説明

アリール/アルキルビニルスルホンヒアルロン酸誘導体

本発明は、ヒアルロン酸誘導体、及び前記誘導体の生成及び使用方法、並びにn個の反復範囲を含んで成り、そして下記一般構造式(I):
〔式中、少なくとも1つの反復単位において、1又は複数のR1, R2, R3, R4は、下記一般構造式(II):
(式中、Rはアルキル−又はアリール−基を含んで成る)を有するエーテル結合されたアリール/アルキルスルホンを含んで成り、そして他方では、R1, R2, R3, R4はヒドロキシル基OHである〕を有する誘導体に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、アリール/アルキルビニルスルホンHAを生成するために、アリール−又はアルキルビニルスルホンによるヒアルロン酸(HA)の変性、AVS-HA誘導体類、それらの製造、及び特に化粧品及び生物医薬産業におけるそれらの適用及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
身体中の最も豊富なヘテロ多糖は、グリコサミノグリカンである。グリコサミノグリカンは、反復する二糖単位からなる枝なしの炭水化物ポリマーである(ケラタン硫酸のみが炭水化物のコアー領域において枝分かれされている)。二糖単位は一般的に、第1のサッカリド単位として、2種の変性された糖、すなわちN−アセチルガラクトサミン(GalNAc)又はN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)の1つを含んで成る。第2の単位は通常、ウロン酸、例えばグルクロン酸(GlcUA)又はイズロネートである。
【0003】
グリコサミノグリカンは負に荷電された分子であり、そして溶液において高い粘度を付与する拡張されたコンホメーションを有する。グリコサミノグリカンは、細胞の表面上に又は細胞外マトリックスに位置する。グリコサミノグリカンはまた、溶液において低い圧縮性を有し、そして結果として、生理学的潤滑液、例えば関節として理想的である。グリコサミノグリカンの剛性が、細胞に構造的に結合性を付与し、そして細胞間に通路を提供し、細胞移動可能にする。最高の生理学的に重要なグリコサミノグリカンは、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸及びケラタン硫酸である。ほとんどのグリコサミノグリカンは、特定のオリゴ糖構造を通してプロテオグリカンコアータンパク質に共有結合する。ヒアルロナンは、一定のプロテオグリカンと大きな凝集体を形成するが、しかし遊離炭水化物鎖がプロテオグリカンと非共有複合体を形成する場合、例外である。
【0004】
身体中でのヒアルロナンの多くの役割は同定されている(Laurent T. C. and Fraser J. R. E. , 1992, FASEB J. 6: 2397-2404; 及び Toole B. P. , 1991, "Proteoglycans and hyaluronan in morphogenesis and differentiation."In : Cell Biology of the Extracellular Matrix, pp. 305-341, Hay E. D. , ed., Plenum, New Yorkを参照のこと)。ヒアルロナンは、硝子軟骨、滑膜関節液及び皮膚組織(真皮及び表皮の両者)に存在する。ヒアルロナンはまた、多くの生理学的機能、例えば付着、成長、細胞運動性、癌、脈管形成及び創傷治癒における役割を有すると思われる。ヒアルロナンのユニークな物理的及び生理学的性質のために、それは眼及び関節の手術に使用され、そして他の医学的方法においても評価される。
【0005】
用語“ヒアルロナン”又は“ヒアルロン酸”とは、細胞表面、脊椎贓物の結合組織の塩基性細胞外物質、関節の滑液、眼の眼内流体、ヒト臍帯組織及び鶏冠において天然において存在する、D−グルクロン酸及びN−アセチル−D−グルコサミン酸の残基により構成される、異なった分子量を有する酸性多糖類を意味するために文献において使用される。
【0006】
用語“ヒアルロン酸”とは、種々の分子量を有するD−グルクロン酸及びN−アセチル−D−グルコサミン酸の交互の残基、又はその分解された画分を有する一連の多糖類を意味するものとして実際使用され、そして従って、“ヒアルロン酸”の複数用語を用いることが、より正しいと思われる。しかしながら、単一用語は、この記載においてすべて同じに使用され;さらに、略語“HA”は時折、この集合的な用語の代わりに使用されるであろう。
【0007】
HAは、多くの組織、例えば皮膚、腱、筋肉及び軟骨の細胞のための機械的な支持体として、生物において重要な役割を演じ、すなわちそれは、細胞内マトリックスの主成分である。HAはまた、生物学的工程、例えば組織の保湿及び湿潤において他の重要な部分を演じている。
HAは、上記天然の組織から抽出され得るが、但し今日、感染剤の移行の可能性ある危険性を低め、そして生成物の均等性、品質及び利用性を高めるために、微生物学的方法により、それを調製することが好ましい。
【0008】
HA及びその種々の分子サイズ画分、及びそれらのそれぞれの塩は、特に関節症の処理における薬剤として、特に眼科学及び美容外科における天然の器官及び組織のための助剤及び/又は置換剤として、及び化粧製品における剤として使用されて来た。ヒアルロナンの生成物はまた、整形外科、リウマチ学及び皮膚学への使用のためにも開発されて来た。
【0009】
HAはまた、衛生及び手術製品のために使用される種々のポリマー材料、例えばポリウレタン、ポリエステル、等のための、それらの材料を生物適合性にする効果を有する添加剤としても使用され得る。
【発明の開示】
【0010】
発明の要約:
本発明は、一官能価ビニルスルホン試薬からの誘導体化されたヒアルロン酸の新規調製に関する。
一官能価ビニルスルホン試薬は、一般式(CH2=CH-SO2-R)(式中、Rは、好ましいが、但し必ずしも必要ではない、疎水性であるアリール又はアルキル基である)を有する。改良性を生む反応は、スルホン試薬の反応性ビニル基と、ヒアルロン酸のヒドロキシル成分との間で生じる。
【0011】
本発明は、R側基の性質に依存して、広範囲の誘導体を調製するために使用され得る。市場での市販の化合物は、メチル−、エチル−、フェニル、p−トリル−、オクチル−及び他のアルキル−/アリールビニルスルホンを包含する。
ジビニルスルホン(DVS)に比較して、R−ビニルスルホン試薬は、一官能価であり、それにより、HAのいずれかの架橋を回避する。
【0012】
疎水性基により変性された、その得られる誘導体は、乳化剤として化粧品産業に、又は改良された供給システム、例えばナノカプセルに適用できる。それらはまた、フィルム形成を通して皮膚モイスチュアライゼーションのためにも使用され得る。誘導体の性質は、元のヒアルロナンの生適合性及び生分解性を保持しながら、新規生物材料の製造を可能にする。
【0013】
前記方法は、十分に確定された化学に基づかれ(DVSは、HAを架橋するために20年以上の間、使用されて来た)、そしてそれは、多くの利点を有し、非常に融通のある方法であり、HAは室温で生じ、それは単純且つ短い工程であり、そして続く精製がビニルスルホン試薬の残留物を伴わないで、非常に効果的に行われ得る。
【0014】
変性されていないHAに比較して、一定の変更された特性を有する、ヒアルロン酸に基づく化合物又は誘導体についての必要性が、特に化粧品及び生物医学産業において存在する。興味ある性質は、例えば典型的には、化粧品に使用される、気泡を安定化する改良された能力、及び非親水性材料とブレンドする能力である。
【0015】
本発明は、化粧品又は生物医学的適用において有益な性質を有する両親媒性HA−誘導体生成物を提供する。それらの生成物は、皮膚に対してより強く結合し、その結果、それらは容易には洗浄されない。AVS−HA誘導体はまた、より開発された化粧品又は生物医学的配合物への使用のために、例えば活性化合物又は薬剤の供給のためにナノ/マクロカプセル又は超微小/微小球体の形成において適切である。低分子量(MW)のAVS−HA誘導体は、相当のMWの誘導体化されていないHAよりも、より効果的に皮膚を浸透するであろう。
【0016】
従って、第1の観点においては、本発明は、n個の反復範囲を含んで成り、そして下記一般構造式(I):
【0017】
【化1】

