説明

アリールピロリドン類の合成

本発明は、高収率でおよび高いエナンチオマー過剰率でアリールピロリドン類を合成する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願発明は、2005年1月28日出願の米国仮出願番号第60/648,039号の優先権を主張し、それは、引用により、その全体として、かつすべての目的に関して、本明細書に包含される。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般にアリールピロリドン類、例えば、HIV阻害剤の製造において中間体として有用なアリールピロリドン類の不斉合成のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
下記のタイプのアリールピロリドン類は、現在抗ウイルス剤、例えば、HIV阻害剤として、臨床設定において試験されている。臨床試験および新薬申請(NDA)提出は、活性剤の実際的な、大規模合成を必要とする。
【化1】

結果として、アリールピロリドン類の製造のための新規合成経路の発見が望まれている。これらのピロリドン類は少なくとも1個のキラル中心を有するため、高収率でおよび高いエナンチオマー過剰率(“ee”)で上記化合物を製造する不斉合成スキームが好ましい。
【0004】
アリールピペリジノン類の不斉合成は報告されている、Senda et al., J. Org. Chem., 66: 6852-6856 (2001)(“Senda”)。今日まで、しかしながら、アリールピロリドン類の不斉合成は報告されていない。望むエナンチオマーの高いeeをもたらす不斉合成は、当分野における著しい進歩に相当するであろう。
【発明の開示】
【0005】
発明の要約
第一の局面において、本発明は不斉合成の方法を提供する。本合成の生成物は、アミド含有ヘテロ環または薬学的に許容されるその塩であり得る。本方法は、有機金属ロジウム(I)錯体、キラルリガンド、α,β不飽和アミド含有ヘテロ環、およびボロン酸エステルを、アミド含有ヘテロ環およびそのエナンチオマーを含む混合物を形成させるのに十分な条件下で反応させ、それによりアミド含有ヘテロ環または薬学的に許容されるその塩を不斉合成することを含む。この混合物は約60%またはそれより大きいeeを有する。第二の局面において、本発明は、アミド含有ヘテロ環およびそのエナンチオマーを含む、混合物を提示する。
【0006】
例示的態様において、α,β不飽和アミド含有ヘテロ環は、式I:
【化2】

〔式中、
は置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールである。R、R、およびRは各々独立してH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR5a、NO、CN、ハロゲン、C(O)R5b、NR5a5b、C(O)NR5a5bおよびC(O)OR5bから選択される。R5aはHまたは置換もしくは非置換アルキルである。R5bはH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。〕
の構造を有する。ボロン酸エステルの例は、式II:
【化3】

〔式中、
は置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールである。RおよびRは、各々独立してH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR10、NO、CN、およびハロゲンから選択される。RおよびRは、それらが結合している酸素原子と一体となって、また所望により置換または非置換5〜8員環を形成できる。R10はHまたは置換もしくは非置換アルキルである。〕
を有する。
【0007】
本発明は、当分野におけるいくつかの進歩を示す。一つの進歩は、アリール5員ラクタムの不斉合成である。この分野で以前に知られていたのは、Sendaに報告されている通りの、アリール6員ラクタム類の不斉合成のみであった。アリール6員ラクタム類は常にアリール5員ラクタム類と同じではない。例えば、Sendaにおいて、N−ベンジル6員ラクタム基質がアリール部分と反応するとき、75%までの収率が記録された。驚くべきことに、アリール5員ラクタム類に関して、N−ベンジル5員ラクタム基質は35%の収率しかもたらさない。ベンジル基をフェニル基に置換したとき、反応収率は35%から約80%に著しく上昇した。
【0008】
発明および態様の詳細な記載
I. 定義
記号
【化4】

