説明

アルカリ条件下でのアルミニウムまたは着色金属およびその合金の表面用洗浄・腐食抑制剤システムおよび組成物

【課題】腐食抑制剤システム、特にアルカリ条件(特に食品および製薬の産業における)下におけるアルミニウムまたは着色金属およびその合金の表面用洗浄・腐食抑制組成物を提供する。
【解決手段】表面用洗浄・腐食抑制組成物は、一般式


[式中、Zは−O−Mまたは


のいずれかである。]で示される少なくとも一種のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステルを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腐食抑制剤システム、特に食品および製薬の産業におけるアルカリ条件下でのアルミニウムまたは着色金属およびその合金の表面用洗浄・腐食抑制組成物に関するものである。本発明の洗浄・腐食抑制組成物は、濃縮物の形態で、または希釈使用溶液の形態で、または添加剤として使用することができる。さらに、本発明は、特に食品、酪農、飲料、醸造および清涼飲料の産業ならびに製薬の産業において、アルミニウムまたは着色金属およびその合金の表面、好ましくは銅、黄銅、青銅、亜鉛およびビスマスの表面を処理し、それらを洗浄し、同時に腐食に対して防護するための前記のシステムまたは組成物の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製薬、酪農、食品および飲料の産業において、また食品の製造およびサービスのビジネスにおいて、定期的な洗浄および清浄化は、製品品質および公衆衛生を維持するための1つの必要な業務である。装置表面上に残された残留物または加工およびサービスの環境において見出される汚染物は、それらが微生物の成長を促進するリスクがあるがゆえに、望ましくない。病原菌または毒素に関係する潜在的な健康被害に対して消費者を保護するために、または食品および製薬の産業における製品またはサービスの品質を維持するために通常、アルミニウムまたは例えば亜鉛、カドミウム、銅、コバルト、ニッケル、ビスマス、スズおよび鉛などの着色金属またはその合金、特に黄銅および青銅から作られている、製薬および食品の産業において使用される装置の表面から残留物および汚染物を日常的に除去することが必要である。
【0003】
前記の金属およびその合金の硬表面から望ましくない残留物および汚染物を除去するための効果的で経済的な方法は、湿潤させる洗浄剤の他にアルカリ性成分を含む洗浄剤組成物の使用である。しかしながら、アルカリ条件下においては、アルミニウムおよび着色金属の表面上に通常存在する保護的な酸化物層は除去され、その結果としてむき出しの金属表面がひどく腐食されるだろう。多くの用途において、最も耐食性の材料の使用は経済的ではなく、または満足しうる耐食性を有する材料の使用は多分知られていないだろう。例えばガラス、セラミックおよび無機質の被覆の使用などの錆を避けるその他の方法は、多分手が出ないほど高価であるか、またはその他のプロセス条件と合わないこともあるだろう。全てのこれらの場合おいて、それに代わるアプローチは、腐食性の洗浄組成物に腐食抑制剤を添加することによって腐食を最小化することである。製薬、食品および飲料の産業において着色金属の腐食を防止するさらに一般的な方法は、除去できない残渣が洗浄した表面上に残ることもあるという不利益を有するケイ酸塩の使用である。
【0004】
米国特許第5723418号から、食品材料を移送することができるコンベアシステムの潤滑剤組成物を使用することが知られている。ここに開示された潤滑剤組成物は、腐食抑制剤として、例えばジカルボン酸、トリカルボン酸などのポリカルボン酸あるいはアルキルまたはアルキルアリールホスフェートモノエステルなどのホスフェートエステルを含むことができる。米国特許第5925601号によれば、飲料市場のためのガラス、金属またはプラスチックの容器を移動させるコンベアのための潤滑剤は、腐食抑制剤として、アルキルまたはアルキルアリールホスフェートモノエステルなどのホスフェートエステルまたは例えばベンゾトリアゾール、トリルトリアゾールおよびメルカプトベンゾチアゾールなどのトリアゾールを含むことができる。米国特許第5393464号から、N−エトキシ−2−置換イミダゾリン(N−エトキシ置換基は1〜30のエトキシ単位を有し、2−置換基は6〜30個の炭素原子を有する不飽和脂肪族鎖である)を含む水性媒体における腐食抑制剤が知られている。
【0005】
しかしながら、これらの全ての知られている腐食抑制剤は、アルカリ条件下においては、アルミニウムまたは着色金属およびその合金から通常作られていて、前記の条件の下では通常ひどく腐食される製薬および食品の装置の定期的な洗浄および清浄化において生じる腐食を十分に防止しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5723418号
【特許文献2】米国特許第5925601号
【特許文献3】米国特許第5393464号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、アルカリ洗浄条件下にアルミニウムまたは着色金属およびその合金の表面、特に食品および飲料の産業ならびに製薬産業において使用される装置の表面の腐食を確実に防止し、または減少させる新規な腐食抑制剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、特定のアルコキシル化されたアルキルおよびアルキルアリールのホスフェートエステルが、アルカリ洗浄条件下において製薬および食品の産業における装置のために通常使用されるアルミニウムまたは着色金属およびその合金の表面のための優れた腐食抑制剤であることが見出された。
【0009】
後記の一般式(I)を有するこれらの特定のアルコキシル化されたアルキルおよびアルキルアリールのホスフェートジエステルまたはトリエステルが、アルカリ剤および場合によりキレート剤の存在におけるアルミニウムまたは着色金属およびその合金の表面のための腐食抑制剤システムと、濃縮物または希釈使用溶液の形態でアルミニウムまたは着色金属およびその合金の表面用の洗浄・腐食抑制組成物との両方において、またアルミニウムまたは着色金属およびその合金、好ましくは銅、黄銅、青銅、亜鉛およびビスマスの表面を、有効量のこれらの特定のアルコキシル化アルキルおよびアルキルアリールホスフェートジエステルまたはトリエステルと接触させる前記金属の表面を処理する方法において、活性成分として使用され得る。
【0010】
本発明の主題は、第1の態様によれば、アルミニウムまたは着色金属およびその合金の表面のための腐食抑制剤システムであって、このシステムは
【0011】
a)一般式
【化1】

