロゲン原子、有利にはフッ素原子および塩素原子から選択される、もしくは
アルコキシ基、有利には−O−(C1−C6)アルキル基、さらにいっそう有利には−O−(C1−C4)アルキル基、
を表し;
および/または
R6が、アルキル基、有利には−(C1−C6)アルキル基、さらにいっそう有利には−(C1−C4)アルキル基を表し;
および/または
RおよびR’が、同一であることもしくは異なることがあり、互いに独立して、水素原子、アルキル基もしくは−(C3−C6)シクロアルキル基を表す、
酸の形態、塩基の形態または酸もしくは塩基との付加塩の形態での、化合物の群を挙げることができる。
【0063】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、塩基の形態または酸、有利には塩酸との付加塩の形態であって、
R1が、−(C1−C4)アルキル基を表し、
および/または
R2が、−(C1−C4)アルキル基を表し、
および/または
n’が、1を表し、
および/または
R3が、水素原子を表し、
および/または
Arが、フェニルを表す、
化合物の群を挙げることができる。
【0064】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、
R4が、
アルキル基、有利には−(C1−C6)アルキル基、さらにいっそう有利には−(C1−C4)アルキル基、
基−NRR’(この場合のRおよびR’は、同一であるまたは異なることがあり、互いに独立して、水素原子、アルキル基または−(C3−C6)シクロアルキル基を表す。)、
アルケニル基、有利には、少なくとも1つのC=C結合を含むC2−C10基、さらにいっそう有利には、少なくとも1つのC=C結合を含むC2−C6基、
アリール基、有利には、6個の炭素原子を含むアリール基[該アリール基は、有利にはフッ素および塩素原子から選択される、少なくとも1個のハロゲン原子で、ならびに/またはアルコキシ基および基−NRR’(この場合のRおよびR’は定義したとおり)から選択される少なくとも1つの基で、場合により置換されている。]、
ヘテロアリール基、有利には、窒素原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5員または6員ヘテロアリール基[該ヘテロアリール基は、アルキル基、有利には−(C1−C4)アルキル基、および(窒素および酸素原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む)ヘテロシクロアルキル基から選択される少なくとも1つの基で場合により置換されており;有利には、該ヘテロシクロアルキル基はモルホリニルであり;
該ヘテロアリール基が、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリルおよびトリアゾリルから選択されるとき、該ヘテロアリールの窒素原子の少なくとも1個は、基R6(この場合のR6は、アルキル基、有利には−(C1−C6)アルキル基、さらにいっそう有利には−(C1−C4)アルキル基、から選択される基を表す。)で場合により置換されていることがあると解される。]
を表す、化合物の群を挙げることができる。
【0065】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、R4がフェニル、ピリジニルおよびイミダゾリル基から選択される基を表す、化合物の群を挙げることができる。
【0066】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、Y、Z、VおよびWそれぞれが、=CH基および/または=C(R5)−基(この場合のR5は、塩素またはフッ素原子を表す。)を表し、従って、Y、Z、VおよびWが、場合により置換されているフェニル基の中にある、化合物の群を挙げることができる。
【0067】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、特に以下の化合物を挙げることができる:
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(ピリジン−3−イルメチル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号1)
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(3−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号2)
2−アミノ−7−{4−[(エテニルスルホニル)アミノ]−3−フルオロフェニル}−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号3)
2−アミノ−7−[4−({[2−(ジメチルアミノ)エチル]スルホニル}アミノ)−3−フルオロフェニル]−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号4)
2−アミノ−7−(4−{[(3−アミノベンジル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号5)
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号6)
2−アミノ−7−{4−[(ブチルスルホニル)アミノ]−3−フルオロフェニル}−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号7)
2−アミノ−7−(3−クロロ−4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号8)
2−アミノ−7−(4−{[(2,5−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号9)
2−アミノ−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−7−{4−[(ピリジン−3−イルスルホニル)アミノ]フェニル}−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号10)
2−アミノ−7−(4−{[(2,6−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号11)
2−アミノ−7−(2−クロロ−4−{[(2,5−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号12)
2−アミノ−7−(2−クロロ−4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号13)
2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−2−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号14)
2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−メチルフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号15)
2−アミノ−1−エチル−N−メチル−7−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号16)
2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号17)
2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号18)
2−アミノ−7−(4−{[(2−クロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号19)
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(2−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号20)
2−アミノ−7−(4−{[(4−クロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号21)
2−アミノ−7−(4−{[(3−クロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号22)
2−アミノ−7−(4−{[(3,4−ジフルオロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号23)
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(4−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号24)
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(3−メトキシフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号25)
2−アミノ−1−エチル−7−[3−フルオロ−4−({[6−(モルホリン−4−イル)ピリジン−3−イル]スルホニル}アミノ)フェニル]−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号26)
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(ピリジン−2−イルメチル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド(化合物番号27)。
【0068】
ソフトウェアACDLABS 10.0 ACD/name(Advanced Chemistry Development)を利用してIUPAC命名法で上記化合物に命名したことに留意すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明に則って、一般式(I)の化合物を下記の方法に従って調製することができる。
【0070】
スキーム1に従って、式(II)の2,6−ジハロニコチン酸(この式中、XおよびX’は、有利にはF、ClおよびBr原子から選択されるハロゲン原子を、互いに独立して表し、有利にはXおよびX’は、塩素原子を表す。)の2位を式R2−(CH2)n’−NHのアミン(この式中、R2およびn’は、本発明の主題である式(I)の化合物に関して前に定義したとおりである。)で置換する。この反応は、室温で、または従来の加熱もしくはマイクロ波加熱を用いて50℃から100℃の温度で、およびアルコール、例えばエタノール、n−ブタノール、tert−ブタノールまたは水、などのプロトン性溶媒中で行うことができる。次に、工程(i)から得た酸(III)を活性化して式(IV)の誘導体にする。
【0071】
この誘導体(IV)は、G.OLAHらがSynthesis(1973),487に記載したように、室温でトリエチルアミンもしくはピリジンなどの塩基の存在下、ジクロロメタンもしくはTHFなどの溶媒中でのフッ化シアヌリルの作用により酸フッ化物の形態(A=F)であってもよいし、DMFもしくはTHFなどの溶媒中でのカルボジイミダゾールの作用によりまたは当業者に公知の他の方法、例えば向山および田中がChem.Lett.(1976),303にもしくは石川および佐々木がChem.Lett.(1976),1407に記載した方法によりイミダゾールの形態(A=イミダゾリル)であってもよい。
【0072】
【化8】

【0073】
酸フッ化物(A=F、X=ハロゲン、有利にはX=Cl、ならびにn’およびR2が上で定義したとおりの、式(IV)の化合物)またはイミダゾリド(A=イミダゾリル、X=ハロゲン、有利にはX=Cl、ならびにn’およびR2が上で定義したとおりの、式(IV)の化合物)は、非常に反応しやすいが、安定している。そこでこれらを下で説明する方法AまたはBに従って式(V)のN置換シアノアセトアミドと反応させることができる。
【0074】
方法Aよると、2当量の塩基、例えば水素化ナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシドを、N置換シアノアセトアミド誘導体(V)と式(IV)の化合物の縮合のための工程(iv)に使用し;一晩、室温で放置した後、式(VI)のβ−ケトシアノアセトアミドを得、その後、n−ブタノール、DMSOまたはDMFなどの極性溶媒中で90℃と125℃の間の温度に加熱することによりこのアミドを環化して、式(VII)のピリジノピリジノン(この式中、X=ハロゲン、有利にはX=Cl、ならびにR1、R2、n’は上で定義したとおりである。)にする。
【0075】
方法Bは、縮合工程(iv)のための方法Aに類似しているが、使用する塩基3当量を反応混合物に添加し、形成した式(VI)の化合物を室温でインサイチューで環化して、式(VII)のピリジノピリジノン化合物(この式中、X=ハロゲン、有利にはX=Cl、ならびにR1、R2、n’は上で定義したとおりである。)を直接得る。
【0076】
式(V)のN−アルキルシアノアセトアミドは、工程(iii)に従ってTHFまたはエタノールなどの溶媒中、室温から溶媒の還流温度にわたる範囲の温度で、シアノ酢酸エチルと過剰な式R−NHのアミン(この式中、Rは、本発明の主題である式(I)の化合物に関して前に定義したとおりである。)とを反応させることによって調製する。
【0077】
本発明の主題である式(I)の化合物を得るために、前に説明した式(VII)のハロゲン化中間体で出発する2つの方法を用いることができる。
【0078】
スキーム2に表示するルート1によると、中間体(VII)(この式中、Xは、脱離基、有利にはハロゲン原子、有利にはF、ClおよびBrから選択される原子、さらにいっそう有利にはCl原子を表し、ならびにn’、R1およびR2は、本発明に則って上で定義したとおりである。)を工程(vi)において式(IXa)のボロン酸またはボロン酸エステル(この式中、n、R3、R4、V、W、YおよびZは、本発明の主題である式(I)の化合物に関して前に定義したとおりであり、Mは、スキーム2の中で定義するとおりである。本発明に則って上で定義した環(Ar)が5または6員を含むことは理解される。)との鈴木カップリング反応に使用する。この反応(vi)は、触媒、例えば、(酸化状態(0)価または(II)価の)パラジウムの錯体、例えばPd(PPh、PdCl(PPh、Pd(dba)、XphosまたはPdCl(dppf)の存在下、非プロトン性またはプロトン性極性溶媒、例えばDME、エタノール、DMF、ジオキサンまたはこれらの溶媒の混合物中、塩基例えば、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム水溶液またはKPOの存在下、80℃と120℃の間での従来の加熱で、そうでなければ130℃と170℃の間でのマイクロ波加熱の作用下で行う。
【0079】
【化9】

【0080】
本発明の主題である式(I)の化合物の生成のために、式(VII)のハロゲン化中間体で出発する第二のルートを用いてもよい:このルート2をスキーム2に記載する。ISHIYAMA,T.らがJ.Org.Chem.,1995,60,7508−7510におよびGIROUX,AらがTet.Lett.,1997,38,3841−3844に記載した方法論に従って、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)および酢酸カリウムまたは炭酸カリウムの存在下、DMSO、DMF、DMEまたはジオキサンなどの極性溶媒中、50℃と100℃の間の温度でビス(ピナコラト)ジボロン)と反応させることにより、工程(vii)に従って、式(VII)のハロゲン化中間体(前に定義したとおり)を式(VIII)のボロン酸(この式中、Mは、スキーム2において定義したとおりであり、ならびにR1、R2、n’は、上で定義したとおりである。)に変換することができる。後続の工程(viii)では、前記ボロン酸化合物(VIII)を式(IXb)のハロゲン化芳香族化合物(この式中、Xは、脱離基、有利にはハロゲン原子を表し、有利にはXは臭素およびヨウ素原子から選択され、ならびにR、R、V、W、YおよびZは、本発明の主題である式(I)の化合物に関して前に定義したとおりである。アリールまたはヘテロアリール環(Ar)は5または6員を含むことは理解される。)と共に鈴木タイプの反応に使用する。
