説明

アルカリ土類シリケート繊維の改質

溶融物から耐火性のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法は、意図される成分としてアルカリ金属を使用し、アルカリ金属を含まない繊維と比べて繊維の機械特性を改良することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ土類シリケート繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
無機繊維材料は既知であり、多くの目的で(例えば、バルク、マット又はブランケット形態における断熱材又は防音材として、真空成形された形状として、真空成形されたボード及び紙として、並びにロープ、糸又は布として;建築材料用の強化繊維として;乗り物用のブレーキ片の構成要素として)広範に使用されている。これらの大半の用途では、無機繊維材料を使用する所以となる特性が、耐熱性を必要とし、また攻撃的な化学環境に対する耐性を必要とすることが多い。
【0003】
無機繊維材料は、ガラス質又は結晶質のいずれであってもよい。アスベストは無機繊維材料であり、その一形態は呼吸器疾患と強く関係している。
【0004】
或る種のアスベストが疾患と関連する原因機構が何であるかは依然として明らかになってはいないが、この原因機構が機械的なものであり、サイズに関連すると考える研究者もいる。臨界サイズのアスベストは、体内の細胞を貫通するため、長期間繰り返される細胞損傷を通して、健康に悪影響を与えるおそれがある。この機構が真実であるか否かいずれにせよ、規制官庁は、呼吸して吸い込まれる部分(respiratory fraction)を有するいずれの無機繊維製品も有害と分類する要望を、かかる分類を裏付ける何らかの証拠の有無に関わらず示している。残念なことに、無機繊維が使用される多くの用途において、実用上の代替物はない。
【0005】
従って、(もし幾分あるとしても)可能な限り危険性がなく、安全であると信じられる客観的な根拠のある無機繊維についての要求がある。
【0006】
無機繊維が生理液に十分溶解性であるように製造されたなら、それらの人体内での滞留時間は短いため、損傷は起きないか又は少なくとも最小限とされるであろうと、一連の研究は提案している。アスベスト関連疾患の危険性はアスベストに曝される長さに大きく依存しているようなので、この考えは妥当であると思われる。アスベストは極度に非溶解性(insoluble)である。
【0007】
細胞内液は事実上、生理食塩水であるから、生理食塩水中での繊維の溶解性の重要性が長期にわたり認識されてきた。繊維が生理食塩水に溶解性であるなら、その溶解した成分が毒性ではないという条件で、繊維は不溶性(not so soluble)の繊維より安全であるはずである。アルカリ土類シリケート繊維は、生理食塩水溶解性繊維材料、非金属繊維材料、アモルファス繊維材料、無機酸化物繊維材料、耐火性繊維材料としての使用に提案されてきた。本発明は、主成分としてシリカを有するガラス質のアルカリ土類シリケート繊維に特に関する。
【0008】
国際特許出願第87/05007号は、マグネシア、シリカ、カルシア及び10重量%未満のアルミナを含む繊維が、生理食塩水に溶解性であることを開示している。開示されている繊維の溶解性は、生理食塩水に曝されてから5時間後の生理食塩水中に存在する(繊維のシリカ含有材料から抽出された)珪素の百万分率で換算された。国際特許出願第87/05007号は、高純度材料が使用されるべきであり、且つ存在する可能性のある不純物には総計で2重量%の上限が与えられることを述べている。アルカリ金属については上記特許には言及されていない。
【0009】
国際特許出願第89/12032号は、生理食塩水に溶解性である更なる繊維を開示しており、このような繊維中に存在し得る構成成分のいくつかを論じている。上記特許は、0.28〜6.84重量%の範囲の量のNaOの添加を開示してはいるが、NaOの存在が任意の効果を有するという示唆を与えてはいない。
【0010】
欧州特許出願第0399320号は、高度な生理学的溶解性を有し、且つ10〜20mol%のNaO及び0〜5mol%のKOを有するガラス繊維を開示している。これらの繊維は生理学的溶解性であると示されているが、それらの最高使用温度は示されていない。
【0011】
生理食塩水溶解性について繊維の選択を開示している更なる特許明細書としては、例えば、欧州特許第0412878号及び同第0459897号、フランス特許第2662687号及び同第2662688号、PCT国際公開第86/04807号、国際公開第90/02713号、国際公開第92/09536号、国際公開第93/22251号、国際公開第94/15883号、国際公開第97/16386号、並びに米国特許第5250488号が挙げられる。
【0012】
これらの様々な従来技術文献に開示されている繊維の耐火性はかなり様々であり、これらのアルカリ土類シリケート材料に関する特性は組成に大きく依存する。
【0013】
一般的に、低温使用において実験者が酸化ホウ素等の添加物を供給して良好な繊維化を保証することができ、且つ構成成分の量を変更して所望の材料特性に適合させることができるため、低温で良好に機能するアルカリ土類シリケート繊維を製造することは比較的容易である。しかしながら、アルカリ土類シリケート繊維の耐火性を向上させるためには、一般に(例外はあるものの)構成成分が多く存在するほど耐火性が低下してしまうため、添加物の使用を減らさざるを得ない。
【0014】
国際公開第93/15028号は、CaO、MgO、SiO及び任意にZrOを主成分として含む繊維を開示している。このような繊維は、CMS(カルシウムマグネシウムシリケート)繊維又はCMZS(カルシウムマグネシウムジルコニウムシリケート)繊維としてよく知られている。国際公開第93/15028号は、使用される組成物が本質的にアルカリ金属酸化物を含まないものとすべきであると要求している。0.65重量%以下の量は、1,000℃における断熱材(insulation)としての使用に好適な材料について許容可能であると示されている。また、国際公開第93/15028号は、低濃度(low level)のAl(<3.97%)を要求している。
