説明

アルカリ易溶性共重合ポリエステルの製造方法およびそれからなるポリエステル、複合繊維

【課題】優れたアルカリ溶出性と製糸性を同時に達成するアルカリ易溶性共重合ポリエステルの製造方法を提供すること。
【解決手段】全酸成分に対して金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分が3〜15モル%共重合されたポリエステルを製造する方法において、(1)チタン化合物、(2)リン化合物、および(3)リチウム化合物の存在下で重縮合反応するとともに、これらの各化合物を事前に混合撹拌した後に添加することを特徴とするアルカリ易溶性共重合ポリエステルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルカリ易溶性共重合ポリエステルの製造方法および該ポリエステルからなる複合繊維に関するものである。さらに詳しくは、アルカリ溶出性と製糸性を同時に達成し、かつ紡糸時の濾圧上昇、複合繊維にした場合の成形加工性に優れ、アルカリ易溶性共重合ポリエステルを一成分とし、アルカリ除去によって容易に極細繊維、中空繊維を得ることのできる複合繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルはその機能性の有用さから多目的に用いられており、例えば、衣料用、資材用、医療用に用いられている。その中でも、汎用性、実用性の点でポリエチレンテレフタレートが優れ、好適に使用されている。
【0003】
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
【0004】
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリエステルを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残査が口金孔周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残査の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。
【0005】
また、ポリマー中のアンチモン触媒残査は比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成型加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れあるいは製膜時のフイルム破れの原因になるなどの好ましくない特性を有している。特にアルカリ易溶出性共重合ポリエステルを一成分として複合繊維を紡糸する際には、異物粒子による影響を受けやすく、糸切れなどの問題が顕著に発生する。
【0006】
上記のような背景からアンチモン含有量が極めて少ないか、あるいは含有しないポリエステルが求められている。
【0007】
アンチモン化合物以外の重縮合触媒としては、重縮合触媒としてチタン化合物を用いることが提案されている(特許文献1)。しかしながら、このようなチタン化合物を触媒として用いると、該触媒化合物単独で使用した場合には得られたポリマーの耐熱性が不十分であって、ポリマーの成形加工時に重合度低下を起こし成型加工性に劣るという問題点があった。かかる問題に対して、チタン系化合物を特定の構造を有するリン化合物と組み合わせて用いることにより、ポリマーの耐熱性を向上させる検討が行われている(特許文献2、3)。これらの方法によってポリマーの耐熱性はある一定の向上が得られた。
【0008】
しかし、異種成分との複合化により極細繊維や異形断面繊維を得る組成物として用いられるアルカリ易溶性共重合ポリエステルでは、例えば金属スルホネート基含有イソフタル酸やポリアルキレングリコールなどを共重合成分として含むため(特許文献4)に、耐熱性、酸化分解性が悪くなり成型加工性に劣ったり、延伸時の熱による繊維同士の融着などが発生するため、これまでの技術では解決できない課題を有していた。この課題に対して、特定のチタン錯体を重合触媒に用いることで、耐熱性の改善されたアルカリ易溶性共重合ポリエステルを提供する方法が報告されている(特許文献5)が、この方法では、製糸性が満足いくレベルのものではなかった。
【0009】
アルカリ易溶出性共重合ポリエステルとしては、代表的なものとして金属スルホネート基含有イソフタル酸などを共重合成分として含むポリエステルがこれまでに多数報告されている(例えば特許文献6)。しかしながら、この金属スルホネート基含有イソフタル酸を一定量以上共重合したポリエステルでは、金属スルホネート基含有イソフタル酸成分によってポリマーが増粘作用を示すために重合反応物の溶融粘度が著しく増大し、反応物の重合度を充分に上げることが困難となり、製糸性が悪化するといった課題を有していた。この課題に対して、金属スルホネート基含有イソフタル酸の代替としてスルホン酸4級ホスホニウム塩を共重合成分として用いる方法が報告されている(特許文献7)が、チタン系化合物を重合触媒として用いる場合には、リン化合物がチタン系化合物の触媒活性を失活させるため、反応物の重合度を充分に上げることが出来なかった。
【特許文献1】特開昭60−108422号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2007−224106号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2008−115243号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2000−95850号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開2004−137319号公報(特許請求の範囲)
【特許文献6】特開昭63−159525号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】特開2006−176628号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記した問題点を解消し、優れたアルカリ溶出性と製糸性を同時に達成するアルカリ易溶性共重合ポリエステルの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の本発明の目的は、全酸成分に対して金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分が3〜15モル%共重合されたポリエステルを製造する方法において、(1)チタン化合物、(2)リン化合物、および(3)リチウム化合物の存在下で重縮合反応するとともに、これらの各化合物を事前に混合撹拌した後に添加することを特徴とするアルカリ易溶性共重合ポリエステルの製造方法により達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、前記の目的が達成される。そして、本発明の製造方法により得られるポリエステルは、優れたアルカリ溶出性と製糸性を同時に達成するため、アルカリ除去によって容易に極細繊維、中空繊維を得ることのできる複合繊維に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のアルカリ易溶性共重合ポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体からなるポリエステルに、全酸成分に対して金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分が3〜15モル%共重合されたポリエステルである。
