説明

アリールピリジルスルホンアミド誘導体、それらの製造法及び医薬剤としての使用

本発明の対象は、式(I)の化合物、それらの医薬として許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、及びラセミ体、上記化合物の調製、それらを含有する薬剤、及びそれらの製造、並びに癌等の疾患の制御又は予防における上記化合物の使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規アリールピリジルスルホンアミド誘導体、それらの製造法、それらを含有する医薬組成物、及びそれらの製造法、並びにそれらの化合物の医薬活性物質としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌疾患の治療は医学において極めて重要である。患者にとって適切且つ標的志向型の治療を実現するために有効な癌治療法が世界中で求められている。これは、応用腫瘍学や癌治療関連基礎研究の分野で、近年極めて多くの科学研究が報告されていることからも明らかである。
【0003】
腫瘍阻害の作用は極めて多様な種類の機構によるものであるが、判明しているのはその中の一部に過ぎない。既知の腫瘍薬について新しい作用機構が発見されることも珍しくない。これは本発明に係る化合物についても予想されることである。多くの腫瘍薬は、細胞における細胞分裂機構の阻止、腫瘍への栄養物質や酸素の供給の阻止(抗血管新生)、転移の阻止、腫瘍細胞の増殖シグナルの受容及び更なる伝搬の阻止、腫瘍細胞のプログラム細胞死(アポトーシス)への誘導等の機構によって作用する。
【0004】
抗腫瘍薬は異なる作用機構を有しており、例えば異なる細胞内標的と相互作用するため、相乗的な治療効果を達成するべく、臨床的に関連する細胞静止剤と併用投与されることが多い。
【0005】
Delarge, J.ら、Annales Pharmaceutiques Francaises 41(1983) 55-60は、脂質低下作用を有する数種の4−フェニルチオピリジン−3−スルホンアミドを報告している。US4018929は、炎症阻害剤及び利尿剤としてのピリジンスルホンアミドに関する。Owa, T.ら、Bioorg Med Chem Lett (2002), 12(16), 2097-2100 は、抗腫瘍剤としてのN−(7−インドリル)−3−ピリジンスルホンアミド誘導体に関する。
【0006】
WO2003/029217は、新規ピリジンスルホンアミド誘導体、炎症、関節症、血管形成及び喘息の治療における、治療剤としてのそれらの用途に関する。WO2003/035629は、抗新生物剤としてのチオフェン−及びチアゾールスルホンアミドに関する。WO02/098848とWO2004/048329は、抗腫瘍剤としてのベンゾイルスルホンアミドに関する。US2006270874は、抗癌剤としてのスチリルスルホンアミド及びそれらの調製について記載している。US2007010564は、抗癌剤としてのヘテロアリールエテンスルホン酸N−ベンゾイルアミド誘導体の調製に関する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、式Iの化合物
【化1】

(式中、
1は塩素、臭素、メチル、メトキシ又はトリフルオロメチルであり;
2はフッ素、塩素、臭素、メチル又はトリフルオロメチルであり;
3は水素又はメチルであり;
4はアルコキシ、アルキル、アルキルスルファニル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、−S(O)2CH3又は−NH−S(O)2CH3であり;
5は水素、アルコキシ、アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり;
6は水素、アルキル又はトリフルオロメチルである)
の化合物及び医薬として許容されるその全ての塩に関する。
【0008】
本発明の化合物は、in vitro及びin vivoで抗増殖活性を示し、且つ腫瘍細胞の増殖を阻害する。本発明の対象は、式Iの化合物、その互変異性体、医薬として許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、及びラセミ体、腫瘍増殖阻害のためのその使用、上記化合物の調製、これらを含有する薬剤、及びこれらの製造法、並びに疾患、特に癌、例えば結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、卵巣癌、黒色腫、神経芽腫、子宮頚癌、腎臓癌(kidney or renal cancers)、白血病、又はリンパ腫の抑制又は予防における前記化合物の使用、あるいは対応する薬剤の製造における前記化合物の使用である。
【0009】
本発明の詳細な説明
1.定義
用語「アルキル」は、本明細書で使用する場合、1〜4個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を含む飽和の直鎖又は分岐鎖炭化水素、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル又はt−ブチル、好ましくはメチルを意味する。
【0010】
用語「アルコキシ」は、本明細書で使用する場合、上文で定義したアルキル基に酸素原子を介して結合したもの(アルキル−O−)、例えばメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、好ましくはメトキシを意味する。