は、結合として用いられているときまたは結合に垂直に表示されているときのいずれであっても、表示された部分が分子の残りの部分、固体支持体などに結合する点を示す。
【0009】
本発明のある化合物は、溶媒和されていない形、ならびに水和された形を含む溶媒和された形で存在できる。一般に、溶媒和された形態は溶媒和されていない形態と同等であり、本発明の範囲内に包含される。本発明のある化合物は複数の結晶形または無定形形態で存在できる。一般に、全ての物理的形態が、本発明により意図される使用について同等であり、本発明の範囲内にあると解釈されるべきである。
【0010】
本発明のある化合物は不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有する;ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体および個々の異性体は、本発明の範囲内に含まれる。
【0011】
本発明の化合物は、単独異性体(例えば、エナンチオマー、cis−trans、位置、ジアステレオマー)として、または異性体混合物として製造できる。好ましい態様において、本化合物は、実質的に単独の異性体として製造する。実質的に異性体的に純粋な化合物の製造法は当分野で既知である。例えば、エナンチオマー的に富化した混合物および純粋エナンチオマー化合物を、エナンチオマー的に純粋な合成中間体を、キラル中心を未変化のまま残すか、またはその完全な変換をする反応と組み合わせて使用して、製造できる。あるいは、最終生成物または合成経路に沿った中間体を、単独の立体異性体に分離できる。特定の立体中心を逆にするまたは未変化のまま残す技術、および立体異性体の混合物を分割する技術は当分野で既知であり、特定の状況に適当な方法を選択するのは、当業者の技術の範囲内である。全般的に、Furniss et al. (eds.), VOGEL'S ENCYCLOPEDIA OF PRACTICAL ORGANIC CHEMISTRY 5TH ED., Longman Scientific and Technical Ltd., Essex, 1991, pp. 809-816;およびHeller, Acc. Chem. Res. 23: 128 (1990)を参照のこと。
【0012】
本発明の化合物はまた、このような化合物を構成する1種以上の原子の、天然の割合ではない原子の同位体を含み得る。例えば、本化合物は例えばトリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)または炭素−14(14C)のような放射活性同位体で放射標識し得る。本発明の化合物の全ての同位体の変動は、放射活性であろうとなかろうと、本発明の範囲内に包含すべきであることが意図される。
【0013】
置換基が、左から右の方向に書くそれらの通常の化学式により明記されているとき、それらは置換基、構造式を右から左の方向に書くことにより得られる化学的に同等な置換基を等しく含み、例えば、−CHO−はまた−OCH−も意味する。
【0014】
用語“アルキル”は、それ自体または他の置換基の一部として、特記しない限り、示す炭素原子数を有する(すなわちC−C10は1個から10個の炭素を意味する)、完全に飽和されているか、一または多不飽和であってよく、二価および多価ラジカルであり得る直鎖または分枝鎖、または環状炭化水素ラジカル、またはそれらの組み合わせを意味する。飽和炭化水素ラジカルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルの同族体および異性体などの基を含むが、これらに限定されない。不飽和アルキル基は、1個以上の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例は、ビニル、2−プロペニル、crotyl、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、および高級同族体および異性体を含むが、これらに限定されない。用語“アルキル”は、特記されない限り、また、“ヘテロアルキル”のような下記でより詳しく定義するアルキルの誘導体を含む。炭化水素基に限定されるアルキル基は“ホモアルキル”と呼ぶ。
【0015】
用語“アルキレン”は、それ自体または他の置換基の一部として、−CHCHCHCH−が例であるがこれに限定されないアルカン由来の二価ラジカルを意味し、そしてさらに“ヘテロアルキレン”として下に定義の基を含む。典型的に、アルキル(またはアルキレン)基は1個から24個の炭素原子を有し、10個またはそれより少ない炭素原子を有するこのような基が本発明で好ましい。“低級アルキル”または“低級アルキレン”は、一般に8個またはそれより少ない炭素原子を有する短鎖アルキルまたはアルキレン基である。
【0016】
用語“アルコキシ”、“アルキルアミノ”および“アルキルチオ”(またはチオアルコキシ)はそれらの通常の意味で使用し、分子の残りに各々酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して結合しているアルキル基を意味する。
【0017】
用語“ヘテロアルキル”は、それ自体または他の用語との組み合わせで、特記しない限り、記載の数の炭素原子およびO、N、SiおよびSから成る群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子から成り、ここで、窒素および硫黄原子は所望により酸化されていてよく、窒素ヘテロ原子は所望により4級化されていてよい、安定な直鎖または分枝鎖、または環状炭化水素ラジカル、またはそれらの組み合わせを意味する。これらのヘテロ原子(複数もある)O、NおよびSおよびSiはヘテロアルキル基の任意の内部の位置に、またはアルキル基が分子の残りに結合している位置に配置してよい。例は、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH,−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH)、−CH−CH=N−OCH、および−CH=CH−N(CH)−CHを含むが、これらに限定されない。例えば、−CH−NH−OCHおよび−CH−O−Si(CH)のように2個までのヘテロ原子が連続し得る。同様に、用語“ヘテロアルキレン”は、それ自体または他の置換基の一部として、−CH−CH−S−CH−CH−および−CH−S−CH−CH−NH−CH−により例示されるがこれらに限定されないヘテロアルキル由来の二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基について、ヘテロ原子は鎖末端のいずれかまたは両方を占め得る(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。なおさらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン架橋基について、該架橋基の配向は、架橋基の式が記載されている配向により示されない。例えば、式−C(O)R'−は、−C(O)R'−および−R'C(O)−の両方を意味する。
【0018】
用語“シクロアルキル”および“ヘテロシクロアルキル”は、それら自体または他の用語との組み合わせで、特記しない限り、各々“アルキル”および“ヘテロアルキル”の環状形を意味する。加えて、ヘテロシクロアルキルについて、ヘテロ原子は、ヘテロ環が分子の残りに結合する位置を占め得る。シクロアルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどを含むが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例は、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0019】
用語“ハロ”または“ハロゲン”は、それら自体または他の置換基の一部として、特記しない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。加えて、“ハロアルキル”のような用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことを意図する。例えば、用語“ハロ(C−C)アルキル”は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピルなどを含むが、これらに限定されないことを意図する。
【0020】
用語“アリール”は、特記しない限り、単環または互いに融合しているかもしくは共有結合している多環(好ましくは1個から3個の環)の多不飽和、芳香族性、置換基を意味する。用語“ヘテロアリール”は、N、O、およびSから選択され、ここで、窒素および硫黄原子は所望により酸化されていてよく、そして窒素原子(複数もある)は所望により4級化されていてよい、1個から4個のヘテロ原子を含むアリール基(または環)を意味する。ヘテロアリール基は分子の残りにヘテロ原子を介して結合できる。アリールおよびヘテロアリール基の非限定的例は、フェニル、ベンジル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンゾイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルを含む。上記のアリールおよびヘテロアリール環系のための置換基は、下記の許容される置換基の群から選択される。
【0021】
簡単に言うと、用語“アリール”は、他の用語と組み合わせて使用するとき(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)、上記で定義のアリールおよびヘテロアリール環両方を含む。故に、用語“アリールアルキル”は、アリール基が炭素原子(例えば、メチレン基)が、例えば、酸素原子で置換されているアルキル基(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)を含む、アルキル基に結合しているもの(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)を含むことを意図する。
【0022】
上記用語の各々(例えば、“アルキル”、“ヘテロアルキル”、“アリール”および“ヘテロアリール”)は、示すラジカルの置換形および非置換形の両方を含むことを意味する。各タイプのラジカルのための好ましい置換基は、下に提供する。
【0023】
アルキルおよびヘテロアルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルとしばしば呼ばれるものを含む)のための置換基は、一般に、“アルキル基置換基”と呼び、それらは下記から選択されるが、これらに限定されない種々の基の1個以上であり得る:0から(2m'+1)(ここで、m'はこのようなラジカル中の炭素原子の数の総数である)に亘る数の−OR'、=O、=NR'、=N−OR'、−NR'R”、−SR'、−ハロゲン、−SiR'R”R”'、−OC(O)R'、−C(O)R'、−COR'、−CONR'R”、−OC(O)NR'R”、−NR”C(O)R'、−NR'−C(O)NR”R”'、−NR”C(O)R'、−NR−C(NR'R”R'”)=NR””、−NR−C(NR'R”)=NR'”、−S(O)R'、−S(O)R'、−S(O)NR'R”、−NRSOR'、−CNおよび−NO。R'、R”、R”'およびR””各々は、好ましくは独立して水素、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、例えば1−3個のハロゲンで置換されたアリール、置換または非置換アルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を意味する。本発明の化合物が1個以上のR基を含むとき、例えば、R基の各々は独立して、各々R'、R”、R'”およびR””基として、これらの基が複数存在するように、選択される。R'およびR”が同じ窒素原子に結合しているとき、それらは窒素原子と一体となって5、6、または7員環を形成できる。例えば、−NR'R”は1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含むが、これらに限定されないことを意図する。置換基に関する上の記載から、当業者には、用語“アルキル”が、ハロアルキル(例えば、−CFおよび−CHCF)およびアシル(例えば、−C(O)CH、−C(O)CF、−C(O)CHOCHなど)のように水素基以外の基に結合している炭素原子を含む基を含むことを意図することが理解される。
【0024】
アルキルラジカルについて記載した置換基と同様、アリールおよびヘテロアリール基の置換基は一般に“アリール基置換基”と呼ばれる。本置換基は、例えば:ハロゲン、−OR'、=O、=NR'、=N−OR'、−NR'R”、−SR'、−ハロゲン、−SiR'R”R”'、−OC(O)R'、−C(O)R'、−COR'、−CONR'R”、−OC(O)NR'R”、−NR”C(O)R'、−NR'−C(O)NR”R”'、−NR”C(O)R'、−NR−C(NR'R”R'”)=NR””、−NR−C(NR'R”)=NR'”、−S(O)R'、−S(O)R'、−S(O)NR'R”、−NRSOR'、−CNおよび−NO、−R'、−N、−CH(Ph)、フルオロ(C−C)アルコキシ、およびフルオロ(C−C)アルキルから、0から芳香環系の遊離価の総数までの範囲の数で選択され;ここで、R'、R”、R”'およびR””は好ましくは独立して水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択される。本発明の化合物が1個以上のR基を含むとき、例えば、R基の各々は独立して、各々R'、R”、R'”およびR””基として、これらの基が複数存在するように、選択される。
【0025】
アリールまたはヘテロアリール環上の隣接原子上の2個の置換基は、所望により式−T−C(O)−(CRR')−U−(式中、TおよびUは独立して−NR−、−O−、−CRR'−または一重結合であり、そしてqは0から3の整数である)の置換基と置き換え得る。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の2個の置換基は、式−A−(CH)−B−(式中、AおよびBは独立して−CRR'−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR'−または一重結合であり、そしてrは1から4の整数である)の置換基と置き換え得る。このようにして形成された新しい環の一重結合の一方は、所望により二重結合と置き換え得る。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の2個の置換基は、式−(CRR')−X−(CR”R'”)−(式中、sおよびdは独立して0から3の整数であり、そしてXは−O−、−NR'−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)NR'−である)の置換基と置き換え得る。置換基R、R'、R”およびR'”は、好ましくは水素または置換もしくは非置換(C−C)アルキルから独立して選択される。
【0026】
ここで使用する用語“ヘテロ原子”は酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)およびシリコン(Si)を含むことを意図する。
【0027】
ここで使用する“保護基”は、特定の反応条件下で安定であるが、異なる反応条件下では基質から開裂される部分を意味する。保護基は、それが本発明の化合物の芳香環部分の直接参加に関与するようにも選択できる。有用な保護基の例に関して、例えば、Greene et al., PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS, John Wiley & Sons, New York, 1991を参照のこと。
【0028】
ここで使用する“エナンチオマー過剰率”、または“ee”は、エナンチオマー混合物中の他方を超える一方のエナンチオマーの超過量のための表現である。“ee”は通常パーセントで記載する。代数学的に、
【数1】