【0014】
ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体からなるポリエステルとして具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。本発明は、なかでも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体において好適である。
【0015】
また、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分とは、スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、ホスホニウム塩、さらにそれらの誘導体のことを指し、具体的には5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、5−(テトラアルキル)ホスホニウムスルホイソフタル酸、およびその誘導体等があげられる。金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分としてホスホニウム塩およびその誘導体を用いる時は、含有量によって重合触媒活性を失活させる場合がある。好ましくは5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびその誘導体である。
【0016】
金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分の共重合量は、共重合ポリエステルを構成する全酸成分に対して3〜15モル%共重合されていることが必須である。金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分の共重合量が多いほどアルカリ溶出性は向上するが、それと同時にポリエステルの増粘が引き起こされ、成形加工性、製糸性が低下するため、15モル%を越えて添加することは困難である。一方、3モル%未満では十分な溶出性が得られない。7〜13モル%であるとアルカリ易溶性と成形加工性の両者が良好になり好ましく、特に好ましくは8〜10モル%である。
【0017】
また、本発明のアルカリ易溶性共重合ポリエステルは、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリアルキレングリコール、アジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸等のオキシカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体等が共重合されていてもよい。
【0018】
中でも、重量平均分子量400〜10000のポリアルキレングリコールが0.1〜15.0重量%共重合されていると、アルカリ溶出性、染色性が良好となるため好ましい。ポリアルキレングリコールの重量平均分子量は1000〜6000が好ましく、共重合量は1.5〜10.0重量%であるとより好ましい。
【0019】
本発明のアルカリ易溶性共重合ポリエステルは、(1)チタン化合物、(2)リン化合物、および(3)リチウム化合物の存在下で重縮合反応して得られるポリエステルであって、反応系にこれらの各化合物を事前に混合撹拌した後に添加することが必須である。上記(1)チタン化合物、(2)リン化合物、および(3)リチウム化合物を事前に混合撹拌した後に添加することにより、重合活性が良好なものとなり、また本発明のポリエステルの溶出性、製糸性が良好のものとなる。この理由としてはまだはっきりと解明できたわけではないが、(1)チタン化合物と(2)リン化合物を事前に混合撹拌することにより、チタン化合物の触媒活性がリン化合物によって調整されて副反応である熱分解反応を抑制することにより耐熱性および製糸性を向上させ、(2)リン化合物と(3)リチウム化合物を混合撹拌することにより、リン化合物とリチウム化合物よりなる微細な粒子が生成し、溶出性と製糸性を向上させているものと考えている。この効果は、(1)チタン化合物、(2)リン化合物、および(3)リチウム化合物を事前に混合撹拌することによって初めて発現するものである。上記(1)チタン化合物、(2)リン化合物、および(3)リチウム化合物は、エチレングリコールやプロピレングリコール等のポリエステルを形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、溶液またはスラリーとして混合撹拌することが好ましい。混合撹拌する条件は、特に限定されるものではないが、0〜200℃の温度で1分以上、好ましくは15〜100℃の温度で10〜120分間混合撹拌することが好ましい。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧でも良い。
【0020】
(1)チタン化合物、(2)リン化合物、および(3)リチウム化合物を混合撹拌した添加物の添加時期はエステル化反応触媒として、原料添加直後に触媒を添加する方法や、原料と同伴させて触媒を添加する方法がある。また、重縮合反応触媒として添加する場合は、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応の前、あるいは該反応終了後、重縮合反応が開始される前に添加してもよい。
【0021】
本発明で用いる(1)チタン化合物は、多価カルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸および/または含窒素カルボン酸をキレート剤とするチタン錯体であることが、ポリマーの熱安定性及び色調の観点から好ましい。チタン化合物のキレート剤としては、多価カルボン酸として、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミリット酸、ピロメリット酸等が挙げられ、ヒドロキシカルボン酸として、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられ、含窒素カルボン酸として、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等が挙げられる。これらのチタン化合物は単独で用いても併用して用いてもよい。チタン化合物の添加量としては、艶消し剤の目的で添加する酸化チタン粒子をのぞくチタン化合物を、得られるポリマーに対してチタン原子換算で0.1〜20ppmとなるように添加することが好ましい。0.5〜10ppmであるとポリマーの熱安定性や色調がより良好となり好ましい。
