説明

アリール置換ベンゾイミダゾール類およびナトリウムチャネルブロッカーとしてのそれらの使用

本発明は、式(I)で示されるアリール置換ベンゾイミダゾール類またはそれらの製薬上許容される塩、プロドラッグ、若しくは溶媒和物に関し、式中、R1、R2、R10、およびnは、明細書中に定義されている。本発明はまた、全汎性および病巣性の虚血に続いて生じるニューロン損傷を治療するための、筋萎縮性側索硬化(ALS)のような神経変性症状を治療または予防するための、および急性若しくは慢性疼痛の両方を治療、予防、または改善のための、抗耳鳴剤としての、抗痙攣剤としての、抗躁鬱剤としての、局所麻酔剤としての、抗不整脈剤としての、ならびに糖尿病性神経障害を治療または予防するための、式(I)で示される化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医化学の分野に属する。特に、本発明は、新規なアリール置換ベンゾイミダゾール類、およびこれらの化合物がナトリウム(Na+)チャネルのブロッカーであるという発見に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかのクラスの治療上有用な薬剤、例を挙げると局所麻酔剤、例えばリドカインおよびブピバカインなど、抗不整脈剤、例えばプロパフェノンおよびアミオクラロン(amioclarone)など、ならびに抗痙攣剤、例えばラモトリジン、フェニトインおよびカルバマゼピンなどは、Na+チャネル活性をブロックまたはモジュレートすることに関し、共通の作用機序を共有することが明らかにされている(非特許文献1)。これらの各作用剤は、Na+イオンの急速な流入を妨害することにより作用すると考えられている。
【0003】
最近、他のNa+チャネルブロッカー、例えばBW619C89およびリファリジンが、全汎性および病巣性虚血の動物モデルにおいて、現在では臨床試験において、ニューロン保護性であることが明らかにされている(非特許文献2、3)。
【0004】
Na+チャネルブロッカーのニューロン保護活性は、虚血時に細胞内グルタミン酸濃度を減少させるのに有効であることに依拠する。これは、この興奮毒性アミノ酸神経伝達物質の放出を阻害することにより達成される。グルタミン酸受容体アンタゴニストとは異なり、Na+チャネルブロッカーは、哺乳動物の白質の低酸素性損傷を防止することが研究から明らかにされている(非特許文献4)。したがって、それらは、白質路の損傷が顕著である特定のタイプの脳卒中またはニューロン外傷を治療するための利点を提供することができる。
【0005】
臨床で使用されるNa+チャネルブロッカーの他の例は、リルゾールである。この薬剤は、ALS患者の一部で延命効果を有することが明らかにされ(非特許文献5)、その後、ALSの治療用としてFDAによる承認を受けた。上述したように臨床で使用されるほかに、カルバマゼピン、リドカイン、およびフェニトインは、三叉神経炎、糖尿病性神経障害、および他の形態の神経損傷などが原因で生じる神経障害性疼痛を治療するために時折使用されており(非特許文献6)、カルバマゼピンおよびラモトリジンは、躁鬱病を治療するために使用されてきた(非特許文献7)。さらに、慢性疼痛と耳鳴との間のいくつかの類似性に基づいて(非特許文献8、9)、耳鳴は慢性疼痛感覚の一形態とみなされるべきであるとの提案がなされている(非特許文献10)。確かに、リグノカインおよびカルバマゼピンは、耳鳴の治療に効きめのあることが明らかにされている(非特許文献11、12)。
【0006】
電位感受性Na+チャネル上には神経毒に特異的に結合する部位が少なくとも5〜6ヶ所存在することが確証されている(非特許文献13)。作用がNa+チャネルにより媒介される治療用の抗不整脈剤、抗痙攣剤、および局所麻酔剤は、Na+チャネルの細胞内面と相互作用して神経毒受容体部位2との相互作用をアロステリックに阻害することにより、それらの作用を行うことが、研究によりさらに明らかにされている(非特許文献14)。
【0007】
ナトリウムチャネルの強力なブロッカーであり、そのため、疼痛をはじめとするさまざまな中枢神経系症状を治療するために有用である新規な化合物に対する必要性が当技術分野に存在する。
【非特許文献1】Catterall, W.A., Trends Pharmacol. Sci. 8:57-65(1987)
【非特許文献2】Graham et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 269:854-859 (1994)
【非特許文献3】Brown et al., British J. Pharmacol. 115:1425-1432 (1995)
【非特許文献4】Stys et al., J. Neurosci. 12:430-439 (1992)
【非特許文献5】Bensimm et al., New Engl. J. Med. 330:585-591 (1994)
【非特許文献6】Taylor and Meldrum, Trends Pharmacol. Sci. 16:309-316 (1995)
【非特許文献7】Denicott et al., J. Clin. Psychiatry 55:70-76 (1994)
【非特許文献8】Moller, A. R. Am. J. Otol. 18:577-585 (1997)
【非特許文献9】Tonndorf, J. Hear. Res. 28:271-275 (1987)
【非特許文献10】Simpson, J. J. and Davies, E. W. Tips. 20:12-18 (1999)
【非特許文献11】Majumdar, B. et al., Clin. Otolaryngol. 8:175-180 (1983)
【非特許文献12】Donaldson, I. Laryngol. Otol. 95:947-951 (1981)
【非特許文献13】Catterall,W. A., Science 242:50-61 (1988)
【非特許文献14】Catterall, W.A., Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 10:15-43 (1980)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、式Iで示される新規なアリール置換ベンゾイミダゾール類に関する。
【0009】
本発明はまた、式Iで示されるアリール置換ベンゾイミダゾール類がナトリウム(Na+)チャネルのブロッカーとして作用するという発見に関する。
【0010】
本発明の他の態様は、ナトリウムチャネルのブロッカーとしての新規な式Iで示される化合物の使用に関する。
【0011】
本発明はまた、ナトリウムチャネルの過剰活性の影響を被る哺乳動物において、本明細書に記載の式Iで示される化合物を有効量投与することにより、ナトリウムチャネルの遮断に反応する障害を治療することに関する。
【0012】
本発明のさらなる態様は、全汎性および病巣性の虚血に続いて生じるニューロン損失を治療、予防、または改善する方法、急性および慢性疼痛ならびに神経障害性疼痛をはじめとする疼痛を治療、予防、または改善する方法、痙攣および神経変性症状を治療、予防、または改善する方法、躁鬱病を治療、予防、または改善する方法、局所麻酔剤および抗不整脈剤として使用する方法、ならびに耳鳴を治療する方法を提供することであり、これらの方法は、そのような処置または使用の必要な哺乳動物に式Iで示される化合物を投与することにより行われる。
【0013】
このほかに、本発明の態様は、ナトリウムイオンチャネルの遮断に反応する障害の治療に有用である医薬組成物を提供することであり、この医薬組成物は、1種以上の製薬上許容される担体または希釈剤との混合物の状態で有効量の式Iで示される化合物を含有する。
【0014】
本発明の他の実施形態および利点は、部分的には、以下に記載の説明中に明示され、部分的には、当該説明から自明であり、または、本発明を実施することにより知ることができる。本発明の実施形態および利点は、特に添付の特許請求の範囲に示された要素および組合せを利用することにより理解され達成される。
【0015】
当然のことながら、以上の一般的な説明および以下の詳細な説明は、いずれも、例示的かつ解説的なものにすぎず、特許請求された本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の新規な化合物は、式I
【化18】