【0011】
用語「アルキルスルファニル」は、本明細書で使用する場合、上文で定義したアルキル基に硫黄原子を介して結合したもの(アルキル−S−)、例えばメチルスルファニル、エチルスルファニル又はイソプロピルスルファニル、好ましくはメチルスルファニルを指す。
【0012】
用語「ハロゲン」は、本明細書で使用する場合、フッ素、塩素及び臭素、好ましくはフッ素又は塩素を意味する。
【0013】
本明細書で使用する場合、「医薬として許容される担体」は、医薬の投与に適合する任意で且つ全ての材料、例えば溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、並びに、薬剤投与に適合する他の物質や化合物が挙げられる。従来の任意の媒体又は物質は、活性化合物に不適合でない限り、本発明の組成物での使用が意図される。また、補助的な活性化合物を本組成物に含めることもできる。
【0014】
本明細書で使用する場合、化合物についての用語「治療上有効量」とは、疾患の症状を予防、緩和、又は改善し、或いは治療対象の生存を延長するのに有効な化合物の量を意味する。治療上有効量を決定することは、当業界での技術範囲内である。
【0015】
本発明の化合物の治療上有効量又は用量は、広い範囲から選択され、本分野で公知の方法により決定することができる。かかる用量は、具体的な症例毎に、個々の要件、例えば、投与される具体的な化合物、投与経路、治療される症状、治療される患者等に応じて調整することができる。一般的に、体重約70kgの成人への経口投与又は非経口投与の場合、約10mg〜約10,000mg、好ましくは約200mg〜約1,000mgの一日量が適切であるが、指示がある場合には上限を超えてもよい。一日量は単回量として投与しても、分割量として投与してもよく、非経口投与の場合は連続注入してもよい。
【0016】
2.詳細な説明
1は塩素、臭素、メチル、メトキシ又はトリフルオロメチル、好ましくは塩素、メトキシ又はトリフルオロメチルである。
【0017】
2はフッ素、塩素、臭素、メチル又はトリフルオロメチル、好ましくはフッ素又は塩素である。
【0018】
3は水素又はメチル、好ましくは水素である。
【0019】
4はアルコキシ、アルキル、アルキルスルファニル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、−S(O)2CH3又は−NH−S(O)2CH3、好ましくはメトキシ、メチル、メチルスルファニル、塩素、トリフルオロメチル、−S(O)2CH3又は−NH−S(O)2CH3である。
【0020】
5は水素、アルコキシ、アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシ、好ましくは水素、メトキシ、メチル又はフッ素である。
【0021】
6は水素、アルキル又はトリフルオロメチル、好ましくは水素、メチル、又はトリフルオロメチル、より好ましくは水素である。
【0022】
本発明の一態様は、R1が塩素である式Iの化合物である。
【0023】
本発明の別の態様は、R1が塩素であり、且つR2がフッ素又は塩素である、式Iの化合物である。
【0024】
本発明の別の態様は、R1が塩素であり、且つR2がフッ素である、式Iの化合物である。
【0025】
かかる化合物は、例えば、6−(2−クロロ−フェニル)−5−メチル−ピリジン−3−スルホン酸2−クロロ−4−フルオロ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2,6−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸2−クロロ−4−フルオロ−ベンゾイルアミドから成る群から選択され得る。
【0026】
本発明の別の態様は、R1が塩素であり、且つR2が塩素である、式Iの化合物である。
【0027】
かかる化合物は、例えば:
6−(2−メトキシ−フェニル)−5−メチル−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2,4−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2−メチルスルファニル−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2,6−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;及び
6−(2−メタンスルホニル−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
から成る群から選択され得る。
【0028】
本発明の別の態様は、R1がメトキシである、式Iの化合物である。
【0029】
本発明の別の態様は、R1がメトキシであり、且つR2が塩素である、式Iの化合物である。
【0030】
かかる化合物は、例えば:
6−(2−クロロ−フェニル)−5−メチル−ピリジン−3−スルホン酸4−クロロ−2−メトキシ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2−メタンスルホニルアミノ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸4−クロロ−2−メトキシ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2,6−ジメチル−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸4−クロロ−2−メトキシ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2,4,6−トリメチル−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸4−クロロ−2−メトキシ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;及び
6−(2,6−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸4−クロロ−2−メトキシベンゾイルアミド;カリウム塩;
から成る群から選択され得る。
【0031】
本発明の別の態様は、R1がトリフルオロメチルである、式Iの化合物である。
【0032】
本発明の別の態様は、
1がトリフルオロメチルであり、且つ
2がフッ素である、式Iの化合物である。
【0033】
かかる化合物は、例えば:
6−(2−クロロ−フェニル)−5−メチル−ピリジン−3−スルホン酸4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2−メトキシ−フェニル)−5−メチル−ピリジン−3−スルホン酸4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミド;カリウム塩;及び
6−(2,6−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミド;
から成る群から選択され得る。
【0034】
本発明の別の態様は、R3が水素である、式Iの化合物である。
【0035】
本発明の別の態様は、R3がメチルである、式Iの化合物である。
【0036】
本発明の別の態様は、
4がメトキシ、メチル、メチルスルファニル、塩素、トリフルオロメチル、−S(O)2CH3又は−NH−S(O)2CH3であり;
5が水素、メトキシ、メチル又はフッ素であり;且つ
6が水素、メチル又はトリフルオロメチルである、式Iの化合物である。
【0037】
本発明の別の態様は、
1が塩素、メトキシ、又はトリフルオロメチルであり、
2がフッ素又は塩素であり、
4がメトキシ、メチル、メチルスルファニル、塩素、トリフルオロメチル、−S(O)2CH3又は−NH−S(O)2CH3であり;
5が水素、メトキシ、メチル又はフッ素であり;且つ
6が水素、メチル又はトリフルオロメチルである、式Iの化合物である。
【0038】
本発明の別の態様は、
1が塩素、メトキシ、又はトリフルオロメチルであり、
2がフッ素又は塩素であり;且つ
4がメトキシ、メチル、メチルスルファニル、塩素、トリフルオロメチル、−S(O)2CH3又は−NH−S(O)2CH3である、式Iの化合物である。
【0039】
本発明の別の態様は、
1が塩素、メトキシ、又はトリフルオロメチルであり、
2がフッ素又は塩素であり;且つ
4がメトキシ、メチルスルファニル、塩素、−S(O)2CH3又は−NH−S(O)2CH3であり;
5が水素であり;且つ
6が水素である、式Iの化合物である。
【0040】
本発明の別の態様は、
1が塩素、メトキシ、又はトリフルオロメチルであり、
2がフッ素又は塩素であり;且つ
4がメトキシ又はメチルであり;
5がメトキシ、メチル又はフッ素であり;且つ
6が水素又はメチルである、式Iの化合物である。
【0041】
本発明の別の態様は、
1が塩素、メトキシ、又はトリフルオロメチルであり、
2がフッ素又は塩素であり、
4がトリフルオロメチルであり、
5が水素であり、
6がメチル又はトリフルオロメチルである、式Iの化合物である。
【0042】
本発明の別の態様は、
1が塩素、メトキシ、又はトリフルオロメチルであり、
2がフッ素又は塩素であり、且つ
5が水素、メトキシ、メチル又はフッ素である、式Iの化合物である。
【0043】
本発明の別の態様は、
1が塩素、メトキシ、又はトリフルオロメチルであり、
2がフッ素又は塩素であり、
4がトリフルオロメチルであり、且つ
6が水素、メチル又はトリフルオロメチルである、式Iの化合物である。
【0044】
本発明の一態様は、式Vの化合物
【化2】

(式中、R4、R5及びR6は、式Iについて示した意味を有している)と、式IVの化合物
【化3】

(式中、R1、R2及びR3は、式Iについて示した意味を有している)とを反応させ、式Iの化合物
【化4】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、式Iについて示した意味を有している)
を生成することで、式Iの化合物を調製する方法である。
【0045】
本発明の対象である、式Iの化合物又は医薬として許容されるその塩は、化学的に関連する化合物について知られている任意の調製法によって調製することができる。かかる方法を式Iの化合物又は医薬として許容されるその塩の調製に使用する場合の代表的な例を、以下のスキーム1及び2(並びに実施例)に示す。式中、特に断らない場合を除き、R、R1〜R6は、式Iについて上述した意味を表わす。必要な出発物質は市販されているか、或いは有機化学の標準的な手法により得ることができる。かかる出発物質の調製法の例としては、後述の実施例に記載の方法や、スキーム1及び2に関して以下に引用する文献に記載の方法が挙げられる。或いは、有機化学者の通常の技能の範囲内の、例示した方法と類似の方法によっても、必要な出発物質を得ることができる。