【0081】
スキーム1および2において用いた調製方式、出発化合物、試薬、例えば式(IX)の化合物を説明しない場合、これらは市販されており、そうでなければ文献に記載されているまたは当業者に公知である方法に従って調製することができる。
【0082】
必要に応じて、本発明に則って基の中に、例えば基R、R、RおよびRなどの中に、特に基Rおよび/またはRの中に、存在する一部の反応性官能基を、これらの反応中に、「Protective Groups in Organic Synthesis」,Green et al.,2nd Edition(John Wiley & Sons,Inc.,New York)に記載されているように保護基によって保護することができる。
【0083】
本発明の主題は、本発明のもう1つの態様によると、式(VII)、(VIII)、(IXa)および(IXb)の化合物でもある。これらの化合物は、式(I)の化合物の合成のための中間体として有用である。
【実施例】
【0084】
以下の実施例は、本発明に則って一部の化合物の調製を例証するものである。これらの実施例は、本発明を限定せず、単に例証するものである。例示する化合物についての番号は、本発明の少数の化合物の化学構造および物理特性を例証する下の表に与える番号を指す。
【0085】
以下の略記および実験式を用いる:
AcOEt 酢酸エチル
DCM ジクロロメタン
℃ 摂氏度
DME ジメトキシエタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
h 時間(単数または複数)
HCl 塩酸
NaHCO 炭酸水素ナトリウム
NaSO 硫酸ナトリウム
NaCl 塩化ナトリウム
NaOH 水酸化ナトリウム
NaSO 硫酸ナトリウム
min. 分
mL ミリリットル
五酸化二リン
THF テトラヒドロフラン
下で説明する実施例および下の表についての分析条件は、以下のとおりである:
LC/UV/MSカップリング条件
条件A
計器(Micromass):HPLCチェーン:Gilson、質量分析計ZMD(Micromass)。
【0086】
LC/UV
カラム:XTerra C18 3.5μm(4.6×150mm)(Waters)、カラム温度:25℃、UV検出:220nm。
【0087】
勾配:15分
溶離剤:A:HO+HCOOH 0.1%/B:CHCN+HCOOH 0.1%、流量:1mL/分
勾配:0から15分 5から95%B。
【0088】
条件B
計器(Micromass):HPLCチェーン:Waters、質量分析計プラットフォームII(Micromass)。
【0089】
LC/UV
カラム:XTerra C18 3.5μm(4.6×50mm)(Waters)、カラム温度:20℃、UV検出:220nm。
【0090】
勾配:11分
溶離剤:A:CH3COONH4 5mM+CH3CN 3%/B:CHCN、流量:0.5mL/分
勾配:0から8分 10から90%B;8から11分 90%B。
【0091】
MS
イオン化モード:エレクトロスプレー・ポジティブ・モードESI+、質量範囲:90−1500amuまたはAPCI+
NMR
NMR分光計Bruker 200または400MHzを使用して、CDCl3またはDMSO−d6中で、基準としてCHCl3またはDMSO−d5についてのピークを用いてH NMRスペクトルを得た。化学シフトδを百万分率(ppm)で表示する。観察されたシグナルを次のように表示する:s=一重線;d=二重線;t=三重線;m=分解されない複合体または広い一重線;H=プロトン。
【0092】
融点
260℃未満の融点は、Kofflerステージ装置で測定し、260℃より高い融点は、Buchi B−545装置で測定した。
【0093】
実施例1
2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
1.1:6−クロロ−2−(エチルアミノ)ピリジン−3−カルボン酸
水中の70%エチルアミン溶液180mL(3.45mol)中の18.0g(84.4mmol)の2,6−ジクロロニコチン酸の溶液を50℃で10時間加熱する。その後、過剰なアミンを減圧下で蒸発させて、生成物の沈殿が得られるまで10%酢酸水溶液を添加する。ベージュ色の固体を得、冷水ですすぎ、オーブンで乾燥させる。10.5gの期待生成物を得る。収率=62%。融点158−160℃。MH:201.1(tr:7.7分、条件A)。
【0094】
1.2:6−クロロ−2−(エチルアミノ)ピリジン−3−カルボニルフルオリド
工程1.1の最後に得た化合物10.5g(52.3mmol)のジクロロメタン(250mL)懸濁液に、4.2mL(52.3mmol)のピリジンおよび8.4mL(99.6mmol)のシアヌル酸フルオリドを順次添加する。この混合物を3時間、室温で攪拌し、その後、濾過する。固体をジクロロメタン(100mL)ですすぎ、濾液を氷冷水(60mL)で2回すすぐ。有機相をNaSOで脱水して、減圧下で濃縮する。10.44gの生成物をオレンジ色の油の形態で得る。収率=99%。この生成物を精製せずに次の工程で使用する。
【0095】
1.3:2−シアノ−N−メチルアセトアミド
0℃に冷却したTHF中のメチルアミンの溶液10.9g(353.6mmol)に、20g(176.8mmol)のシアノ酢酸エチルを一滴ずつ添加し、その後、この反応混合物を室温で一晩攪拌する。溶媒を減圧下で蒸発させ、生成物をトルエンからの再結晶によって精製する。16.8gの生成物をベージュ色固体の形態で得る。収率=96%。融点99℃。
【0096】
上のスキーム1の方法Aに従って(下の工程1.4および1.5)
1.4:3−[6−クロロ−2−(エチルアミノ)ピリジン−3−イル]−2−シアノ−3−ヒドロキシ−N−メチルプロパ−2−エンアミン
工程1.3の最後に得た化合物9.80g(100mmol)の0−5℃に冷却した無水DMF溶液100mLに、鉱物油中の60%水素化ナトリウム3.98g(100mmol)を少量ずつ添加する。水素の放出が終了した時点で、この混合物を10分間、室温で攪拌し、その後、再び0−5℃に冷却する。工程1.2の最後に得た化合物10.1g(49.8mmol)の60mLのDMF溶液を添加し、この混合物を室温で一晩攪拌して、2.85mL(49.8mmol)の酢酸を添加する。DMFを減圧下で蒸発させて、残留物を水に溶かし、生成物を95対5の比率のジクロロメタン:メタノール混合物で2回抽出し、その後、酢酸エチル:THF混合物(2:1)で1回抽出する。併せた有機相をMgSOで脱水して、溶媒を減圧下で蒸発させる。19.0gの生成物を得、この生成物をこのまま次の工程で使用する。
【0097】
1.5:2−アミノ−7−クロロ−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
工程1.4の最後に得た19.0g(49.8mmol)の粗生成物のn−ブタノール溶液600mLを48時間、110℃で加熱する。減圧下で溶媒を蒸発させ、得られた固体をメタノールで研和する。その後、固体を濾過し、オーブンで乾燥させる。7.9gの期待生成物を淡黄色固体の形態で得る。収率=57%。融点283−286℃。MH:281.2(tr:6.99分、条件A)
【0098】
上のスキーム1の方法Bに従って(前の工程1.4および1.5の代わりに下の工程1.6)
1.6:2−アミノ−7−クロロ−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
工程1.3の最後に得た化合物0.48g(4.9mmol)の0−5℃に冷却した無水DMF(7mL)溶液に、鉱物油中の60%水素化ナトリウム0.4g(99.5mmol)を少しずつ添加する。この混合物をこの温度で10分間攪拌し、その後、工程1.2の最後に得た化合物1.0g(4.93mmol)の無水DMF(5mL)溶液を添加する。この反応混合物を一晩、室温で攪拌し、その後、0.2g(4.9mmol)の60%水素化ナトリウムを少しずつ添加する。この温度で30分間、攪拌を継続し、その後、0.56mL(9.8mmol)の酢酸を添加し、続いて60mLの水を添加し、固体を濾過し、水ですすいで、オーブンで乾燥させる。1.30gの期待生成物を得る。収率=94%。融点283−284℃。MH:281.2(tr:6.99分、条件A)。
【0099】
1.7:[7−アミノ−8−エチル−6−(メチルカルバモイル)−5−オキソ−5,8−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル]ボロン酸
(方法Aを用いたか、方法Bを用いたかによって)工程1.5または1.6の最後に得た化合物(8g(0.03mol))、ビス(ピナコラト)ジボロン(8.0g(0.03mol))および酢酸カリウム8.5g(0.08mol)のDMSO(130mL)懸濁液を、15分間、アルゴンで脱気する。ジクロロメタンと複合体化(1:1)した、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)1.4g(1.7mmol)を添加し、この混合物を80℃で30分間、アルゴン下で加熱し、その後、冷却し、1.1Lの水で希釈し、酢酸(50mL)の添加によりpH=4に酸性化する。この混合物を濾過し、黒色沈殿を水(40mL)で、次いでエーテル(60mL)で洗浄する。黒色残留物を575mLのNaOH溶液(1N)に溶かし、この混合物をセライト545で濾過する。濾液を60mLの酢酸で酸性化し、沈殿を濾過し、水で洗浄し、エーテルで洗浄して、オーブンで乾燥させる。6.85gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率=83%。融点335℃。
【0100】
MH:291.2(tr:5.3分、条件A)
【0101】
H NMR(250MHZ,DMSO−d)、δ(ppm):11.69(s,1H);11.12(q,1H,4.67Hz);8.47(s,2H);8.44(d,1H,7.7Hz);7.9(s,1H);7.75(d,1H,7.7Hz);4.72(m,2H);2.8(d,3H,4.67Hz);1.22(t,3H,6.9Hz)。
【0102】
1.8:2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
1.8.1:2,3−ジクロロ−N−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
1.1g(5mmol)の4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリンのピリジン溶液(10mL)に、1.23g(5mmol)の2,3−ジクロロベンゼンスルホニルクロリドを少しずつ添加し、この混合物を15時間、室温で攪拌し続ける。溶媒を蒸発させ、残留物を20mLの酢酸エチルに溶かし、1N HCLで洗浄し、次に水で洗浄し、塩化ナトリウム飽和水泡液で洗浄する。有機相をNaSOで脱水し、蒸発乾固させる。2.1gの化合物を暗赤色結晶の形態で得る。収率=100%。融点:235℃
【0103】
H NMR(400MHz;CDCl):δ(ppm):1.2(s;12H;7.0(brs;1H);7.05(d;2H;8Hz);7.2(t;1H;8Hz);7.55(d;1H;8Hz);7.6(d;2H;8Hz);7.9(d;1h;8Hz)
【0104】
1.8.2:2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
1.6で得た280mg(1mmol)のクロロナフチリジンおよび前の工程で得たボラート450mg(1.05mmol)を12mLのDMFおよび3mLのエタノールに溶解する。8mLのNaHCO飽和水溶液を添加して、10分間、アルゴンでバブリングする。その後、85mg(0.073mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を添加し、反応媒体をアルゴン雰囲気下で90℃に加熱する。3時間後、媒体をホットステージで濾過し、冷却後に得た沈殿を濾過し、水で、次にエタノールで、最後にエチルエーテルで洗浄する。得られた固体をエタノールから再結晶し、オーブンで乾燥させる。205mgの生成物を淡黄色粉末の形態で得る。収率=37%。融点=210℃
【0105】
NMR(200MHz;DMSO−d):δ(ppm):1.2(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.55(q;2H;7Hz);7.2(d;2H;8Hz);7.55(t;1H;8Hz);7.7−7.9(m;4H);8.1−8.2(m;3H);8.4(d;1H;8Hz);11.1(q;1H;4.5Hz);11.65(br s;1H)
【0106】
LCMS:MH:546(tr:6.58分、条件B)。
【0107】
実施例2
2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
上のスキーム1の方法Aに従って
2.1:2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン
5.0g(21.1mmol)の2−フルオロ−4−ヨードアニリンおよび5.89g(23.2mmol)のビス(ピナコラト)ジボロンを130mLのDMSOに溶解する。6.21g(63.3mmol)の酢酸カリウムを添加し、アルゴンで10分間バブリングする。ジクロロメタンと複合体化(1:1)した、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)1.21g(1.50mmol)を添加し、この混合物を85℃で4.5時間、アルゴン下で加熱し、その後、冷却し、500mLの水で希釈する。この混合物を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、有機相を水で洗浄し、NaSOで脱水して、蒸発乾固させる。この粗生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル 90/10)によって精製する。3.73gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率=75%。融点112℃。
【0108】
H NMR(400MHz;CDCl):δ(ppm):1.2(s;12H);3.8(br s;2H);6.55(t;1H;7Hz);7.25−7.35(m;2H)。
【0109】
2.2:2,3−ジクロロ−N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]ベンゼンスルホンアミド
不活性雰囲気下、1.24gの2,3−ジクロロベンゼンスルホニルクロリドを、工程2.1の最後に得た化合物1.0g(4.22mmol)の無水ピリジン溶液40mLに少しずつ添加し、その後、この反応混合物を18時間攪拌し続ける。溶媒を蒸発させ、残留物を20mLの酢酸エチルに溶かし、1N HClで洗浄し、次に水で洗浄し、塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。有機相をNaSOで脱水し、蒸発乾固させ、残留物をシクロヘキサンから再結晶させる。1.13gの生成物を白色結晶の形態で得る。収率=60%。
【0110】
MH:445(tr:8.43分、条件A)。
【0111】
2.3:2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
工程2.2の最後に得た化合物1.13g(2.53mmol)、および1.6で得たクロロナフチリジン0.65g(2.32mmol)を、18mLのジメトキシエタンおよび7mLのエタノールに溶解する。16mLのNaHCO飽和水溶液を添加し、アルゴンで10分間バブリングする。0.134g(0.12mM)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を添加し、この反応混合物を100℃でアルゴン下で4時間加熱し、その後、濾過し、濾液の蒸発後に得た残留物を水で研和する。沈殿を濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、その後、ジクロロメタン中のメタノールの勾配で溶離するシリカでのクロマトグラフィーによって精製する。740mgの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:57%。融点:333℃
