説明

アルカリ可溶性光硬化型組成物、該組成物を使用した硬化塗膜及び透明部材

【課題】液晶ディスプレイやタッチパネル等の表示装置の分野、又は有機TFTの分野で所望される透明部材として応用できる組成物として、アルカリ水溶液で現像可能であり、作製した塗膜が、低吸水性、高硬度であり、さらにガラス、金属酸化物及び金属等の基材に対して優れた密着性を有する、光硬化型組成物を提供すること。
【解決手段】(A)分子内にカルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレート共重合体であるアルカリ可溶性樹脂と、(B)シリカ微粒子と、(C)単一分子内に1以上の(メタ)アクリロイル基を有する反応性モノマであって、(C1)フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、及び(C2)アルコキシシラン部位を有する(メタ)アクリレート化合物を含む反応性モノマと、(D)光重合開始剤とを含むことを特徴とする光硬化型組成物を調製し、使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ水溶液による現像が可能であり、作製した塗膜が低い吸水性、高い硬度を有し、さらに、ガラス、金属酸化物、金属等の基材に対して高い密着性を有する光硬化型組成物に関する。本発明の光硬化型組成物は、低吸水性、高硬度であるとともに基材に対する密着性に優れるため、液晶ディスプレイ、その他タッチパネル等の各種表示装置の分野で使用する層間絶縁膜形成用透明部材、有機TFT(thin film transistor)の分野で使用する透明部材等に応用することができる。
【背景技術】
【0002】
情報化社会における発展は目覚しく、情報の多様化及び高速化に伴い、近年では、必要な情報を手軽に入手できるようになっている。このような情報化社会における発展には、パーソナルコンピュータの飛躍的な進歩、またその普及が大きく寄与している。しかし、パーソナルコンピュータの応用範囲が徐々に広がるにつれて、インターフェイスの入力デバイス技術に関して、従来のようなキーボード又はマウスによる入力だけでは十分な顧客満足度を提供することが困難になっている。
【0003】
このような状況下、携帯することができ、操作が簡単であり、しかも手書き文字入力できるタッチパネルが、近年、インターフェイス用デバイスとして注目を集めている。タッチパネルの方式としては、代表的に、抵抗膜方式、光学方式、静電容量方式、超音波方式、圧力方式等が知られており、現在の市場では抵抗膜方式のタッチパネルが主流となっている(非特許文献1を参照)。
【0004】
タッチパネルは、多くの場合、外部からの圧力を受けるため、その構成材料は、衝撃に耐え得る硬度を有し、また、表示品質の低下を防ぐために高い透過率を有する必要がある。しかし、抵抗膜方式のタッチパネルは、例えば入力時に受ける、外部圧力等に対する耐久性が低い傾向がある。そのため、近年、入力耐久性等の各種信頼性に優れ、かつ高い透過率を有することで優れた表示品質を有する静電容量方式のタッチパネルの需要が増え、様々な検討が行われている(特許文献1を参照)。
【0005】
静電容量方式のタッチパネルは、代表的に、基板上に設けられたITO(Indium Tin Oxide)等の第1の透明電極と、SiO等の絶縁膜と、該絶縁膜上に配置され、かつ上記第1の透明電極と導通する第2の透明電極とを有する。このような構造を有するタッチパネルでは、各層の間の密着性が重要である。また上記第1の透明電極と上記第2の透明電極とを導通させるためのコンタクトホールを形成するために、絶縁膜を構成する材料には高い解像性が求められる。さらに、絶縁膜等をパターニングする技術分野では、一般に、アルカリ水溶液による現像が好ましい。そのため、上記材料としては、アルカリ水溶液によって現像可能である材料が望まれている。
【0006】
特許文献2〜4は、透明性に優れ、かつ高い硬度を有する組成物として、シラン化合物を使用し、そのコロイダルシリカをメタクリレート等のラジカル重合性ビニル化合物中に均一に分散して得られる硬化性組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−3518号公報
【特許文献2】特開平5−209027号公報
【特許文献3】特開平10−231339号公報
【特許文献4】特開平10−298252号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】抵抗膜式透明タッチパネル フジクラ技報(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献2〜4で開示された組成物は、いずれも、アルカリ水溶液に溶解しない組成物であるため、アルカリ水溶液による現像は困難である。したがって、本発明は、アルカリ水溶液による現像が可能であり、作製した塗膜が、低吸水性、高硬度であり、さらにガラス、金属酸化物、金属等の基材に優れた密着性を有する、光硬化型組成物、これを用いた硬化塗膜及び透明部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は上述の従来技術を鑑み、課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の(メタ)アクリレート系化合物を含む成分に、シリカ微粒子を分散させ、それらを光等で硬化させることによって、低吸水性及び高硬度であり、さらにガラス、金属酸化物、金属等の基材に対して優れた密着性を有する光硬化型組成物を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の特徴は、以下に記載する事項に関する。
【0011】
本発明の第1は、(A)分子内にカルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレート共重合体であるアルカリ可溶性樹脂と、(B)シリカ微粒子と、(C)単一分子内に1以上の(メタ)アクリロイル基を有する反応性モノマであって、(C1)フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、及び(C2)アルコキシシラン部位を有する(メタ)アクリレート化合物を含む反応性モノマと、(D)光重合開始剤とを含むことを特徴とする光硬化型組成物に関する。
【0012】
ここで、上記光硬化型組成物は、(E)成分として、多官能エポキシ化合物をさらに含むことが好ましい。また、(F)成分として、有機溶媒をさらに含むことが好ましい。
【0013】
上記(C1)成分は下記一般式(1)で示されるジ(メタ)アクリレート化合物であり、上記(C2)成分は下記一般式(2)で示されるモノ(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
【0014】
【化1】

【0015】
[式中、2つのRは各々独立に水素原子又はメチル基を表し、2つのRは各々独立に置換又は未置換の炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、複数のRは各々独立に置換又は未置換の炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、mは0〜10の整数である]
【0016】
【化2】

【0017】
[式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、nは1〜6の整数であり、rは0〜2の整数である]
【0018】
また、上記(E)多官能エポキシ化合物は、下記一般式(3)で示される化合物であることが好ましい。
【化3】

【0019】
[式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表すが、R、R及びRの全てが同時に水素原子となることはない]
【0020】
上記(F)有機溶媒として、750mmHgにおける沸点が120〜250℃であるエーテル系溶媒の少なくとも1種を使用することが好ましい。
【0021】