【0018】
〔式中、少なくとも1つの反復単位において、1又は複数のR1, R2, R3, R4は、下記一般構造式(II):
【0019】
【化2】

【0020】
(式中、Rはアルキル−又はアリール−基を含んで成る)を有するエーテル結合されたアリール/アルキルスルホンを含んで成り、そして他方では、R1, R2, R3, R4はヒドロキシル基OHである〕を有するヒアルロン酸誘導体に関する。
【0021】
換言すれば、本発明の観点は、ヒアルロン酸誘導体に関し、ここで前記ヒアルロン酸の1又は複数のヒドロキシル基が1又は複数の一官能価アルキル−/アリールビニルスルホン化合物と反応され、ヒアルロン酸と、得られる1又は複数のアルキル−/アリールスルホン化合物との間でエーテル結合が形成されている。
【0022】
第2の観点においては、本発明は、付加反応が、前記ヒアルロン酸の1又は複数のヒドロキシル基と、1又は複数の一官能価のアリール−/アルキル−ビニルスルホン化合物との間で生じ、ヒアルロン酸と得られる1又は複数のアリール−/アルキル−スルホン化合物との間にエーテル結合が形成されているヒアルロン酸誘導体に関する。
【0023】
第3の観点においては、本発明は、
(a)ヒアルロン酸と、一般構造式(III )を有する、1又は複数のアルキル−/アリール−ビニルスルホン化合物とを、水溶液中、アルカリ性条件下で反応せしめ、それにより、ヒアルロン酸誘導体が形成され;そして
(b)前記ヒアルロン酸誘導体を回収する段階を含んで成るヒアルロン酸誘導体の生成方法に関する。
【0024】
第4の観点においては、本発明は、前記第1又は第2の観点に定義されるヒアルロン酸誘導体、及び活性成分、好ましくは薬理学的活性剤を含んで成る組成物に関する。
本発明の第5の観点は、有効量の前記第1又は第2の観点に定義されるヒアルロン酸誘導体、及び医薬的に許容できるキャリヤー、賦形剤又は希釈剤を含んで成る医薬組成物に関する。
【0025】
第6の観点は、ビークルとしての有効量の前記第1又は第2の観点に定義されるヒアルロン酸誘導体、及び薬理学的活性剤を含んで成る医薬組成物に関する。
第7の観点は、有効量の前記第1又は第2の観点に定義されるヒアルロン酸誘導体、又は前記第4、第5又は第6の観点に定義される組成物を活性成分として含んで成る化粧製品に関する。
【0026】
第8の観点においては、本発明は、前記第1又は第2の観点に定義されるヒアルロン酸誘導体、又は前記第4、第5又は第6の観点に定義される組成物を含んで成る、衛生、医学又は手術製品、好ましくはオムツ、衛生用タオル、手術用スポンジ、創傷治癒スポンジ、又はバンドエイド又は他の創傷包帯材料に含まれる部分に関する。
【0027】
重要な観点は、前記第1又は第2の観点に定義されるヒアルロン酸誘導体、又は前記第4、第5又は第6の観点に定義される組成物を含んで成る医薬カプセル又はマイクロカプセルに関する。
本発明の最終観点は、眼科学的処理、変形性関節炎又は癌、抜け毛又は禿げの処理、創傷の処理、又は薬理学的活性剤の皮膚又は経皮投与又は化粧品の皮膚投与の実施方法に関し、ここで前記方法は、前記第1又は第2の観点に定義されるヒアルロン酸誘導体、又は前記第4、第5又は第6の観点に定義される組成物の使用を包含する。
【0028】
多くの観点は、変形性関節炎、癌の処理のための薬剤の製造、眼の処理のための薬剤の製造、創傷の処理のための薬剤の製造、脈管形成の処理のための薬剤の製造、抜け毛又は禿げの処理のための薬剤の製造、又はモイスチャライザーの製造のためへの、前記第1又は第2の観点に定義されるヒアルロン酸誘導体又は前記第4、第5又は第6の観点に定義される組成物の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
発明の特定の記載:
ヒアルロン酸
“ヒアルロン酸”は、β−1,4及びβ−1,3グリコシド結合を変えることによって一緒に結合される、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)及びグルクロン酸(GlcUA)の反復二糖単位から構成される、硫酸化されていないグリコサミノグリカンとして、本明細書においては定義される。ヒアルロン酸はまた、ヒアルロナン、ヒアルロネート又はHAとして知られている。用語、ヒアルロナン及びヒアルロン酸は、本明細書においては、交換可能的に使用される。
【0030】
雄鶏の鶏冠は、ヒアルロナンのための有意な商業的源である。微生物は他の源である。アメリカ特許第4,801,539号は、1L当たり約3.6gのヒアルロン酸の報告される収率を伴って、ストレプトコーカス・ズーエピデシカス(Streptococcus zooepidemicus)の株を包含するヒアルロン酸の調製のための発酵方法を開示する。ヨーロッパ特許第0694616号は、1L当たり約3.5gのヒアルロン酸の報告される収率を伴って、ストレプトコーカス・ズーエピデシカスの改良された株を用いての発酵方法を開示する。引用により本明細書に組み込まれるWO03/054163号(Novozymes)に開示されるように、ヒアルロン酸又はその塩は、グラム陽性バシラス宿主において組換え的に生成され得る。
【0031】
ヒアルロナンシンターゼは、脊椎動物, 細菌病原体,及び藻類ウィルス (DeAngelis, P. L., 1999, Cell. Mol. Life Sci, 56: 670-682)から記載されている。WO99/23227号は、ストレプトコーカス・エクイシミリスからのグループIヒアルロン酸シンターゼを開示する。WO99/51265号及びWO00/27437号は、パステウレラ・マルトシダからのグループIIヒアルロン酸シンターゼを記載する。Ferrettiなどは、それぞれヒアルロン酸シンターゼ、UDPグルコースデヒドロゲナーゼ及びUDP−グルコースピロホスホリラーゼをコードする3種の遺伝子、hasA, hasB及びhasCから構成される、ストレプトコーカス・ピロゲネスのヒアルロナンシンターゼオペロンを開示する(Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 98, 4658-4663,2001)。WO99/51265号は、ストレプトコーカス・エクイシミリスヒアルロナンシンターゼのためのコード領域を有する核酸セグメントを記載する。
【0032】
組換えバチルス細胞のヒアルロナンは、培養培地に直接的に発現されるので、単純な方法が、培養培地からヒアルロナンを単離するために使用され得る。第1に、バチルス細胞及び細胞残骸が培養培地から物理的に除去される。最初に、培養培地が、所望により、希釈され、培地の粘度が低められる。培養培地から細胞を除去するための多くの方法、例えば遠心分離又はマイクロフィルトレーションは、当業者に知られている。所望には、次に残る上清液が、例えば限外濾過により濾過され、濃縮され、そしてヒアルロナンから小さな分子汚染物が除去される。細胞及び細胞残骸の除去に続いて、培地からのヒアルロナンの単純な沈殿が既知機構により行われる。
【0033】
塩、アルコール、又は塩及びアルコールの組合せが、濾液からヒアルロナンを沈殿するために使用され得る。沈殿物に減じられると、ヒアルロナンは物理的手段により、溶液から容易に単離され得る。ヒアルロナンは、当業界において知られている蒸発技法、例えば噴霧乾燥により、濾液溶液から乾燥されるか又は濃縮され得る。
【0034】
本発明の第1の観点は、n個の反復範囲を含んで成り、そして下記一般構造式(I):
【化3】