[式中、Zは−O−Mまたは
【化2】

のいずれかであり、
ここで、
Mはアンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の陽イオンであり、
アルキルは、互いに独立に、直鎖状または分鎖状の飽和または不飽和の5〜22個、好ましくは8〜18個、さらに好ましくは12〜16個の炭素原子を有するアルキル基、あるいはアルキルが当該定義の通りであり、アリールが単環式または二環式芳香族基、好ましくはフェノール、ジフェノールまたはその他のヒドロキシ含有アリール基であるアルキルアリール基であり、
AOは、1個または複数のC1〜3アルキル基によって置換されていてもよい2〜4個、好ましくは2〜3個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを表し、
、nおよびnは、互いに独立に、2〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは3〜6の整数である]
を有する少なくとも1種のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステル;
b)システム全体においてpH>7.0を達成するのに十分な量の少なくとも1種のアルカリ剤、
c)場合により、少なくとも1種のキレート剤
d)場合により、追加の腐食抑制剤として少なくとも1種のアルカノールアミンおよび/またはさらなる腐食共抑制剤、
e)場合により、少なくとも1種の陰イオン性、陽イオン性、非イオン性および/または両性の界面活性剤、ならびに
f)水
を含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい実施形態は、次の特定の特徴を単一で、またはいずれかの組合せで含む腐食抑制剤システムに関し、それにより、
成分(a)の式(I)において、AOはエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)および/またはブチレンオキシド(BO)を表し、ここで、EO、POおよびBOはいかなる順序で存在してもよく、AOは、特にエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを表し;
アルカリ剤(成分(b))は、水酸化ナトリウムまたはカリウム、トリポリリン酸ナトリウムまたはカリウム、炭酸および/または重炭酸アンモニウム、ナトリウムまたはカリウムおよびアミンからなる群から選択され;
キレート剤(成分(c))は、アミノカルボン酸およびその塩、リン酸およびその塩、グルコン酸およびその塩および水溶性アクリルポリマーからなる群から選択され;
キレート剤は、さらに好ましくはイミノジコハク酸(IDS)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、グルタミン酸−N,N−二酢酸(GLDA)、アスパラギン酸−N,N−二酢酸(ASDA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)およびこれらの塩からなる群から選択され;
アルカノールアミン(成分(d))は、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンであり;
界面活性剤(成分(e))は、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪族アルコール、エトキシル化アミン、エトキシル化エーテルアミン、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、ポリオキシアルキレンオキシドブロックコポリマーおよびアルキル化アルキルエトキシレートからなる群から選択される非イオン性界面活性剤、および/または
アルコキシル化ヒドロカルビルカルボキシレート、スルホネート、サルフェートおよびホスフェートエステルからなる群から選択される陰イオン性界面活性剤および/または
4級ヒドロカルビルアンモニウムハライドからなる群から選択される陽イオン性界面活性剤、および/または
ベタインおよびスルホベタイン界面活性剤から選択された両性界面活性剤であり;
前記腐食抑制剤システムは、さらに少なくとも1種のヒドロトロープおよび/または少なくとも1種の消泡剤を含み;
ここで、前記ヒドロトロープは、好ましくは一官能および多官能アルコールおよびグリコールおよびグリコールエーテル化合物、好ましくはアルキルアルコール、さらに好ましくはエタノールおよびイソプロパノール、および多官能有機アルコール、好ましくはグリセロール、へキシレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびソルビトール、特にアルキルグリコールからなる群から選択され;
ここで、消泡剤は、好ましくはシリコーン化合物、好ましくはポリジメチルシロキサン中に分散されたシリカ、脂肪族アミド、炭化水素ワックス、脂肪酸、脂肪族エステル、脂肪族アルコール、脂肪酸石鹸、エトキシレート、鉱物油、ポリエチレングリコールエステルおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーからなる群から選択される。
【0013】
もう1つの好ましい実施形態によれば、本発明の腐食抑制剤システムは、加えてトリアゾールおよびその誘導体、好ましくはベンゾトリアゾールおよびトリルトリアゾール、イミダゾリンおよびその誘導体、好ましくは1−アミノエチル−2−ヘプタデセニルイミダゾリン、およびチアゾールおよびその誘導体、好ましくはメルカプトベンゾチアゾールからなる群から選択される腐食共抑制剤を含む。
