説明

アリールスルホンアミド置換ヒドロキサム酸誘導体

【課題】MMPおよび特にMMP2阻害剤であり、MMP依存性疾患、特に炎症性の疾病、リウマチ様関節炎、骨関節炎、腫瘍(腫瘍の増殖、転移、進行または湿潤)および肺疾患(例えば肺気腫、COPD)処置において有用な化合物の提供。
【解決手段】式(I)


〔式中、Rは水素、アリール基等であり;Rは水素または低級アルキル基であり;Rはアリール基等であり;Aはアルキレン等であり;qは1〜5であり;Rはアルキル基等である。〕で表されるα−アミノヒドロキサム酸誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリールスルホンアミド−置換ヒドロキサム酸誘導体、それらの製造方法および新規中間体、該誘導体を含む医薬組成物、選択的MMP2阻害剤を含む医薬組成物、医薬としてのヒドロキサム酸誘導体の使用、選択的MMP2阻害剤、特に式Iのヒドロキサム酸誘導体、または選択的MMP2阻害剤、特に式Iのヒドロキサム酸誘導体を含む医薬組成物を用いて、MMP、特にMMP2依存性疾患、特に過増殖性疾患、またはMMP、特にMMP2の阻害に応答する哺乳類における病状を処置する方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、特に式I
【化1】