【0015】
国際公開第94/15883号は、1,260℃以下又はそれ以上の温度で耐火性断熱材(refractory insulation)として使用可能な多数のかかる繊維を開示している。国際公開第93/15028号に関して、この特許は、アルカリ金属酸化物の含量を低く維持すべきことを要求しているが、いくつかのアルカリ土類シリケート繊維が、他のものよりも高濃度のアルカリ金属酸化物を許容し得ることを示している。しかしながら、0.3重量%及び0.4重量%の濃度のNaOは、1,260℃における断熱材として使用される材料の収縮率を増大させると懸念されている。アルミナの濃度を低く維持することの重要性が、この文献において強調されている。
【0016】
国際公開第97/16386号は、1,260℃以下又はそれ以上の温度の耐火性断熱材として使用可能な繊維を開示している。これらの繊維は、MgO、SiO及び任意にZrOを主成分として含んでいる。これらの繊維は、微量の不純物以外のアルカリ金属酸化物を実質的に必要としない(アルカリ金属酸化物として計算された場合、多くとも百分の一パーセントの濃度で存在する)と述べられている。繊維は、一般的な組成:
SiO 65〜86%
MgO 14〜35%
を有し、構成成分MgO及びSiOは、繊維の少なくとも82.5重量%を構成し、残余分は指定の(named)構成成分及び粘度調整剤である。このようなマグネシウムシリケート繊維は少量の他のアルカリ土類元素を含んでいてもよい。アルミナの濃度を低く維持することの重要性が、この文献において強調されている。
【0017】
国際公開第2003/059835号は、特定のカルシウムシリケート繊維を開示しており、この繊維の特定のカルシウムシリケート組成はアルミノシリケート煉瓦と低反応性を示し、すなわちこの組成は:
65%<SiO<86%
MgO<10%
14%<CaO<28%
Al<2%
ZrO<3%
<5%
<5%
72%<SiO+ZrO+B+5
95%<SiO+CaO+MgO+Al+ZrO+B+P
である。
また、この特許は、繊維及び当該繊維から製造されるブランケットの強度を改良するためのLa又は他のランタニド添加物の使用を開示している。この特許出願は、アルカリ金属酸化物の濃度について言及していないが、1,260℃以下又はそれ以上での断熱材としての使用を対象とした繊維中で約0.5重量%近辺の量を開示している。
【0018】
国際公開第2003/060016号は、少なくとも1,330℃以下の使用温度を有し、当該使用温度に曝された後で機械的完全性(mechanical integrity)を維持し、且つ生理液中で非耐久性である低収縮性で高温耐性の無機繊維を請求しており、この無機繊維は、71.25重量%を超え約85重量%以下のシリカ、0〜約20重量%のマグネシア、約5〜約28.75重量%のカルシア及び0〜約5重量%のジルコニア、並びに任意に、製品を繊維化可能にするのに有効な量の粘度調整剤の繊維化製品を含む。
【0019】
欧州特許第1323687号は、75〜80重量%のSiO、13〜25重量%のCaO、1〜8重量%のMgO、0.5〜3重量%のZrO及び0〜0.5重量%のAlを含み、(ZrO+Al)を0.5〜3重量%で含有し、(CaO+MgO)を15〜26重量%で含有する高温断熱材料用の生体溶解性セラミック繊維組成物を請求している。
【0020】
アルカリ土類シリケート繊維は、ケミカルアブストラクツサービス登録機関(登録番号:436083−99−7)において、以下:
「繊維形態で製造される化学物質。この分類は、アルカリ土類酸化物、シリカ及び他の少量/微量酸化物の溶融混合物をブロー成形するか又は紡糸(spinning)することにより製造される物質を包含する。当該繊維は、1,500℃(2,732°F(華氏))付近で溶融する。当該繊維は、シリカ(50〜82重量%)、カルシア及びマグネシア(18〜43重量%)、アルミナ、チタニア及びジルコニア(<6重量%)、並びに微量酸化物から主に成る。」
という定義を与えられている。
【0021】
この定義は、18%未満のアルカリ土類酸化物を含有するシリケート繊維に特別なラベル付け要求を課している欧州健康安全規則を反映している。
【0022】
しかしながら、国際公開第2003/059835号、国際公開第2003/060016号及び欧州特許第1323687号に関して明らかに示されているように、アルカリ土類シリケート繊維のシリカ含量は、より高い使用温度が要求されるにつれて増大し、このためアルカリ土類元素の含量を減少させる。
【0023】
本発明は、ケミカルアブストラクツの定義に反映される狭義の定義におけるアルカリ土類シリケート繊維だけでなく、より低濃度のアルカリ土類酸化物を有するアルカリ土類シリケート繊維にも適用できる。
【0024】
従って、本明細書において、アルカリ土類シリケート繊維とは、(国際公開第87/05007号(後記の繊維を初めて紹介している)に示されるように)シリカ及びアルカリ土類酸化物を主に含み、且つ10重量%未満のアルミナを含む材料であるとみなされるべきであり、好ましくは当該材料において、(ケミカルアブストラクツの定義に示されるように)アルミナ、ジルコニア及びチタニアは6重量%未満の量になる。規制理由より、好ましい材料は18%を超えるアルカリ土類金属酸化物を含有する。
【0025】
耐火性のアルカリ土類シリケート繊維に関して、アルカリ金属は、低濃度であれば許容可能な不純物とみなされているが、高濃度では耐火性に悪影響を及ぼすことが、従来技術により示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本出願人は、耐火性のアルカリ土類シリケート繊維の分野において容認される知識に反して、特定の狭い範囲内の少量のアルカリ金属の添加が、繊維の耐火性を著しく損なうことなく、製造される繊維の機械的品質(特に、繊維の強度)を改良することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0027】