【0014】
上記定義の本発明の腐食抑制剤システムは、好ましくは
a)一般式(I)のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステル0.01〜15、好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは0.5〜5重量%、
b)システム全体においてpH>7.0を達成するのに十分な量のアルカリ剤0.5〜50、好ましくは1〜20、さらに好ましくは3〜8重量%、
c)場合により、キレート剤0.01〜50、好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは1〜6重量%、
d)場合により、アルカノールアミン0.05〜10、好ましくは0.1〜5重量%、
e)場合により、界面活性剤0.1〜98、好ましくは1〜20、さらに好ましくは3〜8重量%、ならびに
f)残量の水
を含み、さらに好ましい実施形態によれば、追加的に
ヒドロトロープ0.01〜20、好ましくは0.5〜10重量%および/または
消泡剤0.01〜10、好ましくは0.5〜8、さらに好ましくは0.1〜5重量%
を含む。
【0015】
本発明のさらなる主題は、第2の態様によれば、濃縮物または希釈使用溶液の形態でのアルミニウムまたは着色金属およびその合金の表面のための洗浄・腐食抑制組成物であって、前記組成物は前に開示された量で上記定義の成分を含む。
【0016】
本発明の主題は、特に
a)一般式(I)のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステル0.01〜15、好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは0.5〜5重量%、
b)システム全体においてpH>7.0を達成するのに十分な量のアルカリ剤0.5〜50、好ましくは1〜20、さらに好ましくは3〜8重量%、
c)場合により、キレート剤0.01〜50、好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは1〜6重量%、
d)場合により、アルカノールアミンおよび/または腐食共抑制剤0.05〜10、好ましくは0.1〜5重量%、
e)場合により、界面活性剤0.1〜98、好ましくは1〜20、さらに好ましくは3〜8重量%、ならびに
f)残量の水
を含む濃縮物の形態における洗浄・腐食抑制組成物ならびに
a)一般式(I)のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステル0.0001〜0.15、好ましくは0.001〜0.10、さらに好ましくは0.005〜0.05重量%、
b)システム全体においてpH>7.0を達成するのに十分な量のアルカリ剤0.005〜0.50、好ましくは0.01〜0.20、さらに好ましくは0.03〜0.08重量%、
c)場合により、キレート剤0.0001〜0.50、好ましくは0.005〜0.20、さらに好ましくは0.01〜0.06重量%、
d)場合により、アルカノールアミンおよび/またはさらなる腐食共抑制剤0.0005〜0.10、好ましくは0.001〜0.05重量%、
e)場合により、界面活性剤0.001〜0.98、好ましくは0.01〜0.20、さらに好ましくは0.03〜0.08重量%、ならびに
f)残量の水
を含む希釈使用溶液の形態における洗浄・腐食抑制組成物である。
【0017】
本発明のさらなる主題は、第3の態様によれば、
アルミニウムまたは着色金属およびその合金、好ましくは銅、黄銅、青銅、亜鉛およびビスマスの表面の処理方法であって、前記の金属表面を0〜80℃、好ましくは10〜60℃の温度で10秒〜60分、好ましくは20秒〜20分間、前記定義の腐食抑制剤システムにさらすことを含む方法、ならびに
アルミニウムまたは着色金属およびその合金、好ましくは銅、黄銅、青銅、亜鉛およびビスマスの表面の処理方法であって、前記の金属表面を0〜80℃、好ましくは10〜60℃の温度で10秒〜60分、好ましくは20秒〜20分間、前記定義の洗浄・腐食抑制組成物の濃縮物または希釈使用溶液の有効量と接触させることを含む方法である。
【0018】
さらに、本発明は、アルミニウムまたは着色金属およびその合金、好ましくは銅、黄銅、青銅、亜鉛およびビスマスの表面を処理するための有効量の濃縮物または希釈使用溶液の形態における、または添加物としての、前記定義の洗浄・腐食抑制組成物の使用に関する。
【0019】
本発明の主題は、特に次の制限されない技術分野:製薬、食品、飲料、乳製品の産業およびキッチン衛生における毎日の洗浄プロセスにおいて適用することができる。本発明の腐食抑制剤システムは、特に肉、魚、野菜および果物の産業において泡およびゲル洗浄などの手作業の適用における硬表面、例えばワゴン、金属皿、金属プレートおよび型などの洗浄(オープンプラント洗浄(OPC))、または乳製品、飲料および加工食品の産業におけるビンおよび紙容器の充填機械の外部および内部(充填包装ホール(PH))の洗浄、または製薬、乳製品、飲料および加工食品の産業におけるパイプライン、ミキサーおよび貯蔵タンクなどのプロセス装置の洗浄(クリーニングインプレイス(CIP))のプロセスにおいて使用することができる。
【0020】