本発明の第2は、本発明による光硬化型組成物に活性光線を照射することによって得られる硬化塗膜に関する。本発明による硬化塗膜は、タッチパネル用透明部材、液晶ディスプレイ用透明部材、又は有機薄膜トランジスタ用透明部材として使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、アルカリ水溶液によって現像が可能であり、作製した塗膜が低吸水性、高硬度であり、さらに、ガラス、金属酸化物、金属等の基材に対して高い密着性を有する光硬化型組成物を提供することができる。上記組成物は、上記各種特性を有するとともに、活性エネルギー線によって容易に硬化し、良好な塗膜を形成する。そのため、液晶ディスプレイ、その他タッチパネル等の各種表示装置の分野における層間絶縁膜形成用透明部材として、又は有機TFT等の分野で使用する透明部材として、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明による光硬化型組成物の硬化塗膜を使用したタッチパネルの一実施形態を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
<光硬化型組成物>
本発明による光硬化型組成物は、(A)分子内にカルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレート共重合体であるアルカリ可溶性樹脂、(B)シリカ微粒子、(C)単一分子内に1以上の(メタ)アクリロイル基を有する反応性モノマである特定の2種の成分、及び(D)光重合開始剤を含むことを特徴とする。ここで、「光硬化型」とは、電子線、光線等のエネルギー線の照射によって、各成分間で反応が起こり、硬化可能であることを意味する。以下、上記光硬化型組成物を構成する各成分について説明する。
【0025】
(A)アルカリ可溶性樹脂
本発明で使用するアルカリ可溶性樹脂(A)は、分子内にカルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレート共重合体である。ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。このような(メタ)アクリレート共重合体において、カルボキシル基はアルカリ水溶液に対する溶解性を提供し、エチレン性不飽和基は光又は熱に対する硬化性を提供するものとなる。上記共重合体は、硬化性の観点から、1分子内に2以上のエチレン性不飽和基を有することが好ましい。また、上記エチレン性不飽和基の具体例として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられるが、中でも反応性が良好であることから、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0026】
アルカリ可溶性樹脂(A)として使用する上記(メタ)アクリレート共重合体は、先ず(1)カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートと、その他の第1の重合性化合物とを使用してカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート共重合体を製造する工程、次いで(2)上記(1)で得た共重合体におけるカルボキシル基の一部に側鎖としてエチレン性不飽和基を導入するために、上記カルボキシル基と反応する官能基を有する第2の重合性化合物を、上記共重合体と反応させる工程を含む方法によって製造することができる。以下、上記(メタ)アクリレート共重合体の製造法について、より具体的に説明するが、製造方法はそれらに制限されるものではない。
【0027】
上記(メタ)アクリレート共重合体の製造法において、上記工程(1)では、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートの使用を必須とし、その他、種々の重合性化合物を使用して共重合体を構成することができる。特に限定するものではないが、本発明で使用できるカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートの具体例として、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
【0028】
上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートと併用可能な第1の重合性化合物の具体例として、脂肪族、脂環式及び芳香族の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。しかし、第1の重合性化合物は、(メタ)アクリロイル基含有化合物に限らず、ビニル基等のその他のエチレン性不飽和基を含むモノマ化合物であってよい。例えば、上記第1の重合性化合物として、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物を使用することができる。また、マレイミド等のエチレン性不飽和基を含む環状構造のモノマ化合物を使用することができる。以下、上記第1の重合性化合物として使用可能な各種モノマ化合物を具体例に説明する。
【0029】
上記脂肪族(メタ)アクリレートの具体例として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、その他、アルキル鎖C12−C15のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜20のアルキル(メタ)アクリレート、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート等の炭素数が1〜20のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
また、上記芳香族(メタ)アクリレートの具体例として、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
さらに、上記脂環式(メタ)アクリレートの具体例として、シクロ環とエチレン性不飽和結合を有する環式モノマが挙げられる。それらは、シクロペンテニル(メタ)アクリレート等のシクロ環がシクロアルカン環である環式モノマや、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のシクロ環がシクロアルケン環である環式モノマであってもよい。
【0032】
また、上記脂環式(メタ)アクリレートの別の例として、ビシクロ環とエチレン性不飽和結合を有する環式モノマが挙げられる。より具体的には、ボルニル基(endo−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル基)と(メタ)アクリロイル基とを有する環式モノマ(ボルニル(メタ)アクリレート等)、イソボルニル基(exo−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル基)と(メタ)アクリロイル基とを有する環式モノマ(イソボルニル(メタ)アクリレート等)等が挙げられる。
【0033】
さらに脂環式(メタ)アクリレートの別の例として、トリシクロ環とエチレン性不飽和結合とを有する環式モノマが挙げられる。より具体的には、トリシクロ基として、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンから水素原子1つが除かれてなるトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−デセン(トリシクロ[5.2.1.02,6]−デカ−3−エン)から水素原子1つが除かれてなるトリシクロ[5.2.1.02,6]−3−デセニル基(ジシクロペンテニル基とも称される。)を有し、エチレン性不飽和結合として(メタ)アクリロイル基を有する、環式モノマが挙げられる。
【0034】
ここで、上記例示したトリシクロ基と(メタ)アクリロイル基とは、−O−又は−O−R−O−(Rはアルキレン基)を介して結合していることが好ましい。トリシクロ環とエチレン性不飽和結合とを有する環式モノマの具体例として、以下の化合物が挙げられる。
アクリロイルオキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(日立化成工業社製、FANCRYL FA−513A)、メタクリロイルオキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(日立化成工業社製、FANCRYL FA−513M)等の、(メタ)アクリロイルオキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン。
アクリロイルオキシトリシクロ[5.2.1.02,6]−デカ−3−エン(日立化成工業社製、FANCRYL FA−511A)等の、(メタ)アクリロイルオキシトリシクロ[5.2.1.02,6]−デカ−3−エン。
