説明

アルカリ媒体に可溶な両親媒性の勾配コポリマーの合成方法

【課題】多分散性指数が小さく、溶液粘性が低く、アルカリ性媒体に容易に可溶なコポリマーの製造方法。
【解決手段】可逆性添加断片移送(RAFT、Reversible Addition Fragmentation Transfer)」剤の存在下で制御されラジカル重合(Controlled Radical polymerization)法によって両親媒性のコポリマーを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「可逆性添加断片移送(RAFT、Reversible Addition Fragmentation Transfer)」剤の存在下で制御されラジカル重合(Controlled Radical Polymerization)法によって両親媒性のコポリマーを製造する方法に関するものである。
本発明コポリマーは多分散性指数が小さく、溶液粘性が低く、アルカリ性媒体に容易に可溶である。
【背景技術】
【0002】
多くの用途、例えば顔料の分散や研摩またはラテックスの安定化ではスチレンアクリル酸とをベースにしたコポリマーが用いられている。特にラテックスとペイントではコポリマーがアルカリ性媒体に可溶であることが重要である。
【0003】
現在、アルカリ媒体に可溶な両親媒性のコポリマーは主として3つの経路:すなわち「従来」のラジカル合成、制御されたラジカル合成(CRP)、ニトロオキシドを用いた経路、制御されたラジカル合成(RAFT経路)で合成されている。一般に「従来」のラジカル合成で得られる両親媒性のコポリマーは比較的高い多分散性指数(PI)を有する(例えば特許文献1参照)。この特許にはカルボキシル基を有するモノマーとスチレン(または置換スチレン)とのコポリマーの溶液重合方法と、この方法で得られたコポリマーの表面清浄液での使用が記載されている。このコポリマーは500グラム/モル〜50000 g/モルの数平均モル質量(Mn)と高い多分散性指数(一般に1.8〜7.5)を有する。
【0004】
非特許文献1(Macromolecular Chemistry and Physics, (2003), 204(17), 2055-2063)には2バールのジオキサン下、120℃でニトロオキシドの存在下での制御されたラジカル重合によってスチレンとアクリル酸から約40%の固形物量を有する両親媒性のコポリマーを製造する方法が記載されている。この合成プロセスは中毒性のある反応溶媒を使って圧力下で実行されため工業的スケールでの製造は難しい。
【0005】
非特許文献2(Macromolecules (2007), 40(6), 1897-1903)にはCRP(ニトロオキシド経路)によるスチレン配合を8重量%以下にしたメタアクリル酸とスチレンとをベースにした両親媒性のランダムコポリマーの合成方法が記載されている。スチレン存在はメタアクリル酸の制御された重合を容易にする。
【0006】
RAFT剤をベースにした制御されたラジカル重合は特許文献2〜5に記載されており、ジチオエステル、ジチオカーボネート、ジチオカルバメートおよびトリチオカーボネートのファミリーの硫黄を含む分子の使用が推薦され、多分散性指数の狭い(コ)ポリマーを得るために可逆性添加断片重合(Reversible Addition Fragmentation Polymerisation)」とよばれる重合方法が記載されている。
【0007】
非特許文献3(Macromolecules, (2007), 40(17), 6181-6189には2つのRAFT剤(非対称のトリチオカーボネートタイプ)からポリスチレン-b ポリ(アクリル酸のブロック共重合体を製造する方法が記載されている。この合成はジオキサン中手70℃で23重量%の固形物レベルで実行される。この方法は使用する反応溶媒(ジオキサン)に毒性があり、得られる生成物の固形物レベルが低いため工業レベルで使用することはできい。
【0008】
非特許文献4(J. Polym. Mat. Sc., (2003), 41, 684-698)にはジベンジル・トリチオカーボネートまたはキサントゲン酸エステルをRAFT剤として使用して最初のポリ(アクリル酸)ブロックを還流メタノール中に35〜40重量%の固形物レベルで得ることができる、ポリ(アクリル酸)-b-ポリ(n-アクリル酸ブチル)ブロック共重合体のワンポット合成方法が記載されている。この方法で得られるブロック共重合体は種々の組成(20〜50単位のアクリル酸と10〜50単位のn-アクリル酸ブチル)を有し、数平均分子量(Mn)がを9000グラム/モル以下で、多分散性指数が1.4〜2.3であることで特徴付けられる。この文献はRAFT剤を使用することで制御されたラジカル重合により両親媒性コポリマーの合成が可能であることを示しているが、得られるブロック共重合体の固形物レベルは低いままである。
【0009】
非特許文献5(Macromolecules, (2006), 39, 8632-8638)にはRAFT剤を用いた制御されたラジカル重合によってアクリル酸/スチレン勾配コポリマーの合成が記載されている。このコポリマーはその後、ポリスチレンまたはポリ(n-ブチルアクリレートエマルション合成の種として直接使われる。この勾配コポリマーは複数の段階で得られ、その一種の段階でゲルの形で得られるコポリマーに水を加えてスポンテニアス相を反転し、半透明の溶液を得る。固形物レベルは12重量%であるので、加える水の量が大きい。さらに、初期のゲルおよび半透明の溶液は高い残留モノマー(ゲルの重さによるおよそ45%)の高い残存性の量。