【0035】
〔式中、少なくとも1つの反復単位において、1又は複数のR1, R2, R3, R4は、下記一般構造式(II):
【0036】
【化4】

【0037】
(式中、Rはアルキル−又はアリール−基を含んで成る)を有するエーテル結合されたアリール/アルキルスルホンを含んで成り、そして他方では、R1, R2, R3, R4はヒドロキシル基OHである〕を有するヒアルロン酸誘導体に関する。
【0038】
換言すれば、本発明の観点は、付加反応が、前記ヒアルロン酸の1又は複数のヒドロキシル基と、1又は複数の一官能価のアリール−/アルキル−ビニルスルホン化合物との間で生じ、ヒアルロン酸と得られる1又は複数のアリール−/アルキル−スルホン化合物との間にエーテル結合が形成されているヒアルロン酸誘導体に関する。
【0039】
好ましい態様は、前記1又は複数の一官能価のアリール−/アルキル−ビニルスルホン化合物が、下記一般構造式(III ):
【0040】
【化5】

【0041】
[式中、Rはアルキル−又はアリール基を含んで成る]を有する、本発明のヒアルロン酸誘導体に関する。
【0042】
さらなるもう1つの好ましい態様は、複数のR1, R2, R3, R4が、一般構造式(II)を有する1又は複数のエーテル結合されたアリール/アルキルスルホンを含んで成り;又は3又はそれ以上のR1, R2, R3, R4が、一般構造式(II)を有する1又は複数のエーテル結合されたアリール/アルキルスルホンを含んで成利;又は実際、すべてのR1, R2, R3, R4が、一般構造式(II)を有する1又は複数のエーテル結合されたアリール/アルキルスルホンを含んで成る、ヒアルロン酸誘導体に関する。
【0043】
本発明の方法における主反応又は付加部位は、構造式(I)においてR4としても示される、ヒアルロン酸反復単位の一次ヒドロキシルである。
従って、好ましい態様は、少なくともR4が、一般構造(II)を有する、エーテル結合されたアリール/アルキルスルホンを含んで成る、本発明のHA誘導体に関する。
【0044】
多くの異なったアルキル−又はアリール基が、本発明における使用のために一官能価アルキル−/アリールビニルスルホン化合物において適切であるとして構想される。
好ましい態様は、Rがアルキル基を含んで成り、好ましくはアルキル基が疎水性であり、好ましくは前記アルキル気がC1-C20アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る、本発明のHA誘導体に関する。
【0045】
もう1つの好ましい態様は、Rが、アリール基を含んで成り、好ましくは前記アリール基が疎水性であり、そしてより好ましくは前記前記アリール基がフェニル又はp−トルイルである、本発明のHA誘導体に関する。
【0046】
分子量
ヒアルロン酸のレベルは、改良されたカルバゾール方法(Bitter and Muir, 1962, Anal Biochem. 4: 330-334)に従って決定され得る。さらに、ヒアルロン酸の平均分子量は、当業界における標準の方法、例えばUeno など., 1988, Chem. Pharm. Bull. 36, 4971-4975; Wyatt, 1993, Anal. Chim. Acta 272: 1-40; 及び Wyatt Technologies, 1999, "Light Scattering University DAWN Course Manual" and "DAWN EOS Manual" Wyatt Technology Corporation, Santa Barbara, Californiaにより記載されるそれらの方法を用いて決定され得る。
【0047】
好ましい態様においては、本発明の方法により得られるヒアルロン酸誘導体は、約1,000〜約10,000,000Daの分子量を有する。より好ましい態様においては、本発明の方法により得られるヒアルロン酸誘導体は、5 ,000〜約 5,000,000 Daの分子量を有する。さらにより好ましい態様においては、本発明の方法により得られるヒアルロン酸誘導体は、約10,000〜約3,000,000Daの分子量を有する。
【0048】
もう1つの好ましい態様は、第1の観点の生成物に関し、ここで前記ヒアルロン酸又はその塩は、300,000〜3,000,000;好ましくは400,000〜2,500,000;より好ましくは500,000〜2,000,000;及び最も好ましくは600,000〜1,800,000の範囲の分子量を有する。
【0049】
組換え的に生成されるヒアルロン酸又はその塩が本発明の生成物又は組成物を製造するために本発明の方法に使用される場合、最初に、ヒアルロン酸又はその塩の平均分子量を低めることがいくつかの適用のために好都合である。例えば、皮膚において天然含有量のヒアルロン酸を再確立するために皮膚バリヤーを浸透できることが、いわゆる低分子量画分のヒアルロン酸のいくつかの製造業者により言及されており、従って、そのような画分は抗−皮膚剤及び抗−しわ剤として市販されている化粧品組成物のために特に適切である。
【0050】
食品適用に関しては、低MWヒアルロン酸が、胃腸バリヤーを浸透し、それによりその生物利用能を高めることが示されている。最終的に、低MWヒアルロン酸は抗炎症効果を示し、そして炎症疾患の処理への可能性ある適用を有する。ヒアルロン酸又はその誘導体又は塩の平均分子量の低下は、当業界における標準方法、例えば単純な加熱処理、酵素分解、超音波処理又は酸加水分解により達成され得る。添加剤としてNaOClを包含するHAの超音波処理技法を記載するアメリカ特許第6,020,484号、及びT. Miyazakiなど. (2001) Polymer Degradation and Stability, 74: 77-85を参照のこと。
【0051】