アクリロイルオキシエチルオキシトリシクロ[5.2.1.02,6]−3−デセン(日立化成工業社製、FANCRYL FA−512A)等の、(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキシトリシクロ[5.2.1.02,6]−デカ−3−エン。
【0035】
上記マレイミド構造を有する化合物の具体例として、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド等のN−アルキルマレイミド、N−ヒドロキシメチルマレイミド、N−1−ヒドロキシエチルマレイミド等のN−ヒドロキシアルキルマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−2−クロロシクロヘキシルマレイミドなどのシクロアルキルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド等のN−アリールマレイミドが挙げられる。特に限定するものではないが、例示した中でも、透明性及び溶解性の観点から、N−シクロアルキルマレイミドを使用することが好ましく、N−シクロヘキシルマレイミド、N−2−メチルシクロヘキシルマレイミドを使用することがさらに好ましい。これら化合物は、単独で使用しても又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。マレイミド構造を有する化合物を使用する場合は、上記工程(1)において使用する全モノマ成分の全質量に対して3〜50質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0036】
本発明において、上記工程(1)で製造する(メタ)アクリレート共重合体は、カルボキシル基を必須とし、その一部を工程(2)では不飽和基を導入するための反応性部位として使用する。そのような反応性部位を形成するために、上記(メタ)アクリレート共重合体は、必要に応じて、カルボキシル基以外に、側鎖の導入を可能とする水酸基等の他の官能基を有してもよい。そのような共重合体を製造するために、上記工程(1)では、上記第1の重合性化合物として、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートを使用することができる。側鎖の導入を可能とする水酸基等の官能基を有する(メタ)アクリレートは、上記工程(1)において使用する全モノマ成分の全質量に対して0〜30質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0037】
特に限定するものではないが、本発明の一実施形態において、上記工程(1)で製造する(メタ)アクリレート共重合体は、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートと、脂肪族、芳香族並びに脂環式(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリロイル基以外のエチレン性不飽和基を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種の第1の重合性化合物との重合によって得られる。本発明では、上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートの使用量を適切に調整することによって、アルカリ水溶液による現像時の樹脂の溶解性を調節することが可能である。
【0038】
本発明の一実施形態において、上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートは、上記共重合体を製造するために使用するモノマ成分の全質量を基準として、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜45質量%、特に好ましくは7〜45質量%となる範囲で使用することができる。全モノマ成分の質量に対する上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートの質量比を1質量%以上とすることによって、アルカリ水溶液に対する現像性を高めることができる。一方、重合比を50質量%以下とすることで、現像時にアルカリ水溶液に対する樹脂の溶解性が高くなり過ぎてパターンが流れる等の不具合を抑制することができ、精工なパターンを形成することができる。全モノマ成分中の上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートの質量比は、アルカリ水溶液の濃度に依存して適切に調整することが望ましいが、一般的に現像時に使用されるアルカリ水溶液の濃度を考慮すると、上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートの質量比は、7〜45質量%の範囲とすることが特に好ましい。
【0039】
上記第1の重合性化合物として使用する脂肪族(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート及び脂環式(メタ)アクリレートは、上記共重合体を製造するために使用するモノマ成分の全質量に対して、10〜90質量%の割合で使用することが好ましい。特に限定するものではないが、上記各種(メタ)アクリレートの中でも、脂環式(メタ)アクリレートを使用した場合は、透明性等の特性がより良好となる点で好ましい。また、上記第1の重合性化合物としてマレイミド構造を有するモノマ化合物を使用する場合は、モノマ成分の全質量に対して3〜50質量%の範囲で使用することが好ましい。また、上記第1の重合性化合物として水酸基を有する(メタ)アクリレートを使用する場合には、モノマ成分の全質量に対して0〜30質量%の範囲で使用することが好ましい。さらにその他のモノマ成分、例えば、スチレンやα-メチルスチレンを使用する場合には、上記各モノマ成分の残部質量の範囲で調整することができる。
【0040】
上記工程(1)の後、得られた共重合体を、該共重合体におけるカルボキシル基、又は必要に応じて導入された水酸基等の官能基に対して付加反応可能な官能基を有し、かつエチレン性不飽和基を有する第2の重合性化合物と反応させて、上記共重合体にエチレン性不飽和基を導入することができる。特に限定するものではないが、上記第2の重合性化合物における官能基の具体例として、イソシアネート基及びエポキシ基が挙げられる。本発明において、上記第2の重合性化合物として使用できるイソシアネート基含有化合物の具体例として、2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。また、エポキシ基含有化合物の具体例として、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0041】
上記工程(1)によって得られるカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート共重合体に対する、上記第2の重合性化合物の付加量は、好ましくは0.01〜5.0mmol/g、より好ましくは0.05〜4.5mmol/g、特に好ましくは0.1〜4.0mmol/gの範囲である。上記第2の重合性化合物の付加量を上記範囲に調整することによって、成分(A)として使用する共重合体に、本発明において所望とする作用効果を奏するに適切な反応性を付与することができる。
【0042】
(B)シリカ微粒子
本発明で使用するシリカ微粒子は、ケイ素を含有する金属酸化物であればよく、特に限定されるものではない。しかし、シリカ微粒子の粒径は、小さすぎると分散性の低下を招き、一方、大きすぎると透過率の低減を招く傾向がある。本発明の一実施形態において、使用するシリカ微粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜500nm、より好ましくは1〜300nm、特に好ましくは1nm〜200nmである。この範囲の粒径を有するシリカ微粒子を使用することによって、分散安定性や透過率の低下を抑制することができる。なお、上記平均粒子径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0043】
シリカ微粒子の添加量は、光硬化型組成物における全固形成分(有機溶媒を除く成分)の質量を基準として、5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましく、10〜40質量%が特に好ましい。シリカ微粒子を上記範囲の添加量で使用することによって、十分な硬度を有する塗膜を提供することが容易となる。また、光硬化型組成物の優れた分散性及び保存安定性を維持することが容易である。