モノマー(ゲル中に約45重量%)を含む。94%の変換度を得るためには60℃で12時間、残留モノマーを変換する追加の段階を必要とする。このプロセスが複数の段階を長時間行う必要があり、工業的スケールで使用するには適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第EP 0 697 422号公報
【特許文献2】国際特許第WO 98/01478号公報
【特許文献3】国際特許第WO 99/05099号公報
【特許文献4】国際特許第WO 99/31144号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Macromolecular Chemistry and Physics, (2003), 204(17), 2055-2063
【非特許文献2】Macromolecules (2007), 40(6), 1897-1903
【非特許文献3】Macromolecules, (2007), 40(17), 6181-6189
【非特許文献4】J. Polym. Mat. Sc., (2003), 41, 684-698
【非特許文献5】Macromolecules, (2006), 39, 8632-8638
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、環境に対して毒性が無いまたは少ない反応溶媒を用いて工業的に容易に実施可能な簡単なプロセスに対するニーズがある。
本発明の一種の目的は、アルカリ性媒体に可溶な両親媒性の、多分散性指数が低く、固形物レベルが高い勾配コポリマーを高収率に合成することができる方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、アルカリ性媒体に可溶な両親媒性の、多分散性指数が低く、固形物レベルが高い勾配コポリマーを少ないエネルギー消費量で合成することができる方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は以下の記載から明らかになるであろう。
上記目的の全てまたは一部は本発明方法によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の最初の観点から、本発明は、少なくとも(a)〜(e)の段階を有する、可逆性添加セグメント移送(RAFT、Reversible Addition Fragmentation Transfer)」剤の存在下で制御されラジカル重合(Controlled Radical polymerization)法によって両親媒性のコポリマーを製造する方法にある:
(a) ラジカル経路で重合可能な少なくとも一種の親水性のモノマーと、ラジカル経路によって重合可能な少なくとも一種の疎水性モノマーと、少なくとも一種のRAFT剤と、少なくとも一種の開始剤と、任意成分の少なくとも一種の溶剤とから成る反応媒体を準備し、
(b)反応媒体を40℃〜150℃、好ましくは50℃〜140℃、さらに好ましくは60℃〜130℃、の温度で撹拌下に加熱し、
(c) 固形物レベルが反応終了時に形成される両親媒性コポリマーに対して厳密に40重量%以上となる量で、必要に応じて水の全体または一部を加え、反応媒体に水を加えても、
(d)モノマーを80%以上、好ましくは厳密に80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の変換度まで反応させ、
(e) 残ったモノマーと必要に応じて溶剤を除去して、両親媒性コポリマーを回収する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明方法の特徴は一つの反応媒体しか作らず、親水性モノマーと疎水性モノマーの重合を一段で実行する点にある。
【0015】
本発明方法では、ラジカル経路によって重合可能な親水性モノマーが、それ自体が親水性であるか、簡単な変換、例えば四級アミン化または酸の中和で親水性にすることができる下記のモノマーの中から選択される:
(1)エチレン性カルボキシル酸、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、フマル酸またはクロトン酸、
(2)末端基がアルキル、ホスフェート、ホスホネートまたはスルホネート基で置換されていてもよいポリエチレングリコールのまたはグリコールのアクリレートおよびメタクリレート、
(3)不飽和カルボン酸アミド、例えばアクリルアミドまたはメタクリルアミドおよびその置換N-誘導体、
(4)アミノアルキルアクリレートおよびメタクリレート、アミノアルキルメタアクリルアミド、
(5)ビニル結合を有する無水カルボン酸、例えば無水マイレン酸または無水フマル酸、
(6)ビニルアミド、例えばビニルピロリドンまたはビニルアセトアミド、
(7)ビニルアミン誘導体、例えばビニルモルホリンまたはビニルアミン、
(8)ビニルピリジン、
(9)親水性のスチレン誘導体、例えばスチレンスルホネートおよびその塩、
(10)上記の少なくとも2つの混合物。
【0016】
「親水性モノマー」という用語は水に可溶なホモポリマーを形成するモノマーを意味する。
【0017】
一般に、疎水性モノマーは下記の中から選択される:
(1)スチレン誘導体、例えばスチレン、α-メチルスチレン、パラ−メチルスチレンまたはtert-ブチルスチレン、