従って、本発明は、溶融物から耐火性のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法であって、意図される溶融成分としてアルカリ金属を含有させ、アルカリ金属を含まない繊維と比べて繊維の機械特性及び/又は熱特性を改良することを含む、アルカリ土類シリケート繊維を製造する方法を提供する。
好ましくは、酸化物MOで表わされるアルカリ金属(M)の量が、0.2mol%を超える、及び好ましくは0.2mol%〜2.5mol%、より好ましくは0.25mol%〜2mol%の範囲内である。
【0028】
「アルカリ金属を含まない繊維」とは、全ての他の構成成分は同じ割合で存在するが、アルカリ金属を欠いている繊維を意味する。
【0029】
アルカリ金属は、繊維を用いて製造されるブランケットの引張強度を、アルカリ金属を含まないブランケットの引張強度よりも50%を超えて増大するのに十分な量で、且つ1,250℃に24時間曝したときの繊維の真空注型予備成形品において、下記の方法によって測定される収縮率が3.5%を超える量未満で好ましくは存在する。
【0030】
アルカリ金属が、(好ましくは酸化物形態で)溶融物への添加物として、又はアルカリ金属を構成成分又は不純物として含有する適量の材料を溶融物の成分として用いることにより、又は添加物及び構成成分若しくは不純物としての両方で提供され得ることは明白であろう。本発明は、溶融物が所望量のアルカリ金属を有し、本発明の有益な効果を達成することを保証することにある。
【0031】
本発明は、従来技術である上述のアルカリ土類シリケート組成物の全てに適用することができる。
【0032】
本発明の範囲及び更なる特徴は、以下の例示的な説明に鑑み且つ図面を参照することで特許請求の範囲により明白となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明者等は、繊維ブランケット工場(Bromborough, England)の製造試行ラインを用いて繊維ブランケットを製造した。溶融物を形成すること及び溶融物を(従来既知である)一対の紡績機に投入することにより繊維を製造した。
【0034】
基本(base)溶融物は、以下:
SiO 73.5重量%
CaO 25重量%
La 1.5重量%
の名目組成を有しており、少量の不純物を構成する他の構成成分及び特定量で添加される酸化ナトリウムも有していた。
【0035】
二色高温計を用いて溶融物流温度(melt stream temperature)をモニタリングした。
【0036】
紡績機により製造された繊維をコンベヤー上に流した後、ニードル加工してブランケットを従来の方法で形成した。
【0037】
ブランケットの厚み、密度及び引張強度を、種々の条件を用いて製造した繊維について測定した。
【0038】
溶融物流温度が繊維品質に影響を与えると考えられているため、繊維品質への溶融物流温度の影響を測定することを視野に入れて、ブランケットを製造した。
【0039】
また、本発明者等は、溶融物の粘度−温度曲線を平坦化することを視野に入れてアルカリ金属酸化物を添加するように確定し、さらに以下で説明されるように、溶融物の粘度−温度曲線が繊維製造の関連因子であると考えた。
【0040】
これらの試験結果を表1に記載し、図1及び図2に図示する。表1において、溶融物流温度、ブランケットの厚み、ブランケットの密度、引張強度、及び密度で除した引張強度を、全ての組成について示す(密度で除した引張強度を計算することにより、ブランケット中に存在する種々の量の材料に起因するバラツキを相殺させる)。また、選択される組成について、1,150℃及び1,250℃における予備成形品の収縮率を国際公開第2003/059835号と同じ方法で測定した。
【0041】
最初に注目すべきことは、ブランケット強度が、大きなバラツキを示す点である。これは、ブランケットの製造が、
・溶融物の組成
・溶融物の温度
・溶融物流温度
・粒子の含量(shot content)(繊維形態というより小滴形態に固化した溶融物)
・繊維直径
・繊維長
・ニードル加工条件
・後固化の熱履歴
を含む多くの可変要素を伴うためである。
【0042】
1つのライン上で一連の繊維を製造すること、並びに溶融物流温度及び組成(それぞれ、粒子の含量、繊維直径及び繊維長に影響を与える)のみを著しく変更させることにより、このようなバラツキを低減することが望まれた。しかしながら、ブランケットは個々の繊維の集合体であるため、必然的に、引張強度のような集合特性において統計学的なバラツキが存在してしまう。
【0043】
図1から見ることができるように、溶融物流温度に伴う強度では比較的小さなバラツキしかないようであるが、選択された溶融物流温度の範囲は、効果的であることが事前に分かった範囲を包含するように選択されているため、これは驚くべきことではない。
【0044】
しかしながら、NaO含量の漸進的増加に伴い、強度が増大する傾向にあると見ることができる。図2は、一連の組成に見られる最大強度、最小強度及び平均強度を示し、ブランケット強度が、NaO含量と強い正相関を示すことが分かる。対照的に、繊維の収縮率はほとんど影響を受けないと考えられる。
【0045】
名目上ゼロのNaO含量を有する繊維は、当然ながら、微小量(測定された平均的な含量0.038%〜最大0.11%)を有していた。ゼロまで外挿すると、NaOは、0.0675kPa/[kg/m]の平均引張強度/密度を与える。0.3%のNaOの添加に関する平均引張強度/密度は0.1426である。ブランケット強度の増大は100%を超え、またより少量の添加(例えば0.25mol%)でも50%の改良を上回ると予想される。
【0046】
【表1−1】

【0047】
【表1−2】

【0048】
これにより促されて、また適切なアルカリ金属酸化物の上限を測定することを視野に入れて、実験装置を使用して一連の更なるアルカリ土類シリケート繊維を本発明者等は製造した。ここで、溶融物は適切な組成から形成され、8〜16mmのオリフィスを介して取り出され、吹き付けて、既知の方法で繊維を製造した。(溶融物の粘度に応じるように取り出し口(tap hole)のサイズを変更した−これは、使用される装置及び組成に応じて実験的に決定すべき調節事項である)。1,150℃及び1,250℃における繊維の予備成形品の収縮率を国際公開第2003/059835号と同じ方法で測定した。24時間の静止試験後の主なガラス成分の生理食塩水への総溶解度(ppm)も、いくつかの実施例に関して測定した。