後記の実施例から理解されるように、アルミニウムまたは着色金属およびその合金の表面の耐食性は、活性な腐食抑制成分として1種または複数種の一般式(I)のアルキレンオキシアルキルホスフェートジエステルまたはトリエステルを含む本発明による洗浄・腐食抑制剤システムまたは組成物のアルカリ性洗浄条件下での使用によって、少なくとも3倍〜1000倍も改良することができる。この驚くべきおよび実質的な技術的効果は、そのような洗浄条件に対して最も敏感なアルミニウムの表面に関して特に著しい。
【0021】
本出願において使用される「腐食抑制剤システム」という表現は、上記定義のシステムの成分(b)〜(f)が、例えば前記表面のこれまでの定期的な洗浄および清浄処理のためにアルミニウムまたは着色金属およびその合金の表面上に既に存在しているかもしれず、処理される個所に最終的に存在するシステムが、特許請求の範囲の抑制剤システムの少なくとも成分(a)〜(f)を含むならば、成分(a)のみが、場合によりアルカリ剤および/またはキレート剤との組合せで、このシステムに有効量で加えられなければならないことを意味する。
【0022】
本出願において使用される「洗浄・腐食抑制組成物」という表現は、これに対して、濃縮物の形態もしくは希釈使用溶液の形態としてのまたは添加物としての上記定義の成分(a)〜(f)を含む完全に処方された組成物が、本発明によって処理される個所に加えられることを意味する。
【0023】
本出願において使用される「着色金属」という表現は、鉄金属および貴金属を除いて着色しているまたは着色効果を与える全ての重金属およびその合金を含む。着色金属の群は、好ましくはZn、Cd、Cu、Co、Ni、Pb、SnおよびBi、ならびに黄銅、青銅などのその合金を含む。特に好ましくは着色金属およびその合金は、亜鉛、銅、ビスマス、黄銅および青銅である。
【0024】
本出願において使用される「水」という表現は、新鮮な水および海水、あらゆる由来の水道水、処理された水、蒸留水、脱イオン水、軟水、鉱水、雨水および飲料水を含むあらゆる種類の水を意味し、好ましくは化学的に純粋な水(HO)である。
【0025】
成分(b)として本発明のより有用なアルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムを含み、好ましくは水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムである。さらに、トリポリリン酸ナトリウムおよびカリウム、炭酸および/または重炭酸アンモニウム、ナトリウムおよびカリウム、アミン、ならびにアルカノールアミンもアルカリ剤として使用することができる。アルカノールアミン、特にジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンもまた、追加の腐食抑制剤(成分(d))として使用することができる。
【0026】
本発明により使用される界面活性剤(成分(e))は、洗浄性および湿潤性を増加させるための補助剤として使用される助剤である。本発明において界面活性剤として使用され得る化合物は、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、双性イオン性および両性の界面活性剤を含む。
【0027】
本発明により使用され得る陰イオン性界面活性剤は、一般的に疎水性炭化水素部分および陰性荷電の親水性部分を含む化合物である。典型的には、市販の製品は、陰性荷電の親水性部分としてカルボキシレート、スルホネート、サルフェートまたはホスフェート基を与える。本発明において使用に特に好適な陰イオン性界面活性剤は、ホスフェートエステルである。
【0028】
非イオン性界面活性剤は、実質的に荷電していないで、分子中の酸素の存在によって親水性傾向を有する一般的に疎水性の化合物である。非イオン性界面活性剤は、排他的ではないが、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪族アルコール、エトキシル化アミン、エトキシル化エーテルアミン、カルボン酸エステル、カルボン酸アミドおよびポリオキシアルキレンオキシドブロックコポリマーを含む多種多様のポリマー化合物を包含する。本発明における使用に特に好適な非イオン界面活性剤は、アルコキシル化(好ましくはエトキシル化)アルコールである。
【0029】
また、陽イオン性界面活性剤も本発明において有用であり、殺菌剤としても作用し得る。典型的な例は、n−C12〜18アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、例えばn−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物などの4級アンモニウムクロリド界面活性剤を含む。
【0030】
本発明において有用な双性イオン性および両性の界面活性剤は、酸性および塩基性の親水性基の両方を含む界面活性剤である。これらは、陰イオン性または陽イオン性界面活性剤に共通する陰イオン性または陽イオン性の基を含むことができ、界面活性剤の性質を高める水酸基またはその他の親水性基のいずれでも追加的に含むことができる。そのような両性界面活性剤は、ベタイン界面活性剤、スルホベタイン界面活性剤、両性イミダゾリニウム誘導体およびその他を含む。
【0031】
本発明において有用なキレート剤または金属イオン封鎖剤は、アミノカルボン酸、リン酸およびその塩、および水溶性アクリルポリマーである。好ましいアミノカルボン酸キレート剤は、イミノジコハク酸(IDS)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、グルタミン酸−N,N−二酢酸(GLDA)、アスパラギン酸−N,N−二酢酸(ASDA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、およびこれらの塩を含む。