で示されるアリール置換ベンゾイミダゾール類またはそれらの製薬上許容される塩若しくは溶媒和物である。
ここで、上記式中、
1は、
(i)
【化19】

(ここで、
Yは、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、そして
3およびR4は、同一であるか若しくは異なっていて、水素、アルキル、若しくはアリールから選択されるか、あるいはR3およびR4は、それらが結合されている窒素と一緒になって、4個若しくは5個の炭素原子を有する環を形成し、この環は、場合により、酸素およびNR5(ここで、R5は水素若しくはアルキルである)から独立して選択される1個若しくは2個の追加のヘテロ原子を含有していてもよいか、またはこの環は、場合により、アルキル部分若しくはアリール部分で置換されていてもよい)
(ii)ピリジルアルキル、および
(iii)ピペリジン−4−イルアルキル(場合により、アルキル、アリール、またはアラルキルにより置換されていてもよい)、
よりなる群から選択され、
2は、
(i)場合により置換されていてもよいフェノキシフェニル、
(ii)場合により置換されていてもよいベンジルオキシフェニル、
(iii)場合により置換されていてもよいフェニルチオフェニル、
(iv)場合により置換されていてもよいベンジルチオフェニル、
(v)場合により置換されていてもよいフェニルアミノフェニル、
(vi)場合により置換されていてもよいベンジルアミノフェニル、
(vii)
【化20】

(ここで、R6およびR7は、独立して、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、またはハロアルキルであり、そしてpおよびqは、0〜4の整数である)
(viii)
【化21】

(ここで、R8は、水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシである)
(ix)
【化22】

(ここで、R9は、水素またはアルキルである)、および
(x)ナフチル、
よりなる群から選択され、
10は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、およびアルコキシアルキルから選択され、R10のアルキル部分はいずれも、場合により、1つ以上のハロゲンまたはヒドロキシにより置換されていてもよく、そして
nは、0〜4の整数であり、nが0であるときは、R10は不在であり、ベンゾイミダゾール化合物のベンゼン環は、それに結合された4個の水素原子を有し、R10が存在するときは、R10は、ベンゾイミダゾール化合物のベンゼン環上の1個以上の利用可能な水素原子と置き換わる。
【0017】
好ましい式Iで示される化合物は、R2が、フェノキシフェニルまたはベンジルオキシフェニルであり、ここで、フェノキシ部分またはベンジルオキシ部分のフェニル基は、場合により、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、またはハロアルキルで置換されていてもよい。好ましい置換基としては、C14アルキル、C14アルコキシ、ハロゲン、およびC14ハロアルキルよりなる群から独立して選択される1〜3個、好ましくは1または2個の置換基が挙げられる。本発明のこの実施形態のR2の好適例としては、(3−フェノキシ)フェニル、(4−フェノキシ)フェニル、(3−ベンジルオキシ)フェニル、または(4−ベンジルオキシ)フェニルが挙げられ、これらはいずれも、場合により、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、フルオロメチル、およびトリフルオルメチル(trifluormethyl)よりなる群から独立して選択される1、2、または3個の基により置換されていてもよい。
【0018】
好ましい式Iで示される化合物は、R2が、場合により置換されていてもよいフェノキシフェニルまたは場合により置換されていてもよいベンジルオキシフェニルであり、R3およびR4が、それらが結合されている窒素と一緒になって、ピペリジニル基、モルホリニル基、またはピロリジニル基を形成し、かつYは、場合により置換されていてもよいC26アルキレン鎖である。
【0019】
また、好ましい式Iで示される化合物は、R2が、場合により置換されていてもよいフェノキシフェニルまたは場合により置換されていてもよいベンジルオキシフェニルであり、かつR3およびR4が、独立して、水素、アルキル、またはアリールであり、かつYは、場合により置換されていてもよいC26アルキレン鎖である。
【0020】
好ましい化合物は、式I中、R2が、
【化23】

であり、ここで、R6およびR7は、独立して、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、またはハロアルキルであり、そしてpおよびqは、独立して、0〜4、好ましくは、0、1、または2である。R6および/またはR7が存在するとき、これらの基は、それらが結合されているフェニル上の任意の利用可能な位置の水素原子と置き換わる。好ましくは、R6およびR7は、独立して、C14アルキル、C14アルコキシ、ハロゲン、またはC14ハロアルキルである。R6およびR7の有用例としては、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、フルオロメチル、およびトリフルオルメチル(trifluormethyl)が挙げられる。
【0021】
このほか、好ましい化合物は、式I中、R2が、
【化24】

であり、ここで、R8は、先に定義したとおりであり、好ましくは、水素またはC14アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルである。R8は、フェニル環上の任意の利用可能な位置の水素原子と置き換わる。
【0022】
このほか、好ましい化合物は、式I中、R2が、
【化25】

であり、ここで、R9は、先に定義したとおりであり、好ましくは、水素またはC14アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルである。
【0023】
また、好ましい化合物は、式I中、R2がナフタリルである。
【0024】
さらに、このほかに好ましい式Iで示される化合物は、R2が、フェノキシフェニルまたはベンジルオキシフェニルであり、R2は、フェノキシフェニルまたはベンジルオキシフェニルのフェニル成分の3位または4位でベンゾイミダゾールに結合される。
【0025】
また、好ましい化合物は、式I中、R1が、
【化26】