従って、好ましい態様は、本発明のHA誘導体に関して、ここで前記ヒアルロン酸又はその誘導体又は塩は、10,000〜3,000,000Da;好ましくは10,000〜50,000Da;又は好ましくは50,000〜500,000Da;さらにより好ましくは80,000〜300,000Daの範囲の低い平均分子量を有する。
【0052】
置換度(DS)
DSは、下記例6に従って、1H NMR分光法(10mg/ml、D2O, 80℃、128走査、400MHz)により決定され、ここでOSA基からのピークが2D−NMR(gCOSY)の使用により割り当てられた。次に、DSが、OSAのビニルプロトン(5.4及び5.6ppm)の強度と、アセチルプロトン(2.0ppm)の強度とを比較することにより、計算された。
【0053】
好ましい態様においては、第1の観点のHA誘導体は、0.1〜100%、好ましくは1〜90%、より好ましくは2〜80%、さらにより好ましくは4〜70%、さらにより好ましくは8〜60%、又は10〜50%、14〜40%、16〜30%、又は最も好ましくは18〜25%の範囲の置換度((DS)を有する。
【0054】
生成
本発明の方法においては、組換え的に生成されるHAが使用され得る。この種類のHAは、前記HA−生成宿主細胞が、当業界において知られている方法を用いて、ヒアルロン酸の生成のために適切な栄養培地において培養される、方法により生成され得る。例えば、細胞は、ポリペプチドの発現及び/又は単離を可能にする、適切な培地において、及びヒアルロン酸合成に関与する酵素の発現及びヒアルロン酸の単離を可能にする条件下で行われる実験室用又は産業用発酵器において、振盪フラスコ培養、小規模又は大規模発酵(連続、バッチ、供給バッチ、又は団体状態発酵を包含する)により培養され得る。培養は、炭素及び窒素源及び無機塩を含んで成る適切な栄養培地において、当業界において知られている方法を用いて行われる。適切な培地は、市販されているか、又は公開されている組成(例えば、American Type Culture Collection のカタログにおける)に従って調製され得る。分泌されたヒアルロン酸は、培地に直接的に回収され得る。
【0055】
得られるヒアルロン酸は、当業界において知られている方法により単離され得る。例えば、ヒアルロン酸は、便利な方法、例えば遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発又は沈殿(但し、それらだけには限定されない)により、栄養培地から単離され得る。次に単離されたヒアルロン酸は、当業界において知られている種々の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、クロマトフォーカシング及びサイズ排除)、電気泳動方法(例えば、分離用等電点電気泳動)、示差溶解性(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、又は抽出(例えば、Protein Purification, J. -C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989を参照のこと)(但し、それらだけには限定されない)により、さらに精製され得る。
【0056】
宿主細胞
好ましい態様は、好ましくはグラム陽性細菌又は宿主細胞により、より好ましくはバチルス属の細菌により、組換え的に生成されるヒアルロン酸又はその塩に関する。
【0057】
宿主細胞は、ヒアルロン酸の組換え生成のために適切ないずれかのバチルス細胞であり得る。バチルス宿主細胞は、野生型バチルス細胞又はその変異体であり得る。本発明の実施において有用なバチルス細胞は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:バチルス・アガラドヘレンス(Bacillus agaradherens)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウジ(Bacillus clausii)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウス(Bacillus megaterium)、バチルス・プミラス(Bacillus pumilus)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びバチルス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)細胞。変異体バチルス・サブチリス細胞は、WO98/22598号に記載されるように、組換え発現のために特に適合される。非被包性バチルス細胞は、本発明において特に有用である。
【0058】
好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・クラウジ、バチルス・レンタス、バチルス・リケニホルミス、バチルス・ステアロサーモフィラス又はバチルス・サブチリス細胞である。より好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・アミロリケファシエンス細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・クラウジ細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・レンタス細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・リケニホルミス細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・サブチリス細胞である。最も好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・サブチリスA164Δ5(アメリカ特許第5,891,701号を参照のこと)、又はバチルス・サブチリス168Δ4である。