【0046】
スキーム1:
【化5】

【0047】
反応順序(スキーム1)のステップ1は、当業者に周知の方法を用いて、式IIのスルホンアミドを式IIIのベンゾイル誘導体によりアシル化することで、式IVのアシルスルホンアミド誘導体を生成するワンステップの方法である。本反応は、典型的には、溶媒、例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド及びそれらの混合物中で、10℃〜100℃の温度で実施される。典型的に使用される塩基は水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、及び1,8ージアゾビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンである。
【0048】
反応順序のステップ2は、式Vのフェニルボロン酸と当業者に周知の式IVの2−クロロピリジンとを、鈴木型のパラジウム触媒によるクロスカップリングするものである。本反応は、典型的に、溶媒、例えばアルコール(例えばエタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-アミルアルコール)、テトラヒドロフラン又はトルエン及びそれらの混合物中で、典型的には室温から120℃の温度で実施される。一般的に使用される塩基は、カリウム及びナトリウムの炭酸塩、カリウムtert-ブチラート及び水酸化カリウムである。パラジウム触媒のリガンドは、現在のところ、文献によく記載されている多数のものがある。最も頻繁に使用されるのは、トリフェニルホスフィン及びジベンジリデンアセトン(dba)である。
【0049】
あるいは、置換の順序は、スキーム2に示すとおり、変更することができる。
【0050】
スキーム2:
【化6】

【0051】
式VIのtert-オクチル保護スルホンアミドから出発して、当該スルホンアミドの脱保護の前に、トリフルオロ酢酸/ジクロロメタンを用いた酸性条件下で、スキーム1のステップ2に記載のような鈴木型のクロスカップリングを実施し、そしてスキーム1のステップ1に記載のアシル化を実施する。
【0052】
式Iの化合物は、1又は複数のキラル中心を含むことがあり、そしてラセミ体、エナンチオマー又はジアステレオマーの形態で存在することがある。ラセミ体は、既知の方法に従い、エナンチオマーに分割することができる。例えば、結晶化によって分割できるジアステレオマー塩は、光学活性酸、例えばD-又はL-カンファースルホン酸との反応により、ラセミ混合物から形成される。あるいは、エナンチオマーの分割は、市販のキラルHPLC相のクロマトグラフィーを用いて実施することもできる。
【0053】
本発明の化合物又は医薬として許容されるその塩と、医薬として許容される担体とを含有する医薬組成物又は薬剤も、本発明の対象である。また、その製造法であって、1又は複数の本発明の化合物及び/又は医薬として許容される塩を、(所望であれば1又は複数の他の治療上有用な物質とともに)1又は複数の医薬として許容される担体と混合して製剤投与型にする工程を含んでなる方法も、同様に本発明の対象である。
【0054】
本発明の一実施態様は、式Iの1又は複数の化合物を、医薬として許容される担体と共に含んでなる医薬組成物である。
【0055】
本発明の別の実施態様は、式Iの1又は複数の化合物を含んでなる、腫瘍増殖の阻害のための医薬組成物である。
【0056】
本発明の別の実施態様は、式Iの1又は複数の化合物を含んでなる、癌の治療のための医薬組成物である。
【0057】
本発明の別の実施態様は、式Iの1又は複数の化合物を活性成分として、医薬として許容される担体とともに含んでなる、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、卵巣癌、黒色腫、神経芽腫、子宮頚癌、腎臓癌、白血病、又はリンパ腫の治療用の医薬組成物である。
【0058】
本発明の別の実施態様は、腫瘍増殖の阻害のための相当の医薬組成物の製造のための、式Iの化合物の使用である。
【0059】
本発明の別の実施態様は、癌の治療のための相当の医薬組成物の製造のための、式Iの化合物の使用である。
【0060】
本発明の別の実施態様は、抗増殖剤としての、式Iの化合物の使用である。
【0061】
本発明の別の実施態様は、癌の治療のための、式Iの1又は複数の化合物の使用である。
【0062】