(2)ビニルエステル、例えば酢酸ビニール、ビニルプロピオネート、ビニルブチラート、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルまたはバーサチック(versatic)酸のビニル・エステル、
(3)直鎖または分岐したC1−C12アルキル(メタ)アクリレート、
(4)ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
(5)アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル、
(6)ジエン類、例えばブタジエンまたはイソプレン、
(7)上記の少なくとも2つの混合物。
【0018】
「疎水性モノマー」という用語は水に不溶なホモポリマーを形成するモノマーを意味する。「水に可溶」という用語は25℃で水に少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%、さらに好ましくは少なくとも15重量%可溶であることを意味する。
【0019】
本発明方法では、重合されるモノマーと、ラジカル重合開始剤と、重合を制御するためのRAFT剤と、必要に応じて用いる少なくとも一種の溶剤との混合物を撹拌反応器に入れる。開始時の媒体中の親水性モノマーおよび疎水性モノマーの比率は一般に親水性のモノマーの量がモノマー総重量の5〜95重量%、好ましくは15〜85重量%、より好ましくは25〜75重量%である。
【0020】
本発明の特定実施例では一般に親水性モノマーがアクリル酸、メタアクリル酸、スチレンナトリウムスルホネート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートの中から選択され、疎水性モノマーがスチレン、α-メチルスチレン、n-アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルおよびメタクリル酸メチルの中から選択される。
【0021】
本発明の好ましい実施例では、モノマーがアクリル酸+Miのような親水性モノマー、スチレン+Moのような疎水性モノマーを使用する。ここで、Miはアクリル酸以外の親水性モノマーを表し、Moはスチレン以外の疎水性モノマーを表し、(アクリル酸+Mi)/(スチレン+Mo)の重量比は5/95〜95/5、好ましくは15/85〜85/15、さらに好ましくは25/75〜75/25である。本発明の好ましい実施例では(アクリル酸+Mi)/(スチレン+Mo)の重量比は30/70〜40/60である。Miの量は親水性モノマーの総重量に対して0〜99.9重量%であり、Moの量は疎水性モノマーの総重量に対して0〜99.9重量%である。
【0022】
下記の(1)または(2)のモノマーを使用するのが好ましい:
(1)重量比が50/50〜30/70のアクリル酸/スチレン、または
(2)重量比が1/3/1/3/1/3のアクリル酸/スチレン/α−メチルスチレン。
【0023】
モノマー混合物、より一般的には反応媒体はラジカル重合に対して不活性な気体雰囲気下、例えば窒素またはアルゴン等の希ガス下に置かれるが、希ガスの存在はかならずしも必要ではない。
【0024】
反応媒体溶剤は開始モノマーおよび形成されたコポリマーの溶剤であるのが好ましい。溶剤の例としては水、直鎖または分岐したアルコール、グリコール、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、アルキルエステル、特にアルキル酢酸エステル、例えば酢酸ブチルまたは酢酸エチルケトン、特にメチルエチルケトン(MEK)またはメチルイソブチルケトン(MIBK)およびこれら少なくとも2つの混合物が挙げられる。
【0025】
本発明プロセスでは環境および/または動物に対して有害または有毒な溶剤は使用せず、一般に使用される溶剤、例えばジオキサン、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、その他が使用される。本発明方法の好ましい実施例では、特にR33、R39、R40、R45、R46、R49、R64〜R60のリスクフェースの有毒および極めて有毒な揮発性有機化合物(VOC)は存在しない。
【0026】
本発明方法で使用する重合開始剤は当業者に公知であり、特にアゾ化合物、パーオキサイドまたはレドックス型の開始剤の中から選択される任意タイプのラジカル重合開始剤にすることができる。「重合開始剤」という用語は従来のフリーラジカルを作ることができる化学種を意味する。
【0027】
アゾ化合物の例としては2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が挙げられる。パーオキサイド化合物の例としてはtert-ブチルペルオキシアセタート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート(TBPO)、ジクミルパーオキサイドまたは過酸化ジベンゾイルが挙げられる。レドックス化合物の例としてはペルオキソ硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸アンモニウムが挙げられ、必要に応じてメタ重亜硫酸塩塩、例えば異性重亜硫酸ナトリウムと一緒に使用できる。
【0028】
重合開始剤は一般にRAFT剤の重量に対して1〜50重量%、好ましくは2〜35重量%、より好ましくは3〜20%、例えば約5重量%用いられる。
【0029】