【0059】
本発明の核酸構造体によるバチルス宿主細胞の形質転換は、プロトプラスト形質転換(例えば、Chang and Cohen, 1979, Molecular General Genetics 168: 111-115を参照のこと)により、コンピテント細胞の使用(Young and Spizizen, 1961, Journal of Bacteriology 81 : 823- 829, 又は Dubnau and Davidoff-Abelson, 1971, Journal of Molecular Biology 56 : 209-221を参照のこと)により、エレクトロポレーション(Shigekawa and Dower, 1988, Biotechniques 6: 742-751を参照のこと)により、又は接合(Koehler and Thorne, 1987, Journal of Bacteriology 169: 5271-5278を参照のこと)により行われ得る。
【0060】
誘導体化方法
第3の観点においては、本発明は、
(a)ヒアルロン酸と、一般構造式(III )を有する、1又は複数のアルキル−/アリール−ビニルスルホン化合物とを、水溶液中、アルカリ性条件下で反応せしめ、それにより、ヒアルロン酸誘導体が形成され;そして
(b)前記ヒアルロン酸誘導体を回収する段階を含んで成るヒアルロン酸誘導体の生成方法に関する。
【0061】
好ましい態様は、前記アルキル−/アリール基、すなわち(III )におけるRが、アルキル基、好ましくは疎水性アルキルを含んで成り、より好ましくは前記アルキル基が、C1-C20アルキル基、及び最も好ましくは、メチル、エチル、プロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成り;又は前記アルキル−/アリール基が、アリール基、好ましくは疎水性アリール基、及びより好ましくは前記アリール基が、フェニル又はp−トルイルを含んで成る、第3の観点の方法に関する。
【0062】
異なった一官能価ビニルスルホン化合物が同時に使用され、HA分子へのいくつかの異なったアルキル−又はアリールスルホン化合物の付加が導かれることがまた、好ましい。
従って、好ましい態様は、1又は複数のアルキル−/アリールビニルスルホン化合物が複数の異なったアルキル−及び/又はアリール基を含んで成る、第3の観点の方法に関する。
【0063】
好ましくは、前記複数の異なったアルキル−/アリール基が、アルキル基、好ましくは疎水性アルキルを含んで成り、より好ましくは前記アルキル基が、C1-C20アルキル基、及び最も好ましくは、メチル、エチル、プロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成り;又は前記複数の異なったアルキル−/アリール基が、アリール基、好ましくは疎水性アリール基、及びより好ましくは前記アリール基が、フェニル又はp−トルイルを含んで成る。
【0064】
他の成分
好ましい態様においては、本発明のHA誘導体を含んで成る組成物はまた、他の成分、好ましくは1又は複数の活性成分、好ましくは1又は複数の薬理学的活性物質、及びまた、好ましくは水溶性賦形剤、例えばラクトースを含んで成ることができる。
【0065】
本発明においては使用され得る活性成分又は薬理学的活性物質の非制限的例は、タンパク質及び/又はペプチド薬剤、例えばヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、ブタ成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン/ペプチド、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子、マクロファージ−コロニー刺激−因子、エリスロポイエチン、骨形態発生性タンパク質、インターフェロン又はその誘導体、インシュリン又はその誘導体、アトリオペプチン−III、モノクロナール抗体、腫瘍壊死因子、マクロファージ活性化因子、インターロイキン、腫瘍分解因子、インスリン様成長因子、表皮成長因子、組織プラスミノゲン活性化因子、第IIV因子、第IIIV因子、及びウロキナーゼを包含する。
【0066】
水溶性賦形剤は、活性成分を安定化するために包含され得、そのような賦形剤は、タンパク質、例えばアルブミン又はゼラチン;アミノ酸、例えばグリシン、アラニン、グルタミン酸、アルギニン、リシン及びその塩;炭水化物、例えばグルコース、ラクトース、キシロース、ガラクトース、フルクトース、マルトース、サッカロース、デキストラン、マンニトール、ソルビトール、トレハロース及びコンドロイチンスルフェート;無機塩、例えばホスフェート;界面活性剤、例えばTWEEN(商標)(ICI)、ポリエチレングリコール及びその混合物を包含することができる。賦形剤又は安定剤は、生成物の0.001〜99重量%の範囲の量で使用され得る。
【0067】
本発明のいくつかの観点は、他の構成成分の中で、有効量の第1の観点において定義されるような生成物、及び活性成分、好ましくは薬理学的活性剤;医薬的に許容できるキャリヤー、賦形剤又は希釈剤、好ましくは水溶性賦形剤、及び最も好ましくはラクトースを含んで成る種々の医薬組成物に関する。
【0068】
さらに、本発明の観点は、第1の観点において定義されるようなHA誘導体又は上記観点及び態様において定義されるような組成物を含んで成る製品、例えば化粧品、衛生製品、医学又は手術製品に関する。最終観点においては、本発明は、第1の観点において定義されるような生成物、又は本発明の他の観点及び態様において定義されるような組成物を含んで成る薬剤カプセル又はマイクロカプセルに関する。
【実施例】
【0069】
例1PVS:HA(1.5:1の比)を有する、フェニルビニルスルホン(PVS)誘導体化されたHA(PVS-HA)
【表1】