である。“ee”についてのさらなる情報は、例えば、Wade, L.G., ORGANIC CHEMISTRY, 5th Ed., Prentice Hall, New Jersey, 2003, pp. 167-207を参照のこと。
【0029】
ここで使用する“HIV感染に関連する障害”または“HIV感染に関連する疾患”は、HIV感染により特徴付けられる疾患状態を意味する。このようなHIV感染に関連する障害は、AIDS;カポジ肉腫;ニューモシスティス・カリニおよびマイコバクテリウム・ツベルクローシスが原因の感染のような日和見感染;口腔カンジダ症、毛髪状白斑、およびアフタ性潰瘍を含む口腔病巣;全身性リンパ節腫;帯状疱疹;血小板減少症;無菌性髄膜炎;トキソプラズマ症、クリプトコッカス症、CMV感染、原発性CNSリンパ腫、およびHIV関連認知症のような神経学的疾患;末梢ニューロパチー、発作;およびミオパチーを含むが、これらに限定されない。
【0030】
ここで使用する“HIV逆転写酵素阻害剤”は、HIV逆転写酵素(RT)のヌクレオシドおよび非ヌクレオシド阻害剤両方を言及することを意図する。ヌクレオシドRT阻害剤の例は、AZT、ddC、ddI、d4T、および3TCを含むが、これらに限定されない。非ヌクレオシドRT阻害剤の例は、デラビルジン(Pharmacia and Upjohn U90152S)、エファビレンツ(DuPont)、ネビラピン(Boehringer Ingelheim)、Ro 18,893(Roche)、トロビルジン(Lilly)、MKC−442(Triangle)、HBY 097(Hoechst)、ACT(Korean Research Institute)、UC−781(Rega Institute)、UC−782(Rega Institute)、RD4−2025(Tosoh Co. Ltd.)、およびMEN 10979(Menarini Farmaceutici)を含むが、これらに限定されない。
【0031】
ここで使用する“HIVプロテアーゼ阻害剤”は、HIVプロテアーゼを阻害する化合物を言及することを意図する。例は、サキナビル(Roche, Ro31-8959)、リトナビル(Abbott, ABT-538)、インジナビル(Merck, MK-639)、アンプレナビル(Vertex/Glaxo Wellcome)、ネルフィナビル(Agouron, AG-1343)、パリナビル(Boehringer Ingelheim)、BMS−232623(Bristol-Myers Squibb)、GS3333(Gilead Sciences)、KNI−413(Japan Energy)、KNI−272(Japan Energy)、LG−71350(LG Chemical)、CGP−61755(Ciba-Geigy)、PD 173606(Parke Davis)、PD 177298(Parke Davis)、PD 178390(Parke Davis)、PD 178392(Parke Davis)、U−140690(Pharmacia and Upjohn)、およびABT−378を含むが、これらに限定されない。さらなる例は、WO93/07128、WO94/19329、WO94/22840、およびPCT出願番号US96/03426に記載の環状プロテアーゼ阻害剤を含む。
【0032】
“治療的有効量”は、ここで、それを投与したものに対して作用を産生する用量を意味する。正確な投与量は、処置の目的に依存し、既知の技術を使用して当業者が確認できる(例えば、Lieberman, Pharmaceutical Dosage Forms(vols. 1-3, 1992);Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999);およびPickar, Dosage Calculations(1999)参照)。
【0033】
ここで使用する“反応性官能基”は、オレフィン、アセチレン、アルコール、フェノール、エーテル、オキシド、ハライド、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アミン、ヒドラジン、ヒドラゾン、ヒドラジド、ジアゾ、ジアゾニウム、ニトロ、ニトリル、メルカプタント、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホン酸、スルフィン酸、アセタール、ケタール、無水物、スルフェート、スルフェン酸イソニトリル、アミジン、イミド、イミデート、ニトロン、ヒドロキシルアミン、オキシム、ヒドロキサム酸チオヒドロキサム酸、アレン、オルトエステル、スルファイト、エナミン、イナミン、ウレア、シュードウレア、セミカルバジド、カルボジイミド、カルバメート、イミン、アジド、アゾ化合物、アゾキシ化合物、およびニトロソ化合物を含むが、これらに限定されない。反応性官能基はまたバイオコンジュゲートの製造に使用する基、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミドなども含む。これらの各々の官能基の製造法は当分野で既知であり、特定の目的へのそれらの適用または特定の目的での修飾は当業者の能力の範囲内である(例えば、Sandler and Karo, eds. ORGANIC FUNCTIONAL GROUP PREPARATIONS, Academic Press, San Diego, 1989参照)。
【0034】
“非共有結合タンパク質結合基”は、結合的方法で無傷のまたは変性ポリペプチドと相互作用する部分である。相互作用は、生物学的環境で可逆性または不可逆性のいずれかであり得る。“非共有結合タンパク質結合基”の本発明のキレート剤または錯体への取り込みは、該薬剤または錯体に、非共有結合的方法でポリペプチドと相互作用する能力を提供する。非共有結合相互作用の例は、疎水性−疎水性および静電気相互作用を含む。“非共有結合タンパク質結合基”の例は、アニオン基、例えば、ホスフェート、チオホスフェート、ホスホネート、カルボキシレート、ボロネート、スルフェート、スルホン、チオスルフェート、およびチオスルホネートを含む。
【0035】
ここで使用する“架橋基”は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む共有化学結合を意味する。架橋基の例は−C(O)NH−、−C(O)O−、−NH−、−S−、−O−などを含む。
【0036】
用語“ターゲティング基”は:(1)標的領域、例えば、腫瘍にそれが結合している物体(例えば、造影剤)を能動的に配置できる;または(2)標的組織、例えば腫瘍内に優先的に能動的に吸収されるか挿入される部分を意味することを意図する。本ターゲティング基は、非ペプチドおよびペプチドの両方を含むことを意図する小分子であり得る。本ターゲティング基はまだサッカライド、レクチン、受容体、受容体のリガンド、BSAのようなタンパク質、抗体、ポリ(エーテル)、デンドリマー、ポリ(アミノ酸)などを含むが、これらに限定されない巨大分子でもあり得る。
【0037】
用語“開裂可能な基”は、キレート(またはキレートリンカーアーム構築物)を共役体の残りに連結している結合の開裂によりキレートを共役体から遊離できる部分を意味する。このような開裂は本質的に化学的、または酵素的に仲介のいずれかである。酵素的に開裂可能な基の例は、天然アミノ酸または天然アミノ酸で終わるペプチド配列を含む。
【0038】
酵素的開裂部位に加えて、酵素以外の因子の作用により開裂される1個以上の部位を含むことは本発明の範囲内である。非酵素的開裂因子の例は、酸、塩基、光(例えば、ニトロベンジル誘導体、フェナシル基、ベンゾインエステル)、および熱を含むが、これらに限定されない。多くの開裂可能な基が当分野で既知である。例えば、Jung et al., Biochem. Biophys. Acta, 761:152-162(1983);Joshi et al., J. Biol. Chem., 265:14518-14525(1990);Zarling et al., J. Immunol., 124:913-920(1980);Bouizar et al., Eur. J. Biochem., 155:141-147(1986);Park et al., J. Biol. Chem., 261:205-210(1986);Browning et al., J. Immunol., 143:1859-1867(1989)を参照のこと。さらに広い範囲の開裂可能な、二官能性(ホモ−およびヘテロ−二官能性)スペーサーアームがPierceのような供給社から商業的に入手可能である。
【0039】
II. 方法
第一の局面において、本発明は合成法を提供する。この合成の生成物はアミド含有ヘテロ環または薬学的に許容されるその塩であり得る。本方法は:a)有機金属ロジウム(I)錯体、キラルリガンド、α,β不飽和アミド含有ヘテロ環、およびボロン酸エステルをアミド含有ヘテロ環を含む生成物が形成されるのに十分な条件下で反応させ、それにより該アミド含有ヘテロ環または薬学的に許容されるその塩を製造することを含む。
【0040】
例示的態様において、α,β不飽和アミド含有ヘテロ環は式I:
【化5】