本発明方法で使用されるRAFT剤は当業者に公知の任意タイプにすることができる。下記式に対応するRAFT連鎖移動剤が好ましい:

【0030】
(ここで、Rは−CH21、−CHR1R'1および−CR1R'1R''1から選択され、R1、R'1およびR'1は互いに独立して置換されていてもよいアルキル、飽和または不飽和または芳香族の炭素環式または複素環式の環、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいジアルキルアミノ、有機金属基、アシル、アシロキシ、カルボキシ(およびそのエステルおよび/または塩)、スルホネート(およびその塩および/またはスルホナート)、アルコキシまたはアリールオキシカルボニル、任意の重合機構で作られたポリマー鎖の中から選択され、互いに同一でも異なっていてもよく、
Zは水素、ハロゲン(塩素、臭素、沃素)、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロ環、−SR2、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル(−COOR2)、カルボキシ(−COOH)、置換されていてもよいアシロキシ(−OCOR2)、置換されていてもよいカルバモイル、−CONHR2、−CONR23、シアノ(−CN)、ジアルキルまたはジアリールホスホナート[−P(=O)OR22]、ジアルキルまたはジアリールホスフィニート[−P(=O)R22]、任意重合機構で製造されたポリマー鎖、−OR2基および−NR23基の中から選択され、R2およびR3はC1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C6〜C18アリール、ヘテロ環、アラルキル、アルカアリールから成る群の中から選択され、互いに同一でも異なっていてもよく、これらの各基は必要に応じて置換されていてもよく、その置換基はエポキシ、ヒドロキシル、アルコキシ、アシル、アシロキシ、カルボキシル(およびそのエステルおよび/または塩)、スルホネート(およびその塩および/またはスルホナート)、アルコキシまたはアリールオキシカルボニル、イソシアネート、シアノ、シリル、ハローおよびジアルキルアミノの中から選択される)
【0031】
上記定義のR基はラジカルR・の形で遊離され、フリーラジカル重合で重量できる。連鎖移動剤の中では特にジチオエステル(少なくとも一種の−C(=S)S−単位を有する化合物)、ジチオカーボネートまたはキサントゲン酸エステル(少なくとも一つの−O−C(=S)S−単位を有する化合物)、ジチオカルバメート(少なくとも一つの−N−C(=S)S−単位を有する化合物)、トリチオカーボネート(少なくとも一つの−S−C(=S)S−単位を有する化合物)を挙げることができる。
【0032】
本発明で使用されるジチオエステルは下記の式(I)に対応するものが好ましい:

【0033】
(ここで、Zは−C65、−CH3、ピロール基、−OC65、ピロリドン基、−OC65、−OC25、−N(C252の中から選択され、好ましくは下記の式(II)の−S−CH2−C65基(ジベンジルトリチオカーボネートまたはDBTTC)である:

【0034】
特に、連鎖移動剤は上記定義のものであるのが好ましく、リポソルブルで且つ水-不溶性または水-不溶性にすることができる。式(II)の連鎖移動剤は特にこれらの条件に対応する。
【0035】
連鎖移動剤としてDBTTC(CAS番号26504-29-0)とその誘導体または酸2,2'-[カルボノチオイルビス(チオ)][プロピオン酸](CAS番号6332-91-8)またはその塩、特にナトリウム塩(CAS番号864970-33-2)が特に適している。最も好ましく使用されるRAFT剤はジベンジルトリチオカーボネート(DBTTC)およびその誘導体である。
【0036】
連鎖移動剤の量はモノマー100重量%に対して一般に0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、特に0.1〜3重量%である。
【0037】
反応は40℃〜150℃、好ましくは50℃〜140℃、より好ましくは60℃〜130℃の温度で実行される。反応は大気圧または軽い加圧下で(例えば、反応媒体に存在する化合物の少なくとも一種、特に溶媒を還流させて)実行できる。
【0038】
例えば両親媒性コポリマーの水性分散液のような最終製品が要求される場合には、反応中に反応媒体に水を加えることができる。水の添加は一回または少なくとも二回に分けて実行できる。加える水の合計量は広範囲に変化できるが、一般に加える水の量は、反応終了時に形成される両親媒性コポリマーの固形物の理論重量レベルが厳密に40重量%以上となるようにする。
【0039】
反応媒体に水を加えるにせよ、加えないにせよ、最終生産物として得られる両親媒性コポリマーの溶液の固形物のレベルが40重量%以上となるようにすることが重要である。
【0040】
pHが7以上の水溶液、好ましくは8〜10の例えばアンモニア水、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム溶液を添加することもできる。このアルカリ性水溶液の添加は一種または複数のモノマーが酸官能基、特にカルボキシル酸基から成る場合に特に好ましい。
【0041】
水添加後に、水の存在下または不存在下でモノマーの変換率が80%以上、好ましくは厳密に80%を超えるまで、さらに好ましくは90%を超えるまで、換言すれば、経済的な観点および工業的に容易に実施するため(未変換出発原料の再循環量および溶剤量を少なくするため)に、変換率を最も高くするために、より完全には95%を超えるまで反応を続ける。