【0070】
HAを、milliQ水(10ml)に室温で一晩、溶解した。NaOHを前記HA水溶液に撹拌下で添加した。PVSをアセトン(10ml)に溶解し、そして得られる溶液を、分離用漏斗を用いて、4〜5分後、滴下した。その混合物を室温で一晩、撹拌した。次に、その粗混合物を、milliQ水(7.5L)に含浸された透析バッグ(Spectra/Por(商標), カットオフ14KDa)において精製した。milliQ水を、3時間後、次に一晩後、及び最終的に3時間後、3度変えた。透析を、milliQ水の導電率測定によりモニターし、そして導電率が5μS/cm以下である場合、停止した。最終的に、精製された生成物を、MilliQ水(50ml)に希釈し、そして凍結乾燥した。
【0071】
前記反応は、milliQ水に部分的に溶解できる、94.5mgの白色のスポンジのような材料を生成した。精製された生成物の組成をTLCにより分析した。保持時間の値は、残留PVSが精製された生成物に残存しなかったことを示した。精製された生成物の構造を1H NMRにより確かめ、そして反復二糖単位当たり11%の置換率(DS)を表した(図2)。FT-IRをまた、フェニル−ビニルスルホン誘導体化されたHAの形成を確認するために使用した。
【0072】
反応に包含されるPVSの量の影響に対する研究を行った。この研究は、より高い量のPVSほど、より高い置換度を生むことを示した。それらは典型的には、5:1〜10:1の範囲の比のPVS:HAに関して、11%〜55%であった(例2)。
例2PVS:HA(5:1及び10:1の比)を有する、フェニルビニルスルホン(PVS)誘導体化されたHA(PVS-HA)
【0073】
【表2】

