説明

アリールメチルベンゾキナゾリノンM1レセプターポジティブアロステリックモジュレーター

本発明は、M1レセプターポジティブアロステリックモジュレーターであり、かつM1レセプターが関与する疾患、例えばアルツハイマー病、統合失調症、疼痛又は睡眠の障害の治療において有用である、式(I)のベンゾキナジリノン化合物に関する。本発明はまた、この化合物を含む医薬組成物及びM1レセプターによって媒介される疾患の治療におけるこの化合物及び組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリールメチルベンゾキナゾリノン化合物クラス、それらの塩、それらの化合物を含む医薬組成物及びヒト身体の治療におけるその使用に関する。特に、本発明は、ムスカリンM1レセプターポジティブアロステリックモジュレーターであり、したがって、アルツハイマー病及びムスカリンM1レセプターが媒介する他の疾患の治療に有用なベンゾキナゾリノン化合物クラスに関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、段階的記憶障害、言語及び視空間スキルの喪失並びに行動欠陥を生じる、高齢者に罹る一般的な神経変性疾患である。この疾患の特徴としては大脳皮質、海馬、基底前脳及び脳の他の領域におけるコリン作動性ニューロンの変性、神経原線維変化及びアミロイドβペプチド(Aβ)の蓄積が挙げられる。Aβは、β−アミロイド前駆体タンパク質(APP)をβ−アミロイドタンパク質切断酵素(「β−セクレターゼ」又は「BACE」)及びγ−セクレターゼによってプロセシングすることにより脳において産生される39〜43個のアミノ酸である。このプロセシングによって、脳中にAβが蓄積される。
【0003】
コリン作動性神経伝達は、ニコチン性アセチルコリンレセプター(nAChR)又はムスカリン作動性アセチルコリンレセプター(mAChR)のいずれかへのアセチルコリンの結合を含む。コリン作動性機能低下がアルツハイマー病を患っている患者の認知欠陥の原因となると仮定されている。結果として、アセチルコリン加水分解を阻害するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤類は米国においてアルツハイマー病患者の認知障害の治療における使用に承認されている。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤類はアルツハイマー病患者で多少の認知強化をもたらすが、この治療が背景にある病理を変化させることは示されていない。
【0004】
コリン作動性機能低下を防げるための第2の可能性ある薬物療法の標的は、ムスカリンレセプターの活性化である。ムスカリンレセプターは身体全体に広く存在している。5つの異なるムスカリンレセプター(M1〜M5)が哺乳動物において同定されている。中枢神経系では、ムスカリンレセプターは、認知、挙動、感覚、運動及び自律神経の機能に関与している。大脳皮脂、海馬及び線条体中に広く存在しているムスカリンM1レセプターは、認知処理において主要な役割を有していることが判明しており、かつアルツハイマー病の病態生理においてある役割を有していると考えられている。Eglenら,TRENDS in Pharmacological Sciences,2001,22:8,409−414を参照されたい。加えて、対症治療しかもたらさないことが公知であるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤とは異なり、M1アゴニストはまた、アルツハイマー病の根底にある疾患メカニズムを治療する可能性をも有している。アルツハイマー病のコリン作動性仮説は、β−アミロイド及び過リン酸化タウタンパク質の両方に結びついている。β−アミロイドが形成されると、ムスカリンレセプターとG−タンパク質のカップリングが損なわれる場合がある。M1ムスカリンレセプターを刺激すると、神経保護的なαAPP断片の形成が増加し、これによりAβペプチドの形成が防止されることが判明している。よって、M1アゴニストはAPPプロセシングを変更し、αAPP分泌を強化し得る。Fisher,Jpn.J.Pharmacol.,2000,84:101〜112を参照されたい。
【0005】
しかしながら、アルツハイマー病のために開発、研究されているM1リガンドは他のムスカリンレセプターリガンドに共通する副作用(例えば、発汗、嘔吐及び下痢)を生じてきた。Spaldingら,Mol.Pharmacol.,2002,61:6,1297〜1302を参照されたい。
【0006】
ムスカリンレセプターは1つ以上のアロステリック部位を含むことが公知であり、このアロステリック部位は主要結合又はオルトステリック部位に結合するムスカリンリガンドとの親和性を変化させ得る。例えば、S.Lazarenoら,Mol.Pharmacol.,2002,62:6,1491〜1505;S.Lazarenoら,Mol.Pharmacol.,2000,58,194〜207を参照されたい。
【0007】
したがって、ムスカリンM1レセプターポジティブアロステリックモジュレーターである本発明の化合物は、アルツハイマー病及びムスカリンM1レセプターが媒介する他の疾患の治療において有用であると考えられる。
【発明の概要】
【0008】
発明の要旨
本発明は、M1レセプターポジティブアロステリックモジュレーターとして有用な、一般式(I):
【0009】
【化1】

の新規なアリールメチルベンゾキナゾリノン化合物又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【0010】
本発明はさらに、患者(好ましくは、ヒト)に対して治療有効量の一般式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を投与することによる、M1レセプターが関与する疾患又は障害、例えばアルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害及び睡眠障害の患者を治療する方法に関する。本発明はまた、治療有効量の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物、並びにこのような疾患の治療における本発明の化合物及び医薬組成物の使用に関する。
【0011】
発明の詳細な記載
一実施態様では、本発明は、一般式I:
【0012】
【化2】

[式中、
X、Y及びZは、それぞれCHであり、かつQは、Cであり、又はX、Y、Q及びZのうちの1つはNであり、かつその他はCH若しくはCであり、又はX及びYはCHであり、かつQ、R及びZは、一緒に連結されてナフチル基を形成し;
は、
(1)水素、
(2)アリール、
(3)ヘテロアリール基(これは、単環式基又は多環式基であり、5〜12個の環原子を有し、該環原子はC、O、N又はSから選択され、そのうちの少なくとも1つはO、N又はSである)、
(4)ハロゲン、
(5)−CN、
(6)−O−C1−6アルキル、
(7)−C1−6アルキル、
(8)−C2−6アルケニル
(9)−S(=O)−R
(10)−NRAR5B、からなる群より選択され、
ここで、該アリール、ヘテロアリール、アルキル及びアルケニル基は、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、
(e)−C(=O)−(O)−R
(f)−N(R5A5B)、
(g)−S(=O)−R、又は
(h)オキソ、の1つ以上で置換されてもよく、
ただし、QがNである場合は、Rは存在せず;
は、
(1)水素、
(2)アリール、
(3)ヘテロアリール基(これは、単環式基又は多環式基であり、5〜12個の環原子を有し、該環原子はC、O、N又はSから選択され、そのうちの少なくとも1つはO、N又はSである)、
(4)複素環基(これは、非芳香族の単環式基又は多環式基であり、C、O、N又はSから選択される5〜12個の環原子を有し、そのうちの少なくとも1つはO、N又はSである)、
(5)−O−C1−6アルキル、
(6)−C1−6アルキル、
(7)−C2−6アルケニル、
(8)−S(=O)−R
(9)−C3−8シクロアルキル、
(10)−C5−8シクロアルケニル、
(11)−NR5A5Bからなる群より選択され、
ここで、該アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、
(e)−S(=O)−R
(f)−C2−6アルケニル、
(g)−CN、
(h)−C(=O)−(O)−R
(i)−NR5A5B
(j)オキソ、
(k)アリール、
(l)ヘテロアリール基(これは、単環式基又は多環式基であり、5〜12個の環原子を有し、該環原子がC、O、N又はSから選択され、そのうちの少なくとも1つはO、N又はSである)、
(m)複素環基(これは、非芳香族の単環式基又は多環式基であり、C、O、N又はSから選択される5〜12個の環原子を有し、そのうちの少なくとも1つはO、N又はSである)、
(n)−OC(=O)−R、の1つ以上で置換されてもよく、
ここで、該アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール又は複素環基は、
(i)ハロゲン、
(ii)−C1−6アルキル、又は
(iii)−OC1−6アルキル、の1つ以上で置換されてもよく;
は、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル、及び
(3)−S(O)−Rからなる群より選択され、
ここで、該Rアルキル基は、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、及び
(c)−O−C1−6アルキル(ここで、該アルキルは1つ以上のハロで置換されてもよい)、の1つ以上で置換されてもよく;
、R及びRは、独立して、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル、及び
(3)−(CH−アリールからなる群より選択され、
ここで、該R、R及びRのアルキル若しくはアリール基は、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、及び
(c)−O−C1−6アルキル(ここで、該アルキルは1つ以上のハロゲンで置換されてもよい)、の1つ以上で置換されてもよく;
5A及びR5Bは、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル、
(3)−C3−6シクロアルキル、
(4)−C(=O)−O−R
(5)−S(O)−R
からなる群より選択されるか、或いはR5A及びR5Bはそれらが結合する窒素と一緒に連結されて、2〜6員の炭素環を形成し、ここで、該環炭素原子のうち1つ又は2つが窒素、酸素又は硫黄によって置換されてもよく;
mは0又は1であり;そして
nは0、1又は2である]のアリールメチルベンゾキナゾリノン化合物及び薬学的に許容されるその塩に関する。
【0013】
特定の実施態様では、QはCであり、X及びYはそれぞれCHであり、かつZはNである。
【0014】
他の実施態様では、X、Y及びZは、それぞれCHであり、かつQはCである。
【0015】
他の実施態様では、X及びZは、それぞれ、CHであり、QはCであり、かつYはNである。
【0016】
他の実施態様では、X及びYはCHであり、かつQ、R及びZは一緒に連結されてナフチル基を形成する。
【0017】
式(I)の化合物の特定の実施態様では、Rは、
(1)ハロゲン(適切にはフルオロ又はクロロ)、
(2)−CN、
(3)−O−C1−6アルキル、又は
(4)−C1−6アルキル、
からなる群より選択され、ここで、該アルキルは、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、
(e)−C(=O)−(O)−R
(f)−NR5A5B、又は
(g)オキソ、
の1つ以上で置換されてもよい。
【0018】
式(I)の化合物の他の実施態様では、Rは、
(1)アリール、又は
(2)ヘテロアリール(上記に記載)、
からなる群より選択され、
ここで、該アリール又はヘテロアリールは、上記のように置換されてもよい。適切なRアリール基はフェニルである。適切なRヘテロアリール基は、ピリジル、ピラゾリル、ピリミジニル及びイミダゾリルを包含する。特定の実施態様では、Rアリール又はヘテロアリール基は
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル
(d)−C1−6アルキル、又は
(e)−S(=O)−R
の1つ以上で置換されてもよい。
【0019】
例示的なR基は、水素、メチル、イソプロピル、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル、ヒドロキシメチル、シアノ、メチルスルホニル、オキソ、クロロ、メトキシ、フェニル、1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル、1H−ピラゾール−1−イル、1−イソブチル−1H−ピラゾール−4−イル、1H−ピラゾール−4−イル、3−ピリジル、6−フルオロ−ピリジル−3−イル、6−メトキシ−ピリジル−3−イル、6−メチル−ピリジル−3−イル、5−フルオロ−ピリジル−3−イル、5−メチル−ピリジル−3−イル、5−メチル−ピリジル−3−イル、5−クロロ−ピリジル−3−イル、5−メトキシ−ピリジル−3−イル、1−メチル−1H−イミダゾリル及びジメチルアミノを包含する。
【0020】
特に、式(I)の化合物の実施態様では、Rは、−C3−8シクロアルキル、例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、上記のように置換されてもよい。適切には、−C3−8シクロアルキル基は、
(a)ヒドロキシ、
(b)−O−C1−6アルキル、又は
(c)オキソ、
のうちの1つ以上で置換されてもよい。
【0021】
他の実施態様では、Rは、
(1)アリール、又は
(2)ヘテロアリール(上記のとおり)、又は
(3)−C1−6アルキル、
からなる群より選択され、
ここで、該アリール、ヘテロアリール又はアルキルは、上記のとおり置換されてもよい。適切には、Rアリール基はフェニルである。適切なRヘテロアリール基は、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、トリアゾリル及びアザインドリジニルを包含する。いくつかの実施態様では、このアリール、ヘテロアリール又はアルキル基は、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、
(e)−CN、
(f)−C(=O)−(O)−R
(g)−NR5A5B
(h)オキソ、
(i)アリール、及び
(j)ヘテロアリール、
のうちの1つ以上で置換される。
【0022】
例示的なR基は、2−ヒドロキシルシクロヘキシル(適切には、1S,2S−2−ヒドロキシシクロヘキシル)、2−メトキシシクロヘキシル、2−メチル−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル、2−アミノシクロヘキシル、2−メチルアミノシクロヘキシル、2−アセチルアミノシクロヘキシル、2−ジメチルアミノシクロヘキシル、2−オキシシクロヘキシル、2−アセチルシクロヘキシル、2−アセトキシシクロヘキシル、2−メシルアミノシクロヘキシル、2−アセトアミドシクロヘキシル、2−ヒドロキシシクロペンチル、5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル、1H−ピラゾール−3−イル、4−(2−チエニル)−1H−ピラゾール−3−イル、4−(2−ピリジル)−1H−ピラゾール−3−イル、4−シアノ−2−メチル−1H−ピラゾール−3−イル、4−カルボキシエチル−2−メチル−1H−ピラゾール−3−イル、3−フルオロフェニル−1H−ピラゾール−3−イル、(1−エチル−ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル、3−ピリジル、4−ピリジル、フェニル、2−フルオロフェニル、2−メチルフェニル、水素、イソブチル、2−ヒドロキシエチル、2−シアノエチル、メチル、アリル、テトラヒドロピラン、シクロアルケニル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、5−フラン−2−イル−1,2,4−トリアゾール−3−イル、5−ピリジン−2−イル−1,2,4−トリアゾール−3−イル、1−フェニル−1,2,4−トリアゾール−3−イル、1−メチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル、2−メチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル、インダゾール−3−イル、アザインドリジン及びテトラヒドロピラゾピリミジンを包含する。
【0023】
式(I)の化合物の特定の実施態様では、Rは水素である。
【0024】
式(I)の化合物の別の実施態様では、Rは−C1−6アルキル(典型的にはメチル又はエチル)及び−S(O)−Rから選択され、ここで、Rは代表的には−C1−6アルキル、例えば、メチル又はエチルである。
【0025】
例示的なR基は水素、メチル及びメチルチオを包含する。
【0026】
一実施態様では、本発明は、患者(好ましくは、ヒト)に対して治療有効量の一般式(I)の化合物を投与することにより、M1レセプターが関与する疾患、例えば、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害及び睡眠障害の患者を治療する方法に関する。
【0027】
本発明はまた、M1レセプターが関与する疾患又は障害、例えば、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害及び睡眠障害を治療するための式(I)の化合物の使用に関する。
【0028】
本発明はまた、式(I)の化合物又はその薬学的に許容されるその塩及び薬学的に許容される担体を含む、M1レセプターが関与する疾患又は障害、例えば、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害及び睡眠障害を治療するための薬剤又は医薬組成物に関する。
【0029】
本発明は更に、式(I)の化合物と1つ以上の薬学的に許容される担体とを組み合わせることを含む、M1レセプターが関与する疾患又は障害、例えば、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害及び睡眠障害の治療のための医薬又は組成物の製造方法に関する。
【0030】
式(I)の化合物の属の中には、式(II):
【0031】
【化3】