【0032】
また、有用なキレート剤または金属イオン封鎖剤は、リン酸およびその塩である。好ましいリン酸は、例えばカルボキシ、ヒドロキシ、チオおよび同様のものなどのアルカリ条件下において陰イオンを形成することができる基も含んでいる一リン酸、二リン酸、三リン酸および四リン酸を含む。また、リン酸は、例えば約2〜4個のカルボン酸部分および約1〜3個のリン酸基を有するものなどの低分子量のホスホノポリカルボン酸も含み得る。そのような酸は、1−ホスホノ−1−メチルコハク酸、ホスホノコハク酸および2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、およびこれらの塩を含む。
【0033】
また、本発明の腐食抑制剤システムおよび組成物において存在し得るヒドロトロープは、前記システムおよび前記組成物のそれぞれの物理的な安定性を付与する。種々の使用可能なヒドロトロープは、使用のために入手可能であり、一官能および多官能アルコールならびにグリコールおよびグリコールエーテル化合物を含む。
【0034】
最も有用なヒドロトロープ化合物は、例えばエタノール、イソプロパノールおよび同様のものなどのアルキルアルコール、例えばグリセロール、へキシレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトールおよび同様のものなどの多官能有機アルコールを含む。さらに好ましいヒドロトロープは、例えばアルキルグリコールなどの二官能アルコールである。重要なその他のヒドロトロープは、例えばトルエンスルホネート、キシレンスルホネート、クメンスルホネート、オクチルスルホネートおよびさらにシンプルなエトキシル化ホスフェートエステルなどのHLB界面活性剤を含む。
【0035】
また、腐食抑制剤システムおよび組成物は、消泡剤を含む。消泡剤は、タンパク質の泡の安定性を減少させるのに好適な疎水性−親水性バランスを有する化学的な化合物である。疎水性は、分子中の親油性部分、例えばアルキルまたはアリール基、オキシプロピレン単位またはオキシプロピレン鎖などによって与えることができる。親水性は、オキシエチレン単位、鎖、ブロックおよび/またはエステル基によって与えることができる。
【0036】
本発明において使用に好適な消泡剤の例は、例えばポリジメチルシロキサン中に分散されたシリカなどのシリコーン化合物、脂肪族アミド、炭化水素ワックス、脂肪酸、脂肪族エステル、脂肪族アルコール、脂肪酸石鹸、エトキシレート、鉱物油、ポリエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルキルホスフェートエステルおよび同様のものを含む。
【0037】
また、本発明の腐食抑制剤システムおよび組成物は、成分(a)に加えて腐食共抑制剤、すなわちトリアゾールおよびその誘導体、好ましくはベンゾトリアゾールおよびトリルトリアゾール、イミダゾリンおよびそれらの誘導体、好ましくは1−アミノエチル−2−ヘプタデシルイミダゾリン、ならびにチアゾールおよびその誘導体、好ましくはメルカプトベンゾチアゾール、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される化合物を含むことができる。
【0038】
本発明のさらなる完全な理解のために次の実施例が挙げられるが、それは実例としてのみ解釈されるべきであり、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0039】
本発明によれば実際にアルミニウムまたは着色金属およびその合金の表面の腐食の抑制または少なくとも著しい減少の点で、先行技術に対して驚くべきおよび実質的な技術的な効果が達成され得ることを立証するために、本発明の発明者等は比較試験を行い、そこでさまざまな洗浄・腐食抑制組成物の耐腐食効果を測定するために、切取り片の形状のアルミニウム、銅、黄銅、亜鉛およびビスマスの基材が、定義された試験条件下において本発明の洗浄・腐食抑制組成物の1重量%水性使用溶液にさらされた。
【0040】
第1の工程において、リストされた化学物質を順番に混合し、撹拌することによって徹底的に混合し、次の成分を加える前に各成分を液体混合物中に完全に分散または溶解させることによって、次の表1に示される定性的および定量的な組成(重量%で示される)を有する洗浄・腐食抑制濃縮物(サンプルA〜H)が調製された。全てのリストされた成分が混合されたとき、得られた組成物濃縮物は、透明であり、均質で均一であった。
【0041】
第2の工程において、濃縮物を十分な量の脱イオン水で希釈することによって、表1に示された濃縮物の1重量%使用溶液が調製された。
【0042】
第3の工程において、それぞれが100mm×50mm×2mmの寸法を有する切取り片の形状の試験される材料(基材)を水酸化ナトリウムの10重量%水溶液400mlで30秒間洗浄し、脱イオン化水100mlで10秒間すすぎ、硝酸の10重量%水溶液400mlで30秒間洗浄し、脱イオン化水100mlで20秒間すすぎ、エタノール50mlで10秒間すすぎ、室温(RT)で一晩乾燥し、秤量し、その後、それらを、60℃の温度を有する撹拌された1重量%水性の使用溶液のそれぞれの1000ml中に前もって決められた時間(60分/24時間)浸漬し、取り出し、脱イオン化水ですすぎ、前記の室温で一晩乾燥し、再秤量した。年あたりmmで表した各3回の測定の平均値としての基材片の腐食速度を、次の式で算出した。