本発明の化合物は、医薬として許容されるその塩の形で存在してもよい。「医薬として許容される塩」という語は、式Iの化合物の生物学的有効性及び性質を保持する従来の酸付加塩であって、適切な非毒性の有機又は無機塩基から形成されるか、或いは式Iの化合物がR1中に塩基性基を含有する場合は、有機又は無機酸から形成される。塩基付加塩の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニア、水酸化第4級アンモニウム(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム)、特にナトリウムから得られるものが挙げられる。酸付加塩の例としては、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、及び硝酸や有機酸、例えばp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸などから得られるものが挙げられる。医薬化合物(すなわち薬物)の化学的修飾による塩への変換は、化合物の物理的及び化学的安定性、吸湿性、流動性、及び溶解性を改善する方法として、薬剤化学者には公知の技術である。例えば、Stahl, P. H., and Wermuth, G., (編者), Handbook of Pharmaceutical Salts, Verlag Helvetica Chimica Acta (VHCA), Zaerich, (2002)、或いはBastin, R.J., et al., Organic Proc. Res. Dev. 4 (2000) 427-435を参照されたい。
【0063】
薬理活性
式Iの化合物及び医薬として許容されるその塩は、有用な薬理学的性質を有する。該化合物は抗増殖活性を示すことが知られている。即ち、本発明の化合物は、癌等の増殖性疾患の治療及び/又は予防に有用である。本発明の化合物の抗増殖剤としての活性は、以下の生物学的アッセイによって実証される。
【0064】
HCT116細胞中のCellTiter-Glo(商標)アッセイ
CellTiter-Glo(商標)発光細胞生存活性アッセイ(Promega)は、培養物中の生存細胞数を、存在するATPの定量に基づいて測定する均質法である。かかるATPは、代謝活性細胞の存在を示す信号となる。
【0065】
HCT116細胞(ヒト結腸癌、ATCC−No.CCI−247)を、GlutaMAX(登録商標)I(Invitrogen、カタログ番号61870−010)、5%胎児牛血清(FCS、Sigmaカタログ番号F4135(FBS));100単位/mlペニシリン/100μg/mlストレプトマイシン(=Invitrogenカタログ番号15140のPen/Strep)を有するRPMI1640中で培養した。測定のため、細胞を384ウェルプレートに1ウェル当たり1000細胞ずつ、同じ培地で接種した。翌日、試験化合物を30μM〜0.0015μMの範囲の種々の濃度(10濃度、1:3希釈)で加えた。5日後、製造業者の説明書に従ってCellTiter-Glo(商標)アッセイを行なった(CellTiter-Glo(商標)発光細胞生存活性アッセイ、Promega)。要約すると:細胞プレートを約30分間室温まで平衡化させ、次にCellTiter-Glo(商標)試薬を加えた。内容物を慎重に15分間混合して細胞溶解を誘導した。45分後、発光シグナルをVictor 2(走査マルチウェル分光光度計、Wallac)で測定した。
【0066】
詳細:
1日目:
− 培地:GlutaMAX(登録商標)I(Invitrogen、カタログ番号61870)、5%FCS(Sigmaカタログ番号F4135)、Pen/Strep(Invitrogen、カタログ番号I5140)を有するRPMI1640。
− HCT116(ATCC−No.CCl−247):384ウェルプレート(Greiner781098、μClear-plate white)の1ウェル当たり60μl中に1000細胞。
− 接種後、プレートを37℃、5%CO2で24時間インキュベート。
【0067】
2日目:誘導(化合物による処理、10種の濃度):
最高濃度である30μMの終濃度は、10μMの化合物ストック溶液3.5μlを直接163μlの培地に加えることによって得た。続いて、後述の希釈法の工程e)を実施した。
【0068】
2番目に高い濃度から最低濃度までの各濃度は、下記の操作(a〜e)に従って1:3の連続希釈を行なうことによって得た。
【0069】
a)化合物の10μMストック溶液10μlを20μlのジメチルスルホキシド(DMSO)に加え、2番目に高い濃度を得る。
b)このDMSO希釈系列での1:3希釈を8回(何れも20μlのDMSOに10μlを混合)(3333.3μM〜0.51μMの濃度の9ウェルが得られる)。
c)各濃度を1:47.6希釈(3.5μlの化合物を163μlの培地に希釈)。
e)各濃度10μlを細胞プレート中の60μlの培地に加え、各ウェルのDMSOを最終濃度0.3%とすることにより、化合物の終濃度は30μM〜0.0015μMの範囲内の10種となる。
【0070】
− 各化合物を三回繰り返し試験する。
− 120時間(5日)、37℃、5%CO2でインキュベートする。
【0071】
分析:
− 1ウェル当たり30μlのCellTiter-Glo(商標)試薬を加える。
− 室温で15分間振盪。
− 室温で振盪を加えず更に45分間インキュベート。
【0072】
測定:
− Victor 2 走査マルチウェル分光光度計(Wallac)、発光モード(0.5秒/読み取り、477nm)。
− 非線形曲線フィッティングを用いてIC50を決定(XLフィットソフトウェア(ID Business Solution Ltd., Guilford, Surrey, UK))。
【0073】
何れの化合物についても、HCT116細胞生存活性の有意な阻害が検出された。表1に示す化合物はその例である。
【0074】
【表1】

【0075】