[式中、
及びRは上記のとおりであり、かつRは、
(1)水素、
(2)アリール、
(3)ヘテロアリール(上記のとおり)、
(4)ハロゲン、
(5)−CN、
(6)−O−C1−6アルキル、
(7)−C1−6アルキル、
(8)−C2−6アルケニル、
(9)−S(=O)−R、及び
(10)−NR5A5B
からなる群より選択され、
ここで、該アリール、ヘテロアリール、アルキル及びアルケニル基は、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、
(e)−C(=O)−(O)−R
(f)−N(R5A5B)、
(g)−S(=O)−R、及び
(h)オキソ、
の1つ以上で置換されてもよい]の化合物の亜属及び薬学的に許容されるその塩が存在する。
【0032】
式(II)の化合物の特定の実施態様では、Rは、
(1)ハロゲン(適切には、フルオロ又はクロロ)、
(2)−CN、
(3)−O−C1−6アルキル、又は
(4)−C1−6アルキル、
からなる群より選択され、
ここで、該アルキルは、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、
(e)−C(=O)−(O)−R
(f)−NR5A5B、及び
(g)オキソ、
の1つ以上で置換されてもよい。
【0033】
式(II)の化合物の他の実施態様では、Rは、
(1)アリール、又は
(2)ヘテロアリール(上記のとおり)、
からなる群より選択され、
ここで、該アリール又はヘテロアリールは、上記のように置換されてもよい。適切なRアリール基はフェニルである。適切なRヘテロアリール基は、ピリジル、ピラゾリル、ピリミジニル及びイミダゾリルを包含する。特定の実施態様では、Rのアリール又はヘテロアリールは
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、又は
(d)−C1−6アルキル、
の1つ以上で置換される。
【0034】
式(II)の群の化合物の例示的なR基は、メチル、1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル、1H−ピラゾール−1−イル、シアノ、メチルスルホニル、クロロ、イソプロピル、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル、ヒドロキシメチル、オキソ、3−ピリジル、1−メチル−1H−イミダゾリル,ジメチルアミノ、シアノ、1−イソブチル−1H−ピラゾール−4−イル、1H−ピラゾール−4−イル、6−フルオロ−ピリジル−3−イル、6−メトキシ−ピリジル−3−イル、6−メチル−ピリジル−3−イル、5−フルオロ−ピリジル−3−イル、5−メチル−ピリジル−3−イル、5−メチル−ピリジル−3−イル、5−クロロ−ピリジル−3−イル及び5−メトキシ−ピリジル−3−イルを包含する。
【0035】
式(I)の化合物の属の中の別の亜属には、式(III):
【0036】
【化4】

【0037】
[式中、
及びRは上記のとおりであり、かつRは、
(1)水素、
(2)アリール、
(3)ヘテロアリール(上記のとおり)、
(4)ハロゲン、
(5)−CN、
(6)−O−C1−6アルキル、
(7)−C1−6アルキル、
(8)−C2−6アルケニル、
(9)−S(=O)−R、及び
(10)−NR5A5B
からなる群より選択され、
ここで、該アリール、ヘテロアリール、アルキル及びアルケニル基は、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、
(e)−C(=O)−(O)−R
(f)−N(R5A5B)、
(g)−S(=O)−R、及び
(h)オキソ、
の1つ以上で置換されてもよい]の化合物及び薬学的に許容されるその塩が存在する。
【0038】
式(III)の化合物の特定の実施態様では、Rは、
(1)ハロゲン(適切には、フルオロ又はクロロ)、
(2)−CN、
(3)−O−C1−6アルキル、又は
(4)−C1−6アルキル、
からなる群より選択され、
ここで、該アルキルは上記のとおり置換されてもよい。
【0039】
式(III)の化合物の他の実施態様では、Rは、
(1)アリール、又は
(2)ヘテロアリール(上記のとおり)、
からなる群より選択され、
ここで、該アリール又はヘテロアリールは上記のとおり置換されてもよい。適切なRアリール基はフェニルである。適切なRヘテロアリール基は、ピリジル、ピラゾリル、ピリミジニル及びイミダゾリルを包含する。特定の実施態様では、Rアリール又はヘテロアリールは、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、又は
(d)−C1−6アルキル、
の1つ以上で置換される。
【0040】
式(III)の化合物の例示的なR基は、メトキシ、クロロ、1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル、3−ピリジル、フェニル、1H−ピラゾール−1−イル及び水素を包含する。
【0041】
式(I)の化合物の属のうちの別の亜属では、式(IV):
【0042】
【化5】

の化合物及び薬学的に許容されるその塩であり、ここで、X、Y、Z、R及びRは上記のとおりである。特定の実施態様では、式(IV)の化合物は、特定の相対的な立体化学を有する。この実施態様では、ベンゾキナゾリンの窒素とシクロヘキシル環上の1−炭素との間の結合及びヒドロキシとシクロヘキシル環上の2−炭素との間の結合は、下記の式(IVA)に示されるとおり、トランスである(すなわち、反対方向の立体化学的立体配置):
【0043】
【化6】