腐食速度(mm/年)=(W×8.76×10)/(D×A×T)

(式中、Wはgで表した各基材片の重量減少を意味し、Dはg/cmで表した各基材片の密度を意味し、Aはcmで表した各基材片の表面積を意味し、Tは時間(h)で表した暴露時間を意味する)
【0043】
各腐食試験において得られた結果は、後記の表2に示される。
腐食試験はそれぞれ次の金属および合金のいずれかで作られた各3個の基材片について行った。
【0044】
アルミニウム
100mm×50mm×2mmの寸法を有するアルミニウム片(純度99.5重量%)を水酸化ナトリウムの10重量%水溶液400mlで30秒間洗浄し、脱イオン化水100mlで20秒間すすぎ、硝酸の10重量%水溶液400mlで30秒間洗浄し、脱イオン化水100mlで20秒間すすぎ、エタノール50mlで10秒間すすぎ、室温で一晩乾燥し、秤量した。
次いで、アルミニウム片を、表1に定義された濃縮物A〜Hのそれぞれの1重量%の水性使用溶液の1000mlで満たされた1500mlのビーカー中に置き、60℃の温度に恒温調節した。60分後にアルミニウム片を撹拌しているビーカーから取り出し、次いで脱イオン水100mlで20秒間すすぎ、室温で一晩乾燥し、再秤量した。
【0045】