【0049】
これらの研究結果を表2に示す。表の左側の繊維は、(国際公開第2003/059835号と同様に)おおよそ等モルのアルカリ金属添加物を、Laを含有するカルシウムシリケート繊維に添加する効果を評価することを目的とする一方、右側の繊維は、このような繊維中のNaOの量を変更する効果を評価することを目的とした。決定的なものではないが、これらの繊維に関して、NaO及びKOはNaOを含まない繊維と同様か又はより良好な収縮率さえ示すのに対し、LiOは収縮率にとって好ましくないようであることが、結果から示される。
【0050】
しかしながら、この後者の結論は、リチウムが四ホウ酸リチウムの形態で添加され、またホウ素の添加が有意な効果を有する可能性があると判断されるため、妥当でないと考えられる。他に証明されない限り、本願は、全てのアルカリ金属を本発明に使用することはできるが、アルカリ金属の絶対量は金属に応じて、また繊維に応じて変化し得ると想定している。溶解度の数値は、アルカリ金属酸化物の添加によって総溶解度がわずかに増大することを示している。
【0051】
【表2】

【0052】
初めに、表2の右側は、シリカ含量が約1%多いだけで収縮率に大きく影響し、非常に小さな収縮率をもたらすことを示している。これらの繊維に関して、850℃/24時間における線収縮率は、試験される全てのソーダ添加物に影響されるものではないが、それでもなお少しではあるが層厚(thickness)収縮率については同じことが言えないと考えられる。1,150℃/24時間では、線収縮率及び層厚収縮率の両方ともわずかに増大しているが、1,250℃/24時間では、層厚収縮率は、許容可能である限り最も多量のソーダ添加物について著しく増大する。これらの数値の全ては、いくつかの用途においては許容可能であるが、他の用途では試験される最も大きいNaO濃度を許容しないであろう。
【0053】
より高いシリカ濃度による収縮率の改良により、本発明者等は、さらにより高いシリカ濃度を含有する材料に注目した。その結果を以下の表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
これらの結果は、その範囲における小さな収縮率及び適度に大きな溶解度を示す。アルカリ金属酸化物の添加により、使用可能なアルカリ土類シリケート繊維を製造するために添加され得るシリカの量を増大させることができ、おそらく許容可能な溶解度を伴うと考えられる。一般にシリカ含量を増大させるとアルカリ土類シリケート繊維についてより高い使用温度が許容されるため、このことは大きな意義を有する。
【0056】
図6は、一連のアルカリ土類シリケート繊維の予備成形品の様々な温度における収縮率を示す。符号SW613は、示されているようにシリカ含量は変更されるが、アルカリ金属添加物は含まない表3に記載の材料と同様の組成のランタン含有材料を示す。(シリカ及びカルシアが材料の大部分を構成しており、ランタン酸化物は約1.3%で存在する)。また、これらの繊維のうちの1つは、2重量%のMgO添加物を有する。また、従来のアルミノシリケート繊維(RCF)及びマグネシウムシリケート繊維(MgOシリケート)の収縮率を示す。
【0057】
SW613繊維は全て、1,350℃まではRCF繊維及びMgOシリケート繊維よりも小さい収縮率を有するが、その後増大することを見ることができる。しかしながら、シリカ含量の増大に伴って耐火性が漸進的に増大する。77%のSiOを含有するSW613繊維及び79%のSiOを含有するSW613繊維に関して、収縮率は、1,400℃まではRCF繊維及びMgOシリケート繊維の収縮率よりも小さいままであり、より良好な収縮率は、より大きいシリカ含量に期待することができる。対照的にまた、2%のMgOをSW613組成物に添加することは、収縮率にとって好ましくない。高シリカアルカリ土類シリケート繊維を製造することは困難であり、アルカリ金属をこのような組成物に添加することによって、かかる繊維の品質及び製造し易さを改良すべきである。
【0058】
このような効果を示したので、本出願人は、製造ラインでブランケットを製造するように試行し、収縮率の初期結果が裏付けられるかどうかを見た。以下:
SiO 72.5〜74重量%
CaO 24〜26.5重量%
MgO 0.4〜0.8重量%
Al <0.3重量%
La 1.2〜1.5重量%
を含む基本組成物を使用し、様々な量のNaOを添加した。密度128kg/mを有するブランケットを約25mmの厚みを有するように製造した。図7にまとめられた結果は、NaOの添加に伴うブランケット強度の劇的な増大を示す。
【0059】
これらの発見は、Laを構成成分として含有する組成に関するが、アルカリ金属の添加による同様の影響は、Laを構成成分として含有しないアルカリ土類シリケート繊維にも見られる。
【0060】
また、本発明者等は、マグネシウムをアルカリ土類成分として主に含む他のアルカリ土類シリケート繊維(マグネシウムシリケート繊維)も試験した。結果を表4に示す。
【0061】
この表は、NaO及びKOがそれぞれ、収縮率に悪影響をわずかに又は大いに与えるのに対して、LiOが収縮率に影響をほとんど与えないことを示している。このことは、全く影響しないことを意味するものではなく、NaO及びKOを含む繊維は、このような添加物を含まない繊維(粗)と同様であるのに対して、LiO添加物を含む繊維は極めて微細であり、且つより良好な品質を有することを、本発明者等は観測した。少量では、NaO及びKOは依然として、大半の用途に許容可能な収縮率を与える可能性がある。
【0062】
【表4】

【0063】
アルカリ金属を添加する目的は、アルカリ土類シリケートの粘度−温度曲線を変化させるように試み、シリケート(珪酸塩)のより有用な使用範囲を提供することである。図3は、以下:
・以下:
SiO 68重量%
NaO 13.4重量%
CaO 7.94重量%
4.74重量%
MgO 2.8重量%
Al 2.66重量%
Fe 1.17重量%
TiO 0.09重量%
ZrO 0.08重量%
Cr 0.06重量%
の近似組成を有する高ソーダガラス、
・以下:
CaO 29
MgO 6%