〔式中、
は水素、置換または非置換アリール、低級アルキル、置換または非置換炭素環式アリール低級アルキル、置換または非置換複素環式低級アルキル、置換または非置換C〜C−シクロアルキル、置換または非置換C〜C−シクロアルキル低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、低級アルコキシ低級アルキル、低級アルキル(チオ、スルフィニルまたはスルホニル)低級アルキル、アミノ低級アルキルあるいはモノ−またはジ−低級アルキルアミノ低級アルキルであり;
は水素または低級アルキルであり;
は置換または非置換C〜C−シクロアルキル、置換または非置換炭素環式アリール、置換または非置換複素環式アリール、置換または非置換ヘテロシクリル;あるいは低級アルキルであり;
Aは、非置換または低級アルキルにより置換されたC〜C−アルキレンであり;
qは1〜5であり;
Rは、ハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、C〜C−シクロアルキルあるいはO、SおよびNからなる群から選択される1または2個のヘテロ原子を含む、非置換または置換C〜C−ヘテロアリールによりモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルキル;あるいは
それぞれ非置換、またはハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、C〜C−シクロアルキルあるいはO、SおよびNからなる群から選択される1または2個のヘテロ原子を含む、非置換または置換C〜C−ヘテロアリールによってモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルケニルまたはC〜C−アルキニルである〕
で表されるα−アミノヒドロキサム酸誘導体;
および薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体;および薬学的に許容されるその塩に関する。
【0003】
式Iの化合物は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(matrix-degrading metalloproteinases)(MMP)の阻害剤であり、それに関する病状の処置に有用である。
qは、好ましくは1〜3、概して1または2、好ましくは1である。立体的に可能である場合に限り、qは、4または5でもあり得る。qが1である場合、ORは、例えば3位にあり、または好ましくは4位にある。
本発明の好ましい実施態様において、RまたはRは水素を表す。本発明の別の好ましい実施態様において、RおよびRは、ともに水素を表す。
【0004】
本明細書で使用される一般的な定義は、特記しない限り、本発明の範囲内の下記の意味を有する。
ハロゲンは、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。好ましくは、フッ素または塩素である。
特記しない限り、本発明の明細書において、“低級”を意味する有機基は、7以下の好ましくは4以下の炭素原子を含む。
アリールは、炭素環式または複素環式アリールを表す。
【0005】
低級アルキルは、分枝鎖または非分枝鎖であり、1〜7の炭素原子、好ましくは1〜4炭素原子を含み、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピルおよびイソブチルを表す。
【0006】
炭素環式アリールは、単環式または二環式アリール、好ましくは、
非置換フェニル、
あるいは低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、低級アルキルアミノ、ジ−低級アルキルアミノ、フェノキシ、または所望により低級アルコキシ、低級アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロもしくはトリフルオロメチルによって置換されたフェニルから選択される1、2もしくは3つの基でモノ−、ジ−もしくはトリ置換されたフェニル;
あるいは隣接する炭素原子上で、低級アルキレンジオキシ、例えばメチレンジオキシにより二置換されたフェニル;
あるいは以下に定義される複素環式基、特にピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニルによって置換されたフェニル;または以下に定義される複素環式基、とりわけイミダゾリル、トリアゾリル、キノリニル(chinolinyl)もしくはモルホリニルによって置換された低級アルキル;
あるいは1−または2−ナフチルを表す。
好適なものは、非置換フェニルまたは低級アルコキシ、フェノキシ、フェニル、ハロゲンもしくはトリフルオロメチルによりモノ置換されたフェニルである。特に好適なものは、フェニルまたは低級アルコキシ、ハロゲンもしくはトリフルオロメチルによりモノ置換されたフェニルである。
【0007】
炭素環式アリール低級アルキルは、好ましくは、炭素環式アリールが上記定義の意味を有する直鎖または分枝鎖アリール−C〜C−アルキルを表し、例えばベンジルまたはフェニル−(エチル、プロピルもしくはブチル)であり、それぞれ、非置換であるかまたは上記炭素環式アリールの定義のように芳香環上で置換されており、有利には所望により置換されたベンジルである。
【0008】
複素環式基は、特に、芳香族性のアザ−、チア−、オキサ−、チアザ−、オキシアザ−もしくはジアザ基および部分的に類似するもの、または特に、この種類の完全に飽和の複素環式基の、単環または二環系であり、このような基が官能基によってモノ−、ジ−もしくはトリ置換されることが可能である。これらの基はC-C結合を介して分子の残部および、特に、1つの窒素、酸素または硫黄原子を有する単環式または二環式基、および特にこの種類の芳香族基は、例えば、2−ピリル(pyrryl)または3−ピリル、ピリジル、例えば2−、3−もしくは4−ピリジル、およびさらにチエニル、例えば2−もしくは3−チエニル、またはフリル、例えば2−フリルと結合する;1つの窒素、酸素または硫黄原子を有する類似の二環式基は、例えば、2−もしくは3−インドリルのようなインドリル、2−もしくは4−キノリルのようなキノリル、3−もしくは5−イソキノリルのようなイソキノリル、2−ベンゾフラニルのようなベンゾフラニル、3−クロメニルのようなクロメニル、または2−もしくは3−ベンゾチエニルのようなベンゾチエニルである。1より多いヘテロ原子を有する適当な単環式および二環式基は、例えば、2−イミダゾリルのようなイミダゾリル、2−もしくは4−ピリミジニルのようなピリミジニル、2−オキサゾリルのようなオキサゾリル、3−イソオキサゾリルのようなイソオキサゾリル、または2−チアゾリルのようなチアゾリル、または2−ベンゾイミダゾリルのようなベンゾイミダゾリル、2−ベンズオキサゾリルのようなベンズオキサゾリル、または2−キナゾリニルのようなキナゾリニルである。部分的に類似の、または、特に、完全に飽和の類似の基は、例えば、2−テトラヒドロフリル、4−テトラヒドロフリル、2−もしくは3−ピロリジル、2−、3−もしくは4−ピペリジルおよび2−もしくは3−モルホリニル、2−もしくは3−チオモルホリニル、2−ピペラジニルおよびN,N'−ビス−低級アルキル−2−ピペラジニルも適当である。
【0009】
複素環式基は、1、2またはそれ以上の同一または異なる置換基(官能基)により置換され得る;以下の置換基は、特に適当である:遊離、エーテル化されたおよびエステル化されたヒドロキシ基;メルカプトおよび低級アルキルチオならびに置換および非置換フェニルチオ基;ハロゲン原子;ホルミル(すなわちアルデヒド)およびケト基の形態のオキソ基、ならびにまた類似のアセタールもしくはケタール;アジドおよびニトロ基;第一級、第二級および、好ましくは、第三級アミノ基、第一級もしくは第二級アミノ基、通常の保護基で保護されたアシルアミノ基およびジアシルアミノ基、ならびに非修飾もしくは機能的に修飾されたスルファモイル基のようなスルホ基、または塩の形態のスルホ基。すべてのこれらの官能基は、遊離の原子価の炭素原子上ではなく、それらは好ましくは2もしくはそれ以上の炭素原子により隔てられている。複素環式基は、また、遊離および塩の形態のカルボキシル基もしくはエステル化されたカルボキシル基のような機能的に修飾されたカルボキシル基、カルバモイル、ウレイドもしくはグアニジノ基を有することができ、これらは1もしくは2つの炭化水素基、およびシアノ基を有してもよいし、有さなくてもよい。
【0010】
置換炭素環式アリールRは、好ましくはハロゲン、低級アルコキシ、低級アルキル、ジ−低級アルキルアミノ、トリアゾリル、とりわけ1,2,4−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、もしくは1,2,3−トリアゾリル、イミダゾリル、例えば1−イミダゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラゾリル、ピロリル、フリル、特に3−フリル、チエニル、モルホリニル低級アルキル、キノリニル低級アルキル、イミダゾリル低級アルキルおよびトリアゾリル低級アルキルにより置換されたフェニルである。
【0011】
非常に好ましい本発明の実施態様において、Rは、置換炭素環式アリールを表し、この態様において置換炭素環式アリールは、好ましくはトリアゾリル、特に1,2,4−トリアゾール−1−イルにより好ましくは4位が置換されたフェニルである。
【0012】
複素環式アリールRは、単環式または二環式ヘテロアリール、例えばピリジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、または低級アルキルもしくはハロゲンにより置換された任意の該基を表す。ピリジルは、2−、3−または4−ピリジルを表す。チエニルは、2−または3−チエニル、有利には2−チエニルを表す。キノリルは、好ましくは2−、3−または4−キノリル、有利には2−キノリルを表す。イソキノリルは、好ましくは1−、3−または4−イソキノリルを表す。ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニルは、好ましくは、それぞれ3−ベンゾピラニルまたは3−ベンゾチオピラニルを表す。チアゾリルは、好ましくは2−または4−チアゾリル、有利には4−チアゾリルを表す。トリアゾリルは、好ましくは2−または5−(1,2,4−トリアゾリル)である。テトラゾリルは、好ましくは5−テトラゾリルである。イミダゾリルは、好ましくは4−イミダゾリルである。好ましくは、複素環式アリールはピリジルを表す。それは、上記の複素環式基で定義された1、2またはそれ以上の同一または異なる置換基により置換され得る。
【0013】
複素環式Rは、3〜10個の炭素原子およびO、SおよびNからなる群から選択される1または2つのヘテロ原子を含む、飽和または部分的に不飽和の、単環式または二環式複素環式基を表す。好ましくは、複素環式Rは、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペラジニルおよびテトラヒドロピラニルからなる群から選択される。それは、上記の複素環式基で定義された1、2またはそれ以上の同一または異なる置換基により置換され得る。好ましくは、それは非置換または低級アルキルにより置換されている。
【0014】
複素環式低級アルキルは、複素環式は上記定義の意味を有する、好ましくは、直鎖または分枝鎖の複素環式C〜C−アルキル、例えば2−、3−もしくは4−ピペリジルメチルまたは(2−、もしくは3−モルホリニル)−(エチル、プロピルもしくはブチル)を表す。
C〜C−シクロアルキルは、非置換または環内に3〜7個の炭素原子を含む低級アルキルにより置換された飽和の環式炭化水素を表し、有利には非置換または低級アルキルにより置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0015】
シクロアルキル低級アルキルは、好ましくは(シクロペンチル−またはシクロヘキシル)−(メチルまたはエチル)を表す。
低級アルコキシ(またはアルキルオキシ)基は、好ましくは1〜4個の炭素原子、有利には1〜3個の炭素原子を含み、例えば、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、また最も有利にはメトキシを表す。
低級アルキルチオ基は、好ましくは1〜4個の炭素原子、有利には1〜3個の炭素原子を含み、例えば、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、または最も有利にはメチルチオを表す。
【0016】
低級アルキルスルフィニル基は、好ましくは1〜4個の炭素原子、有利には1〜3個の炭素原子を含み、例えば、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、または最も有利にはメチルスルフィニルを表す。
低級アルキルスルホニル基は、好ましくは1〜4個の炭素原子、有利には1〜3個の炭素原子を含み、例えば、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、または最も有利にはメチルスルホニルを表す。
低級アシルオキシ基は、好ましくは1〜4個の炭素原子を含み、例えば、アセトキシ、プロパノイルオキシまたはブタノイルオキシを表す。
【0017】
プロドラッグアシル誘導体は、好ましくは有機炭酸、有機カルボン酸またはカルバミン酸由来のものである。
有機カルボン酸由来のアシル誘導体は、例えば、低級アルカノイル、フェニル低級アルカノイルまたは非置換もしくは置換アロイル、例えばベンゾイルである。
【0018】
有機炭酸由来のアシル誘導体は、例えば、非置換もしくは芳香族基により置換されたアルコキシカルボニル、または非置換もしくは低級アルキルにより置換されたシクロアルコキシカルボニルである。
カルバミン酸由来のアシル誘導体は、例えば、低級アルキルにより置換されたアミノ−カルボニル、アリール低級アルキル、アリール、低級アルキレンまたはOもしくはSが割り込んだ低級アルキレンである。
【0019】
アシルアミノは、好ましくは低級アルカノイルアミノまたは低級アルコキシカルボニルアミノを表す。
C〜C−アルキレンは、例えばメチレン、エチレン、1,2−ジメチルエチレン、1,1−ジメチル−エチレン、プロピレン、1,2−ジメチルプロピレン、2,2−ジエチルプロピレンまたは1−メチル−2−エチルプロピレンであり得る。C〜C−アルキレンは、好ましくは非置換である。最も好ましくは、メチレンまたはエチレンである。
【0020】
C〜C−アルキル基Rは、分枝鎖または非分枝鎖であり、2〜7個の炭素原子を含み、ならびに好ましくはハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、C〜C−シクロアルキルまたはO、SおよびNからなる群から選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む、非置換もしくは低級アルキルで置換されたC〜C−ヘテロアリールによりモノ−またはジ置換されている。さらに好ましくは、それはハロゲン(最も好ましくは塩素もしくはフッ素)によりモノ置換されており、C〜C−シクロアルキル(最も好ましくはシクロプロピル)またはO、SおよびNからなる群から選択される1もしくは2個のヘテロ原子、特に1個のヘテロ原子を含む非置換C〜C−ヘテロアリール、例えばフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリルまたはピリジニルである。C〜C−アルキル基Rは、例えば7−フルオロヘプチル、7−クロロヘプチル、6−フルオロヘキシル、6−クロロヘキシル、5−クロロペンチル、5−ニトロペンチル、5−シアノペンチル、5−フルオロペンチル、4−フルオロペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、5−アセトキシペンチル、4−クロロブチル、4−フルオロブチル、3−フルオロブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、3,4−ジクロロブチル、4,4−ジフルオロブチル、4−アセトキシブチル、4−プロピオニルオキシブチル、4−ニトロブチル、4−シアノブチル、4−トリフルオロメトキシブチル、3,4−ジシアノブチル、4,4−ジシアノブチル、4−アセチルオキシ−2,2−ジメチルブチル、4−フルオロ−1−メチルブチル1−エチル−4−フルオロブチル、3−クロロプロピル、3−フルオロプロピル、2−フルオロプロピル、3−シアノプロピル、3−トリフルオロメトキシプロピル、2,3−ジクロロプロピル、3−クロロ−1,2−ジメチルプロピル、2−クロロ−3−フルオロプロピル、3−シアノ-1,2−ジメチルプロピル、2−シアノ−3−フルオロプロピル、2−ニトロ−3−フルオロプロピル、2−シアノ−3−クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−クロロエチル、2−フルオロエチル、2−シアノエチル、2−シクロプロピルエチル、3−シクロプロピルブチル、2−シクロブチルエチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、3−フリルメチルまたは2−(3−フリル)エチルである。好ましくはC〜C−アルキル基Rは、3〜5個の炭素原子を含み、非分枝鎖である。好ましくは、その置換基は末端に位置する。最も好ましくは、C〜C−アルキル基Rは、4−クロロブチル、4−フルオロブチル、3−クロロプロピルまたは3−フルオロプロピルを表す。
【0021】
C〜C−アルケニル基Rは、分枝鎖または非分枝鎖であり得、3〜7個の炭素原子を含む。C〜C−アルケニル基Rは、例えば、2−プロペニル、2−クロロメチル−2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、4−クロロ−2−ブテニル、4−フルオロ−2−ブテニル、4−アセトキシ−2−ブテニル、2−イソブテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、5−クロロ−2−ペンテニル、5−フルオロ−3−ペンテニル、5−ニトロ−3−ペンテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル、3−クロロ−5−ヘキセニル、4−ヘキセニルまたは6−ヘプテニルを表す。好ましくは、C〜C−アルケニル基Rは、3〜5個の炭素原子を含み、非置換である。二重結合は、好ましくは末端に位置する。好ましくはC〜C−アルケニル基Rは、4−ペンテニル、3−ブテニルまたは2−プロペニル、最も好ましくは3−ブテニルを表す。
【0022】
C〜C−アルキニル基Rは、分枝鎖または非分枝鎖であり得、3〜7個の炭素原子を含み得る。好ましくはC〜C−アルキニル基Rは、3〜5個の炭素原子を含み、非置換である。C〜C−アルキニル基Rは、例えば2−プロピニル、2−ブチニル、4−シアノ−2−ブチニル、4−ニトロ−2−ブチニル、3−ブチニル、5−クロロ−2−ペンチニル、2−ペンチニル、5−フルオロ−3−ペンチニル、5−クロロ−3−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ヘキシニルまたは4−ヘプチニルを表し、好ましくは、2−プロピニル、2−ブチニル、2−ペンチニルまたは3−ペンチニルを表す。好ましくは、三重結合は末端に位置する。特に、Rが2−プロピニルである化合物で良好な結果が得られる。
【0023】
本発明の酸性化合物の薬学的に許容される塩は、塩基で形成される塩、すなわちナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムのようなアルカリ金属およびアルカリ土類金属、ならびにアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウムトリス−(ヒドロキシメチル)−メチル−アンモニウム塩のようなアンモニウム塩といったカチオン性の塩である。
【0024】
同様に鉱酸、有機カルボン酸および有機スルホン酸、例えば塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸のような酸付加塩は、また、例えばピリジルのような塩基性基が構造の一部を構成するならば、可能である。
【0025】
式Iの化合物は、薬理学的に有用な特性を有する。特に、それらは薬理学的に興味深い特異的阻害作用を示す。
【0026】
ゼラチナーゼ、ストロメライシンおよびコラゲナーゼのようなマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)酵素群の酵素は、さまざまな生物学的プロセス、例えば組織のマトリックス分解(例えばコラーゲンの分解)ならびに結合組織異常および基底膜のマトリックス代謝を含む多くの病的な状態、例えば関節炎(例えば骨関節炎およびリウマチ様関節炎)、組織潰瘍(例えば角膜、上皮および胃部の潰瘍)、傷創治癒異常、歯周病、骨疾患(例えばページェット病および骨粗鬆症)、腫瘍の転移または湿潤、乾癬、ならびにHIV−感染(J. Leuk. Biol. 52 (2):244−248, 1992)、アテローム性動脈硬化症、心室拡張および血管形成における再狭窄に関与する。
【0027】
マクロファージメタロエステラーゼは、エラスチンの分解に関与し、病的な状態、例えば肺気腫およびCOPD(慢性閉塞性肺疾患)のような肺疾患に関わるさらなるマトリックスメタロプロテイナーゼである。
【0028】
選択性は、一般に、薬理学的活性のある化合物にとって有利な特徴である、というのは、選択性のある化合物を含む薬物の副作用は、選択性のより低い化合物を含む薬物に比べて少ないからである。MMPファミリーは異なる生物学的プロセスに関与する幾つかの異なる酵素から構成されるので、異常MMPまたはMMP酵素群の選択的阻害剤を有することが望ましい。
【0029】
式Iの化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、ゼラチナーゼ、ストロメライシンのようなマトリックスメタロプロテイナーゼ、ならびにマクロファージメタロプロテアーゼおよびMT1−MMPおよびMT2−MMPのような膜型マトリックスメタロプロテイナーゼを阻害する。それらは、特にMT1−MMPおよびMMP2(ゼラチナーゼA)阻害剤として有用である。
【0030】
多くのペプチドは、病理学的プロセスまたは疾患に関与する酵素、細胞または受容体のような生物学的物質と相互作用すると報告されている。ペプチドは、生理学的条件、とりわけ温血動物の血液または胃中で見られる生理学的条件下において容易に加水分解される不利益を有する。式Iの化合物は、ペプチドではないという利点を有する。式Iの化合物は、非ペプチド性MMP2阻害剤である。
【0031】
有利な効果は、当分野において一般に既知の薬理学的試験および本明細書に示されるように評価される。
【0032】
上記の特性は、in vitroおよびin vivo試験において、有利には哺乳動物、例えばラット、モルモット、イヌ、ウサギ、または単離臓器および組織、ならびに哺乳動物酵素調製物を用いて証明可能である。該化合物は、in vitroでは溶液、例えば好ましくは水性溶液の形態で、およびin vivoでは経腸的にまたは非経腸的に、有利には経口的に、例えば懸濁液または水性溶液として適用可能である。in vitroでの投与量は、約10−5Mから10−10Mの濃度の範囲であり得る。in vivoでの投与量は、投与経路に依存して、約0.1から100mg/kgの範囲であり得る。
【0033】
抗炎症活性は、当分野において周知の標準炎症および関節炎動物モデル、例えばラットのアジュバント関節炎モデルおよびマウスのコラーゲンII誘発関節炎モデル(Mediators of Inflam. 1, 273-279 (1992))において検定され得る。
【0034】
ストロメライシン活性の阻害を測定するための1つの試験は、Harrisonら(Harrison, R.A., Teahan J., and Stein R., Anal. Biochem. 180, 110-113(1989))の変法を使用し、サブスタンスPの加水分解を基礎としている。本アッセイにおいて、サブスタンスPを組換えヒトストロメライシンにより加水分解し、HPLCで定量できるフラグメント、サブスタンスP7−11を形成する。典型的アッセイにおいて、試験する化合物の10mM貯蔵溶液をアッセイ緩衝液で50mMに希釈し、8mg組換えヒトストロメライシンと1:1で混合し(分子量45−47kDa、2ユニット;1ユニットは20mmolのサブスタンスP7−11を30分で産生する)、0.5mMサブスタンスPと共に最終容量0.125mLで30分、37℃でインキュベートする。反応を10mM EDTAの添加により停止させ、サブスタンスP7−11をRP−8 HPLCで定量する。ストロメライシン活性の阻害のIC50およびKiを、阻害剤なしの対照反応から計算する。
【0035】
本発明の化合物のin vivoでの効果をウサギで測定できる。典型的に、4匹のウサギに経口で化合物を投与し、4時間後、両方のヒザ(N=8)に、20mMトリス、10mM CaCl、および0.15M NaCl、pH7.5に溶解した40ユニットの組換えヒトストロメライシンを関節内的に注射する。2時間後、ウサギを屠殺し、滑液洗浄液を回収し、関節に放出されたケラタン硫酸(KS)および硫酸化グリコサミノグリカン(S-GAG)フラグメントを定量する。ケラタン硫酸は、Thonar(Thonar, E.J.-M.A., Lenz, M.E., Klinsworth, G.K., Caterson, B., Pachman, L.M., Glickman, P., Katz, R., Huff, J., Keuttner, K.E., Arthr. Rheum. 28, 1367-1376(1985))の方法を使用して、阻害ELISAにより測定する。硫酸化グリコサミノグリカンは、最初に滑液洗浄液をストレプトマイセス・ヒアルロニダーゼで消化し、次いでDMB色素結合をGoldberg(Goldberg, R.L. and Kolibas, L. Connect. Tiss. Res. 24, 265-275(1990))の方法を使用して測定する。静脈試験のために、化合物を1mLのPEG-400に溶解し、経口試験のために、化合物を体重キログラムあたり5mLの栄養強化コーンスターチに加える。
【0036】
マクロファージメタロエラスターゼ(MME)阻害活性を、下記のように、トランケート組換えマウスマクロファージメタロエラスターゼによる[H]−エラスチンの分解の阻害により測定できる:
Q−セファロースカラムクロマトグラフィーで精製した約2ngの組換えトランケートマウスマクロファージメタロエラスターゼ(FASEB Journal Vol. 8, A151, 1994)を、所望の濃度の試験化合物と、5nM CaCl、400nM NaCl、[H]エラスチン(60,000cpm/試験管)および20mMトリス、pH8.0存在下で、37℃で一夜インキュベートする。サンプルを12,000rpmで15分、微量遠心管遠心分離で遠心沈殿する。上清のアリコートをシンチレーションカウンターで計数し、崩壊[H]エラスチンを定量する。IC50を試験化合物の濃度範囲および得られた酵素活性の阻害割合から決定する。
【0037】
MT1−MMP、MMP1(コラゲナーゼ1)およびMMP2(ゼラチナーゼA)における式Iの化合物の阻害活性は、下記のように測定できる:
基質(MCA-Pro-Leu-Gly-Leu-Dpa-Ala-Arg-NH2, Knight, C.G., Willenbrock, F., Murphy, G., A novel coumarin-labelled peptide for sensitive continous assays of the matrix metalloproteinases, FEBS lett., 296, 263-266,(1992))の貯蔵溶液を100%DMSOに1.0mMの濃度で調製する。阻害剤の貯蔵溶液を100%DMSOに調製する。阻害剤を100%DMSO中の溶液からアッセイのために希釈し、対照を等量のDMSOと置き換え、全アッセイ中の阻害剤および基質希釈物の最終DMSO濃度が6.0%となるようにする。アッセイを6.0%DMSO含有アッセイ緩衝液(150mM NaCl、10mM CaCl、50mMトリス−Cl、pH7.5、0.05%Brij-35)で行い、一度基質および阻害剤をそれに希釈する。アッセイで使用する基質濃度は10μMである。試験を37℃で行う。蛍光の変化を320nmの励起波長および340nmの放出波長を使用して追跡する。反応混合物をデュプリケートで96ウェルマイクロタイタープレートの適当なウェルに添加する。反応混合物を阻害剤と30分プレインキュベートし、反応をMMP酵素の添加により開始させ、蛍光強度を10分測定する。曲線の直線部部分の時点を選択して活性を測定する。阻害結果は対照(非阻害)反応で活性の50%阻害(IC50)を生ずる阻害剤濃度として示す。この試験において、式Iの化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、MMP2の場合0.0001〜0.030、通常0.0002〜0.010の阻害濃度IC50[μmol/リットル]、およびMT1−MMPの場合0.0005〜0.125、通常0.001〜0.05の阻害濃度IC50[μmol/リットル]を有する。式Iの化合物は、MT1−MMPのIC50より1000倍まで、一般に40倍から200倍高いMMP1(コラゲナーゼ1)の阻害濃度IC50を示す。式Iの化合物は、MMP2のIC50より5000倍まで高いMMP1の阻害濃度IC50を示し、ほとんどの式Iの化合物では、約100倍から2000倍高い。
【0038】
上記の試験で使用された酵素は、以下のように調製される:
MT1−MMP:
プラスミド:ヒトMT1−MMP遺伝子[Prof. Motoharu Seiki, Institute of Medical Science, The University of Tokyoから入手;Sato, H., Takino, T., Okada, Y., Cao, J., Shinagawa, A., Yamamoto, E. and Seiki, M. Nature (London), 370:61−65, 1994)]の全長をコードしているcDNAフラグメントの触媒領域をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅する。使用されるプライマーは、次の:
CTCCATATGTACGCCATCCAGGGTCTCAA(ATGスタートコドンのため5'末端にNdeI部位を含むセンスプライマー)および
CTCGGATCCTCACCCATAAAGTTGCTGGAT-GCC(1つのTGAストップコドンとともにBamHI部位を有するアンチセンスプライマー)(1)
である。得られる519bpフラグメントのPCR産物をpET11a(Stratagene)のNdeIおよびBamHIの特有部位間にサブクローニングする。MT1−MMP(CD−MT1−MMP)の触媒領域の配列をABI PRISMTM 377 DNAシーケンサー(Perkin Elmer)でABI PRISMTM ダイターミネーター・サイクルシーケンシングキットにより確認する。
【0039】
発現および精製:
サブクローニングしたCD−MT1−MMPを使用しE. coli菌株BL21[DE3](Hanahan, D. J. Mol. Biol. 1983;166(4):557−80)にトランスフェクトし、不溶性封入体として発現させる。トランスフェクタントを37℃で50ml Luria-Bertani(LB)培地中、50g/mlのアンピシリンの存在下で細胞密度OD600=0.6〜1.0まで増殖させ、CD−MT1−MMP産生を1mM イソプロピル−1−D−ガラクトピラノシド(IPTG)で誘導する。5mg/mlのリソチームおよび10μg/mlのDNase Iでの処置後、封入体を0.2M NaCl、1% w/v デオキシコール酸および1% w/v Nonidet P-40を含む界面活性剤緩衝液を使用して回収細胞から調製する。6Mの尿素、100mMの2−メルカプトエタノールおよび20mMのトリス−Cl、pH8.5から構成される可溶化緩衝液中で封入体を再懸濁させることにより可溶化させる。その酵素を20mMトリス−Cl、pH7.5中5mM CaCl、0.02% v/v NaNで平衡化させた10mlのQ−セファロース(Amersham Pharmacia Biotech)カラムを用いて精製し、復元する。3倍量の同一の緩衝液で洗浄後、結合したタンパクを2倍量の0.5〜1.0M NaClの直線状勾配で溶出する。集めたフラクション(各1ml)を平衡化緩衝液中で6時間透析する。Superdex G200カラム(1 x 15 cm)(Amersham Pharmacia)を20mMトリス−Cl、pH 7.5、5mM CaCl、0.02% NaN中で平衡化させる。その脱塩サンプルをSuperdex G200カラムに入れ、0.5ml/minでクロマトグラフする。フラクションの1mlを集め、30mlのアリコートをイムノブロッティングにより解析する。最も高純度のフラクションをプールし、YM2膜を有するAmiconスターラーセル中で濃縮し、−80℃で保存する。
溶出したタンパクを5mM CaCl、0.5mM ZnSO、20mMトリス−Cl pH7.5の緩衝液(5L)で2回透析し、次いでYM2膜を有するAmiconスターラーセル中で濃縮する。これらの条件下で、組換えタンパクは可溶性を保持し、正しくフォールディングされる。
【0040】
MMP1(コラゲナーゼ1)
プラスミド:ヒトコラゲナーゼのcDNAをヒトU937細胞(ATCC# CRL−2367)から単離されたRNA由来のcDNAのPCRにより作成する。このcDNAを作成するのに使用したプライマーは、
AAGAAGCTTAAGGCCAGTATGCACAGCTTTCCTおよび
AAGGCGGCCGCACACCTTCTTTGGACTCACACCA
であり、GenBank受け入れ番号X05231の報告されているcDNA配列のヌクレオチド58から1526に一致する。得られるcDNAフラグメントを哺乳動物の発現ベクターpBPV-MMT(Matthias, P. et al., J. Mol. Biol. 1986, 187(4):557−68)のNot I部位にサブクローニングする。
C127細胞(ATCC−マウス乳癌(mammary tumor)細胞系)を、加湿COインキュベーター中37℃で、10%の熱不活性化ウシ胎児血清および1x 抗菌−抗真菌溶液を追加したDulbecco's Modified Essential Medium中で増殖させる。100mmディッシュ中に8x10でシードした細胞を、リン酸カルシウム沈殿法を用いてトランスフェクションする。トランスフェクションから5時間後、培地を新たな培地と交換する。各ディッシュは、15μgの発現ベクターでトランスフェクションする。トランスフェクションから16〜18時間後、細胞をPBSで2回洗浄し、増殖培地中でさらに48時間インキュベートする。次いで、クローンを400μg/mlの濃度のネオマイシン類似抗生物質G418でインキュベーションすることにより選別する。選別されたクローンの培地を酵素学的アッセイによりコラゲナーゼの発現について解析する。
【0041】