であり、ここで、R3およびR4は、先に定義したとおりである。
【0026】
さらに、このほかに好ましい式Iで示される化合物は、R1が、−Y−NR34であり、Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、かつR3およびR4が、それらが結合されている窒素と一緒になって、ピペリジニル基、モルホリニル基、またはピロリジニル基を形成する。
【0027】
他の好ましい式Iで示される化合物は、Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、かつR3およびR4は、同一であるか若しくは異なっていて、水素、C16アルキル、およびC610アリールから選択される。
【0028】
本発明の目的では、「アルキレン」という用語は、−(CH2m−という意味を有し、ここで、mは、1〜6、好ましくは2〜4の整数である。好適なアルキレン鎖としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、およびヘキシレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルキレン鎖もまた、場合により置換されていてもよい。
【0029】
このほかに好ましい式Iで示される化合物は、R1が、ピリジルアルキルである。
【0030】
また、好ましい式Iで示される化合物は、R1が、ピペリジン−4−イルアルキルであり、これは、場合により、C16アルキル、C610アリール、またはC610アル(C16)アルキルにより置換されていてもよい。
【0031】
「アルキル」という用語は、さらなる定義がない場合、線状若しくは分枝状のC110炭素鎖、好ましくはC16炭素鎖を意味する。好適なアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ペンチル基、ヘキシル基、およびオクチル基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
「場合により置換されていてもよい」という用語は、さらなる定義がない場合、1個以上の炭素結合水素が、ハロゲン、ハロ(C16)アルキル、アリール、ヘテロサイクル(heterocycle)、シクロアルキル、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、アリール(C16)アルキル、アリール(C26)アルケニル、アリール(C26)アルキニル、シクロアルキル(C16)アルキル、ヘテロシクロ(C16アルキル)、ヒドロキシ(C16)アルキル、アミノ(C16)アルキル、カルボキシ(C16)アルキル、アルキルオキシ(C16)アルキル、ニトロ、アミノ、ウレイド、シアノ、アシルアミノ、ヒドロキシ、チオール、アシルオキシ、アジド、アルコキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、およびC16アルキルチオールと置き換わることを意味する。好ましい「場合により置換されていてもよいアルキル」には、アリールおよびハロゲンが含まれる。
【0033】
「場合により置換されていてもよいアルキレン鎖」という用語は、さらなる定義がない場合、アルキレン水素が、1つ以上のアルキル基、アリール基、およびハロゲン原子と置き換わることを意味する。好ましい「場合により置換されていてもよいアルキレン鎖」には、アルキル基およびハロゲン原子、好ましくはアルキル基が含まれる。
【0034】
「アリール」という用語は、さらなる定義がない場合、C614単環式または多環式芳香族環系を意味する。好適な炭素環式アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラシル基、インデニル基、アズレニル基、ビフェニル基、ビフェニレニル基、およびフルオレニル基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に好ましい炭素環式アリール基は、フェニルおよびナフチルである。
【0035】
本発明の方法で採用できる例示的な化合物としては、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(4−フェノキシフェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−(4−tert−ブチルフェノキシ)フェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−(3,4−ジクロロフェノキシ)フェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(2,2−ジフェニルエテニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−フェノキシフェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(N−エチル−3−カルバゾリル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−ベンジルオキシフェニル)ベンゾイミダゾール、および
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(4−(4−フルオロフェノキシ)フェニル)ベンゾイミダゾール、
ならびにそれらの製薬上許容される塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
特に好ましい化合物は、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(4−フェノキシフェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−(4−tert−ブチルフェノキシ)フェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−(3,4−ジクロロフェノキシ)フェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(2,2−ジフェニルエテニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−フェノキシフェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−ベンジルオキシフェニル)ベンゾイミダゾール、および
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(4−(4−フルオロフェノキシ)フェニル)ベンゾイミダゾール、
ならびにそれらの製薬上許容される塩から選ばれる。
【0037】
本明細書に開示されている本発明には、開示化合物の製薬上許容されるその塩がすべて包含されるものとみなされる。製薬上許容される塩としては、金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩など;アルカリ土類金属塩(alkaline earth metals)、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩など;有機アミン塩、例えばトリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩など;無機酸塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩など;有機酸塩、例えばギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩など;スルホン酸塩、例えばメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩など;アミノ酸塩、例えばアルギン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩(asparginate)、グルタミン酸塩などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本明細書に開示されている本発明には、開示化合物のプロドラッグも包含されるものとみなされる。プロドラッグは、生体内(in vivo)で活性親薬剤を放出する共有結合された担体と考えられる。
【0039】
本明細書に開示されている本発明には、開示化合物のin vivoでの代謝産物も包含されるものとみなされる。そのような産物は、例えば、投与された化合物が、主に酵素過程により、酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などを受けた結果として生じ得る。したがって、本発明には、本発明の化合物をその代謝産物が得られる十分な時間にわたり哺乳動物に接触させることを含む方法により産生される化合物が包含される。そのような産物は、典型的には、放射能標識化された本発明の化合物を調製し、それを、ラット、マウス、モルモット、サルのような動物またはヒトに検出可能な用量で非経口的に投与し、十分な時間をかけて代謝させ、そして尿、血液、または他の生体サンプルからその変換産物を単離することにより同定される。
【0040】
本明細書に開示されている本発明には、異なる原子質量または質量数を有する原子と置き換えられた原子を1個以上有することにより同位体標識化された開示化合物も包含されるものとみなされる。開示化合物に組み込むことのできる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体、例えば、それぞれ、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clが挙げられる。
【0041】
本明細書に開示されている化合物のいくつかは、1つ以上の不斉中心を含有する可能性があり、したがって、エナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性形を形成し得る。本発明には、そのような可能な形態すべて、さらにはそれらのラセミ形および分割形ならびにそれらの混合物も包含されるものとみなされる。本明細書に記載の化合物がオレフィン性二重結合または他の幾何不斉中心を含んでいる場合、別段の記載がないかぎり、EおよびZ幾何異性体の両方が包含されるものとする。同様に、互変異性体もすべて、本発明に包含されるものとする。
【0042】
本明細書中で使用する場合、「立体異性体」という用語は、空間内の原子の向きだけが異なる個々の分子のすべての異性体を表す包括的用語である。それは、エナンチオマーおよび互いに鏡像でない2つ以上のキラル中心を含む化合物異性体(ジアステレオマー)を包含する。
【0043】
「キラル中心」という用語は、4つの異なる基が結合されている炭素原子を意味する。
【0044】
「エナンチオマー」または「エナンチオマー的」という用語は、鏡像上に重ね合わせることのできない分子、したがって、光学活性な分子を意味する。エナンチオマーは、偏光面を一方向に回転させ、その鏡像体は、偏光面を反対方向に回転させる。
【0045】
「ラセミ体」という用語は、等量のエナンチオマーの混合物を意味し、これは、光学的に不活性である。
【0046】
「分割」という用語は、分子の2つのエナンチオマー形のうちの一方の分離または濃縮または枯渇を意味する。「エナンチオマー過剰」という表現は、あるエナンチオマーがその鏡像分子よりも高濃度で存在する混合物を意味する。
【0047】
式Iで示されるベンゾイミダゾール類は、当業者に周知の方法を用いて調製することができる。特に、本発明のベンゾイミダゾール類は、一般的には、
(a)第一級アミンを2−フルオロ−1−ニトロベンゼンと反応させてアミン置換ニトロベンゼンを生成させる工程と、
(b)(a)で得られた上記アミン置換ニトロベンゼンを水素および触媒の存在下で還元してアミン置換アニリンを生成させる工程と、
(c)ステップ(b)で得られた上記アミン置換アニリンをアルデヒドと反応させて式Iで示される置換ベンゾイミダゾールを生成させる工程と、
を含む方法から得られる。
【0048】
この方法では、ステップ(a)の第一級アミンは、
(i)
【化27】

(ここで、
Yは、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、そして
3およびR4は、同一であるか若しくは異なっていて、水素、アルキル、およびアリールよりなる群から選択されるか、あるいはR3およびR4は、それらが結合されている窒素と一緒になって、4個若しくは5個の炭素を有する環を形成し、この環は、場合により、酸素およびNR5(ここで、R5は水素若しくはアルキルである)から独立して選択される1個若しくは2個の追加のヘテロ原子を含有していてもよいか、またはこの環は、場合により、アルキル部分若しくはアリール部分で置換されていてもよい)、
(ii)ピリジルアルキルアミン、および
(iii)場合により置換されていてもよいピペリジン−4−イルアルキルアミン(ここで、場合により存在していてもよい置換基は、アルキル、アリール、またはアラルキルよりなる群から選択される)、
よりなる群から選択される。Y、R3、およびR4の好ましい例は先に記載したとおりである。
【0049】
このほか、この方法では、(c)のアルデヒドは、式:
【化28】

を有し、ここで、R2は、先に定義したとおりである。
【0050】
上記のステップ(a)および(b)の反応時間は、約14〜約17時間であり、一般的には、90%を超える収率が得られる。ステップ(c)の反応時間は、約45〜約50時間であり、約60〜約95%の生成物収率が得られる。
【0051】
ステップ(b)の還元は、一般的には約2〜約4気圧、好ましくは約3気圧の圧力下で行われる。
【0052】
本発明のベンゾイミダゾール類を生成させる一般的方法を、以下の反応スキームに示す。
【化29】