本発明の化合物及びそれらの医薬として許容される塩は、例えば医薬組成物の形態で薬物として使用され得る。医薬組成物は、錠剤、被覆された錠剤、糖剤、硬質及び軟質ゼラチンカプセル、溶液、エマルジョン又は懸濁液の形で経口投与され得る。しかしながら、投与はまた、例えば坐剤の形で直腸的に、又は例えば注射用溶液の形態で非経口的に実施され得る。
【0076】
上文で言及した医薬組成物は、本発明の化合物を、医薬的に不活性な無機又は有機担体により処理することにより得られる。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などが、例えば錠剤、被覆された錠剤、糖剤、及び硬質ゼラチンカプセルのためのそのような担体として使用され得る。軟質ゼラチンカプセルのための適切な担体は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体及び液体ポリオールなどである。しかしながら、活性物質の性質に依存して、担体は、軟質ゼラチンカプセルの場合、常に必要とされるものではない。溶液及びシロップの生成のための適切な担体は、水、ポリオール、グリセロール、植物油などである。坐剤のための適切な担体は、例えば天然又は硬化された油、ワックス、脂肪、半液体又は液体ポリオール等である。
【0077】
さらに、医薬組成物は、保存剤、溶解剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、風味剤、浸透圧を変えるための塩、緩衝液、マスキング剤、又は酸化防止剤を含むことができる。それらはまた、他の治療上有益な物質も含むことができる。
【0078】
好ましい医薬組成物は、以下のものを含んで成る:
a)錠剤(湿式造粒):
【表2】

【0079】
製造手順:
1.品目1,2,3及び4を混合し、そして精製水で粒状にする。
2.50℃で顆粒を乾燥させる。
3.顆粒を適当なミル粉砕装置を通過させる。
4.品目5を添加し、そして3分間混合し;適当なプレス機で圧縮する。
【0080】
b)カプセル製剤:
【表3】

【0081】
製造手順:
1.品目1,2及び3を適当なミキサー内で30分間混合する。
2.品目4及び5を添加して3分間混合する。
3.適当なカプセル内に充填する。
【0082】
以下の実施例、引用文献は、本発明の理解を助けるためのものであり、それらの真の範囲は特許請求の範囲に記載されている。本発明の精神を逸脱することなく前述の手順を変更することができることを理解されたい。
【0083】
実験手順:
6−クロロ−ピリジン−3−スルホニルクロリド
硝酸ナトリウム(3.45g、0.05mol)を、6−クロロ−ピリジン−3−イルアミン(6.4g、0.05mol)/酢酸(56ml)及び濃塩酸(9.92ml)の撹拌溶液に滴下し、この間、温度を15℃未満に維持する。この溶液を、二酸化硫黄(17.2g, 0.27mol)、塩化銅(II)(1.85g, 0.011mol)及び水(2.2ml)/酢酸(37ml)の撹拌溶液に5℃で滴下した。反応混合物を室温に加温し、そして氷水に注ぎ入れ、そして更に15分間撹拌した。生じた沈殿をろ過して集め、水で洗浄し、そして一晩真空で乾燥させ、これにより6−クロロ−ピリジン−3−スルホニルクロリドを生成せしめた(6.41g, 収率60.5%); (400 MHz; d6-DMSO) 8.54 (1H, d), 7.96 (1H, dd), 7.50 (1H, d)。
【0084】
6−クロロ−ピリジン−3−スルホン酸アミド
6−クロロ−ピリジン−3−スルホニルクロリド(5.0g, 0.024mol)を−5℃の0.5Mアンモニア/ジオキサン溶液(125mL)に溶解した。この混合物を室温に加温し、そして当該混合物を1時間撹拌した。当該混合物をセライト(登録商標)でろ過し、ジオキサンで2回洗浄し、そして真空で濃縮することで、6−クロロ−ピリジン−3−スルホン酸アミドが4.55gの白色固体として得られた(98%の収率)。UV215nmでの液体クロマトグラフィー(LC);Rt 1.05;: 100%, m/z (ES+): 193/195 (400 MHz; d6-DMSO) 8.79 (1H, d), 8.21 (1H, dd), 7.75 (1H, d) 7.70 (2H, br S)。
【0085】
6−クロロ−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド
1,1’−カルボニル−ジイミダゾール(4.22g, 26mmol)を100mlのジクロロメタン中の2,4−ジクロロ安息香酸(4.73g, 24.8mmol)の溶液に添加し、この混合物を30分間室温で撹拌した後、30分間還流した。続いて、6−クロロ−ピリジン−3−スルホン酸アミド(5.00g, 26mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(3.96g, 26mmol)を添加し、そして混合物を室温で一晩撹拌した。乾燥するまで蒸発させた後、残査を100mlの酢酸エチルに溶解し、そして1MのHCl及び1MのNaOHで洗浄し、有機相を硫酸ナトリウム上で脱水し、そして真空で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン−酢酸エチルのグラジエント)により、6.72gの表題の化合物が白色固体として生成した。m/z = 365 (ES+), 363 (ES-).