【0044】
本発明で使用するシリカ微粒子は、乾燥された粉末状のシリカ微粒子であっても、有機溶媒に分散されたコロイダルシリカであってもよい。組成物の分散安定性を得るために、上記コロイダルシリカを使用することが好ましい。上記コロイダルシリカを形成するために使用する有機溶媒は、光硬化型組成物中に含まれる樹脂、ポリマ等の有機成分を溶解可能であり、さらにコロイダルシリカが良好に分散可能となる有機溶媒であればよく、特に制限されるものではない。数種類の有機溶媒を混合して使用してもよい。
【0045】
上記コロイダルシリカを形成するための有機溶媒の一例として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、さらにジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールのモノ又はジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルのアセチル化物、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールのモノ又はジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルのアセチル化物、β−ラクトン、γ−ラクトン、δ−ラクトン等のラクトンが挙げられる。
【0046】
(C)反応性モノマ
本発明で使用する(C)単一分子内に1以上の(メタ)アクリロイル基を有する反応性モノマは、密着性等の観点から、(C1)フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物及び(C2)アルコキシシラン部位を有する(メタ)アクリレート化合物を必須成分とする。上記(C1)成分としては、下記一般式(1)で示されるジ(メタ)アクリレート化合物が好ましく、(C2)成分としては、下記一般式(2)で示される分子内にアルコキシシラン部位を有するモノ(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
本発明においては、上記反応性モノマ(C)として、成分(C1)及び(C2)の他に、さらに成分(C3)として、上記(C1)以外に、吸湿性及び密着性の観点から、分子内に2以上のエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレート化合物を使用することが好ましい。以下、各成分について説明する。
【0047】
成分(C1)
成分(C1)は、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物であるが、具体的には下記一般式(1)で示されるジ(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
【化4】

【0048】
上記式において、2つのRは各々独立に水素原子又はメチル基を表し、2つのRは各々独立に置換又は未置換の炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、複数のRは各々独立に置換又は未置換の炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、mは0〜10の整数である。上記R及びRにおける炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、より具体的には置換又は未置換の炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基若しくはアルキニレン基、炭素数5〜12のシクロアルキレン基、炭素数6〜14のアリーレン基又は炭素数7〜20のアラルキレン基が挙げられる。
【0049】
本発明で成分(C1)として使用できる化合物の具体例として、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、上記各化合物のエトキシ部分が複数繰り返されているもの(即ち、一般式(I)の−(OR)m−が−(OC)m−であり、mが1以上のもの)、同様にエトキシ部分がプロポキシ基として1つ又は複数繰り返されているもの(即ち、Rが−C(CH)−であり、一般式(I)の−(OR)m−が−(OC(CH))m−であり、mが0以上のもの)等が挙げられる。中でも、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン及び9,9−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンが好ましい。
【0050】
成分(C2)
成分(C2)は、下記一般式(2)で示される分子内にアルコキシシラン部位を有するモノ(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
【化5】

【0051】
上記式において、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜10の炭化水素基(好ましくは炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基)を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基(好ましくは炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基)を表し、nは1〜6の整数であり、rは0〜2の整数を表す。
【0052】
本発明で成分(C2)として使用できる化合物の具体例として、γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジエチルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジエチルエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0053】
特に限定するものではないが、光硬化型組成物の流動性の低減、熱安定性の観点から、好ましい化合物として、γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0054】
成分(C3)
本発明では、反応性モノマ(C)は、上記成分(C1)及び(C2)に加えて、(C3)として、それら成分とは異なる、分子内に2以上の不飽和基を有する(メタ)アクリレート化合物を使用することが好ましい。このように、反応性モノマ(C)が、上記成分(C3)を含むことによって、さらに密着性等を向上させることが可能となる。
本発明において、成分(C3)は、分子内に2以上の不飽和基を有する(メタ)アクリレート化合物であればよく、特に限定されない。本発明で成分(C3)として使用できる化合物の具体例として、EO(エチレンオキサイド)変性ビスフェノールAジアクリレート、ECH変性ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性リン酸ジアクリレート、ECH(エピクロルヒドリン)変性フタル酸ジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、ポリプロピレングリコール400ジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(POはプロピレンオキシドを意味する。以下同様)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のアクリレート、これらに対応するメタクリレートが挙げられる。
【0055】
特に限定するものではないが、先に例示した化合物の中でも、EO変性ビスフェノールAジアクリレート及びEO変性ビスフェノールAジメタクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物が密着性等の点で好ましい。
【0056】