SiO 64.5
+100%までの他のもの
の近似組成を含むアルカリ土類シリケート溶融物、
・及び、1重量%のNaO及び2重量%のNaOを添加物としてそれぞれ含む同様のアルカリ土類シリケート溶融物
に関する実験的な粘度/温度曲線のグラフを示す。
【0064】
高ソーダガラスの粘度/温度グラフは、温度が下がるにつれて上昇する滑らかな線である。
【0065】
既知のアルカリ土類シリケート溶融物(SW)では、粘度が低いため、臨界温度値で急上昇する(これはグラフ中の傾斜で示されるが、グラフ化工程の人工産物であり、非常に急激な変化を実際に示す)。
【0066】
NaOを溶融物へ添加することにより、このような粘度の上昇が低温へと動く。
【0067】
これは、溶融物の使用範囲を拡大させるため、温度にあまり依存しなくなり、これにより繊維形成条件に対する溶融物の許容性が増大する。溶融物流温度は重要であるが、溶融物は、繊維形成工程中に急速に冷却され、それにより組成物の広範な使用可能性が繊維形成を改良する。また、アルカリ金属酸化物の添加が、溶融物流を安定化させるように作用するため、与えられる条件において粒子を減らす量が存在する。
【0068】
さらに、少量でアルカリ金属酸化物は、アルカリ土類シリケート繊維における相分離を抑制するように作用すると推測される。
【0069】
アルカリ土類シリケート系は相図中に二液領域を有しているため、本出願人は、アルカリ金属酸化物の添加が二液領域を含まない溶融物を一相領域に移動させることができると推測した。
【0070】
添加はまた、安定性の助けとなり得る溶融物流温度を下げる効果を有する。
【0071】
これらの測定の効果はまた、最終材料(finished material)中に存在する粒子の量で示される。繊維形成工程では、溶融物の小滴を(紡ぎ車に投入することにより、又は気体の噴射により)急速に加速させて、繊維になるロングテイル(long tails)を形成する。
【0072】
しかしながら、繊維を形成しない小滴の一部は、「粒子」として当該産業で既知の粒子形態で最終材料に残る。粒子は、繊維から形成される断熱材の熱特性にとって一般的に有害であるため、当該産業における一般的な目的は粒子の量を減らすことである。
【0073】
本出願人は、微量のアルカリ金属を溶融物へ添加することにより、粒子の量を減らす効果を有することを見出した。このことは表1のランタン含有材料に関して図4に示されており、ここで粒子の含量が約51%から約48%に減少することを見ることができる。
【0074】
同様の効果がランタンを含まない材料にも適用される。表5は、国際公開第93/15028号の組成に従って製造され、1,380〜1,420℃の溶融物流温度を用いて、一対の回転紡績機による紡糸によって製造される(より低い最大使用温度を有する)一連のアルカリ土類シリケート繊維の分析組成を示す。
【0075】
図5は、実験的に測定された粒子の含量を示し、誤差棒が平均に関する1つの標準偏差を示す。0.35〜1.5重量%のNaO範囲で、添加の結果である粒子の含量における統計学的改良が存在することを見ることができる。特に、0.35重量%のソーダ含量に関して粒子が3%減少することが重要である。
【0076】
この程度(及び実際にはわずかな改良)では、収縮率への悪影響が見られないため、アルカリ金属酸化物の添加は、このような材料の製造にとって有益であると理解することができる。
【0077】
【表5】

【0078】
アルカリ金属の添加は、繊維の他の特性(例えば、収縮率)に過剰な悪影響を及ぼすものではない程度であるべきだが、用途が異なれば何が「過剰」であるかは変化する。
【0079】
繊維は断熱材で使用することができ、(例えば、他の繊維及び/又はフィラー及び/又はバインダーを含む)断熱材の構成要素を形成することができるか、又は断熱材全体を形成することができる。繊維は、ブランケット形態の断熱材に形成することができる。
【0080】
初期作業は、NaOをアルカリ土類シリケート繊維に添加することに主に関連するが、本出願人は、NaOが高カルシウム−低マグネシウム繊維への添加剤として使用されるとき、約1,000℃の温度に曝した後で結晶化(及びそれゆえ繊維の粉末状態)を促進する傾向を有することを見出した。このことは、図8で見ることができ、ここで繊維a)〜繊維e)は以下の範囲:
SiO 72〜75重量%
CaO 22〜26.5重量%
MgO 0.4〜1重量%
Al <0.3重量%
La 1.2〜1.5重量%
をとる基本組成を有する。
【0081】
繊維a)、b)及びc)は、増加量のNaO(それぞれ、約0から0.5重量%を介して1.06重量%まで)を含有する繊維を1,050℃に24時間曝した後の繊維表面の外観への影響を示す。見ることができるように、NaOが存在しない繊維は、平滑な概観を有し、あまり結晶化を示していないが、NaOが増加すると、結晶化を示す表面粗さが増大する。
【0082】
対照的に、繊維d)及び繊維e)は、1,100℃での約0.5重量%のKOを含有する繊維がKOを含まない繊維とあまり違いがなく、1,150℃でわずかな表面粗さが現れ始めるだけであることを示す。
【0083】
表6は、示される主成分を有する繊維から形成される、96kg・m−3の近似密度を有するブランケットの相対的な熱伝導率を示す。また、表6は、これらのブランケットの熱伝導率を示し、これらの数値は図9に示される。NaO及びKOの添加により、ブランケットからのより低い熱伝導率がもたらされ、改良された断熱活性(insulating ability)を示すと考えられることが理解される。
【0084】
【表6】

【0085】
このため、本出願人は、アルカリ土類シリケートブランケット材料への添加物としてアルカリ金属酸化物を使用することの更なる利点、及び特に、カリウムの使用に対する利点を確認した。詳細には、ナトリウムによる結晶化の促進を防ぐために、好ましくは少なくとも75mol%のアルカリ金属がカリウムである。より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、及びさらにより好ましくは少なくとも99%のアルカリ金属がカリウムである。
【0086】