【0022】
本発明で用いる(2)リン化合物は、リン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、ホスフィン系化合物またはそのエステル化合物から選ばれるいずれか1種または2種であることが好ましい。具体的には、例えば、リン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリフェニルエステル等のリン酸系、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の亜リン酸系、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジエチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジフェニルエステル、ベンジルホスホン酸ジメチルエステル、ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、ベンジルホスホン酸ジフェニルエステル、リチウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ナトリウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、マグネシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、カルシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等のホスホン酸系化合物、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホスフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホスフィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、3−カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボキシフェニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキフェニルホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3−ジカルボキルシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,6−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、及びビス(2,4,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、メチルホスフィン酸メチルエステル、ジメチルホスフィン酸メチルエステル、メチルホスフィン酸エチルエステル、ジメチルホスフィン酸エチルエステル、エチルホスフィン酸メチルエステル、ジエチルホスフィン酸メチルエステル、エチルホスフィン酸エチルエステル、ジエチルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸メチルエステル、フェニルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸フェニルエステル、ジフェニルホスフィン酸メチルエステル、ジフェニルホスフィン酸エチルエステル、ジフェニルホスフィン酸フェニルエステル、ベンジルホスフィン酸メチルエステル、ベンジルホスフィン酸エチルエステル、ベンジルホスフィン酸フェニルエステル、ビスベンジルホスフィン酸メチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸エチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸フェニルエステル等のホスフィン酸系、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド、トリプロピルホスフィンオキサイド、トリイソプロピルホスフィンオキサイド、トリブチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、プロピル亜ホスホン酸、イソプロピル亜ホスホン酸、ブチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ジエチルエステル、フェニル亜ホスホン酸ジイソプロピルエステル、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル){1,1−ビフェニル}−4,4’−ジイルビスホスホナイト等の亜ホスホン酸系、メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、プロピル亜ホスフィン酸、イソプロピル亜ホスフィン酸、ブチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸、ジメチル亜ホスフィン酸、ジエチル亜ホスフィン酸、ジプロピル亜ホスフィン酸、ジイソプロピル亜ホスフィン酸、ジブチル亜ホスフィン酸、ジフェニル亜ホスフィン酸等の亜ホスフィン酸系、メチルホスフィン、ジメチルホスフィン、トリメチルホスフィン、メエルホスフィン、ジエチルホスフィン、トリエチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系が挙げられる。コスト、取扱いの簡便さからは、リン酸が好ましく用いられる。リン化合物の添加量としては、得られるポリマーに対してリン原子換算で1〜500ppmとなるように添加することが好ましい。5〜200ppmであるとポリマーの熱安定性や色調がより良好となり好ましい。
【0023】