【0044】
式(IVA)の化合物は、(1S,2S)又は(1R,2R)のいずれかの絶対立体化学である。
【0045】
式(IV)及び(IVA)の化合物の特定の実施態様では、X及びYは、それぞれCHであり、かつZはNである。
【0046】
式(IV)及び(IVA)の化合物の他の実施態様では、X、Y及びZは、それぞれCHである。
【0047】
式(IV)及び(IVA)の化合物の他の実施態様では、X及びZは、それぞれCHであり、かつYはNである。式(IV)及び(IVA)の化合物の他の実施態様では、X及びYは、それぞれCHであり、かつQ、R及びZは、一緒に連結されてナフチル基を形成する。
【0048】
式(IV)及び(IVA)の化合物の特定の実施態様では、Rは、
(1)ハロゲン(適切には、フルオロ又はクロロ)、
(2)−CN、
(3)−O−C1−6アルキル、又は
(4)−C1−6アルキル、
からなる群より選択され、
ここで、該アルキルは上記のとおり置換されてもよい。適切には、このRアルキル基は、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、
(e)−C(=O)−(O)−R
(f)−N(R5A5B)、
(g)−S(=O)−R、又は
(h)オキソ、
の1つ以上で置換されてもよい。
【0049】
式(IV)及び(IVA)の化合物の他の実施態様では、Rは、
(1)アリール、又は
(2)ヘテロアリール、
からなる群より選択され、
ここで、該アリール又はヘテロアリールは上記のとおり置換されてもよい。適切なRアリール基は、フェニルである。適切なRヘテロアリール基は、ピリジル、ピラゾリル、ピリミジニル及びイミダゾリルを包含する。特定の実施態様では、Rアリール又はヘテロアリール基は、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、又は
(d)−C1−6アルキル、
の1つ以上で置換される。
【0050】
式(I)の特定の実施態様は、以下のように、実施例1−131として本明細書に記載される。
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メチルピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例1);
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メチルピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例2);
6−(4−メトキシベンジル)−3−(5−メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例3);
6−(4−メトキシベンジル)−3−ピリジン−3−イルベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例4);
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例5);
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[6−(1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例6);
rac−5−({3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロベンゾ[h]キナゾリン−6−イル}メチル)ピリジン−2−カルボニトリル(実施例7);
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[6−メチルスルホニル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例8);
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メトキシピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例9);
6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−(2−オキシシクロヘキシル)ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例10);
トランス−2−[6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−4−オキソベンゾ[h]キナゾリン−3(4H)−イル]シクロヘキシル rac−アセタート(実施例11);
N−{(1S,2S)−2−[6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−4−オキソベンゾ[h]キナゾリン−3(4H)−イル]シクロヘキシル}アセトアミド(実施例12);
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−イソプロピルピリジン−3−イル)メチルベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例13);
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[(6−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−(実施例14);
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[6−(ヒドロキシメチル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例15);
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例16);
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メチル−1−オキシドピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例17);
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−(ピリジン−2−イルメチル)ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例18);
6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−2−メチルベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(実施例19);
及び薬学的に許容されるその塩。適切な薬学的に許容される塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、塩酸塩、臭化水素酸塩及びフマル酸塩を包含する。
【0051】
本発明はまた、患者(好ましくは、ヒト)に対して治療有効量の式(II)、(III)、(IV)及び(IVA)の化合物又はその薬学的に許容されるその塩を投与することによる、M1レセプターが関与する疾患又は障害、例えば、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害及び睡眠障害の患者を治療する方法に関する。
【0052】
本発明はまた、患者に対して式(II)、(III)、(IV)及び(IVA)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を投与することによる、M1レセプターが関与する疾患又は障害、例えば、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害及び睡眠障害を治療するための式(II)、(III)、(IV)及び(IVA)の化合物の使用に関する。
【0053】
本発明はまた、式(II)、(III)、(IV)及び(IVA)の化合物又は薬学的に許容されるその塩及び薬学的に許容される担体を含む、患者(好ましくは、ヒト)におけるM1レセプターが関与する疾患又は障害、例えば、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害及び睡眠障害の治療のための医薬又は医薬組成物にも関する。
【0054】
本発明はまた、式(II)、(III)、(IV)及び(IVA)の化合物又は薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体とを組み合わせることを含む、M1レセプターが関与する疾患、例えば、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害及び睡眠障害を治療するための医薬又は医薬組成物の製造方法にも関する。
【0055】
変数がいずれかの式(II)、(III)、(IV)及び(IVA)又はその置換基中に2回以上現れる場合、別段の記載がない限りその変数の個々の出現はお互いに独立している。
【0056】
本明細書において用いる場合、それ自体又は別の置換基の一部としての「アルキル」という用語は、指定されている炭素原子数を有する飽和直鎖又は分枝鎖炭化水素基を意味する(例えば、C1−10アルキルは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基を意味する)。本発明での使用に好ましいアルキル基は1個ないし6個の原子を有するC1−6アルキル基である。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを包含する。Cアルキルは結合を意味する。
【0057】
本明細書で用いられる、「シクロアルキル」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、指定した数の炭素原子を有する飽和環式炭化水素基を意味する(例えば、C3−12シクロアルキルは、3個ないし12個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する)。本明細書で用いられるシクロアルキルという用語は、単環式、二環式及び三環式の飽和炭素環、スピロ環並びに架橋及び縮合炭素環を包含する。
【0058】
本発明での使用に好ましいシクロアルキル基は、3個ないし8個の炭素原子を有する単環式C3−8シクロアルキル基である。単環式のシクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを包含する。架橋シクロアルキル基の例は、アダマンチル及びノルボルニルを包含する。縮合シクロアルキル基の例は、デカヒドロナフタレンを包含する。
【0059】
本明細書で使用される、「アルケニル」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、単一の炭素−炭素二重結合及び指定した数の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を意味する(例えば、C2−10アルケニルは2個ないし10個の炭素原子を持つアルケニル基を意味する)。本発明での使用に好ましいアルケニル基は、2個ないし6個の炭素原子を有するC2−6アルケニル基である。アルケニル基の例は、エテニル及びプロペニルを包含する。
【0060】
本明細書で用いられる、「シクロアルキル」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、指定した数の炭素原子を有する飽和した環式炭化水素基を意味する(例えば、C3−12シクロアルキルは、3個ないし12個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する)。本明細書で用いられる、シクロアルキルという用語は、単環式、二環式及び三環式の飽和炭素環、スピロ環並びに架橋及び縮合炭素環を包含する。
【0061】
本発明での使用に好ましいシクロアルキル基は、3個ないし8個の炭素原子を有する単環式C3−8シクロアルキル基である。単環式のシクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを包含する。架橋シクロアルキル基の例は、アダマンチル及びノルボルニルを包含する。縮合シクロアルキル基の例は、デカヒドロナフタレンを包含する。
【0062】
本明細書において用いる場合、「アリール」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、芳香族の環式の炭化水素基を意味する。好ましいアリール基は、6個ないし10個の炭素原子を有する。「アリール」という用語は、多環系及び単環系を包含する。本発明での使用に好ましいアリール基はフェニル及びナフチルを包含する。
【0063】
「アリール」という用語は、部分的に芳香族である(すなわち、縮合環の1つが芳香族であり、他が非芳香族である)縮合環状炭化水素環を包含する。部分的に芳香族であるアリール基の例はインダニルである。
【0064】
本明細書において用いる場合、「ヘテロアリール」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、C、N、O及びSから選択される5個ないし12個の環原子を有する単環式基又は多環式基を意味し、ここで、少なくとも1個の環ヘテロ原子は、O、N又はSであり、そしてここで、構成環の少なくとも1つが芳香族である。本発明で使用するヘテロアリール基の例は、カルバゾリル、カルボリニル、クロメニル、シンノリニル、フラニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、イソベンゾフラニル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インドラジニル、インジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ベンゾピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、キノキサリニル、トリアジニル及びトリアゾリル、並びにそのN酸化物を包含する。
【0065】
このような実施態様の1つでは、ヘテロアリール基は5個又は6個の環原子を有する。
【0066】
例えば、ヘテロアリール基の1つのサブグループでは、5個又は6個の環原子及び1個のヘテロ原子(窒素である)を有する。この実施態様におけるヘテロアリール基の例はピリジル及びピロリルである。
【0067】
ヘテロアリール基の別のサブグループでは、5個又は6個の環原子及び2個のヘテロ原子(硫黄及び窒素から選択される)を有する。この実施態様におけるヘテロアリール基の例は、ピラゾリル、イミダゾリル及びチエニルである。
【0068】
ヘテロアリール基の別のサブグループでは、5個又は6個の環原子及び3個のヘテロ原子(硫黄及び窒素から選択される)を有する。この実施態様におけるヘテロアリール基の例はトリアゾリルである。
【0069】
ヘテロアリール基の別のサブグループでは、7個、8個又は9個の環原子及び2個のヘテロ原子(酸素、硫黄及び窒素から選択される)を有する。この実施態様におけるヘテロアリール基の例はインダゾール及びアザインドリジンである。
【0070】
「ヘテロアリール」という用語は、部分的に芳香族(すなわち、縮合環の1つが芳香族であり、かつ他方が非芳香族である)である縮合環式ヘテロ環をも含む。部分的に芳香族であるヘテロアリール基の例はベンゾジオキソールである。
【0071】
本明細書において定義されるヘテロアリール基が置換される場合、この置換基は、ヘテロアリール基の環炭素原子に、又は置換を許容する価数を有する環ヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素又は硫黄)に結合され得る。好ましくは、この置換基は、環炭素原子に結合される。同様に、ヘテロアリール基が、本明細書における置換基として定義される場合、結合点は、ヘテロアリール基の環炭素原子又は結合を許容する価数を有する環ヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素又は硫黄)であってもよい。好ましくは、この結合は環炭素原子である。
【0072】
本明細書で用いられる「複素環」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、上記で定義したシクロアルキル基であって、1個以上の環炭素原子がヘテロ原子(N、S又はOなど)で置換されている基を意味する。本発明での使用に適切な非芳香族複素環基は、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラゾピリミジンを包含する。本発明における使用に好ましい複素環基は、4個ないし8個の環原子及び1個の窒素又は酸素ヘテロ原子を有する。
【0073】
本発明で定義した複素環基が置換される場合、置換基は、複素環基の環炭素原子に結合されても、又は置換を許容する価数を有する環ヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素又は硫黄)に結合されてもよい。好ましくは、置換基は環の炭素原子に結合される。同様に、複素環基が本発明で置換基として定義される場合、結合点は、複素環基の環炭素原子であってもよいし、又は結合を許容する価数を有する環ヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素又は硫黄)上であってもよい。好ましくは、結合は、環炭素原子である。
【0074】
本明細書において用いる場合、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを包含する。
【0075】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を有してもよい。不斉中心を有する化合物は、エナンチオマー(光学異性体)、ジアステレオマー(立体配置異性体)又はその両方を生じ、かつ考えられるすべてのエナンチオマー及びジアステレオマーを、混合物で及び純粋又は部分的に精製された化合物として、本発明の範囲内に包含されるものとする。本発明は、式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(IVA)の化合物の全てのこのような異性体型を包含することを意味する。
【0076】
式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(IVA)は、上記では明確な立体化学なしに示している。本発明は、式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(IVA)の全ての立体異性体、及び薬学的に許容されるその塩を包含する。
【0077】
鏡像異性的に若しくはジアステレオマー的に濃縮した化合物の独立的な合成又はそれらのクロマトグラフィーによる分離は、本明細書で開示した方法に適切な修正をすることで、当該技術分野で公知のとおり達成され得る。その絶対的な立体配置は、必要に応じて、既知の絶対配置の不斉中心を含む試薬を用いて誘導体化される、結晶性生成物又は結晶性中間体のX線結晶学により決定され得る。
【0078】
必要に応じて、化合物のラセミ混合物を、個別のエナンチオマー又はジアステレオマーが単離されるように分離してもよい。分離は、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物とカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成し、続いて分別再結晶又はクロマトグラフィーなどの標準方法で個別のジアステレオマーを分離するなど、当該技術分野で周知の方法により行ってもよい。カップリング反応は、鏡像異性的に純粋な酸又は塩基を用いた塩の生成である場合が多い。次に追加されたキラル残基の切断により、ジアステレオ性誘導体を純粋なエナンチオマーに変換してもよい。化合物のラセミ混合物は、キラル固定相を利用したクロマトグラフ法により直接的に分離することもできるが、この方法は当該技術分野では周知である。
【0079】
別の方法として、ある化合物の任意のエナンチオマー又はジアステレオマーを、当該技術分野で周知の方法により、立体配置が公知の光学的に純粋な出発原料又は試薬を用いた立体選択的合成により得てもよい。
【0080】
本発明の化合物は、以下の反応スキームに従って調製され、ここで変数は、前に定義されたとおりであり、又は試薬及び従来の合成手順から容易に利用可能な出発原料を用いて誘導される。有機合成の分野の当業者にはそれ自体が公知であるが、詳細には言及されていない改変体を用いることも可能である。
【0081】
本発明はまた、本発明の化合物の調製において中間体として有用な化合物の合成方法も提供する。
【0082】
上記合成順序の間、関与する任意の分子上の感受性又は反応性基を保護することが必要であるか又は望ましい場合がある。これは、Protective Groups in Organic Chemistry,J.F.W.McOmie編集,Plenum Press,1973;及びT.W.Greene & P/G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1999に記載されているような慣用的な保護基によって達成され得る。保護基は当該技術分野で公知の方法を用いて従来の都合の良い段階で除去され得る。
【0083】
本発明の化合物及びその製造方法の具体的な実施態様は、本明細書中の実施例に記載されている。
【0084】
「実質的に純粋」という用語は、単離物質が当該技術分野で公知の分析技術で分析して少なくとも90%純粋、好ましくは95%純粋、より好ましくは99%純粋であることを意味する。
【0085】
本明細書において用いる場合、「ムスカリンM1レセプター」という用語は、Gタンパク質カップリングレセプターのスーパーファミリーに由来する、ムスカリンアセチルコリンレセプターの5つのサブタイプのうちの1つを指す。ムスカリンレセプターのファミリーは、例えば、Pharmacol.Ther.,1993,58:319〜379;Eur.J.Pharmacol.,1996,295:93〜102;及びMol.Pharmacol.,2002,61:1297〜1302に記載されている。ムスカリンレセプターは、1つ以上のアロステリック部位を含んでいることは公知であり、一次結合又はオルトステリック部位に結合するムスカリンリガンドとの親和性を変更し得る。例えば、S.Lazarenoら,Mol.Pharmacol.,2002,62:6,1491〜1505を参照されたい。
【0086】
本明細書において用いる場合、「ポジティブアロステリックモジュレーター」及び「アロステリック増強剤」という用語は互換可能に用いられ、レセプターのアロステリック部位と相互作用して一次結合部位を活性化するリガンドを指す。本発明の化合物は、ムスカリンM1レセプターのポジティブアロステリックモジュレーターである。例えば、モジュレーター又は増強剤(potentiator)は、動物、特にヒトにおいて、ムスカリンM1レセプターのオルトステリック部位で内因性リガンド(例えば、アセチルコリン又はキサノメリン)により生ずる応答を直接又は間接的に増大し得る。
【0087】
アロステリックレセプター部位でのリガンドの作用は、当業者に公知の「アロステリック三元複合体モデル」に従っても理解され得る。アロステリック三元複合体モデルは、ムスカリンレセプターのファミリーに関連してBirdsallら,Life Sciences,2001,68:2517〜2524に記載されている。アロステリック結合部位の役割に関する一般的記載については、Christopoulos,Nature Reviews:Drug Discovery,2002,1:198〜210を参照されたい。
【0088】
本発明の化合物は、ムスカリンM1レセプターのオルトステリックアセチルコリン部位とは異なるアロステリック結合部位に結合し、それによってM1レセプターのオルトステリック部位での内因性リガンドアセチルコリンによって生じる応答を増強させると考えられている。また、本発明の化合物は、ムスカリンM1レセプターのキサノメリン部位とは異なるアロステリック部位に結合し、それによってM1レセプターのオルトステリック部位で内因性リガンドキサノメリンによって生じる応答を増強させるとも考えられている。
【0089】
「薬学的に許容されるその塩」という用語は、無機又は有機の塩基及び無機又は有機の酸を含めた、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩を指す。本発明の化合物は、遊離塩基形態の化合物中に存在する酸官能基の数に応じて一塩、二塩又は三塩であってもよい。遊離塩基及び無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第一鉄、第二鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩(manganic salts)、マンガン(manganous)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを包含する。
【0090】
固体型の塩は1つ以上の結晶構造で存在し得、水和物の形態をとる場合もあり得る。薬学的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩は、第1級、第2級及び第3級のアミン、天然に存在する置換アミンを含めた置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレン−ジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂類、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等の塩を包含する。
【0091】
本発明の化合物が塩基性の場合、塩は、無機酸及び有機酸を含めた薬学的に許容される非毒性酸から調製してもよい。このような酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコ酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、パラ−トルエンスルホン酸などを包含する。
【0092】
本発明は、有効量の本明細書中に開示されている式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(IVA)の化合物の投与することを包含する、このような活性を要する患者又は被験者、例えば、哺乳動物におけるM1アロステリックモジュレーターとしてのこの化合物の使用に関する。ヒトに加えて、種々の他の哺乳動物が本発明の方法に従って治療され得る。
【0093】
本発明の化合物はアルツハイマー病の治療又は回復において有用性を有する。この化合物はまた、ムスカリンM1レセプターが媒介する他の疾患、例えば、統合失調症、睡眠障害、疼痛障害(急性疼痛、炎症性疼痛及び神経障害性疼痛を含む)及び認知障害(軽度認知障害を含む)を治療又は改善するのに有用であり得る。本発明の化合物により治療され得る他の症状は、パーキンソン病、肺性高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、尿失禁、緑内障、統合失調症、21トリソミー(ダウン症候群)、脳アミロイドアンギオパチー、退行性認知症、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(HCHWA−D)、クロイツフェルト・ヤコブ病、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部外傷、卒中、膵炎、封入体筋炎、他の末梢アミロイドーシス、糖尿病、自閉症及びアテローム性動脈硬化症を包含する。
【0094】
好ましい実施態様では、本発明の化合物は、アルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害及び睡眠障害を治療するのに有用である。例えば、この化合物は、アルツハイマー型の認知症の予防のため及びアルツハイマー型の痴呆の初期段階、中期段階又は後期段階の治療のために有用であり得る。
【0095】
本発明の化合物が有用な潜在的な統合失調症症状又は障害は、1つ以上の下記症状又は疾患を包含する:統合失調症又は精神病、例としては、統合失調症(妄想型、解体型、緊張型又は鑑別不能型)、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神障害、共有精神障害、一般的医学症状及び物質誘発性又は薬物(フェンシクリジン、ケタミン及び他の解離性麻酔薬、アンフェタミン及び他の精神刺激薬及びコカイン)誘発性の精神病精神障害に起因する精神障害、情動障害を伴う精神病、短期反応性精神病、統合失調感情精神病、「統合失調症スペクトル」障害、例えば統合失調症様又は統合失調症性人格障害又は精神病に関連する疾患(例えば、大鬱病、躁鬱病性(双極性)障害、アルツハイマー病及び外傷後ストレス症候群)、例としては、統合失調症及び他の精神病の陽性及び陰性の両方の症状;痴呆を含む認知障害(アルツハイマー病、虚血、多発梗塞、外傷、血管の問題又は卒中、HIV疾患、パ−キンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病、周産期低酸素症、他の一般的医学症状又は物質乱用に関係する);せん妄、健忘性障害又は加齢性認知機能低下。
【0096】
別の特異的な実施態様では、本発明は、統合失調症又は精神病の治療を要する患者に対して有効量の本発明の化合物を投与することを包含する、統合失調症又は精神病の治療方法を提供する。具体的な統合失調症又は精神病症状は、妄想型、解体型、緊張型又は鑑別不能型の統合失調症及び物質誘発性精神障害である。現在、精神障害の診断及び統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の第4版の改訂版(DSM−IV−TR)(2000,米国精神医学会,ワシントンDC)が、妄想型、解体型、緊張型又は鑑別不能型の統合失調症及び物質誘発性精神障害を含む診断ツールを提供している。本明細書中において用いる場合、「統合失調症又は精神病」という用語は、DSM−IV−TRに記載されている精神障害の治療を包含する。当業者は、精神障害の別の命名法、疾病分類及び分類システムがあること、並びに医学及び科学の進歩と共にこれらのシステムが発展することを認識している。したがって、「統合失調症又は精神病」という用語は、他の診断ソースに記載されている類似の障害を包含するものとする。
【0097】
化合物の組み合わせの例は、統合失調症の治療剤との組み合わせが含まれ、例えば、鎮静薬、催眠薬、不安緩解剤、抗精神病薬、抗不安剤、シクロピロロン類、イミダゾピリジン類、ピラゾロピリミジン類、マイナートランキライザー類、メラトニンアゴニスト類及びアンタゴニスト類、メラトニン作動薬類、ベンゾジアゼピン類、バルビツレート類、5HT−2アンタゴニスト類など、例えば:アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アイプラゾラム、アミスルプリド、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アリピプラゾール、ベンタゼパム、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、バスピロン、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプリド、カルボクロラール、クロラールベタイン、クロラール水和物、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼペート、クロルジアゼポキシド、クロレテート、クロルプロマジン、クロザピン、シプラゼパム、デシプラミン、デキスクラモール、ジアゼパム、ジクロラールフェナゾン、ジバルプロエクス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、エスタゾラム、エスクロルビノール、エトミデート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、ホサゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロペリドール、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロクアロン、メラトニン、メホバルビタール、メプロバメート、メタクアロン、ミダフルル、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバメート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オランザピン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォール、プロトリプチリン、クアゼパム、クエチアピン、レクラゼパム、リスペリドン、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロエロン、テマゼパム、チオリダジン、チオチキセン、トラカゾレート、トラニルシプロマイン、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロホス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ジプラシドン、ゾラゼパム、ゾルピデム及びその塩、並びにその組合せなどの組み合わせを包含し、或いは、本発明の化合物を物理的方法、例えば光線治療又は電気刺激と併用して投与してもよい。
【0098】
別の実施態様では、本発明の化合物はレボドパ(カルビドパ又はベンセラジドのような選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤の有無とともに)、抗コリン作動薬、例えばビペリデン(場合により、その塩酸塩又は乳酸塩として)及びトリヘキシフェニジル(ベンズヘキソール)塩酸塩、COMT阻害剤、例えばエンタカポン、MOA−B阻害剤類、抗酸化剤類、A2aアデノシンレセプターアンタゴニスト類、コリン作動性アゴニスト類、NMDAレセプターアンタゴニスト類、セロトニンレセプターアンタゴニスト類及びドーパミンレセプターアゴニスト類、例えばアレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリド及びプラミペキソールと組み合わせて使用されてもよい。ドーパミンアゴニストは、薬学的に許容される塩、例えばアレンテモール臭化水素酸塩、ブロモクリプチンメシル酸塩、フェノルドパムメシル酸塩、ナキサゴリド塩酸塩及びペルゴリドメシル酸塩の形態をとってもよいことが理解される。
【0099】
別の実施態様では、本発明の化合物は、フェノチアジン、チオキサンテン、ヘテロ環式ジベンザゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジン及びインドロンクラス由来の化合物と組み合わせて使用されてもよい。フェノチアジンの適切な例は、クロルプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジン及びトリフルオペラジンを包含する。チオキサンテンの適切な例は、クロルプロチキセン及びチオチキセンを包含する。ジベンザゼピンの例は、クロザピンである。ブチロフェノンの例は、ハロペリドールである。ジフェニルブチルピペリジンの例は、ピモジドである。インドロンの例は、モリンドロンである。他の神経遮断薬としては、ロキサピン、スルピリド及びリスペリドンが挙げられる。本発明の化合物と併用する場合、神経遮断薬は薬学的に許容される塩、例えばクロルプロマジン塩酸塩、メソリダジンベシル酸塩、チオリダジン塩酸塩、アセトフェナジンマレイン酸塩、フルフェナジン塩酸塩、フルフェナジンエナント酸塩、フルフェナジンデカン酸塩、トリフルオペラジン塩酸塩、チオチキセン塩酸塩、ハロペリドールデカン酸塩、ロキサピンコハク酸塩及びモリンドン塩酸塩の形態をとってもよいことが認識される。ペルフェナジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジド及びリスペリドンは通常、非塩型で用いられる。したがって、本発明の化合物は、アセトフェナジン、アレンテモール、アリピラゾール、アミスルピリド、ベンズヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドパ、レボドパ+ベンセラジド、レボドパ+カルビドパ、リスリド、ロキサピン、メソリダジン、モリンドロン、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキソール、クエチアピン、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、トリヘキシフェニジル、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジン又はジプラシドンと組み合わせて使用されてもよい。
【0100】
本発明の化合物が有用な潜在的な睡眠症状又は障害には、睡眠の質の向上;睡眠の質の改善;睡眠維持の増強;被験者が眠ろうと試みた時間で割った被験者が眠っている時間から計算される値の増大;睡眠の潜伏又は開始の減少(寝入るのにかかる時間);寝入り難さの軽減;睡眠連続性の増大;睡眠中に覚醒する回数の減少;夜間覚醒の減少;最初寝始めた後覚醒するまでの時間の減少;全睡眠量の増大;睡眠の断続化の減少;REM睡眠のタイミング、頻度又は期間の変化;徐波(すなわち、ステージ3又は4)睡眠のタイミング、頻度又は期間の変化;ステージ2睡眠の量及びパーセンテージの増大;徐波睡眠の促進;睡眠中のEEG−デルタ活性の増強;昼間の機敏さの増大;昼間傾眠の減少;過度の昼間眠気の治療又は抑制;不眠;過眠症;ナルコレプシー;睡眠の中断;睡眠時無呼吸;覚醒;夜間ミオクローヌス;REM睡眠中断;時差ぼけ;交替勤務者の睡眠障害;睡眠異常;夜驚症;うつ病、情緒/気分障害並びに夢遊病及び夜尿症に関連する不眠並びに老化に伴う睡眠障害;アルツハイマーの日没症候群;日周期リズムに関連する症状並びに時間帯を横切る旅行及び交替勤務のローテーションスケジュールに関連する精神的及び肉体的障害;副作用としてREM睡眠を減少させる薬物に起因する症状;体力の回復がみられない(non−restorative)睡眠及び筋肉痛により発現される症候群又は睡眠中の呼吸異常に関連する睡眠時無呼吸;及び睡眠の質の低下により生ずる症状を包含する。
【0101】
本発明の化合物が有用な疼痛障害には、神経障害性疼痛(例えば、帯状疱疹後神経痛、神経損傷、「ジニア(dynias)」、例えば、外陰痛、幻肢痛、神経根引き抜き損傷、有痛性糖尿病性ニューロパシー、有痛性外傷モノニューロパシー、有痛性多発性ニューロパシー);中枢痛症候群(可能性としては中枢神経系の任意のレベルの実質的に任意の病巣によって生じる);術後痛症候群(例えば、乳房切除術後症候群、開胸術後症候群、断端痛);骨及び関節痛(変形性関節症)、反復運動痛、歯痛、癌痛、筋筋膜痛(筋肉損傷、線維筋痛);術中痛(一般手術、婦人科手術)、慢性痛、月経困難症、並びに狭心症に関連する疼痛及び様々な起源の炎症性疼痛(例えば、変形性関節症、関節リウマチ、リウマチ性疾患、腱鞘炎及び痛風)、頭痛、偏頭痛及び群発頭痛、頭痛、一次痛覚過敏、二次痛覚過敏、一次アロディニア、二次アロディニア、或いは中枢感作に起因する他の疼痛を包含する。
【0102】
本発明の化合物はまた、ジスキネジアを治療又は予防するためにも用いられてもよい。更に、本発明の化合物は疼痛のオピオイド治療に対する耐性及び/又は依存性を減らすため、及び例えばアルコール、オピオイド及びコカインの禁断症状を治療するために用いられてもよい。
【0103】
本発明の化合物が投与される被験者又は患者は通常、M1アロステリックモジュレーションを望んでいる男性又は女性のヒトであるが、上記した障害の治療を望んでいる他の哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ヒツジ、家兎、サル、チンパンジー又は他の類人猿、或いは霊長類も包含され得る。
【0104】
本発明の化合物は、本発明の化合物が有用な疾患又は症状の治療において1つ以上の他の薬物と併用されてもよく、この薬物の併用は、いずれかの薬物の単独よりもより安全であるか又はより有効である。加えて、本発明の化合物は、本発明の化合物の副作用又は毒性を治療する、予防する、コントロールする、回復させる又はそのリスクを軽減させる1つ以上の他の薬物と併用されてもよい。このような他の薬物は、当該薬物について一般的に用いられているルート及び量で、本発明の化合物と同時に又は逐次投与されてもよい。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に加えて1つ以上の他の活性成分を含む組成物を包含する。配合剤は、単位剤形の配合品の一部として、又は1つ以上の追加薬物を治療レジメの一部として別々の剤形で投与するキット若しくは治療プロトコールとして投与され得る。
【0105】
本発明の化合物の配合剤の例は、抗アルツハイマー病剤、例えばβ−セクレターゼ阻害剤類;アルファ7ニコチンアゴニスト類、例えばABT089、SSR180711及びMEM63908;ADAM10リガンド類又はアクチベーター類;γ−セクレターゼ阻害剤類、例えばLY450139及びTAK 070;γ−セクレターゼモジュレーター類;タウ・リン酸化阻害剤類;グリシントランスポーター阻害剤類;LXRβアゴニスト;ApoE4配座モジュレーター類;NR2Bアンタゴニスト類;アンドロゲンレセプターモジュレーター類;Aβオリゴマー形成ブロッカー類;5−HT4アゴニスト類、例えばPRX−03140;5−HT6アンタゴニスト類、例えばGSK 742467、SGS−518、FK−962、SL−65.0155、SRA−333及びキサリプロデン;5−HT1aアンタゴニスト類、例えばレコゾタン;p25/CDK5阻害剤類;NK1/NK3レセプターアンタゴニスト類;COX−2阻害剤類;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤類;イブプロフェンを含めたNSAID類;ビタミンE;抗アミロイド抗体類(抗アミロイドヒト化モノクローナル抗体類を含む)、例えばバピネオズマブ、ACC001、CAD106、AZD3102、H12A11V1;抗炎症性化合物、例えば(R)−フルルビプロフェン、ニトロフルルビプロフェン、ND−1251、VP−025、HT−0712及びEHT−202;PPARγアゴニスト類、例えば、ピオグリタゾン及びロシグリタゾン;CB−1レセプターアンタゴニスト又はCB−1レセプターインバースアゴニスト類、例えばAVE1625;抗生物質、例えばドキシサイクリン及びリファンピン;N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)レセプターアンタゴニスト類、例えばメマンティン、ネラメキサン及びEVT101;コリンエステラーゼ阻害剤類、例えばガランタミン、リバスチグミン、ドネペジル、タクリン、フェンセリン、ラドスチギル及びABT−089;成長ホルモン分泌促進物質、例えばイブタモレン、メシル酸イブタモレン及びカプロモレリン;ヒスタミンHレセプターアンタゴニスト類、例えばABT−834、ABT829、GSK189254及びCEP16795;AMPAアゴニスト類又はAMPAモジュレーター類、例えばCX−717、LY451395、LY404187及びS−18986;PDE IV阻害剤類、例としては、MEM1414、HT0712及びAVE8112;GABAインバースアゴニスト類;GSK3β阻害剤類、例としては、AZD1080、SAR502250及びCEP16805;ニューロン性ニコチンアゴニスト類;選択的M1アゴニスト類;HDAC阻害剤類;並びに微小管アフィニティー調節キナーゼ(MARK)リガンド類;或いは、本発明の化合物の効果、安全性、便宜性を高めるか若しくは本発明の化合物の望ましくない副作用若しくは毒性を低下させるレセプター又は酵素に影響を与える他の薬物との組み合わせを包含する。
【0106】
化合物の組み合わせの例は、疼痛治療剤、例えば非ステロイド系抗炎症剤、例えば、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルニサル(duflunisal)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク及びトルメチン;COX−2阻害剤類、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、406381及び644784;CB−2アゴニスト類、例えば842166及びSAB378;VR−1アンタゴニスト類、例えばAMG517、705498、782443、PAC20030、V114380及びA425619;ブラジキニンB1レセプターアンタゴニスト類、例えばSSR240612及びNVPSAA164;ナトリウムチャネルブロッカー類及びアンタゴニスト類、例えばVX409及びSPI860;一酸化窒素シンターゼ(NOS)阻害剤類(iNOS及びnNOS阻害剤類を含む)、例えばSD6010及び274150;ラコサミドを含めたグリシン部位アンタゴニスト;ニューロン性ニコチンアゴニスト類、例えばABT894;NMDAアンタゴニスト類、例えばAZD4282;カリウムチャネルオープナー類;AMPA/カイニン酸レセプターアンタゴニスト類;カルシウムチャネルブロッカー類、例えばジコノチド及びNMED160;GABA−AレセプターIOモジュレーター類(例えば、GABA−Aレセプターアゴニスト);マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤類;血栓溶解剤類;オピオイド鎮痛剤類、例えばコデイン、フェンタニル、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロポキシフェン;好中球阻害因子(NIF);プラミペキソール、ロピニロール;抗コリン作動薬;アマンタジン;モノアミンオキシダーゼB15(「MAO−B」)阻害剤類;5HTレセプターアゴニスト類又はアンタゴニスト類;mGlu5アンタゴニスト類、例えばAZD9272;アルファアゴニスト類、例えばAGNXX/YY;ニューロン性ニコチンアゴニスト類、例えばABT894;NMDAレセプターアゴニスト類又はアンタゴニスト類、例えばAZD4282;NKIアンタゴニスト類;選択的セロトニン再取込み阻害剤類(「SSRI」)及び/又は選択的セロトニン及びノルエピネフリン再取込み阻害剤類(「SSNRI」)、例えばデュロキセチン;三環式抗うつ薬類、ノルエピネフリンモジュレーター類;リチウム;バルプロエート;ガバペンチン;プレガバリン;リザトリプタン;ゾルミトリプタン;ナラトリプタン及びスマトリプタンとの組み合わせを包含する。
【0107】
本発明の化合物は、睡眠の質を向上するため、並びに睡眠障害及び睡眠妨害を予防及び治療するために有用な化合物、例えば鎮静薬類、催眠薬類、不安緩解薬類、抗精神病薬、抗不安薬類、抗ヒスタミン薬類、ベンゾジアゼピン類、バルビツレート類、シクロピロロン類、オレキシンアンタゴニスト類、α−1アンタゴニスト類、GABAアゴニスト類、5HT−2Aアンタゴニスト類及び5HT−2A/2Cアンタゴニスト類を含む5HT−2アンタゴニスト類、ヒスタミンH3アンタゴニスト類、ヒスタミンH3インバースアゴニスト類を含むヒスタミンアンタゴニスト類、イミダゾピリジン類、マイナートランキライザー類、メラトニンアゴニスト類及びアンタゴニスト類、メラトニン作動薬類、他のオレキシンアンタゴニスト類、オレキシンアゴニスト類、プロキネチシンアゴニスト類及びアンタゴニスト類、ピラゾロピリミジン類、T型カルシウムチャネルアンタゴニスト類、トリアゾロピリジンなど、例えば:アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アルモダフィニル、APD−125、ベンタゼパム、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、バスピロン(busprione)、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプロモレリン、カプリド、カルボクロラール、クロラールベタイン、抱水クロラール、クロルジアゼポキシド、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼペート、クロレテート、クロザピン、コナゼパム、シプラゼパム、デシプラミン、デキスクラモール、ジアゼパム、ジクロラールフェナゾン、ジバルプロエクス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、EMD−281014、エプリバンセリン、エスタゾラム、エスゾピクロン、エスクロリノール(ethchlorynol)、エトミデート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、ホサゼパム、ガボクサドール、グルテチミド、ハラゼパム、ヒドロキシジン、イブタモレン、イミプラミン、インディプロン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、LY−156735、マプロチリン、MDL−100907、メクロクアロン、メラトニン、メホバルビタール、メプロバメート、メタクアロン、メチプリロン、ミダフルル、ミダゾラム、モダフィニル、ネファゾドン、NGD−2−73、ニソバメート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォール、プロトリプチリン、クアゼパム、ラメルテオン、レクラゼパム、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクロン、TAK−375、テマゼパム、チオリダジン、チアガビン、トラカゾレート、トラニルシプロミン(tranylcypromaine)、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロホス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ゾラゼパム、ゾピクロン、ゾルピデム及びその塩、並びにその組合せなどと組み合わせて投与されてもよいし、或いは、本発明の化合物は、物理的方法、例えば、光線療法又は電気刺激の使用と一緒に投与されてもよい。
【0108】
別の実施態様では、本発明の化合物は、レボドパ(カルビドパ又はベンセラジドのような選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤の有無とともに)、抗コリン作動薬、例えばビペリドン(場合により、その塩酸塩又は乳酸塩として)及び塩酸トリヘキシフェニジル(ベンズヘキソール)、COMT阻害剤類、例えばエンタカポン、MOA−B阻害剤類、抗酸化剤類、A2aアデノシンレセプターアンタゴニスト類、コリン作動性アゴニスト類及びドーパミンレセプターアゴニスト類、例えばアレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリド及びプラミペキソールと組み合わせて使用されてもよい。
【0109】
本明細書中において用いる場合、「組成物」という用語は、所定の量又は比率で特定成分を含む生成物、及び所定量の特定成分の組合せから直接又は間接的に生ずる任意の生成物を包含することを意図する。医薬組成物に関連してこの用語は、1つ以上の活性成分及び不活性成分を含む任意の担体を含む生成物、並びに2つ以上の成分の組合せ、複合体化若しくは集合から、又は1つ以上の成分の解離から、又は1つ以上の成分の他のタイプの反応若しくは相互作用から直接又は間接的に生ずる任意の生成物を包含するものとする。
【0110】
通常、医薬組成物は、活性成分を液体担体若しくは微細な固体担体又はその両方と均一かつ均密に混合した後、必要ならば生成物を所望の製剤に成形することにより調製される。この医薬組成物では、式(I)〜(VIII)の化合物である活性成分は、疾患のプロセス又は症状に対して所望の効果を生じさせるのに十分な量で含まれる。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を薬学的に許容される担体と混合することにより製造される任意の組成物を包含する。
【0111】
担体は、投与、例えば、経口又は非経口(静脈内を含む)投与のために所望される製剤の形態に応じて広範囲の様々な形態をとってもよい。したがって、本発明の医薬組成物は、経口投与に適した個別の単位、例えば、それぞれが所定量の活性成分を含有する、カプセル剤、カシェ剤又は錠剤として提供されてもよい。更に、組成物は、散剤、顆粒剤、溶液剤、水性液体中の懸濁液剤、非水性液剤、水中油型エマルジョン剤又は油中水型エマルジョン剤として提供されてもよい。上記した一般的な剤形に加えて、本発明の化合物又はその薬学的に許容されるその塩は、制御放出手段で投与されてもよく、及び/又は送達デバイスによっても投与されてもよい。
【0112】
経口用を意図した医薬組成物は医薬組成物を製造するために当該技術分野で公知の任意の方法に従って調製されてもよく、このような組成物は、医薬的に上品で口にあう製剤を提供するために甘味料、着香料、着色料及び保存料からなる群より選択される1つ以上の薬剤を含んでもよい。錠剤は、活性成分を錠剤の製造に適している非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合して含んでもよい。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;顆粒化及び崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン又はアカシア、及び滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってもよい。錠剤にコーティングをしていなくてもよいし、又はそれらを公知の技術でコーティングして、胃腸管での崩壊及び吸収を遅らせて、長期間にわたり持続作用を与えてもよい。
【0113】
本発明の組成物を含有する錠剤は、場合により1つ以上の補助成分又は補助剤と一緒に圧縮又は成形することにより調製され得る。圧縮錠剤は、自由流動型(例えば、粉末又は顆粒状)の活性成分を、場合により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性又は分散剤と混合し、適切な機械において圧縮することにより調製され得る。成形された錠剤は、適切な機械において、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を成形することにより製造され得る。錠剤はそれぞれ、約0.1〜約500mgの活性成分を含有していることが好ましく、カシェ剤又はカプセル剤はそれぞれ、約0.1〜約500mgの活性成分を含有していることが好ましい。
【0114】
経口用組成物はまた、活性成分が不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合される硬ゼラチンカプセル剤として提供されてもよいし、又は活性成分が水若しくは油性媒体(例えば、落花生油、流動パラフィン又はオリーブ油)と混合される軟ゼラチンカプセル剤として提供されてもよい。
【0115】
他の医薬組成物は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合して活性物質を含有する水性懸濁液剤を包含する。加えて、油性懸濁液剤は、活性成分を植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はココナツ油)中に、又は鉱油(例えば、流動パラフィン)中に懸濁させることにより製剤化され得る。油性懸濁液剤はまた、様々な賦形剤をも含んでもよい。本発明の医薬組成物はまた、甘味料及び着香料のような賦形剤をも含んでいてもよい、水中油型エマルション剤の形態をとってもよい。
【0116】
医薬組成物は、滅菌注射用水性若しくは油性懸濁液の形態であっても、又はこのような滅菌注射用溶液剤若しくは分散液剤を即時調合するための滅菌粉末の形態であってもよい。いずれの場合も、最終注射形態は、滅菌されていなければならず、容易に注射し得るように十分に流動性でなければならない。医薬組成物は、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならない;したがって、好ましくは、医薬組成物は微生物(例えば、細菌及び真菌)の汚染作用から保護されなければならない。
【0117】
本発明の医薬組成物は、例えば、エアゾール剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、ダスティングパウダー(dusting powder)などのような局所使用に適した形態であってもよい。更に、組成物は経皮デバイスで使用するのに適した形態であってもよい。これらの製剤は従来の加工方法により調製され得る。例えば、クリーム剤又は軟膏剤は、所望のコンシステンシーを有するクリーム剤又は軟膏剤を作成すべく、親水性材料及び水を約5〜約10重量%の化合物と一緒に混合することにより調製される。
【0118】
本発明の医薬組成物はまた、担体が固体である、直腸内投与に適した形態であってもよい。混合物が単位投与座剤を形成することが好ましい。適切な担体は、ココアバター及び当該技術分野で一般的に用いられている他の材料を包含する。
【0119】
「薬学的に許容される」とは、担体、希釈剤又は賦形剤が製剤の他の成分と適合性でなければならず、そのレシピエントにとって有害であってはならないことを意味する。
【0120】
化合物「の投与」又は化合物を「投与する」という用語は、治療を要する個体に対して本発明の化合物を個体の身体に導入され得る形態で、治療上有用な形態及び治療上有用な量で与えることを意味することが理解されるべきであり、この形態は、限定されるものではないが以下を包含する:経口剤形、例えば錠剤、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液剤等;注射剤形、例えばIV、IM、IPなど;経皮剤形、例えば、クリーム剤、ゼリー剤、散剤又はパッチ剤;口腔内剤形;吸入用散剤、スプレー剤、懸濁液剤など;及び直腸内座剤。
【0121】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床医が求めている組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を引き出す当該化合物の量を意味する。
【0122】
本明細書中において用いる場合、「治療」又は「治療する」という用語は、本発明の任意の化合物の投与を意味し、かつ(1)疾患の病理又は総合的症状を患っているか又は呈している動物における疾患の抑制(すなわち、病理及び/又は総合的症状の更なる発生の停止)、又は(2)疾患の病理又は総合的症状を患っているか又は呈している動物における疾患の改善(すなわち、病理及び/又は総合的症状の逆転)、を包含する。
【0123】
本発明の化合物を含有する組成物は、好都合なことに単位剤形で提供されてもよく、製薬業界で周知の任意の方法により調製され得る。「単位剤形」という用語は、患者又は患者に対して薬物を投与する人が、全投与成分が収容されている1つの容器又はパッケージを開けるだけですみ、かつ2つ以上の容器又はパッケージからなんらかの成分を一緒に混合する必要がないように、すべての活性成分及び不活性成分が適切な系の中で組み合わされている単位剤形を意味する。単位剤形の典型的な例は、経口投与用錠剤又はカプセル剤、注射用1回投与バイアル又は直腸内投与用座剤である。この単位剤形の列挙は、決して限定するものではなく、単位剤形の典型例を表しているにすぎない。
【0124】
本発明の化合物を含む組成物は好都合には、活性成分又は不活性成分、担体、希釈剤等であり得る2つ以上の成分が、患者又は患者に対して薬物を投与する人が実際の剤形を調製するための説明書と一緒に備えられているキットとして提供され得る。このようなキットには、必要なすべての物質及び成分を備えてもよく、又は患者又は患者に薬物を投与する人が独立に入手しなければならない材料又は成分を用いる又は作製するための説明書を含んでいてもよい。
【0125】
本発明の化合物が適応される障害又は疾患を治療又は回復させる場合、通常本発明の化合物を動物の体重1kgあたり約0.1〜約100mgの一日用量で投与する場合に満足な結果が得られ、1日単回投与若しくは1日に2〜6回に分割した用量で、又は持続放出形態で投与することが好ましい。合計日用量は体重1kgあたり約1.0〜約2000mg、好ましくは約0.1〜約20mgである。70kgの成人の場合、合計1日用量は通常約7〜約1,400mgである。この投与レジメは最適の治療応答を与えるように調節され得る。化合物は1〜4回/日、好ましくは1〜2回/日のレジメで投与され得る。
【0126】
単一剤形を生ずるように担体材料と組み合わされ得る活性成分の量は、治療対象の宿主及び具体的な投与方式に応じて変化する。例えば、ヒトに対して経口投与しようとする製剤は有利には、約0.005mg〜約2.5gの活性物質を含有し、これは適切で便利な量の担体材料と配合されている。単位剤形は通常約0.005〜約1000mgの活性成分、典型的には0.005mg、0.01mg、0.05mg、0.25mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgを含有し、1日1回、2回又は3回で投与される。
【0127】
しかしながら、任意の特定患者に対する具体的な用量レベル及び投与頻度は、変更可能であり、かつ使用する具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用時間、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与モード及び時間、排泄率、薬物の組合せ、特定の症状の重症度及び治療を受ける宿主を含めた各種要因に依存している。
【0128】
本発明の化合物を調製するための幾つかの方法が本明細書中のスキーム及び実施例に示されている。出発原料は当業界で公知の手順に従って、又は本明細書中に例示されるように調製される。本発明がより十分に理解され得るように以下の実施例を提示する。本発明はまた、本発明の化合物の調製における中間体として有用な化合物の合成のための方法を提供する。
【0129】
【化7】