【0074】
上記誘導体を、例1に記載される方法に従って調製した。NaOH:HAの比は1:1であった。誘導体の置換率が表3に示される。
【0075】
【表3】

【0076】
図3及び4は、前記誘導体のNMRスペクトルを表す。図5は、HA鎖に対するPVSのグラフト化を確かめるIRスペクトルを表す。バンドの割り当てが表4に示される。
【0077】
【表4】

【0078】
例3EVS:HA(1.5:1の比)を有する、エチルビニルスルホン(EVS)誘導体化されたHA(EVS-HA)
【0079】
【表5】

【0080】
EVS−HA誘導体を、例1に記載される方法に従って調製した。前記反応は、milliQ水に溶解できる(12.5g/L)、白色のスポンジ状材料を生成した。精製された生成物の構造を、1H NMRにより確かめ、そして反復二糖単位当たり13.5%の置換率を示した(図6)。後者を、置換基上のメチルプロトンのシグナル及びHA上のメチルプロトンのシグナルを比較することにより計算した。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、1H NMRスペクトル(HA、300kDa)を示す。
【図2】図2は、1H NMRスペクトル(HA300kDaからのPVS-HA)(1.5:1の比のPVS:HA)を示す。
【図3】図3は、1H NMRスペクトル(HA300kDaからのPVS-HA)(5:1の比のPVS:HA)を示す。
【図4】図4は、1H NMRスペクトル(HA300kDaからのPVS-HA)(10:1の比のPVS:HA)を示す。
【図5】図5は、IRスペクトル(HA300kDaからのPVS-HA)(10:1の比のPVS:HA)を示す。
【図6】図6は、1H NMRスペクトル(HA300kDaからのEVS-HA)(1.5:1の比のEVS:HA)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n個の反復範囲を含んで成り、そして下記一般構造式(I):
【化1】

〔式中、少なくとも1つの反復単位において、1又は複数のR1, R2, R3, R4は、下記一般構造式(II):
【化2】

(式中、Rはアルキル−又はアリール−基を含んで成る)を有するエーテル結合されたアリール/アルキルスルホンを含んで成り、そして他方では、R1, R2, R3, R4はヒドロキシル基OHである〕
を有するヒアルロン酸誘導体。
【請求項2】
2又はそれより多くのR1, R2, R3, R4が、一般構造式(II)を有する1又は複数のエーテル結合されたアリール/アルキルスルホンを含んで成る請求項1記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項3】
3又はそれより多くのR1, R2, R3, R4が、一般構造式(II)を有する1又は複数のエーテル結合されたアリール/アルキルスルホンを含んで成る請求項1又は2記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項4】
すべてのR1, R2, R3, R4が、一般構造式(II)を有する1又は複数のエーテル結合されたアリール/アルキルスルホンを含んで成る請求項1〜3のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項5】
少なくともR4が、一般構造式(II)を有するエーテル結合されたアリール/アルキルスルホンを含んで成る請求項1〜3のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項6】
Rが、アルキル基を含んで成り、好ましくは前記アルキル基が疎水性である請求項1〜4のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項7】
前記アルキル基が、C1-C20アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る請求項6記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項8】
Rが、アリール基を含んで成り、好ましくは前記アリール基が疎水性であり、そしてより好ましくは前記アリール基がフェニル又はp−トルイルである請求項1〜5のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項9】
10,000〜3,000,000Daの平均分子量を有する請求項1〜8のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項10】
10,000〜50,000Daの平均分子量を有する請求項9記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項11】
50,000〜500,000Da, 好ましくは80,000〜300,000Daの平均分子量を有する請求項9記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項12】
置換度(DS)が、本明細書に定義されるようにして決定される場合、0.1〜100%、好ましくは1〜90%、より好ましくは2〜80%、さらにより好ましくは4〜70%、さらにより好ましくは8〜60%、又は10〜50%、14〜40%、16〜30%、又は最も好ましくは18〜25%の範囲である請求項1〜11のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項13】
ヒアルロン酸が好ましくはバチルス(Bacillus)宿主において組換え的に生成される請求項1〜12のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項14】
付加反応が、前記ヒアルロン酸の1又は複数のヒドロキシル基と、1又は複数の一官能価のアリール−/アルキル−ビニルスルホン化合物との間で生じ、ヒアルロン酸と得られる1又は複数のアリール−/アルキル−スルホン化合物との間にエーテル結合が形成されているヒアルロン酸誘導体。
【請求項15】
10,000〜3,000,000Daの平均分子量を有する請求項14記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項16】
10,000〜50,000Daの平均分子量を有する請求項15記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項17】
50,000〜500,000Da, 好ましくは80,000〜300,000Daの平均分子量を有する請求項15記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項18】
前記1又は複数の一官能価のアリール−/アルキル−ビニルスルホン化合物が、下記一般構造式(III ):
【化3】