〔式中、
は置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択される。R、R、およびRは各々独立してH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR5a、NO、CN、ハロゲン、C(O)R5b、NR5a5b、C(O)NR5a5bおよびC(O)OR5bから選択される。R5aはHまたは置換もしくは非置換アルキルである。R5bはH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。〕
の構造を有する。ボロン酸エステルの例は、式II:
【化6】

〔式中、
は置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールである。RおよびRは各々独立してH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR10、NO、CN、およびハロゲンから選択される。RおよびRは、それらが結合している酸素原子と一体となって、また所望により置換または非置換5〜8員環を形成できる。R10はHまたは置換もしくは非置換アルキルである。〕
の式を有し得る。本アミド含有ヘテロ環は、式III:
【化7】

の式を有し得る。例示的態様において、本合成は不斉である。例示的態様において、本生成物はエナンチオマー的に純粋であり、式IIIに従う式を有する。他の例示的態様において、本合成は式IIIのアミド含有ヘテロ環のエナンチオマーを製造する。他の例示的態様において、本生成物は、さらに式IIIa:
【化8】

を有するアミド含有ヘテロ環を含む。
【0041】
例示的態様において、本生成物は約10%またはそれより大きいeeを有する。他の例示的態様において、本生成物は約30%またはそれより大きいeeを有する。他の例示的態様において、本生成物は約50%またはそれより大きいeeを有する。他の例示的態様において、本生成物は約60%またはそれより大きいeeを有する。他の例示的態様において、本生成物は約70%またはそれより大きいeeを有する。他の例示的態様において、本生成物は約80%またはそれより大きいeeを有する。他の例示的態様において、本生成物は約90%またはそれより大きいeeを有する。他の例示的態様において、本生成物は約95%またはそれより大きいeeを有する。他の例示的態様において、本生成物は約97%またはそれより大きいeeを有する。他の例示的態様において、本生成物は約98%またはそれより大きいeeを有する。他の例示的態様において、本生成物は約99.0%またはそれより大きいeeを有する。他の例示的態様において、本生成物は約99.2%またはそれより大きいeeを有する。他の例示的態様において、本生成物は約99.4%またはそれより大きいeeを有する。他の例示的態様において、本生成物は約99.6%またはそれより大きいeeを有する。他の例示的態様において、本生成物は約99.8%またはそれより大きいeeを有する。
【0042】
例示的態様において、本方法は約20%またはそれより大きい収率を有する。例示的態様において、本方法は約30%またはそれより大きい収率を有する。例示的態様において、本方法は約40%またはそれより大きい収率を有する。例示的態様において、本方法は約50%またはそれより大きい収率を有する。例示的態様において、本方法は約60%またはそれより大きい収率を有する。例示的態様において、本方法は約70%またはそれより大きい収率を有する。例示的態様において、本方法は約80%またはそれより大きい収率を有する。例示的態様において、本方法は約90%またはそれより大きい収率を有する。例示的態様において、本方法は約95%またはそれより大きい収率を有する。
【0043】
例示的態様において、本方法は40から150℃の間の温度で行う。他の例示的態様において、本方法は50から130℃の間の温度で行う。例示的態様において、本方法は60から110℃の間の温度で行う。例示的態様において、本方法は2時間から8時間の間の長さの時間行う。他の例示的態様において、本方法は3時間から7時間の間の長さの時間行う。他の例示的態様において、本有機金属ロジウム(I)錯体は、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるキラルリガンドを含む。他の例示的態様において、本キラルリガンドは、アリール置換されたホスフィンを含む。他の例示的態様において、本キラルリガンドは(R)−BINAPまたは(S)−BINAPである。
【0044】
他の例示的態様において、Rは置換または非置換フェニル、置換または非置換ピリジニル、置換または非置換ピリミジニル、置換または非置換ピリダジニル、置換または非置換ピラジニル、置換または非置換キノリニル、置換または非置換イソキノリニル、置換または非置換ベンゾフラニル、置換または非置換ベンゾチオフェニル、置換または非置換ベンゾイミダゾリル、置換または非置換キナゾリニルおよび置換または非置換キノキサリニルから選択されるメンバーである。
【0045】
例示的態様において、Rは置換または非置換フェニルおよび置換または非置換ベンジルから選択されるメンバーであり。例示的態様において、Rは置換または非置換フェニルである。例示的態様において、本生成物は約80%またはそれより大きいeeを有し得る。
【0046】
例示的態様において、本方法はさらに:工程a)の混合物を精製し、そうして工程a)後よりも大きいeeを有する生成物を製造する工程を含む。例示的態様において、本精製は、本混合物をカラムクロマトグラフィーおよび再結晶を含む回収法に付すことを含む。
【0047】
第二の局面において、本発明はアミド含有ヘテロ環およびそのエナンチオマーの混合物を提供する。この混合物は、式IV:
【化9】