【0053】
本発明はまた、ナトリウムチャネルの遮断に反応する障害を患う哺乳動物においてナトリウムチャネルの遮断に反応する障害を治療する方法に関する。本発明のベンゾイミダゾール化合物を用いることより、ヒトまたは伴侶動物(例えば、イヌおよびネコ)を治療することができる。そのような障害の治療に使用するための本発明のベンゾイミダゾール類の特定の好ましい実施形態は、式Iに対して先に定義したように表現される。
【0054】
本発明の化合物のナトリウムチャネルブロッカーとしての活性は、分離された海馬ニューロンにおける電気生理学的アッセイにより評価される。また、ニューロンの電位依存性ナトリウムチャネルへのこれらの化合物の結合は、ラット前脳膜および[3H]BTX-Bを用いてアッセイすることができる。
【0055】
ナトリウムチャネルは、種々の組織で発現される大きな膜貫通タンパク質である。それらは、電位感受性チャネルであり、筋肉、神経、および心臓の細胞をはじめとする多くの興奮性細胞において、活動電位に関連する脱分極に反応してNa+透過性を急速に増大させる役割を担う。
【0056】
本発明の一態様は、本明細書に記載の化合物が特異的Na+チャネルブロッカーとして働く作用機序の発見である。この機序の発見に基づいて、これらの化合物は、病巣性または全汎性の虚血によるニューロン損失を治療または予防するのに、ならびにALS、抑鬱、および癲癇をはじめとする神経変性障害を治療または予防するのに、有用であると考えられる。また、それらは、神経障害性疼痛、外科的疼痛、慢性疼痛、および耳鳴を治療、予防、または改善するのに効果を発揮すると予想される。化合物はまた、抗不整脈剤、麻酔剤、および抗躁鬱剤として有用であると予想される。
【0057】
本発明は、電位感受性ナトリウムチャネルのブロッカーである式Iで示される化合物に関する。本発明によれば、好ましいナトリウムチャネルブロッキング特性を有するそれらの化合物は、本明細書に記載の電気生理学的アッセイにおいて約100μM以下のIC50を呈する。好ましくは、本発明の化合物は、10μM以下のIC50を呈する。最も好ましくは、本発明の化合物は、約1.0μM以下のIC50を呈する。本発明の化合物のNa+チャネルブロッキング活性は、以下の結合アッセイおよび電気生理学的アッセイにより試験することができる。
【0058】
生体外(in vitro)結合アッセイ:
Na+チャネルの部位1(site 1)または部位2(site 2)のいずれかをモジュレートする本発明の化合物の能力を、それぞれ、Yasushi, J. Biol. Chem. 261:6149-6152 (1986)およびCreveling, Mol. Pharmacol. 23:350-358 (1983)に完全に記載されている手順に従って決定した。ラット前脳膜をNa+チャネルタンパク質源として使用する。部位1および部位2に対する放射性リガンドとして、それぞれ、[3H]サキシトキシンおよび[3H]バトラコトキシンを使用し、これらのリガンドと共に、130μM塩化コリン中、37℃で60分間インキュベートすることにより、結合アッセイを行う。
【0059】
in vivo薬理学:
静脈内注射、経口注射、または腹腔内注射の後の本発明の化合物のin vivo抗痙攣活性は、最大電気ショック発作試験(MES)をはじめとするマウスにおけるいくつかの抗痙攣試験を用いて、試験することができる。Ugo Basile ECT装置(Model 7801)を用いて電流(50mA、60パルス/秒、パルス幅0.8ミリ秒、持続時間1秒、直流、マウス;99mA、125パルス/秒、パルス幅0.8ミリ秒、持続時間2秒、直流、ラット)を印加することにより、体重15〜20gの雄NSAマウスおよび体重200〜225gの雄Sprague-Dawleyラットで最大電気ショック発作を引き起こす。背側の弛緩した皮膚をつかむことによりマウスを拘束し、生理食塩水被覆角膜電極を2つの角膜に軽くあてて保持した。実験台上でラットを自由に運動させ、耳クリップ電極を使用する。電流を印加し、30秒間までの時間にわたり動物の強直性後肢伸筋反応の発生を観察する。強直発作は、生体面から90度を超える後肢伸長として定義される。素量的に結果を処理する。
【0060】
化合物の抗侵害受容活性は、Hunskaar, S., O. B. Fasmer, and K. Hole, J. Neurosci. Methods 14:69-76 (1985)に記載のホルマリンモデルで試験することができる。雄Swiss Webster NIHマウス(20〜30g;ハーラン(Harlan)、カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego, CA))をすべての実験で使用する。実験日に餌を取り去る。マウスをプレキシガラスジャーに少なくとも1時間入れて、環境に順応させる。順応時間の後、マウスの体重を測定し、腹腔内投与若しくは経口投与される対象化合物または適切な体積の媒体(10%Tween-80)のいずれかを与える。腹腔内投与の15分後および経口投与の30分後、マウスの右後肢の背側にホルマリン(生理食塩水中の5%ホルムアルデヒド溶液20μL)を注射した。マウスをプレキシガラスジャーに移して監視し、注射された肢のリッキングまたはバイティングに費やす時間を調べる。ホルマリン注射後1時間にわたり5分間隔でリッキング時間およびバイティング時間を記録する。実験はすべて、盲検方式で明周期の間に行う。リッキング/バイティングとしてホルマリン反応の初期を0〜5分で測定し、後期を15〜50分で測定する。媒体処理群と薬剤処理群との差を一元置換分散分析(ANOVA)により分析する。P値<0.05を有意であるとみなす。急性期および第二期のホルマリン誘発肢リッキング行動のブロッキング活性があれば、化合物は急性および慢性の疼痛に効きめがあるとみなされる。
【0061】
慢性疼痛を治療する化合物の潜在能力(抗異痛活性および抗痛覚過敏活性)は、末梢神経障害のChungモデルで試験することができる。体重200〜225gの雄Sprague-Dawleyラットをハロタン(70%空気と30%酸素との混合物中に1〜3%)で麻酔し、恒温ブランケットを用いて麻酔時の体温をコントロールする。次に、L5およびL6レベルで2cmの背側正中切開を行い、傍脊椎(para-vertibral)筋群を両側に後退させる。次に、L5およびL6脊髄神経を露出させ、分離し、6-0絹縫合糸でしっかりと結紮する。偽手術を行ってネガティブコントロールとして対側L5およびL6脊髄神経を露出させる。
【0062】
触覚異痛:ワイヤーメッシュフロアーを備えた高架式試験籠にラットを移し、5〜10分間馴化させる。一連のSemmes-Weinsteinモノフィラメントを後肢の足底面に適用し、動物の屈筋閾値を決定する。使用される第1のフィラメントは、9.1g(対数値0.96)の座屈重量を有し、屈筋反応を誘発するかを調べるために5回適用される。動物が屈筋反応を示す場合、一連のフィラメントのうちの次に軽いフィラメントを5回適用して、反応を誘発することができるかを調べる。続いてより小さいフィラメントを用いて反応がなくなるまでこの手順を反復し、反応を誘発する最も軽いフィラメントを記録する。動物が初回の9.1gフィラメントで屈筋反応を示さない場合、フィラメントが反応を誘発するまで続いて重量増加させたフィラメントを適用し、その後、このフィラメントを記録する。各動物に対して、すべての時間点で3回の測定を行い、平均屈筋閾値の測定値を求める。薬剤の投与前ならびに投与の1、2、4、および24時間後に、試験を行う。触覚異痛試験および機械的痛覚過敏試験を併行して行った。
【0063】
機械的痛覚過敏:ワイヤーメッシュフロアーを備えた高架式試験籠にラットを移し、5〜10分間馴化させる。先端がわずかに丸みを帯びた針を後肢の足底面に接触させ、皮膚を突き刺すことなく皮膚陥凹を引き起こす。肢をコントロールすべく針を適用すると、典型的には、短かすぎてストップウォッチでは計れないほど迅速なフリンチング反応を起こし、任意に0.5秒間の屈筋時間を示す。神経障害を患う動物の手術した側の肢は、先端が丸みを帯びた針に対して、際立った屈筋反応を呈する。最大屈筋時間の10秒をカットオフ時間として使用する。適用の間に5分間の回復時間を設けて各時間点で3回ずつ動物の両方の肢の屈筋時間を測定する。各時間点に対して3回の測定値を用いて平均屈筋時間を求める。触覚異痛試験および機械的痛覚過敏試験は、併行して行う。
【0064】
Buchan et al., (Stroke, Suppl. 148-152 (1993))およびSheardown et al., (Eur. J. Pharmacol. 236:347-353 (1993))およびGraham et al., (J. Pharmacol. Exp. Therap. 276:1-4 (1996))に記載されている手順に従って、ラットまたはアレチネズミで惹起される病巣性および全汎性の虚血の後における化合物のニューロン保護活性を試験することができる。