100mm×50mm×2mmの寸法を有する銅片を、これらの表面から脂肪および酸化物を除去するために100重量%の濃酢酸400mlで5分間洗浄し、脱イオン化水100mlで20秒間すすぎ、エタノール50mlで10秒間すすぎ、室温で一晩乾燥し、秤量した。
次いで、銅片は、表1に定義された濃縮物A〜Hのそれぞれの1重量%の使用溶液の1000ml(60℃の温度を有する)で満たされた1500mlのビーカー中に置いた。60分後に銅片を、60℃の温度に恒温調節され、撹拌されているビーカーから取り出し、次いで脱イオン水100mlで20秒間すすぎ、室温で一晩乾燥し、再秤量した。
【0046】
黄銅
100mm×50mm×2mmの寸法を有する黄銅片を、これらの表面から脂肪および酸化物を除去するために100重量%の濃酢酸400mlで5分間洗浄し、脱イオン化水100mlで10秒間すすぎ、脱イオン水100mlで20秒間すすぎ、エタノール50mlで10秒間すすぎ、室温で一晩乾燥し、秤量した。
次いで、黄銅片を、表1に定義された濃縮物A〜Hのそれぞれの1重量%使用溶液の1000ml(60℃の温度を有する)で満たされた1500mlのビーカー中に置いた。60分後に黄銅片を、60℃の温度に恒温調節され、撹拌されているビーカーから取り出し、次いで脱イオン水100mlで20秒間すすぎ、室温で一晩乾燥し、再秤量した。
【0047】
亜鉛
100mm×50mm×2mmの寸法を有する亜鉛片を、これらの表面から脂肪および酸化物を除去するために10重量%の酢酸水溶液400mlで5分間洗浄し、脱イオン水100mlで20秒間すすぎ、エタノール50mlで10秒間すすぎ、室温で一晩乾燥し、秤量した。
次いで、亜鉛片を、表1に定義された濃縮物A〜Hのそれぞれの1重量%の使用溶液1000ml(60℃の温度を有する)で満たされた1500mlのビーカー中に置いた。60分後に亜鉛片を、60℃の温度に恒温調節され、撹拌されているビーカーから取り出し、次いで脱イオン水100mlで20秒間すすぎ、室温で一晩乾燥し、再秤量した。
【0048】
ビスマス
70mm×20mm×8mmの寸法を有するビスマス片(純度99.5重量%)を、脂肪および酸化物層を除去するためにサンドペーパーで30秒間清浄化し、脱イオン化水100mlで20秒間すすぎ、エタノール50mlで10秒間すすぎ、室温で一晩乾燥し、秤量した。
次いで、ビスマス片を、表1に定義された濃縮物A〜Hのそれぞれの1重量%の使用溶液の1000ml(60℃の温度を有する)で満たされた1500mlのビーカー中に置いた。24時間後にビスマス片を、60℃の温度に恒温調節され、撹拌されているビーカーから取り出し、次いで脱イオン水100mlで20秒間すすぎ、室温で一晩乾燥し、再秤量した。
【0049】
表2に要約された結果から明確に理解されるように、腐食抑制剤を含まないサンプルAと比較しても、腐食抑制添加剤としての(市販の)アルコキシアルキルホスフェートモノエステルをそれぞれ含むサンプルB〜Eと比較しても、また腐食抑制添加剤として主としてホスフェートモノエステルからなるエトキシル化アルキルホスフェートエステルの別の市販の混合物を含むサンプルFと比較しても、アルカリ洗浄条件下では本発明によるサンプルGおよびHのみが相当な程度でそれぞれの基材材料の腐食を減少させることができた。
【0050】
本発明によれば、銅、黄銅、亜鉛およびビスマス基材の腐食速度は、サンプルAとそれぞれ比較して、1/3(銅)、1/5(亜鉛)および1/10(黄銅およびビスマス)に改良することができたが、特にアルミニウム基材の腐食速度の改良は1/370〜1/1000であった。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム、亜鉛、カドミウム、銅、コバルト、ニッケル、鉛、スズ、ビスマス、またはこれらの合金の金属表面の処理方法であって、
a)一般式
【化1】

[式中、Zは−O−Mまたは
【化2】

のいずれかであり、
ここで、
Mはアンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の陽イオンであり、
アルキルは、互いに独立に、直鎖状または分鎖状の飽和または不飽和の5〜22個の炭素原子を有するアルキル基、あるいはアルキルが当該定義の通りであり、アリールが単環式または二環式芳香族基であるアルキルアリール基であり、
AOは、1個または複数のC1〜3アルキル基によって置換されていてもよい2〜4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを表し、
、nおよびnは、互いに独立に、2〜10の整数である]
を有する少なくとも1種のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステル;
b)システム全体においてpH>7.0を達成する量の少なくとも1種のアルカリ剤、
c)場合により、少なくとも1種のキレート剤、
d)場合により、追加の腐食抑制剤として少なくとも1種のアルカノールアミンおよび/またはトリアゾールおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、チアゾールおよびその誘導体、ならびにこれらの混合物からなる群から選択されるさらなる腐食共抑制剤、
e)場合により、少なくとも1種の陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、双性イオン性および/または両性の界面活性剤、ならびに
f)水
を含む腐食抑制剤システムに金属表面を0〜80℃の温度で10秒〜60分さらすことを含み、
一般式(I)のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステルが、腐食抑制剤システムに60℃の温度で60分さらしたアルミニウムの表面の腐食速度を、同じ条件下で一般式(I)のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステルを除いた腐食抑制剤システムにさらしたアルミニウムの表面と比較して少なくとも1/1000に腐食抑制剤システムが減少させるように選択される、
方法。
【請求項2】
一般式(I)のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステルが、エトキシル化アルキルホスフェートジエステルである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルミニウム、亜鉛、カドミウム、銅、コバルト、ニッケル、鉛、スズ、ビスマス、またはこれらの合金の金属表面の処理方法であって、
a)一般式
【化3】