発現および精製:16リットルの培養培地を1.6リットルにまで濃縮し、酵素をWilhelmら(Proc. Natl. Acad. Sci. (USA). 1987;84:6725−29)により記載された手順により単離する。最終生成物をさらに0.15M NaCl含有アッセイ緩衝液で平衡化させたSuperose G-75 (Pharmacia/LKB, Piscataway, NJ)ゲルろ過カラムで精製する。酵素をプールし、アリコートを−70℃で保存する。組換えプロコラゲナーゼ(43−45 kDa)を1mM APMA(Aminophenylmercuric acetate, ICN Pharmaceuticals)で、37℃で2時間活性化し、APMAを0.15M NaCl含有アッセイ緩衝液で大規模透析により除去する。活性化した酵素(〜36 kDa)を使用時まで−70℃で凍結する。
【0042】
MMP2(ゼラチナーゼA)
プラスミド:ヒトproMMP2のcDNAは、Prof. Motoharu Seiki, Institute of Medical Science, The University of Tokyoから入手した。ヒトproMMP2の全長をコードするcDNAをヒトHT1080細胞(ATCC# CCL121)から単離したRNA由来のcDNAのPCRにより作成する。このcDNAを作成するためのプライマーは、
GAATTCGATGGAGGCGCTAATGGCCCGGおよび
CTCGAGTCAGCAGCCTAGCCAGTCGGATTTGAT
であり、報告されたcDNA配列、GenBank受け入れ番号J03210のヒトproMMP2の全長に一致する。得られる2.0 KbのPCRフラグメントをpFAST BAC 1ベクター(pBAC−MMP2)のEcoR/Xho I部位にクローニングする(Collier, I.E., Wilhelm, S.M., Eisen, A.Z., Marmer, B.L., Grant, G.A., Seltzer, J.L., Kronberger, A., He, C., Bauer, E.A. and Goldberg, G.I. J. Biol. Chem., 263:6579-6587, 1988).
【0043】
発現および精製:
r−proMMP2のバキュロウイルス発現のため、pBAC−MMP2をDH10BACコンピテントセルに形質転換させ、r−proMMP2 bacmid DNAを作成する。組換え bacmid DNAを培養昆虫細胞(Tn細胞)中にCellfectin試薬(Gibco BRL)でトランスフェクトする。組換えバキュロウイルスを均質になるまでプラーク精製し、組換えバキュロウイルスの高力価ストックを作成するために使用する。r−proMMP2の発現をゼラチンザイモグラフィーにより確認する。
バキュロウイルスに感染したTn細胞の培養液を遠心分離し、孔径0.22mmのフィルターでろ過し、細胞細片を除く。組換えproMMP2を25mMトリス−HCl(pH 7.5)、1M NaCl、10mM CaCl、0.05% Briji 35の平衡化緩衝液で、4℃で、gelatin Sepharose 4B (Pharmacia Biotech)に吸着させる。ビーズを平衡化緩衝液で洗浄後、r−proMMP2を10%DMSO含有平衡化緩衝液で溶出させる。酵素を活性化させるときまで4℃で保存する。アッセイのために、精製されたproMMP2を1mM APMAで1時間37℃で活性化させる。
【0044】
MMP9
MMP9をTPAで処理したTHP1ヒト単球性白血病細胞の培養培地から調製する。THP1細胞を10%FCSの入ったDMEM/F−12培地中で保持し、proMMP9を産生させるため血清フリーの培地中、TPA(1nM)で48時間刺激する。すべての精製の手順を4℃で行う。1リットルの培養培地をCentricon(Amicon)で100mlまで濃縮し、50mMトリス−Cl(pH=8.0)、300mM NaClで平衡化させたgelatin-sepharose(Pharmacia)カラム(1 x 8 cm)に入れる。proMMP9を含むフラクションを50mMトリス−Cl(pH=8.0)、300mM NaCl中10%DMSOで溶出させ、次いで50mMトリス−Cl(pH 7.5)、150mM NaClで透析する。フラクションをCentriconで濃縮し、150mM NaCl含有50mMトリス−Cl(pH=7.5)で平衡化させたSephadex G200 (2 x 20 cm)のカラムクロマトグラフィーにかける。精製したproMMP9をストックとして−80℃で保存し、必要量のpro体を活性化に使用する。proMMP9を、1mM酢酸アミノフェニル第二水銀(APMA, ICN Pharmaceuticals)を用い、150mM NaCl、10mM CaClおよび0.05% Brij-35(MMP Assay Buffer)含有50mMトリス−Cl(pH=7.5)中、18時間37℃で活性化し、APMAをMMP Assay Bufferで大規模透析により除く。活性化されたMMP9を使用時まで−80℃で凍結して保存する。
【0045】
MMP9のアッセイ
次いで、活性化されたMMP9(82 kDa)は化合物をスクリーニングするために使用される。蛍光発生的ペプチド2−N−メチルアミノ安息香酸(Nma)−Gly-Pro-Gln-Gly-Leu-Ala-Gly-Gln-Lys−Nε−(2,4−ジニトロ−フェニル)(Dnp)-NH2(Peptide Institute, Osaka, Japan)を唯一の基質として、この実験のすべてのMMPアッセイにおいて25μMで使用する。基質のストック溶液を100%DMSO中、1.0mMの濃度に調製する。アッセイをMMP Assay Buffer中で行う。反応混合物をデュプリケートで96ウェルマイクロフルオロプレートの適当なウェルに添加し、37℃で30分間プレインキュベートする。反応を0.5nMの活性化されたMMP9の添加により開始させる。各阻害剤のストック溶液を100%DMSO中に溶解させることにより調製する。阻害剤を、ストック溶液から調製した100%DMSOで希釈した溶液由来のアッセイ混合物中に加える。等量のDMSOを対照に加える。阻害剤および基質溶液由来のDMSOの最終的な濃度は5.0%である。蛍光の増加を355nmの励起で460nmで追跡する。曲線の直線部部分の時点を選択して活性を測定する。阻害結果は対照反応の活性の50%阻害(IC50)を生ずる阻害剤濃度として示す。
【0046】
式Iの化合物の抗腫瘍効果は、また、例えばin vivo転移モデルにおいて、EGFPトランスフェクトHT1080細胞を用いて腫瘍細胞を静脈内注射したヌードマウスの肺中に転移した腫瘍細胞の蛍光強度を測定することにより、またはB16−F10メラノーマ細胞を用いてBDF1マウスへの腫瘍細胞の静脈注射後の肺の腫瘍結節(tumor nodule)を計測することにより証明できる。
【0047】
EGFPトランスフェクトHT1080:
ヌードマウスの尾静脈に、腫瘍細胞の懸濁液[2x106個の細胞 / 0.1 mlのPBS (リン酸緩衝性生理食塩水)]を静脈注射した。動物に、day 0の細胞注射を基準として−1時および+5時に、化合物を経口投与した。その後、動物に1日2回(1回目午前9〜10:30および2回目午後5:30〜7:00)投与した。化合物を1%カルボキシメチルセルロース(Wako, Japan)の懸濁液として1日2回60mg/kgの投与量で投与した。対照群には賦形剤のみを投与した。day 17に、動物を屠殺後にマウスから肺を取り出した。取り出した肺組織を直径約2〜3mmの小片に分け、次いで約100mgの組織を微量遠心管中で0.2mlのPBSに懸濁させ、ゆっくりと均一化し、遠心分離をした。細胞を室温で、1mlの融解試薬(150mM NHCl、0.1mM EDTA−4Na、10mM KHCO、pH7.4)で3回洗浄し、赤血球を溶血させ、1mlのPBSで2回洗浄する。最後の洗浄後、細胞をPBS中の0.5mlの1%Tritonで溶解させた。15000rpm5分間の遠心後、0.23mlの各上清を96ウェルマルチプレートのウェルに移した。蛍光強度を、各々485および530nmの励起および放出波長の蛍光プレートリーダー(Cytoflour II)を使用して測定した。得られた蛍光を、湿潤肺重量を用いて肺ごとに標準化した。この試験において賦形剤単独の場合と比較して74%の蛍光の減少が、実施例68の化合物に関して測定された。
【0048】
B16−F10メラノーマ実験転移モデルを下記のFidlerの方法で研究した。細胞をトリプシン処理により回収し、血清含有培地で1回、冷PBSで3回洗浄し、氷上で保持した。マウスの尾静脈に腫瘍細胞の懸濁液(2x105個の細胞 / 0.1mlのPBS)を注射した。動物にday 0, 1の細胞注射を基準時間として−1時、+5時、23時および29時に化合物を経口投与した。その後、動物に1日1回朝に投与した。化合物を1%カルボキシメチルセルロース(Wako, Japan)の懸濁液として120mg/kg/dosingの投与量で投与した。対照群には賦形剤のみを投与した。day 14に動物を屠殺した後にマウスの肺を取り出し腫瘍結節の数をBouin’s溶液(蒸留水中2%ピクリン酸:10%ホルムアルデヒド中性緩衝液:酢酸=15:5:1)で固定後に手で計数した。この試験において賦形剤単独の場合と比較して47%の腫瘍結節の減少が、実施例68の化合物に関して測定された。
【0049】
本発明の化合物の抗腫瘍作用を、例えばプラセボ処理マウスと比較して当分野において周知の方法にしたがって、Balb/cヌード処理マウスの皮下に移植されたヒト腫瘍細胞の増殖を測定することにより決定することができる。例示的腫瘍は、例えば、エストロゲン依存性ヒト乳癌腫BT20およびMCF7、ヒト膀胱癌腫T24、ヒト結腸癌腫Colo 205、ヒト肺腺癌腫A549およびヒト卵巣癌腫NIH−OVCAR3である。
【0050】
腫瘍血管形成の効果を、例えば、Galardy et al, Cancer Res. 54, 4715 (1994)に記載のように、周辺の血管からの血管形成を促進するためのペレット中のWalker 256癌腫を移植されたラットにおいて測定できる。
【0051】
式Iの化合物はマトリックス分解を阻害し、したがってMT1−MMPおよびMMP2酵素の活性の阻害に応答する疾患の処置に非常に適している。特に骨粗鬆症、および進行に関し破骨細胞による骨吸収が役割を担う他の疾患、例えば腫瘍−誘発性高カルシウム血症、ページェット病または骨転移の処置、ならびに関節および骨における炎症プロセスおよび軟骨組織における変性プロセスをここで挙げることができる。特に式Iの化合物は、腫瘍の増殖、腫瘍の進行または湿潤および/または腫瘍血管形成を阻害することにより、酵素MT1−MMPおよびMMP2の阻害に応答する良性または悪性腫瘍、例えば、乳、肺、膀胱、結腸、卵巣、脳および皮膚癌の処置に有用である。それらは腫瘍の退行の原因となり得、微小癌組織の転移の増殖を予防し得る。
【0052】
本発明の化合物で処理される他の病状には、リウマチ様関節炎、骨関節炎、気管支疾病(例えば、エラスチンの分解阻害による喘息)、アテローム性動脈硬化症(例えばアテローム性動脈硬化プラーク破壊の阻害による)、ならびに急性冠動脈症候群、心臓発作(心臓虚血)、脳卒中(脳虚血)、アンギオプラスティー(angioplasty)後の再狭窄、および血管潰瘍、拡張症および動脈瘤が含まれる。本発明の化合物で処置されるさらなる病状は、ミエリン破壊または損失が関与する(多発性硬化症のような)神経系の炎症性脱髄性疾患、視神経炎、視神経脊髄炎(デビックディジーズ)、広汎性および移行性硬化症(シルダー病)および急性散在性脳脊髄炎、また運動欠陥のランドリー−ギラン−バレー−ストロール症候群のような脱髄性末梢神経障害;また組織潰瘍(例えば、表皮および胃潰瘍)、傷創治癒異常、歯周病(periodental disease)である。骨疾病(例えば、ページェット病および骨粗鬆症)である。また子宮内膜症、敗血症ショック、炎症性腸疾患、クローン病等も式Iの化合物により処置され得る。
【0053】
本発明の化合物の眼科用適用は、眼炎症、角膜潰瘍、翼状片、角膜炎、円錐角膜、開放隅角緑内障、網膜症の処置およびまた不利な作用を最小化するための屈折手術(レーザーまたは切開)に関連した使用を含む。
【0054】
あるメタロプロテイナーゼ阻害剤は、腫瘍壊死因子(TNF)、例えば炎症の重要なメディエーターであるTNF−αの産生および放出を阻害することも報告されている。したがって、本発明の化合物は哺乳動物における抗炎症薬となり得る。
【0055】
本発明の化合物のアテローム性動脈硬化症における効果は、Sukhova et al, Circulation 90, I 404 (1994)に記載のように活性化マトリックスメタロプロテイナーゼを含むコレステロール餌ウサギからのアテローム性動脈硬化プラークを使用して評価することができる。ウサギアテローム性動脈硬化プラークのマトリックスメタロプロテイナーゼ酵素活性における阻害効果は、Galis et al, J. Clin. Invest. 94, 2493 (1994)に記載のようにin situザイモグラフィーにより決定でき、プラーク破壊の指標である。
【0056】
血管動脈瘤における効果、例えば動脈瘤形成の阻害を、Apo−Eトランスジェニックマウスおよび/またはLDLレセプターノックアウトマウスのような実験モデルで測定することができる。腹部大動脈の動脈瘤は、生命を危うくする破裂リスクを伴う慢性的変性状態を表す。動脈瘤の生長を式Iの化合物により抑制することができる。
再狭窄および血管再構築における効果は、ラットバルーン処理頸動脈モデルで評価できる。
【0057】
神経系の脱髄性疾患、例えば多発性硬化症における効果は、例えばGijbels et al, J. Clin. Invest. 94, 2177 (1994)に記載されたようにマウスにおける実験的自己免疫性脳脊髄炎の好転を測定することにより評価され得る。
【0058】
本発明は、とりわけ式I
〔式中、
は水素、低級アルキル;
非置換または低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、フェノキシあるいは非置換または低級アルコキシ、低級アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルもしくは低級アルキレンジオキシにより置換されたフェニルによりモノ−、ジ−またはトリ置換された単環または二環式炭素環式アリール;
非置換または遊離、エーテル化およびエステル化されたヒドロキシ基;メルカプト、低級アルキルチオ、置換および非置換フェニルチオ基、ハロゲン、ホルミルおよびケト基の形態のオキソ基ならびに対応するアセタールもしくはケタール、アジド、ニトロ、第一級、第二級および第三級アミノ、アシルアミノ、ジアシルアミノならびに非修飾または機能的に修飾されたスルホ基;遊離および機能的に修飾されたカルボキシル基、カルバモイル、ウレイド、グアニジノおよびシアノからなる群から選択される、1、2またはそれ以上の同一または異なる置換基により置換された単環または二環式複素環式アリール;
非置換または低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、フェノキシあるいは非置換または低級アルコキシ、低級アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルもしくは低級アルキレンジオキシで置換されたフェニルにより炭素環部分がモノ−、ジ−またはトリ置換された炭素環式アリール低級アルキル;
非置換または遊離、エーテル化およびエステル化されたヒドロキシ基;メルカプト、低級アルキルチオ、置換および非置換フェニルチオ基、ハロゲン、ホルミルおよびケト基の形態のオキソ基ならびに対応するアセタールもしくはケタール、アジド、ニトロ、第一級、第二級および第三級アミノ、アシルアミノ、ジアシルアミノならびに非修飾または機能的に修飾されたスルホ基;遊離および機能的に修飾されたカルボキシル基、カルバモイル、ウレイド, グアニジノおよびシアノからなる群から選択される1、2またはそれ以上の同一または異なる置換基により複素環部分が置換された複素環式低級アルキル;
非置換または低級アルキルによって置換されたC〜C−シクロアルキル;
非置換または低級アルキルによって置換されたC〜C−シクロアルキル低級アルキル;
ヒドロキシ低級アルキル、低級アルコキシ低級アルキル、低級アルキル(チオ、スルフィニルもしくはスルホニル)低級アルキル、アミノ低級アルキルまたはモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ低級アルキルであり;
は水素または低級アルキルであり;
は非置換または低級アルキルによって置換されたC〜C−シクロアルキル;
非置換または低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、フェノキシあるいは非置換または低級アルコキシ、低級アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルもしくは低級アルキレンジオキシで置換されたフェニルによりモノ−、ジ−またはトリ置換された炭素環式アリール;
非置換または遊離、エーテル化およびエステル化されたヒドロキシ基;メルカプト、低級アルキルチオ、置換および非置換フェニルチオ基、ハロゲン、ホルミルおよびケト基の形態のオキソ基ならびに対応するアセタールもしくはケタール、アジド、ニトロ、第一級、第二級および第三級アミノ、アシルアミノ、ジアシルアミノならびに非修飾または機能的に修飾されたスルホ基;遊離および機能的に修飾されたカルボキシル基、カルバモイル、ウレイド、グアニジノおよびシアノからなる群から選択される1、2またはそれ以上の同一または異なる複素環式アリール;
非置換または遊離、エーテル化およびエステル化されたヒドロキシ基;メルカプト、低級アルキルチオ、置換および非置換フェニルチオ基、ハロゲン、ホルミルおよびケト基の形態のオキソ基ならびに対応するアセタールもしくはケタール、アジド、ニトロ、第一級、第二級および第三級アミノ、アシルアミノ、ジアシルアミノならびに非修飾または機能的に修飾されたスルホ基;遊離および機能的に修飾されたカルボキシル基、カルバモイル、ウレイド、グアニジノおよびシアノからなる群から選択される1、2またはそれ以上の同一または異なる置換基により置換されたヘテロシクリル;
あるいは低級アルキルであり;
Aは、非置換または低級アルキルによって置換されたC〜C−アルキレンであり;
qは1〜5であり;さらに
Rは、ハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、C〜C−シクロアルキルあるいはO、SおよびNからなる群から選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む、非置換または低級アルキルで置換されたC〜C−ヘテロアリールによりモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルキル;あるいは
それぞれ非置換またはハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、C〜C−シクロアルキルまたはO、SおよびNからなる群から選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む、非置換もしくは低級アルキルで置換されたC〜C−ヘテロアリールによりモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルケニルまたはC〜C−アルキニルである〕
の化合物;
およびそれらの薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体;および薬学的に許容される塩に関する。
【0059】
好適なものは、式I
〔式中、
は、水素、置換または非置換アリール、低級アルキル、置換または非置換炭素環式アリール低級アルキル、置換または非置換複素環式低級アルキル、置換または非置換C〜C−シクロアルキル、置換または非置換C〜C−シクロアルキル低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、低級アルコキシ低級アルキル、低級アルキル(チオ、スルフィニルまたはスルホニル)低級アルキル、アミノ低級アルキルあるいはモノ−またはジ−低級アルキルアミノ低級アルキルであり;
は水素または低級アルキルであり;
は、置換または非置換C〜C−シクロアルキル、置換または非置換炭素環式アリール、置換または非置換複素環式アリールあるいは低級アルキルであり;
Aは、非置換または低級アルキルによって置換されたC〜C−アルキレンであり;
qは1〜5であり;
Rは、ハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシまたはシアノによりモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルキル;
それぞれ非置換またはハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシもしくはシアノによりモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルケニルまたはC〜C−アルキニルである〕
の化合物;
および薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体;および薬学的に許容されるその塩である。
【0060】
さらに、式I
〔式中、
は、水素、低級アルキル、あるいは
非置換、または低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、フェノキシあるいは非置換または炭素環部分が低級アルコキシ、低級アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルもしくは低級アルキレンジオキシにより置換されたフェニルでモノ−、ジ−またはトリ置換された炭素環式アリール低級アルキルであり;
は水素または低級アルキルであり;
は、非置換または低級アルキルにより置換されたC〜C−シクロアルキル、
非置換または低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、ジ−低級アルキルアミノ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、フェノキシトリアゾリル、イミダゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラゾリル、ピロリル、フリル、チエニル、モルホリニル低級アルキル、キノリニル低級アルキル、イミダゾリル低級アルキルおよびトリアゾリル低級アルキルあるいは非置換または低級アルコキシ、低級アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルもしくは低級アルキレンジオキシにより置換されたフェニルでモノ−、ジ−またはトリ置換された炭素環式アリール;
非置換または遊離、エーテル化およびエステル化されたヒドロキシ基;メルカプト、低級アルキルチオ、置換および非置換フェニルチオ基、ハロゲン、ホルミルおよびケト基の形態のオキソ基ならびに対応するアセタールもしくはケタール、アジド、ニトロ、第一級、第二級および第三級アミノ、アシルアミノ、ジアシルアミノならびに非修飾または機能的に修飾されたスルホ基;遊離および機能的に修飾されたカルボキシル基、カルバモイル、ウレイド、グアニジノおよびシアノからなる群から選択される1、2またはそれ以上の同一または異なる置換基により置換された複素環式アリール;
非置換または遊離、エーテル化およびエステル化されたヒドロキシ基;メルカプト、低級アルキルチオ、置換および非置換フェニルチオ基、ハロゲン、ホルミルおよびケト基の形態のオキソ基ならびに対応するアセタールもしくはケタール、アジド、ニトロ、第一級、第二級および第三級アミノ、アシルアミノ、ジアシルアミノならびに非修飾または機能的に修飾されたスルホ基;遊離および機能的に修飾されたカルボキシル基、カルバモイル、ウレイド、グアニジノおよびシアノからなる群から選択される1、2またはそれ以上の同一または異なる置換基により置換されたヘテロシクリル;あるいは
低級アルキルであり;
Aは、非置換もしくは低級アルキルによって置換されたC〜C−アルキレンであり;
qは1または2であり;
Rは、ハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、C〜C−シクロアルキルあるいはO、SおよびNからなる群から選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む、非置換または低級アルキルで置換されたC〜C−ヘテロアリールによりモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルキル;あるいは
それぞれ非置換、またはハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、C〜C−シクロアルキルあるいはO、SおよびNからなる群から選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む、非置換または低級アルキルで置換されたC〜C−ヘテロアリールによりモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルケニルまたはC〜C−アルキニルである〕
の化合物;
および薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体;および薬学的に許容されるその塩が好ましい。
【0061】
本発明は、特に、式I
〔式中、
は、水素、低級アルキル、または置換もしくは非置換炭素環式アリール低級アルキルであり;
は水素または低級アルキルであり;
は置換もしくは非置換C〜C−シクロアルキル、置換もしくは非置換炭素環式アリール、置換もしくは非置換複素環式アリール、または低級アルキルであり;
Aは、非置換または低級アルキルによって置換されたC〜C−アルキレンであり;
qは1または2であり;さらに
Rは、ハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシまたはシアノによりモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルキル;
それぞれ非置換あるいはハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシまたはシアノによりモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルケニルまたはC〜C−アルキニルである〕
の化合物に関する。
【0062】
好ましい式Iの化合物は、式I
〔式中、
は、水素、低級アルキル、または置換もしくは非置換炭素環式アリール低級アルキルであり;
は水素または低級アルキルであり;
は、置換または非置換C〜C−シクロアルキル;非置換あるいは低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、低級−アルキルアミノ、カルバモイル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、低級アルキルチオ、低級アシルオキシまたはハロゲンによりモノ−またはジ置換されたフェニル;ピリジル、ピリミジル、ピリル(pyrryl)、イミダゾリル、インドリル、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフラニル、オキサゾリル、チアゾリル;または低級アルキルであり;
Aは、非置換または低級アルキルによって置換されたC〜C−アルキレンであり;
qは1または2であり;
Rは、ハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシまたはシアノによってモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルキル;
それぞれ非置換あるいはハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシまたはシアノによってモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルケニルまたはC〜C−アルキニルである〕
の化合物;
およびそれらの薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩である。
【0063】
本発明は、特に、式I
〔式中、
は水素、低級アルキル、またはフェニル低級アルキルであり;
は水素または低級アルキルであり;
は、非置換あるいは低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、低級−アルキルアミノ、カルバモイル、トリフルオロメチル、低級アルキルチオ、またはハロゲンによりモノ置換されたフェニル;ピリジルまたは低級アルキルであり;
Aは、非置換または低級アルキルによって置換されたC〜C−アルキレンであり;
qは1または2であり;
Rは、ハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシまたはシアノによりモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルキル;
非置換C〜C−アルケニルまたは非置換C〜C−アルキニルである〕
の化合物;
およびそれらの薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩に関する。
【0064】
特に、式I
〔式中、
は、水素、低級アルキル、またはフェニル低級アルキルであり;
は水素であり;
は、低級アルコキシまたはハロゲンによりモノ置換されたフェニル;あるいは低級アルキルであり;
AはC〜C−アルキレンであり;
qは1であり;
Rは、ハロゲンによりモノ−またはトリ置換されたC〜C−アルキル;非置換 C〜C−アルケニルまたは非置換C〜C−アルキニルである〕
の化合物;
およびそれらの薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩が好ましい。
【0065】
一つの好ましい本発明の実施態様は、式I
〔式中、
は水素であり;
は水素であり;
は、低級アルコキシまたはハロゲンによりモノ置換されたフェニルであり;
AはC〜C−アルキレンであり;
qは1であり;
Rは二重結合が末端に位置する非置換C〜C−アルケニル;または三重結合が末端に位置する非置換C〜C−アルキニルである〕
の化合物;
およびそれらの薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩に関する。
【0066】
もう一つの本発明の好ましい実施態様は、式I
〔式中、
は水素であり;
は水素であり;
は、低級アルコキシまたはハロゲンによりモノ置換されたフェニルであり;
Aは、メチレンまたはエチレンであり;
qは1であり;
Rは、ハロゲンにより末端がモノ置換された非分枝鎖C〜C−アルキルである〕
の化合物;および薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩に関する。
【0067】
非常に好適なものは、式I
〔式中、
は水素、低級アルキル、またはフェニル低級アルキルであり;
は水素であり;
は、非置換もしくは低級アルキルによって置換されたC〜C−シクロアルキル;
非置換、または低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ−低級アルキルアミノ、カルバモイル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、低級アルキルチオ、低級アシルオキシ、ハロゲン、トリアゾリル、イミダゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラゾリル、ピロリル、フリル、チエニル、モルホリニル低級アルキル、キノリニル低級アルキル、イミダゾリル低級アルキル、トリアゾリル低級アルキルによりモノ−もしくはジ置換されたフェニル;
それぞれ非置換または低級アルキルもしくはハロゲンによって置換されたピリジル、ピリミジル、ピリル、イミダゾリル、インドリル、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフラニル、オキサゾリル、チアゾリル;
非置換もしくは低級アルキルによって置換されたならびにピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペラジニルおよびテトラヒドロピラニルからなる群から選択されるヘテロシクリルであり;
Aは、メチレンまたはエチレンであり;
qは1であり;
Rは、ハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、C〜C−シクロアルキルあるいはO、SおよびNからなる群から選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む、非置換または低級アルキルによって置換されたC〜C−ヘテロアリールによりモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルキル;
それぞれ非置換あるいはハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシ、シアノによりモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルケニルまたはC〜C−アルキニル;O、SおよびNからなる群から選択される1または2個のヘテロ原子を含む、非置換または低級アルキルによって置換されたC〜C−シクロアルキルまたはC〜C−ヘテロアリールである〕
の化合物;
およびそれらの薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体および薬学的に許容される塩である。
【0068】
さらに好ましい本発明の実施態様は、式I
〔式中、
は、水素、低級アルキル、またはフェニル低級アルキルであり;
は水素であり;
は、非置換あるいは低級アルキル、低級アルコキシ、ジ−低級アルキルアミノ、ハロゲン、トリアゾリル、イミダゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラゾリル、ピロリル、フリル、チエニル、モルホリニル低級アルキル、キノリニル低級アルキル、イミダゾリル低級アルキル、トリアゾリル低級アルキルによりモノ−またはジ置換されたフェニル;
非置換またはハロゲンにより置換されたピリジル;
非置換であって、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペラジニルおよびテトラヒドロピラニルからなる群から選択されるヘテロシクリルであり;
Aはメチレンであり;
qは1であり;
Rは、二重結合が末端に位置する非置換C〜C−アルケニル;三重結合が末端に位置する非置換C〜C−アルキニル;あるいはハロゲンにより末端がモノ置換もしくはトリ置換された、またはフリルもしくはシクロプロピルにより末端がモノ置換された非分枝鎖C〜C−アルキルである〕
の化合物;
および薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体;および薬学的に許容されるその塩に関する。
【0069】
式Iの化合物およびそれらの薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体および薬学的に許容される塩は、それ自体既知の工程、例えば下記の反応により製造される。
a)式II
【化2】