【0042】
この変換率は反応媒体中で公知の任意手段、例えばNMR、ガスクロマトグラフィ、希釈後の重量測定等によって測定できる。反応終了後に両親媒性コポリマーは当業者に公知の従来法に従って分離できる。必要な場合には未反応モノマーおよび溶剤を回収して再循環することができる。変形例では、反応終了時に開始剤の追加量を加えることができ、この場合、必要に応じて連鎖移動剤と一緒に加えることができ、残ったモノマーの一部または全部を変換するために連鎖移動剤は上記段階と同じ量加えてもよい。
【0043】
水またはアルカリ性水溶液を加えて反応を行う場合、コポリマーは水性分散液の形で得られ、回収して使用できる。チオ カルボニルチオ基(−S−C(=S)−)を有するRAFT剤の存在下でラジカル共重合した場合、この基は形成された両親媒性コポリマー中にも存在する。この基の存在によって、得られた両親媒性コポリマーはブロック共重合体の合成で使用できる。従って、本発明はブロックの少なくとも一つが後処理していない本発明のコポリマーで、他のブロックが任意タイプのモノマー、特にアルキル(メタ)アクリレート、スチレンおよそのび誘導体、酸、酸無水物、ヒドロキシルまたはアミン官能基で官能化された(メタ)アクリルレート、ポリ(エチレングリコール)、ポリエチレンオキシドの単独またはこれらの少なくとも2つの混合物の中から選択されるモノマーの重合で得られるブロック共重合体の製造方法にも関するものである。
【0044】
本発明方法は、上記モノマーの少なくとも一つの他のブロックの重合で得られる後処理をしていないブロック共重合体の合成での本発明の少なくとも一種のコポリマーの使用によって特徴付けられるが、他の用途では反応ラジカル源(温度、紫外線、大気中の酸素、湿気等)に対してコポリマー中にチオカルボニルチオ基が存在することは望ましくない。従って、他の変形例では両親媒性コポリマーの回収の前後にコポリマーを後処理する。この後処理ではトチオ カルボニル基を変性して、反応ラジカル源に対してより安定な生成物にする。この後処理は当業者に周知で例えば下記文献に記載されている。
【特許文献5】国際特許第WO 2002/090397号公報
【特許文献6】米国特許第US 6 919 409号明細書
【特許文献7】国際特許第WO 2005/113612号公報
【0045】
この後処理は、反応終了時に直接得られる両親媒性コポリマーの硫黄の臭いを改良するのが要求される場合に行うことができる。この後処理の代わり、またはその処理中に一種または複数の臭いマスキング化合物または香料を両親媒性コポリマーに加えることができる。このマスキング化合物または香料は反応に対して不活性である限り、共重合反応中に加えることもできる。すなわち、一種以上の臭いマスキング化合物または香料を共重合反応中または反応後または共重合反応中および後に加えることができる。本発明方法で得られた両親媒性コポリマーに加えられることが可能な他の添加剤としては顔料、抗酸化剤、安定剤、これらの混合物等が挙げられが、これらに特に限定されない。
【0046】
本発明方法では低温(一般に150℃以下)かつ大気圧または軽い加圧下で、各種合成方法(「塊」(溶剤無し)重合、世を液重合、水溶性媒体または水溶性/有機(溶剤+水)媒体重合)で両親媒性コポリマーを得ることができる。得られた両親媒性コポリマーは制御されたモル質量を有し、多分散性指数が低く、変換率が高いという完全に有利な特数を有する。多分散性指数(PI)はMw/Mn(重量平均モル質量/数平均モル質量)比で定義される。これは当業者に公知の従来法、特にサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によって決定できる。
【0047】
本発明方法で得られる両親媒性コポリマーのPI値は低く、一般に1.2〜2、特に1.2〜1.8であり、一般には1.30〜1.55の間にある。本発明方法で得られる両親媒性コポリマーの重量平均モル質量(Mw)は一般に1000グラム/モル〜40000グラム/モルの間、好ましくは2000グラム/モル〜30000グラム/モルの間、より好ましくは3000グラム/モル〜20000グラム/モルの間にある。
【0048】
上記の特数によって本発明方法で得られる両親媒性コポリマー、特に溶液中のコポリマーは従来のラジカル経路で製造した市販の両親媒性コポリマーより低い粘性を有する。
【0049】
本発明方法に従って得られる両親媒性コポリマーは各種の分野で種々の用途がある。特に、エマルションを安定化させる界面活性剤、顔料および/または無機充填剤の分散剤、無機充填剤の研摩助剤として使用でき、ペイント、インキ、その他のコーティング組成物の製造で使用できる。
【0050】
本発明の両親媒性コポリマーはPIが低いので、PI値が高い同様なコポリマーで使用されている量に比較して、より少量で使用できる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0051】
実施例1
DBTTC存在下でのスチレンとアクリル酸溶液の溶液共重合