【0086】
6−クロロ−ピリジン−3−スルホン酸(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−アミド
6−クロロ−ピリジン−3−スルホニルクロリド(148.0g, 0.7 mol)を1000mlの乾燥ジクロロメタン中で懸濁し、そしてこれを一部ずつ、−40℃〜−30℃の温度を維持しつつ45分間かけて2800mlの乾燥ジクロロメタン中の1,1,3,3ーテトラメチルブチルアミン(465 ml 2.8 mol)とトリエチルアミン(195 ml, 1.4 mol)の溶液に添加した。添加後、この混合物を室温にまで加温し、そして更に1時間撹拌した。反応混合物を1Mの塩酸で3回(各回2000ml)、そして水で2回(各回1000ml)洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で脱水し、そして乾燥するまで蒸発させた。残査をイソヘキサンで粉砕し、ろ過し、そして40℃で真空のもと乾燥させることで90gの表題の化合物が生成した。
【0087】
6−(2,6−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−アミド
2,6−ジメトキシフェニルボロン酸(1.0g, 5.5mmol)、6−クロロ−ピリジン−3−スルホン酸(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−アミド(555 mg, 1.8 mmol)及び炭酸カリウム(1.0 g, 7.3 mmol)をテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(404 mg, 0.35 mmol)/トルオール(12ml)及びエタノール(6ml)の脱気溶液に添加し、そしてマイクロ波反応器中で90分間90℃で加熱した。混合物を乾燥するまで蒸発させ、50メタノール中で懸濁し、そしてろ過した。ろ液を乾燥するまで蒸発させ、そして残査をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン−酢酸エチルのグラジエント)で精製し、これにより639mgの表題の化合物がオフホワイトの固体として生成した。m/z = 407 (ES+), 405 (ES-).
【0088】
6−(2,6−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸アミド
トリフルオロ酢酸(3.6 ml, 47 mmol)を40mlのジクロロメタン中の6−(2,6−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−アミド(1.90 g, 4.7 mmol)の溶液に添加し、そして室温で撹拌した(TLCでモニタリングした)。混合物を乾燥するまで蒸発させ、これを10mlの酢酸エチルに溶解し、そして炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥するまで蒸発させ、そして残査をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン−酢酸エチルのグラジエント)で精製することで、1.28gの表題の化合物がオフホワイトの固体として生成した。m/z = 295 (ES+), 293 (ES-)
【0089】
6−クロロ−5−メチル−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロベンゾイルアミド
NaH(2.0 g, 84.9 mmol, 60%懸濁液/鉱油)をTHF(50ml)に添加し、そして15分間撹拌した。この懸濁液に6−クロロ−5−メチル−ピリジン−3−スルホン酸アミド(例えば、US3,718,654に記載されている調製物)(7.0 g, 33 mmol)のTHF(50ml)溶液をを0℃で添加し、そして反応混合物を室温にまで加温して30分間撹拌した。この混合物に2,4−ジクロロベンゾイルクロリド[2,4−ジクロロ安息香酸(9.73 g, 50.9 mmol)、トルエン(200ml)及びSOCl2(10 ml, 135 mmol)の混合物を3時間還流した。反応混合物を室温に加温し、濃縮し、そして乾燥THF(100ml)で希釈した。]に0℃で添加し、そして室温で15分間撹拌した。反応混合物を飽和NH4Cl 溶液(100 ml)でクエンチングし、濃縮し、そして酢酸エチルで抽出した。ひとまとめにした有機層を飽和NaHCO3、ブラインで洗浄し、乾燥させ、蒸発させ、そしてメタノールから結晶化することで精製し、これにより6.5g(51%)の7がオフホワイトの固体として得られた。1H NMR (400 MHz, DMSOd6): δ 2.30 (s, 1H), 7.31 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.46-7.49 (m, 2H), 8.12 (s, 1H), 8.56 (s, 1H). FIA-MS: (m/z 379).
【0090】
最終産物
ナトリウム塩又はカリウム塩の形成
合成経路やワークアップの手順、すなわちHPLCの精製条件によって、(実施例1−1〜1−16で)後述する最終産物は、スルホンアミドのカリウム塩として得られるか(中性のHPLC条件。例えば、水性の溶出液が水(pHは7)/アセトニトリルの9:1のものであり、そして有機性の溶出液がアセトニトリルであるもの)、あるいは無塩形態のスルホンアミドとして得られた(ルート2、酸性HPLC条件。例えば、水性の溶出液が0.2%酢酸を含む水であり、そして有機性の溶出液が0.2%の酢酸を含むアセトニトリルであるもの)。
【0091】
これらの得られたスルホンアミド又はスルホンアミドカリウム塩は、以下の手順を用いてそれらのナトリウム塩に変換されるか、あるいは実際に変換された:
【0092】
スルホンアミド(1当量、例えば1mmol)/テトラヒドロフラン(例えば10ml)、1当量(例えば1mmol)のナトリウムメトキシド(25%メタノール溶液)を添加し、そして混合物を室温で1時間撹拌する。テトラヒドロフランを真空で除去し、そして残査をジエチルエーテル(例えば50〜100ml)中で懸濁し、そして1時間加熱して還流させ、そして室温にまで冷却し、ろ過し、そして乾燥させた。
【0093】
実施例1−1
6−(2,6−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド(及びそのナトリウム塩)
2,6−ジメトキシフェニルボロン酸(286 mg, 1.6 mmol)、6−クロロ−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド(190 mg, 0.5 mmol)及び炭酸カリウム(290 mg, 2.1 mmol)をテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(116 mg, 0.1 mmol)/トルオール(1.3ml)及びエタノール(3.7ml)の脱気溶液に添加し、そしてマイクロ波反応器中で90分間90℃で加熱した。混合物を乾燥するまで蒸発させ、アセトニトリル、水、メタノールの1:1:1混合物1.5ml中で懸濁し、そしてろ過した。ろ液を乾燥するまで蒸発させ、そして残査をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン−酢酸エチルのグラジエント)で精製し、これにより133mgの表題の化合物が明るい固体として生成した。m/z = 467 (ES+), 465 (ES-).