繊維の特性に対するLaとKOとの相互作用を試験するために、一連の繊維をブランケットに製造し、粘性温度における収縮率について試験した(温度で24時間)。
【0087】
Laが減少し、材料の収縮特性に対する特筆すべき害もなくKOで置き換えられるであろうことが見出されたが、これは、La含有材料よりも低温で結晶化を開始する。しかしながら、アルミナによる一部のLaの置き換えによりこの問題を克服した。表7は、試験された一連の材料、結晶化が開始した温度、及び結晶が約1μmの大きさに達した温度を示している。材料は全て、全体の3%未満の量である全ての他の成分と共に、約73.1〜74.4重量%のSiO及び24.6〜25.3重量%のCaOの基本組成を有していた。
【0088】
【表7】

【0089】
従って、好ましい範囲の組成は、以下:
72%<SiO<79%
MgO<10%
13.8%<CaO<27.8%
Al<2%
ZrO<3%
<5%
<5%
95%<SiO+CaO+MgO+Al+ZrO+B+P
O>0.2%及び<1.5%
を含み、Mがアルカリ金属であり、当該アルカリ金属の少なくとも90mol%がカリウムである。
【0090】
より好ましくは、SiO+CaO>95%であり、有益には好ましい範囲の組成物は、以下:
72%<SiO<75%
MgO<2.5%
24%<CaO<26%
0.5%<Al<1.5%
ZrO<1%
<1%
<1%
O>0.2%及び<1.5%
を含み、Mがアルカリ金属であり、当該アルカリ金属の少なくとも90mol%がカリウムである。
【0091】
特に好ましい範囲は、
SiO 74±2%
MgO<1%
CaO 25±2%
O 1±0.5%
Al<1.5%
98%<SiO+CaO+MgO+Al+K
である。
【0092】
また、これらの好ましい範囲は、R<0.5重量%(Rは、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y又はそれらの混合物から成る群より選択される)をさらに含んでもよい。
【0093】
更なる試行の間、次の範囲の繊維が良好な結果をもたらしたことが分かった。これらの繊維は、以下の組成:
SiO=67.8〜70%
CaO=27.2〜29%
MgO=1〜1.8%
Al=<0.25%
La=0.81〜1.08%
O=0.47〜0.63%
を有していた。
【0094】
これらの繊維は、高強度(約25mmの厚み、約128kg・mの密度を有するブランケットに関して80〜105kPa)及び低い粒子の含量(約41%全粒子)を有していた。
【0095】
また、繊維は、アルカリ土類シリケート繊維が通常使用される他の用途に(例えば、摩擦材料の構成要素として)使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】様々なNaO含量を有する多数の繊維の製造試行において測定される、溶融物流温度に対してプロットした引張強度/密度を示すグラフである。
【図2】同一繊維について、NaO含量に対して引張強度/密度の最大値、平均値及び最小値をプロットしたグラフである。
【図3】一連の組成物について実験的に測定した温度/粘度曲線のグラフである。
【図4】図1の繊維について、NaO含量に対してプロットした粒子の含量を示すグラフである。
【図5】様々な一連のアルカリ土類シリケート繊維について、NaO含量に対する粒子の含量のグラフである。
【図6】既知である耐火セラミック繊維(RCF)繊維と比較した、様々な組成を有するアルカリ土類シリケート繊維に関する線収縮率のグラフである。
【図7】一連のアルカリ土類シリケート繊維にナトリウムを添加することによるブランケット強度への影響を示すグラフである。
【図8】種々の温度に曝した後の様々な繊維を示す顕微鏡写真を対比する図である。
【図9】一連の繊維について測定された熱伝導率を比較するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融物から耐火性のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法であって、意図される溶融成分としてアルカリ金属を含有させ、前記繊維の機械特性及び/又は熱特性を改良することを含む、アルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項2】
酸化物MOで表わされる前記アルカリ金属(M)の量が、0.2mol%〜2.5mol%、好ましくは0.25〜2mol%の範囲内である、請求項1に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項3】
前記アルカリ金属が、前記繊維を用いて製造されるブランケットの引張強度を、アルカリ金属を含まないブランケットの引張強度よりも50%を超えて増大するのに十分な量で、且つ意図される最高使用温度で過度の収縮率をもたらす量未満で含まれる、請求項1に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項4】
前記アルカリ土類シリケート繊維の組成及び前記アルカリ金属の含量が、本明細書の方法によって測定されるような、850℃に24時間曝したときの前記繊維の真空注型予備成形品の収縮率を3.5%以下にするようなものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項5】
前記アルカリ土類シリケート繊維の組成及び前記アルカリ金属の含量が、本明細書の方法によって測定されるような、1,000℃に24時間曝したときの前記繊維の真空注型予備成形品の収縮率を3.5%以下にするようなものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項6】
前記アルカリ土類シリケート繊維の組成及び前記アルカリ金属の含量が、本明細書の方法によって測定されるような、1,150℃に24時間曝したときの前記繊維の真空注型予備成形品の収縮率を3.5%以下にするようなものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項7】