【0112】
NMR(200MHz;DMSOd6):δ(ppm):1.2(t;3H;7Hz);2.7(s;3H);4.5(q;2H;7Hz);7.35(t;1H;8Hz);7.5(t;1H;8Hz);7.8−8.0(m;6H);8.45(d;1H;8Hz);10.8(s;1H);11.1(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0113】
LCMS:MH+:563.9(tr:7.544分、条件A)。
【0114】
上のスキーム1の方法Bに従って
2.4:2,3−ジクロロ−N−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)ベンゼンスルホンアミド
2−フルオロ−5−ヨードアニリン(2.8g;11.8mmol)の無水ピリジン溶液30mLに2.96g(11.8mmol)の2,3−ジクロロベンゼンスルホニルクロリドを少しずつ添加し、この混合物を24時間、20℃で攪拌し続ける。ピリジンを蒸発させ、残留物を50mLの酢酸エチルに溶かし、水で洗浄し、次にNaCl飽和水溶液で洗浄する。有機相をNaSOで脱水して、蒸発乾固させる。生成物をシクロヘキサンから再結晶させる。4.51gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:86%
【0115】
LCMS:(M−H):444(tr:7.90分、条件A)。
【0116】
2.5:2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
工程2.4の最後に得た化合物1.0g(2.24mmol)および工程1.7の最後に得たボロン酸1.0g(3.45mmol)のDMF溶液16mLに、4.5mLのNaHCO飽和水溶液を添加し、アルゴンで10分間バブリングする。その後、144mg(0.16mmol)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を添加し、この混合物を85℃で5時間加熱する。反応媒体をホットステージで濾過して、濾液を蒸発乾固させ、残留物を水(20mL)で研和する。沈殿を濾過し、水で洗浄して、オーブンにおいて真空下で乾燥させる。この粗生成物をシリカでのクロマトグラフィーによって濾過する。504mgの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:40%。NMRおよびLCMSは、方法Aによって得た化合物についてのものと同一である。
【0117】
実施例3
2−アミノ−7−(4−{[(2,5−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
3.1:2,5−ジクロロ−N−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)ベンゼンスルホンアミド
2−フルオロ−4−ヨードアニリン2.0g(8.44mmol)および2,5−ジクロロベンゼンスルホニルクロリド2.11g(8.44mmol)をピリジン(21mL)中で工程2.4(方法B)に従って調製する。
【0118】
3.20gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:85%。
【0119】
LCMS:(M−H):444(tr:7.88分、条件A)。
【0120】
3.2:2−アミノ−7−(4−{[(2,5−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
工程3.1から得た生成物1.24g(2.78mmol)および工程1.7から得たボロン酸1.24g(4.28mmol)から工程2.5(方法B)に従って調製する。
【0121】
610mgの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:39%。融点:230℃
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.55(q;2H;7Hz);7.40(t;1H;8Hz);7.75(s;2H);7.85−8.2(m;5H);8.50(d;1H;8Hz);10.85(s;1H);11.05(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0122】
LCMS:MH:564(tr:7.32分、条件A)。
【0123】
実施例4
2−アミノ−1−エチル−N−メチル−7−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
4.1:{4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}ボロン酸
4−アミノベンゼンボロン酸塩酸塩1.0g(5.77mmol)を含むNaHCO飽和水溶液(10mL)懸濁液を氷で冷却し、2mL(25.8mmol)のメタンスルホニルクロリドを添加し、約10mLのNaHCO飽和水溶液の添加によりpHを7.2に調整し、この混合物を2時間、5℃で攪拌し続ける。1mLのメタンスルホニルクロリドおよび5mLのNaHCO飽和水溶液を添加する。媒体の温度を20℃に上昇させ、3N HClを添加してpH=2にし、その後、全体を蒸発乾固させる。20mLの水を添加する。沈殿を濾過し、最少量の水で、次にエチルエーテルで洗浄する。生成物をオーブンにおいて真空下、40℃で乾燥させる。0.45gの白色粉末を得、この粉末をさらに精製せずに使用する。
【0124】
4.2:2−アミノ−1−エチル−N−メチル−7−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
工程1.6の最後に得たクロロナフチリジン0.33g(1.16mmol)を16mLのジメトキシエタン(dimethoyethane)および8mLのエタノールに溶解し、窒素でバブリングする。前の工程の最後に得たボロン酸と、8mLのNaHCO飽和水溶液とを添加する。67mL(0.06mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を導入し、媒体を110℃で3時間加熱する。冷却後、この混合物をろ紙で濾過し、濾液を濃縮乾固させる。残留物を水に溶かし、得られた沈殿を濾過し、水で洗浄し、オーブンにおいて真空下でP2O5を用いて乾燥させ、その後、シリカでのクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/MeOH:95/5)によって精製する。450mgの生成物を粉末の形態で得る。収率:(93%)。融点:>300℃。
【0125】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);3.1(s;3H);4.6(q;2H;7Hz);7.3(d;2H;8Hz);7.9(d;1H;8Hz);8.2(d;2H;8Hz);8.50(d;1H;8Hz);10.1(s;1H);11.1(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0126】
MH:416(tr:5.05分、条件B)。
【0127】
実施例5
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(ピリジン−3−イルメチル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
5.1:N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−1−(ピリジン−3−イル)メタンスルホンアミド
不活性雰囲気下、0.493g(1.30mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸ピリジン−3−イルメタンスルホニルクロリドを、工程2.1の最後に得た化合物0.28g(1.18mmol)の無水ピリジン溶液12mLに少しずつ添加し、この反応媒体を18時間攪拌し続ける。0.1当量のスルホニルクロリドを添加し、この混合物を24時間攪拌し続ける。ピリジンを完全に蒸発させる(トルエンで2回除去)。残留物を酢酸エチルに再び溶解し、水で洗浄し、その後、NaSOで脱水し、濃縮乾固させる。得た固体をシクロヘキサンから再結晶する。330mgの白色粉末を単離する。収率:75%。融点:206℃。
【0128】
H NMR(400MHz;DMSO−d):δ(ppm):1.15(s;12H);4.5(s;2H);7.2−7.3(m;4H);7.6(d;1H;8Hz);8.35−8.45(m;2H);9.8(s;1H)。
【0129】
5.2:2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(ピリジン−3−イルメチル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程で得た化合物0.300g(0.76mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.195g(0.69mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。200mgの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:56%
【0130】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.2(t;3H;7Hz);2.7(d;3H;4.5Hz);4.5(m;4H);7.3(m;1H);7.4(t;1H;8Hz);7.7(d;1H;8Hz);7.8−8.0(m;3H);8.35(m;3H);9.95(s;1H);11.0(q;1H;4.5Hz);11.6(br s;1H)。
【0131】
5.3:2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(ピリジン−3−イルメチル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
前の工程で得た生成物0.200g(0.39mmol)のジクロロメタン(10mL)懸濁液に、エチルエーテル中の2N HCl溶液0.2mLを一滴ずつ添加する。この混合物を10分間、20℃で攪拌し続け、沈殿を濾過し、エチルエーテルで洗浄し、オーブンにおいて真空下で乾燥させる。202mgの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:94%。融点:220−223℃。
【0132】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.8(s;3H);4.6(m;2H);4.8(s;2H);7.55(t;1H;8Hz);7.65(t;1H;8Hz);7.9−8.2(m;4H);8.5(d;1H;8Hz);8.7(m;2H);10.1(s;1H);11.1(s;1H);11.7(br s;1H)。
【0133】
LCMS:MH:511(tr:5,68分;条件A)。
【0134】
実施例6
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(3−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
6.1:3−フルオロ−N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]ベンゼンスルホンアミド
この生成物は、工程2.1から得た化合物0.5g(2.11mmol)、および3−フルオロベンゼンスルホニルクロリド0.635g(3.16mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.524gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:63%
【0135】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.25(s;12H);7.3−7.5(m;3H);7.6−7.9(m;4H);10.55(s;1H)。
【0136】
6.2:2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(3−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.496g(1.25mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.320g(1.14mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.287gの生成物をベージュ色粉末の形態で得る。収率:49%。融点:256℃
【0137】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.55(q;2H;7Hz);7.4(t;1H;8Hz);7.5−7.7(m;4H);7.9−8.1(m;4H);8.5(d;1H;8Hz);10.6(s;1H);11.1(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0138】
LCMS:MH:514(tr:7.38分;条件B)。
【0139】
実施例7
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(3−メトキシフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
7.1:N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−3−メトキシベンゼンスルホンアミド
この生成物は、工程2.1から得た化合物0.5g(2.11mmol)、および3−メトキシベンゼンスルホニルクロリド0.674g(3.16mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.454gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:53%
【0140】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.25(s;12H);3.8(s;3H);7.2(d;1H;8Hz);7.25−7.4(m;5H);7.6(t;1H;8Hz);10.4(s;1H)。
【0141】
7.2:2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(3−メトキシフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.447g(1.1mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.280g(1.0mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.19gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:36%。融点:>260℃
【0142】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.25(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.55(q;2H;7Hz);7.2(d;1H;8Hz);7.3−7.5(m;4H);7.8−8.0(m;4H);8.5(d;1H;8Hz);10.4(s;1H);11.1(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0143】
LCMS:MH:526(tr:7.56分;条件B)。
【0144】
実施例8
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(4−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
8.1:4−フルオロ−N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