本発明において、チタン化合物、リチウム化合物と事前混合してから添加するリン化合物とは別に、より耐熱性を向上させることを目的として、重縮合触媒を添加した後に反応器内を減圧にして重縮合反応を開始させてから重合が目標とする重合度に到達するまでの間にリン化合物を追加して添加を行ってもよい。上記の方法でリン化合物を添加する場合では、エチレングリコール等のジオール成分を多量に持ち込んで添加を行うと、ポリエステルの解重合(ポリエステル主鎖の切断反応)が進行してしまうため、リン化合物を単独で添加するか、高濃度にリンを含有したマスターペレットを添加する方法が好ましい。この時、リン化合物は、数回に分割して添加してもよく、フィーダーなどで継続的に添加を行っても良い。また、上記のリン化合物の添加方法は、重合系に溶解又は溶融可能でありかつ、本発明で得られる重合体と実質的に同一成分の重合体から成る容器に充填して添加することが好ましい。上記のような容器にリン化合物を入れて添加を行うと、減圧条件下での重合反応器に添加を行うことで、リン化合物が飛散して、減圧ラインにリン化合物が流出を防止することができるとともに、リン化合物をポリマー中に所望量添加することができる。本発明でいう容器とは、リン化合物がまとめられるものであればよく、例えば、ふたや栓を有する射出成形容器、あるいはシートやフィルムをシールあるいは縫製などで袋状にしたものなどが含まれる。上記の容器は、空気抜きを作ることがさらに好ましい。空気抜きを作った容器にリン化合物を入れて添加すると、真空条件下で重合反応器に添加しても、空気膨張により容器が破裂してリン化合物が減圧ラインに流出したり、重合反応器の上部や壁面に付着することがなく、ポリマー中にリン化合物を所望量添加することができる。この容器の厚さは、厚すぎると溶解、溶融時間が長くかかるため厚さは薄いほうがよいが、リン化合物の封入・添加作業の際に破裂しない程度の厚さを確保する。そのためには10〜500μm厚さで均一で偏肉のないものが好ましい。
【0024】
本発明で用いる(3)リチウム化合物は、酢酸リチウム、炭酸リチウム、蟻酸リチウムが挙げられる。ポリマーの製糸性、色調の観点から、酢酸リチウムが好ましく用いられる。リチウム化合物の添加量としては、得られるポリマーに対してリチウム原子換算で10〜1000ppmとなるように添加することが好ましい。50〜500ppmであるとポリマーの熱安定性や色調がより良好となり好ましい。
【0025】
本発明のチタン化合物中のチタン原子とリン化合物中のリン原子のモル比率Ti/Pが0.001〜1であることが、重合活性、色調の観点から好ましい。好ましくは0.01〜0.5の範囲であり、特に好ましくは0.02〜0.2の範囲である。
【0026】
本発明のチタン化合物中のチタン原子とリチウム化合物中のリチウム原子のモル比率Ti/Liが0.0001〜0.1であることが、製糸性、易溶出性の観点から好ましい。好ましくは0.0005〜0.05の範囲であり、特に好ましくは0.001〜0.01の範囲である。
【0027】
また本発明の効果を損わない範囲で、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加を添加しても良い。アルミニウム化合物としては、無機アルミニウム化合物、アルミニウムアルコレート、アルミニウムキレート、カルボン酸アルミニウム塩などが挙げられ、具体的には無機アルミニウム化合物として、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム等、アルミニウムアルコレートとして、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムトリ−n−ブチレート、アルミニウムトリ−sec−ブチレート、アルミニウムトリ−tert−ブチレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート等、アルミニウムキレートとして、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、アルミニウムモノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、アルミニウムアセチルアセトネート等、カルボン酸アルミニウム塩として、酢酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。マグネシウム化合物としては、具体的には、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。カルシウム化合物としては、具体的には、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、カルシウムアルコキシド、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても併用して用いてもよい。
【0028】
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、後述する溶液ヘイズ測定(ポリマーの濁度測定)において、0.3〜15の範囲であることが好ましい。溶液ヘイズ測定では、ポリマー中の粒子発生量を測定することが出来る。従来ではこの数値が低いポリエステルほど、粒子発生量が少なく製糸性に優れると考えられていたが、本発明の製造方法により得られるポリエステルは溶液ヘイズを単に少なくするのではなく、上記範囲内にすることによって、特異的に製糸性が向上することを見出した。これは、チタン化合物を重合触媒として用いる系では結晶性が悪いために製糸性が悪化することに対して、逆に微細な粒子を積極的に作成して結晶性を向上させ、溶液ヘイズを上記範囲内に収めることによって製糸性を改善したものと考えている。好ましくは0.4〜12の範囲であり、特に好ましくは0.5〜7の範囲である。
【0029】
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、真比重が5.0以上の金属元素の含有量が0〜10重量ppmであることが好ましい。本発明でいう真比重とは空隙を含まない比重のことをいい、比重とは、標準物質(4℃における水)に対するある物質の同体積での質量の比のことをいう。真比重が5.0以上の金属としては、具体的にはアンチモン、ゲルマニウム、マンガン、コバルト、すず、亜鉛等があげられ、これらは通常、触媒や金属系の整色剤、添加剤等としてポリエステルに含有されている。その他にも、鉄、ニッケル、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステンなどが挙げられる。これに対し、チタン、カルシウム、カリウム、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウム等はここでいう真比重が5.0以上の金属には該当しない。
【0030】
本発明のポリエステルは、含有される金属の種類によってその特徴、特性は変わるが、例えばアンチモン金属含有量が10重量ppmより多い場合、異物となって製糸や製膜時に口金まわりに堆積し、濾圧上昇や糸切れ、フィルム破れなどの原因となり、長期間の連続成形性に悪影響を与える。ゲルマニウムは高価なため、含有量が多ければ多いほどポリエステルの価格が高くなり、好ましくない。また、本発明のポリエステルはアルカリ易溶出性ポリエステルであるため、例えばアルカリ溶出加工を行うとポリエステル中に含まれる金属成分が廃水成分に流出するため、真比重5.0以上の金属元素は出来るだけ少なくすることが好ましい。真比重5.0以上の金属元素の含有量は0〜5重量ppmであることが好ましく、0〜3重量ppmの範囲であることがより好ましい。
【0031】