【0130】
一般的な合成は、スキーム1に示される。2−メチル−1−ニトロナフタレン1をブレデレック(Bredereck)試薬で処理することで化合物2が得られる。あるいは、化合物1をDMF DMAで処理して2を得てもよい。2を過マンガン酸カリウムなどの試薬で酸化し、続いてHClで飽和した無水メタノールを用いてエステル化して、エステル3を得る。無水メタノールの使用の代わりに、反応は、t−BuOH/HOの存在下で生じてもよく、ここで、3の遊離のカルボン酸アナログが得られる。水素雰囲気下でパラジウムカーボンなどの触媒を介した3又はそのカルボン酸アナログのニトロ基の還元、続いて臭素で臭素化することで4(又はカルボン酸アナログの場合には5)を得る。水酸化リチウムなどの塩基を用いて4を加水分解することで、酸5を得る。カップリング試薬例えば、BOP(ベンゾトリアゾリルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート)を用いる(1S,2S)−2−ヒドロキシ−アミノシクロヘキサンとのアミド結合形成により6を得る。6からベンゾキナゾリノン7への環化は、ジメチルホルムアミドジメチルアセタールによって媒介される。結局、THFのような溶媒中でのビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウムなどの触媒を用い、適切な亜鉛試薬を用いて7を根岸クロスカップリングして実施例70を得る。これをさらに、塩化メチル亜鉛との追加の根岸カップリングを介して官能化して、実施例2を得てもよい。根岸カップリングは、Pd(dppf)Clの存在下で起きてもよいし、又はPd(Pt−Bu及びTHFの存在下で起きてもよい。
【0131】
【化8】