【0065】
Wrathall et al., (Exp. Neurology 137:119-126 (1996))およびIwasaki et al., (J. Neuro Sci. 134:21-25 (1995))に記載されている手順に従って、外傷性脊髄損傷の後における化合物のニューロン保護活性を試験することができる。
【0066】
電気生理学的アッセイ:
電気生理学的アッセイを用いて、ツメガエル卵母細胞で発現されるrBIIa/ベータ1ナトリウムチャネルに対する本発明の化合物の効力を測定した。
【0067】
クローン化ラット脳タイプIIa(rBIIa)およびベータ1(β1)をコードするcDNAの調製: ラット脳ベータ1サブユニットをコードするcDNAクローンを常法により自社内でクローン化し、常法によりmRNAを調製する。rBIIaをコードするmRNAは、Dr.A.Golden(UC Irvine)により提供されたものである。mRNAを希釈し、注射時まで1μLずつ等分して−80℃で保存する。
【0068】
卵母細胞の調製:既定の手順(Woodward, R. M. , et al., Mol. Pharmacol. 41:89-103 (1992))に従って、0.15%の3−アミノ安息香酸エチルエステル(MS-222)を用いて成熟雌Xenopus laevisを麻酔する(20〜40分間)。
【0069】
2〜6つの卵巣葉を外科的に摘出する。発生段階V〜VIの卵母細胞を卵巣から切開し、包囲卵巣組織により卵母細胞を取り囲んだままの状態にする。手術日、コラゲナーゼ(0.5mg/mL Sigma Type IまたはBoehringer Mannheim Type A、0.5〜1時間)で処理することにより、卵母細胞の脱濾胞を行う。処理された卵母細胞をボルテックスして上皮を除去し、繰り返し洗浄し、そして88mM NaCl、1mM KC1、0.41mM CaCl2、0.33mM Ca(NO32、0.82mM MgSO4、2.4mM NaHCO3、5mM HEPESを含有するBarth培地(0.1 mg/mL 硫酸ゲンタマイシンでpH7.4に調整)中に貯蔵した。
【0070】
卵母細胞へのマイクロインジェクション:Nanoject injection system(ペンシルバニア州ブルームオールのドリュモンド・サイエンティフック社(Drummond Scientific Co., Broomall, PA))を用いて、脱濾胞卵母細胞にマイクロインジェクションする。目詰まりを最小限に抑えるために、インジェクションピペットを傾斜させる。インジェクションピペットの先端直径は、15〜35μmである。rBIIaとベータ1のそれぞれに対するcRNAを1:10の比で含む約50nLのcRNA混合物を卵母細胞にマイクロインジェクションする。
【0071】
電気生理学:115mM NaCl、2mM KCl、1.8mM CaCl2、5mM HEPES、pH7.4を含有するカエルリンゲル溶液中で、膜電流応答を記録する。注射後1〜7日間にわたり従来型二電極電圧クランプ(Dagan TEV-200)を用いて電気的記録を行う。記録チャンバーは、簡単な重力供給フロースルーチャンバー(アスピレーターの調整に依存して体積100〜500mL)である。卵母細胞を記録チャンバーに入れ、電極を固定し、そしてカエルリンゲル溶液を連続的に灌流させる(5〜15mL min-1)。試験化合物を浴灌流により適用する。
【0072】
ナトリウムチャネル電流を誘起するための電圧プロトコール:全卵母細胞クランプの標準保持電位は、−120mVである。−60mVから始めて増分10mVで+50mVまで40ミリ秒の脱分極ステップを行うことにより、標準的電流−電圧関係を導く。ピーク電流を脱分極電圧ステップ後の最大負電流として測定する。最大電流応答の電圧を記録し、次の電圧プロトコールに使用する。
【0073】
この目的は、ニューロンのナトリウムチャネルの状態依存性修飾要因である化合物を見いだすことである。好ましくは、化合物は、チャネルの休止/閉状態に対しては低親和性を有するが、不活性化状態に対しては高親和性を有する。次の電圧プロトコールを用いて、不活性化状態に対する化合物の親和性を測定する。卵母細胞を−120mVの保持電位に保つ。この膜電圧では、チャネルのほぼすべてが閉状態にある。次に、最大電流が誘起される電圧まで、4秒間の脱分極を行う。この脱分極の終了時、ほぼすべてのチャネルが不活性化状態にある。次に、不活性化状態からいくつかのチャネルを除去するために、10ミリ秒間の過分極ステップを行う。この長時間脱分極の後、最終脱分極試験パルスを用いてナトリウム電流をアッセイする(以下の分析を参照されたい)。試験化合物の適用前および適用後、この試験パルスでナトリウム電流を測定する。PCLAMP 8.0ソフトウェアを用いてデータを取得し、CLAMPFITソフトウェアを用いて分析する(アクソンインストゥルメンツ(Axon instruments))。
【0074】
データ解析:アンタゴニストの見掛け阻害定数(Ki値)は、次式(Cheng-Prusoff式の一般化形式)(Leff, P. and I. G. Dougall, TiPS 14:110-112 (1993))を用いる単点阻害データから決定される。
i=(FR/1−FR)×[薬剤] 式1
【0075】
上記式中、FRは応答率であり、薬剤の適用前に最終脱分極試験パルスから誘起されたナトリウム電流を、薬剤の存在下で測定されたナトリウム電流で割った値として定義される。[薬剤]は、使用した薬剤の濃度である。
【0076】
薬剤:最初に、DMSO中、2〜10mMの濃度で薬剤を準備する。次に、希釈を行って、化合物の効力に応じて0.3μM〜10mMの範囲にわたる一連のDMSOストックを作製する。リンゲル液中にストックを1000〜3000倍希釈することにより、使用液を作製する。これらの希釈度において、DMSO単独では、膜電流応答に及ぼす測定可能な影響は、ほとんどまたはまったくみられない。薬剤のDMSOストックは、4℃で暗所に保存する。薬剤のリンゲル溶液は、各使用日ごとに新たなものを調製する。
【0077】
本発明の範囲内にある組成物には、本発明の化合物がその所期の目的を達成するのに有効な量で含まれている組成物がすべて包含される。個々の要求はさまざまであるが、各成分の有効量の最適範囲の決定は、当該技術の範囲内にある。典型的には、癲癇、神経変性疾患、麻酔、不整脈、躁鬱病、および慢性疼痛の場合、治療される哺乳動物の体重あたり1日につき、0.0025〜50mg/kgの用量の化合物または等価量の製薬上許容されるその塩を、哺乳動物(例えば、ヒト)に経口投与することができる。筋肉内注射の場合、用量は、一般的には、経口用量の約半分である。
【0078】
全汎性および病巣性の虚血、脳および脊髄の損傷、酸素圧低下、低血糖、癲癇状態、ならびに手術におけるニューロン損失を治療または予防する方法では、約0.025〜約10mg/kgの用量で静脈内注射により化合物を投与することができる。
【0079】
単位経口用量は、約0.01〜約50mg、好ましくは約0.1〜約10mgの化合物を含むことができる。単位用量は、1つ以上の錠剤(それぞれ、約0.1〜約10mg、便利には約0.25〜50mgの化合物またはその溶媒和物を含有する)として1日1回以上投与することができる。
【0080】
化合物を化学物質のままの状態で投与することに加えて、本発明の化合物は、賦形剤などの好適な製薬上許容される担体と、製薬上使用可能な調製物に化合物を加工するのを容易にする助剤と、を含有する医薬調製物の一部分として投与することができる。好ましくは、調製物には、特に、経口投与が可能でありかつ好ましい投与形態に使用可能である調製物(例えば、錠剤、糖衣剤、およびカプセル剤)、ならびに経直腸的に投与可能である調製物(例えば、坐剤)、さらには注射によりまたは経口的に投与される好適な溶液剤には、賦形剤と共に、約0.01〜99パーセント、好ましくは約0.25〜75パーセントの活性化合物(複数種も可)が含まれる。
【0081】
このほかに本発明の範囲内に包含されるのは、本発明の化合物の無毒の製薬上許容される塩である。酸付加塩は、本発明の特定のベンゾイミダゾール化合物の溶液と製薬上許容される無毒の酸の溶液とを混合することにより、形成される。そのような酸としては、例えば、酢酸、安息香酸、炭酸、クエン酸、ジクロロ酢酸、ドデシルスルホン酸、2−エチルコハク酸、フマル酸、グルビオン酸、グルコン酸、臭化水素酸、塩酸、3−ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、レブリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、メタン硫酸(methanesulfic acid)、メタンスルホン酸、硝酸、シュウ酸、リン酸、プロピオン酸、硫酸、スルファミド酸、サッカリン酸、コハク酸、酒石酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。塩基性アミン塩は、本発明のベンゾイミダゾール化合物の溶液と以上に列挙したような製薬上許容される無毒の酸(好ましくは、塩酸または炭酸)の溶液とを混合することにより、形成される。