【0094】
ナトリウムメトキシド/THFとの反応を上述のとおりに実施することで、相当のナトリウム塩が得られた。
【0095】
実施例1−2
6−(2,6−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸2−クロロ−4−フルオロ−ベンゾイルアミド及びそのナトリウム塩
1,1’−カルボニル−ジイミダゾール(60 mg, 0.4 mmol)を10mlのジクロロメタン中の2−クロロ−4ーフルオロ安息香酸(56 mg, 0.3 mmol)に添加し、そして混合物を30分間還流した。続いて、6−(2,6−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸アミド(100 mg, 0.3 mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(56 mg, 0.4 mmol)を添加し、そして混合物を室温で一晩撹拌した。乾燥するまで蒸発させた後、残査を分取HPLC/MS(RP18、メタノール−水のグラジエントであって、1%酢酸を含むもの)によって精製することで107mgの表題の化合物が白色固体として得られた。m/z = 451 (ES+), 449 (ES-).
【0096】
ナトリウムメトキシド/THFとの混合物を上述のとおり実施することで、相当のナトリウム塩が得られた。
【0097】
実施例1−3〜1−16
以下の実施例は、適切な出発材料を用いて、実施例1−1又は1−2でそれぞれ説明したのと類似の方法で調製した。
【0098】
【表4】

【0099】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

(式中、
1は塩素、臭素、メチル、メトキシ又はトリフルオロメチルであり;
2はフッ素、塩素、臭素、メチル又はトリフルオロメチルであり;
3は水素又はメチルであり;
4はアルコキシ、アルキル、アルキルスルファニル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、−S(O)2CH3又は−NH−S(O)2CH3であり;
5は水素、アルコキシ、アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり;
6は水素、アルキル又はトリフルオロメチルである)
の化合物及び医薬として許容されるその全ての塩。
【請求項2】
1が塩素、メトキシ又はトリフルオロメチルであり;且つ
2がフッ素又は塩素である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1が塩素、メトキシ又はトリフルオロメチルであり;
2がフッ素又は塩素であり;
4がメトキシ、メチル、メチルスルファニル、塩素、トリフルオロメチル、−S(O)2CH3又は−NH−S(O)2CH3であり;
5が水素、メトキシ、メチル又はフッ素であり;且つ
6が水素、メチル、又はトリフルオロメチルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
6−(2−クロロ−フェニル)−5−メチル−ピリジン−3−スルホン酸2−クロロ−4−フルオロ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2,6−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸2−クロロ−4−フルオロ−ベンゾイルアミド;
6−(2−メトキシ−フェニル)−5−メチル−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2−フルオロ−6−メトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2,4−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2−メチルスルファニル−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2,6−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;及び
6−(2−メタンスルホニル−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸2,4−ジクロロ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2−クロロ−フェニル)−5−メチル−ピリジン−3−スルホン酸4−クロロ−2−メトキシ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2−メタンスルホニルアミノ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸4−クロロ−2−メトキシ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2,6−ジメチル−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸4−クロロ−2−メトキシ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2,4,6−トリメチル−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸4−クロロ−2−メトキシ−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2,6−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸4−クロロ−2−メトキシベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2−クロロ−フェニル)−5−メチル−ピリジン−3−スルホン酸4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミド;カリウム塩;
6−(2−メトキシ−フェニル)−5−メチル−ピリジン−3−スルホン酸4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミド;カリウム塩;及び
6−(2,6−ジメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−スルホン酸4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミド;
から成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式Vの化合物
【化2】

(式中、R4、R5及びR6は、請求項1で上記式Iについて示した意味を有している)と、式IVの化合物
【化3】

(式中、R1、R2及びR3は、請求項1で上記式Iについて示した意味を有している)とを反応させ、式Iの化合物
【化4】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、請求項1で上記式Iについて示した意味を有している)
を生成することで、式Iの化合物を調製するための方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の1又は複数の化合物と、医薬として許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項7】
癌の治療のための請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
腫瘍増殖の阻害のための相当の医薬組成物の製造のための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
腫瘍増殖の阻害のための請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2010−526844(P2010−526844A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507838(P2010−507838)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003852
【国際公開番号】WO2008/138594
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】