また、本発明のポリエステルの製造方法では、色調調整剤として青系調整剤および/または赤系調整剤を添加してもよい。本発明の色調調整剤とは樹脂等に用いられる染料のことであり、COLOR INDEX GENERIC NAMEで具体的にあげると、SOLVENT BLUE 104,SOLVENT BLUE 122,SOLVENT BLUE 45等の青系の色調調整剤、SOLVENT RED 111,SOLVENT RED 179,SOLVENT RED 195,SOLVENT RED 135,PIGMENT RED 263,VAT RED 41等の赤系の色調調整剤,DESPERSE VIOLET 26,SOLVENT VIOLET 13,SOLVENT VIOLET 37,SOLVENT VIOLET 49等の紫系色調調整剤があげられる。なかでも装置腐食の要因となりやすいハロゲンを含有せず、高温での耐熱性が比較的良好で発色性に優れた、SOLVENT BLUE 104,SOLVENT BLUE 45,SOLVENT RED 179,SOLVENT RED 195,SOLVENT RED 135,SOLVENT VIOLET 49が好ましく用いられる。 また、これらの色調調整剤を目的に応じて、1種類または複数種類用いることができる。特に青系調整剤と赤系調整剤をそれぞれ1種類以上用いると色調を細かく制御できるため好ましい。さらにこの場合には、添加する色調調整剤の総量に対して青系調整剤の比率が50重量%以上であると得られるポリエステルの色調が特に良好となり好ましい。最終的にポリエステルに対する色調調整剤の含有量は総量で30ppm以下であることが好ましい。30ppmを越えるとポリエステルの透明性が低下したり、くすんだ発色となることがある。
【0032】
本発明のポリエステルの製造方法により得られるポリエステルは、オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定したときの固有粘度([IV])が、0.3〜1.1dl/gであるのが好ましい。上述したように、金属スルホネート基含有イソフタル酸成分を共重合成分として含有すると、ポリマーの増粘作用のため重合反応物の溶融粘度が著しく増大させるため、一定以上の重合度になると成形加工性、製糸性が悪化する。また重合度が低すぎても、紡糸巻取り時において糸切れが発生しやすくなり、製糸性が悪化する。0.4〜0.8dl/gであるのがさらに好ましく、0.45〜0.6dl/gであるのが特に好ましい。
【0033】
また、本発明の製造方法により得られるポリエステルは、290℃における溶融粘度が20〜250Pa・sであると複合繊維の成形加工性が良好になり好ましい。より好ましくは60〜200Pa・sである。溶融粘度の測定は、例えばタカラ工業製メルトインデクサーを用い、後述する条件にて測定することができる。
【0034】
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、ポリエステルの末端カルボキシル基濃度が1〜30当量/トンの範囲にすると熱安定性が向上するため好ましい。末端カルボキシル基濃度が低いほど熱安定性が向上し、成形時において金型等に付着する汚れや製糸時において口金に付着する汚れが著しく低減する。末端カルボキシル基濃度が30当量/トンを超える場合には、金型や口金に付着する汚れを低減させる効果が小さくなることがある。末端カルボキシル基濃度は好ましくは25当量/トン以下、特に好ましくは20当量/トン以下である。
【0035】
本発明のポリエステルの製造方法により得られるポリエステルは、チップ形状での色調がハンター値でそれぞれL値が50〜90、a値が−6〜2、b値が4〜14の範囲にあることが、繊維やフィルムなどの成型品の色調の点から好ましい。さらに好ましいのは、L値が60〜80、a値が−5〜1、b値が5〜12の範囲である。
【0036】
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、濃度10g/l、温度90℃の水酸化ナトリウム水溶液中におけるアルカリ減量速度が1〜15重量%/分であると複合繊維のアルカリ溶出性が良好になり好ましい。より好ましくは4〜12重量%/分である。
【0037】
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、成形加工工程での各種ガイド、ローラー等の接触物との摩擦を低減し工程通過性を向上させたり、製品の色調を調製する目的で粒子を添加しても構わない。この粒子の種類は特に限定されず、従来公知の粒子のいずれでも用いることができる。具体的には、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の無機粒子や、架橋ポリスチレン等の有機高分子粒子を用いることができる。これらの粒子の中でも二酸化チタン粒子は、ポリマー中での分散性が良好で、比較的低コストであることから好ましい。これらの粒子は、湿式、乾式の種々の方法で製造され、必要に応じて、粉砕、分級等の前処理を施された上で、ポリエステルの反応系に添加される。ポリエステル反応系への粒子の添加は、反応系の固有粘度が0.3以下の任意の段階で良いが、実質的にエステル化反応またはエステル交換反応を完結させた後に添加するとポリマー中での粒子の分散性が良好となるため好ましい。本発明における粒子のポリマーに対する添加量や粒子径は、適用する用途によって変わり、特に限定されないが、ポリエステル組成物に対し0.01〜10重量%、平均粒子径として0.05〜5μm、粒子径が4μm以上の粗大粒子が1000個/0.4mg以下の範囲であると、工程通過性や色調が特に良好となり好ましい。
【0038】
また本発明の目的を損なわない範囲で、カーボンブラック等の顔料、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤等が添加されても勿論良い。
【0039】
本発明のアルカリ易溶性共重合ポリエステルは、任意の方法によって合成される。例えばポリエチレンテレフタレートについて説明すれば、通常テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるかまたはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第一段階の反応と、第一段階の反応生成物を重合触媒の存在下で減圧加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第二段階の反応によって製造される。共重合成分の添加時期としては特に限定されないが例えば、エステル交換反応前、エステル交換反応が実質的に終了した時点から重縮合反応が開始されるまで、重縮合反応が実質的に終了した後などの任意の段階に添加される。ここでエステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加することが行われる。
【0040】
本発明のアルカリ易溶性共重合ポリエステルを複合繊維の構成成分として用いることで今までにない成形加工時の製糸安定性、アルカリ易溶性の両者を満足し、繊維物性を損なわない複合繊維を得ることができる。複合繊維化する場合、本発明の共重合ポリエステル組成物が繊維表面に露出した構造であると製糸安定性、アルカリ易溶性を良好にするため好ましい。