【0132】
スキーム2に示されるとおり、実施例70は、多数の他の実施例に変換されてもよい。高温でのDMSO又はDMFのような溶媒中、求核試薬、例えば、ナトリウムチオメトキシドでクロライドを置換することで実施例103を得る。実施例103の追加の酸化を、ジクロロメタンのような溶媒中、酸化剤、例えば3−クロロペルオキシ安息香酸を用いて行って、実施例8を得てもよい。
【0133】
【化9】

【0134】
さらに、スキーム3に示されるとおり、実施例70を、炭酸セシウムのような塩基、遷移金属リガンド複合体、例えば、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウムの存在下、THFのような溶媒中、適切なホウ素試薬、例えば、8と鈴木型クロスカップリングして、実施例5を得てもよい。
【0135】
【化10】

【0136】
スキーム4に示され得るとおり、銅で触媒されたN−アリール化を、複素環、例えば、ピラゾール、リガンド、例えば、トランス−N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン、炭酸セシウムなどの塩基及びヨウ化銅を、DMSOのような適切な溶媒中で用いて、実施例70で達成して、実施例6を得てもよい。同様に、実施例9は、ピラゾールの代わりにメタノールを用いて調製してもよい。
【0137】
【化11】

【0138】
他の遷移金属をクロスカップリングに用いてもよい。スキーム5では、亜鉛試薬、例えばシアン化亜鉛、遷移金属触媒/リガンド、例えば、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)により、DMFのような溶媒中、実施例70を実施例7に変換する。
【0139】
【化12】

【0140】
スキーム6では、中間体9を、ジ−tert−ブチルジカルボナートなどの試薬を用いてBoc基として保護して10を得てもよい。10の環化を、ジメチルホルムアミドジメチルアセタールにより行い、続いて実施例70に記載される根岸カップリングによって媒介されて、実施例121を得る。実施例121のBoc基は、塩化水素などの強力な酸を用いて取り除いて、実施例122を得てもよい。アシル化のような、実施例122のさらなる誘導体化を、無水酢酸及びトリエチルアミンなどの塩基を用いて行い実施例12を得てもよい。
【0141】
【化13】

【0142】
スキーム7では、臭化物4を、ボロン試薬、例えばピナコールジボロンエステル、酢酸カリウムなどの塩基、遷移金属/リガンド錯体、例えば[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロ−パラジウム(II)(DCMとの1:1の錯体)をトルエンなどの溶媒中で用いて、ボロン酸塩11に変換してもよい。ハライド、例えば2−(ブロモメチル)ピリジン臭化水素酸塩、遷移金属/リガンド錯体、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、炭酸ナトリウムなどの塩基を用いて、トルエン及びエタノールなどの溶媒中、11を鈴木カップリングすることにより、実施例18を得る。
【0143】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供し、かつ決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0144】
実施例1
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メチルピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0145】
【化14】

【0146】
2−メチル−1−ニトロナフタレン(5.00g、26.7mmol)及びtert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン(8.27g、40.1mmol)の10mLのトルエン中の溶液を、120℃で15時間還流した。追加のtert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン(3.76g、13.4mmol)を添加して、その反応をさらに24時間120℃で還流した。混合物を室温まで冷却して、50mLのヘキサンを添加した。30分間はげしく攪拌した後、赤いれんが状固体を収集し、追加のヘキサンを用いて洗浄し、乾燥して(E)−N,N−ジメチル−2−(1−ニトロ−2−ナフチル)エチレンアミン(理論と一致するプロトンNMRスペクトルが得られた)を得た。
【0147】
上記の化合物(10.0g、41.3mmol)及び炭酸カリウム(13.7g、99.0mmol)の300mLの1:1t−BuOH:HO中の溶液に、過マンガン酸カリウム(15.7g、99.0mmol)を30分にわたってゆっくり添加した。反応混合物を室温で17時間攪拌し、黒い沈殿物を濾過して、100mLの水で2回洗浄した。濾液を200mLの容積まで濃縮して、6NのHClを用いてpH約2まで酸性化した。ベージュ色の沈殿物を収集し、100mLの水を用いて2回洗浄し、乾燥して1−ニトロ−2−ナフトエ酸(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び218.1という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た。
【0148】
上記の化合物(32.5g、150mmol)の150mLのMeOH中の溶液を、0℃まで冷却し、ガス状のHClで飽和した。溶液を室温まで温め、次いで、90℃で22時間加熱した。溶液を再度、HCl(g)で飽和し、90℃で20時間加熱し、次いで、室温まで冷却した。ベージュ色の沈殿物を収集し、水及びMeOHで洗浄し、乾燥してメチル1−ニトロ−2−ナフトアート(理論と一致したプロトンNMRスペクトルが得られた)を得た。
【0149】
上記の化合物(10.0g、43.3mmol)の250mLのMeOH及び3mLのTHF中の溶液に、パラジウムカーボン(10モル%)を添加した。反応物を水素(1気圧)の雰囲気下に14時間置いた。混合物を濾過して、固体を、追加のMeOHで洗浄し、濾液を真空中で濃縮した。残渣をトルエンで2回濃縮し、真空中で乾燥してメチル1−アミノ−2−ナフトアート(202.1という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た。
【0150】
上記の化合物(8.70g、43.2mmol)の200mLの1:1ジオキサン:CCl中の溶液に0℃で、臭素(2.23mL、43.2mmol)の40mLの1:1ジオキサン:CCl中の溶液を滴加した。混合物を0℃で2時間攪拌し、濾過してEtOで洗浄し、乾燥してメチル1−アミノ−4−ブロモ−2−ナフトアート臭化水素酸塩(理論と一致したプロトンNMRスペクトルが得られた)を得た。
【0151】
上記の化合物(3.20g、8.86mmol)のN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(3.56mL、26.6mmol)中の溶液を100℃で2時間加熱した。追加のN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(1.19mL、8.9mmol)を添加して、溶液を100℃でさらに3時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、濃縮し、乾燥して粗メチル4−ブロモ−1−{[(1E)−(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}−2−ナフトアート(337.1(81Br)という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た。
【0152】
上記の化合物(2.20g、6.56mmol)及び酢酸アンモニウム(0.607g、7.88mmol)の10mLの酢酸中の溶液を140℃で3時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、50mLの水で希釈し、濾過して、水及びEtOで洗浄し、高真空で乾燥して、6−ブロモベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(276.9(81Br)という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た。
【0153】
上記の化合物(1.00g、3.64mmol)を含む丸底フラスコに、窒素雰囲気下で塩化(2−クロロ−5−ピリジル)メチル亜鉛(21.8mL、0.5MをTHF,10.9mmol中に)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10mol%)を添加した。あるいは、ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウムを用いてもよい。反応物を90℃で7時間加熱し、室温まで冷却し、50mLの酢酸エチル及び50mLの水で希釈した。ベージュ色の固体を、濾過を介して除去し、濾液を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。得られた残渣をジクロロメタンで洗浄し、真空中で乾燥して、6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び322.0という質量イオン(ES+)が[M+H]+について得られた)を得た。
【0154】
上記の化合物(0.400g、1.24mmol)の5mLのDMF中の溶液に、炭酸カリウム(0.344g、2.49mmol)及びシクロヘキセンオキシド(0.366g、3.73mmol)を添加した。反応物を密閉した圧力容器中で120℃まで15時間加熱し、室温まで冷却して、酢酸エチル及び水で希釈した。混合物を分配して、有機抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。得られた残渣を、ヘキサン中10〜50%の酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、rac−6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び419.9という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,d−DMSO)δ9.00(d,J=7.7Hz,1H)、8.66(s,1H)、8.44(d,J=2.4Hz,1H)、8.17(d,J=7.6Hz,1H)、7.97(s,1H)、7.80−7.73(m,2H)、7.68−7.65(m,1H)、7.41(d,J=8.3Hz,1H)、4.58(s,2H)、2.07−2.04(m,2H)、1.89−1.85(m,2H)、1.78−1.72(m,3H)、1.40−1.35(m,3H)。
【0155】
上記の化合物(0.225g、0.536mmol)の5mLのTHF中の溶液に、窒素雰囲気下、塩化メチル亜鉛(0.536mL、2M THF中、1.07mmol)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(DCMとの1:1の錯体(10mol%))を添加した。反応物を90℃で3時間加熱し、追加の塩化メチル亜鉛(0.536mL、2M THF中、1.07mmol)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(DCMとの1:1の錯体(5mol%))を添加した。混合物を100℃で15時間加熱し、室温まで冷却し、酢酸エチル及び水で希釈した。ベージュ色の固体を濾過により除去し、濾液の有機層を水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。残渣を、ヘキサン中20〜100%酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び400.0という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ9.02−8.99(m,1H)、8.46(s,1H)、8.29(s,1H)、7.99(s,1H)、7.95−7.76(m,1H)、7.68−7.63(m,2H)、7.28−7.17(m,1H)、6.98(d,J=8.0Hz,1H)、4.63(br s,1H)、4.47(s,2H)、4.11(br s,1H)、2.49(s,3H)、2.29−2.20(m,1H)、1.95−1.90(m,3H)、1.65−1.39(m,5H)。
【0156】
実施例2
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メチルピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0157】
【化15】