上記反応性モノマ(C)を、上記成分(C1)、(C2)及び(C3)から構成する場合、各成分を適切な割合で配合することによって、塗膜の密着性及び硬度といった各種特性をバランス良く高めることができる。本発明の一実施形態において、光硬化型組成物における上記成分(C1)〜(C3)の割合は、上記組成物における全固形成分の質量を基準として、(C1)が好ましくは5〜25質量%、特に好ましくは10〜25質量%の範囲であり、(C2)が好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは3〜15質量%の範囲であり、(C3)が好ましくは5〜25質量%、特に好ましくは10〜25質量%の範囲である。成分(C1)の使用量を5質量%以上にすることで、塗膜の硬度を高めることが容易となり、25質量%以下にすることで、塗膜の硬度及び密着性といった両特性をバランス良く提供することが容易となる。成分(C2)の使用量を1質量%以上とすることで、系内にシリカを良好に分散させ易くなり、15質量%以下とすることで、有機溶媒との良好な相溶性を維持し易くなる。(C3)が5質量%以上とすることで、十分な硬度を有する塗膜を提供することが容易となり、25質量%以下にすることによって、十分な密着性を有する塗膜を提供することが容易となる。
【0057】
(D)光重合開始剤
本発明で使用する光重合開始剤は、光照射によってラジカル等の活性種を発生し、重合化を促進する化合物であれば良い。本発明の実施例では、i線(波長:365nm)によって光ラジカル反応を引き起こす光重合開始剤について検討したが、光重合開始剤の種類は特に限定されるものではなく、適用する波長に応じて、光重合開始剤として周知の化合物から適切な化合物を適宜選択して使用することができる。
【0058】
本発明で使用できる光重合開始剤の一例として、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
光重合開始剤の含有量は、光硬化型組成物における全固形成分の質量を基準として、0.01〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、0.1〜7質量%が特に好ましい。光重合開始剤の含有量を上記範囲にすることによって、組成物の光感度を高めて、反応を促進することが容易である。また、透明性及び得られるパターン切れの低下、さらに未露光部の現像残渣の発生といった問題が起こり難くなる。
【0060】
(E)多価エポキシ化合物
本発明においては、密着性等をさらに向上させるために、エポキシ基を分子内に2以上有する多価エポキシ化合物を使用することが好ましい。このような多価エポキシ化合物としては、β位にメチル基を有するエポキシ基を分子内に2以上有するモノマ化合物であることが好ましく、このようなエポキシ基を2つ有する、ジエポキシ化合物であることがより好ましい。下記一般式(3)で示される化合物を含むことが好ましい。
【0061】
【化6】

【0062】
上記一般式(3)において、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基である。但し、R、R及びRの全てが水素原子となることはない。上記一般式(3)で示される具体的な化合物の一例として、1,2:8,9ジエポキシリモネン(ダイセル化学社製、商品名「セロキサイド3000」)が挙げられ、本発明において好適に使用することができる。
【0063】
光硬化型組成物を硬化し塗膜として形成された際のジエポキシモノマの割合は、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%が特に好ましい。光硬化型組成物における全固形成分の質量を基準としてジエポキシモノマの割合が1質量%未満の場合、吸湿性の低下が見られることがあり、また30質量%よりも多い場合は、保存安定性に悪影響を与える可能性がある。上記の範囲で混合された場合、吸湿性の低下及び保存安定性への影響は小さくなることが明確であった。
【0064】
(F)有機溶媒
本発明では、一般的に各成分を溶解又は分散するために有機溶媒を使用する。その種類は、特に限定するものではないが、現像特性等の観点から、750mmHgにおける沸点が120〜250℃であるエーテル系溶媒の少なくとも1種を用いることが好ましく、その量は、光硬化型組成物の総量を基準として、1質量%から90質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0065】
上記エーテル系溶媒の具体例として、プロピレングリコールメチルエーテル(121℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(190℃)、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(242℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(175℃)、プロピレングリコールn−プロピルエーテル(150℃)、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル(212℃)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル(170℃)、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(229℃)、プロピレングリコールフェニルエーテル(243℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(138℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(202℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(171℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(202℃)が挙げられる。
【0066】
さらに本発明では、粘度調整及び溶解性の観点から、他の有機溶媒を上記エーテル系溶媒と組み合わせて使用してもよい。本発明で使用できる溶媒の具体例として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、さらにジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールのモノ又はジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルのアセチル化物、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルのアセチル化物、β−ラクトン、γ−ラクトン、δ−ラクトン等のラクトンが挙げられる。
【0067】
以上、本発明による光硬化性組成物を構成する主要な成分について説明した。しかし、本発明による光硬化型組成物は、上述の成分に限定されず、基材上に積層する用途を想定し、必要に応じて、当技術分野で周知の各種添加剤をさらに含んでもよい。特に限定するものではないが、本発明による光硬化性組成物は、追加成分として、界面活性剤、カップリング剤及び反応制御剤からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。以下、これらの成分について説明する。
【0068】
(界面活性剤)
本発明の光硬化型組成物に界面活性剤を添加することによって、光硬化物を形成するために基材上に上記組成物を塗布する場合に、乾燥ムラや塗布残り、さらに筋ムラ等の不具合を低減又は改善することができる。使用する界面活性剤は、光硬化型組成物の表面張力を調整可能なものであればよく、特に限定されるものではない。本発明では、例えば、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤として周知である1種の化合物を使用するか、又は必要に応じて数種の化合物を併用することができる。
【0069】
シリコーン系界面活性剤としては、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体が挙げられる。添加量としては、光硬化型組成物の総量を100質量%とした場合、0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜4質量%が特に好ましい。添加量を0.001質量%以上とすることで添加による効果を容易に得ることができる。一方、添加量を5質量%以下とすることによって、組成物を塗布する際にはじき、引け等の不具合が生じることを防止することができる。さらに、光硬化型組成物を硬化した後に、他の材料を積層する場合に、密着性の低下、はじき等の不具合が生じることを防止することができる。
【0070】
(カップリング剤)
本発明の光硬化型組成物にカップリング剤を添加することによって、組成物から得られる塗膜の基材に対する密着性を向上させることができる。上記(C2)成分もカップリング剤として使用されるものであるため、ここでいうカップリング剤は、(C2)成分以外のものである。このカップリング剤としては当技術分野で周知の各種化合物であってよく、基材の構成材料に応じて、密着性の向上に効果的な化合物を適切に選択することが好ましい。