この生成物は、工程2.1から得た化合物0.6g(2.53mmol)、および4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド0.739g(3.80mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.736gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:53%
【0145】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.1(s;12H);7.0−7.25(m;5H);7.65(m;2H);10.25(s;1H)。
【0146】
8.2:2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(4−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.542g(1.37mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.350g(1.25mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.186gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:29%。融点:>260℃
【0147】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.55(q;2H;7Hz);7.3−7.45(m;3H);7.8−8.1(m;6H);8.5(d;1H;8Hz);10.45(s;1H);11.1(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0148】
LCMS:MH+:514(tr:7.47分;条件B)。
【0149】
実施例9
2−アミノ−7−(4−{[(3−クロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
9.1:3−クロロ−N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
この生成物は、工程2.1から得た化合物0.5g(2.11mmol)、および3−クロロベンゼンスルホニルクロリド0.579g(2.74mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.408gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:47%
【0150】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(s;12H);7.3−7.5(m;3H);7.6−7.9(m;4H);10.6(s;1H)。
【0151】
9.2:2−アミノ−7−(4−{[(3−クロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.408g(0.99mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.253g(0.90mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.402gの生成物を黄色粉末の形態で得る。収率:84%。融点:>260℃
【0152】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.55(q;2H;7Hz);7.2(t;1H;8Hz);7.3−7.4(m;2H);7.55−8.0(m;6H);8.35(d;1H;8Hz);10.45(s;1H);11.1(q;1H;4.5Hz);11.6(br s;1H)。
【0153】
LCMS:MH+:530(tr:7.69分;条件B)。
【0154】
実施例10
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(2−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
10.1:2−フルオロ−N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
この生成物は、工程2.1から得た化合物0.5g(2.11mmol)、および2−フルオロベンゼンスルホニルクロリド0.451g(2.32mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.528gの生成物を桃色がかった粉末の形態で得る。収率:63%
【0155】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.2(s;12H);7.25−7.5(m;5H);7.7−7.8(m;2H);11.65(s;1H)。
【0156】
10.2:2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(2−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.528g(1.34mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.341g(1.21mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.097gの生成物を淡黄色粉末の形態で得る。収率:16%。融点:>260℃
【0157】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.25(t;3H;7Hz);2.8(s;3H);4.5(q;2H;7Hz);7.2−7.45(m;3H);7.7−8.0(m;6H);8.5(d;1H;8Hz);10.65(s;1H);11.1(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0158】
LCMS:MH+:514(tr:7.25分;条件B)。
【0159】
実施例11
2−アミノ−7−(4−{[(2,6−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
11.1:2,6−ジクロロ−N−(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)ベンゼンスルホンアミド
この生成物は、2.8g(11.81mmol)の2−フルオロ−4−ヨードアニリンおよび2.99g(11.81mmol)の2,6−ジクロロベンゼンスルホニルクロリドから段落2.4(方法B)において説明したプロトコルに従って調製した。4.43gの生成物を黄色粉末の形態で得る。収率:84%。
【0160】
LCMS:MH+:446(tr:7.75分、条件A)。
【0161】
11.2:2−アミノ−7−(4−{[(2,6−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物2.0g(4.48mmol)および工程1.7から得たボロン酸2.0g(6.89mmol)から、段落2.5(方法B)において説明したプロトコルに従って調製した。0.700gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:28%。融点:321℃。
【0162】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.55(q;2H;7Hz);7.35(t;1H;8Hz);7.45−7.7(m;3H);7.8−8.2(m;4H);8.5(d;1H;8Hz);10.9(s;1H);11.1(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0163】
LCMS:MH+:564(tr:14.33分;条件A)。
【0164】
実施例12
2−アミノ−7−(2−クロロ−4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
12.1:3−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン
この生成物は、3.0g(11.84mmol)の3−クロロ−4−ヨードアニリンおよび3.31g(13.0mmol)のビス(ピナコラト)ジボロンから、段落2.1(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。1.51gの生成物を白色固体の形態で単離する。収率:50%
【0165】
H NMR(400MHz;CDCl):δ(ppm):1.4(s;12H);3.95(br s;2H);6.55(d;1H;8Hz);6.7(s;1H);7.6(d;1H;8Hz)。
【0166】
12.2:2,3−ジクロロ−N−[3−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.6g(2.37mmol)、および2,3−ジクロロベンゼンスルホニルクロリド0.593g(2.37mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.944gの生成物を薄ベージュ色粉末の形態で得る。収率:86%。
【0167】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.2(s;12H);7.0(d;1H;8Hz);7.1(s;1H);7.5(d;1H;8Hz);7.6(t;1H;8Hz);7.95(d;1H;8Hz);8.10(d;1H;8Hz);11.25(s;1H)。
【0168】
12.3:2−アミノ−7−(2−クロロ−4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.943g(2.04mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.515g(1.84mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.630gの生成物をベージュ色粉末の形態で得る。収率:53%。融点:239℃。
【0169】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.2(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.5(q;2H;7Hz);7.1−7.3(m;2H);7.5−7.8(m;4H);8.0(s;1H);8.1(d;1H;2Hz);8.5(d;1H;8Hz);11.05(q;1H;4.5Hz);11.3(s;1H)11.7(br s;1H)。
【0170】
LCMS:MH+:580(tr:7.74分;条件A)。
【0171】
実施例13
2−アミノ−7−(4−{[(4−クロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
13.1:4−クロロ−N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
この生成物は、工程2.1から得た化合物0.5g(2.11mmol)、および4−クロロベンゼンスルホニルクロリド0.468g(2.15mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.645gの生成物を桃色粉末の形態で得る。収率:75%。融点:196℃。
【0172】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(s;12H);7.35−7.45(m;2H);7.50(d;1H;8Hz);7.7(d;2H;8Hz);7.8(d;2H;8Hz);10.55(s;1H)。
【0173】
13.2:2−アミノ−7−(4−{[(4−クロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.613g(1.49mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.380g(1.35mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.470gの生成物を黄色粉末の形態で得る。収率:57%。融点:>260℃。
【0174】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.55(q;2H;7Hz);7.4(t;1H;8Hz);7.7(d;2H;8Hz);7.8(d;2H;8Hz);7.8−8.1(m;4H);8.5(d;1H;8Hz);10.55(s;1H);11.1(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0175】
LCMS:MH+:530(tr:7.91分;条件A)。
【0176】
実施例14
2−アミノ−7−(4−{[(3,4−ジフルオロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
14.1:3,4−ジフルオロ−N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
この生成物は、工程2.1において得た化合物0.4g(1.69mmol)、および3,4−ジフルオロベンゼンスルホニルクロリド0.518g(2.36mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.437gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:63%。融点:114℃。
【0177】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.2(s;12H);7.2(m;2H);7.3(d;1H;8Hz);7.5−7.65(m;2H);7.7(t;1H;8Hz);10.4(s;1H)。
【0178】
14.2:2−アミノ−7−(4−{[(3,4−ジフルオロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.400g(0.97mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.259g(0.92mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.228gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:46%。融点:>260℃。
【0179】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.8(s;3H);4.55(q;2H;7Hz);7.4(t;1H;8Hz);7.5−7.7(m;2H);7.8−8.1(m;5H);8.5(d;1H;8Hz);10.6(s;1H);11.05(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0180】
LCMS:MH+:532(tr:7.55分;条件A)。
【0181】
実施例15
2−アミノ−1−エチル−7−[3−フルオロ−4−({[6−(モルホリン−4−イル)ピリジン−3−イル]スルホニル}アミノ)フェニル]−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
15.1:N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−6−(モルホリン−4−イル)ピリジン−3−スルホンアミド
この生成物は、工程2.1において得た化合物0.5g(2.11mmol)、および6−(モルホリン−4−イル)ピリジン−3−スルホニルクロリド0.743g(2.74mmol)から、段落5.1において説明したプロトコルに従って調製した。0.641gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:70%。融点:206℃