【0158】
メチル1−アミノ−4−ブロモ−2−ナフトアート臭化水素酸塩を、実施例1に記載のとおり調製した。メチル1−アミノ−4−ブロモ−2−ナフトアート臭化水素酸塩(2.00g、5.54mmol)の20mLのTHF中の溶液に水酸化ナトリウム(11.1mL、20%水溶液、55.4mmol)を添加した。あるいは、水酸化リチウムを用いてもよい。混合物を50℃で20時間攪拌し、次いで90℃で2時間加熱した。溶媒を真空中で除去して、塩酸(1Nの水溶液)をpH約2まで添加した。ベージュ色の固体を濾過により収集し、水で2回洗浄し、乾燥して1−アミノ−4−ブロモ−2−ナフトア酸(266.0(79Br)という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た。
【0159】
上記の化合物(0.950g、3.57mmol)の5mLのジクロロメタン中の溶液に、(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)[トリス−(ジメチルアミノ)]ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(1.82g、4.12mmol)、(1S,2S)−2−アミノシクロヘキサノール(0.493g、4.28mmol)及びトリエチルアミン(0.99mL、7.1mmol)を添加した。混合物を室温で15時間攪拌し、次いで、ジクロロメタン及び水で希釈した。得られたベージュ色の固体を濾過により収集し、ジクロロメタン及び水で洗浄し、乾燥して1−アミノ−4−ブロモ−N−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−2−ナフトアミド(364.9(81Br)という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た。
【0160】
上記の化合物のN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(3.06mL、22.8mmol)中の溶液を、80℃で15時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、真空中で濃縮し、乾燥して6−ブロモ−3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(374.8(81Br)という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た。
【0161】
表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び400.0という質量イオン(ES+)を[M+H]について得た)を、実施例1に記載の手順を使用して調製した:H NMR(400MHz,CDCl)δ9.00−8.99(m,1H)、8.45(s,1H)、8.29(s,1H)、7.95(s,1H)、7.95−7.76(m,1H)、7.68−7.63(m,2H)、7.27−7.17(m,1H)、6.96(d,J=8.0Hz,1H)、4.62(br s,1H)、4.35(s,2H)、4.11(br s,1H)、2.48(s,3H)、2.29−2.20(m,1H)、1.95−1.90(m,3H)、1.65−1.39(m,5H)。
【0162】
実施例3
6−(4−メトキシベンジル)−3−(5−メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0163】
【化16】

【0164】
メチル1−アミノ−4−ブロモ−2−ナフトアート臭化水素酸塩を実施例1に記載のとおり調製した。メチル1−アミノ−4−ブロモ−2−ナフトアート臭化水素酸塩(3.50g、9.69mmol)を含有する丸底フラスコ中に、窒素雰囲気下で4−塩化メトキシベンジル亜鉛(97.0mL、0.5MをTHF中に、48.5mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10mol%)を添加した。混合物を90℃で7時間加熱し、室温まで冷却し、50mLの酢酸エチル及び50mLの水を用いて希釈した。混合物を分配して、有機抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。残渣をヘキサン中0〜20%酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、メチル1−アミノ−4−(4−メトキシベンジル)−2−ナフトアート(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び322.0という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た。
【0165】
上記で調製された化合物(1.41g、4.39mmol)のN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(1.76mL、13.2mmol)中の溶液を100℃で4時間加熱した。追加のN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(0.44mL、3.3mmol)を添加して、溶液を100℃で1時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮して、メチル1−{[(1E)−(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ}−4−(4−メトキシベンジル)−2−ナフトアート(377.0という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た。
【0166】
上記の調製した化合物(0.040g、1.1mmol)の0.5mLの酢酸中の溶液に3−アミノ−5−メチルピラゾール(10.7mg、1.10mmol)を添加した。混合物を100℃で6時間加熱し、次いで、室温まで冷却して真空中で濃縮した。残渣を分取逆相HPLCによって精製して、表題の化合物(433.1653という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た。
【0167】
実施例4
6−(4−メトキシベンジル)−3−ピリジン−3−イルベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0168】
【化17】

【0169】
6−(4−メトキシベンジル)ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オンを、実施例1の6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オンについて記載したのと同じ手順によって調製した。6−(4−メトキシベンジル)ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(0.030g、0.095mmol)及び3−ヨードピリジン(0.058g、0.28mmol)の2mLのTHF及び1mLのDMSO中の溶液に、窒素雰囲気下で炭酸セシウム(0.19mL、1Nの水溶液、0.19mmol)、トランス−N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(1.3mg、0.0095mmol)及びヨウ化銅(I)(1.8mg、0.095mmol)を添加した。反応物を120℃で15時間加熱し、室温まで冷却して、真空中で濃縮した。残渣を分取逆相HPLCによって精製して表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び393.9という質量イオン(ES+)を[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,d−DMSO)δ9.07(d,J=8.0,1H)、8.53(s,1H)、8.42(s,1H)、8.14(d,J=7.6Hz,1H)、8.07(d,J=9.6Hz,2H)、7.95(s,1H)、7.74−7.54(m,5H)、4.57(s,2H)、4.21−4.09(m,1H)、3.92(s,3H)、2.20−2.18(m,1H)、2.03−1.96(m,1H)、1.95−1.83(m,2H)、1.58−1.39(m,3H)、1.29−1.18(m,2H)。
【0170】
実施例5
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0171】
【化18】

【0172】
rac−6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オンを実施例1に記載のとおり調製した。
【0173】
rac−6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(0.080g、0.19mmol)の3mLのTHF中の溶液に、窒素雰囲気下で、炭酸セシウム(0.38mL、1Nの水溶液、0.38mmol)、1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(0.079g、0.38mmol)及びビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(10mol%)を添加した。反応物を100℃で20時間加熱し、室温まで冷却し、酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を取り出して、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。残渣を100%酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び466.0という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDOD)δ9.02−8.99(m,1H)、8.67(br s,1H)、8.61(s,1H)、8.33(s,1H)、8.23(d,J=7.5Hz,1H)、8.03−8.00(m,2H)、7.82−7.62(m,4H)、4.60(s,2H)、4.10−4.04(m,1H)、3.89(s,3H)、2.08−2.00(m,1H)、1.93−1.83(m,1H)、1.90−1.72(m,3H)、1.38−1.30(m,4H)。
【0174】
実施例6
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[6−(1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0175】
【化19】

【0176】
rac−6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(0.050g、0.12mmol)及びピラゾール(0.024g、0.36mmol)の2mLのDMSOの溶液に、窒素雰囲気下で炭酸セシウム(0.24mL、1N水溶液、0.24mmol)、トランス−N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(1.7mg、0.012mmol)及びヨウ化銅(I)(2.3mg、0.012mmol)を添加した。混合物を130℃で24時間加熱し、室温まで冷却して、分取逆相HPLCによって精製した。適切な画分を真空中で濃縮した。残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中に溶解して、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空中で濃縮し表題の化合物を得て、これでは、理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び452.0という質量イオン(ES+)を[M+H]について得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ9.01−8.99(m,1H)、8.50(s,1H)、8.32−8.30(m,2H)、8.02(s,1H)、7.93−7.91(m,1H)、7.84(d,J=8.2Hz,1H)、7.69−7.64(m,3H)、7.56(d,J=8.4Hz,1H)、6.43(s,2H)、4.63(br s,1H)、4.09(br s,1H)、2.28−2.22(m,1H)、2.14−2.00(m,1H)、1.94−1.84(m,3H)、1.60−1.40(m,3H)、1.18−1.10(m,1H)。
【0177】
実施例7
rac−5−({3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロベンゾ[h]キナゾリン−6−イル}メチル)ピリジン−2−カルボニトリル
【0178】
【化20】

【0179】
rac−6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(0.050g、0.12mmol)及びシアン化亜鉛(0.042g、0.36mmol)の2mLのDMF中の溶液に、窒素雰囲気下で、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(10mol%)を添加した。混合物にマイクロ波リアクター中で160℃で1時間の照射を行って、室温まで冷却し、濾過して、分取逆相HPLCによって精製し、表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び411.0という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ9.04−9.02(m,1H)、8.70(s,1H)、8.46(s,1H)、8.06(s,1H)、7.84−7.80(m,1H)、7.76−7.64(m,2H)、7.57−7.52(m,2H)、4.67(br s,1H)、4.55(s,2H)、4.02(br s,1H)、2.30−2.22(m,1H)、2.10−2.03(m,1H)、2.00−1.83(m,3H)、1.59−1.21(m,3H)。
【0180】
実施例8
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[6−メチルスルホニル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0181】
【化21】

【0182】
rac−6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(0.150g、0.357mmol)及びナトリウムチオメトキシド(0.075g、1.1mmol)の2mLのDMF中の溶液を120℃で15時間加熱し、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈した。有機溶液を水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。残渣を、ヘキサン中0〜50%酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び432.0という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ8.98(d,J=5.6Hz,1H)、8.38(s,1H)、8.28(s,1H)、7.98(s,1H)、7.92−7.89(m,1H)、7.67−7.63(m,2H)、7.26−7.22(m,2H)、7.04−7.02(m,1H)、4.63(br s,1H)、4.35(s,2H)、4.04(br s,1H)、2.52(s,3H)、2.50−2.43(m,1H)、2.30−2.22(m,1H)、2.00−1.83(m,3H)、1.59−1.43(m,3H)。
【0183】
上記の調製した化合物(0.045g、0.10mmol)の3mLのジクロロメタン中の溶液に、0℃で3−クロロペルオキシ安息香酸(0.045g、0.26mmol)を添加した。混合物を室温まで温め、2時間攪拌し、次いで、ヘキサン中20〜70%酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び463.8という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ9.05−9.03(m,1H)、8.67(s,1H)、8.32(s,1H)、8.04(s,1H)、7.97−7.92(m,2H)、7.84−7.81(m,1H)、7.72−7.66(m,3H)、4.65(br s,1H)、4.55(s,2H)、4.03(br s,1H)、3.20(s,3H)、2.30−2.23(m,1H)、2.00−1.83(m,3H)、1.61−1.43(m,4H)。
【0184】
実施例9
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メトキシピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0185】
【化22】

【0186】
rac−6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(0.150g、0.357mmol)の3mLのMeOH中の溶液に、窒素雰囲気下で、トランス−N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(1.7mg、0.012mmol)及びヨウ化銅(I)(2.3mg、0.012mmol)を添加した。混合物をマイクロ波リアクター中で160℃で4時間照射して、室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残渣を、ヘキサン中0〜100%酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び416.0という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ9.03−8.99(m,1H)、8.29(s,1H)、8.10(s,1H)、8.02−7.99(m,2H)、7.70−7.65(m,2H)、7.37−7.34(m,1H)、6.62(d,J=8.5Hz,1H)、4.82(br s,1H)、4.39(s,2H)、4.01(br s,1H)、3.90(s,3H)、2.30−2.23(m,1H)、2.18−2.12(m,1H)、1.99−1.84(m,3H)、1.53−1.42(m,3H)。
【0187】
実施例10
6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−(2−オキシシクロヘキシル)ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0188】
【化23】

【0189】
rac−6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(0.050g、0.12mmol)の3mLのジクロロメタンの溶液(粉末化4Åモレキュラーシーブスを含む)に、4−メチルモルホリン4−オキシド(0.018g、0.16mmol)を添加した。15分後、テトラブチルアンモニウムペルルテナート(0.013g、0.036mmol)を添加し、30分後、混合物をセライトのパッドを通して濾過した。濾液を真空中で濃縮し、分取逆相HPLCによって精製して、表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び417.9という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ9.03−9.00(m,1H)、8.60(s,1H)、8.49(s,1H)、7.96−7.93(m,1)、7.81−7.76(m,2H)、7.55−7.48(m,1H)、7.29−7.26(m,1H)、5.78−5.73(m,1H)、4.53(s,2H)、2.80−2.71(m,1H)、2.66−2.58(m,1H)、2.51−2.47(m,1H)、2.30−2.18(m,3H)、2.06−1.83(m,2H)。
【0190】
実施例11
トランス−2−[6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−4−オキソベンゾ[h]キナゾリン−3(4H)−イル]シクロヘキシルrac−アセタート
【0191】
【化24】

【0192】
rac−6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(0.040g、0.095mmol)の2mLのCHCl中の溶液に、0℃で無水酢酸(0.011mL、0.11mmol)及びトリエチルアミン(0.026mL、0.20mmol)を添加した。混合物を室温まで温め、15時間後に真空中で濃縮した。残渣を分取逆相HPLCによって精製して表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び461.9という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た。
【0193】
実施例12
N−{(1S,2S)−2−[6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−4−オキソベンゾ[h]キナゾリン−3(4H)−イル]シクロヘキシル}アセトアミド
【0194】
【化25】