【0082】
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物の有益な作用を享受し得る任意の動物に投与することができる。そのような動物のうちで最も重要なのは、哺乳動物、例えば、ヒトおよび伴侶動物(例えば、イヌおよびネコ)であるが、本発明はそのように限定されない。
【0083】
本発明の医薬組成物は、それが意図する目的を達成する任意の手段により投与することができる。例えば、非経口経路、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経真皮、または頬腔内の経路による投与が可能である。代替的または併用的に、経口経路による投与が可能である。投与量は、レシピエントの年齢、健康状態、および体重、併用するのであればその併用療法の種類、治療の頻度、ならびに所望の作用の性質に依存する。
【0084】
本発明の医薬調製物は、周知の方法、例えば、従来の混合法、造粒法、糖衣化法、溶解法、または凍結乾燥法を利用することにより、製造される。このように、経口用途の医薬調製物は、活性化合物と固体賦形剤とを組み合わせ、場合により、得られた混合物を粉砕し、所望または所要であれば好適な助剤を添加した後、錠剤または糖衣剤コアーが得られるように顆粒の混合物を加工することにより、得ることができる。
【0085】
好適な賦形剤は、特に、充填剤、例えば、糖類(例えば、ラクトース若しくはスクロース、マンニトール若しくはソルビトール)、セルロース調製物、および/またはリン酸カルシウム類(例えば、リン酸三カルシウム若しくはリン酸水素カルシウム)、さらには結合剤、例えば、デンプン糊(例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプンを使用)、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドンである。所望であれば、上記のデンプン、さらにはカルボキシメチル−デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸若しくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)のような崩壊剤を添加することができる。助剤は、特に、流動調整剤および滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸若しくはそれらの塩(具体的には、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウム)、および/またはポリエチレングリコールである。糖衣剤コアーには、必要であれば、胃液に対して耐性のある好適なコーティングが施される。この目的のために、濃厚なサッカライド溶液を使用することができる。この溶液には、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに好適な有機溶媒または溶媒混合物が含まれていてもよい。胃液に対して耐性のあるコーティングを得るために、アセチルセルロースフタレートまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートのような好適なセルロース調製物の溶液が使用される。錠剤または糖衣剤コーティングには、例えば、識別のために、または活性化合物用量の組合せを特性づけるために、色素または顔料を添加することができる。
【0086】
経口的に使用可能な他の医薬調製物としては、ゼラチンで調製されたプッシュフィットカプセル、ならびに、同様にソフトな、ゼラチンと可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)で調製されたシールカプセルが挙げられる。プッシュフィットカプセルは、充填剤(例えば、ラクトース)、結合剤(例えば、デンプン)、および/または滑沢剤(例えば、タルク若しくはステアリン酸マグネシウム)、ならびに場合により安定化剤と混合し得る顆粒の形態で活性化合物を含有することができる。ソフトカプセルでは、活性化合物は、好ましくは、適当な液体(例えば、脂肪油または流動パラフィン)中に溶解または懸濁される。さらに、安定化剤を添加することができる。
【0087】
経直腸的に使用できる可能性のある医薬調製物としては、例えば、1種以上の活性化合物と坐剤基剤との組合せよりなる坐剤が挙げられる。好適な坐剤基剤は、例えば、天然若しくは合成のトリグリセリドまたはパラフィン炭化水素である。さらに、活性化合物と基剤との組合せよりなるゼラチン経直腸カプセル剤を使用することも可能である。可能な基剤材料としては、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、またはパラフィン炭化水素が挙げられる。
【0088】
非経口投与に供される好適な製剤としては、水溶性形態の活性化合物(例えば、水溶性塩)の水溶液およびアルカリ性溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁液を適切な油性注射懸濁液として投与することもできる。好適な親油性溶媒または媒体としては、脂肪油(例えば、ゴマ油)、または合成脂肪酸エステル(例えば、エチルオレエート)、またはトリグリセリド、またはポリエチレングリコール-400が挙げられる(これらの化合物は、PEG-400に可溶である)。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増大させる物質を含有することができる。そのような物質としては、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、および/またはデキストランが挙げられる。場合により、懸濁液は、安定化剤を含有することもできる。
【0089】
以下の実施例は、例示的なものであり、本発明の方法および組成物を限定するものではない。臨床療法で通常遭遇するさまざまな条件およびパラメータの他の好適な変更形態および適応形態で当業者に自明なものは、本発明の目的および範囲に包含される。
【実施例1】
【0090】
2-ニトロフェニル-アミノエチルピペリジン (1):
DMF(250mL)中の1−(2−アミノエチル)ピペリジン(10.0g、78.0mmol)および2−フルオロ−1−ニトロベンゼン(22.0g、156.0mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(12.5mL)を添加し、混合物を室温で15時間攪拌した。反応混合物をCHCl3と水との混合物中に注いだ。水層をCHCl3で抽出し、合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、脱水し(Na2SO4)、そして蒸発させ、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製し、帯黄色の固体として「1」(17.6g、91%)を得た。
【0091】
N-(2-ピペリジン-1-イル-エチル)-ベンゼン-1,2-ジアミン (2):
MeOH(75mL)中の「1」(1.30g、5.21mmol)の溶液に、10% Pd−C(0.130g)を添加した。水素雰囲気下、室温および3気圧の圧力で、混合物を16時間攪拌した。触媒を濾別し、MeOHで洗浄した。溶出液を真空中で濃縮させ、淡帯黄色の油として純度>95%の粗生成物「2」(1.20g)を得た。さらなる精製を行うことなく粗生成物「2」を次のステップに使用した。
【0092】
2-置換-1-(2-ピペリジン-1-イル-エチル)-1H-ベンゾイミダゾール (3):
ニトロベンゼン(2.0mL)中の上記の粗製物「2」(0.150g、0.685mmol)の溶液に適切なアルデヒド(1.370mmol)を添加し、混合物を100℃で48時間攪拌した。室温まで冷却させた後、混合物をシリカゲルカラム上に直接注ぎ、グラジエント溶出(100%ヘキサン、90%ヘキサン/エチルアセテート→100%エチルアセテート)により精製し、帯黄色の固体として収率60〜85%で「3」を得た。回収した生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0093】
【表1】