【0182】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.2(s;12H);3.45(s;4H);3.55(s;4H);6.8(m;1H);7.2(m;1H);7.3(m;2H);7.65(m;1H);8.25(m;1H);10.1(s;1H)。
【0183】
15.2:2−アミノ−1−エチル−7−[3−フルオロ−4−({[6−(モルホリン−4−イル)ピリジン−3−イル]スルホニル}アミノ)フェニル]−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.599g(1.29mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.330g(1.18mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.360gの生成物を黄色粉末の形態で得る。収率:53%。融点:260℃。
【0184】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.25(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);3.5−3.75(m;8H);4.55(q;2H;7Hz);6.90(d;1H;8Hz);7.5(t;1H;8Hz);7.6(br s;1H);7.8(dd;1H;8Hzand 2Hz);7.9−8.1(m;3H);8.4(d;1H;2Hz);8.5(d;1H;8Hz);10.3(s;1H);11.05(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0185】
15.3:2−アミノ−1−エチル−7−[3−フルオロ−4−({[6−(モルホリン−4−イル)ピリジン−3−イル]スルホニル}アミノ)フェニル]−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
前の反応から得た生成物(0.2g−0.34mmol)を、エーテル中の2N HClの溶液0.17mLを使用して、段落5.3において用いたプロトコルに従って塩化する。0.203gの生成物を黄色粉末の形態で単離する。収率:95%;融点:>260℃。
【0186】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.25(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);3.5−3.8(m;8H);4.55(q;2H;7Hz);6.90(d;1H;8Hz);7.5(t;1H;8Hz);7.8(dd;1H;8Hz and 2Hz);7.85−8.1(m;4H);8.4(d;1H;2Hz);8.5(d;1H;8Hz);10.3(s;1H);11.1(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0187】
LCMS:MH+:582(tr:7.07分;条件B)。
【0188】
実施例16
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(ピリジン−2−イルメチル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
16.1:N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−1−(ピリジン−2−イル)メタンスルホンアミド
この生成物は、工程2.1から得た化合物0.28g(1.18mmol)、およびピリジン−2−イルメタンスルホニルクロリド0.493g(1.30mmol)から、段落5.1において説明したプロトコルに従って調製した。0.441gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:95%。融点:152℃
【0189】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(s;12H);4.7(s;2H);7.35−7.45(m;4H);7.5(d;1H;8Hz);7.8(t;1H;8Hz);8.55(d;1H;2Hz);9.95(s;1H)。
【0190】
16.2:2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(ピリジン−2−イルメチル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.400g(1.02mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.260g(0.93mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.204gの生成物を黄色粉末の形態で得る。収率:43%。
【0191】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.6(q;2H;7Hz);4.7(s;2H);7.35(m;1H);7.5(d;1H;8Hz);7.6(t;1H;8Hz);7.8(t;1H;8Hz);7.95−8.1(m;4H);8.55(m;2H);9.95(s;1H);11.1(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0192】
16.3:2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(ピリジン−2−イルメチル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
前の反応から得た生成物(0.204g−0.4mmol)を、エーテル中の2N HClの溶液0.2mLを使用して、段落5.3において用いたプロトコルに従って塩化する。0.202gの生成物を黄色粉末の形態で単離する。収率:92%;融点:260℃。
【0193】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.6(m;2H);4.75(s;2H);7.4(m;1H);7.55(t;1H;8Hz);7.85(t;1H;8Hz);7.9−8.1(m;5H);8.55(m;2H);10.0(s;1H);11.1(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0194】
LCMS:MH+:511(tr:6.33分;条件A)。
【0195】
実施例17
2−アミノ−7−{4−[(エテニルスルホニル)アミノ]−3−フルオロフェニル}−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
17.1:N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エテンスルホンアミド
この生成物は、工程2.1から得た化合物0.5g(2.11mmol)、および2−クロロエタンスルホニルクロリド0.425g(2.53mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.390gの生成物を桃色がかった油の形態で得る。収率:56%。
【0196】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.4(s;12H);6.2(m;2H);7.0(m;1H);7.5−7.7(m;3H);10.2(s;1H)。
【0197】
17.2:2−アミノ−7−{4−[(エテニルスルホニル)アミノ]−3−フルオロフェニル}−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.390g(1.2mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.280g(1.0mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.095gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:21%。融点:>260℃。
【0198】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.6(q;2H;7Hz);6.05(d;1H;12Hz);6.1(d;1H;16Hz);6.85(dd;1H;12 and 16Hz);7.5(t;1H;8Hz);7.8−8.2(m;5H);8.5(d;1H;8Hz);10.1(s;1H);11.0(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0199】
LCMS:MH+:446(tr:6.75分;条件A)。
【0200】
実施例18
2−アミノ−7−[4−({[2−(ジメチルアミノ)エチル]スルホニル}アミノ)−3−フルオロフェニル]−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
18.1:2−(ジメチルアミノ)−N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]エタンスルホンアミド
工程17.1から得た0.23g(0.7mmol)の生成物のトルエン溶液7mLに、THF中の2Nジメチルアミン溶液0.35mLを一滴ずつ添加し、攪拌を3時間、20℃で維持する。反応媒体を蒸発乾固させ、残留物を20mLの酢酸エチルに溶かし、20mLの水で洗浄して、NaSOで脱水し、濃縮乾固させる。0.261gの生成物を白色蝋の形態で単離する。収率:100%。
【0201】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(s;12H);2.25(s;6H);2.8(m;2H);3.35(m;2H);7.4(d;1H;8Hz);7.5(m;2H)。
【0202】
LCMS:MH+:373(tr:5.29分;条件A)
【0203】
18.2:2−アミノ−7−[4−({[2−(ジメチルアミノ)エチル]スルホニル}アミノ)−3−フルオロフェニル]−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.261g(0.70mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.179g(0.64mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.200gの生成物を黄色粉末の形態で得る。収率:64%
【0204】
LCMS:MH+:491(tr:5.22分;条件A)。
【0205】
18.3:2−アミノ−7−[4−({[2−(ジメチルアミノ)エチル]スルホニル}アミノ)−3−フルオロフェニル]−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
前の反応から得た生成物(0.200g−0.41mmol)を、エーテル中の2N HClの溶液0.2mLを使用して、段落5.3において用いたプロトコルに従って塩化する。0.055gの生成物を黄色粉末の形態で単離する。収率:25%;融点:268−270℃。
【0206】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.25(s;6H);2.8(m;5H);3.3(m;2H);4.6(m;2H);7.55(t;1H;8Hz);7.8−8.1(m;4H);8.5(d;1H;8Hz);11.05(m;1H);11.7(br s;1H)。
【0207】
LCMS:MH+:491(tr:4.99分;条件A)。
【0208】
実施例19
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
19.1:N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−1−メチル−1H−イミダゾール−4−スルホンアミド
この生成物は、工程2.1から得た化合物0.5g(2.11mmol)、および1−メチル−1H−イミダゾール−4−スルホニルクロリド0.481g(2.53mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.574gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:71%。融点:230℃。
【0209】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.1(s;12H);3.4(s;3H);7.05(s;1H);7.1(s;1H);7.1(s;1H);7.55(m;2H);9.9(s;1H)。
【0210】
19.2:2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.574g(1.50mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.384g(1.37mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.202gの生成物を黄色粉末の形態で得る。収率:30%。
【0211】
LCMS:MH+:500(tr:6.01分;条件A)。
【0212】
19.3:2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
前の反応から得た生成物(0.200g−0.40mmol)を、エーテル中の2N HClの溶液0.2mLを使用して、段落5.3において用いたプロトコルに従って塩化する。0.178gの生成物を白色粉末の形態で単離する。収率:82%;融点:>300℃。
【0213】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.35(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);3.7(s;3H);4.6(m;2H);7.65(t;1H;8Hz);7.8(s;1H);7.85(s;1H);7.9−8.1(m;4H);8.5(d;1H;8Hz);10.25(s;1H);11.1(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0214】
LCMS:MH+:500(tr:6.06分;条件A)。
【0215】
実施例20
2−アミノ−7−{4−[(ブチルスルホニル)アミノ]−3−フルオロフェニル}−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
20.1:N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ブタン−1−スルホンアミド
この生成物は、工程2.1から得た化合物0.400g(1.69mmol)、およびブタン−1−スルホニルクロリド0.31g(2.36mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.652gの生成物をオレンジ色の油の形態で得る。収率:100%。
【0216】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):0.8(t;3H;7Hz);1.3(s;12H);1.4(m;2H);1.7(m;2H);3.15(m;2H);7.4(d;1H;8Hz);7.5(s;2H);9.8(s;1H)。
【0217】
20.2:2−アミノ−7−{4−[(ブチルスルホニル)アミノ]−3−フルオロフェニル}−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.636g(1.34mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.326g(1.16mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.200gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:36%。融点:165−167℃。