の化合物および式IVa:
【化10】

の化合物を含む、混合物
〔上記式中、
11は置換または非置換アルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択される。R12、R13、およびR14は各々独立してH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR15、NO、CN、ハロゲン、C(O)R15、NR1516、C(O)NR1516およびC(O)OR15から選択される。R15はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーである。R16はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。R17は置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。〕。例示的態様において、本混合物は約60%またはそれより大きいeeを有する。
【0048】
例示的態様において、本混合物はある方法に従い製造できる。その方法は、有機金属ロジウム(I)錯体、キラルリガンド、式Vのα,β不飽和N−置換ヘテロ環を混合物を形成させるのに十分な条件下で接触させることを含む。本α,β不飽和N−置換ヘテロ環は、式V:
【化11】

〔式中、
11は置換または非置換アルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。R12、R13、およびR14はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR15、NO、CN、ハロゲン、C(O)R15、NR1516、C(O)NR1516およびC(O)OR15から独立して選択されるメンバーである。R15はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーである。R16はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。〕
の式を有する。本ボロン酸エステルは、式II:
【化12】

〔式中、
は置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択される。RおよびRは各々独立してH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR10、NO、CN、およびハロゲンから選択される。RおよびRは、それらが結合している酸素原子と一体となって、また所望により置換または非置換5〜8員環を形成できる。R10はHおよび置換または非置換アルキルから選択される。他の例示的態様において、R11は置換または非置換フェニルおよび置換または非置換ベンジルから選択されるメンバーである。〕
の式を有し得る。他の例示的態様において、R11は置換または非置換フェニルである。
【0049】
第三の局面において、本発明はある化合物およびそのエナンチオマーの製造法を提供する。本化合物は、式VI:
【化13】

〔式中、
12、R13、およびR14はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR15、NO、CN、ハロゲン、C(O)R15、NR1516、C(O)NR1516およびC(O)OR15から独立して選択されるメンバーである。R15はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーである。R16はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。R30、R32、R33、およびR34はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR19、NO、CN、ハロゲン、C(O)R19、NR1920、C(O)NR1920およびC(O)OR19から独立して選択されるメンバーである。R33とR34またはR33とR32またはR32とZは、それらが結合している原子と一体となって、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択される少なくとも5員の環を形成する。R19はH、置換または非置換アリールおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーである。R20はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。Zは式VII:
【化14】

(式中、R40、R41、およびR42はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR44、NO、CN、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーである。R44はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーである。R43はハロゲンである。Zは置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。)
の部分である。〕
の構造を有し得る。
【0050】
本方法は:a)有機金属ロジウム(I)錯体、キラルリガンド、α,β不飽和アミド含有ヘテロ環、およびボロン酸エステルを、式IXのアミド含有ヘテロ環およびそのエナンチオマーを含む混合物の形成に十分な条件下で接触させることを含み、ここで、該混合物は約60%またはそれより大きいeeを有する。α,β不飽和N−置換ヘテロ環は式VIII:
【化15】

〔式中、Xは保護基である。R12、R13、およびR14はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR25、NO、CN、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーである。〕
で表される。本ボロン酸エステルは式IX:
【化16】

〔式中、
30、R32、R33、およびR34はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR19、NO、CN、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーである。YはH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR19、NO、CN、およびハロゲンから選択されるメンバーである。R17およびR18はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであり、そしてR17およびR18は、それらが結合している酸素原子と一体となって、所望により置換または非置換4〜8員環を形成する。R19はH、置換または非置換アリールおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーである。〕
の式を有し得る。本アミド含有ヘテロ環は、式X:
【化17】

を有する。
【0051】
本方法は、さらに:b)工程a)の生成物をXを除去するための脱保護反応に付し、式XI:
【化18】

の化合物およびそのエナンチオマーを製造する工程を含む。
【0052】
本方法はさらに:c)工程b)の生成物をYを除去するための脱保護反応に付し、式XII:
【化19】

の化合物およびそのエナンチオマーを製造する工程を含む。
【0053】
本方法はさらに:d)工程c)の生成物をアリール化反応に付し、式XIII:
【化20】

の化合物およびそのエナンチオマーを製造する工程を含む。Zは式XIV:
【化21】

〔式中、R40、R41、R42、R43、およびR44はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR46、NO、CN、ハロゲン、C(O)R46、NR4647、C(O)NR4647およびC(O)OR46から独立して選択されるメンバーである。R46はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーである。R47はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。〕
の部分である。
【0054】
本方法はさらに:e)工程d)の生成物のラクタム窒素をアリール化して、式VI:
【化22】

の化合物およびそのエナンチオマーを製造する工程を含む。Zは置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり、それにより、式VIを有する化合物を製造する。
【0055】
例示的態様において、Zは式XV:
【化23】