〔式中、
R、q、RおよびRは、上記式Iの化合物で定義したものであり、黒丸は該化合物がポリマー樹脂に結合していることを示し、化合物中に存在する遊離の官能基は、必要であれば、容易に除去できる保護基により保護されている〕
の化合物を、適当な溶媒、例えばテトラヒドロフラン中で、最初にトリフェニルホスフィン、構造III
【化3】

〔式中、
AおよびRは上記式Iの化合物で定義したものである〕
のアルコールおよびジエチルアゾジカルボキシラートと反応させ、この化合物中の遊離の官能基は、必要であれば、容易に除去できる保護基により保護されており、また潜在的な官能性に基づいて、その官能基へと変換され得る形態であり、次いでさらなる反応によりポリマー樹脂のからの反応生成物をトリフルオロ酢酸で、適当な溶媒、例えばジクロロメタン中で切断すること、あるいは
【0070】
b)式IV
【化4】

〔式中、
R、q、A、R、RおよびRは、上記式Iの化合物で定義したものであり、化合物中に存在する遊離の官能基は、必要であれば、容易に除去できる保護基により保護されている〕
の化合物を、適当な溶媒、例えばジクロロメタン中で、最初にジメチルホルムアミド中塩化オキザリルと、次いで水およびテトラヒドロフラン中ヒドロキシアミンと反応させること、あるいは
【0071】
c)式V
【化5】

〔式中、
R、q、A、R、RおよびRは、上記式Iの化合物で定義したものであり、化合物中に存在する遊離の官能基は、必要であれば、容易に除去できる保護基により保護されている〕
の化合物を、適当な溶媒、例えば酢酸エチルエステル中で、塩酸と反応させること
ならびに、工程a)、b)またはc)を実施後、存在する保護基を除去することおよび、必要であれば、式Iどおりの最終的な形態に官能基を変換し、塩の製造に必要であれば、得られる遊離の式Iの化合物を塩に変換し、または遊離の化合物の製造に必要であれば、得られる式Iの化合物の塩を遊離の化合物に変換すること。
【0072】
工程b)およびc)において、RおよびRが共に同時に水素である式Iの化合物が好ましい。
上記の工程は、下記においてさらに詳細に記述される:
式Iの最終物質は、他の式Iの最終物質の製造のための出発物質における保護基として使用され得る置換基を含み得る。文脈から明らかでない限りは、この文脈における“保護基”は、したがって、特に所望の式Iの最終物質の構成要素ではない容易に除去できる基のみである。
【0073】
保護基、それらの導入およびそれらの除去は、例えば、in “Protective Groups in Organic Chemistry", Plenum Press, London, New York 1973, and in "Methoden der organischen Chemie" [Methods of Organic Chemistry], Houben-Weyl, 4th Edition, Volume 15/1, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart 1974 and in T. W. Greene, "Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley & Sons, New York 1981.容易に、すなわち望ましくない副反応、例えば加溶媒分解、還元、光分解が起こることなく、または生理学的条件下でも除去できることが保護基の特性である。
【0074】
式IIの出発物質における遊離の官能基の保護は、概して必要でない。所望により、式II、III、IVまたはVの化合物のR、R、RまたはRにおける遊離のカルボキシルまたはアミノ基は、保護された形態で存在し得る。しかしながら、特に脱離基、例えばハロゲンまたはトルエンスルホネートのような官能基は、また、潜在的な官能性の原理に基づいて、式Iの1つの官能基に変換され得る形態で存在し得る。したがって、例えばR中に組み込まれた保護されたアミノ基は、最初にアミノ−保護基を除去することによりフリーとなり、次いでその遊離のアミノ基をそれ自体既知の方法でアジドを経由してハロゲンに変換され得る。
【0075】
保護されたアミノ基は、例えば、容易に除去できるアシルアミノ、アリールメチルアミノ、エーテル化されたメルカプトアミノまたは2−アシル−低級−1−アルケニル−アミノ基であり得る。
【0076】
対応するアシルアミノ基において、アシルとは、例えば、例えば18個以下の炭素原子、特に非置換または例えばハロゲンもしくはアリールにより置換されたアルカンカルボン酸を有する有機カルボン酸、あるいは非置換またはハロゲン、低級アルコキシもしくはニトロにより置換された安息香酸、あるいは炭酸エステルのアシル基である。このようなアシル基は、例えば、ホルミル、アセチルまたはプロピオニルのような低級アルカノイルであるか、2−ハロアセチル、特に2−クロロ−、2−ブロモ−、2−ヨード−、2,2,2−トリフルオロ−または2,2,2−トリクロロアセチルのようなハロ−低級アルカノイルであるか、非置換あるいは例えばハロゲン、低級アルコキシまたはニトロにより置換されたベンゾイル、例えばベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−メトキシベンゾイルまたは4−ニトロベンゾイルであるか、あるいは低級アルキル基の1位において分枝鎖であるまたは1もしくは2位で適当に置換されている低級アルコキシカルボニル、特にtert−低級アルコキシカルボニル、例えばtert−ブトキシカルボニル、1もしくは2個のアリール基を有するアリールメトキシカルボニルであり、該アリール基は、好ましくは非置換または例えば低級アルキル、特にtert−ブチルのようなtert−低級アルキル、メトキシのような低級アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、例えば塩素、および/またはニトロによってモノ−もしくはポリ置換されたフェニルであり、例えば非置換または置換ベンジルオキシカルボニル、例えば4−ニトロ−ベンジルオキシカルボニルあるいは非置換または置換ジフェニルメトキシカルボニル、例えばベンゾヒドリルオキシカルボニルまたはジ−(4−メトキシフェニル)−メトキシカルボニル、アロイルメトキシカルボニルであり、ここでアロイル基は、好ましくは、非置換または臭素のようなハロゲンにより置換されたベンゾイル、例えばフェナシルオキシカルボニル、2−ハロ−低級アルコキシカルボニル、例えば2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−ブロモエトキシ-カルボニルもしくは2−ヨードエトキシカルボニル、または2−(トリ置換シリル)−エトキシカルボニルであり、ここで互いの置換基は、独立に、それぞれ15個以下の炭素原子を有し、非置換または低級アルキル、低級アルコキシ、アリール、ハロゲンもしくはニトロにより置換された脂肪族、芳香脂肪族(araliphatic)、環式脂肪族または芳香族炭化水素基であって、例えば対応する非置換または置換低級アルキル、フェニル低級アルキル、シクロアルキルまたはフェニルであり、例えば2−トリメチルシリル−エトキシ−カルボニルもしくは2−(ジ−N−ブチル−メチル−シリル)−エトキシカルボニルのような2−トリ−低級アルキルシリルエトキシカルボニル、または2−トリフェニルシリルエトキシカルボニルのような2−トリアリールシリル−エトキシカルボニルである。
【0077】
モノ−、ジ−または特に、トリアリールメチルアミノであるアリールメチルアミノ基において、アリールは、特に、置換または非置換フェニル基である。このような基は、例えば、ベンジル−、ジフェニルメチル−および特に、トリチルアミノである。
【0078】
このような基で保護されたアミノ基におけるエーテル化メルカプト基は、特に、アリールチオまたはアリール低級アルキルチオであり、ここでアリールは、特に、非置換または、例えばメチルもしくはtert−ブチルのような低級アルキル、メトキシのような低級アルコキシ、塩素のようなハロゲン、および/またはニトロにより置換されたフェニルである。対応するアミノ保護基は、例えば4−ニトロフェニルチオである。
【0079】
アミノ保護基として使用され得る2−アシル−低級−1−アルケン−1−イル基において、アシルは、例えば、低級アルカンカルボン酸、非置換または例えばメチルのような低級アルキルまたはメトキシのようなtert−ブチル低級アルコキシ、塩素のようなハロゲン、および/またはニトロにより置換された安息香酸あるいは、特に、炭酸低級アルキルエステルのような炭酸エステルの対応する基である。対応する保護基は、特に、1−低級アルカノイル−1−プロペン−2−イル、例えば1−アセチル−1−プロペン−2−イル、または1−低級アルコキシ-カルボニル−1−プロペン−2−イル、例えば1−エトキシカルボニル−1−プロペン−2−イルである。
【0080】
好ましいアミノ保護基は、炭酸エステルのアシル基、特にtert−ブトキシカルボニル、非置換もしくは置換ベンジルオキシカルボニル、例えば定義されているように、例えば4−ニトロ−ベンジルオキシカルボニル、またはフェニルメトキシカルボニルあるいは2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルのような2−ハロ−低級アルコキシカルボニル、およびさらにトリチルまたはホルミルである。
【0081】
好ましい保護カルボキシル基は、例えば、非置換または置換tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたはジフェニルメトキシカルボニルあるいは2−トリメチルシリル−エトキシカルボニルである。
【0082】
式IIの誘導体と式IIIのアルコールとの反応は、適当な不活性溶媒中で行われ得る。しかしながら、可能であれば、式IIIのアルコールの物理的特性に基づき、該反応は、また、他の溶媒なしに行われ得、式IIIのアルコールは、反応剤および溶媒の両方として、過剰量、例えば等量の100倍量で使用される。反応を振盪または撹拌下で、アルゴンまたは窒素雰囲気下で実施し得る。特定の反応剤の性質に従い、反応を0℃から90℃の間、好ましくは+20℃から+60℃の間、例えば室温または50℃で行う。所望により高圧反応容器(high pressure tube)中で行う。例えば12から24時間後、さらにトリフェニルホスフィン、ジエチルアゾジカルボキシラートおよび式IIIのアルコールを加え得る。最初の反応段階の生成物をろ取し、テトラヒドロフラン、アルコール(例えば2−プロパノール)、およびジクロロメタンで洗浄する。ポリマー樹脂からの生成物の切断は、ジクロロメタン中トリフルオロ酢酸で15〜30分間、20℃〜50℃、例えば室温または30℃で反応生成物を処理することにより達成される。
【0083】
式Vの化合物の切断反応は、酢酸エチルエステルまたはテトラヒドロフランのような適当な不活性溶媒中において行われ得る。溶媒は、また、溶媒の水が反応剤にもなり得る場合には式Vの化合物の溶解性に依存して、純水または水と他の溶媒との混合物であり得る。反応は、通常、室温で行われるが、式Vの化合物の反応性によって、0℃〜100℃の温度で行われ得る。通常、切断反応は塩酸で行われ得るが、他のブレンステッド酸およびルイス酸、例えば臭化水素水、希硫酸、p−トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素または金属陽イオンも、代わりに使用され得る。
【0084】
式Iの所望の最終生成物の構成要素ではない保護基は、それ自体既知の方法、例えば加溶媒分解(特に加水分解、加アルコール分解または加酸分解)、または還元(特に水素添加分解または化学的還元)により、必要であれば複数の段階または同時に除去される。保護基の除去をポリマー樹脂から生成物を切断するより前、後または同時に行うことができる。
【0085】
保護されたアミノ基は、それ自体既知の方法で、および保護基の性質にしたがって、異なる方法で、好ましくは加溶媒分解または還元によって遊離になる。2−ハロ−低級アルコキシカルボニルアミノ(適切な場合には、2−ブロモ−低級アルコキシカルボニルアミノを2−ヨード−低級アルコキシカルボニルアミノに変換した後に)、アロイル-メトキシカルボニルアミノまたは4−ニトロベンジルオキシカルボニルアミノを、例えば、適当なカルボン酸、例えば酢酸水溶液の存在下で、適当な化学還元剤、例えば亜鉛、を用いて処理することによりはずすことができる。アロイルメトキシカルボニルアミノを、また、求核剤、好ましくはチオフェノレートのような塩形成試薬(salt-forming reagent)を用いて処理することによりはずすことができ、4−ニトロ−ベンジルオキシカルボニルアミノを、また、亜ジチオン酸塩、例えば亜ジチオン酸ナトリウム、を用いて処理することによりはずすことができる。置換または非置換ジフェニル−メトキシカルボニルアミノ、tert−低級アルコキシカルボニルアミノまたは2−トリ置換シリルエトキシ−カルボニルアミノを適当な酸、例えばギ酸またはトリフルオロ酢酸を用いて処理することによりはずすことができ、置換または非置換ベンジルオキシカルボニルアミノを、例えば水素添加分解、すなわち適当な水素触媒、例えばパラジウム触媒、の存在下で、水素で処理することによりはずすことができ、そしてトリアリールメチルアミノまたはホルミルアミノを、例えば、鉱酸のような酸、例えば塩酸、または有機酸、例えばギ酸、酢酸もしくはトリフルオロ酢酸で処理することにより、適切であれば水の存在下ではずすことができ、そして有機シリル基により保護されたアミノを、例えば加水分解または加アルコール分解により遊離にすることができる。2−ハロアセチル、例えば2−クロロアセチルにより保護されたアミノ基を、塩基の存在下でチオウレアで、または尿素のチオラート塩、例えばアルカリ金属チオラートで処理し、次いで形成された縮合体の加溶媒分解(加アルコール分解または加水分解)により遊離にすることができる。2−置換シリルエトキシカルボニルによって保護されたアミノ基を、また、フッ素陰イオンを供給するフッ化水素酸で処理することにより遊離のアミノ基に変換することができる。
【0086】
式IIの出発物質は以下のように得られる:
第一の段階において、式VI
【化6】

〔式中、
およびRは、上記式Iの化合物で定義したものである〕
の化合物を、O−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム−テトラフルオロボレート(TPTU)、O−(3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン−3−イル)−N,N,N’,N’−テトラ-メチルウロニウム−テトラフルオロボレート(TDBTU)またはO−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N,N,N’,N’−ビス(テトラメチレン)−ウロニウム−ヘキサフルオロホスフェートのような縮合剤と、ジメチルアセトアミドおよび適当なアミン、例えばN−エチルジイソプロピルアミンの存在下で、ジクロロメタンのような適当な溶媒中で反応させ、次いで室温で、アミノオキシ−2−クロロトリチルポリスチレン樹脂と反応させる。樹脂を単離し、新たに調製したジクロロメタン/ピペリジン溶液とともに15〜60分、例えば30分間に2、3回振盪すると、式VII
【化7】