【0071】
特に限定するものではないが、本発明で使用できるカップリング剤として、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のグリシジル系シランカップリング剤、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤、
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤、等が挙げられる。
【0072】
カップリング剤を使用する場合、その添加量は、光硬化型組成物における全固形成分の質量を基準として、0.1〜20質量%が好ましい。密着性の向上効果を十分に発現させる観点から、光硬化型組成物の全固形成分の質量を100質量%とした場合、添加量は0.1質量%以上とすることが好ましい。一方、光硬化型組成物の保存安定性を維持する観点から、添加量は20質量%未満とすることが好ましい。したがって、本発明の一実施形態として、カップリング剤の添加量は、光硬化型組成物の総量を100質量%とした場合、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%が特に好ましい。添加量を適切に調整することによって、他の特性に悪影響を及ぼすことなく、基材への密着性を効果に高めることができる。
【0073】
(反応制御剤)
本発明の光硬化型組成物に反応制御剤を添加することによって、光照射前の反応を制御して安定な組成物を得ることができる。本発明で反応制御剤として使用する化合物は、特に限定されるものではなく、当技術分野で周知の化合物であってよい。例えば、暗反応を抑制するために、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール等の熱重合禁止剤を使用することができる。反応制御剤の添加量は、光硬化型組成物における全固形成分の質量を基準として、0.01〜10質量%が好ましい。
【0074】
本発明による光硬化型組成物は、各種混合装置を用いて上述の各種成分を均一に混合及び分散することによって調製することができる。混合及び分散は、当技術分野で周知の技術を適用することができる。
【0075】
<硬化塗膜の形成>
本発明による光硬化型組成物は、基材上に塗布して乾燥し、その塗布面に活性光線を照射することによって容易に硬化塗膜を形成することができる。本発明の一実施形態として、上記光硬化型組成物は、基材上にパターン化された薄膜(硬化物層)として形成されることが好ましい。上記パターン化された硬化物層は、基材上に光硬化型組成物層を形成する積層工程と、上記層の所定部分に活性光線を照射して露光部と非露光部を形成する露光工程と、上記層において上記非露光部を選択的に除去する現像工程とを備える方法によって形成することができる。
【0076】
ここで、本発明で記載する「基材」は、基材を構成する材料によって限定されるものではなく、上記薄膜を独立して支持する部材となるものであればよい。例えば、上記基材は、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス基板;ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなるシート、フィルム又は基板;アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属基板;セラミック基板;光電変換素子を有する半導体基板;表面に色材層を備えるガラス基板(LCD用カラーフィルタ)等の各種材料から構成される部材であってよい。
【0077】
上記積層工程において、本発明の一実施形態として、支持体と、該支持体上に形成される本発明の光硬化型組成物を用いて形成してなる層とを備えた感光性エレメントを形成することができる。支持体としては、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等のフィルムを使用することが好ましい。光硬化型組成物層の形成は、ナイフコーター塗布、グラビアコーター塗布、ロールコーター塗布、スプレーコーター塗布等を使用して、上記光硬化型組成物を支持体上に塗布し、次いで、通常、40〜200℃、好ましくは50〜130℃の温度で1秒〜30分間にわたって乾燥することによって実施することができる。このような乾燥処理は、上記光硬化型組成物層から余分な有機溶媒を効率よく除去するために、ホットプレート、クリーン乾燥機等の装置を使用して実施してもよい。塗膜の平坦性や乾燥性を考慮し、熱乾燥の前に真空乾燥を行ってもよい。光硬化型組成物層の厚さは、0.1〜300μmが好ましく、0.2〜30μmがより好ましく、0.2〜10μmが更に好ましい。
【0078】
また、上記露光工程において、照射する活性光線は、組成物を硬化させ得る光エネルギーであればよく、当技術分野で周知の技術を適用することができる。特に限定するものではないが、例えば、光源として、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、可視光レーザーを使用することができる。上記活性光源を照射する際に、マスク部材等を使用して光硬化型組成物層を部分的に隠蔽することによって、露光部と非露光部を形成することができる。上記積層工程において、上記積層体を感光性エレメントとして構成した場合には、支持体面から露光しても、上記積層体を所定の場所に配置し支持体を剥離した後に露光してもよい。
【0079】
さらに、上記現像工程では、上記露光工程後に積層体の光硬化型組成物層に向けてアルカリ水溶液を吹き付けるか、上記積層体をアルカリ水溶液中に浸漬する等の方法によって、上記層における未露光部を除去し、パターン化された硬化物層を得ることができる。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、メタケイ酸ナトリウム等の無機アルカリ水溶液、又はモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルアミン、n−ブチルアミン等の有機塩基あるいはその塩を含む水溶液を使用することができる。積層体を感光性エレメントとした構成し、支持体側から露光した場合には、支持体を剥離した後に現像を行う。
【0080】
上記現像工程の終了後に、高圧水銀灯等の光源を使用して、0.5〜5J/cmの光量で後露光するか、又は60〜260℃の温度で10秒〜120分間にわたって後加熱する方法によって、積層体の後硬化工程を実施することが好ましい。このような後硬化工程を実施することによって、パターン化された硬化物層の硬度及び密着性をより強固にすることができる。
【0081】
<各種装置>
本発明の光硬化型組成物を用いて形成される硬化塗膜は、低吸湿性及び高硬度であり、また基材に対する密着性に優れている。さらに、上記硬化塗膜は、高い透過率を有するため、各種表示装置等の分野で所望される透明部材として好適である。特に限定するものではないが、上記硬化塗膜は、例えば、タッチパネル用透明部材、液晶ディスプレイ用透明部材、有機TFT用透明部材等として好適に使用することができる。なお、上記各種透明部材は、主に上記硬化塗膜から構成されるフィルム状の単層又は多層の部材であるが、必要に応じて、PETフィルム、PEフィルム、PPフィルム等の支持フィルム又は保護フィルムとして機能する別の膜と複合化されたものや2種類以上の硬化塗膜を複合化されたものであっても、又は表面に離型材を塗布する等の各種表面処理を施したものであってもよい。通常、上記硬化塗膜そのものを透明部材として使用することができる。
【0082】