【0195】
1−アミノ−N−[(1S,2S)−2−アミノシクロヘキシル]−4−ブロモ−2−ナフトアミドを、実施例1の1−アミノ−4−ブロモ−N−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−2−ナフトアミドの合成について記載された手順によって調製した。
【0196】
1−アミノ−N−[(1S,2S)−2−アミノシクロヘキシル]−4−ブロモ−2−ナフトアミド(0.460g、1.27mmol)の20mLのジクロロメタンの中の溶液に、ジ−tert−ブチルジカルボナート(0.305g、1.40mmol)を添加した。混合物を室温で4時間攪拌し、次いで、ヘキサン中0〜20%酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、tert−ブチル{(1S,2S)−2−[(1−アミノ−4−ブロモ−2−ナフトイル)アミノ]シクロヘキシル)カルバマート(463.9という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た。
【0197】
上記の調製した化合物を変換して、実施例2の6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシルシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オンの合成について記載される手順によって、tert−ブチル{(1S,2S)−2−[6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−4−オキソベンゾ[h]キナゾリン−3(4H)−イル]シクロヘキシル}カルバマートを得た。
【0198】
tert−ブチル {(1S,2S)−2−[6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−4−オキソベンゾ[h]キナゾリン−3(4H)−イル]シクロヘキシル}カルバマート(0.080g、0.15mmol)の2mLのメタノール中の溶液に、塩酸(0.15mL、6Nの水溶液、0.92mmol)を添加した。反応物を60℃で2時間加熱し、室温まで冷却して、真空中で濃縮した。残渣をトルエンで2回濃縮した。残渣を分取逆相HPLCによって精製して、3−[(1S,2S)−2−アミノシクロヘキシル]−6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び419.0という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,d−DMSO)δ9.10−9.08(m,1H)、8.56(br s,1H)、8.27(s,1H)、8.14−8.12(m,1H)、8.04(s,1H)、7.80−7.75(m,3H)、7.43−7.36(m,1H)、4.60(s,2H)、2.31−2.24(m,2H)、2.12−1.94(m,4H)、1.70−1.56(m,4H)。
【0199】
上記の調製した化合物(0.025g、0.055mmol)の2mLのジクロロメタン中の溶液に、0℃でトリエチルアミン(0.023mL、0.16mmol)及び無水酢酸(0.0078mL、0.082mmol)を添加した。混合物を0℃で2時間攪拌し、ジクロロメタンで希釈して、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。残渣を、ヘキサン中10〜100%の酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び460.9という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ9.11−9.08(m,1H)、8.38(s,1H)、8.02(s,1H)、7.93−7.91(m,1H)、7.72−7.68(m,2H)、7.41−7.39(m,1H)、7.20−7.17(m,1H)、5.76−5.74(m,1H)、4.94−4.88(m,1H)、4.47(s,2H)、4.29−4.24(m,1H)、2.28−2.21(m,1H)、2.16−2.02(m,1H)、2.00−1.82(m,3H)1.72(s,3H)、1.60−1.41(m,3H)。
【0200】
実施例13
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−イソプロピルピリジン−3−イル)メチルベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0201】
【化26】

【0202】
rac−6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(0.250g、0.595mmol)の3mLのTHF及び0.5mLの水の溶液に、窒素雰囲気下で、炭酸カリウム(0.091g、0.66mmol)、イソプロペニルボロン酸ピナコールエステル(0.200g、1.19mmol)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(DCMとの1:1錯体(10mol%))(0.022g、0.030mmol)を添加した。混合物を100℃で18時間加熱し、室温まで冷却し、酢酸エチル及び水で希釈した。混合物を分配して、有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。残渣を、ヘキサン中10〜50%酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−イソプロペニルピリジン−3−イル)メチルベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び426.0という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ9.05−9.03(m,1H)、8.57(s,1H)、8.30(s,1H)、8.09(s,1H)、8.00−7.97(m,1H)、7.69−7.66(m,2H)、7.39−7.33(m,2H)、5.80(s,1H)、5.25(s,1H)、4.72−4.60(m,1H)、4.49(s,2H)、4.05−3.97(m,1H)、2.30−2.23(m,1H)、2.18(s,3H)、2.12−2.02(m,1H)、1.99−1.92(m,3H)、1.58−1.44(m,3H)。
【0203】
上記の化合物(0.030g、0.71mmol)の3mLのMeOH中の溶液にパラジウムカーボン(10mol%)を添加した。混合物を、水素(1気圧)雰囲気下に3時間おき、次いでセライトのパッドを通して濾過して、これをMeOHで洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び428.0という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ9.04−9.00(m,1H)、8.52(s,1H)、8.30(s,1H)、8.04(s,H)、8.00−7.96(m,1H)、7.69−7.65(m,2H)、7.35−7.31(m,1H)、7.01(d,J=8.0Hz,1H)、4.72−4.60(m,1H)、4.42(s,2H)、4.04−3.97(m,1H)、3.04−2.95(m,1H)、2.26−2.20(m,1H)、2.09−2.01(m,1H)、1.99−1.83(m,3H)、1.63−1.41(m,4H)、1.26(d,J=6.9Hz,6H)。
【0204】
実施例14
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[(6−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0205】
【化27】

【0206】
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−イソプロペニルピリジン−3−イル)メチルベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オンを実施例13に記載のとおり調製した。
【0207】
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−イソプロペニルピリジン−3−イル)メチルベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オンの4mLのTHF:アセトン:水(2:1:1)溶液中の溶液に、過ヨウ素酸ナトリウム(0.075g、0.353mmol)及び四酸化オスミウム(4重量%水、9”ピペットから3滴)を、そして4時間後、追加の四酸化オスミウム(4重量%水、9”ピペットから3滴)を添加した。さらに3時間後、混合物を酢酸エチルで希釈し、チオ硫酸ナトリウム及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。残渣を、ヘキサン中10〜50%酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、6−[(6−アセチルピリジン−3−イル)メチル]−3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び428.0という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ9.04−9.02(m,1H)、8.61(s,1H)、8.31(s,1H)、8.04(s,1H)、7.97−7.87(m,2H)、7.71−64(m,2H)、7.57−7.52(m,1H)、4.71−4.60(m,1H)、4.53(s,2H)、4.06−4.00(m,1H)、2.68(s,3H)、2.28−2.23(m,1H)、2.20−2.17(m,1H)、2.00−1.85(m,3H)、1.60−1.42(m,3H)。
【0208】
上記の調製した化合物(0.010g、0.023mmol)の2mLのジクロロメタン中の溶液に−40℃で、メチルマグネシウムブロミド(0.016mL、3.0Mのジエチルエーテル溶液、0.047mmol)を添加した。−40℃で1時間後、混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液で処理して、真空中で濃縮し、分取逆相HPLCによって精製して表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び444.1という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDOD)δ9.12−9.10(m,1H)、8.57(s,1H)、8.52(s,1H)、8.43−3.41(m,1H)、8.12−8.00(m,3H)、7.81−7.73(m,2H)、4.86(s,2H)、4.21−4.10(m,1H)、2.22−2.17(m,1H)、2.04−1.97(m,1H)、1.96−1.81(m,2H)、1.63(s,6H)、1.56−1.43(m,3H)。
【0209】
実施例15
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[6−(ヒドロキシメチル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0210】
【化28】

【0211】
Rac−5−({3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロベンゾ[h]キナゾリン−6−イル}メチル)ピリジン−2−カルバルデヒドは、実施例14の6−[(6−アセチルピリジン−3−イル)メチル]−3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オンの合成について記載されたのと同じ手順によって調製された。
【0212】
rac−5−({3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロベンゾ[h]キナゾリン−6−イル}メチル)ピリジン−2−カルバルデヒド(0.070g、0.17mmol)の3mLのMeOH中の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.0096g、0.25mmol)を添加した。1時間後、混合物を、飽和塩化アンモニウム水溶液で処理し、真空中で濃縮し、酢酸エチルで希釈した。有機溶液を水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。残渣を、分取逆相HPLCによって精製して表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び416.0という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDOD)δ9.06−9.04(m,1H)、8.53(s,1H)、8.31(s,1H)、8.07(s,1H)、8.02−7.95(m,1H)、7.70−7.67(m,1H)、7.46−7.43(m,1H)、7.12−7.10(m,1H)、4.71(s,2H)、4.69−4.61(m,1H)、4.49(s,2H)、4.04−4.00(m,1H)、2.28−2.18(m,1H)、1.94−1.88(m,1H)、1.72−1.40(m,6H)。
【0213】
実施例16
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0214】
【化29】

【0215】
Rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メトキシピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オンは実施例9に記載されたとおり調製した。
【0216】
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メトキシピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(0.025g、0.060mmol)の1mLのアセトニトリル中の溶液に、スクリューキャップしたバイアル中で、ヨードメタン(0.031g、0.22mmol)を添加した。容器を密閉して、90℃で48時間加熱し、室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残渣を分取逆相HPLCによって精製して表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び416.1という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ9.07−9.05(m,1H)、8.41(s,1H)、8.06(s,1H)、7.94−7.92(m,1H)、7.75−7.72(m,2H)、7.45(d,J=2.5Hz,1H)、7.02(s,1H)、6.77(d,J=9.3Hz,1H)、4.68(br s,1H)、4.27(s,2H)、4.01(br s,1H)、3.50(s,3H)、2.28−1.88(m,5H)、1.59−1.44(m,3H)。
【0217】
実施例17
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メチル−1−オキシドピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0218】
【化30】

【0219】
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メチルピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オンは、実施例2に記載のとおり調製した。
【0220】
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メチルピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン塩酸塩(0.050g、0.12mmol)の0.6mLのジクロロメタン中の懸濁液に、トリエチルアミン(0.012g、0.12mmol)を添加した。懸濁液の溶解の際に、3−クロロペルオキシ安息香酸(0.031g、0.13mmol)を添加して、その混合物を室温で15時間攪拌した。混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン中0〜10%メタノールで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び416.1967という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ8.99−8.96(m,1H)、8.29(s,1H)、8.12(s,1H)、7.98(s,1H)、7.79−7.76(m,1H)、7.65−7.59(m,2H)、6.91(d,J=8.1Hz,1H)、4.61(br s,1H)、4.31(s,2H)、4.00(br s,1H)、2.50−2.40(m,1H)、2.41(s,3H)、2.26−2.21(m,1H)、2.06−1.98(m,1H)、1.98−1.82(m,3H)、1.58−1.40(m,3H)。
【0221】
実施例18
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−(ピリジン−2−イルメチル)ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0222】
【化31】

【0223】
6−ブロモ−3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オンは、実施例2に記載したとおりに調製した。
【0224】
6−ブロモ−3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(0.300g、0.804mmol)の6.5mLのトルエン中の溶液に、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.225g、0.884mmol)、酢酸カリウム(0.158g、1.61mmol)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロ−パラジウム(II)、DCMとの1:1錯体(0.029g、0.040mmol)を窒素雰囲気下で添加した。混合物をマイクロ波リアクター中で150℃で90分間照射して、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈した。有機溶液を水で2回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。残渣を、ヘキサン中0〜50%酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン(421.0という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た。
【0225】
上記の調製した化合物(0.080g、0.190mmol)の1mLのトルエン及び0.8mLのエタノール中の溶液に、2−(ブロモメチル)ピリジン臭化水素酸塩(0.048g、0.19mmol)、炭酸ナトリウム(0.76mL、2M水溶液、1.5mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.143g、0.124mmol)を窒素雰囲気下で添加した。混合物を85℃で3時間加熱し、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈した。有機溶液を硫酸ナトリウム水溶液及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して、真空中で濃縮した。残渣を分取逆相HPLCによって精製して表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び386.0という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,CDCl)δ9.06−9.04(m,1H)、8.92(d,J=5.1Hz,1H)、8.38(s,1H)、8.17(s,1H)、7.99−7.89(m,2H)、7.74−7.69(m,2H)、7.62−7.58(m,1H)、7.26−7.24(m,1H)、5.02−4.91(m,2H)、4.67(br s,1H)、4.03(br s,1H)、2.33−2.24(m,1H)、2.10−2.00(m,1H)、2.00−1.86(m,3H)、1.60−1.43(m,3H)。
【0226】
実施例19
6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−2−メチルベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン
【0227】
【化32】

【0228】
6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オンの調製のための実施例2に記載の手順を用いて、N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタールをN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールの代わりに用いて、表題の化合物(理論と一致したプロトンNMRスペクトル及び433.9という質量イオン(ES+)が[M+H]について得られた)を得た:H NMR(400MHz,d−DMSO)δ9.05−9.03(m,1H)、8.28(s,1H)、8.06(d,J=7.7,1H)、7.92(s,1H)、7.75−7.63(m,3H)、7.34(d,J=8.4Hz,1H)、4.80−4.74(m,1H)、4.53(s,2H)、4.15−4.09(m,1H)、2.87(s,3H)、2.81−2.70(m,1H)、2.19−2.12(m,1H)、1.90−1.80(m,3H)、1.53−1.35(m,3H)。
【0229】
が水素である上記の式(III)の以下の化合物を、下の表1に示す。表1の化合物は、実施例1〜20に提供される一般的手順に従って調製した。出発原料は市販されているか、又は市販の試薬から当該技術分野で周知の従来の反応物を用いて調製してもよい。
【0230】
【化33】

【0231】
【表1−1】

【0232】
【表1−2】

【0233】
【表1−3】

【0234】
【表1−4】

【0235】
が水素であり、かつX、Y及びZがCHである上記の式(I)の以下の化合物を、下の表2に示す。表2の化合物は、実施例1〜19に提供される一般的手順に従って調製した。出発原料は市販されているか、又は当該技術分野で周知の従来の反応を用いて、市販されている試薬から調製してもよい。
【0236】
【化34】

【0237】
【表2】

【0238】
が水素である上記の式(II)の以下の化合物を、下の表3に示す。表3の化合物は、実施例1〜19に提供される一般的手順に従って調製した。出発原料は市販されているか、又は当該技術分野で周知の従来の反応を用いて、市販されている試薬から調製してもよい。
【0239】
【化35】

【0240】
【表3−1】

【0241】
【表3−2】

【0242】
【表3−3】

【0243】
【表3−4】

【0244】
【表3−5】

【0245】
【表3−6】

【0246】
X及びYがCHである上記の式(I)の以下の化合物を下の表4に示す。表4の化合物は、実施例1〜19に示される一般的な手順に従って調製した。出発原料は、市販されているか、又は当該技術分野で周知の従来の反応を用いて、市販されている試薬から調製してもよい。
【0247】
【化36】