前記アルカリ土類シリケート繊維の組成及び前記アルカリ金属の含量が、本明細書の方法によって測定されるような、1,250℃に24時間曝したときの前記繊維の真空注型予備成形品の収縮率を3.5%以下にするようなものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項8】
前記アルカリ土類シリケート繊維の組成及び前記アルカリ金属の含量が、本明細書の方法によって測定されるような、1,150℃に24時間曝したときの前記繊維の真空注型予備成形品の収縮率を、アルカリ金属を含まない組成を有する繊維の収縮率の2倍以下にするようなものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項9】
前記アルカリ土類シリケート繊維の組成及び前記アルカリ金属の含量が、本明細書の方法によって測定されるような、1,150℃に24時間曝したときの前記繊維の真空注型予備成形品の収縮率を、アルカリ金属を含まない組成を有する繊維の収縮率の1.2倍以下にするようなものである、請求項8に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項10】
前記アルカリ土類シリケート繊維の組成及び前記アルカリ金属の含量が、本明細書の方法によって測定されるような、1,400℃に24時間曝したときの前記繊維の真空注型予備成形品の収縮率を3.5%以下にするようなものである、請求項1〜9のいずれか1項に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項11】
意図される溶融成分として前記アルカリ金属を含有させることが、粒子の含量を減少させることになる、請求項1〜10のいずれか1項に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項12】
酸化物MOで表わされる前記アルカリ金属(M)が、2mol%未満の量で存在する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項13】
前記アルカリ金属が、1.5mol%未満の量で存在する、請求項12に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項14】
前記アルカリ金属が、1mol%未満の量で存在する、請求項13に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項15】
前記アルカリ金属が、0.75mol%未満の量で存在する、請求項14に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項16】
前記アルカリ金属が、0.3mol%以上の量で存在する、請求項1〜15のいずれか1項に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項17】
前記アルカリ金属が、0.4mol%以上の量で存在する、請求項16に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項18】
前記アルカリ金属が、0.5mol%以上の量で存在する、請求項17に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項19】
前記アルカリ金属が、0.6mol%以上の量で存在する、請求項18に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項20】
前記アルカリ土類シリケート繊維が、<10重量%のMgOを含み、前記アルカリ金属Mが、ナトリウム、カリウム又はそれらの混合物を主に含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項21】
前記アルカリ金属の少なくとも75mol%がカリウムである、請求項1〜20のいずれか1項に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項22】
前記アルカリ金属の少なくとも90mol%がカリウムである、請求項21に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項23】
前記アルカリ金属の少なくとも95mol%がカリウムである、請求項21に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項24】
前記アルカリ金属の少なくとも99mol%がカリウムである、請求項21に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項25】
前記アルカリ土類シリケート繊維が、>15重量%のMgOを含み、前記アルカリ金属Mが、リチウムを主に含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法。
【請求項26】
以下:
65重量%<SiO<86重量%
MgO<10重量%
13.5重量%<CaO<27.5重量%
Al<2重量%
ZrO<3重量%
<5重量%
<5重量%
72重量%<SiO+ZrO+B+5
95重量%<SiO+CaO+MgO+Al+ZrO+B+P
O>0.5重量%
の組成(Mはアルカリ金属である)を有する繊維。
【請求項27】
SiO>72重量%である、請求項26に記載の繊維。
【請求項28】
0.5重量%<MO<1.5重量%である、請求項27に記載の繊維。
【請求項29】
以下:
75重量%<SiO<86重量%
MgO<10重量%
13.8重量%<CaO<27.8重量%
Al<2重量%
ZrO<3重量%
<5重量%
<5重量%
75重量%<SiO+ZrO+B+5
95重量%<SiO+CaO+MgO+Al+ZrO+B+P
O>0.2重量%
の組成(Mはアルカリ金属である)を有する繊維。
【請求項30】
0.2重量%<MO<1.5重量%である、請求項29に記載の繊維。
【請求項31】
97.5重量%<SiO+CaO+MgO+Al+ZrO+B+P+MOである、請求項26〜30のいずれか1項に記載の繊維。
【請求項32】
0.1重量%<R<4重量%
(式中、Rは、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y又はそれらの混合物から成る群より選択される)をさらに含む、請求項26〜31のいずれか1項に記載の繊維。