図1は、本発明による硬化塗膜を使用して構成されるタッチパネルの一実施形態を示す模式的断面図である。図1に示したように、タッチパネルは、ガラス基板等の基材10上に設けられたITO等の第1の透明電極20と、本発明による硬化塗膜からなる第1の絶縁膜30及び第2の絶縁膜32と、上記第1の絶縁膜30上に配置され、かつ上記第1の透明電極20とコンタクトホール22を介して導通する第2の透明電極24とを有する。このような構造を有するタッチパネルでは、各層の間の密着性が良いことが好ましい。また、上記第1の透明電極と上記第2の透明電極とを導通させるためのコンタクトホールが、精度よく形成されていることが好ましい。本発明による光硬化型組成物を硬化して得られる塗膜は、アルカリ水溶液による現像が可能であり、かつその塗膜が低吸湿性、高硬度であり、さらに基材に対する密着性に優れている、上記第1及び第2の絶縁膜を構成する透明材料として好適に使用することができる。このように、本発明による硬化塗膜は、所望される上記各種特性に優れているため、それらを使用することによって信頼性の高いタッチパネルを実現することが可能となる。また、本発明による硬化塗膜は、タッチパネルの層間絶縁膜の用途に限らず、その他の表示装置又はTFT等の分野で所望される透明部材として好適に使用することができ、様々な用途で要求される高い品質及び信頼性を実現することができる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明の内容を実施例により詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において広範に異なる実施形態を構成することができることは明白である。
【0084】
1.光硬化型組成物の製造
(アルカリ可溶性樹脂の製造)
以下の手順に従って、カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を含む(メタ)アクリレート共重合体であるアルカリ可溶性樹脂を調製した。
(A)1Lスケールの四つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート264g、及び乳酸メチル66gを秤取り、窒素でバブリングしながら、液温を90℃に保った。このようにして得た溶液を溶液(A)とする。
【0085】
(B)1Lビーカー内で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート240g、乳酸メチル60g、メタクリロイルオキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(日立化成工業社製、FANCRYL FA−513M)86.4g、N−シクロヘキシルマレイミド36.5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート106.7g、メタクリル酸40.5gを混合し、窒素バブリングしながら溶解させた。N−シクロヘキシルマレイミドの溶解を確認した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3gを溶解させた。このようにして得た溶液を溶液(B)とする。
【0086】
(C)次いで、上記溶液(B)を上記溶液(A)に3時間かけて連続的に滴下し反応溶液を供し、その後、上記反応溶液を3時間にわたって90℃に保持した。3時間にわたって90℃に保持している間、数回に分けて、40gのジエチレングリコールジメチルエーテルの中に予め溶解させておいた2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.6gを、残存モノマを低減するために上記反応溶液に添加した。上述のように、合計6時間、90℃で反応を行った後に、120℃まで液温を上昇させ、1時間にわたって120℃に保持し、その後自然冷却して、(メタ)アクリロイル基を有するモノマを単量体単位として含む重合体の溶液を得た。このようにして得た溶液を溶液(C)とする。
【0087】
(D)上記重合体にエチレン性不飽和結合(メタクリロイル基)を導入するために、上記重合体を含む上記溶液(C)に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナートと錫系の触媒とを添加し、80℃で2〜3時間保持し、さらに自然冷却することにより、側鎖及び/又は末端にエチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリル共重合体の溶液を得た。以下、上記(メタ)アクリル共重合体を樹脂Aと略す。なお、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナートは、上記重合体の質量を基準として、0.5mmol/gとなる量で添加した。
【0088】
(実施例1)
以下に示す各成分を配合し、光硬化型組成物を調製した。具体的には、先ず、成分(A)、(B)、(C)、(F)、(G)及び(H)を2Lディスポカップ中に入れ、30分間冷却水で冷却しながら、ホモミキサーにて10000rpmで上記成分を混合し、分散体を得た。次いで、上記分散体に、成分(D)及び(E)を添加し、攪拌しながら溶解させることによって、光硬化型組成物を得た。
(A)樹脂A 38.4質量部
(B)シリカ微粒子(平均粒子径約10nm、以下の実施例で使用したものも同様)
48.0質量部
(C)(C1)9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン 38.4質量部
(C2)γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン 16.0質量部
(C3)EO変性ビスフェノールAジアクリレート 32.0質量部
(D)2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン 6.3質量部
(E)1,2:8,9ジエポキシリモネン 10.5質量部
(F)プロピレングリコールモノメチルエーテル 160.0質量部
(その他添加剤)
(G)SH−29PA(界面活性剤)(東レダウコーニング社製) 1.2質量部
(H)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(有機溶媒)
649.2質量部
【0089】
(実施例2)
実施例1と同様の手順に従って、以下に示す各成分を配合し、光硬化型組成物を調製した。
(A)樹脂A 38.4質量部
(B)シリカ微粒子 48.0質量部
(C)(C1)9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン 38.4質量部
(C2)γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン 16.0質量部
(C3)ポリエチレングリコール♯200ジアクリレート 32.0質量部
(D)2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン 6.3質量部
(E)1,2:8,9ジエポキシリモネン 10.5質量部
(F)プロピレングリコールモノメチルエーテル 160.0質量部
(その他添加剤)
(G)SH−29PA(界面活性剤)(東レダウコーニング社製) 1.2質量部
(H)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(有機溶媒)
649.2質量部
【0090】
(実施例3)
実施例1と同様の手順に従って、以下に示す各成分を配合し、光硬化型組成物を調製した。
(A)樹脂A 38.4質量部
(B)シリカ微粒子 48.0質量部
(C)(C1)9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン 38.4質量部
(C2)γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン 16.0質量部
(C3)1,4−ブタンジオールジアクリレート 32.0質量部
(D)2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン 6.3質量部
(E)1,2:8,9ジエポキシリモネン 10.5質量部
(F)プロピレングリコールモノメチルエーテル 160.0質量部
(その他添加剤)
(G)SH−29PA(界面活性剤)(東レダウコーニング社製) 1.2質量部
(H)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(有機溶媒)
649.2質量部
【0091】
(比較例1)
実施例1と同様の手順に従って、以下に示す各成分を配合し、光硬化型組成物を調製した。
(A)樹脂A 62.4質量部
(C)(C1)9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン 62.4質量部
(C2)γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン 16.0質量部
(C3)EO変性ビスフェノールAジアクリレート 32.0質量部
(D)2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン 6.3質量部
(E)1,2:8,9ジエポキシリモネン 10.5質量部