【0094】
化合物1〜化合物3a〜iのそれぞれの物理的データを以下の表2に示す。
【0095】
【表2】

【0096】
先に述べた電気生理学的アッセイにより、本発明の化合物をアッセイした。化合物3a〜3iの電気生理学的アッセイから得られたKi値は、180〜1790nMの範囲であった。これらの化合物のKi値から、本発明の化合物がナトリウムチャネルの強力なブロッカーであることが実証される。
【実施例2】
【0097】
錠剤の調製
それぞれ25.0、50.0、および100.0mgの本発明の化合物(「活性化合物」)を含有する錠剤を、以下に示されるように調製する。
【0098】
【表3】

【0099】
活性化合物、セルロース、および一部分のトウモロコシデンプンをすべて混合し、10%トウモロコシデンプンペーストに顆粒化する。得られた顆粒を篩い分け、乾燥させ、そして残りのトウモロコシデンプンおよびステアリン酸マグネシウムとブレンドする。次に、得られた顆粒を圧縮し、1錠あたりそれぞれ25.0、50.0、および100.0mgの活性成分を含有する錠剤にした。
【実施例3】
【0100】
静脈注射用溶液調製物
本発明の化合物(「活性化合物」)の静脈注射用製剤を、以下のように調製する。
【表4】

【0101】
上記の量を利用して、注射用水(USP, United States Pharmacopeial Convention, Inc., Rockville, Maryland (1994)により発行された1995年版のUnited States Pharmacopeia/National Formularyの1636頁を参照)中に予め調製された塩化ナトリウム、クエン酸及びクエン酸ナトリウムの溶液に、室温で活性化合物を溶解させる。
【0102】
以上で本発明について十分に説明したので、当業者であれば、本発明の範囲およびそのいずれの実施形態にも影響を及ぼすことなく、広範かつ等価な範囲内の条件、処方、および他のパラメータを用いて本発明を実施し得ることは理解されよう。
【0103】
本明細事項を考慮に入れて本明細書に開示されている本発明を実施すれば、本発明の他の実施形態が当業者に自明なものとなろう。本明細事項および実施例は、単に例示的なものとみなされるべきものであり、本発明の真の範囲および意図は、以下の特許請求の範囲により規定されるものとする。
【0104】
本明細書中に引用されている特許公報および刊行物はすべて、その全体が参照により本明細書に完全に組み入れられるものとする。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

を有する化合物またはその製薬上許容される塩若しくは溶媒和物であって、前記式中、
1は、
(i)
【化2】

(ここで、
Yは、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、そして
3およびR4は、同一であるか若しくは異なっていて、水素、アルキル、若しくはアリールから選択されるか、あるいはR3およびR4は、それらが結合されている窒素と一緒になって、4個若しくは5個の炭素原子を有する環を形成し、この環は、場合により、酸素およびNR5(ここで、R5は水素若しくはアルキルである)から独立して選択される1個若しくは2個の追加のヘテロ原子を含有していてもよいか、またはこの環は、場合により、アルキル部分若しくはアリール部分で置換されていてもよい)
(ii)ピリジルアルキル、および
(iii)ピペリジン−4−イルアルキル(場合により、アルキル、アリール、またはアラルキルにより置換されていてもよい)、
よりなる群から選択され、
2は、
(i)場合により置換されていてもよいフェノキシフェニル、
(ii)場合により置換されていてもよいベンジルオキシフェニル、
(iii)場合により置換されていてもよいフェニルチオフェニル、
(iv)場合により置換されていてもよいベンジルチオフェニル、
(v)場合により置換されていてもよいフェニルアミノフェニル、
(vi)場合により置換されていてもよいベンジルアミノフェニル、
(vii)
【化3】

(ここで、R6およびR7は、独立して、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、またはハロアルキルであり、そしてpおよびqは、0〜4の整数である)
(viii)
【化4】

(ここで、R8は、水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシである)
(ix)
【化5】

(ここで、R9は、水素またはアルキルである)、および
(x)ナフタリル、
よりなる群から選択され、
10は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、およびアルコキシアルキルから選択され、R10のアルキル部分はいずれも、場合により、1つ以上のハロゲンまたはヒドロキシにより置換されていてもよく、そして
nは、0〜4の整数であり、nが0であるときは、R10は不在であり、ベンゾイミダゾール化合物のベンゼン環は、それに結合された4個の水素原子を有し、R10が存在するときは、R10は、ベンゾイミダゾール化合物のベンゼン環上の1個以上の利用可能な水素原子と置き換わる、化合物。
【請求項2】
1が−Y−NR34でありかつYがエチレンまたはプロピレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
2が、場合により置換されていてもよいフェノキシフェニルまたは場合により置換されていてもよいベンジルオキシフェニルであり、R1が、−Y−NR34であり、R3およびR4が、それらが結合されている窒素と一緒になって、4個若しくは5個の炭素原子を有する環を形成し、かつYが、場合により置換されていてもよいC26アルキレン鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
3およびR4が、それらが結合されている窒素と一緒になって、5個の炭素原子を有する環を形成し、かつR1が、−Y−NR34であり、Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレン鎖である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
3およびR4が、それらが結合されている窒素と一緒になって、4個の炭素原子を有する環を形成し、かつR1が、−Y−NR34であり、Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレン鎖である、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
1が2−ピペリジン−1−イルエチルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
2が、場合により置換されていてもよいフェノキシフェニルまたは場合により置換されていてもよいベンジルオキシフェニルであり、R1が、−Y−NR34であり、R3およびR4が、独立して、水素、アルキル、またはアリールであり、かつYが、場合により置換されていてもよいC26アルキレン鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
2が、場合により置換されていてもよいフェノキシフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
2が、場合により置換されていてもよいベンジルオキシフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
2が、フェノキシフェニルまたはベンジルオキシフェニルであり、かつR2が、該フェノキシフェニルまたは該ベンジルオキシフェニルのフェニル成分の3位または4位でベンゾイミダゾールに結合されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
1が−Y−NR34であり、Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、かつR3およびR4が、それらが結合されている窒素と一緒になって、4個若しくは5個の炭素原子を有する環を形成する、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
1が−Y−NR34であり、Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、かつR3およびR4が、それらが結合されている窒素と一緒になって、4個若しくは5個の炭素原子を有する環を形成する、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
1が−Y−NR34であり、Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、かつR3およびR4が、同一であるか若しくは異なっていて、水素、アルキル、およびアリールから選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項14】
1が−Y−NR34であり、Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、かつR3およびR4が、同一であるか若しくは異なっていて、水素、アルキル、およびアリールから選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項15】
2が、
【化6】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
1が、
【化7】

である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、かつR3およびR4が、同一であるか若しくは異なっていて、水素、アルキル、およびアリールから選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、かつR3およびR4が、それらが結合されている窒素と一緒になって、4〜5個の炭素原子を有する環を形成し、この環が、アルキル部分またはアリール部分で場合により置換されていてもよい、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
前記環が、場合により、酸素およびNR5(ここで、R5は水素またはアルキルである)から独立して選択される1個若しくは2個の追加のヘテロ原子を含有していてもよい、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
2が、
【化8】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
1が、
【化9】