[式中、Rはアルキル−又はアリール基を含んで成る]
を有する請求項14〜17のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項19】
前記アルキル−/アリール基が、アルキル基、好ましくは疎水性アルキルを含んで成り、より好ましくは前記アルキル基が、C1-C20アルキル基、及び最も好ましくは、メチル、エチル、プロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る請求項14〜18のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項20】
前記アルキル−/アリール基が、アリール基、好ましくは疎水性アリール基を含んで成る請求項18記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項21】
前記アリール基が、フェニル又はp−トルイルである請求項20記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項22】
置換度(DS)が、本明細書に定義されるようにして決定される場合、0.1〜100%、好ましくは1〜90%、より好ましくは2〜80%、さらにより好ましくは4〜70%、さらにより好ましくは8〜60%、又は10〜50%、14〜40%、16〜30%、又は最も好ましくは18〜25%の範囲である請求項14〜21のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項23】
ヒアルロン酸が好ましくはバチルス宿主において組換え的に生成される請求項14〜22のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項24】
(a)ヒアルロン酸と、一般構造式(III )を有する、1又は複数のアルキル−/アリール−ビニルスルホン化合物とを、水溶液中、アルカリ性条件下で反応せしめ、それにより、ヒアルロン酸誘導体が形成され;そして
(b)前記ヒアルロン酸誘導体を回収する段階を含んで成るヒアルロン酸誘導体の生成方法。
【請求項25】
前記アルキル−/アリール基、すなわち(III )におけるRが、アルキル基、好ましくは疎水性アルキル基を含んで成り、より好ましくは前記アルキル基が、C1-C20アルキル基、及び最も好ましくは、メチル、エチル、プロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記アルキル−/アリール基が、アリール基、好ましくは疎水性アリール基、及びより好ましくは前記アリール基が、フェニル又はp−トルイルを含んで成る請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記1又は複数のアルキル−/アリール−ビニルスルホン化合物が、2又はそれより多くの異なったアルキル−及び/又はアリール基を含んで成る請求項24〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記2又はそれより多くの異なったアルキル−/アリール基が、アルキル基、好ましくは疎水性アルキル基を含んで成り、より好ましくは前記アルキル基が、C1-C20アルキル基、及び最も好ましくは、メチル、エチル、プロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記2又はそれより多くの異なったアルキル−/アリール基が、アリール基、好ましくは疎水性アリール基、及びより好ましくは前記アリール基が、フェニル又はp−トルイルを含んで成る請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記ヒアルロン酸が、10,000〜3,000,000Daの平均分子量を有する請求項24〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
10,000〜50,000Daの平均分子量を有する請求項30記載の方法。
【請求項32】
50,000〜500,000Da, 好ましくは80,000〜300,000Daの平均分子量を有する請求項30記載の方法。
【請求項33】
前記ヒアルロン酸誘導体が、本明細書に定義されるようにして決定される場合、0.1〜100%、好ましくは1〜90%、より好ましくは2〜80%、さらにより好ましくは4〜70%、さらにより好ましくは8〜60%、又は10〜50%、14〜40%、16〜30%、又は最も好ましくは18〜25%の範囲の置換度(DS)を有する請求項24〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
ヒアルロン酸が好ましくはバチルス宿主において組換え的に生成される請求項24〜33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、及び活性成分、好ましくは薬理学的活性剤を含んで成る組成物。
【請求項36】
水溶性賦形剤、好ましくはラクトースをまた含んで成る請求項35記載の組成物。
【請求項37】
有効量の請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、及び医薬的に許容できるキャリヤー、賦形剤又は希釈剤を含んで成る医薬組成物。
【請求項38】
ビークルとしての有効量の請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、及び薬理学的活性剤を含んで成る医薬組成物。
【請求項39】
請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物を含んで成る化粧品。
【請求項40】
有効量の請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物を活性成分として含んで成る化粧製品。
【請求項41】
請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物を含んで成る、衛生、医学又は手術製品、好ましくはオムツ、衛生用タオル、手術用スポンジ、創傷治癒スポンジ、又はバンドエイド又は他の創傷包帯材料に含まれる部分。
【請求項42】
請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物を含んで成る医薬カプセル又はナノカプセル。
【請求項43】
請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、眼科学的処置を実施するための方法。
【請求項44】
請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、変形性関節炎の処理工程を実施するための方法。
【請求項45】
請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、癌の処理工程を実施するための方法。
【請求項46】
請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、薬理学的活性剤の経皮投与を実施するための方法。
【請求項47】
請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、薬理学的活性剤の皮膚投与を実施するための方法。
【請求項48】
請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、化粧品の皮膚投与を実施するための方法。
【請求項49】
請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、抜け毛又は禿げの処理工程を実施するための方法。
【請求項50】
請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の眼科学的使用方法。
【請求項51】
有効量の請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物を哺乳類に、好ましくは皮膚、経皮、経口又は注射投与することを含んで成る、変形性関節炎の処理方法。
【請求項52】
有効量の請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物を哺乳類に投与することを含んで成る創傷の処理方法。
【請求項53】
有効量の請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物を哺乳類に、好ましくは皮膚、経皮、経口又は注射投与することを含んで成る、抜け毛又は禿げの処理方法。
【請求項54】
変形性関節炎の処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項55】
眼科学的処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項56】
癌の処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項57】
創傷の処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項58】
脈管形成のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項59】
モイスチュライザーの製造のためへの、請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項60】
抜け毛又は禿げの処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項35〜38のいずれか1項記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−528406(P2009−528406A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556657(P2008−556657)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【国際出願番号】PCT/DK2007/000108
【国際公開番号】WO2007/098770
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(504235872)ノボザイムス バイオポリマー アクティーゼルスカブ (12)
【Fターム(参考)】