〔式中、
50、R51、R52、R53およびR54はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR55、SONR5556、CONR5556、NR5556、NO、CN、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーであり;そしてR50、R51、R52、R53およびR54の任意の2個は、それらが結合している原子と一体となって、所望により置換または非置換5〜8員環を形成する。R55はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーである。R56はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。〕
の部分である。他の例示的態様において、R32はハロゲンである。他の例示的態様において、R30、R33、およびR34はHである。他の例示的態様において、R40、R41、およびR42はHである。他の例示的態様において、R51およびR52は、それらが結合している原子と一体となって、所望により置換または非置換6員環を形成してよい。
【0056】
他の例示的態様において、Zは式XVIの部分および式XVIIの部分:
【化24】

〔式中、
60およびR61はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR62、NO、CN、NR6263、S(O)NR6263、NR62S(O)63、C(O)NR6263、S(O)62およびハロゲンから独立して選択されるメンバーである。R62はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーである。R63はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。〕
から選択されるメンバーである。
【0057】
例示的態様において、Zは式XVIII:
【化25】

の部分である。
他の例示的態様において、Zは式XIX:
【化26】

の部分である。
【0058】
III. 本方法のための反応条件
下記は、本発明の化合物および混合物の会合のために利用可能な一定の多様な方法を説明するために提供し、それは本発明の化合物の製造に有用な反応または反応順序の範囲を定義する意図はない。
【0059】
本発明において使用する化合物は、スキーム1に従い合成する。
スキーム1
【化27】

試薬および条件:a)CHCN、0.4N HCl、rt、1時間;b)Rh(cat)、(R)−BINAP、KCO、ジオキサン/HO、80℃、6時間;c)CAN、CHCN/HO OC 4時間。
【0060】
スキーム1の最初の工程において、化合物1および2を、化合物3を形成させるために工程aの条件下で反応させ得る。化合物4は、アリール部分およびホウ酸エステルをパラジウム触媒と混合することにより合成できる。化合物3および4を、化合物5を形成させるために工程bの条件下で反応させ得る。最後に、本ピロリドン窒素を、化合物6を形成させるために工程cの条件下で脱保護できる。
【0061】
本発明の方法に含まれる他の反応は脱保護反応である。例示的態様において、保護基をスキーム2に示す通り除去する。
スキーム2
【化28】

【0062】
スキーム2において、ベンジル保護基を除去し、化合物7を製造するために、化合物6をパラジウム触媒と反応させる。
【0063】
本発明の方法に含まれる他の反応はアリール化反応である。例示的態様において、アリール部分をスキーム3に示す通り、付加できる。
スキーム3
【化29】

【0064】
スキーム3において、化合物8を製造するために化合物7をアリール部分および塩基と反応させる。
【0065】
本発明の方法に含まれる他の反応はアリール部分のラクタム窒素への結合である。例示的態様において、アリール部分をスキーム4に示す通り付加する。
スキーム4
【化30】