である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、かつR3およびR4が、同一であるか若しくは異なっていて、水素、アルキル、およびアリールから選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、かつR3およびR4が、それらが結合されている窒素と一緒になって、4〜5個の炭素原子を有する環を形成し、この環が、アルキル部分またはアリール部分で場合により置換されていてもよい、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
前記環が、場合により、酸素およびNR5(ここで、R5は水素またはアルキルである)から独立して選択される1個若しくは2個の追加のヘテロ原子を含有していてもよい、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
2が、
【化10】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
1が、
【化11】

である、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、かつR3およびR4が、同一であるか若しくは異なっていて、水素、アルキル、およびアリールから選択される、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、かつR3およびR4が、それらが結合されている窒素と一緒になって、4〜5個の炭素原子を有する環を形成し、この環が、アルキル部分またはアリール部分で場合により置換されていてもよい、請求項26に記載の化合物。
【請求項29】
前記環が、場合により、酸素およびNR5(ここで、R5は水素またはアルキルである)から独立して選択される1個若しくは2個の追加のヘテロ原子を含有していてもよい、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
2がナフタリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
1が、
【化12】

である、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、かつR3およびR4が、同一であるか若しくは異なっていて、水素、アルキル、およびアリールから選択される、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
Yが、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、かつR3およびR4が、それらが結合されている窒素と一緒になって、4〜5個の炭素原子を有する環を形成し、この環が、アルキル部分またはアリール部分で場合により置換されていてもよい、請求項31に記載の化合物。
【請求項34】
前記環が、場合により、酸素およびNR5(ここで、R5は水素またはアルキルである)から独立して選択される1個若しくは2個の追加のヘテロ原子を含有していてもよい、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(4−フェノキシフェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−(4−tert−ブチルフェノキシ)フェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−(3,4−ジクロロフェノキシ)フェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(2,2−ジフェニルエテニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−フェノキシフェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−(3−トリフルロメチルフェノキシ)フェニル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(N−エチル−3−カルバゾリル)ベンゾイミダゾール、
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(3−ベンジルオキシフェニル)ベンゾイミダゾール、および
3−(2−ピペリジニルエチル)−2−(4−(4−フルオロフェノキシ)フェニル)ベンゾイミダゾール、
よりなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
請求項1〜35のいずれか1項に記載の化合物と製薬上許容される担体または希釈剤とを含む、医薬組成物。
【請求項37】
請求項1〜35のいずれか1項に記載の化合物の製造方法であって、
(a)第一級アミンを2−フルオロ−1−ニトロベンゼンと反応させてアミン置換ニトロベンゼンを生成させる工程と、
(b)(a)で得られた前記アミン置換ニトロベンゼンを水素および触媒の存在下で還元してアミン置換アニリンを生成させる工程と、
(c)ステップ(b)で得られた前記アミン置換アニリンをアルデヒドと反応させて式Iで示される置換ベンゾイミダゾールを生成させる工程と、
を含む、前記方法。
【請求項38】
前記触媒が金属触媒である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記金属触媒が、Zn、Sn、Fe、Al、Ti、およびPdよりなる群から選択される金属を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記金属触媒がPd/Cである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
ステップ(a)および(b)の反応が約14〜約17時間かけて行われる、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
ステップ(c)の反応が約45〜約50時間かけて行われる、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
ステップ(a)が5%DIEAおよびDMFの存在下で行われる、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
ステップ(b)がメタノールの存在下で行われる、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
ステップ(c)がニトロベンゼンの存在下かつ約100℃の温度下で行われる、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
ステップ(a)の前記第一級アミンが、
(i)式:
【化13】

(式中、
Yは、場合により置換されていてもよいC26アルキレンであり、そして
3およびR4は、同一であるか若しくは異なっていて、水素、アルキル、およびアリールよりなる群から選択されるか、あるいはR3およびR4は、それらが結合されている窒素と一緒になって、4個若しくは5個の炭素を有する環を形成し、この環は、場合により、酸素およびNR5(ここで、R5は水素若しくはアルキルである)から独立して選択される1個若しくは2個の追加のヘテロ原子を含有していてもよいか、またはこの環は、場合により、アルキル部分若しくはアリール部分で置換されていてもよい)
で示されるアミン、
(ii)ピリジルアルキルアミン、および
(iii)場合により置換されていてもよいピペリジン−4−イルアルキルアミン(ここで、場合により存在していてもよい置換基は、アルキル、アリール、およびアラルキルよりなる群から選択される)、
よりなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項47】
ステップ(c)の前記アルデヒドが、式:
【化14】

(式中、
2は、
(i)場合により置換されていてもよいフェノキシフェニル、
(ii)場合により置換されていてもよいベンジルオキシフェニル、
(iii)場合により置換されていてもよいフェニルチオフェニル、
(iv)場合により置換されていてもよいベンジルチオフェニル、
(v)場合により置換されていてもよいフェニルアミノフェニル、
(vi)場合により置換されていてもよいベンジルアミノフェニル、
(vii)
【化15】

(ここで、R6およびR7は、独立して、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、またはハロアルキルであり、そしてpおよびqは、0〜4の整数である)
(viii)
【化16】

(ここで、R8は、水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシである)
(ix)
【化17】

(ここで、R9は、水素またはアルキルである)、および
(x)ナフタリル、
よりなる群から選択される)
を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項48】
前記第一級アミンが1−(2−アミノエチル)ピペリジンである、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記第一級アミンが1,1−ジメチル−1,2−エチルジアミンである、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
ナトリウムチャネルの遮断に反応する障害を患う哺乳動物において、ナトリウムチャネルの遮断に反応する障害を治療、予防、または改善する方法であって、そのような処置の必要な哺乳動物に、請求項1〜35のいずれか1項に記載の化合物またはその製薬上許容される塩の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項51】
前記障害が、ニューロン損傷、神経変性症状、急性若しくは慢性疼痛、抑鬱、および糖尿病性神経障害よりなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記ニューロン損傷が病巣性または全汎性の虚血により引き起こされる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記神経変性症状が筋萎縮性側索硬化(ALS)である、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
抗耳鳴剤、抗痙攣剤、抗不整脈剤、局所麻酔剤、または抗躁鬱剤として機能する、請求項1〜35のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項55】
ナトリウムチャネルの遮断に反応する障害を患う哺乳動物を治療する方法であって、該哺乳動物に請求項1〜35のいずれか1項に記載の化合物またはその製薬上許容される塩を該障害の治療に有効な量で投与することを含む、前記方法。
【請求項56】
前記哺乳動物が、ヒト、イヌ、またはネコである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記障害が、ニューロン損傷、神経変性症状、急性若しくは慢性疼痛、抑鬱、および糖尿病性神経障害よりなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記ニューロン損傷が病巣性または全汎性の虚血により引き起こされる、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記神経変性症状が筋萎縮性側索硬化(ALS)である、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
ナトリウムチャネルの遮断に反応する障害または症状を有する哺乳動物を治療するための医薬組成物であって、該障害または症状を治療するのに有効な量の請求項1に記載の化合物またはその製薬上有効な塩と、製薬上許容される担体とを含む、前記医薬組成物。
【請求項61】
1が(2,2−ジメチル)−2−アミノエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項62】
nが0である、請求項1に記載の化合物。

【公表番号】特表2006−504660(P2006−504660A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−524208(P2004−524208)
【出願日】平成15年7月31日(2003.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/023828
【国際公開番号】WO2004/011439
【国際公開日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】