【0041】
また本発明において繊維形成性重合体としてポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルが挙げられるがこれらに限定されるものではない。好ましくは衣料用合成繊維として最も汎用性の高い、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミドである。さらに、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルを用いる場合、重合触媒としては、本発明と同様のチタン化合物を用いることが成形加工時の製糸安定性を向上させる効果があり好ましい。
【0042】
繊維の形態として、芯鞘型複合繊維、芯鞘型複合中空繊維、海島型複合繊維等があげられ、本発明のアルカリ易溶性共重合ポリエステルを任意の割合で構成成分として用いることができる。例えば、芯鞘型複合繊維および芯鞘型複合中空繊維の場合、芯部の共重合ポリエステルの複合比率(重量%)は芯/鞘=5/95〜90/10とすることが好ましい。さらに好ましくは7/93〜70/ 30、特に好ましくは10/90〜50/50である。複合比率はアルカリ減量加工後、得られる複合繊維の中空率を任意に選ぶことから設計できる。芯部の複合比率の下限は十分な中空率を付与する目的から設定され、複合繊維比率の上限は紡糸性の低下や繊維物性の低下を防止する観点から設定される。
【0043】
また海島型複合繊維において用いるアルカリ易溶性共重合ポリエステル(海成分あるいは1成分)の複合比率は5〜90重量%が好ましい。さらに好ましくは7〜60重量%、特に好ましくは10〜40重量%である。複合比率は、アルカリ減量加工後の複合繊維の繊度で任意に選ぶことができる。複合比率の下限はアルカリ減量性、成形加工性を付与する目的から設定され、複合繊維比率の上限は紡糸性の低下や繊維物性の低下を防止する観点から設定される。
【0044】
本発明において、アルカリ易溶性共重合ポリエステルとポリエステルを用いる複合繊維の製法としては従来公知の方法で製造することができるが、以下に代表して海島型複合繊維の製造法を示す海島型複合繊維の場合、ポリエステル(島部)と本発明のアルカリ易溶性共重合ポリエステル(海部)をそれぞれ別々に溶融し、紡糸パックに導き口金装置内で海島複合流を形成し、吐出孔から紡出する。紡出したフィラメント糸を所定の速度で引取った後、一旦パッケージに巻上げ、得られた未延伸糸を通常の延伸機にて延伸する。また、この延伸は紡出糸を引取った後巻取ることなく連続して行い巻上げてもよいし、4000m/分以上の高速で引取り実質的に延伸することなく一挙に所望の繊維性能を得る方法をとってもよい。直接紡糸延伸法としては、例えば、紡出糸を1000〜5000m/分で引取り、引続いて3000〜6000m/分で延伸・熱固定する方法が挙げられる。該繊維の糸状形態は、フィラメント、ステープルのどちらでも良く、用途によって適宜選定される。布帛形態としては、織物、編物、不織布など目的に応じて適宜選択できる。
【0045】
また、本発明のポリエステル複合繊維の共重合ポリエステル成分を減量する方法としては、アルカリ減量法である。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の化合物を水溶液として用いることができる。その濃度は0.5〜10%の範囲が好ましい。必要に応じて減量加工促進剤などを加えても構わない。
【実施例】
【0046】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリマーの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(2)ポリマー中の金属元素含有量
ポリマー中の金属元素含有量は、チップ状のサンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平面を有する成形体を作成し、蛍光X線元素分析装置(理学電機工業社製、System3270)により求めた。すなわち、ポリエステル組成物をオルソクロロフェノールに溶解し、必要に応じてクロロホルムで該ポリマー溶液の粘性を調製した後、遠心分離器で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、アセトン添加によりポリマーを再析出、濾過、洗浄して粒子を除去したポリマーとする。
(3)溶液ヘイズ
測定する試料約2gをオルソクロロフェノール20mLに溶解させ、ヘイズメーター(スガ試験機社製,HGM−2DP型)を用い、積分球式光電光度法にて分析を行った。なお、対象となるポリエチレンテレフタレート中の酸化チタン粒子等の無機粒子の影響を除去するため、上記(2)記載と同様な前処理を施してポリマーを得た。
(4)溶融粘度
測定するポリマーを150℃15時間真空乾燥後、タカラ工業製メルトインデクサーにて、測定距離を2.54cm、荷重を850g、測定温度を290℃として測定した。
(5)アルカリ減量速度
後述する条件において紡糸・延伸した糸を用いた筒編み地を、筒編み地:水酸化ナトリウム水溶液=1:50(重量比)の浴比で、90℃1%水酸化ナトリウム水溶液中で5分浸漬処理し、次式からアルカリ減量速度を測定した。
アルカリ減量速度(重量%/分)=(A−B)/A×100/5
A:筒編み地の浸漬処理前の重量(g)、B:筒編み地の浸漬処理後の重量(g)
(6)製糸性評価
(ア)糸切れ評価
得られたポリエステルを到達水分率が50ppm以下に乾燥後、290℃の溶融部で溶融し、紡糸温度300℃のスピンブロックへ導き、フィルターとして限界濾過径10μmの金属不織布で濾過した後、口金面温度290℃としたφ0.25mm、24ホールの口金から溶融紡糸し、1000m/分の速度で引取った。この条件において72時間紡糸を行い、その糸切れ回数を測定し、紡糸時間6時間あたりの平均糸切れ回数を計測した。平均糸切れの回数が0回以上2回以下を好ましい状態として合格とし、2回より多いと糸切れが頻繁であるとして不合格とした。中でも糸切れの回数が0回以上0.5回以下を特に好ましい状態と判断した。
(イ)濾圧上昇
前記(ア)の評価法において、72時間後のパック圧と紡糸スタート時の差から判定した。パック圧の上昇が0〜18MPaを好ましい状態として合格とし、18MPaより濾圧上昇が急激であると不合格とした。中でも0〜9MPaの範囲を特に好ましい状態と判断した。
(ウ)口金の堆積物の観察
前記(ア)の評価法において、評価開始から72時間後の口金孔周辺の堆積物量を、長焦点顕微鏡を用いて観察した。堆積物がほとんど認められない状態を○、堆積物は認められるものの操業可能な状態を△、堆積物が認められ操業が困難になる状態を×として判定した。
【0047】
参考例1.チタン錯体1(チタンクエン酸キレート)の調整方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
【0048】