【0066】
スキーム4において、化合物10を製造するために、化合物8をアリール部分9と、上記の反応条件下で反応させる。
【0067】
本発明の化合物は、一般に既知の合成法の適当な組み合わせにより合成する。本発明の化合物の合成に有用な技術は、関連分野の当業者には容易に明白であり、かつ利用できる。
【0068】
本発明を具体的態様を参照して記載しているが、本発明の他の態様および変法が、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、他の当業者により編み出され得ることは明白である。
【実施例】
【0069】
全般
下記実施例において、特記しない限り、温度は摂氏度(℃)で示す;操作は室温または環境温度、“rt”、または“RT”で行った(典型的に約18−25℃の範囲);溶媒の蒸発は減圧下(典型的に、4.5−30mmHg)、60℃までの浴温度でロータリーエバポレーターを使用して行った;反応の経過は典型的に薄層クロマトグラフィー(TLC)で追跡しており、反応時間は説明のためのみに提供する;融点は未補正である;生成物は十分なH−NMRおよび/または微量分析データを示した;収率は説明のためだけに提供する;そして下記の通常の略語も使用する:mp(融点)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、mmol(ミリモル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、min(分)、およびh(時間)。
【0070】
特記されない限り、全ての溶媒(HPLCグレート)および試薬は供給社から購入し、さらに精製せずに四湯尾した。反応は特記しない限りアルゴンの覆い下に行った。分析的TLCはWhatman Inc. 60シリカゲルプレート(0.25mm厚)上で行った。化合物をUVランプ(254nM)下に、または、KMnO/KOH、ニンヒドリンまたはHanessianの溶液で発色させることにより可視化した。フラッシュクロマトグラフィーは、Selectro Scientificからのシリカゲルを使用して行った(粒子サイズ32−63)。H NMR、19F NMRおよび13C NMRスペクトルを、各々300MHz、282MHzおよび75.7MHzでVarian 300マシンで行った。融点をElectrothermal IA9100装置で記録し、未補正であった。
【0071】
実施例1
6の製造
1.1 3の合成
p−アニシジン2(18.48g、0.15mol、1当量)および2,5−ジメトキシ−2,5−ジヒドロフラン、1(39.04g、0.3mol、2当量)のアセトニトリル(750mL)溶液に、0.4N 水性HCl(600mL)溶液を添加した。反応混合物をrtで1時間撹拌し、NaHCO(40.32g、0.48mol、HClに対して2当量)でクエンチし、減圧下、27℃で濃縮し、EtOAcおよびHOに分配した。水性相をEtOAcで抽出し、合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィーでヘキサン:EtOAc(1:1)を用いて精製し、1−(4−メトキシ−フェニル)−1,5−ジヒドロ−ピロル−2−オン、3(10.85g、38%)を得た。
【0072】
1.2 結果
構造3の分析データは下記に示す。
【0073】
1.2.a 1−(4−メトキシ−フェニル)−1,5−ジヒドロ−ピロル−2−オン
1H NMR(CDCl3):δ 7.57(2 H, d, J = 9.2 Hz), 7.14(1H, dt, J = 0.8, 6.0 Hz), .6.92(2 H, d, J = 9.2 Hz), 6.26(1 H, dt, J = 0.8, 6.0), 4.40(2 H, t, J = 1.6), 3.80(3 H, s)ppm。
【0074】
1.3 4の合成
2−ベンジルオキシ−4−ブロモ−1−クロロ−ベンゼン(120g、0.4mol)、ジボレート(107.5g、0.42mol)、KOAc(117.8g、3当量)、Pd(dppf)Cl(1%mole)および500mL DMFの混合物を撹拌しながら脱気し、窒素を再充填した。混合物を80℃で3時間加熱した。DMFを真空で除去し、残渣が形成された。残渣を酢酸エチルと混合し、次いで濾過した。濾過後、固体を酢酸エチル(3x20mL)で洗浄し、酢酸エチルで再結晶して、97gの純粋生成物を得た。母液も濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して粗生成物を得て、それを酢酸エチルで再結晶した。生成物は2−(4−クロロ−3−ベンジルオキシ−フェニル)−4,4,5,5,−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン、4であった。
【0075】
1.4 結果
構造4の分析データは下記に示す。
【0076】
1.4.a(4−クロロ−3−ベンジルオキシ−フェニル)−4,4,5,5,−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン
1H NMR(CDCl3):δ 7.35(2 H, d, J = 7.6 Hz), 7.28(1 H, brs), 7.17-7.26(5 H, m), 7.11(1 H, s), 5.02(2 H, s), 1.20(12 H, s)ppm。
【0077】
1.5 5の合成
3(9g、47.57mmol、1当量)、4(32.8g、95.14mmol、2当量)、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)二量体(352mg、0.7136mmol、0.015当量)、(R)−BINAP(1.04g、1.665mmol、0.035当量)およびKCO(3.3g、23.8mmol、0.5当量)のジオキサン:水(10:1)溶液を窒素でパージし、80℃で油浴中26時間加熱した。反応混合物をEtOAcおよび塩水に分配した。水性相をEtOAcで抽出し、合わせたEtOAc抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(5:4 ヘキサン:EtOAc)で精製し、固体生成物を得た。EtOAcおよびヘキサンでの再結晶により生成物、(R)−4−(3−ベンジルオキシ−4−クロロ−フェニル)−1−(4−メトキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン、5を得た。
【0078】
1.6 結果
構造5の分析データは下記に示す。
【0079】
1.6.a(R)−4−(3−ベンジルオキシ−4−クロロ−フェニル)−1−(4−メトキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン
1H NMR(CDCl3):δ 7.48(2 H, d, J = 9.2 Hz), 7.44(2 H, m), 7.32-7.39(4 H, m), 6.92(2 H, d, J = 9.2 Hz), 6.86(1 H, d, J = 1.6 Hz), 6.83(1 H, dd, J = 0.8, 8.0 Hz), 5.16(2 H, s), 4.12(1 H, dd, J = 8.0, 9.6 Hz), 3.81(3 H, s), 3.75(1 H, dd, J = 6.8, 9. 6 Hz), 3.63(1 H, dddd, J = 8 Hz), 2.98(1 H, dd, J = 8.8, 16. 8 Hz), 2.68(1 H, dd, J = 16.8, 8.4 Hz)ppm。
【0080】
1.7 6の合成
5(16.5g、40mmol、1当量)のCHCN(1400mL)溶液に、硝酸アンモニウムセリウム(CAN)(65.8g、0.12mol、3当量)の50%水性CHCN溶液を0℃で滴下した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、Na(45.4g、0.36mol、9当量)を添加する。反応混合物を0℃でさらに1時間撹拌し、Celiteを通して濾過して、沈殿を除去した。濾液を減圧下濃縮し、残渣を5%MeOHのEtOAc溶液およびHOに分配した。水性相を5%MeOHのEtOAc溶液で抽出し、合わせた抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(40:1 CHCl:MeOH)を通した精製により、生成物、(R)−4−(3−ベンジルオキシ−4−クロロ−フェニル)−ピロリジン−2−オン、6を得た。
【0081】
1.8 結果
構造6の分析データは下記に示す。
【0082】
1.8.a(R)−4−(3−ベンジルオキシ−4−クロロ−フェニル)−ピロリジン−2−オン
1H NMR(CDCl3):δ 7.41(d, 2H, J = 7.6 Hz), 7.35(t, 2H, J = 6.8 Hz), 7.29(d, 2H, J = 8.0 Hz), 6.78(d, 1H, J = 2.0 Hz), 6.75(dd, 1H, J = 2.0, 8.0 Hz), 5.58(brs, 1H), 5.11(s, 2H), 3.70(t, 1H, J = 8.4 Hz), 3.62-3.56(m, 1H), 2.27(dd, 1H, J = 6.8, 9.2 Hz), 2.66(dd, 1H, J = 8.8, 16.8 Hz), 2.36(dd, 1H, J = 9.2, 17.2 Hz);LCMS m/z 302.20 [M+H]+
【0083】
実施例2
置換基の影響の決定
環内窒素上に種々の置換基を有するピロリドン類での試験を行った。一般的反応スキームはスキーム5に示す。種々のR置換基も挙げる。これらの試験の結果は下記の通りである:
スキーム5
【化31】

【表1】

【0084】
驚くべきことに、これらの反応の回収%は、Z位でベンジル基をフェニル基に置き換えたとき、35%から約80%に増加した。これは、75%までの収率が、Z位に相当する位置にベンジル基を有するピペリジノン類で記録されたSendaに記載の不斉合成反応と対照的である。
【0085】
実施例3
ボロン酸エステルY置換基の影響の決定
種々のY置換基を有するボロン酸エステルでの試験を行った。一般的反応スキームはスキーム6に示す。種々のボロン酸エステル置換基も挙げる。これらの実験の結果は下記の通りである:
スキーム6
【化32】

【表2】

【0086】
実施例4
反応条件中の塩基の影響の決定
使用する塩基のタイプを変えた試験を行った。一般的反応スキームはスキーム7に示す。種々の塩基も挙げる。これらの実験の結果は下記の通りである:
スキーム7
【化33】

【表3】

【0087】
本明細書において引用する全ての特許、特許出願および他の刊行物は、その全体を引用により包含させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミド含有ヘテロ環または薬学的に許容されるその塩の製造法であって:
a) 有機金属ロジウム(I)錯体、キラルリガンド、式I:
【化1】

〔式中、
は置換または非置換アルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり;
、R、およびRはH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR5a、NO、CN、ハロゲン、C(O)R5b、NR5a5b、C(O)NR5a5bおよびC(O)OR5bから独立して選択されるメンバーであり、
ここで
5aはHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーであり;
5bはH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。〕
のα,β不飽和アミド含有ヘテロ環および式II:
【化2】

〔式中、
は置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり;
およびRはH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであり、ここで、RおよびRは、それらが結合している酸素原子と一体となって、所望により置換または非置換5〜8員環を形成し、
ここで、
10はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーである。〕
のボロン酸エステルと、式III:
【化3】

のアミド含有ヘテロ環を含む生成物が形成されるのに十分な条件下で反応させ、それにより該アミド含有ヘテロ環または薬学的に許容されるその塩を製造することを含む、方法。
【請求項2】
該生成物が、式IIIa:
【化4】