210g(すなわち2.91モル)のアクリル酸と、490g(すなわち4.77モル)のスチレンと、1.045g(すなわち0.006モル)のアゾビスイソブチロニトリルと、18.48g(すなわち0.064モル)のジベンジル・トリチオカーボネートと、124g(すなわち1.23モル)のメチルイソブチルケトンとを、可変速度攪拌機、反応物導入口、酸素を除去するための希ガス(例えば窒素)の導入口、測定プローブ(例えば温度計)、蒸気還流凝結系、加熱/冷却液の循環により反応装置の内容物を冷却する熱交換ジャケットを備えた重合反応装置に導入する。反応媒体を80℃の温度に維持し、この温度を2、3分間維持した後、反応装置の反応温度は重合終了時に125℃に達する。7時間後、約100%の変換率が得られる。反応媒体を反応装置から抜き取り、変換率を下記で計算する。変換率は氷で冷却し、熱天秤(Mettler Toledo HB43)で140℃で抽出乾燥分を制御したサンプルで求めた。サンプル中に存在する固形物の量を熱天秤で求める。サンプル中の固形物レベル[時間tでの固形物レベル]=(開始重量−最終重量]/開始重量。必要に応じて最終サンプルの制御はGC(ガスクロマトグラフィ)解析で繰り返した。重量変換率=(1−時間tでの固形物レベル)/理論固形物レベル(全てのモノマーが変換された場合の固形物ポリマー含有量)。
【0052】
SECで求めたポリスチレン(PS)当量のポリマーの分子量は数平均モル質量(Mn)9000グラム/モル、重量平均モル質量(Mw)は13200g/モルであり、多分散性指数は1.47である。SECの分析前に標準分析法で両親媒性ポリマーが分析できないので、酸官能基をトリメチルシリルジアゾメタン溶液を用いてメチルエステル官能基を変性した。従って、変性したポリマーは完全に親油であり、通常のSEC条件下で分析できる。乾燥ポリマーを1g/リットルのTHE中で40℃で2つのカラムPLgel MIXED B(30cm)を用いて移動速度1ml/分で屈折計とUV検出器とを有するサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)で分析した。モル質量および分布の結果はポリスチレン(PS)当量として表してある。
【0053】
実施例2
DBTTC存在下でのスチレンとアクリル酸の溶液重合
使用した反応装置および手順は実施例1と同じである。150g(すなわち2.08モル)のアクリル酸と、350g(すなわち3.36モル)のスチレンと、0.68g(すなわち0.005モル)のLuperox(登録商標)DI(Arkema)と、13.20g(すなわち0.045モル)のジベンジル・トリチオカーボネートと、91g(すなわち0.91モル)のメチルイソブチルケトンとを反応装置に入れた。媒体を80℃にし、この温度を2、3分間維持し、重合終了時の反応装置の温度を130℃にする。6時間後、約100%の変換率になる。反応媒体を反応装置から取り出し、SECでポリスチレン(PS)当量でポリマーの分子量を求めた。数平均モル質量(Mn)は13200g/モル、重量平均モル質量(Mw)は8700グラム/モル、多分散性指数は1.51である。
【0054】
実施例3
2,2'-[カルボノチオイルl ビス(チオ)]ビス[プロピオン酸]ジナトリウム塩の存在下でのスチレンとアクリル酸の溶液重合
使用した反応装置および手順は実施例1、2と同じである。150g(すなわち2.08モル)のアクリル酸と、277g(すなわち2.66モル)のスチレンと、0.58g(すなわち0.004モル)のLuperox(登録商標)DI(Arkema)と、21.50g(すなわち0.074モル)の2,2'-[カルボノチオイルlビス(チオ)]ビス[プロピオン酸]ジナトリウム塩と、378g(すなわち0.91モル)のメチルエチルケトンとを反応装置に入れた。反応媒体を120℃にし、この温度を維持した。7時間後、約83%の変換率に達する。反応媒体を反応装置から取り出す。SECによってポリスチレン(PS)当量でポリマーの分子量を求めた。数平均モル質量(Mn)は10420g/モル、重量平均モル質量(Mw)は7350グラム/モル、多分散性指数は1.42である。
実施例1、2、3に関するデータは[表1]にまとめた。
【0055】
【表1】

【0056】
実施例4
連続バルク法と水性分散法とを用いたDBTTC存在下でのスチレンとアクリル酸の重合
使用した反応装置および手順は実施例1と同じである。実施例4aは以下のデータで実行した:72g(すなわち1モル)のアクリル酸と、168g(すなわち1.61モル)のスチレンと、0.359g(すなわち0.002モル)のアゾビスイソブチロニトリルと、6.35g(すなわち0.020モル)のジベンジル・トリチオカーボネートとを導入した。この溶液を45%の変換率が得られるまで250回転/分で75℃で攪拌した。この変換率に達した時に、240gの予熱した水を500回転/分で撹拌下に反応装置に加えた。同時に、90℃にするために温度を60分以上の温度傾度を設定した。3時間重合後、480gのアンモニア水溶液を加える(pH=10)。分散液を追加の5時間攪拌すると、90%の変換率になる。開始剤((PRS を0.08g)を添加し、追加の加熱段階で2時間以上の追加の重合をすると変換率は95%を超える。同様にして実施例3b〜3eも実行する。反応時間、温度および加えた水の量は[表2]に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
実施例5
アルカリ性溶液中でのコポリマー挙動の比較
この比較の研究は商用製品Joncryl(登録商標)678に対して、アルカリ性溶液の溶解度と、粘度を観測して行った。そのために28% 規定のアンモニア水溶液を蒸留水で薄めてpH12にした。ガラス容器に3gの乾燥したコポリマーのサンプル(本発明または商用製品Joncryl(登録商標)678)を入れ、7gのpH =12のアンモニア水溶液を加える。固形物(SC)レベルは30%である。ポリマーが完全に溶けるまで室温で全体を強く攪拌する。pHを測定する(pH紙を使用)。粘度の測定は温度をHaake D8溶液で調整したBrookfield型LVTCP粘度計で測定した。溶液の見掛け粘度に従って次の2つの円盤を使用した:
(1)19.2〜3840cP(2mlサンプル)の粘度にはCP41、
(2)80.9〜16180cP(0.5mlサンプル)の粘度にはCP51。
結果は[表3]に示した。
【0059】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(a)〜(e)の段階を有する、可逆性添加断片移送(RAFT、Reversible Addition Fragmentation Transfer)」剤の存在下で制御されラジカル重合(Controlled Radical polymerization)法によって両親媒性のコポリマーを製造する方法:
(a) ラジカル経路で重合可能な少なくとも一種の親水性のモノマーと、ラジカル経路によって重合可能な少なくとも一種の疎水性モノマーと、少なくとも一種のRAFT剤と、少なくとも一種の開始剤と、任意成分の少なくとも一種の溶剤とから成る反応媒体を準備し、
(b)反応媒体を40℃〜150℃の温度で撹拌下に加熱し、
(c) 固形物レベルが反応終了時に形成される両親媒性コポリマーに対して厳密に40重量%以上となる量で、必要に応じて水の全体または一部を加え、
(d)モノマーを80%以上の変換度まで反応させ、
(e) 残ったモノマーと必要に応じて溶剤を除去して、両親媒性コポリマーを回収する。
【請求項2】
ラジカル経路で重合可能な少なくとも一種の親水性のモノマーが、それ自身が親水性であるかアミンの四級化または酸の中和のようなポリマー構造を親水性にする単純な変換によって親水性になる下記のモノマーの中から選択される請求項1に記載の方法:
(1)エチレン性カルボキシル酸、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、フマル酸またはクロトン酸、
(2)末端基がアルキル、ホスフェート、ホスホネートまたはスルホネート基で置換されていてもよいポリエチレングリコールのまたはグリコールのアクリレートおよびメタクリレート、
(3)不飽和カルボン酸アミド、例えばアクリルアミドまたはメタクリルアミドおよびその置換N-誘導体、
(4)アミノアルキルアクリレートおよびメタクリレート、アミノアルキルメタアクリルアミド、
(5)ビニル結合を有する無水カルボン酸、例えば無水マイレン酸または無水フマル酸、
(6)ビニルアミド、例えばビニルピロリドンまたはビニルアセトアミド、
(7)ビニルアミン誘導体、例えばビニルモルホリンまたはビニルアミン、
(8)ビニルピリジン、
(9)親水性のスチレン誘導体、例えばスチレンスルホネートおよびその塩、
(10)上記の少なくとも2つの混合物。
【請求項3】
ラジカル経路で重合可能な少なくとも一種の親水性のモノマーが下記のモノマーの中から選択される請求項1に記載の方法:
(1)スチレン誘導体、例えばスチレン、α-メチルスチレン、パラ−メチルスチレンまたはtert-ブチルスチレン、
(2)ビニルエステル、例えば酢酸ビニール、ビニルプロピオネート、ビニルブチラート、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルまたはバーサチック(versatic)酸のビニル・エステル、
(3)直鎖または分岐したC1−C12アルキル(メタ)アクリレート、
(4)ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
(5)アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル、
(6)ジエン類、例えばブタジエンまたはイソプレン、
(7)上記の少なくとも2つの混合物。
【請求項4】
親水性のモノマーの量がモノマー総重量の5〜95重量%、好ましくは15〜85重量%、より好ましくは25〜75重量%である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
使用するモノマーがアクリル酸とMiのような親水性モノマー、スチレンとMoのような疎水性モノマーである(ここで、Miはアクリル酸以外の親水性モノマー表し、Moはスチレン以外の疎水性モノマーを表し、(アクリル酸+Mi)/(スチレン+Mo)の重量比は5/95〜95/5、好ましくは15/85〜85/15、さらに好ましくは25/75〜75/25であり、Miの量は親水性モノマーの総重量に対して0〜99.9重量%であり、Moの量は疎水性モノマーの総重量に対して0〜99.9重量%である)請求項4に記載の方法。
【請求項6】
使用するモノマーが下記の(1)または(2)である請求項1に記載の方法:、
(1)重量比が50/50〜30/70のアクリル酸/スチレン、または
(2)重量比が1/3/1/3/1/3のアクリル酸/スチレン/α−メチルスチレン。
【請求項7】
溶剤が、水、直鎖または分岐したアルコール、ジエチレングリコールおよびジプロピレングリコールのようなグリコール、モノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、アルキルエステル、特にアルキル酢酸、例えば酢酸ブチルまたは酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)またはメチルイソブチルケトン(MIBK)のようなケトンおよびこれらの少なくとも2つの混合物の中から選択される製造に記載の方法。