参考例2.チタン錯体2(チタントリメリット酸キレート)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中にエチレングリコール(2200g)、トリメリット酸無水物(192g、1.00モル)を混合撹拌している溶液に滴下漏斗からチタンテトラブトキシド(170g、0.50モル)をゆっくり滴下し、透明なチタン化合物のエチレングリコール溶液(Ti含有量1.00重量%)を得た。
【0049】
参考例3.繊維形成重合体
予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート100kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×10Paに保持されたエステル化反応槽に高純度テレフタル酸(三井化学社製)82.5kgとエチレングリコール(日本触媒社製)35.4kgのスラリーを4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物101.5kgを重縮合槽に移送した。
【0050】
このエステル化反応生成物に、リン酸をリン原子換算で得られるポリエステル組成物に対して10ppm、酢酸マグネシウム4水和物をマグネシウム原子換算で20ppm、参考例1で得られたチタン錯体1をチタン原子換算で5ppmとなるように添加した。5分後に、酸化チタン粒子のエチレングリコールスラリーを、ポリマーに対して酸化チタン粒子換算で0.3重量%添加した。さらに5分後に、反応系を減圧して反応を開始した。反応器内を250℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻して重縮合反応を停止させ、ストランド状に吐出して冷却後、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。得られたポリマーの固有粘度は0.65であった。
【0051】
実施例1
予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート100kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×10Paに保持されたエステル化反応槽に高純度テレフタル酸(三井化学社製)82.5kgとエチレングリコール(日本触媒社製)35.4kgのスラリーを4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物101.5kgを重縮合槽に移送した。
【0052】
このエステル化反応生成物に、参考例1で得られたチタン錯体1をチタン原子換算で得られる共重合ポリエステル組成物に対して2ppm、リン酸をリン原子換算で得られる共重合ポリエステル組成物に対して40ppm、酢酸リチウム4水和物をリチウム原子換算で得られる共重合ポリエステル組成物に対して400ppmを添加前に別の混合槽にてエチレングリコールを溶媒として用いて事前混合し、窒素雰囲気下25℃にて60分攪拌した後添加した。5分後に共重合成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステルとエチレングリコールのエステル交換反応により合成したエステル交換反応率70%の40%エチレングリコール溶液を酸成分に対して8モル%となるように添加した。その後、低重合体を15rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から280℃ まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして共重合ポリエステルのペレットを得た。
【0053】
得られた共重合ポリマーは、表1に示すとおり固有粘度は0.55、溶融粘度は110Pa・s、溶液ヘイズは2.8%であった。得られた共重合ポリエステルを乾燥した後、上述した条件で製糸性テストを行った結果、製糸性に優れ、また紡糸時の濾圧上昇、口金周りの堆積物はほとんど認められず、成形加工性の良好な共重合ポリマーであった。次いで、この延伸糸を27ゲージの靴下編機(英光産業(株)製)により筒編み地を編成し、90℃、1%水酸化ナトリウム水溶液中で5分浸漬処理した後乾燥した。浸漬前後の重量変化より、アルカリ減量速度は7重量%/分と良好であった。
【0054】
【表1】

【0055】
実施例2〜9
共重合成分、共重合量をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして共重合ポリマーを重合し、製糸性テストを行った。実施例4ではわずかにアルカリ溶出性に劣っており、実施例5では、わずかに製糸性に劣っていたが、操業上全く差し支えないレベルであった。
【0056】
実施例10〜13
チタン化合物、リン化合物、リチウム化合物の事前混合する条件をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして共重合ポリマーを重合し、製糸性テストを行った。実施例10、13ではわずかに濾圧の上昇がみられ、実施例11、12ではわずかにアルカリ溶出性に劣っていたが、操業上全く差し支えないレベルであった。
【0057】
実施例14〜26
チタン化合物、リン化合物、リチウム化合物の添加種、添加量をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして共重合ポリマーを重合し、製糸性テストを行った。実施例23では、チタン化合物、リチウム化合物と事前混合してから添加するリン化合物とは別に、所定の攪拌トルクの85%となった時点(減圧を開始してから約2時間05分の時点)で、ポリエチレンテレフタレートシートを射出成形して作成した厚さ0.2mm、内容積500cmの容器にポリマーにリン化合物1を詰めて、反応缶上部より添加した。実施例17、21、22、26ではわずかに製糸性が劣っていた。また実施例26ではわずかに濾圧の上昇が見られ、わずかに口金周りに堆積物が見られたが、操業上差し支えないレベルであった。
【0058】
【表2】

【0059】
実施例27〜28
所定の攪拌トルクの設定を変更した(実施例27では得られるポリエステルの固有粘度が低くなるよう、実施例28では得られるポリエステルの固有粘度が高くなるよう設定した)以外は実施例1と同様にして共重合ポリマーを重合し、製糸性テストを行った。実施例27ではわずかに濾圧の上昇が見られ、わずかに口金周りに堆積物が見られたが、操業上差し支えないレベルであった。
【0060】
実施例29、30
共重合成分、共重合量、チタン化合物、リン化合物を表2に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして共重合ポリマーを重合し、製糸性テストを行った。実施例29では、アルカリ減量速度は優れていたが、糸切れや濾圧上昇がわずかに見られ、やや製糸性に劣っていた。また実施例30では、やや製糸性が劣っており、わずかに口金周りに堆積物が見られたが、操業上差し支えないレベルであった。