〔式中、
黒丸は該化合物がポリマー樹脂に結合していることを示し、RおよびRは上記式Iの化合物で定義したものである〕
の化合物を供する。
【0087】
およびRが共に水素である場合、好ましくは第一の段階を次のように行う:
アミノオキシ−2−クロロトリチルポリスチレン樹脂をジクロロメタンのような適当な溶媒中で、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物および1,3−ジイソプロピルカルボジイミドの存在下で、RおよびRが共に水素である式VIの化合物と混合し、次いで得られる混合物を室温で、N−エチル−ジイソプロピルアミンで処理する。得られる樹脂を単離し、新たに調製したジクロロメタン/ピペリジン溶液と共に15〜45分、例えば20分間振盪すると、黒丸は該化合物がポリマー樹脂に結合していることを示し、RおよびRが共に水素である式VIIの化合物を供する。
【0088】
第二の段階において、式VIIの化合物を式VIII
【化8】

〔式中、Rおよびqは、上記式Iの化合物で定義したものであり、Yは適当には脱離基、好ましくは塩素、臭素またはヨウ素のようなハロゲンである〕
の化合物と、所望により4−ジメチルアミノピリジンおよび適当なアミン、例えばN−エチルジイソプロピルアミンの存在下で、適当な溶媒、例えばジクロロメタン中で反応させる。
【0089】
式Vの出発物質は次のように得られる:
第一の段階において、式IX
【化9】

〔式中、Rは上記式Iの化合物で定義したものであり、Rは水素または低級アルキルであり、Dは非置換または低級アルキルにより置換されたC〜C−アルキレンである〕
の化合物を、適当な溶媒、例えばメチレンクロリド中で、−10℃〜+15℃、好ましくは0℃〜+5℃の間の温度で、式X
【化10】

〔式中、
およびRは、上記式Iの化合物で定義したものであり、Rはメチルまたはエチルである〕
の化合物と、トリエチルアミンまたは他の適当なアミンおよびMgSOの存在下で反応させると、式XI
【化11】

〔式中、
、RおよびRは上記式Iの化合物で定義したものであり、Rは水素または低級アルキルであり、Rはメチルまたはエチルであり、DはC〜C−アルキレンである〕
の化合物を与える。
【0090】
第二の段階において、式XIの化合物を水素化ホウ素ナトリウムと、適当な溶媒、例えばテトラヒドロフランおよびメタノールの混合液中で、−15℃〜5℃、好ましくは−10℃〜0℃の間の温度で、または他の水素供与性試薬と反応させると、式XII
【化12】

〔式中、
A、R、RおよびRは上記式Iの化合物で定義したものであり、Rはメチルまたはエチルである〕
の化合物を与える。
【0091】
第三の段階において、式XIIの化合物を式VIII'
【化13】

〔式中、
R’は水素であり、qは上記式Iの化合物で定義したものであり、Yは適当な脱離基、好ましくは塩素、臭素またはヨウ素のようなハロゲンである〕
の化合物と、適当な溶媒、例えばジクロロメタン中で、適当なアミン、例えばトリエチルアミンの存在下で反応させると式XIII
【化14】

〔式中、R’は水素であり、q、A、R、RおよびRは上記式Iの化合物で定義したものであり、Rはメチルまたはエチルである〕
の化合物を与える。R’が水素である式VIII'の化合物は、ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を塩化チオニルとジメチルホルムアミドまたは他の適当な溶媒中で、60℃〜70℃、好ましくは65℃で反応させることにより製造され得る。
【0092】
第四の段階において、式XIIIの化合物を式XIV
【化15】

〔式中、
Rは上記式Iの化合物で定義したものであり、Yは適当な脱離基、好ましくは塩素、臭素またはヨウ素のようなハロゲンである〕
の化合物と、KCOの存在下で、室温で、適当な溶媒、例えばジメチルホルムアミド中で反応させると、式XV
【化16】

〔式中、
R、q、A、R、RおよびRは上記式Iの化合物で定義したものであり、Rはメチルまたはエチルである〕
の化合物を与える。
【0093】
第五の段階において、式XVの化合物を、さらに、アルカリ金属水酸化物ヒドロキシド、例えばLiOHと、適当な溶媒または溶媒の混合物、例えばテトラヒドロフラン、アルコールおよび水の混合物中で反応させると、R、q、A、R、RおよびRが上記式Iの化合物で定義したものである式IVの化合物を与える。
【0094】
第六の段階において、式IVの化合物を式XVI
【化17】

の化合物および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドのようなカルボジイミドと、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で、ジメチルホルムアミドのような適当な溶媒中で、−5℃〜+10℃、好ましくは0℃〜5℃の間の温度で反応させると、R、q、A、R、RおよびRが上記式Iの化合物で定義したものである式VIの化合物を与える。
【0095】
式VIII'の化合物を、上述のように式XIIの化合物と反応させる前に、式XIVの化合物と反応させることもできる。
【0096】
一般的な工程の条件:
該工程により得られ、塩形成特性を有する遊離の式Iの化合物は、それ自体既知の方法、例えば酸または適当なその誘導体で処理することにより、例えば当該酸を適当な溶媒、例えば環状エーテルのようなエーテル、特にジオキサン、およびとりわけテトラヒドロフラン中に溶解させた式Iの化合物に加えることにより、その塩に変換することができる。酸性基、例えば遊離のカルボキシル基を有する式Iの化合物を、塩形成のために、例えば適当な塩基、例えば水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩で処理する。
【0097】
本発明にしたがって得られる異性体混合物は、それ自体既知の方法により個々の異性体に分離される。例えば、ラセミ体は光学的に純粋な塩形成試薬と塩を形成し、このようにして得られる立体異性体混合物を製造することにより、例えば分別結晶作用により分離され得る。
【0098】
上記の反応は、それ自体既知の反応条件下で、溶媒または希釈剤であって、好ましくは使用される試薬に対して不活性であり、これらを溶解させるものの不存在または、通常、存在下で、触媒、縮合剤(例えば五酸化リン)または中和剤、例えば塩基、特にトリエチルアミン塩酸塩のような窒素塩基の不存在または存在下で、反応および/または反応共存物質(reaction participants)の性質に依存して、低温、常温または高温で、例えば−80℃〜約200℃、好ましくは約−20℃〜約150℃、例えば使用される溶媒の沸点または室温で、常圧で、または適当な場合には加圧下密閉容器中で、および/または不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で行い得る。
【0099】
それぞれの場合に特に記載されている反応条件が好ましい。
【0100】
溶媒および希釈剤、例えば水、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノールもしくは特に、ブタノールのような低級アルキルヒドロキシド、エチレングリコールのようなジオール類、グリセロールのようなトリオール類、またはフェノールのようなアリールアルコール類、酸アミド類、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドもしくは1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)のようなカルボン酸アミド、カルボン酸類、特にギ酸または酢酸、ヘキサメチルリン酸トリアミドのような無機酸のアミド、エーテル類、例えばテトラヒドロフランもしくはジオキサンのような環状エーテル、またはジエチルエーテルもしくはエチレングリコールジメチルエーテルのような非環状エーテル類、ハロ−低級アルカンのようなハロゲン化された炭化水素類、例えば塩化メチレンもしくはクロロホルム、アセトンのようなケトン類、アセトニトリルのようなニトリル類、無水酢酸のような酸無水物類、酢酸エチルのようなエステル類、ジメチルスルホキシドのようなビスアルカンスルフィン類、ピリジンのような含窒素複素環式化合物、炭化水素類、例えばヘプタンのような低級アルカン類、またはベンゼン、トルエンもしくはキシレン(類)のような芳香族あるいはこれらの溶媒の混合物であり、上記の反応のそれぞれの場合において適当な溶媒を選択することができる。
【0101】
得られる式Iの化合物またはそれらの塩の後処理に、例えば次の通常のプロセスが用いられる。
過剰の試薬の加溶媒分解;再結晶;クロマトグラフィー、例えば分配、イオンまたはゲルクロマトグラフィー、特に分取的高速液体クロマトグラフィー;非有機および有機溶媒間での分配;特に塩内容物の酸性化または塩基性を増大させた後に、1または数回の抽出;吸湿性の塩での乾燥;温浸(digestion);ろ過;洗浄;溶解;エバポレーション(必要であれば真空または高度の減圧下で);蒸留;例えば、オイルの形態または母液から得られる化合物の結晶化(生成物のため、最終生成物の結晶を用いて種晶とすることも可能);あるいは上述の後処理の2またはそれ以上の組み合わせ(繰り返して行うことも可能)
【0102】
出発物質および中間体は、例えば直前に記載した後処理後の不純物のない形態で、部分的に生成された形態で、または他の形態で、例えば、粗生成物として直接使用され得る。
【0103】
式Iの化合物の遊離型と塩の形態との間の密接な関係の結果として、上記および下記の遊離型の化合物およびそれらの塩は、本明細書中の適切な場所において、該化合物が塩形成基を含む場合に対応する塩または遊離型の化合物を意味するものとしても適切にかつ便宜上理解されるべきである。
【0104】
化合物(それらの塩を含む)を水和物の形態で得ることもでき、それらの結晶は、例えば、結晶化に使用した溶媒を含み得る。
【0105】
特に価値のある上記の新規の式Iの化合物になるそれらの出発物質は、好ましくは、本発明のプロセスにおいて使用される。
【0106】
本発明は、また、任意の工程の段階の中間体として入手可能な化合物を出発物質として使用し、残りの工程を行うか、または出発物質を反応条件下で作り、誘導体、例えばその塩の形成に使用する方法の実施態様に関する。
【0107】
本発明は、また、式II
【化18】

〔式中、
R、q、RおよびRは、上記式Iの化合物で定義したものであり、黒丸は該化合物がポリマー樹脂に結合していることを示し、遊離の官能基は、必要であれば、容易に除去できる保護基により保護されている〕
の化合物に関するものであり、該化合物は式Iの化合物を製造するための出発物質として使用され得る。
【0108】
本発明は、また、式IV
【化19】

〔式中、
R、q、A、R、RおよびRは上記式Iの化合物で定義したものであり、化合物中に存在する遊離の官能基は、必要であれば、容易に除去できる保護基により保護されている〕
の化合物に関するものであり、該化合物は式Iの化合物を製造するための出発物質として使用され得る。
【0109】
本発明は、また、式V
【化20】

〔式中、
R、q、A、R、RおよびRは上記式Iの化合物で定義したものであり、化合物中に存在する遊離の官能基は、必要であれば、容易に除去できる保護基により保護されている〕
の化合物に関するものであり、該化合物は式Iの化合物を製造するための出発物質として使用され得る。
【0110】
本発明は、また、式VIII
【化21】

〔式中、
Rは上記式Iの化合物で定義したものまたは水素であり、qは上記式Iの化合物で定義したものであり、Yはハロゲンであり、化合物中に存在する遊離の官能基は、必要であれば、容易に除去できる保護基により保護されている〕
の化合物に関するものであり、該化合物は式Iの化合物を製造するための出発物質として使用され得る。
【0111】
本発明は、また、マトリックスメタロプロテイナーゼ、例えば、ストロメライシン、ゼラチナーゼおよびマクロファージメタロエラスターゼの阻害のための、組織マトリックス分解の阻害のための、および本明細書に記載のような、例えば、炎症、リウマチ様関節炎、骨関節症、また腫瘍(腫瘍増殖、転移、進行または浸潤)、肺疾患(例えば気腫)、および本明細書に記載のもの等のようなマトリックスメタロプロテイナーゼ依存的疾病の処置のための、本発明の化合物および薬学的に許容されるその塩、または医薬組成物の哺乳動物における使用法に関する。腫瘍(癌)は哺乳動物の乳、肺、膀胱、大腸、前立腺および卵巣癌、およびメラノーマおよびカポジ肉腫を含む皮膚癌を含む。
【0112】
さらに、本発明は、処置を必要とするヒトを含む温血動物に、選択的MMP2阻害剤または薬学的に許容される塩、あるいはこのような選択的MMP2阻害剤の薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体の治療上の有効量を投与することを含むMMP2関連疾病または疾患であって、とりわけ本明細書中に記載したものを処置する方法に関する。
【0113】
特に、本発明は、処置を必要とするヒトを含む温血動物に、選択的MMP2阻害剤または薬学的に許容される塩、あるいはこのような選択的MMP2阻害剤の薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体の過増殖性疾患に対する治療上の有効量を投与することを含むMMP2関連過増殖性疾患であって、特に本明細書中に記載したものおよびさらに特に腫瘍疾患を処置する方法に関する。
【0114】
本明細書中で使用する“選択的MMP2阻害剤”の語は、本明細書に記載した方法により測定されるようにMMP2酵素の阻害濃度IC50よりも少なくとも100倍以上高いMMP1酵素の阻害濃度IC50を示す化合物を意味する。好ましくは、選択的MMP2阻害剤は、MMP2酵素の阻害濃度IC50よりも少なくとも1000倍以上の高いMMP1酵素の阻害濃度IC50を示す。さらに好ましくは、選択的MMP2阻害剤は、MMP2酵素の阻害濃度IC50よりも少なくとも2000倍以上の高いMMP1酵素の阻害濃度IC50を示す。
本明細書中で使用する“非ペプチド”の語は、脂肪族アミンとカルボン酸との間の化学結合を含む部分構造(substructure)を持たない化合物を意味する。
【0115】
さらに、本発明は、処置を必要とするヒトを含む温血動物に、式Iの化合物または薬学的に許容される塩、あるいはこのような化合物の薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体の治療上の有効量を投与することを含むMMP関連疾病または疾患であって、とりわけ本明細書中に記載したものを処置する方法に関する。
【0116】
本発明は、特に、過増殖性疾患、とりわけ腫瘍疾患、および特にMMP2もしくはMT1−MMPの阻害に応答する過増殖性疾患を有するヒトを含む温血動物を処置する方法であって、式Iの化合物もしくは薬学的に許容される塩、または薬学的に許容されるそのプロドラッグ誘導体の過増殖性疾患に対する有効量を投与することを含む方法、あるいはこのような処置のための式Iの化合物の使用に関する。
【0117】
本発明は、また、ヒトを含む温血動物のMMP2もしくはMT1−MMPまたは両方の酵素の阻害における、あるいはヒトまたは動物の治療的処置、特に腫瘍の化学療法における使用のための医薬組成物の製造における式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の使用に関する。
【0118】
人種、年齢、個人の健康状態、投与方式および各自の病像に従って、例えば日に約0.1〜約5g、好ましくは約0.5〜約2gの本発明の化合物の有効投与量を体重約70kgの温血動物に投与する。
【0119】
本発明は、また、局所的、経腸的、例えば経口的もしくは直腸的、または非経腸的投与に適したものであって、無機または有機、固体または液体であり得る薬学的に許容される担体と共に有効量の、とりわけ上記の疾病の1つの処置に有効な量の、有効成分を含む医薬組成物に関する。経口投与のため、希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリセロール、および/または滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸もしくはその塩、例えばステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコールと共に活性成分を含む錠剤またはゼラチンカプセル剤が使用される。錠剤は、また、結合剤、例えばケイ酸アルミニウムマグネシウム、トウモロコシ、小麦もしくは米澱粉のような澱粉、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン、ならびに、所望により、崩壊剤、例えば澱粉、寒天、アルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウム、および/または発泡性混合物、または吸着剤、色素、香味料および甘味料を含み得る。非経腸的に投与可能な組成物の形態または浸出溶液の形態の、薬理学的に活性のある本発明の化合物を使用することも可能である。このような溶液は、好ましくは、例えば活性成分単独または担体(例えば、マンニトール)を共に含む凍結乾燥した組成物の場合に、使用前に調製され得る等張水性溶液または懸濁液である。該医薬組成物は、滅菌され得、および/または賦形剤、例えば保存料、安定剤、湿潤剤、および/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節する塩および/または緩衝液を含み得る。所望により、抗生物質のような他の薬理学的に活性のある物質を含み得る本医薬組成物は、それ自体既知の方法、例えば通常の混合、造粒、調製(confectioning)、溶解または凍結乾燥プロセスにより調製され、約1%〜約95%、とりわけ約1%〜約20%の活性成分(複数を含む)を含む。
【0120】
下記の実施例は、本発明を説明するために供するものであって、その範囲を制限するものではない。温度は摂氏で示す。特記しない限り、全てのエバポレーションは減圧下、好ましくは約15〜100mmHg(=20〜133mbar)の間で行う。最終生成物、中間体および出発物質の構造式は、標準分析法、例えば、微量分析およびスペクトル分析特性(例えば、MS、IR、NMR)により確認する。使用する略語は、当分野で一般的なものである。
【0121】
使用する短縮名称(short name)および略語は下記の意味を有する:
略語:
AcOEt 酢酸エチルエステル
DMA N,N−ジメチルアセトアミド
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキド
ES 電子スプレー
h 時間
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
Me メチル
min 分
MS 質量分析
NMR 核磁気共鳴
r.t. 室温
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TPTU O−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N,N, N‘,N‘−テトラメチルウロニウム−テトラフルオロボレート
WSCD 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイ ミド
【0122】
NMRスペクトルデータの略語
b ブロード
d 二重線
J カップリング定数
m 多重線
q 四重線
s 一重線
t 三重線
ppm 100万分の1
TMS テトラメチルシラン
【実施例】
【0123】
参照実施例1:
【化22】

段階 1.2 の樹脂(90 mg, 〜0.06 mmol)に、アルゴン雰囲気下、乾燥THF(0.5 ml)中トリフェニルホスフィン(238 mg, 0.91 mmol)、続けて4−クロロベンジルアルコール(129 mg, 0.91 mmol)を加える。最後に、ジエチルアゾジカルボキシラート(0.141 ml, 0.91 mmol)を溶媒なしで、ゆっくりと加える。15時間50℃で撹拌した後、その懸濁液をろ過し、樹脂をTHF(2x)で洗浄する。新たな試薬を用いて、その反応を2回繰り返す。そのスラリーをろ過し、樹脂をTHFで2回、2−プロパノールおよびTHFで3回、ジクロロメタンで3回洗浄する。生成物をTFA(95%)/ジクロロメタン 5:95(v/v)の溶液で20分間30℃、樹脂を処理することにより支持体から切断する。ろ過後、2回目の同様の切断を実施する。ろ過および溶媒の除去後に残渣を得、分取HPLCで精製すると、(R)−2−[(4−クロロ−ベンジル)−(4−プロポキシ−ベンゼンスルホニル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−フェニル−プロピオンアミドを与える;
MS (ES+):503 (M+H)+.
【0124】
段階 1.1:ポリマー結合 (R)−2−アミノ−N−ヒドロキシ−3−フェニル−プロピオンアミド
【化23】