【0218】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):0.9(t;3H;7Hz);1.2−1.4(m;5H);1.75(m;2H);2.8(d;3H;4.5Hz);3.2(m;2H);4.6(m;2H);7.65(t;1H;8Hz);7.8−8.2(m;4H);8.5(d;1H;8Hz);9.9(s;1H);11.0(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0219】
LCMS:MH+:476(tr:7.43分;条件A)。
【0220】
実施例21
2−アミノ−7−(4−{[(3−アミノベンジル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
21.1:N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−1−(3−ニトロフェニル)メタンスルホンアミド
この生成物は、工程2.1から得た化合物0.400g(1.69mmol)、および(3−ニトロフェニル)スルホニルクロリド0.502g(2.02mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.584gの生成物をベージュ色粉末の形態で得る。収率:80%。融点:178℃。
【0221】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(s;12H);4.8(s;2H);7.3−7.45(m;3H);7.65(m;1H);7.8(m;1H);8.2(m;2H);10.0(s;1H)。
【0222】
21.2:1−(3−アミノフェニル)−N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]メタンスルホンアミド
前の工程において得た生成物0.58g(1.33mmol)を6mLの酢酸エチルに溶解し、1.38g(6.65mmol)の塩化スズ(II)二水和物を20℃で添加する。反応媒体を15時間、攪拌し続け、0.276gの塩化錫(II)二水和物を添加する。反応媒体を80℃で3時間加熱し、15時間、20℃で放置する。この溶液をNaHCO水溶液(34mLの水中、4.18g)の上にゆっくりと注ぎ、不溶物を濾過する。濾液を3×100mLの酢酸エチルで抽出し、水で洗浄して、NaSOで脱水し、蒸発乾固させる。0.42gの生成物を白色蝋の形態で得る。収率:78%。
【0223】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(s;12H);4.35(s;2H);5.15(s;2H);6.5(m;1H);6.6(m;2H);7.0(m;1H);7.4(m;3H);9.9(s;1H)。
【0224】
21.3:2−アミノ−7−(4−{[(3−アミノベンジル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.414g(1.02mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.260g(0.93mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.160gの生成物を黄色粉末の形態で得る。収率:33%。
【0225】
LCMS:MH+:525(tr:6.11分;条件A)。
【0226】
21.4:2−アミノ−7−(4−{[(3−アミノベンジル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド塩酸塩
前の反応から得た生成物(0.160g−0.31mmol)を、エーテル中の2N HClの溶液0.15mLを使用して、段落5.3において用いたプロトコルに従って塩化する。0.100gの生成物をベージュ色粉末の形態で単離する。収率:58%;融点:>260℃。
【0227】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.4(s;2H);4.6(m;2H);6.6−6.8(m;3H);7.05(t;1H;8Hz);7.5(t;1H;8Hz);7.9−8.1(m;4H);8.5(d;1H;8Hz);9.9(s;1H);11.1(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0228】
LCMS:MH+:525(tr:6.02分;条件A)。
【0229】
実施例22
2−アミノ−7−(4−{[(2−クロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
22.1:2−クロロ−N−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
この生成物は、0.660g(3.01mmol)の4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリンおよび0.635g(3.01mmol)の2−クロロベンゼンスルホニルクロリドから、段落1.8−Aにおいて説明したプロトコルに従って調製した。1.13gの生成物を暗赤色粉末の形態で得る。収率:96%。融点:198℃。
【0230】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm);1.25(s;12H);7.2(d;2H;8Hz);7.4(m;1H);7.5(m;2H);7.6(d;1H;8Hz);8.1(d;1H;8Hz)。
【0231】
22.2:2−アミノ−7−(4−{[(2−クロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.413g(1.05mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.280g(1.0mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.180gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:35%。融点:>260℃。
【0232】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.85(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.55(m;2H);7.2(d;2H;8Hz);7.4−7.7(m;3H);7.8(d;1H;8Hz);7.8−8.2(m;3H);7.9(s;1H);8.45(d;1H;8Hz);10.9(s;1H);11.05(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0233】
LCMS:MH+:512(tr:6.12分;条件B)。
【0234】
実施例23
2−アミノ−7−(3−クロロ−4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
23.1:2−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン
この生成物は、5.0g(24.22mmol)の4−ブロモ−2−クロロアニリンおよび6.76g(26.64mmol)のビス(ピナコラト)ジボロンから、段落2.1(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。3.14gの生成物を褐色油の形態で得、さらに精製せずに次の工程で使用する。
【0235】
23.2:2,3−ジクロロ−N−[2−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
この生成物は、前の工程から得た化合物1.5g(5.92mmol)、および2,3−ジクロロベンゼンスルホニルクロリド2.18g(8.87mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。1.57gの生成物をベージュ色粉末の形態で得る。収率:57%。融点:156℃。
【0236】
23.3:(3−クロロ−4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)ボロン酸
前の工程から得た生成物0.3g(6.09mmol)を100mLの無水ジクロロメタンに溶解し、この溶液を−78℃に冷却する。ジクロロメタン中の1M三塩化ホウ素溶液20.0mLを一滴ずつ添加し、反応媒体を−78℃で3時間保持し、その後、15時間、20℃で保持する。0℃で、11mLのメタノールを添加し、その後、反応媒体を蒸発乾固させる。残留物を20mLのジクロロメタンに溶かし、0.5N水酸化ナトリウム溶液で抽出して、1N HClの添加により水性相をpH=1に酸性化する。形成された沈殿を濾過し、少量の水で洗浄し、オーブンにおいて真空下でPを用いて乾燥させる。1.03gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:42%。融点:90℃。
【0237】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):7.4(d;1H;8Hz);7.55(t;1H;8Hz);7.8(d;1H;8Hz);7.95(s;1H);8.0(d;1H;8Hz);8.1(d;1H;8Hz);8.3(s;2H);10.6(s;1H)。
【0238】
23.4:2−アミノ−7−(3−クロロ−4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物1.02g(2.68mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.565g(2.24mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.698gの生成物を薄黄色粉末の形態で得る。収率:54%。融点:311℃。
【0239】
H NMR(400MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.3(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.55(q;2H;7Hz);7.45(d;1H;8Hz);7.55(t;1H;8Hz);7.9(d;1H;8Hz);7.95(m;2H);8.0(s;1H);8.15(d;1H;8Hz);8.25(s;1H);8.5(d;1H;8Hz);10.65(s;1H);11.05(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0240】
LCMS:MH+:582(tr:8.58分;条件A)。
【0241】
実施例24
2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−2−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
24.1:3−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン
この生成物は、5.0g(26.3mmol)の4−ブロモ−3−フルオロアニリンおよび7.34g(28.9mmol)のビス(ピナコラト)ジボロンから、段落2.1(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。2.45gの生成物を褐色油の形態で得、この油をさらに精製せずに次の工程で使用する。
【0242】
24.2:2,3−ジクロロ−N−[2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
この生成物は、前の工程から得た化合物2.5g(15.4mmol)、および2,3−ジクロロベンゼンスルホニルクロリド3.88g(15.8mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。2.67gの生成物をベージュ色粉末の形態で得る。収率:57%。
【0243】
H NMR(400MHz;CDCl3):δ(ppm):1.2(s;12H);6.75(d;1H;7Hz);6.8(d;1H;12Hz);7.1(s;1H);7.25(t;1H;7Hz);7.5(t;1H;7Hz);7.55(d;1H;7Hz);7.9(d;1H;7Hz)。
【0244】
24.3:2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−2−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物2.6g(5.82mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン1.36g(4.84mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。1.89gの生成物を薄黄色粉末の形態で得る。収率:69%。融点:340℃。
【0245】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.2(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.5(q;2H;7Hz);7.05(d;1H;12Hz);7.1(d;1H;7Hz);7.6(d;1H;7Hz);7.65(d;1H;7Hz);7.8−8.2(m;4H);8.15(d;1H;7Hz);8.45(d;1H;7Hz);11.0(q;1H;4.5Hz);11.4(s;1H);11.7(br s;1H)。
【0246】
LCMS:MH+:564(tr:8.18分;条件A)。
【0247】
実施例25
2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−メチルフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
25.1:2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン
この生成物は、5.0g(26.8mmol)の4−ブロモ−2−メチルアニリンおよび7.5g(29.5mmol)のビス(ピナコラト)ジボロンから、段落2.1(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.992gの生成物をで得、この生成物をさらに精製せずに次の工程で使用する。
【0248】
H NMR(400MHz;CDCl3):δ(ppm);1.4(s;12H);2.25(s;3H);3.9(s;2H);6.7(d;1H;7Hz);7.55(m;2H)。
【0249】
25.2:2,3−ジクロロ−N−[2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
この生成物は、前の工程から得た化合物1.35g(5.79mmol)、および2,3−ジクロロベンゼンスルホニルクロリド2.13g(8.67mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。2.1gの生成物をベージュ色粉末の形態で得る。収率:82%。
【0250】
H NMR(400MHz;CDCl3):δ(ppm):1.2(s;12H);3.15(s;3H);6.8(s;1H);7.1(d;1H;7Hz);7.15(t;1H;7Hz);7.35(d;1H;7Hz);7.45(s;1H);7.50(d;1H;7Hz);7.9(d;1H;7Hz)。
【0251】
25.3:2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−メチルフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.700g(1.58mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.370g(1.32mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.224gの生成物を粉末の形態で得る。収率:30%。融点:299℃。