のアミド含有ヘテロ環をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該生成物が約60%またはそれより大きいeeを有する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
該有機金属ロジウム(I)錯体が、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるキラルリガンドを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
該キラルリガンドがアリール置換されたホスフィンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
が置換または非置換フェニル、置換または非置換ピリジニル、置換または非置換ピリミジニル、置換または非置換ピリダジニル、置換または非置換ピラジニル、置換または非置換キノリニル、置換または非置換イソキノリニル、置換または非置換ベンゾフラニル、置換または非置換ベンゾチオフェニル、置換または非置換ベンゾイミダゾリル、置換または非置換キナゾリニルおよび置換または非置換キノキサリニルから選択されるメンバーである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
が置換または非置換フェニルおよび置換または非置換ベンジルから選択されるメンバーである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
が置換または非置換フェニルである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
該生成物が約80%またはそれより大きいeeを有する、請求項2記載の方法。
【請求項10】
b) 工程a)の混合物を精製し、そうして工程a)後よりも大きいeeを有する生成物を製造する工程をさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項11】
該精製が、該混合物をカラムクロマトグラフィーおよび再結晶を含む回収法に付すことを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
式IV:
【化5】

の化合物および式IVa:
【化6】

の化合物を含む、混合物
〔上記式中、
11は置換または非置換アルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり;
12、R13、およびR14はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR15、NO、CN、ハロゲン、C(O)R15、NR1516、C(O)NR1516およびC(O)OR15から独立して選択されるメンバーであり、
ここで、
15はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーであり;
16はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり、
ここで、
17は置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。〕。
【請求項13】
該混合物が約60%またはそれより大きいeeを有する、請求項12記載の混合物。
【請求項14】
a) 有機金属ロジウム(I)錯体、キラルリガンド、式V:
【化7】

〔式中、
11は置換または非置換アルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり;
12、R13、およびR14はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR15、NO、CN、ハロゲン、C(O)R15、NR1516、C(O)NR1516およびC(O)OR15から独立して選択されるメンバーであり、
ここで、
15はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーであり;
16はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。〕
のα,β不飽和N−置換ヘテロ環および式II:
【化8】

〔式中、
は置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり;
およびRはH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであり、ここで、RおよびRは、それらが結合している酸素原子と一体となって、所望により5〜8員環を形成する。〕
のボロン酸エステルと、該混合物を形成させるのに十分な条件下で反応させることを含む方法により製造した、請求項12記載の混合物。
【請求項15】
11が置換または非置換フェニルおよび置換または非置換ベンジルから選択されるメンバーである、請求項12記載の混合物。
【請求項16】
11が置換または非置換フェニルである、請求項12記載の混合物。
【請求項17】
式VI:
【化9】

〔式中、
12、R13、およびR14はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR15、NO、CN、ハロゲン、C(O)R15、NR1516、C(O)NR1516およびC(O)OR15から独立して選択されるメンバーであり、
ここで、
15はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーであり;
16はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり;
30、R32、R33、およびR34はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR19、NO、CN、ハロゲン、C(O)R19、NR1920、C(O)NR1920およびC(O)OR19から独立して選択されるメンバーであり、
ここで、
33とR34またはR33とR32またはR32とZがそれらが結合している原子と一体となって、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択される少なくとも5員の環を形成し;
19はH、置換または非置換アリールおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーであり;
20はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり;
は式VII:
【化10】

(式中、
40、R41、およびR42はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR44、NO、CN、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーであり、
ここで、
44はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーであり;そして
43はハロゲンである。)
の部分であり;
は置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。〕
の化合物およびそのエナンチオマーの製造法であって:
a) 有機金属ロジウム(I)錯体、キラルリガンド、式VIII:
【化11】

〔式中、
は保護基であり;
12、R13、およびR14はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR25、NO、CNから独立して選択されるメンバーである。〕
のα,β不飽和N−置換ヘテロ環および式IX:
【化12】

〔式中、
30、R32、R33、およびR34はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR19、NO、CN、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーであり;
はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR19、NO、CN、およびハロゲンから選択されるメンバーであり;
17およびR18はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであり、そしてR17およびR18は、それらが結合している酸素原子と一体となって、所望により置換または非置換4〜8員環を形成し、
ここで
19はH、置換または非置換アリールおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーである。〕
のボロン酸エステルを、式X:
【化13】

のアミド含有ヘテロ環およびそのエナンチオマーを含む混合物の形成に十分な条件下で反応させ(ここで、該混合物は約60%またはそれより大きいeeを有する);
b) 工程a)の生成物をXを除去するための脱保護反応に付し、式XI:
【化14】

の化合物およびそのエナンチオマーを製造し;
c) 工程b)の生成物をYを除去するための脱保護反応に付し、式XII:
【化15】

の化合物およびそのエナンチオマーを製造し;
d) 工程c)の生成物をアリール化反応に付し、式XIII:
【化16】

〔式中、
は式XIV
【化17】

(式中、
40、R41、R42、R43、およびR44はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR46、NO、CN、ハロゲン、C(O)R46、NR4647、C(O)NR4647およびC(O)OR46から独立して選択されるメンバーであり、
ここで、
46はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーであり;
47はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。)
の部分である。〕
の化合物およびそのエナンチオマーを形成し;
e) 工程d)の生成物のラクタム窒素をアリール化して、式VI:
【化18】

〔式中、
は置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。〕
の化合物およびそのエナンチオマーを製造し、
それにより、式VIを有する化合物を製造することを含む、方法。
【請求項18】
が式XV:
【化19】

〔式中、
50、R51、R52、R53およびR54はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR55、SONR5556、CONR5556、NR5556、NO、CN、およびハロゲンから独立して選択されるメンバーであり;そしてR50、R51、R52、R53およびR54の任意の2個が、それらが結合している原子と一体となってそれらが結合している原子と一体となって、所望により置換または非置換5〜8員環を形成し、
ここで、
55はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーであり;
56はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。〕
の部分である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
32がハロゲンである、請求項17記載の方法。
【請求項20】
30、R33、およびR34がHである、請求項18記載の方法。
【請求項21】
40、R41、およびR42がHである、請求項17記載の方法。
【請求項22】
51およびR52が、それらが結合している原子と一体となって、置換または非置換6員環を形成する、請求項18記載の方法。
【請求項23】
が式XVIの部分および式XVIIの部分:
【化20】

〔式中、
60およびR61はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、OR62、NO、CN、NR6263、S(O)NR6263、NR62S(O)63、C(O)NR6263、S(O)62およびハロゲンから独立して選択されるメンバーであり、
ここで、
62はHおよび置換または非置換アルキルから選択されるメンバーであり;
63はH、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーである。〕
から選択されるメンバーである、請求項17記載の方法。
【請求項24】
が式XVIII:
【化21】

の部分である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
が式XIX:
【化22】

の部分である、請求項17記載の方法。

【公表番号】特表2008−528625(P2008−528625A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553329(P2007−553329)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/003240
【国際公開番号】WO2006/081562
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】