N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−D−フェニルアラニン(2.09 g, 5.4 mmol)の乾燥ジクロロメタン/DMA 1:1(20 ml)溶液に、TPTU(1.76 g, 5.94 mmol)およびN−エチルジイソ−プロピルアミン(1.02 ml, 5.94 mmol)を加える。5分間撹拌後、混合液をアミノオキシ−2−クロロトリチルポリスチレン樹脂(2.8 g, 2.7 mmol−Tetrahedron Lett. 1997, 38, 3311−3314)に加え、得られる懸濁液を室温で16時間撹拌する。混合液をろ過し、樹脂をDMAおよびジクロロメタンで3回洗浄する。上記の架橋手順を新たに調製したN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−D−フェニル−アラニン(2.09 g, 5.4 mmol)、TPTU(1.76 g, 5.94 mmol)およびN−エチルジイソプロピルアミン(1.02 ml, 5.94 mmol)のジクロロメタン/DMA 1:1(20 ml)混合液を用いて繰り返す。16時間後その懸濁液をろ過し、樹脂をDMAで2回、HOおよびDMAで2回、2−プロパノールおよびTHFで3回、THFで2回およびジクロロメタンで3回洗浄する。このようにして得られる樹脂を30分間、新たに調製したジクロロメタン/ピペリジン 8:2(25 ml)溶液で振盪する。ろ過後、この工程を新たなジクロロメタン/ピペリジン溶液で2回繰り返す。その懸濁液をろ過し、樹脂をジクロロメタンで2回、2−プロパノールおよびジクロロメタンで2回、ジクロロメタンで3回洗浄し、減圧乾燥するとポリマー結合 (R)−2−アミノ−N−ヒドロキシ−3−フェニル−プロピオンアミドを供する。
【0125】
段階 1.2:ポリマー結合 (R)−N−ヒドロキシ−3−フェニル−2−(4−プロポキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロピオンアミド
【化24】

段階 1.1からの400 mg(〜0.33 mmol)の樹脂に、乾燥ジクロロメタン(2ml)、4−ジメチルアミノピリジン(4 mg, 0.033 mmol)、乾燥ジクロロメタン(1 ml)に溶かした4−プロポキシ−ベンゼンスルホニルクロリド(309.8 mg, 1.32 mmol)およびN−エチルジイソプロピル−アミン(0.28 ml, 1.64 mmol)を連続的に加える。15時間室温で撹拌した後、その懸濁液をろ過し、樹脂をジクロロメタンで3回、DMAおよびHOで2回、0.2Mクエン酸水溶液、DMAおよびHOで2回、2−プロパノールおよびTHFで3回、ジクロロメタンで4回洗浄する。樹脂を減圧下で乾燥させるとポリマー結合 (R)−N−ヒドロキシ−3−フェニル−2−(4−プロポキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロピオンアミドを供する。
【0126】
実施例2から57
実施例1と同様に、実施例2から57のヒドロキサム酸を得る。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0127】
実施例58
段階 58.2の樹脂(70 mg, 〜0.045 mmol)をアルゴン雰囲気下、乾燥ジクロロメタン(0.8 ml)、トリフェニルホスフィン(150 mg, 0.57 mmol)および3−メトキシ−ベンジルアルコール(0.07 ml, 0.56 mmol)で処理する。最後に、ジエチルアゾジカルボキシラート(0.088 ml, 0.56 mmol)を室温で溶媒なしで加える。15時間室温で撹拌後、そのスラリーをろ過し、樹脂をジクロロメタンで3回、2−プロパノールおよびジクロロメタンで3回、ジクロロメタンで3回洗浄する。生成物を、樹脂をTFA(95%)/ジクロロメタン 5:95(v/v)の溶液で処理することにより、支持体から切断する。ろ過および溶媒除去後に得られる残渣を分取HPLCで精製すると、2−{[4−(4−フルオロ−ブトキシ)−ベンゼンスルホニル]−(3−メトキシ−ベンジル)−アミノ}−N−ヒドロキシ−アセトアミドを与える;
MS (ES+):441 (M+H)+.
【0128】
段階 58.1:ポリマー結合 2−アミノ−N−ヒドロキシ−アセトアミド
アミノオキシ−2−クロロトリチル ポリスチレン樹脂(3.0 g, 3.15 mmol)の乾燥ジクロロメタン(30 ml)懸濁液に、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−グリシン(3.40 g, 11.4 mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(1.27 g, 〜8.33 mmol)および1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(1.3 ml, 8.34 mmol)の乾燥ジクロロメタン(20 ml)の混合物を加える。得られる混合液をN−エチルジイソプロピルアミン(1.41 ml, 8.24 mmol)で処理し、室温で15時間撹拌する。ろ過後、樹脂をDMFで2回、HOおよびDMFで3回、THFおよび2−プロパノールで3回、THFで2回、およびジクロロメタンで3回洗浄する。架橋の手順を新たなN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−グリシン(3.03 g, 10.2 mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.26 g, 〜8.23 mmol)、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(1.4 ml, 8.98 mmol)およびN−エチルジイソプロピルアミン(1.41 ml, 8.24 mmol)の乾燥ジクロロメタン(30 ml)を用いて繰り返す。16時間撹拌後、その懸濁液をろ過し、ポリマーを上記のように洗浄する。このようにして得られる樹脂を新たに調製したジクロロメタン / ピペリジン 8:2(100 ml)溶液で処理し、室温で20分間撹拌し、ろ過により分離する。この工程を新たなジクロロメタン/ピペリジン溶液を用いて2回繰り返す。樹脂をジクロロメタンで2回、2−プロパノールおよびジクロロメタンで2回、ジクロロメタンで2回、2−プロパノールで2回洗浄し、減圧乾燥するとポリマー結合 2−アミノ−N−ヒドロキシ−アセトアミドを供する。
【0129】
段階 58.2:ポリマー結合 2−[4−(4−フルオロ−ブトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド
段階 58.1からの樹脂(350 mg, 〜0.3 mmol)に、4−(4−フルオロ−ブトキシ)−ベンゼンスルホニルクロリド(306 mg, 1.15 mmol)の乾燥ジクロロメタン(4 ml)液、およびN−エチルジイソプロピルアミン(0.24 ml, 1.40 mmol)の乾燥ジクロロメタン(4 ml)を連続的に加える。15時間室温で撹拌後、その懸濁液をろ過し、樹脂をジクロロメタンで2回、DMFで2回、HOおよびDMFで3回、THFおよび2−プロパノールで3回、ジクロロメタンで3回洗浄する。樹脂を減圧下で乾燥するとポリマー結合 2−[4−(4−フルオロ−ブトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミドを供する。
【0130】
実施例58と同様に、実施例59から67のヒドロキサム酸を得る。
【表7】