【0252】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.25(t;3H;7Hz);2.25(s;3H);2.8(d;3H;4.5Hz);4.55(q;2H;7Hz);7.1(d;1H;8Hz);7.5(t;1H;8Hz);7.7−8.1(m;6H);8.5(d;1H;8Hz);10.2(s;1H);11.05(q;1H;4.5Hz);11.7(br s;1H)。
【0253】
LCMS:MH+:560(tr:8.36分;条件A)。
【0254】
実施例26
2−アミノ−7−(2−クロロ−4−{[(2,5−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
26.1:2,5−ジクロロ−N−[3−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
この生成物は、工程12.1から得た化合物0.500g(1.97mmol)、および2,5−ジクロロベンゼンスルホニルクロリド0.484g(1.97mmol)から、段落2.2(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.704gの生成物をベージュ色粉末の形態で得る。収率:77%。
【0255】
H NMR(400MHz;CDCl3):δ(ppm):1.25(s;12H);7.0−7.15(m;2H);7.50(d;1H;8Hz);7.65(d;1H;8Hz);7.80(d;1H;8Hz);8.1(s;1H);11.2(s;1H)。
【0256】
26.2:2−アミノ−7−(2−クロロ−4−{[(2,5−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド
この生成物は、前の工程から得た化合物0.703g(1.52mmol)および工程1.6から得たクロロナフチリジン0.388g(1.38mmol)から、段落2.3(方法A)において説明したプロトコルに従って調製した。0.224gの生成物を白色粉末の形態で得る。収率:28%。融点:323℃。
【0257】
H NMR(200MHZ,DMSO−d):δ(ppm):1.2(t;3H;7Hz);2.8(d;3H;4.5Hz);4.5(q;2H;7Hz);7.1−7.3(m;2H);7.5−7.8(m;4H);8.0(s;1H);8.1(s;1H);8.5(d;1H;8Hz);11.0(q;1H;4.5Hz);11.3(s;1H);11.7(br s;1H)。
【0258】
LCMS:MH+:580(tr:5.15分;条件A)。
【0259】
次の表1は、R1およびR2がメチル(Meと略記する。)を表し、n’が1を表し、R3が水素原子を表し、およびArがフェニルを表す、本発明による式(I)の化合物を例証するものであり、これらの化合物を下では式(I’)の化合物と呼ぶ。
【0260】
この表中
縦列「形態」において、「−」は、該当化合物が遊離塩基の形態であることを意味し、これに対して「HCl」は、該当化合物が塩酸塩の形態であることを意味する。
【0261】
記号
【0262】
【化10】

は、データが入手不能であることを意味する。
【0263】
【表1】



【0264】
本発明による化合物は、プロテインキナーゼに対する本化合物の阻害効果を判定することを可能にする薬理試験の対象であった。
【0265】
例として、p70S6セリン/トレオニンキナーゼおよび/またはPDGF−Rチロシンキナーゼ活性に対する本化合物の阻害効果をインビトロでの生化学試験において測定した。
【0266】
PDGF受容体キナーゼに対する阻害活性を、Baf3 tel/PDGF細胞の増殖活性の50%をそれぞれ阻害する濃度によって提示する。p70S6キナーゼに対する阻害活性を、S6リボソームタンパク質から誘導されたペプチド基質(AKRRRLSSLRA、Upstate)のリン酸化の50%を阻害する濃度によって提示する。
【0267】
PDGFベータ受容体(PDGF−Rβ)チロシンキナーゼ活性(Baf−3 tel/PGDFRβ)の阻害の測定
この試験は、PDGFベータ受容体チロシンキナーゼ活性に対する化合物の効果を評価することに存する。
【0268】
PDGF−R受容体チロシンキナーゼ活性に対する本発明による化合物の阻害効果を、融合タンパク質Tel/PDGF−Rベータをコードするプラスミドでトランスフェクトしたマウス造血細胞系統BaF/3を用いて評価した。この融合タンパク質は、慢性骨髄単球性骨髄性白血病(CMML)の際に見つけられ、転写因子TelのN末端部分とPDGF−Rベータ受容体の膜貫通および細胞内部分とを含む。この融合タンパク質は、二量体化形態で存在し(TelのN末端部分におけるオリゴマー化ドメインの存在)、従って、PDGF−Rベータキナーゼドメインの構成的活性をもたらす。このBaF3 Tel/PDGF系統は、文献に幾度も記載されており、特に、CARROLL,M.らによる論文(PNAS,1996,93,14845−14850;Blood 2002,99,14845−14850)に詳細に記載されている。
【0269】
BaF3 Tel/PDGF細胞をリン酸緩衝液で洗浄し、試験すべき化合物の存在または不在下、96ウエルプレートにおいて、10%FCSを含有するRPMI 1640中、5×10細胞/mL(1ウエルにつき100mL)の密度でインキュベートした。72時間のインキュベーション後、キットCellTiter−Glo(登録商標)(Promega、Cat G7571)を使用して細胞のATPを測定することにより生細胞を定量する。キットの供給業者によって与えられた説示に従って細胞を試験し、Luminoskan(Ascent、Labsystem)を利用して次のパラメータで発光を測定する:測定:1回;積分時間:1000ミリ秒、遅れ時間:5秒。
【0270】
このようにして、本発明による化合物がPDGF−Rベータチロシンキナーゼ活性に対して阻害活性を有することがわかる。この活性を、Baf3 tel/PDGF細胞の増殖の50%を阻害する濃度(IC50)によって提示する。本発明による化合物のIC50値は、10.0μM未満である。
【0271】
例えば、化合物2、18、20および24は、PDGF受容体チロシンキナーゼの阻害活性を測定するための試験において、それぞれ、36、12、280および24nMのIC50を示す。
【0272】
p70S6キナーゼ活性の阻害の測定
活性突然変異体組換えS6K1(1−421、T412E)(ref.14−333、バージニア州シャーロッツヴィルのUpstate USA,Inc.)(比活性298U/mg)を、S6リポソームタンパク質から得られたペプチド基質(AKRRRLSSLRA、Upstate)(最終50μM)の存在下、ならびに冷ATP混合物(100μM)および1μCi/ウエルの[γ−33]ATP(フランス、クルタブフのNEN)の存在下、DMSO中1mMで可溶化した8つの濃度の阻害剤と共にインキュベートする(20mU/10μL)。100μLの1M Tris緩衝液(pH7.4)に前もって浸漬しておいた96ウエルフィルタープレート(Phospho−Celluloseを備えたMultiScreen TM−PH半透明プレート、cat # MAPHNOB、Millipore)において、下記の順序でS6キナーゼアッセイキットの試薬(#17−136、Upstate)を添加することにより、50μLの最終容量で酵素反応を行う:
5%DMSOまたは5倍濃度の様々な阻害剤の10μL
ADBI緩衝液(#20−108 Upstate;20mMのMOPS(pH7.2)、25mMのベータ−グリセロールホスフェート、5mMのEGTA、1mMのオルトバナジン酸ナトリウム、1mMのジチオトレイトールから成る。)、S6K1(20mU)と、ADIB緩衝液中250μMのペプチド基質[AKRRRLSSLRA](#20−122、Upstate)とを含有する反応混合物 30μL。10μLの冷ATP/33γATP混合物(1μCi/50μL、例えば、ADBI緩衝液、75mM MgCl中、500μMのATP)を添加して20分間30℃でインキュベートすることにより反応を開始させ、その後、20μLの7.5%リン酸を添加することにより停止させる。反応混合物を真空下での吸引(真空マニホールド(Vacuum manifold)、Millipore)によって濾過し、ウエルを200μLの7.5%リン酸で2回すすぎ(2分)、その後、200μLの蒸留HOで2回すすぐ(2分)。プレートを乾燥させたと、25μL/ウエルのシンチラント(Optiphase Supre Mix、Wallac)を添加し、Micro−Betaシンチレーションリーダー(Wallac)で放射活性を検出する。陰性対照(ペプチド基質のなしの全試薬)を調製して、33γATPのホスホセルロースフィルターへの非特異的結合を判定し、非特異的結合を実験結果から引く。
【0273】
このようにして、本発明の化合物がp70S6キナーゼ活性に対して阻害活性を有することがわかる。この活性を、S6リボソームタンパク質から誘導されたペプチド基質(AKRRRLSSLRA、Upstate)のリン酸化の50%を阻害する濃度によって提示する。本発明による化合物のIC50値は、10.0μM未満である。
【0274】
例えば、化合物8、9、14および18は、p70S6の阻害活性を測定するための試験において、それぞれ412、240、224および132nMのIC50を示した。
【0275】
従って、本発明の化合物は、プロテインキナーゼ、特にPDGFチロシンキナーゼ受容体の阻害剤であり、これらの化合物の一部はp70S6キナーゼの阻害剤でもある。
【0276】
従って、本発明の化合物は、プロテインキナーゼの活性に関連づけられる疾患の治療および/または予防のための薬物、特にプロテインキナーゼを阻害する薬物の調製に使用することができる。
【0277】
これらは、プロテインキナーゼ阻害薬、特にPDGF−R受容体チロシンキナーゼおよび場合によりp70S6キナーゼを阻害する薬物である。
【0278】
このように、本発明のもう1つの態様によると、本発明の主題は、式(I)の化合物、または化合物と医薬として許容される酸との付加塩、またはその代わりに式(I)の化合物の溶媒和物を含む薬物である。
【0279】
これらの薬物は、療法において、特に、プロテインキナーゼの活性に関連づけられる疾患、および特に、増殖性疾患、例えば、癌、例えば肺癌(NSCLC)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、カポジ症候群、眼内黒色腫、乳癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膣癌、外陰癌、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、ファロピウス管癌腫、癌、例えばGISTおよび肛門部の癌、直腸癌、小腸癌、結腸癌、胃癌、食道癌、内分泌、甲状腺、副甲状腺または副腎の癌、軟部組織肉腫、ユーイング肉腫、骨肉腫、皮膚線維肉腫および他の線維肉腫、膀胱癌または腎臓癌、中枢神経系の新生物、脊柱および類腱腫、脳幹神経膠腫および神経膠芽腫、下垂体腺腫およびこの転移、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、ホジキン病および骨髄増殖性症候群および骨髄異形成症候群治療および/または予防において使用される。
【0280】
本発明のもう1つの態様は、本発明による少なくとも1つの化合物と少なくとも1つの化学療法薬との併用を含む。
【0281】
実際、本発明の化合物を単独で使用することができ、または細胞傷害剤および/もしくは抗血管新生薬から選択することができる少なくとも1つの化学療法薬との混合物として使用することができる。例えば、抗血管新生薬は、VEGF−Rキナーゼ活性を阻害する化合物、または成長因子のアンタゴニストである化合物であり得る。
【0282】
本発明による化合物と放射線治療を併用することも可能である。
【0283】
本発明の化合物と上述の化学療法薬および/または放射線との併用は、本発明のもう1つの主題である。
【0284】
上述の化学療法薬および/または放射線を同時に、別々にまたは逐次的に施与することができる。治療すべき患者に従って医師がこの治療を適応させる。
【0285】
これらの薬物は、非悪性増殖性疾患、例えば、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、血栓症、心不全、心肥大、肺動脈高血圧、線維症、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、慢性腎盂腎炎、血管腫、自己免疫疾患、例えば乾癬、硬化性皮膚炎、免疫抑制(例えば移植片拒絶反応)などに関する療法においても使用される。
【0286】
本発明のもう1つの態様によると、本発明は、本発明による化合物を活性成分として含む医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、本発明による少なくとも1つの化合物の有効用量、または該化合物の医薬として許容される塩、または該化合物の溶媒和物と、少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤とを含有する。
【0287】
前記賦形剤は、医薬剤形および所望の投与方式に従って、当業者に公知の通例の賦形剤から選択される。
【0288】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所、気管内、鼻腔内、経皮または直腸内投与のための本発明の医薬組成物において、上の式(I)の活性成分、またはこの自由選択の塩または溶媒和物を、上の障害または疾患の予防または治療および/もしくは予防のために動物におよびヒトに、従来の製薬用賦形剤との混合物として、投与用の単位形態で投与することができる。
【0289】
投与用の適切な単位形態は、経口投与用の形態、例えば錠剤、軟または硬ゼラチンカプセル、粉末、顆粒および経口溶液または懸濁液、舌下、頬側、気管内、眼内もしくは鼻腔内投与または吸入による投与用の形態、局所、経皮、皮下、筋肉内または静脈内投与用の形態、直腸内投与用の形態およびインプラントを含む。局所適用のために、本発明による化合物をクリーム、ゲル、軟膏またはローションに使用することができる。
【0290】
例として、錠剤形態での本発明による化合物の投与用の単位形態は、以下の成分を含み得る:
本発明による化合物 50.0mg
マンニトール 223.75mg
クロスカルメロースナトリウム 6.0mg
トウモロコシデンプン 15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.25mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
本発明は、本発明のもう1つの態様によると、上に示した病態の治療および/または予防のための方法にも関し、この方法は、本発明による化合物の有効用量または本化合物の医薬として許容される塩または溶媒和物の有効用量の患者への投与を含む。
【0291】
本発明は、本発明のもう1つの態様によると、プロテインキナーゼの活性に関連づけられる疾患の治療および/もしくは予防のための、増殖性疾患、例えば、癌、慢性もしくは急性白血病、リンパ球性リンパ腫、ホジキン病および骨髄増殖性症候群および骨髄異形成症候群の治療および/もしくは予防のための、増殖性疾患、例えば、固形腫瘍癌、例えば肺癌(NSCLC)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、カポジ症候群、眼内黒色腫、乳癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膣癌、外陰癌、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、ファロピウス管癌腫、癌、例えばGISTおよび肛門部の癌、直腸癌、小腸癌、結腸癌、胃癌、食道癌、内分泌、甲状腺、副甲状腺もしくは副腎の癌、軟部組織肉腫、ユーイング肉腫、骨肉腫、皮膚線維肉腫および他の線維肉腫、膀胱癌もしくは腎臓癌、中枢神経系の新生物、脊柱および類腱腫、脳幹神経膠腫および神経膠芽腫、下垂体腺腫およびこの転移、慢性もしくは急性白血病、リンパ球性リンパ腫、ホジキン病および骨髄増殖性症候群および骨髄異形成症候群の治療および/もしくは予防のための、または非悪性増殖性疾患、例えば、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、血栓症、心不全、心肥大、肺動脈性高血圧、線維症、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、慢性腎盂腎炎、血管腫、自己免疫疾患、例えば乾癬、硬化性皮膚炎、免疫抑制の治療および/もしくは予防のための薬物を調製するための式(I)の化合物の使用にも関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸の形態、塩基の形態または酸もしくは塩基との付加塩の形態での式(I)の化合物:
【化1】

{式中、
nは、0、1、2または3を表し;
n’は、0、1、2、3または4を表し;
R1は、アルキル基を表し;
R2は、
(i)シクロアルキル基、
(ii)アルキル基または
(iii)アルコキシ基
を表し、前記シクロアルキル、アルキルまたはアルコキシ基は、1個以上のハロゲン原子で場合により置換されており;
R3は、
i)水素原子または
ii)−C(O)アルキル基
を表し;
Arは、Y、Z、VおよびWが、
(a)互いに独立して、
(i)=CH−基、
(ii)=C(R5)−基(この基におけるR5は、
アルキル基、
ハロゲン原子または
アルコキシ基
を表す。)
(iii)窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選択されるヘテロ原子
を表し、
(b)Y、Z、VおよびWのうちの多くとも1つが場合により不在である、
5員または6員アリールまたはヘテロアリール環を表し、
Arが、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリルおよびトリアゾリルから選択されるヘテロアリールを表すとき、該ヘテロアリールの窒素原子の少なくとも1個は、アルキル基から選択される基R6で場合により置換されていることがあると解され;
R4は、
アルキル基、
アルコキシアルキル基、
基−NRR’[この場合のRおよびR’は、同一であるまたは異なることがあり、互いに独立して、水素原子、アルキル基または−(C3−C6)シクロアルキル基を表す。]、
シクロアルキル基、
アルケニル基、
アリール基[該基は、少なくとも1個のハロゲン原子で、および/または−(C1−C5)アルキル、ハロアルキル、ニトリル、ハロアルキルオキシ、アルコキシ、ニトロ基および該基−NRR’(この場合のRおよびR’は、同一であるまたは異なることがあり、互いに独立して、水素原子または、アルキル基および−(C3−C6)シクロアルキル基から選択される基を表す。)から選択される少なくとも1つの基で、場合により置換されている。]、
ヘテロアリール基[該基は、該窒素または硫黄原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、該ヘテロアリール基は、アルキル基および(該窒素および酸素原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む)ヘテロシクロアルキル基から選択される少なくとも1つの基で場合により置換されている;
該ヘテロアリール基が、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリルおよびトリアゾリルから選択されるとき、該ヘテロアリールの窒素原子の少なくとも1個は、アルキル基から選択される基R6で場合により置換されていることがあると解される。]、
ヘテロシクロアルキル基[該基は、該窒素、硫黄および酸素原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、ならびに(i)ハロゲン原子、(ii)ハロアルキル基、(iii)線状または分岐アルキル基および(iv)シクロアルキル基から選択される少なくとも1つの置換基で場合により置換されている;
該ヘテロシクロアルキル基が、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニルおよびチオモルホリニルから選択されるとき、該ヘテロシクロアルキルの窒素原子の少なくとも1個は、アルキル基から選択される基R6で場合により置換されていることがあると解される。]
から選択される基を表す。}。
【請求項2】
塩基の形態または酸との付加塩の形態である化合物であって、R1が−(C1−C4)アルキル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
塩基の形態または酸との付加塩の形態である化合物であって、R2が−(C1−C4)アルキル基を表すことを特徴とする、請求項1および2のうちの一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
塩基の形態または酸との付加塩の形態である化合物であって、n’が1を表すことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
塩基の形態または酸との付加塩の形態である化合物であって、R3が水素原子表すことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
塩基の形態または酸との付加塩の形態である化合物であって、Arがフェニル表すことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
R4が、
アルキル基;
基−NRR’[この場合のRおよびR’は、同一であるまたは異なることがあり、互いに独立して、水素原子、アルキル基または−(C3−C6)シクロアルキル基を表す。]、
アルケニル基、
アリール基[該基は、少なくとも1個のハロゲン原子で、および/またはアルコキシ基および基−NRR’(この場合のRおよびR’は、上で定義したとおり)から選択される少なくとも1つの基で、場合により置換されている。]、
ヘテロアリール基[該ヘテロアリール基は、アルキル基および(窒素および酸素原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む)ヘテロシクロアルキル基から選択される少なくとも1つの基で場合により置換されている;
該ヘテロアリール基が、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリルおよびトリアゾリルから選択されるとき、該ヘテロアリールの窒素原子の少なくとも1個は、基R6(この場合のR6は、アルキル基から選択される基を表す。)で場合により置換されていることがあると解される]
から選択される基を表すことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
R4がフェニル、ピリジニルおよびイミダゾリル基から選択される基を表すことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
Y、Z、VおよびWそれぞれが、=CH基および/または=C(R5)−基(この場合のR5は、塩素またはフッ素原子を表す。)を表し、従って、Y、Z、VおよびWが、場合により置換されているフェニル基の中にあることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
以下の化合物から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物:
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(ピリジン−3−イルメチル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(3−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−{4−[(エテニルスルホニル)アミノ]−3−フルオロフェニル}−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−[4−({[2−(ジメチルアミノ)エチル]スルホニル}アミノ)−3−フルオロフェニル]−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−(4−{[(3−アミノベンジル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−{4−[(ブチルスルホニル)アミノ]−3−フルオロフェニル}−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−(3−クロロ−4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−(4−{[(2,5−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−7−{4−[(ピリジン−3−イルスルホニル)アミノ]フェニル}−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−(4−{[(2,6−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−(2−クロロ−4−{[(2,5−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−(2−クロロ−4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−2−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−メチルフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−1−エチル−N−メチル−7−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−(4−{[(2,3−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−(4−{[(2−クロロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(2−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−(4−{[(4−クロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−(4−{[(3−クロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−7−(4−{[(3,4−ジフルオロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−フルオロフェニル)−1−エチル−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(4−フルオロフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(3−メトキシフェニル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−1−エチル−7−[3−フルオロ−4−({[6−(モルホリン−4−イル)ピリジン−3−イル]スルホニル}アミノ)フェニル]−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド;
2−アミノ−1−エチル−7−(3−フルオロ−4−{[(ピリジン−2−イルメチル)スルホニル]アミノ}フェニル)−N−メチル−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を調製するための方法であって、
式(IXa)の化合物:
【化2】

と式(VII)の化合物:
【化3】

(これらの式中、R1、R2、R3、R4、n、n’、V、W、Y、ZおよびArは請求項1において定義したとおりであり、Xは脱離基を表し、ならびにMは上で定義したとおりである。)
とをカップリング触媒および塩基の存在下で反応させることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を調製するための方法であって、
式(IXb)の化合物:
【化4】

と式(VIII)の化合物:
【化5】

(これらの式中、R1、R2、R3、R4、n、n’、V、W、Y、ZおよびArは請求項1において定義したとおりであり、Xは脱離基を表し、ならびにMは上で定義したとおりである。)
とを反応させることを特徴とする方法。
【請求項13】
式(VIII)の化合物:
【化6】

(式中、R1、R2、n’は請求項1において定義したとおりであり、およびMは上で定義したとおりである。)。
【請求項14】
請求項1から10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはこの化合物と医薬として許容される酸との付加塩、または式(I)の化合物の溶媒和物を含むことを特徴とする薬物。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはこの化合物の医薬として許容される塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項16】
プロテインキナーゼの活性に関連づけられる疾患の治療および/または予防に使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項17】
増殖性疾患、例えば、癌、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、ホジキン病および骨髄増殖性症候群および骨髄異形成症候群の治療および/または予防に使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項18】
増殖性疾患、例えば、固形腫瘍癌、例えば肺癌(NSCLC)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、カポジ症候群、眼内黒色腫、乳癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膣癌、外陰癌、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、ファロピウス管癌腫、癌、例えばGISTおよび肛門部の癌、直腸癌、小腸癌、結腸癌、胃癌、食道癌、内分泌、甲状腺、副甲状腺または副腎の癌、軟部組織肉腫、ユーイング肉腫、骨肉腫、皮膚線維肉腫および他の線維肉腫、膀胱癌または腎臓癌、中枢神経系の新生物、脊柱および類腱腫、脳幹神経膠腫および神経膠芽腫、下垂体腺腫およびこの転移、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、ホジキン病および骨髄増殖性症候群および骨髄異形成症候群の治療および/または予防に使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項19】
非悪性増殖性疾患、例えば、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、血栓症、心不全、心肥大、肺動脈性高血圧、線維症、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、慢性腎盂腎炎、血管腫、自己免疫疾患、例えば乾癬、硬化性皮膚炎、免疫抑制の治療および/または予防に使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項20】
請求項1から10のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも1つの化合物と少なくとも1つの化学療法薬との併用。

【公表番号】特表2013−516446(P2013−516446A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547531(P2012−547531)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際出願番号】PCT/FR2011/050018
【国際公開番号】WO2011/083275
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【Fターム(参考)】