[式中、Zは−O−Mまたは
【化4】

のいずれかであり、
ここで、
Mはアンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の陽イオンであり、
アルキルは、互いに独立に、直鎖状または分鎖状の飽和または不飽和の5〜22個の炭素原子を有するアルキル基、あるいはアルキルが当該定義の通りであり、アリールが単環式または二環式芳香族基であるアルキルアリール基であり、
AOは、1個または複数のC1〜3アルキル基によって置換されていてもよい2〜4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを表し、
、nおよびnは、互いに独立に、2〜10の整数である]
を有する少なくとも1種のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステル;
b)システム全体においてpH>7.0を達成する量のアルカリ剤、
c)キレート剤、
d)アルカノールアミン、
e)非イオン性界面活性剤、
f)水、ならびに
g)ヒドロトロープ
を含む腐食抑制剤システムに金属表面を0〜80℃の温度で10秒〜60分さらすことを含み、
一般式(I)のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステルが、腐食抑制剤システムに60℃の温度で60分さらしたアルミニウムの表面の腐食速度を、同じ条件下で一般式(I)のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステルを除いた腐食抑制剤システムにさらしたアルミニウムの表面と比較して少なくとも1/300に腐食抑制剤システムが減少させるように選択される、
方法。
【請求項4】
一般式(I)のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステルが、腐食抑制剤システムに60℃の温度で60分さらしたアルミニウムの表面の腐食速度を、同じ条件下で一般式(I)のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステルを除いた腐食抑制剤システムにさらしたアルミニウムの表面と比較して少なくとも1/1000に腐食抑制剤システムが減少させるように選択される請求項3に記載の方法。
【請求項5】
一般式(I)のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステルが、エトキシル化アルキルホスフェートジエステルである請求項3に記載の方法。
【請求項6】
アルミニウム、亜鉛、カドミウム、銅、コバルト、ニッケル、鉛、スズ、ビスマス、またはこれらの合金の金属表面の処理方法であって、
a)一般式
【化5】

[式中、Zは−O−Mまたは
【化6】

のいずれかであり、
ここで、
Mはアンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の陽イオンであり、
アルキルは、互いに独立に、直鎖状または分鎖状の飽和または不飽和の5〜22個の炭素原子を有するアルキル基、あるいはアルキルが当該定義の通りであり、アリールが単環式または二環式芳香族基であるアルキルアリール基であり、
AOは、1個または複数のC1〜3アルキル基によって置換されていてもよい2〜4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを表し、
、nおよびnは、互いに独立に、2〜10の整数である]
を有する少なくとも1種のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステル;
b)システム全体においてpH>7.0を達成する量の少なくとも1種のアルカリ剤、
c)場合により、少なくとも1種のキレート剤、
d)場合により、追加の腐食抑制剤として少なくとも1種のアルカノールアミンおよび/またはトリアゾールおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、チアゾールおよびその誘導体、ならびにこれらの混合物からなる群から選択されるさらなる腐食共抑制剤、
e)ホスフェートエステルである少なくとも1種の陰イオン性界面活性剤、ならびに
f)水
を含む腐食抑制剤システムに金属表面を0〜80℃の温度で10秒〜60分さらすことを含み、
一般式(I)のアルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステルと陰イオン性ホスフェートエステル界面活性剤とが異なる化合物である、
方法。

【公開番号】特開2011−190541(P2011−190541A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103496(P2011−103496)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【分割の表示】特願2007−504959(P2007−504959)の分割
【原出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(398061050)ディバーシー・インコーポレーテッド (101)
【住所又は居所原語表記】8310 16th Street,Sturtevant,Wisconsin 53177−0902,United States of America
【Fターム(参考)】