【0131】
実施例68
48.81 g(0.114 mol)の{[ 4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ}−酢酸のCHCl(500 ml)溶液に、19.56 ml(0.228 mol)の塩化オキザリルおよび0.88 ml(0.011 mol)のDMFを0〜5℃、N雰囲気下で滴加する。混合液を0〜5℃で1時間、さらに室温で撹拌する。226 ml(3.42 mol)の50%ヒドロキシアミン水溶液(Aldrich)のTHF(1200 ml)溶液に、新たに調製した上記酸クロリドのCHCl液を45分かけて−10から−5℃でNガス圧を利用してテフロンチューブを通して加える。反応混合液を30分間、−5から0℃で撹拌し、ろ紙を用いてろ過し、不溶性の沈殿物を取り除く。ろ液を水で希釈し、CHClで抽出する。合わせた抽出液を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。生成物をろ取し、エーテルで洗浄すると43.03 gの2−{[4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ}−N−ヒドロキシ−アセトアミドを与える;
NMR(CDCl3):2.2 - 2.35 (m, 2H), 3.69 (s, 2H), 3.76 (t, 2H, J=6Hz), 3.79 (s, 3H), 4.21 (t, 2H, J=6Hz), 4.26 (s, 2H), 6.77 (br s, 1H), 6.85 (d, 2H, J=9.04Hz), 7.03 (d, 2H, J=9.04Hz), 7.15 (d, 2H, J=9.04Hz), 7.78 (d, 2H, J=8.56Hz), 8.82 (br s, 1H).
【0132】
段階 68.1:
77.46 g(0.617 mol)のグリシンメチルエステル塩酸塩のCHCl溶液に、92 ml(0.66 mol)のトリエチルアミン、60 g( 0.44 mol )のp−アニスアルデヒドのCHCl(50 ml)溶液および40 gのMgSOを0〜5℃、N雰囲気下で連続的に加える。18時間室温で撹拌後、反応混合液をセライトろ過し、CHClで洗浄する。ろ液を減圧下で濃縮し、次いで粗生成物の混合液をAcOEtで希釈する。そのAcOEt溶液を再びろ過してトリエチルアミン塩酸塩を除き、ろ液をトルエンで希釈し、減圧下で濃縮する(HOの共沸除去)と、淡黄色の結晶として91.3 gの[(4−メトキシ−ベンジリデン)−アミノ]−酢酸メチルエステルを与える;
NMR(C6D6):3.18 (s, 3H), 3.34 (s, 3H), 4.13 (s, 3H), 6.69 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.70 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.79 (s, 1H).
【0133】
段階 68.2:
91.3 g(0.441 mol)の[(4−メトキシ−ベンジリデン)−アミノ]−酢酸メチルエステルのTHF(500 ml)およびMeOH(1000 ml)溶液に、20 g(0.529 mol)の水素化ホウ素ナトリウムを、−10から0℃で分割して加える。反応混合液を30分間、−10から0℃で撹拌し、飽和NHCl水溶液でクエンチする。氷−水の添加後、混合液を全体の体積の1/4にまで濃縮し、AcOEtで抽出する。合わせた抽出液をHOおよび食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮すると(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステルを与える;
NMR(CDCl3):1.87 (br s, 1H), 3.41 (s, 2H), 3.73 (s, 3H), 3.74 (s, 2H), 3.8 (s, 3H), 6.86 (d, 2H, J=8.56Hz),7.24 (d, 2H, J=8.56Hz).
【0134】
段階 68.3:
30.97g(0.148 mol)の(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステルのジオキサン(200 ml)および水(200 ml)溶液に、25 ml(0.178 mol)のトリエチルアミンおよび43.9g(0.163 mol)の4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニルクロリドのジオキサン(100 ml)溶液を0〜5℃で加える。混合液を室温まで加温し、3時間撹拌する。反応混合液を1N HClで中和し、AcOEtで抽出する。合わせた抽出液をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮すると{[4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ}−酢酸メチルエステルを与える;
NMR(CDCl3):2.25 - 2.35 (m, 2H), 3.56 (s, 3H), 3.75 (t, 2H, J=6.04Hz), 3.79 (s, 3H), 3.9 (s, 2H), 4.2 (t, 2H, J=6.04Hz), 4.39 (s, 2H), 6.84 (d, 2H, J=8.56Hz), 6.99 (d, 2H, J=9.08Hz), 7.16 (d, 2H, J=9.08Hz), 7.83 (d, 2H, J=8.56Hz).
【0135】
段階 68.4:
59.7 g(0.135 mol)の{[4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ}−酢酸メチルエステルのMeOH(500 ml)溶液に、500 mlのTHFおよび200 mlのH2O、11.3gのLiOH:HO(0.27 mol)を0〜5℃で加える。混合液を室温まで加温し、4時間撹拌する。反応混合液を減圧下で濃縮し、HOおよびAcOEtで希釈する。2N HClを用いて0〜5℃で酸性化した後、混合液をAcOEtで抽出する。合わせた抽出液を食塩水で洗浄し、減圧下で濃縮すると{[4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−酢酸を与える;
NMR(CDCl3):2.25 - 2.29 (m, 2H), 3.75 (t, 2H, J=6Hz), 3.79 (s, 3H), 3.91 (s, 2H), 4.19 (t, 2H, J=6Hz), 4.38 (s, 2H), 6.84 (d, 2H, J=8.56Hz), 6.99 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.13 (d, 2H, J=9.04Hz), 7.82 (d, 2H, J=9.04 Hz).
【0136】
実施例69
0.22 gの2−{[4−(4−フルオロブトキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ}−N−(1−エトキシ−1−メチル−エトキシ)アセトアミドのAcOEt(30 ml)溶液を7 mlの5N HCl水溶液で10分間室温で処理し、混合液をAcOEtで抽出する。合わせた抽出液を飽和NaHCO水溶液および食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮すると固体を得、これをエーテルで洗浄すると2−{[4−(4−フルオロブトキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミドを与える;
NMR(CDCl3):1.83 - 2.05 (m, 4H), 3.69 (s, 2H), 3.78 (s, 3H), 4.09 (t, 2H, J=5.56Hz), 4.25 (s, 2H), 4.48 (t, 1H, J=5.52Hz), 4.55 - 4.65 (m, 1H), 6.84 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.00 (d, 2H, J= 9.04Hz), 7.02 (br s, 1H), 7.15 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.77 (d, 2H, J=8.56Hz), 8.85 (br s, 1H).
【0137】
段階 69.1:
31.4 ml(430 mmol)の塩化チオニルおよび0.2 ml(2.58 mmol)のDMF溶液を10 g(43 mmol)の4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩にN雰囲気下で手早く加えた。得られた混合液を65℃で6時間撹拌する。この時間の最後に、流動性の、ほぼ均一系の反応混合液を激しく撹拌しながら氷上に注ぐ。油状の下層が生じ、これを100 mlのCHClに溶かす。水層をCHClで抽出し、合わせた有機性の溶液をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮すると8.19 gの4−ヒドロキシベンゼンスルホニルクロリドを与える;
NMR(CDCl3):5.3 (br s, 1 H), 7.01 (d, 2H, J=9.08Hz), 7.94 (d, 2H, J=9.08Hz).
【0138】
段階 69.2:
8.7g(45.2 mmol)の4−ヒドロキシベンゼンスルホニルクロリドのCHCl(80 ml)溶液に、6.75 g(32.3 mmol)の(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステルのCHCl(20 ml)およびトリエチルアミン(12 ml(79.2 mmol))溶液を0℃で滴加した。得られた混合液を4時間室温で撹拌し、冷却した1N塩酸で中和し、CHClで抽出する。合わせた抽出液を水および食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;AcOEt:CHCl = 50:1〜5:1)で精製すると[(4−ヒドロキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−酢酸メチルエステルを与える;
NMR(CDCl3):3.57 (s, 3H), 3.79 (s, 3H), 3.90 (s, 2H), 4.40 (s, 2H), 5.59 (s, 1H), 6.84 (d, 2H, J=8.6Hz), 6.93 (d, 2H, J=10.64Hz), 7.15 (d, 2H, J=8.6Hz), 7.82 (d, 2H, J=10.64Hz).
【0139】
段階 69.3:
1 g(2.74 mmol)の[(4−ヒドロキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−酢酸メチルエステルおよび1.14 g(8.22 mmol)のKCOのDMF(8 ml)懸濁液に、0.59 ml(5.47 mmol)の1−ブロモ−4−フルオロブタンを室温で滴加する。18時間室温で撹拌後、反応混合液を水で希釈し、AcOEtで抽出する。合わせた抽出液を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(AcOEt:n−ヘキサン = 3:1)で精製すると{[4−(4−フルオロブトキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ}−酢酸メチルエステルを与える;
NMR(CDCl3):1.86 - 1.96 (m, 4H), 3.57 (s, 3H), 3.79 (s, 3H), 3.90 (s, 2H), 4.08 (t, 2H, J=6.04Hz), 4.39 (s, 2H), 4.46 (t, 1H, J=6.04Hz), 4.55 - 4.65 (m, 1H), 6.83 (d, 2H, J=8.56Hz), 6.97 (d, 2H, J=9.08Hz), 7.15 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.82 (d, 2H, J=9.08Hz).
【0140】
段階 69.4:
1.04 g(2.37 mmol)の{[4−(4−フルオロブトキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ− ベンジル)−アミノ}−酢酸メチルエステルのTHF(15 ml)、MeOH(15 ml)および水(7 ml)溶液に、0.24 g(5.7 mmol)のLiOH一水和物を一度に加え、混合液を30分間0〜5℃で撹拌する。さらに3.5時間撹拌した後、反応混合液を1N塩酸で酸性化し、AcOEtで抽出する。合わせた抽出液を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮すると{[4−(4−フルオロ−ブトキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ}−酢酸を与える;
NMR(CDCl3):1.86 - 1.96 (m, 4H), 3.79 (s, 3H), 3.90 (s, 2H), 4.08 (t, 2H, J=5.52Hz), 4.38 (s, 2H), 4.48 (t, 1H, J=6.04Hz), 4.55 - 4.65 (m, 1H), 6.84 (d, 2H, J=8.56Hz), 6.98 (d, 2H, J=9.08Hz), 7.14 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.81 (d, 2H, J=9.08Hz).
【0141】
段階 69.5:
20 g(123 mmol)のN−ヒドロキシフタルイミドのCHCN(360 ml)溶液に、26.42 ml(276 mmol)の2−メトキシプロペンおよび42.36 mg(0.246 mmol)の無水p−トルエン−スルホン酸を室温で一度に加える。1時間撹拌後、混合液を25 mlの飽和NaHCO水溶液で希釈し、減圧下で濃縮する。残渣をEtOAcで抽出し、有機層を水および食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮すると、白色固体として21.84 gの2−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−イソインドール−1,3−ジオンを与える;
NMR(CDCl3):1.57 (s, 6H), 3.61 (s, 3H), 7.75 (dd, 2H, J=5.56Hz, J=3.0Hz), 7.83 (dd, 2H, J=5.56Hz, J=3.0Hz).
【0142】
段階 69.6:
21.8 g(92.8 mmol)の2−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−イソインドール−1,3−ジオンのCHCl(200 ml)およびMeOH(70 ml)溶液に、191.2 ml(191.2 mmol)の1MヒドラジンのTHF液を40分かけて0〜5℃で滴加する。2時間室温で撹拌後、混合液をろ過して不溶性の沈殿を取り除く。ろ液を減圧下で濃縮し、エーテルで抽出する。合わせた抽出液を10%NaOHで洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮するとO−(1−メトキシ−1−メチル−エチル)−ヒドロキシアミンを与える;
NMR( CDCl3 ):1.36 (s, 6H), 3.25 (s, 3H), 4.95 (br s, 2H).
【0143】
段階 69.7:
0.425 g(1 mmol)の所望の{[4−(4−フルオロブトキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ}−酢酸および0.27 g(2 mmol)のHOBTのDMF(4 ml)溶液に、0.116 gのO−(1−メトキシ−1−メチル−エチル)−ヒドロキシアミンのDMF(1 ml)溶液および0.23 gのWSCDを0〜5℃で連続的に加え、混合液を1時間撹拌した。さらに2時間室温で撹拌した後、混合液を水で希釈し、AcOEtで抽出する。合わせた抽出液をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;AcOEt:n−ヘキサン = 1:1)で精製すると2−{[4−(4−フルオロブトキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ}−N−(1−エトキシ−1−メチルエトキシ)アセトアミドを与える;
NMR(CDCl3):1.35 (s, 6H), 1.83 - 2.0 (m, 4H), 3.29 (s, 3H), 3.70 (s, 2H), 3.78 (s, 3H), 4.08 - 4.11 (m, 2 H), 4.32 (s, 2 H), 4.47 - 4.49 (m, 1 H), 4.60 (br s, 1 H), 6.80 - 6.90 (m, 2H), 6.95 - 7.05 (m, 2H), 7.10 - 7.25 (m, 2H), 7.79 (d, 2H, J=9.06Hz), 8.46 (br s, 1H).
【0144】
実施例69と同様に実施例70から76の以下のヒドロキサム酸を得る。
【0145】
実施例70
2−{[4−(4−クロロブトキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ}−N−ヒドロキシ−アセトアミド;
NMR(CDCl3):1.95 - 2.05 (m, 4H), 3.55 - 3.65 (m, 2H), 3.68 (s, 2H), 3.77 (s, 3H), 4.07 (br s, 2H), 4.25 (s, 2H), 6.84 (d, 2H, J=8.56Hz), 6.99 (d, 2H, J=9.04Hz), 7.00 (br s, 1H), 7.15 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.77 (d, 2H, J=9.04Hz), 8.84 (br s, 1 H).
【0146】
実施例71:
{(4−メトキシ−ベンジル)−[4−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)−ベンゼンスルホニル]−アミノ}−N−ヒドロキシ−アセトアミド;
NMR(CDCl3):2.01 - 2.15 (m, 2H), 2.25 - 2.40 (m, 2H), 3.70 (s, 2H), 3.79 (s, 3H), 4.10 (t, 2H, J=6.04Hz), 4.26 (s, 2H), 6.73 (br s, 1H), 6.85 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.01 (d, 2H, J=9.08Hz), 7.15 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.78 (d, 2H, J=9.08Hz), 8.83 (br s, 1H).
【0147】
実施例72:
{[4−(4−フルオロプロポキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ}−N−ヒドロキシ−アセトアミド;
NMR(CDCl3):2.15 - 2.30 (m, 2H), 3.70 (s, 2H), 3.79 (s, 3H), 4.18 - 4.20 (t, 2H, J=6.04Hz), 4.26 (s, 2H), 4.61 (t, 1H, J=5.56Hz), 4.73 (t, 1H, J=5.52Hz), 6.53 (br s, 1H), 6.85 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.03 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.15 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.78 (d, 2H, J=8.56Hz), 8.82 (br s, 1H).
【0148】
実施例73:
[(4−ブタ−3−エン−1−イルオキシ−ベンゼンスルホニル]−(4−メトキシ−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド;
NMR(CDCl3):2.50 - 2.65 (m, 2H), 3.70 (s, 2H), 3.79 (s, 3H), 4.09 (t, 2H, J=7.04Hz), 4.26 (s, 2H), 5.13 - 5.22 (m, 2H), 5.75 - 5.95 (m, 1H), 6.56 (br s, 1 H), 6.84 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.01 (d, 2H, J=9.04Hz), 7.15 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.76 (d, 2H, J=9.04Hz), 8.83 (br s, 1H).
【0149】
実施例74:
2−{[4−(3−クロロプロポキシ)−ベンゼンスルホニル]−ピリジン−3−イルメチル−アミノ}−N−ヒドロキシ−アセトアミド;
NMR(DMSO−d6):2.20 - 2.22 (m, 2H), 3.78 (s , 2H), 3.71 - 3.90 (m, 4 H), 4.22 (s, 2H), 4.51 (s, 2H), 7.17 (d, 2H, J=8.08Hz), 7.84 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.95 (br s, 1H), 8.47 (d, 2H, J=7.08Hz), 8.80 (br s, 1H), 8.87 (s, 1H), 10.97 (br s, 1H).
【0150】
実施例75:
[(4−メトキシ−ベンジル)−[4−プロパ−2−インイルオキシ−ベンゼンスルホニル]−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド;
NMR(CDCl3):3.61 (s, 2H), 3.75 (s, 3H), 4.31 (s, 2H), 4.90 (d, 2H, J=2.0Hz), 6.90 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.10 - 7.20 (m, 4H), 7.85 (d, 2H, J=8.56 Hz), 8.89 (br s, 1H), 10.51 (br s, 1H).
【0151】
実施例76:
[(4−メトキシ−ベンジル)−[4−ブタ−2−インイルオキシ−ベンゼンスルホニル]−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド;
NMR(CDCl3):1.85 (s, 3H), 3.59 (s, 2H), 3.74 (s, 3H), 4.29 (s, 2H), 6.88 (d, 2H, J=8.56Hz), 7.11 - 7.20 (m, 4H), 7.82 (d, 2H, J=9.04Hz), 8.87 (br s, 1H), 10.48 (br s, 1H).
【0152】
実施例77:
0.697g(0.719 mmol)の[4−(3−クロロプロポキシ)−ベンゼンスルホニル]−(2,2−ジメチル−プロピル)−アミノ酢酸エチルエステルおよび0.248g(3.57 mmol)のヒドロキシアミン塩酸塩のMeOH(6 ml)溶液に、新しく調製したMeOH中0.25g(6.247 mmol)のNaHからのNaOMeを0℃で加える。18時間室温で撹拌後、混合液を氷−水に注ぎ、AcOEtで抽出する。合わせた抽出液を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(AcOEt:n−ヘキサン = 3:1)で精製すると2−{[4−(3−クロロプロポキシ)−ベンゼンスルホニル}−(2,2−ジメチル−プロピル)−アミノ−N−ヒドロキシ−アセトアミドを与える;
NMR(CDCl3):0.98 (s, 9H), 2.20 - 2.35 (m, 2H), 2.95 (s, 2H), 3.69 (s, 2H), 3.75 (t, 2H, J=6.12 Hz), 4.20 (t, 2H, J=5.76Hz), 7.03 (d, 2H, J=8.92Hz), 7.06 (br s, 1H), 7.76 (d, 2H, J=8.92Hz), 9.54 (br s, 1H).
【0153】
段階 77.1:
3.5 g(13 mmol)の4−(3−クロロプロポキシ)−ベンゼンスルホニルクロリドのCHCl(100 ml)溶液に、1.62 g(18.56 mmol)のネオペンチルアミンのCHCl(15 ml)溶液および2.59 ml(18.56 mmol)のトリエチル アミンを0〜5℃で滴加する。2.5時間室温で撹拌後、反応混合液を1N塩酸で中和し、AcOEtで抽出する。合わせた抽出液を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮すると4−(3−クロロプロポキシ)−N−(2,2−ジメチル−プロピル)−ベンゼンスルホンアミドを与える;
NMR(CDCl3):0.879 (s, 9H), 2.20 - 2.35 (m, 2H), 2.66 (d, 2H, J=6.88Hz), 3.76 (t, 2H, J=6.28Hz), 4.20 (t, 2H, J=5.84Hz), 4.35 - 4.465 (m, 1H), 6.98 (d, 2H, J=8.88Hz), 7.77 (d, 2H, J=8.88Hz).
【0154】
段階 77.2:
0.197 g(4.93 mmol)のNaHのTHF(10 ml)懸濁液に、1 g(3.13 mmol)の4−(3−クロロプロポキシ)−N−(2,2−ジメチル−プロピル)−ベンゼンスルホンアミドのTHF(10 ml)溶液を0℃で一度に加え、得られる混合液を30分間室温で撹拌する。その溶液に、0.55 ml(4.93 mmol )のブロモ−エチルアセテートを加え、反応混合液を40分間室温で撹拌し、1N塩酸で中和し、AcOEtで抽出する。合わせた抽出液を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(AcOEt:n−ヘキサン = 1:6)で精製すると[4−(3−クロロプロポキシ)−ベンゼンスルホニル]−(2,2−ジメチル−プロピル)−アミノ酢酸エチルエステルを与える;
NMR(CDCl3):0.96 (s, 9H), 1.20 (t, 3H, J=7.0Hz), 2.20 - 2.30 (m, 2H), 3.08 (s, 2H), 3.75 (t, 2H, J=6.24Hz), 4.02 (s, 2H), 4.08 (q, 2H, J=7.0Hz), 4.17 (t, 2H, J=5.82Hz), 6.96 (d, 2 H, J=8.92Hz), 7.76 (d, 2H, J=8.92Hz).
【0155】
実施例78:さらなる中間体
本明細書中に記載の化合物は、式Iの化合物の製造のさまざまな段階において中間体として使用される。
【0156】
78.1:式VIIの化合物
ポリマー結合化合物(R)−2−アミノ−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド、(R)−2−アミノ−N−ヒドロキシ−プロピオンアミドおよび(R)−2−アミノ−N−ヒドロキシ−4−メチル−バレルアミドは、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−D−バリン、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−D−アラニンおよびN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−D−ロイシンおよびアミノオキシ−2−クロロトリチル ポリスチレン樹脂から実施例1・段階 1.1に記載した方法と同様に合成される。
【0157】
78.2:式IIの化合物
ポリマー結合化合物(R)−2−[4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−3−フェニル−プロピオンアミド、(R)−2−[4−(3−フルオロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−3−フェニル−プロピオンアミド、(R)−2−[4−(4−フルオロ−ブトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−3−フェニル−プロピオンアミド、(R)−2−(4−ブタ−3−エン−1−イルオキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−N−ヒドロキシ−3−フェニル−プロピオンアミド、(R)−2−[4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド、(R)−2−[4−(3−フルオロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド、(R)−2−[4−(4−フルオロ−ブトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド、(R)−2−(4−ブタ−3−エン−1−イルオキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド、(R)−2−[4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−プロピオンアミド、(R)−2−[4−(3−フルオロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−プロピオンアミド、(R)−2−[4−(4−フルオロ−ブトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−プロピオンアミド、(R)−2−(4−ブタ−3−エン−1−イルオキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−N−ヒドロキシ−プロピオンアミド、(R)−2−[4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−4−メチル−バレルアミド、(R)−2−[4−(3−フルオロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−4−メチル−バレルアミド、(R)−2−[4−(4−フルオロ−ブトキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−4−メチル−バレルアミドおよび(R)−2−(4−ブタ−3−エン−1−イルオキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−N−ヒドロキシ−4−メチル−バレルアミドを実施例1・段階 1.2に記載の方法と同様に製造し得る。
【0158】
ポリマー結合化合物2−[4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド、2−[4−(3−フルオロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミドおよび2−[4−(ブタ−3−エン−1−イルオキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミドを実施例58・段階 58.2に記載の方法と同様に製造し得る。
【0159】
78.3:式VIIIの化合物
78.3.1:4−(3−クロロプロポキシ) ベンゼンスルホニルクロリド
52.75g(0.265 mol)の(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンのCHCl(100 ml)溶液に、19.4 ml(0.292 mol)のクロロスルホン酸のCHCl(100 ml)溶液を0〜5℃でN雰囲気下で滴加する。混合液を室温まで加温し、2時間撹拌する。その混合液に、29.6 ml(0.345 mol)の塩化オキザリルおよび4 ml(0.052 mol)のDMFを室温で滴加し、混合液を18時間室温で撹拌する。反応混合液を氷−水に注ぎ、CHClで抽出する。合わせた抽出液をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮すると58.5 gの4−(3−クロロプロポキシ) ベンゼンスルホニルクロリドを与える;
NMR(CDCl3):2.26 - 2.36 (m, 2H), 3.76 (t, 2H, J=6.04Hz), 4.24 (t, 2H, J=6.04Hz), 7.06 (d, 2H, J=9.08Hz), 7.98 (d, 2H, J=9.08Hz).
【0160】
段階 78.3.1.1 (3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼン
44g(0.318 mol)のKCOのアセトン(300ml)懸濁液に、15g(0.159 mol)のフェノールおよび18.9 ml(0.191 mol)の1−ブロモ−3−クロロプロパンを室温でN雰囲気下連続的に加える。混合液を6時間加熱還流し、減圧下で濃縮する。 粗生成物混合液を冷却した1N NaOH水溶液で希釈し、AcOEtで抽出する。合わせた抽出液を水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮すると26.25 gの(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼン(収率83%)を与える;
NMR(CDCl3):2.20−2.27 (m, 2H), 3.75 (t, 2H, J=6.04Hz), 4.11 (t, 2H, J=6.04Hz), 6.9−6.97 (m, 3H), 7.25 - 7.31 (m, 2H).
【0161】
78.3.2:4−(3−フルオロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニルクロリド
撹拌したエタノール(15 ml)中の4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸二水和物(3.49 g, 15 mmol)ナトリウム塩混合液を室温で2N NaOH(7.5 ml, 15 mmol)および1−ブロモ−3−フルオロ−プロパン(1.37 ml, 15 mmol)で連続的に処理し、15時間加熱還流する。溶媒の除去後に得られる結晶性の残渣をエタノール / HO(2:1)で粉砕し、0℃に冷却する。生成物をろ取し、冷却したエタノール / HO(2:1)で洗浄し、減圧乾燥すると4−(3−フルオロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホン酸のナトリウム塩を与える。この塩(2.89 g, 11.3 mmol)およびジクロロメタン(5 ml)の混合物を室温でSOCl(5 ml, 68.9 mmol)およびDMF(0.2 ml)で処理する。72時間室温で撹拌後、残渣を氷−水で処理し、水層をジエチルエーテルで2回抽出する。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、減圧濃縮し残渣を減圧乾燥すると、表題の化合物を生じる;
NMR(CDCl3) d:7.98 and 7.04 (AA‘BB‘, 4H), 4.77 (t, 1H), 4.53 (t, 1H), 4.20 (t, 2H), 2.08−2.25 (m, 2H).
【0162】
78.3.3:4−(3−フルオロ−ブトキシ)−ベンゼンスルホニルクロリド
表題の化合物を実施例78.3.2で記載された4−(3−フルオロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニルクロリドの合成と同様に製造する;
NMR(CDCl3) d:7.96 および 7.02 (AA‘BB‘, 4H), 4.64 (t, 1H), 4.40 (t, 1H), 4.11 (t, 2H), 1.73−2.06 (m, 4H).
【0163】
78.3.4:4−(ブタ−3−エニルオキシ)−ベンゼンスルホニルクロリド
撹拌したエタノール(20 ml)中の4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸二水和物(4.65 g, 20 mmol)のナトリウム塩を室温で、2N NaOH(10 ml, 20 mmol)および4−ブロモ−1−ブテン(2.03 ml, 20 mmol)で連続的に処理し、15時間加熱還流する。溶媒を一部蒸留し、残渣を0℃に冷却する。結晶性の生成物をろ取し、冷却した水で洗浄する。ろ液を沈殿が現れるまで減圧濃縮する。水の添加後、懸濁液を0℃に冷却し、ろ過する。残渣を冷却した水で洗浄し、最初の結晶の生成物と合わせ、減圧乾燥すると4−(ブタ−3−エニルオキシ)−ベンゼンスルホン酸のナトリウム塩を生ずる。この塩(2.67 g, 10.7 mmol)およびジクロロメタン(5 ml)の混合物を室温で、SOCl(5 ml, 68.9 mmol)およびDMF(0.2 ml)で処理する。15時間室温で撹拌後、残渣を氷−水で処理し、水層をジエチルエーテルで2回抽出する。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、減圧濃縮し、残渣を乾燥すると表題の化合物を生ずる;
NMR(CDCl3) d:7.96 および 7.02 (AA‘BB‘, 4H), 5.77−5.99 (m, 1H), 5.09−5.26 (m, 2H), 4.11 (t, 2H), 2.51−2.66 (m,2H).
【0164】
実施例79:
4.2 g(7.93 mmol)の2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−N−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−アセトアミド(段階 79.6)のAcOEt(100 ml)溶液に、28 mlの5N塩酸を室温で加える。5分間撹拌後、沈殿をろ取し、減圧乾燥すると無色粉末として2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド−塩酸塩を与える。
H−NMR(400 MHz, DMSO−d6):2.45 - 2.55 (m, 2H), 3.67 (s, 2H), 4.13 (t, 2H, J = 6.56 Hz), 4.41 (s, 2H), 5.09 - 5.22 (m, 2H), 5.90 (m, 1H), 7.10 (d, 2H, J = 9.04 Hz), 7.45 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 7.75 - 7.85 (m, 4H), 8.25 (s, 1H), 9.32 (s, 1H), 10.55 (brs, 1H).
【0165】
段階 79.1:4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
25 g(108 mmol)のp−フェノールスルホン酸ナトリウム塩二水和物のエタノール(100ml)懸濁液に、54 mlの2N水酸化ナトリウム水溶液(160 mmol)および11 ml(108 mmol)の4−ブロモ−1−ブテンを室温で連続的に加える。15時間90℃で加熱還流した後、混合液を0℃に冷却すると沈殿を与え、これをろ取し、冷却した水で洗浄し、減圧乾燥すると4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を与える。
H−NMR(400 MHz, DMSO−d6):2.30 - 2.40 (m, 2H), 3.89 (t, 2H, J = 6.6Hz), 4.92 - 5.07 (m, 2H), 5.70 - 5.80 (m, 1H), 6.72 (d, J = 11.4 Hz, 2H), 7.96 (d, J = 11.4 Hz, 2H).
【0166】
段階 79.2:4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニルクロリド
13 g(62 mmol)の4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩のCHCl(25 ml)懸濁液に、24.1 ml(333mmol)の塩化チオニルおよび0.9 mlのDMFを室温で連続的に加える。15時間室温で撹拌後、反応混合液を氷−水に注ぎ、エーテルで抽出し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮すると4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニルクロリドを与える。
H−NMR(400 MHz, CDCl3):2.55 - 2.65 (m, 2H), 4.14 (t, 2 H, J = 6.6Hz), 5.10 - 5.25 (m, 2H), 5.72 - 5.95 (m, 1H), 7.04 (d, 2H, J = 9.04 Hz), 7.96 (d, 2H, J = 9.04 Hz).
【0167】
段階 79.3:4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンズアルデヒド
6.44ml(60 mmol)のp−フルオロベンズアルデヒドのピリジン(40 ml)溶液に、4.14g(60 mmol)の1,2,4−トリアゾール、0.286g(2 mmol)の酸化銅(I)および9.12g(66 mmol)の炭酸カリウムを室温で連続的に加える。18時間152℃で撹拌後、反応混合液を減圧下で濃縮する。残渣をCHCl3で希釈し、セライトろ過する。ろ液を濃縮し、シリカゲルのフラッシュカラム(溶離液:n−ヘキサン :AcOEt = 4:1 〜 AcOEtのみ 〜 AcOEt :MeOH = 20:1)で精製すると、主生成物として4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンズアルデヒドおよび副生成物として4−[1,3,4]トリアゾール−1−イル−ベンズアルデヒドを与える。
H−NMR(400 MHz, CDCl3):7.61 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 8.09 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 8.59 (s, 1H), 10.10 (s, 1H) (副生成物);7.91 (d, 2H, J = 7.07 Hz), 8.05 (d, 2H, J = 7.07 Hz), 8.16 (s, 1H), 8.69 (s, 1H), 10.07 (s, 1H) (主生成物).
【0168】
段階 79.4:(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジルアミノ)−酢酸エチルエステル
3.5 g(20 mmol)の4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンズアルデヒドおよび4.19 g(30 mmol)のグリシンエチルエステル塩酸塩の(100ml)CHCl溶液に、4.18 ml(30 mmol)のトリエチルアミンおよび過剰量のMgSO(14 g)を室温で連続的に加える。18時間室温で撹拌後、反応混合液をセライトろ過し、減圧下で濃縮する。残渣をAcOEtで希釈し、もう一度ろ過する。ろ液を減圧下で濃縮するとイミン粗生成物を与える。イミン粗生成物のMeOH(12 ml)溶液に、0.756 mg(20 mmol)のNaBHを−10℃で加える。1時間撹拌後、反応液を飽和NHCl水溶液でクエンチし、反応混合液をAcOEtで抽出する。合わせた抽出液を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン:AcOEt = 1:10)で精製すると表題の化合物を与える。
H−NMR(400 MHz, CDCl3):1.29 (t, 3H, J = 7.04 Hz), 1.90 (brs, 1H), 3.43 (s , 2H), 3.88 (s, 2H), 4.21 (q, 2H, J = 7.04 Hz), 7.49 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 7.64 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 8.10 (s, 1H), 8.55 (s, 1H).
【0169】
段階 79.5:[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−酢酸エチルエステル
2 g(7.683 mmol)の(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジルアミノ)−酢酸エチルエステルのジオキサン(15 ml)および水(15 ml)溶液に、2.3 g(9.22 mmol)の4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼン−スルホニルクロリドおよび1.3 ml(9.22 mmol)のトリエチルアミンを0〜5℃で連続的に加える。18時間室温で撹拌後、反応混合液を水で希釈し、AcOEtで抽出する。合わせた抽出液を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製すると表題の化合物を与える。
H−NMR(400 MHz, CDCl3):1.17 (t, 3H, J = 7.04 Hz), 2.55 - 2.65 (m , 2H), 3.95 (s , 2H), 4.07 (t, 2H, J = 7.04 Hz), 4.09 (t, 2H, J = 6.56 Hz), 4.53 (s, 2H), 5.10 - 5.25 (m, 2H), 5.85 - 5.95 (m, 1H), 6.99 (d, 2H, J = 8.04Hz), 7.44 (d, 2H, J = 7.56 Hz), 7.64 (d, 2H, J = 8.04Hz), 7.82 (d, 2H, J = 7.56 Hz), 8.11 (s, 1H), 8.55 (s, 1H).
【0170】
段階 79.6:2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−N−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−アセトアミド
3.61g(7.67 mmol)の[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−酢酸エチルエステルのTHF(38 ml)およびMeOH(38 ml)溶液に、0.966 g(23 mmol)の水酸化リチウム一水和物および水(4 ml)を0〜5℃で加える。3.5時間撹拌後、反応混合液を2N塩酸で、0〜5℃で酸性化し、減圧下で濃縮すると、無色粉末として[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−酢酸を与える。3.76 gの上で製造した酸と1.87 g(13.81 mmol)の1−ヒドロキシベンズトリアゾール(HOBT)のDMF(35 ml)溶液に、1.61g(15.34 mmol)のO−(1−メチルオキシ−1−メチル−エチル)−ヒドロキシアミンおよび1.91 g(12.275 mmol )の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドを0℃で連続的に加える。3.5時間室温で撹拌後、反応混合液を氷水に注ぎ、混合液をAcOEtで抽出する。合わせた抽出液を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン:AcOEt = 1:3 〜 1:4)で精製すると表題の化合物を与える。
H−NMR(400 MHz, CDCl3):1.34 (s, 6H), 2.55 - 2.65 (m, 2H), 3.29 (s, 3H), 3.73 (s, 2H), 4.09 (t, J = 6.60 Hz, 2H), 4.44 (s, 2H), 5.10 - 5.25 (m, 2H), 5.85 - 5.95 (m, 1H), 7.01 (d, 2H, J = 8.52Hz), 7.44 (d, 2H, J=8.0 Hz), 7.64 (d, 2H, J = 8.52Hz), 7.81 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 8.10 (s, 1H), 8.54 (s, 1H), 8.62 (brs, 1H).
【0171】
実施例80:2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−イミダゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド塩酸塩
0.39 g( 0.74 mmol)の2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−イミダゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−N−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−アセトアミド(段階 80.4)の溶液に、2.46 mlの6N塩酸を室温で加える。15分間撹拌後、反応混合液を飽和NaHCO水溶液で中和し、AcOEtで抽出する。合わせた抽出液を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮すると、無色結晶として2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−イミダゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミドを与える。0.17 g(0.37 mmol)の上で製造したヒドロキシアセトアミドのジオキサン(3 ml)溶液に、0.447 mlの1N塩酸を加え、10分間撹拌する。反応混合液を減圧下で濃縮し、減圧乾燥すると表題の化合物を与える。
H−NMR(400 MHz, DMSO−d6):2.40 - 2.50 (m, 2H), 3.61 (s, 2H), 4.07 (t, 2H, J = 6.52Hz), 4.37 (s, 2H), 5.00 - 5.15 (m, 2H), 5.75 - 5.90 (m, 1H), 7.04 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 7.48 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 7.65 - 7.75 (m, 5H), 7.81 (s, 1 H), 8.19 (s, 1H), 9.57 (s, 1H), 10.54 (brs, 1H).
【0172】
段階 80.1:4−イミダゾール−1−イル−ベンズアルデヒド
20 g(161.1 mmol)のp−フルオロベンズアルデヒドのDMF(300 ml)溶液に、19.8 g(290.8 mmol)のイミダゾールおよび44.5 g(322.24 mmol)の炭酸カリウムを室温で徐々に加える。5.5時間100℃で撹拌後、反応混合液を室温まで冷却し、氷水で冷却し、次いで混合液をAcOEtおよびCHClで抽出する。合わせた抽出液を減圧下で濃縮すると、淡黄色粉末として4−イミダゾール−1−イル−ベンズアルデヒドを与える。
H−NMR(400 MHz, CDCl3):7.26 (s, 1H), 7.38 (2, 1H), 7.59 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 7.98 (s, 1H), 8.02 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 10.05 (s, 1H).
【0173】
段階 80.2:(4−イミダゾール−1−イル−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステル
表題の化合物を(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル−アミノ)−酢酸エチルエステル(段階 79.4)と同様の方法で製造する。
H−NMR(400 MHz, CDCl3):1.92 (brs, 1H), 3.45 (s, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.86 (s, 2H), 7.20 (s, 1H), 7.27 (s, 1H), 7.35 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 7.45 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 7.84 (s, 1H).
【0174】
段階 80.3:[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−イミダゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−酢酸メチルエステル
表題の化合物を[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−酢酸エチルエステル(段階 79.5)と同様の方法で製造する。
H−NMR(400 MHz, CDCl3):2.55 - 2.65 (m, 2H), 3.59 (s, 3H), 3.95 (s, 3H), 4.05 - 4.10 (m, 2H), 4.51 (s, 2 H), 5.10 - 5.25 (m, 2H), 5.85 - 6.00 (m, 1H), 6.99 (d, 2H, J = 7.04Hz), 7.20 (s, 1H), 7.27 (s, 1H), 7.35 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 7.40 (d, 2H, J = 8.56Hz), 7.83 (d, 2H, J = 7.04 Hz), 7.84 (s, 1H).
【0175】
段階 80.4:2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−イミダゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−N(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−アセトアミド
表題の化合物を2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼン−スルホニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−N−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−アセトアミド(段階 79.6)と同様の方法で製造する。
H−NMR(400 MHz, CDCl3):1.35 (s, 6H), 2.55 - 2.65 (m, 2H), 3.28 (s, 3H), 3.73 (s, 2H), 4.05 - 4.15 (m, 2H), 4.42 (s, 2H), 5.10 - 5.25 (m, 2H), 5.82 - 5.95 (m, 1H), 7.01 (d, 2H, J = 8.52Hz), 7.20 (s, 1H), 7.24 (s, 1H), 7.34 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 7.44 (d, 2H, J = 8.52Hz), 7.81 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 7.83 (s, 1H), 8.72 (br s, 1H).
【0176】
実施例81:2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−モルホリン−4−イル−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド塩酸塩
表題の化合物を実施例80の表題の化合物と同様の方法で製造した。
H−NMR(400 MHz, DMSO−d6):2.40 - 2.55 (m, 2H), 3.00 - 3.10 (m, 4H), 3.65 - 3.75 (m, 4H), 4.05 (t, 2H, J = 6.52 Hz), 4.20 (s, 2 H), 5.00 - 5.18 (m, 2H), 5.75 - 5.90 (m, 1 H), 6.89 (d, 2 H, J = 8.56 Hz), 7.00 - 7.10 (m, 4H), 7.70 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 10.41 (brs, 1H).
【0177】
段階 81.1:4−モルホリン−4−イル−ベンズアルデヒド
15 g(120.86 mmol)のp−フルオロベンズアルデヒドのDMF(200 ml)溶液に、16.8 g(193.4 mmol )のモルホリンおよび33.36 g(241.7 mmol)の炭酸カリウムを室温で連続的に加える。8時間100℃で撹拌後、反応混合液を室温まで冷却し、氷水で冷却し、次いで混合液をAcOEtおよびCHClで抽出する。合わせた抽出液を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン:AcOEt = 5:1 〜 3:1)で精製すると4−モルホリン−4−イル−ベンズアルデヒドを与える。
H−NMR(400 MHz, CDCl3):3.35 - 3.40 (m, 4 H), 3.85 - 3.90 (m, 4 H), 6.92 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 7.77 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 9.80 (s, 1H).
【0178】
段階 81.2:(4−モルホリン−4−イル−ベンジルアミノ)酢酸メチルエステル
表題の化合物を(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジルアミノ)−酢酸エチルエステル(段階 80.2)と同様の方法で製造した。
H−NMR(400 MHz, CDCl3):1.82 (brs, 1 H), 3.10 - 3.18 (m, 4 H), 3.41 (s, 2 H), 3.85 - 3.90 (m, 4 H), 6.87 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 7.23 (d, 2H, J = 8.56 Hz).
【0179】
段階 81.3:[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−モルホリン−4−イル−ベンジル)−アミノ]−酢酸メチルエステル
表題の化合物を[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル )−アミノ]−酢酸エチルエステル(段階 80.3)と同様の方法で製造する。
H−NMR(400 MHz, CDCl3):2.50 - 2.62 (m, 2H), 3.10 - 3.20 (m, 4H), 3.56 (s, 3H), 3.82 - 3.88 (m, 4H), 3.89 (s, 2H), 4.05 - 4.10 (m, 2H), 4.38 (s, 2H), 5.10 - 5.25 (m, 2H), 5.80 - 6.00 (m, 1H), 6.83 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 6.97 (d, 2H, J = 9.04 Hz), 7.13 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 7.81 (d, 2H, J = 9.04 Hz).
【0180】
段階 81.4:2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−モルホリン−4−イル−ベンジル)−アミノ]−N−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−アセトアミド
表題の化合物を2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼン-スルホニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−N−(1−メトキシ−1−メチル−エトキシ)−アセトアミド(段階 80.3)と同様の方法で製造する。
H−NMR(400 MHz, CDCl3):1.35 (s, 6 H), 2.55 - 2.62 (m, 2H), 3.10 - 3.20 (m, 4H), 3.29 (s, 3 H), 3.66 (s, 2H), 3.80 - 3.88 (m, 4 H), 4.05 - 4.15 (m, 2H), 4.26 (s, 2H), 5.10 - 5.22 (m, 2H), 5.83 - 5.95 (m, 1H), 6.83 (d, 2H, J= 9.04 Hz), 7.00 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 7.15 (d, 2H, J = 9.04 Hz), 7.79 (d, 2H, J = 8.56 Hz), 8.47 (brs, 1H).
【0181】
実施例82:
実施例79と同様に、以下の化合物を製造し得る:
a) 2−[(2−シクロプロピルエトキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド−塩酸塩
b) 2−[(シクロプロピルメトキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド−塩酸塩
c) 2−[(3−フリルメトキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド−塩酸塩
d) 2−[2−(3−フリル)エトキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド−塩酸塩
【0182】
実施例83:
実施例69と同様に、以下の化合物を製造し得る:
a) 2−{[4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル]−(6−フルオロ−ピリジン−2−イル)メチル−アミノ}−N−ヒドロキシ−アセトアミド
b) 2−{[4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル]−(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)メチル−アミノ}−N−ヒドロキシ−アセトアミド
c) 2−{[4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル]−(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)メチル−アミノ}−N−ヒドロキシ−アセトアミド
d) 2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(ピペリジン−4−イル−メチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド塩酸塩
e) 2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(ピペリジン−1−イル−メチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド塩酸塩
f) 2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(モルホリン−4−イル−メチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド塩酸塩
【0183】
実施例84:
実施例80と同様に、以下の化合物を製造し得る:
a) 2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−(ピロリジン−1−イル)−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド塩酸塩
b) 2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−(ピペリジン−1−イル)−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド塩酸塩
c) 2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−(1,2,3−トリアゾール−2−イル)−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド塩酸塩
d) 2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−(テトラゾール-1−イル)−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド塩酸塩
e) 2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−(1,3,4−トリアゾール−1−イル)−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド塩酸塩
f) 2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−(1,2,3−トリアゾール−1−イル)−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド塩酸塩
g) 2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−(ピロール−1−イル)−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド
h) 2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−ジメチルアミノベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド塩酸塩
i) 2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−(3−フリル)−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド
k) 2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−(チエン−5−イル)−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド
l) 2−[(4−ブタ−3−エニルオキシ−ベンゼンスルホニル)−(4−モルホリン−4−イルメチル−ベンジル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−アセトアミド塩酸塩
【0184】
実施例85:
実施例68と同様に、以下の化合物を製造し得る:
a) 2−{[4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−(モルホリン−4−イルメチル)−ベンジル)−アミノ}−N−ヒドロキシ−アセトアミド
b) 2−{[4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニル]−(キノリン−4−イルメチル)−アミノ}−N−ヒドロキシ−アセトアミド
c) 2−{[4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニル]−(イミダゾール−4−イルメチル)−アミノ}−N−ヒドロキシ−アセトアミド
d) 2−{[4−(3−クロロ−プロポキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1,2,4−トリアゾール−3−イルメチル)−アミノ}−N−ヒドロキシ−アセトアミド
【0185】
実施例86:ドライカプセル
各カプセルが活性成分として前記の式Iの化合物の1つを0.25g含む3000個のカプセルを、下記のように製造する:
組成物
活性成分 75.00 g
ラクトース 750.00 g
Avicel PH 102 300.00 g
(微結晶セルロース)
Polyplasdone XL 30.00 g
(ポリビニルピロリドン)
ステアリン酸マグネシウム 9.00 g
【0186】
製造工程:
活性成分をふるい番号30の手動ふるい(No.30 hand screen)にかける。活性成分、ラクトース、Avicel PH 102およびPolyplasdone XLを15分間、ミキサー中で混合する。混合物を十分量の水(約500mL)で造粒し、オーブン中35℃で一夜乾燥し、ふるい番号20のふるいにかける。
【0187】
ステアリン酸マグネシウムをふるい番号20のふるいにかけて造粒混合物に加え、その混合液をミキサー中で5分間混合する。その混合物を、それぞれ25mgの活性成分に相当する量の混合物を含む0号の硬ゼラチンカプセル中に被包する。
【0188】
実施例87:MT1−MMP、MMP1、MMP2およびMMP9に対するin vitro活性
本明細書中に記載されたin vitro試験で測定されるようにMT1−MMP、MMP1、MMP2およびMMP9に対する式Iの化合物の阻害活性を表1に示す。
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