【請求項8】
RAFT剤が下記の式に対応する請求項1に記載の方法:

[ここで、Rは−CH21、−CHR1R'1および−CR1R'1R''1の中から選択され(ここで、R1、R'およびR''は互いに独立して置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよい不飽和または飽和または芳香のカルボキシル環または複素環式の環、置換されていてもよいアルキルチオ、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいジアルキルアミノ、有機金属基、アシル、アシロキシ、カルボキシ(およびそのエステルおよび/または塩)、スルホネート(およびその塩および/またはスルホナート)、アルコキシ-またはアリールオキシカルボニルおよび任意の重合機構で製造されたポリマー鎖、から選択される基)、互いに同一でも異なっていてもよく、Zは水素、ハロゲン(塩素、臭素、沃素)、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロ環、−SR2、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル(−COOR2)、カルボキシ(−COOH)、置換されていてもよいアシロキシ(−OCOR2)、置換されていてもよいカルバモイル(−CONHR2、−CONR23)、シアノ(−CN)、ジアルキルまたはジアリールホスホナート[−P(=O)OR22]、ジアルキルまたはジアリールホスフィニート[−P(=O)R22]、任意の重合機構で製造下ポリマー鎖、−OR2基および−NR23基の中から選択され、
2およびR3は互いに同一でも異なっていてもよく、C1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C6〜C18アリール、ヘテロ環式、アラルキル、アルキルアリールから成る群の中から選択され、これらの基は必要に応じてエポキシ、ヒドロキシル、アルコキシ、アシル、アシロキシ、カルボキシル(およびそのエステルおよび/または塩)、スルホネート(およびその塩および/またはスルホナート)、アルコキシ−またはアリールオキシカルボニル、イソシアネート、シアノ、シリル、ハローおよびジアルキルアミノの中から選択される置換基で置換されていてもよい)]
【請求項9】
RAFT剤がジベンジル・トリチオカーボネート(DBTTC)およびその誘導体および2,2'-[ カルボノチオイル−ビス(チオ)]ビス[プロピオン酸]およびその塩、特にナトリウム塩の中から選択され、好ましくはRAFT剤がDBTTCである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
水をpHが7以上、好ましくは8〜10の水溶液、例えばアンモニア水、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液の形で加え、両親媒性のコポリマーを水性分散液の形で回収する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
上記で得られた両親媒性のコポリマーを回収段階の前または後にラジカル源に対してより安定した生成物を得るためにトリチオカルボニル基を変成する後処理を行う請求項1に記載の方法。
【請求項12】
共重合反応中、反応後または共重合反応中および後に、一種または複数の臭い防止剤または香料を加える請求項1に記載の方法。
【請求項13】
SEC(サイズ排除クロマトグラフィ)で求めた多分散性指数PIが1.2〜2で、重量平均モル質量Mwが1000〜40000 g/モルである請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法で得られる両親媒性の勾配コポリマー。
【請求項14】
請求項13または請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法で得られるコポリマーの、エマルションを安定化するための界面活性剤、顔料および/または無機充填剤の分散剤、無機充填剤の研摩助剤、ペイント、インキ、その他コーティング剤の配合物としての使用。
【請求項15】
請求項13または後処理前の請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法で得られるコポリマーの、アルキル(メタ)アクリレート、スチレンおよびその誘導体、酸基を有する(メタ)アクリレート官能基、酸無水物、ヒドロキシルまたはアミン、ポリ(エチレングリコール)、(ポリエチレンオキサイド)の単独またはこれらの少なくとも2つの混合物から選択される一種または複数のモノマーの重合で得られるブロックを有するブロック共重合体の製造での使用。

【公表番号】特表2011−530640(P2011−530640A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522542(P2011−522542)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051581
【国際公開番号】WO2010/018344
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】