【0061】
比較例1〜4
共重合成分、共重合量をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして共重合ポリマーを重合し、製糸性テストを行った。比較例1、2ではアルカリ溶出性が劣っており、また比較例3では、吐出後のペレタイジングが非常に困難であり、また製糸性が非常に劣っていた。比較例4では、目標の重合度まで到達しなかった。
【0062】
【表3】

【0063】
比較例5〜8
チタン化合物、リン化合物、リチウム化合物の事前混合する条件をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして共重合ポリマーを重合し、製糸性テストを行った。比較例5では、チタン化合物、リン化合物、リチウム化合物の順に添加間隔を5分として添加した。比較例6では、リン化合物、チタン化合物、リチウム化合物の順に添加間隔を5分として添加した。比較例5〜8ではアルカリ溶出性がやや劣っており、また製糸性が劣っていた。
【0064】
比較例9〜12
重合触媒の添加量、添加種をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして共重合ポリマーを重合し、製糸性テストを行った。比較例9では、目標の重合度まで到達しなかった。また、比較例9、10ではアルカリ溶出性がやや劣っており、また製糸性が劣っていた。また比較例12では、真比重5.0以上の金属を含有しており、また口金周りの堆積物が多く観測された。
【0065】
実施例31
繊維形成性重合体として上述した参考例3と、実施例1で得られた共重合ポリエステルをそれぞれ乾燥した後、実施例1で得られた共重合ポリエステルを海成分とし、参考例3で得られたポリエステルを島成分(18島)として別々に溶融し、海島型複合口金から島/海比率=50%/50%として未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を第1段液浴温度55℃で延伸倍率1.5倍で延伸した後、連続して、第2段目の液浴温度を80℃、延伸倍率2.0倍で延伸し、83.3デシテックス9フィラメントの海島型複合繊維を得た。延伸時の糸切れ、ロールへの巻き付き、ガイドなどへの付着物は発生せず、成型加工性の良好な複合繊維であった。得られた延伸糸は繊維表面のべとつきは全くなく、顕微鏡で観察した単糸間の膠着も全くなかった。この延伸糸を筒編みにし、0.9%水酸化ナトリウム水溶液中で90℃、30分の処理を行った。その後、十分に湯水洗して乾燥した。この処理による重量変化は、浸漬前の重量は、3.8gのものが、浸漬処理後1.9gであり処理前に対し50%の減少であった。また、この浸漬処理によって18フィラメントのものが188フィラメントの極細繊維に分割されていた。
【0066】
実施例32
繊維形成性重合体として上述した参考例3と、実施例1で得られた共重合ポリエステルをそれぞれ乾燥した後、実施例1で得られた共重合ポリエステルを芯成分とし、参考例3で得られたポリエステルを鞘成分(18島)として別々に溶融し、同心円芯鞘複合口金からから芯/鞘比率=35%/65%として未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を第1段液浴温度55℃で延伸倍率1.5倍で延伸した後、連続して、第2段目の液浴温度を80℃、延伸倍率2.0倍で延伸し、80デシテックス24フィラメントの芯鞘型複合繊維を得た。延伸時の糸切れ、ロールへの巻き付き、ガイドなどへの付着物は発生せず、成型加工性の良好な複合繊維であった。得られた延伸糸は繊維表面のべとつきは全くなく、顕微鏡で観察した単糸間の膠着も全くなかった。この延伸糸を筒編みにし、1%水酸化ナトリウム水溶液中で90℃、30分の処理を行ったところ、芯成分の共重合ポリエステルが溶出し、中空率34%の中空繊維を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全酸成分に対して金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分が3〜15モル%共重合されたポリエステルを製造する方法において、(1)チタン化合物、(2)リン化合物、(3)リチウム化合物の存在下で重縮合反応するとともに、これらの各化合物を事前に混合撹拌した後に添加することを特徴とするアルカリ易溶性共重合ポリエステルの製造方法。
【請求項2】
チタン化合物が、多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、含窒素カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つをキレート剤とするチタン錯体であることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ易溶性共重合ポリエステルの製造方法。
【請求項3】
チタン化合物中のチタン原子とリン化合物中のリン原子のモル比率Ti/Pが0.001〜1であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルカリ易溶性共重合ポリエステルの製造方法。
【請求項4】
オルソクロロフェノールに溶解させた時の溶液ヘイズが0.3〜15の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法で得られるアルカリ易溶性共重合ポリエステル。
【請求項5】
真比重が5.0以上の金属元素の含有量が0〜10重量ppmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法で得られるアルカリ易溶性共重合ポリエステル。
【請求項6】
濃度10g/L、温度90℃の水酸化ナトリウム水溶液中におけるアルカリ減量速度が1〜15重量%/分である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法で得られるアルカリ易溶性共重合ポリエステル。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載のアルカリ易溶性共重合ポリエステルを含む複合繊維。
【請求項8】
複合繊維が海島型繊維であって、海、島部のどちらか一方にアルカリ易溶性共重合ポリエステルを用い、他方の島、海部に繊維形成性重合体を用いることを特徴とする請求項7に記載の海島型複合繊維。
【請求項9】
複合繊維が芯鞘型繊維であって、鞘部に繊維形成性重合体を用い、芯成分にアルカリ易溶性共重合ポリエステルを用いることを特徴とする請求項7に記載の芯鞘型複合繊維。

【公開番号】特開2010−70739(P2010−70739A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295284(P2008−295284)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】