【請求項33】
Mが、ナトリウム、カリウム又はそれらの混合物を主に含む、請求項26〜32のいずれか1項に記載の繊維。
【請求項34】
前記アルカリ金属の少なくとも75mol%がカリウムである、請求項33に記載の繊維。
【請求項35】
前記アルカリ金属の少なくとも90mol%がカリウムである、請求項33に記載の繊維。
【請求項36】
前記アルカリ金属の少なくとも95mol%がカリウムである、請求項33に記載の繊維。
【請求項37】
前記アルカリ金属の少なくとも99mol%がカリウムである、請求項33に記載の繊維。
【請求項38】
Oが2.5mol%未満の量で存在する、請求項26〜37のいずれか1項に記載の繊維。
【請求項39】
Oが2mol%未満の量で存在する、請求項38に記載の繊維。
【請求項40】
Oが1.5mol%未満の量で存在する、請求項39に記載の繊維。
【請求項41】
Oが1mol%未満の量で存在する、請求項40に記載の繊維。
【請求項42】
Oが0.75mol%未満の量で存在する、請求項41に記載の繊維。
【請求項43】
前記アルカリ金属が、0.3mol%以上の量で存在する、請求項26〜42のいずれか1項に記載の繊維。
【請求項44】
前記アルカリ金属が、0.4mol%以上の量で存在する、請求項43に記載の繊維。
【請求項45】
前記アルカリ金属が、0.5mol%以上の量で存在する、請求項44に記載の繊維。
【請求項46】
前記アルカリ金属が、0.6mol%以上の量で存在する、請求項45に記載の繊維。
【請求項47】
MgOの量が2重量%未満である、請求項26〜46のいずれか1項に記載の繊維。
【請求項48】
以下:
72重量%<SiO<79重量%
MgO<10重量%
13.8重量%<CaO<27.8重量%
Al<2重量%
ZrO<3重量%
<5重量%
<5重量%
95重量%<SiO+CaO+MgO+Al+ZrO+B+P
O>0.2重量%及び<1.5重量%
の組成(Mがアルカリ金属であり、前記アルカリ金属の少なくとも90mol%がカリウムである)を有する、請求項26に記載の繊維。
【請求項49】
SiO+CaO>95重量%である、請求項48に記載の繊維。
【請求項50】
以下:
72重量%<SiO<75重量%
MgO<2.5重量%
24重量%<CaO<26重量%
0.5重量%<Al<1.5重量%
ZrO<1重量%
<1重量%
<1重量%
O>0.2重量%及び<1.5重量%
の組成(Mがアルカリ金属であり、前記アルカリ金属の少なくとも90mol%がカリウムである)を有する、請求項49に記載の繊維。
【請求項51】
以下:
SiO 74±2重量%
MgO<1重量%
CaO 25±2重量%
O 1±0.5重量%
Al<1.5重量%
98重量%<SiO+CaO+MgO+Al+K
の組成を有する、請求項48又は49に記載の繊維。
【請求項52】
<0.5重量%
(式中、Rは、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y又はそれらの混合物から成る群より選択される)をさらに含む、請求項48〜51のいずれか1項に記載の繊維。
【請求項53】
相対重量%で:
SiO 65〜86重量%
MgO 14〜35重量%
を含む組成を有するアルカリ土類シリケート繊維であって、
構成成分MgO及びSiOは、前記繊維の少なくとも82.5重量%を構成し、付加的なアルカリ金属(M)として、酸化物MOで表わされる量で0.2mol%〜2.5mol%、好ましくは0.25mol%〜2.5mol%を含む、アルカリ土類シリケート繊維。
【請求項54】
Mがリチウムを主に含む、請求項53に記載の繊維。
【請求項55】
Oが2.5mol%未満の量で存在する、請求項53又は54に記載の繊維。
【請求項56】
Oが2mol%未満の量で存在する、請求項55に記載の繊維。
【請求項57】
Oが1.5mol%未満の量で存在する、請求項56に記載の繊維。
【請求項58】
Oが1mol%未満の量で存在する、請求項57に記載の繊維。
【請求項59】
Oが0.75mol%未満の量で存在する、請求項58に記載の繊維。
【請求項60】
前記アルカリ金属が、0.3mol%以上の量で存在する、請求項53〜59のいずれか1項に記載の繊維。
【請求項61】
前記アルカリ金属が、0.4mol%以上の量で存在する、請求項60に記載の繊維。
【請求項62】
前記アルカリ金属が、0.5mol%以上の量で存在する、請求項61に記載の繊維。
【請求項63】
前記アルカリ金属が、0.6mol%以上の量で存在する、請求項62に記載の繊維。
【請求項64】
以下:
SiO=67.8〜70重量%
CaO=27.2〜29重量%
MgO=1〜1.8重量%
Al=<0.25重量%
La=0.81〜1.08重量%
O=0.47〜0.63重量%
の組成を有する繊維。
【請求項65】
請求項26〜64のいずれか1項に記載の繊維、又は請求項1〜25のいずれか1項に記載のアルカリ土類シリケート繊維を製造する方法によって製造される繊維を含む断熱材。
【請求項66】
ブランケット形態である、請求項65に記載の断熱材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−518119(P2008−518119A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538507(P2007−538507)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004149
【国際公開番号】WO2006/048610
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(505287184)ザ・モーガン・クルーシブル・カンパニー・ピーエルシー (6)
【氏名又は名称原語表記】THE MORGAN CRUCIBLE COMPANY PLC
【住所又は居所原語表記】Quadrant, 55−57 High Street, Windsor, Berkshire SL4 1LP, United Kingdom
【Fターム(参考)】