〔式中、
は水素、置換または非置換アリール、低級アルキル、置換または非置換炭素環式アリール低級アルキル、置換または非置換複素環式低級アルキル、置換または非置換C〜C−シクロアルキル、置換または非置換C〜C−シクロアルキル低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、低級アルコキシ低級アルキル、低級アルキル(チオ、スルフィニルまたはスルホニル)低級アルキル、アミノ低級アルキルあるいはモノ−またはジ−低級アルキルアミノ低級アルキルであり;
は水素または低級アルキルであり;
は置換または非置換C〜C−シクロアルキル、置換または非置換炭素環式アリール、置換または非置換複素環式アリール、置換または非置換ヘテロシクリル;あるいは低級アルキルであり;
Aは、非置換または低級アルキルにより置換されたC〜C−アルキレンであり;
qは1〜5であり;
Rは、ハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、C〜C−シクロアルキルあるいはO、SおよびNからなる群から選択される1または2個のヘテロ原子を含む、非置換または置換C〜C−ヘテロアリールによりモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルキル;あるいは
それぞれ非置換、またはハロゲン、ニトロ、低級アシルオキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、C〜C−シクロアルキルあるいはO、SおよびNからなる群から選択される1または2個のヘテロ原子を含む、非置換または置換C〜C−ヘテロアリールによってモノ−、ジ−またはトリ置換されたC〜C−アルケニルまたはC〜C−アルキニルである〕
で表されるα−アミノヒドロキサム酸誘導体;
および薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体;および薬学的に許容されるその塩。

【公開番号】特開2009−235071(P2009−235071A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98139(P2009−98139)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【分割の表示】特願2001−515294(P2001−515294)の分割
【原出願日】平成12年8月7日(2000.8.7)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】