【0248】
【表4】

【0249】
M1レセプターポジティブアロステリックモジュレーターとしての化合物の有用性は、下に記載されるアッセイに含まれる、当該技術分野で公知の方法論によって示され得る。このアッセイは、FLIPR384 Fluorometric Imaging Plate Reader Systemで細胞内カルシウムを測定することによって、アセチルコリンムスカリン性M1レセプター又はCHOnfat細胞で発現される他のムスカリンレセプターで、モジュレーター活性を有する化合物を選択するように設計される。このアッセイは、FLIPRを用いて基本的又はアセチルコリン刺激性のCa2+レベルに対する試験化合物のうち1つ又はいくつかの濃度の影響を研究する。
【0250】
化合物を調製して、4分のプレインキュベーション期間に供する。その後、単一のEC20濃度のアセチルコリンをそれぞれのウェルに添加する(最終3nM)。それぞれのサンプルの細胞内Ca2+レベルを測定し、アセチルコリンのコントロールに比較してモジュレーター活性を決定する。
【0251】
細胞:CHOnfat/hM1、hM2、hM3又はhM4細胞を、24時間プレートして、その後に384ウェルのプレート中で18,000細胞/ウェル(100μL)の密度でアッセイする。CHOnfat/hM1及びCHOnfat/hM3増殖培地:90%DMEM(Hi Glucose);10%のHI FBS;2mMのL−グルタミン;0.1mMのNEAA;Pen−Strep;及び1mg/mlジェネティシンを添加する。M2Gqi5CHOnfat及びM4Gqi5CHOnfat細胞には、追加の600ug/mlのハイグロマイシンを添加する。
【0252】
装置:384ウェルのプレート、120μL追加プレート;96ウェルのWhatmanの2ml Uniplate Incubator、37℃,5%CO;Skatron EMBLA−384 Plate Washer;Multimek Pipetting System;Genesis Freedom 200 System;Mosquito System;Temo Nanolitre Pipetting System;及びFLIPR384 Fluorometric Imaging Plate Reader Systemを用いる。
【0253】
緩衝液:アッセイ緩衝液;ハンクス平衡塩溶液(Hanks Balanced Salt Solution)(20mM Hepes、2.5mM Probenecid(Sigma P−8761)(最初に1N NaOHに溶解)、1%のウシ血清アルブミン(Sigma A−9647)を含む)、ダイ・ローディング・バッファー(Dye Loading Buffer):アッセイ緩衝液と1%のウシ胎仔血清及びFluo−4AM/プルロニック酸(Pluronic Acid)混合物、アッセイにおいて1μMの最終濃度については、緩衝液中で2μMというDMSO(Molecular Probes F−14202)濃度中の2mMのFluo−4AMエステルストック。アッセイ中で0.02%の緩衝液中で0.04%の濃度を有する20%のプルロン酸溶液ストック。
【0254】
65μLの2mMのFluo−4AMを130μLの20%プルロニック酸と混合する。得られた溶液及び650μL FBSをアッセイ緩衝液に加え、全容積を65mlとする。陽性コントロール:4−Br−A23187:DMSO中に10mM;最終濃度10μM。アセチルコリン:水の中に10mM、アッセイ緩衝液中にワーキングストックを20μM及び30μMの両方で、最終濃度は10μM。これを用いてCHOK1/hM1細胞の最大刺激をチェックする。20μM(2×)アセチルコリンを、アッセイのプレインキュベーション部分に添加して、30μM(3×)ストックを第二の部分に添加する。(EC20)アセチルコリン:水の中に10mM、9nM(3×)のワーキングストック及びアッセイでの最終濃度は3nMである。これは、試験化合物でのプレインキュベーション後に用いる。試験化合物を含むそれぞれのウェルへEC20アセチルコリンを添加することでモジュレーター活性を確認する。24ウェルはコントロールとして3nMのアセチルコリンのみを含む。
【0255】
推定上の化合物の活性を決定する:
スクリーニングプレート:化合物は、15mMの濃度(150×ストック濃度)で開始し、96ウェルプレート(第2列〜11列)(100%DMSO中)及びGenesis Freedom200 Systemを用いる3倍階段希釈で滴定する。4つの96ウェルプレートを、それぞれのウェルに対して1μlの連続希釈した化合物を移して、Mosquito Nanolitre Pipetting Systemを用いて384ウェルプレートへと組み合わせ、1mMのアセチルコリン(100×のストック濃度)をコントロールとして添加する。Temoを用い、49μlのアッセイ緩衝液を、アッセイ前に384ウェルのプレートの右側のそれぞれのウェルに添加する。
【0256】
96ウェルのWhatmanの2mlのUniplate中で、9nMのアセチルコリン(3×)を、スクリーニング化合物に対応するウェル中に及びコントロールのウェル中にピペッティングする。30μMのアセチルコリンコントロール(3×)をコントロールのウェルに添加し、3×のアゴニストのプレートを384ウェルのプレートに移す。
【0257】
細胞を100μLの緩衝液で3回洗浄して、それぞれのウェル中に30μLの緩衝液を残す。Multimekを用い、30μLのダイ・ローディング・緩衝液(Dye Loading Buffer)をそれぞれのウェルに添加し、37℃で、5%COで、最大1時間までインキュベートする。
【0258】
60分後、細胞を100μLの緩衝液を用いて3回洗浄し、それぞれのウェル中に30μLの緩衝液を残す。細胞プレート、スクリーニングプレート及びアゴニスト添加プレートを、FLIPR中のプラットフォームに置いて、ドアを閉じる。バックグラウンドの蛍光及び基礎の蛍光シグナルをチェックするためのシグナル試験を行う。レーザーの強度は必要に応じて調節する。
【0259】
試験化合物と4分プレインキュベーションして、1mMのアセチルコリンコントロールに対して比較することによってM1レセプターに対するアゴニスト活性を決定する。プレインキュベーション後、アセチルコリンのEC20値(最終3nM)を添加してモジュレーター活性を決定する。
【0260】
ムスカリン作動性FLIPRアッセイの詳細な説明は、国際特許出願公開WO2004/073639に見出すことができる。
【0261】
詳細には、以下の実施例の化合物は、上述のアッセイで活性を有し、これは一般には10μM(10,000nM)以下というIP(変曲点)がある。変曲点は、FLIPR値から算出され、そして活性の指標である。このような結果は、M1アロステリックモジュレーターとしての使用における化合物の固有活性の指標である。
【0262】
本発明の代表的な例示的化合物についての上述のアッセイ由来のIP値(本明細書において記載されるような)は、下の表に示すように提供される。
【0263】
【化37】

【0264】
以下の略号を、本明細書全体を通じて用いる:
【0265】
【化38】

【0266】
本発明について、その特定の具体的実施態様に言及しながら記載しかつ説明してきたが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、手順及びプロトコールの様々な適応、変更、修飾、置き換え、欠失又は追加がなされてもよいことを認識するであろう。したがって、本発明は以下に示す請求項の範囲によってのみ定義され、そしてこのような特許請求の範囲はそれが妥当である限り広く解釈されるべきであることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
X、Y及びZは、それぞれCHであり、かつQは、Cであり、又はX、Y、Q及びZのうちの1つはNであり、かつその他はCH若しくはCであり、又はX及びYはCHであり、かつQ、R及びZは、一緒に連結されてナフチル基を形成し;
は、
(1)水素、
(2)アリール、
(3)ヘテロアリール基(これは、単環式基又は多環式基であり、5〜12個の環原子を有し、該環原子はC、O、N又はSから選択され、そのうちの少なくとも1つはO、N又はSである)、
(4)ハロゲン、
(5)−CN、
(6)−O−C1−6アルキル、
(7)−C1−6アルキル、
(8)−C2−6アルケニル
(9)−S(=O)−R
(10)−NR5A5B、からなる群より選択され、
ここで、該アリール、ヘテロアリール、アルキル及びアルケニル基は、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、
(e)−C(=O)−(O)−R
(f)−N(R5A5B)、
(g)−S(=O)−R、又は
(h)オキソ、の1つ以上で置換されてもよく、
ただし、QがNである場合、Rは存在せず;
は、
(1)水素、
(2)アリール、
(3)ヘテロアリール基(これは、単環式基又は多環式基であり、5〜12個の環原子を有し、該環原子はC、O、N又はSから選択され、そのうちの少なくとも1つはO、N又はSである)、
(4)複素環基(これは、非芳香族の単環式基又は多環式基であり、C、O、N又はSから選択される5〜12個の環原子を有し、そのうちの少なくとも1つはO、N又はSである)、
(5)−O−C1−6アルキル、
(6)−C1−6アルキル、
(7)−C2−6アルケニル、
(8)−S(=O)−R
(9)−C3−8シクロアルキル、
(10)−C5−8シクロアルケニル、
(11)−NR5A5B、からなる群より選択され、
ここで、該アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、
(e)−S(=O)−R
(f)−C2−6アルケニル、
(g)−CN、
(h)−C(=O)−(O)−R
(i)−NR5A5B
(j)オキソ、
(k)アリール、
(l)ヘテロアリール基(これは、単環式基又は多環式基であり、5〜12個の環原子を有し、該環原子は、C、O、N又はSから選択され、そのうちの少なくとも1つはO、N又はSである)、
(m)複素環基(これは、非芳香族の単環式基又は多環式基であって、C、O、N又はSから選択される5〜12個の環原子を有し、そのうちの少なくとも1つはO、N又はSである)、
(n)−OC(=O)−R、の1つ以上で置換されてもよく、
ここで、該アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール又は複素環基は、
(i)ハロゲン、
(ii)−C1−6アルキル、若しくは
(iii)−OC1−6アルキル、の1つ以上で置換されてもよく;
は、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル、及び
(3)−S(O)−R、からなる群より選択され、
ここで、該Rのアルキル基は、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、及び
(c)−O−C1−6アルキル(ここで、該アルキルは1つ以上のハロで置換されてもよい)、の1つ以上で置換されてもよく;
、R及びRは、独立して、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル、及び
(3)−(CH−アリール、からなる群より選択され、
ここで、該R、R若しくはRのアルキル若しくはアリール基は、
(a)ハロゲン、
(b)シアノ、及び
(c)−O−C1−6アルキル(ここで、該アルキルは1つ以上のハロゲンで置換されてもよい)、の1つ以上で置換されてもよく;
5A及びR5Bは、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル、
(3)−C3−6シクロアルキル、
(4)−C(=O)−O−R
(5)−S(O)−R、からなる群より選択されるか、
或いはR5A及びR5Bは、それらが結合する窒素と一緒に連結されて、2員ないし6員の炭素環を形成し、ここで、該環炭素原子のうち1つ又は2つは、窒素、酸素又は硫黄により置換されてもよく;
mは0又は1であり;そして
nは0、1又は2である]の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
QがCであり、X及びYがそれぞれCHであり、かつZがNである、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
X、Y及びZが、それぞれCHであり、かつQがCである、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
X及びZが、それぞれ、CHであり、QがCであり、かつYがNである、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
は、
(1)ハロゲン、
(2)−CN、
(3)−O−C1−6アルキル、又は
(4)−C1−6アルキル、
からなる群より選択され、
ここで、該アルキルは、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、
(e)−C(=O)−(O)−R
(f)−NR5A5B、又は
(g)オキソ、
の1つ以上で置換されてもよい、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
は、
(1)アリール、又は
(2)ヘテロアリール、
からなる群より選択され、
ここで、Rのアリール又はヘテロアリール基は、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、又は
(e)−S(O)−R、の1つ以上で置換されてもよい、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
が、場合により
(a)ヒドロキシ、
(b)−O−C1−6アルキル、又は
(c)オキソ、
の1つ以上で置換されてもよい−C3−8シクロアルキルである、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
が、
(1)アリール、
(2)ヘテロアリール、又は
(3)−C1−6アルキル、
からなる群より選択され、ここで、該アリール、ヘテロアリール若しくはアルキルは、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、
(e)−CN、
(f)−C(=O)−(O)−R
(g)−NR5A5B
(h)オキソ、
(i)アリール、及び
(j)ヘテロアリール、
の1つ以上で置換されてもよい、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
が水素である、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メチルピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メチルピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
6−(4−メトキシベンジル)−3−(5−メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
6−(4−メトキシベンジル)−3−ピリジン−3−イルベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[6−(1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
rac−5−({3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロベンゾ[h]キナゾリン−6−イル}メチル)ピリジン−2−カルボニトリル;
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[6−メチルスルホニル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メトキシピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−(2−オキシシクロヘキシル)ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
トランス−2−[6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−4−オキソベンゾ[h]キナゾリン−3(4H)−イル]シクロヘキシル rac−アセタート;
N−{(1S,2S)−2−[6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−4−オキソベンゾ[h]キナゾリン−3(4H)−イル]シクロヘキシル}アセトアミド;
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−イソプロピルピリジン−3−イル)メチルベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[(6−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[6−(ヒドロキシメチル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メチル−1−オキシドピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−(ピリジン−2−イルメチル)ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
6−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−2−メチルベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
なる群より選択される、請求項1に記載の化合物又は学的に許容されるその塩。
【請求項11】
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メチルピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−[(6−メチルピリジン−3−イル)メチル]ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
6−(4−メトキシベンジル)−3−(5−メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
6−(4−メトキシベンジル)−3−ピリジン−3−イルベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
rac−3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−6−{[6−(1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン−3−イル]メチル}ベンゾ[h]キナゾリン−4(3H)−オン;
rac−5−({3−[トランス−2−ヒドロキシシクロヘキシル]−4−オキソ−3,4−ジヒドロベンゾ[h]キナゾリン−6−イル}メチル)ピリジン−2−カルボニトリル;
からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
X及びYがCHであり、QがCであり、かつR、R、R及びZが以下に記載される、請求項1に記載の化合物:
【化2】

【請求項13】
式(I)の化合物が、式(II):
【化3】

[式中、
は、
(1)水素、
(2)アリール、
(3)ヘテロアリール、
(4)ハロゲン、
(5)−CN、
(6)−O−C1−6アルキル、
(7)−C1−6アルキル、
(8)−C2−6アルケニル、
(9)−S(=O)−R、及び
(10)−NR5A5B、からなる群より選択され、
ここで、該アリール、ヘテロアリール、アルキル及びアルケニル基は、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、
(e)−C(=O)−(O)−R
(f)−N(R5A5B)、
(g)−S(=O)−R、及び
(h)オキソ、の1つ以上で置換されてもよい]の化合物である、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
が水素であり、かつR及びRが以下に記載されるようなペアーである、請求項13に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩:
【化4−1】

【化4−2】

【化4−3】

【化4−4】

【化4−5】

【化4−6】

【請求項15】
式(I)に記載の化合物が、式(III):
【化5】

[式中、
及びRは、上記のとおりであり、かつRは、
(1)水素、
(2)アリール、
(3)ヘテロアリール、
(4)ハロゲン、
(5)−CN、
(6)−O−C1−6アルキル、
(7)−C1−6アルキル、
(8)−C2−6アルケニル、
(9)−S(=O)−R、及び
(10)−NR5A5B、からなる群より選択され、
ここで、該アリール、ヘテロアリール、アルキル及びアルケニル基は、
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C1−6アルキル、
(e)−C(=O)−(O)−R
(f)−N(R5A5B)、
(g)−S(=O)−R、及び
(h)オキソの1つ以上で置換されてもよい]の化合物である、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
が水素であり、かつR及びRが、
【化6−1】

【化6−2】

【化6−3】

【化6−4】

からなる群より選択されたペアーである、請求項15に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項17】
式(I)の化合物が、式(IV):
【化7】

[式中、X、Y、Z、R及びRは、請求項1に規定されるとおりである]の化合物である、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項18】
式(IV)の化合物が、式(IVA):
【化8】

[式中、ベンゾキナゾリン窒素とシクロヘキシル環上の1−炭素との間の結合及びヒドロキシとシクロヘキシル環上の2−炭素との間の結合がトランスである]である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
X及びYが、それぞれCHであり、かつZがNである、請求項17又は18に記載の化合物。
【請求項20】
X、Y及びZが、それぞれCHである、請求項18又は19に記載の化合物。
【請求項21】
式(V);
【化9】

[式中、R及びQ’は、以下のようなペアーである]
【化10】

の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項22】
治療上有効な量の請求項1ないし21のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項23】
アルツハイマー病、統合失調症、疼痛又は睡眠障害からなる群より選択されるムスカリン性M1レセプターによって媒介される疾患又は障害の治療のための医薬組成物であって、治療上有効量の請求項1ないし21のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩、及び薬学的に許容される担体、を含む医薬組成物。
【請求項24】
アルツハイマー病、統合失調症、疼痛又は睡眠障害からなる群より選択されるムスカリン性M1レセプターによって媒介される疾患又は障害の治療のための、請求項1ないし21のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項25】
アルツハイマー病、統合失調症、疼痛又は睡眠障害からなる群より選択されるムスカリン性M1レセプターによって媒介される疾患又は障害の治療用の医薬の製造のための、請求項1ないし21のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩及び薬学的に許容される担体の使用。
【請求項26】
必要な患者においてアルツハイマー病、統合失調症、疼痛又は睡眠障害からなる群より選択されるムスカリン性M1レセプターによって媒介される疾患又は障害を治療する方法であって、治療有効量の請求項1ないし21のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩及び薬学的に許容される担体を患者に投与することを包含する方法。

【公表番号】特表2012−509343(P2012−509343A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537601(P2011−537601)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/065060
【国際公開番号】WO2010/059773
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】