(F)プロピレングリコールモノメチルエーテル 160.0質量部
(その他添加剤)
(G)SH−29PA(界面活性剤)(東レダウコーニング社製) 1.2質量部
(H)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(有機溶媒)
649.2質量部
【0092】
(比較例2)
実施例1と同様の手順に従って、以下に示す各成分を配合し、光硬化型組成物を調製した。
(A)樹脂A 43.7質量部
(B)シリカ微粒子(平均粒子径10〜20nm) 48.0質量部
(C)(C2)γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン 16.0質量部
(C3)EO変性ビスフェノールAジアクリレート 70.4質量部
(D)2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン 6.3質量部
(E)1,2:8,9ジエポキシリモネン 10.5質量部
(F)プロピレングリコールモノメチルエーテル 160.0質量部
(その他添加剤)
(G)SH−29PA(界面活性剤)(東レダウコーニング社製) 1.2質量部
(H)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(有機溶媒)
649.2質量部
【0093】
(比較例3)
実施例1と同様の手順に従って、以下に示す各成分を配合し、光硬化型組成物を調製した。
(A)樹脂A 38.4質量部
(B)シリカ微粒子 48.0質量部
(C)(C1)9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン 38.4質量部
(C3)EO変性ビスフェノールAジアクリレート 48.0質量部
(D)2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン 6.3質量部
(E)1,2:8,9ジエポキシリモネン 10.5質量部
(F)プロピレングリコールモノメチルエーテル 160.0質量部
(その他添加剤)
(G)SH−29PA(界面活性剤)(東レダウコーニング社製) 1.2質量部
(H)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(有機溶媒)
649.2質量部
【0094】
2.塗膜の評価
各実施例及び各比較例で調製した各々の光硬化型組成物を使用し、以下に示す(1)〜(5)の手順に従い、膜厚1μmになるように成膜することによって、サンプルを形成した。
(1)塗布工程:ガラス基板(AN100)上に、スピンコーターを用いて、各々の光硬化型組成物を塗布した。
(2)仮乾燥工程:上記(1)で得た基板を、90℃に加温したホットプレート上に3分間にわたって静置し、余分な有機溶媒を除去した。
(3)露光工程:50μm角の透過部と50μm角の遮光部が石英上に形成されているマスクを、パターンの形成を行うマスクとして用いた。活性光線としては超高圧水銀ランプを用いた露光機で約200mJ/cmのUV光を照射して50μmの透過部を硬化させた。
(4)現像工程:約0.05%濃度のNaCO水溶液を現像液とし、シャワー式現像槽にてシャワー圧0.025kgf/cm、現像温度25℃で約30秒現像した。現像後は、NaCO水溶液を完全に除去するために、純水で洗浄し、エアーを吹きかけ乾燥させた。
(5)本焼成工程:230℃のクリーンオーブン中に約40分間静置した。その後取り出し、室温に放置し冷却した。
【0095】
次いで、上述のようにして得た各々のサンプルの各種特性について、以下に示す評価方法に従って評価した。評価結果を表1及び2に示す。
【0096】
(a)現像特性
現像時間30秒以内で現像が可能か否かを目視により判断した。現像可能であれば「○」、現像できていなければ「×」とする。
【0097】
(b)鉛筆硬度測定
JIS規格5600の鉛筆硬度試験に準拠して試験を行った。
【0098】
(c)マルテンス硬さ値測定
フィッシャースコープ HM−500(フィッシャーインストルメンツ社製)を使用し、ビッカース圧子、負荷荷重35mN、負荷時間20秒、測定温度25±2℃の条件下で測定した。
【0099】
(d)吸湿・密着性評価
プレッシャークッカー(温度120℃、圧力1atm、湿度100%)内にサンプルを3時間にわたって静置した。その後、サンプルが室温まで冷えた時点で、JIS規格5600の碁盤目テープ剥離試験に準拠した試験を行った。
【0100】
(e)透過率
塗膜形成後の透過率として、サンプルの透過率を、島津製作所製のUV−2400PCを使用し、測定波長400nmで測定した。
【0101】
(f)耐熱性
塗膜形成後の耐熱性として、サンプルを250℃で1時間にわたって加熱処理を行った後に透過率を測定した。測定条件は(e)と同様である。
【0102】
【表1】

【0103】
【表2】

【符号の説明】
【0104】
10 基材
20 第1の透明電極
22 コンタクトホール
24 第2の透明電極
30 第1の絶縁層
32 第2の絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子内にカルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレート共重合体であるアルカリ可溶性樹脂と、
(B)シリカ微粒子と、
(C)単一分子内に1以上の(メタ)アクリロイル基を有する反応性モノマであって、
(C1)フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、及び
(C2)アルコキシシラン部位を有する(メタ)アクリレート化合物
を含む反応性モノマと、
(D)光重合開始剤と
を含むことを特徴とする光硬化型組成物。
【請求項2】
(E)成分として、多官能エポキシ化合物をさらに含む、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項3】
(F)成分として、有機溶媒をさらに含む、請求項1又は2に記載の光硬化型組成物。
【請求項4】
前記(C1)成分が、下記一般式(1)で示されるジ(メタ)アクリレート化合物であり、前記(C2)成分が、下記一般式(2)で示されるモノ(メタ)アクリレート化合物である、請求項1、2又は3に記載の光硬化型組成物。
【化1】


[式中、2つのRは各々独立に水素原子又はメチル基を表し、2つのRは各々独立に置換又は未置換の炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、複数のRは各々独立に置換又は未置換の炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、mは0〜10の整数である]
【化2】


[式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、nは1〜6の整数であり、rは0〜2の整数である]
【請求項5】
前記(E)多官能エポキシ化合物が、下記一般式(3)で示される化合物であることを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の光硬化型組成物。
【化3】


[式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表すが、R、R及びRの全てが同時に水素原子となることはない]
【請求項6】
前記(F)有機溶媒として、750mmHgにおける沸点が120〜250℃であるエーテル系溶媒の少なくとも1種を使用することを特徴とする、請求項3、4又は5に記載の光硬化型組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の光硬化型組成物に活性光線を照射することによって得られる硬化塗膜。
【請求項8】
請求項7に記載の硬化塗膜を有するタッチパネル用透明部材。
【請求項9】
請求項7に記載の硬化塗膜を有する液晶ディスプレイ用透明部材。
【請求項10】
請求項7に記載の硬化塗膜を有する有機薄膜トランジスタ用透明部材。

【図1】
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【公開番号】特開2011−39165(P2011−39165A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184710(P2009−184710)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】